(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】滅菌システムの取り外し可能な構成要素の不適切な位置付けを検出するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/24 20060101AFI20220203BHJP
A61L 2/20 20060101ALI20220203BHJP
A61B 1/12 20060101ALI20220203BHJP
A61L 101/06 20060101ALN20220203BHJP
A61L 101/10 20060101ALN20220203BHJP
A61L 101/22 20060101ALN20220203BHJP
A61L 101/36 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
A61L2/24
A61L2/20
A61L2/20 106
A61L2/20 100
A61B1/12 510
A61L101:06
A61L101:10
A61L101:22
A61L101:36
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017222468
(22)【出願日】2017-11-20
【審査請求日】2020-10-08
(32)【優先日】2016-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512080321
【氏名又は名称】エシコン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon, Inc.
【住所又は居所原語表記】P.O. Box 151, U.S. Route 22, Somerville, NJ 08876, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ダグ・ボ・チュオン
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス・ワイ・モク
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-076859(JP,A)
【文献】特開2005-334656(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0046209(KR,A)
【文献】特開2005-270650(JP,A)
【文献】米国特許第05219099(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0173480(US,A1)
【文献】特開2011-212501(JP,A)
【文献】特開昭64-085127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/24
A61L 2/20
A61B 1/12
A61L 101/06
A61L 101/10
A61L 101/22
A61L 101/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つの医療用装置を受容し、
滅菌するように構成されている
滅菌室と、
(b)プロセッサと、
(c)
滅菌モジュールであって、
(i)前記プロセッサと通信しているセンサを備えるフレームアセンブリと、
(ii)前記
滅菌室と流体連通している抽出アセンブリであって、カートリッジから
滅菌剤流体を抽出し、前記
滅菌剤流体を前記
滅菌室に移送するように構成されている、抽出アセンブリと、
(iii)キャリッジアセンブリであって、
(A)前記プロセッサと通信しているモータと、
(B)前記モータと連結され
、前記モータにより駆動させられるキャリッジ本体であって、前記カートリッジを受容するように構成されている、キャリッジ本体と、
(C)前記キャリッジ本体が前記カートリッジを受容することに応答して、前記キャリッジ本体に対して第1の位置から第2の位置に移動するように構成されている並進フラグであって、前記センサが、前記第1の位置から前記第2の位置への前記並進フラグの移動を検出するように構成されている、並進フラグと、を備えるキャリッジアセンブリと、を備える
滅菌モジュールと、を備え
、
前記プロセッサは、前記並進フラグの前記第1の位置および前記第2の位置間の距離に基づき、前記カートリッジが前記キャリッジ本体に適切に挿入されているか否かを判定し、前記カートリッジが前記キャリッジ本体に適切に挿入されていると判定された場合に、前記プロセッサは、前記抽出アセンブリが前記カートリッジから前記滅菌剤流体を抽出できる位置まで、前記モータにより前記カートリッジを受容している前記キャリッジ本体を前記抽出アセンブリに向かって駆動させる、滅菌システム。
【請求項2】
前記モータは、前記センサが前記第1の位置から前記第2の位置への前記並進フラグの移動を検出することに応答して、前記キャリッジ本体を
、前記キャリッジ本体が前記抽出アセンブリに向かって駆動する方向である遠位方向に駆動するように構成されている、請求項1に記載の
滅菌システム。
【請求項3】
前記キャリッジ本体が、第1の静止フラグを備え、前記センサが、前記第1の静止フラグを検出するように構成されており、前記モータは、前記センサが、前記第1の位置から前記第2の位置に作動する前記並進フラグを検出することに応答して、前記センサが前記第1の静止フラグを検出するまで、前記キャリッジ本体を
前記遠位方向に駆動するように構成されている、請求項2に記載の
滅菌システム。
【請求項4】
前記プロセッサが、前記第1の位置にある前記並進フラグと前記
第1の静止フラグとの間の第1の距離を計算するように構成されており、前記プロセッサが、
前記第1の距離に基づいて基準距離を記憶するように構成されている、請求項3に記載の
滅菌システム。
【請求項5】
前記プロセッサが、前記第2の位置にある前記並進フラグと前記第1の静止フラグとの間の第2の距離を計算するように構成されている、請求項4に記載の
滅菌システム。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記第2の距離および前記基準距離を比較して、前記カートリッジが前記キャリッジ本体に適切に受容されたか否かを判定し、前記カートリッジが前記キャリッジ本体に適切に受容されていないと判定された場合に、前記モータが、前記キャリッジ本体を
前記遠位方向と反対である近位方向に作動させ、
それにより、前記カートリッジが前記キャリッジ本体に適切に受容されていない旨を作業者に知らせるために前記カートリッジを作業者に再提示するように構成されている、請求項5に記載の
滅菌システム。
【請求項7】
前記キャリッジ本体が、第2の静止フラグを更に備え、前記センサが、前記第2の静止フラグを検出するように構成されており、
前記センサが前記第2の静止フラグを検出するまで、前記モータは、前記キャリッジ本体を
前記遠位方向に作動させるように構成されている、請求項6に記載の
滅菌システム。
【請求項8】
前記モータは、前記センサが前記第2の静止フラグを検出することに応答して、前記キャリッジ本体の作動を停止させるように構成されている、請求項7に記載の
滅菌システム。
【請求項9】
前記並進フラグが、前記第1の位置に向かって弾性的に付勢されている、請求項1に記載の
滅菌システム。
【請求項10】
前記並進フラグが、前記カートリッジと
当接するように構成されている接触壁を備える、請求項1に記載の
滅菌システム。
【請求項11】
前記キャリッジアセンブリが、前記キャリッジ本体に対して前記カートリッジを付勢するように構成されている弾性部材を更に備える、請求項1に記載の
滅菌システム。
【請求項12】
前記並進フラグが孔を画定し、前記センサは、前記並進フラグが前記第1の位置にあるときに前記孔に隣接するように位置付けられている、請求項1に記載の
滅菌システム。
【請求項13】
前記フレーム
アセンブリが、U字型チャネルを画定するセンサ本体を備え、前記センサが、前記U字型チャネル内に位置する、請求項1に記載の
滅菌システム。
【請求項14】
前記キャリッジアセンブリが、前記モータから延在する主ねじを更に備え、前記主ねじが前記キャリッジ本体と関連付けられており、前記モータが前記主ねじを回転させるように構成されており、それにより、前記主ねじが前記キャリッジ本体を並進させるように動作可能である、請求項1に記載の
滅菌システム。
【請求項15】
前記モータがステッピング・モータを備える、請求項1に記載の
滅菌システム。
【請求項16】
前記プロセッサが、前記モータを通して電気制動を提供するように構成されている、請求項1に記載の
滅菌システム。
【請求項17】
(a)少なくとも1つの医療用装置を受容し、
滅菌するように構成されている
滅菌室と、
(b)プロセッサと、
(c)前記
滅菌室と流体連通しており、前記プロセッサと電気通信している
滅菌モジュールと、を備え、前記
滅菌モジュールが、
(i)前記プロセッサと通信しているセンサを備えるフレームアセンブリと、
(ii)前記
滅菌室と流体連通しており、前記プロセッサと電気通信している抽出アセンブリであって、カートリッジから
滅菌剤流体を抽出し、前記
滅菌剤流体を前記
滅菌室に移送するように構成されている、抽出アセンブリと、
(iii)前記フレームアセンブリに対して作動するように構成されているキャリッジアセンブリと、を備え、前記キャリッジアセンブリが、
(A)前記プロセッサと通信しているモータと、
(
B)
前記モータと連結されており、前記モータにより駆動させられ、前記カートリッジを受容するように構成されているカートリッジチャネルを画定するキャリッジ
本体と、
(
C)前記キャリッジアセンブリが前記カートリッジを受容することに応答して、前記キャリッジ
本体に対して第1の位置から第2の位置に移動するように構成されている並進フラグであって、前記センサが、前記第1の位置から前記第2の位置への前記並進フラグの移動を検出するように構成されている、並進フラグと、
(
D)前記キャリッジ
本体に固定された静止フラグであって、前記センサが、前記静止フラグを検出するように構成されており、前記プロセッサが、前記静止フラグと前記第1の位置にある前記並進フラグとの間の第1の距離を測定するように構成されており、前記プロセッサが、前記静止フラグと前記第2の位置にある前記並進フラグとの間の第2の距離を測定するように構成されており、前記プロセッサは、前記カートリッジが前記キャリッジアセンブリ内に適切に挿入されているかどうかを判定するために、前記第1の距離と前記第2の距離とを比較するように構成されている、静止フラグと、を備え
、
前記プロセッサが、前記第1の距離と前記第2の距離との比較結果に基づき、前記カートリッジが前記キャリッジアセンブリ内に適切に挿入されていると判定した場合に、前記プロセッサは、前記モータにより、前記抽出アセンブリが前記カートリッジから滅菌剤流体を抽出できる位置まで、前記カートリッジを受容している前記キャリッジ本体を前記抽出アセンブリに向かって駆動させる、滅菌システム。
【請求項18】
前記並進フラグが、前記第1の位置に対して弾性的に付勢されている、請求項17に記載の
滅菌システム。
【請求項19】
(a)少なくとも1つの医療用装置を受容し、
滅菌するように構成されている
滅菌室と、
(b)プロセッサと、
(c)前記
滅菌室と流体連通しており、前記プロセッサと電気通信している
滅菌モジュールと、を備え、前記
滅菌モジュールが、
(i)前記プロセッサと通信しているセンサを備えるフレームアセンブリと、
(ii)前記
滅菌室と流体連通しており、前記プロセッサと電気通信している抽出アセンブリであって、カートリッジから
滅菌剤流体を抽出し、前記
滅菌剤流体を前記
滅菌室に移送するように構成されている、抽出アセンブリと、
(iii)
キャリッジアセンブリであって、
(A)前記カートリッジを受容するように構成されているカートリッジチャネルを画定するキャリッジ
本体と、
(B)前記キャリッジ
本体が前記カートリッジを受容することに応じて、前記キャリッジ
本体に対して第1の位置から第2の位置に移動するように構成されている並進フラグであって、前記センサが、前記第1の位置から前記第2の位置への前記並進フラグの移動を検出するように構成されている、並進フラグと、を備える、キャリッジアセンブリと、
(iv)前記第1の位置から前記第2の位置への前記並進フラグの移動に応答して、前記キャリッジ
本体を駆動させるように構成されているモータと、を備え
、
前記プロセッサは、前記並進フラグの前記第1の位置および前記第2の位置間の距離に基づき、前記カートリッジが前記キャリッジ本体に適切に挿入されているか否かを判定し、前記カートリッジが前記キャリッジ本体に適切に挿入されていると判定された場合に、前記プロセッサは、前記モータにより、前記抽出アセンブリが前記カートリッジから前記滅菌剤流体を抽出できる位置まで、前記カートリッジを受容している前記キャリッジ本体を前記抽出アセンブリに向かって駆動させる、滅菌システム。
【請求項20】
前記キャリッジ
本体に収まるように構成されている
前記カートリッジを更に備え、前記カートリッジが液体
滅菌剤を格納する、請求項19に記載の
滅菌システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一部の手術器具、内視鏡等の再利用型医療用装置は、汚染された機器が患者に対して使用されることで、患者の感染につながり得る可能性を最小限に抑えるよう、再利用前に滅菌され得る。ガスプラズマ又はエチレンオキシド(EtO)の有無にかかわらず、蒸気、過酸化水素、過酢酸、及び気相殺菌等の種々の滅菌法が用いられてよい。こうした方法はそれぞれ、滅菌される医療用装置上又は医療用装置内部への滅菌流体(例えば、ガス)の拡散率にある程度依存し得る。
【0002】
