(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】医療無菌包装ユニット
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20220114BHJP
B65D 71/02 20060101ALI20220114BHJP
B65D 81/26 20060101ALI20220114BHJP
B65D 75/36 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
A61M1/16
B65D71/02
B65D81/26 S
B65D75/36
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017015047
(22)【出願日】2017-01-31
【審査請求日】2019-12-06
(31)【優先権主張番号】10 2016 102 089.3
(32)【優先日】2016-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515143739
【氏名又は名称】ビー.ブラウン アビタム アーゲー
【氏名又は名称原語表記】B. BRAUN AVITUM AG
【住所又は居所原語表記】Schwarzenberger Weg 73-79, 34212 Melsungen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン デューリンク
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ヴァイガー
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-528785(JP,A)
【文献】特開2003-128151(JP,A)
【文献】米国特許第3463378(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0284411(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
B65D 71/02
B65D 81/26
B65D 75/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無菌包装医療品(特に、フィルタモジュール)を伴う医療無菌包装ユニット(1)であって、
無菌包装され且つ密封される前記医療品を内部に有する一次包装(4)と、
入れ子になし得る複数のトレイ(2)から構成されるトレイ(2)群であって、それぞれのトレイ(2)は、前記一次包装(4)内に包装される医療品群のそれぞれのための複数の挿入部(6)から構成される挿入部(6)群を備えた基部(5)を有し、
側壁群(7、8、9、10)が前記基部(5)の周りに配置され、ここで、前記複数のトレイ(2)が互いに積み重ねられている場合、上部トレイ(2)の側壁群(7、8、9、10)は、下部トレイ(2)の側壁群(7、8、9、10)で支持されており、そのように積み重ねられたトレイ(2)群は箱状であるトレイ(2)群と、
内部に含まれる前記一次包装医療品群を有する前記トレイ(2)群を包み込む少なくとも1つのスリーブ(3)とを備え
、
前記入れ子になし得る複数のトレイ(2)が、トレイとして、および外箱としての両方の機能を兼ね備えていることを特徴とする医療無菌包装ユニット(1)。
【請求項2】
前記一次包装(4)は、前記一次包装(4)内の酸素分子と結合する、少なくとも1つのゲッタを備える請求項1記載の医療無菌包装ユニット(1)。
【請求項3】
前記一次包装(4)は、その下側部分として医療品のための
前記挿入部
(6)を形成するプラスチック成型部と、前記挿入部
(6)を閉鎖する上側部分とを備えるブリスター包装であり、且つ、前記上側部分が前記下側部分上に、密閉されるべく固定される請求項1又は2に記載の医療無菌包装ユニット(1)。
【請求項4】
前記スリーブ(3)は、紙、包装紙、ボール紙、ホイル、プラスチックホイル又は織物材料からなる請求項1から3のいずれかに記載の医療無菌包装ユニット(1)。
【請求項5】
前記スリーブ(3)は、弾性を有し、弾性変形を用いて、医療品群が内部に一次包装された状態にある少なくとも1つの前記トレイ(2)のサイズ変化に追従可能である請求項1から4のいずれかに記載の医療無菌包装ユニット(1)。
【請求項6】
