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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】ポータブル寝具
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/00 20060101AFI20220114BHJP
   A45C 5/03 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
A47C27/00 C
A47C27/00 D
A45C5/03
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017171031
(22)【出願日】2017-09-06
(65)【公開番号】P2019042364
(43)【公開日】2019-03-22
【審査請求日】2020-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】西川 康行
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05611414(US,A)
【文献】実開平07-034720(JP,U)
【文献】特開2017-131429(JP,A)
【文献】実開昭60-63223(JP,U)
【文献】特開2000-175718(JP,A)
【文献】特開2012-245155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 17/00-19/22
A47C 27/00-22
A45C 5/00-14
A45C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
持ち運ばれて使用されるポータブル寝具であって、
スーツケースの内部に収容される寝具本体と、
前記寝具本体に固定されており、前記スーツケースの内面に貼り付けられる貼り付け部と、
を備え、
前記寝具本体は、前記貼り付け部によって前記内面に沿うように前記内面に貼り付けられ
前記ポータブル寝具は、ポータブルマットレスと、ポータブルピローとを含み、
前記スーツケースは、開かれた状態で2つの凹部を形成し、
各前記凹部は、複数の前記内面によって形成されており、
前記貼り付け部は、第1の貼り付け部と第2の貼り付け部とを含み、
前記ポータブルマットレスは、前記第1の貼り付け部を介して、前記2つの凹部のうちの一方の前記凹部の前記内面に貼り付けられ、
前記ポータブルマットレスは、前記第2の貼り付け部を介して、前記2つの凹部のうちの他方の前記凹部の前記内面に貼り付けられ、
前記ポータブルマットレスは、鉛直上方に向けられる凹凸部を有し、
前記ポータブルマットレスは、前記凹凸部が前記スーツケースの内側を向いた状態で前記内面に貼り付けられ、
前記ポータブルピローの一部及び残部が複数の前記内面のそれぞれに貼り付けられ、
前記ポータブルピローは、前記一部及び残部が互いに貼り付けられることによって形成される、
ポータブル寝具。
【請求項2】
前記ポータブルマットレスは、前記スーツケースの内面に沿って前記ポータブルマットレスを折り曲げる折り曲げ部を有する、
請求項1に記載のポータブル寝具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち運ばれて使用されるポータブル寝具に関する。
【背景技術】
【0002】
旅行等のときに持ち運ばれるポータブル寝具については、従来から種々のものが知られている。ポータブル寝具の一種として、例えば、ホテル等の宿泊施設の寝具が合わないとき、又は好みの寝具を使用したいとき等に持ち運びされるポータブルマットレスがある。ポータブルマットレスは、スポーツ選手の遠征時等にも持ち運びされる。このように、ポータブル寝具は、旅行又は遠征時等に持ち運ばれて使用される。
【0003】
実用新案登録第3127204号公報には、折り畳み式マットレスが記載されている。折り畳み式マットレスは、長方形状に延びるマットレス本体と、マットレス本体の外縁に設けられるヘムテープとを備える。マットレス本体は、マットレス本体の幅方向に延びる複数の縫着部を有し、各縫着部を境目として折り畳み可能とされている。マットレス本体には吊り下げ具が固定されており、折り畳まれたマットレス本体は、吊り下げ具を持ち上げることによって持ち運び可能とされる。
