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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20220114BHJP
   B65D 5/52 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
B65D5/54 301D
B65D5/52 K
B65D5/54 301P
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017233753
(22)【出願日】2017-12-05
(65)【公開番号】P2019099239
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勲
(72)【発明者】
【氏名】長原 耕太郎
(72)【発明者】
【氏名】西川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】大谷 昌義
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-151139(JP,A)
【文献】特開2016-107993(JP,A)
【文献】特開2016-216107(JP,A)
【文献】特開2008-179371(JP,A)
【文献】実開昭60-057517(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/54
B65D 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部(12)と、
前記底部の長さ方向に延びた縁部に対応して配置される側面部(11,13)と、
前記側面部の長さ方向の両端部に連設され、前記底部の長さ方向に交差する幅方向に延びた縁部に対応して配置される一対の端面部(14~17)と、
前記側面部と前記一対の端面部との少なくとも何れか1つの端部に連設され、前記底部と対向する天部(10)と、を備え、
前記側面部には、第1切断線(23)が長さ方向に延びた状態に形成され、
各々の前記端面部には、第2切断線(24,27)が前記第1切断線に連続して幅方向に延びた状態に形成され、且つ、第3切断線(25)が前記第2切断線に連続して前記天部に向かって延びた状態に形成され、
前記第2切断線は、全部または少なくとも前記端面部の切断方向下流側となる前記第3切断線の付近において、前記第3切断線との成す角度(D2)が鈍角となるように切断方向上流から下流に向かって前記天部の側に傾斜した状態に形成され、
前記側面部は、幅方向に対向する第1側壁(11)と第2側壁(13)とを含み、
前記底部および前記天部と、前記第1側壁と前記第2側壁とは、交互に連設されて長さ方向両端面に開口部を有する周壁(1W)を形成し、
前記一対の端面部は、
前記第1側壁の長さ方向両端部に連設されている一対の第1内フラップ(14)と、
前記第2側壁の長さ方向両端部に連設されている一対の第2内フラップ(15)と、
前記天部の長さ方向両端部に連設されている一対の第1外フラップ(16)と、
前記底部の長さ方向両端部に連設されている一対の第2外フラップ(17)と、を含み、
前記第1外フラップおよび前記第2外フラップは、前記第1内フラップおよび第2内フラップに重ねられた状態で前記周壁の前記開口部を閉塞しており、
前記第1側壁および前記第2側壁には、それぞれ、前記第1切断線(23)が形成され、
前記第1内フラップおよび前記第2内フラップには、それぞれ、前記第2切断線(24)が形成され、
前記第1外フラップには、前記第3切断線(25)が形成され、
前記天部には、前記天部を谷折りさせる開封折曲線(26)が2本の前記第3切断線を結ぶ線に沿って形成されていることを特徴とする包装箱(1)。
【請求項2】
底部(32,33)と、
前記底部の長さ方向に延びた縁部に対応して配置される側面部(30)と、
前記側面部の長さ方向の両端部に連設され、前記底部の長さ方向に交差する幅方向に延びた縁部に対応して配置される一対の端面部(31)と、
前記側面部と前記一対の端面部との少なくとも何れか1つの端部に連設され、前記底部と対向する天部(34,35)と、を備え、
前記側面部には、第1切断線(43)が長さ方向に延びた状態に形成され、
各々の前記端面部には、第2切断線(44)が前記第1切断線に連続して幅方向に延びた状態に形成され、且つ、第3切断線(25)が前記第2切断線に連続して前記天部に向かって延びた状態に形成され、
前記第2切断線は、全部または少なくとも前記端面部の切断方向下流側となる前記第3切断線の付近において、前記第3切断線との成す角度(D2)が鈍角となるように切断方向上流から下流に向かって前記天部の側に傾斜した状態に形成され、
前記側面部は、幅方向に対向する一対の側壁(30)を含み、
前記一対の端面部は、長さ方向に対向する一対の端壁(31)を含み、
前記一対の側壁と前記一対の端壁とは、交互に連設されて上下方向の両端面に開口部を有する周壁(2W)を形成し、
前記底部は、
前記一対の端壁の下端部に連設されている一対の底内フラップ(32)と、
