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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】メトホルミン塩の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 277/00 20060101AFI20220114BHJP
   C07C 279/04 20060101ALI20220114BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220114BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220114BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220114BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20220114BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20220114BHJP
   A61K 31/155 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
C07C277/00
C07C279/04
A61P3/10
A61P35/00
A61P25/28
A61P15/00
A61P3/04
A61K31/155
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021139963
(22)【出願日】2021-08-30
【審査請求日】2021-08-30
(31)【優先権主張番号】202110341539.3
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519295166
【氏名又は名称】▲広▼州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 子舟
(72)【発明者】
【氏名】鐘 依▲リン▼
(72)【発明者】
【氏名】李 雅欣
(72)【発明者】
【氏名】呉 玉萍
(72)【発明者】
【氏名】周 梓淳
【審査官】小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-525361(JP,A)
【文献】特表2010-516759(JP,A)
【文献】特表2011-525900(JP,A)
【文献】特表2010-539229(JP,A)
【文献】特表2009-541220(JP,A)
【文献】特表2015-523382(JP,A)
【文献】特表2014-512333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メトホルミンの原料薬と医薬品添加物酸を秤取し、均一に混合した後、ボールミル粉砕し、154μmステンレス鋼メッシュ通過し、メトホルミン塩を得る工程を含み、
前記医薬品添加物酸は、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸である、ことを特徴とするメトホルミン塩の調製方法。
【請求項2】
前記メトホルミンの原料薬はメトホルミン遊離塩基である、ことを特徴とする請求項1に記載のメトホルミン塩の調製方法。
【請求項3】
前記メトホルミンの原料薬と前記医薬品添加物酸のモル比は1:1又は1:2である、ことを特徴とする請求項1に記載のメトホルミン塩の調製方法。
【請求項4】
前記均一に混合することは、メトホルミンの原料薬と前記医薬品添加物酸にエタノールを滴下して、両者を均一に混合させることである、ことを特徴とする請求項1に記載のメトホルミン塩の調製方法。
【請求項5】
前記ボールミル粉砕は、混合物をボールミル粉砕タンクに入れ、直径が22mmである二酸化ジルコニウムボールミル球を2個加え、密封蓋で封止した後、ボールミル粉砕機に組込み、機器のパラメータを回転速度35s-1に設定し、5分間運行し、154μmステンレス鋼メッシュ通過し、ボールミル粉砕後のメトホルミン塩を得ることである、ことを特徴とする請求項1に記載のメトホルミン塩の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品配合物分野に属し、特に、メトホルミン塩及びその調製方法と応用に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品配合物の研究過程において、塩スクリーニングの工程を経て、塩化を行うことによって薬物の溶解度を100~1000倍向上させることができ、塩化は研究者が薬剤学方法により薬物の吸湿性、溶解性及びバイオアベイラビリティーなどの問題を克服する第一選択方式である。
【0003】
市販のメトホルミンは、主に塩酸塩の形式として販売されている。メトホルミンの塩化用の原料薬であるメトホルミン遊離塩基は、強い吸湿性がある。市販のメトホルミン塩酸塩は、比較的に結晶水と結合しやすく、また、メトホルミン塩酸塩の固有溶解速度が速すぎるため、胃腸に対して一定の副作用がある。このため、メトホルミンのバイオアベイラビリティーを低下させた。
【0004】
また、報告によると、メトホルミンアセチルサリチル酸塩(アスピリン)が存在し、このような塩には3種類の結晶形態があり、このうちのI形態は無水物であり、常温空気下で、0.5個の水を持つ結晶形態に変換しやすい。したがって、一定の吸湿性もあり、安定不足である。近年、パモ酸塩も報告されているが、このような酸の構造は複雑で、価格が高く、塩形としての販売には不利である。
【0005】
このため、メトホルミンの固有溶解速度を低下させ、その安定性を向上させ、その吸湿性を減少させるために、新規のメトホルミン塩の合成を研究する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術の欠点及び不足を克服するために、本発明の第一の目的は、メトホルミン塩の調製方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、上記方法により調製されたメトホルミン塩を提供することである。
