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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】建築用木製部材接合構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/61 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
E04B1/61 502N
E04B1/61 503G
E04B1/61 504C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020157317
(22)【出願日】2020-09-18
【審査請求日】2021-08-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591000757
【氏名又は名称】株式会社アクト
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 出
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-265553(JP,A)
【文献】特開2000-158349(JP,A)
【文献】登録実用新案第3192482(JP,U)
【文献】特許第6484751(JP,B1)
【文献】特開2000-144935(JP,A)
【文献】特開2010-150869(JP,A)
【文献】登録実用新案第3206838(JP,U)
【文献】特開2011-058614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/38-1/61
F16B 35/00-35/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接合される建築用木製部材に埋設された一対の接合金具と、一対の前記接合金具同士を連結する連結軸を備え、
前記接合金具には、接合方向に延びる雌ねじが形成され、
前記連結軸の長手方向の両側には、前記雌ねじに螺合する雄ねじが形成されるとともに、前記連結軸の長手方向の一方に偏った位置に、前記雄ねじより大径で前記連結軸を回転させる回転入力部が形成され、
前記連結軸が前記雌ねじと前記雄ねじによって一方の前記接合金具のみに結合された状態で、接合形態に組み合わされた前記建築用木製部材における他方の前記接合金具の前記雌ねじに向けて前記連結軸を送り出して前記連結軸で一対の前記接合金同士を連結する
建築用木製部材接合構造。
【請求項2】
前記連結軸を送り出して前記接合金具同士の連結が完了したときに前記回転入力部を対向する部位に当接させる
請求項1に記載の建築用木製部材接合構造。
【請求項3】
前記接合金具の少なくとも一方が、前記建築用木製部材を構成する線材に差し込まれ、筒状をなし内周面に前記雌ねじを有する筒状芯部材である
請求項1または請求項2に記載の建築用木製部材接合構造。
【請求項4】
前記接合金具の少なくとも一方が、前記筒状芯部材が方向性を異にする別の前記筒状芯部材に結合された構造である
請求項3に記載の建築用木製部材接合構造。
【請求項5】
前記接合金具が、前記建築用木製部材を構成する線材の長手方向に沿って差し込まれる差し込み片と、前記差し込み片の基部に形成された前記雌ねじを有する板状芯部材である
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の建築用木製部材接合構造。
【請求項6】
前記建築用木製部材が建築用パネルであって、
前記建築用パネルが、前記建築用パネルを構成する線材として左右方向の両端部で上下方向に延びる垂直材を有し、
左右両端の前記垂直材の太さが、木造軸組構造の躯体を構成する線材の太さと同等の軸パネル、
左右両端の前記垂直材の太さが、木造軸組構造の躯体を構成する線材の太さよりも細い枠パネル、
又は左右両端の前記垂直材のうちの一方の前記垂直材の太さが、木造軸組構造の躯体を構成する線材の太さと同等で、他方の前記垂直材の太さが、木造軸組構造の躯体を構成する線材の太さよりも細い軸枠パネルである
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の建築用木製部材接合構造。
【請求項7】
前記接合金具の一方が、前記建築用木製部材を構成する線材に差し込まれ、筒状をなし内周面に前記雌ねじを有する筒状芯部材であり、
前記連結軸が前記筒状芯部材を貫通して反対側に突出する余長部を有する長さに形成され、
前記余長部に、前記建築用木製部材を構成する線材を接合する接合金物を螺合した
請求項1、2、5、6のうちいずれか一項に記載の建築用木製部材接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば木造軸組建築物を構築する場合における建築用パネルなどの建築用木製部材に用いられる接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建築用パネルに用いられる接合金具として、例えば下記特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