前記一対の側壁の下端部に連設され、前記一対の底内フラップに重ねられた状態で前記周壁の下側の前記開口部を閉塞する一対の底外フラップ(33)と、を含み、
前記天部は、
前記一対の端壁の上端部に連設されている一対の天内フラップ(34)と、
前記一対の側壁の上端部に連設され、前記一対の天内フラップに重ねられた状態で前記周壁の上側の前記開口部を閉塞する一対の天外フラップ(35)と、を含んでおり、
前記一対の側壁には、それぞれ、前記第1切断線(43)が形成され、
前記一対の端壁には、それぞれ、前記第2切断線(44)が形成され、
前記一対の端壁には、それぞれ、前記第3切断線(25)が前記第2切断線の中間部から前記天部に向かって延びた状態に形成されていることを特徴とする包装箱(2)。
【請求項3】
前記底部、前記側面部、前記端面部および前記天部は、波状の中しん(9A)にライナ(9B,9C)を貼り合せた段ボールシートで形成され、
前記中しんは、前記包装箱の上下方向に沿って延びており、
前記底内フラップ、前記底外フラップ、前記天内フラップおよび前記天外フラップは、前記中しんと平行となる段方向に直交する流れ方向に延びた折曲線を介して前記周壁に連設され、
前記一対の第1切断線と前記一対の第2切断線とは、複数の切目を並べたミシン線であって、交互に連続して前記周壁の全周に亘って前記折曲線と平行に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記一対の天外フラップは、その先端部を突き合せた状態で前記周壁の上側の前記開口部を閉塞し、
前記第3切断線は、前記端壁において前記第2切断線から前記一対の天外フラップの先端部の突き合せ部(45)に対応する位置まで延びた状態に形成され、
前記一対の天内フラップは、前記一対の天外フラップの先端部の突き合せ部に沿った位置で谷折り可能に形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の包装箱。
【請求項5】
前記第1切断線は、長さ方向中央付近から前記一対の端面部との境界に向かって前記天部の側に傾斜した状態に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の包装箱。
【請求項6】
前記第2切断線(27,44)は、
前記第1切断線の延長線上に形成されている連続線部(27A,44A)と、
前記連続線部から前記第3切断線までの間に形成されている傾斜線部(27B,44B)と、を含み、
前記傾斜線部は、前記連続線部よりも大きな角度で切断方向上流から下流に向かって前記天部の側に傾斜し、
前記連続線部と前記第1切断線との交点は、前記傾斜線部と前記第3切断線との交点(P2)よりも前記底部の側に位置していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の包装箱。
【請求項7】
前記傾斜線部は、前記天部の側または前記底部の側に向かって凸となるように湾曲しており、前記連続線部との交点(P1)から前記第3切断線との交点(P2)までを結ぶ直線(S)と前記第3切断線との成す角度が鈍角になるように形成されていることを特徴とする請求項6に記載の包装箱。
【請求項8】
前記側面部には、前記側面部を掴むための開封開始部(21,41)が形成され、
前記第1切断線は、前記開封開始部から前記一対の端面部との境界に亘って形成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の包装箱。
【請求項9】
前記側面部には、前記第1切断線よりも前記天部の側において前記側面部を山折りさせる一対の補助折曲線(22,42A,42B)が形成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
開封した後、内容物を収容した状態で店頭に展示可能な包装箱が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の包装用箱は、第一の側パネルと、底パネルと、第二の側パネルと、上パネルとが連なり、第一の側パネルと上パネルとが接合されている。第一および第二の側パネルの両側には、端接合フラップが連設され、底パネルおよび上パネルの両側には、端接合フラップに固定される第一の端フラップと第二の端フラップとが連接されている。第一および第二の側パネルと第一および第二の端接合フラップとには、水平に延びた切断補助線(水平切断補助線)が設けられている。また、第二の端パネルには、垂直に延びた切断補助線(垂直切断補助線)が設けられている。さらに、上パネルには、左右の垂直切断補助線をつなぐように切断補助線が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-179371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した包装用箱は、第一および第二の側パネルを水平切断補助線で切断した後、第二の側パネルを垂直切断補助線で切断し、更に上パネルを切断補助線で折り曲げることで開封される。