(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】混合栓
(51)【国際特許分類】
F16K 11/044 20060101AFI20220128BHJP
F16K 27/00 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
F16K11/044 B
F16K27/00 D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017035209
(22)【出願日】2017-02-27
【審査請求日】2020-01-31
(31)【優先権主張番号】102016000020781
(32)【優先日】2016-02-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】515018574
【氏名又は名称】ニクレス・テク・イタリア・エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルド・ニクレス
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト・モルビオ
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0271695(US,A1)
【文献】特開2004-150557(JP,A)
【文献】特開2013-189748(JP,A)
【文献】特開平8-219316(JP,A)
【文献】特開2004-84382(JP,A)
【文献】特開2001-349451(JP,A)
【文献】国際公開第2009/069157(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/00-11/24
F16K 27/00-27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック材料で作られ、洗面台の表面のような
栓支持面への
混合栓の固定手段への接続に適した、開いた下端(12)と、開いた上端(14)との間に延びた中空の
栓本体(10)
と、ここで、前記
栓本体は、側方出口開口(24)が形成された側壁(22)を有し、
前記
栓本体に形成されたカートリッジ
シート(32)に収容された混合カートリッジ(30)と、
前記カートリッジ
シートの下で前記
栓本体の内部に形成されたベースプレート
シート(62)に収容されたカートリッジ支持ベースプレート(60)と
、ここで、湯入口(64)及び冷水入口(66)が、前記カートリッジ
支持ベースプレート(60)に形成されており、前記湯入口(64)及び冷水入口(66)は、前記混合カートリッジ(30)と流体連通する湯供給管及び冷水供給管にそれぞれ接続可能であり、水出口(68)が、前記カートリッジ
支持ベースプレート(60)に形成されており、前記混合カートリッジに接続されており、前記
カートリッジ支持ベースプレートの側壁に形成された水出口ルーメン(70)で終わっており、前記
栓本体の前記側方出口開口(24)と整列されており、
前記混合カートリッジ(30)に動作可能に接続されたカートリッジコマンドレバー(40)と、
前記
栓本体(10)の前記側方出口開口(24)から延び、前記水出口ルーメン(70)と流体接続している水出口チューブ(80)と、
前記
栓本体(10)を覆うボディ部分(92)と、前記水出口チューブ(80)を覆うチューブ部分(94)とを含むシェルケーシング(90)と、を具備する混合
栓。
【請求項2】
前記チューブ部分(94)は、前記ボディ部分(92)と単一ピースで形成され、
前記シェル
ケーシング(90)が前記
栓本体に適用された後、前記水出口チューブ(80)は、前記チューブ部分(94)中に挿入されており、前記水出口ルーメン(70)に接続可能である、請求項1に記載の混合
栓。
【請求項3】
前記水出口チューブ(80)は、
前記水出口ルーメン(70)に接続された出口挿入体(82)と、
前記出口挿入体がその中に封止可能に挿入されたエアレーター接続管(86)と、
前記
エアレーター接続管
の先端部に取り付けられ、前記出口挿入体と連通しているエアレーター(88)とを有し、
前記シェル
ケーシング(90)の前記チューブ部分(94)には、エアレーター穴が形成されており、前記エアレーターがそこから突出している、請求項1又は2に記載の混合
栓。
【請求項4】
前記出口挿入体(82)は、真
鍮で作られており、前記エアレーター接続管(86)は、プラスチック材料で作られている、請求項
3に記載の混合
栓。
【請求項5】
前記シェル
ケーシング(90)の前記チューブ部分の先端部は、前記エアレーター接続管の端部に螺合されたキャップ(98)によって閉じられている、請求項3又は4に記載の混合
栓。
【請求項6】
前記混合カートリッジ(30)は、例えば螺合によって前記
栓本体の前記上端(14)に接続されたカートリッジリング(50)によって、前記
