IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TOTO株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電子水栓装置 図1
  • 特許-電子水栓装置 図2
  • 特許-電子水栓装置 図3
  • 特許-電子水栓装置 図4
  • 特許-電子水栓装置 図5
  • 特許-電子水栓装置 図6
  • 特許-電子水栓装置 図7
  • 特許-電子水栓装置 図8
  • 特許-電子水栓装置 図9
  • 特許-電子水栓装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】電子水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/05 20060101AFI20220114BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20220114BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
E03C1/05
H02J7/34 B
H02J7/34 G
H02J9/06 110
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017188008
(22)【出願日】2017-09-28
(65)【公開番号】P2019060212
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】金子 義行
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-126108(JP,A)
【文献】特開平05-292683(JP,A)
【文献】特開2003-047167(JP,A)
【文献】特開昭64-003433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/05
H02J 7/34
H02J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターバルブを制御することによって吐止水を制御する電子水栓装置であって、
電源として商用電源を利用して前記モーターバルブを制御する制御部と、
前記商用電源の停電を検知する停電検知部と、
前記商用電源の停電時に前記モーターバルブに給電される電力を予め蓄えておく電気二重層コンデンサと、
前記電気二重層コンデンサの電圧を昇圧するための昇圧部と、
前記昇圧部の出力を更に蓄電するためのモーターバルブ駆動用コンデンサと、
を備え、
前記制御部は、前記商用電源の停電時には、前記モーターバルブ駆動用コンデンサに蓄電された電力を断続的に前記モーターバルブに供給するようになっている
ことを特徴とする電子水栓装置。
【請求項2】
前記昇圧部は、昇圧した後の出力電流を第1所定値以下に抑制するための出力抑制部を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の電子水栓装置。
【請求項3】
前記出力抑制部は、前記昇圧部によって昇圧された後の前記出力電流が第1所定値以下となるよう、前記昇圧部の出力側に設けられた抵抗を有している
ことを特徴とする請求項2に記載の電子水栓装置。
【請求項4】
前記昇圧部は、昇圧した後の出力電流を第1所定値以下に抑制するための出力抑制部を有しており、
前記電子水栓装置は、
前記商用電源の停電時に動作する電池と、
前記電池の有無を判断する電池検知部と、
前記出力抑制部と並列に接続され、前記出力抑制部を短絡する機能の有効/無効が選択可能な短絡手段と、
を更に備え、
前記商用電源の停電時において、前記電池検知部によって前記電池が無いと判断される時には、
前記電気二重層コンデンサの電圧が前記昇圧部によって昇圧され、この時、前記短絡手段は無効とされ、昇圧された後の出力電流は出力抑制部によって第1所定値以下に抑制され、
前記昇圧部による出力が前記モーターバルブ駆動用コンデンサに蓄えられ、
前記モーターバルブ駆動用コンデンサに蓄電された電力が断続的に前記モーターバルブに供給されるようになっており、
一方、前記商用電源の停電時において、前記電池検知部によって電池が有ると判断される時には、
前記電池の電圧が前記昇圧部によって昇圧され、この時、前記短絡手段は有効とされ、昇圧された後の出力電流は前記出力抑制部によって抑制されず、
前記昇圧部による出力が連続的に前記モーターバルブに供給されるようになっている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子水栓装置。
【請求項5】
当該電子水栓装置は、複数のモーターバルブを備えており、
前記制御部は、前記商用電源の非停電時においては、前記複数のモーターバルブに同時に電力を供給するようになっており、
前記制御部は、前記商用電源の停電時において、前記電池検知部によって前記電池が有ると判断される時には、前記複数のモーターバルブのいずれかに選択的に電力を供給するようになっている
ことを特徴とする請求項4に記載の電子水栓装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記商用電源の非停電時においては、前記モーターバルブの開度を連続的に制御するようになっており、
