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特許7005018自発拍動心臓オルガノイド構築物およびそれを含む統合ボディ・オン・チップ装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】自発拍動心臓オルガノイド構築物およびそれを含む統合ボディ・オン・チップ装置
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/071 20100101AFI20220128BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
C12N5/071
C12Q1/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018517130
(86)(22)【出願日】2016-09-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-12-06
(86)【国際出願番号】 US2016054607
(87)【国際公開番号】W WO2017059171
(87)【国際公開日】2017-04-06
【審査請求日】2019-09-26
(31)【優先権主張番号】62/236,348
(32)【優先日】2015-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507189574
【氏名又は名称】ウェイク・フォレスト・ユニヴァーシティ・ヘルス・サイエンシズ
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】スカーダル,アレクサンダー
【審査官】佐久 敬
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0089238(US,A1)
【文献】特表2015-524674(JP,A)
【文献】特表2005-523417(JP,A)
【文献】国際公開第2014/181886(WO,A1)
【文献】特表2015-522072(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0287470(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0141620(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0342394(US,A1)
【文献】Acta Biomaterialia,(Oct. 1, 2015) Vol.25, p.24-34
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C12M
C12Q
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓構築物を作製する方法であって、
中間心臓構築物を形成させるために、生きた哺乳類の心臓細胞、フィブリノーゲン、ゼラチンおよび水を含む混合物を支持体上に堆積させるステップと、ここで、前記心臓細胞が凝集してオルガノイドを形成しており、
フィブリノーゲンを架橋し、フィブリンヒドロゲル中で共に自発拍動する生きた心臓細胞から構成される心臓構築物を作製するのに有効な量のトロンビンを、前記構築物に接触させるステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記中間構築物を支持するように、構造支持材を前記混合物とともに共堆積させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記心臓細胞が、オルガノイドの形態である心筋細胞が、懸滴培養および/またはその3dバイオプリンティングにより生成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記心臓構築物が、有効量のイソプロテレノールの投与によって頻度が増加し、有効量のキニジンの投与によって頻度が減少する自発拍動を示す、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記心臓構築物の心臓細胞がVEGF、アクチニンおよび/または心筋トロポニンTを発現する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、その開示がその全体として参照により本出願の一部をなすものである、2015年10月2日に出願した米国仮特許出願第62/236,348号の恩恵および優先権を主張するものである。
【0002】
[政府支援]
本発明は、宇宙海戦システム太平洋センター(Space and Naval Warfare Systems Center Pacific)(SSC PACIFIC)の国防脅威削減局(Defense Threat Reduction Agency)(DTRA)により授与された契約第N66001-13-C-2027号および国立がん研究所により交付された助成金第NCI CCSG P30CA012197号のもとでの政府支援によってなされた。米国政府は、本発明に対する一定の権利を有する。
【0003】
本発明は、in vitro生理学および薬理学研究に有用なオルガノイドならびにそれを含む統合システムに関する。
【背景技術】
【0004】
身体に対する薬剤ならびに化学剤および生物剤の効果を試験するための改善された生物学的モデルシステムが、決定的に必要とされている1,2。現在のところ、動物モデルは、試験のための究極の判断基準としての役割を果たしているが、動物における外部刺激に対する反応がヒトにおける反応を必ずしも予測するものでないため、そのようなモデルに関連する欠点としては、高い費用および結果の解釈の不確かさなどがある。種差および結果の変動のため、動物モデルは、ヒト有効性および毒性のしばしば不十分な予測材料であり、これが薬物脱落率に寄与する。ヒト組織を用いるin vitroシステムは、この問題を回避する助けとなるものであるが、伝統的なin vitro 2D培養は、in vivo組織の3D微小環境を再現することができない5,6。患者に拡大した場合、薬物の拡散速度論が劇的に変化し、2Dにおいて有効な薬物の用量が有効でなく、2Dにおける細胞-細胞間/細胞-細胞外マトリックス(ECM)間の相互作用がしばしば不正確であり、これが細胞機能の喪失または変化に寄与する5,7,8。in vivo組織の構造および細胞不均質性をより十分に模倣することができ、in vitroスクリーニング応用にも適する、生物工学により作製された組織構築物プラットフォームが発展してきた。これらの技術は、in vivo組織の細胞-細胞間の、細胞-ECM間の、および機械的な相互作用の動的役割を再現する可能性を有する。さらに、内皮細胞および線維芽細胞のような支持細胞ならびに物理的マトリックス成分の組込みは、天然組織微小環境をより完全に模倣することができる。
【0005】
in vitroシステムがヒト生物学を反映することができるツールとしての役割を果たすためには、情報を提供し、信頼できる有効性、薬物動態および毒性試験を可能にするための重要な生理学的特徴および毒性学エンドポイントが、それらの設計に含められる必要がある。生理学的な流体流動条件下で多数の組織の相互作用を模擬し得る「ボディ・オン・チップ」デバイスは、これらの要件を満たす可能性を保持している。ヒトにおいて見出される反応を模倣するように設計されたマイクロ流体チップシステムは、薬剤、生物製剤および化学物質に対する身体の誘発反応の迅速で、信頼できる予測をもたらすことができるはずである。このシステムは、薬物開発情報ルートを効率化するための新たな技術の開発を前進させる可能性も有すると思われる。マイクロエンジニアリングおよびマイクロ流体工学技術の継続的な進歩は、3Dヒト組織チップモデルの発展およびそれらのより幅広い実装にさらに寄与した。肝臓、脾臓、肺、骨髄、筋肉および心臓組織を含む、ヒト生体機能チップの様々な微小規模モデルならびに疾患モデルが現在存在する10
【0006】
通常、創薬への応用のために、初代培養成人肝細胞11および成人幹細胞または人工多能性幹細胞由来の心筋細胞12,13のような高機能の細胞の実装は、技術的に困難で費用がかかる工程であった。前述のように、伝統的な組織培養条件は、長期培養および生理学的機能の維持に、とりわけ初代肝細胞の培養には一般的に十分なものでない。組織培養皿は、細胞が単離された組織との、表面トポロジー、表面剛性、および最も重要なことには3D構造でなく2D構造、の3つの主要な相違点を有する。結果として、2D培養は、細胞に選択圧力をかけ、それらの最初の分子および表現型特性を実質的に変化させる。幸いなことに、生体材料15およびバイオプリンティング16-18のような技術を利用する3Dバイオファブリケーションは、正確な構造、生理学および組織固有シグナルによる完全な組織構築物の創製を可能にし、それにより、in vitroでの組織機能を効果的に向上させる生理的模倣環境を形成する。in vivo組織機能をin vitroで模倣する能力は、実施される時間がかかり、費用がかかる動物モデルにおけるin vivo実験への依存を最小限とした、薬剤、薬剤候補および化学剤を迅速にスクリーニングするまたは試験するための、費用対効果が高い、高速大量処理プラットフォームの開発を可能にする。大量生産された場合、そのような生体機能チップシステムは、薬剤候補スクリーニングのために医薬産業にとって、および様々な疾患を研究している科学者にとって有用なものとなり得る19
【発明の概要】
【0007】
本発明者らは、いずれかの、または大部分の組織型について用いることができるプラットフォームを得るために、A. Skardal et al., A hydrogel bioink toolkit for mimicking native tissue biochemical and mechanical properties in bioprinted tissue constructs, Acta Biomater 25:24-34 (Epub 22 July 2015)に記載されている組織模倣バイオインクシステムを最初に開発した(米国仮特許出願第62/068,218号;2014年10月24日出願も参照)。本発明者らは様々な組織および臓器の様々な細胞型でこのシステムの構成要素を使用した上でも依然として、大部分の組織型について用いることができるプラットフォームを得られたと考えている。
【0008】
しかし、本発明者らが心臓オルガノイドに移行した際、本発明者らは、心臓に固有の細胞外マトリックス成分を含むまたは含まないヒドロゲルまたは上記の著作物に記載されている種類のヒドロゲルに、これらの心臓オルガノイドを組み込んだ場合、通常は自発拍動(または脈動)挙動を示したオルガノイドが、封入により拍動を停止し得ることを見いだした。本発明者らは、これがヒドロゲルバイオインク内の共有結合による架橋の剛性に起因し得るものであると推測した。明確化のために言うと、バイオインクゲルは、ヒトが触ると比較的に柔らかいが、本発明者らは、構築物における心臓細胞の観点からすると、周囲のヒアルロン酸、ゼラチンマトリックス、ポリエチレングリコールベースの架橋剤は、相互作用することが困難であった可能性があり、または容易には「たわま(give)」なかったことで、心臓オルガノイドが拍動することを妨げると考えた。あるいは、シグナル伝達による拍動を妨げた、ある種の化学成分が存在した可能性がある。本明細書で述べるフィブリンベースのヒドロゲル材料は、この問題を克服することが見出された。
【0009】
したがって、本発明の第1の態様は、心臓構築物を作製する方法であって、中間心臓構築物を形成させるために、生きた哺乳類の心臓細胞(例えば、個々の細胞、オルガノイドまたはスフェロイド)、フィブリノーゲン、ゼラチンおよび水を含む混合物を支持体上に堆積させるステップと;任意選択的に、前記中間構築物を支持するように、構造支持材(例えば、ポリカプロラクトン)を前記混合物とともに共堆積させるステップと;次いで、フィブリノーゲンを架橋し、フィブリンヒドロゲル中で共に自発拍動する生きた心臓細胞から構成される心臓構築物を(最初の心臓細胞の成熟状態によって、必要に応じて介在インキュベーションとともに)作製するのに有効な量のトロンビンを、前記構築物に接触させるステップとを含む方法である。
【0010】
本発明のさらなる態様は、
(a)入口および出口を有する一次チャンバー、ならびに
(b)架橋フィブリンヒドロゲルおよび上記ヒドロゲル中で共に自発拍動する心臓細胞を含む、前記一次チャンバー内の心臓構築物
を含む装置である。
【0011】
いくつかの実施形態において、前記装置は、
(d)前記一次チャンバーと流体連通した、少なくとも1つの二次チャンバー、および
(e)前記二次チャンバー内の生きた哺乳類肝臓組織構築物
をさらに含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、前記装置は、
(f)前記一次および/または前記二次チャンバーと(例えば、それらの間の導管を介して)流体連通した少なくとも1つの追加の二次チャンバー、ならびに
(g)前記追加の二次チャンバー内にそれぞれ独立に選択される少なくとも1つの追加の生きている組織構築物(例えば、肺、血管、腸、脳、結腸等)
をさらに含む。
【0013】
本発明のさらなる態様および実施形態は、以下に示す明細書および図により詳細に説明されている。本明細書で引用したすべての米国特許参考文献の開示は、それらの全体として参照により本明細書の一部をなすものとする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】肝臓オルガノイドが、2D肝細胞培養と比較して劇的に増大したベースライン肝機能および代謝を保持し、毒素に反応することを示す図である。a)~b)ELISAおよび比色アッセイにより分析した、培地中へのa)アルブミンおよびb)尿素の標準化された分泌が、2D肝細胞サンドイッチ培養と比較して、3Dオルガノイドフォーマットにおいて劇的に増加した機能性分泌量を示す図である。主してCYP2C19およびCYP3A4によるジアゼパム代謝物であるc)テマゼパム、d)ノリダゼパムおよびe)オキサゼパムの定量を示す。f)ATPの定量により評価した用量反応解析およびg)トログリタゾンの用量のサブセット(0μM、25μM、50μMおよび100μM)におけるリン脂質の蓄積により示した、トログリタゾン薬剤による肝臓オルガノイド処理の毒性影響を示す。統計的有意性:p<0.05各時点における3Dおよび2D間比較。スケールバーは300μmである。
