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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】スイッチギヤ
(51)【国際特許分類】
   H02B 11/127 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
H02B11/127 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017160536
(22)【出願日】2017-08-23
(65)【公開番号】P2019041462
(43)【公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神谷 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】神田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】池辺 高行
(72)【発明者】
【氏名】赤地 諭
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-189213(JP,U)
【文献】実開平06-048306(JP,U)
【文献】特開2011-147217(JP,A)
【文献】特開2011-061980(JP,A)
【文献】実開昭58-037711(JP,U)
【文献】実開昭59-161309(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/00 - 1/38
H02B 1/46 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内の収容位置から搬出する方向に移動可能に設けられると共に前記収容位置に向けて前記搬出する方向の反対方向に移動可能に設けられたベースと、前記ベースに設けられて、前記ベースから前記搬出する方向と交差した左右方向に付勢された状態で突出すると共に外力を受けて前記左右方向の反対方向に引き込み可能な複数の突起と、前記左右方向に移動可能である複数の取手と、前記複数の取手の間に位置するバネと、前記バネの両端にそれぞれ結合され前記複数の取手と結合する連結バーと、を有した遮断器ユニットと、
を備えたスイッチギヤであって、
前記筐体は、
前記搬出する方向に沿って延びると共に前記ベースが前記収容位置へ移動する際に前記左右方向の反対方向に引き込まれた前記突起の先端と摺動する摺動面と、
前記摺動面と前記搬出する方向の反対方向に隣接し、前記ベースが前記収容位置に位置された状態で前記左右方向に突出した前記突起の前記搬出する方向への移動を制限する位置決め部と、
前記摺動面と前記搬出する方向に隣接し、前記搬出する方向へ向かうにつれて前記左右方向に向かうように延び、前記ベースが前記収容位置へ移動する際に前記左右方向に突出した前記突起を前記左右方向の反対方向へ押圧して引き込ませる第一傾斜面と、
を有し
前記複数の突起は、
前記連結バーの先端に取り付けられ前記取手の移動と連動して動く
スイッチギヤ。
【請求項2】
前記突起は、
前記搬出する方向へ向かうにつれて前記左右方向に向かうように延びると共に前記遮断器ユニットが前記収容位置へ移動する際に前記筐体の第一傾斜面と当接可能な、第二傾斜面を有する、
請求項1に記載のスイッチギヤ。
【請求項3】
前記突起は、表面に潤滑部が設けられた、
請求項1または2に記載のスイッチギヤ。
【請求項4】
前記筐体の第一傾斜面は、メッキ鋼板で構成されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載のスイッチギヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、スイッチギヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体内にスライド式の遮断器ユニットを有したスイッチギヤが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-114981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のスイッチギヤでは、例えば、遮断器ユニットを筐体内へ搬入する搬入作業がスムーズに行われやすい構成のようなより不都合の少ない新規な構成が得られれば、好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のスイッチギヤは、例えば、筐体と、遮断器ユニットと、を備えている。