特許文献1の接合金具は、木造軸組建築物を構成する柱や梁などの線材と同等の太さの軸材における長手方向の端に取り付けられる基部と、基部における軸材の端面に当接する当接面に設けられて軸材の長手方向に延びる板状の差込部を有するものである。基部は差込部の長手方向に沿って間隔をあけて配設された2枚の支持板を有し、支持板間に、ねじ穴を有する筒状の部材が設けられている。
【0004】
使用に際しては、軸材に差し込んだ差込部をドリフトピンで留めて、接合金具を軸材の端に保持し、別の軸材等を組み合わせた後、基部の筒状の部材に向けてボルトを差し込んで別の軸材等と接合する。
【0005】
また、差込部を有する接合金具を固定する際に、円筒形状で内面にねじ穴を有する金具(下記特許文献2の固定金具や下記特許文献3の中心体)を利用することも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6484751号公報
【文献】特開2016-199942号公報
【文献】特許第5649553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これまでの接合金具は、線材同士の間で仲立ちとなるものであり、接合金具は互いに接合されるべき線材に対してそれぞれボルト等で結合されていた。また、接合金具を線材に固定するボルトは締結のためものでしかなかった。
【0008】
このため、これまでの接合金具を用いて、柱に相当するような線材を板材等と結合して構成された建築用パネル同士を固定することはできなかった。すなわち建築用パネルは、接合金具に比べて規模が大きく重量もあるため、線材同士の接合の場合と比べて移動の自由度が低い。また、線材に対して行うのと同様に、建築用パネルに対して接合金具に適合した加工を施す必要があり、建築用パネルの形状が複雑になる。
【0009】
そこで、この発明は、建築用パネル同士の接合でも容易に行えるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのための手段は、互いに接合される建築用木製部材に埋設された一対の接合金具と、一対の前記接合金具同士を連結する連結軸を備え、前記接合金具には、接合方向に延びる雌ねじが形成され、前記連結軸の長手方向の両側には、前記雌ねじに螺合する雄ねじが形成されるとともに、前記連結軸の長手方向の一方に偏った位置に、前記雄ねじより大径で前記連結軸を回転させる回転入力部が形成され、前記連結軸が前記雌ねじと前記雄ねじによって一方の前記接合金具のみに結合された状態で、接合形態に組み合わされた前記建築用木製部材における他方の前記接合金具の前記雌ねじに向けて前記連結軸を送り出して前記連結軸で一対の前記接合金同士を連結する建築用木製部材接合構造である。
【0011】
この構成では、互いに接合される建築用パネルや建築用木材などの建築用木製部材内に埋設されて一定位置に収まっている接合金具同士を連結軸が連結する。連結軸による連結は、連結軸を回転し、雌ねじと雄ねじを利用した連結軸の送り出しと雌ねじと雄ねじの結合をすることで行われる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、互いに接合される木製部材は、埋設された接合金具同士をねじ結合する連結軸で連結して接合される構成であるので、接合金具に比して大きく重い部材であっても、また接合金具に合わせた細かな加工をせずとも、接合が容易に行える。このため、建築用パネル同士の接合も容易である。
【0013】
また、一対の接合金具をそれぞれ木製部材に埋設して連結軸を一方の接合金具から他方の接合金具へ送り出して結合できれば木製部材の接合ができる構造であるので、これまで不可能であった木製部材同士の接合が可能になる。そのような木製部材として、たとえば両面に板材が貼り付けられて、内部に接合のための部材や作業に必要な手を入れる空間がない壁パネルがある。このような壁パネルであっても高い自由度で接合ができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】建築用パネル接合構造の分離状態の斜視図。
図2図1の接合構造の平面図と断面図。
図3】軸パネルの正面図。
図4】枠パネルの正面図。
図5】軸枠パネルの正面図。
図6図3から図5に示した3種類の建築用パネルを組み合わせた正面図。
図7図1の建築用パネル接合構造の接合金具を分離した状態の斜視図。
図8】接合金具の一つである筒状芯部材の斜視図。
図9】接合金具の一つである板状芯部材の斜視図。
図10】板状芯部材の分解斜視図。
図11図1の接合構造の接合工程を示す平面図。
図12】他の例に係る建築用パネル接合構造の一部を示す斜視図と側面図。
図13図12の接合構造の接合工程を示す平面図。
図14図12の接合構造を示す平面図。
図15】他の例に係る建築用パネル接合構造の平面図。
図16図15の接合構造に使用される一部の接合金具の斜視図。
図17図15の接合構造に使用される一部の接合金具の斜視図。
図18図15の例に係る建築用パネル接合構造の接合工程を示す平面図。
図19図15の例に係る建築用パネル接合構造の接合工程を示す平面図。
図20】他の例に係る建築用パネル接合構造の平面図。
図21図20の例に係る建築用パネル接合構造の接合工程を示す平面図。
図22】他の例に係る建築用パネル接合構造の平面図。
図23図22の接合構造に使用される一部の接合金具を示す分離状態の斜視図。
図24図22の例に係る建築用パネル接合構造の接合工程を示す平面図。
