(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】電力機器用磁場発電装置及び電力機器
(51)【国際特許分類】
H02N 11/00 20060101AFI20220128BHJP
H01F 27/04 20060101ALI20220128BHJP
H02B 11/02 20060101ALN20220128BHJP
H02B 3/00 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
H02N11/00 Z
H01F27/04 Z
H02B11/02 Z
H02B3/00 K
(21)【出願番号】P 2017193485
(22)【出願日】2017-10-03
【審査請求日】2020-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120444
【氏名又は名称】北川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】熊田 貴夫
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/057925(WO,A1)
【文献】特開2005-346442(JP,A)
【文献】特開昭52-156501(JP,A)
【文献】登録実用新案第3128368(JP,U)
【文献】特開2013-004306(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0170264(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 11/00
H01F 27/04
H02B 11/02
H02B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多相配線が内外に亘って設けられる筐体を有する電力機器に用いられる磁場発電装置であって、
前記筐体の外側に配置され、前記多相配線から発生する漏れ磁束によって起電可能とする巻線
と、前記巻線を保持する保持体とを備え
、該保持体を介して前記筐体の外
面に取り付けられることを特徴とする電力機器用磁場発電装置。
【請求項2】
前記多相配線の各配線は入力端子及び出力端子の少なくとも一方が所定の並び方向に並んで配置され、
前記巻線は、前記並び方向において最も外側に位置する前記入力端子及び前記出力端子より外側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の電力機器用磁場発電装置。
【請求項3】
前記筐体にて前記各配線の前記入力端子が貫通する位置が第1仮想直線上に、前記各配線の前記出力端子が貫通する位置が第2仮想直線上に並び、
前記巻線は、前記第1仮想直線及び前記第2仮想直線の中間位置に配置されていることを特徴とする請求項
2に記載の電力機器用磁場発電装置。
【請求項4】
前記巻線は、
前記筐体の電位から電気的に隔絶され、接地電位から電気的に隔絶されていることを特徴とする請求項1
ないし請求項3のいずれか1項に記載の電力機器用磁場発電装置。
【請求項5】
前記巻線の内側を通る鉄心を更に含み、
前記筐体における前記多
相配線が貫通する貫通面と該貫通面における前記多
相配線それぞれとが垂直に交わり、前記筐体における前記多相配線が貫通する位置が直線上に並び、
前記巻線または前記鉄心の一端側は、前記貫通面における前記多
相配線を延長した直線を結んだ面もしくはその近傍、かつ前記筐体の外側近傍に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電力機器用磁場発電装置。
【請求項6】
多相配線と、
前記多相配線が内外に亘って設けられる筐体と、
前記筐体の外側に配置され、前記多相配線から発生する漏れ磁束によって起電可能とする巻線
と、前記巻線を保持する保持体とを備え
、該保持体を介して前記筐体の外面に取り付けられる磁場発電装置とを有していることを特徴とする電力機器。
【請求項7】