図2】オルガノイド構築物バイオプリンティングおよびオンチップ統合を示す図である。a)~c)ヒドロゲルバイオインクを用いたオルガノイド構築物バイオプリンティングおよびスフェロイドオルガノイド構築ブロックが、流体システム内への統合のためのモジュラーチップ上のPCL支持構造内に印刷されることを示す。a)組織内部で開発した、バイオプリンティングに用いたバイオプリンターを示す図である。b)オルガノイド固有のヒドロゲルバイオインクを用いてバイオプリントされた構築物の形状の描写である。バイオプリントされたc)肝臓およびd)心臓のオルガノイド構築物を示す。e)マイクロ流体マイクロリアクター内へのオルガノイド構築物の統合の描写である。7mmx7mmのカバースリップ上のバイオプリント肝臓構築物を、PDMSマイクロリアクターデバイスの中央チャンバー内に移す。デバイスを密封し、流体接続を完了し、インライン培地貯槽から培地を抜き出して、10μL/分で流入を開始させる。
図3】オンチップ肝臓オルガノイドの生存率、およびアセトアミノフェンに対する機能性反応、およびN-アセチル-L-システイン対抗手段を示す図である。a)~c)バイオプリントされた肝臓構築物の長期生存率を示す図である。LIVE/DEAD染色画像は、4週間にわたり比較的一貫した細胞生存率を示している。緑-カルセインAM染色された生存細胞;赤-エチジウムホモ二量体染色された死細胞。d~g)肝臓オルガノイドがアセトアミノフェン毒性に反応し、NACにより救出されることを示す。生存率は、14日目にLIVE/DEAD染色により決定した。オルガノイドを、d)0mMのAPAP(対照)、e)1mMのAPAP、f)10mMのAPAP、またはg)10mMのAPAP+20mMのN-アセチル-L-システインに曝露した。スケールバーは100μmである。h~k)培地の一部試料の分析により、APAPは、機能の喪失および細胞死を引き起こすが、NACは、これらの負の影響を軽減する能力を有することが示唆される。h)ヒトアルブミン、i)尿素、j)乳酸デヒドロゲナーゼおよびk)アルファ-GSTの定量を示す。アルブミンおよび尿素の分泌量は、APAP処理による負の影響を受けるが、NACは、この分泌の低下を低減させる。LDHおよびアルファ-GSTは、対照およびAPAP+NAC群において低く、生存細胞を示唆するが、APAPは、レベルの上昇または急上昇を引き起こし、アポトーシスならびに培地中へのLDHおよびアルファ-GSTの放出が示されている。統計的有意性:p<0.05 対照およびAPAP間;#p<0.05 APAP+NACおよびAPAP間
図4】心臓オルガノイドの拍動のモニタリングおよび薬物処理の効果としての拍動数の変調を示す図である。a)ECHOプラットフォーム内の培養中の拍動心臓オルガノイドの実時間ビデオを撮るために用いたオンチップカメラシステムの描写および画像である。b)マイクロ流体システム内の拍動心臓オルガノイドのビデオからのキャプチャー画像、およびc)拍動数の定量化を可能にする、MatLabカスタムコードにより生成された、拍動心臓オルガノイドの閾値以上の画素の動きを二値化したキャプチャー画像である。d)拍動数が決定されるベースライン条件下の拍動出力プロットを示す図である。e~f)e)イソプロテレノールまたはf)キニジンを用いて、ベースラインから変化させた心臓オルガノイドの拍動ピークプロットを示す図である。g~h)アドレナリンおよびプロプラノロールに対する心臓オルガノイドの反応を示すグラフである。g)心臓オルガノイドは、5μMアドレナリンおよびより高い濃度における拍動数のプラトーに達する前に、アドレナリン濃度の増加に伴う1からほぼ2倍までの範囲の拍動数の用量依存的な増加を経験する。h)0~20μMの範囲の濃度のプロプラノロールとの最初のインキュベーションにより、5μMアドレナリンの投与後の拍動数の用量依存的な低下がもたらされる。
図5】肝臓および心臓モジュールを組合せることにより、薬物に対して統合された反応性を有する生物学的システムがもたらされることを示す図である。a)環境操作に対する二連オルガノイド反応を試験するための、統合された肝臓および心臓システムを示す概略図である。b)肝臓オルガノイドの組込みが、0.1μMプロプラノロールおよび0.5μMアドレナリンに対する心臓オルガノイドの反応の変化をもたらすことを示すグラフである。c)下流の心臓拍動数に対する肝臓代謝活性の影響を示すグラフである。BPM値は、0.5μMアドレナリンによりベースラインから増加し、アドレナリンによる拍動数の増加は、0.1μMプロプラノロールにより阻害される。肝臓オルガノイドが存在し、0.1μMプロプラノロールを代謝することが可能とされる場合、0.1μMアドレナリンは、BPM値の増加を誘発することができる。統計的有意性:<0.05。d~g)パネルc)に示した値に対応する心臓オルガノイドの拍動ピークプロットを示す図である。
図6】マルチオルガノイドECHOボディ・オン・チッププラットフォームにおけるセンサーの統合を示す図である。a)組立ECHOシステムの構成要素を説明する全体写真である。b)バブルトラップモジュールの組込みにより、乱れが減少して、終始一貫した、滑らかな流れが得られる。c)温度プローブは、ECHO流体工学システムを流れる流体の環境温度をモニターし、インキュベーターを開けることによる温度の低下によって示される、環境変化に反応する。d)i)発光ダイオード、フィルターおよび培地の色を測定するためのフォトダイオードを用いて作動し、ii)出力感度がシステムにおける0.5pHの減少および増加を用いて示される、光学ベースのpHセンサーを示す図である。e)LEDおよびオンボードカメラおよびフォトダイオードシステムを用いてO2レベルを測定する酸素センサーを示す図である。f)マイクロ流体多重アルブミン、α-GSTおよびCK-MB電気化学検出モジュールを示す概略図である。g)裸電極、自己組織化単分子膜、CKアプタマー、培地、1ng/mLのCK、10ng/mLのCK、および100ng/mL条件下のアルブミン電気化学センサーのインピーダンス読取値を示す図である。h)12時間統合肝臓および心臓ECHOシステム時間経過にわたるアルブミン、α-GSTおよびCK-MBの測定を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態が示されている、添付図面を参照して、以下、本発明をより十分に説明する。しかし、本発明は、多くの異なる形態で具体化され得るものであり、本明細書に示す実施形態に限定されると解釈すべきではなく、むしろ本開示が詳細かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に十分に伝達するようにこれらの実施形態が記載されている。
【0016】
本明細書で用いる術語は、特定の実施形態のみを記述する目的のためのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で用いるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上他の状態が明確に示されない限り、複数形も含むものとする。「含む」または「を含む」という用語は、本明細書で用いる場合、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、成分および/もしくは群またはそれらの組合せの存在を規定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、成分および/もしくは群またはそれらの組合せの存在または追加を排除しないことがさらに理解される。
【0017】
別途定義しない限り、本明細書で用いるすべての用語(技術および科学用語を含む)は、本発明が属する分野における通常の技能を有する者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書において定義されているような用語は、本明細書および特許請求の範囲の文脈におけるそれらの意味と一致している意味を有すると解釈すべきであり、本明細書で明確にそのように定義されない限り、理想化されたまたは過度に格式ばった意味に解釈すべきではない。周知の機能または構造は、簡潔および/または明瞭を期すために詳細に記載することができない。
【0018】
[A.定義]
本発明で用いる「細胞」は、一般的に、動物細胞、とりわけ哺乳類および霊長類細胞であり、その例には、ヒト、イヌ、ネコ、ウサギ、サル、チンパンジー、ウシ、ブタ、ヤギが含まれるが、これらに限定されない。細胞は、好ましくは少なくとも一部は、肝臓、腸、膵臓、リンパ節、平滑筋、骨格筋、中枢神経、末梢神経、皮膚、免疫系等のような、特定の細胞または組織型に分化している。一部の細胞は、下でさらに議論するように、がん細胞であり得、その場合、それらは、これも下でさらに検討するように、任意選択であるが、好ましくは検出可能な化合物を(天然で、または組換え技術により)発現する。
【0019】
本明細書において、「3次元組織構築物」は、3次元または(単分子層と対立するものとしての)多層構造に配置された、典型的には担体媒体中の生きた細胞の組成物を意味する。適切な担体媒体は、下で述べるような架橋ヒドロゲルのような、ヒドロゲルを含む。そのような構築物は、モデル化されるまたは模倣される特定の組織または臓器によって、1つの分化細胞型または2つもしくはそれ以上の分化細胞型を含み得る。一部のオルガノイドは、下でさらに検討するように、がん細胞を含み得る。構築物ががん細胞を含む場合、それらは、組織細胞を含み得る、および/または、細胞外マトリックス(またはタンパク質もしくはそれに由来するポリマー)、ヒアルロン酸、ゼラチン、コラーゲン、アルギン酸塩等や、それらの組合せを含むような、細胞を含まない組織模倣物を含み得る。したがって、いくつかの実施形態において、細胞を細胞外マトリックスまたは架橋マトリックスと一緒に混合して、構築物を形成し、一方、他の実施形態において、スフェロイドまたはオルガノイドのような細胞凝集体をあらかじめ形成し、次に細胞外マトリックスと混ぜ合わせることができる。
【0020】
本明細書で用いられる「増殖培地」は、本発明を実施する際に用いられる細胞を維持する天然または人工のいかなる増殖培地(一般的に水性液体)であってよい。例として、必須培地もしくは最少必須培地(MEM)、またはイーグルの最少必須培地(EMEM)やダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)のようなそれらの変形形態、ならびに血液、血清、血漿、リンパ液等およびそれらの合成模倣物を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、増殖培地は、pH呈色指示薬(例えば、フェノールレッド)を含む。
【0021】
本明細書で用いられる「試験化合物」または「候補化合物」は、心臓組織および/もしくは他の組織に対する薬理学的もしくは生理学的活性、または、2つの試験化合物間の相互作用が決定されるべき化合物であり得る。例証的目的のために、イソプロテレノールおよびキニジンは、試験化合物として以下で別個に用いてそれらを独立して検討するが、プロプラノロールおよびアドレナリンは、試験化合物として同時にまたは互いに組み合わせて投与して、それらの間の相互作用を検討する。しかし、あらゆる化合物を用いることができ、一般的に、タンパク質、ペプチド、核酸および小有機化合物(脂肪族、芳香族および混合脂肪族/芳香族化合物)のような有機化合物を用いることができる。候補化合物は、コンビナトリアル技術によりランダムに生成させる、および/または、特定の標的に基づいて合理的に設計されることを含む、適切な技術により生成させることができる。薬物相互作用を試験すべきである場合、2つ(またはそれ以上)の試験化合物を同時に投与することができ、1つ(または両方)は、可能な併用効果が判断されるべき、公知の化合物であり得る。
【0022】
[B. 一般的な組織構築物を製造するための組成物]
本発明の組成物は、「バイオインク」中の生細胞を含み得るものであり、「バイオインク」は、さらに、架橋性ポリマー、堆積後架橋基または剤、および、他の任意選択の構成要素(増殖因子、(例えば、架橋の)開始剤、(バランスのための)水等を含むが、これらに限定されない)から構成される。組成物は、好ましくはヒドロゲルの形態である。組成物の様々な構成要素および特性は、下でさらに検討する。
【0023】
<細胞>
上で言及したように、本発明を実施するために用いられる細胞は、好ましくは動物細胞(例えば、鳥、爬虫類、両生類等)であり、いくつかの実施形態において、好ましくは哺乳類細胞(例えば、イヌ、ネコ、マウス、ラット、サル、類人猿、ヒト)である。細胞は、分化または非分化細胞であり得るが、いくつかの実施形態において、組織細胞(例えば、肝細胞のような肝臓細胞、膵臓細胞、心筋細胞、骨格筋細胞等)である。
【0024】
細胞の選択は、創製される特定のオルガノイドに依存する。例えば、肝臓オルガノイドについては、肝臓の肝細胞を用いることができる。末梢または中枢神経オルガノイドについては、末梢神経細胞、中枢神経細胞、グリア細胞またはそれらの組合せを用いることができる。骨オルガノイドについては、骨芽細胞、破骨細胞またはそれらの組合せを用いることができる。肺オルガノイドについては、肺気道上皮細胞を用いることができる。リンパ節オルガノイドについては、濾胞性樹状リンパ細胞、細網線維芽リンパ細胞、白血球、B細胞、T細胞またはそれらの組合せを用いることができる。平滑筋または骨格筋オルガノイドについては、平滑筋細胞、骨格筋細胞またはそれらの組合せを用いることができる。皮膚オルガノイドについては、皮膚ケラチノサイト、皮膚メラニン細胞またはそれらの組合せを用いることができる。細胞は、組成物への組込み時に分化していてもよいし、または、その後分化させる非分化細胞を用いることができる。追加の細胞は、上述の組成物のいずれかに加えることができ、下で述べるがん細胞は、一次または「第1」のオルガノイドに加えることができる。
【0025】
本発明に任意選択で用いられるがん細胞は、黒色腫、がん腫、肉腫、芽細胞腫、神経膠腫および星状細胞腫細胞等を含むが、これらに限定されない、あらゆる種類のがん細胞であり得る。
【0026】
細胞は、非封入細胞、またはスフェロイドに事前に封入された細胞、またはあらかじめ形成したオルガノイド(上述のように)などの、いかなる適切な形態で組成物に組み込んでもよい。ポリマースフェロイドに封入されたまたは含まれた動物組織細胞は、公知の技術により製造することができる、または場合によっては市販されている(例えば、Insphero AG, 3D Hepg2 Liver Microtissue Spheroids (2012); Inspherio AG, 3D InSightTM Human Liver Microtissues(2012)参照)。
