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特許7005050亜鉛塩、シクロ-ヒスプロおよび抗糖尿薬物を有効成分として含有する糖尿病の予防または治療用薬学的組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】亜鉛塩、シクロ-ヒスプロおよび抗糖尿薬物を有効成分として含有する糖尿病の予防または治療用薬学的組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/30 20060101AFI20220114BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20220114BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20220114BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20220114BHJP
   A61K 31/426 20060101ALI20220114BHJP
   A61K 31/7042 20060101ALI20220114BHJP
   A61K 31/70 20060101ALI20220114BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20220114BHJP
   A61K 31/382 20060101ALI20220114BHJP
   A61K 31/7056 20060101ALI20220114BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20220114BHJP
   A61K 31/40 20060101ALI20220114BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20220114BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20220114BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20220114BHJP
   A61K 31/495 20060101ALI20220114BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220114BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
A61K33/30
A61K31/4985
A61K31/4439
A61K31/427
A61K31/426
A61K31/7042
A61K31/70
A61K31/7048
A61K31/382
A61K31/7056
A61K31/517
A61K31/40
A61K31/519
A61K31/513
A61K31/496
A61K31/495
A61P3/10
A61P43/00 121
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020522310
(86)(22)【出願日】2018-10-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 KR2018012392
(87)【国際公開番号】W WO2019078663
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-04-21
(31)【優先権主張番号】10-2017-0136242
(32)【優先日】2017-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517288254
【氏名又は名称】ノブメタファーマ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ジョン フェユン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ジョンス
(72)【発明者】
【氏名】ギム ボベ
(72)【発明者】
【氏名】イ ホンジョン
(72)【発明者】
【氏名】ソン ムンギ
(72)【発明者】
【氏名】イ ドヒョン
【審査官】古閑 一実
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-513487(JP,A)
【文献】特表2016-523824(JP,A)
【文献】国際公開第2012/133693(WO,A1)
【文献】特開2016-027013(JP,A)
【文献】特表2017-515908(JP,A)
【文献】DIABETES RES,1996年,VO.31,P.157-170
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)亜鉛カチオンとアニオンを含む亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ、またはその薬学的に許容可能な塩;および
(b)抗糖尿薬物を有効成分として含み、
前記抗糖尿薬物は、ロシグリタゾン(rosiglitazone)、トログリタゾン(troglitazone)、シグリタゾン(ciglitazone)、ピオグリタゾン(pioglitazone)およびエングリタゾン(englitazone)よりなる群から選ばれるインスリン増感剤(insulin sensitizer)
ナグリフロジン(Canagliflozin)、パグリフロジン(Dapagliflozin)、エンパグリフロジン(Empagliflozin)、イプラグリフロジン(Ipragliflozin)、トホグリフロジン(Tofogliflozin)、ルセオグリフロジン(Luseogliflozin)、レモグリフロジン(Remogliflozin)、レモグリフロジンエタボネート(Remogliflozinetabonate)およびエルツグリフロジン(Ertugliflozin)よりなる群から選ばれるナトリウム・ブドウ糖共輸送体阻害剤(Sodium-glucose co-transporter 2(SGLT2)inhibitor);および
シタグリプチン(Sitagliptin)、リナグリプチン(Linagliptin)、ビルダグリプチン(Vildagliptin)、ゲミグリプチン(Gemigliptin)、サクサグリプチン(Saxagliptin)、アログリプチン(Alogliptin)、テネリグリプチン(Teneligliptin)、アナグリプチン(Anagliptin)およびエボグリプチン(Evogliptin)よりなる群から選ばれるDPP-4阻害剤(Dipeptidyl peptidase 4(DPP-4)inhibitor)よりなる群から選ばれる一つ以上を含み、
前記亜鉛塩と前記シクロ-ヒスプロとの重量比は、2:1~3:1である、
糖尿病の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項2】
