特許 7004988 衣類

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B1)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2022-01-07

(45)【発行日】2022-01-24

(54)【発明の名称】衣類

(51)【国際特許分類】

   A41C 3/00 20060101AFI20220114BHJP

   A41C 3/12 20060101ALI20220114BHJP

【ＦＩ】

A41C3/00 Z

A41C3/12 A

【請求項の数】 10

(21)【出願番号】P 2021091481

(22)【出願日】2021-05-31

(62)【分割の表示】P 2020110730の分割

【原出願日】2020-06-26

【審査請求日】2021-06-04

【早期審査対象出願】

(73)【特許権者】

【識別番号】520233618

【氏名又は名称】株式会社ｗｗＷｗ

(73)【特許権者】

【識別番号】514178473

【氏名又は名称】株式会社シーオーメディカル

(74)【代理人】

【識別番号】100137095

【弁理士】

【氏名又は名称】江部 武史

(74)【代理人】

【識別番号】100091627

【弁理士】

【氏名又は名称】朝比 一夫

(72)【発明者】

【氏名】荻野 貴子

(72)【発明者】

【氏名】横山 祐介

(72)【発明者】

【氏名】瀬出井 亮

【審査官】原田 愛子

(56)【参考文献】

【文献】登録実用新案第３１４１８７２（ＪＰ，Ｕ）

【文献】米国特許出願公開第２０１９／０００８２１４（ＵＳ，Ａ１）

【文献】韓国公開特許第１０－２００５－００３５８２０（ＫＲ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ａ４１Ｃ ３／００

Ａ４１Ｃ ３／１２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

一のカップ部と、他のカップ部とを有し、着用者のバストを受ける一対のカップ部と、
前記一対のカップ部の下辺部と連結し、前記一対のカップ部を支持するベース部と、
前記一対のカップ部の少なくとも前記下辺部の一端から他端に沿って設けられた一対の調整部と、
前記ベース部の両端部に設けられたバック部と、を有する衣類であって、
前記下辺部の前記他端は、前記一端よりも前記一対のカップ部の中心側に位置し、
前記一対の調整部の一部は、前記一のカップ部と前記他のカップ部との間に設けられ、
前記一対の調整部のうちの一方の調整部は、前記一のカップ部の前記下辺部の前記他端からさらに延び、前記他のカップ部の上辺部と前記一のカップ部の上辺部との間に交互に設けられるように構成され、
前記一対の調整部のうちの他方の調整部は、前記他のカップ部の前記下辺部の前記他端からさらに延び、前記他のカップ部の前記上辺部と前記一のカップ部の前記上辺部との間に交互に設けられるように構成されていることを特徴とする衣類。

【請求項2】

前記一対の調整部は、前記一対のカップ部の前記下辺部の前記一端、前記一対のカップ部の側辺部、前記ベース部の両端部および前記ベース部の上端部のいずれかに連結されている請求項１に記載の衣類。

【請求項3】

前記一対の調整部は、前記下辺部の前記一端から前記下辺部の前記他端に設けられる請求項１または２に記載の衣類。

【請求項4】

前記一対の調整部は、前記一対のカップ部に沿って、前記一対のカップ部の前記下辺部から上方に設けられるように構成されている請求項１ないし３のいずれかに記載の衣類。

【請求項5】

前記一対の調整部は、前記一のカップ部と、前記他のカップ部との間で結ばれるように構成されている請求項１ないし４のいずれかに記載の衣類。

【請求項6】

前記一対の調整部は、紐状に形成される請求項１ないし５のいずれかに記載の衣類。

【請求項7】

前記一対のカップ部は、前記上辺部および前記下辺部に沿って連続的に配置され、前記一対の調整部を保持するための複数の保持部を有する請求項１ないし６のいずれかに記載の衣類。

【請求項8】

前記複数の保持部は、半リング状に形成されている請求項７に記載の衣類。

【請求項9】

前記上辺部に設けられた前記複数の保持部は、前記一対のカップ部の前記上辺部の一端から中間部近まで設けられ、
前記上辺部の前記一端は、前記上辺部の他端よりも下側に位置する請求項７または８に記載の衣類。

【請求項10】

ブラジャーである請求項１ないし９のいずれかに記載の衣類。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、衣類、特に、女性用衣類に関する。