【0008】
本発明のさらに別の目的は、上記方法により調製されたメトホルミン塩の単結晶構造を提供することである。
【0009】
本発明のさらに別の目的は、血糖降下薬物、抗腫瘍薬物、老化防止薬物、抗アルツハイマー病薬物、抗多嚢胞性卵巣症候群薬物と肥満抑制薬物の製造における、上記メトホルミン塩の使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、以下の技術案によって実現される。
【0011】
メトホルミン塩の調製方法は、メトホルミンの原料薬と医薬品添加物酸を秤取し、均一に混合した後、ボールミル粉砕し、154μmステンレス鋼メッシュ通過し、メトホルミン塩を得る工程を含む。
【0012】
前記メトホルミンの原料薬はメトホルミン遊離塩基である。
【0013】
前記医薬品添加物酸は、1-ナフタレン酢酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸、2-ナフトエ酸、1,5-ジヒドロキシナフタレン、3,7-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,3-ジヒドロキシナフタレンのうちの一つであり、
前記メトホルミンの原料薬と医薬品添加物酸のモル比は1:1又は1:2であり、好ましくは1:1であり、
前記均一に混合することは、好ましくは、メトホルミンの原料薬と医薬品添加物酸にエタノールを滴下して両者を均一に混合させ、ボールミル粉砕した後にすぐに揮発し、試料を乾燥することであり、より好ましくは、0.1g当たりメトホルミンの原料薬と医薬品添加物酸の混合物に、対応して1~2滴のエタノールを滴下することである。
【0014】
前記ボールミル粉砕は、好ましくは、混合物を100mLボールミル粉砕タンクに入れ、直径が22mmである二酸化ジルコニウムボールミル球を2個加え、密封蓋で封止した後、ボールミル粉砕機に組込み、機器のパラメータを回転速度35s-1に設定し、5分間運行し、154μmステンレス鋼メッシュ通過し、ボールミル粉砕後のメトホルミン塩を得ることである。
【0015】
上記方法により調製されたメトホルミン塩は、使用に必要な補助酸によって、メトホルミンと1-ナフタレン酢酸塩、メトホルミンと2-ナフトエ酸塩、メトホルミンと1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩、メトホルミン塩と2,3-ジヒドロキシナフタレン、メトホルミンと1,5-ジヒドロキシナフタレン塩、メトホルミンと3,7-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、メトホルミンと2-ナフタレン酢酸塩であってもよい。
【0016】
上記メトホルミン塩(メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form1(メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸とのモル比が1:1である)、メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form2(メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸とのモル比が1:2である)、メトホルミンと1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、メトホルミンと1-ナフタレン酢酸塩、メトホルミンと2-ナフトエ酸塩)の単結晶構造のパラメータは、それぞれ表1に示すとおりである。
【0017】
【表1】
【0018】
血糖降下薬物、抗腫瘍薬物、老化防止薬物、抗アルツハイマー病薬物、抗多嚢胞性卵巣症候群薬物と肥満抑制薬物の製造における、上記メトホルミン塩の使用。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、従来技術に対して、以下の利点及び有益な効果を有する。
本発明は9種類のメトホルミンの新規塩を得、調製方法が簡単で、環境に優しく、調製プロセスにおいて廃液が発生せず、且つ転化率が高く、工業化大量生産に有利である。
本発明のこれらのメトホルミンの新規塩は、従来のメトホルミンに比べて、吸湿性が弱く、水中への溶解性が良く、メトホルミンの固有溶解速度を遅らせることができ、より安定し、保管しやすく、メトホルミン塩基のバイオアベイラビリティーの改善が期待されている。このようなメトホルミン塩は、メトホルミン薬物への応用の将来性を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施例1で得られた生成物メトホルミンと1-ナフタレン酢酸塩、1-ナフタレン酢酸及びメトホルミン遊離塩基の粉末x線回折図である。
図2】実施例1におけるメトホルミンと1-ナフタレン酢酸塩の単結晶構造図である。
図3】実施例1におけるメトホルミンと1-ナフタレン酢酸塩の実測(XRDスペクトル)と単結晶模擬XRDスペクトルとの対比図である。
図4】メトホルミンと1-ナフタレン酢酸塩の熱重量分析図である。
図5】メトホルミンと1-ナフタレン酢酸塩の示差走査熱量測定チャートである。
図6】実施例2におけるメトホルミンと2-ナフトエ酸塩、2-ナフトエ酸及びメトホルミン遊離塩基の粉末x線回折図である。
図7】実施例2におけるメトホルミンと2-ナフトエ酸塩の単結晶構造図である。
図8】実施例2におけるメトホルミンと2-ナフトエ酸塩の実測(XRDスペクトル)と単結晶模擬XRDスペクトルとの対比図である。
図9】メトホルミンと2-ナフトエ酸塩の熱重量分析図である。
図10】メトホルミンと2-ナフトエ酸塩の示差走査熱量測定チャートである。
図11】実施例3におけるメトホルミンと1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸及びメトホルミン遊離塩基の粉末x線回折図である。