滅菌前に、医療用装置は、滅菌流体(滅菌剤とも称されることもある)の透過を許容するが、とりわけ滅菌後及び医療関係者がパッケージを開けるまで、汚染微生物の侵入を防止する、半透過性のバリアの付いた容器又はパウチ内に包装され得る。滅菌サイクルを生き残った一部の微生物が増殖して医療用装置を再汚染する恐れがあるので、滅菌サイクルを効果的にするには容器内の汚染微生物を死滅させなければならない。滅菌剤の拡散は、拡散が制約された空間が中にある医療用装置において特に厄介であり、これは、これらの拡散に制約のある空間により、滅菌サイクルが有効であり得る可能性が低下し得るためである。例えば、一部の内視鏡は、滅菌サイクルを首尾よく達成するのに十分な時間にわたって、滅菌剤が十分な濃度で拡散する必要のある1つ又は2つ以上の長い狭域ルーメンを有する。
【0003】
医療用装置の滅菌は、カリフォルニア州アーバインのAdvanced Sterilization ProductsによるSTERRAD(登録商標)システム等の自動滅菌システムによって実施し得る。自動滅菌システムの例は、その開示内容が参照により本明細書に援用される、2005年9月6日発行の「Power System for Sterilization Systems Employing Low Frequency Plasma」と題される米国特許第6,939,519号、その開示内容が参照により本明細書に援用される、2005年2月8日発行の「Sterilization with Temperature-Controlled Diffusion Path」と題される米国特許第6,852,279号、その開示内容が参照により本明細書に援用される、2005年2月8日発行の「Sterilization System Employing a Switching Module Adapter to Pulsate the Low Frequency Power Applied to a Plasma」と題される米国特許第6,852,277号、その開示内容が参照により本明細書に援用される、2002年9月10日発行の「Power System for Sterilization Systems Employing Low Frequency Plasma」と題される米国特許第6,447,719号、その開示内容が参照により本明細書に援用される、2016年4月1日出願の「System and Method for Sterilizing Medical Devices」と題される米国特許出願62/316,722号に記載される。
【0004】
いくつかの滅菌システムは、例えば、気化した化学滅菌剤又は過酸化水素、過酢酸、オゾン、二酸化塩素、二酸化窒素等の化学ガスを使用して医療用装置を滅菌し得る。そのようなシステムの例が、その開示内容が参照によって本明細書に援用される、2002年4月2日発行の「Method of Enhanced Sterilization with Improved Material Compatibility」と題される米国特許第6365102号、及びその開示内容が参照によって本明細書に援用される、2001年12月4日発行の「Apparatus and Process for Concentrating a Liquid Sterilant and Sterilizing Articles Therewith」と題される、米国特許第6325972号に記載される。いくつかのそのようなシステムは、真空室とプラズマ源とを備える過酸化水素/ガスプラズマ滅菌システムを提供し、滅菌用の過酸化水素の濃度増加をもたらしている。いくつかのそのようなシステムは、いくつかの医療用装置のルーメンを、それらの長さが特定の値を超えたときに滅菌することが困難となることがあり、あるいは、そのようなシステムの処理時間が依然として、いくつかの用途には十分に高速でないことがある。したがって、長尺型及び/又は細型可撓性内視鏡等のいくつかの医療用装置は、チャネルの内側に滅菌蒸気が十分に到達しないことが原因で、これらのシステムでは完全に滅菌されないことがある。そのような医療用装置はしたがって、滅菌されることなく単に消毒されるに過ぎないことがある。エチレンオキシドを使用する滅菌システムは、比較的長い(例えば、24時間を超える)処理時間を有することがあり、このことは場合によっては望ましくないことがあり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業者の誤解によって、除染されたものと勘違いされた医療装置が業務に戻される恐れがある。滅菌サイクルが効果的であることを確認することは、医療関係者が汚染された医療用装置を患者に対して使用するのを防止する上で一助となり得る。滅菌された医療用装置自体は、汚染微生物について点検されない場合がある。これは、このような行為によって、他の汚染微生物を医療用装置に取り込んで、それによって医療用装置を再汚染する恐れがあるからである。したがって、滅菌インジケータを使って、間接的なチェックを実施してもよい。滅菌インジケータは、この滅菌インジケータが医療用装置と同じ滅菌サイクルを受けるよう、滅菌サイクルを受ける医療用装置と共に、又はその付近に配置され得る装置のことである。例えば、所定量の微生物を含有する生物学的インジケータを、滅菌室内で医療用装置と共に配置し、滅菌サイクルを受けさせてもよい。サイクル完了後、サイクルを生き残った微生物が存在するか否かを判定するために、生物学的インジケータ内の微生物が培養され得る。生物学的インジケータ内の生存する微生物の存在又は不在は、滅菌サイクルが有効であるか否かを示す。
【0006】
これまでに、外科医用器具の滅菌用に様々なシステム及び方法が作られ、使用されてきたが、本発明者(ら)よりも前に、本明細書に記載される技術を作った者又はこれを用いた者は誰もいないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明は、いくつか実施例に関する以下の説明を添付の図面と併せ読むことによって良好に理解できるものと考えられ、添付の図面では、同様の参照番号が、同じ要素を特定している。
【
図1】例示的な医療用装置用滅菌庫の概略図を示す。
【
図2】
図1の滅菌庫が医療用装置を滅菌するのに実行可能な例示的な組の工程の高レベルの流れ図を示す。
【
図3】
図2のステップの組内で滅菌サイクルの一部として実行され得るステップの例示的な組のフローチャートを示す。
【
図4】
図1の
滅菌庫において容易に使用され得る例示的なカートリッジの斜視図を示す。
【
図6】
図1の
滅菌庫に容易に組み込むことができる例示的なカートリッジ処理アセンブリの斜視図を示す。
【
図7】
図6のカートリッジ処理アセンブリの分解斜視図を示す。
【
図8】
図6のカートリッジ処理アセンブリの例示的なセンサアセンブリの斜視図を示す。
【
図9】
図6のカートリッジ処理アセンブリの例示的なキャリッジアセンブリの斜視図を示す。
【
図10】
図9のキャリッジアセンブリの別の斜視図を示す。
【
図11】
図9のキャリッジアセンブリの遠位部の斜視図を示す。
【
図12】
図9のキャリッジアセンブリの遠位部の分解斜視図を示す。
【
図13】
図9のキャリッジアセンブリの並進フラグの斜視図を示す。
【
図15A】カートリッジの
図6のカートリッジ処理アセンブリへの挿入に備えて、
図9のキャリッジアセンブリと整合された
図4のカートリッジの斜視図を示す。
【
図15B】
図9のキャリッジアセンブリ内に部分的に挿入された
図4のカートリッジの斜視図を示す。
【
図15C】
図9のキャリッジアセンブリに更に挿入された
図4のカートリッジの斜視図を示す。
【
図15D】
図6のカートリッジ処理アセンブリ内で一体的に並進する、
図4のカートリッジ及び
図9のキャリッジアセンブリの斜視図を示す。
【
図16A】
図4のカートリッジに対して整合された
図6のカートリッジ処理アセンブリの例示的な
滅菌剤抽出アセンブリの斜視図を示す。
【
図16B】カートリッジから
滅菌剤を抽出するために、
図4のカートリッジに向かって作動される
図16Aの
滅菌剤抽出アセンブリの斜視図を示す。
【
図17A】
図6のカートリッジ処理アセンブリ内のカートリッジ受容位置にある
図9のキャリッジアセンブリの側面立面図を示す。
【
図17B】
図4のカートリッジがキャリッジアセンブリに部分的に挿入されている、
図6のカートリッジ処理アセンブリ内のカートリッジ受容位置にある
図9のキャリッジアセンブリの側面立面図を示す。
【
図17C】
図4のカートリッジがキャリッジアセンブリに更に挿入されている、
図6のカートリッジ処理アセンブリ内のカートリッジ受容位置にある
図9のキャリッジアセンブリの側面立面図を示す。
【
図17D】
図6のキャリッジ処理アセンブリ内で遠位に作動する
図9のキャリッジアセンブリ及び
図4のカートリッジの側面立面図を示す。
【
図18A】
図8の線18-18に沿って取った、
図4のカートリッジがキャリッジアセンブリに部分的に挿入されている、
図6のカートリッジ処理アセンブリ内のカートリッジ受容位置にある
図9のキャリッジアセンブリの断面図を示す。
【
図18B】
図8の線18-18に沿って取った、
図4のカートリッジがキャリッジアセンブリに更に挿入されている、
図6のカートリッジ処理アセンブリ内のカートリッジ受容位置にある
図9のキャリッジアセンブリの断面図を示す。
【
図18C】
図8の線18-18に沿って取った、
図6のキャリッジ処理アセンブリ内で遠位に作動する
図9のキャリッジアセンブリ及び
図4のカートリッジの断面図を示す。
【
図18D】
図8の線18-18に沿って取った、
図6のキャリッジ処理アセンブリ内で更に遠位に作動する、
図9のキャリッジアセンブリ及び
図4のカートリッジの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本技術の特定の実施例に関する以下の説明は、本技術の範囲を限定するために用いられるべきではない。本技術の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、本技術を実施する上で想到される最良の様式のうちの1つである、実例としての以下の説明より当業者には明らかとなろう。理解されるように、本明細書に記載される技術は、いずれもその技術から逸脱することなく、他の異なる明らかな態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものとみなされるべきである。
【0009】
本明細書に記載される教示、表現、実施形態、実施例等の任意の1つ又は2つ以上のものを、本明細書に記載される他の教示、表現、実施形態、実施例等の任意の1つ又は2つ以上のものと組み合わせることができる点も更に理解されよう。したがって、以下に記載される教示、表現、実施形態、実施例等は、互いに対して分離して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、当業者には直ちに明らかとなろう。かかる改変形態及び変形形態は、特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【0010】
I.例示的な滅菌システムの概要
図1は、内視鏡等の医療用装置を滅菌するように動作可能である例示的な滅菌庫(150)を示している。本実施例の滅菌庫(150)は滅菌室(152)を含み、滅菌室(152)は、滅菌のために1つ又は2つ以上の医療用装置を受容するように構成されている。いくつかの他の形式では(例えば、以下に更に記載されるように)、
滅菌庫(150)は、2つ以上の
滅菌室(152)を含み得る。図示されていないものの、滅菌庫(150)はまた、蹴板の作動に応答して滅菌室(152)を開閉する扉を含む。これにより、作業者は、滅菌室(152)をハンズフリー式に開閉し得る。当然ながら、滅菌室への選択的なアクセスをもたらすために、任意の他の好適な機構が用いられてよい。滅菌庫(150)はまた、滅菌室(152)に格納される医療用装置を滅菌するために、滅菌剤を滅菌室(152)に分配するように動作可能である滅菌モジュール(156)を含む。本実施例において、滅菌モジュール(156)は、ある量の滅菌剤を格納する交換式滅菌剤カートリッジ(158)を受容するように構成されている。実例目的のみとして、各滅菌剤カートリッジ(158)は、5回の滅菌処理を実行するのに十分な滅菌剤を格納し得る。
【0011】
本実施例において、滅菌モジュール(156)は、滅菌室(152)内で蒸気の形態で滅菌剤を適用するように動作可能である。単に一例として、滅菌モジュール(156)は、蒸発器と凝縮器との組み合わせを備えてもよい。蒸発器は、特定の濃度の滅菌溶液(例えば、公称約59%、又は約53%~約59.6%の濃度の液体過酸化水素溶液)を受容する室を含んでもよく、ここで滅菌溶液は液相から気相へと変化する。凝縮器は、滅菌溶液の蒸気の凝縮をもたらし得、その滅菌溶液の濃度はしたがって、水蒸気の除去によって(例えば、公称約59%から、公称約83%~公称約95%の間まで)増加され得る。あるいは、滅菌室(152)内で蒸気の形態で滅菌剤を適用するために、任意の他の好適な方法及び構成要素が用いられてよい。滅菌室(152)内の凝縮は、凝縮を再気化するために滅菌室(152)内の状態を操作することによって取り出すことができる滅菌剤の潜在的なリザーバとして機能し得ることも理解されたい。
【0012】
いくつかの例では、蒸気の形態での滅菌剤の適用を補足するために、滅菌剤はまた、医療用装置が滅菌室(152)内に配置される前に、医療用装置内のルーメン(複数可)の内側及び/若しくは他の内部空間、並びに/又は医療用装置の外側に適用されてもよい。単に例として、
滅菌剤は、医療用装置内のルーメン(複数可)の内側及び/若しくは他の内部空間、並びに/又は医療用装置の外側に、液体形態で適用されてもよい。単に別の例示的な例として、液体
滅菌剤を格納するカプセルが、
滅菌庫(150)の起動後、ルーメン(複数可)と流体連通して配置され得る。医療用装置が滅菌室(152)内に配置される前に、
滅菌剤が医療用装置内のルーメン(複数可)の内側及び/若しくは他の内部空間、並びに/又は医療用装置の外側に適用される形式では、
滅菌剤は、真空が
滅菌室(152)に適用されている間に(例えば、
図3のブロック310に関して以下により詳細に記載されるように)、及び更には真空が適用された後にも蒸発し得、浸透範囲のより少ない医療用装置の領域により高い濃度の
滅菌剤を提供し、それにより、有効な
滅菌を更に促進し得る。
【0013】