【背景技術】

【0002】

女性用の衣類として、下着、上着、水着、夜着、スポーツウェアなど種々の衣類がある。例えば、女性のバストのサイズや形、あるいはバストアップ等の補正機能に対応する下着やボディースーツが知られている（例えば、特許文献１）。しかしながら、この下着やボディースーツはバストを締め付けるため、着用者が窮屈さを感じる。

【0003】

また、着用者に快適さを提供するために、ワイヤのない下着が知られている（例えば、特許文献２）。しかしながら、このような下着は、ワイヤがないためバストのホールド力に劣り、バストを寄せて上げることはできない。したがって、このような問題のない、新しい構造を有する女性用の衣類が求められている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【文献】特許第３９９６４０６号公報

【文献】特許第６４４６６０５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

本発明の目的は、バストをふっくらと寄せ上げることができる女性用の衣類、特に下着を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0006】

このような目的は、下記（１）～（１２）の本発明により達成される。

【0007】

（１）一のカップ部と、他のカップ部とを有し、着用者のバストを受ける一対のカップ部と、
前記一対のカップ部の下辺部と連結し、前記一対のカップ部を支持するベース部と、
前記一対のカップ部の少なくとも一部に沿って設けられた一対の調整部と、
前記ベース部の両端部に設けられたバック部と、を有する衣類であって、
前記一対の調整部は、前記一のカップ部と前記他のカップ部との間に設けられるように構成されていることを特徴とする衣類。

【0008】

（２）前記一対の調整部は、前記一対のカップ部の前記下辺部の一端、前記一対のカップ部の側辺部、前記ベース部の両端部および前記ベース部の上端部のいずれかに連結されている上記（１）に記載の衣類。

【0009】

（３）前記一対の調整部は、前記一対のカップ部の前記下辺部に沿って、前記下辺部の一端から前記下辺部の他端に設けられる上記（１）または（２）に記載の衣類。

【0010】

（４）前記一対の調整部は、前記一対のカップ部に沿って、前記一対のカップ部の前記下辺部から上方に設けられるように構成されている上記（１）ないし（３）のいずれかに記載の衣類。

【0011】

（５） 前記一対の調整部は、前記一のカップ部の前記下辺部の他端から、前記他のカップ部の上辺部と前記一のカップ部の上辺部との間に交互に設けられる上記（１）ないし（４）のいずれかに記載の衣類。

【0012】

（６） 前記一対の調整部は、前記一のカップ部と、前記他のカップ部との間で結ばれるように構成されている上記（１）ないし（５）のいずれかに記載の衣類。

【0013】

（７）前記一対の調整部は、紐状に形成される上記（１）ないし（６）のいずれかに記載の衣類。

【0014】

（８） 前記一対のカップ部は、上辺部および／または前記下辺部に、前記一対の調整部を保持するための保持部を有する上記（１）ないし（７）のいずれかに記載の衣類。

【0015】

（９）前記保持部は、半リング状に形成されている上記（８）に記載の衣類。

【0016】

（１０）前記保持部は、前記上辺部および／または前記下辺部に沿って、連続的に配置された複数の保持部で構成されている上記（８）または（９）に記載の衣類。

【0017】

（１１）前記保持部は、前記一対のカップ部の前記上辺部の一端から中間部近まで設けられる上記（８）ないし（１０）のいずれかに記載の衣類。

【0018】

（１２）ブラジャーである上記（１）ないし（１１）のいずれかに記載の衣類。

【発明の効果】

【0019】

本発明によれば、脇肉をバストに寄せ集め、バストをふっくらと上げることができ、理想のバストラインを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【0020】

【図1】図１は、本発明の第１実施形態に係る下着を着用した状態を模式的に示す斜視図である。

【図2】図２は、本発明の第１実施形態に係る下着を模式的に示す正面図である。

【図3】図３は、本発明の第１実施形態に係る下着を模式的に示す背面図である。

【図4】図４は、図３の部分分解拡大図である。

【図5】図５は、本発明の第２実施形態に係る衣類を示す斜視図である。

【図6】図６は、本発明の第３実施形態に係る下着を示す背面図である。

【発明を実施するための形態】

【0021】

以下、本発明の衣類を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。説明の都合上、図中の上側を「上」、下側を「下」、左側を「左」、右側を「右」、紙面手前側を「前」、紙面奥側を「後」として説明する。