遮断器ユニットは、ベースと、複数の突起と、複数の取手と、バネと、連結バーと、を有する。ベースは、筐体内の収容位置から搬出する方向に移動可能に設けられると共に収容位置に向けて搬出する方向の反対方向に移動可能に設けられる。複数の突起は、ベースに設けられて、ベースから搬出する方向と交差した左右方向に付勢された状態で突出すると共に外力を受けて左右方向の反対方向に引き込み可能に構成される。複数の取手は、左右方向に移動可能である。バネは、複数の取手の間に位置する。連結バーは、バネの両端にそれぞれ結合され複数の取手と結合する。筐体は、摺動面と、位置決め部と、第一傾斜面と、を有する。摺動面は、搬出する方向に沿って延びると共にベースが収容位置へ移動する際に左右方向の反対方向に引き込まれた突起の先端と摺動する。位置決め部は、摺動面と搬出する方向の反対方向に隣接し、ベースが収容位置に位置された状態で左右方向に突出した突起の搬出する方向への移動を制限する。第一傾斜面は、摺動面と搬出する方向に隣接し、搬出する方向へ向かうにつれて左右方向に向かうように延び、ベースが収容位置へ移動する際に左右方向に突出した突起を左右方向の反対方向へ押圧して引き込ませる。複数の突起は、連結バーの先端に取り付けられ取手の移動と連動して動く
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態のスイッチギヤの遮断器ユニットが筐体内に収納位置にある状態を上側から見た例示的かつ模式的な断面図である。
図2図2は、第1実施形態のスイッチギヤの遮断器ユニットが筐体内に収納位置にある状態を側方から見た例示的かつ模式的な断面図である。
図3図3は、第1実施形態のスイッチギヤの遮断器ユニットが筐体から搬出された位置にある状態を上側から見た例示的かつ模式的な断面図である。
図4図4は、第1実施形態のスイッチギヤの遮断器ユニットが筐体から搬出された位置から筐体内に収納される位置まで段階的に示す例示的かつ模式的な断面図である。
図5図5は、第2実施形態のスイッチギヤの遮断器ユニットが筐体から搬出された位置にある状態を上側から見た例示的かつ模式的な断面図である。
図6図6は、第2実施形態のスイッチギヤの遮断器ユニットが筐体から搬出された位置から筐体内に収納される位置まで段階的に示す例示的かつ模式的な断面図である。
図7図7は、第2実施形態のスイッチギヤの遮断器ユニットの突起を拡大した例示的かつ模式的な平面図である。
図8図8は、第2実施形態のスイッチギヤの遮断器ユニットの突起と筐体とを拡大した例示的かつ模式的な平面図である。
図9図9は、第3実施形態のスイッチギヤの遮断器ユニットが筐体から搬出された位置にある状態を上側から見た例示的かつ模式的な断面図である。
図10図10は、第3実施形態のスイッチギヤの遮断器ユニットが筐体から搬出された位置から筐体内に収納される位置まで段階的に示す例示的かつ模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。
【0008】
また、以下に開示される複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれる。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される。なお、以下の各図では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。X方向は、スイッチギヤ1の前後方向に沿い、Y方向は、スイッチギヤ1の幅方向に沿い、Z方向は、スイッチギヤ1の上下方向に沿う。
【0009】
<第1実施形態>
図1,2に示されるように、スイッチギヤ1は、例えば、筐体2と、遮断器ユニット3と、を備えている。換言すれば、スイッチギヤ1は、遮断器ユニット3等の複数の収容機器が金属製の筐体2内に収容された、所謂金属閉鎖形スイッチギヤである。なお、スイッチギヤ1は、この例には限定されない。筐体2は、盤や閉鎖箱等とも称されうる。
【0010】
図1,2に示されるように、筐体2は、例えば、直方体状の箱型に構成されている。筐体2は、例えば、複数の壁部4a,4b,4cを有する。図2に示されるように、壁部4aは、Z方向と直交する方向(XY平面)に沿って延びている。壁部4aは、底壁部や下壁部等と称される。
【0011】
また、図1に示されるように、壁部4b,4cは、Y方向と直交する方向(XZ平面)に沿って延びている。壁部4b,4cは、側壁部や周壁部等と称される。壁部4b,4cは、Y方向に離れた状態で互いに面して位置している。筐体2の内部には、これらの壁部4a,4b,4cで囲まれた収容部5が設けられている。