前記制御部は、前記商用電源の停電時において、前記電池検知部によって前記電池が有ると判断される時には、前記モーターバルブの開度を段階的に制御するようになっていることを特徴とする請求項4に記載の電子水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーターバルブを制御することによって吐止水を制御する電子水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、モーターバルブを制御することによって吐止水を制御する電子水栓装置が開発されている。モーターバルブとは、モーターによって流路の開度を細かく調整できるバルブであり、例えば水栓装置の温度や流量のアナログ的な調整に利用されている。
【0003】
モーターバルブを制御することによって吐止水を制御する電子水栓装置は、開閉のみを2値的(一定量の吐水をするか、完全に止水するか、の2値)に制御するタイプのバルブを使う電子水栓装置と異なり、温度や流量を細かく制御することが可能であり、単純なトイレの手洗いなどと違って、水栓の用途が多岐にわたるキッチンや洗面化粧台等において特に有効である。
【0004】
ここで、開閉のみを制御するタイプのバルブは、開状態と閉状態との間の変化に要する電力しか消費しないため、比較的低消費電力である。従って、商用電源の停電時のためのバックアップ電源の構築が、比較的容易である。
【0005】
これに対して、モーターを制御するタイプのバルブ(モーターバルブ)は、当該モーターを駆動して回転させることで弁を開閉するため、開閉のみを制御するタイプのバルブと比較して、通電時間が長く消費電力も大きい。従って、商用電源の停電時のためのバックアップ電源の構築について、より大きな電気エネルギーをバックアップしておく必要があり、工夫を要する。バックアップ電源の構築が不十分であれば、停電時に動作できなくなるという問題も発生し得る。具体的には、「使用中(吐水中)に停電が発生して、水が出っぱなしになる」ことや、「停電によって水が出なくなる」ことが生じ得る。
【0006】
このような背景において、予め予備電池を設けて置く構成が、特許文献1に開示されている。また、電気二重層コンデンサを利用する構成が、特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平 2-122282号公報
【文献】特開平11-101359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
バックアップ電源として予備電池(一次電池または二次電池)を設けておく構成は、機能的には十分であるが、高コストになるという問題がある。また、水栓装置は10年程度の動作保証が所望されるところ、予備電池は数年程度で劣化してしまうという問題もある。
【0009】
電気二重層コンデンサを利用する構成は、予備電池に比較して安価であるし、劣化も生じにくいという利点がある。しかしながら、電気二重層コンデンサは、一般的に出力抵抗が大きい(数Ω~数十Ω)ため、直接的にモーターバルブを駆動しようとして大電流を出力させようとすると、電力の利用率が非常に悪くなってしまう。
【0010】
具体的には、モーターバルブの動作条件が駆動電圧が12V、負荷電流が100mAであって、電気二重層コンデンサの充電電圧が3Vであったとすると、電気二重層コンデンサの電圧を4倍の12Vまで昇圧することが必要であるから、昇圧回路の昇圧効率を80%とすれば、電気二重層コンデンサから、100mA×12V÷3V÷80%=500mAの出力電流が必要となる。
【0011】
ここで、電気二重層コンデンサの出力抵抗(内部等価抵抗)を5Ωとすれば、この5Ωの出力抵抗で消費する電力は5Ω×500mA×500mA=1.25Wとなり、モータが消費する電力(12V×100mA=1.2W)と同程度の電力損失が発生することを意味する。すなわち、電気二重層コンデンサが持っているエネルギーの半分程度しかモーターに供給することができないため、逆に言えば、停電時のモーターの駆動に必要なエネルギーの2倍程度を蓄電しておく必要がある。
【0012】
本発明は、以上のような知見に基づいてなされたものである。本発明の目的は、停電時に不具合が生じることがなく、且つ、電力効率に優れた電子水栓装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、モーターバルブを制御することによって吐止水を制御する電子水栓装置であって、電源として商用電源を利用して前記モーターバルブを制御する制御部と、前記商用電源の停電を検知する停電検知部と、前記商用電源の停電時に前記モーターバルブに給電される電力を予め蓄えておく電気二重層コンデンサと、前記電気二重層コンデンサの電圧を昇圧するための昇圧部と、前記昇圧部の出力を更に蓄電するためのモーターバルブ駆動用コンデンサと、を備え、前記制御部は、前記商用電源の停電時には、前記モーターバルブ駆動用コンデンサに蓄電された電力を断続的に前記モーターバルブに供給するようになっていることを特徴とする電子水栓装置である。
【0014】
本発明によれば、バックアップ電源システムとして電気二重層コンデンサを用いることにより、安価であって、劣化も生じにくいという利点を享受することができる。そして、商用電源の停電時には、電気二重層コンデンサの電圧を昇圧してモーターバルブ駆動用コンデンサに更に蓄え、当該モーターバルブ駆動用コンデンサに蓄電された電力を断続的にモーターバルブに供給することで、電気二重層コンデンサの内部で生じる電力損失の程度を抑制することができる。