前記亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ、またはその薬学的に許容可能な塩と前記抗糖尿薬物の重量比は、3:100~30,000:1である、請求項1に記載の糖尿病の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項3】
前記糖尿病は、第2型糖尿病である、請求項1に記載の糖尿病の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項4】
前記糖尿病の予防または治療は、糖吸収能、血糖降下能、血糖調節能または糖化血色素の生成抑制能によるものである、請求項1に記載の糖尿病の予防または治療用薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜鉛塩、シクロ-ヒスプロおよび抗糖尿薬物を有効成分として含有する糖尿病の予防または治療用薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病とは、すい臓のベータ細胞で分泌される糖(glucose)調節ホルモンであるインスリンが、体内で要求する量を生成しないか、インスリンが正常に作用しないため、血液中のブドウ糖がエネルギーとして用いられず、血液中に積もって高血糖を誘発し、尿中に糖が検出される症状をいう。一般的に、糖尿病は、治療のためにインスリンが必須的に要求されるか否かによって、インスリン依存型糖尿病(第1型糖尿病)とインスリン非依存型糖尿病(第2型糖尿病)とに区分される。第2型糖尿病は、インスリン非依存性糖尿であって、インスリン抵抗性に起因してインスリン作用が十分でないか、インスリンが相対的に不足して発病することになるが、全体糖尿病患者の90%が第2型糖尿に属し、主に30代以後に発病するので、成人型糖尿病とも言う。
【0003】
糖尿が長期間持続すると、体内ブドウ糖の吸収が正常に起こらないため、糖質代謝および脂質代謝、そしてタンパク質代謝の異常を招き、高インスリン血症、神経合併症、糖尿性網膜症(非増殖性網膜症、増殖性網膜症、糖尿性白内障)、腎不全症、性機能障害、皮膚疾患(アレルギー)、高血圧、動脈硬化症、脳卒中(中風)、心臓病(心筋梗塞症、狭心症、心臓まひ)、壊疽のような様々な糖尿合併症が発病することになる。したがって、第2型糖尿病の多様な原因と病因を理解し、改善法案を設けるために、国内外的にブドウ糖の移送および代謝過程、インスリン信号伝達体系などに関する研究が活発に行われているが、まだ根源的に治療しうる薬物を開発していないのが現状である。
【0004】
これより、本発明者らは、優れた抗糖尿活性を有し、安全に適用され得る化合物について研究しているところ、天然素材として亜鉛イオンに注目するに至った。
【0005】
現在まで亜鉛イオンを基盤とした抗糖尿の研究は、活発に行われている状況であって、韓国特許公開第2001-0022786号公報では、哺乳動物で糖尿病の症状を弱化させるのに有用な組成物として、亜鉛イオンとシクロ-ヒスプロを含む組成物を開示しているが、このような組成物に、抗糖尿薬物を併用した例は開示されたことがないと確認される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、(a)亜鉛カチオンとアニオンを含む亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ、またはその薬学的に許容可能な塩;および(b)抗糖尿薬物を有効成分として含む糖尿病の予防または治療用薬学的組成物を提供しようとする。
【0007】
しかしながら、本発明が達成しようとする技術的課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(a)亜鉛カチオンとアニオンを含む亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ、またはその薬学的に許容可能な塩;および(b)抗糖尿薬物を有効成分として含み、前記抗糖尿薬物は、ロシグリタゾン(rosiglitazone)、トログリタゾン(troglitazone)、シグリタゾン(ciglitazone)、ピオグリタゾン(pioglitazone)およびエングリタゾン(englitazone)よりなる群から選ばれるインスリン増感剤(insulin sensitizer);グリベンクラミド(glybenclamide,glyburide)、グリピジド(glipizide)、グリクラジド(gliclazide)、グリメピリド(glimepiride)、トラザミド(tolazamide)、トルブタミド(tolbutamide)、アセトヘキサミド(acetohexamide)、カルブタミド(carbutamide)、クロルプロパミド(chlorpropamide)、グリボルヌリド(glibornuride)、グリキドン(gliquidone)、グリセンチド(glisentide)、グリソラミド(glisolamide)、グリソキセピド(glisoxepide)、グリクロピアミド(glyclopyamide)、グリシラミド(glycylamide)、グリペンチド(glipentide)、レパグリニド(repaglinide)およびナテグリニド(nateglinide)よりなる群から選ばれるインスリン分泌促進剤(insulin secretagogue);アカルボース(acarbose)、ボグリボース(voglibose)、エミグリテート(emiglitate)およびミグリトール(miglitol)よりなる群から選ばれるアルファ-グルコシダーゼ阻害剤(α-glucosidase inhibitor);リモナバント(Rimonabant)、オテナバント(Otenabant)、イビナバント(Ibinabant)およびスリナバント(Surinabant)よりなる群から選ばれるカンナビノイド受容体-1拮抗剤(cannabinoid receptor 1 antagonist);カナグリフロジン(Canagliflozin)、タパグリフロジン(Dapagliflozin)、エンパグリフロジン(Empagliflozin)、イプラグリフロジン(Ipragliflozin)、トホグリフロジン(Tofogliflozin)、ルセオグリフロジン(Luseogliflozin)、レモグリフロジン(Remogliflozin)、レモグリフロジンエタボネート(Remogliflozinetabonate)およびエルツグリフロジン(Ertugliflozin)よりなる群から選ばれるナトリウム・ブドウ糖共輸送体阻害剤(Sodium-glucose co-transporter 2(SGLT2)inhibitor);シタグリプチン(Sitagliptin)、リナグリプチン(Linagliptin)、ビルダグリプチン(Vildagliptin)、ゲミグリプチン(Gemigliptin)、サクサグリプチン(Saxagliptin)、アログリプチン(Alogliptin)、テネリグリプチン(Teneligliptin)、アナグリプチン(Anagliptin)およびエボグリプチン(Evogliptin)よりなる群から選ばれるDPP-4阻害剤(Dipeptidyl peptidase 4(DPP-4)inhibitor);およびエキセナチド(Exenatide)、リキシセナチド(Lixisenatide)、リラグルチド(Liraglutide)、アルビグルチド(Albiglutide)およびデュラグルチド(Dulaglutide)よりなる群から選ばれるグルカゴン様ペプチド-1(Glucagon-like peptide 1,GLP1)作用剤含有組成物よりなる群から選ばれる一つ以上を含む、糖尿病の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0009】