図25】他の例に係る建築用パネル接合構造の平面図。
図26】他の例に係る連結軸の斜視図とその使用状態を示す平面図。
図27】他の例に係る一組の接合金具の斜視図。
図28】他の例に係る建築用パネル接合構造の断面図。
図29】他の例に係る建築用木材接合構造の分解斜視図。
図30】他の例に係る建築用木材接合構造の平面図と断面図。
図31】他の例に係る建築用木製部材接合構造の平面図。
図32】他の例に係る建築用木製部材接合構造の平面図。
図33】他の例に係る建築用木製部材接合構造の平面図。
図34】他の例に係る筒状芯部材の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0016】
建築用木製部材接合構造は、例えば木造軸組建築物を構築するのに利用され、柱や梁などのような建築用木材や、線材と板材を結合してパネル化した建築用パネルなどの接合に用いられる。
【0017】
図1図2に、建築用木製部材11としての建築用パネル12同士の接合構造を示す。図1は分離状態の斜視図であり、図2は接合状態の平面図(a)と断面図(b)である。これらの図に示すように、建築用木製部材接合構造は、互いに接合される建築用パネル12に埋設された一対の接合金具13,15と、一対の接合金具13,15同士を連結する連結軸17を備えている。
【0018】
ここで、まず建築用パネル12について説明する。
【0019】
この例の建築用パネル12は、組み合わせることによって木造軸組建築物を構築できるようにするものであり、3種類ある。すなわち、図3に示したような軸パネル12aと、図4に示したような枠パネル12bと、図5に示したような軸枠パネル12cである。
【0020】
いずれの建築用パネル12も、周囲を囲む線材21と、線材21の内側に張られた板材22と、板材22の表裏両面に固定された状態で縦横に延びる補助材23を有している点で共通している。しかし3種類の建築用パネル12a,12b,12cは、線材21として左右方向の両端部で上下方向に延びる垂直材21aがそれぞれ異なる。
【0021】
つまり、軸パネル12aは左右両端の垂直材21aの太さが、木造軸組構造の躯体を構成する柱等の線材(例えば105mm×105mm、120mm×120mm)の太さと同等のである。枠パネル12bは、左右両端の垂直材21aの太さが、木造軸組構造の躯体を構成する線材の太さよりも細く、例えば線材が105mm×105mmの場合に、105mm×30mmである。軸枠パネル12cは、左右両端に位置する垂直材21aのうち一方の垂直材21aの太さが、木造軸組構造の躯体を構成する線材の太さと同等で、他方の垂直材21aの太さが、造軸組構造の躯体を構成する線材の太さよりも細い。
【0022】
なお、建築用パネル12は、内側に柱や梁などの線材と同等の線材を束や貫のように備えたり、筋交いのような斜材を備えたりしたものであってもよい。
【0023】
これら建築用パネル12は、例えば図6に示したように接合される。図6において太線で囲まれた部分が1枚の建築用パネル12であり、図面左側から順に、軸パネル12a、枠パネル12b、軸枠パネル12c(左端が軸、右端が枠)、軸パネル12a、軸枠パネル12c(左端が枠、右端が軸)が組み合わせされている。
【0024】
つづいて接合金具13,15と、建築用パネル12における接合金具13,15を埋設する部分の説明をする。
【0025】
一対の接合金具13,15は、それぞれ建築用パネル12に埋設される本体部31,51を備えており、本体部31,51には、接合金具13,15の接合方向に延びる雌ねじ32,52が形成されている。本体部31,51は建築用パネル12に埋設されるので、建築用パネル12の一定位置に収まって、収まった状態が何らかの適宜の構造、例えばドリフトピンや他の部材で直接又は間接に保持されることになる。
【0026】
図1に示した接合構造を構成する接合金具13,15を分離した状態を図7に示す。図7に示す接合金具13,15は、軸パネル12a又は軸枠パネル12cの軸としての垂直材21aに埋設される一方の接合金具13と、枠パネル12b又は軸枠パネル12cの枠としての垂直材21aの近傍に埋設される他方の接合金具15である。一方の接合金具13は、長手方向の両側に雌ねじ32,52に螺合する雄ねじ71,72を有する連結軸17が付属される接合金具13である。
【0027】
図7に例示した一方の接合金具13は筒状芯部材33であり、建築用パネル12を構成する線材としての垂直材21aに差し込まれる筒状の本体部31を備えている。垂直材21aは水平方向のうち建築用パネル12の左右方向に接合するものであるため、垂直材21aに対する筒状芯部材33の差し込み方向は水平方向のうち左右方向である。筒状芯部材33が差し込まれる位置は、垂直材21aの少なくとも上端又は下端であって、左右に延びる水平材21bが結合される位置である。
【0028】
本体部31の長さは、垂直材21aの左右方向の長さと同一又はそれより若干短く設定されている。本体部31の長手方向の中間には、長手方向と直交する貫通穴34が形成され、図8に示したように貫通穴34の内周面には雌ねじ34aが形成されている。
【0029】
前述した連結軸17が螺合する雌ねじ32は、円筒状をなす本体部31の内周面に形成されている。雌ねじ32は長手方向の両側部に形成されており、これらは一連のものであり、筒状芯部材33よりも長さが長いボルトをその先端が筒状芯部材33から突き抜けるように螺合可能である。筒状芯部材33の両端には、回転操作を可能にする一文字状の凹溝35が形成されている。