【0022】

＜＜第１実施形態＞＞
まず、本発明の衣類は、下着、上着、水着、夜着、スポーツウェアなど種々な衣類に適用されることができる。例えば、下着は、ブラジャーやキャミソール、ボディースーツなどを含む。上着は、シャツ、ノースリーブ、ドレスやワンピースなどを含む。水着は、ビキニタイプでも、ワンピースタイプであってもよい。夜着はパジャマなどを含む。

【0023】

以下、本発明の衣類が女性用下着のブラジャーである場合を例に挙げて説明する。図１は、本発明の第１実施形態に係る下着を着用した状態を模式的に示す斜視図、図２は、本発明の第１実施形態に係る下着を模式的に示す正面図、図３は、本発明の第１実施形態に係る下着を模式的に示す背面図、図４は、図３の部分分解拡大図である。

【0024】

図１に示すように、ブラジャー１は、一対のカップ部２と、ベース部３と、一対の調整部４と、バック部５と、一対の支持部６と、装飾部７とを有する。図１に示すように、本発明のブラジャー１は、一対の調整部４がカップ部２同士の間で結ばれているため、脇肉をしっかりと寄せて、バストに集めることができる。また、調整部４を結ぶだけで、左側の乳房と右側の乳房との間の谷間のメイクを簡単に行うことができる。以下、各部の構成について詳細に説明する。

【0025】

＜一対のカップ部＞
一対のカップ部２は、着用者のバスト（乳房）を受ける機能を有する。一対のカップ部２は、左乳房用の左カップ部２ａと、右乳房用の右カップ部２ｂとを有する。左カップ部２ａおよび右カップ部２ｂは、互いに同じであるから、以下では主に左カップ部２ａを代表して説明する。

【0026】

左カップ部２ａは、下辺部２１ａと、上辺部２２ａと、側辺部２３ａとを有する。左カップ部２ａは、ほぼ半卵状に形成されている。すなわち、左カップ部２ａは、図２に示すように、正面視で略楕円状に形成されている。また、左カップ部２ａは、図３に示すように、パットを取り外し可能に収容する第１のポケット２４ａと、第２のポケット２５ａとを有する。第２のポケット２５ａは、第１のポケット２４ａと重なっており、第１のポケット２４ａ上に位置する。しかし、第１のポケット２４ａおよび第２のポケット２５ａの位置は特に限定されない。

【0027】

第１のポケット２４ａは、左カップ部２ａが乳房と接する側（内側）に形成されている。第１のポケット２４ａの入り口は、楕円状に形成された左カップ部２ａの短辺に沿って形成されている。そして、第１のポケット２４ａは、左カップ部２ａの形状に対応するように、略楕円形状に形成されている。その第１のポケット２４ａは、レモン型パッドを収容する（図３の点線）。これにより、バストの下方向からバストを持ち上げることができ、胸のふくらみを増強させることができる。

【0028】

第２のポケット２５ａは、左カップ部２ａが乳房と接する側（内側）に形成されている。第２のポケット２５ａの入り口は、楕円状に形成された左カップ部２ａの上辺部２２ａから下辺部２１ａに斜めに形成されている。その結果、第２のポケット２５ａは、略三角形状に形成される。その第２のポケット２５ａは、半月型パッドを収容する（図３の点線）。これにより、バストの横方向からバストを持ち上げることができ、胸のふくらを増強させることができる。

【0029】

左カップ部２ａは、後述する一対の調整部４を保持するための複数の保持部２６ａを有する。この複数の保持部２６ａは、図３、４に示すように、左カップ部２ａの下辺部２１ａおよび上辺部２２ａに沿って連続的に配置されている。このような構成により、一対の調整部４をバストの周囲に保持することができるので、効率的にバストを一対のカップ２内に保持することができる。また、一対の調整部４を複数の位置で保持することができるので、バストを確実に保持することができる。

【0030】

また、複数の保持部２６ａは、左カップ部２ａの上辺部２２ａの下端（一端）から中間部近まで設けられている。これにより、左カップ部２ａと右カップ部２ｂとの間の適切な位置に調整部４を保持できるため、調整部４を結んだ時、胸の谷間を綺麗に見せることができる。また、着用者がブラジャー１を着用したとき、美しい印象を提供することができる。

【0031】

なお、複数の保持部２６ａの位置は、これに限定されず、左カップ部２ａの上辺部２２ａの全辺にわたって形成されていてもよく、下辺部２１ａの一部に形成されていてもよく、下辺部２１ａおよび上辺部２２ａのいずれか一方に設けられていてもよい。また、複数の保持部２６ａは、下辺部２１ａおよび／または上辺部２２ａに沿って、間欠的に設けられていてもよい。