栓本体に軸方向にロックされている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の混合
栓。
【請求項7】
前記カートリッジ
コマンドレバー(40)がその上で回転自在な球状キャップ(44)が
、螺合によって前記カートリッジリング(50)に接続されている、請求項
6に記載の混合
栓。
【請求項8】
前記シェルケーシングは、炭素繊維、真鍮、プラスチック材料のグループから選択された材料でできている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の混合
栓。
【請求項9】
前記
栓本体は、軽目穴が形成された下側部分を備えた略円筒形状を有する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の混合
栓。
【請求項10】
前記
栓本体(10)の前記下端は、螺合によって、ねじが切られたチューブ(16)に接続されることができ、前記
栓支持面への
栓のロッキングリング(18)が、前記チューブに螺合されている、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の混合
栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合栓に関する。
【背景技術】
【0002】
真鍮のような金属材料で作られた栓本体を有する、シンク、洗面台又はビデ用の混合栓が知られており、その中には水流及び温度の調節手段が収容されている。このような調節手段は、代表的には、カートリッジ支持ベースプレートによって湯供給チューブ及び冷水供給チューブに接続された混合カートリッジを含む。水流及び温度を設定するためにカートリッジに動作可能に接続されたコマンドレバーが栓本体に装着されている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、上述のタイプではあるが異なる構造を有する、特に、同じ機械抵抗でありながらより軽い混合栓を提案することである。
【0004】
本発明の他の目的は、同じ構造でありながら、シンプルでコスト効率がよいようにしてその審美的な外観を変更可能な混合栓を提供することである。
【0005】
上記目的が、請求項1に記載の混合栓で達成される。従属請求項は、本発明による栓の好ましい実施形態を記載している。
【0006】
本発明による混合栓の特徴及び利点は、添付図面を参照して、限定的でない単なる例によって提供される、その好ましい実施形態の以下の説明から容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明による混合
栓の分解斜視図である。
【
図2】
図2は、コマンドレバー及びシェルケーシングを装着する前の
栓の斜視図である。
【
図3】
図3は、組み立てられた
栓の軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面において、参照符号1は、本発明による混合栓全体を指す。
【0009】
一般的な実施形態では、混合栓1は、PPSのようなプラスチック材料でできた中空の栓本体10を有する。栓本体10は、開いた下端12と上端14との間に延びている。上端も開いている。
【0010】
下端12は、栓を洗面台の表面のような栓支持面に固定するための固定手段に接続するのに適している。
【0011】
例えば、下端12は、栓を装着するためにねじが切られたチューブ16に螺合される雌ねじ12’を含む。さらに、下端12は、ワッシャ13が螺合される雄ねじ12”を含む。
【0012】
ロッキングリング18は、ワッシャ19及びガスケット20を介在して、ねじが切られたチューブ16に螺合され、栓本体10を支持面に固定するためにワッシャ13と協働する。
【0013】
栓本体10は、側壁22によって規定され、側壁には例えば円形の側方出口開口24が形成されている。
【0014】
一実施形態では、側壁22は、円筒壁である。
【0015】
さらに、一実施形態では、軽目穴26が、栓本体10の下側部分に形成されており、例えば貫通窓として形成されている。
【0016】
混合カートリッジ30は、栓本体10に形成されたカートリッジシート32に収容される。
【0017】
例えば、混合カートリッジ30は、開いた上端14を通って栓本体10から上に突出している制御ロッド34を有するタイプである。
【0018】
混合カートリッジ30は、カートリッジコマンドレバー40に動作可能に接続されている。
【0019】
例えば、カートリッジコマンドレバー40は、カートリッジの制御ロッド34に固定されている。
【0020】
一実施形態では、コマンドレバー40は、栓本体10を閉じる球状キャップ44上で回転可能なヘッド部分42を有する。制御ロッド46は、ヘッド部分42から延びている。例えば、制御ロッド46は、ヘッド部分42に螺合される。
【0021】