図12】実施例3におけるメトホルミンと1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩の単結晶構造図である。
図13】実施例3におけるメトホルミンと1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩の実測(XRDスペクトル)と単結晶模擬XRDスペクトルとの対比図である。
図14】メトホルミンと1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩の熱重量分析図である。
図15】メトホルミンと1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩の示差走査熱量測定チャートである。
図16】実施例4におけるメトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form1、2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸及びメトホルミン遊離塩基の粉末x線回折図である。
図17】実施例4におけるメトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form1の単結晶構造図である。
図18】実施例4におけるメトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form1の実測(XRDスペクトル)と単結晶模擬XRDスペクトルとの対比図である。
図19】メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form1の熱重量分析図である。
図20】メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form1の示差走査熱量測定チャートである。
図21】実施例5におけるメトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form2、2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸及びメトホルミン遊離塩基の粉末x線回折図である。
図22】実施例5におけるメトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form2の単結晶構造図である。
図23】実施例5におけるメトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form2の実測(XRDスペクトル)と単結晶模擬XRDスペクトルとの対比図である。
図24】メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form2の熱重量分析図である。
図25】メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form2の示差走査熱量測定チャートである。
図26】実施例6におけるメトホルミンと2,3-ジヒドロキシナフタレン塩、2,3-ジヒドロキシナフタレン及びメトホルミン遊離塩基の粉末x線回折図である。
図27】実施例7におけるメトホルミンと1,5-ジヒドロキシナフタレン塩、1,5-ジヒドロキシナフタレン及びメトホルミン遊離塩基の粉末x線回折図である。
図28】実施例8におけるメトホルミンと3,7-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、3,7-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸及びメトホルミン遊離塩基の粉末x線回折図である。
図29】実施例9におけるメトホルミンと2-ナフタレン酢酸塩、2-ナフタレン酢酸及びメトホルミン遊離塩基の粉末x線回折図である。
図30】メトホルミンと2-ナフタレン酢酸塩の熱重量分析図である。
図31】メトホルミンと2-ナフタレン酢酸塩の示差走査熱量測定チャートである。
図32】比較例1における調製された生成物、原料無水クエン酸及びメトホルミン遊離塩基の粉末x線回折図である。
図33】比較例2における調製された生成物、原料トランスケイヒ酸及びメトホルミン遊離塩基の粉末x線回折図である。
図34】メトホルミン対照品溶媒が超純水である場合の検量線グラフである。
図35】塩酸メトホルミン、メトホルミンと1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form1、メトホルミンと1-ナフタレン酢酸塩、メトホルミンと2-ナフトエ酸塩、メトホルミンと2-ナフタレン酢酸塩の水中での溶出性測定方法による溶出図である。
図36】メトホルミン対照品溶媒が0.1mol/l塩酸溶液である場合の検量線グラフである。
図37】塩酸メトホルミン、メトホルミンと1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form1、メトホルミンと1-ナフタレン酢酸塩、メトホルミンと2-ナフトエ酸塩、メトホルミンと2-ナフタレン酢酸塩の0.1mol/l塩酸溶液での溶出性測定方法による溶出図である。
図38】メトホルミン、塩酸メトホルミン、メトホルミンと1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form1、メトホルミンと1-ナフタレン酢酸塩、メトホルミンと2-ナフトエ酸塩、メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form2、メトホルミンと2-ナフタレン酢酸塩の吸湿性図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施例と図面を結び付けながら、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の実施形態はこれに限定されない。実施例では、具体的な条件を明記しない場合、従来の条件又はメーカーによって提出された条件に従って行われる。使用された試薬又は機器は、メーカーを明記しない場合、いずれも一般の常規市販品である。
【0022】