【0032】

複数の保持部２６ａは、半リング状に形成されている。しかし、保持部２６ａの形状は、これに限定されず、リング状、三角形状、ハート状などであってもよい。保持部２６ａの形状が半リング状であることにより、カップ部２の丸みを帯びた形状と相まって、統一感のある印象を与えることができる。

【0033】

保持部２６ａの数は、特に限定されない。しかし、左カップ部２ａの上辺部２２ａに沿って形成される保持部２６ａの数は、５～１０個が好ましい。これにより、左カップ部２ａと右カップ部２ｂとの間の適切な位置に調整部４が位置するようになるため、調整部４を結んだ時、胸の谷間を綺麗に見せることができる。

【0034】

＜ベース部＞
ベース部３は、一対のカップ部２を支持する機能を有する。ベース部３は、下辺部３１と、上辺部３２と、両端部３３と、上端部３４とを有する。ベース部３は、左カップ部２ａの下辺部２１ａと、右カップ部２ｂの下辺部２１ｂと連結される。そのため、ベース部３の上辺部３２は、左カップ部２ａの下辺部２１ａと、右カップ部２ｂの下辺部２１ｂとに対応するように湾曲している。なお、ベース部３の下辺部３１は、略直線状である。

【0035】

ベース部３は、その両端部３３に沿って形成されたサイドボーンを有する。サイドボーンは、バストの横の脇肉が背中側に逃げないように、脇肉を固定する機能を有する。サイドボーンは、ストリップ状に形成されている。これにより、カップ部２の方向にサイドボーンの全体で脇肉を固定することができるので、脇肉をバストに寄せていくことができる。また、両端部３３の長さは、適切な長さに設定されている。そのため、脇下からベース部３の両端部３３のラインをすっきり提供することができる。

【0036】

ベース部３は、伸張性のある素材（例えば、パワーネット）で形成されている。これにより、脇肉を確実に抑え、脇肉をバストに寄せることができる。

【0037】

＜一対の調整部＞
一対の調整部４は、脇肉をバストに寄せて、バストを上げる機能を有する。一対の調整部４は、左カップ部２ａ用の左側調整部４ａと、右カップ部２ｂ用の右側調整部４ｂとを有する。左側調整部４ａおよび右側調整部４ｂは、互いに同じであるから、以下では主に右側調整部４ｂを代表して説明する。

【0038】

右側調整部４ｂは、紐状に形成されている。すなわち、右側調整部４ｂは、図２～４で示すように、リボンで構成されている。このような構成により、左カップ部２ａと右カップ部２ｂとの間で、左側調整部４ａと右側調整部４ｂとを結んだとき、ブラジャー１およびバストを美しく見せることができる。

【0039】

右側調整部４ｂは、図４に示すように、その一端が右カップ部２ｂの下辺部２１ｂの一端または側辺部２３ｂに結合するように構成されている。そして、右側調整部４ｂは、右カップ部２ｂの下辺部２１ｂに沿って設けられた保持部２６ｂを通って、下辺部２１ｂに沿って設けられる。このような構成により、右カップ部２ｂ内にバストの下方の肉および脇肉を保持することができる。そして、左側調整部４ａと右側調整部４ｂとを結んだとき、バストを上げることができる。

【0040】

また、図４に示すように、右側調整部４ｂは、右カップ部２ｂの下辺部２１ｂの一端から下辺部２１ｂの他端に、下辺部２１ｂに沿って設けられる。そして、右側調整部４ｂは、下辺部２１ｂから上方向に延びるように設けられている。このような構成により、バストの下からバストを持ち上げることができる。また、左カップ部２ａと右カップ部２ｂとの間で結ぶことができるので、ブラジャー１およびバストを美しく見せることができる。

【0041】

さらに、図４に示すように、右側調整部４ｂは、右カップ部２ｂの下辺部２１ｂの保持部２６ｂを通過した後、右カップ部２ｂの下辺部２１ｂの他端から左カップ部２ａの上辺部２２ａの保持部２６ａと、右カップ部２ｂの上辺部２２ｂの保持部２６ｂとを交互に通過するように設けられる。すなわち、右側調整部４ｂは、左カップ部２ａと、右カップ部２ｂとの間に設けられる。左側調整部４ａも同様に、左カップ部２ａと、右カップ部２ｂとの間に設けられる。そして、これら左側調整部４ａと、右側調整部４ｂとを左カップ部２ａと右カップ部２ｂとの間で結ぶことができる。

