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  • 特許-ピッチングマシーン 図1
  • 特許-ピッチングマシーン 図2
  • 特許-ピッチングマシーン 図3
  • 特許-ピッチングマシーン 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】ピッチングマシーン
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/40 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
A63B69/40 511B
A63B69/40 511J
A63B69/40 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018171629
(22)【出願日】2018-09-13
(65)【公開番号】P2020039796
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-04-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597100170
【氏名又は名称】スポーツ・ワン・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】厚東 勝
(72)【発明者】
【氏名】厚東 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】青木 政秀
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-201777(JP,A)
【文献】登録実用新案第3163131(JP,U)
【文献】特開平09-253263(JP,A)
【文献】特開2001-299979(JP,A)
【文献】実開昭57-051577(JP,U)
【文献】特開平02-309982(JP,A)
【文献】特表2018-505716(JP,A)
【文献】特開昭49-096833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/36-69/40
B65G 33/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
打者に向けてボールを投げ出す投球装置と、複数球のボールを収容したボール収容装置と、ボール収容装置から投球装置にボールを1球ずつ搬送するボール搬送装置とを有するピッチングマシーンにおいて、
ボール搬送装置の前側に投球装置とボール収容装置とを上下に並べて配置し、
ボール搬送装置は、上下に向けて伸延し回転する左右一対の螺旋翼の下端側でボール収容装置と接続するとともに、前記左右一対の螺旋翼の上端側で投球装置と接続し、
左右一対の螺旋翼は、逆向きに形成され、左右にボールの直径よりも狭い間隔をあけ、それぞれ逆向きに回転させ
左右一対の螺旋翼の間の後側に支柱を設け、左右一対の螺旋翼の上部間に前方へ向けて湾曲させた案内板を取付けて、左右一対の螺旋翼の下部間の前側でボール収容装置と接続するとともに、左右一対の螺旋翼の上部間の前側で案内板を介して投球装置と接続したことを特徴とするピッチングマシーン。
【請求項2】
前記案内板よりも下方にボールを検出するセンサーを設け、センサーでボールを検出したら前記左右一対の螺旋翼を一旦停止させ、その後、センサーで次のボールを検出するまで前記左右一対の螺旋翼を駆動することによって、1球ずつボールを投球装置へと供給することを特徴とする請求項1に記載のピッチングマシーン。
【請求項3】
前記左右一対の螺旋翼の間隔を、使用するボールの直径に応じて調整できるようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のピッチングマシーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打者に向けてボールを投げ出すピッチングマシーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、野球の練習具や遊具として、回転するアームによってボールを投げ出すピッチングマシーンが広く利用されている。近年では、アーム式のものに替わり空気の圧力を利用してボールを発射する空気圧式のピッチングマシーンが開発されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
このピッチングマシーンを用いてボールを打者に向けて連続して断続的に投げ出せるようにするには、打者に向けてボールを投げ出す投球装置と、複数球のボールを収容したボール収容装置と、ボール収容装置から投球装置にボールを1球ずつ搬送するボール搬送装置とが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-33157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、ピッチングマシーンは、バッティングセンター等で特定場所に固定して使用される場合に限られず、グラウンド内等で移動して使用される場合もある。また、ピッチングマシーンは、設置される場所によって占有できる形状や面積などが異なる。
【0006】