しかしながら、上記した包装用箱では、水平切断補助線と垂直切断補助線とが直交しているため、水平切断補助線に沿った切断力が垂直切断補助線に伝わりにくく、開封し難いという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、容易に開封することができる包装箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するため、本発明の包装箱は、底部と、前記底部の長さ方向に延びた縁部に対応して配置される側面部と、前記側面部の長さ方向の両端部に連設され、前記底部の長さ方向に交差する幅方向に延びた縁部に対応して配置される一対の端面部と、前記側面部と前記一対の端面部との少なくとも何れか1つの端部に連設され、前記底部と対向する天部と、を備え、前記側面部には、第1切断線が長さ方向に延びた状態に形成され、各々の前記端面部には、第2切断線が前記第1切断線に連続して幅方向に延びた状態に形成され、且つ、第3切断線が前記第2切断線に連続して前記天部に向かって延びた状態に形成され、前記第2切断線は、全部または少なくとも前記端面部の切断方向下流側となる前記第3切断線の付近において、前記第3切断線との成す角度が鈍角となるように切断方向上流から下流に向かって前記天部の側に傾斜した状態に形成されている。
【0008】
この場合、前記第1切断線は、長さ方向中央付近から前記一対の端面部との境界に向かって前記天部の側に傾斜した状態に形成されていることが好ましい。
【0009】
この場合、前記第2切断線は、前記第1切断線の延長線上に形成されている連続線部と、前記連続線部から前記第3切断線までの間に形成されている傾斜線部と、を含み、前記傾斜線部は、前記連続線部よりも大きな角度で切断方向上流から下流に向かって前記天部の側に傾斜し、前記連続線部と前記第1切断線との交点は、前記傾斜線部と前記第3切断線との交点よりも前記底部の側に位置していることが好ましい。
【0010】
この場合、前記傾斜線部は、前記天部の側または前記底部の側に向かって凸となるように湾曲しており、前記連続線部との交点から前記第3切断線との交点までを結ぶ直線と前記第3切断線との成す角度が鈍角になるように形成されていることが好ましい。
【0011】
この場合、前記側面部には、前記側面部を掴むための開封開始部が形成され、前記第1切断線は、前記開封開始部から前記一対の端面部との境界に亘って形成されていることが好ましい。
【0012】
この場合、前記側面部には、前記第1切断線よりも前記天部の側において前記側面部を山折りさせる一対の補助折曲線が形成されていることが好ましい。
【0013】
この場合、前記側面部は、幅方向に対向する第1側壁と第2側壁とを含み、前記底部および前記天部と、前記第1側壁と前記第2側壁とは、交互に連設されて長さ方向両端面に開口部を有する周壁を形成し、前記一対の端面部は、前記第1側壁の長さ方向両端部に連設されている一対の第1内フラップと、前記第2側壁の長さ方向両端部に連設されている一対の第2内フラップと、前記天部の長さ方向両端部に連設されている一対の第1外フラップと、前記底部の長さ方向両端部に連設されている一対の第2外フラップと、を含み、前記第1外フラップおよび前記第2外フラップは、前記第1内フラップおよび第2内フラップに重ねられた状態で前記周壁の前記開口部を閉塞しており、前記第1側壁および前記第2側壁には、それぞれ、前記第1切断線が形成され、前記第1内フラップおよび前記第2内フラップには、それぞれ、前記第2切断線が形成され、前記第1外フラップには、前記第3切断線が形成され、前記天部には、前記天部を谷折りさせる開封折曲線が2本の前記第3切断線を結ぶ線に沿って形成されていることが好ましい。
【0014】
この場合、前記側面部は、幅方向に対向する一対の側壁を含み、前記一対の端面部は、長さ方向に対向する一対の端壁を含み、前記一対の側壁と前記一対の端壁とは、交互に連設されて上下方向の両端面に開口部を有する周壁を形成し、前記底部は、前記一対の端壁の下端部に連設されている一対の底内フラップと、前記一対の側壁の下端部に連設され、前記一対の底内フラップに重ねられた状態で前記周壁の下側の前記開口部を閉塞する一対の底外フラップと、を含み、前記天部は、前記一対の端壁の上端部に連設されている一対の天内フラップと、前記一対の側壁の上端部に連設され、前記一対の天内フラップに重ねられた状態で前記周壁の上側の前記開口部を閉塞する一対の天外フラップと、を含んでおり、前記一対の側壁には、それぞれ、前記第1切断線が形成され、前記一対の端壁には、それぞれ、前記第2切断線が形成され、前記一対の端壁には、それぞれ、前記第3切断線が前記第2切断線の中間部から前記天部に向かって延びた状態に形成されていることが好ましい。
【0015】
この場合、前記底部、前記側面部、前記端面部および前記天部は、波状の中しんにライナを貼り合せた段ボールシートで形成され、前記中しんは、前記包装箱の上下方向に沿って延びており、前記底内フラップ、前記底外フラップ、前記天内フラップおよび前記天外フラップは、前記中しんと平行となる段方向に直交する流れ方向に延びた折曲線を介して前記周壁に連設され、前記一対の第1切断線と前記一対の第2切断線とは、複数の切目を並べたミシン線であって、交互に連続して前記周壁の全周に亘って前記折曲線と平行に形成されていることが好ましい。