【0042】

このように、左側調整部４ａと、右側調整部４ｂとを結ぶことにより、脇肉および胸の肉をバストの中央に集めることができるので、ふっくらしたバストを提供することができる。また、左側調整部４ａと、右側調整部４ｂとを結ぶことにより、胸の谷間を自分の好みにあわせて自由に調整することができる。

【0043】

さらに、着用者は、靴ひものように、カップ部２の上辺部２２の保持部２６に調整部４を通す位置や、調整部４を保持部２６に保持させる回数、調整部４を保持部２６に保持させる方法などを自由に調整することができる。したがって、着用者の好みに合わせて、バストを上げることができ、胸の谷間のデザインを設計することができる。

【0044】

調整部４の長さは、特に限定されないが、１５～３０ｃｍが好ましく、１５～２０ｃｍがより好ましい。このような範囲であれば、着用時に邪魔にならず、ふっくら胸寄せの機能を発揮できる。こうして、デザイン的にもかわいいブラジャー１を提供することができる。なお、右側調整部４ｂの一端が連結される位置は、特に限定されない。

【0045】

なお、調整部４の形状は、紐状に限定されず、帯状であってもよい。また、一対の調整部４は、マジックテープ（登録商標）やホックなどの別の接続手段により固定されてもよい。このように、胸を寄せて上げることができれば、調整部４の形状、接続手段、取付け位置、左側調整部４ａと右側調整部４ｂとの結合方法は、特に限定されない。

【0046】

＜バック部＞
バック部５は、ブラジャー１を着用者の体に固定する機能を有する。バック部５は、ベース部３の両端部３３に設けられている。そのため、バック部５は、左側バック部５ａと、右側バック部５ｂとを含むと一対のバック部５で構成されている。左側バック部５ａおよび右側バック部５ｂは、互いにほぼ同様であるから、以下では主に右側バック部５ｂを代表して説明する。

【0047】

右側バック部５ｂは、伸張性のある素材（例えば、パワーネット）で形成されている。好ましくは、右側バック部５ｂは、その素材を重ねて形成される。これにより、背中の肉も確実に抑え、背中回りをすっきりと見せることができる。

【0048】

右側バック部５ｂは、略帯状に形成されている。右側バック部５ｂの上辺部に後述する支持部６が連結される。右側バック部５ｂは、支持部６が連結する部分（頂点）からその先端に向かってテーパー付けられている。このため、ブラジャー１を着用した着用者を背中側から見たとき、バック部５は、後述する支持部６とともに「Ｕ」字状に形成される。これにより、着用者がブラジャー１を着用したとき、すっきりとした印象を与えることができる。

【0049】

一対のバック部５は、その先端に連結部材５１を有する。例えば、連結部材５１は、特に限定されないが、ホックとアイ、ファスナー、マジックテープ（登録商標）、ボタンなどが挙げられる。具体的に、右側バック部５ｂの先端にホックが形成され、左側バック部５ｂの先端にはアイが形成されている。これにより、左側バック部５ａと右側バック部５ｂとを連結することができる。この連結部材５１は、連結位置を調整できるように、複数の部材で構成されていてもよい。例えば、左側バック部５ａの連結部材５１は、左側バック部５ａの長手方向に沿って、３段階などの複数段階に形成されてもよい。これにより、着用者の体のサイズに柔軟に対応することができる。

【0050】

なお、ブラジャー１は、この連結部材５１を有していなくてもよい。この場合、一対のバック部５は予め連結されている。すなわち、ブラジャー１は、上面視において、環状に形成されている。したがって、着用者は、本ブラジャー１を頭から被って着用することになる。

【0051】

＜支持部＞
支持部６は、ブラジャー１を体の適切な位置に固定する機能を有する。支持部６は、左側支持部６ａと、右側支持部６ｂとの一対の紐状部材で構成されている。左側支持部６ａの一端は左側カップ部２ａの上端に設けられ、他端は左側バック部５ａの頂点に設けられる。一方、右側支持部６ｂの一端は右側カップ部２ｂの上端に設けられ、他端は右側バック部５ｂの頂点に設けられる。

【0052】

したがって、ブラジャー１は、支持部６と、カップ部２の側辺部２３と、ベース部３の上端部３４と、バック部５の上辺部とで、環を形成する。着用者は、この環に手を通すことによって、支持部６が肩に位置することになる。これにより、カップ部２の鉛直方向のズレを防止し、カップ部２をバストに適切に位置させることができる。