前記筐体は、透磁率が鉄より低い材料を用いて構成されていることを特徴とする請求項6に記載の電力機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力機器用磁場発電装置及び電力機器に関し、特に、漏れ磁束によって発電することができる電力機器用磁場発電装置及び電力機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1においては、変圧器にて、その劣化状態を検出するためにセンサを設ける構成が開示されている。特許文献1では、変圧器での漏れ磁束によって電力を発生させる巻線を設け、センサを駆動させるべく変圧器の内部で自立発電可能として変圧器外部からの電力供給を不要としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、巻線等の発電に用いられる各構成がタンク(筐体)の内部に配設されている。従って、タンクの外部で電力供給が必要なセンサを使用する場合、タンクの壁面に対して内外に通じる配線用の穴を加工しなければいけなくなる、という問題がある。また、特許文献1では、巻線及びその周辺構造のメンテナンス等を行う場合、タンクを開閉する作業やタンク内の狭いスペースでの作業が必要となって多大な労力が強いられる、という問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、電力機器の筐体にて電力供給のための穴等の加工を省略でき、メンテナンス等の作業負担の軽減を図ることができる電力機器用磁場発電装置及び電力機器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における電力機器用磁場発電装置は、多相配線が内外に亘って設けられる筐体を有する電力機器に用いられる磁場発電装置であって、前記筐体の外側に配置され、前記多相配線から発生する漏れ磁束によって起電可能とする巻線と、前記巻線を保持する保持体とを備え、該保持体を介して前記筐体の外面に取り付けられることを特徴とする。
【0007】
本発明における電力機器は、多相配線と、前記多相配線が内外に亘って設けられる筐体と、前記筐体の外側に配置され、前記多相配線から発生する漏れ磁束によって起電可能とする巻線と、前記巻線を保持する保持体とを備え、該保持体を介して前記筐体の外面に取り付けられる磁場発電装置とを有していることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、巻線を含む磁場発電装置を筐体の外部に設けたので、筐体の外部にセンサ等の各種機器を配置及び駆動する場合、かかる各種機器に電力供給する導線等を筐体の内部から外部へ引き出さなくてもよくなる。これにより、導線等を通すための穴や通路を加工して筐体に形成することを省略することができる。また、磁場発電装置のメンテナンス等を行う場合、大掛かりな筐体の開閉作業や狭くて囲われた筐体内で作業をなくすことができ、作業に伴う労力を軽減することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、巻線を含む磁場発電装置を筐体の外部に設けたので、電力機器の筐体にて電力供給のための穴等の加工を省略でき、メンテナンス等の作業負担の軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態に係る真空遮断器の概略平面図である。
【
図2】実施の形態に係る真空遮断器の概略側面図である。
【
図3】実施の形態に係る真空遮断器の概略正面図である。
【
図4】実施の形態に係る磁場発電装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】実施の形態に係る磁場発電装置の回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係る変圧器について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。添付の図面においては、三相配線(多相配線)の並び方向をY方向とし、それらの入力端子及び出力端子の延出方向をX方向と、高さ方向をZ方向として説明する。なお、以下においては、本発明に係る電力機器を真空遮断器に適用する場合について説明する。しかしながら、本発明の適用対象は、真空遮断器に限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、ガス遮断器等の他の遮断器や、変圧器、インバータに適用することもできる。
【0012】
図1は、実施の形態に係る真空遮断器の概略平面図、
図2は、実施の形態に係る真空遮断器の概略側面図、
図3は、実施の形態に係る真空遮断器の概略正面図である。
図1ないし
図3に示すように、真空遮断器1は、筐体10と、三相配線(多相配線)20とを備えている。
【0013】
筐体10は、主として鉄を素材に用いて成型加工や、板金加工等によって形成される。筐体10は、後述する真空バルブ20Uc、20Vc、20Wc等を収容する内部空間を備えたケース状に設けられる。筐体10の-X方向側(
図1中下側)には操作機構部11が設けられ、この操作機構部11には、真空バルブ20Uc、20Vc、20Wcを操作するための操作機構(不図示)等が内蔵されている。なお、筐体10は、透磁率が鉄より低い材料、具体的にはアルミニウムやチタン等を用いて構成してもよく、この場合の作用については後述する。