実施例におけるメトホルミン遊離塩基は、以下の方法により調製される。
【0023】
(1)メトホルミン遊離塩基の粗製:塩酸メトホルミン16.5g、水酸化ナトリウム4.0gを三角フラスコに秤取し、無水エタノール250mLを加え、室温下で12時間攪拌反応した後、減圧濾過し、濾過液を回転式蒸発器上で乾燥まで濃縮することにより、メトホルミン遊離塩基の粗生成物を得ることができる。
【0024】
(2)メトホルミン遊離塩基の精製:室温下で、上記メトホルミン遊離塩基の粗生成物13.2gを採取し、無水アセトン100mLを加え、室温下で40分間磁力撹拌し、減圧濾過し、濾過液を-8℃条件下で48時間晶析し、濾過し、5.9302g黄色粒状結晶を得た。
【0025】
実施例1:メトホルミンと1-ナフタレン酢酸塩の調製
市販のメトホルミン遊離塩基0.0430gと0.0621gの1-フタレン酢酸を採取し、1~2滴の無水エタノールを滴下して均一に混合した後、100mLボールミル粉砕タンクに入れ、直径が22mmである二酸化ジルコニウムボールミル球を2個加え、密封蓋で封止した後、ボールミル粉砕機に組込み、機器のパラメータを回転速度35s-1に設定し、5分間運行し、154μmステンレス鋼メッシュ通過し、生成物メトホルミンナフタレン酢酸塩粉末0.58gを得、収率が98%であった。
【0026】
実施例1で得られた生成物メトホルミンと1-ナフタレン酢酸塩黄色粉末、原料1-ナフタレン酢酸及びメトホルミン遊離塩基に対して、それぞれ粉末X線回折分析を行い、分析結果は図1に示すとおりである。図1から分かるように、調製されたメトホルミンと1-ナフタレン酢酸塩黄色粉末は、メトホルミン遊離塩基と1-ナフタレン酢酸の特徴回折ピークとが異なり、調製された黄色粉末は新規の塩形であると判断できる。
【0027】
調製されたメトホルミンと1-ナフタレン酢酸塩をエタノールにおいて十分に溶解して飽和溶液を得、濾過し、溶液が黄色であり、室温で48時間静置し、溶液から淡黄色結晶体を析出し、得られた淡黄色結晶体はメトホルミンと1-ナフタレン酢酸塩の単結晶であり、単結晶構造図及び単結晶構造パラメータは、それぞれ図2及び表1に示すとおりである。
【0028】
メトホルミンと1-ナフタレン酢酸塩の実測(XRDスペクトル)と単結晶模擬XRDスペクトルとの対比図は図3に示すとおりであり、図3から分かるように、得られた化合物は確実に新規の塩形を形成した。
【0029】
図4から分かるように、メトホルミンと1-ナフタレン酢酸塩は分解の前に顕著な減量ステップが存在し、120℃程度で、2.78%の減量ステップが存在し、試料が0.5当量に相当する水分子(理論算出値が2.77%であった)を失ったと推定され、半水和物であることが示唆された。図5から分かるように、メトホルミンと1-ナフタレン酢酸塩の溶融点は187.2℃であった。
【0030】
実施例2:メトホルミンと2-ナフトエ酸塩の調製
メトホルミン遊離塩基0.0430gと0.0574gの2-ナフトエ酸を採取し、1~2滴の無水エタノールを滴下して均一に混合した後、100mLボールミル粉砕タンクに入れ、直径が22mmである二酸化ジルコニウムボールミル球を2個加え、密封蓋で封止した後、ボールミル粉砕機に組込み、機器のパラメータを回転速度35s-1に設定し、5分間運行し、154μmステンレス鋼メッシュ通過し、生成物メトホルミンと2-ナフトエ酸塩の粉末を得た。
【0031】
メトホルミンと2-ナフトエ酸塩、2-ナフトエ酸、メトホルミン遊離塩基から調製された粉末に対して、それぞれ粉末X線回折分析を行い、分析結果は図6に示すとおりである。図6から分かるように、メトホルミンと2-ナフトエ酸塩は、メトホルミン遊離塩基と1-ナフタレン酢酸の特徴回折ピークとが異なり、調製されたメトホルミンと2-ナフトエ酸塩は新規の固体形態であることが示唆された。
【0032】
調製されたメトホルミンと2-ナフトエ酸塩をエタノールに十分に溶解して飽和溶液を得、濾過し、室温で48時間静置し、溶液から結晶体を析出した。得られた結晶体はメトホルミンと2-ナフトエ酸塩の単結晶であり、単結晶構造図及び単結晶構造パラメータは、それぞれ図7及び表1に示すとおりである。
【0033】
メトホルミンと2-ナフトエ酸塩の実測(XRDスペクトル)と単結晶模擬XRDスペクトルとの対比図は図8に示すとおりであり、図8から分かるように、得られた化合物は確実に新規の塩形を形成した。
【0034】
図9から分かるように、メトホルミンと2-ナフトエ酸塩は顕著な減量ステップがないため、水又は溶媒が含まない無水和物であることが示唆された。図10から分かるように、メトホルミンと2-ナフトエ酸塩の溶融点は199.8℃であった。
【0035】
実施例3:メトホルミンと1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩の調製
メトホルミン遊離塩基0.0430gと0.0627gのメトホルミンと1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸を採取し、1~2滴の無水エタノールを滴下して均一に混合した後、100mLボールミル粉砕タンクに入れ、直径が22mmである二酸化ジルコニウムボールミル球を2個加え、密封蓋で封止した後、ボールミル粉砕機に組込み、機器のパラメータを回転速度35s-1に設定し、5分間運行し、154μmステンレス鋼メッシュ通過し、生成物メトホルミン塩の粉末を得た。
【0036】
メトホルミンと1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、メトホルミン遊離塩基から調製された粉末に対して、それぞれ粉末X線回折分析を行い、分析結果は図11に示すとおりである。図11から分かるように、メトホルミンと1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩は、メトホルミン遊離塩基と1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸の特徴回折ピークとが異なり、調製されたメトホルミンと1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩は新規の固体形態であることが示唆された。