【0015】
前記昇圧部は、昇圧した後の出力電流を第1所定値以下に抑制するための出力抑制部を有していることが好ましい。
【0016】
この場合、出力電流が抑制されることによって、電力損失の程度を効果的に抑制することができる。
【0017】
また、前記出力抑制部は、前記昇圧部によって昇圧された後の前記出力電流が第1所定値以下となるよう、前記昇圧部の出力側に設けられた抵抗を有していることが好ましい。
【0018】
この場合、出力電流が安価な抵抗によって効果的に抑制されるため、電力損失の程度を安価に効果的に抑制することができる。
【0019】
また、前記昇圧部は、昇圧した後の出力電流を第1所定値以下に抑制するための出力抑制部を有しており、前記電子水栓装置は、前記商用電源の停電時に動作する電池と、前記電池の有無を判断する電池検知部と、前記出力抑制部と並列に接続され、前記出力抑制部を短絡する機能の有効/無効が選択可能な短絡手段と、を更に備え、前記商用電源の停電時において、前記電池検知部によって前記電池が無いと判断される時には、前記電気二重層コンデンサの電圧が前記昇圧部によって昇圧され、この時、前記短絡手段は無効とされ、昇圧された後の出力電流は出力抑制部によって第1所定値以下に抑制され、前記昇圧部による出力が前記モーターバルブ駆動用コンデンサに蓄えられ、前記モーターバルブ駆動用コンデンサに蓄電された電力が断続的に前記モーターバルブに供給されるようになっており、一方、前記商用電源の停電時において、前記電池検知部によって電池が有ると判断される時には、前記電池の電圧が前記昇圧部によって昇圧され、この時、前記短絡手段は有効とされ、昇圧された後の出力電流は前記出力抑制部によって抑制されず、前記昇圧部による出力が連続的に前記モーターバルブに供給されるようになっていることが好ましい。
【0020】
このように電池が併用される場合には、電池の能力に応じた制御が採用されることが好ましい。
【0021】
具体的には、前記商用電源の停電時において、前記電池検知部によって前記電池が無いと判断される時には、前記電気二重層コンデンサの電圧が前記昇圧部によって昇圧され、この時、昇圧された後の出力電流は出力抑制部によって第1所定値以下に抑制され、前記昇圧部による出力が前記モーターバルブ駆動用コンデンサに蓄えられ、前記モーターバルブ駆動用コンデンサに蓄電された電力が断続的に前記モーターバルブに供給されるようになっており、一方、前記商用電源の停電時において、前記電池検知部によって電池が有ると判断される時には、前記電池の電圧が前記昇圧部によって昇圧され、この時、昇圧された後の出力電流は出力抑制部によって抑制されることなく、前記昇圧部による出力が連続的に前記モーターバルブに供給されるようになっていることが好ましい。
【0022】
電池が有る場合には、電池の高い出力能力を利用して、連続的にモーターバルブに電圧を供給し、早期に止水することができる。一方、電池が無い場合には、電気二重層コンデンサが利用されるが、その出力能力が低く、連続的にモーターバルブへの電圧供給を行うと、電気二重層コンデンサ内部で多くのエネルギーを消費し、止水のために必要なエネルギーを失ってしまう。この場合には、電気二重層コンデンサからモーターバルブ駆動までのシステムとしての電力効率を優先させ、断続的なモーターバルブへの電圧供給によって、閉止までの時間は長くなるが、止水は確実に実施することができる。
【0023】
また、当該電子水栓装置は、複数のモーターバルブを備えており、前記制御部は、前記商用電源の非停電時においては、前記複数のモーターバルブに同時に電力を供給するようになっており、前記制御部は、前記商用電源の停電時において、前記電池検知部によって前記電池が有ると判断される時には、前記複数のモーターバルブのいずれかに選択的に電力を供給するようになっていることが好ましい。
【0024】
すなわち、複数のモーターバルブのいずれかを選択して1個づつ電力を供給する(駆動する)ことで、昇圧回路の出力電流は、最大でもモーターバルブ1個分の電流に制限される。よって、昇圧回路の出力能力を低く設計でき、小型化を図ることができる。また、新品ではない消耗した電池が使用されても、安定的にモーターバルブを駆動できる可能性が高くなる。更に、複数のモーターバルブを同時に駆動して短時間で開閉させるより、1個ずつ駆動した方が、水栓装置として開閉に要する時間は、駆動するモーターバルブの数の分だけ長くなるが、結果的により確実な開閉動作を実現できる。
【0025】
また、前記制御部は、前記商用電源の非停電時においては、前記モーターバルブの開度を連続的に制御するようになっており、前記制御部は、前記商用電源の停電時において、前記電池検知部によって前記電池が有ると判断される時には、前記モーターバルブの開度を段階的に制御するようになっていることが好ましい。
【0026】