【0012】
収容部5には、前述した遮断器ユニット3等の複数の収容機器が収容されている。収容機器には、それぞれ、図2に示されるように、遮断器ユニット3と、遮断器ユニット3の上側に積載された上段機器6と、遮断器ユニット3の下側に位置する下段機器7と、が含まれる。下段機器7の下端には複数の車輪8が回転可能に設けられている。収容機器をX方向に引くと、車輪8が壁部4a上を転動して収容機器を筐体2の外に搬出することができる。また、収容機器をX方向の反対方向に押して、当該収容機器を筐体2の中に搬入することができる。
【0013】
また、筐体2は、扉9を有する。扉9は、筐体2のX方向の端部に設けられている。扉9は、Y方向の端部に設けられた開閉中心部9aを中心として、壁部4cに回転可能に設けられている。扉9には、回動可能なハンドル10が設けられている。つまり、図1に示すように、通常状態では、扉9は閉位置で筐体2の開口を閉じており、ハンドル10を回転させてX方向に引くことにより、扉9は図1の矢印に示すように回転して開位置へ移動し筐体2の開口を開く。
【0014】
遮断器ユニット3は、図3,4に示されるように、ベース11と、ピン12L,12Rと、を備えている。具体的には、ベース11は、第一ベース13と、第一ベース13のX方向側に位置する第二ベース14と、これら第一ベース13および第二ベース14を結合する連結具15と、を備えている。また、ベース11は、第二ベース14のY方向の反対方向の端部およびY方向の端部に設けられた2つのピン12L,12Rと、第二ベース14のX方向側に設けられた2つの取手16L,16Rと、を備えている。ベース11は、筐体2内の収容位置PiからX方向に移動可能に設けられると共に収容位置Piに向けてX方向の反対方向に移動可能に設けられている。なお、図1,2では、ベース11は収容位置Piに位置している。ピン12L,12Rは、突起の一例である。X方向は、第一方向の一例である。Y方向は、第二方向の一例である。
【0015】
図3に示すように、壁部4bは、筐体2の内部の収容部5に面する内側面17Lと、内側面17LとX方向に隣接する第一傾斜面18Lと、第一傾斜面18LとY方向の反対方向に隣接する縦面19Lと、内側面17LとY方向の反対方向側に内側面17Lから離れて位置して内側面17Lと平行に延びる外側面20Lと、を有する。内側面17Lには、Y方向の反対方向に延びる凹部21Lが設けられている。この凹部21Lは、遮断器ユニット3のピン12Lが収容可能に構成されている。これにより、凹部21LのX方向の壁は、Y方向の反対方向に突出したピン12LのX方向への移動を制限する。凹部21Lは、位置決め部の一例である。
【0016】
また、内側面17Lのうち、凹部21Lから第一傾斜面18Lまでの範囲は摺動面22Lである。凹部21Lは、摺動面22LとX方向の反対方向に隣接している。摺動面22LはX方向に沿って延びている。遮断器ユニット3が筐体2内の収容位置Piへ向けてX方向の反対方向へ移動する際に、引き込まれたピン12Lの先端12Laが摺動面22Lと摺動する。
【0017】
第一傾斜面18Lは、摺動面22LとX方向に隣接する。第一傾斜面18Lは、X方向へ向かうにつれてY方向の反対方向に向かうように斜めに延びている。
【0018】
また、壁部4cも壁部4bと同様の鏡像構造を有している。壁部4cは、筐体2内の収容部5に面する内側面17Rと、内側面17RとX方向に隣接する第一傾斜面18Rと、第一傾斜面18RとY方向に隣接する縦面19Rと、内側面17RとY方向側に内側面17Rから離れて位置して内側面17Rと平行に延びる外側面20Rと、を有する。内側面17Rには、Y方向に延びる凹部21Rが設けられている。この凹部21Rは、遮断器ユニット3のピン12Rが収容可能に構成されている。これにより、凹部21Rは、Y方向に突出したピン12RのX方向への移動を制限する。凹部21Rは、位置決め部の一例である。
【0019】
また、内側面17Rのうち、凹部21Rから第一傾斜面18Rまでの範囲は摺動面22Rである。遮断器ユニット3が筐体2内の収容位置へ向けてX方向の反対方向へ移動する際に、ピン12Rの先端12Raが摺動面22Rと摺動する。
【0020】
第一傾斜面18Rは、摺動面22RとX方向に隣接する。第一傾斜面18Rは、X方向へ向かうにつれてY方向に向かうように斜めに延びている。
【0021】
