(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】建築用板材
(51)【国際特許分類】
E04F 19/02 20060101AFI20220114BHJP
A47H 1/104 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
E04F19/02 L
A47H1/104
E04F19/02 N
(21)【出願番号】P 2018035648
(22)【出願日】2018-02-28
【審査請求日】2021-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】392036821
【氏名又は名称】DICデコール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000223344
【氏名又は名称】株式会社トーマ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100185591
【氏名又は名称】中塚 岳
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】濱野 強
(72)【発明者】
【氏名】北村 吉偉
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-43916(JP,A)
【文献】国際公開第91/01422(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/02
A47H 1/104
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材の表裏面に一対の面材を貼り付けた構造をなして第一壁面と第二壁面とにより形成される出隅壁に取り付けられる横板部と、前記横板部の前記出隅壁とは反対側の端部に設けられる前板部と、を備える建築用板材であって、
第一方向に延び、前記横板部及び前記前板部の一部をなして前記第一壁面に取り付けられる第一板部と、
前記第一板部に連結されて前記第一方向と交差する第二方向に延び、前記横板部及び前記前板部の一部をなして前記第二壁面に取り付けられる第二板部と、
前記第一方向に延び、前記前板部の一部をなす第三板部と、を備え、
前記第一板部は、前記芯材が前記一対の面材及び前記前板部から突出してなる凸部を有し、
前記第二板部は、前記一対の面材の間に前記凸部が挿入される凹部を有し、
前記第三板部は、前記第一板部の前記前板部の端面と、前記第二板部の前記前板部の端面とに当接される、
建築用板材。
【請求項2】
前記出隅壁には、前記建築用板材を取り付けるための受桟が設けられており、
前記第一板部の前記横板部は、前記第一壁面側の端部において、前記一対の面材の間に前記受桟が挿入される第一受桟用凹部を有し、
前記第二板部の前記横板部は、前記第二壁面側の端部において、前記一対の面材の間に前記受桟が挿入される第二受桟用凹部を有する、
請求項1に記載の建築用板材。
【請求項3】
前記第一板部の前記芯材は、前記第一板部の前記第二板部と連結される側の第一端部まで延びており、
前記第二板部の前記芯材は、前記第二板部の前記第一板部と連結される側の第二端部まで延びている、
請求項1又は2に記載の建築用板材。
【請求項4】
前記第一板部の前記芯材と前記第二板部の前記芯材とが当接されている、
請求項1~3の何れか一項に記載の建築用板材。
【請求項5】
前記前板部は、前記一対の面材のうち何れか一方により形成されている、
請求項1~4の何れか一項に記載の建築用板材。
【請求項6】
前記第一板部の前記一対の面材と前記第二板部の前記一対の面材とが当接されている、
請求項1~5の何れか一項に記載の建築用板材。
【請求項7】
前記第一板部の前記凸部の表裏面に取り付けられる一対の第四板部を更に備え、
前記一対の第四板部は、前記第一板部の前記一対の面材の端面と前記第二板部の前記一対の面材の端面とに当接される、
請求項1~5の何れか一項に記載の建築用板材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出隅壁に取り付けられる建築用板材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、出隅部に取り付けられて互いの端部同士が連結された複数の建築用板材が記載されている。この複数の建築用板材は、芯材が上下の面材で挟み込まれたフラッシュ構造となっている。そして、この複数の建築用板材は、連結し合う端部同士が、それぞれの建築用板材の奥行方向に対して斜めに形成されており、一方の端部に形成された凸部が他方の端部に形成された凹部に嵌め込まれることで、連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コーブ照明やカーテンボックス等に用いられる建築用板材は、断面略L字状に形成されている。断面略L字状の建築用板材は、壁面から張り出す横板部と、横板部の壁面とは反対側の端部に接続される前板部と、により構成されている。コーブ照明に用いられる建築用板材では、前板部が横板部から上方に延びるように当該横板部に接続されており、カーテンボックスに用いられる建築用板材では、前板部が横板部から下方に延びるように当該横板部に接続されている。
【0005】
このような断面略L字状の建築用板材では、斜めにカットするのに高度な技術が必要になる。このため、特許文献1に記載された複数の建築用板材のように端部同士が斜めに形成されていると、製造コストが高くなるという問題がある。
【0006】
また、フラッシュ構造の板材は、棒状の芯材が矩形枠状に配置されている。このため、特許文献1に記載された複数の建築用板材のように端部同士が斜めに形成されていると、当該端部に芯材を配置することができず、複数の建築用板材の連結部である角部において、強度が低下するという問題がある。
【0007】