【0027】
<架橋性プレポリマー>
本明細書で述べる方法に用いる場合、堆積後にその弾性係数を増加させるためにそれをさらに架橋させることができる限り、適切なプレポリマーを用いて、本発明を実施することができる。
【0028】
いくつかの実施形態において、プレポリマーは、(i)オリゴ糖(例えば、ヒアルロン酸、コラーゲン、それらの組合せおよびとりわけそのチオール置換誘導体)および(ii)第1の架橋剤(例えば、ポリアルキレングリコールジアクリレート、ポリアルキレングリコールメタクリレート等のようなチオール反応性架橋剤およびとりわけポリエチレングリコールジアクリレート等;チオール-チオールジスルフィド結合を形成するためのチオール化架橋剤;チオール-金結合を形成する金ナノ粒子金官能基化架橋剤;等、それらの組合せを含む)の少なくとも部分的架橋反応により形成される。
【0029】
<架橋基>
いくつかの実施形態において、組成物は、堆積後架橋基(post-deposition crosslinking group)を含む。ポリエチレングリコールジアルキン、他のアルキン官能基化基、アクリレートまたはメタクリレート基等のようなマルチアームチオール反応性(multi-arm thiol-reactive)架橋剤を含むが、これらに限定されず、それらの組合せを含む、適切な架橋基を用いることができる。
【0030】
<開始剤>
本発明の組成物は、任意選択的に、ただし、いくつかの実施形態においては好ましくは、開始剤(例えば、熱または光開始剤)を含み得る。上記プレポリマーと第2の(または堆積後)架橋基との間の反応を触媒するあらゆる適切な開始剤を(例えば、加熱時または光への曝露時に)用いることができる。
【0031】
<増殖因子>
本発明の組成物は、任意選択的に、ただし、いくつかの実施形態においては好ましくは、(例えば、含められる特定の細胞および/または生成される個別の組織代替物に適切な)少なくとも1つの増殖因子を含み得る。いくつかの実施形態において、増殖因子および/または他の増殖促進タンパク質は、その組織細胞に対応する組織に由来する脱細胞化細胞外マトリックス組成物(「ECM」)(例えば、生きている動物細胞が肝臓細胞である場合には、脱細胞化細胞外肝臓マトリックス;生きている動物細胞が心筋細胞である場合には、脱細胞化細胞外心筋マトリックス;生きている動物細胞が骨格筋である場合には、脱細胞化骨格筋マトリックス;等)に加えることができる。追加のコラーゲン、グリコサミノグリカン、および/またはエラスチン(例えば、細胞外マトリックス組成物を補うために加えることができる)等も含めることができる。
【0032】
<弾性係数>
組成物は、好ましくは、どのような堆積方法が用いられるとしても(例えば、押出堆積)、操作して基材上に堆積させることができるような、室温かつ大気圧で十分に低い弾性係数を有する。さらに、任意選択的に、ただし、いくつかの実施形態においては好ましくは、それが、後に架橋するまで(架橋が自発的、熱または光開始等かを問わず)、堆積された形状または構造を実質的に保持するように再び室温かつ大気圧で十分に高い弾性係数を有する。いくつかの実施形態において、組成物は、堆積の前に、室温かつ大気圧で0.05、0.1または0.5から1.5または10キロパスカルまで、またはそれ以上の剛性を有する。
【0033】
[C. とりわけ心臓構築物を製造するための方法および組成物]
上述のように、本発明は、心臓構築物を製造する方法であって、中間心臓構築物を形成させるために、生きた哺乳類の心臓細胞(例えば、個々の細胞、オルガノイドまたはスフェロイド)、フィブリノーゲン、ゼラチンおよび水を含む混合物を支持体上に堆積させるステップと;任意選択的に、前記中間構築物を支持するように、構造支持材(例えば、ポリカプロラクトン)を前記混合物とともに共堆積させるステップと;次いで、フィブリノーゲンを架橋し、フィブリンヒドロゲル中で共に自発拍動する生きた心臓細胞から構成される心臓構築物を(最初の心臓細胞の成熟状態によって、必要に応じて介在インキュベーションとともに)作製するのに有効な量のトロンビンを、前記構築物に接触させるステップとを含む方法を提供する。
【0034】
いくつかの実施形態において、心臓細胞は、心臓細胞の懸滴培養により生成されるオルガノイドの形態である。例えば、Stoppiniへの米国仮特許出願公開第2011/0287470号を参照されたい。
【0035】
いくつかの実施形態において、心臓構築物(具体的には、その中の心臓細胞)は、有効量のイソプロテレノールの投与により頻度が増加し、有効量のキニジンの投与により頻度が減少する自発拍動を示す。
【0036】
いくつかの実施形態において、心臓構築物(具体的には、その中の心臓細胞)は、VEGF、アクチニンおよび/または心筋トロポニンTを発現する。
【0037】
上の節で述べた一般的なバイオインクと同様に、その粘度を高めて、バイオプリンティング装置を用いてバイオプリントすることができる押出し可能な材料にするために、非修飾ゼラチンをフィブリノーゲンに加えることができる。このゼラチンは架橋されないので、心臓構築物をバイオプリントした後の生理的温度(37℃)でのインキュベーションにより、ゼラチンが最終的に溶解して構築物から浸出し、架橋フィブリンおよび拍動性心臓構築物のみが残る。
【0038】
[D. デバイスを製造する方法]
非限定的であるが、好ましい1つの使用方法において、組成物は、本明細書で述べたデバイスにおける各個別の構築物を製造する方法に用いられる。そのような方法は、
(a)上述の押出し可能なヒドロゲル組成物を含む貯槽を用意するステップと、次いで
(b)ヒドロゲル組成物を基材上に(例えば、注射器による押出しにより)堆積させるステップと、次いで
(c)一般的な組成物およびそれらの組織構築物について、(適切な手段により二次構築物を製造することができるので)任意選択的に、上記ヒドロゲルの剛性を増加させ、上記3次元臓器構築物を形成するのに十分な量で第2の架橋基によりプレポリマーを架橋するステップ(例えば、ヒドロゲルを加熱する、ヒドロゲル組成物に光(例えば、環境光、UV光)を照射する、ヒドロゲルのpHを変化させる等)、ならびに
(d)心臓構築物組成物について、上述のように、フィブリノーゲンを架橋し、フィブリンヒドロゲルを形成するために、ヒドロゲルをトロンビンと接触させるステップ
を含む。
【0039】
堆積ステップは、H.-W. Kang、S. J. Lee、A. AtalaおよびJ. J. Yoo、米国特許出願公開第2012/0089238号(2012年4月12日)に記載されているような3dバイオプリンティング技術(押出3dバイオプリンティングを含む)を含むが、これに限定されない、適切な装置を用いて行うことができる。いくつかの実施形態において、堆積ステップは、パターン化された堆積ステップである。すなわち、堆積される組成物が、規則または不規則格子、グリッド、らせん等のような、規則または不規則パターンの形態で堆積されるように堆積が行われる。
【0040】
いくつかの実施形態において、細胞を含むヒドロゲル組成物が、あらかじめ形成された細胞を含まない3Dオルガノイド基材の中央領域に加えられる結果として、外側のオルガノイドゾーンの内部に別個の細胞含有ゾーン(例えば、腫瘍細胞含有ゾーン)がもたらされる。
【0041】
いくつかの実施形態において、細胞を含まないゼラチンのみの流路をオルガノイド基材に形成させてよく、構築物中に拡散を促進し得る流路を形成することができる。
【0042】
一般的な構築物のいくつかの実施形態において、架橋ステップは、上記ヒドロゲルの剛性を室温かつ大気圧で1または5から10、20または50キロパスカルまで、またはそれ以上の剛性を増加させる。いくつかの実施形態において、上記架橋ステップ(c)の後のヒドロゲルは、室温かつ大気圧で1または5から10、20または50キロパスカルまでの剛性を有する。
【0043】
いくつかの実施形態において、該方法は、上記ヒドロゲル組成物の位置に隣接する位置の上記基材上に支持ポリマー(例えば、ポリL-乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン;ポリスチレン;ポリエチレングリコール等、乳酸-グリコール酸コポリマーのようなそれらのコポリマーを含む)を堆積させるステップを(例えば、上記ヒドロゲルを堆積させるステップと同時か、その後か、またはそれと交互の反復で、および、いくつかの実施形態においては架橋ステップの前に)さらに含む。
【0044】
有機および無機基材を含み、かつ、その上に形成されたウェル、チャンバーまたは流路のような特徴を有するまたは有さない基材を含む、適切な基材を堆積に用いることができる。本明細書で述べる個別の製品について、基材は、増殖培地が循環し得る一次流体導管により接続された少なくとも2つのチャンバー(チャンバーは、任意選択であるが、好ましくは入口流路および/または出口流路を伴う)を有し、堆積が各チャンバーにおいて独立に行われるマイクロ流体デバイスを含み得る。あるいは、基材は、第1および第2の平面部材(例えば、顕微鏡カバースリップ)を含み得、堆積ステップを当平面部材上で行うことができ、方法は、各平面部材をマイクロ流体デバイスの別個のチャンバーに挿入するステップをさらに含み得る。チャンバーの密封および細胞の生存能力の維持のような後処理ステップは、公知の技術により行うことができる。
【0045】
本発明を主として単一の二次チャンバーに関して説明するが、所望により、同じまたは異なるオルガノイドを含む複数の二次チャンバーを基材上に含められることが理解されよう。したがって、二次チャンバーは、互いに、および一次チャンバーに対して、直列、並列またはそれらの組合せを含むいずれかの適切な配置で接続することができる。
【0046】
一次および二次チャンバー、関連オルガノイド、入口、出口および導管を有する基材は、使用する追加の構成要素と組み合わせてより大きい装置内に取り付けることができる独立した「カートリッジ」または部分的組合せの形態で提供されてよい。したがって、いくつかのそのようなより大きい装置の実施形態において、装置は、一次チャンバーから二次チャンバーに増殖培地を循環させるための一次チャンバーと作動可能に連結されたポンプをさらに含む。
【0047】
いくつかの実施形態において、装置は、(例えば、心臓構築物の拍動数または頻度をモニターするために)心臓構築物と作動可能に連結され、かつ、任意選択的に窓と作動可能に連結された、(c)心臓モニターまたは拍動モニター(例えば、カメラ、電極または電極アレイ等)をさらに含む。
【0048】
いくつかの実施形態において、装置は、一次チャンバーと作動可能に連結された増殖培地貯槽および/またはバブルトラップをさらに含む。
【0049】
いくつかの実施形態において、装置は、二次チャンバーを経て循環する増殖培地を一次チャンバーに戻すための、一次および二次チャンバー(ならびにポンプ、ならびに貯槽および/または存在する場合にはバブルトラップ)と作動可能に連結された戻り導管をさらに含む。
【0050】
[D. 包装、貯蔵および出荷]
上述の部分的組合せまたは「カートリッジ」は、製造された後、直ちに使用されてもよいし、または、貯蔵および/もしくは輸送のために準備されてもよい。
【0051】
製品を貯蔵および輸送するために、水と混合されたゼラチンのような、室温(例えば、25℃)で流動性液体であるが冷蔵温度(例えば、4℃)でゲルであるか固化する、一過性の保護支持媒体を、チャンバーに実質的または完全に満たすように、デバイス中に、および好ましくは連結された導管にも、加えることができる。入口および出口ポートは、適切なキャッピング要素(例えば、栓)またはキャッピング材(例えば、ワックス)により蓋をすることができる。次いで、デバイスを冷却要素(例えば、氷、ドライアイス、熱電冷却器等)と一緒に、すべてを(好ましくは断熱)包装中に入れて包装することができる。
【0052】
あるいは、製品を貯蔵および輸送するために、ポリN-イソプロピルアクリルアミドおよびポリエチレングリコールのブロックコポリマーのような、冷却温度(例えば、4℃)で流動性液体であるが室温(例えば、20℃)または体温(例えば、37℃)のような加温温度ではゲルであるか固化する、一過性の保護支持媒体を用いることができる。
【0053】
受取り時に、エンドユーザーは、付随した包装および冷却要素からデバイスを単に除去し、温度を上昇または低下させ(一過性の保護支持媒体の選択によって)、ポートの蓋を除去し、注射器で(例えば、増殖培地で洗い流すことにより)一過性の保護支持媒体を除去することができる。
【0054】
[E. 使用方法]
上述の装置は、
(a)上述の装置を用意するステップと、
(b)任意選択的に、第1のチャンバーから第2のチャンバーに増殖培地を循環させるステップと、
(c)(例えば、試験化合物を増殖培地に加えることにより)少なくとも1つの試験化合物を構築物に投与するステップと、
(d)典型的には、試験化合物を投与しない場合に観測されたものと比較し、(例えば、心臓モニターにより)心臓構築物の拍動頻度の変化を判定するステップと
により、少なくとも1つの試験化合物を、生理学的活性についてスクリーニングするために用いることができる。
【0055】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの試験化合物は、互いに同時に投与される少なくとも2つの異なる試験化合物を、例えば、それらの間の薬物相互作用を試験するために、含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、前記測定するステップは、互いに連続的に間隔をあけた複数の時点に(例えば、少なくとも1日の間隔をあけた少なくとも2つの機会に)行われる。
【0057】
方法および装置は、とりわけ、特定の試験化合物の代謝を含む細胞代謝、または特定の試験化合物により誘発される細胞毒性、またはそれの相互作用の評価のために用いることができる。
【0058】
本発明の態様は、以下の非限定的な実験例においてさらに説明する。
【0059】
[実験]
この試験では、本発明者らは、薬物および毒性試験に対する生理学的反応を評価するための肝臓および心臓の二連オルガノイド・オン・チップシステムの開発および試験について述べる。これを遂行するために、本発明者らは、ヒドロゲル「バイオインク」および3Dバイオプリンティング技術により流体デバイスシステムに統合される、2種類の高機能性組織オルガノイドを開発した。このマルチオルガノイドボディ・オン・チップシステム上において、オルガノイドは、統合されたバイオセンサーシステムを環境および生物学的モニタリングに用いることができる、人体に見出される臓器動力学と同様に、様々な外部刺激に独立してまたは協調的に反応することができる20