【0037】
調製されたメトホルミンと1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩をエタノールに十分に溶解して飽和溶液を得、濾過し、室温で48時間静置し、溶液から結晶体を析出した。得られた結晶体はメトホルミンと1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩の単結晶であり、単結晶構造図及び単結晶構造パラメータは、それぞれ図12及び表1に示すとおりである。
【0038】
メトホルミンと1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩の実測(XRDスペクトル)と単結晶模擬XRDスペクトルは図13に示すとおりであり、図13から分かるように、得られた化合物は確実に新規の塩形を形成した。
【0039】
図14から分かるように、メトホルミンと1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩は分解の前に顕著な減量ステップが存在し、138℃程度で、4.47%の減量ステップが存在し、試料が一分子の結晶水(理論算出値が5.37%であった)を失ったと推定され、水和物であることが示唆された。図15から分かるように、メトホルミンと1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩の溶融点は177.8℃であった。
【0040】
実施例4:メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form1の調製
メトホルミン遊離塩基0.0430gと0.0627gの2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸(モル比1:1)を採取し、1~2滴の無水エタノールを滴下して均一に混合した後、100mLボールミル粉砕タンクに入れ、直径が22mmである二酸化ジルコニウムボールミル球を2個加え、密封蓋で封止した後、ボールミル粉砕機に組込み、機器のパラメータを回転速度35s-1に設定し、5分間運行し、154μmステンレス鋼メッシュ通過し、生成物メトホルミン塩の粉末を得た。
【0041】
メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form1、2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸、メトホルミン遊離塩基から調製された粉末に対して、それぞれ粉末X線回折分析を行い、分析結果は図16に示すとおりである。図16から分かるように、メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form1は、メトホルミン遊離塩基と2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸の特徴回折ピークとが異なり、調製されたメトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form1は新規の固体形態であることが示唆された。
【0042】
調製されたメトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩をエタノールに十分に溶解して飽和溶液を得、バイアルに濾過し、石油エステル含有の広口瓶に入れ、密封し、室温で48時間静置し、溶液から結晶体を析出した。得られた結晶体はメトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form1の単結晶であり、単結晶構造図及び単結晶構造パラメータは、それぞれ図17及び表1に示すとおりである。
【0043】
メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form1の実測(XRDスペクトル)と単結晶模擬XRDスペクトルは図18に示すとおりであり、図18から分かるように、得られた化合物は確実に新規の塩形を形成した。
【0044】
図19から分かるように、メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form1は顕著な減量ステップがないため、水又は溶媒が含まない無水和物であることが示唆された。図20から分かるように、メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form1の溶融点は131.2℃であった。
【0045】
実施例5:メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form2の調製
メトホルミン遊離塩基0.0430gと0.1254gの2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸(モル比1:2)を採取し、1~2滴の無水エタノールを滴下して均一に混合した後、100mLボールミル粉砕タンクに入れ、直径が22mmである二酸化ジルコニウムボールミル球を2個加え、密封蓋で封止した後、ボールミル粉砕機に組込み、機器のパラメータを回転速度35s-1に設定し、5分間運行し、154μmステンレス鋼メッシュ通過し、生成物メトホルミン塩の粉末を得た。
【0046】
メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form2、2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸、メトホルミン遊離塩基から調製された粉末に対して、それぞれ粉末X線回折分析を行い、分析結果は図21に示すとおりである。図21から分かるように、メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form2は、メトホルミン遊離塩基と2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸の特徴回折ピークとが異なり、調製されたメトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form2は新規の固体形態であることが示唆された。