また、フラッシュ構造の板材では、一方の面材を幅広にするとともにVカットして折り曲げることで、容易に断面略L字状に形成することができる。しかしながら、特許文献1に記載された複数の建築用板材のように端部同士が斜めに形成されていると、Vカットして折り曲げる面材を複雑な形状にする必要があるため、製造コストが高くなるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、断面略L字状の建築用板材において、製造コストの上昇を抑制しつつ角部の強度を確保できる建築用板材及び建築用板材の施工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る建築用板材は、芯材の表裏面に一対の面材を貼り付けた構造をなして第一壁面と第二壁面とにより形成される出隅壁に取り付けられる横板部と、横板部の出隅壁とは反対側の端部に設けられる前板部と、を備える建築用板材であって、第一方向に延び、横板部及び前板部の一部をなして第一壁面に取り付けられる第一板部と、第一板部に連結されて第一方向と交差する第二方向に延び、横板部及び前板部の一部をなして第二壁面に取り付けられる第二板部と、第一方向に延び、前板部の一部をなす第三板部と、を備え、第一板部は、芯材が一対の面材及び前板部から突出してなる凸部を有し、第二板部は、一対の面材の間に凸部が挿入される凹部を有し、第三板部は、第一板部の前板部の端面と、第二板部の前板部の端面とに当接される。
【0010】
この建築用板材では、第一板部の凸部を第二板部の凹部に挿入して、第一板部と第二板部とを連結することで、第一方向及び第二方向に延びる略L字状の横板部を形成することができる。また、凸部が凹部に挿入された状態で、第三板部を第一板部の前板部の端面と第二板部の前板部の端面とに当接することで、第一方向及び第二方向に延びる略L字状の前板部を形成することができる。これにより、断面略L字状に形成される横板部及び前板部を斜めにカットしなくても、略L字状の建築用板材を組み立てることができるため、製造コストの上昇を抑制することができる。しかも、第一板部と第二板部との連結は、第一板部の凸部を第二板部の凹部に挿入することにより行うことができるため、略L字状の建築用板材の角部に、第一板部の芯材又は第二板部の芯材を配置することができる。これにより、建築用板材の角部の強度を確保することができる。
【0011】
出隅壁には、建築用板材を取り付けるための受桟が設けられており、第一板部の横板部は、第一壁面側の端部において、一対の面材の間に受桟が挿入される第一受桟用凹部を有し、第二板部の横板部は、第二壁面側の端部において、一対の面材の間に受桟が挿入される第二受桟用凹部を有してもよい。この建築用板材では、第一板部及び第二板部の第一受桟用凹部及び第二受桟用凹部に受桟を挿入することで、容易に第一板部及び第二板部を第一壁面及び第二壁面に取り付けることができる。
【0012】
第一板部の芯材は、第一板部の第二板部と連結される側の第一端部まで延びており、第二板部の芯材は、第二板部の第一板部と連結される側の第二端部まで延びていてもよい。この建築用板材では、第一板部及び第二板部の芯材が第一端部及び第二端部まで延びているため、建築用板材の角部に芯材が配置される。これにより、建築用板材の角部の強度を確保することができる。
【0013】
第一板部の芯材と第二板部の芯材とが当接されていてもよい。この建築用板材では、第一板部の芯材と第二板部の芯材とが当接されているため、建築用板材の角部の強度を確保することができる。
【0014】
前板部は、一対の面材のうち何れか一方により形成されていてもよい。この建築用板材では、前板部が一対の面材のうち何れか一方により形成されているため、部品点数を削減して製造コストを低減することができる。
【0015】
第一板部の一対の面材と第二板部の一対の面材とが当接されていてもよい。この建築用板材では、第一板部の一対の面材と第二板部の一対の面材とが当接されているため、建築用板材の角部の強度を確保することができる。
【0016】
第一板部の凸部の表裏面に取り付けられる一対の第四板部を更に備え、一対の第四板部は、第一板部の一対の面材の端面と第二板部の一対の面材の端面とに当接されてもよい。この建築用板材では、第一板部の凸部の表裏面に取り付けられる一対の第四板部が、第一板部の一対の面材の端面と第二板部の一対の面材の側面とに当接される。このため、一対の第四板部を切断して、一対の第四板部における第一板部の一対の面材側の端面と、一対の第四板部における第二板部の一対の面材側の端面と、のなす角度を調整することで、第一板部の延在方向である第一方向と第二板部の延在方向である第二方向とのなす角度を変えることができる。これにより、第一壁面と第二壁面とのなす角度が90°でない場合であっても、第一板部及び第二板部を第一壁面及び第二壁面に沿わせることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、断面略L字状の建築用板材において、製造コストの上昇を抑制しつつ角部の強度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第一実施形態の建築用板材が出隅壁に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図2】第一実施形態の建築用板材が出隅壁に取り付けられた状態を示す平面図である。
【
図3】
図3(a)は、
図2に示すIIIa-IIIa線における断面図、
図3(b)は、
図2に示すIIIb-IIIb線における断面図である。
【
図4】第一実施形態の建築用板材を示す平面図である。
【
図5】第一実施形態の建築用板材を示す分解斜視図である。
【
図6】
図6(a)は、第一板部を示す正面図、
図6(b)は、
図6(a)に示すVIb-VIb線における断面図である。
【
図7】
図7(a)は、
図6(a)に示すVIIa-VIIa線における断面図、
図7(b)は、
図6(a)に示すVIIb-VIIb線における断面図である。
【
図8】
図8(a)は、第二板部を示す正面図、
図8(b)は、
図8(a)に示すVIIIb-VIIIb線における断面図である。
【
図9】
図9(a)は、
図8(a)に示すIXa-IXa線における断面図、
図9(b)は、
図8(a)に示すIXb-IXb線における断面図である。
【
図10】