【0060】
[結果]
オルガノイドの形成および構造の特徴付け。懸滴培養法を用いて生成させた肝臓オルガノイドは、直径が約250μmの球状凝集体を一貫して形成し、28日間の培養期間を通して確実に+/-10μmのままであった(データは示さず)。特定の細胞型の混合物を用いた、1500細胞/オルガノイドの最初の播種は、所望の直径を確実に生じさせる。オルガノイドは、低酸素および壊死性コアの形成をもたらし得る溶質潅流制限21と生物学的機能を均衡させるような、細胞数によって決定されるサイズを維持するように設計された。
【0061】
肝臓オルガノイドの組織学を用いて、一般的なオルガノイドの構造、異なる肝臓の細胞型の組織化、および機能特有の構造の形成を検討した。ヘマトキシリン・エオシン(H&E)染色(データは示さず)により、スフェロイドの外側の内表面となる(lining)薄い、線維芽細胞様細胞を有する小型のオルガノイド構造が示されている。肝臓細胞は、天然の肝臓と同様に、密着結合を形成しているように見える。肝臓細胞の分化は、広範囲の局在を示す、アルブミンおよびシトクロムP450レダクターゼについて染色することにより解析した。ヒト肝細胞の同定のための信頼できるマーカーであるサイトケラチン18は、構造の外側に沿った一部の細胞を染色せず、線維芽細胞様細胞を再び強調した(データは示さず)。肝星細胞のマーカーであるGFAPは、少数の領域においてのみ見出され、これは、所望も割合と一致していた。コネキシン32は、肝細胞により発現される主要なギャップ結合タンパク質であり、肝細胞が長期にわたる細胞分化に重要な構造を形成していることを示す。E-カドヘリン染色により、細胞間の細胞-細胞接着複合体の形成が明らかにされ、これは肝細胞の極性を示唆する(データは示さず)。
【0062】
同様に、心臓オルガノイドを組織学的染色によりいくつかの構造および機能マーカーについて検討した。オルガノイドは、3D心筋培養において発現するが、2D培養では発現しないVEGFを発現したことから、血管新生22、心臓筋原繊維のZ線へのアクチンの付着に必要なミクロフィラメントタンパク質であるアクチニン、および、心臓の筋収縮に必須のタンパク質である心筋トロポニンTを誘導する能力の改善(データは示さず)が示唆される。オルガノイドは、より高レベルで発現した場合には心筋細胞の未成熟状態への退行を示す、低レベルのミオシン調節軽鎖7を発現した(データは示さず)。興味深いことに、MYL7の発現は、オルガノイドの外周上の結節様領域においてのみ認められた。H&E染色により、オルガノイドの内部の全域の一貫性がある細胞の分布ならびに肝臓オルガノイドと比べて、より広がった凝集が示された(データは示さず)。培養における様々な時点にわたる生/死染色で、培養1日目、28日目および35日目に高レベルの生存率(>95%)が示されている(データは示さず)。
【0063】
肝臓オルガノイド機能特性。各時点における発光ATPアッセイにより代謝を測定することによって肝臓オルガノイドの生存率をモニターし、オルガノイドが培養中で少なくとも28日間にわたり生存能力を維持することが示されている(データは示さず)。共培養に含まれていた細胞が異なる代謝速度を有し、それらそれぞれの比が経時的に一貫性があることはあり得ないため、この方法を用いて培養中の生存細胞の正確な数を正確に測定することはできない。しかし、この方法は、時点間の全体としての培養生存率の推定を確実に可能にする。LIVE/DEAD染色は、生存率の同様の証拠を提供した(データは示さず)。この3次元スフェロイド培養ヒト肝臓共培養における生存率の長期にわたる維持は、以前に報告されている23
【0064】
肝臓オルガノイドの機能性は、最初に尿素およびアルブミンの産生を経時的に測定することによって評価した。これらの化合物の分泌は、培養中少なくとも28日間維持され、長期にわたる肝細胞の生存能力および機能性が示唆される(図1a~b)。3次元肝臓オルガノイドは、培養当たりより少数の細胞(肝臓オルガノイド:約1,500細胞/試料、単層培養:約1,440,000細胞/試料)を含むにもかかわらず、伝統的な単層培養より有意に多くの尿素およびアルブミンを産生した。また、単層培養は、それぞれ21および14日間の培養後に、測定可能な尿素およびアルブミンの産生を維持することができなかった。スフェロイド形態のヒト肝細胞の生存能力および分化の長期にわたる維持は、他者により同様に報告されている23-25
【0065】
肝臓固有の薬物代謝および薬物毒性反応。薬物代謝能力を評価するために、一連の化合物(リファンピシン、3-メチルクロロアントラセンおよびフェノバルビタール)を用いてシトクロムP450酵素を誘導した。その後、細胞をジアゼパム(CYP3A4およびCYP2C19により主として主要代謝物テマゼパムおよびノルジアゼパムに変換される)に曝露した(データは示さず)。副次的代謝物であるオキサゼパムが、上記の主要代謝物からさらに生成され得る。肝臓オルガノイドは、7日後にCYP450活性を失った標準単層サンドイッチ培養と比較して、培養中少なくとも28日間にわたり測定可能なシトクロムP450薬物代謝活性を有することが見出された(図1c~e)。スフェロイド培養における肝細胞と伝統的な単層における肝細胞との間のこの性能の差は、以前に報告されている24,26。3D培養モデル(約1,500細胞/試料)と2D培養モデル(約1,440,000細胞/試料)との間の総細胞数の差に再び注意することも重要である。
【0066】
トログリタゾンは、十分に特徴付けられた肝毒性薬物であり、肝臓培養モデルにおける薬物毒性反応を測定するために用いられる。肝臓オルガノイドをトログリタゾンで48時間処理した場合、用量反応曲線は、薬物の濃度が増加するにつれて生存率が低下することを示している(図1f)。より低い濃度の薬物を用いた場合でさえ、かなりのリン脂質の蓄積がオルガノイドにおいて起こることが見出された(図1g)。
【0067】
肝臓および心臓オルガノイドのバイオプリンティング、ヒドロゲルバイオインク、オルガノイド構築物の設計ならびに流体システムへの統合。組織内部で開発された、X-Y-Z軸制御および多プリントヘッドを用いたバイオプリンティング技術27を用いて(図2a)ボディ・オン・チップシステムにおけるより長期の培養上にオルガノイドを収容するための、3Dヒドロゲル微小環境から構成される構築物を創製した(図2b~d)。これを達成するために、i)押出しを促進し、ii)細胞の生存および機能を支持したヒドロゲルバイオインクを開発した。肝臓構築物については、バイオインクは、チオール化ヒアルロン酸(HA)、チオール化ゼラチン、肝臓細胞外マトリックス成分15および2ステップ押出しバイオプリンティングプロトコールを促進するためのアクリレートまたはアルキン官能基を有する一組のポリエチレングリコール架橋剤28から構成されていた。押出しステップを容易にするために、非修飾HAおよびゼラチンをバイオインクに補足した。オルガノイドをバイオインク内に懸濁し、所望の構築物に印刷し、UV光を用いて、天然肝臓の弾性係数がほぼ得られるまで印刷済み材料をさらに架橋した。本出願および他の出願で用いたUV光の強度は、非細胞毒性であることが以前に示されている29,30。安定化支持体としての役割を果たす、溶融硬化押出しポリカプロラクトンフィラメントをバイオインクに沿って印刷した。
【0068】
心臓構築物については、バイオインクは、i)フィブリノーゲンおよびゼラチン、ならびに、ii)トロンビンの2つの部分から構成されていた。フィブリノーゲン-ゼラチン混合物に懸濁したオルガノイドを、冷たいステージ(20℃)上に印刷してゼラチンのゲル化状態を維持し、その後、トロンビンを上記構築物上に印刷してフィブリンの形成を誘導した。拡散を促進するために、細胞を含まないゼラチンのみの流路を心臓構築物の3D空間に組み込んだ。これらの構築物は、マイクロ流体デバイスへの統合のためにカバースリップ上にバイオプリントした。一般的に、バイオプリントされた肝臓構築物は、45~50個の肝臓オルガノイドを含んでいたが、心臓構築物は、9~11個のオルガノイドを含み、比率は、ヒトにおける肝臓および心臓の質量を反映していた。
【0069】
マイクロ流体デバイス(マイクロリアクターとも呼ばれる)は、並列回路に流通させるためのマイクロ蠕動ポンプに接続された個別にアドレス可能な入口および出口を有する流体流路を介してそれぞれアクセス可能な、オルガノイドのチャンバーを有する個々のユニットからなっていた(図2e)。これらのデバイスは、通常のソフトリソグラフィーおよびレプリカモールディング31を用いて作製される。オルガノイドとマイクロ流体の流動を支持するマイクロリアクターデバイスとの統合は、オルガノイドをマイクロリアクターオルガノイドチャンバーの内側に固定する能力に依存する。所定の位置に保持されていなかった場合、個々の球状オルガノイドは、循環に引き込まれ、マイクロ流体の流路および配管中の妨害物になり、それにより、培地が全システムに流れることを妨げることがあり得る。幸いにも、バイオプリンティングを促進し、オルガノイドの機能を支えることに加えて、ヒドロゲルバイオインクは、有効なオルガノイド固定化剤としての役割を果たした。7mm×5mmのダイヤモンド形状のカバースリップ上のオルガノイド構築物をマイクロリアクターオルガノイドチャンバーに差し込んだ。密着により、構築物がチャンバーの底部に留まることが確保された。球状オルガノイドがヒドロゲル内に封入されたままであり、オルガノイドによる閉塞に起因する問題が回避された。図2eにバイオプリントされた肝臓オルガノイド構造とマイクロリアクターデバイスとの統合を示す。
【0070】
肝臓構築物は、オンボードの流体システム培養において生存、表現型および機能を維持し、毒素に対して生理的に反応する。マイクロ流体システムにおけるヒドロゲル構築物中の肝臓オルガノイドを、初期のシステムの特徴付けのために心臓構築物と独立に評価した。8日間のバイオリアクター培養後に、オルガノイドを固定し、免疫蛍光を用いて染色し、構造および機能マーカーのパネルを評価した(データは示さず)。オルガノイドは、共に肝機能の維持を示す、薬物代謝に関与するシトクロムP450ファミリーにおける酵素であるCYP3A7およびアルブミンについて、陽性に染色された(データは示さず)。さらに、いくつかの細胞は、基底外側輸送体であり、OST-αおよび頂端膜タンパク質であるジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-4)を発現し、これは肝細胞内の極性を示唆するものであった(データは示さず)。さらに、肝臓細胞は、密着結合マーカーである、膜結合ZO-1、ならびに適切な上皮様細胞間組織化(epithelial-like cell-cell organization)を示す、E-カドヘリンおよびβ-カテニンを発現する(データは示さず)。総合すると、これらの画像は、肝臓オルガノイドが機能性肝臓組織に不可欠である多くの重要なタンパク質を発現することができ、重要なことには、これらのタンパク質が、オルガノイドが伝統的な培養の場から除去され、上述のマイクロ流体プラットフォームに統合された後も、発現し続けることを示している。
【0071】
バイオプリントされた肝臓オルガノイドを、マイクロリアクター中で最長28日間さらに培養し、その期間中、生存率の評価のために1日目、14日目および28日目に、培養から一式のオルガノイドを除去した。生存率は、LIVE/DEAD染色および全載顕微鏡法により定性的に評価した。図3a~cに1日目、14日目および28日目にマイクロリアクター培養から除去された、LIVE/DEAD染色された肝臓オルガノイドの代表的な画像を示す。画像は、カルセインAMにより緑色に染色された生存細胞の高い百分率を示している。各時点にエチジウムホモ二量体により赤色に染色された、死んでいると認められた細胞が存在していたが、一般的にこれらは、数がより少なかった。
【0072】
臨床的関連性を示すために、毒性に対する肝臓構築物の反応をアセトアミノフェン(APAP)の処理により、および臨床的に使用される薬物N-アセチル-L-システイン(NAC)により評価した。流体システム中の肝臓構築物は、薬物の投与を受けず、1mMのAPAP、10mMのAPAP、または10mMのAPAP+20mMのNACの投与を受けた。生存率は、LIVE/DEAD染色および全載撮像により評価した。生きている(緑色)細胞と死んだ(赤色)細胞との比に基づいて、0mMの対照群は、14日間の実験を通して比較的に高いレベルの生存率(14日目に70~90%)を維持したことが明らかであった(図3d)。これと比較して、1mMのAPAP群は、生存率の低下を有し(14日目に30~50%、図3e)、一方、10mMのAPAP群は、14日目に生存細胞をほとんど有さないように思われた(図3f)。NACによる処理は、高濃度のAPAPに関連する病的状態のレベルを低下させ、代わりに、オルガノイドは、より低い1mMの投与を受けたAPAP処理オルガノイドにより類似していたように思われた(図3g)。アルブミンの分析により、平均で120ng/mLの近くに留まっていた、6日目までの肝臓オルガノイドによる一定のアルブミンの産生が明らかになった(図3h)。最初の2つの時点におけるアルブミンレベルは、薬物をこの時点に投与しなかった場合に予測されたように、互いに比較して統計的に有意でなかった。6日目の後のAPAPの投与後に、アルブミンレベルは、0mM対照と比較して1mMおよび10mM群の両方において有意に低下した(p<0.05)。さらに、10mM群のアルブミンレベルは、1mMと比較して有意に低下した(p<0.05)。14日目に10mM群のアルブミンレベルは、ほぼ測定不可能であった。APAP+NACオルガノイドにおけるアルブミンレベルは、10mMのAPAP処理群のそれより有意に大きかった。データの一般的傾向は、適切であり、診療所における患者がそうであり得るように、肝臓オルガノイドがAPAPに正しく反応し、NACにより救出され得ることが示唆される。尿素分析も類似の傾向を有する結果を示した(図3I)。尿素レベルは、APAP投与前の時点において群間で有意に異なっていなかった。APAP投与後には、測定尿素レベルは、APAP濃度に関して用量依存的に低下するように思われた。10日目の時点において、0mM対照群アルブミンレベルは、1mMおよび10mM群の両方より有意に高かった(p<0.05)。14日目の時点において、これらの3群は、互いに有意に異なっていた(p<0.05)。APAP+NACオルガノイドの尿素レベルは、対照オルガノイドと有意に異なっていなかったが、10mMのAPAPの尿素レベルより有意に大きかった(p<0.05)。
【0073】