【0004】
実用新案登録第3130198号公報には、持ち運びされると共に床ずれを防止するマットセットが記載されている。マットセットは、複数の防水袋、吸水性ポリマー及びカバー袋を含むマットクッションを備える。複数の防水袋、吸水性ポリマー及びカバー袋のそれぞれは携帯ケースの内部に収納されて持ち運びされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3127204号公報
【文献】実用新案登録第3130198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した折り畳み式マットレスは、折り畳んで吊り下げ具を持ち上げることによって持ち運びされる。また、前述のマットセットは、マットクッションの各部が携帯ケースに収納されて持ち運びされる。この折り畳み式マットレス及びマットセットのようなポータブル寝具は、持ち運びは可能であるもののポータブル寝具そのものが荷物となる。
【0007】
前述したポータブル寝具は、寝具が折り畳まれるものであったり、携帯ケースに収納されたりするものであるが、荷物として持ち運ぶときにかさばるという問題がある。すなわち、これらのポータブル寝具は、通常の荷物とは別に持ち運ばれるものであるため、荷物の数が多くなり煩わしいという問題がある。
【0008】
また、前述したマットセットは、単に携帯ケースに収納されるものである。このため、携帯ケースの内部空間のうち、マットクッションが占める割合が大きいので、他の荷物を携帯ケースに入れるのは困難である。よって、他の荷物を持ち運ぶためには携帯ケース以外のケースを使用しなければならないため、結局荷物の数が多くなり煩わしいという問題が生じうる。このように、従来のポータブル寝具は、かさばるものであると共に他の荷物と併せて持ち運ぶことが困難であるため、せっかく購入しても使われなくなることが多いという現状がある。
【0009】
本発明は、前述した問題に鑑みてなされたものであり、かさばらないようにすることができると共に、他の荷物と共に容易に持ち運ぶことができるポータブル寝具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るポータブル寝具は、持ち運ばれて使用されるポータブル寝具であって、スーツケースの内部に収容される寝具本体と、寝具本体に固定されており、スーツケースの内面に貼り付けられる貼り付け部と、を備え、寝具本体は、貼り付け部によって内面に沿うように内面に貼り付けられる。ポータブル寝具は、ポータブルマットレスと、ポータブルピローとを含み、スーツケースは、開かれた状態で2つの凹部を形成し、各凹部は、複数の内面によって形成されており、貼り付け部は、第1の貼り付け部と第2の貼り付け部とを含み、ポータブルマットレスは、第1の貼り付け部を介して、2つの凹部のうちの一方の凹部の内面に貼り付けられ、ポータブルマットレスは、第2の貼り付け部を介して、2つの凹部のうちの他方の凹部の内面に貼り付けられ、ポータブルマットレスは、鉛直上方に向けられる凹凸部を有し、ポータブルマットレスは、凹凸部がスーツケースの内側を向いた状態で内面に貼り付けられ、ポータブルピローの一部及び残部が複数の内面のそれぞれに貼り付けられ、ポータブルピローは、前記一部及び残部が互いに貼り付けられることによって形成される。
【0011】
このポータブル寝具では、寝具本体に貼り付け部が固定されており、貼り付け部をスーツケースの内面に貼り付けることによって寝具本体が当該内面に沿うように配置される。従って、寝具本体がスーツケースの内面に貼り付けられることによって寝具本体をスーツケースの内部に固定することができる。従って、スーツケースに収容されたポータブル寝具を持ち運びすることができるので、荷物の数が多くなることを抑制することができる。また、ポータブル寝具は、寝具本体が貼り付け部を介してスーツケースの内面に貼り付けられた状態で持ち運ばれるため、持ち運びのときに寝具本体がスーツケースの内部でばたつく事態を抑制することができる。更に、寝具本体はスーツケースの内面に沿うように当該内面に貼り付けられるので、内面に沿って貼り付けられた寝具本体の内側に他の荷物を収容することができる。従って、スーツケースの内面に沿って貼り付けられた寝具本体の内側に他の荷物を収容することができるので、ポータブル寝具を他の荷物と共に容易に持ち運ぶことができる。更に、スーツケースの内部において、他の荷物の外側に寝具本体が貼り付けられているため、寝具本体をクッション材として機能させることができる。