【0016】
この場合、前記一対の天外フラップは、その先端部を突き合せた状態で前記周壁の上側の前記開口部を閉塞し、前記第3切断線は、前記端壁において前記第2切断線から前記一対の天外フラップの先端部の突き合せ部に対応する位置まで延びた状態に形成され、前記一対の天内フラップは、前記一対の天外フラップの先端部の突き合せ部に沿った位置で谷折り可能に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、包装箱を容易に開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る包装箱を示す側面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る包装箱の開封を開始した状態を示す斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る包装箱の前側上部を開封した状態を示す斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る包装箱の上部全体を開封した状態を示す側面図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る包装箱の上部全体を開封した状態を示す斜視図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る包装箱の上部を解体した状態を示す斜視図である。
図9】本発明の第1実施形態の変形例に係る包装箱を示す側面図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
図12】本発明の第2実施形態に係る包装箱を示す側面図である。
図13】本発明の第2実施形態に係る包装箱の開封を開始した状態を示す斜視図である。
図14】本発明の第2実施形態に係る包装箱の前側上部を開封した状態を示す斜視図である。
図15】本発明の第2実施形態に係る包装箱の上部全体を開封した状態を示す側面図である。
図16】本発明の第2実施形態に係る包装箱の上部全体を開封した状態を示す斜視図である。
図17A】本発明の第2実施形態の第1変形例に係る包装箱を示す側面図である。
図17B】本発明の第2実施形態の第2変形例に係る包装箱を示す側面図である。
図17C】本発明の第2実施形態の第3変形例に係る包装箱を示す側面図である。
図18A】本発明の第2実施形態の第4変形例に係る包装箱のブランクの一部を示す平面図である。
図18B】本発明の第2実施形態の第5変形例に係る包装箱のブランクの一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、各図に示す「Fr」は「前」を示し、「Rr」は「後」を示し、「L」は「左」を示し、「R」は「右」を示し、「U」は「上」を示し、「D」は「下」を示している。前後方向(幅方向)は、左右方向(長さ方向)に直交(交差)し、上下方向は前後方向と左右方向とに直交(交差)している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0020】
[第1実施形態:包装箱の概要]
図1および図2を参照して、第1実施形態に係る包装箱1について説明する。図1は包装箱1を示す斜視図である。図2は包装箱1のブランク5を示す平面図である。
【0021】
図1に示すように、包装箱1は、左右方向に長い略直方体状に形成されている。包装箱1は、内容物(図示せず)を包むように折り曲げて端部を貼り合せることで封緘されるラップアラウンド形式のケースである。なお、内容物は、例えば、食品(飲料)等を詰めた缶、瓶または樹脂製の容器等であるが、これに限定されるものではない。
【0022】
包装箱1は、図2に示すブランク5を組み立てることで形成されている。ブランク5は、例えば、一枚の紙製の段ボールシートをダイカッタ等で打ち抜いて形成されている。段ボールシートは、例えば、波状の中しん9Aの表裏に表ライナ9Bと裏ライナ9C(図5参照)とを貼り合せた両面段ボールシートである。なお、図2は、表ライナ9B側(包装箱1の外面側)を示している。本明細書では、段ボールシートの中しん9Aと平行な方向を「段方向」と呼び、段方向に直交する方向を「流れ方向」と呼ぶこととする。図面に示す「X」は「段方向」を示し、「Y」は「流れ方向」を示している。
【0023】
[ブランク]
図2に示すように、ブランク5は、天壁10と、第1側壁11と、底壁12と、第2側壁13と、一対の第1内フラップ14と、一対の第2内フラップ15と、一対の第1外フラップ16と、一対の第2外フラップ17と、を含んでいる。
【0024】
<天壁,第1側壁,底壁,第2側壁>
天壁10、第1側壁11、底壁12および第2側壁13は、この順番で段方向一方から他方に向かって一列に連設されている。底壁12および天壁10と、第1側壁11と第2側壁13とは、流れ方向に延びた第1折曲線L1を介して交互に連設されている。天壁10の段方向一端部には、継代折曲線L10を介して継代片18が連設されている。なお、第1折曲線L1は、段ボールシートを裏ライナ9C側から厚み方向に直線状に潰して形成された汎用罫線である。継代折曲線L10は、汎用罫線上に複数の切目を形成したリード罫である。切目は、段ボールシートを厚み方向に切断することで形成されている。
