(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】プラグおよびコネクタ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/12 20060101AFI20220203BHJP
B65D 47/06 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
B65D47/12 200
B65D47/06 400
(21)【出願番号】P 2017141830
(22)【出願日】2017-07-21
【審査請求日】2020-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】591257111
【氏名又は名称】サーパス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】蓮沼 正裕
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-173292(JP,A)
【文献】特開2010-052807(JP,A)
【文献】特開2007-204102(JP,A)
【文献】特開2010-036921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00-55/16
B65D 35/44-35/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に第1雄ねじが形成された円筒状の開口部が上端に形成されるとともに該開口部から側方へ突出するハンドルを有する液体収納容器に取り付けられるプラグであって、
前記開口部の内周面に沿って取り付けられる本体部と、
前記本体部の下端に接続されるとともに前記液体収納容器の底面に向けて挿入されるサイフォン管と、
前記第1雄ねじに締結される第1雌ねじと他の部材に形成された第2雄ねじに締結される第2雌ねじとが内周面に形成され
るとともに軸線に沿って円筒状
に形成されるナットと、
前記ナットが前記他の部材とともに前記第1雄ねじとの締結が解除される解除方向に回転することを防止する回転防止部と、を備え、
前記回転防止部は、前記ナットに取り付けられた状態で前記ハンドルよりも前記解除方向の上流側に配置される回転防止部材を有し、
前記ナットに前記回転防止部を取り付けた状態で、
前記他の部材から前記ナットに前記解除方向に回転させる力が伝達される場合に、前記ナットが前記回転防止部に対して前記軸線回りに回転することが規制されるプラグ。
【請求項2】
前記ナットの下端における外周面には、前記軸線に対して外側へ突出する突起部が形成されており、
前記回転防止部の内周面には、前記軸線回りの周方向に延びる溝部が形成されており、
前記回転防止部は、前記突起部を前記溝部に圧入した状態で前記ナットに固定される請求項1に記載のプラグ。
【請求項3】
前記回転防止部材は、前記突起部を前記溝部に圧入する前に前記ハンドルよりも前記解除方向の上流側に配置された状態となるように形成されている請求項2に記載のプラグ。
【請求項4】
前記第2雌ねじに締結される前記第2雄ねじを有するとともに前記液体収納容器に収納された液体が外部へ流出することを防止する封止部を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のプラグ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のプラグと、
前記第2雌ねじに締結される前記第2雄ねじを有するとともに前記プラグを介して前記液体収納容器から取り出される液体を外部へ供給するソケットと、を備えるコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグおよびコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体製造装置に用いられる薬品や一般化学薬品等の液体は、生産工場にてガラス瓶やタンクなどの貯蔵容器に充填され、この貯蔵容器に形成された開口部に蓋を取り付けた状態で出荷される。このような貯蔵容器中に貯蔵された液体を取り出すため、貯蔵容器の内部に空気等の気体を導入し、その圧力により液体を貯蔵容器外へ送り出すサイフォン管方式のコネクタが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される装置は、容器の開口部にボトルキャップを取り付け、ボトルキャップにソケット部を挿入し、ソケット部にプラグ部を挿入したものである。特許文献1では、ソケット部とプラグ部からなるコネクタ構造とは別にボトルキャップが必要である。そのため、装置を構成する部品が多くなり、構造が複雑になってしまう。