2つの壁部4b,4cに設けられたそれぞれの第一傾斜面18L,18RがY方向に面している。これらの第一傾斜面18L,18Rによって、筐体2内の収容部5の入り口部分では、収容部5のY方向に沿った長さは、収容部5のX方向に向かうに従って徐々に拡大する。即ち、2つの第一傾斜面18L,18RにおけるX方向の端縁同士のY方向に沿った第一長さよりも、第一傾斜面18L,18RにおけるX方向の反対方向の端縁同士のY方向に沿った第二長さの方が長い。壁部4b,4cにおいては、例えば、少なくとも第一傾斜面18L,18Rはメッキ鋼板で構成されている。なお、第一傾斜面18L,18R以外の面は、メッキ処理されない通常の鋼板で構成されてもよい。
【0022】
第二ベース14には、Y方向に間隔をおいて取手16L,16Rが設けられている。取手16L,16Rは、Y方向に移動可能である。第二ベース14の内部には、Y方向の中央側に位置するバネ23と、バネ23の両端に結合された連結バー24L,24Rと、連結バー24L,24Rの先端に結合されたピン12L,12Rと、を備えている。連結バー24L,24R、ピン12L,12Rおよび取手16L,16Rは、Y方向に移動可能である。
【0023】
バネ23は、連結バー24L,24Rおよびピン12L,12RをY方向の外方に向けて付勢している。即ち、バネ23のY方向の反対側の連結バー24L,24Rおよびピン12L,12Rは、バネ23によってY方向の反対方向に向けて付勢されている。バネ23のY方向側の連結バー24L,24Rおよびピン12L,12Rは、バネ23によってY方向に向けて付勢されている。また、取手16L,16Rは、連結バー24L,24Rに結合されている。従って、第二ベース14のY方向の中央側に向けて取手16L,16Rを移動させると、連結バー24L,24Rおよびピン12L,12Rが第二ベース14のY方向の中央側に向けて移動し、ピン12L,12Rは、第二ベース14に引き込まれる。このとき、バネ23のY方向に沿った長さが縮むため、さらにバネ23の付勢力が増す。
【0024】
このように、ピン12L,12Rは、第二ベース14に設けられている。また、ピン12L,12Rは、第二ベース14からX方向と交差したY方向の反対方向およびY方向にバネ23で付勢された状態で突出すると共に外力を受けて前記第二方向の反対方向に引き込み可能に構成されている。
【0025】
また、ピン12L,12Rの硬度は、筐体2の第一傾斜面18L,18Rの硬度よりも高い。そして、ピン12L,12Rの表面には、例えば、グリス等の潤滑剤が塗布されたり、潤滑性を有する被膜が設けられたりしている。潤滑剤や被膜は、潤滑部の一例である。
【0026】
以下に、図3,4を用いて、遮断器ユニット3を筐体2内の収容位置PiからX方向(第一方向)に搬出(移動)する手順を説明する。
【0027】
図4に示すように、遮断器ユニット3が収容位置Piに位置された状態では、遮断器ユニット3のピン12L,12Rが筐体2の内側面17L,17Rの凹部21L,21Rに収容されている。
【0028】
まず、2つの取手16L,16RをY方向で互いに近づくように移動させると、取手16L,16Rと共に連結バー24L,24Rが移動する。また、連結バー24L,24Rがピン12L,12Rに結合しているため、2つのピン12L,12Rも遮断器ユニット3の幅方向中心に向けて互いに近づくように移動してそれぞれが第二ベース14に引き込まれる。これにより、2つのピン12L,12Rが凹部21L,21Rから引き抜かれる。
【0029】
次に、取手16L,16Rを把持したままX方向に引き出すと、遮断器ユニット3がX方向に移動する。このとき、ピン12L,12Rの先端12La,12Raが筐体2の摺動面22L,22R上を摺動しながら第一傾斜面18L,18Rまで移動する。
【0030】
そして、遮断器ユニット3が筐体2から搬出された搬出位置Poでは、図3に示すように、2つのピン12L,12Rはバネ23の付勢力によって、遮断器ユニット3の第二ベース14の幅方向中心(Y方向中心)からY方向に互いに離れる方向(第二方向)に突き出ている。具体的には、Y方向の反対方向側のピン12Lは、Y方向の反対方向に突出している。Y方向側のピン12Rは、Y方向に突出している。
【0031】
以下に、図3,4を用いて、遮断器ユニット3を搬出位置Poから筐体2内の収容位置PiにX方向の反対方向に向けて搬入する手順を説明する。
【0032】
図3に示すように、遮断器ユニット3が筐体2内から搬出された搬出位置Poでは、それぞれのピン12L,12Rは、バネ23の付勢力によって第二方向(Y方向の反対方向およびY方向)に突き出ている。
【0033】