【0047】
調製されたメトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form2を水とアセトニトリルに十分に溶解して飽和溶液を得、バイアルに濾過し、孔刺し密栓し、室温で48時間静置し、溶液から結晶体を析出した。得られた結晶体はメトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form2の単結晶であり、単結晶構造図及び単結晶構造パラメータは、それぞれ図22及び表1に示すとおりである。
【0048】
メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form2の実測(XRDスペクトル)と単結晶模擬XRDスペクトルは図23に示すとおりであり、図23から分かるように、得られた化合物は確実に新規の塩形を形成した。
【0049】
図24から分かるように、メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form2は顕著な減量ステップがないため、水又は溶媒が含まない無水和物であることが示唆された。図25から分かるように、メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form2の溶融点は152.7℃であった。
【0050】
実施例6:メトホルミン塩と2,3-ジヒドロキシナフタレンの調製
メトホルミン遊離塩基0.0430gと0.0534gの2,3-ジヒドロキシナフタレン(モル比1:1)を採取し、1~2滴の無水エタノールを滴下して均一に混合した後、100mLボールミル粉砕タンクに入れ、直径が22mmである二酸化ジルコニウムボールミル球を2個加え、密封蓋で封止した後、ボールミル粉砕機に組込み、機器のパラメータを回転速度35s-1に設定し、5分間運行し、154μmステンレス鋼メッシュ通過し、生成物メトホルミン塩の粉末を得た。
【0051】
メトホルミンと2,3-ジヒドロキシナフタレン塩、2,3-ジヒドロキシナフタレン、メトホルミン遊離塩基から調製された粉末に対して、それぞれ粉末X線回折分析を行い、分析結果は図26に示すとおりである。図26から分かるように、調製された固体メトホルミンと2,3-ジヒドロキシナフタレン塩は、メトホルミン遊離塩基と2,3-ジヒドロキシナフタレンの特徴回折ピークとが異なり、調製された固体メトホルミンと2,3-ジヒドロキシナフタレン塩は新規の固体形態であることが示唆された。
【0052】
実施例7:メトホルミンと1,5-ジヒドロキシナフタレン塩の調製
メトホルミン遊離塩基0.0430gと0.0534gの1,5-ジヒドロキシナフタレン(モル比1:1)を採取し、1~2滴の無水エタノールを滴下して均一に混合した後、100mLボールミル粉砕タンクに入れ、直径が22mmである二酸化ジルコニウムボールミル球を2個加え、密封蓋で封止した後、ボールミル粉砕機に組込み、機器のパラメータを回転速度35s-1に設定し、5分間運行し、154μmステンレス鋼メッシュ通過し、生成物メトホルミン塩の粉末を得た。
【0053】
メトホルミンと1,5-ジヒドロキシナフタレン塩、1,5-ジヒドロキシナフタレン、メトホルミン遊離塩基から調製された粉末に対して、それぞれ粉末X線回折分析を行い、分析結果は図27に示すとおりである。図27から分かるように、調製された固体メトホルミンと1,5-ジヒドロキシナフタレン塩は、メトホルミン遊離塩基と1,5-ジヒドロキシナフタレンの特徴回折ピークとが異なり、調製された固体メトホルミンと1,5-ジヒドロキシナフタレン塩は新規の固体形態であることが示唆された。
【0054】
実施例8:メトホルミンと3,7-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩の調製
メトホルミン遊離塩基0.0430gと0.0681gの3,7-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸(モル比1:1)を採取し、1~2滴の無水エタノールを滴下して均一に混合した後、100mLボールミル粉砕タンクに入れ、直径が22mmである二酸化ジルコニウムボールミル球を2個加え、密封蓋で封止した後、ボールミル粉砕機に組込み、機器のパラメータを回転速度35s-1に設定し、5分間運行し、154μmステンレス鋼メッシュ通過し、生成物メトホルミン塩の粉末を得た。
【0055】
メトホルミンと3,7-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、3,7-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸、メトホルミン遊離塩基から調製された粉末に対して、それぞれ粉末X線回折分析を行い、分析結果は図28に示すとおりである。図28から分かるように、調製された固体メトホルミンと3,7-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩は、メトホルミン遊離塩基と3,7-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸の特徴回折ピークとが異なり、調製された固体メトホルミンと3,7-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩は新規の固体形態であることが示唆された。
【0056】
実施例9:メトホルミンと2-ナフタレン酢酸塩の調製
メトホルミン遊離塩基0.0430gと0.0621gの2-ナフタレン酢酸(モル比1:1)を採取し、1~2滴の無水エタノールを滴下して均一に混合した後、100mLボールミル粉砕タンクに入れ、直径が22mmである二酸化ジルコニウムボールミル球を2個加え、密封蓋で封止した後、ボールミル粉砕機に組込み、機器のパラメータを回転速度35s-1に設定し、5分間運行し、154μmステンレス鋼メッシュ通過し、生成物メトホルミン塩の粉末を得た。