前記亜鉛塩と前記シクロ-ヒスプロの重量比は、1:20~20:1でありうる。
【0010】
前記亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ、またはその薬学的に許容可能な塩と前記抗糖尿薬物の重量比は、3:100~30,000:1でありうる。
【0011】
前記糖尿病は、第2型糖尿病でありうる。
【0012】
前記糖尿病の予防または治療は、糖吸収能、血糖降下能、血糖調節能または糖化血色素の生成抑制能によるものでありうる。
【0013】
本発明の一具現例において、(a)亜鉛カチオンとアニオンを含む亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ、またはその薬学的に許容可能な塩;および(b)抗糖尿薬物を糖尿病の予防または治療に使用するための用途であって、前記抗糖尿薬物は、ロシグリタゾン、トログリタゾン、シグリタゾン、ピオグリタゾンおよびエングリタゾンよりなる群から選ばれるインスリン増感剤;グリベンクラミド、グリピジド、グリクラジド、グリメピリド、トラザミド、トルブタミド、アセトヘキサミド、カルブタミド、クロルプロパミド、グリボルヌリド、グリキドン、グリセンチド、グリソラミド、グリソキセピド、グリクロピアミド、グリシラミド、グリペンチド、レパグリニドおよびナテグリニドよりなる群から選ばれるインスリン分泌促進剤;アカルボース、ボグリボース、エミグリテートおよびミグリトールよりなる群から選ばれるアルファ-グルコシダーゼ阻害剤;リモナバント(Rimonabant)、オテナバント、イビナバントおよびスリナバントよりなる群から選ばれるカンナビノイド受容体-1拮抗剤;カナグリフロジン、タパグリフロジン、エンパグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、ルセオグリフロジン、レモグリフロジン、レモグリフロジンエタボネートおよびエルツグリフロジンよりなる群から選ばれるナトリウム・ブドウ糖共輸送体阻害剤;シタグリプチン、リナグリプチン、ビルダグリプチン、ゲミグリプチン、サクサグリプチン、アログリプチン、テネリグリプチン、アナグリプチンおよびエボグリプチンよりなる群から選ばれるDPP-4阻害剤;およびエキセナチド、リキシセナチド、リラグルチド、アルビグルチドおよびデュラグルチドよりなる群から選ばれるグルカゴン様ペプチド-1(GLP1)作用剤含有組成物よりなる群から選ばれる一つ以上を含む。
【0014】
本発明の他の具現例において、(a)亜鉛カチオンとアニオンを含む亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ、またはその薬学的に許容可能な塩;および(b)抗糖尿薬物を個体に投与する段階を含む糖尿病の予防または治療方法であって、前記抗糖尿薬物は、ロシグリタゾン、トログリタゾン、シグリタゾン、ピオグリタゾンおよびエングリタゾンよりなる群から選ばれるインスリン増感剤;グリベンクラミド、グリピジド、グリクラジド、グリメピリド、トラザミド、トルブタミド、アセトヘキサミド、カルブタミド、クロルプロパミド、グリボルヌリド、グリキドン、グリセンチド、グリソラミド、グリソキセピド、グリクロピアミド、グリシラミド、グリペンチド、レパグリニドおよびナテグリニドよりなる群から選ばれるインスリン分泌促進剤;アカルボース、ボグリボース、エミグリテートおよびミグリトールよりなる群から選ばれるアルファ-グルコシダーゼ阻害剤;リモナバント、オテナバント、イビナバントおよびスリナバントよりなる群から選ばれるカンナビノイド受容体-1拮抗剤;カナグリフロジン、タパグリフロジン、エンパグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、ルセオグリフロジン、レモグリフロジン、レモグリフロジンエタボネートおよびエルツグリフロジンよりなる群から選ばれるナトリウム・ブドウ糖共輸送体阻害剤;シタグリプチン、リナグリプチン、ビルダグリプチン、ゲミグリプチン、サクサグリプチン、アログリプチン、テネリグリプチン、アナグリプチンおよびエボグリプチンよりなる群から選ばれるDPP-4阻害剤;およびエキセナチド、リキシセナチド、リラグルチド、アルビグルチドおよびデュラグルチドよりなる群から選ばれるグルカゴン様ペプチド-1(GLP1)作用剤含有組成物よりなる群から選ばれる一つ以上を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明による糖尿病の予防または治療用薬学的組成物は、(a)亜鉛カチオンとアニオンを含む亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ、またはその薬学的に許容可能な塩;および(b)抗糖尿薬物を有効成分として含むものであって、本発明による複合製剤の場合、単独製剤の場合に比べて糖吸収能、血糖降下能、血糖調節能または糖化血色素の生成抑制能に大きい相乗効果を示すところ、本発明による複合製剤は、第2型糖尿病を予防または治療するのに有用に活用できるものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1a図1aは、Cyclo-Z(亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ)を投与したKKayマウスを対象にブドウ糖の投与後に時間経過による血糖の変化に及ぼす影響を確認した糖内性検査(OGTT)の結果を示したグラフである。
図1b図1bは、Cyclo-Z(亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ)を投与したKKayマウスを対象にブドウ糖の投与後に2時間経過による血糖数値をブドウ糖の曲線下面積で示すものである。
図2図2は、Cyclo-Z(亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ)およびロシグリタゾンの複合製剤をマウス由来脂肪細胞である3T3-L1脂肪細胞株に3時間処理した時、ブドウ糖類似体の取り込みを測定したグラフである。
図3a-3b】図3aおよび図3bは、Cyclo-Z(亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ)およびシタグリプチンの複合製剤または単独製剤を投与したKKayマウスを対象にブドウ糖の投与後に2時間経過による血糖数値をブドウ糖の曲線下面積で示した後、互いに比較したものである。
図4a-4b】図4aおよび図4bは、Cyclo-Z(亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ)およびタパグリフロジンの複合製剤または単独製剤を投与したKKayマウスを対象にブドウ糖の投与後に2時間経過による血糖数値をブドウ糖の曲線下面積で示した後、互いに比較したものである。