図10(a)は、第三板部を示す平面図、
図10(b)は、第三板部を示す正面図である。
【
図12】第一実施形態の建築用板材の施工方法を説明するための斜視図である。
【
図13】第一実施形態の建築用板材の施工方法を説明するための斜視図である。
【
図14】第一実施形態の建築用板材の施工方法を説明するための斜視図である。
【
図15】第二実施形態の建築用板材が出隅壁に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図16】第二実施形態の建築用板材を示す平面図である。
【
図17】第二実施形態の建築用板材を示す分解斜視図である。
【
図18】
図18(a)は、第一板部を示す正面図、
図18(b)は、
図18(a)に示すXVIIIb-XVIIIb線における断面図である。
【
図19】
図19(a)は、第二板部を示す正面図、
図19(b)は、
図19(a)に示すXIXb-XIXb線における断面図である。
【
図21】
図21(a)は、第四板部を示す平面図、
図21(b)は、第四板部を示す正面図である。
【
図22】
図22(a)は、第三板部を示す平面図、
図22(b)は、第三板部を示す正面図である。
【
図23】第二実施形態の建築用板材の施工方法を説明するための斜視図である。
【
図24】第二実施形態の建築用板材の施工方法を説明するための斜視図である。
【
図25】第二実施形態の建築用板材の施工方法を説明するための斜視図である。
【
図26】変形例の建築用板材が出隅壁に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、実施形態の建築用板材について詳細に説明する。本実施形態は、本発明の建築用板材を、コーブ照明の建築用板材に適用したものである。但し、本発明の建築用板材は、コーブ照明の建築用板材に限定されるものではない。なお、全図中、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
[第一実施形態]
図1~
図3に示すように、本実施形態の建築用板材1は、コーブ照明に用いられる建築用板材である。コーブ照明は、天井面を照らす間接照明である。建築用板材1は、出隅壁101に取り付けられる。出隅壁101は、第一壁面101aと第二壁面101bとにより形成される出隅の壁である。第一壁面101aと第二壁面101bとは、隣接される壁面である。第一壁面101aと第二壁面101bとのなす角度は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、90°であるものとして説明する。なお、以下の説明において、上下等の方向は、建築用板材1が出隅壁101に取り付けられた状態における方向をいう。
【0021】
図1~
図5に示すように、建築用板材1は、第一方向D1に延びるとともに、第一方向D1と交差する第二方向D2に延びる略L字状に形成されている。本実施形態では、第一方向D1と第二方向D2とのなす角度は90°であり、第一方向D1と第二方向D2とは直交する。建築用板材1は、出隅壁101に取り付けられる横板部2と、横板部2の出隅壁101とは反対側の端部に設けられた前板部3と、を備える。このため、建築用板材1は、横板部2と前板部3とにより断面略L字状に形成されている。横板部2の上面には、コーブ照明としての照明器具102が設置される。出隅壁101に対する横板部2の取り付けは、特に限定されるものではないが、本実施形態では、出隅壁101に受桟103を設け、この受桟103に横板部2を挿入及び接着することにより行うものとして説明する。出隅壁101に対する受桟103の取り付けは、特に限定されるものではないが、例えば、ビス止めにより行うことができる。なお、第一壁面101aに設けられる受桟103を第一受桟103aといい、第二壁面101bに設けられる受桟103を第二受桟103bという。
【0022】
横板部2は、芯材4の表裏面に一対の面材5,6を貼り付けた構造をなす。このような構造としては、例えば、複数の角柱部材を組み合わせてなる芯材の表裏面に一対の面材を貼り付けたフラッシュ構造、板状部材からなる芯材の表裏面に一対の面材を貼り付けた構造等が挙げられる。フラッシュ構造は、一般的に、芯材を構成する複数の角柱部材間に空隙部を有する構造をいうが、芯材を構成する複数の角柱部材間に空隙部を有さない構造であってもよい。なお、強度確保及び軽量化の観点からは、芯材を構成する複数の角柱部材間に空隙部を有することが好ましい。このため、本実施形態では、横板部2は、複数の角柱部材を組み合わせてなる芯材4の表裏面に一対の面材5,6を貼り付けたフラッシュ構造をなすとともに、芯材4を構成する複数の角柱部材間に空隙部を有する構造であるものとして説明する。芯材4は、横板部2の軽量化を図りつつ強度を確保するために、複数の角柱部材が格子状に配置されてなる。芯材4を構成する各部材としては、例えば、木材等が用いられる。面材5は、芯材4の下面に貼り付けられる化粧板である。面材6は、芯材4の上面に貼り付けられる化粧板である。一対の面材51,61としては、例えば、表面に木製シート、紙系シート又は樹脂シート等のシートが貼り付けられた薄板等が用いられる。
【0023】
建築用板材1は、第一方向D1に延び、横板部2及び前板部3の一部をなして第一壁面101aに取り付けられる第一板部11と、第一板部11に連結されて第二方向D2に延び、横板部2及び前板部3の一部をなして第二壁面101bに取り付けられる第二板部12と、第一方向D1に延び、前板部3の一部をなす第三板部13と、を備える。第一板部11と第二板部12とは、互いの端部が連結されることにより、略L字状に形成される。ここで、第一板部11の第一方向D1における両端部のうち、第二板部12と連結される側の端部を、第一端部11Aという(
図6(a)参照)。また、第二板部12の第二方向D2における両端部のうち、第一板部11と連結される側の端部を、第二端部12Aという(
図8(a)参照)。
【0024】