更に、本実施例の滅菌庫(150)は、タッチスクリーンディスプレイ(160)を更に含む。タッチスクリーンディスプレイ(160)は、その開示内容が参照により本明細書に援用される、米国仮特許出願第62/316,722号に記載されているもの、種々のユーザインターフェースディスプレイスクリーンをレンダリングするように動作可能である。等当然ながら、タッチスクリーンディスプレイ(160)は、他の種々のスクリーンも同様に表示できる。タッチスクリーンディスプレイ(160)は、従来型タッチスクリーン技術に順じて、ユーザがタッチスクリーンディスプレイ(160)と接触する形態として、ユーザ入力を受信するように更に構成されている。更に、又は代替として、滅菌庫(150)は、限定されないが、ボタン、キーパッド、キーボード、マウス、トラックボール等を含む、他の種々の種類のユーザ入力機能を含んでもよい。
【0014】
本実施例の滅菌庫(150)は、プロセッサ(162)を更に含み、このプロセッサは、滅菌モジュール(156)及びタッチスクリーンディスプレイ(160)と通信する。プロセッサ(162)は、ユーザ入力に従って、滅菌モジュール(156)を駆動する制御アルゴリズムを実行するように動作可能である。プロセッサ(162)は、種々のスクリーンをタッチスクリーンディスプレイ(160)上で表示し、更に、タッチスクリーンディスプレイ(160)を介して(及び/又は他のユーザ入力機能を介して)、ユーザから受信した命令を処理する命令を実行するように更に動作可能である。プロセッサ(162)はまた、滅菌庫(150)の種々の他の構成要素と通信し、これにより、それらの構成要素を駆動し、かつ/又はそれらの構成要素からの入力及び/若しくは他のデータを処理するように動作可能である。本明細書の教示に鑑みて、プロセッサ(162)を形成するのに使用され得る種々の好適な構成要素及び構成が、当業者に明らかとなるであろう。
【0015】
本実施例の滅菌庫(150)は、識別タグリーダー(166)を更に含み、この識別タグリーダーは、本明細書で記載されるとおり、生物学的インジケータの識別タグを読み取るよう動作可能である。例示のみの目的として、識別タグリーダー(166)は、生物学的インジケータの光学識別タグ(例えば、バーコード、QRコード等)を読み取るよう動作可能な光学リーダーを含み得る。更に、又は代替として、識別タグリーダー(166)は、生物学的インジケータのRFID識別タグを読み取るよう動作可能なRFIDリーダーを含み得る。本明細書の教示に鑑みて、識別タグリーダー(166)を形成するのに使用され得る種々の好適な構成要素及び構成が、当業者に明らかとなるであろう。識別タグリーダー(166)を通じて受信されたデータは、プロセッサ(162)を介して処理される。かかるデータは、生物学的インジケータの内容物、生物学的インジケータ源、生物学的インジケータに関連する他の識別情報及び/又は当業者には明らかである種々の他の種類の情報を示し得る。
【0016】
本実施例の滅菌庫(150)は、メモリ(168)を更に含み、このメモリは、滅菌モジュール(156)、タッチスクリーンディスプレイ(160)、通信モジュール(154)及び識別タグリーダー(166)等の構成要素を駆動するために、プロセッサ(162)により実行される制御ロジック及び命令を記憶するよう動作可能である。更に、メモリ(168)を使用して、滅菌サイクルの設定、負荷条件付けサイクルの性能、滅菌サイクルの性能、及び/又は種々の他の種類の情報に関連する結果を記憶できる。本明細書の教示に鑑みて、メモリ(168)が取り得る種々の好適な形態、並びにメモリ(168)が使用できる種々の方法が、当業者に明らかとなるであろう。
【0017】
更に、本実施例の滅菌庫(150)は、滅菌サイクルの設定、負荷条件付けサイクルの性能、滅菌サイクルの性能、及び/又は種々の他の種類の情報に関連する結果等の情報を印刷するのに動作可能なプリンター(170)も、含む。例示のみの目的として、プリンター(170)は、熱プリンターを含められるが、ただし、当然ながら、他の好適な種類のプリンターを使用してもよい。本明細書の教示に鑑みて、プリンター(170)が取り得る種々の好適な形態、並びにプリンター(170)が使用できる種々の方法が、当業者に明らかとなるであろう。また、プリンター(170)が任意に過ぎず、いくつかの形式では省かれてもよいことを理解されたい。
【0018】
本実施例の滅菌庫(150)は、真空源(180)と通気弁(182)とを更に含む。真空源(180)は滅菌室(152)と流体連通しており、プロセッサ(162)とも通信している。したがって、プロセッサ(162)は、1つ又は2つ以上の制御アルゴリズムに従って真空源(180)を選択的に作動させるように動作可能である。真空源(180)が作動されているとき、真空源(180)は、以下で更に詳細に説明するように、滅菌室(152)内の圧力を低減するように動作可能である。通気弁(182)はまた、滅菌室(152)とも流体連通している。加えて、通気弁(182)は、プロセッサ(162)が1つ又は2つ以上の制御アルゴリズムに従って通気弁(182)を選択的に作動させるように動作可能となるように、プロセッサ(162)と通信している。通気弁(182)が作動されているとき、通気弁(182)は、以下で更に詳細に説明するように、滅菌室(152)を大気に通気するように動作可能である。真空源(180)及び通気弁(182)を設けるために使用され得る種々の好適な構成要素が、本明細書の教示に鑑みて当業者には明らかとなろう。
【0019】
上記に加えて、滅菌庫(150)は、その開示内容が参照により本明細書に援用される米国特許第6,939,519号、その開示内容が参照により本明細書に援用される米国特許第6,852,279号、その開示内容が参照により本明細書に援用される米国特許第6,852,277号、その開示内容が参照により本明細書に援用される米国特許第6,447,719号、その開示内容が参照により本明細書に援用される米国特許第6,365,102号、その開示内容が参照により本明細書に援用される米国特許第6,325,972号、及び/又は、その開示内容が参照により本明細書に援用される米国仮特許出願第62/316,722号の教示の少なくとも一部に従って、構成され、動作可能であり得る。
【0020】
II.例示的な滅菌プロセスの概要
図2は、内視鏡等の使用済みの医療用装置を滅菌するために滅菌庫(150)が実施し得る工程の例示的な組の高レベルフローチャートを示す。滅菌庫(150)は、1つ又は2つ以上の滅菌サイクルを実施するように構成されてもよく、種々の滅菌サイクルは、様々なタイプ及び量の医療用装置に適切なものである。したがって、初期工程として、滅菌庫(150)は、タッチスクリーンディスプレイ(160)を介して1つ又は2つ以上の利用可能な滅菌サイクルを表示し、次いでユーザから滅菌サイクルの選択を受信(ブロック200)してもよい。
【0021】
滅菌庫(150)はまた、選択された滅菌サイクルで生物学的インジケータが使用されるべきかどうかを示す命令を表示し、生物学的インジケータ識別を受信してもよい(ブロック202)。そのような生物学的識別(ブロック202)は、識別タグリーダー(166)を介して、タッチスクリーンディスプレイ(160)を介して、ないしは別の方法で与えられてよい。生物学的インジケータは、滅菌サイクルが開始する前に滅菌庫(150)の滅菌室(152)内に配置されてもよく、また滅菌サイクル中に滅菌室(152)内に残存してもよい。したがって、ユーザは、生物学的インジケータを滅菌室(152)に配置する前に、特定の生物学的インジケータを識別することができる。2つ以上の滅菌室(152)が滅菌庫(150)に含まれる形式では、別個の生物学的インジケータが別個の滅菌室(152)に配置されてもよい。各生物学的インジケータは、特定の滅菌サイクルに反応する微生物を含み得る。滅菌サイクルの完了次第、滅菌サイクルの有効性の測度を提供するために、微生物について、生物学的インジケータを試験できる。生物学的インジケータは、全ての滅菌サイクルについて必ずしも必要とされるわけではなく、病院の規則、又は現地の規制に基づいて、要求される場合がある。
【0022】
滅菌サイクルの選択(ブロック200)及び生物学的インジケータの識別(ブロック202)によって、滅菌室(152)内の医療用装置の構成及び配置に関する1つ又は2つ以上の要件が定義され得る。したがって、滅菌サイクル(204)の準備を行うために、滅菌サイクルが選択され(ブロック200)、生物学的インジケータが識別されると(ブロック202)、滅菌庫(150)は、タッチスクリーンディスプレイ(160)を介して、適切な医療用装置の配置を示す表示を提供し得る。この表示は、滅菌サイクルの選択(ブロック200)に基づいて滅菌庫(150)の滅菌室(152)内に医療用装置(複数可)を(そしておそらくは生物学的インジケータを)ユーザが配置するための視覚的ガイドとして機能し得る。ユーザが指図されたとおりに医療用装置(複数可)を(そしておそらくは生物学的インジケータを)滅菌(152)室内に配置することを可能にするために、滅菌室(152)の扉は開放され得る。
【0023】
ユーザがこれらの指図に基づいて滅菌室(152)内に医療用装置を配置すると、ユーザは、開始ボタン、又は医療用装置の配置が完了したことを示す他のボタンを押すことができる。いくつかの形式では、滅菌庫(150)は、適切な医療用装置の配置を自動的に確認するように構成される。単に例として、滅菌庫(150)は、滅菌室(152)内における適切な医療用装置の配置を確認するために、フォトセンサ、イメージングデバイス、重量センサ及び/又は他の構成要素を採用してもよい。しかしながら、滅菌庫(150)のいくつかの形式は、滅菌室(152)内における医療用装置の適切な配置を自動的に確認する性能を持たない場合があることを理解されたい。
【0024】
医療用装置の配置が確認され、かつ/又はユーザが別様にサイクルの準備を完了している(ブロック204)場合、滅菌室(150)は、負荷調整プロセス(ブロック206)を開始し得る。負荷調整プロセス(ブロック206)は、滅菌サイクル中の最適な滅菌に向けて、滅菌室(152)及び滅菌室(152)内の医療用装置(複数可)を準備するものである。調整は、滅菌室(152)の1つ又は2つ以上の特性を制御及び最適化することを含み得る。例えば、負荷調整中、滅菌庫(150)は、例えば、滅菌室(152)内の空気を循環させ除湿し、滅菌室(152)内に真空を生じさせ、滅菌室(152)を加熱すること、及び/又は密閉室を除湿するための他の方法によって、水分レベルを低減しながら、滅菌室(152)内の水分レベルを連続的に監視し得る。これは、水分の許容レベルが到達されていると滅菌庫(150)が判定するまで継続し得る。
【0025】
負荷調整サイクル(ブロック206)の一部として、滅菌庫(150)はまた、例えば、加熱空気の対流、滅菌室(152)の内部表面を通じた伝導によって、かつ/又は他の技法を用いて滅菌室(152)を加熱しながら、滅菌室(152)内の温度を継続的に検出してもよい。これは、許容内部温度が到達されていると滅菌庫(150)が判定するまで継続し得る。温度又は湿度を制御すること等、種々の調整動作が、並行して実施されても順次に実施されてもよい。負荷調整サイクル(ブロック206)は、滅菌室(152)が密閉されていることを確認すること、滅菌室(152)の内容物を確認すること、内容物の体積、内容物の重量、若しくは他の特性等、滅菌室(152)の内容物の物理的特性を確認すること、及び/又は、水分を低減し、温度を上昇させ、かつ/ないしは別の方法で滅菌サイクル(ブロック208)のために滅菌室(152)内の医療用装置を準備するための化学処理、プラズマ処理、若しくは他の種類の処理を含み得る1つ又は2つ以上の調整工程を実施することを確認することができることもまた理解されたい。
【0026】
1つ又は2つ以上の調整動作は、負荷調整サイクル(ブロック206)の一部として実施されているが、滅菌庫(150)は、タッチスクリーンディスプレイ(160)を介して、滅菌サイクル(ブロック208)の実施が開始し得るまでの継続時間をユーザに示す情報を表示し得る。全ての負荷調整基準が正常に満たされると、負荷調整サイクル(ブロック206)は完了し、滅菌サイクル(ブロック208)が次いで実施され得る。したがって、滅菌庫(150)は、負荷調整サイクル(ブロック206)が完了するまで滅菌サイクル(ブロック208)が実際には開始されないように構成されていることを理解されたい。また、負荷調整サイクル(ブロック206)は滅菌庫(150)の動作のいくつかの形式では省略又は変更されてもよいことを理解されたい。
【0027】
上記のように、滅菌庫(150)は、負荷調整サイクル(ブロック206)が完了した後に自動的にかつ直ちに滅菌サイクル(ブロック208)を実施し始め得る。滅菌サイクル(ブロック208)は、滅菌室内の医療用装置(複数可)を加圧滅菌剤ガス、更なる熱処理、化学処理、プラズマ処理、真空処理、及び/又は他の種類の滅菌手順に晒すことを含んでもよい。滅菌サイクル(ブロック208)の実施中、滅菌庫(150)は、滅菌サイクル(ブロック208)の残りの継続時間、滅菌サイクル(ブロック208)の現在の段階(例えば、プラズマ、真空、注入、加熱、化学処理)、及び/又は他の情報等の情報を、タッチスクリーンディスプレイ(160)を介して表示してもよい。
【0028】
いくつかの形式では、滅菌サイクル(ブロック208)は、
図3に示す例示的な副工程を含む。
図3に示される例では、サイクルは、滅菌室(152)内で真空が適用される(ブロック310)ことで開始する。そのような減圧をもたらすために、プロセッサ(162)は、制御アルゴリズムに従って真空源(180)を作動させてもよい。プロセッサ(162)は次いで、十分な減圧レベルが滅菌室(152)内で到達されているかどうかを判定する(ブロック312)。単に例として、プロセッサ(162)は、判定工程(ブロック312)の一部として、滅菌室(152)内の1つ又は2つ以上の圧力センサからのデータを監視してもよい。あるいは、プロセッサ(162)は、単純に所定の期間にわたって真空源(180)を作動させ、真空源(180)が作動されている継続時間に基づいて適切な圧力が滅菌室(152)において到達されていると仮定してもよい。十分な圧力レベルが滅菌室(152)内で達成されているかどうかをプロセッサ(162)が判定し得る(ブロック312)他の好適な方式が、本明細書の教示に鑑みれば当業者には明らかとなろう。適切な圧力レベルが滅菌室(152)内で達成されるまで、真空源(180)は依然として作動されることになる。