図4c-4d】図4cおよび図4dは、Cyclo-Z(亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ)およびタパグリフロジンの複合製剤または単独製剤を投与したKKayマウスを対象に糖化血色素を測定した後、互いに比較したものである。
図5a図5aは、Cyclo-Z(亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ)およびメトホルミンの複合製剤または単独製剤を投与したKKayマウスを対象にブドウ糖の投与後に2時間経過による血糖数値をブドウ糖の曲線下面積で示した後、互いに比較したものである。
図5b図5bは、Cyclo-Z(亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ)およびメトホルミンの複合製剤または単独製剤を投与したKKayマウスを対象に糖化血色素を測定した後、互いに比較したものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明者らは、Cyclo-Z(亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ)またはその薬剤学的に許容可能な塩に抗糖尿薬物を混合して複合製剤を製造したところ、このような複合製剤の場合、単独製剤の場合に比べて糖吸収能、血糖降下能、血糖調節能または糖化血色素の生成抑制能に大きい相乗効果を示すところ、第2型糖尿病を効果的に予防または治療することができることを確認し、本発明を完成した。
【0018】
本発明の一実施例では、Cyclo-Z(亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ)およびロシグリタゾンの複合製剤の処理による糖吸収能に対する相乗効果を確認した(実施例2参照)。
【0019】
本発明の他の実施例では、Cyclo-Z(亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ)およびシタグリプチンの複合製剤の処理による血糖降下能または血糖調節能に対する相乗効果を確認した(実施例3参照)。
【0020】
本発明のさらに他の実施例では、Cyclo-Z(亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ)およびシタグリプチンの複合製剤の処理による血糖降下能、血糖調節能または糖化血色素の生成抑制能に対する相乗効果を確認した(実施例4参照)。
【0021】
したがって、本発明は、(a)亜鉛カチオンとアニオンを含む亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ、またはその薬学的に許容可能な塩;および
(b)抗糖尿薬物を有効成分として含み、
前記抗糖尿薬物は、ロシグリタゾン(rosiglitazone)、トログリタゾン(troglitazone)、シグリタゾン(ciglitazone)、ピオグリタゾン(pioglitazone)およびエングリタゾン(englitazone)よりなる群から選ばれるインスリン増感剤(insulin sensitizer);グリベンクラミド(glybenclamide,glyburide)、グリピジド(glipizide)、グリクラジド(gliclazide)、グリメピリド(glimepiride)、トラザミド(tolazamide)、トルブタミド(tolbutamide)、アセトヘキサミド(acetohexamide)、カルブタミド(carbutamide)、クロルプロパミド(chlorpropamide)、グリボルヌリド(glibornuride)、グリキドン(gliquidone)、グリセンチド(glisentide)、グリソラミド(glisolamide)、グリソキセピド(glisoxepide)、グリクロピアミド(glyclopyamide)、グリシラミド(glycylamide)、グリペンチド(glipentide)、レパグリニド(repaglinide)およびナテグリニド(nateglinide)よりなる群から選ばれるインスリン分泌促進剤(insulin secretagogue);アカルボース(acarbose)、ボグリボース(voglibose)、エミグリテート(emiglitate)およびミグリトール(miglitol)よりなる群から選ばれるアルファ-グルコシダーゼ阻害剤(α-glucosidase inhibitor);リモナバント(Rimonabant)、オテナバント(Otenabant)、イビナバント(Ibinabant)およびスリナバント(Surinabant)よりなる群から選ばれるカンナビノイド受容体-1拮抗剤(cannabinoid receptor 1 antagonist);カナグリフロジン(Canagliflozin)、タパグリフロジン(Dapagliflozin)、エンパグリフロジン(Empagliflozin)、イプラグリフロジン(Ipragliflozin)、トホグリフロジン(Tofogliflozin)、ルセオグリフロジン(Luseogliflozin)、レモグリフロジン(Remogliflozin)、レモグリフロジンエタボネート(Remogliflozinetabonate)およびエルツグリフロジン(Ertugliflozin)よりなる群から選ばれるナトリウム・ブドウ糖共輸送体阻害剤(Sodium-glucose co-transporter 2(SGLT2)inhibitor);シタグリプチン(Sitagliptin)、リナグリプチン(Linagliptin)、ビルダグリプチン(Vildagliptin)、ゲミグリプチン(Gemigliptin)、サクサグリプチン(Saxagliptin)、アログリプチン(Alogliptin)、テネリグリプチン(Teneligliptin)、アナグリプチン(Anagliptin)およびエボグリプチン(Evogliptin)よりなる群から選ばれるDPP-4阻害剤(Dipeptidyl peptidase 4(DPP-4)inhibitor);およびエキセナチド(Exenatide)、リキシセナチド(Lixisenatide)、リラグルチド(Liraglutide)、アルビグルチド(Albiglutide)およびデュラグルチド(Dulaglutide)よりなる群から選ばれるグルカゴン様ペプチド-1(Glucagon-like peptide 1,GLP1)作用剤含有組成物よりなる群から選ばれる一つ以上を含む糖尿病の予防または治療用薬学的組成物として用いることができる。
【0022】
前記組成物は、糖尿病、特に第2型糖尿病を予防または治療するためのものであって、前記糖尿病の予防または治療は、糖吸収能、血糖降下能、血糖調節能または糖化血色素の生成抑制能によるものでありうる。前記糖尿病を予防または治療しつつ、前記抗糖尿薬物による骨折、体重増加、腎機能障害、下痢などの副作用を軽減させることができる利点を有しうる。
【0023】