前記基部(5)内に、又は、前記基部(5)上に、或いは、前記基部(5)のそばに、前記挿入部(6)群が形成される請求項1から5のいずれかに記載の医療無菌包装ユニット(1)。
【請求項7】
前記基部(5)は、凸部群が前記基部(5)の上側及び前記基部(5)の下側の両方に形成されるように、凹部群(6)と前記凸部群とを備える波状に構成される請求項6記載の医療無菌包装ユニット(1)。
【請求項8】
前記トレイ(2)の前記側壁群(7、8、9、10)が、円錐状に、配置されるか、又は構成され、それにより、前記トレイ(2)
の上側の前記側壁群(7、8、9、10)が、前記トレイ(2)
の下側、及び/又は、前記基部(5
)から、
互いに間隔をおい
て離れている請求項6又は7に記載の医療無菌包装ユニット(1)。
【請求項9】
前記側壁群(7、8、9、10)が、前記トレイ(2)の前記挿入部群内に配置された、一次包装医療品群の上に伸びる請求項5から8のいずれかに記載の医療無菌包装ユニット(1)。
【請求項10】
前記トレイ(2)が、角部群(11、12、13、14)(特に、安定化角部群(11、12、13、14))を備え、該角部群は、前記側壁群(7、8、9、10)を超えて突出する請求項5から9のいずれかに記載の医療無菌包装ユニット(1)。
【請求項11】
複数のトレイ(2)が上下に積み重ねられ、前記一次包装医療品群がそれらの内部に挿入された状態にあり、トレイの前記基部(5)がその下の前記トレイ(2)内の一次包装医療品群に載り、及び/又は、円錐状に配置される前記トレイ(2)の前記側壁群(7、8、9、10)が、その下の前記トレイ(2)の側壁群(7、8、9、10)に円錐状に配置される、請求項5から10のいずれかに記載の医療無菌包装ユニット(1)。
【請求項12】
前記医療品は、フィルタモジュールであり、該フィルタモジュールは、実質的な円筒中央部と、該円筒中央部の端部に形成されるフィルタモジュール接続部とを備える請求項1から11のいずれかに記載の医療無菌包装ユニット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無菌包装製品、特にフィルタモジュール/透析機(血液治療装置等のフィルタカートリッジ、浄化フィルタ等)のための医療無菌包装ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
無菌医療品(特に、フィルタモジュール/透析機)を製造するには、患者に用いられるか又は治療の一部として適用されるまでの間、医療品群が無菌のままとなるよう、注意を払わねばならない。
該目的のため、無菌バリヤが製品自体に適用されるか、又は、現実的な保管条件を想定し、周囲に対し、製品に表示される保存期間において完全性を保つ無菌バリヤを、包装により形成することが、保証されねばならない。
【0003】
フィルタモジュール群/透析機の外形の点については、もっぱら生産要求及び適用技術の点に基づいて設計される。
明らかに、この外形からは、フィルタモジュール/透析機の包装に関して、特別の要求が生じる。
【0004】
特に問題となる包装の特徴は、標準化されておりフィルタモジュール/透析機から突出した鋭いエッジのあるコネクタ群、フィルタモジュール/透析機上のエッジ群、及び、フィルタモジュール/透析機上の保護キャップ群である。
医療品(特に、フィルタモジュール/透析機)用の公知の包装は、第一には、(一次包装としての)プラスチック製バッグ、アルミニウムのチューブ、又は、シールエッジバッグからなり、更には、(二次包装としての)プラスチック製のトレイ、厚紙、成型パルプ、及び、必要とあれば、外箱からなる。
【0005】
特に、トレイは、一次包装内に包装される製品の形状に概ね対応するものであって、位置的に安定した包装を達成するための、一種の嵌め合いとなる。
ある種の医療品群(特にフィルタモジュール/透析機)は、該当する場合、無酸素の状態において滅菌されねばならない。
【0006】
この点は、滅菌時に、一次包装の内部が(絶対的に)無酸素でなければならぬことを意味する。
これは通常、適切な媒体(いわゆる「ゲッタ(getter)」)を用いて、酸素を吸収することにより、実現される。
該媒体の材料は、例えば、鉄粉又はポリマーであっても良い。
【0007】
この吸収器は、いわゆる「サシェ(sachet)」として一次包装に付加されるか、あるいは、包装材料の構造(ホイル)内に一体化され得る。
一次包装の閉鎖システム中において、酸素分子を結合することにより、(形状が変わらない環境下において)容積が減少すること或いは負圧となることは、極めて不利である。