【0030】
図7に例示した他方の接合金具15は板状芯部材53であり、本体部51は、建築用パネル12を構成する線材としての水平材21bの長手方向に沿って差し込まれる長方形の差し込み片51aと、差し込み片51aの端部で直交する基部51bを有している。水平材21bは水平方向のうち建築用パネル12の左右方向に接合されるものであるため、水平材21bに対する板状芯部材53の差し込み方向はその長手方向である左右方向である。板状芯部材53が差し込まれる位置は、水平材21bの端部であって、垂直材21aが接合される部分である。
【0031】
差し込み片51aの高さ(上下方向の長さ)は水平材21bの高さよりもごくわずかに短く形成され、長さは適宜設定される。差し込み片51aは、ドリフトピン54を挿入するための複数の貫通穴55を有している。
【0032】
基部51bにおける水平材21bの横断面方向の幅は、水平材21bの対応する方向の幅よりも短く設定され、基部51bの厚さは適宜設定される。図9図10に示したように、基部51bは平行に配設された2枚の基部板56と、これらの間に固定された間隔保持部材57で構成されている。なお、図9の(a)は、板状芯部材53を基部51b側から見た斜視図であり、(b)は差し込み片51a側から見た斜視図である。図10は板状芯部材53の分解斜視図である。
【0033】
間隔保持部材57は直方体形状であり、基部板56の中央に設けられている。前述した雌ねじ52は、基部板56とこれらに挟まれた間隔保持部材57の全体に貫通して形成されている。雌ねじ52が延びる方向は差し込み片51aが延びる方向と同じである。雌ねじ52の径は、筒状芯部材33の雌ねじ32と同じである。
【0034】
差し込み片51aにおける雌ねじ52の先に対応する位置には、図9の(b)に見られるように切り欠き58が形成されている。切り欠き58は、雌ねじ52から突出する連結軸17を受け入れる部分であり、必要な長さ突出させられる大きさを有する適宜に形状に形成される。
【0035】
連結軸17は、図7に示したように全体として寸切りボルト状であり、長手方向の一方に偏った位置に、連結軸17を回転させるため雄ねじ71,72より大径の回転入力部73を有している。回転入力部73は六角のナット状に形成されている。
【0036】
連結軸17における回転入力部73よりも一方の接合金具13に対応する長手方向の一方側の雄ねじ71は基端側雄ねじ71であり、長手方向の他方側の雄ねじ72は別の接合金具、つまり他方の接合金具15に螺合する遊端側雄ねじ72である。
【0037】
連結軸17の全体と、基端側雄ねじ71と遊端側雄ねじ72の長さは必要な長さに設定される。連結軸17の必要長さとは、少なくとも建築用パネル12に内蔵される一対の接合金具13,15の間をつなぐ長さに、接合金具13,15との十分な結合を得る長さと連結軸17の移動長さを考慮した長さを足した長さである。
【0038】
図7に例示した連結軸17には、一方の接合金具13を建築用パネル12に保持するための機能も持たせているので、基端側雄ねじ71の長さを前述の長さよりも長く形成している。すなわち、連結軸17は一方の接合金具13である筒状芯部材33を貫通して反対側に突出する余長部71aを有する長さに形成され、余長部71aに、建築用パネル12を構成する線材21を接合する接合金物18を螺合するように構成している。
【0039】
接合金物18は、建築用パネル12の水平材21bを垂直材21aに結合するためのものであり、接合金物18の構造は前述した板状芯部材53と同一である。ごく簡単に説明すると、接合金物18は差し込み片18aと基部18bを有する本体部を備え、基部18bにはその厚み方向に貫通する雌ねじ18cが形成されている。差し込み片18aにはドリフトピン19を挿入する貫通痛穴18dを有している。
【0040】
前述した一対の接合金具13,15は、筒状芯部材33と板状芯部材53からなるものであるが、例えば筒状芯部材33同士や板状芯部材53同士で一対の接合金具を構成する場合もある。以下、「一対の接合金具」13,15を「一組の接合金具」13,15ともいう。
【0041】
これら一対の接合金具13,15と連結軸17が固定される建築用パネル12の固定部分は、次のように構成されている。
【0042】
すなわち、筒状芯部材33と接合金物18を固定する建築用パネル12は、水平材21bの端部に接合金物18を収める収容スリット24と、差し込み片18aを留めるドリフトピン19を挿入するための貫通穴25を有している。収容スリット24は、差し込み片18aを収める細幅部24aと基部18bを収める太幅部24bを有している。
【0043】
水平材21bが結合する垂直材21aの端部には、筒状芯部材33を収容する接合金具保持穴26が形成されている。垂直材21aにおける接合金具保持穴26と直交する方向の一方の側面には、図2に示したように座彫り26aが施され、筒状芯部材33の貫通穴34に向けて延びるボルト穴26bが形成されている。ボルト穴26bにはボルト36が挿入され、筒状芯部材33を回転不能に保持する。
【0044】
板状芯部材53を固定する建築用パネル12は、水平材21bの端部に板状芯部材53を収める収容スリット24と、差し込み片51aを留めるドリフトピン54を挿入するための貫通穴25を有している。収容スリット24は、差し込み片51aを収める細幅部24aと基部51bを収める太幅部24bを有する。