そのため、ピッチングマシーンでは、様々な設置場所に対応できる仕様のものが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、請求項1に係る本発明では、打者に向けてボールを投げ出す投球装置と、複数球のボールを収容したボール収容装置と、ボール収容装置から投球装置にボールを1球ずつ搬送するボール搬送装置とを有するピッチングマシーンにおいて、ボール搬送装置の前側に投球装置とボール収容装置とを上下に並べて配置し、ボール搬送装置は、上下に向けて伸延し回転する左右一対の螺旋翼の下端側でボール収容装置と接続するとともに、前記左右一対の螺旋翼の上端側で投球装置と接続し、左右一対の螺旋翼は、逆向きに形成され、左右にボールの直径よりも狭い間隔をあけ、それぞれ逆向きに回転させ、左右一対の螺旋翼の間の後側に支柱を設け、左右一対の螺旋翼の上部間に前方へ向けて湾曲させた案内板を取付けて、左右一対の螺旋翼の下部間の前側でボール収容装置と接続するとともに、左右一対の螺旋翼の上部間の前側で案内板を介して投球装置と接続することにした。
【0008】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記案内板よりも下方にボールを検出するセンサーを設け、センサーでボールを検出したら前記左右一対の螺旋翼を一旦停止させ、その後、センサーで次のボールを検出するまで前記左右一対の螺旋翼を駆動することによって、1球ずつボールを投球装置へと供給することにした。
【0009】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記左右一対の螺旋翼の間隔を、使用するボールの直径に応じて調整できるようにした。
【発明の効果】
【0010】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0011】
すなわち、本発明では、打者に向けてボールを投げ出す投球装置と、複数球のボールを収容したボール収容装置と、ボール収容装置から投球装置にボールを1球ずつ搬送するボール搬送装置とを有するピッチングマシーンにおいて、ボール搬送装置は、上下に向けて伸延し回転する螺旋翼の下端側でボール収容装置と接続するとともに、螺旋翼の上端側で投球装置と接続することにしているために、ボール搬送装置の占有面積を小さくすることができるとともに、ボール搬送装置の前側又は後側に投球装置やボール収容装置を自由に配置することができるので、ピッチングマシーンが設置される場所の面積や形状に容易に対応させることができる。
【0012】
特に、前記ボール搬送装置の前側に前記投球装置と前記ボール収容装置とを上下に並べて配置することにした場合には、ピッチングマシーンの占有面積を小さくすることができる。
【0013】
また、前記ボール搬送装置と前記投球装置と前記ボール収容装置とを走行可能な架台に一体的に配設することにした場合には、グラウンド等で移動して使用することができ、ピッチングマシーンの使い勝手をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ピッチングマシーンを示す側面図。
図2】同正面図。
図3】同背面図。
図4】同部分拡大側面図(a)、部分拡大背面図(b)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係るピッチングマシーンの具体的な構成について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1図4に示すように、ピッチングマシーン1は、走行可能な架台2の上部に高さ調節手段3を取付け、高さ調節手段3の上部に投球装置4とボール収容装置5とボール搬送装置6とを載置している。高さ調節手段3は、下面に対して上面を昇降させることができる機構であればよく、ここでは、上下に垂直に昇降できるようになっている。
【0017】
これにより、ピッチングマシーン1は、架台2によって投球装置4とボール収容装置5とボール搬送装置6とを一体的に移動(運搬)させることができるようになっており、また、高さ調節手段3によって投球装置4とボール収容装置5とボール搬送装置6とを上下に昇降させることができるようになっている。
【0018】
投球装置4は、筐体7の前端面に形成した開口8から前方の打者に向けてボール9を投げ出す装置であればよく、ここでは、筐体7の内部に空気圧によってボール9を投げ出す機構を収容している。
【0019】
また、投球装置4は、高さ調節手段3の上部に取付けられた基台10に傾き調節手段11を介して前後傾動可能に取付けられている。傾き調節手段11は、投球装置4の前後の傾きを調節することができる機構であればよく、ここでは、後端部を支点に前側を上下に傾動させることができるようになっている。これにより、投球装置4は、高さ調節手段3によって投げ出すボール9の高さを調節することができるとともに、傾き調節手段11によって投げ出すボール9の角度を調節することができるようになっている。
【0020】
さらに、投球装置4は、筐体7の上部にボール9を供給するボール供給通路12を設けている。このボール供給通路12は、筐体7の上部に上下傾動可能に取付けられている。このボール供給通路12を介して投球装置4はボール搬送装置6の前側上部とボール9を受渡可能に接続されている。なお、ボール供給通路12は、前側を開口して打者からボール9が上下に通過するのを目視することができるようになっている。
【0021】
ボール収容装置5は、複数球のボール9を収容する装置であればよく、単なる容器であってもよいが、ここでは、箱型の筐体13の底14を前高後低状に傾斜させるとともに、後端部に収容されたボール9を撹拌するとともに中央後端部に搬送する撹拌搬送手段15を設けている。この撹拌搬送手段15を介してボール収容装置5はボール搬送装置6の前側下部とボール9を受渡可能に接続されている。これにより、ボール収容装置5は、筐体13の内部に収容した複数球のボール9を一球ずつ撹拌搬送手段15でボール搬送装置6に受け渡せるようになっている。