【0008】
公知の包装システム群は寸法において不安定であるため、包装閉鎖後、それらの容積は、酸素結合に該当する程度まで制御不能に減少する。
このように一次包装の容積が減少すると、次のような相対的な動きが生じうる。即ち、二次包装の内部において、包装されたフィルタモジュール/透析機群の間における相対的な動き、それのみならず、包装されたフィルタモジュール/透析機と二次包装との間における相対的な動きが生じ、しかして、該相対的な動きによって、次々に無菌バリヤを損傷するに至り得る。
【0009】
従来のトレイ群及び外箱群は、かかる容積の変化又は減少に応答できない。
これは、それらが剛体であるためである。
公知包装システムの他の不利益は、それらが包含する製品の個数が固定されているということである。
【0010】
この点は、個々の患者の異なった血液量への需要を満たすため、フィルタモジュール群/透析機が様々なサイズにより市場に出されることから、なおさら重要となる。
概して言えば、変わりうるのは、構成要素の長さというよりは、むしろその直径という傾向がある(生産と物流に関する理由による)。
【0011】
膜表面が拡大するにつれ、構成要素の直径は増加することになる。
かくして、一般的には、特定の直径群を備えるトレイ群及び外箱群が必要となる。
【0012】
最後に、フィルタモジュール群/透析機群のような医療品は、日々の病院ルーチンにおける治療室から離れた場所に保管されることになる。
このため、病院スタッフは、保管所から治療室へ規則的に医療品を搬送しなければならない。
【0013】
現在に至るも、この目的のための手当は何ら存在していない。
スタッフは、自身の解決法により、この搬送を実行しなければならない。
時折、こうすると、包装内の無菌バリヤをしばしば損なう、非効率的な搬送方法を使用する結果となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来技術の上記既述に基づき、本発明の目的は、上述の不利益群を取り除くことを目的とし、特に、無菌フィルタモジュール/透析機包装ユニットであって、それを用いることで、制御できない容積減少により起こり得る包装群間の相対的な動きに起因する無菌バリヤへの損傷を最小限にするか、或いは好ましくは防ぐことが可能なものを提供する。
【0015】
好ましくは、包装自体が容積減少に耐え、それと同時に、低コストであり寸法的に安定しているべきである。
さらに好ましくは、該無菌包装ユニットは、内部に包装される医療品群のサイズに適応可能でなければならず、包装される医療品群の個数に関しても、大いに可変であらねばならない。
【0016】
更には、好ましくは、製造費及び包装の労力は最小限にされ、さらに、製品が外包装の外にある場合も含めて、製品の保護が保証されることになる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、本目的は、無菌包装医療品(好ましくは、フィルタモジュール、特に透析機)のための(医療)無菌包装ユニットを用いることにより達成される。
このものは、無菌包装され且つ密封される態様で医療品を内部に有する一次包装と、入れ子になし得る少なくとも1つの(例えば、木箱状をなす)トレイであって該一次包装内に包装される医療品群のそれぞれのための複数の(好ましくは数個の)挿入部群を有するものと、一次包装医療品群を収容する少なくとも1つのトレイを包み込むスリーブ又はストラップ要素とを備える。
【0018】
特に、該医療品は透析機又はフィルタモジュールであり得る。
特に、このものは、実質的な円筒中央部と、該円筒中央部の端部に形成されるフィルタモジュール/透析機接続部を備え得る。
【0019】
本発明の背景は、任意の要領で無菌包装(一次包装)される医療製品群(特にフィルタモジュール群又は透析機群)のための入れ子になし得る二次包装であって、トレイ及び外箱の両方として役立ち得るデザインのものを提供することにある。
【0020】
包装の労力及びコストを軽減することに加え、ユーザにとって構成要素群の取り扱いが便利になる。即ち、トレイ群は、例えば、ひもがけすることなく棚置きすることが可能であり、製品群を、棚上においても搬送中においても総合的に保護するものである。
その結果、保管による損傷は、大いに回避されることになる。
【0021】
加えて、該トレイ群は、例えば、保管場所から治療場所へ製品を運ぶ際において、ユーザにより搬送手段として使用され得る。