次に、図4に示すように、遮断器ユニット3をX方向の反対方向に移動させると、遮断器ユニット3のピン12L,12Rの先端12La,12Raが、筐体2の壁部4b,4cの第一傾斜面18L,18Rに当接する。第一傾斜面18L,18Rからピン12L,12Rに対して第二方向の反対方向(Y方向およびY方向の反対方向)に向かう押圧力が印加される。この押圧力は、バネ23の付勢力よりも大きいため、それぞれのピン12L,12Rは第二方向の反対方向(Y方向およびY方向の反対方向)に移動して第二ベース14に引き込まれる。
【0034】
そして、遮断器ユニット3をそのままX方向の反対方向に移動させると、ピン12L,12Rの先端12La,12Raが摺動面22L,22Rの上を摺動しながら凹部21L,21Rまで進む。
【0035】
遮断器ユニット3の収容位置Piにおいては、それぞれのピン12L,12Rは第二方向(Y方向の反対方向およびY方向)に移動して筐体2の凹部21L,21Rに収容される。これにより、遮断器ユニット3は筐体2に保持される。
【0036】
以上のように、本実施形態では、例えば、筐体2は、ベース11が収容位置Piへ移動する際にピン12L,12R(突起)を押圧して引き込ませる第一傾斜面18L,18Rを有する。よって、本実施形態によれば、例えば、遮断器ユニット3が筐体2内の収容位置Piに向けて移動する際に、筐体2の第一傾斜面18L,18Rに遮断器ユニット3のピン12L,12Rが当接し、第一傾斜面18L,18Rからピン12L,12Rに遮断器ユニット3を押し込む力の反力(の分力)が作用する。すなわち、第一傾斜面18L,18Rがピン12L,12Rを押圧することによりピン12L,12Rがベース11に引き込まれる。これにより、遮断器ユニット3を筐体2内へ収容させる作業をスムーズに行うことができる。
【0037】
また、本実施形態では、例えば、ピン12L,12Rは、表面に潤滑部が設けられている。本実施形態では、例えば、遮断器ユニット3が筐体2内の収容位置Piに向けて移動する際に、ピン12L,12Rが筐体2の第一傾斜面18L,18Rに当接する。このとき、ピン12L,12Rの表面に潤滑部が設けられていると、ピン12L,12Rと第一傾斜面18L,18Rとの摩擦係数が低下する。従って、本実施形態によれば、ピン12L,12Rの摩耗を抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態では、例えば、筐体2の第一傾斜面18L,18Rは、メッキ鋼板で構成されている。本実施形態では、例えば、遮断器ユニット3が筐体2内の収容位置Piに向けて移動する際に、ピン12L,12Rが筐体2の第一傾斜面18L,18Rに当接する。このとき、筐体2の第一傾斜面18L,18Rがメッキ鋼板で構成されているため、ピン12L,12Rと第一傾斜面18L,18Rとの摩擦係数が低下する。従って、本実施形態によれば、ピン12L,12Rの摩耗を抑制することができる。
【0039】
<第2実施形態>
図5~8に示される第2実施形態のスイッチギヤ1Aは、前記第1実施形態のスイッチギヤ1と同様の構成を備えている。よって、第2実施形態によっても、前記第1実施形態と同様の構成に基づく同様の結果(効果)が得られる。
【0040】
ただし、第2実施形態では、例えば、壁部4b,4cに第一傾斜面18L,18Rを設け、第二ベース14に設けられた突出部材112L,112Rに第二傾斜面112La,112Raを設けている。また、本実施形態では、角柱状の突出部材112L,112Rは、突起の一例である。
【0041】
図5,6,8に示すように、壁部4bは、筐体2内の収容部5に面する内側面17Lと、内側面17LとX方向に隣接する第一傾斜面18Lと、第一傾斜面18LとY方向の反対方向に隣接する縦面19Lと、内側面17LとY方向の反対方向側に内側面17Lから離れて位置して内側面17Lと平行に延びる外側面20Lと、を有する。内側面17Lには、Y方向の反対方向に延びる凹部21Lが設けられている。この凹部21Lは、遮断器ユニット3の突出部材112Lが収容可能に構成されている。なお、壁部4cも、第1実施形態と同様の構成になっている。
【0042】
図7に示すように、突出部材112LにおけるX方向の反対方向の角部が面取り加工されて、突出部材112Lに第二傾斜面112Laが設けられている。つまり、Y方向の反対方向側に設けた突出部材112Lには、X方向へ向かうにつれて第二方向に向かうように延びると共に、遮断器ユニット3Aが収容位置Piへ移動する際に筐体2の第一傾斜面18Lと当接可能な第二傾斜面112Laが設けられている。なお、突出部材112Lの先端112Lbは、摺動面22Lに摺動される。
【0043】