次いで培地試料を、肝臓細胞から放出された場合には細胞死のインジケーターである、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)およびα-グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(α-GST)について分析した(図3j~k)。3日目にLDHレベルの最初の変動が存在している。これは、バイオプリンティング中および培養のマイクロ流体開始段階で細胞に加えられたストレスに起因する可能性がある。6日目まで、すべての群が互いに区別できない。薬物投与後の最初の採取時点である10日目に、10mMのAPAP群は、培地中でLDH濃度の明らかな増加を示しているが、APAP+NAC群は、対照群とほぼ同一である。APAP群は、10日目に他の群と有意に異なっていないが、傾向は明らかである。14日目までに、LDHレベルがベースラインに低下し、LDHの大部分の放出が6日目と10日目の間に起こり、APAP群における10日目での定量されたLDHのスパイクが生じたことが示唆される。各群のオルガノイドは、3日目および6日目の時点に同様のレベルのα-GSTを分泌した。検出可能なレベルのα-GST(7~11ng/mL)が3日目にすべての群に存在し、次いで対照群において時間の経過とともに低下した。再び、これは、バイオプリンティング工程およびマイクロ流体培養の開始がオルガノイドにおける細胞にストレスを加え、マイクロリアクター培養の開始時にある程度の細胞死がもたらされた可能性があることを示唆するものである。10mMのAPAPの投与後に、α-GSTが10日目までに11ng/mL以上に増加し、培養の終了時までそのレベルの近くに留まっている。これと比較して、対照オルガノイド群においてα-GSTが4ng/mL未満に低下したことから、APAPが実際に細胞死を引き起こし、培地中へのα-GSTの放出がもたらされることがわかる。NACとAPAPの投与は、APAPの作用を明確に減弱させた。10日目および14日目に、α-GSTは、APAP+NAC培養においてそれぞれ約6および5ng/mLで検出された。
【0074】
心臓構築物はベースライン機能を支持し、拍動数を変化させる薬物に反応する。心臓構築物の主要な出力計測の1つが拍動の定量化であるので、心臓構築物マイクロリアクターハウジングと統合するように特注生産されたオンボードLEDおよびカメラシステムを用いて、心臓オルガノイドの実時間視覚モニタリングを実現した(図4a)。このシステムは、随意のビデオキャプチャー機能を有し、実時間で拍動する心臓オルガノイドのビデオファイルを備えていた(図4b)。一連のMatLab関数を有するMatLabカスタムコードを用いて、各フレームにおける移動ピクセルを経時的に決定し、拍動伝播の二値化表示(図4c)および拍動数を視覚化するプロットを得た。ベースライン条件下の拍動プロットの例を図4dに示す。
【0075】
人工心臓構築物に必要な機能は、薬物および他の外部刺激に対して生理学的に正確に応答する能力である。様々な心臓拍動調節薬を心臓構築物に投与し、その間に、上記のような拍動挙動の変化が得られた。徐脈患者を治療するためにしばしば用いられるベータアドレナリン作動薬である、イソプロテレノール(0.1mM)は、オルガノイドの拍動数を増加させた(図4e)。逆に、脱分極および再分極を遅くし、抗不整脈薬として用いられるイオンチャンネル遮断薬であるキニジン(1μM)は、予想通りオルガノイドの拍動を遅くした(図4f)。
【0076】
さらに、生理学的に関連性がある濃度のアドレナリンおよびプロプラノロールを、心臓オルガノイドの拍動数の増加を誘導し、かつ、妨げるそれらの有効性について評価した。最初に、明確に識別できるより速い拍動を開始させる最低濃度を決定するために、5つのアドレナリン濃度(0、0.1、0.5、5および50μM)を心臓オルガノイドにおいて試験した。オルガノイドの拍動数は、アドレナリンの投与の前後に測定した。オルガノイドの拍動は、ベータアドレナリン受容体の飽和に起因する可能性がある、5μMの後のプラトーに達するまで、用量依存的に増加した(図4g)。次に、4つのプロプラノロール濃度(0、0.5、5および20μM)を心臓オルガノイドに投与した。オルガノイドをこれらの条件下で20分間インキュベートし、その後、アドレナリンを5μMで加えた。一般的に、プロプラノロールインキュベーションの濃度を増加させることにより、拍動数のアドレナリン誘発性の増加がより効果的に妨げられ(図4h)、アドレナリンの存在下における適切なベータ遮断反応が示された。
【0077】
二連オルガノイド肝臓および心臓プラットフォームにおける肝代謝が薬物に対するシステムの反応に影響を及ぼす。ヒト体内において、臓器は、互いに複雑に相互作用する。オルガノイドプラットフォームがマルチオルガノイド相互作用も維持し得ること実証するために、下流の心臓構築物の機能が上流の肝臓構築物代謝に依存していた実験を実施した。流体システムのモジュール性を用いて、そのようなプラットフォームを実現した。PDMSから構成される中央流体経路制御ブレッドボードを用いて、μ-蠕動ポンプおよび培地貯槽からバブルトラップ、肝臓構築物を含むマイクロリアクター、統合オンボードカメラシステム付きの心臓構築物を含むマイクロリアクターを経て、ポンプに戻る共通培地の直接の流れを導いた(図5a)。これらの実験に用いなかったが、システムのさらなる特注生産を考慮した追加の任意選択ポートを図5aに示す。
【0078】
1つのシステムにおいて2種類の組織構築物を組み合わせることによる影響を評価するために、両システムおいて一緒に試験する前に、心臓のみのシステムまたはタンデムシステムを用いて、アドレナリンおよびプロプラノロールの作用を最初に独立して試験した。プロプラノロールのみ(0.1μM)による処理は、心臓のみのシステムにおける拍動数に、小さい(約10%)が有意な(p<0.05)倍率の減少をもたらした。しかし、肝臓構築物の存在下では、拍動数の減少は存在せず、薬物の多少の代謝が起こったことが示唆された(図5b)。同様に、アドレナリンのみ(0.5μM)による処理は、心臓のみのシステムにおける拍動数の有意な(約40%)倍率の増加をもたらした。肝臓成分の追加は、アドレナリンにより誘発された拍動数の増加を打ち消さなかったが、その増加を約40%~30%低下させ(p<0.05、図5b)、統合オルガノイドシステム反応をさらに示した。
【0079】
次に、心臓のみのシステムおよびタンデムシステムにおいて、両薬物間の相互作用を評価した。上述の結果(図4g~h)に基づいて0.1μMプロプラノロールおよび0.5μMアドレナリンの薬物濃度を選択した。プロプラノロールを最初に投与し、その後、アドレナリンを続けて追加した。オルガノイドが存在し、機能していたことによって、アドレナリンの効果が異なった(図5c)。各条件における拍動プロットを図5d~gに示す。肝臓オルガノイドを有していなかった群1において、0.1μMプロプラノロールは活性のままであり、0.5μMアドレナリンの効果であるベータアドナリン作動性効果の遮断に成功した。遮断薬を代謝する肝臓成分が存在しなかったので、これは、予想されたことであった。肝臓成分が加えられた群2において、アドレナリンが投与された後に、BPMの1.25倍の増加が認められた。これは、アドレナリン投与前にプロプラノロールが投与されなかった実験対照における心臓BPMの1.5倍の増加と同程度であった。これは、3D肝臓オルガノイドが、アドレナリンが心臓オルガノイドの有意な割合のベータアドレナリン受容体を活性化し得るように十分なプロプラノロールを代謝し、対照アドレナリンのみの反応の約50%に相当する反応を誘導したことを示唆しており、単一オルガノイドシステムと比較して複数のオルガノイドシステムが有する効果を強調する。興味深いことに、マイクロリアクター内の3Dオルガノイドを構成する50,000個の細胞に対して、組織培養プラスチック上1~2百万個の細胞から構成される2D肝細胞培養を用いて群2における条件を反復した。2D培養は、アドレナリン誘発性の拍動数の増加の回復を達成することができず、3Dシステムと比較して2D培養における十分な代謝活性の欠如がさらに示唆された。
【0080】
統合バイオセンシングシステム。先行するデータは、in vitroオルガノイドプラットフォームに対するシステム生物学アプローチが有し得る可能性を示すものである。しかし、解析の観点からは、心臓拍動活性モニタリングを除いて、データ出力は、依然としてELISAsおよび免疫染色のような、確立されてはいるが、しばしば飽きられた、伝統的な技術によって達成される、比較的少数の時点のスナップショットの形態である。これらの標準的な測定技術を改善するために、センサーをマイクロ流体構成要素と組み合わせて、外部の構成要素への流体の流れの経路制御のための中央ブレッドボード、培地貯槽、バブルトラップ、複数のオルガノイドマイクロリアクター、物理的センサーチップおよび電気化学センサーチップから構成されるシステムを創製した(図6a)。統合されたバブルトラップは、通過する培地流がポストのグリッドに遭遇するモジュールから構成されており、ポストは気泡を捕捉し結合させる役割を果たし、ここで所望により気泡をシステムから除去することができる32。インラインMitosフローセンサーを用いた試験により、バブルトラップを用いた場合のより均一で、一貫性がある流れと比較してバブルトラップを用いない場合に流速が変動することが示されている(図6b)。物理的センサーモジュールは、温度プローブ、pHセンサーおよび酸素センサーの3つのセンサーを収容する。熱電対温度プローブは、通過する培地流の温度を記録し、インキュベーターの扉を開け、周囲の室温の空気を流入させることによって示される(図6c)ように、環境温度の擾乱に応答する。培地のpHおよび酸素センサーは、インラインLEDおよびフォトダイオードシステムに基づいており、pH6.0~8.5(図6d)および0%~21%O図6e)のような、生理学的値の範囲に対してとりわけ感度が高い33。最後に、抗体またはアプタマー結合および電極インピーダンスの変化に基づく電気化学的センサーは、システム操作の過程にわたり一度に3種までの可溶性バイオマーカーの間欠的な測定を可能にする(図6f~g)。12時間サイクルの過程で組織構築物分泌アルブミン、α-GSTおよびクレアチンキナーゼに関する電気化学的バイオマーカーデータを記録した操作統合システムを構築した。アルブミンレベルは、測定可能で、一貫性があったが、α-GSTおよびクレアチンキナーゼは、これらのベースライン条件下では毒性は予期されなかった通り、低いままである(図6h)。
【0081】
[考察]
有効な新薬候補の開発は、ヒトベースの組織をin vitroで正確に具現化することができないため、限定的であり、信じられないほど費用がかかるものとなっていた。動物モデルは、限定的な操作とこれらの機序の試験を可能にするにすぎず、ヒトにおける結果を必ずしも予測するものではない。伝統的に、in vitroの薬物および毒性試験は、2D培養における細胞株を用いて実施されてきた。薬剤における多くの発見が得られたにもかかわらず、2D培養は、in vivo組織の3D微小環境を正確に再現することができない5,7,8。3D組織オルガノイドに移行することによって、これらの欠点の多くを克服し得る。3Dオルガノイドは、サイズが小さいが、in vivo組織とより類似した拡散特性を有し、さらに天然に存在する細胞間および細胞-マトリックス相互作用の多くが生じることも可能にする。本発明者らが、本発明者らのオルガノイド特徴付けデータにおいて示したように、そのようなオルガノイドは、それらの2D対応物と比較して劇的に改善された組織固有の機能性を有する。より重要なことに、これらのオルガノイドは、実際のヒト臓器と同様に薬物および毒素に反応する能力を有し、したがって、それらは、薬物スクリーニング応用のための改善されたプラットフォームとなる。
【0082】
本発明者らは、一連の薬物に反応するマルチオルガノイドを最終的にもたらす、バイオプリンティングおよびマイクロ流体技術によるこれらの肝臓オルガノイドおよび心臓オルガノイドの統合をさらに述べる。最初に、本発明者らは、肝臓および心臓オルガノイドを別個に評価した。大用量で服用した場合の一般的な肝臓毒素であるアセトアミノフェンは、肝臓オルガノイド分泌アルブミンおよび尿素の両方を用量依存的に減少させることが示された。さらに、LIVE/DEAD生存率評価により、漸増APAP用量が細胞死の明らかな増加をもたらしたことが示された。これらの反応は、予想されたものであり、in vitroでバイオプリントされたこれらのオルガノイドがあるべき形でAPAPに反応することを示唆するものであった。次の実験は、APAPの毒性作用を軽減するための中和剤としてN-アセチル-L-システインを用いることに焦点を合わせた。APAPの投与と同時のNACの投与により、毒性作用が低下し、無薬物対照群により高度に類似した機能的アウトプットがもたらされた。NACは、APAPにより誘発されるアルブミンおよび尿素の分泌量の減少を軽減し、アポトーシス細胞死によるLDHおよびα-GSTの放出の発生率も低下させ、ひいては中毒性薬物用量に対するだけでなく、救出薬に対する肝臓オルガノイドの反応性を示す。心臓オルガノイドの反応性は、アドレナリン、ベータアドレナリン作動薬およびベータ遮断薬であるプロプラノロールを用いて試験した。アドレナリンによるベータアドレナリン受容体の活性化は、通常拍動数の増加をもたらすが、プロプラノロールは、この作用を阻害する。一連のアドレナリン濃度を試験したところ、オルガノイドの拍動は、ベータアドレナリン受容体の飽和に起因すると思われるプラトー状態に最終的に達するまで、用量依存的に増加した。高濃度のアドレナリンの投与の前にプロプラノロールを投与した場合、心臓拍動数の増加を用量依存的に低下または阻害することができた。重要なことに、システムにおける流体の流量が低いにもかかわらず、アドレナリンに対する反応が速やかであり、様々な薬物に対するほぼ生理学的反応速度を達成することが可能であり得ることが示唆された。
【0083】
薬物に対する個々のオルガノイドの反応よりも重要なことは、1つのオルガノイドの反応が他のオルガノイドの反応と密接な関係を有する、マルチオルガノイドシステムの反応である。この概念を探究するために、肝臓および心臓オルガノイドを単一循環流体システム内で組み合わせた。天然の健常肝臓は、プロプラノロールを効率的に代謝でき、それによりベータ受容体のブロッキングが無効化されるので、プロプラノロールのブロッキングおよびアドレナリンに基づくベータ受容体の活性化の効果を、肝臓オルガノイドの存在下および非存在下で評価した。肝臓オルガノイドを含まないシステムでは、プロプラノロールはシステム内でその活性型のままであり、アドレナリンが拍動数の増加を誘発することを阻害することに成功した。しかし、3D肝臓オルガノイドを導入した場合、それらは、プロプラノロールの一部を代謝し、アドレナリンの投与により、拍動数が増加し、有意な肝臓代謝が示された。とりわけ、2Dにおける肝細胞培養を3D肝臓オルガノイドの代わりに用いた場合、プロプラノロールは、肝臓細胞が全く存在しなかったかのようにアドレナリンの作用を阻害した。これは、肝臓オルガノイドプラットフォームが有効であることをさらに確認し、3D組織の組織化の重要性を実証するものであった。