【0014】
三相配線20は、X方向に並んで設けられたU相用配線20U、V相用配線20V及びW相用配線20Wを含んでいる。各配線20U、20V、20Wは、それぞれ2本の端子を備えている。具体的には、U相用配線20UにおいてU相用入力端子20Ua及びU相用出力端子20Ub、V相用配線20VにおいてV相用入力端子20Va及びV相用出力端子20Vb、W相用配線20WにおいてW相用入力端子20Wa及びW相用出力端子20Wbを備えている。各入力端子20Ua、20Va、20Wa及び各出力端子20Ub、20Vb、20Wbは、X方向に延在して筐体10の内外に亘って貫通して設けられ、先端側が筐体10の外部に突出している。ここで、筐体10における各入力端子20Ua、20Va、20Wa及び各出力端子20Ub、20Vb、20Wbが貫通する面を貫通面10aとする。各配線20U、20V、20Wにて、貫通面10aを貫通する各入力端子20Ua、20Va、20Wa及び各出力端子20Ub、20Vb、20Wbは、貫通面10aと垂直に交わる位置関係となる。貫通面10aにおける各入力端子20Ua、20Va、20Waが貫通する位置は
図3の方向から見て仮想直線La上に並び、筐体10における出力端子20Ub、20Vb、20Wbが貫通する位置は仮想直線Lb上に並んでいる。
【0015】
図3に示すようにX方向で見たときに、それぞれの配線20U、20V、20Wにて入力端子20Ua、20Va、20Waに対し出力端子20Ub、20Vb、20Wbが下方となってZ方向に並んで配置されている。また、各入力端子20Ua、20Va、20Waは、所定の直線方向となるY方向に並んで配置され、各出力端子20Ub、20Vb、20WbにおいてもY方向に並んで配置されている。従って、3本の配線20U、20V、20Wは、
図2に示すようにY方向から見たときに、重なるように配置される。
【0016】
各配線20U、20V、20Wは、筐体10内に収容される真空バルブ20Uc、20Vc、20Wc(
図3では不図示)を更に備えている。真空バルブ20Uc、20Vc、20Wcは、筐体10内にて入力端子20Ua、20Va、20Waと出力端子20Ub、20Vb、20Wbとに接続される。真空バルブ20Uc、20Vc、20Wcは、真空遮断器1として機能し得る構成等が採用され、本実施の形態では説明を省略する。
【0017】
真空遮断器1においては、磁場発電装置30を更に備えている。磁場発電装置30は、三相配線20から発生する漏れ磁束によって起電可能とする巻線31と、巻線31を収容するケース32と、巻線31の内側を通って配置される鉄心33とを備えている。なお、巻線31及び鉄心33は、中心軸位置が上下方向(Z方向)に向けられるように配設されている。
【0018】
磁場発電装置30は、筐体10の内部空間に収容されるものでなく、筐体10の外面側に取り付けられ、巻線31を含む磁場発電装置30の各構成は筐体10の外側に配置される。かかる取り付けに用いられる取付部としては、特に限定されるものでないが、筐体10にケース32をねじ止め固定したり、適宜な装着具、治具、嵌合構造を介して取り付けたりすることが例示できる。
【0019】
ここで、
図1から
図3に示した磁場発電装置30は、模式的に表したものである。従って、例えば、ケース32は、巻線31及び鉄心33を保持する保持体としての機能と、巻線31及び鉄心33を収容する収容体としての機能とを備えていれば形状や構造等は特に限定されるものでなく、種々の構成を採用できる。
【0020】
鉄心33は、軸状に形成され、巻線31の内部の磁束密度を高くして巻線31での発電効率を高める作用を奏する。かかる作用を高めるべく、鉄心33においては、少なくとも一端部を錘状に形成したり、三相配線20(
図1参照)からの漏れ磁束と平行に近付けるように配置や形成したりするとよい。鉄心33を設けることで磁束を巻線31に誘導できるので、巻線31の設置位置での磁束密度が低くても巻線31で良好に発電でき、巻線31のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0021】
磁場発電装置30は、本実施の形態では、筐体10外面側であって+Y方向側(
図1中右側)の壁面に取り付けられている。これを詳述すると、
図2のように三相配線20における全ての配線20U、20V、20Wが重なる位置及び方向から見たときに、磁場発電装置30の巻線31及び鉄心33の少なくとも一端部が三相配線20に重なる位置の近傍に配置されている。言い換えると、