【0045】
この水平材21bが結合する垂直材21aの端部は、必要な範囲に切り欠き部27を有している。切り欠き部27は連結軸17の回転入力部73を回転させるための空間である。
【0046】
以上のように構成された一対の接合金具13,15と連結軸17を用いて、軸パネル12a又は軸枠パネル12cの軸としての垂直材21a部分と、枠パネル12b又は軸枠パネル12cの枠としての垂直材21a部分を接合する場合には、次のように行う。
【0047】
まず、図1に示したように一方の接合金具13である筒状芯部材33は、水平材21bの端部に接合金物18をドリフトピン19で固定した後、垂直材21aの接合金具保持穴26に挿入してボルト36を用いて固定する。筒状芯部材33には、連結軸17の基端側雄ねじ71を螺合し、貫通させて余長部71aを接合金物18の雌ねじ18cに螺合する。つまり連結軸17が雌ねじ32と基端側雄ねじ71によって一方の接合金具13のみに結合された状態にする。このとき連結軸17の回転入力部73は垂直材21aの側面から出ている。
【0048】
他方の接合金具15である板状芯部材53は、水平材21bの端部に接合金物18をドリフトピン19で固定する。このとき板状芯部材53の基部51bの端面は水平材21bの端面と面一であり、雌ねじ52を切り欠き部27に向けて露出させている。
【0049】
この状態で図11に示したように接合作業を行う。
【0050】
図11の(a)に示したように、他方の接合金具15を埋設した建築用パネル12を一方の接合金具13を埋設した建築用パネル12に向けて移動し、垂直材21a同士を突き合わせる。つまり接合形態に組み合わせる。続いて、図11の(b)に示したように、切り欠き部27を通じて連結軸17の回転入力部73を回転し、連結軸17を他方の接合金具15の雌ねじ52に向けて送り出して連結軸17で一対の接合金具13,15同士を連結する。このとき、回転入力部73を図2の(a)に示したように対向する他方の接合金具15の基部51bに当接させて押し付ける。
【0051】
このようにして接合作業は完了する。
【0052】
以上のように、互いに接合される建築用パネル12は、所定の接合形態に組み合わされたのち、連結軸17を回転して他方の接合金具15に向けて送り出すことにより接合される。
【0053】
このため、接合金具13,15に比して大きく重い建築用パネル12であっても、また建築用パネル12に接合金具13,15に合わせた細かな加工をせずとも、接合が容易に行える。
【0054】
しかも、接合のための操作は連結軸17を回転して送り出すだけであるので、作業は至って簡単である。そのうえ連結軸17の回転入力部73は、雄ねじ71,72よりも大径に形成して接合金具13,15同士の連結完了時に対向する接合金具15に当接するので、良好な接合状態が得られる。
【0055】
また一組の接合金具13,15は、筒状芯部材33と板状芯部材53で構成したので、それぞれの構成は簡素であって安価に製造できるうえに、軸としての垂直材21aを有する部分と、枠としての垂直材21aを有する部分の接合が合理的に行える。さらに一方の接合金具13である筒状芯部材33に付属させる連結軸17には余長部71aを形成しているので、建築用パネル12の構成に必要な部品点数を低減できる。
【0056】
この結果、例えば図6に示したような軸パネル12aと枠パネル12bと軸枠パネル12cの接合が容易に実施でき、木造軸組建築物の構築が熟練工でなくても安全に行えるという効果も有する。
【0057】
以下、建築用木製部材接合構造と接合金具の他の例を説明する。この説明において、前述の構成と同一の部位については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0058】
図12の(a)は、他の例に係る一方の接合金具13とこれら付属される連結軸17の斜視図であり、(b)はその一方の接合金具13と結合される接合金物18の側面図である。
【0059】
図12の(a)に示したように、一方の接合金具13は筒状芯部材33で構成され、前述例と同一構造である。連結軸17は、余長部71aを有しない、つまり基端側雄ねじ71の長さが前述例の長さよりも短く形成されている。
【0060】
接合金物18自体は前述例と同じ構成であるが、雌ねじ18cにはボルト18eが保持されている。基部18bからのボルト18eの突出長さは、筒状芯部材33の片側の雌ねじ32に螺合する長さである。
【0061】
このような構成の連結軸17と接合金物18を備える場合には、水平材21bの端部に接合金物18を固定したのち垂直材21aを水平材21bの端面に接合し、接合金具保持穴26に筒状芯部材33を挿入して回転しボルト18eとの締結を行う。この場合、筒状芯部材33を保持するためのボルト36による固定は不要である。このあと筒状芯部材33の雌ねじ32に連結軸17の基端側雄ねじ71を螺合する。
【0062】
他方の接合金具15は図13に示したように前述例と同じである。
【0063】
接続作業は、図13の(a)に示したように、他方の接合金具15を埋設した建築用パネル12を一方の接合金具13を埋設した建築用パネル12に向けて移動し、垂直材21a同士を突き合わせて接合形態に組み合わせる。続いて、図13の(b)に示したように、切り欠き部27を通じて連結軸17の回転入力部73を回転し、連結軸17を他方の接合金具15の雌ねじ52に向けて送り出して連結軸17で一対の接合金具13,15同士を連結する。このとき、回転入力部73を図14に示したように対向する他方の接合金具15の基部51bに当接させて押し付けると、接合作業は完了する。