【0029】
滅菌室(152)が適切な圧力レベル(例えば、約27Pa~約1333Pa(約0.2トル~約10トル))に到達すると、プロセッサ(162)は次いで、滅菌モジュール(156)を作動させて滅菌室(152)内に滅菌剤を適用する(ブロック314)。プロセスのこの段階は、「移送フェーズ」と呼ばれることもある。単に一例として、滅菌剤は、過酸化水素、ペルオキシ酸(例えば、過酢酸、過ギ酸等)、オゾン、又はそれらの混合物等、酸化剤の蒸気を含んでもよい。更に、滅菌剤は二酸化塩素を含んでもよい。滅菌剤が取り得る種々の他の好適な形態が本明細書に記載されているが、他の形態も、本明細書の教示に鑑みれば当業者には明らかとなろう。また、いくつかの形式では、滅菌剤は上記で説明したようにサイクルのユーザの選択(ブロック200)に基づいて滅菌剤が様々な方式で適用され得る(ブロック314)ことを理解されたい。
【0030】
滅菌剤が滅菌室(152)に適用されると(ブロック314)、プロセッサ(162)は、十分な所定の継続時間が経過したかどうかを判定するための時間を監視する(ブロック316)。単に一例として、この所定の継続時間は、数秒間から数分間であってよい。所定の継続時間が経過するまで、滅菌室(152)は、依然として上記の所定の圧力レベルで密閉状態にあり、適用された滅菌剤は滅菌室(152)内に格納された医療用装置に作用する。いくつかの変形形態では、プロセッサ(162)は、十分な減圧が滅菌室(152)内で維持されているかどうかを一致させるために、滅菌室(152)内の1つ又は2つ以上の圧力センサからのデータを監視してもよい。
【0031】
所定の継続時間が経過した後、プロセッサ(162)は通気弁(182)を作動させて(ブロック318)滅菌室(152)を大気に通気する。いくつかの形式では、滅菌室(152)は、大気圧に到達することが可能であるが、他の変形形態では、滅菌室(152)は単に準大気圧に到達する。プロセスの通気段階は、「拡散フェーズ」と呼ばれることもある。本実施例では、滅菌サイクルは次いで、拡散フェーズの完了後に完了する(ブロック320)。いくつかの他の場合では、真空は、拡散フェーズの完了後に
滅菌室(152)に再度適用され、次いでプラズマが
滅菌室(152)に適用される。
図3に示される全
滅菌サイクル(後に真空が、次いで滅菌が適用される上記の変形形態を含む)が一度完了した後に1回以上繰り返されてもよいことを理解されたい。換言すれば、医療用装置は滅菌室(152)内に残留し、
図3に示す全サイクル(後に減圧が、次いで滅菌が適用される上記の変形形態を含む)の2回以上の繰り返しを経験してもよい。繰り返しの回数は、サイクルの選択(ブロック200)に基づいて異なってもよく、その選択は、滅菌室(152)内で滅菌されている医療用装置の特定の種類によって左右され得る。
【0032】
滅菌サイクル(ブロック208)が完了すると、滅菌庫(150)は、滅菌サイクル(ブロック208)の結果をサイクルし得る(ブロック210)。例えば、エラーが原因で又はユーザの動作によって、滅菌サイクル(ブロック208)がキャンセルされるか又は完了することができない場合、滅菌庫(150)は依然として密閉され得、またタッチスクリーンディスプレイ(160)を介して、滅菌サイクルキャンセルメッセージ、並びに、日付、時間、構成、経過時間、滅菌サイクル作業者、滅菌サイクルが失敗した段階、及び滅菌サイクルの理由を特定するために用いられ得る他の情報等、滅菌サイクルに関連する種々の詳細を表示してもよい。滅菌サイクル(ブロック208)が正常に完了すると、滅菌庫(150)は、滅菌サイクル(ブロック208)が正常に完了したことを示す通知を、タッチスクリーンディスプレイ(160)を介して表示してもよい。加えて、滅菌庫(150)は、滅菌サイクル識別子、滅菌サイクルタイプ、開始時間、持続時間、作業者、及び他の情報(666)等の情報を表示してもよい。
【0033】
いくつかの変形形態では、滅菌室(152)内に格納された医療用装置を加熱するために、プレプラズマが滅菌サイクル(ブロック208)において適用されてもよい。単に例として、プラズマは、真空の適用(ブロック310)と滅菌剤の適用(ブロック314)との間に適用されてもよい。それに加えて、又は代替として、滅菌室(152)内に格納された医療用装置の表面に吸収され得る任意の残存滅菌剤を分解するために、ポストプラズマが滅菌サイクル(ブロック208)の最後に適用されてもよい。ポストプラズマを適用する前に、まず減圧が滅菌室(152)に適用されることが必要となることを理解されたい。
【0034】
単に例として、
図3に示されるプロセスは、滅菌室(152)の壁が約30℃~約56℃、より具体的には約47℃~約56℃、更により具体的には約50℃であり、滅菌室(152)内の医療用装置の温度が約5~10℃と約40~55℃との間である温度で実行され得る。
【0035】
上記に加えて、滅菌庫(150)は、その開示内容が参照により本明細書に援用される米国特許第6,939,519号、その開示内容が参照により本明細書に援用される米国特許第6,852,279号、その開示内容が参照により本明細書に援用される米国特許第6,852,277号、その開示内容が参照により本明細書に援用される米国特許第6,447,719号、その開示内容が参照により本明細書に援用される米国特許第6,365,102号、その開示内容が参照により本明細書に援用される米国特許第6,325,972号、及び/又は、その開示内容が参照により本明細書に援用される米国仮特許出願第62/316,722号の教示の少なくとも一部に従って滅菌プロセスを実施するように構成され得る。
【0036】
上記の例は、医療用装置を、特に内視鏡を滅菌する状況で説明されているが、本明細書の教示はまた、種々の他の種類の物品を滅菌する状況で容易に適用され得ることを理解されたい。これらの教示は、内視鏡又は他の医療用装置に限定されるものではない。本明細書の教示に従って滅菌され得る他の好適な物品が、当業者には明らかとなろう。
【0037】
III.例示的なカートリッジの概要
上述のように、
滅菌モジュール(156)は、
滅菌剤を
滅菌室(152)に分配するために、ある一定量の滅菌剤を格納する交換式
滅菌剤カートリッジ(158)を受容するように構成されている。次いで、
滅菌室(152)は、
滅菌室(152)内に格納された医療用装置を
滅菌するために、交換式
滅菌剤カートリッジ(158)から
滅菌剤を利用することができる。
図4~5は、
滅菌剤カートリッジ(158)が取り得る例示的な形態を示す。特に、
図4~5は、
滅菌モジュール(156)において容易に使用され得る
滅菌剤カートリッジ(400)を示す。
【0038】
本実施例の滅菌剤カートリッジ(400)は、近位端(406)から遠位端(404)まで延在する本体(402)を含む。本体(402)は複数の個々のリザーバセル(408)を画定する。各リザーバセル(408)は、他のリザーバセル(408)の滅菌剤から単離され得る既定量の滅菌剤を格納し得る。各リザーバセル(408)は一対のアクセス凹部(410)も画定する。アクセス凹部(410)は、リザーバセル(408)に滅菌剤を格納するように構成されているが、リザーバセル(408)から滅菌剤を取り出すために貫通可能でもある。以下により詳細に記載されるように、抽出アセンブリは、アクセス凹部(410)を介して、リザーバセル(408)から滅菌剤を選択的に取り出すことができる。現在の例では、単一のカートリッジ(400)内に複数リザーバセル(408)が存在するが、本明細書の教示に鑑みて当業者には明らかであるように、1つのリザーバセル(408)又は任意の他の好適な数のリザーバセル(408)が存在し得ることを理解されたい。
【0039】
図5で最も良くわかるように、
滅菌剤カートリッジ(400)の本体(402)は、情報領域(412)も含む。情報領域(412)は、かかる情報をプロセッサ(162)に通信するために、
滅菌モジュール(156)上の他の機器が読み取ることができる情報を格納し得る。情報領域(412)は、
滅菌剤カートリッジ(400)が以前に既に使用されたか否かにかかわらず、カートリッジ(400)内の
滅菌剤の使用期限等の
滅菌剤カートリッジ(400)に関する読み取り可能な情報又は本明細書の教示に鑑みて当業者には明らかであろう任意の他の好適な情報を格納し得る。単に例として、情報領域(412)は、バーコード、QRコード及び/若しくは任意の他の光学的に読み取り可能な印、RFIDタグ、並びに/又は任意の他の好適な種類の機械読み取り可能な印を含み得る。
【0040】
IV.例示的なカートリッジ処理アセンブリ
図6~7は、上述の
滅菌モジュール(156)に容易に組み込むことができる例示的なカートリッジ処理アセンブリ(500)を示す。したがって、カートリッジ処理アセンブリ(500)の任意の好適な部分がプロセッサ(162)と通信してもよく、そのため、プロセッサ(162)はカートリッジ処理アセンブリ(500)の選択された部分から情報を受信し、又はそこに命令を送信することができる。かかる通信は、本明細書の教示に鑑みて当業者には明らかであるように、任意の好適な手段を通して確立され得る。例えば、無線又は有線通信を利用することができる。また、カートリッジ処理アセンブリ(500)の選択された部分が
滅菌室(152)等の
滅菌庫(150)の他の好適な構成要素と流体連通していてもよいことも理解されたい。かかる流体連通は、本明細書の教示に鑑みて当業者には明らかであるように、任意の好適な手段を通して確立され得る。
【0041】
カートリッジ処理アセンブリ(500)は、交換式滅菌剤カートリッジ(400)を受容し、カートリッジ(400)が使用可能であることを確認するために交換式滅菌剤カートリッジ(400)上に格納された情報を読み取り、カートリッジ(400)及びカートリッジ処理アセンブリ(500)の部分を作動させて、個々のリザーバセル(408)から滅菌剤を抽出するように構成されている。場合によっては、作業者が正しくない角度で及び/又は非常に強い力でカートリッジ(400)をカートリッジ処理アセンブリ(500)に挿入する可能性がある。いくつかのかかる場合には、カートリッジ(400)はカートリッジ処理アセンブリ(500)の選択された部分を気付かずに作動させ、それによりカートリッジ処理アセンブリ(500)及び/又はカートリッジ(400)のある作動部分がずれる場合がある。いくつかの他の場合には、作業者が他の不適切な技法により不適切にカートリッジ(400)をカートリッジ処理アセンブリ(500)に挿入し、それによりカートリッジ処理アセンブリ(500)及び/又はカートリッジ(400)のある作動部分がずれる場合がある。したがって、カートリッジ処理アセンブリ(500)及び/又はカートリッジ(400)自体のある作動部分がずれることなく、カートリッジ(400)がカートリッジ処理アセンブリ(500)に適切に挿入されたかどうかを確認することが望ましい場合がある。カートリッジ(400)がカートリッジ処理アセンブリ(500)のある作動部分からずれるのを積極的に防止することが更に望ましい場合がある。
【0042】
本実施例のカートリッジ処理アセンブリ(500)は、フレームアセンブリ(502)、抽出アセンブリ(520)、センサアセンブリ(530)、キャリッジアセンブリ(540)、及びキャリッジ作動アセンブリ(590)を含む。フレームアセンブリ(502)は、モータ取付台(506)、抽出取付台(508)、センサ取付台(510)、レール支持体(512)、スライドレール(514)、及びIDリーダーセンサ(518)を収容するIDリーダー本体(516)を含む、本体(504)を含む。モータ取付台(506)は、キャリッジ作動アセンブリ(590)のモータ(592)に取り付けるように構成されている。モータ取付台(506)は、モータ(592)から延在する主ねじ(594)を受容するように構成されている穴(505)も画定する。本体(504)は、主ねじ(594)が本体(504)に対してその自身の長手方向軸の周囲を回転することができるように、主ねじ(594)を回転支持するように構成されている回転ベアリング(507)も含む。
【0043】
抽出取付台(508)は、抽出アセンブリ(520)を支持するために、抽出アセンブリ(520)の選択された部分に取り付けるように構成されている。抽出取付台(508)は、抽出アセンブリ(520)の作動部分のガイドとして作用するように構成されているスライドスロット(509)を含む。センサ取付台(510)は、センサアセンブリ(530)がフレームアセンブリ(502)の本体(504)に対して固定されるように、センサアセンブリ(530)に取り付けるように構成されている。以下により詳細に記載されるように、センサアセンブリ(530)は、カートリッジ(400)及びキャリッジアセンブリ(540)が互いに及びフレームアセンブリ(502)に対して適切に整合されていることを確認するために、フレームアセンブリ(502)に対して固定される。スライドレール(514)は、本体(504)に沿って延在し、レール支持体(512)に取り付けられる。以下により詳細に記載されるように、スライドレール(514)は、キャリッジアセンブリ(540)の一部分と摺動可能に連結する。
【0044】
IDリーダー本体(516)はIDリーダーセンサ(518)を収容する。IDリーダーセンサ(518)はプロセッサ(162)と通信する。IDリーダーセンサ(518)は、上述の識別タグリーダー(166)と実質的に類似してもよい。IDリーダーセンサ(518)は、カートリッジ処理アセンブリ(500)に挿入されるカートリッジ(400)に関連する任意の好適な情報を読み取り、その情報をプロセッサ(162)に送信することができる。IDリーダーセンサ(518)は、カートリッジ(400)の使用期限に関する情報を読み取るか、又はカートリッジ(400)が以前に使用されたかどうかを判定することができる。プロセッサ(162)が、カートリッジがその使用期限を過ぎたか、又は以前に使用されたことを示す情報を受信した場合、プロセッサ(162)は、カートリッジ(400)が使用されないように、カートリッジ処理アセンブリ(500)にカートリッジ(400)を取り出すように指示することができる。当然ながら、任意の他の好適な情報がIDリーダーセンサ(518)によって読み取られてもよく、これは、本明細書の教示に鑑みて当業者には明らかであるように、任意の他の好適な機能についてプロセッサ(162)に通信されてもよい。IDリーダーセンサ(518)が(412)上に提示された情報を自動的に読み取るように位置付けられ、構成されていてもよく、この読み取りが、カートリッジ(400)がキャリッジアセンブリ(540)に挿入されるときに自動的に生じてもよいことを理解されたい。