図3の方向から見て筐体10における入力端子20Ua、20Va、20Waが貫通する位置を結んだ仮想直線La又は出力端子20Ub、20Vb、20Wbが貫通する位置を結んだ仮想直線Lbの少なくとも一方の仮想直線La、Lbの延長線上若しくはその近傍に巻線31及び鉄心33の少なくとも一端部が配置されている。更には、貫通面10aに交わる各配線20U、20V、20Wを延長した直線を結んだ面もしくはその近傍、かつ筐体10の外側近傍に、巻線31及び鉄心33の少なくとも一端部が配置されている。ここで、本実施の形態では、各配線20U、20V、20Wを延長した直線は、各入力端子20Ua、20Va、20Waを通過してX方向に延びる仮想直線と、各出力端子20Ub、20Vb、20Wbを通過してX方向に延びる仮想直線となる。そして、かかる直線を結んだ面とは、本実施の形態では各入力端子20Ua、20Va、20Waが沿うように位置するXY面と平行な面Pa(
図2参照)と、各出力端子20Ub、20Vb、20Wbが沿うように位置するXY面と平行な面Pb(
図2参照)となる。
図3の方向から見た場合、それらの面Pa、Pbは、仮想直線La、Lbと同じ位置に配設される。本実施の形態では、Z方向にて仮想直線Laと仮想直線Lbとの中間位置に巻線31及び鉄心33の少なくとも一端部が位置するよう磁場発電装置30を配置したが、それらが仮想直線La、Lbの何れか一方に重なるように配置してもよい。
【0022】
図4は、実施の形態に係る磁場発電装置の構成を示すブロック図である。磁場発電装置30は、巻線31に加えて蓄電部34を備え、この蓄電部34は、整合回路35、昇圧回路36、整流回路37、DCDCコンバータ38、安定化回路39を備えている。磁場発電装置30においては、巻線31に三相配線20(
図1参照)からの漏れ磁束(磁場)が入力されると後述のように誘導電流が発生される。この誘導電流は、整合回路35を介してインピーダンス不整合による反射電力、出力低下が防止されつつ、昇圧回路36に入力されて後段の回路に適した電圧まで昇圧又は降圧される。そして、整流回路37によって直流化され、DCDCコンバータ38により負荷40が必要とする電圧へ変換させる。その後、出力の安定度を高めるため、コンデンサや蓄電池等により構成される安定化回路39を通じて負荷40へ出力される。
【0023】
なお、負荷40としては、真空遮断器1の劣化状態や運転状態を検出可能なセンサ等が例示できる。具体例としては、温度、音、振動、電波等の環境情報を検出するセンサや、真空遮断器1に用いるSF6等のガスや、油の劣化によって生じるガスを検出するセンサを挙げることができる。
【0024】
図5は、実施の形態に係る磁場発電装置の回路構成図である。
図5に示すように、磁場発電装置30は、巻線31及び巻線31で発生した電力を蓄電する蓄電部34を含む電気回路を有して負荷40に接続されている。磁場発電装置30の電気回路において、巻線31は、接地電位から電気的に隔絶され、これにより、落雷時等に大電流が流れたり、絶縁破壊による短絡が発生したりすることを回避して電気回路や負荷40を保護することができる。なお、電圧の安定化を図るべく、磁場発電装置30の電気回路を筐体10(
図1参照)に接続して、筐体10をグランド電位としてもよいが、絶縁破壊による短絡を回避する観点からは、筐体10の電位から電気的に隔絶される方が有利となる。
【0025】
続いて、真空遮断器1における磁場及び磁場発電装置30での発電について説明する。真空遮断器1にて、
図1ないし
図3に示す三相配線20に電流が流れることで、U相用配線20U、V相用配線20V及びW相用配線20Wを主源として渦状に磁場が発生し、漏れ磁束も同様に発生する。このとき、筐体10の外面側においては、三相それぞれの配線20U、20V、20Wからの漏れ磁束がベクトル合成される。そのため、隣り合う配線20U、20V、20Wの間では漏れ磁束が打ち消し合い、U相用配線20U及びW相用配線20WにおけるV相用配線20Vと反対側の位置にて漏れ磁束の磁場が強くなる。本実施の形態では、このように磁場が強くなる位置の近傍に巻線31及び鉄心33の少なくとも一端部を配置、つまり、それらを上述した
図1ないし
図3に示す位置に配置したので、巻線31における発電量の増大を図ることができる。
【0026】
しかも、巻線31を上記した位置に配置しつつ、巻線31の中心軸線の向きをZ方向に向けたので、W相用配線20Wの各端子20Wa、20Wbにて渦状に発生する漏れ磁束と巻線31の中心軸線とを平行に近付けることができ、これによっても、巻線31で発電量の増大を図ることができる。
【0027】
このような実施の形態によれば、筐体10の外側に磁場発電装置30を取り付け可能としたので、筐体10の内部にてコイル等の発電する装置を設けることが不要となる。これにより、センサ等の負荷40(