これによれば、電池による駆動の場合、細かくモーターバルブを動かす頻度が減るため、結果として消費電力が減って、電池が長持ちする。また、使用者は、モーターバルブの動きから、流量や温度の変化が段階的である場合に、停電時対応の動作状態であることに気づくことができる。これにより、例えば使用者の過失によってコンセントが抜けているような状況に気づくことができ、不要な電池の消費を回避して、停電時における電池切れの発生を効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、バックアップ電源システムとして電気二重層コンデンサを用いることにより、安価であって、劣化も生じにくいという利点を享受することができる。そして、商用電源の停電時には、電気二重層コンデンサの電圧を昇圧してモーターバルブ駆動用コンデンサに更に蓄え、当該モーターバルブ駆動用コンデンサに蓄電された電力を断続的にモーターバルブに供給することで、電力損失の程度を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態による電子水栓装置の構成概略図である。
図2図1の電子水栓装置の概略ブロック図である。
図3図1の電子水栓装置の概略回路図である。
図4】バルブ開度についての非停電時テーブルの一例である。
図5】バルブ開度についての停電時テーブルの一例である。
図6図1の電子水栓装置のコンデンサ給電の場合のタイミングチャート例である。
図7図1の電子水栓装置の乾電池給電の場合のタイミングチャート例である。
図8図1の電子水栓装置のフローチャート例である。
図9図1の電子水栓装置のフローチャート例である。
図10図1の電子水栓装置のフローチャート例である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、添付図面を参照して、本発明の一実施形態による電子水栓装置について説明する。
【0030】
(基本構成)
図1は、本発明の一実施形態による電子水栓装置の構成概略図であり、図2は、図1の電子水栓装置の概略ブロック図である。図1及び図2に示すように、本実施形態の電子水栓装置1は、湯水混合の水栓装置であり、湯用導管8からの湯の供給量が、湯用モーターバルブ12によって調整されるようになっており、水用導管10からの水の供給量が、水用モーターバルブ14によって調整されるようになっている。そして、湯用導管8から供給された湯と水用導管10から供給された水は、混合されて吐水口24から吐水される。
【0031】
湯用モーターバルブ12も、水用モーターバルブ14も、制御部20によって制御されるようになっている。制御部20には、湯・水の各供給量を使用者が手動で調整できる操作レバー22が接続されている。操作レバー22は、操作量の検出手段として、回転センサ、傾きセンサ、または地軸に対する重力加速度を検出する加速度センサ等を利用し、レバーの操作角度を電気信号に変換して、制御部20に操作情報として出力するものである。例えば、図1の電子水栓水栓装置1について、図面に平行に、図面上の左右方向に操作レバー22を傾けると湯と水の混合比が変化し、図面に垂直に、図面上の前後方向に操作レバー22を傾けると混合された水量が変化するような、一般的なメカ式のシングルレバー水栓と同様の操作を、操作レバー22の情報出力と制御部20の制御の組み合わせにより実現できる。
【0032】
続いて、図3は、本実施形態の電子水栓装置1の電気制御を行う回路部を示す概略回路図である。図3に示すように、100Vの商用電源(交流)が電源回路101によって直流に変換されて12Vの直流電圧が生成され、当該直流電圧が電源として制御部20に供給されるようになっている。また、制御部20の電源には、モーターバルブ駆動用コンデンサ105が接続されている。このモーターバルブ駆動用コンデンサ105は、12Vの電源の安定化のために作用し、モーターバルブ12、14へ通電された際の12Vの変動を抑える、いわゆる平滑コンデンサの役割を持っている。制御部20は、本実施形態では、いわゆるマイコンチップからなる。
【0033】
制御部20は、それぞれ専用のモータードライバ12d及び14dを介して、湯用モーターバルブ12及び水用モーターバルブ14に接続されている。また、モータードライバ12d及び14dには、12Vの直流電圧が供給されるようになっている。すなわち、制御部20から駆動の指令が出力され、モータードライバ12d及び14dが12Vの直流電圧を使って湯用モーターバルブ12及び水用モーターバルブ14に通電エネルギーを供給する。なお、ここでモーターバルブのモーターはステッピングモーター(略称:STPM)を想定しているが、モーターは他の種類、例えば、ブラシモーターでもよい。
【0034】
また、制御部20の入力ポートP03は、商用電源の停電を検知する停電検知部として機能するようになっている。入力ポートP03には、停電発生時において、電源回路101から停電信号が供給されるようになっている。
【0035】
電源回路101の出力部には、12Vの直流電圧を5Vに降圧する降圧部102を介して、電気二重層コンデンサ103が設けられている。電気二重層コンデンサ103は、商用電源の停電時に各モーターバルブ12、14に給電される電力を予め蓄えておくためのコンデンサである。例えば、1F(ファラッド)程度のものが適当である。
【0036】
そして、電気二重層コンデンサ103には、当該電気二重層コンデンサ103の電圧を昇圧するための昇圧部104が接続されている。昇圧部104は、昇圧IC104aを含んだ従来より公知の昇圧形スイッチングレギュレータの構成からなっており、1~5V程度の電圧(電気二重層コンデンサ103の電圧は動作状態により変動する)を12Vまで昇圧するようになっている。
【0037】
昇圧IC104aは、制御部20の出力ポートP02からの指令信号に基づいて、スイッチング動作の作動のON/OFFが制御されるようになっている。また、昇圧IC104aには、昇圧後の電圧信号がフィードバックされるようになっている。