【0012】
また、ポータブルマットレスは、スーツケースの内面に沿ってポータブルマットレスを折り曲げる折り曲げ部を有してもよい。この場合、スーツケースの2つ以上の内面に沿ってポータブルマットレスを折り曲げて貼り付けることができる。従って、ポータブルマットレスを折り曲げ部を介して折り曲げて貼り付けることにより、より大きなポータブルマットレスを2つ以上の内面に沿って効率よく貼り付けることができる。よって、ポータブル寝具の携帯性を高めることができる。
【0013】
また、スーツケースの複数の内面のそれぞれに貼り付けられる寝具本体の一部及び残部を備え、一部及び残部を合体させることによって寝具本体が形成される。従って、一部及び残部を組み合わせて大型の寝具本体を形成することができるので、ポータブル寝具の携帯性をより高めることができる。
【0014】
また、凹凸部がスーツケースの内側を向くように寝具本体が貼り付けられる。よって、寝具本体の内側に収容された他の荷物に対し、寝具本体のクッション性を高めることができる。従って、当該他の荷物がスーツケースの内部でばたついたとしても、その衝撃をクッション性が高い凹凸部によって確実に和らげることができるので、他の荷物が破損する問題をより確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、かさばらないようにすることができると共に、他の荷物と共に容易に持ち運ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係るポータブル寝具を備えたスーツケースの例を示す斜視図である。
図2図1のスーツケースを開いた状態及びポータブル寝具を示す斜視図である。
図3図2のポータブル寝具のポータブルマットレスとスーツケースを示す断面図である。
図4図3のポータブルマットレスを拡げた状態を示す斜視図である。
図5図3のポータブルマットレスの折り曲げ部を拡大した断面図である。
図6図3のポータブルマットレスを示す底面図である。
図7】(a)及び(b)は、図2のポータブル寝具のポータブルピローを組み立てる手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照しながら本発明に係るポータブル寝具の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解を容易にするため一部を誇張して描いており、寸法等は図面に記載のものに限定されない。
【0018】
本明細書において、「ポータブル寝具」とは、持ち運びが可能な寝具を示しており、例えば、旅行、出張又は遠征のときに持ち運ばれる寝具を含む。「寝具」とは、寝具の使用者が身体を休めたり睡眠をとったりするときに使用者の身体に当てられるものであり、典型的には、マットレス、枕、布団、座布団又はクッションである。「寝具本体」とは、寝具の機能を発揮する寝具の本体部分を示しており、例えば、後述する「貼り付け部」以外の部分である。「貼り付け部」とは、寝具本体を寝具本体以外のものに貼り付ける部位を示している。
【0019】
図1及び図2に示されるように、本実施形態に係るポータブル寝具10は、スーツケース1の内部に貼り付けられて持ち運ばれる。ポータブル寝具10は、スーツケース1の内面に沿うように貼り付けられるので、スーツケース1には、通常の荷物(ポータブル寝具10以外の荷物)を収容することが可能である。ポータブル寝具10は、例えば、スポーツ選手が遠征に行くときに用いられる寝具であってもよいし、宿泊施設の寝具が合わない旅行者によって旅行に行くときに持ち運ばれる寝具であってもよい。また、ポータブル寝具10は、労働者が出張に行くときに持ち運ばれる寝具であってもよい。
【0020】
まず、スーツケース1について説明する。スーツケース1は、例えば、高さ方向D1、厚さ方向D2、及び幅方向D3に延びる直方体状を成している。一例として、スーツケース1の高さ(高さ方向D1の長さ)は80cm以上且つ110cm以下であり、スーツケース1の厚さ(厚さ方向D2の長さ)は25cm以上且つ60cm以下であり、スーツケース1の幅(幅方向D3の長さ)は、40cm以上且つ80cm以下である。
