(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】ロープアンカー及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
E02D 5/80 20060101AFI20220128BHJP
E01F 7/04 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
E02D5/80 Z
E01F7/04
(21)【出願番号】P 2017189268
(22)【出願日】2017-09-29
【審査請求日】2020-09-23
(73)【特許権者】
【識別番号】593102677
【氏名又は名称】金森藤平商事株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501047173
【氏名又は名称】株式会社ライテク
(73)【特許権者】
【識別番号】508112852
【氏名又は名称】株式会社トーエス
(73)【特許権者】
【識別番号】512077273
【氏名又は名称】株式会社T.クリエーションセンター
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】仲筋 康一
(72)【発明者】
【氏名】細川 豊
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】実公昭50-012606(JP,Y1)
【文献】実開平06-076437(JP,U)
【文献】特開平11-131999(JP,A)
【文献】特開2001-107695(JP,A)
【文献】特開2003-314199(JP,A)
【文献】特表2012-500346(JP,A)
【文献】特開2013-002222(JP,A)
【文献】特開昭60-047164(JP,A)
【文献】実開平04-033693(JP,U)
【文献】特開昭61-040910(JP,A)
【文献】特開昭54-088342(JP,A)
【文献】国際公開第2014/188469(WO,A1)
【文献】特開平09-031877(JP,A)
【文献】特開2011-089374(JP,A)
【文献】特開2014-105460(JP,A)
【文献】特開2008-007969(JP,A)
【文献】特表昭62-500734(JP,A)
【文献】特開2000-344457(JP,A)
【文献】特開2008-045683(JP,A)
【文献】米国特許第3600765(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/22-5/80
E01F 1/00
E01F 13/00-15/14
E01F 3/00-8/02
E01F 9/00-11/00
D07B 1/00-9/00
E21D 20/00-21/02
E21D 1/00-9/14
E21D 11/00-19/06
E21D 23/00-23/26
F16B 45/00-47/00
F16G 11/00-11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
山腹又は法面に設置される構造物の補強又は固定に用いられるロープアンカーであって、
ロープと前記ロープの後端部に挿通するカラム部材と、前記ロープの後端部を前記カラム部材に挿通した状態で前記ロープの後端部に打ち込むための楔部材を有し、
前記ロープの先端部を前記山腹又は法面に形成した削孔に挿入し、ロープの長さを必要な長さに切断した前記ロープの後端部に前記カラム部材を挿通するものであり、
前記楔部材を前記ロープの後端部に打ち込むと、前記ロープの撚り線が広がり前記カラム部材の内周面に押し付けられるもので
あり、
前記カラム部材を前記ロープの引張り方向に保持するためのフック部材を有し、
前記フック部材はベース部と他の連結具を取り付けるためのフックを有し、
前記ベース部は前記カラム部材に連結固定されたロープの根元側を当該ベース部の側部から挿入するための溝部を有していることを特徴とするロープアンカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、山腹,法面等に落石,雪崩防止等を目的に、設置される柵やロープカーテン等の構造物(対策物)の補強、固定等に用いられるロープアンカーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から用いられるロープアンカーは、ワイヤーロープの端部をループ状に加工したものが使用されている。
この種のロープアンカーにあっては、法面等に複数の削孔を形成し、ロープアンカーを先端側から挿入すると削孔の深さや位置にバラツキがあり、地表からループ部までの長さがバラバラであったり、必要以上に長くなったり、短くなったりしてしまう場合が多い。
【0003】
特許文献1には、ワイヤーロープに留め金具を着脱可能に装着し、この留め金具にアイナットを連結するワイヤーアンカーを開示する。