【0038】
停電発生時において、昇圧部104によって昇圧された12Vの電圧信号は、停電していなければ商用電源から電源回路101によって得られる筈であった12Vの直流電圧の代わりに、電源として制御部20やモータードライバ12d、14d等に供給される。但し、電力損失を抑制する(後に詳述する)ために、抵抗104b(例えば50~200Ω程度の抵抗器)が昇圧部104の出力抑制部として挿入される。なお、抵抗104bは、短絡手段104cが並列に接続される。短絡手段104cはトランジスタであり、制御部20の出力ポートP01によりON/OFFが制御され、すなわち抵抗104bの出力抑制作用の有効/無効が制御される。そして、昇圧された電圧により、モーターバルブ駆動用コンデンサ105(例えば2200~4700uF程度)が充電されて、その後、モータードライバ12d、14dを介して、断続的に各モーターバルブ12、14に供給されるようになっている。
【0039】
(停電時の基本的な作用)
停電発生時には、電気二重層コンデンサ103の5Vの電圧が、昇圧部104によって昇圧されて、電源として制御部20に供給される。但し、電気二重層コンデンサ103を電源として使用する場合は、制御部20はポートP01により短絡手段104cのトランジスタをOFFとして開放する。よって、抵抗104bの存在によって、昇圧部104の電流が小さく抑制され、それに比例して、電気二重層コンデンサ103の出力電流も抑制される。これにより、電気二重層コンデンサ103の内部抵抗による電力損失が低減し、電気二重層コンデンサ103をエネルギー源とする12Vの電源の生成回路の電力損失は抑制されるが、そのままモーターバルブ12、14を駆動することは難しい。例えば、モーターバルブ12、14の駆動に必要な電流を100mAとし、抵抗104bを100Ωとすると、モーターバルブ12、14を1個駆動するだけでも、100Ω×100mA=10Vの電圧が抵抗104bによって電圧降下し、駆動電圧不足となる。そこで、本実施形態では、昇圧された電圧を抵抗104bを介して小電流でモーターバルブ駆動用コンデンサ105を充電し、その後モーターバルブ駆動用コンデンサ105の放電によりモーターバルブ12、14を駆動する。この動作を繰り返すようになっている。
【0040】
このような動作により、停電時に開弁状態であった各モーターバルブ12、14を、電気二重層コンデンサ103に蓄えられていた電力を効率良く利用して閉弁状態に戻すことが可能である。これにより、停電時に吐水が継続してしまう状況の発生を回避できる。
【0041】
昇圧部104によるモーターバルブ駆動コンデンサ105の蓄電と、その後の放電(モータ-バルブ12、14への電力供給)のタイミングは、モーターバルブ12、14を比較的長い所定時間、駆動休止することで充電時間を確保し、モーターバルブ12、14を比較的短い時間、駆動することで放電時間を制限する。こうして、モーターバルブ駆動コンデンサ105の電圧をモーターバルブ12、14を駆動できる電圧に維持しながら断続的に駆動が行われる。
【0042】
以上のように、本実施形態によれば、バックアップ電源システムとして電気二重層コンデンサ103を利用するため、装置構成が安価であって、劣化も生じにくい。そして、商用電源の停電時には、電気二重層コンデンサ103の電圧を昇圧してモーターバルブ駆動用コンデンサ105に充電し、当該モーターバルブ駆動用コンデンサ105に蓄電された電力を断続的にモーターバルブ12、14に供給することで、内部抵抗の大きい電気二重層コンデンサ103であっても、電力損失の程度を抑制することができる。
【0043】
特に、昇圧部104が、昇圧した後の出力電流を所定値以下(例えば10mA程度)に抑制するための抵抗104b(出力抑制部)を有していることにより、電力損失の程度を効果的に抑制することができる。
(乾電池による給電に関する構成)
【0044】
図3に戻って、本実施形態では、電気二重層コンデンサ103と並列に、停電中動作用の乾電池201が設けられていてもよい。
【0045】
制御部20の入力ポートADは、乾電池201の有無を判断する乾電池検知部として機能するようになっている。入力ポートADには、乾電池201の電圧信号が供給され、この電圧をA/D変換することで、電池(一次電池または二次電池)の有無を判断できるようになっている。
【0046】
制御部20において、乾電池201が有る時には、乾電池201の電圧が昇圧部104によって昇圧されるようになっている。具体的には、電気二重層コンデンサ103の電圧は、停電していない状態では5Vに維持されるが、停電をして12Vの電源の生成に使用されると、徐々に電圧が低下する。乾電池201の電圧が3Vとすれば、それ以下に低下すると、乾電池から昇圧部104へ電力が供給されることになる。
【0047】
ここで、抵抗104bと並列に、当該抵抗104bを短絡させる短絡手段104cが設けられていて、当該短絡手段104cの作動のON/OFFが制御部20によって制御されるようになっている。これにより、乾電池201が有ると判断される時には、短絡手段104cが抵抗104bを短絡するため、理論上は0Ω(実質は短絡手段104cのトランジスタの能力により有限の抵抗成分を持つ)となって、出力抑制部として作用しなくなるようになっている。
【0048】
(乾電池による給電時の基本的な作用)