第一板部11は、横板部2の一部である第一横板部21と、前板部3の一部である第一前板部31と、をなす。第二板部12は、横板部2の一部である第二横板部22と、前板部3の一部である第二前板部32と、をなす。第三板部13は、前板部3の一部である第三前板部33をなす。横板部2は、第一横板部21と、第二横板部22と、により構成され、前板部3は、第一前板部31と、第二前板部32と、第三前板部33と、により構成される。なお、第一横板部21の芯材4及び一対の面材5,6は、それぞれ芯材41及び一対の面材51,61という。第二横板部22の芯材4及び一対の面材5,6は、それぞれ芯材42及び一対の面材52,62という。
【0025】
<第一板部>
図4~
図7に示すように、第一板部11は、芯材41の表裏面に一対の面材51,61を貼り付けたフラッシュ構造の第一横板部21と、第一前板部31と、を有する。
【0026】
芯材41は、第一方向D1に延びる複数の角柱部材と、第二方向D2(第一方向D1と直交する方向)に延びる複数の角柱部材とが、格子状に接合されてなる。
【0027】
一対の面材51,61は、第一方向D1に長い矩形状に形成されている。一対の面材51,61は、芯材41の上下面に貼り付けられている。そして、一対の面材51,61が芯材41から第一壁面101a側(
図7(a)における左側)に突出することで、一対の面材51,61の間に、第一受桟103a(
図3(a)参照)が挿入される第一受桟用凹部21Aが形成されている。つまり、第一横板部21は、第一壁面101a側の端部において、一対の面材51,61の間に第一受桟103aが挿入される第一受桟用凹部21Aを有する。第一受桟用凹部21Aは、第一壁面101a側に開口した凹部である。
【0028】
第一前板部31は、第一横板部21から上方に延びるように、第一横板部21の第一壁面101aとは反対側(
図7(a)における右側)の端部に設けられている。第一前板部31は、面材51により形成されている。詳しく説明すると、第一前板部31は、第一横板部21の面材51を、第二方向D2(第一方向D1と直交する方向)に幅広にするとともに、Vカットして折り曲げることにより形成されている。Vカットは、面材51の芯材41とは反対側の面を残しながら面材51の芯材41側の面をV字状にカットすることにより行われる。そして、折り曲げられた面材51の先端部は、芯材41の上面に形成された溝41Aに挿入されて、芯材41に接合されている。溝41Aは、第一方向D1に延びる溝であり、芯材41の第一方向D1における全域に形成されている。第一前板部31では、折り曲げられた面材51が重ね合わされていてもよく、重ね合わされておらず内部に空間が形成されていてもよい。後者の場合、面材51の内部空間に他部材を挿入して、第一前板部31の強度を高めてもよい。面材61は、第一前板部31を形成する面材51に当接されていることが好ましいが、当該面材51に当接されていなくてもよい。
【0029】
なお、第一前板部31は、面材51により形成されずに、第一横板部21とは別部材により形成されていてもよい。この場合、第一前板部31の構造は、特に限定されるものではなく、例えば、第一横板部21と同様のフラッシュ構造であってもよく、一枚の板で構成される単板構造であってもよい。
【0030】
第一板部11は、芯材41が一対の面材51,61及び第一前板部31から突出してなる凸部21Bを有する。凸部21Bは、芯材41の一部である。詳しく説明すると、一対の面材51,61の第一端部11A側の端面51A,61Aは、第一方向D1と直交する面(第二方向D2と平行な面)であり、第一前板部31の第一端部11A側の端面31Aは、第一方向D1と直交する面(第二方向D2と平行な面)である。一対の面材51,61の端面51A,61Aと第一前板部31の端面31Aとは、面一となっている。芯材41は、一対の面材51,61の端面51A,61A及び第一前板部31の端面31Aから、第一端部11A側に突出している。そして、一対の面材51,61及び第一前板部31から突出している芯材41の部分が、凸部21Bとなる。なお、凸部21B(芯材41)の第一端部11A側の端面は、第一方向D1と直交する面であることが好ましいが、必ずしも第一方向D1と直交する面でなくてもよい。
【0031】
第一板部11の芯材41は、第一端部11Aまで延びている。詳しく説明すると、芯材41を構成する複数の角柱部材のうち、少なくとも第一壁面101aとは反対側の端部に位置して第一方向D1に延びる角柱部材41Bが、第一端部11Aまで延びている。
【0032】
<第二板部>
図4,
図5,
図8及び
図9に示すように、第二板部12は、第一板部11に連結される部材である。第二板部12は、芯材42の表裏面に一対の面材52,62を貼り付けたフラッシュ構造の第二横板部22と、第二前板部32と、を有する。
【0033】
芯材42は、第二方向D2に延びる複数の角柱部材と、第一方向D1(第二方向D2と直交する方向)に延びる複数の角柱部材とが、格子状に接合されてなる。
【0034】
一対の面材52,62は、第二方向D2に長い矩形状に形成されている。一対の面材52,62は、芯材42の上下面に貼り付けられている。そして、一対の面材52,62が芯材42から第二壁面101b側(
図9(a)における右側)に突出することで、一対の面材52,62の間に、第二受桟103b(
図3(b)参照)が挿入される第二受桟用凹部22Aが形成されている。つまり、第二横板部22は、第二壁面101b側の端部において、一対の面材52,62の間に第二受桟103bが挿入される第二受桟用凹部22Aを有する。第二受桟用凹部22Aは、第二壁面101b側に開口した凹部である。
【0035】
第二前板部32は、第二横板部22から上方に延びるように、第二横板部22の第二壁面101bとは反対側(
図9(a)における左側)の端部に設けられている。第二前板部32は、面材52により形成されている。詳しく説明すると、第二前板部32は、第二横板部22の面材52を、第一方向D1(第二方向D2と直交する方向)に幅広にするとともに、Vカットして折り曲げることにより形成されている。Vカットは、面材52の芯材42とは反対側の面を残しながら面材52の芯材42側の面をV字状にカットすることにより行われる。そして、折り曲げられた面材52の先端部は、芯材42の上面に形成された溝42Aに挿入されて、芯材42に接合されている。溝42Aは、第二方向D2に延びる溝であり、芯材42の第二方向D2における全域に形成されている。第二前板部32では、折り曲げられた面材52が重ね合わされていてもよく、重ね合わされておらず内部に空間が形成されていてもよい。後者の場合、面材52の内部空間に他部材を挿入して、第二前板部32の強度を高めてもよい。面材62は、第二前板部32を形成する面材52に当接されていることが好ましいが、当該面材52に当接されていなくてもよい。
