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  • 特許-海苔製造機 図1
  • 特許-海苔製造機 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】海苔製造機
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/60 20160101AFI20220203BHJP
【FI】
A23L17/60 103D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019164438
(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公開番号】P2021040522
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2020-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000210241
【氏名又は名称】竹下産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】谷延 優裕
【審査官】安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3032050(JP,U)
【文献】特開2004-215519(JP,A)
【文献】特開昭59-220173(JP,A)
【文献】実開昭56-050291(JP,U)
【文献】特開2004-033086(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102754862(CN,A)
【文献】特開2013-212061(JP,A)
【文献】実開昭63-109793(JP,U)
【文献】実開昭53-81697(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 17/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海苔簀の搬送経路に抄製装置と脱水装置とを設け、抄製装置で海苔簀に抄製された海苔生地に脱水装置に設けられたスポンジ状の吸水パッドを押圧して海苔生地の脱水を行う海苔製造機において、
吸水パッドを支持する支持体に吸引機構を接続するとともに、支持体の上部に載置台を介して吸水パッドを着脱自在に設け、載置台の上面に吸水パッドの下面との間で間隙を形成する溝を設け、溝を吸引機構に連通させたことを特徴とする海苔製造機。
【請求項2】
前記載置台の下面にも溝を形成したことを特徴とする請求項1に記載の海苔製造機。
【請求項3】
前記溝を海苔簀の搬送方向に形成するとともに、前記吸引機構の吸引口を海苔簀の搬送方向側に形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の海苔製造機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抄製装置で海苔簀に抄製された海苔生地に脱水装置に設けられたスポンジ状の吸水パッドを押圧して海苔生地の脱水を行う海苔製造機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食卓に提供される乾燥海苔は、海苔製造機を用いて、養殖した生海苔が水中に混濁した状態の海苔生地を矩形板状に抄製し、それを乾燥することで製造される。
【0003】
この海苔製造機では、抄製した海苔生地に大量の水分が含有されているために、海苔簀の上面に抄製装置で所定形状に抄製した後に、その海苔生地を脱水装置で脱水し、その後、乾燥装置で乾燥する。
【0004】
そして、脱水装置では、昇降可能な支持体にスポンジ状の吸水パッドを載置し、吸水パッドを海苔簀に抄製された海苔生地に押圧することによって、吸水パッドで海苔生地に含有される水分を吸引して海苔生地の脱水を行っている(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-27577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来の海苔製造機では、海苔生地に吸水パッドを押圧することで吸引した水分が直ちに支持体から排出されずに、吸水パッドと支持体との間に残留することがある。
【0007】
そして、吸水パッドを海苔生地に押圧することで圧縮された状態の吸水パッドがその後に復元する際に、吸水パッドと支持体の間に残留した水分が再び吸水パッドの吸引されてしまう。
【0008】