【0053】

また、支持部６は、図４に示すように、カップ部２の鉛直方向の位置を調節できるように、調節部６１が形成されている。これにより、着用者の体のサイズに柔軟に対応することができる。調節部６１は、特に限定されないが、例えば、ストラップ、ホックとアイ、ファスナー、マジックテープ（登録商標）、ボタンなどが挙げられる。

【0054】

＜装飾部＞
装飾部７は、ブラジャー１を装飾する機能を有する。装飾部７は、一対のカップ部２の上辺部２２と、支持部６のカップ部２側の周辺と、ベース部３の下辺部３１と、バック部５の上辺部とに設けられる。装飾部７の形状（デザイン）は、特に限定されない。しかし、装飾部７のデザインは、カップ部２やバック部５などの他の構成のデザインと対応していることが好ましい。これにより、着用時、他人が支持部６を視認できたとしても、違和感を与えることがない。特に、夏や春に、着用者が首や肩を露出する衣服を着たとしても、違和感なく、他人に清潔感を与えることができる。

【0055】

以上のようなブラジャー１は、一対のカップ部２に沿って、ワイヤが設けられていてもよい。このワイヤは、一対のカップ部２の下辺部２１に設けられていても、ベース部３の上辺部３２に設けられていてもよい。これにより、バストのホールド力を向上させ、バストを確実に一対のカップ部２内に保持することができる。また、各部の素材は、特に限定されない。例えば、伸縮性のある素材、軽い素材、加工しやすい素材などが挙げられる。

【0056】

以上のような構成により、本発明のブラジャー１は、脇肉を胸に寄せて、集めることができる。さらに、調整部４を編み上げることにより、バストをふっくらと寄せ上げることができ、胸の谷間を綺麗に調整することができる。

【0057】

上記では、右側調整部４ｂの一端が右カップ部２ｂの下辺部２１ｂの一端で連結される場合を例に挙げて説明した。しかしながら、右側調整部４ｂの一端が連結される位置は、これに限定されず、任意のいずれかの位置であってもよい。以下、右側調整部４ｂの一端が連結する位置の他の構成例を説明する。

【0058】

（他の構成例１）
他の構成例１では、右側調整部４ｂの一端は、右カップ部２ｂの側辺部２３ｂのいずれかの位置に連結される。このような構成により、バストの形に沿って右側調整部４ｂが配置されるので、バストをふっくらと寄せ上げ、バストの形状を強調させることができる。この場合、保持部２６ｂは、カップ部２ｂの下辺部２１ｂに加え、側辺部２３ｂに沿って設けられることになる。

【0059】

（他の構成例２）
他の構成例２では、右側調整部４ｂの一端は、ベース部３の上端部３４のいずれかの位置に連結される。このような構成により、バストの脇に右側調整部４ｂが配置されるので、脇肉をより胸に寄せ集めることができ、バストをふっくらと寄せ上げることができる。この場合、保持部２６ｂは、カップ部２ｂの下辺部２１ｂに加え、ベース部３の上端部３４にも設けられることになる。

【0060】

（他の構成例３）
他の構成例３では、右側調整部４ｂの一端は、ベース部３の両端部３３のいずれかの位置に連結される。このような構成により、バストの脇に右側調整部４ｂが配置されるので、脇肉をより一層胸に寄せ集めることができ、バストをふっくらと寄せ上げることができる。この場合、保持部２６ｂは、カップ部２ｂの下辺部２１ｂに加え、ベース部３の両端部３３にも設けられることになる。

【0061】

（他の構成例４）
他の構成例４では、右側調整部４ｂの一端は、ベース部３の両端部３３の全体にわたって連結される。この場合、右側調整部４ｂの一端は、両端部３３に対応した幅を有するよう幅広に形成される。このような構成により、右側調整部４ｂが両端部３３に対応した大きさに形成されるので、広範囲の脇肉を一気に寄せ集めることができ、バストをより寄せ上げることができる。なお、右側調整部４ｂの一端は、両端部３３の全体にわたって形成された保持部２６ｂに保持されていても、両端部３３に直接連結されていてもよい。