追加的な利点は次の通りである。即ち、単一要素としてのトレイが、従来技術では複数の要素群又はユニット群が必要となる、複数の機能群を果たすということである。
【0022】
これは、このものが、トレイと二次包装との両方の機能を果たすからである。
少数又は多数のトレイ群を積み重ねることにより、単一の包装ユニット(以前では、固定された個数の包装ユニット群を伴う箱)内に、該少数又は多数のフィルタモジュール群/透析機群を組み合わせ、それらを単一の包装ユニットとして配送することが可能となる。
【0023】
該トレイは、管理可能な個数のフィルタモジュール群/透析機群のための、安全な搬送の援助手段としての役割を果たす。
本発明により、包装廃棄物も減少することができる。
【0024】
一般に、従来の包装システムは、中間層群又は中間トレイ群を用いて箱内にしっかりと取り付けられた医療品群を含む。
一旦空になると、すべての箱群、中間層群及びトレイ群を処分することが必要になる。
【0025】
この点が不要であるため、本発明に係る包装システムは、箱容積の無駄を除去することになる。
ついには、特に一旦フィルタモジュール群/透析機群の包装を解かれたなら、トレイは、その上に格納されるフィルタモジュール群/透析機群の取り扱いをより簡単にする。
【0026】
トレイは、包装を解かれたフィルタモジュール群/透析機群のための一種の支持基部として役立つとともに、該フィルタモジュール群/透析機群が支持基部から取り出し自在に保管され得るように、(特に、その捩り剛性に関して)デザインされる。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態群は、従属項群で記述されており、且つ、以下説明される。
【0028】
特に、放射線(γ線)を用いた滅菌を続けて実行可能とすべく、一次包装は、一次包装内の酸素分子と結合するゲッタを呈し得る。
好ましくは、一次包装は、ブリスター包装、特に、硬硬ブリスター又は硬軟ブリスターである。
【0029】
一次包装は、下側部分として医療品のための挿入部を形成するプラスチック成型部と、上側部分として閉鎖のための挿入部とを呈し得るものであり、上側部分が下側部分上に、密閉(溶接、結合等)されるべく固定される。
好ましくは、スリーブは、紙、包装紙、ボール紙、ホイル、プラスチックホイル又は織物材料からなる。
【0030】
特に、スリーブは、弾性を持ち得る。
こうして、弾性変形により、スリーブは寸法の変化に追随可能となる。該寸法の変化とは、単数のトレイ又はトレイ群の寸法変化であって、その内部に挿入された一次包装医療品群と共に包み込まれるものの(長くなったり/短くなったりする)変化である。
【0031】
好ましくは、トレイは、基部と、この基部に近接配置される側壁群とを有する。
複数の挿入部群が、例えば、基部内、基部上、又は基部のそばに構成される、凹部群、波形群等の形態を取る。
【0032】
特に、基部は、凸部群が基部の上側及び基部の下側の両方に形成されるように、凹部群と凸部群とを備える波状に構成され得る。
好ましい実施の形態では、トレイの側壁群は、円錐状に配置されるか又は構成される。
【0033】
こうして、トレイの上側上の側壁群は、トレイの下側上、及び/又は、基部から、間隔をおいて互いに大きく離れている。
従来の外箱群付きのトレイ群は、容積の減少に応答できない。
これは、それらが剛体であるためである。
【0034】
上述の実施の形態は、この不利益を克服可能である。これは、トレイ群が、それらの円錐状外形により互いに係合可能であり、且つ、その内部に挿入された一次包装群の容積減少(例えば一次包装内の酸素分子と結合することによる容積減少)に適合可能となるためである。
該トレイ群は、単一のユニバーサルなトレイのみを使用して異なる外径を有する異なる一次包装群を保持できるよう、互いに挿入し合うことが可能である。
【0035】
さらに、トレイ群をインターロック状に積み上げると、包装システムを製品サイズに適合させることができるとも言い得る。
言葉を換えると、積み上げられたトレイ群は、例えば一次包装群内における容積変化を許容できるよう、垂直方向において相互に配置できる。
【0036】
側壁群が、トレイの挿入部群内に配置された一次包装医療品群の上に伸びると、一次包装医療品群の特に良好な保護を達成可能となる。
これを達成する別の方法は、トレイが、角部群(特に、安定化角部群)を備え、該角部群は、側壁群を超えて突出するというものである。
【0037】