そのため、吸水パッドが常に水分を含んだ状態となっており、脱水力が低減してしまうおそれがあり、また、衛生状態が悪化してしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、請求項1に係る本発明では、海苔簀の搬送経路に抄製装置と脱水装置とを設け、抄製装置で海苔簀に抄製された海苔生地に脱水装置に設けられたスポンジ状の吸水パッドを押圧して海苔生地の脱水を行う海苔製造機において、吸水パッドを支持する支持体に吸引機構を接続するとともに、支持体の上部に載置台を介して吸水パッドを着脱自在に設け、載置台の上面に吸水パッドの下面との間で間隙を形成する溝を設け、溝を吸引機構に連通させることにした。
【0010】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記載置台の下面にも溝を形成することにした。
【0011】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記溝を海苔簀の搬送方向に形成するとともに、前記吸引機構の吸引口を海苔簀の搬送方向側に形成することにした。
【発明の効果】
【0012】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0013】
すなわち、本発明では、海苔簀の搬送経路に抄製装置と脱水装置とを設け、抄製装置で海苔簀に抄製された海苔生地に脱水装置に設けられたスポンジ状の吸水パッドを押圧して海苔生地の脱水を行う海苔製造機において、吸水パッドを支持する支持体に吸引機構を接続するとともに、支持体の上部に吸水パッドの下面との間で間隙を形成する溝を設け、溝を吸引機構に連通させることにしているために、吸水パッドで吸引した水分が溝を介して吸引機構に吸引され、吸水パッドと支持体との間に水分が残留するのを抑制することができ、吸水パッドの吸水力(脱水力)を向上させることができるとともに、吸水パッドの衛生状態を向上させることができる。
【0014】
特に、支持体の上部開口に吸水パッドを着脱自在に密閉状に設けた場合には、吸水パッドと支持体との密閉によって吸引機構による吸引を良好に行うことができて吸水パッドの吸水力をより一層向上させることができるとともに、吸水パッドの着脱によって吸水パッドの清掃を容易に行うことができて吸引パッドの衛生状態をより一層向上させることができる。
【0015】
また、溝を海苔簀の搬送方向に形成するとともに、吸引機構の吸引口を海苔簀の搬送方向側に形成することにした場合には、海苔簀の搬送方向に形成されているスペースを有効に活用することができ、脱水装置のコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る海苔製造機を示す側面説明図。
図2】脱水装置を示す正面図。
図3】同側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る海苔製造機の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1に示すように、海苔製造機1は、複数枚の海苔簀2を左右幅方向に並べて着脱自在に取付けた簀枠3(図3参照。)を所定距離ごと間欠的に搬送するための搬送経路4を形成し、この搬送経路4に抄製装置5、脱水装置6、乾燥装置7、剥離装置8を順に配置している。搬送経路4は、第1の搬送装置9と第2の搬送装置10とで構成している。海苔製造機1は、駆動装置11に抄製装置5、脱水装置6、乾燥装置7、剥離装置8、第1及び第2の搬送装置9,10を連動連結して、各装置が連動して動作するように構成している。
【0019】
そして、海苔製造機1は、簀枠3(海苔簀2)を搬送経路4に沿って搬送していき、抄製装置5で各海苔簀2の上面に生海苔と水分とからなる海苔生地を所定形状(たとえば、正方形)に抄製し、その後、脱水装置6で海苔生地の脱水を行い、簀枠3ごと第1の搬送装置9から第2の搬送装置10へと受渡す。その後、乾燥装置7で海苔生地を強制的に乾燥させて乾燥海苔とし、再び簀枠3ごと第2の搬送装置10から第1の搬送装置9に受取る。その後、剥離装置8で各海苔簀2から乾燥海苔を剥離し、その後、再び抄製装置5に搬送する。これにより、海苔製造機1は、海苔生地から乾燥海苔を連続して、しかも、複数枚の乾燥海苔を同時に製造することができる。
【0020】
ここで、本発明に係る海苔製造機1では、海苔生地の脱水を行うための脱水装置6の構成に最も特徴を有している。
【0021】
脱水装置6は、図2及び図3に示すように、第1の搬送装置9で搬送される海苔簀2の上方に上側吸水機構12を前後に並べて設ける一方、海苔簀2の下方に下側吸水機構13を前後に並べて設け、これら上下側吸水機構12,13によって海苔生地を海苔簀2とともに挟圧することで、海苔生地の脱水を行うようにしている。
【0022】
上側吸水機構12は、第1の搬送装置9や他の装置と連動して昇降駆動される左右幅方向に向けて伸延させた昇降体14の下面に複数枚の矩形板状の支持体15を簀枠3に取付けた各海苔簀2に対応する所定位置に左右に並べて取付け、各支持体15の下部に吸水パッド16をそれぞれ保持片17で着脱可能に取付けている。