しかし、この場合に留め金具の連結強度に問題が生じやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ロープ部の長さの調整が容易で、連結強度に優れたロープアンカーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るロープアンカーは、ロープと、前記ロープの後端部を挿通するカラム部材と、前記ロープの後端部をカラム部材に挿通した状態で前記ロープの後端部に打ち込むための楔部材を有することを特徴とする。
ここで、カラム部材は円筒状であり、内側に挿通したロープの端部の中央部付近に楔部材を打ち込むと、ロープを構成する撚り線が広がり、カラム部材の内周面に押し付けられることで、このカラム部材がロープの端部に強固に連結固定される。
これにより、ロープを削孔に挿入し、地表からの長さが所定の長さになるように切断し、この切断した端部にカラム部材を固定できる。
【0007】
本発明において、カラム部材を前記ロープの引張り方向に保持するためのフック部材を有するのが好ましく、さらにフック部材は前記カラム部材の抜け止め部材を有するのが好ましい。
これにより、フック部材を用いて連結金具等を介して、他の構造物等と連結しやすくなる。
本発明において、ロープの構造に制限がなく、ロープアンカーはシングルロープのみならず、ダブルロープ等の複数のロープアンカーをフック部材に連結してもよい。
【0008】
本発明に係るロープアンカーの施工方法は、地盤に削孔を形成し、前記ロープアンカーのロープを先端側から前記削孔に挿入するステップと、前記削孔に挿入したロープの後端側を所定の長さに切断するステップと、前記切断したロープの後端部に前記カラム部材を挿通し、前記楔部材で前記ロープの後端部をカラム部材に固定するステップを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るロープアンカーは、長さの調整が容易であり、連結強度にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】ロープの端部にカラム部材を連結固定する例を示し、(a)は楔部材を打つ前、(b)は楔部材を打ち込み固定した状態を示す。
【
図4】(a)~(d)はフック部材及び連結具の取り付け例を示す。
【
図6】(a)~(c)はフック部材及び連結具の取り付け例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るロープアンカー10の例を施工手順に沿って、以下図に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0012】
地盤に所定の深さの削孔1を掘る。
図1は、説明上1つの孔のみを表示しているが、通常は補強する構造物に合せて複数の孔を削孔する。
ロープ11の先端部を先端クランプ13で固定し、途中にはスペーサー12を適宜、取り付けてある。
ロープの先端クランプ13を先にして、削孔1に挿入する。
地表側には、余長のロープ11が突出している。
地中への固定には、モルタル等のグラウト材2を削孔1に注入するが、その作業は必要に応じて後述するカラム部材及びフック部材の連結前であっても、連結後であってもよい。
【0013】
ロープ11の地表に突出している後端部側を切断し、
図2(a)に示すように円筒状のカラム部材14を挿通する。
カラム部材14は、内径がロープ11の外径よりもやや大きいものがよく、後端側の内径14aの方が、先端側の内径14bよりもやや大きいものが好ましい。
図2に示したロープ11は、ストランド11a,11b,11cの3本からなるワイヤーロープの例になっているが、構造に制限はない。
ワイヤーロープの中心を少し広げ、楔部材15を打つ。
楔部材15は、ストランドの数に合せて、楔辺15aが3つに枝分かれした形状になっている。
これにより、カラム部材14がロープの後端部に連結固定される。
楔部材15の構造に制限はない。
【0014】
図3は、シングルロープからなるロープアンカーの例を示し、
図5はダブルロープ10A,10Aからなるロープアンカーの例を示す。
フック部材20,30は、ベース部21,31と他の連結具40を取り付けるための略U字形状フック22,32とからなる。
ベース部21,31とフック22,32とは、溶接等にて連結してあるが、連結方法に制限はない。
ベース部21,31には、側部から溝部21a,31aを形成し、外側からカラム部材14の根元側のロープ11を挿入し、このカラム部材14をベース部21,31に保持させる。
ベース部21,31は、溝部21a,31aの開口側に突起部23,33を突設し、カラム部材14が外側に滑らないようになっている。
次に、必要に応じて、略L字形状の抜け止め部材24,34をベース部の側部にボルト等の固定具24a,34aで固定してもよい。
【符号の説明】
【0015】
1 削孔
2 グラウト材
10 ロープアンカー
11 ロープ
12 スペーサー
13 先端クランプ
14 カラム部材
20 フック部材
21 ベース部
22 フック
30 フック部材