【0021】
スーツケース1の下部には、スーツケース1をスムーズに移動させるための複数(例えば4個)のキャスタ2が設けられる。スーツケース1は、キャスタ2が設けられる下面1aと、下面1aの反対側を向く上面1bと、下面1a及び上面1bに交差する方向に向けられる第1側面1c及び第2側面1dとを有する。
【0022】
上面1bには、スーツケース1を把持するための第1取っ手3が設けられている。第1側面1c及び第2側面1dは、スーツケース1の表裏に一対に設けられる。第1側面1cは、高さ方向D1及び幅方向D3に延びるスーツケース1の最も広い面である。一対の第2側面1dのうちの一方には、横に傾けたスーツケース1を把持するための第2取っ手4が設けられている。また、下面1a、一方の第2側面1d及び上面1bには、ファスナーを含む開閉部5がスーツケース1の外周に沿って延びており、開閉部5のファスナーを開放することによってスーツケース1を開くことが可能である。
【0023】
図2は、スーツケース1を開いた状態を示す斜視図である。図2に示されるように、スーツケース1は、下面1a、一方の第2側面1d及び上面1bの開閉部5を境目として2つに開くことが可能である。スーツケース1は、開かれた状態において2つの凹部6を形成し、各凹部6に旅行用、遠征用又は出張用の荷物(衣類、生活用品、飲食物、書類又は書籍等)が収容される。
【0024】
図2及び図3に示されるように、各凹部6は、下面1aに対向する第1内面6aと、上面1bに対向する第2内面6bと、第1側面1cに対向する底面となる第3内面6cと、第2側面1dに対向する第4内面6d及び第5内面6eとによって形成される。第4内面6dは幅方向D3の両端側に位置し、第5内面6eは幅方向D3の中央側に位置する。また、第1内面6a、第2内面6b、第3内面6c、第4内面6d及び第5内面6eは、スーツケース1に収容される荷物を傷めないように、布製とされている。
【0025】
スーツケース1が開かれた状態において、第4内面6d、第3内面6c及び第5内面6eは幅方向D3に沿って並ぶように配置され、第1内面6a、第3内面6c及び第2内面6bは高さ方向D1に沿って並ぶように配置される。第4内面6d、第3内面6c及び第5内面6eには、2つの凹部6を連結する下布7が敷かれている。下布7には、ポータブル寝具10を第4内面6d、第3内面6c及び第5内面6eに貼り付ける複数の貼り付け部8が固定されている。貼り付け部8は、面ファスナーであるが、ポータブル寝具10を貼り付け可能なものであれば、例えばボタン等、面ファスナー以外のものを用いることも可能である。
【0026】
貼り付け部8は、例えば、各第4内面6dの上部、各第3内面6cの幅方向D3の中央、及び各第5内面6eの上部、のそれぞれに固定されている。ポータブル寝具10は、貼り付け部8に接合される貼り付け部11(図6参照)を備える。貼り付け部11は、貼り付け部8と同様、面ファスナーであるが、例えばボタン等、面ファスナー以外のものであってもよい。
【0027】
ポータブル寝具10は、例えば、ポータブルマットレス10A(寝具本体)と、ポータブルピロー10B(寝具本体)とを含む。ポータブルマットレス10A及びポータブルピロー10Bのそれぞれには貼り付け部11が固定されている。貼り付け部11が貼り付け部8に貼り付けられることにより、ポータブルマットレス10A及びポータブルピロー10Bは第1内面6a、第3内面6c、第4内面6d及び第5内面6eに貼り付け可能となる。
【0028】
一例として、ポータブルマットレス10Aは、スーツケース1の一方の凹部6の第4内面6d、第3内面6c及び第5内面6e、並びに、他方の凹部6の第5内面6e、第3内面6c及び第4内面6dのそれぞれに沿うように貼り付けられる。ポータブルピロー10Bは、持ち運ばれるときには2分割されている。ポータブルピロー10Bの一部10Cは一方の凹部6の第1内面6aに沿うように貼り付けられ、ポータブルピロー10Bの残部10Dは他方の凹部6の第1内面6aに沿うように貼り付けられる。なお、一部10C及び残部10Dは第2内面6bに沿うように貼り付けられてもよい。
【0029】