【0036】
なお、第二前板部32は、面材52により形成されずに、第二横板部22とは別部材により形成されていてもよい。この場合、第二前板部32の構造は、特に限定されるものではなく、例えば、第二横板部22と同様のフラッシュ構造であってもよく、一枚の板で構成される単板構造であってもよい。
【0037】
第二板部12は、一対の面材52,62の間に第一板部11の凸部21Bが挿入される凹部22Bを有する。凹部22Bは、第二横板部22の第二端部12A側の部分において、第一板部11側(第二壁面101b側)に開口した凹部である。このため、凸部21Bは、第二壁面101b側から凹部22Bに挿入することができる。凹部22Bは、一対の面材52,62の間に芯材42を配置しないことにより形成される。詳しく説明すると、一対の面材52,62の第二端部12A側の側面52B,62Bは、第二方向D2と直交する面(第一方向D1と平行な面)である。芯材42は、第二板部12の第二端部12A側の部分において、一対の面材52,62の側面52B,62Bから第一板部11(第二壁面101b)とは反対側に引っ込んでいる。そして、一対の面材52,62の側面52B,62Bから芯材42が引っ込むことにより形成される一対の面材52,62の間の空間が、凹部22Bとなる。
【0038】
第二板部12の芯材42は、第二端部12Aまで延びている。詳しく説明すると、芯材42を構成する複数の角柱部材のうち、少なくとも第二壁面101bとは反対側の端部に位置して第二方向D2に延びる角柱部材42Bが、第二端部12Aまで延びている。
【0039】
そして、凹部22Bに凸部21Bを挿入した際に、第一板部11における一対の面材51,61の端面51A,61Aが、第二板部12における一対の面材52,62の側面52B,62Bに当接するように、凹部22Bは、凸部21Bと略同じ形状、又は凸部21Bよりも大きい形状に形成されている。なお、凹部22Bに凸部21Bを挿入した際に、第一板部11の角柱部材41B(芯材41)と第二板部12の角柱部材42B(芯材42)とは、当接していても離間していてもよいが、強度を確保する観点から当接していることが好ましい。つまり、凹部22Bに凸部21Bを挿入した際に、角柱部材41Bと角柱部材42Bとが当接するように、凸部21Bと凹部22Bとが略同じ形状であることが好ましい。
【0040】
<第三板部>
図4,
図5,
図10及び
図11に示すように、第三板部13は、凸部21Bが凹部22Bに挿入された状態(第一板部11と第二板部12とが連結された状態)で、第一板部11の第一前板部31の端面31Aと、第二板部12の第二前板部32の端面32Aとに当接される。第三板部13は、第三前板部33を有する。
【0041】
第三前板部33は、第一前板部31及び第二前板部32と略同じ形状をなしている。詳しく説明すると、第三前板部33は、第一前板部31の面材51及び第二前板部32の面材52と同様の面材により形成されている。そして、第三前板部33は、この面材をVカットして折り曲げることにより、第一前板部31及び第二前板部32と略同じ断面形状をなしている。但し、第三前板部33は、形状保持及び強度確保の観点から、第一前板部31及び第二前板部32において溝41A及び溝42Aに挿入される先端部に対応する部分を、溝に挿入することなく更にVカットして折り曲げることで、P字状の閉断面となっている。
【0042】
このため、第三前板部33の下部は、一枚の面材で構成された薄肉部33Aとなっており、第三前板部33の上部は、折り曲げられた面材により閉断面が形成された厚肉部33Bとなっている。薄肉部33Aは、第一板部11の第一前板部31の端面31Aと、第一板部11の凸部21Bの側面と、第二板部12の第二横板部22の一対の面材52,62の側面52B,62Bと、に当接される部位である。厚肉部33Bは、第一板部11の第一前板部31の端面31Aと、第二板部12の第二前板部32の側面と、第二板部12の第二横板部22の面材62の上面と、に当接される部位である。厚肉部33Bの第二板部12側の端部は、第二板部12の第二前板部32を避けるように、薄肉部33Aと同様に一枚の面材で構成された薄肉端部33Cとなっている。薄肉端部33Cは、第二板部12の第二前板部32の端面32Aに当接される部位である。
【0043】
<建築用板材>
第一実施形態の建築用板材1は、上述した第一板部11、第二板部12及び第三板部13を組み立てることにより構成される。詳しく説明すると、建築用板材1では、第一板部11の凸部21Bが第二板部12の凹部22Bに挿入されて、第一板部11の一対の面材51,61の端面51A,61Aが、第二板部12の一対の面材52,62の側面52B,62Bに当接されている。また、建築用板材1では、第三板部13の薄肉部33A及び厚肉部33Bが、第一板部11の第一前板部31の端面31Aに当接されている。また、第三板部13の薄肉部33Aが、第一板部11の凸部21Bの側面と、第二板部12の一対の面材52,62の端面52A,62Aと、第二板部12の芯材42(角柱部材42B)の端面と、に当接されている。また、第三板部13の厚肉部33Bが、第二板部12の第二横板部22の上面と、第二板部12の第二前板部32の側面と、に当接されている。また、第三板部13の薄肉端部33Cが、第二板部12の第二前板部32の端面32Aに当接されている。
【0044】
<建築用板材の施工方法>
次に、第一実施形態の建築用板材1の施工方法について説明する。
【0045】
まず、
図12に示すように、出隅壁101に受桟103を取り付ける。詳しく説明すると、第一壁面101aに第一受桟103aを取り付け、第二壁面101bに第二受桟103bを取り付ける。このとき、第一受桟103a及び第二受桟103bを、同一水平線上に配置して、ビス止め等により第一壁面101a及び第二壁面101bに取り付ける。