【0045】
図16A~16Bで最も良くわかるように、抽出アセンブリ(520)は、抽出機構(522)、抽出機構(522)に取り付けられた一対の針(524)、アクチュエータ(526)並びに抽出機構(522)及びアクチュエータ(526)の両方に連結されたシャフト(528)を含む。以下により詳細に記載されるように、抽出アセンブリ(520)は、カートリッジ(400)のリザーバセル(408)から
滅菌剤を取り出すために使用され得る。
【0046】
アクチュエータ(526)は、抽出取付台(508)に取り付けられ、プロセッサ(162)と通信する。アクチュエータ(526)は、フレームアセンブリ(502)に対してシャフト(528)及び抽出機構(522)を移動するように構成されている。したがって、プロセッサ(162)は、フレームアセンブリ(502)に対してシャフト(528)及び抽出機構(522)を移動するようにアクチュエータ(526)に命令することができる。単に例として、アクチュエータ(526)は、ソレノイドを含み得る。アクチュエータ(526)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示に鑑みて当業者には明らかであろう。
【0047】
抽出機構(522)は針(524)と流体連通しており、滅菌室(152)とも流体連通している。抽出機構(522)は、針(524)でカートリッジ(400)から滅菌剤を取り出し、滅菌剤を滅菌室(152)に移送するように構成されている。本明細書の教示に鑑みて当業者には明らかであるように、抽出機構(522)は、カートリッジ(400)から滅菌剤を抽出するために、エアポンプ、弁及び任意の他の好適な構成要素を含み得る。抽出機構(522)は、抽出機構(522)の機械的構造を選択的に起動するために、プロセッサ(162)と通信していてもよい。
【0048】
抽出機構(522)は、アクチュエータ(526)が起動されるとき、抽出機構(522)がスライドレール(514)内を摺動するように、スライドレール(514)と摺動可能に連結される。
図16A~16Bで最も良くわかるように、カートリッジ(400)がリザーバセル(408)のアクセス凹部(410)と適切に整合されるとき、アクチュエータ(526)は、針(524)がリザーバセル(408)のアクセス凹部(410)を貫通するように、カートリッジ(400)に向かって抽出機構(522)を駆動することができる。本明細書の教示に鑑みて当業者には明らかであるように、プロセッサ(162)は、次に、
滅菌剤をリザーバセル(408)から取り出し、
滅菌剤を
滅菌庫(150)の他の好適な部分に移送するために、抽出機構(522)の機械的構造を起動することができる。
【0049】
キャリッジ作動アセンブリ(590)は、モータ(592)及び主ねじ(594)を含む。モータ(592)は、主ねじ(594)の長手方向軸の周囲を、主ねじ(594)を回転させるように構成されている。以下により詳細に記載されるように、主ねじ(594)のねじ切りは、主ねじ(594)の回転が主ねじ(594)の長手方向軸に沿ってキャリッジアセンブリ(540)の長手方向の並進を駆動するように、キャリッジアセンブリ(540)の相補的ねじ切りと噛み合う。モータ(592)は主ねじ(592)を回転させることができるため、モータ(592)は、次に、主ねじ(594)を介してフレームアセンブリ(502)に対してキャリッジアセンブリ(540)を長手方向に駆動することができる。フレームアセンブリ(502)が静止状態に保持されるべきであるとき、プロセッサ(162)は電気モータ制動を提供するようにモータ(592)を起動し、これにより、意図しない主ねじ(594)の回転が防止され、したがって、意図しないキャリッジアセンブリ(540)の並進を防止する。例えば、電気モータ制動がモータ(592)を介して提供されない場合、キャリッジアセンブリ(540)に対して作用する長手方向力、例えばキャリッジ(400)をキャリッジアセンブリ(540)に挿入する作業者によりもたらされる過剰な力等は、キャリッジアセンブリ(540)の相補的ねじ切りと主ねじ(592)との間に摩擦係合をもたらす場合がある。相補的ねじ切り間の摩擦係合は、意図しない主ねじの回転をもたらす場合があり、意図しないキャリッジアセンブリ(540)の並進につながる。電気制動がモータ(592)を介して適用される場合、キャリッジアセンブリ(540)に対して作用するかかる長手方向力は、偶発的に主ねじ(592)を回転させ、キャリッジアセンブリ(540)を並進させるほど強くない可能性がある。本明細書の教示に鑑みて、電気制動がモータ(592)を介して適用され得る種々の好適な方法が当業者には明らかであろう。機械制動が電気モータ制動の使用に加えて又はその代わりに使用され得ることも理解されたい。
【0050】
モータ(592)は、モータ(592)がプロセッサ(162)から命令を受信することができるように、プロセッサ(162)と通信してもよい。単に例として、モータ(592)は、ステッピング・モータ又は本明細書の教示に鑑みて当業者には明らかであろう任意の他の好適なモータアセンブリを備え得る。モータ(592)は、本明細書の教示に鑑みて当業者には明らかであろう任意の好適な数の構成要素を含み得る。プロセッサ(162)は、プロセッサ(162)が前の命令に基づいてモータ(592)の回転位置を推測し得るように、モータ(592)を回転させるその前の命令を記憶することができ、したがって、プロセッサ(162)は、主ねじ(594)の回転位置を推測することができる。あるいは、モータ(592)は、主ねじ(594)の回転位置をプロセッサ(162)に通信するように構成されている回転センサ(例えば、エンコーダーアセンブリ)を有し得る。当然ながら、本明細書の教示に鑑みて当業者には明らかであるように、任意の他の好適な回転位置測定機器が使用され得る。
【0051】
キャリッジアセンブリ(540)及びカートリッジ(400)がフレームアセンブリ(502)に対して適切に挿入され、位置する場合、主ねじ(594)の回転位置は、フレームアセンブリ(502)に対してキャリッジアセンブリ(540)の長手方向位置に相関し得る。したがって、プロセッサ(162)は、キャリッジアセンブリ(540)が適切に位置する場合、主ねじ(594)の回転位置に基づいてキャリッジアセンブリ(540)の長手方向位置を正確に予測することができる。次に、プロセッサ(162)は、カートリッジ(400)がリザーバセル(408)から滅菌剤を取り出すために上述のように正確な遷移で抽出アセンブリ(520)と適切に整合されるように、キャリッジアセンブリ(540)及び適切に挿入されたカートリッジ(400)を並進させるために主ねじ(594)を回転させるようモータ(592)に命令し得る。
【0052】
リザーバセル(408)から滅菌剤を取り出すために、カートリッジ(400)を抽出アセンブリ(520)と整合するためにモータ(592)を利用する前に、キャリッジアセンブリ(540)及び新しく挿入されたカートリッジ(400)の位置を確認することが望ましい場合がある。キャリッジアセンブリ(540)及び/又はカートリッジ(400)が適切に整合されていない場合、抽出アセンブリ(520)は、アクセス凹部(410)を貫通する針(524)を介して滅菌剤を取り出そうと試みたとき、カートリッジ(400)と適切に整合していない可能性がある。針(524)がアクセス凹部(410)と整合していない場合、針(524)、カートリッジ(400)、抽出機構(524)、抽出アセンブリ(520)の他の構成要素及び/又はカートリッジ処理アセンブリ(500)が破損する可能性がある。したがって、確保された一貫性を持って、キャリッジアセンブリ(540)及びフレームアセンブリ(502)に対して新しく挿入されたカートリッジ(400)を正確に位置付け、フレームアセンブリ(502)に対してキャリッジアセンブリ(540)を位置付けることが望ましい場合がある。以下の説明は、キャリッジアセンブリ(540)及びフレームアセンブリ(502)に対する新しく挿入されたカートリッジ(400)の正確な位置、並びにフレームアセンブリ(502)に対するキャリッジアセンブリ(540)の正確な位置における一貫性を確保にするために使用され得る、例示的な構成要素及び技法に関する。
【0053】
A.例示的なセンサアセンブリ
図8に最も良く示されるように、本実施例のセンサアセンブリ(530)は、U字型チャネル(534)を画定するハウジング(532)、U字型チャネル(534)内に位置する対向する光センサ(536)、取付台(538)、及び電気接点(535)を含む。ハウジング(532)は、取付台(538)を介してセンサ取付台(510)に対して固定される。電気接点(535)は、光センサ(536)とプロセッサ(162)との間の通信を提供するように構成されている。ワイヤ(図示せず)がかかる通信を提供するために電気接点(535)とプロセッサ(162)との間に延在してもよいことを理解されたい。
【0054】
ハウジング(532)は、キャリッジアセンブリ(540)の部分がフレームアセンブリ(502)に対して作動するとき、U字型チャネル(534)がキャリッジアセンブリ(540)の選択された部分を受容し得るように、フレームアセンブリ(502)内に位置する。光センサ(536)は、光センサ(536)が互いに面するようにハウジング(352)のU字型チャネル(534)の両側に配置される。光センサ(536)は、キャリッジアセンブリ(540)の一部がハウジング(532)のU字型チャネル(534)内及び光センサ(536)間に位置するときに検出するように構成されている。光センサ(536)は、キャリッジアセンブリ(540)の一部が光センサ(536)間で検出されるとき、並びにキャリッジアセンブリ(540)の一部が光センサ(536)間で検出されないときに、プロセッサ(162)と通信し得る。したがって、光センサ(536)は、光センサ(536)間の物体の存在又は不在に基づいて動作を開始するためのプロセッサ(162)のトリガとして作用し得る。以下により詳細に記載されるように、プロセッサ(162)は、カートリッジ及びキャリッジ位置決めプロセス、並びにカートリッジ(400)からの滅菌剤の抽出に備えたホーミングプロセスを実行するために、光センサ(536)からのシグナルを利用し得る。プロセッサ(162)は、モータ(592)の回転変位の計数等、他の動作/機能を開始及び停止させるためにも、光センサ(536)からのシグナルを利用し得る。換言すれば、光センサ(536)はプロセッサ(162)の計数プロセスを開始及び停止させ得る。
【0055】
本実施例においてはU字型チャネル(534)間の物体の存在を検出するために光センサ(536)が使用されるが、任意の他の好適なトリガ機構を使用することができる。例えば、付勢されたカムトリガがU字型チャネル(534)内に位置してもよく、これにより、キャリッジアセンブリ(540)がU字型チャネル(534)を通って移動するときに、キャリッジアセンブリ(540)の部分は、付勢されたカムトリガに対してカムとなって(cam against)、物体がハウジング(532)内に位置するというシグナルを発する。使用され得る他の好適な種類のセンサは、本明細書の教示に鑑みて当業者には明らかであろう。
【0056】
B.例示的なキャリッジアセンブリ
図9~
図12で最も良くわかるように、キャリッジアセンブリ(540)は近位部(566)から遠位部(564)まで延在する。キャリッジアセンブリ(540)は、側部パネル(542)、頂部パネル(544)、底部パネル(546)、底部パネル(546)の下面に固定されたナット(550)、底部パネル(546)に摺動可能に連結された並進フラグ(570)、並びに底部パネル(546)から下向きに延在する第1及び第2の静止フラグ(560、562)を含む。以下により詳細に記載されるように、並進フラグ(570)、第1の静止フラグ(560)及び第2の静止フラグ(562)は、カートリッジ(400)のキャリッジアセンブリ(540)への適切な挿入の確認を提供する、キャリッジアセンブリ(540)がカートリッジ処理アセンブリ(500)内に適切に位置することを確認する、並びに抽出プロセスに備えてキャリッジアセンブリ(540)及び挿入されたカートリッジ(400)を適切に元に戻すために、センサアセンブリ(530)のU字型チャネル(534)を通って並進するように構成されている。
【0057】
側部フランジ(542)は、キャリッジアセンブリ(540)の遠位部(564)に位置するカートリッジ停止部(568)を含む。頂部パネル(544)は、頂部パネル(544)の端部から延在する下向きに延在するフランジ(545)及び近位に存在するフランジ(541)を含む。加えて、底部パネル(546)は、底部パネル(546)の端部から延在する上向きに延在するフランジ(547)及び近位に存在するフランジ(541)を含む。上向きに延在するフランジ(547)は、キャリッジアセンブリ(540)の遠位部(564)で終わる板ばね(548)を含む。側部パネル(542)、頂部パネル(544)、底部パネル(546)、下向きに延在するフランジ(545)及び上向きに延在するフランジ(547)は共にカートリッジチャネル(543)を画定する。
図15A~15Bで最も良くわかるように、カートリッジチャネル(543)は、カートリッジ(400)の遠位端(404)を受容するために、カートリッジアセンブリ(540)の近位部(566)で開放されている。近位に存在するフランジ(541)は、カートリッジ(400)が初期のカートリッジ(400)の挿入中にカートリッジチャネル(543)と必ずしも完全に整合する必要がないように、カートリッジ(400)の遠位端(404)の挿入を調節し、カートリッジ(400)に誘導導入を提供し得る。カートリッジ停止部(568)は、カートリッジ(400)の遠位端(404)がカートリッジ停止部(568)を過ぎて摺動するのを防止するように構成されている。板ばね(548)は、カートリッジ(400)が適切に挿入されたときに、カートリッジ(400)が側部パネル(542)に対して押し付けられることを確実にするために、側部パネル(542)に対して横方向にカートリッジ(400)の隣接部分を押すように構成されている。