ポータブルマットレス10A及びポータブルピロー10Bは、貼り付け部11,8を介して第1内面6a、第3内面6c、第4内面6d及び第5内面6eに貼り付けられており、内面6a,6c,6d,6eに対して着脱自在である。すなわち、ポータブルマットレス10A及びポータブルピロー10Bの使用時には、各貼り付け部8から各貼り付け部11を剥がして、ポータブルマットレス10A及びポータブルピロー10Bを各凹部6から取り出すことによって使用可能である。
【0030】
図4に示されるように、ポータブルマットレス10Aは、各凹部6から取り出された後に開かれて使用される。ポータブルマットレス10Aは、長手方向A1及び幅方向A2に延びる長方形状とされ、厚さ方向A3に例えば5cm以上且つ15cm以下の厚さを有する。ポータブルマットレス10Aがスーツケース1の内部に収容されるときに、長手方向A1はスーツケース1の幅方向D3に一致し、幅方向A2はスーツケース1の高さ方向D1に一致し、厚さ方向A3はスーツケース1の各内面6c,6d,6eに交差(直交)する方向に一致する。ポータブルマットレス10Aは、第4内面6dに対向する第1の部分12と、各第3内面6cに対向する第2の部分13と、各第5内面6eに対向する第3の部分14と、2つの凹部6の連結部分に位置する第4の部分15と、を備える。
【0031】
第1の部分12、第2の部分13及び第3の部分14は、第4の部分15に対して互いに対称となるように一対に配置される。また、第1の部分12と第2の部分13の境目部分、第2の部分13と第3の部分14の境目部分、及び第3の部分14と第4の部分15の境目部分、のそれぞれには折り曲げ部16が設けられている。各折り曲げ部16は、例えば、幅方向A2に沿って直線状に延びている。
【0032】
ポータブルマットレス10Aは、柔軟性が高い素材によって構成されているため、折り曲げ部16に沿って容易に折り曲げることが可能である。また、図5に示されるように、折り曲げ部16は、ポータブルマットレス10Aの他の部分よりも薄く形成されているため、スーツケース1の各内面6c,6d,6eに沿ってポータブルマットレス10Aを容易に折り曲げることが可能である。また、折り曲げ部16は、ポータブルマットレス10Aを厚さ方向A3に切り込むスリット状に形成されているため、この折り曲げ部16が設けられることにより、ポータブルマットレス10Aの通気性を高めることができると共に、体圧分散性を高めることができる。
【0033】
ポータブルマットレス10Aは、鉛直上方に向けられる凹凸部17を有する。凹凸部17は、ポータブルマットレス10Aの鉛直上方において波形形状を成していてもよい。凹凸部17は、例えば、長手方向A1に沿って並設されている。凹凸部17の複数の波形形状が幅方向A2に沿って並設されている。なお、凹凸部17の形状は、長手方向A1に沿って並設される形状に限定されず、長手方向A1及び幅方向A2に二次元的に延びていてもよい。このように、鉛直上方に向けられる凹凸部17を備えることにより、ポータブルマットレス10Aの使用時に凹凸部17に使用者の身体が乗せられる場合に、凹凸部17によって体圧を分散しやすくすることができる。
【0034】
図6は、ポータブルマットレス10Aの底面図である。図6に示されるように、ポータブルマットレス10Aには、12個の貼り付け部11が固定されている。各貼り付け部11は、ポータブルマットレス10Aの長辺に沿って配置される。貼り付け部11は、例えば、ポータブルマットレス10Aの四角(すなわち各第1の部分12の長手方向A1の端部)、各第2の部分13の長手方向A1の中央、及び、各第3の部分14の長手方向A1中央側のそれぞれに配置されている。このように、貼り付け部11がポータブルマットレス10Aの長辺に沿って配置されることにより、スーツケース1の各内面6c,6d,6eに沿うように確実にポータブルマットレス10Aを貼り付けることができる。
【0035】
図7(a)及び図7(b)は、ポータブルピロー10Bを示す図である。図2図7(a)及び図7(b)に示されるように、ポータブルピロー10Bの一部10C及び残部10Dのそれぞれは、各第1内面6aに着脱自在に貼り付けられる。一部10C及び残部10Dのそれぞれは、一方向に長く延びる直方体状とされており、共に柔軟性が高い素材によって形成されている。
【0036】