【0046】
次に、
図13に示すように、第一板部11と第二板部12とを連結するとともに、第一板部11及び第二板部12を第一受桟103a及び第二受桟103bに取り付ける。詳しく説明すると、第一板部11の凸部21Bを第二板部12の凹部22Bに挿入して、第一板部11の一対の面材51,61の端面51A,61Aを第二板部12の一対の面材52,62の側面52B,62Bに当接する。そして、接着剤等により、第一板部11と第二板部12とを接合する。また、第一板部11の第一受桟用凹部21Aに第一受桟103aを挿入するとともに、第二板部12の第二受桟用凹部22Aに第二受桟103bを挿入する。そして、接着剤等により、第一板部11及び第二板部12と第一受桟103a及び第二受桟103bとを接合する。
【0047】
次に、
図14に示すように、第一板部11及び第二板部12に第三板部13を取り付ける。詳しく説明すると、第三板部13を第一板部11の第一前板部31と第二板部12の第二前板部32との間に配置する。そして、第三板部13の薄肉部33A及び厚肉部33Bを、第一板部11の第一前板部31の端面31Aに当接し、第三板部13の薄肉部33Aを、第一板部11の凸部21Bの側面と、第二板部12の一対の面材52,62の端面52A,62Aと、第二板部12の芯材42(角柱部材42B)の端面とに当接し、第三板部13の厚肉部33Bを、第二板部12の第二横板部22の上面と、第二板部12の第二前板部32の側面と、に当接し、第三板部13の薄肉端部33Cを、第二板部12の第二前板部32の端面32Aに当接する。そして、接着剤等により、第三板部13を第一板部11及び第二板部12に接合する。これにより、建築用板材1が出隅壁10に取り付けられる。
【0048】
なお、第一受桟用凹部21A及び第二受桟用凹部22Aに第一受桟103a及び第二受桟103bを挿入するのは、上述したように建築用板材1を組み立てている途中であってもよく、建築用板材1が全て組み立てられた後であってもよい。
【0049】
このように、本実施形態に係る建築用板材1では、第一板部11の凸部21Bを第二板部12の凹部22Bに挿入して、第一板部11と第二板部12とを連結することで、第一方向D1及び第二方向D2に延びる略L字状の横板部2を形成することができる。また、凸部21Bが凹部22Bに挿入された状態で、第三板部13を第一板部11の第一前板部31の端面31Aと第二板部12の第二前板部32の端面32Aとに当接することで、第一方向D1及び第二方向D2に延びる略L字状の前板部3を形成することができる。これにより、断面略L字状に形成される横板部2及び前板部3を斜めにカットしなくても、略L字状の建築用板材1を組み立てることができるため、製造コストの上昇を抑制することができる。しかも、第一板部11と第二板部12との連結は、第一板部11の凸部21Bを第二板部12の凹部22Bに挿入することにより行うことができるため、略L字状の建築用板材1の角部に、第一板部11の芯材41又は第二板部12の芯材42を配置することができる。これにより、建築用板材1の角部の強度を確保することができる。
【0050】
また、第一板部11及び第二板部12の第一受桟用凹部21A及び第二受桟用凹部22Aに第一受桟103a及び第二受桟103bを挿入することで、容易に第一板部11及び第二板部12を第一壁面101a及び第二壁面101bに取り付けることができる。
【0051】
また、第一板部11及び第二板部12の芯材41及び芯材42が、第一端部11A及び第二端部12Aまで延びているため、建築用板材1の角部に芯材41及び芯材42が配置される。これにより、建築用板材1の角部の強度を確保することができる。
【0052】
また、第一板部11の芯材41と第二板部12の芯材42とが当接されているため、建築用板材1の角部の強度を確保することができる。
【0053】
また、第一前板部31及び第二前板部32が面材51及び面材52により形成されているため、部品点数を削減して製造コストを低減することができる。
【0054】
また、第一板部11の一対の面材51,61と第二板部12の一対の面材52,62とが当接されているため、建築用板材1の角部の強度を確保することができる。
【0055】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態に係る建築用板材について説明する。第二実施形態に係る建築用板材は、基本的には第一実施形態に係る建築用板材と同様であるが、一対の第四板部を更に備える点で、第一実施形態に係る建築用板材と相違する。このため、以下では、第一実施形態に係る建築用板材と相違する事項のみを説明し、第一実施形態に係る建築用板材と同様の事項の説明を省略する。
【0056】
図15~
図17に示すように、本実施形態に係る建築用板材1Aは、第一板部11、第二板部12及び第三板部13に加え、一対の第四板部14,15を備える。
【0057】
<第一板部>
図15~
図18に示すように、第二実施形態の第一板部11は、第一実施形態の第一板部11と比べて、第一方向D1における長さが短くなっている。そして、一対の面材51,61及び第一前板部31に対する凸部21B(芯材41)の突出長さが、第一実施形態よりも短くなっている。
【0058】
<第二板部>
図15~
図17,
図19及び
図20に示すように、第二実施形態の第二板部12は、第一実施形態の第二板部12と比べて、第一方向D1(第二方向D2と直交する方向)における凹部22Bの深さが浅くなっている。詳しく説明すると、芯材42の全体が第二端部12Aまで延びており、第一方向D1において、凸部21Bが挿入される凹部22Bと第二受桟103bが挿入される第二受桟用凹部22Aとが同じ深さとなっている。
【0059】
<第四板部>
図15~
図17及び
図21に示すように、一対の第四板部14,15は、第一板部11の凸部21Bの表裏面に取り付けられることで、横板部2の一部をなす部材である。このため、第二実施形態では、横板部2は、第一横板部21と、第二横板部22と、一対の第四板部14,15と、により構成される。一対の第四板部14,15は、凸部21Bが凹部22Bに挿入された状態(第一板部11と第二板部12とが連結された状態)で、第一板部11の一対の面材51,61の端面51A,61Aと、第二板部12の一対の面材52,62の側面52B,62Bと、に当接される。