【0005】
一方、ボトルキャップを用いずにプラグ部を容器の開口部に取り付け、プラグ部にソケット部を取り付ける構造とした場合、ソケット部をプラグ部から取り外すために回転させると、それと同時にプラグ部も回転してしまう可能性がある。この場合、プラグ部が回転して開口部から外れてしまい、開口部から容器内部の液体が外部へ漏出してしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、液体収納容器から液体を取り出す構造を簡易な構造で実現しつつ液体収納容器の開口部からプラグが外れて液体が漏出する不具合を防止したプラグおよびそれを備えたコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明の一態様に係るプラグは、外周面に第1雄ねじが形成された円筒状の開口部が上端に形成されるとともに該開口部から側方へ突出するハンドルを有する液体収納容器に取り付けられ、前記開口部の内周面に沿って取り付けられる本体部と、前記本体部の下端に接続されるとともに前記液体収納容器の底面に向けて挿入されるサイフォン管と、前記第1雄ねじに締結される第1雌ねじと他の部材に形成された第2雄ねじに締結される第2雌ねじとが内周面に形成されるとともに軸線に沿って円筒状に形成されるナットと、前記ナットが前記他の部材とともに前記第1雄ねじとの締結が解除される解除方向に回転することを防止する回転防止部と、を備え、前記回転防止部は、前記ナットに取り付けられた状態で前記ハンドルよりも前記解除方向の上流側に配置される回転防止部材を有し、前記ナットに前記回転防止部を取り付けた状態で、前記他の部材から前記ナットに前記解除方向に回転させる力が伝達される場合に、前記ナットが前記回転防止部に対して前記軸線回りに回転することが規制される。
【0008】
本発明の一態様に係るプラグによれば、液体収納容器の開口部の内周面に本体部を取り付けた状態でナットの第1雌ねじを開口部の第1雄ねじに締結することにより、ナットが開口部に取り付けられる。また、他の部材の第2雄ねじをナットの第2雌ねじに締結することにより、他の部材がナットに取り付けられる。他の部材をナットから取り外すために解除方向に回転させる場合、他の部材からナットに解除方向に回転させる力が伝達される。
【0009】
ここで、ナットに回転防止部を挿入した状態で、ナットが回転防止部に対して軸線回りに回転することが規制されている。そのため、ナットが解除方向に回転する場合には、ナットと一体となって回転防止部も解除方向に回転する。そして、ナットに取り付けられた状態で、ハンドルよりも解除方向の上流側には、回転防止部材が配置されている。そのため、ナットが解除方向に回転したとしても、回転防止部材がハンドルと接触し、回転防止部が解除方向に回転することが防止される。また、回転防止部と一体となって回転するナットも、解除方向に回転することが防止される。よって、ナットが解除方向に回転したとしても、回転防止部材がハンドルと接触した後は更にナットが解除方向に回転することはない。
このように、本発明の一態様に係るプラグによれば、液体収納容器から液体を取り出す構造を簡易な構造で実現しつつ液体収納容器の開口部からプラグが外れて液体が漏出する不具合を防止することができる。
【0010】
本発明の一態様に係るプラグにおいて、前記ナットの下端における外周面には、前記軸線に対して外側へ突出する突起部が形成されており、前記回転防止部の内周面には、前記軸線回りの周方向に延びる溝部が形成されており、前記回転防止部は、前記突起部を前記溝部に圧入した状態で前記ナットに固定される構成であってもよい。
本構成のプラグによれば、突起部を溝部に圧入した状態で回転防止部がナットに固定される。そのため、回転防止部をナットに取り付けた後に回転防止部がナットから不用意に取り外されることが防止される。
【0011】
本発明の一態様に係るプラグにおいて、前記回転防止部材は、前記突起部を前記溝部に圧入する前に前記ハンドルよりも前記解除方向の上流側に配置された状態となるように形成されている。
このようにすることで、突起部を溝部に圧入する際に作業者が回転防止部に強い力を加えたとしても、その力によって回転防止部材が解除方向に回転し、ハンドルよりも解除方向の下流側に過って配置されてしまうような不具合を防止することができる。
【0012】
本発明の一態様に係るプラグにおいては、前記第2雌ねじに締結される前記第2雄ねじを有するとともに前記液体収納容器に収納された液体が外部へ流出することを防止する封止部を備えていてもよい。