一部10C及び残部10Dには貼り付け部11が固定されており、各貼り付け部11は、一部10C及び残部10Dの長手方向の端部に固定されている。ポータブルピロー10Bの使用時には、一部10C及び残部10Dを各第1内面6aから取り外し、一部10Cの貼り付け部11と残部10Dの貼り付け部11とを互いに貼り合わせることにより、ポータブルピロー10Bが形成される。このように、ポータブルピロー10Bは、一部10C及び残部10Dが組み合わされて形成される。よって、持ち運び時にはコンパクトに収容することができると共に、使用時には厚みを持たせたポータブルピロー10Bとすることができる。
【0037】
次に、本実施形態に係るポータブル寝具10の作用効果についてより詳細に説明する。ポータブル寝具10では、ポータブルマットレス10A及びポータブルピロー10Bのそれぞれに貼り付け部11が固定されており、貼り付け部11をスーツケース1の内面6a,6c,6d,6eに貼り付けることによってポータブルマットレス10A及びポータブルピロー10Bをスーツケース1の内部に固定することができる。
【0038】
従って、スーツケース1の内部に固定されたポータブル寝具10を持ち運びすることができるので、荷物の数が多くなることを抑制することができる。また、図2及び図3に示されるように、ポータブル寝具10は、ポータブルマットレス10A及びポータブルピロー10Bが貼り付け部11,8を介してスーツケース1の内面6a,6c,6d,6eに貼り付けられた状態で持ち運ばれる。よって、持ち運びのときにポータブルマットレス10A及びポータブルピロー10Bがばたつく事態を抑制することができる。
【0039】
更に、ポータブルマットレス10A及びポータブルピロー10Bはスーツケース1の内面6a,6c,6d,6eに沿うように内面6a,6c,6d,6eに貼り付けられるので、内面6a,6c,6d,6eに沿って貼り付けられたポータブルマットレス10A及びポータブルピロー10Bの内側に他の荷物を収容することができる。
【0040】
従って、スーツケース1の内面6a,6c,6d,6eに沿って貼り付けられたポータブルマットレス10A及びポータブルピロー10Bの内側に他の荷物を収容することができるので、ポータブル寝具10を他の荷物と共に容易に持ち運ぶことができる。更に、スーツケース1の内部において、他の荷物の外側にポータブルマットレス10A及びポータブルピロー10Bが貼り付けられているため、ポータブルマットレス10A及びポータブルピロー10Bを他の荷物に対するクッション材として機能させることができる。その結果、他の荷物の破損を抑制できる効果も得られる。
【0041】
また、図4に示されるように、ポータブルマットレス10Aは、スーツケース1の内面6c,6d,6eに沿って折り曲げられる折り曲げ部16を有する。よって、スーツケース1の2つ以上の内面6c,6d,6eに沿ってポータブルマットレス10Aを折り曲げて貼り付けることができる。従って、ポータブルマットレス10Aを折り曲げ部16を介して折り曲げて貼り付けることにより、大きなポータブルマットレス10Aを2つ以上の内面6c,6d,6eに沿って効率よく貼り付けることができる。よって、ポータブル寝具10の携帯性を高めることができる。
【0042】
また、図2図7(a)及び図7(b)に示されるように、スーツケース1は、複数の内面6aを有し、ポータブルピロー10Bの一部10C及び残部10Dが複数の内面6aのそれぞれに貼り付けられ、ポータブルピロー10Bは、一部10C及び残部10Dが互いに貼り付けられることによって形成される。すなわち、スーツケース1の複数の内面6aのそれぞれに貼り付けられるポータブルピロー10Bの一部10C及び残部10Dを備え、一部10C及び残部10Dを合体させることによってポータブルピロー10Bが形成される。従って、一部10C及び残部10Dを組み合わせて大型のポータブルピロー10Bを形成することができるので、ポータブル寝具10の携帯性をより高めることができる。
【0043】
また、図3に示されるように、ポータブルマットレス10Aは、鉛直上方に向けられる凹凸部17を有し、ポータブルマットレス10Aは、凹凸部17がスーツケース1の内側を向いた状態で内面6c,6d,6eに貼り付けられる。すなわち、凹凸部17がスーツケース1の内側を向くようにポータブルマットレス10Aが貼り付けられる。よって、ポータブルマットレス10Aの内側に収容された他の荷物に対し、ポータブルマットレス10Aのクッション性を高めることができる。従って、当該他の荷物がスーツケース1の内部でばたついたとしても、その衝撃をクッション性が高い凹凸部17によって確実に和らげることができるので、他の荷物が破損する問題をより確実に抑制することができる。