【0060】
一対の第四板部14,15は、それぞれ一対の面材51,61と同様の面材により、矩形板状に形成されている。第四板部14は、凸部21Bの下面に取り付けられることで、第一板部11の面材51と第二板部12の面材52との間に配置される。同様に、第四板部15は、凸部21Bの上面に取り付けられることで、第一板部11の面材61と第二板部12の面材62との間に配置される。そして、第四板部14,15の第一方向D1における第一板部11側の端面14A,15Aは、第一板部11の一対の面材51,61の端面51A,61Aに当接され、第四板部14,15の第一方向D1における第二板部12側の端面14B,15Bは、第二板部12の一対の面材52,62の第一板部11側の側面52B,62Bに当接される。
【0061】
ところで、一対の第四板部14,15は、第一板部11の一対の面材51,61と第二板部12の一対の面材52,62との間に配置される。このため、端面14A,15Aと端面14B,15Bとのなす角度を調整することで、第一板部11の延在方向である第一方向D1と第二板部12の延在方向である第二方向D2とのなす角度を調整することができる。詳しく説明すると、一対の第四板部14,15では、端面14A,15Aと端面14B,15Bとが平行となっている。このため、一対の第四板部14,15を、そのままの状態で第一板部11の一対の面材51,61と第二板部12の一対の面材52,62とに当接すると、第一板部11と第二板部12とは90°に屈曲したL字状となる。一方、一対の面材51,61を切断して端面14A,15Aと端面14B,15Bとを傾斜させ、この状態で第一板部11の一対の面材51,61と第二板部12の一対の面材52,62とに当接すると、第一板部11と第二板部12とは90°よりも大きな角度又は90°よりも小さな角度で屈曲した略L字状となる。例えば、一対の第四板部14,15を
図21に示すC1線に沿って切断することにより、一対の第四板部14,15を第一壁面101a側に向かって広がる台形状とすることで、第一板部11と第二板部12とは、90°よりも大きな角度で屈曲する略L字状となる。一方、一対の第四板部14,15を
図21に示すC2線に沿って切断することにより、一対の第四板部14,15を第一壁面101a側に向かって狭まる台形状とすることで、第一板部11と第二板部12とは、90°よりも小さな角度で屈曲する略L字状となる。
【0062】
<第三板部>
図15~
図17及び
図22に示すように、第二実施形態の第三板部13は、第一実施形態の第三板部13と比べて第一方向D1における長さが長くなっている。詳しく説明すると、第三板部13は、第一板部11の一対の面材51,61と第二板部12の一対の面材52,62との間に一対の第四板部14,15が配置された状態で、第一板部11の第一前板部31から第二板部12の第二前板部32まで至る長さとなっている。
【0063】
なお、一対の面材51,61を切断して端面14A,15Aと端面14B,15Bとを傾斜させた場合は、第三板部13をVカットして屈曲させることで、第三板部13を第一板部11、第二板部12及び一対の第四板部14,15に当接させることができる。
【0064】
<建築用板材>
第二実施形態の建築用板材1Aは、上述した第一板部11、第二板部12、第三板部13及び一対の第四板部14,15を組み立てることにより構成される。詳しく説明すると、建築用板材1Aでは、凸部21Bの下面及び上面に一対の第四板部14,15が取り付けられた状態で、第一板部11の凸部21Bが第二板部12の凹部22Bに挿入されている。そして、第四板部14,15の端面14A,15Aが、第一板部11の一対の面材51,61の端面51A,61Aに当接されており、第四板部14,15の端面14B,15Bが、第二板部12の一対の面材52,62の側面52B,62Bに当接されている。また、建築用板材1Aでは、第三板部13の薄肉部33A及び厚肉部33Bが、第一板部11の第一前板部31の端面31Aに当接されている。また、第三板部13の薄肉部33Aが、第一板部11の凸部21Bの側面と、一対の第四板部14,15の側面と、第二板部12の一対の面材52,62の端面52A,62Aと、第二板部12の芯材42の端面と、に当接されている。また、第三板部13の厚肉部33Bが、第四板部14の上面と、第二板部12の第二横板部22の上面と、第二板部12の第二前板部32の側面と、に当接されている。また、第三板部13の薄肉端部33Cが、第二板部12の第二前板部32の端面32Aに当接されている。
【0065】
<建築用板材の施工方法>
次に、第二実施形態の建築用板材1Aの施工方法について説明する。
【0066】
まず、
図23に示すように、出隅壁101に受桟103を取り付ける。詳しく説明すると、第一壁面101aに第一受桟103aを取り付け、第二壁面101bに第二受桟103bを取り付ける。このとき、第一受桟103a及び第二受桟103bを、同一水平線上に配置して、ビス止め等により第一壁面101a及び第二壁面101bに取り付ける。
【0067】
次に、
図24に示すように、凸部21Bの下面及び上面に一対の第四板部14,15を取り付けて第一板部11と第二板部12とを連結するとともに、第一板部11及び第二板部12を第一受桟103a及び第二受桟103bに取り付ける。詳しく説明すると、一対の第四板部14,15の端面14A,15Aが第一板部11の一対の面材51,61の端面51A,61Aに当接するように、凸部21Bの下面及び上面に一対の第四板部14,15を取り付ける。そして、接着剤等により、凸部21Bの下面及び上面に一対の第四板部14,15を接合する。次に、第一板部11の凸部21Bを第二板部12の凹部22Bに挿入して、一対の第四板部14,15の端面14B,15Bを第二板部12の一対の面材52,62の側面52B,62Bに当接する。そして、接着剤等により、第一板部11と第二板部12とを接合する。また、第一板部11の第一受桟用凹部21Aに第一受桟103aを挿入するとともに、第二板部12の第二受桟用凹部22Aに第二受桟103bを挿入する。そして、接着剤等により、第一板部11及び第二板部12と第一受桟103a及び第二受桟103bとを接合する。