図4参照)を筐体10の外部に設ける場合、筐体10の内部から外部へ電力供給用の配線を通すため、筐体10に穴や通路等を形成することが不要となる。この結果、筐体10に対する加工工数を減らして構造の簡略化を実現でき、ひいては、製造工程の短時間化を図ることができる。
【0028】
また、磁場発電装置30の点検やメンテナンス等を行う場合、筐体10を開閉する大規模な作業や、筐体10内部における作業を不要にでき、作業者による磁場発電装置30のアクセスを容易として作業負担の軽減を図ることができる。
【0029】
また、磁場発電装置30にて漏れ磁束を用いて負荷40用の電力を発電するので、真空遮断器1の外部からの電力供給が不要となり、かかる電力供給に用いる配線等に起因する短絡を防止することができる。特に、真空遮断器1が高電圧に対応する場合、外部から電力供給を行うと短絡の可能性がより高くなるが、本実施の形態では磁場発電装置30で発電して外部から給電用の配線がなくなるので、短絡の発生をより良く防止することができる。
【0030】
また、本実施の形態のように磁場発電装置30で発電することで、電源を電池とする構成に比べ、電池の交換作業を不要にすることができる。従って、電池交換のために数カ月毎に真空遮断器1の運転を停止しなくてもよくなる。これにより、真空遮断器1自体の定期点検での運転停止時に磁場発電装置30も点検を行えば足りることとなり、真空遮断器1の運転停止回数を減らして作業負担の軽減を図ることができる。
【0031】
ここで、筐体10を形成する材料として透磁率が鉄より低いアルミニウム等を用いた場合、鉄を用いる構成に比べ、磁束の遮断性能は低下するが、筐体10で漏れ磁束が減衰され難くなって巻線31での発電量を増大することができる。しかも、アルミニウムとすることで筐体10の軽量化を図ることができ、真空遮断器1の運搬や組み立てに要する作業労力を軽減することができる。なお、筐体10においては、鉄とアルミニウム等との両方を用いて形成してもよい。
【0032】
本発明の実施の形態は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更(位置や向きを含む)、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【0033】
また、上記実施の形態では、本発明を変圧器に適用した構成について説明したが、上述した作用効果が得られるのであれば、他の電力用静止器に適用することも可能である。
【0034】
また、真空遮断器1においては、各入力端子20Ua、20Va、20Waに対し各出力端子20Ub、20Vb、20Wbの向き及びレイアウト等は、種々の変更が可能である。例えば、各入力端子20Ua、20Va、20Waが所定の直線方向に沿って並び、各出力端子20Ub、20Vb、20Wbも同じ直線上に沿って並ぶよう配置したり全く異なる向き及び位置の直線方向に沿って並ぶようにしたりしてもよい。従って、各入力端子20Ua、20Va、20Waに対し各出力端子20Ub、20Vb、20Wbが離れるような位置関係としてもよい。
【0035】
また、上記実施の形態では、多相配線を三相配線20として3本の配線とした場合を説明したが、2本としたり、4本以上としたりしてもよい。
【0036】
また、巻線31を中心軸位置の延在方向から見た形状は、円環状に限定されるものでなく、方形に沿う環状にする等漏れ磁束によって起電する限りにおいて変更してもよい。
【0037】
なお、上記実施の形態では、巻線31を単一とした場合を説明したが、これに限られるものでなく、複数の巻線31を筐体10の外面側に設けてもよい。例えば、一対の巻線31を配置してもよく、この場合、仮想直線La、Lb(
図3参照)の延在方向(Y方向)両側から三相配線20を挟むように一対の巻線31を配置してもよい。より好ましくは、仮想直線La、Lbが直交する対称面を基準に対称配置するとよく、これによれば、各配線20U、20V、20Wの電圧のバランスが崩れたときに、各巻線31の発電に関する制御を行い易くすることができる。
【0038】
また、巻線31の両端における電位差によって起電するものに限定されるものでなく、巻線31の中間点と両端それぞれとの電位差によって起電するようにしてより安定した電位を得るようにしてもよい。更に、上記のように一対の巻線31を用いた場合、一対の巻線31の間の電位を上記中間点の電位として同じ要領で起電するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 真空遮断器(電力機器)
10 筐体
20 三相配線(多相配線)
30 磁場発電装置
31 巻線
33 鉄心