【0084】
3D in vitroスクリーニングプラットフォームにおける高レベルの細胞生存能力および機能を維持する必要性があることに加えて、改善されたデータ取得システムの必要性もある。取得およびモニタリング技術が操作することが簡単または包括的でないならば、最も進歩した生物学的プラットフォームでさえも広範に使用されることはない。これらの要件を満たすために、本発明者らのチームは、プラグアンドプレイ方式で迅速な遂行を可能にする、プラットフォームの他の構成要素と同様にモジュール型であるセンシングシステムのポートフォリオを開発した。温度、流量、酸素およびpHを含む、一式の物理的環境センサー、ならびに心臓オルガノイドの拍動を捕捉するためのオンボードカメラおよび可溶性バイオマーカー濃度をモニターするための高度な抗体またはアプタマーベースの電気化学的センサーを含む、細胞ベースのセンサーを示す。これらのセンサーと組織構築物単位および流体構成要素とのさらなる統合および効率化は、本発明者らのプラットフォームの有用性を高め、低い試薬および試料の消費、短いアッセイ時間ならびに低い運転費用を支え続けるであろう34
【0085】
[方法]
オルガノイドの製造および維持。オルガノイドは、GravityPlus懸滴培養プレート(inSphero AG)を用いて凝集させた。細胞を、90%HCM培地(Lonza)、10%熱不活性化ウシ胎児血清(Gibco)およびラット尾コラーゲンI(10ng/μl、Corning)から構成される細胞播種混合物中に混ぜ合わせた。肝臓オルガノイドは、80%肝細胞(Triangle Research Labs)、10%肝星細胞(ScienCell)および10%クッパー細胞(Gibco)の混合物を用いて製造した。40μLの培地当たり約1500個の細胞を用いて、懸滴培養で凝集体を形成した。心臓オルガノイドは、培養の純度および分化を維持するために100%心筋細胞(Stem Cell Theranostics)を用いて心筋細胞維持培地(Stem Cell Theranostics)中で同様に製造した。37℃で5%COを用いた4日間の培養の後、オルガノイドを下流応用(applications)のために移し、それらの各培地中で80μl/ウェルで培養した。
【0086】
肝臓および心臓固有のヒドロゲルバイオインクの調製。肝臓に固有のヒドロゲルバイオインクは、以前に記載された15ように、脱細胞化ブタ肝臓から調製した、増殖培地、コラーゲン、グリコサミノグリカンおよびエラスチンを含む、肝臓ECM溶液を注入したヒアルロン酸およびゼラチンヒドロゲルシステムを用いて調合した。バイオインクの調製のために、HyStem-HPヒドロゲルキットからのチオール化ヒアルロン酸およびゼラチンベースの材料成分(それぞれHeprasilおよびGelin-S、ESI-BIO、Alameda、CA)を光開始剤(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-プロピル)ケトン、Sigma)の0.1重量/容積%溶液に溶解して、2重量/容積%溶液を調製した。PEGDA架橋剤(MW 3.4kDa、ESI-BIO)を光開始剤溶液に溶解して、4重量/容積%溶液を調製した。さらに、8アームPEGアルキン架橋剤を溶解して、8重量/容積%溶液を調製した。ヒドロゲルバイオインク溶液を調製するために、4部の2%Heprasil、4部の2%Gelin-S、1部の架橋剤1、1部の架橋剤2を8部の肝臓ECM溶液および2部のHepatocyte Culture Medium(HCM、Lonza)と混ぜ合わせた。次いで非修飾HAおよびゼラチンをバイオインクに添加した(それぞれ1.5mg/mLおよび30mg/mL)。得られた混合物をボルテックスして混合し、注射器またはプリンターカートリッジに移し、自発的に30分間架橋させた(ステージ1架橋)。二次架橋(ステージ2)が望ましい場合、例えば、バイオプリンティングの後、押出されたステージ1架橋ゲルに紫外線(365nm、18w/cm)を照射して、チオール-アルキン重合反応を開始させた。
【0087】
心臓ヒドロゲルバイオインクは、単純なフィブリン-ゼラチン2部システムを用いて調合した。第1の部分は、30mg/mLフィブリノーゲンおよび35mg/mLゼラチンをPBSに溶解することによって調製し、一方、第2の部分は、20U/mLトロンビンをPBSに溶解することによって調製した。バイオインク成分のヒドロゲル内への架橋は、所望の容積のフィブリノーゲン-ゼラチン溶液をトロンビン溶液で覆い、それにより、酵素的フィブリノーゲン切断およびその後の架橋を開始させることによって達成された。
【0088】
肝臓構築物および心臓構築物のバイオプリンティング。肝臓構築物を作製するために、初代肝臓スフェロイドをヒドロゲルバイオインク溶液中に懸濁し、バイオプリンターカートリッジに移し、その後、溶液に第1の架橋ステージ(チオール-アクリレート反応)を30分間受けさせた。最初の架橋の後に、組織内部で開発された3Dバイオプリンター27を用いて、ヒドロゲルバイオインクをポリカプロラクトンと同時に押し出して、7mm×5mmのダイヤモンド形のプラスチックカバースリップ上で、支持PCL構造間に一組のヒドロゲル「流路」を形成した。この構造を図2b~cに示す。印刷は、プリントヘッドを約300mm/分の速度で、X-Y面内を移動させながらバイオプリンターにより加えられた20kPaの圧力下で行われた。堆積後、1~2秒間のUV光の照射を用いて、二次架橋メカニズムを開始させ、構築物を安定化し、材料の剛性を増大させた。構築物を12ウェルプレートの底部に入れ、2mLのHCMで覆い、プレートをさらなる使用時まで37℃、5%COのインキュベーター中に入れた。
【0089】
心臓構築物を作製するために、心臓オルガノイドをフィブリノーゲン-ゼラチン溶液中に懸濁し、バイオプリンターカートリッジに移した。ゼラチン成分を十分な粘度となるまでバイオインクに加えて、オルガノイドを懸濁液中に保持し、滑らかな堆積を促進した。3Dバイオプリンターは、上述の同じ7mm×5mmプラスチックカバースリップの外辺部に沿って位置する支持PCLフレーム内に、オルガノイド添加バイオインクを堆積した。印刷を上述のように実施し、その後、トロンビンの二次溶液を用いて、バイオプリントされた構築物を覆い、フィブリノーゲン成分の架橋を開始させた。構築物を12ウェルプレートの底部に入れ、20μg/mLアプロチニンを含む2mL CMM(Sigma)で覆って、フィブリンゲルの酵素分解を防止し、ウェルプレートをさらなる使用時まで37℃、5%COのインキュベーター中に入れた。
【0090】
バイオプリンティングの後の細胞生存率の確認のために、バイオプリントされた構築物をLIVE/DEADキット(Life Technologies)を用いて染色した。手短に述べると、構築物をPBSおよびHCMの1:1混合物中2μMカルセイン-AMおよび4μMエチジウムホモ二量体-1の濃度とともに1時間インキュベートした。染色後、構築物を4%パラホルムアルデヒドで60分間固定し、PBSで洗浄した。次いで、Leica TCS LSIマクロ共焦点顕微鏡を用いて構築物を撮像した。各構築物の150μmのZスタックを取得し、それから最大画像を得た。後の実験に使用するために、90%以上の生存率(示さず)を有するバッチのオルガノイドのみを用いた。
【0091】
マイクロ流体マイクロリアクターデバイスとの統合。マイクロ流体デバイスは、通常のソフトリソグラフィーおよびレプリカモールディングにより形成されたPDMS構成要素の組立てにより作製した31。マイクロバイオリアクターは、PMMAクランプにより上部および底部から強固に保持された、流体の流れを導くためのPDMS(ポリジメチルシロキサン)ブロックからなっている。作製プロセスは、バイオリアクターの内側のPDMS構造を固定し、他の構造の追加を容易にする2つのPMMA(ポリメチルメタクリレート)クランプを機械加工することから開始した。PMMA層は、レーザー切断(3mm)PMMA(8560K239、McMaster)を用いて機械加工した。底部PMMAクランプは、15×10mmの長方形の端に8個の2mm穴を有していた。上部は、同じ位置合わせされた8個の穴(ネジ固定用)および中心がマイクロバイオリアクターの入口/出口ポストに位置合わせされた、2つの3.5mmの穴からなっていた。
【0092】
リアクターのマイクロ流体構成要素は、PDMSのソフトリソグラフィーを用いて作製した。PDMSマイクロ流体構成要素の型を作製するために、レーザーカッターを用いて機械加工またはSU-8フォトレジストを用いて、PMMAシートを形成した。PDMSプレポリマーは、シリコーンベースおよび硬化剤(10:1容積比)を5分間十分に混合した後、真空チャンバー中でPDMS混合物を30分間脱気することによって調製した。次いで、プレポリマーをそれぞれの押込み型上に注いだ。薄い下層(入口要素)用には10cmペトリ皿当たり2.0gを用い、一方、厚い上層(出口要素)用には6.0gを加えた。第2の脱気処置を行って、存在するすべての気泡を除去した後、80℃で少なくとも90分間PDMSを硬化させた。硬化した後、2つのPDMS層を型と対照して切断した。細胞チャンバー部分を下層から切り離したが、後のプラズマボンディングステップのために残しておいた。入口/出口接続用の穴は、上層対して1mmパンチを用いて切り取った。
【0093】
システムの組立ては、チャンバー面がガラススライドに対向するように、TMSPMA処理ガラススライドへのPDMS底層の標準的な不可逆空気プラズマボンディング(Plasma Cleaner PDC-32G、Harrick Plasma)を用いて実施した、底層の調製から開始した。ボンディングの前に、ガラススライドおよびPDMS層をスコッチテープと対照して十分に浄化した。結合された構築物を80℃オーブン中に終夜保持した。
【0094】
バイオリアクターの製作プロセスにおける次のステップは、上層の2つのパンチ穴への1mmコネクターの挿入であった。対応する穴を有するPMMA構造を、接続の近くの所定の位置にPDMSを含む保護層として用いた。穴を完全に埋めるようにPDMSプレポリマーを加えた後、80℃オーブン中で60分間硬化させた。硬化後、コネクターを注意深く除去し、PTFEチューブを穴に挿入し、エポキシ接着剤により固定した。クッション層を構成する、PDMSパッドは、7.5gの脱気PDMSを10cmの皿に注加した後、硬化させて、1mmの厚さのPDMSパッドを得ることにより作製した。このクッション層は、ガラススライドと底部PMMAカバーとの間に用いた。使用するためにマイクロリアクターの層を固定し、ネジで留めてそれらを一緒に保持した。
【0095】
バイオプリントされたオルガノイド構築物を収容するために、滅菌済み鉗子を用いて、カバースリップ上の構築物を7mm×5mmオルガノイドチャンバーマイクロバイオリアクターデバイス中に移した。次いで、使用直前にマイクロリアクターデバイスを密封し、固定した。各デバイスをチューブによりマイクロ流体ポンプ、バブルトラップおよびその後の実験条件による適切な種類の培地(HCM、CMMまたは50:50共通培地)を含む培地貯槽に接続した。流入を10μL/分で開始し、維持して、システムを満たした。
【0096】
肝臓構築物合成機能、アセトアミノフェン傷害に対する反応およびN-アセチル-L-システインによる介入。有毒薬物傷害に対する肝臓オルガノイドシステムの反応を評価するために、アセトアミノフェンを用いた。肝臓オルガノイドを前述のようにマイクロリアクター中で14日間培養した。3、6、10および14日目に培地試料を採取した。6日目の培地の採取後に、1組のオルガノイドを通常の培地で継続し、1組のオルガノイドを1mMのAPAPで処理し、1組のオルガノイドを10mMのAPAPで処理した。肝臓オルガノイドシステムに用いるべき対抗処置の有効性を評価するために、APAP誘発性毒性に対する臨床的に適切な処置として、N-アセチル-L-システインを検討した。この最後の組のオルガノイドを10mMnおAPAPおよび20mMのN-アセチル-L-システインで処理した。培地の交換中、薬物処理を受けている群は、適切な薬物濃度も含む新たなHCMを受けた。
【0097】
ベースライン条件下ならびにAPAPへの曝露中の肝臓オルガノイドのアルブミンおよび尿素の分泌の評価のために、採取した培地の一部試料をHuman Albumin ELISAアッセイ(Alpha Diagnostic International)を用いて分析し、採取した培地中の分泌尿素の量を、Urea比色アッセイ(BioAssay Systems)を用いて決定した。生存率の評価のために、LIVE/DEAD生存率/細胞毒性キット(Life Technologies)による染色のために、最終培地採取時点(14日目)の直後にオルガノイドを除去した。染色は、2μMカルセインAM/PBS:HCM(1:)溶液(生細胞を緑色に染色する)および4μMのEthD-1(死細胞を赤色に染色する)中のインキュベーションからなっていた。染色後、オルガノイドをPBSで洗浄し、4%PFAで固定し、PBSに移してマクロ共焦点顕微鏡法(Leica TCS LSI)を用いて撮像した。さらに、培地試料をLactate Dehydrogenase Assay Kit(Abcam)を用いて、毒性により細胞膜破裂が引き起こされた後に細胞から放出される酵素である乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の存在について、および、α-GST Assay Kit(Oxford Biomedical Research)を用いて、毒性への曝露後にこれも細胞から放出される肝細胞特異酵素であるα-GSTについて、分析した。
【0098】