このようにすることで、封止部によりサイフォン管から本体部を介して液体が流出する不具合を防止しつつ、封止部をナットから取り外す際に封止部とともにナットが回転して開口部から外れてしまう不具合を防止することができる。
【0013】
本発明の一態様に係るコネクタは、上記のいずれかに記載のプラグと、前記第2雌ねじに締結される前記第2雄ねじを有するとともに前記プラグを介して前記液体収納容器から取り出される液体を外部へ供給するソケットと、を備える。
本発明の一態様に係るコネクタによれば、ソケットにより液体収納容器から液体を取り出して外部へ供給することを可能としつつ、ソケットをナットから取り外す際にソケットとともにナットが回転して開口部から外れてしまう不具合を防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、液体収納容器から液体を取り出す構造を簡易な構造で実現しつつ液体収納容器の開口部からプラグが外れて液体が漏出する不具合を防止したプラグおよびそれを備えたコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】液体取出システムの一実施形態を示す部分縦断面図である。
【
図2】
図1に示す液体取出システムのコネクタ部分の部分拡大図である。
【
図3】
図2に示す液体取出システムのプラグに封止キャップを取り付けた状態を示す図である。
【
図5】ロックリングを固定ナットに取り付ける前の状態を示す図である。
【
図6】ロックリングの一部を固定ナットへ挿入した状態を示す図である。
【
図7】固定ナットの突起部をロックリングの溝部に圧入する前の状態を示す図である。
【
図8】
図7に示す液体取出システムの右側面図である。
【
図9】
図8に示す液体取出システムを上方からみた平面図である。
【
図10】
図3に示すプラグに遮光キャップを取り付けた変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態の液体取出システム100について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の液体取出システム100は、プラグ10と、ソケット20と、液体収納容器30と、を備える。
液体取出システム100は、ソケット20を介して液体収納容器30の内部空間S1に加圧用気体を導いて内部空間S1を加圧し、プラグ10およびソケット20からなるコネクタを介して液体(半導体製造装置で用いる薬液等)を外部へ取り出すシステムである。
【0017】
ここで、液体取出システム100が備えるソケット20について説明する。
ソケット20は、外部の加圧用気体の供給源(図示略)から供給される加圧用気体を液体収納容器30の内部空間S1へ導くとともに、内部空間S1の加圧によって液体収納容器30から取り出される液体を外部へ供給する装置である。ソケット20は、ソケット本体21と、取付リング22と、バルブ23と、Oリング24と、Oリング25とを有する。
【0018】
ソケット本体21は、軸線X方向に沿って略円筒状に形成される部材である。ソケット本体21の内部には、軸線X方向に延びる液体流路21aが形成されている。液体流路21aの上端には内周面に雌ねじが形成された配管取付部21bが設けられている。配管取付部21bには外部へ液体を導く配管(図示略)が取り付けられる。
【0019】
ソケット本体21の内部には、ソケット本体21を上端から下端まで貫通する気体流路21cが形成されている。気体流路21cの上端には内周面に雌ねじが形成された配管取付部21dが設けられている。配管取付部21dには、外部の供給源(図示略)から供給される加圧用気体をプラグ10へ導く配管(図示略)が取り付けられる。
【0020】
ソケット本体21の液体流路21aの下方には、弁座21eが設けられている。プラグ10に取り付けられていない状態のソケット20の弁座21eにはバルブ23のスプリング23cの付勢力により弁体23aが接触した状態となる。この状態では、弁座21eと弁体23aとが接触する位置がシール領域となり、シール領域で液体の流通が遮断される。
【0021】
取付リング22は、ソケット本体21をプラグ10に固定するための部材である。取付リング22は、軸線Xに沿って円筒状に形成される部材である。取付リング22の内周面には、軸線X回りに延びる無端状の環状突起部22aが形成されている。一方、ソケット本体21の外周面には、軸線X回りに延びる無端状の環状溝部21fが形成されている。
【0022】