【0022】
ボール搬送装置6は、下方のボール収容装置5から上方の投球装置4にボール9を1球ずつ垂直上向き方向に向けて搬送する装置である。
【0023】
このボール搬送装置6は、基台16の上部の左右側及び後側にそれぞれ支柱17を垂直に取付けるとともに、支柱17の上端にカバー18を取付けて筐体19を形成している。
【0024】
また、ボール搬送装置6は、基台16とカバー18との間に左右一対の上下に垂直に伸延する搬送体20,21を回動自在に左右に間隔を開けて架設している。搬送体20,21の間の後側に支柱17を位置させている。搬送体20,21は、上下に垂直に伸延する円柱状の回転軸22,23の周囲にボール9の直径よりも若干広い間隔のスパイラル状の螺旋翼24,25を形成している。各搬送体20,21には、逆向きの螺旋翼24,25が形成されている。搬送体20,21は、螺旋翼24,25同士の間隔がボール9の直径よりも狭く、回転軸22,23同士の間隔がボール9の直径よりも若干広くなるようにしている。各搬送体20,21は、基台16の内部に収容した駆動手段でそれぞれ逆向きに回転するようになっている。また、使用するボール9の直径に応じて搬送体20,21の間隔を調整できるようにしてもよい。
【0025】
さらに、ボール搬送装置6は、一対の搬送体20,21の上部間に前方へ向けて湾曲させた側面視半円弧状の案内板26を取付けるとともに、案内板26よりも下方にボール9を検出するセンサー27を取付けている。案内板26の前方下部には投球装置4のボール供給通路12の上端開口が配置されている。ボール供給通路12の上端下部は筐体19(支柱17)の前側に取付けた滑車28で支持されている。
【0026】
このようにして、ボール搬送装置6は、搬送体20,21の下部間において前側でボール収容装置5と接続されており、搬送体20,21の上部間において前側で案内板26を介して投球装置4と接続されている。
【0027】
ピッチングマシーン1は、以上のように構成されており、制御装置29で制御されている。
【0028】
そして、制御装置29は、ボール収容装置5の撹拌搬送手段15を駆動させてボール9を1球ずつボール収容装置5の後部からボール搬送装置6の下側前部へと供給する。
【0029】
また、制御装置29は、ボール搬送装置6の駆動手段を駆動させて一対の搬送体20,21の螺旋翼24,25によって1球ずつボール9を挟みながら上方へ向けて垂直に搬送する。その際に、制御装置29は、センサー27でボール9を検出したら搬送体20,21を一旦停止させ、その後、センサー27で次の(下の)ボール9を検出するまで搬送体20,21を駆動することで、1球ずつボール9をボール搬送装置6の上側前部から投球装置4(ボール供給通路12)へと供給する。
【0030】
さらに、制御装置29は、投球装置4を駆動させてボール9を1球ずつ打者へ向けて投球する。その際に、制御装置29は、ボール搬送装置6からボール供給通路12に供給されたボール9がボール供給通路12を下方へ向けて通過して打者から目視できなくなったタイミングでそれよりも前に投球装置4に供給されていたボール9を打者へ向けて投球するようにしている。これにより、投球装置4から打者に向けて投げ出されるタイミングを打者が良好に認識することができるようにしている。
【0031】
以上に説明したように、上記ピッチングマシーン1は、打者に向けてボール9を投げ出す投球装置4と、複数球のボール9を収容したボール収容装置5と、ボール収容装置5から投球装置4にボール9を1球ずつ搬送するボール搬送装置6とを有するピッチングマシーン1において、ボール搬送装置6は、上下に向けて伸延し回転する螺旋翼24,25の下端側でボール収容装置5と接続するとともに、螺旋翼24,25の上端側で投球装置4と接続した構成となっている。
【0032】
そのため、上記構成のピッチングマシーン1では、ボール搬送装置6の占有面積を小さくすることができるとともに、ボール搬送装置6の前側又は後側に投球装置4やボール収容装置5を自由に配置することができるので、ピッチングマシーン1が設置される場所の面積や形状に容易に対応させることができる。
【0033】
また、上記ピッチングマシーン1は、ボール搬送装置6の前側に投球装置4とボール収容装置5とを上下に並べて配置した構成となっている。
【0034】
そのため、上記構成のピッチングマシーン1では、ピッチングマシーン1の設置場所での占有面積を小さくすることができる。
【0035】
さらに、上記ピッチングマシーン1は、ボール搬送装置6と投球装置4とボール収容装置5とを走行可能な架台2に一体的に配設した構成となっている。
【0036】
そのため、上記構成のピッチングマシーン1では、グラウンド等で移動して使用することができ、ピッチングマシーン1の使い勝手をより一層向上させることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 ピッチングマシーン 2 架台
3 高さ調節手段 4 投球装置
5 ボール収容装置 6 ボール搬送装置
7 筐体 8 開口
9 ボール 10 基台
11 傾き調節手段 12 ボール供給通路
13 筐体 14 底
15 撹拌搬送手段 16 基台
17 支柱 18 カバー
19 筐体 20,21 搬送体
22,23 回転軸 24,25 螺旋翼
26 案内板 27 センサー
28 滑車 29 制御装置
図1
図2
図3
図4