まず、本発明による糖尿病の予防または治療用薬学的組成物は、(a)亜鉛カチオンとアニオンを含む亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ、またはその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0024】
具体的に、前記亜鉛塩は、亜鉛カチオンとアニオンを含むものであって、この際、アニオンとしては、塩化物または硫酸塩などを使用することができる。すい臓のベータ細胞に高濃度で存在する亜鉛が不足するとき、インスリン抵抗性が現れることになるところ、前記亜鉛塩は、このような亜鉛欠乏を解消するためのものである。
【0025】
一方、前記シクロ-ヒスプロは、亜鉛と亜鉛代謝を促進させる酵素であって、この際、シクロ-ヒスプロで精製されたシクロ-ヒスプロを使用することができる。
【0026】
したがって、前記亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロは、「Cyclo-Z」とも呼ばれることがあるが、これは、インスリン分解酵素(IDE)の合成を促進させ、活性度を増加させて、インスリン抵抗性を改善させることができる。
【0027】
前記亜鉛塩と前記シクロ-ヒスプロの重量比は、1:20~20:1であり得、前記亜鉛塩と前記シクロ-ヒスプロの重量比は、1:1~20:1であることが好ましく、前記亜鉛塩と前記シクロ-ヒスプロの重量比は、1:1~3:1であることがより好ましいが、これに限定されない。
【0028】
次に、本発明による糖尿病の予防または治療用薬学的組成物は、(b)抗糖尿薬物をさらに含む。
【0029】
具体的に、前記抗糖尿薬物は、現在臨床などで開発中にあるか、製品化している薬物であって、具体的に、インスリン増感剤(insulin sensitizer)、インスリン分泌促進剤(insulin secretagogue)、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤(α-glucosidase inhibitor)、カンナビノイド受容体-1拮抗剤(cannabinoid receptor 1 antagonist)、DPP-4阻害剤(Dipeptidyl peptidase 4(DPP-4)inhibitor)、グルカゴン様ペプチド-1作用剤(Glucagon-like peptide 1(GLP1)agonist)およびナトリウム・ブドウ糖共輸送体阻害剤(Sodium-glucose co-transporter 2(SGLT2)inhibitor)含有組成物であり得、インスリン増感剤、ナトリウム・ブドウ糖共輸送体阻害剤またはDPP-4阻害剤であることが好ましいが、これに限定されない。
【0030】
より具体的に、前記インスリン増感剤は、ロシグリタゾン、トログリタゾン、シグリタゾン、ピオグリタゾンおよびエングリタゾンよりなる群から選ばれ;前記インスリン分泌促進剤は、グリベンクラミド、グリピジド、グリクラジド、グリメピリド、トラザミド、トルブタミド、アセトヘキサミド、カルブタミド、クロルプロパミド、グリボルヌリド、グリキドン、グリセンチド、グリソラミド、グリソキセピド、グリクロピアミド、グリシラミド、グリペンチド、レパグリニドおよびナテグリニドよりなる群から選ばれ、前記アルファ-グルコシダーゼ阻害剤は、アカルボース、ボグリボース、エミグリテートおよびミグリトールよりなる群から選ばれ;前記カンナビノイド受容体-1拮抗剤は、リモナバント、オテナバント、イビナバントおよびスリナバントよりなる群から選ばれ;前記ナトリウム・ブドウ糖共輸送体阻害剤は、アカナグリフロジン、タパグリフロジン、エンパグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、ルセオグリフロジン、レモグリフロジン、レモグリフロジンエタボネートおよびエルツグリフロジンよりなる群から選ばれ;前記DPP-4阻害剤は、シタグリプチン、リナグリプチン、ビルダグリプチン、ゲミグリプチン、サクサグリプチン、アログリプチン、テネリグリプチン、アナグリプチンおよびエボグリプチンよりなる群から選ばれ;前記グルカゴン様ペプチド-1作用剤は、エキセナチド、リキシセナチド、リラグルチド、アルビグルチドおよびデュラグルチドよりなる群から選ばれる。
【0031】
Cyclo-Z(亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ)、またはその薬学的に許容可能な塩を単独製剤として使用したり、ロシグリタゾンなどインスリン増感剤;タパグリフロジンなどナトリウム・ブドウ糖共輸送体阻害剤;またはシタグリプチンなどDPP-4阻害剤のような抗糖尿薬物を単独製剤として使用する場合にも、血糖を調節するなど、ある程度効果を示すが、これは、僅かな水準に過ぎない。しかしながら、これらに対する複合製剤の場合には、血糖調節などに大きい相乗効果を有することができる。一方、前記抗糖尿薬物として、ビグアニド薬物(Biguanide)の一種であるメトホルミンを使用する場合には、Cyclo-Z(亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ)およびメトホルミンの複合製剤の処理による血糖調節能または糖化血色素の生成抑制能に対する相乗効果が確認されない。
【0032】
前記Cyclo-Z(亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ)、またはその薬学的に許容可能な塩と前記抗糖尿薬物の重量比は、3:100~30,000:1であることが好ましく、3:100~30:1であることがより好ましく、3:100~6:1であることが最も好ましいが、これに限定されない。この際、抗糖尿薬物に比べて、Cyclo-Z(亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ)、またはその薬学的に許容可能な塩の比が非常に大きい場合には、血糖調節または糖化血色素の抑制効果が低下する問題点がある。
【0033】
本発明において使用される用語「治療」とは、本発明による薬学的組成物の投与により糖尿病に対する症状が好転したり有利に変更されるすべての行為を意味する。
【0034】
これより、薬学的組成物に製造するために通常使用する適切な担体、賦形剤、および希釈剤をさらに含むことができる。また、通常の方法によって散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾルなどの経口型剤形、外用剤、坐剤、および滅菌注射溶液の形態で剤形化して使用することができる。
【0035】
前記組成物に含まれ得る担体、賦形剤、および希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアガム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート、および鉱物油などがある。前記組成物を製剤化する場合には、普通使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使用して調製される。
【0036】