図2に示すように、環状突起部22aは、ソケット本体21に形成された環状溝部21fと係合している。そのため、取付リング22はソケット本体21に対して軸線X回りに相対的に回転可能な状態となっている。また、取付リング22の下方の外周面には、雄ねじ22bが形成されている。取付リング22の雄ねじ22bをプラグ10の固定ナット13の上方の内周面に形成された雌ねじ13bに締結することにより、ソケット20がプラグ10に固定される。
【0023】
バルブ23は、プラグ10の液体流路11aとソケット20の液体流路21aとを連通させるか遮断するかを切り換える機構である。バルブ23は、弁体23aと、端部23bと、スプリング23cとを有する。
端部23bは外周面に雄ねじが形成された円筒状部材であり、ソケット本体21の液体流路21aの下方の内周面に形成された雌ねじに締結されている。端部23bはスプリング23cの一端を支持している。スプリング23cの他端は弁体23aに保持されている。そのため、弁体23aには、スプリング23cによって軸線Xに沿って弁座21eに接触する方向の付勢力が与えられる。
【0024】
図2に示すように、ソケット20が液体収納容器30の開口部31に取り付けられた場合、プラグ10のバルブ操作部11dが弁体23aの先端部23dに接触して弁体23aを軸線Xに沿った上方に押し上げる。弁体23aが上方に押し上げられることにより、ソケット20の液体流路21aとプラグ10の液体流路11aとが貫通孔11cを介して連通した状態となる。
【0025】
Oリング24は、ソケット本体21にプラグ10のプラグ本体11が挿入された場合に、プラグ本体11との間にシール領域を形成する弾性部材である。Oリング25は、ソケット20が液体収納容器30の開口部31に取り付けられた場合に、プラグ本体110のフランジ部11fの上端との間にシール領域を形成する弾性部材である。
【0026】
次に、液体取出システム100が備えるプラグ10について説明する。
図2および
図3に示すように、プラグ10は、
図2に示すように、プラグ本体(本体部)11と、サイフォン管12と、固定ナット13と、ロックリング(回転防止部)14と、パッキン15と、封止キャップ16と、を有する。パッキン15を除くプラグ10の各部材は、樹脂材料(例えば、HDPE(高密度ポリエチレン))により形成されている。
図2に示すように、プラグ10は液体収納容器30の開口部31に取り付けられる。
【0027】
プラグ本体11は、液体収納容器30の開口部31の内周面31bに沿って取り付けられる円筒状の部材である。プラグ本体11は、
図4に示すように、液体流路11aと気体流路11bと貫通孔11cと、バルブ操作部11dと、フランジ部11fと、を有する。
【0028】
液体流路11aは、液体収納容器30に収容された液体をサイフォン管12から貫通孔11cへ導く流路である。
気体流路11bは、ソケット20に接続される加圧用気体の供給源(図示略)から供給される加圧用気体を液体収納容器30の内部空間S1に導く流路である。加圧用気体が内部空間S1に導かれることにより、サイフォン管12から液体流路11aに向けて液体が押し出される。気体流路11bは、軸線X回りの複数箇所(例えば、90°ずつの4箇所)に設けられている。
【0029】
貫通孔11cは、液体流路11aから導かれる液体をソケット20の液体流路21aに導く孔である。貫通孔11cは、軸線X回りの複数箇所(例えば、90°ずつの4箇所)に設けられている。
バルブ操作部11dはプラグ10にソケット20が取り付けられる際に、ソケット20が有するバルブ23を軸線Xに沿って押し上げる部材である。ソケット20が有するバルブ23を押し上げることにより、貫通孔11cからソケット20の液体流路21aへ向けて液体が導かれる。
【0030】
フランジ部11fは、プラグ本体11の上端に接続されるとともに液体収納容器30の開口部31の内周面31bの径よりも大径の環状部材である。
フランジ部11fの下面には、パッキン15が取り付けられている。パッキン15は、軸線X回りに延在する環状の弾性部材であり、例えば、発泡ポリエチレンや、耐薬品性のあるフッ素ゴム等の弾性体により形成されている。
【0031】
フランジ部11fの下面は、プラグ10が液体収納容器30の開口部31に取り付けられた状態で、パッキン15を介して開口部31の上端31cに係止される。これにより、プラグ10は、開口部31から内部空間S1まで引き込まれないようになっている。
【0032】
サイフォン管12は、
図1に示すように、軸線X方向に延在するとともに液体収納容器30の底面30aに向けて挿入される管状の部材である。