【0062】

（他の構成例５）
他の構成例５では、右側調整部４ｂの一端は、右カップ２ｂの下辺部２１ｂのいずれかの位置（例えば、下辺部２１ｂの一端と他端との間）に連結される。このような構成により、バストの下に右側調整部４ｂが配置されるので、右側調整部４ｂと左側調整部４ａとを結んだ時、バストを確実に持ち上げることができる。

【0063】

＜＜第２実施形態＞＞
次に、本発明の衣類の第２実施形態を添付図面に基づいて説明する。図５は、本発明の第２実施形態に係る衣類を示す斜視図である。

【0064】

以下、第２実施形態について説明するが、前述した第１実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、前述した第１実施形態と同様の構成には、同一の符号を付してある。

【0065】

本実施形態の衣類１０は、女性用スポーツウェアである。すなわち、エアロビクス、ジョギング、トレーニング、水泳などを行うときに着用されるスポーツウェアである。本実施形態の衣類１０は、基本的には前記第１実施形態のブラジャー（下着）１と同様であるが、外で着用することができるように第１実施形態の下着１を修正している。具体的に、図５に示すように、衣類１０は、ベース部３の下辺部３１と、バック部５の下辺部とから鉛直下方に延びる延伸部８を有する。

【0066】

延伸部８は、バック部５の連結部材５１と対応する位置に、バック部５と同様の連結部材を有していてもよい。本実施形態では、左側バック部５ａおよび右側バック部５ｂは予め連結され、延伸部８も予め連結されている。すなわち、スポーツウェア１０は、底面視において、環状に形成されている。したがって、着用者は、本スポーツウェア１０を頭から被って着用することになる。

【0067】

延伸部８の長さは、特に限定されず、一般的なシャツの長さと同じであってもよく、体のヘソまでの長さであってもよく、肋骨の下端までの長さであってもよい。この延伸部８を有することにより、本実施形態の衣類１０は、体によりフィットし、体を締め付ける効果を発揮することができる。したがって、体を保温する効果、運動時の疲れを軽減する効果を発揮する。

【0068】

また、本実施形態の衣類１０は、第１実施形態の下着１の印象をなくすように、装飾部７がなく、デザインが変更されている。また、支持部６が紐状部材から、帯状部材に変更されている。これにより、支持部６と肩との接触面積が大きくなり、スポーツをしていても肩の負担を軽くすることができる。

【0069】

以上のような本実施形態の衣類１０は、スポーツに適した効果を発揮するとともに、バストを寄せて上げることができるという第１実施形態のブラジャー１と同様の効果を発揮することができる。なお、図５ではスポーツウェア１０を例に挙げて説明したが、本発明は、夜着や外着にも適用することもできる。

【0070】

＜＜第３実施形態＞＞
次に、本発明の衣類の第３実施形態を説明する。以下、第３実施形態について説明するが、前述した第１実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。

【0071】

図６は、本発明の第３実施形態に係る下着を示す背面図である。本実施形態の下着１００は、調整部４の構成が異なる点以外は、前記第１実施形態のブラジャー１と同様である。具体的には、第３実施形態の調整部４０は、図６に示すように、ベース部３の両端部３３または一対のバック部５の両端に設けられる。すなわち、調整部４０は、下着１００の裏面で、ベース部３の両端部３３または一対のバック部５の両端を基準に開閉できるように設けられている。

【0072】

左側調整部４０ａは、ベース部３の形状に対応するような形状に形成されている。右側調整部４０ｂも、ベース部３の形状に対応するような形状に形成されている（図６参照）。したがって、調整部４０が閉状態の時、調整部４０はベース部３に重なる。これにより、下着１００は、正面視および背面視において、第１実施形態の下着１と同様の状態に見える。このように、左側調整部４０ａと右側調整部４０ｂとは、同じように構成されている。

【0073】

図６に示すように、左側調整部４０ａは、その先端に連結部４０１ａ（例えば、ホックやアイ）を有する。そのため、調整部４０の閉状態において、右側調整部４０ｂの連結部４０１は、左カップ部２ａの上辺部２２ａの保持部２６ａと連結することができる。これにより、脇肉を胸に寄せることができ、胸をふっくらと寄せて上げることができる。また、連結部材５１と同様、連結部４０１は、複数の部材で構成されていてもよい。これにより、連結部４０１の複数の部材が、カップ部２の複数の保持部２６と連結することができる。したがって、バストを寄せて上げる効果を長時間維持することができる。