本発明による薬学的組成物は、薬学的に有効な量で投与する。本発明において、「薬学的に有効な量」は、医学的治療に適用可能な合理的な利益/リスクの割合で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効用量水準は、患者の疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路および排出比率、治療期間、同時に使用される薬物を含んだ要素、およびその他医学分野によく知られた要素に応じて決定され得る。
【0037】
本発明による薬学的組成物は、治療効果を増進させるために、好ましくは、併用される薬物と同時に(simultaneous)、別途に(separate)、または順次(sequential)投与され得、単一または多重投与され得る。上記した要素をすべて考慮して副作用なしに最小の量で最大の効果が得られる量を投与することが重要であり、これは、当業者によって容易に決定され得る。具体的に、本発明による薬学的組成物の有効量は、患者の年齢、性別、状態、体重、体内で活性成分の吸収度、不活性率および排泄速度、疾病の種類、併用される薬物によって変わり得る。
【0038】
本発明の薬学的組成物は、個体に多様な経路で投与され得る。投与のすべての方式は、予想され得るが、例えば、経口投与、鼻腔内投与、経気管支投与、動脈注射、静脈注射、皮下注射、筋肉注射、または腹腔内注射により投与され得る。
【0039】
本発明の薬学的組成物は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別、体重、および疾患の重症度等の様々な関連因子と共に、活性成分である薬物の種類によって決定される。
【0040】
本発明において「個体」とは、疾病の治療を必要とする対象を意味し、より具体的には、ヒトまたは非ヒトである霊長類、マウス(mouse)、ラット(rat)、犬、猫、馬、および牛などの哺乳類を意味する。
【0041】
本発明は、(a)亜鉛カチオンとアニオンを含む亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ、またはその薬学的に許容可能な塩;および(b)抗糖尿薬物を糖尿病の予防または治療に使用するための用途であって、前記抗糖尿薬物は、ロシグリタゾン、トログリタゾン、シグリタゾン、ピオグリタゾンおよびエングリタゾンよりなる群から選ばれるインスリン増感剤;グリベンクラミド、グリピジド、グリクラジド、グリメピリド、トラザミド、トルブタミド、アセトヘキサミド、カルブタミド、クロルプロパミド、グリボルヌリド、グリキドン、グリセンチド、グリソラミド、グリソキセピド、グリクロピアミド、グリシラミド、グリペンチド、レパグリニドおよびナテグリニドよりなる群から選ばれるインスリン分泌促進剤;アカルボース、ボグリボース、エミグリテートおよびミグリトールよりなる群から選ばれるアルファ-グルコシダーゼ阻害剤;リモナバント、オテナバント、イビナバント)およびスリナバントよりなる群から選ばれるカンナビノイド受容体-1拮抗剤;カナグリフロジン、タパグリフロジン、エンパグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、ルセオグリフロジン、レモグリフロジン、レモグリフロジンエタボネートおよびエルツグリフロジンよりなる群から選ばれるナトリウム・ブドウ糖共輸送体阻害剤;シタグリプチン、リナグリプチン、ビルダグリプチン、ゲミグリプチン、サクサグリプチン、アログリプチン、テネリグリプチン、アナグリプチンおよびエボグリプチンよりなる群から選ばれるDPP-4阻害剤;およびエキセナチド、リキシセナチド、リラグルチド、アルビグルチドおよびデュラグルチドよりなる群から選ばれるグルカゴン様ペプチド-1(GLP1)作用剤含有組成物よりなる群から選ばれる一つ以上を含む。
【0042】
また、本発明は、(a)亜鉛カチオンとアニオンを含む亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ、またはその薬学的に許容可能な塩;および(b)抗糖尿薬物を個体に投与する段階を含む糖尿病の予防または治療方法であって、前記抗糖尿薬物は、ロシグリタゾン、トログリタゾン、シグリタゾン、ピオグリタゾンおよびエングリタゾンよりなる群から選ばれるインスリン増感剤;グリベンクラミド、グリピジド、グリクラジド、グリメピリド、トラザミド、トルブタミド、アセトヘキサミド、カルブタミド、クロルプロパミド、グリボルヌリド、グリキドン、グリセンチド、グリソラミド、グリソキセピド、グリクロピアミド、グリシラミド、グリペンチド、レパグリニドおよびナテグリニドよりなる群から選ばれるインスリン分泌促進剤;アカルボース、ボグリボース、エミグリテートおよびミグリトールよりなる群から選ばれるアルファ-グルコシダーゼ阻害剤;リモナバント、オテナバント、イビナバントおよびスリナバントよりなる群から選ばれるカンナビノイド受容体-1拮抗剤;カナグリフロジン、タパグリフロジン、エンパグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、ルセオグリフロジン、レモグリフロジン、レモグリフロジンエタボネートおよびエルツグリフロジンよりなる群から選ばれるナトリウム・ブドウ糖共輸送体阻害剤;シタグリプチン、リナグリプチン、ビルダグリプチン、ゲミグリプチン、サクサグリプチン、アログリプチン、テネリグリプチン、アナグリプチンおよびエボグリプチンよりなる群から選ばれるDPP-4阻害剤;およびエキセナチド、リキシセナチド、リラグルチド、アルビグルチドおよびデュラグルチドよりなる群から選ばれるグルカゴン様ペプチド-1(GLP1)作用剤含有組成物よりなる群から選ばれる一つ以上を含む。
【0043】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかしながら、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、下記実施例により本発明の内容が限定されるものではない。
【0044】
[準備例]
下記実施例で使用した亜鉛塩は、Captek Softgel Internationalから購入し、シクロ-ヒスプロは、バッケムから購入し、ロシグリタゾンは、TCI(株)から購入して使用した。
【0045】
[実施例]
実施例1.Cyclo-Z(亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ)によるマウスの血糖調節効果の測定
1-1.Cyclo-Zおよび陰性対照群の投与
Saeronbio(株)から購入した5週齢のKKAyを1週間予備飼育した後、5匹ずつ4グループに分けた。
【0046】
1グループは、リン酸緩衝食塩水を投与して陰性対照群に設定し、2グループは、亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロを10:1の重量比で、3グループは、10:2の重量比で、4グループは、10:5の重量比で8週間毎日経口投与した。
【0047】
1-2.マウスの経口糖負荷検査の測定
血糖調節効果を確認するために、6時間絶食させた後、対照および実験実行群の動物に2g/kgのブドウ糖を経口で投与し、血中ブドウ糖量を30分間隔で2時間の間測定した。血中ブドウ糖量の測定には、糖耐性検査(OGTT,oral glucose tolerance test)を利用した。前記実験結果は、実験群と対照群の各平均で33%以内のものを集団別t検証を実施して、その有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(*p<0.05)。