【0044】
以上、本発明に係るポータブル寝具の実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形してもよい。すなわち、本発明に係るポータブル寝具の構成は、上記の要旨を変更しない範囲において種々の変形が可能である。
【0045】
例えば、前述の実施形態では、複数の折り曲げ部16を有すると共に、鉛直上方に向けられる凹凸部17を備えたポータブルマットレス10Aについて説明した。しかしながら、折り曲げ部の形状、大きさ、材料、数及び配置態様は適宜変更可能である。また、凹凸部の形状、大きさ及び配置態様は適宜変更可能である。更に、凹凸部を省略することも可能である。
【0046】
また、前述の実施形態では、各内面6aに貼り付けられる一部10C及び残部10Dを備えたポータブルピロー10Bについて説明したが、ポータブルピロー10Bの形状、大きさ及び材料は適宜変更可能である。更に、ポータブルピローが備える一部及び残部の数は3つ以上であってもよいし、一体のポータブルピローであってもよい。また、このように分割される寝具本体の種類は、ポータブルピローに限られず、マットレス、布団又はクッションが分割されて各内面に貼り付けられてもよい。
【0047】
また、前述の実施形態では、内面6c,6d,6eに沿って貼り付けられるポータブルマットレス10Aについて説明したが、ポータブルマットレス10Aの形状、大きさ及び材料は適宜変更可能である。更に、スーツケースの内面に沿って貼り付けられる寝具本体の配置態様は適宜変更可能である。例えば、寝具本体は、スーツケースの内面に沿うと共に1回以上折り返された状態で当該内面に貼り付けられてもよい。この場合、より大型の寝具本体であってもかさばることなくスーツケースの内部に収容できる。更に、複数の寝具本体が重ねられた状態で当該内面に貼り付けられてもよい。
【0048】
また、前述の実施形態では、ポータブルマットレス10A及びポータブルピロー10Bを含むポータブル寝具10について説明した。しかしながら、ポータブル寝具の寝具本体の種類は、マットレス及び枕に限られず適宜変更可能である。例えば、ポータブル寝具の寝具本体は、布団、カバー、座布団又はクッションであってもよい。
【0049】
また、前述の実施形態では、第4内面6dの上部、第3内面6cの幅方向D3の中央及び第5内面6eの上部、のそれぞれに固定されている貼り付け部8について説明した。しかしながら、貼り付け部8の配置態様、形状、大きさ及び数は適宜変更可能である。貼り付け部11についても同様である。
【0050】
また、前述の実施形態では、2つの凹部6を有し、2つの凹部6が下布7を介して連結されるスーツケース1について説明した。しかしながら、凹部の形状、大きさ、数及び配置態様は適宜変更可能である。また、複数の凹部を連結する構造についても適宜変更可能である。
【0051】
また、前述の実施形態では、キャスタ2、第1取っ手3、第2取っ手4及び開閉部5を備えるスーツケース1について説明した。しかしながら、スーツケースの形状及び大きさ、並びに、キャスタ、取っ手及び開閉部の形状、大きさ、数、材料及び配置位置は、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0052】
1…スーツケース、1a…下面、1b…上面、1c…第1側面、1d…第2側面、2…キャスタ、3…第1取っ手、4…第2取っ手、5…開閉部、6…凹部、6a…第1内面(内面)、6b…第2内面(内面)、6c…第3内面(内面)、6d…第4内面(内面)、6e…第5内面(内面)、7…下布、8,11…貼り付け部、10…ポータブル寝具。10A…ポータブルマットレス(寝具本体)、10B…ポータブルピロー(寝具本体)、10C…一部、10D…残部、12…第1の部分、13…第2の部分、14…第3の部分、15…第4の部分、16…折り曲げ部、17…凹凸部、A1…長手方向、A2…幅方向、A3…厚さ方向、D1…高さ方向、D2…厚さ方向、D3…幅方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7