【0057】
メトホルミンと2-ナフタレン酢酸塩、2-ナフタレン酢酸、メトホルミン遊離塩基から調製された粉末に対して、それぞれ粉末X線回折分析を行い、分析結果は図29に示すとおりである。図29から分かるように、調製された固体メトホルミンと2-ナフタレン酢酸塩は、メトホルミン遊離塩基と2-ナフタレン酢酸の特徴回折ピークとが異なり、調製された固体メトホルミンと2-ナフタレン酢酸塩は新規の塩形であることが示唆された。
【0058】
図30から分かるように、メトホルミンと2-ナフタレン酢酸塩は顕著な減量ステップがないため、水又は溶媒が含まない無水和物であることが示唆された。図31から分かるように、メトホルミンと2-ナフタレン酢酸塩の溶融点は152.7℃であった。
【0059】
比較例1:
メトホルミン遊離塩基0.0430gと0.0607gの無水クエン酸(モル比1:1)を採取し、1~2滴の無水エタノールを滴下して均一に混合した後、100mLボールミル粉砕タンクに入れ、直径が22mmである二酸化ジルコニウムボールミル球を2個加え、密封蓋で封止した後、ボールミル粉砕機に組込み、機器のパラメータを回転速度35s-1に設定し、5分間運行し、154μmステンレス鋼メッシュ通過し、生成物メトホルミン塩の粉末を得た。
【0060】
得られた生成物、無水クエン酸、メトホルミン遊離塩基から調製された固体に対して、粉末X線回折分析を行い、分析結果は図32に示すとおりである。図32から分かるように、比較例1で得られた生成物の特性ピークは、いずれも原料メトホルミン又はクエン酸において認められ、新たな特性ピークが認められなかったため、新たな塩は形成されなかった。
【0061】
比較例2:
メトホルミン遊離塩基0.0430gと0.0494gのトランスケイヒ酸(モル比1:1)を採取し、1~2滴の無水エタノールを滴下して均一に混合した後、100mLボールミル粉砕タンクに入れ、直径が22mmである二酸化ジルコニウムボールミル球を2個加え、密封蓋で封止した後、ボールミル粉砕機に組込み、機器のパラメータを回転速度35s-1に設定し、5分間運行し、154μmステンレス鋼メッシュ通過し、生成物メトホルミン塩の粉末を得た。
【0062】
得られた生成物、トランスケイヒ酸、メトホルミン遊離塩基から調製された固体に対して、粉末X線回折分析を行い、分析結果は図33に示すとおりである。図33から分かるように、比較例2で得られた生成物の特性ピークは、いずれも原料メトホルミン又はトランスケイヒ酸において認められ、新たな特性ピークが認められなかったため、新たな塩は形成されなかった。
【0063】
比較例3:
コハク酸、DL-リンゴ酸、酒石酸、アスコルビル酸、L-アルギニン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、3-ヒドロキシ安息香酸、パラオキシ安息香酸、没食子酸、5-ヒドロキシイソフタル酸、1,4-ナフタル酸、L-フェニルアラニンアミノ酸、L-テアニン、フェルラ酸、3-ヒドロキシ、2,6-ナフタレンジカルボン酸をそれぞれ比較例1における無水クエン酸に置換し、メトホルミンと酸とのモル比を1:1とし、1~2滴の無水エタノールを滴下して均一に混合した後、100mLボールミル粉砕タンクに入れ、直径が22mmである二酸化ジルコニウムボールミル球を2個加え、密封蓋で封止した後、ボールミル粉砕機に組込み、機器のパラメータを回転速度35s-1に設定し、5分間運行し、154μmステンレス鋼メッシュ通過し、得られた粉末のXRD線回折図は、いずれも新たな特性ピークが認められなかったため、新たな塩は形成されなかった。
【0064】
比較例1~3から分かるように、すべての酸が本発明の調製方法によって対応なメトホルミン塩が得られるわけではない。
【0065】
実施例におけるメトホルミン塩の溶出性測定は、主に以下の操作に従って行う。
【0066】
1、溶媒:超純水、0.1mol/l塩酸水溶液
【0067】
2、打錠と溶出:まず、適量(3~50mg)の試料を打錠機に加え、5barの圧力下で、30秒放置して錠剤にプレスさせ、次に、ビーカにそれぞれ溶媒1000mLを加え、50rpmの回転数下で溶出試験を行い、2.5、5、15、30、45、60分間に1mL溶媒をそれぞれ吸引し、高速液体クロマトグラフィー法を用いてそのうちのメトホルミン塩の含有量を測定した。
【0068】
3、試験機器:超純水器(米国Milli-pore社Mill-Q超純水調製システムを用いて調製された超純水)、超高速液体クロマトグラフィー-飛行時間質量分析計(Agilent 1290-6545型)
【0069】
4、薬品と試薬:メトホルミン対照品(メトホルミン遊離塩基)、メトホルミンと1-ナフタレン酢酸塩、メトホルミンと2-ナフトエ酸塩、メトホルミンと1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form1、メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form2、メトホルミン塩と2,3-ジヒドロキシナフタレン、メトホルミンと1,5-ジヒドロキシナフタレン塩、メトホルミンと3,7-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、メトホルミンと2-ナフタレン酢酸塩。
【0070】
5、クロマトグラフィー質量分析条件
カラム:オクタデシル結合シリカカラムC18カラム、移動相:0.1%ギ酸水溶液:アセトニトリル=80:20、流動速度:1.0ml/min、カラム温度30℃、試料注入量:5μl/min。
【0071】
エレクトロスプレーイオン源(ESI)、プラスイオン走査、多重反応モニタリング方式(MRM)を用いて、定量分析を行った。乾燥ガスと霧化ガスは、いずれも窒素ガスであり、乾燥ガス温度:300℃、乾燥ガス流量:20L/min、シースガス流量:10L/min、キャピラリー電圧:4 500v、ノズル電圧:2 000v、スキャンタイム:0.2s、メトホルミン親イオン質量電荷比(m/z):130、子イオン(m/z):71.2、60.3、88.2、46.3、定量イオン(m/z):60.3、衝突エネルギーは9であり、存在量は58482であった。