複数のトレイ群が上下に積み重ねられ、一次包装医療品群がそれらの内部に挿入された状態にあり、トレイの基部がその下のトレイ内の一次包装医療品群に載り、及び/又は、円錐状に配置される側壁群が、その下のトレイの側壁群に円錐状に配置される側壁群に載ると、無菌包装ユニットの特に良好な適合性を達成可能となる。
【0038】
特に、医療品は、フィルタモジュール/透析機であって、一次包装内に無菌包装されるものであり得て、このものは、実質的な円筒中央部と、該円筒中央部の端部に形成される(好ましくは、該円筒中央部の各端部に形成される)フィルタモジュール接続部とを備える。
【0039】
特に、一次包装は、下側部分として、フィルタモジュール/透析機のための挿入部を形成するプラスチック成型部と、下側部分と結合してフィルタモジュール/透析機のための挿入空間を形成する上側ホイルとを備えた、ブリスター包装であり得る。
【0040】
上側ホイルは、下側部分に密封されるべく固定され得るものであり、嵌め合いを用いてフィルタモジュール/透析機を、特に下側部分に対向し、又は、それ自身と下側部分の間において、少なくとも部分的に固定可能である。
特に、上側ホイルは、フィルタモジュール/透析機の少なくとも円筒中央部に密着可能である。
【0041】
下側部分と上側ホイルとの間には、空気、つまり酸素分子が少量のみ存在し、この点は、一次包装内に包装されるフィルタモジュール/透析機の滅菌に、有利となる。
放射線/γ線を用いた滅菌の場合、閉鎖され且つシールされた包装から酸素分子を除去する目的のためには、滅菌の結果としての容積減少が僅かであることは、有利となり得るであろう。
【0042】
好ましくは、一次包装は、医療品(特に、フィルタモジュール/透析機)がしっかりと保持され、その内部の適所に固定されるように、設計されている。
一実施の形態によれば、包装(特に、成型部)において容積減少の結果、該包装の全体的な安定性及び基本的な形状を損なうことなく変形し得る包装の内部領域は、定義可能である。
【0043】
この「該包装の基本的形状を損なうことなく」というのは、該包装の或る外部領域-例えば、それが他の一次包装群又は外部包装に載る領域-は、変形しないということを意味する。
同様に、該包装の内部群は、変形への抵抗性を有しており、透析機/フィルタモジュールが、-それを用いて又はその上に、保持され、位置決めされ、或いは支持されるところの-成型部においては、特にそうである。
【0044】
本発明の特徴は、下側部分がしっかりと医療品(特に、フィルタモジュール/透析機)を保持するように、設計されている点である。
好ましくは、該下側部分は、医療品のための凹部を有するトレイの態様で構成され、該凹部の高さは、しかしながら、その軸方向を横切る、医療品の寸法を著しく下回る。
【0045】
下側部分内に構成される挿入部の深さは、好ましくは、医療品の直径の半分未満であり、さらに好ましくは医療品の直径の三分の一未満であり、一層さらに好ましくは医療品の直径の四分の一未満である。
これは、該医療品が、上側ホイルにより、大部分において包囲され、適所に固定されることを保証するための、簡単な方法である。
【0046】
更には、該下側部分は、上側ホイルによる、フィルタモジュール/透析機の接続部群の閉鎖が、防止されるか又は不可能となるように、設計され得る。
放射線(γ線)滅菌の場合において、該接続部群は、該フィルタモジュール/透析機の繊維束からの酸素分子の動きを可能とするよう、必然的に妨害されない状態に維持されなければならない。
【0047】
特に、該上側ホイルは、フィルタモジュール/透析機の円筒中央部に(しっかりと)密着しつつ、フィルタモジュール/透析機の各端部に形成されるフィルタモジュール/透析機の接続部群とは接触してはならない。
該上側ホイルには、収縮ホイルが好適である。
【0048】
ブリスター結合の硬い該下側部分は、エッジの呈をなし得る。
好ましくは、該上側ホイルは、該下側部分の周縁上と連続的にシールされ得る。
【0049】
特に、該エッジはトレイとインターロックし得て、後者の側壁群と密着可能であり、しかして、一次包装とトレイとの間における相対的な動きを、制限するか、又は、防止するものである。
下側部分は、接続部挿入部を形成しており、該挿入部は、フィルタモジュール/透析機の外側輪郭(特に、フィルタモジュール/透析機の接続部群)に対向して、好ましくは、フィルタモジュール/透析機の円筒中央部の各端部において、広げられている。
【0050】
フィルタモジュール/透析機の接続部群は、この挿入部内に保持され得るものであり、それにより、該接続部群は、有利なことに、下側部分又は上側ホイルのいずれによっても閉鎖されることはなく、同時に、各接続部挿入部内においてオープンの状態に維持され、且つ、該挿入空間(特に、接続部挿入部の容積内)へ流動可能に接続されるものである。