一実施形態では、制御ロッド46は、例えばクロムめっき真鍮の単一ピースで作られている。
【0022】
図示されない実施形態の変形例では、制御ロッド46は、例えば真鍮で作られた内側バーによって形成され、ヘッド部分42に螺合されて、例えば炭素繊維又はプラスチック材料で作られた外側チューブ要素に挿入されている。
【0023】
一実施形態では、球状キャップ44は、カートリッジの制御ロッドの34の通過を可能にする上側開口442を有する。
【0024】
さらに、一実施形態では、このような上側開口442は、カートリッジリング50にそれを固定するための雌ねじを含み、カートリッジ本体10においてそれのシート32にカートリッジ30を軸方向にロックするために、栓本体10の上端14に螺合される。
【0025】
混合カートリッジ30は、カートリッジ支持ベースプレート60と連結されている。ベースプレート60は、カートリッジシート32の真下で栓本体10に形成されたベースプレートシート62に収容されている。
【0026】
入口64、66が、湯及び冷水の入口用にベースプレート60に形成されている。このような入口64、66は、一端で、給水本管からそれぞれの湯供給管及び冷水供給管に接続されており、他端で、これらは混合カートリッジ30と流体連通している。さらに、出口68は、カートリッジから設定された水の流れを受けるために混合カートリッジ30に接続されており、ベースプレート40の側壁に形成された水出口ルーメン70で終わり、栓本体10の側方出口開口24と整列している。
【0027】
一実施形態では、ベースプレート60は、真鍮で作られている。
【0028】
水出口チューブ80が、栓本体10の側方開口24から延びている。この水出口チューブ80は、カートリッジ支持ベースプレート60の水出口ルーメン70と流体接続している。
【0029】
一実施形態では、水出口チューブ80は、出口ルーメン70に接続された出口挿入体82を含む。
【0030】
例えば、このような出口挿入体82は、金属材料で、例えば真鍮で作られている。
【0031】
出口挿入体82は、エアレーター接続管86に、例えば、軸方向ロック要素としても作用する少なくとも1つのO-リング84によって、封止可能に挿入される。
【0032】
一実施形態では、エアレーター接続管86は、栓本体10の側壁22に置かれる基端部86’を有する。
【0033】
エアレーター接続管86は、先端部86”を有し、この先端部は、例えば螺合による接続によって、例えば下を向いており出口挿入体82と流体連通するエアレーター88を支持する。
【0034】
一実施形態では、エアレーター接続管86は、プラスチック材料で作られている。
【0035】
一実施形態では、ベースプレート60の出口ルーメン70は、出口挿入体82のねじが切られた端部分が螺合される雌ねじを有する。
【0036】
それ故、出口ルーメン70からやってくる水流は、出口挿入体82に入り、エアレーター接続管86を通過し、エアレーター88を通ってチューブから出る。
【0037】
本発明による混合栓は、さらに、栓本体10を覆うボディ部分92と水出口チューブ80を覆うチューブ部分94とを含むボディシェルケーシング90を有する。
【0038】
一実施形態では、シェルケーシング90は、炭素繊維、又はクロムめっきの真鍮、又はプラスチック材料で作られている。
【0039】
一実施形態では、シェルのチューブ部分94は、ボディ部分92と一体的に形成されている。
【0040】
例えば、シェルのボディ部分92は、栓本体10の下端12と上端14との間の高さにわたって延びている。
【0041】
例えば、シェルのボディ部分92は、ワッシャ13から球状キャップ44の基部までの高さにわたって延びている。
【0042】
一実施形態では、シェルケーシング90は、一方の側では、ワッシャ13によって栓本体10に軸方向にロックされ、他方の側では、球状キャップ44の基部に周縁444によってロックされる。例えば、このような周縁444の外径は、シェルのボディ部分92の直径に等しい。
【0043】
それ故、栓本体10は、シェルのボディ部分92に完全に挿入される。
【0044】
一実施形態では、さらに、水出口チューブ80は、シェル90のチューブ部分94に完全に挿入される。
【0045】
一実施形態では、エアレーター穴96は、シェル90のチューブ部分94に形成され、エアレーター88がそこから突出している。
【0046】
一実施形態では、シェル90のチューブ部分94の先端部は、エアレーター接続管86の端部に螺合されたキャップ98によって閉じられる。
【0047】
出口チューブ80が栓本体10とは別個の構成要素として形成され、後者が栓本体へ挿入された後に支持ベースプレート60に接続されるので、栓本体10にチューブ部分が設けられたシェルケーシングを装着して、出口チューブ80をチューブ部分に挿入して、カートリッジ支持ベースプレート60に出口チューブ80を接続することが可能であることが留意される。
【0048】