【0072】
6、メトホルミン対照品の検量線の構築
(1)メトホルミン対照品10mgを100mlメスフラスコに精密に秤量し、超純水で溶解して目盛りまで希釈し、振り混ぜて、ストック溶液として4℃の冷蔵庫で保存した。
【0073】
適量のストック溶液を精密に秤量し、超純水で50.0、25.0、10.0、5.0、2.5、0.5μg・ml-1シリーズ濃度の溶液に希釈し、濾過し、5μl試料注入、クロマトグラフ-質量分析計で測定を行った。メトホルミンクロマトグラフィーピーク面積(A)を濃度(C)に対して線形回帰を行い、溶媒が超純水である場合の回帰方程式:A1=166000c+377250、r=0.9977を得、溶媒が0.1mol/l塩酸溶液である場合の回帰方程式:A2=80931c+75030、r=0.9978を得、結果から分かるように、図34、36に示すように、メトホルミンの濃度が0.5~50.0μg・ml-1の範囲内で良好な線性関係を示した。
【0074】
表2にメトホルミン対照品のクロマトグラフィーデータを示す。
【表2】
【0075】
超純水及び0.1mol/lの塩酸溶液でのメトホルミン塩の溶解データ試験:
【0076】
(1)超純水でのメトホルミン塩の溶解データ試験:メトホルミン塩にセルロース(質量比1:5)を加えて打錠し、製剤形態の形成を容易にし、回転数50r/minとし、回転数を調製して安定させた。試料を定温済み(37.0℃)の溶出媒体が超純水である1000mlビーカーに入れ、直ちに機器を起動させ、それぞれ2.5、5、15、30、45、60分間のタイミングで1ml(同時に同一温度媒体1mlを補充する)を定点サンプリングし、直ちにマイクロ孔濾過膜を用いて濾過し、直接に試料5μlを注入して測定し、検量線を代入し、薬物濃度を計算し、図35に示すような溶出度曲線を作成した。
【0077】
表3にメトホルミン塩の水での溶出データを示す。
【表3-1】
【表3-2】
【0078】
(2)0.1mol/lの塩酸溶液でのメトホルミン塩の溶解データ試験:試料にセルロース(質量比1:5)を加えて打錠し、製剤形態の形成を容易にし、回転数50r/minとし、回転数を調製して安定させた。試料を定温済み(37.0℃)の溶出媒体が0.1mol/lの塩酸溶液である1000mlビーカーに入れ、直ちに機器を起動させ、それぞれ2.5、5、15、30、45、60分間のタイミングで1ml(同時に同一温度媒体1mlを補充する)を定点サンプリングし、直ちにマイクロ孔濾過膜で濾過し、直接に試料5μlを注入して測定し、検量線を代入し、薬物濃度を計算し、図37に示すような溶出度曲線を作成した。
【0079】
表4にメトホルミン塩の0.1mol/lの塩酸溶液での溶出データを示す。
【表4-1】
【表4-2】
【0080】
メトホルミン塩の吸湿性測定
【0081】
主な操作は、以下のとおりである。
供試品(メトホルミンと1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form1、メトホルミンと2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩form2、メトホルミンと1-ナフタレン酢酸塩、メトホルミンと2-ナフタレン酢酸塩、メトホルミンと2-ナフトエ酸塩、メトホルミンと1,5-ジヒドロキシナフタレン)を恒湿密閉乾燥容器に開口放置し、25℃下で、二つの密閉乾燥容器の底部に、それぞれ塩化ナトリウムの飽和溶液(相対湿度75%)、硝酸カリウム飽和溶液(相対湿度93%)を放置し、供試品を上層に放置し、10日間放置し、5日目と10日目のタイミングでサンプリングし、安定性重点考察項目の要求に従って測定を行い、同時に試験前後の供試品の重量を正確に秤量し、供試品の吸湿潮解性能を考察した。試験結果から分かるように、供試品の吸湿重量増加は5%未満であり、メトホルミンに比べて、吸湿性が顕著に低下した。試験データは、表5に示すとおりである。
【0082】
【表5】
【0083】
以上説明したように本発明は、9種類のメトホルミンの新規塩を得、本明細書で記載された方法を用いて大量に調製することができる。従来のメトホルミンに比べて、これらの新規の塩は吸湿性が弱く、水中への溶解性が良く、メトホルミンの固有溶解速度を遅らせることができ、より安定し、保管しやすく、調製方法が簡単で、環境に優しく、このようなメトホルミン塩のメトホルミン薬物への応用の将来性が期待される。
【0084】
上記実施例は、本発明の好適な実施形態であるが、本発明の実施形態は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内及び原理下で行われる他の任意の変形、修飾、置換、組み合わせ、簡略化は、いずれも等価の置換方式であり、いずれも本出願の保護範囲内に含まれる。
【要約】      (修正有)
【課題】従来のメトホルミン塩基に比べて、吸湿性が弱く、水中への溶解性が良く、メトホルミンの固有溶解速度を遅らせることができ、より安定し、保管しやすく、メトホルミン塩基のバイオアベイラビリティーの改善が期待される、メトホルミンの新規塩、およびその調製方法を提供する。
【解決手段】メトホルミン塩の調製方法は、メトホルミンの原料薬と医薬品添加物酸を秤取し、均一に混合した後、ボールミル粉砕し、154μmステンレス鋼メッシュ通過し、メトホルミン塩を得る工程を含む。前記医薬品添加物酸は、1-ナフタレン酢酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸、2-ナフトエ酸、1,5-ジヒドロキシナフタレン、3,7-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,3-ジヒドロキシナフタレンのうちの一つである。
【選択図】図38
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図26
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図28
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