【0048】
その結果、図1aおよび図1bに示されたように、対照群に比べて亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロを10:5の重量比で投与した群においてブドウ糖を投与して2時間後に血中ブドウ糖が速く減少したことを確認した。具体的に、対照群の糖負荷2時間後の血糖は、308.5mg/dlであったが、亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロを10:5の重量比で投与した群の血糖は、217.5mg/dlであった。したがって、亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロの重量比10:5が最も理想的な組合せであることを確認することができた。
【0049】
実施例2.Cyclo-Z(亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ)およびロシグリタゾンの複合製剤の投与による脂肪細胞内ブドウ糖取り込み(uptake)効果の測定
筋肉、脂肪、肝細胞などでは、インスリンによる信号伝達によりインスリン受容体のリン酸化が起こり、これに伴い、下位に位置している様々なタンパク質がリン酸化すると、ブドウ糖吸収能が増加することになって、結果的に、血糖を低下させる。したがって、Cyclo-Zおよびロシグリタゾン複合製剤が糖尿病に効果があるか否かを確認するために、ブドウ糖吸収能の評価実験を進めた。脂肪細胞である3T3-L1未分化細胞を10%FBS(Fetal bovine serum)が入っているDMEMで培養した。48時間培養した後、脂肪細胞に分化させるために、10%FBS、ソブチルメチルキサンチン0.05mM、デキサメタゾン1μM、インスリン1μg/mlが含まれたDMEMに48時間培養し、10%FBS、インスリン1μg/mlが含まれたDMEMに96時間の間48時間ごとに培養液を交替して培養した。最後に、10%FBSが含まれたDMEMに48時間培養して分化させた後、インスリン10nmolが含まれたDMEMでインスリン抵抗性を誘導した。その後、各サンプル亜鉛塩5.72μg/ml、シクロ-ヒスプロ0.572μg/ml、ロシグリタゾン50μMが含まれたglucose free DMEMに3時間の間処理し、最後の15分間インスリン100nmolで刺激を与えた。以後の実験手続は、Glucose uptake cell-based assay kit(600470,Cayman)で提供するプロトコルによって進めた。インスリン刺激後、リン酸緩衝食塩水で洗浄した後、提供される2-NBDG glucose free DMEMに200μg/mlで希釈して30分間処理した。培養液の除去後、Infinite(登録商標)200 PRO(TECAN)を利用して蛍光を測定した。前記実験結果は、インスリン抵抗性状態の実験群とそれぞれの対照群、正常状態の実験群と正常状態のインスリン処理対照群、インスリン抵抗性状態におけるCyclo-Z単独またはロシグリタゾン単独実験群とCyclo-Zおよびロシグリタゾン複合製剤処理の実験群間のt検定(t-test)で比較検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(*p<0.05,**p<0.005,***p<0.0005,#p<0.05,##p<0.005)。
【0050】
その結果、図2に示されたように、正常状態では、インスリンを処理した時に糖吸収が大きく増加した反面、インスリン抵抗性状態では、インスリンを処理しても糖吸収が大きく増加しない反面、Cyclo-Zおよびロシグリタゾンの複合製剤の処理がCyclo-Z単独またはロシグリタゾン単独処理の場合より大きい相乗作用が確認された。したがって、Cyclo-Zおよびロシグリタゾンの複合製剤の処理が、インスリン抵抗性状態の脂肪細胞内糖吸収の増加を通じて血糖調節および糖代謝の改善に肯定的な影響を及ぼしていることを確認して、関連疾病である第2型糖尿病に対する治療用に用いることができることが分かった。
【0051】
実施例3.Cyclo-Z(亜鉛塩およびシクロ-ヒスプロ)およびシタグリプチンの投与によるマウスの血糖降下、血糖調節効果の測定
3-1.Cyclo-Zおよびシタグリプチンの単独および複合製剤の投与
Cyclo-Zおよびシタグリプチンの複合製剤による血糖調節効果を測定するために、6週齢のKKAyを(株)Clea Japanから購入し、一定の条件(温度:22±2℃、相対湿度:55±10%、日周期:12時間)で飼育した。7匹を一つの群にしてケージで水と餌を自由供給し、実験前に1週間純化を経て実験に使用した。
【0052】
順応期間が終わった後、4個の群に分けて8週間Cyclo-Zおよびシタグリプチン単独および複合製剤を下記表1の重量比で毎日経口投与を進めた。
【0053】
【表1】
【0054】
Saeronbio(株)から購入した5週齢のKKAyを1週間予備飼育した後、8匹ずつ4グループに分けた。
【0055】
1グループは、リン酸緩衝食塩水を投与して陰性対照群に設定し、2グループはCycloZ投与群で、3グループと4グループはシタグリプチン投与群で、5グループと6グループはCycloZとシタグリプチン3:1、3:2の重量比の複合組成物投与群で17週間毎日経口投与を進行した。
【0056】
3-2.マウスの経口糖負荷検査の測定
血糖調節効果を確認するために、16時間絶食させた後、対照および実験実行群の動物に2g/kgのブドウ糖を経口で投与し、血中ブドウ糖量を15、30、60、90、120分に測定した。血中ブドウ糖量の測定には、糖耐性検査(OGTT)を用いた。前記実験結果は、陰性対照群と実験群間のt検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(**p<0.01,***p<0.001,****p<0.0001)。また、単独投与群と複合投与群間のt検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(#p<0.05,###p<0.001)。
【0057】
その結果、図3aおよび図3bに示されたように、Cyclo-Z:シタグリプチンの重量比が3:1より3:2の重量比で投与した複合製剤の投与群において単独投与群よりブドウ糖を投与して2時間後に血中ブドウ糖が速く減少したことを確認した。
【0058】
したがって、Cyclo-Z単独またはシタグリプチン単独投与群の場合より複合製剤の投与群において血中ブドウ糖の濃度を減少させる優れた相乗作用が確認されることによって、Cyclo-Z:シタグリプチン3:2の重量比で投与した複合剤が、糖尿病の予防または治療のために有用に使用することができることが分かり、インスリン抵抗性第2型糖尿病の予防剤または治療剤として有用に使用され得ることが分かった。
【0059】
実施例4.Cyclo -Zおよびタパグリフロジンの複合製剤の投与によるマウスの血糖降下、血糖調節効果および糖化血色素の含量に及ぼす影響