【0058】
頂部パネル(544)は、2つのフランジ(556)を含み、それぞれ開口部(558)を画定する。開口部(558)は、キャリッジアセンブリ(540)がスライドレール(514)によって画定された通路に沿って並進し得るように、スライドレール(514)を摺動可能に受容するように寸法決定される。
【0059】
図11~12で最も良くわかるように、ナット(550)は、付勢ばね(588)と連結するように構成されている、遠位に存在するフック(549)を含む。以下により詳細に記載されるように、付勢ばね(588)は、近位位置に向かってキャリッジアセンブリ(540)の残りの部分に対して並進フラグ(570)を付勢するために、並進フラグ(570)と接続される。ナット(550)は、近位穴(552)及び遠位ねじ穴(554)も画定する。近位穴(552)及び遠位ねじ穴(554)は、主ねじ(594)を受容するように寸法決定される。特に、ねじ穴(554)は、主ねじ(594)の回転がナット(550)及びキャリッジアセンブリ(540)の残りの部分を主ねじ(594)の長手方向軸に沿って長手方向に駆動するように、主ねじ(594)のねじ部と相補的なねじ切りを含む。キャリッジ(540)は、フランジ(556)を介してスライドレール(514)と連結されるため、キャリッジアセンブリ(540)は主ねじ(594)の回転に応答して回転しない。換言すれば、フランジ(556)及びスライドレール(514)は、キャリッジアセンブリ(540)の並進は可能にするが、キャリッジアセンブリ(540)を回転固定し、そのため、主ねじ(594)の相補的ねじ切りとねじ穴(554)との間の摩擦係合はキャリッジアセンブリ(540)のみを並進させる。本実施例では、遠位穴(554)はねじ切りされ、近位穴(552)はねじ切りされないが、本明細書の教示に鑑みて当業者には明らかであるように、任意の他の好適なねじ穴の組み合わせを利用することができる。例えば、両穴(552、554)がねじ切りされ得るか、又は近位穴(552)のみがねじ切りされ得る。
【0060】
図11~14で最も良くわかるように、並進フラグ(570)は、横方向にオフセットのアーム(585)で互いに連結される、連結部分(572)及びフラグ部分(580)を含む。上述のように、及び以下により詳細に記載されるように、並進フラグ(570)の一部はセンサアセンブリ(530)のU字型チャネル(534)を通って並進するように構成されている。特に、フラグ部分(580)は、センサアセンブリ(530)のU字型チャネル(534)を通って並進するように構成されている。加えて、上述のように、並進フラグ(570)は、静止フラグ(560、562)を含む、キャリッジアセンブリ(540)の残りの部分に対して並進するように構成されている。以下により詳細に記載されるように、並進フラグ(570)及び静止フラグ(560、562)は、キャリッジアセンブリ(540)に対して挿入されたカートリッジ(400)の配置を比較し、主ねじ(594)に沿ったキャリッジアセンブリ(540)の適切な位置を確認するために利用され得る。
【0061】
連結部分(572)は、接触壁(574)、細い部材(576)、上部横方向突起部(578)及び下部横方向突起部(579)を含む。以下により詳細に記載されるように、連結部分(572)は、キャリッジアセンブリ(540)の底部パネル(546)と摺動可能に連結するように構成されている。細い部材(576)、上部横方向突起部(578)及び下部横方向突起部(579)は、スロット(565)を画定する底部パネル(546)の一部を受容するように構成されている誘導通路(575)を画定する。特に、細い部材(576)は、スロット(565)内を摺動するように構成されているが、上部横方向突起部(578)及び下部横方向突起部(579)は、それぞれ、底部パネル(546)の頂面及び底面上に静置する。連結部分(572)は、付勢ばね(588)と連結するように構成された連結穴(589)も画定する。上述のように、
図11で最も良くわかるように、付勢ばね(588)の一端は、付勢ばね(588)がスロット(565)内の近位位置に並進フラグ(570)を付勢することができるように、ナット(550)のフック(549)と連結するように構成されている。細い部分(576)は、並進フラグ(270)が近位位置にあるとき、底部パネル(546)によって画定されたスロット(565)の近位端で終わる。以下により詳細に記載されるように、並進フラグ(570)は、カートリッジ(400)がキャリッジアセンブリ(540)のカートリッジチャネル(543)内に挿入されたことに応答して、底部パネル(546)のスロット(565)内を遠位に並進するように構成されている。特に、並進フランジ(570)は、カートリッジ(400)の遠位端(404)が並進フラグ(570)の接触壁(574)を押圧したことに応答して、スロット(565)内を並進し得る。
【0062】
図13~14で最も良くわかるように、フラグ部分(580)は、孔(584)を画定するフラグ本体(582)を含む。横方向にオフセットのアーム(585)は、フラグ部分(580)が第1の静止フラグ(560)及び第2の静止フラグ(562)と横方向に整合するように、下部横方向突起部(579)から延在する。したがって、キャリッジアセンブリ(540)が主ねじ(594)の回転により並進するとき、並進フラグ(570)、第1の静止フラグ(560)及び第2の静止フラグ(562)は、センサアセンブリ(530)のU字型チャネル(534)内を並進し得る。
【0063】
C.カートリッジ処理アセンブリの例示的な使用
図15A~15D及び
図17A~18Dは、カートリッジ(400)のキャリッジアセンブリ(540)への例示的な挿入を示す。以下により詳細に記載されるように、センサアセンブリ(530)及びキャリッジアセンブリ(540)は、カートリッジ(400)のキャリッジ処理アセンブリ(500)への適切な挿入を確認する、及び適切に挿入されたカートリッジ(400)から
滅菌剤を抽出するのに備えて、キャリッジアセンブリ(540)を基本位置に並進するのに役立ち得る。
【0064】
最初に、
図15A及び17Aに示されるように、キャリッジアセンブリ(540)はフレームアセンブリ(502)内の近位カートリッジ受容位置に位置付けられている。作業者は、キャリッジアセンブリ(540)をカートリッジ受容位置に作動させるために、タッチスクリーンディスプレイ(160)を介してユーザ入力を提供することができる。あるいは、プロセッサ(162)は、カートリッジ(400)がキャリッジアセンブリ(540)内にないとき、又は本明細書の教示に鑑みて当業者には明らかであろう任意の他の好適な状態に応答して、キャリッジアセンブリ(540)をカートリッジ受容位置に移動するようにカートリッジ作動アセンブリ(590)に自動的に命令することができる。
【0065】
キャリッジアセンブリ(540)がフレームアセンブリ(502)内の近位カートリッジ受容位置に並進する前に(
図15A及び17Aに示されるように)、プロセッサ(162)が近位位置にある並進フラグ(570)と第1の静止フラグ(560)との間の距離を測定してもよいことを理解されたい。以下により詳細に記載されるように、この測定は、基準参照として使用され、第1の静止フラグ(560)と遠位位置の並進フラグ(570)との間の距離と比較され得る。この比較は、カートリッジ(400)が指定された公差内でキャリッジアセンブリ(540)に適切に挿入されたかどうかを判定するために更に使用され得る。いくつかの形式では、
滅菌庫(150)に最初に電源を入れたとき、又はその直後に開始される初期化ルーチンの一部として、この基準参照の距離が測定され得る。例えば、このルーチンの一部として、プロセッサ(162)は、最初に基本位置に、次にキャリッジ(540)が新しいカートリッジ(400)を受容するように位置付けられている近位位置にキャリッジ(540)を駆動するために、モータ(592)を起動することができる。
【0066】
最初に基本位置に、次にキャリッジ(540)が新しいカートリッジ(400)を受容するように位置付けられている近位位置に並進される、キャリッジ(540)のこの基準参照計算ルーチンが、滅菌剤が最後のリザーバセル(408)対から抽出されたとき、カートリッジ(400)が期限切れと思われるとき、作業者が手動でルーチンを開始するとき、及び/又は任意の他の好適な時間でも自動的に行われてもよいことも理解されたい。このルーチンが行われるときはいつでも、基準参照が再計算されて、基準参照の動的学習を提供することができる。これにより、基準参照ができる限り現在のままであることを確実にすることができ、これは時間と共に自然と生じ得る庫(150)における物理的変化を考慮する方法を提供し得る。例えば、ばね(588)は、時間と共に摩耗し得、これは、基準参照値にわずかだが、意味のある変化をもたらし得る。基準参照を頻繁に更新することを確実にすることにより、プロセッサ(162)は、本明細書に記載される位置決め確認ルーチン中、かかる物理的変化が偽陽性又は偽陰性結果を提供することを防止し得る。庫(150)内の機械部品が種々の公差を有することも理解されたい。本明細書に記載される基準参照の動的学習を提供することにより、プロセッサ(162)は、これらの公差に独立した補償を提供する。換言すれば、庫(150)が初回に使用される前でも(すなわち、部品が摩耗していない又は変形等していないような)、異なる庫(150)は、単純に機械公差により異なる基準参照値を提供する可能性があり、また基準参照の動的学習は、特に特定の庫(150)に適した基準参照を提供するためにかかる公差を考慮し得る。さもなければ、庫(150)の一群は、ある特定の既定基準参照値を全て既定されていた場合、その特定の基準参照値は、機械公差により提供された、わずかだが、意味のある物理的相違により、その群の1つ又は2つ以上の庫(150)には不適切である可能性がある。
【0067】
上述のように、プロセッサ(162)は、プロセッサ(162)が回転モータ(592)の回転変位を追跡することができるように、モータ(592)と通信している。モータ(592)の回転変位は、プロセッサ(162)が計算し得るキャリッジアセンブリ(540)の長手方向位置における変化と相関し得る。加えて及び上述のように、光センサ(536)は、プロセッサ(162)が、センサ(536)が物体を検出する又は検出しないことに基づいて動作を開始するトリガとして作用するように利用されてもよい。したがって、センサ(536)は、並進フラグ(570)のフラグ本体(582)の検出と、モータ(592)がキャリッジアセンブリ(540)を作動させるときの第1の静止フラグ(560)との間の回転モータ(592)の回転変位を計数するようにプロセッサ(162)に命令することができる。プロセッサ(162)は、フラグ本体(582)のセンサ(536)検出と第1の静止フラグ(560)との間で測定されたモータ(592)の回転変位を、並進フラグ(570)と第1の静止フラグ(560)との間の直線測定に変換してもよい。ここで、プロセッサ(162)は、キャリッジアセンブリ(540)の残りの部分に対して近位位置にある並進フラグ(570)との間の距離の基準参照を有する。
【0068】
図15A及び17Aに示される時点で、カートリッジ(400)は、キャリッジアセンブリ(540)内に挿入されない。
図17Aで最も良くわかるように、並進フラグ(570)は付勢ばね(588)によってもたらされる力により近位位置にある。並進フラグ(570)の接触壁(574)は、並進フラグ(570)が近位位置にあるとき、カートリッジ停止部(568)に対して近位であることを理解されたい。この時点で、電気制動がモータ(592)を通して適用されて、主ねじ(594)の相補的なねじ切りとナット(550)との間の摩擦係合に応答した、主ねじ(594)の意図しない回転を防止することができることも理解されたい。
【0069】
次に、
図15B、17B及び18Aに示されるように、カートリッジ(400)は、カートリッジ(400)の遠位端(404)が接触壁(574)に隣接するように、キャリッジアセンブリ(540)のカ-トリッジチャネル(543)に挿入される。何らかの理由で、カートリッジ(400)がカートリッジチャネル(543)内に不適切に挿入され、意図しない長手方向力がキャリッジアセンブリ(540)に対して作用する場合、モータ(592)を通して提供される電気制動がキャリッジアセンブリ(540)の意図しない並進及びカートリッジ(400)のずれを防止する。
【0070】
この時点で、並進フラグ(570)がまだ近位位置にあることを理解されたい。加えて、
図18Aに最も良く示されるように、フラグ部分(580)のフラグ本体(582)は、センサアセンブリ(530)のU字型チャネル(534)内位置する。特に、光センサ(536)は、光センサ(536)がセンサ(536)間の物体を検出しないように、孔(584)に直ぐ隣接する。光センサ(536)がセンサ(536)間の第1の物体を検出しないで、プロセッサ(162)は、モータ(592)の回転変位を測定するが、キャリッジアセンブリ(540)を作動させるためのモータ(592)を起動するシグナルはまだ受信していない。
図17Bで最も良く示されるように、上向きに延在するフランジ(547)の板ばね(548)は側部パネル(542)に対してカートリッジ(400)を付勢している。
【0071】
次に、
図15C、17C及び18Bに示されるように、カートリッジ(400)は、カートリッジ(400)の遠位端(404)が接触壁(574)を押圧して、並進フラグ(570)を遠位端に移動するように、キャリッジアセンブリ(540)のカ-トリッジチャネル(543)に更に挿入される。並進フラグ(570)が遠位位置に押されている間、付勢ばね(588)は近位に配向された力を接触壁(574)を介してカートリッジ(400)に付与する。しかしながら、カートリッジ(400)に付与された板ばね(548)によってもたらされる摩擦力は、ばね(588)の付勢力を超え、並進フラグ(570)を遠位位置に保つのに十分に強い。この時点で、フラグ部分(580)のフラグ本体(582)はまだU字型チャネル(534)内に位置している。しかしながら、光センサ(536)はここで孔(584)ではなくフラグ本体(582)に直ぐ隣接する。したがって、光センサ(536)はセンサ(536)間の物体を検出する。