【0068】
次に、
図25に示すように、第一板部11、第二板部12及び一対の第四板部14,15に第三板部13を取り付ける。詳しく説明すると、第三板部13を第一板部11の第一前板部31と第二板部12の第二前板部32との間に配置する。そして、第三板部13の薄肉部33A及び厚肉部33Bを、第一板部11の第一前板部31の端面31Aに当接し、第三板部13の薄肉部33Aを、第一板部11の凸部21Bの側面と、一対の第四板部14,15の側面と、第二板部12の一対の面材52,62の端面52A,62Aと、第二板部12の芯材42の端面と、に当接し、第三板部13の厚肉部33Bを、第四板部14の上面と、第二板部12の第二横板部22の上面と、第二板部12の第二前板部32の側面と、に当接し、第三板部13の薄肉端部33Cを、第二板部12の第二前板部32の端面32Aに当接する。そして、接着剤等により、第三板部13を第一板部11、第二板部12及び一対の第四板部14,15に接合する。これにより、建築用板材1Aが出隅壁10に取り付けられる。
【0069】
ここで、第一壁面101aと第二壁面101bとのなす角度が90°でない場合は、一対の面材51,61を切断して端面14A,15Aと端面14B,15Bとを傾斜させる。そして、第三板部13をVカットして屈曲させることで、第三板部13を第一板部11、第二板部12及び一対の第四板部14,15に当接する。これにより、第一板部11及び第二板部12を第一壁面101a及び第二壁面101bに沿わせることができる。この場合、第一板部11の凸部21Bと第二板部12の芯材42との間に空隙が形成されるように、凸部21Bの突出長さを設定しておくことが好ましい。これにより、第一板部11と第二板部12との傾斜を容易に行うことができる。但し、凸部21Bを斜めに切断することにより、第一板部11の凸部21Bと第二板部12の芯材42とが当接していてもよい。
【0070】
なお、第一受桟用凹部21A及び第二受桟用凹部22Aに第一受桟103a及び第二受桟103bを挿入するのは、上述したように建築用板材1Aを組み立てている途中であってもよく、建築用板材1Aが全て組み立てられた後であってもよい。
【0071】
このように、本実施形態に係る建築用板材1では、第一板部11の凸部21Bの表裏面に取り付けられる一対の第四板部14,15が、凸部21Bが凹部22Bに挿入された状態で、第一板部11の一対の面材51,61の端面51A,61Aと第二板部12の一対の面材52,62の側面52B,62Bとに当接される。このため、一対の第四板部14,15を切断して、一対の第四板部14,15の端面14A,15Aと一対の第四板部14,15の端面14B,15Bとのなす角度を調整することで、第一板部11の延在方向である第一方向D1と第二板部12の延在方向である第二方向D2とのなす角度を変えることができる。これにより、第一壁面101aと第二壁面101bとのなす角度が90°でない場合であっても、第一板部11及び第二板部12を第一壁面101a及び第二壁面101bに沿わせることができる。
【0072】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0073】
例えば、上記実施形態では、本発明の建築用板材を、コーブ照明の建築用板材に適用したものとして説明したが、
図26に示すように、カーテンボックスの建築用板材1Bに適用してもよい。この建築用板材1Bでは、前板部が横板部から下方に延びるように当該横板部に接続されており、横板部の下面に、カーテンレール104が取り付けられる。
【0074】
また、上記実施形態では、第二板部と第三板部とが別部材であるものとして説明したが、第二板部と第三板部とは単一の部材であってもよい。この場合、例えば、第二板部において、横板部の下面側に配置される面材を、第二方向(第一方向と直交する方向)に幅広にするとともに、Vカットして折り曲げることにより形成することができる。
【0075】
また、上記実施形態では、第三板部は、前板部の一部のみをなすものとして説明したが、第三板部は、前板部だけではなく横板部の一部もなすものとしてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、第一板部の凸部と第二板部の芯材とが当接されるものとして説明したが、第一板部の凸部と第二板部の芯材とは離間していてもよい。
【0077】
ところで、第三板部を構成する面材の小口面は、建築用板材の表面に露出するが、第三板部を構成する面材として、表面に木製シート、紙系シート又は樹脂シート等のシートが貼り付けられた薄板等を用いた場合、当該小口面がシートで覆われない。そこで、第三板部を構成する面材の端部をVカットして折り曲げることにより、当該小口面がシートで覆われたものとしてもよい。この場合、Vカットして折り曲げるのは、第三板部を構成する面材の表面側又は裏面側の何れであってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1,1A,1B…建築用板材、2…横板部、3…前板部、4…芯材、5,6…面材、10…出隅壁、11,11A…第一端部、12,12A…第二端部、13…第三板部、14,15…第四板部、14A,15A…端面、14B,15B…端面、21…第一横板部、21A…第一受桟用凹部、21B…凸部、22…第二横板部、22A…第二受桟用凹部、22B…凹部、31…第一前板部、31A…端面、32…第二前板部、32A…端面、33…第三前板部、33A…薄肉部、33B…厚肉部、33C…薄肉端部、41…芯材、41A…溝、41B…角柱部材、42…芯材、42A…溝、42B…角柱部材、51,61…面材、51A,61A…端面、52,62…面材、52A,62A…端面、52B,62B…側面、101…出隅壁、101a…第一壁面、101b…第二壁面、102…照明器具、103…受桟、103a…第一受桟、103b…第二受桟、104…カーテンレール。