(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】アンカーボルト用横孔開削機
(51)【国際特許分類】
E04B 1/41 20060101AFI20220114BHJP
F16B 13/06 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
E04B1/41 503E
E04B1/41 503D
F16B13/06 A
(21)【出願番号】P 2019073420
(22)【出願日】2019-04-08
【審査請求日】2021-10-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】710007397
【氏名又は名称】株式会社オージーエイ
(72)【発明者】
【氏名】大賀偉生
(72)【発明者】
【氏名】森島裕貴
(72)【発明者】
【氏名】柳田裕次
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-172168(JP,A)
【文献】特開2001-090717(JP,A)
【文献】特開2016-223116(JP,A)
【文献】特開2005-090558(JP,A)
【文献】特開2020-033698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/41
E04G 21/12
F16B 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横孔開削機は、開補助基台ガイドを備えた開削錐開補助基台と横孔用開削機用開削錐で構成され、前記横孔用開削機用開削錐は、横孔開削部開閉錐と横孔開削錐本体と開補助基台ガイド受け孔で構成され、アンカーボルト挿入用縦孔を開削後、前記アンカーボルト挿入用縦孔の底部に前記開削錐開補助基台を設置し、前記横孔用開削機用開削錐を降ろして行き、前記開補助基台ガイドを前記開補助基台ガイド受け孔にうけ、前記横孔用開削機用開削錐を更に降ろして行き、開削錐開補助基台に当たったら、前記横孔用開削機用開削錐を回転させながら、更に降ろして行き、前記横孔開削部開閉錐は、前記開削錐開補助基台により広げられ、側壁を開削し始め、さらに降下を進め、前記底部まで降ろして行き、開削を完了する事を特徴とするアンカーボルト用横孔開削機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
あと施工アンカーの分野は、施工技術の優劣で、アンカーボルトの強度や耐久性に大きく影響が出てきます。
【背景技術】
【0002】
平成24年12月の笹子トンネル天井板落下事故は、記憶に新しいところです。
あの事故で、ケミカルアンカー神話が崩れました。
【0003】
あと施工アンカーの施工方法は、大きく2種類に分けられます。
打ち込み方式とケミカルアンカー方式の2種類です。
【0004】
打ち込み方式は、キリで下孔を開け、下孔にアンカーボルトを挿入し、ピン若しくは、玉を打ち込み、アンカー先端部付近を拡張して、下孔の壁にくい込ませて固定します。
【0005】
ケミカルアンカー方式は、キリで下孔を開け、下孔に薬液を注入し、アンカーボルトを挿入し、化学反応で硬化させ、アンカー強度を増します。
笹子トンネルは、この方式のアンカーでした。
【0006】
特願2003-340526号は、あと施工アンカー工法に付いてのべられています。
【0007】
特願2016-216710号は、拡張アンカーについてのべられています。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特願2003-340526号
【文献】特願2016-216710号
【文献】特許第5419192号 私の所有特許です。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
打ち込み式のよいところは、下孔を開け、打ち込んですぐに作業が、済み、すぐに、器具固定などが出来ることです。欠点は、ハンマーなどで強く打ち込むので、周囲を破壊し、強度を弱める可能性があります。
【0010】
ケミカルアンカーは、下孔を開け、薬剤を下孔に注入し、アンカーボルトを挿入し、一定時間待てば、硬化します。ケミカルアンカーのよいところは、ハンマーなどで強く打ち込まないので、周囲を破壊する可能性がありません。
欠点は、硬化時間がかかることと、その間に少しでも動くと、不良施工になり
強度の保証ができなくなる事です。
【0011】
打ち込み式の良い点と、ケミカル式の良い点を併せ持ち、更に接着強度を高めたアンカーボルトを開発することが課題です。
【課題を解決するための手段】
【0012】
現在の打ち込み式とケミカル式で共通な点は、縦孔を削り、その縦孔の側壁と
アンカー本体やケミカル本体との接触圧のみで、アンカー強度を出しています。