停電発生時には、乾電池201の5Vの電圧信号が、昇圧部104によって昇圧されて、電源として制御部20に供給される。この場合、短絡手段104cが有効(すなわち、短絡)になっており、抵抗104bによる電流抑制機能が無効となり、そのまま連続的にモーターバルブ12、14を駆動することが可能である。
【0049】
以上のように、乾電池201による給電が併用される場合には、乾電池の高い出力能力を利用して、連続的にモーターバルブ12、14に電圧を供給することができ、より早期に止水を実現することができる。一方、乾電池が無い場合、あるいは、乾電池の電力が消耗して電圧降下ししまっていた場合には、電気二重層コンデンサ103が利用される。この場合には、モーターバルブ12、14への電圧供給が断続的となることによって閉止までの時間は長くなるが、止水は確実に実施することができる。
【0050】
(乾電池以外の予備電池)
本明細書の説明において、乾電池201は、他の種類の二次電池ないし予備電池によって置換されてもよい。
【0051】
(モーターバルブの交互動作)
商用電源の非停電時においては、制御部20は、2つのモーターバルブ12、14に同時に電力を供給することが一般的である。しかし、商用電源の停電時においては、制御部20は、2つのモーターバルブ12、14に交互に電力を供給するようになっていることが好ましい。
【0052】
モーターバルブ12、14に1個づつ電力を供給する(駆動する)ことで、昇圧部104の小型化を図ることができる。また、消耗した乾電池201であっても、安定的にモーターバルブ12、14を駆動できる可能性が高くなる。更に、2つのモーターバルブ12、14を同時に駆動して急いで開閉させるより、1個ずつ駆動した方が、結果的により確実な開閉動作を実現できる。
【0053】
(モーターバルブの段階的駆動)
また、制御部20は、商用電源の非停電時においては、モーターバルブ12、14の開度を連続的に制御するようになっており、商用電源の停電時においては、モーターバルブ12、14の開度を段階的に制御するようになっていることが好ましい。
【0054】
すなわち、バルブ開度についての非停電時テーブルの一例を図4に示し、バルブ開度についての停電時テーブルの一例を図5に示すが、商用電源の停電時においては、図5の停電時テーブルを用いることが好ましい。
【0055】
これによれば、商用電源の停電時において細かくモーターバルブ12、14を動かす頻度が減るため、結果として消費電力が減って、乾電池201が長持ちする。また、使用者は、モーターバルブ12、14の動きから、流量や温度の変化が段階的である場合に、停電時対応の動作状態であることに気づくことができる。これにより、例えばコンセントが抜けているような状況に気づくことができ、停電時における電池切れの発生を効果的に防止することができる。
【0056】
図6のタイミングチャート:コンデンサ給電)
図6は、本実施形態の電子水栓装置1のコンデンサ給電の場合のタイミングチャート例である。この場合、制御部20の入力ポートADは、乾電池201の無しを判断し(乾電池無し)、制御部20は、短絡手段104cを作動させない(制限抵抗ON)。
【0057】
停電が発生しなければ、商用電源によって各モーターバルブ12、14が適宜に駆動される。つまり、電源回路101の出力により、制御部20やモーターバルブ駆動用コンデンサ105へ12Vの電圧が供給される。また、本実施形態では、操作レバー22の傾き(操作角度)を電気信号に変換する操作入力デバイス(例えば、操作レバー22に固定された加速度センサ)が備えられており、所定の周期で制御部20と通信を行うため、制御部20は、使用者による操作レバー22の操作状態を継続的に認識している。制御部20は、操作レバー22の状態に応じて湯および水の吐水量を算出し、モーターバルブ12、14を駆動する。また、停電が発生しなければ、制御部20は、昇圧部104を作動させない(昇圧OFF)ため、昇圧部104の出力電位は、電気二重層コンデンサ103の出力電位に等しい。
【0058】
停電が発生すると、制御部20の入力ポートP03が、停電検知部として商用電源の停電を検知する。そして、制御部20は、昇圧部104を作動させ(昇圧ON)、抵抗104bを介してモーターバルブ駆動用コンデンサ105や制御部20に電力を供給する。モーターバルブ駆動用コンデンサ105の充電が完了したら、モータ-バルブ12、14をそれぞれ閉止状態まで駆動する。その際、図6に示すように、モーターバルブ12、14を交互に、かつ充電時間(モーター駆動の休止時間)を挟みながらモーター駆動を継続する。なお、昇圧部104は作動を継続している。モーターバルブ12及び14を駆動していない時間がモーターバルブ駆動コンデンサ105の充電タイミングであり、いずれかを駆動している時間が放電タイミングである。この充電/放電のタイミングを適切に制御部20が制御することで、モーターバルブ駆動用コンデンサ105の電圧はモーターバルブ12、14を駆動可能な電圧範囲(定格12Vに対し、所定の余裕はある)に維持され、かつ、電気二重層コンデンサ103の出力電流も低い値に制限され、無駄な損失を発生させないようにできる。
【0059】
このような動作により、停電時に開弁状態であった各モーターバルブ12、14を、電気二重層コンデンサ103に蓄えられていた電力を利用して、時間はかかっても、確実に閉弁状態に戻すことができる。これにより、停電時に吐水が継続してしまう状況の発生を回避できる。
【0060】