4-1.Cyclo-Zおよびタパグリフロジンの単独および複合製剤の投与
Cyclo-Zおよびタパグリフロジンの複合製剤による血糖調節効果を測定するために、6週齢のKKAyを(株)Clea Japanから購入して、一定の条件(温度:22±2℃、相対湿度:55±10%、日周期:12時間)で飼育した。7匹を一つの群としてケージで水と餌を自由供給し、実験前に1週間純化を経て実験に使用した。
【0060】
順応期間が終わった後、6個の群に分けて10週間Cyclo-Zおよびタパグリフロジン単独および複合製剤を下記表2の重量比で毎日経口投与を進めた。
【0061】
【表2】
【0062】
4-2.マウスの血糖調節効果の測定
血糖調節効果を確認するために、16時間絶食させた後、対照および実験実行群の動物の腹腔に2g/kgのブドウ糖を注入し、血中ブドウ糖量を15、30、60、90、120分に測定した。血糖の測定には、血糖ストリップ(韓国、京畿道、緑十字社)を利用した。血中ブドウ糖量の測定には、糖耐性検査(OGTT)を利用した。前記実験結果は、陰性対照群と実験群間のt検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(****p<0.0001)。また、単独投与群と複合投与群間のt検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(#p<0.05,####p<0.0001)。
【0063】
その結果、図4aおよび図4bに示されたように、Cyclo-Z:タパグリフロジンの重量比が3:0.02より3:1の重量比で投与した複合製剤の投与群において単独投与群よりブドウ糖を投与して2時間後に血中ブドウ糖が速く減少したことを確認した。
【0064】
したがって、Cyclo-Z単独またはタパグリフロジン単独投与群の場合より複合製剤の投与群において血中ブドウ糖の濃度を減少させる優れた相乗作用が確認されることによって、Cyclo-Z:タパグリフロジン3:1の重量比で投与した複合剤が、糖尿病の予防または治療のために有用に使用することができることが分かり、インスリン抵抗性第2型糖尿病の予防剤または治療剤として有用に使用され得ることが分かった。
【0065】
4-3.マウスの糖化血色素の測定
糖尿病を診断する方法は、血中ブドウ糖の測定など様々なものがあるが、血中ブドウ糖の測定は、食事、運動などの様々な要因の影響を受けて不正確であるので、糖尿病を管理し治療するためには、血液のうち糖化血色素を測定することが効果的な方法の一つである。1986年に米国糖尿協会ですべての形態の糖尿病を管理するために、年間2回ずつの糖化血色素の測定を提案することによって、比較的安定した指標である糖化血色素の量を糖尿病の管理指標として使用し始めた(韓国特許公開10-2009-0006999,2009.01.16.公開)。本実施例では、Cyclo-Zおよびタパグリフロジンの複合製剤の摂取によるマウスの糖化血色素の含量を調べることとした。Cyclo-Zおよびタパグリフロジンの複合製剤の糖化血色素の低下効果を測定するために、対照および実験実行群の動物の尾静脈から全血を採取してHemoglobin A1c reagent kitに注入した後、DCA vantage analyzer(米国、ニューヨーク、シーメンス)を用いて測定した。前記実験結果は、陰性対照群と実験群間のt検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(*p<0.05,**p<0.01,***p<0.001,****p<0.0001)。また、単独投与群と複合投与群間のt検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(#p<0.05,###p<0.001)。
【0066】
その結果、図4cおよび図4dに示されたように、Cyclo-Z:タパグリフロジンの重量比が3:0.02より3:1の重量比で投与した複合製剤の投与群において単独投与群より糖化血色素生成の抑制効果が上昇することを確認した。
【0067】
したがって、Cyclo-Zおよびタパグリフロジン複合製剤が、糖化血色素を減少させる効果があることから、インスリン抵抗性第2型糖尿病の予防剤または治療剤として有用に使用され得ることが分かった。
【0068】
比較例1.Cyclo-Zおよびメトホルミンの複合製剤の投与によるマウスの血糖調節効果の測定
1-1.Cyclo-Zおよびメトホルミンの単独および複合製剤の投与
Cyclo-Zおよびメトホルミンの複合製剤による血糖調節効果を測定するために、6週齢のKKAyを(株)Clea Japanから購入して、一定の条件(温度:22±2℃、相対湿度:55±10%、日周期:12時間)で飼育した。8匹を一つの群としてケージで水と餌を自由供給し、実験前に1週間純化を経て実験に使用した。
【0069】
順応期間が終わった後、8個の群に分けて8週間Cyclo-Zおよびメトホルミンのおよびメトホルミン単独および複合製剤を下記表3の重量比で毎日経口投与を進めた。
【0070】
【表3】
【0071】
1-2.マウスの血糖調節効果の測定
血糖調節効果を確認するために、16時間絶食させた後、対照および実験実行群の動物の腹腔に2g/kgのブドウ糖を注入し、血中ブドウ糖量を15、30、60、90、120分に測定した。血中ブドウ糖量の測定には、糖耐性検査(OGTT)を利用した。前記実験結果は、実験群と対照群の集団別t検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(*p<0.05,***p<0.0005)。
【0072】
その結果、図5aに示されたように、メトホルミン単独処理実験群と複合製剤の投与群の両方で相乗効果が示されないことを確認した。
【0073】
1-3.マウスの糖化血色素の測定
血糖調節は、血糖値だけでなく、必ず糖化血色素の数値を共に調査することになる。これは、糖化血色素1%減少に糖尿による合併症20%以上減少させる効果があるためである。本実施例では、Cyclo-Zおよびメトホルミンの複合製剤の摂取によるマウスの糖化血色素の含量を調べることにした。メトホルミンおよびCyclo-Zの複合製剤の糖化血色素の低下効果を測定するために、対照および実験実行群の動物の尾静脈から全血を採取してHemoglobin A1c reagent kitに注入した後、DCA vantage analyzer(米国、ニューヨーク、シーメンス)を利用して測定した。前記実験結果は、実験群と対照群の集団別t検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(**p<0.005,***p<0.0005)。
【0074】
その結果、図5bに示されたように、メトホルミン単独処理実験群と複合製剤の投与群の両方で相乗効果が示されないことを確認した。
【0075】
前述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形が可能であることが理解できる。したがって、以上で記述した実施例は、すべての面において例示的なものであり、限定的でないものと理解すべきである。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図4d
図5a
図5b