本発明は、アンカーボルト挿入用縦孔を開削後、前記アンカーボルト挿入用縦孔の底部に開削錐開補助基台を設置し、横孔用開削機用開削錐を降ろして行き、前記アンカーボルト挿入用縦孔にアンカーボルト用横孔を開削します。
【0013】
前記アンカーボルト用横孔を開削後、前記アンカーボルト挿入用縦孔にコーン付きアンカーボルトを挿入し、前記コーン付きアンカーボルトは、前記コーン側を前記アンカーボルト挿入用縦孔底部に挿入し、コーン付きアンカーボルトネジ部側端部にオープングリップを挿入し、前記オープングリップネジ端部に締め付けナットで締め付けし、硬化剤を投入します。
【発明の効果】
【0014】
従来の打ち込み式アンカーやケミカルアンカーでは、出来なかった強度が、実現でき、経年変化してもオープンクリップの効果で、強度が落ない。
【0015】
あと施工アンカーの安全性が格段に良くなる。
【0016】
ケミカルアンカーのように硬化時間を待たずに、打込ピンを打ち込み、前記拡張式アンカーを拡張させたらすぐに使用できます。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図5】オープングリップ式ケミカルアンカー施工イメージ図
【符号の説明】
【0018】
1 キリ回転中
2 開孔部断面図
3 打ち込み式アンカーボルト
4 ケミカル式アンカーボルト
5 横孔用開削機用開削錐
6 開削錐開補助基台
7 横孔用開削機(横孔用開削機用開削錐・開削錐開補助基台
8 横孔開削機用開削錐補助機
9 横孔イメージ図
10 オープングリップ式ケミカルアンカー
11 コーン付きアンカーボルト
12 締め付けナット
13 オープングリップ
20 横孔開削部開閉錐
21 横孔開削錐本体
22 開補助基台ガイド受け孔
23 開補助基台ガイド
24 開削錐開補助基台
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、従来の打ち込み式アンカーボルト施工のイメージ図です。
先ず、回転中キリ1で、縦孔2を開けます。開孔部断面図のように縦孔2が、あきます。アンカーボルト3を縦孔に挿入します。打ち込みピンを打ち込みます。
ピンが入って行く事で、アンカーが拡張し、側壁に強力にコンタクトします。
打ち込み式アンカーの場合、アンカーボルト3が、拡張し、側壁にコンタクトすることで強力な接触力になります。この場合、施工完了すると、直ぐに使える状態です。
【0020】
同じく、
図1の4は、従来のケミカル式アンカーボルト施工イメージ図です。
先ず、回転中キリ1で、縦孔2を開けます。開孔部断面図のように縦孔が、あきます。縦孔2にケミカルカプセル4を挿入し、カプセルの保護カバーを破砕し、硬化剤を放出し、アンカーボルト4を硬化材の中に挿入し硬化材の硬化を待ちます。薬剤によって1~時間待ちとなります。この待ち時間が、ケミカルアンカーの欠点と言えます。
【0021】
図2は、横孔開削機イメージ図です。
アンカーボルト挿入用縦孔を開削後、前記アンカーボルト挿入用縦孔の底部2に開削錐開補助基台6を設置し、開削錐開補助基台6は、開補助基台ガイド
23と開削錐開補助基台24で、構成されます。
横孔用開削機用開削錐5を降ろして行き、前記アンカーボルト挿入用縦孔にアンカーボルト用横孔を開削します。横孔用開削機用開削錐5は、横孔開削部開閉錐20と横孔開削錐本体21と開補助基台ガイド受け孔22で構成されます。
【0022】
図3は、アンカーボルト挿入用縦孔を開削後、前記アンカーボルト挿入用縦孔の底部2に開削錐開補助基台6を設置し、横孔用開削機用開削錐5を降ろして行き、開補助基台ガイド23を開補助基台ガイド受け孔22にうけ、横孔用開削機用開削錐5を更に降ろして行き、開削錐開補助基台24に当たったら、横孔用開削機用開削錐5を回転させながら、更に降ろして行きます。
横孔開削部開閉錐20は、開削錐開補助基台24により広げられ、側壁を開削し始めます。さらに降下を進め、つき当りまで、降ろして行き、開削を完了させます。
【0023】
図4は、開削を完了し、横孔用開削機用開削錐5を撤去します。横孔開削部開閉錐20は、開削錐開補助基台24により広げられていますので、横孔開削機用開削錐補助機8をアンカーボルト挿入用縦孔2に押し込みながら、開いている横孔開削部開閉錐20を閉じながら、横孔用開削機用開削錐5を引き上げます。横孔用開削機用開削錐5を引き抜きおわったら、開削錐開補助基台6を撤去して、撤去完了です。
【0024】
アンカーボルト用横孔9を開削後、前記アンカーボルト挿入用縦孔にコーン付きアンカーボルト11を挿入し、前記コーン付きアンカーボルト11は、前記コーン側を前記アンカーボルト挿入用縦孔2底部に挿入し、コーン付きアンカーボルト11ネジ部側端部にオープングリップ13を挿入し、前記オープングリップ11ネジ端部に締め付けナット12で締め付けし、硬化剤を投入します。硬化剤が、硬化し完了です。