図5,6に示すように、Y方向側に設けた突出部材112Rにおいても、第二傾斜面112Raは、X方向へ向かうにつれて第二方向に向かうように傾斜して延びると共に、ベース11が収容位置Piへ移動する際に筐体2の第一傾斜面18Rと当接可能に構成されている。突出部材112Rの先端112Rbは、摺動面22Rに摺動される。
【0044】
以下に、図6,8を用いて、遮断器ユニット3Aを搬出位置Poから筐体2内の収容位置PiにX方向の反対方向に搬入する手順を説明する。
【0045】
図6に示すように、遮断器ユニット3Aが筐体2から搬出された搬出位置Poでは、突出部材112L,112Rはバネ23の付勢力によって第二方向に突き出ている。
【0046】
次に、図8に示すように、遮断器ユニット3AをX方向の反対方向に移動させると、遮断器ユニット3Aの突出部材112L,112Rの第二傾斜面112La,112Raが、筐体2の第一傾斜面18L,18Rに当接する。これにより、第一傾斜面18L,18Rから突出部材112L,112Rに対して第二方向の反対方向(Y方向およびY方向の反対方向)に向かう押圧力が印加される。この押圧力は、バネ23の付勢力よりも大きいため、突出部材112L,112Rは第二方向の反対方向に移動して第二ベース14に引き込まれる。
【0047】
そして、遮断器ユニット3Aの収容位置Piにおいては、突出部材112L,112Rは第二方向(Y方向の反対方向およびY方向)に移動して凹部21L,21Rに収容される。これにより、遮断器ユニット3Aは筐体2に保持される。
【0048】
以下に、図5,6,8を用いて、遮断器ユニット3Aを搬出位置Poから筐体2内の収容位置PiにX方向の反対方向に搬入する手順を説明する。
【0049】
図5に示すように、遮断器ユニット3Aが筐体2から搬出された搬出位置Poでは、突出部材112L,112Rはバネ23の付勢力によって第二方向に突き出ている。
【0050】
次に、遮断器ユニット3AをX方向の反対方向に移動させると、図6,8に示すように、遮断器ユニット3Aの突出部材112L,112Rの第二傾斜面112La,112Raが、筐体2の第一傾斜面18L,18Rに当接する。これにより、筐体2の第一傾斜面18L,18Rから突出部材112L,112Rに対して第二方向の反対方向に向かう押圧力が印加される。この押圧力は、バネ23の付勢力よりも大きいため、突出部材112L,112Rは第二方向の反対方向に移動して第二ベース14に引き込まれる。
【0051】
そして、突出部材112L,112Rの先端112Lb,112Rbが摺動面22L,22Rを摺動しながら進行する。
【0052】
遮断器ユニット3Aの収容位置Piにおいては、突出部材112L,112Rは第二方向(Y方向の反対方向およびY方向)に移動して凹部21L,21Rに収容される。これにより、遮断器ユニット3Aは筐体2に保持される。
【0053】
このように、本実施形態では、例えば、突出部材112L,112Rには、X方向へ向かうにつれて前記第二方向(Y方向の反対方向およびY方向)に向かうように傾斜して延びると共に、遮断器ユニット3Aが収容位置Piへ移動する際に筐体2の第一傾斜面18L,18Rと当接可能な第二傾斜面112La,112Raを有している。よって、本実施形態によれば、例えば、遮断器ユニット3Aが筐体2内の収容位置Piに向けて移動する際に、第一傾斜面18L,18Rが突出部材112L,112Rを更に滑らかに押圧して突出部材112L,112Rが円滑に引き込まれるため、遮断器ユニット3Aを筐体2内へ収容させる作業を更にスムーズに行うことができる。
【0054】
<第3実施形態>
図9,10に示される第3実施形態のスイッチギヤ1Bは、前記第1,第2実施形態のスイッチギヤ1,1Aと同様の構成を備えている。よって、第3実施形態によっても、前記第1実施形態および第2実施形態と同様の構成に基づく同様の結果(効果)が得られる。
【0055】
ただし、第3実施形態では、例えば、壁部104b,104cには第一傾斜面を設けておらず、第二ベース14に設けられた突出部材112L,112Rに第二傾斜面112La,112Raを設けている。また、本実施形態では、突起として第2実施形態と同様の突出部材112L,112Rを適用している。また、突出部材112L,112Rには、先端112Lb,112Rbが設けられている。
【0056】
図9,10に示すように、壁部104bは、内側面17Lと、内側面17LとX方向に隣接して位置すると共にY方向に延びる縦面119Lと、内側面17LのY方向の反対側に離間して位置し内側面17Lと平行に延びる外側面20Lと、を有する。なお、壁部104cは、内側面17Rと、内側面17RとX方向に隣接して位置すると共にY方向に延びる縦面119Rと、内側面17RのY方向の反対側に離間して位置し内側面17Rと平行に延びる外側面20Rと、を有する。