【0023】
吸水パッド16は、矩形枠板状の保持体18の枠内下部に矩形板状のスポンジ状の吸水体19を着脱可能に取付け、吸水体19をスポンジ状の透水性を有する吸水シート20で被覆している。吸水シート20は、保持体18の上面に面ファスナー21で着脱自在に取付けられている。
【0024】
下側吸水機構13は、第1の搬送装置9や他の装置と連動して昇降駆動される左右幅方向に向けて伸延させた昇降体22の上面に左右幅方向に向けて伸延させた支持体23を取付けている。
【0025】
支持体23の上側には、簀枠3に取付けた各海苔簀2に対応する所定位置に左右に並べて矩形枠状の周壁24が形成され、一方、支持体23の下側には、海苔簀2の搬送方向側(前側の下側吸水機構13では、海苔簀2の搬送方向後側、後側の下側吸水機構13では、海苔簀2の搬送方向前側)の所定位置に吸引口25が形成されている。吸引口25は、吸引機構26に接続されている。
【0026】
支持体23は、各周壁24の内側に矩形板状の載置台27を介して矩形板状のスポンジ状の吸水パッド28を着脱自在に収容している。これにより、吸水パッド28は、周壁24で囲まれた支持体23の上部開口に着脱自在かつ密閉状に設けられている。
【0027】
各載置台27は、周壁24よりも一回り小さいサイズで上部に吸水パッド28が載置されており、上面に吸水パッド28の下面との間で間隙を形成するための複数条の溝29を形成するとともに、下面に支持体23の上面との間で間隙を形成するための複数条の溝30を形成している。溝29,30は、載置台27の前端から後端まで海苔簀2の搬送方向に沿って形成されている。これにより、溝29,30は、吸引口25を介して吸引機構26に連通されている。なお、ここでは、支持体23の上部に溝29を形成した載置台27を取付けて支持体23に間接的に溝29を形成しているが、支持体23の上面に溝29を直接的に形成してもよい。
【0028】
脱水装置6は、吸引機構26で吸引しながら、上側吸水機構12の昇降体14を下降させるとともに下側吸水機構13の昇降体22を上昇させ、上下の吸水パッド16,28で海苔生地を海苔簀2とともに挟圧して、海苔生地の脱水を行い、その後、上側吸水機構12の昇降体14を上昇させるとともに下側吸水機構13の昇降体22を下降させる。なお、その後、第1の搬送装置9で海苔簀2を所定距離だけ搬送させてから次の脱水を行う。
【0029】
脱水の際には、水分が下側の吸水パッド28で吸引され、溝29を介して吸引口25へと排出される。そのため、脱水後に下側の吸水パッド28が下降して圧縮状態から復元するときに、水分が溝29に流れ込んでおり、吸水パッド28によって水分が吸引されてしまうのを防ぐことができる。
【0030】
以上に説明したように、上記海苔製造機1は、吸水パッド28を支持する支持体23に吸引機構26を接続するとともに、支持体23の上部に吸水パッド28の下面との間で間隙を形成する溝29を設け、溝29を吸引機構26に連通させた構成となっている。
【0031】
そのため、上記構成の海苔製造機1では、吸水パッド28で吸引した水分が溝29を介して吸引機構26に吸引され、吸水パッド28と支持体23との間に水分が残留するのを抑制することができ、吸水パッド28の吸水力(脱水力)を向上させることができるとともに、吸水パッド28の衛生状態を向上させることができる。
【0032】
また、上記海苔製造機1は、支持体23の上部開口に吸水パッド28を着脱自在に密閉状に設けた構成となっている。
【0033】
そのため、上記構成の海苔製造機1では、吸水パッド28と支持体23との密閉によって吸引機構26による吸引を良好に行うことができて吸水パッド28の吸水力をより一層向上させることができるとともに、吸水パッド28の着脱によって吸水パッド28の清掃を容易に行うことができて吸水パッド28の衛生状態をより一層向上させることができる。
【0034】
さらに、上記海苔製造機1は、溝29を海苔簀2の搬送方向に形成するとともに、吸引機構26の吸引口25を海苔簀2の搬送方向側に形成した構成となっている。
【0035】
そのため、上記構成の海苔製造機1では、海苔簀2の搬送方向に形成されているスペースを有効に活用することができ、脱水装置6のコンパクト化を図ることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 海苔製造機 2 海苔簀
3 簀枠 4 搬送経路
5 抄製装置 6 脱水装置
7 乾燥装置 8 剥離装置
9 第1の搬送装置 10 第2の搬送装置
11 駆動装置 12 上側吸水機構
13 下側吸水機構 14 昇降体
15 支持体 16 吸水パッド
17 保持片 18 保持体
19 吸水体 20 吸水シート
21 面ファスナー 22 昇降体
23 支持体 24 周壁
25 吸引口 26 吸引機構
27 載置台 28 吸水パッド
29 溝 30 溝
図1
図2
図3