【0072】
光センサ(536)がフラグ本体(582)を検出したら、光センサ(536)はプロセッサ(162)にシグナルを送信し得る。光センサ(536)は、プロセッサ(162)に初期シグナルを送信して、100ミリ秒等の既定時間量の間、更なるセンサシグナルをデバウンス処理し得る。このデバウンス時間は、キャリッジアセンブリ(540)内のカートリッジ(400)の更なる挿入を可能にし得るが、これは単に任意である。光センサ(536)は、次に、モータ(592)を起動して、フレームアセンブリ(502)内でキャリッジアセンブリ(540)を遠位に並進するために、プロセッサ(162)にシグナルを発し得る。加えて、光センサ(536)はまた、
図15D、17D及び18Cに示されるように、光センサ(536)が第1の静止フラグ(560)を検出するまでモータ(592)の回転を計数し始めるように、プロセッサ(162)にシグナルを発し得る。
【0073】
光センサ(536)が第1の静止フラグ(560)を検出した場合、センサ(536)は、その時点で計数したモータ(592)回転数を予測モータ(592)回転数と比較するように、プロセッサ(162)にシグナルを発し得る。換言すれば、プロセッサ(162)は、モータ(592)が、最初にセンサ(536)を起動するフラグ本体(582)、続いてセンサ(536)を起動する第1の静止フラグ(560)に関連する移動の範囲の間、予測された回数回転したかどうかを判定し得る。実際の回転数が予測回転数と一致した場合、プロセッサ(162)は、カートリッジ(400)がキャリッジアセンブリ(540)に適切に挿入されたと判定し、プロセッサ(162)は、モータ(592)を起動し続けて、キャリッジアセンブリ(540)及びカートリッジ(400)を遠位に駆動し続けてもよい。
【0074】
フラグ本体(582)のセンサ(536)検出と第1の静止フラグ(560)のセンサ検出との間の時間中のモータ(592)の回転数がフラグ本体(582)と第1の静止フラグ(560)との間の直線距離と相関することを理解されたい。フラグ本体(582)と第1の静止フラグ(560)との間の直線距離が、並進フラグ(570)がキャリッジアセンブリ(540)の残りの部分に対して遠位に並進した程度に基づいて変動し得ることも理解されたい。更に、並進フラグ(570)がキャリッジアセンブリ(540)の残りの部分に対して遠位に並進した程度は、カートリッジ(400)がキャリッジアセンブリ(540)に適切に挿入されたかどうかに基づいて変動する。したがって、カートリッジ(400)がキャリッジアセンブリ(540)に適切に挿入された場合、フラグ本体(582)と第1の静止フラグ(560)との間の直線距離は適切であり、これは、フラグ本体(582)のセンサ(536)検出と第1の静止フラグ(560)のセンサ検出との間の時間中の予測された回数のモータ(592)の回転となる。しかしながら、カートリッジ(400)がキャリッジアセンブリ(540)に適切に挿入されなかった場合、フラグ本体(582)と第1の静止フラグ(560)との間の直線距離は適切ではなく(例えば、距離が非常に短い)、これは、フラグ本体(582)のセンサ(536)検出と第1の静止フラグ(560)のセンサ検出との間の時間中に不適切な回数(例えば非常に少ない回数)のモータ(592)の回転となる。したがって、プロセッサ(162)が、モータ(592)が最初にセンサ(536)を起動するフラグ本体(582)、続いてセンサ(536)を起動する第1の静止フラグ(560)に関連する移動の範囲の間、予測された回数回転できなかったと判定する事象において、プロセッサ(162)は、エラールーチンを起動し得る。例えば、プロセッサ(162)は、逆に回転するようにモータ(592)を起動し、それによりカートリッジ(400)及びキャリッジアセンブリ(540)を近位に駆動して、カートリッジ(400)を作業者に再提示し、かつ/又はタッチスクリーンディスプレイ(160)を介して、カートリッジ(400)が不適切に挿入されたことを示すメッセージを提示することができる。作業者は、それにより、カートリッジ(400)を取り出し、適切に再挿入するように求められてもよい。
【0075】
プロセッサ(162)が、上述のように予測値に至るまで集計するモータ(592)の回転に基づいて、カートリッジ(400)がキャリッジアセンブリ(540)に適切に挿入されたと判定した場合を仮定すると、プロセッサ(162)は、モータ(592)を起動し続けて、キャリッジアセンブリ(540)及びカートリッジ(400)を遠位に駆動し続ける。この継続した移動範囲中に、情報領域(412)はIDリーダーセンサ(518)の前を最終的に通過し得、情報領域(412)上に位置するラベル、タグ等の自動読み取りを起動する。プロセッサ(162)は、この読み取りを通して得られたデータを処理し、それにより、カートリッジ(400)の使用が適切であるかどうかを判定することができる。例えば、プロセッサ(162)は、カートリッジ(400)が作業者により選択された滅菌サイクルと一致する滅菌剤を格納するかどうか、カートリッジ(400)が承認済み(例えば信頼のおける供給源に由来する)かどうか、カートリッジ(400)が前に使用されたかどうか等を判定することができる。プロセッサ(162)がカートリッジ(400)の使用が適切であるかどうかを判定することができる種々の好適な方法は、本明細書の教示に鑑みて当業者には明らかであろう。
【0076】
プロセッサ(162)が、カートリッジ(400)の使用がIDリーダーセンサ(518)による読み取りに基づいて適切であろうと判定する事象において、プロセッサ(162)は、モータ(592)を起動し続けてもよく、それによりキャリッジアセンブリ(540)及びカートリッジ(400)の遠位移動が継続される。プロセッサ(162)が、カートリッジ(400)の使用がIDリーダーセンサ(518)による読み取りに基づいて適切ではないだろうと判定する事象において、プロセッサ(162)はエラールーチンを実行することができる。例えば、プロセッサ(162)は、逆に回転するようにモータ(592)を起動し、それによりカートリッジ(400)及びキャリッジアセンブリ(540)を近位に駆動して、カートリッジ(400)を作業者に再提示し、かつ/又はタッチスクリーンディスプレイ(160)を介して、カートリッジ(400)が使用不可であることを示すメッセージを提示することができる。作業者は、それにより、カートリッジ(400)を取り出し、カートリッジ(400)を適切なカートリッジ(400)と交換するように求められてもよい。
【0077】
プロセッサ(162)が、カートリッジ(400)の使用がIDリーダーセンサ(518)による読み取りに基づいて適切であると判定する場合を仮定すると、プロセッサ(162)は、モータ(592)を起動し続けて、キャリッジアセンブリ(540)及びカートリッジ(400)を遠位に駆動し続ける。キャリッジアセンブリ(540)は、最終的に、第2の停止フラグ(562)がセンサ(536)間にある、
図18Dに示される位置に達する。センサ(536)が第2の静止フラグ(562)を検出したとき、プロセッサ(162)はモータ(592)を停止させ得る。この段階で、カートリッジ(400)及びキャリッジアセンブリ(540)は、
図16A~16Bに示される抽出プロセスに備えて基本位置である。
【0078】
抽出アセンブリ(520)が最初(最遠位)のリザーバセル(408)の対から滅菌剤を抽出し、プロセッサ(162)が、次に、別の滅菌サイクルを実行するように命令された後、プロセッサ(162)は、キャリッジアセンブリ(540)及びカートリッジ(400)を遠位に駆動するために、再度モータ(592)を起動して、抽出アセンブリ(520)により次の対のリザーバセル(408)を指示する。次のリザーバセル(408)の対の適切な位置付けを提供し、それにより抽出アセンブリ(520)に次のリザーバセル(408)の対を適切に指示するために、プロセッサ(162)は、単純に、モータ(592)の回転数を追跡し、回転数が適切な距離移動するキャリッジアセンブリ(540)及びカートリッジ(400)に関連する既定値に達したら、モータ(592)を停止させ得る。このシーケンスは、滅菌剤が最後(最も近位)のリザーバセル(408)から抽出されるまで、後続の滅菌サイクルを繰り返してもよい。これが生じる場合、滅菌庫(150)は、任意の好適な様式で使用済みカートリッジ(400)を破棄し、作業者に新しいカートリッジ(400)を挿入するように求めてもよい。
【0079】
前述に加えて、滅菌庫(150)のカートリッジ(400)取り扱い要素(及び/又は滅菌庫(150)の他の要素)は、その開示内容が参照により本明細書に援用される、2013年5月14日発行の「Method of Delivering Liquid Sterilant to a Sterilizer」と題される米国特許第8,440,139号の教示のうちの少なくともいくつかに従って、構成され、動作可能であり得る。本明細書の教示が米国特許第8,440,139号の教示と組み合わされ得る種々の好適な方法は、当業者には明らかであろう。
【0080】
V.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる種々の非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得るいずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではない点は理解されるべきである。一切の放棄を意図するものではない。以下の実施例は単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の種々の教示は、数多くの他の方法で構成及び適用され得ることが企図される。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の要素を省略してもよいことも企図される。したがって、本発明者によって、又は本発明者の利益となる継承者によって、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は要素のいずれも重要なものとしてみなされるべきではない。以下に言及される要素以外の更なる要素を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、これらの更なる要素は、特許性に関連するいずれの理由によって追加されたものとしても仮定されるべきではない。
【実施例】
【0081】
(実施例1)
(a)少なくとも1つの医療用装置を受容し、滅菌するように構成されている滅菌室と、(b)プロセッサと、(c)滅菌モジュールであって、(i)プロセッサと通信しているセンサを備えるフレームアセンブリ、(ii)滅菌室と流体連通している抽出アセンブリであって、カートリッジから滅菌剤流体を抽出し、滅菌剤流体を滅菌室に移送するように構成されている、抽出アセンブリ、及び(iii)キャリッジアセンブリであって、(A)プロセッサと通信しているモータ、(B)モータと連結されたキャリッジ本体であって、カートリッジを受容するように構成されている、キャリッジ本体、及び(C)キャリッジ本体がカートリッジを受容することに応答して、キャリッジ本体に対して第1の位置から第2の位置に移動するように構成されている並進フラグであって、センサが、第1の位置から第2の位置への並進フラグの移動を検出するように構成されている、並進フラグを備える、キャリッジアセンブリを備える、滅菌モジュールと、を備える、滅菌システム。
【0082】
(実施例2)
モータは、センサが第1の位置から第2の位置への並進フラグの移動を検出することに応答して、キャリッジ本体を遠位に駆動するように構成されている、実施例1に記載の滅菌システム。
【0083】
(実施例3)
キャリッジ本体が、第1の静止フラグを備え、センサが、第1の静止フラグを検出するように構成されており、モータは、センサが、第1の位置から第2の位置に作動する並進フラグを検出することに応答して、センサが第1の静止フラグを検出するまで、キャリッジ本体を遠位に駆動するように構成されている、実施例2に記載の滅菌システム。
【0084】
(実施例4)
プロセッサが、第1の位置にある並進フラグと静止フラグとの間の第1の距離を計算するように構成されており、プロセッサが、第1の距離に部分的に基づいて基準距離を記憶するように構成されている、実施例3に記載の滅菌システム。
【0085】
(実施例5)
プロセッサが、第2の位置にある並進フラグと第1の静止フラグとの間の第2の距離を計算するように構成されている、実施例4に記載の滅菌システム。
【0086】
(実施例6)
モータが、キャリッジ本体を近位に作動させ、それにより、第2の距離が基準距離よりも短い場合にカートリッジを拒否するように構成されている、実施例5に記載の滅菌システム。
【0087】
(実施例7)
キャリッジ本体が、第2の静止フラグを更に備え、センサが、第2の静止フラグを検出するように構成されており、モータは、第2の距離が基準距離以上である場合に第2の静止フラグに向かってキャリッジ本体を遠位に作動させるように構成されている、実施例6に記載の滅菌システム。
【0088】
(実施例8)
モータは、センサが第2の静止フラグを検出することに応答して、キャリッジ本体の作動を停止させるように構成されている、実施例7に記載の滅菌システム。
【0089】
(実施例9)
並進フラグが、第1の位置に向かって弾性的に付勢されている、実施例1~8のいずれか1つ又は2つ以上に記載の滅菌システム。
【0090】
(実施例10)
並進フラグが、カートリッジとインターフェイスをとるように構成されている接触壁を備える、実施例1~9のいずれか1つ又は2つ以上に記載の滅菌システム。
【0091】
(実施例11)
キャリッジアセンブリが、キャリッジ本体に対してカートリッジを付勢するように構成されている弾性部材を更に備える、実施例1~10のいずれか1つ又は2つ以上に記載の滅菌システム。