なお、図6の例では、停電発生後、操作入力デバイス(操作レバー22に内蔵)との通信は停止されている。これは、電気二重層コンデンサ103に蓄電されたエネルギーで水栓を完全に止水状態にして停止させ、その後は吐水させないためである。
【0061】
図7のタイミングチャート:乾電池給電)
図7は、本実施形態の電子水栓装置1の乾電池給電の場合のタイミングチャート例である。この場合、制御部20の入力ポートADは、乾電池201の有りを判断し(乾電池有り)、制御部20は、停電が発生すると、短絡手段104cを作動させる(制限抵抗OFF)。
【0062】
停電が発生しなければ、商用電源によって各モーターバルブ12、14が適宜に駆動される。本実施形態では、停電していない状態の動作は、前述の図6と同じである。
【0063】
停電が発生すると、制御部20の入力ポートP03が、停電検知部として商用電源の停電を検知する。そして、制御部20は、昇圧部104を作動させ(昇圧ON)、乾電池の電力を昇圧させてモータ-バルブ12、14へと供給させる。
【0064】
図7の例では、停電発生後に、2つのモータ-バルブ12、14への給電が所定量ずつ交互に実施されて、一旦止水が実施されるようになっている。また、停電発生後は、節電のため、操作入力デバイスへの通信の周期が長くなっている。
【0065】
図8乃至図10のフローチャート)
図8乃至図10は、本実施形態の電子水栓装置1のフローチャート例である。図8乃至図10に示すように、制御部20の入力ポートP03と制御部20の入力ポートADによって、停電発生の有無と、乾電池の有無と、が検出される(STEP01、STEP02)。
【0066】
<非停電時(モード1)>
停電が発生していなければ(STEP03のNo)、まず、状態判別のための動作モードに「モード1」が設定される。次に、「自動閉止が未完」である状態フラグを設定する。これは、停電が発生した後の動作で必要な情報である。次に、ポートP02により昇圧部104の作動がOFFとする(STEP04)。次に、例えば100Hzの操作入力情報読込みタイミングに合わせて、操作入力情報(操作レバー22の操作状態)が読み込まれる(STEP05、STEP06)。
【0067】
読み込まれた操作入力情報は、水栓の使用者が水と湯をどれだけ吐水したいのか、つまりは水と湯のバルブをどれだけ(0~100%の範囲)開きたいのか、という情報である。そこで、非停電時テーブル(図4参照)に基づいて、操作入力情報(バルブの開度0~100%)をモーターバルブ12、14の駆動ステップ数(0~256ステップの範囲)に変換し、これが水と湯との目標バルブ位置として設定される(STEP08、STEP09)。
【0068】
なお、非停電時のテーブルは、操作入力情報に対して目標バルブ位置は連続的に対応している。図4は両者は比例関係となっているが、これは曲線でも良い。連続的に対応することで、操作レバー22の微妙な動きに対して、モーターバルブ12、14をきめ細かく作動させることができ、モーターバルブ12、14を駆動する消費電力は増加するが、電子水栓装置1の動作は、滑らかに、使用者の意図をきめ細かく反映したものとなる。
【0069】
図10では、図9で設定した目標バルブ位置まで、モーターバルブ12、14を駆動する。図10に示すように、水用モーターバルブ14の現在位置が、目標バルブ位置に合致していなければ、水用モーターバルブ14を1ステップ分駆動する(STEP11、STEP12)。
【0070】
同様に、湯用モーターバルブ12の現在位置が、目標バルブ位置に合致していなければ、湯用モーターバルブ12を1ステップ分駆動する(STEP13、STEP14)。STEP15では動作モードが「モード3」であるかが確認される。非停電時は「モード1」であるので、STEP16、STEP17の動作はスキップ(非実行)される。
【0071】
その後、STEP01に戻る。ここまでの動作は、いずれも商用電源の電力を利用して実施される。こうして、操作入力情報を100Hzで読み込みながら、操作レバー22の操作状態に応じた目標バルブ位置が設定され、この目標バルブ位置にモーターバルブ12、14が駆動される動作が繰り返されて継続し、電子水栓装置1として、湯、水の吐水が制御される動作が実現する。
【0072】
<乾電池給電時(モード2)>
停電が発生していて(STEP03のYes)、乾電池が有りであれば(STEP21のYes)、動作モードを「モード2」とし、昇圧部104及び短絡手段104cの作動がONにされ(STEP24)、例えば10Hzの操作入力情報読込みタイミングに合わせて、操作入力情報が読み込まれる(STEP25、STEP26)。非停電時の操作入力情報読込みタイミング(STEP05)が100Hzであったが、これに比較して遅くなっている(10Hz)となっているのは、電池で動作しているため、水栓の応答性よりも、電池による動作期間を長くすることを優先し、省電力動作とするためである。
【0073】
そして、停電が発生してから一旦止水が実施されたか(自動閉止が完了したか)否かが判断される(STEP27)。
【0074】
一旦止水(自動閉止)が実施された後であれば(STEP27のYes)、読み込まれた操作入力情報と停電時テーブル(図5参照)とに基づいて、水と湯との目標バルブ位置が設定される(STEP28、STEP29)。
【0075】