心臓構築物のベースライン機能のモニタリングおよび薬物に対する拍動数反応。オンボードカメラは、市販の費用対効果が高いwebcam(Logitech C160)に基づいて設計され、製造され、レンズレス型からかなり改良された35,36図4aにおける略図に、webcamからコンパイルされた部品を有する顕微鏡の製造法を示す。最初にCMOSセンサーを復活するためにwebcamのカバーを外す。次いでwebcamのレンズをその最初の位置から取り外し、反転させ、後退させてホルダーに組み込んで、それを拡大レンズに転換する。次いでバイオリアクターの底部に合うように小顕微鏡用の基部を設ける。基部は、レーザーカッター(VLS 2.30 Desktop Laser System, Universal Laser Systems)を用いてバイオリアクターの寸法に切断されたPMMAシート(厚さ1/8”、12”x12”、McMaster 8505K11)の二層構造からなっていた。4組のネジ/ボルトを用いて、CMOSモジュールをPMMA構造の対の間に強固に固定した。さらなる4組のネジ/ボルトを構造の隅にさらに取り付けて、焦点ノブとしての役割を果たさせた。バイオリアクター自体の非常にわずかな変更が必要であり、すなわち、底部で撮像装置に合うように4つの別の穴を下側のPMMAボードにドリルで開けた。
【0099】
心臓構築物の培養中に、ビデオを撮り、心臓オルガノイドの拍動数を解析した。ビデオファイルは、一連のMatLab関数を有するMatLabカスタムコードを用いて解析した。ソフトウエアは、ビデオの最初のフレームに基づいて参照フレームを作り、それぞれの後のフレームにおける画素を比較し、どの画素が経時的な運動を表していたかを決定した。次いで各フレームにおける運動画素を用いて、拍動挙動の白黒画素化表示を発生させて、拍動伝播の視覚化を可能にし、運動画素の数対時間を示すプロットを発生させ、拍動数の決定を可能にした。
【0100】
薬物に対する心臓オルガノイドの拍動数反応を評価するために、ベースライン条件下で、または0.1mMイソプロテレノール、1μMキニジンもしくはアドレナリンとプロプラノロールとの併用により処理した状態で、心臓オルガノイドのビデオを撮影した。最初に後者の2つの薬物について、アドレナリンを0μM、0.1μM、1μM、10μM、50μMの濃度で投与し、オルガノイドの拍動数を決定した。次に、in vivoでの心拍数の増加を妨げるベータ遮断薬であるプロプラノロールの影響下でのアドレナリンの反応は、最初に15分間にわたり0μM、0.5μM、5μMおよび20μMを用いて心臓オルガノイドをインキュベートし、その後、アドレナリンを5μMの濃度で投与し、拍動数を顕微鏡下で視覚的に決定することによって評価した。
【0101】
統合オルガノイドシステムおよび薬物に対する統合反応。両方の種類のオルガノイドの組合せが薬物反応にどのように影響するのかを評価するために、アドレナリンおよびプロプラノロールを独立に、および一緒に試験した。独立シナリオでは、オルガノイドプラットフォームを以下の2つの群で用意した。群1は、心臓のみからなる一組のオルガノイドと「ブランク」肝臓モジュールからなっていた。群2は、心臓および肝臓の両方からなっていた。しかし、心臓および肝臓構築物がインキュベーション期間中別個に維持されていた一方で、薬物が肝臓構築物または「ブランク」肝臓モジュールに投与され、その後、心臓拍動数を評価する前にモジュールを30分間一緒にしたことに注意すべきである。ベースラインの心臓オルガノイド拍動数を薬物の投与前に各群において決定した。次いで、薬物、つまり0.1μMプロプラノロールまたは0.5μMアドレナリンのいずれかを投与し、1時間インキュベートし、その後モジュールを接続し、データを収集した。
【0102】
アドレナリンおよびプロプラノロールの組合せに対する肝臓および心臓システムの統合された反応を試験するために、上述の実験群を用意し、同じプロトコール(モジュールの接続の前の個々のユニットのインキュベーション)に従った。しかし、インキュベーション期間を終夜(18時間)に延ばした。群1と群2の両方に0.1μMプロプラノロールを投与した。インキュベーション期間の後、モジュールを接続し、0.5μMアドレナリンを両群に投与した。さらに、並行して、群2と同様であるが、2D比較として肝臓構築物の代わりに2D肝細胞培養(100~200万個細胞/ウェル)を用いた群3条件を用いた。
【0103】
[補足的な材料および方法]
肝臓細胞の供給源および培養。用いたすべての細胞は、商業的に調達されたヒト初代細胞であった。オルガノイドの形成に用いるための肝星細胞(HSCs)(ScienCell)は、冷凍保存の前に2継代にわたって増殖培養した。増殖中、HSCsは、37℃、5%CO条件下、ラット尾コラーゲンIコーティング(10ng/cm、Corning)上で、90%高グルコースDMEM(Gibco)および10%ウシ胎児血清(Atlanta Bio.)中にて培養した。初代ヒト肝細胞(Triangle Research Labs)は、Hepatocyte Thawing Medium(Triangle Research Labs)を用いて製造業者の取扱説明書に従って解凍した。クッパー細胞も製造業者の取扱説明書(Gibco)に従って解凍した。2次元肝細胞サンドイッチ培養は、肝臓オルガノイドとの比較として用いた。初代ヒト肝細胞(Triangle Research Labs)は、上述のように解凍し、次いで、約150,000細胞cm/の密度でHepatocyte Plating medium(Triangle Research Labs)を用いて、コラーゲン被覆(10ng/cm、Corning)6ウェル培養プレート上で平板培養した。細胞は、マトリゲルを重層(BD)として加える前に37℃で5%COを用いて4時間インキュベートした。さらに24時間インキュベートした後、新たなHCM培地(Lonza)を加えた。
【0104】
心臓細胞の供給源および培養。人工多能性幹細胞由来の心筋細胞をStem Cell Theranosticsから商業的に調達し、オルガノイドを心筋維持培地(CMM、Stem Cell Theranostics)中で培養した。
【0105】
オルガノイド生存率アッセイ。以下のホワイトペーパーに詳述されているように、オルガノイドの生存率を、代謝活性の尺度としてのATPの産生により評価した。1つのオルガノイド/ウェルを黒色不透明96ウェルプレート(Corning)に移すことにより、CellTiter-Gloアッセイ(Promega)を用いてATPを測定した。80μl/ウェルのHCM培地(Lonza)を用いたブランクを含めた。1ウェル当たり80μlの調製済みCellTiter-Glo緩衝液を加え、振盪機上に5分間のせて、細胞を溶解し、次いで遮光してさらに15分間インキュベートした。プレートリーダー(SpectraMax M5、Molecular Devices)を用いて0.5秒/ウェルの積分時間でプレートを読み取った。サンプルタイムポイント(sample time points)を2標本不等分散t検定により比較した。生/死染色も用いて生存率を評価した。オルガノイドをPBSで洗浄し、次いで生/死、生存率/細胞毒性キット(Life Technologies)、2μL/mLエチジウムホモ二量体-1およびカルセインAM(PBSで希釈)で遮光して室温で45分間染色した。オルガノイドを凹型ガラススライド(Erie Scientific)に移し、次いで5xマクロ対物レンズ付きTCS LSIマクロ共焦点顕微鏡(Leica)を用いて撮像した。
【0106】
オルガノイド機能アッセイ。培地交換の24時間後に個々のウェルから上清を採取することにより、尿素およびアルブミンの産生を測定した。尿素の産生は、比色アッセイQuantichrom Urea Assay Kit(BioAssay Systems)を用いて製造業者の取扱説明書に従って測定した。試料は、430nmに設定されたプレートリーダー(SpectraMax M5、Molecular Devices)を用いて、96ウェル透明アッセイプレート(Corning)にて測定した。データは、2標本不等分散t検定を用いて解析した。アルブミンの産生は、Human Albumin ELISAキット(Alpha Diagnostic International)を用いて、製造業者の取扱説明書に従って測定した。試料は、450nmに設定されたプレートリーダー(SpectraMax M5、Molecular Devices)を用いて測定し、データは、2標本不等分散t検定を用いて解析した。
【0107】
個々のオルガノイドの免疫組織化学。組織化学用のオルガノイドの用意。オルガノイドを採取し、4%パラホルムアルデヒドで室温で1時間固定した。オルガノイドは、Histogel(Richard-Allan Scientific)に包埋し、次いで、パラフィン包埋物を4μm切片にする前に、一連の段階的エタノール洗浄により脱水した。切片をヘマトキシリンおよびエオシンで染色し、DM4000B顕微鏡(Leica)を用いて光学顕微鏡法により撮像した。
【0108】
免疫組織化学。別途述べない限り、すべての洗浄をTBSで、インキュベーションステップを室温で実施した。切片を脱パラフィンし、水和し、次いで熱誘導エピトープ回復ステップを0.01Mクエン酸緩衝液(pH6.0)中で実施した。内因性酵素活性をDuel Endogenous Enzyme Block (Dako)を用いてブロックし、10分間インキュベートした。スライドは、Serum Free Protein Block(Dako)で15分間ブロックした。一次抗体をAntibody Diluent(Dako)で希釈し、4℃で終夜インキュベートした。用いた抗体は、マウス抗ヒト血清アルブミン(Abcam、ab10241)、ウサギ抗シトケラチン18(Abcam、ab52948)、ウサギ抗シトクロムP450レダクターゼ(Abcam、ab13513)、ウサギ抗GFAP (Abcam、ab7260)、ウサギ抗コネキシン32(Invitrogen、71-0700)およびウサギ抗Eカドヘリン(Abcam、ab40772)、マウス抗トロポニンT-C(Santa-Cruz、sc73234)を含む。二次抗体をAntibody Diluent(Dako)で希釈し、1時間インキュベートした。用いた二次抗体は、ペルオキシダーゼAffiniPureロバ抗ウサギIgG(Jackson ImmunoResearch Labs、711-035-152)、ビオチン抗マウスIgG(Vector Labs、BA-2000)およびビオチン抗ウサギIgG(Vector Labs、BA-1000)を含む。HRPコンジュゲート抗体については、NovaRed基質キット(Vector)を用いて試料を得た。アビジン-ビオチニル化コンジュゲート抗体については、Vectastain Universal ABC-APキット(Vector)およびVectorRed AP基質(Vector)を用いてスライドを得た。スライドをヘマトキシリンで染色し、次いでMounting Media 24(Leica)を用いて永久的にカバースリップを載せた。スライドを、DM4000B顕微鏡(Leica)を用いて光学顕微鏡法により撮像した。
【0109】
オルガノイドのホールマウント免疫蛍光染色。心臓オルガノイドをホールマウント免疫蛍光染色法により解析した。別途述べない限り、すべての洗浄をPBSで、ステップを室温で実施した。オルガノイドを採取し、4%パラホルムアルデヒドで固定し、振盪機上で1時間インキュベートした。オルガノイドを0.5%Triton-X100を用いて透過処理し、振盪機上で1時間インキュベートした。試料をProtein Block(Dako)で1時間処理した。一次抗体をAntibody Diluent(Dako)で希釈し、4℃で終夜インキュベートした。用いた一次抗体は、ウサギ抗VEGF(Santa Cruz、sc-152)、マウス抗アクチニン(Santa-Cruz、sc-17829)およびマウス抗MYL7(Santa-Cruz、sc-365255)を含む。二次抗体をAntibody Diluent(Dako)で希釈し、4℃で終夜インキュベートした。用いた二次抗体は、ヤギ抗ウサギAF488(Life Technologies)およびヤギ抗マウスAF594であった。試料を振盪機上でDAPIを用いて20分間染色した。5xマクロ対物レンズ付きTCS LSIマクロ共焦点顕微鏡(Leica)を用いて撮像するために試料を凹型ガラススライド(Erie Scientific)に移した。
【0110】
薬物代謝に関する質量分析。この実験に用いたすべての薬剤化合物は、Sigma Aldrich社から調達した。オルガノイドおよび単層培養における薬物毒性は、HCM培地(Lonza)中、リファンピシン(25mM)、3-メチルクロルアントラセン(3.78μg/mL)およびフェノバルビタール(58.0μg/mL)の混合物を用いて、細胞を24時間誘導し、シトクロムP450活性を誘導することによって評価した。次いでジアゼパム(2.5μg/mL)をHCM培地に24時間加えた。ジアゼパム代謝物であるテマゼパム、ノルジアゼパムおよびオキサゼパムを細胞上清中で測定した。試料容積を測定し、4-OHクマリンを内部標準として500pg/μlの最終濃度で加え、25μlを50℃に維持されたPhenomenex Hypersil 3μm C18-BD 150mm長X2mmI.D.カラム(P/N 00F-4018-B0)に注入し、0.2ml/分の流量で溶出した。LC勾配は、0分に95%A、0~6分に30%Aまで、6~20分に30%Aに保持、20~22分に95%Aまで、22~30分に95%Aに保持であり、溶媒Aは、95:5(容積/容積)HO:メタノール+0.15%ギ酸であり、溶媒Bは、メタノール+0.15%ギ酸であった。用いたシステムは、Spark Holland LCならびにRelianceオートサンプラーおよび4℃に維持された調整スタッカーにより自動化された、ポジティブイオンおよび多重反応モニタリングモードで操作されるThermo-Scientific Quantum Discovery Max3連四重極質量分析計であった。スプレー電圧は、3500Vであり、キャピラリー温度は、250℃であり、スキャン時間は、0.1秒であり、Q1およびQ3ピーク幅は、両方が0.70であり、Q2衝突ガス圧力は、0.8mトルであった。
【0111】
トログリタゾン毒性。トログリタゾン(Sigma-Aldrich)保存溶液をDMSO(Sigma-Aldrich)に懸濁し、次いでHCM培地により、0μM、1μM、1.67μM、2μM、2.33μM、2.67μMおよび3μMの濃度に希釈した。DMSO毒性対照は、HCM培地中1%DMSOを用いて調製し、すべての処理保存溶液(treatment stocks)は、<1%のDMSOを含んでいた。オルガノイドは、試料の採取前にトログリタゾンで48時間処理した。オルガノイドの生存率は、前述のように記録されたCellTiter-Gloアッセイ(Promega)を用いて測定した。オルガノイド内のリン脂質の蓄積は、HCS LipidTox Phospholipidosis Detection Stain(Invitrogen)を用いて撮像した。LipidTox試薬をトログリタゾンと同時に1:500の比で培地に加えた。48時間の薬物処理の後、オルガノイドを4%パラホルムアルデヒド(Sigma Aldrich)で固定し、PBSで洗浄し、次いで5xマクロ対物レンズ付きTCS LSIマクロ共焦点顕微鏡(Leica)を用いて撮像するために凹型ガラススライド(Erie Scientific)に移した。