【0064】
図15は、他の例に係る建築用木製部材接合構造の平面図である。前述例の建築用パネル接合構造では、平面視一直線に接合する例を示したが、図15では平面視十字状に接合する例を示している。
【0065】
接合数の増大に伴い、互いに結合一体化される三組の接合金具13,15が使用される。図15中、一点鎖線で囲む部分が一組の接合金具13,15である。
【0066】
図16は一方の接合金具13である筒状芯部材33と、これに結合され他方の接合金具15を構成する筒状芯部材の一形態である追加型筒状芯部材37を示している。筒状芯部材33の構成は前述例(図8)と同一である。追加型筒状芯部材37は、一端が閉塞された円筒形状の本体部31を有し、本体部31における閉塞された一端には、筒状芯部材33の貫通穴34の雌ねじ34aに螺合するねじ部37aが突設されている。本体部31の内周面には、連結軸17が螺合する雌ねじ32が形成され、開口された側の端面には凹溝35が形成されている。
【0067】
追加型筒状芯部材37は筒状芯部材33の側面に結合されるものであるので、方向性を異にする別の筒状芯部材に結合されることになる。
【0068】
追加型筒状芯部材37は2個備えられ、2個の追加型筒状芯部材37を筒状芯部材33に結合したときの双方の追加型筒状芯部材37における開口側の端から端までの長さは、筒状芯部材33の長さと同じになる。
【0069】
筒状芯部材33と対をなす他方の接合金具15は、前述例と同じ板状芯部材53である。
【0070】
追加型筒状芯部材37と対をなす一方の接合金具13は、図17に示したように前述例の板状芯部材53で構成される。雌ねじ52には、連結軸17の基端側雄ねじ71が螺合される。
【0071】
軸としての垂直材21aを有する建築用パネル12の垂直材21aには、十字状に貫通する接合金具保持穴28が形成されている。
【0072】
このような構成の接合金具13,15と連結軸17を備える場合には、図18に示したように、軸としての垂直材21aを有する建築用パネル12の水平材21bに接合金物18を固定したのち、垂直材21aの接合金具保持穴28に筒状芯部材33を挿入する。つづいて、接合金具保持穴28に追加型筒状芯部材37を挿入して、追加型筒状芯部材37を筒状芯部材33に結合する。このような結合だけで筒状芯部材33と追加型筒状芯部材37は垂直材21aの内部に保持される。
【0073】
筒状芯部材33には、余長部71aを有する連結軸17を螺合する。他方の接合金具15である板状芯部材53は、枠としての垂直材21aを有する建築用パネル12の水平材21bに固定し、一方の接合金具13である板状芯部材53も、枠としての垂直材21aを有する建築用パネル12の水平材21bに固定する。一方の接合金具13である板状芯部材53の雌ねじ52には、余長部71aを有しない連結軸17を螺合する(図18参照)。
【0074】
接続作業は、図19に示したように、4枚の建築用パネル12を、軸としての垂直材21aを囲むように順次突き合わせて接合形態に組み合わせる。つづいて、切り欠き部27を通じて連結軸17の回転入力部73を回転し、連結軸17を他方の接合金具15の雌ねじ52に向けて送り出して連結軸17で一対の接合金具13,15同士を連結する。このとき、回転入力部73を、図15に示したように対向する他方の接合金具15の基部51bに当接させて押し付けると、接合作業は完了する。
【0075】
図20は、他の例に係る建築用木製部材接合構造の平面図である。図15の建築用パネル接合構造では、平面視十字状に接合する例を示したが、図20では平面視T字状に接合する例を示している。
【0076】
平面視T字状の接合は、具体的には軸としての垂直材21aを有する建築用パネル12の垂直材21aにおける隣り合う2つの側面に、枠としての垂直材21aを有する建築用パネル12を接合する構造である。図15の例で示したのと同じ構成の、互いに結合一体化される接合金具13,15が使用される。
【0077】
図20中、一点鎖線で囲む部分が一組の接合金具13,15であり、この例の接合は二組の接合金具13,15が使用される。端的に表現すれば、図15の例における2個の追加型筒状芯部材37のうち、一方の追加型筒状芯部材37を他方の接合金具15として使用せずに、垂直材21aに対して埋設しておくだけにして平面視T字状の接合を行っている。他方の接合金具15として使用しない追加型筒状芯部材37は省略してもよい。
【0078】
接続作業は、図21に仮想線で示したように、軸としての垂直材21aを有する建築用パネル12の垂直材21aにおける隣り合う2つの側面に、枠としての垂直材21aを有する建築用パネル12の垂直材21aを順次突き合わせて接合形態に組み合わせる。続いて、切り欠き部27を通じて連結軸17の回転入力部73を回転し、連結軸17を他方の接合金具15の雌ねじ52に向けて送り出して連結軸17で一対の接合金具13,15同士を連結する。このとき、回転入力部73を、図20に示したように対向する他方の接合金具15に当接させて押し付けると、接合作業は完了する。
【0079】
図22は、他の例に係る建築用木製部材接合構造の平面図であり、図20の建築用パネル接合構造と同じ平面視T字状に接合する例を示している。