この構成は、シェルを単一ピースで形成することを可能にする。
【0049】
シェルケーシングが主に審美的な機能を有することが留意されるべきである。栓の機能性は、実際には、その内部構成要素を含む栓本体、出口チューブ及びコマンドレバーによって既に確実にされている。
【0050】
シェルケーシングによって、さまざまな色、印象、表面仕上げ、ラインなどの栓を形成することが可能である。
【0051】
炭素繊維で作られたシェルは、さらに、真鍮のような金属製ボディをもつ従来の栓と比較して、同じ耐性でありながら、はるかに軽い栓を与える。
【0052】
当業者は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、付帯的なニーズを満たすために、本発明による混合栓の実施形態に変更、調節、適応物及び他の機能的に等価な要素との置換をしてもよい。可能な実施形態に属する、説明された特徴の各々が、他の実施形態から独立して得られることができる。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] プラスチック材料で作られ、洗面台の表面のような弁支持面への弁の固定手段への接続に適した、開いた下端(12)と、開いた上端(14)との間に延びた中空の弁本体(10)を具備し、前記弁本体は、側方出口開口(24)が形成された側壁(22)を有し、
前記弁本体に形成されたカートリッジ弁座(32)に収容された混合カートリッジ(30)と、
前記カートリッジ弁座の下で前記弁本体の内部に形成されたベースプレート弁座(62)に収容されたカートリッジ支持ベースプレート(60)とを具備し、湯入口(64)及び冷水入口(66)が、前記カートリッジベースプレート(60)に形成されており、前記湯入口(64)及び冷水入口(66)は、前記混合カートリッジ(30)と流体連通する湯供給管及び冷水供給管にそれぞれ接続可能であり、水出口(68)が、前記カートリッジベースプレート(60)に形成されており、前記混合カートリッジに接続されており、前記ベースプレートの前記側壁に形成された水出口ルーメン(70)で終わっており、前記弁本体の前記側方出口開口(24)と整列されており、
前記混合カートリッジ(30)に動作可能に接続されたカートリッジコマンドレバー(40)と、
前記弁本体(10)の前記側方出口開口(24)から延び、前記水出口ルーメン(70)と流体接続している水出口チューブ(80)と、
前記弁本体(10)を覆うボディ部分(92)と、前記水出口チューブ(80)を覆うチューブ部分(94)とを含むシェルケーシング(90)と、を具備する混合弁。
[2] 前記チューブ部分(94)は、前記ボディ部分(92)と単一ピースで形成され、
前記シェルが前記弁本体に適用された後、前記水出口チューブ(80)は、前記チューブ部分(94)中に挿入されており、前記水出口ルーメン(70)に接続可能である、[1]に記載の混合弁。
[3] 前記水出口チューブ(80)は、
前記水出口ルーメン(70)に接続された出口挿入体(82)と、
前記出口挿入体がその中に封止可能に挿入されたエアレーター接続管(86)と、
前記接続管の前記先端部に取り付けられ、前記出口挿入体と連通しているエアレーター(88)とを有し、
前記シェルの前記チューブ部分(94)には、エアレーター穴が形成されており、前記エアレーターがそこから突出している、[1]又は[2]に記載の混合弁。
[4] 前記出口挿入体(82)は、真鍮のような金属で作られており、前記エアレーター接続管(86)は、プラスチック材料で作られている、[1]乃至[3]のいずれか1項に記載の混合弁。
[5] 前記シェルの前記チューブ部分の先端部は、前記エアレーター接続管の端部に螺合されたキャップ(98)によって閉じられている、[3]又は[4]に記載の混合弁。
[6] 前記混合カートリッジ(30)は、例えば螺合によって前記弁本体の前記上端(14)に接続されたカートリッジリング(50)によって、前記弁本体に軸方向にロックされている、[1]乃至[5]のいずれか1項に記載の混合弁。
[7] 前記カートリッジ制御レバー(40)がその上で回転自在な球状キャップ(44)が、例えば螺合によって前記カートリッジリング(50)に接続されている、[1]乃至[6]のいずれか1項に記載の混合弁。
[8] 前記シェルケーシングは、炭素繊維、真鍮、プラスチック材料のグループから選択された材料でできている、[1]乃至[7]のいずれか1項に記載の混合弁。
[9] 前記弁本体は、軽目穴が形成された下側部分を備えた略円筒形状を有する、[1]乃至[8]のいずれか1項に記載の混合弁。
[10] 前記弁本体(10)の前記下端は、螺合によって、ねじが切られたチューブ(16)に接続されることができ、前記支持面への弁のロッキングリング(18)が、前記チューブに螺合されている、[1]乃至[9]のいずれか1項に記載の混合弁。
[11] 前記シェルケーシング(90)は、専ら審美的な機能を有する、[1]乃至[10]のいずれか1項に記載の混合弁。