図3に示すように、サイフォン管12は、プラグ本体11の下端に接続されており、プラグ本体11の液体流路11aを形成する部分を取り囲むように挿入されている。サイフォン管12とプラグ本体11に形成されたエッジ部11eとは、これらが接触する接触位置に軸線X回りの無端状のシール領域を形成する。このシール領域により、サイフォン管12の内部と液体収納容器30の内部空間S1とが連通しないようになっている。
【0033】
固定ナット13は、内周面の下方に雌ねじ(第1雌ねじ)13aが形成され、内周面の上方に雌ねじ(第2雌ねじ)13bが形成される部材である。
図3および
図4に示すように、固定ナット13は、軸線Xに沿って延びるように円筒状に形成される部材である。雌ねじ13aは、液体収納容器30の開口部31の外周面31aに形成された雄ねじ32に締結される。雌ねじ13bは、封止キャップ16に形成された雄ねじ16cまたはソケット20の取付リング22に形成された雄ねじに締結される。
【0034】
なお、固定ナット13は、樹脂材料(例えば、HDPE(高密度ポリエチレン))により形成されているが、紫外線等に対する遮光性を有する着色剤を混入した樹脂材料を用いるのが望ましい。遮光性を有する樹脂材料を用いることにより、薬液が紫外線等により硬化する不具合を抑制することができる。
【0035】
固定ナット13は、雌ねじ13bの下端が開口部31の雄ねじ32の上端に接触した状態で、軸線Xを中心として時計周りの締結方向に回転することにより開口部31に締結される。一方、固定ナット13は、軸線Xを中心として反時計周りの解除方向に回転することにより、開口部31との締結が解除される。固定ナット13の外周面には、軸線Xに沿って延びる複数の溝部13cが形成されている。また、固定ナット13の下端における外周面には、軸線Xに対して外側突出するとともに軸線X回りの周方向に延びる突起部13dが形成されている。
【0036】
ロックリング14は、固定ナット13が他の部材(封止キャップ16または取付リング22)とともに雄ねじ32との締結が解除される解除方向に回転することを防止する部材である。
図3および
図4に示すように、ロックリング14の内周面には、軸線Xに沿って延びるとともに内側に突出する突起部14aが形成されている。また、
図8および
図9に示すように、ロックリング14は、固定ナット13に取り付けられた状態で解除方向におけるハンドル33の上流側および下流側の双方を挟むように配置される回転防止部材14bを有する。また、
図4に示すように、ロックリング14の内周面には、軸線X回りの周方向に延びる溝部14cが形成されている。
【0037】
ここで、
図5から
図7を参照して、液体収納容器30の開口部31に取り付けられた固定ナット13に対してロックリング14を取り付ける工程について説明する。
図5に示すように、作業者は、ロックリング14を固定ナット13に取り付ける前に、液体収納容器30の開口部31へプラグ本体11を挿入した状態で、固定ナット13の雌ねじ13aを開口部31の雄ねじ32に締結する。また、作業者は、封止キャップ16の雄ねじ16cを固定ナット13の雌ねじ13bに締結する。そして、作業者は、回転防止部材14bの軸線X回りの周方向の位置をハンドル33と一致させた状態にして、ロックリング14を固定ナット13の上方へ配置する。
【0038】
次に、
図6に示すように、作業者は、固定ナット13の外周面とロックリング14の内周面とを一致させた状態でロックリング14を軸線Xに沿った下方へ移動させる。
図6に示すように、ロックリング14は、ロックリング14の突起部14aが固定ナット13の溝部13cに係合した状態で軸線Xに沿った下方へ移動し、
図7に示す状態となる。ロックリング14の突起部14aが固定ナット13の溝部13cに係合しているため、固定ナット13はロックリング14に対して軸線X回りに回転することが規制される。
【0039】
図7は、ロックリング14の一部を固定ナット13へ挿入した状態を示す図である。
図7に示す状態において、固定ナット13の突起部13dは、ロックリング14の溝部14cに係合していない。これは、固定ナット13の突起部13dの軸線Xを中心とした外径が、ロックリング14の溝部14cの軸線Xを中心とした内径よりも大きいためである。作業者は、
図7に示す状態からロックリング14を軸線Xに沿った下方へ押し付けることにより、溝部14cの内径が拡大するようにロックリング14を弾性変形させる。ロックリング14が弾性変形すると溝部14cに突起部13dが挿入される。これにより、ロックリング14は、突起部13dを溝部14cに圧入した状態(
図3に示す状態)で固定ナット13に固定される。
【0040】