【0057】
以下に、図9,10を用いて、遮断器ユニット3Aを搬出位置Poから筐体2内の収容位置Piに向けて、X方向の反対方向に搬入する手順を説明する。
【0058】
図9に示すように、遮断器ユニット3Aが筐体2から搬出された搬出位置Poでは、突出部材112L,112Rはバネ23の付勢力によって第二方向に突き出ている。
【0059】
次に、遮断器ユニット3AをX方向の反対方向に移動させると、遮断器ユニット3Aの突出部材112L,112Rの第二傾斜面112La,112Raが、筐体2の摺動面22L,22Rと縦面119L,119Rとの角部に当接する。これにより、筐体2から突出部材112L,112Rの第二傾斜面112La,112Raに対して第二方向の反対方向に向かう押圧力が印加される。この押圧力は、バネ23の付勢力よりも大きいため、突出部材112L,112Rは第二方向の反対方向(Y方向およびY方向の反対方向)に移動して第二ベース14に引き込まれる。
【0060】
そして、突出部材112L,112Rの先端112Lb,112Rbが摺動面22L,22Rを摺動しながら進行する。
【0061】
遮断器ユニット3Aの収容位置Piにおいては、突出部材112L,112Rは第二方向(Y方向)に移動して凹部21L,21Rに収容される。これにより、遮断器ユニット3Aは筐体2に保持される。
【0062】
以上のように、本実施形態のスイッチギヤ1Bは、筐体2と、前記筐体2内の収容位置Piから第一方向に搬出可能に設けられると共に前記収容位置Piに向けて前記第一方向の反対方向に搬入可能に設けられたベース11と、前記ベース11に設けられて、前記ベース11から前記第一方向と交差した第二方向に付勢された状態で突出すると共に外力を受けて前記第二方向の反対方向に引き込み可能な突出部材112L,112Rと、を有した遮断器ユニット3Aと、を備えている。
【0063】
前記筐体2は、前記第一方向に沿って延びると共に前記ベース11が前記収容位置Piへ移動する際に前記第二方向の反対方向に引き込まれた前記突出部材112L,112Rの先端112Lb,112Rbと摺動する摺動面22L,22Rと、前記摺動面22L,22Rと前記第一方向の反対方向に隣接し、前記ベース11が前記収容位置Piに位置された状態で前記第二方向に突出した前記突出部材112L,112Rの前記第一方向への移動を制限する凹部21L,21Rと、前記摺動面22L,22Rと前記第一方向に隣接し、前記第二方向に向かうように延びる縦面119L,119Rと、を有する。突出部材112L,112Rには、X方向へ向かうにつれて前記第二方向(Y方向の反対方向およびY方向)に向かうように傾斜して延びると共に、ベース11が収容位置Piへ移動するに向けて搬入される際に筐体2と当接可能な第二傾斜面112La,112Raを有している。
【0064】
よって、本実施形態によれば、例えば、遮断器ユニット3Aが筐体2内の収容位置Piに向けて移動する際に、筐体2の内側面17L,17Rと縦面119L,119Rとの角部が突出部材112L,112Rの第二傾斜面112La,112Raを押圧することにより、突出部材112L,112Rがベース11に引き込まれる。これにより、遮断器ユニット3Aを筐体2内へ収容させる作業をスムーズに行うことができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。上記実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。本発明は、上記実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成(技術的特徴)によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)を得ることが可能である。また、各構成要素のスペック(構造や、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0066】
1,1A,1B…スイッチギヤ、2…筐体、3,3A…遮断器ユニット、12L,12R…ピン(突起)、12La,12Ra…先端、18L,18R…第一傾斜面、21L,21R…凹部(位置決め部)、22L,22R…摺動面、112L,112R…突出部材(突起)、112La,112Ra…第二傾斜面、112Lb,112Rb…先端。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10