【0051】
好ましくは、該トレイは、一次包装医療品との軸方向、及び/又は、接線方向における、嵌め合いが存在するように、構成される。
挿入部群は、凹部群の形態を基礎として、好ましくは部分的円筒状凹部群として、利用可能とされ得る。
【0052】
いずれにしても、一次包装は、凹部とインターロックするよう挿入可能であるか、又は挿入されるものである。
要するに、本発明は、無菌包装医療品(特に、異なる外部測定値群(直径群)を有するフィルタモジュール群/透析機群)を、ユニバーサルなトレイ内に包装する可能性を記述するものと言い得る。
【0053】
トレイ群は、サイズに応じて互いに挿入されるものであり、運送目的のためには、(例えば、紙製の)スリーブを用いて簡単にくくられる。
加えて、該トレイ群は、保管及び搬送の安定化の目的で、ユーザに役立つものである。
【発明の効果】
【0054】
本発明は、とりわけ次の利益群を達成するために使用され得る。
-特定サイズの、中間層群(トレイ群)及び外箱群の使用を節約し、それにより、製造費を削減すること。
-自動化(操作)を改善すること。特に、製造費を削減する結果となること。
-多数の医療品群を箱内に包装され得るようにし、それにより物流費を削減する結果となること。
-トレイ群間に、柔軟なプラグ接続を用いることにより、一次包装と外包装との間の種々の相対運動を制限すること。
-包装ユニット内における、フィルタモジュール群/透析機群の個数を、変更可能とすること。
-病院内において、フィルタモジュール群/透析機群を簡易且つ安全に、搬送及び保管できるようにすること。
-包装廃棄物を低減すること。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】無菌包装ユニットのトレイの概略斜視図である。
【
図2】
図1のトレイの軸方向を横切る断面図である。
【
図3】第1実施の形態における無菌包装ユニットの斜視図である。
【
図4】
図1及び
図2に示されるトレイ群を伴う、第2実施の形態における無菌包装ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明は、添付図群中に示される次の典型的で非制限的な実施の形態群に基づいて、詳細に記述される。
【0057】
以下、「透析機」という表現は、他のタイプのフィルタモジュールをも含むように理解されることとして使用される。
【0058】
図4は、4つのトレイ群2を伴う無菌包装ユニット1を示し、該トレイ群は、互いに垂直に積み重ねられ、共有されるスリーブ3により、包囲および保持される。
スリーブ3は、(実質的に)完全にトレイ群2を包囲し、それにより、いわゆる二次包装を形成する。
【0059】
該トレイ群2の1つが、
図1及び
図2に示されている。
好ましくは、該1つは、5つの透析機一次包装群4を含み、該群のそれぞれは、1つの医療品(不図示)であるところの、1つの無菌包装された透析機を含む一次包装をなす。
【0060】
各トレイ2は、基部5を備える。
好ましくは、基部は、波状に構成され、それにより、その上側が、一次包装された透析機群のための挿入部群6を形成する。
【0061】
基部5は、側壁群7、8、9、10により包囲され、該側壁群は、角部群11、12、13、14を用いて、互いに接続されるものであり、これにより、フレームが形成される。
【0062】
特に
図2は、角部群11、12、13、14が、トレイ2内に挿入される一次包装製品群4よりも、高いということを示している。
これにより、いわば「積み重ね可能な透析機の木箱」が作成される。
【0063】
図3に示される実施の形態では、トレイからなる棚の上側(最上部)のトレイ2は、その上に位置決めされる蓋15を有する。該蓋は、一次包装透析機群をカバーする共に、スリーブ3によって同様に追加的に包囲される。
図3及び
図4は、スリーブ3を用いて包装され、且つ運送準備済みの、無菌包装ユニット1を示す。
【0064】
図1及び
図2は、例えば、ユーザの敷地内における保管のため、及び、保管場所から適用地への搬送のため、スリーブ3が取り外された状態にある無菌包装ユニット1を示す。
【符号の説明】
【0065】
1 医療無菌包装ユニット
2 トレイ
3 スリーブ
4 一次包装
5 基部
6 挿入部
7 側壁
8 側壁
9 側壁
10 側壁
11 角部
12 角部
13 角部
14 角部
15 蓋