図7に示すように、ロックリング14の回転防止部材14bは、突起部13dを溝部14cに圧入する前にハンドル33の上流側および下流側の双方を挟むように配置される。このようにしているのは、突起部13dを溝部14cに圧入する際に作業者がロックリング14に強い力を加えたとしても、その力によって回転防止部材14bが解除方向に回転し、ハンドル33よりも解除方向の下流側に過って配置されてしまうような不具合を防止するためである。
【0041】
図8および
図9に示すように、突起部13dを溝部14cに圧入した取付状態になると、回転防止部材14bの切欠部14dにハンドル33が挿入され、ハンドル33の解除方向の上流側および下流側が回転防止部材14bに挟まれた状態となる。この状態においては、固定ナット13を解除方向に回転させることができなくなる。それは、固定ナット13がロックリング14に対して軸線X回りに回転することが規制され、ロックリング14が軸線X回りに回転することが回転防止部材14bにより規制されるからである。
【0042】
図9に示すように、ロックリング14の突起部14aは、軸線X回りに90°ずつの等間隔で4箇所設けられている。4つの突起部14aを固定ナット13の溝部13cに係合させることにより、固定ナット13がロックリング14に対して軸線X回りに回転することが規制される。なお、ここでは、突起部14aを90°ずつの等間隔で4箇所に配置するものとしたが、2箇所以上の任意の箇所としてもよい。
【0043】
パッキン15は、プラグ10が液体収納容器30の開口部31に取り付けられた状態で、開口部31の上端31cと軸線X回りの全周に渡って接触した状態となる部材である。開口部31の上端31cとパッキン15とが接触することにより、軸線X回りに延びる無端状のシール領域が形成される。そのため、液体収納容器30の内部空間S1を加圧用気体によって加圧する場合であっても、液体収納容器30の開口部31とプラグ10の隙間から加圧用気体が外部へ漏れ出す不具合を抑制することができる。
【0044】
封止キャップ(封止部)16は、液体収納容器30に収納された液体がプラグ10を介して外部へ流出することを防止するものである。
図3および
図4に示すように、封止キャップ16は、封止部材16aと封止部材16aに連結されたキャップ部材16bとを有する。また、封止キャップ16の外周面には雄ねじ16cが形成されている。雄ねじ16cは、固定ナット13の内周面の上方に形成された雌ねじ13bに締結される。
【0045】
封止キャップ16は、雄ねじ16cの下端が固定ナット13の雌ねじ13bの上端に接触した状態で、軸線Xを中心として時計周りの締結方向に回転することにより固定ナット13に締結される。一方、封止キャップ16は、軸線Xを中心として反時計周りの解除方向に回転することにより、固定ナット13との締結が解除される。
【0046】
なお、封止キャップ16のキャップ部材16bは、樹脂材料(例えば、HDPE(高密度ポリエチレン))により形成されているが、紫外線等に対する遮光性を有する着色剤を混入した樹脂材料を用いるのが望ましい。遮光性を有する樹脂材料を用いることにより、薬液が紫外線等により硬化する不具合を抑制することができる。
【0047】
次に、液体取出システム100が備える液体収納容器30について説明する。
図4に示すように、液体収納容器30は、
図1に示すように、鉛直方向に延びる軸線Xに沿って円筒状に形成される容器であり、液体を内部に収容可能となっている。液体収納容器30は、耐薬品性のある樹脂材(例えば、HDPE(高密度ポリエチレン))により形成されている。
【0048】
液体収納容器30は、外周面31aに雄ねじ(第1雄ねじ)32が形成された円筒状の開口部31が上端に形成された容器である。液体収納容器30は、開口部31を介して注入された液体(半導体製造装置で用いる薬液等)を内部に収納する。
図4に示すように、液体収納容器30は、開口部31から側方へ突出するハンドル33を有する。作業者は、ハンドル33を手で把持することにより、内部に液体が収納された液体収納容器30を容易に運搬することができる。
【0049】
以上説明した本実施形態が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態のプラグ10によれば、液体収納容器30の開口部31の内周面31bにプラグ本体11を取り付けた状態で固定ナット13の雌ねじ13aを開口部31の雄ねじ32に締結することにより、固定ナット13が開口部31に取り付けられる。また、封止キャップ16の雄ねじ16cあるいは取付リング22の雄ねじ22bを固定ナット13の雌ねじ13bに締結することにより、他の部材(封止キャップ16あるいは取付リング22)が固定ナット13に取り付けられる。他の部材を固定ナット13から取り外すために解除方向に回転させる場合、他の部材から固定ナット13に解除方向に回転させる力が伝達される。