【0080】
平面視T字状の接合は、具体的には軸としての垂直材21aを有する建築用パネル12の垂直材21aにおける相反する2つの側面に、枠としての垂直材21aを有する建築用パネル12を接合する構造である。図15の例で示したのと同じ構成の、互いに結合一体化される接合金具13,15が使用される。
【0081】
図22中、一点鎖線で囲む部分が一組の接合金具であり、この例の接合は二組の接合金具13,15が使用される。他の一つの接合は、この発明の接合構造とは異なる従来型の接合構造で行っている。
【0082】
具体的には、二組の接合金具13,15は、2個の追加型筒状芯部材37と他方の接合金具15としての板状芯部材53である。
【0083】
また、従来型の接合構造は、前述した接合金物18を用いている。つまり図23に示したように、軸としての垂直材21aを有する建築用パネル12の水平材21bの端部に接合金物18を埋設固定する。軸として垂直材21aには、接合金物18に向けて貫通する貫通保持穴29が形成されており、前述の筒状芯部材33と同様の構成であるが長さがそれよりも短く内周面に雌ねじが形成された筒状補助芯部材38が挿入保持される。貫通保持穴29の水平材21bとは反対側には座彫り部29aを有している。筒状補助芯部材38の長手方向の一方に寄った位置には追加型筒状芯部材37を結合する雌ねじ付き貫通穴38aが形成されている。
【0084】
筒状補助芯部材38は、垂直材21aの貫通保持穴29に保持されたのち、追加型筒状芯部材37が結合されるとともに、接合金物18の雌ねじ18cに向けてボルト30を螺合して埋設固定される。
【0085】
追加型筒状芯部材37は一方の接合金具13として機能するものであり、余長部71aを有しない連結軸17が螺合される。
【0086】
接続作業は、図24に仮想線で示したように、軸としての垂直材21aを有する建築用パネル12の垂直材21aにおける相反する2つの側面に、枠としての垂直材21aを有する建築用パネル12の垂直材21aを順次突き合わせて接合形態に組み合わせる。続いて、切り欠き部27を通じて連結軸17の回転入力部73を回転し、連結軸17を他方の接合金具15の雌ねじ52に向けて送り出して連結軸17で一対の接合金具13,15同士を連結する。このとき、回転入力部73を、図22に示したように対向する他方の接合金具15の基部51bに当接させて押し付けると、接合作業は完了する。
【0087】
図25は、他の例に係る建築用木製部材接合構造の平面図であり、図22の建築用パネル接合構造とは異なり平面視L字状に接合する例を示している。
【0088】
平面視L字状の接合は、具体的には軸としての垂直材21aを有する建築用パネル12の垂直材21aにおける1つの側面に、枠としての垂直材21aを有する建築用パネル12を接合する構造である。図22の例で示したのと同じ構成の、互いに結合一体化される接合金具13,15が使用される。
【0089】
図20中、一点鎖線で囲む部分が一組の接合金具であり、この例の接合は一組の接合金具13,15が使用される。端的に表現すれば、図22の例における2個の追加型筒状芯部材37のうち、一方の追加型筒状芯部材37を一方の接合金具13として使用せずに、垂直材21aに対して埋設しておくだけにして平面視T字状の接合を行っている。一方の接合金具13として使用しない追加型筒状芯部材37は省略してもよい。
【0090】
図26の(a)は、他の例に係る連結軸17の斜視図である。すなわち、連結軸17は基端側雄ねじ71にナット74を回転可能に保持している。
【0091】
このような連結軸17を用いた建築用木製部材接合構造では、回転入力部73を他方の接合金具15方向の対向部位に当接させたあと、ナット74を回転して一方の接合金具13側に移動させ、同じく対向部位に当接させる。
【0092】
図26の(b)に、図2の(a)に例示した建築用パネル接合構造を例に、ナットの作用状態を平面図で示している。ナット74は建築用パネル12の垂直材21aの側面に対応する位置に押し付けられている。このように、回転入力部73とナット74が相反する対向面間で突っ張ることによって、連結剛性を高めることができる。
【0093】
なお、図26の(a)に例示した基端側雄ねじ71は余長部71aを有するものであるが、余長部71aを持たないものであってもよい。
【0094】
図27は、板状芯部材53同士を一対の接合金具13,15とした接合金具の例を示す斜視図である。すなわち、2個の板状芯部材53の一方を一方の接合金具13として連結軸17を付属させ、他方の板状芯部材53を他方の接合金具15としている。
【0095】
このような一組の接合金具13,15は、図28に示したように、建築用パネル12同士、具体的には枠パネル12b同士又は枠パネル12bと軸枠パネル12cの枠との接合に使用できる。
【0096】
また、図29に示したように柱や梁などの軸、つまり建築用木材11a同士の接合にも使用できる。つまり、互いに接合される一方の建築用木材11aに一方の接合金具13を埋設する収容スリット24を形成する。収容スリット24のうち太幅部24bの深さ(建築用木材11aの長手方向の長さ)は、板状芯部材53の基部51bの厚さよりも長くしている。この長さは、建築用木材11aの端面同士を当接させた後の連結軸17の移動距離を考慮して設定される。
【0097】
他方の建築用木材11aにも他方の接合金具15を埋設する収容スリット24を形成する。この場合には、太幅部24bの深さは、基部51bの端面と建築用木材11aの端面に面一にする深さに設定される。