【0112】
マイクロリアクター培養肝臓構築物の表現型および長期生存率の特徴付け。免疫染色による表現型の特徴付けのために、オルガノイドを培養中で最長28日間維持し、その間、様々な時点にいくつかの解析を実施した。3日目、6、10、14、17、21、24および28日目に、消費された培地を新たなHCMと交換した。8日後に、オルガノイド構築物を4%PFAで固定し、PBSですすぎ、その後、組織学的解析(下記)のために処理するまで構築物をPBSで4℃に維持した。アルブミンおよび尿素の分泌の解析のために、オルガノイドを培養中で14日間維持し、その間、3、7、10および14日目に培地を採取し、新たなHCMと交換した。生存率の評価のために、オルガノイドを培養中で28日間維持した。LIVE/DEAD生存率/細胞毒性キット(Life Technologies)による染色のために1日目、14日目および28日目にオルガノイドのサブセットをマイクロリアクター培養から除去し、その後、それらを4%PFAで固定し、PBSに移し、マクロ共焦点顕微鏡法(Leica TCS LSI)を用いて撮像した。
【0113】
固定された肝臓構築物をプラスチックカバースリップから注意深く除去し、パラフィン処理し(段階的エタノール洗浄、キシレンおよびパラフィン)、組織切片作製の用意をした。ガラス顕微鏡スライド上組織切片(5μm)をミクロトームを用いて作製した。IHCのために、別途述べない限り、すべてのインキュベーションを室温で行った。スライドを60℃で1時間加温して、スライドへの結合を増大させた。抗原賦活化は、すべてのスライドについて実施し、プロテイナーゼK(Dako、Carpinteria、CA)中の5分間のインキュベーションにより達成された。0.05%Triton-X中、5分間のインキュベーションにより、切片を透過処理した。Protein Block Solution (Abcam)中の15分間のインキュベーションにより、非特異的抗体結合をブロックした。切片は、加湿チャンバー内で、以下、すべてが抗体希釈剤(Abcam)により1:200希釈された、一次アルブミン(マウスにおいて産生、カタログ#A6684、Sigma)、CYP3A4(ウサギにおいて産生、カタログ#NBP1-95969、Novus Biologicals、Littleton、CO)、Ost-Alpha(ウサギにおいて産生、カタログ#sc-100078、Santa Cruz、Dallas、TX)、ジペプチジルペプチダーゼ-4(ウサギにおいて産生、カタログ#ab28340)、E-カドヘリン(マウスにおいて産生、カタログ#610181、BD Biosciences、San Jose、CA)、ZO-1(ウサギにおいて産生、カタログ#61-7300、Invitrogen)またはβ-カテニン(ウサギにおいて産生、カタログ#71-2700、Invitrogen)とともに、60分間インキュベートした。
【0114】
一次インキュベーションの後、スライドをPBSで5分間にわたり3回洗浄した。次いで試料を適宜、抗体希釈剤(1:200希釈)中で抗ウサギもしくは抗マウスAlexa Fluor 488二次抗体(Invitrogen)または抗マウスDylight 594二次抗体とともに1時間インキュベートした。細胞をDAPIで5分間対比染色し、蛍光撮像の前に1×PBSで3回洗浄した。陰性対照は、一次抗体インキュベーションと並行して実施し、一次抗体の代わりにブロッキング溶液とのインキュベーションを含めた。陰性対照切片において免疫反応性は認められなかった。試料は、Leica DM 4000B正立顕微鏡で488nm、594nmおよび380nmの蛍光を用いて撮像した。
【0115】
オンボードセンサーの実装。物理的センサー。酸素センサーの操作は、酸素の存在下における外因性光輝性色素のクエンチングに基づくものであり(Papkovsky, D. B. & Dmitriev, R. I. Biological detection by optical oxygen sensing. Chem Soc Rev 42, 8700-8732, doi:10.1039/c3cs60131e(2013))、Zhang, Y.S., et al.(Zhang, Y. S. et al. A cost-effective fluorescence mini-microscope fwith adjustable magnifications for biomedical applications. Lab Chip 15: 3661-9 (2015))により詳細に記載されている。センサーは、UV光源、励起フィルター(460nm、Thorlabs)および発光フィルター(630nm、Thorlabs)ならびにガラススライド上に沈着した酸素感受性色素からなっていた。ガラススライドを、90秒間にわたるエタノールおよびプラズマ処理により十分に浄化した。次いで、スコッチテープ片をスライド上にのせ、レーザーカッターを用いてテープにおける正方形の開口部を切り出した。エタノール中トリス(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)ルテニウム(II)ジクロリド(AlfaAesar)を、ガラススライド上に分注し、暗所で蒸発して、色素の層を残した。テープを除去し、色素の乾燥した層を残した。流体の流れによって洗い流されることから色素を保護するために、500rpmで10秒間、その後、6000rpmで60秒間のスピンコーティングによって、スライド上の色素上にPDMSの薄層を被覆した。次いで、スライドを80℃で30分間硬化させた。次いで、ガラススライドを、プラズマ処理を用いて、pH、酸素および温度センサーを収容するための空間を有するPDMS流路に結合させた。流路は、主流体回路にセンシングモジュールを接続する1つの入口および1つの出口を有していた。要求される容積を最小限にするために、3つのセンサーは、単一流路を共有している。
【0116】
pHセンサーの操作は、上記のZhangに記載されているように、センサー流路を流れる異なるpHレベルのフェノールレッド含有培地におけるUV光の吸収に基づくものであった。具体的には、センシングは、6~8の間のpH値であるフェノールレッド含有ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)の吸収スペクトルに焦点を合わせている。約420nmおよび560nmの2つの主要な吸収ピークが存在する。異なるpH値におけるピーク間の差異は、560nmにおいて420nmと比較してより顕著であった。DMEMを含有するフェノールレッドの、各pH値における異なる吸収レベルを活用して、光学センサーが開発された。センサーは、組み立てられ、PDMS流体流路に接続された光源としての白色光LED(Radioshack)、フォトダイオード(FDS100、Thorlabs)およびロングパスフィルター(495nm、Thorlabs)からなっていた。ロングパスフィルターを利用して、異なるpH値における電圧の読み(mV)に基づく線形校正曲線を得た。495nmのカットオフ波長を有するハイパスフィルターをフォトダイオードの前に取り付けて、495nm未満の波長を有するシグナルを除去した。ブロードバンドLEDにより照射された場合、バイオリアクターの底部のフォトダイオードが、培養培地に加えたフェノールレッド内の光の吸収を検出し、これが培地中のpH値と直線的に相関していた。
【0117】
温度センサーは、柔軟な熱電対マイクロプローブ(IT-18、Physitemp Instrument Inc、USA)および熱電対測定インターフェース装置(NI USB-TC01、National Instrument製)から構成されていた。殺菌済み熱電対マイクロプローブを培養培地と直接接触させて温度を測定した。温度センサーの分解能は、0.1℃であった。温度センサーを流路に組み込むために、それをガラススライドに結合させる前に直径1mmの穴をPDMS流路に開けた。同じ直径の2つの穴を入口および出口ポートとして開けた。チューブを用いてセンシングモジュールをブレッドボードに接続し、迅速乾燥エポキシを用いて温度マイクロプローブを所定の位置に固定した。
【0118】
センサーからのデータの取得は、National Instrument (NI)製のデータ取得カードおよび特注コード化LabVIEWプログラムにより行われ、制御された。さらに、プログラムは、白色LEDおよびUV-LEDの照明持続時間を電気リレーにより制御した。pHおよび酸素センサーのフォトダイオードからの出力は、データ取得カードを用いて収集された。温度センサーは、組織内開発LabVIEWプログラムとのその統合を可能にするデータ取得用の内蔵プログラムを有していた。
【0119】
電気化学的センサー。メディエーターのような固有の電気化学反応を伴わないバイオマーカーを検出するために、電気化学インピーダンス分光法(EIS)を測定技術として用いた。EISは、電極表面の電気化学的特性、ならびに電解質および電極表面との間の分子の結合速度論の研究を可能にする電気化学技術である。バイオマーカーを捕捉するために、種々の抗原に対するそれらの選択性および感受性のため、抗体またはアプタマーを、バイオマーカーを捕捉するためのバイオレセプターの親和性要素として用いる。補助(対)電極および参照電極ならびに作用電極と、電流が加えられるまたは測定される回路を備えた3電極セルを用いて電気分析化学を行う。フェリシアン化カリウム(K[Fe(CN)])電解質を試験溶液に加えて、十分な伝導性を確保する。電解質および特定の作用電極材料(Au)との組合せにより、印加電位の範囲が決定される。簡単に言うと、電極表面への抗体の付着は、システムに電荷移動抵抗を導入する。
【0120】
サイクリックボルタンメトリー(CV)および矩形波ボルタンメトリー(SWV)EISによる電気化学的解析は、CHI 660E電気化学ワークステーション(CH Instruments)を用いて実施した。EIS技術については、初期電位を0.05Vに設定し、周波数の範囲を0.1Hzから10kHzまでスキャンした。SWVにおいて、電位は、25mVの振幅のステップと4mVの2つの連続するステップの間の増分で-0.5Vから0.5Vまで増加させた。周波数は、30.1Hzに設定し、感度スケールは、0.0001A/Vであった。CVの場合、電位範囲を0.05V/秒のスキャン速度で0.5Vから0.5Vまでスキャンした。全検出には6セグメント(3サイクル)を必要とし、感度は0.00001 A/Vに設定した。すべての測定は、5mM K[Fe(CN)]レドックスプローブシステムで行った。電気化学的検出は、市販のスクリーンプリント金電極(Dropsens)を用いて行った。Dropsens電極は、補助および作用電極としてのAuならびに参照電極としての銀電極からなっていた。セラミック基材のサイズは、33mmÅ~10mmÅ~0.5mm(長さÅ~幅Å~高さ)である。作用電極の面積は、4πmmである。
【0121】
電極の表面は、EDC/NHS(N-[3-ジメチルアミノプロピル]-N’-エチルカルボジイミド ヒドロクロリド/N-ヒドロキシスクシンイミド)による自己組織化単層(SAM)(カルボン酸基)とSPV(アミン基)との間の共有結合により作用電極上にストレプトアビジン(SPV)を固定化することによって官能基化した。SAM溶液は、エタノール中メルカプトウンデカン酸(10mM)を用いて調製した。Au電極は、SAM溶液中に室温で1時間インキュベートし、次いで電極をエタノールで洗浄した。SAM層上に共有結合性リンカーを形成するために、50mMのEDC/NHS混合物/クエン酸(pH4.5)を、SAM官能基化電極上に15分間加えた。この時点では洗浄ステップは必要でなく、過剰のEDC/NHSを除去するために表面を単に乾燥した。次いで電極をSPV(10μg/ml)中で1時間インキュベートした。洗浄した後、1時間のインキュベーション中にビオチン官能基化抗体(10μg/ml)をSPV官能基化電極上に固定化した。アプタマーの場合、SPVを用いずに、EDC/NHSステップの後にそれらを電極上に固定化した。バイオレセプター官能基化電極を、ブロッキング溶液として用いた10%FBSおよび1%PSを含むDMEMベースの細胞培養培地中でインキュベートした。
【0122】
統計解析。すべての定量的結果を平均値±標準偏差(SD)として表示した。実験は、3重またはそれ以上で実施した。値は、2標本不等分散としたStudentのt検定(両側)を用いて比較し、p<0.05またはそれ未満は、統計的に有意とみなした。
【0123】
[実施例2]
<ラット心臓組織の3Dバイオプリンティング>
本試験では、機能性かつ収縮性の心臓組織構築物を作製するために、3Dバイオプリンティングを適用した。ラット新生児の心臓組織を得て、心筋細胞を単離し、細胞をフィブリンベースのヒドロゲルバイオインクに懸濁した。細胞を添加したヒドロゲルを、空気圧により300μmノズルを介して印刷した。バイオプリントされた心臓組織構築物は、印刷後の3日後に自発収縮を示し、培養14日後に同期収縮を示し、心臓組織の発達および成熟が示された。心臓組織の形成は、α-アクチニンおよびコネキシン43に特異的な抗体による免疫染色により確認され、これにより、整列した高密度の成熟心筋細胞が示された。バイオプリントされた心臓組織構築物は、公知の心臓薬(アドレナリンおよびカルバコール)に対する生理学的反応(拍動頻度および収縮力)も示した。さらに、印刷心臓組織の組織発達は、ノッチシグナル遮断により加速され得る。これらの結果は、モデル薬理学的応用に用いることができる機能性心臓組織の印刷の実現可能性を示すものであった。
【0124】
参考文献
【表1A】
【表1B】
【表1C】
【表1D】
【0125】
上記は、本発明を例示するものであり、本発明を限定するものと解釈すべきではない。本発明は、以下のクレームにより規定され、クレームの同等物は、それに含まれるものとする。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2A-2D】
図2E
図3A-3G】
図3H-3K】
図4A-4C】
図4D
図4E
図4F
図4G-4H】
図5A-5C】
図5D
図5E
図5F
図5G
図6A
図6B
図6C-6D】
図6E
図6F
図6G
図6H