【0092】
(実施例12)
並進フラグが孔を画定し、センサは、並進フラグが第1の位置にあるときに孔に隣接するように位置付けられている、実施例1~11のいずれか1つ又は2つ以上に記載の滅菌システム。
【0093】
(実施例13)
フレームが、U字型チャネルを画定するセンサ本体を備え、センサが、U字型チャネル内に位置する、実施例1~12のいずれか1つ又は2つ以上に記載の滅菌システム。
【0094】
(実施例14)
キャリッジアセンブリが、モータから延在する主ねじを更に備え、主ねじがキャリッジ本体と関連付けられており、モータが主ねじを回転させるように構成されており、それにより、主ねじがキャリッジ本体を並進させるように動作可能である、実施例1~13のいずれか1つ又は2つ以上に記載の滅菌システム。
【0095】
(実施例15)
モータがステッピング・モータを備える、実施例1~14のいずれか1つ又は2つ以上に記載の滅菌システム。
【0096】
(実施例16)
プロセッサが、モータを通して電気制動を提供するように構成されている、実施例1~15のいずれか1つ又は2つ以上に記載の滅菌システム。
【0097】
(実施例17)
(a)少なくとも1つの医療用装置を受容し、滅菌するように構成されている滅菌室と、(b)プロセッサと、(c)滅菌室と流体連通しており、プロセッサと電気通信している滅菌モジュールと、を備え、滅菌モジュールが、(i)プロセッサと通信しているセンサを備えるフレームアセンブリと、(ii)滅菌室と流体連通しており、プロセッサと電気通信している抽出アセンブリであって、カートリッジから滅菌剤流体を抽出し、滅菌剤流体を滅菌室に移送するように構成されている、抽出アセンブリと、(iii)フレームアセンブリに対して作動するように構成されているキャリッジアセンブリと、を備え、キャリッジアセンブリが、(A)カートリッジを受容するように構成されているカートリッジチャネルを画定するキャリッジと、(B)キャリッジアセンブリがカートリッジを受容することに応答して、キャリッジに対して第1の位置から第2の位置に移動するように構成されている並進フラグであって、センサが、第1の位置から第2の位置への並進フラグの移動を検出するように構成されている、並進フラグと、(C)キャリッジに固定された静止フラグであって、センサが静止フラグを検出するように構成されており、プロセッサが、静止フラグと第1の位置にある並進フラグとの間の第1の距離を測定するように構成されており、プロセッサが、静止フラグと第2の位置にある並進フラグとの間の第2の距離を測定するように構成されており、プロセッサが、カートリッジがキャリッジアセンブリ内に適切に挿入されているかどうかを判定するために、第1の距離と第2の距離とを比較するように構成されている、静止フラグと、を備える、滅菌システム。
【0098】
(実施例18)
並進フラグが、第1の位置に対して弾性的に付勢されている、実施例17に記載の滅菌システム。
【0099】
(実施例19)
(a)少なくとも1つの医療用装置を受容し、滅菌するように構成されている滅菌室と、(b)プロセッサと、(c)滅菌室と流体連通しており、プロセッサと電気通信している滅菌モジュールと、を備え、滅菌モジュールが、(i)プロセッサと通信しているセンサを備えるフレームアセンブリと、(ii)滅菌室と流体連通しており、プロセッサと電気通信している抽出アセンブリであって、カートリッジから滅菌剤流体を抽出し、滅菌剤流体を滅菌室に移送するように構成されている、抽出アセンブリと、(iii)カートリッジを受容するように構成されているカートリッジチャネルを画定するキャリッジアセンブリであって、(A)カートリッジを受容するように構成されているカートリッジチャネルを画定するキャリッジと、(B)キャリッジアセンブリがカートリッジを受容することに応答して、キャリッジに対して第1の位置から第2の位置に移動するように構成されている並進フラグであって、センサが、第1の位置から第2の位置への並進フラグの移動を検出するように構成されている、並進フラグと、を備える、キャリッジアセンブリと、(iv)第1の位置から第2の位置への並進フラグの移動に応答して、キャリッジアセンブリを作動させるように構成されているモータと、を備える、滅菌システム。
【0100】
(実施例20)
キャリッジに収まるように構成されているカートリッジを更に備え、カートリッジが液体滅菌剤を格納する、実施例19に記載の滅菌システム。
【0101】
VI.その他
本明細書に参照により援用されると言及されたいかなる特許、刊行物、又は他の開示内容も、全体的に又は部分的に、援用された内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載された他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に援用されることを認識されたい。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に援用されるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に援用されるものとするが、既存の定義、記載、又は本明細書に記載される他の開示文献と矛盾する任意の文献、又はそれらの部分は、援用文献と既存の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ援用されるものとする。
【0102】
以上、本発明の種々の実施形態を図示及び説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な改変により、本明細書に記載される方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な改変のうちのいくつかについて言及したが、他の改変も当業者には明らかであろう。例えば、上記で論じた実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程等は例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面において図示され、説明された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解されたい。
【0103】
〔実施の態様〕
(1) (a)少なくとも1つの医療用装置を受容し、滅菌するように構成されている滅菌室と、
(b)プロセッサと、
(c)滅菌モジュールであって、
(i)前記プロセッサと通信しているセンサを備えるフレームアセンブリと、
(ii)前記滅菌室と流体連通している抽出アセンブリであって、カートリッジから滅菌剤流体を抽出し、前記滅菌剤流体を前記滅菌室に移送するように構成されている、抽出アセンブリと、
(iii)キャリッジアセンブリであって、
(A)前記プロセッサと通信しているモータと、
(B)前記モータと連結されたキャリッジ本体であって、前記カートリッジを受容するように構成されている、キャリッジ本体と、
(C)前記キャリッジ本体が前記カートリッジを受容することに応答して、前記キャリッジ本体に対して第1の位置から第2の位置に移動するように構成されている並進フラグであって、前記センサが、前記第1の位置から前記第2の位置への前記並進フラグの移動を検出するように構成されている、並進フラグと、を備えるキャリッジアセンブリと、を備える滅菌モジュールと、を備える、滅菌システム。
(2) 前記モータは、前記センサが前記第1の位置から前記第2の位置への前記並進フラグの移動を検出することに応答して、前記キャリッジ本体を遠位に駆動するように構成されている、実施態様1に記載の滅菌システム。
(3) 前記キャリッジ本体が、第1の静止フラグを備え、前記センサが、前記第1の静止フラグを検出するように構成されており、前記モータは、前記センサが、前記第1の位置から前記第2の位置に作動する前記並進フラグを検出することに応答して、前記センサが前記第1の静止フラグを検出するまで、前記キャリッジ本体を遠位に駆動するように構成されている、実施態様2に記載の滅菌システム。
(4) 前記プロセッサが、前記第1の位置にある前記並進フラグと前記静止フラグとの間の第1の距離を計算するように構成されており、前記プロセッサが、前記第1の距離に部分的に基づいて基準距離を記憶するように構成されている、実施態様3に記載の滅菌システム。
(5) 前記プロセッサが、前記第2の位置にある前記並進フラグと前記第1の静止フラグとの間の第2の距離を計算するように構成されている、実施態様4に記載の滅菌システム。
【0104】
(6) 前記モータが、前記キャリッジ本体を近位に作動させ、それにより、前記第2の距離が前記基準距離よりも短い場合に前記カートリッジを拒否するように構成されている、実施態様5に記載の滅菌システム。
(7) 前記キャリッジ本体が、第2の静止フラグを更に備え、前記センサが、前記第2の静止フラグを検出するように構成されており、前記モータは、前記第2の距離が前記基準距離以上である場合に前記第2の静止フラグに向かって前記キャリッジ本体を遠位に作動させるように構成されている、実施態様6に記載の滅菌システム。
(8) 前記モータは、前記センサが前記第2の静止フラグを検出することに応答して、前記キャリッジ本体の作動を停止させるように構成されている、実施態様7に記載の滅菌システム。
(9) 前記並進フラグが、前記第1の位置に向かって弾性的に付勢されている、実施態様1に記載の滅菌システム。
(10) 前記並進フラグが、前記カートリッジとインターフェイスをとるように構成されている接触壁を備える、実施態様1に記載の滅菌システム。
【0105】
(11) 前記キャリッジアセンブリが、前記キャリッジ本体に対して前記カートリッジを付勢するように構成されている弾性部材を更に備える、実施態様1に記載の滅菌システム。
(12) 前記並進フラグが孔を画定し、前記センサは、前記並進フラグが前記第1の位置にあるときに前記孔に隣接するように位置付けられている、実施態様1に記載の滅菌システム。
(13) 前記フレームが、U字型チャネルを画定するセンサ本体を備え、前記センサが、前記U字型チャネル内に位置する、実施態様1に記載の滅菌システム。
(14) 前記キャリッジアセンブリが、前記モータから延在する主ねじを更に備え、前記主ねじが前記キャリッジ本体と関連付けられており、前記モータが前記主ねじを回転させるように構成されており、それにより、前記主ねじが前記キャリッジ本体を並進させるように動作可能である、実施態様1に記載の滅菌システム。
(15) 前記モータがステッピング・モータを備える、実施態様1に記載の滅菌システム。
【0106】
(16) 前記プロセッサが、前記モータを通して電気制動を提供するように構成されている、実施態様1に記載の滅菌システム。
(17) (a)少なくとも1つの医療用装置を受容し、滅菌するように構成されている滅菌室と、
(b)プロセッサと、
(c)前記滅菌室と流体連通しており、前記プロセッサと電気通信している滅菌モジュールと、を備え、前記滅菌モジュールが、
(i)前記プロセッサと通信しているセンサを備えるフレームアセンブリと、
(ii)前記滅菌室と流体連通しており、前記プロセッサと電気通信している抽出アセンブリであって、カートリッジから滅菌剤流体を抽出し、前記滅菌剤流体を前記滅菌室に移送するように構成されている、抽出アセンブリと、
(iii)前記フレームアセンブリに対して作動するように構成されているキャリッジアセンブリと、を備え、前記キャリッジアセンブリが、
(A)前記カートリッジを受容するように構成されているカートリッジチャネルを画定するキャリッジと、
(B)前記キャリッジアセンブリが前記カートリッジを受容することに応答して、前記キャリッジに対して第1の位置から第2の位置に移動するように構成されている並進フラグであって、前記センサが、前記第1の位置から前記第2の位置への前記並進フラグの移動を検出するように構成されている、並進フラグと、
(C)前記キャリッジに固定された静止フラグであって、前記センサが、前記静止フラグを検出するように構成されており、前記プロセッサが、前記静止フラグと前記第1の位置にある前記並進フラグとの間の第1の距離を測定するように構成されており、前記プロセッサが、前記静止フラグと前記第2の位置にある前記並進フラグとの間の第2の距離を測定するように構成されており、前記プロセッサは、前記カートリッジが前記キャリッジアセンブリ内に適切に挿入されているかどうかを判定するために、前記第1の距離と前記第2の距離とを比較するように構成されている、静止フラグと、を備える、滅菌システム。
(18) 前記並進フラグが、前記第1の位置に対して弾性的に付勢されている、実施態様17に記載の滅菌システム。
(19) (a)少なくとも1つの医療用装置を受容し、滅菌するように構成されている滅菌室と、
(b)プロセッサと、
(c)前記滅菌室と流体連通しており、前記プロセッサと電気通信している滅菌モジュールと、を備え、前記滅菌モジュールが、
(i)前記プロセッサと通信しているセンサを備えるフレームアセンブリと、
(ii)前記滅菌室と流体連通しており、前記プロセッサと電気通信している抽出アセンブリであって、カートリッジから滅菌剤流体を抽出し、前記滅菌剤流体を前記滅菌室に移送するように構成されている、抽出アセンブリと、
(iii)前記カートリッジを受容するように構成されているカートリッジチャネルを画定するキャリッジアセンブリであって、
(A)前記カートリッジを受容するように構成されているカートリッジチャネルを画定するキャリッジと、
(B)前記キャリッジアセンブリが前記カートリッジを受容することに応じて、前記キャリッジに対して第1の位置から第2の位置に移動するように構成されている並進フラグであって、前記センサが、前記第1の位置から前記第2の位置への前記並進フラグの移動を検出するように構成されている、並進フラグと、を備える、キャリッジアセンブリと、
(iv)前記第1の位置から前記第2の位置への前記並進フラグの移動に応答して、前記キャリッジアセンブリを作動させるように構成されているモータと、を備える、滅菌システム。
(20) 前記キャリッジに収まるように構成されているカートリッジを更に備え、前記カートリッジが液体滅菌剤を格納する、実施態様19に記載の滅菌システム。