【0098】
接合に際しては、一方の接合金具13に連結軸17を嵌めた状態で建築用木材11aの端面同士を当接させて接合形態に組み合わせたのち、一方の建築用木材11aの収容スリット24を通して連結軸17の回転入力部73を回転する。これによって連結軸17を他方の接合金具15に結合し、平面図である図30の(a)と側方から見た断面図である図30の(b)のように、回転入力部73を対向部位である他方の接合金具15の基部51bに押し付ける。
【0099】
図31は、図2の(a)に示した建築用パネル接合構造に代わる、板状芯部材53同士を一対の接合金具13,15とした建築用パネル接合構造を示す平面図である。
【0100】
すなわち、一方の接合金具13に筒状芯部材33を使用せずに板状芯部材53を用いている。
【0101】
軸としての垂直材21aを有する建築用パネル12の水平材21bの端部に板状芯部材53を埋設する収容スリット24が形成される。収容スリット24のうち太幅部24bの深さ(水平材21bの長手方向の長さ)は、建築用パネル12の端面同士を当接させた後の連結軸17の移動距離を考慮して板状芯部材53の基部51bの厚さよりも長く設定される。
【0102】
この水平材21bと組み合わされる垂直材21aには、連結軸17を通す貫通保持穴29が形成される。
【0103】
枠としての垂直材21aを有する建築用パネル12の水平材21bの端部には、板状芯部材53を埋設する収容スリット24が形成される。この場合の太幅部24bの深さは、基部51bの端面と水平材21bの端面を面一にする深さに設定される。
【0104】
この水平材21bと組み合わされる垂直材21aには、貫通保持穴29があればよく、切り欠き部27は不要である。
【0105】
接合に際しては、建築用パネル12の垂直材21a同士を突き合わせて結合形態に組み合わせたのち、収容スリット24を通して連結軸17の回転入力部73を回転する。回転によって連結軸17を他方の接合金具15に送り出して、回転入力部73を対向する垂直材21aの側面に当接させ押し付ける。
【0106】
図32は、枠としての垂直材21aを有する建築用パネル12に軸である建築用木材11aを接合する建築用木製部材接合構造を示す平面図である。
【0107】
この構成は、図31の軸としての垂直材21aを有する建築用パネル12の垂直材21aを削除したのと同じ態様である。つまり、一方の接合金具13を埋設する建築用パネル12の垂直材21aがない以外は、図31の構成と同一である。この場合、連結軸17の回転入力部73は、接合対象である建築用パネル12の対向部位である垂直材21aに当接する。
【0108】
図33は、一方の接合金具13を埋設する建築用木材11aに連結軸17の回転のための空間を持たせるのではなく、接合相手の建築用パネル12の垂直材21aに切り欠き部27を形成して連結軸17の回転を可能にした構成である。その他は図32の構成と同一である。
【0109】
図34は、他の例に係る接合金具の筒状芯部材33の斜視図である。この筒状芯部材33は、長手方向の中間部が中実の円筒状をなす本体部31を有している。本体部31の長手方向における両側部の内周面には雌ねじ32が形成されている。本体部の長手方向の中間部には一方に貫通し雌ねじを有する貫通穴39aと、この貫通穴39aと直交して途中まで延び雌ねじを有する凹穴39bが形成されている。貫通穴39a及び凹穴39bの雌ねじは、前述例の追加型筒状芯部材37を結合するものであるほか、筒状芯部材33を一方の接合金具13又は他方の接合金具15として使用する場合の雌ねじであってもよい。
【0110】
このような筒状芯部材33を用いると最大六方向の接合が可能となる。
【符号の説明】
【0111】
11…建築用木製部材
11a…建築用木材
12…建築用パネル
12a…軸パネル
12b…枠パネル
12c…軸枠パネル
13,15…接合金具
21…線材
21a…垂直材
31,51…本体部
51a…差し込み片
51b…基部
32,52…雌ねじ
33…筒状芯部材
53…板状芯部材
37…追加型筒状芯部材
17…連結軸
71…基端側雄ねじ
71a…余長部
72…遊端側雄ねじ
73…回転入力部
【要約】
【課題】柱や梁などの建築用木材のほか、これらに板材を結合した重量のある建築用パネル同士の接合でも容易に行えるようにする。
【解決手段】互いに接合される建築用パネル12に埋設された一対の接合金具13,15と、一対の接合金具13,15同士を連結する連結軸17を備える。接合金具13,15には、接合方向に延びる雌ねじ32,52を形成するとともに、連結軸17の長手方向の両側には、雌ねじ32,52に螺合する基端側雄ねじ71と遊端側雄ねじ72を形成する。連結軸17が雌ねじ32と基端側雄ねじ71によって一方の接合金具13のみに結合された状態で、接合形態に組み合わされた建築用パネル12における他方の接合金具15の雌ねじ52に向けて連結軸17を送り出して連結軸17で一対の接合金具13,15同士を連結する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
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図11
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図34