ここで、停電時のテーブルは、操作入力情報と目標バルブ位置の関係が段階的(階段状)となっている。この関係により、操作レバー22をある程度大きく動かしたときだけ、モーターバルブ12、14の駆動が行われる。操作レバー22の僅かな操作には対応できないが、使用者が明らかに吐水量を変更したい場合、すなわち操作レバー22が大きく動かされた場合にはモーターバルブ12、14は反応する。これにより、モーターバルブ12、14の通電機会は減少し、消費電力は低減し、乾電池による動作期間は長くなる。
【0076】
そして、図10に示すように、非停電時と同様に、必要に応じて、水用モーターバルブ14と湯用モーターバルブ12とが交互に1ステップ分ずつ駆動される(STEP11~STEP14)。
【0077】
一方、停電発生後に未だ止水(自動閉止)確認が一度も実施されていなければ(STEP27のNo)、自動的な止水動作ないし止水確認動作が実施される。
【0078】
すなわち、停電発生時に止水状態であれば(STEP41のYes)、止水(自動閉止)確認が記憶され(STEP43)、次のSTEP27の判断がYesとなる。
【0079】
停電発生時に湯水共に止水状態(湯および水のバルブ位置が0ステップの状態)でなければ(STEP41のNo)、目標バルブ位置との異同が判断される(STEP46)。湯、水の現在のバルブ位置と、目標バルブ位置が一致していなければ(STEP46のNo)、バルブを目標のバルブ位置まで駆動するため、図10のSTEP11に進む。
【0080】
STEP46がYesの場合、湯用モーターバルブ12と水用モーターバルブ14の開度の大小が比較され、湯用モーターバルブ12の開度の方が大きい場合、湯用モーターバルブ12の目標バルブ位置を現在バルブ位置から16ステップ分だけ減少させる(STEP47、STEP48)。水用モーターバルブ14の開度の方が大きい場合、水用モーターバルブ14の目標バルブ位置を現在バルブ位置から16ステップ分だけ減少させる(STEP47、STEP49)。
【0081】
そして、図10に示すように、水用モーターバルブ14の現在位置が目標バルブ位置に合致していない間は、水用モーターバルブ14のみを1ステップずつ駆動する(STEP11、STEP12)。
【0082】
あるいは、湯用モーターバルブ12の現在位置が目標バルブ位置に合致していない間は、湯用モーターバルブ12のみを1ステップずつ駆動する(STEP13、STEP14)。
【0083】
これにより、水用モーターバルブ14と湯用モーターバルブ12のうち開度が大きかった方に、先に閉止動作のための給電がなされ、両者の開度が同程度になってからは、交互に16ステップ分ずつ閉止駆動されることになる。
【0084】
なお、動作モードは「モード2」なので、STEP16、STEP17の動作はスキップされる。
【0085】
この動作を繰り返し、湯、水ともにモーターバルブ12、14が止水位置(共に0ステップ以下)になると、STEP41でYesとなって「自動閉止を完了」したことを記憶する(STEP43)。すなわち、乾電池201が存在していても、停電をすると、一旦は水栓を止水状態にする。
【0086】
その後は、STEP27によってYesと判断され、前述の動作が実行される。
【0087】
<コンデンサ給電時(モード3)>
停電が発生していて(STEP03のYes)、乾電池が無しであれば(STEP21のNo)、動作モードを「モード3」とし、昇圧部104の作動がONにされ、且つ、短絡手段104cの作動はOFFにされ(STEP34)、操作入力情報が(強制的に)止水位置とされる(STEP36)。
【0088】
そして、モード2におけるSTEP41に合流する。なお、コンデンサ給電のモード3では操作入力情報を読み込む動作はなく、すなわち操作レバー22に応じてモーターバルブ12、14を通電することはない。
【0089】
これにより、モード2と同様、水用モーターバルブ14と湯用モーターバルブ12のうち開度が大きかった方に、先に閉止動作のための給電がなされ、両者の開度が同程度になってからは、交互に16ステップ分ずつ閉止駆動されることになる。
【0090】
なお、モード3では、16ステップ毎に刻まれる目標バルブ位置に現在バルブ位置が到達する度毎に、タイマーを作動させるようになっている(STEP15~STEP17)。
STEP17で待ち時間のタイマー(ここでは1秒)を設けることにより、モーターバルブ12または14への通電が休止される。すなわち、モーターバルブでの電力消費が休止される。この間に昇圧部104の出力が抵抗104bに電流制限されつつも、モーターバルブ駆動用コンデンサ105を充電する。そして、モーターバルブ12または14が再び16ステップを駆動され、その間に、モーターバルブ駆動用コンデンサ105は放電する。こうして、「湯または水のモーターバルブが16ステップ分閉じる動作(駆動期間)」と「1秒の休止時間(充電期間)」を繰り返し、昇圧部104の出力電流を抑えながら、つまりは電気二重層コンデンサの内部抵抗の電力損失を抑えながら、止水動作が実行される。
【符号の説明】
【0091】
1 電子水栓装置
8 湯用導管
10 水用導管
12 湯用モーターバルブ
12d 専用モータードライバ
14 水用モーターバルブ
14d 専用モータードライバ
20 制御部(マイコン)
22 操作レバー
24 吐水口
101 電源回路
102 降圧部
103 電気二重層コンデンサ
104 昇圧部
104a 昇圧IC
104b 抵抗(出力抑制部)
104c 短絡手段
105 モーターバルブ駆動用コンデンサ
201 乾電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10