【0074】

なお、連結部４０１は、ストラップ、ファスナー、マジックテープ（登録商標）、ボタンなどであってもよい。この場合、カップ部２の保持部２６もこの連結部４０１に対応するように、マジックテープ（登録商標）、ボタンなどを有することになる。

【0075】

一対の調整部４０は、第１実施形態と異なり、結ぶことができる構成ではない。そのため、調整部４０は、第１実施形態の下着１のようなデザインに見せるため、リボンやブローチのような装飾部７を有していてもよい。上述したように、一対の調整部４０は、ベース部３の両端部３３に設けられている。また、カップ部２の下辺部２１は、保持部２６を有していない。そのため、調整部４０を保持部２６に通す必要がないため、調整部４０を簡単に取り付けることができる。

【0076】

このように、本実施形態の下着１００は、製造面、機能面およびデザイン面においても、優れた効果を発揮することができる。また、本実施形態の下着１００は、第１実施形態のブラジャー１の効果と同様の効果を発揮することができる。

【0077】

次に、本発明の具体的評価例について説明する。
（評価例１）
まず、本発明の衣類について、第１実施形態のブラジャーを用意した。このブラジャーの着心地を評価するために、ブラジャーを着用者Ａに配布した。着用者Ａは、このブラジャーを着用し、その着心地を評価した。

【0078】

着用者Ａは、ブラジャーを着用したときの、バストのふくらみ具合、バストアップの程度、バストの谷間の程度、バストのホールド力、全体的印象の５項目について評価した。評価は、以下の５段階の評価基準に従って行われた。結果を表１に示す。

【0079】

〇〇：とてもよい
〇 ：よい
△ ：ふつう
× ：あまりよくない
××：よくない

【0080】

（評価例２～９）
評価例１において、着用者Ａを着用者Ｂ～Ｉに変更した以外は、評価例１と同様にしてブラジャーの着心地を評価した。その結果を表１に示す。

【0081】

（比較例１～９）
各評価例において、着用したブラジャーを各着用者が所有する一般的なブラジャー（例えば、ワコール社製の「ワコール」）に変更した以外は、各評価例と同様にしてブラジャーの着心地を評価した。その結果を表１に示す。なお、比較例１～９のそれぞれの着用者は、評価例１～９のそれぞれの着用者と同一である。

【0082】

【表1】

【0083】

評価例１～９に示すように、着用者のカップサイズがどのようなサイズであっても、本発明のブラジャーは、バストのふくらみ具合、バストアップの程度、バストの谷間の程度、バストのホールド力、全体的印象が優れていることが確認された。特に、バストアップ効果および谷間形成効果が優れていることがわかった。これに対し、比較例１～９に示すように、一般的なブラジャーは、バストのふくらみ具合、バストアップの程度、バストの谷間のメイク、バストのホールド力、全体的印象が劣ることがわかった。

【0084】

以上、本発明の衣類を、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の手段または構成物が付加されていてもよい。また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の２以上の構成（特徴）を組み合わせたものであってもよい。

【符号の説明】

【0085】

１…ブラジャー ２…一対のカップ部 ２ａ…左カップ部 ２ｂ…右カップ部 ２１…下辺部 ２２…上辺部 ２３…側辺部 ２４…第１のポケット ２５…第２のポケット ２６…保持部 ３…ベース部 ３１…下辺部 ３２…上辺部 ３３…両端部 ３４…上端部 ４、４０…一対の調整部 ４ａ…左側調整部 ４ｂ…右側調整部 ５…バック部 ５ａ…左側バック部 ５ｂ…右側バック部 ５１…連結部材 ４０１…連結部 ６…支持部 ６ａ…左側支持部 ６ｂ…右側支持部 ６１…調節部 ７…装飾部 ８…延伸部 １０…衣類 １００…下着

【要約】

【課題】バストをふっくらと寄せ上げることができる女性用の衣類を提供すること。
【解決手段】衣類（特に、下着）が提供される。当該衣類は、一のカップ部と、他のカップ部とを有し、着用者のバストを受ける一対のカップ部と、前記一対のカップ部の下辺部と連結し、前記一対のカップ部を支持するベース部と、前記一対のカップ部の少なくとも一部に沿って設けられた一対の調整部と、前記ベース部の両端部に設けられたバック部と、を有する。前記一対の調整部は、前記一のカップ部と前記他のカップ部との間に設けられるように構成されている。この衣類は、脇肉をバストに寄せ集め、バストをふっくらと上げることができ、理想のバストラインを提供することができる。
【選択図】図１

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】