【0050】
ここで、固定ナット13にロックリング14を挿入した状態で、固定ナット13がロックリング14に対して軸線X回りに回転することが規制されている。そのため、固定ナット13が解除方向に回転する場合には、固定ナット13と一体となってロックリング14も解除方向に回転する。そして、固定ナット13に取り付けられた状態で、ハンドル33よりも解除方向の上流側には、回転防止部材14bが配置されている。そのため、固定ナット13が解除方向に回転したとしても、回転防止部材14bがハンドル33と接触し、ロックリング14が解除方向に回転することが防止される。また、ロックリング14と一体となって回転する固定ナット13も、解除方向に回転することが防止される。よって、固定ナット13が解除方向に回転したとしても、回転防止部材14bがハンドル33と接触した後は更に固定ナット13が解除方向に回転することはない。
このように、本実施形態のプラグ10によれば、液体収納容器30から液体を取り出す構造を簡易な構造で実現しつつ液体収納容器30の開口部313からプラグ10が外れて液体が漏出する不具合を防止することができる。
【0051】
本実施形態のプラグ10において、固定ナット13の下端における外周面には、軸線Xに対して外側へ突出する突起部13dが形成されており、ロックリング14の内周面には、軸線X回りの周方向に延びる溝部14cが形成されている。また、ロックリング14は、突起部13dを溝部14cに圧入した状態で固定ナット13に固定される。
本実施形態のプラグ10によれば、突起部13dを溝部14cに圧入した状態でロックリング14が固定ナット13に固定される。そのため、ロックリング14を固定ナット13に取り付けた後にロックリング14が固定ナット13から不用意に取り外されることが防止される。
【0052】
本実施形態のプラグ10において、回転防止部材14bは、突起部13dを溝部14cに圧入する前にハンドル33よりも解除方向の上流側に配置された状態となる。
このようにすることで、突起部13dを溝部14cに圧入する際に作業者がロックリング14に強い力を加えたとしても、その力によって回転防止部材14bが解除方向に回転し、ハンドル33よりも解除方向の下流側に過って配置されてしまうような不具合を防止することができる。
【0053】
〔他の実施形態〕
以上の説明において、ロックリング14の回転防止部材14bは、固定ナット13に取り付けられた状態で解除方向におけるハンドル33の上流側および下流側の双方を挟むように配置されるものであったが、他の態様であってもよい。例えば、ロックリング14の回転防止部材14bは、固定ナット13に取り付けられた状態で解除方向におけるハンドル33の上流側のみに配置されるものであってもよい。解除方向におけるハンドル33の上流側のみに回転防止部材14bを配置しても、固定ナット13を解除方向に回転させると回転防止部材14bがハンドル33に接触するため、固定ナット13が外れる不具合が防止される。
【0054】
また、以上の説明において、封止キャップ16は封止部材16aとキャップ部材16bとを連結したものとした。また、キャップ部材16bは、紫外線等に対する遮光性を有する着色剤を混入した樹脂材料を用いるのが望ましいものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、
図10に示す変形例にかかる液体取出システム100Aにおいては、プラグ10Aの封止キャップ16Aを単一の部材で形成し、封止キャップ16Aを覆うように遮光性を有する遮光キャップ17を配置する構成としてもよい。本構成においては、封止キャップ16Aを着色剤が混入されていない樹脂材料により形成することができる。そのため、液体収納容器30に収容される液体が着色剤により汚染されることがない点で有利である。
【符号の説明】
【0055】
10 プラグ
11 プラグ本体(本体部)
12 サイフォン管
13 固定ナット
13a 雌ねじ(第1雌ねじ)
13b 雌ねじ(第2雌ねじ)
13c 溝部
13d 突起部
14 ロックリング(回転防止部)
14a 突起部
14b 回転防止部材
14c 溝部
14d 切欠部
15 パッキン
16 封止キャップ(封止部)
16a 封止部材
16b キャップ部材
16c 雄ねじ(第2雄ねじ)
17 遮光キャップ
20 ソケット
21 ソケット本体
22 取付リング
22a 環状突起部
22b 雄ねじ
23 バルブ
24,25 Oリング
30 液体収納容器
30a 底面
31 開口部
31a 外周面
31b 内周面
31c 上端
32 雄ねじ(第1雄ねじ)
33 ハンドル
100 液体取出システム
S1 内部空間
X 軸線