【0025】
これらの壁10~13および継代片18は、流れ方向に略同一寸法となる略長方形状に形成されている。天部の一例としての天壁10は、底部の一例としての底壁12と段方向に略同一寸法に設定されている。側面部の一例としての第1側壁11と第2側壁13とは、段方向に略同一寸法に設定されている。第1および第2側壁11,13の段方向の寸法は、天壁10等の段方向の寸法よりも僅かに短く設定されている。継代片18の段方向の寸法は、第1側壁11の段方向の寸法よりも短く設定されている。
【0026】
<第1内フラップ,第2内フラップ>
一対の第1内フラップ14は、段方向に延びた第2折曲線L2を介して第1側壁11の流れ方向(左右方向)両端部に連設されている。一対の第2内フラップ15は、第2折曲線L2を介して第2側壁13の流れ方向(左右方向)両端部に連設されている。第1および第2内フラップ14,15は、段方向に長い略長方形状に形成されている。各内フラップ14,15の段方向の寸法は各側壁11,13の段方向の寸法と略同一であり、各内フラップ14,15の流れ方向の寸法(延出寸法)は底壁12の段方向の寸法の略半分に設定されている。各内フラップ14,15には、後述する各外フラップ16の手掛け穴16Aに対応する位置に手掛け凹部14A,15Aが形成されている。手掛け凹部14A,15Aは、各内フラップ14,15の先端から基端側に向かって略半円形状に切り欠かれている。なお、第2折曲線L2は汎用罫線である。
【0027】
<第1外フラップ,第2外フラップ>
一対の第1外フラップ16は、天壁10の流れ方向(左右方向)両端部に連設されている。一対の第2外フラップ17は、第2折曲線L2を介して底壁12の流れ方向(左右方向)両端部に連設されている。第1および第2外フラップ16,17は、段方向に長い略長方形状に形成されている。各外フラップ16,17の段方向の寸法は底壁12や天壁10の段方向の寸法と略同一であり、各外フラップ16,17の流れ方向の寸法(延出寸法)は各内フラップ14,15よりも僅かに短く設定されている。第1外フラップ16には、包装箱1を運搬する際に作業者が指(手)を掛けるための手掛け穴16Aが開口している。手掛け穴16Aは、第1外フラップ16の略中央付近にて略楕円形状に形成されている。
【0028】
各々の第1外フラップ16と天壁10との境界には、段方向に延びた一対の解体切断線L3が形成されている。解体切断線L3は、複数の略L字状の切目を所定間隔で並べることで形成されたジッパーである。2組の一対の解体切断線L3は、それぞれ、段方向中央で折り返したときに互いに一致するように段方向に対称となる形状となっている。2組の一対の解体切断線L3は、それぞれ、天壁10と第1外フラップ16とを段方向中央から両外側に向かって切断する機能を有している。
【0029】
[開封線構造]
このブランク5は、包装箱1の一部または全部を上下に分断して開封するための開封構造20を備えている。
【0030】
図2に示すように、開封構造20は、2つの開封開始部21と、2組の一対の補助折曲線22と、4本の第1切断線23と、4本の第2切断線24と、2本の第3切断線25と、開封折曲線26と、を含んでいる。開封開始部21および一対の補助折曲線22は、第1側壁11と第2側壁13とに形成されている。第1切断線23は、第1側壁11と第2側壁13とに2本ずつ形成されている。第2切断線24は、第1内フラップ14と第2内フラップ15とに形成されている。第3切断線25は、第1外フラップ16に形成されている。開封折曲線26は、天壁10に形成されている。なお、開封構造20は、包装箱1を組み立てた状態で、前後・左右に対称となる形状・配置であるため、以下、主に第1側壁11および一対の第1内フラップ14に形成された開封開始部21、一対の補助折曲線22、第1切断線23および第2切断線24等について説明する。
【0031】
<開封開始部>
開封開始部21は、第1側壁11の流れ方向中央付近で、段方向中央よりもやや下側(底壁12の側)に形成されている。開封開始部21は、流れ方向(左右方向)に長い略六角形状に形成されている。開封開始部21の輪郭には、複数の切目が所定間隔で並べられた押込切断線21Aが形成されている。開封開始部21の天壁10側(上側)の一辺には、切目に代えて、押込罫線21B(汎用罫線)が形成されている。開封開始部21は、第1側壁11を掴むための開封穴H(図4参照)を形成する機能を有している。
【0032】
<補助折曲線>
一対の補助折曲線22は、第1側壁11にて開封開始部21(第1切断線23)よりも天壁10の側(上側)に形成されている。一対の補助折曲線22は、開封開始部21の流れ方向両端部近傍から天壁10側の角部付近まで斜めに延びている。つまり、一対の補助折曲線22は、開封開始部21から天壁10の側(上方)に向かって互いに離れるように延びている。一対の補助折曲線22は、第1側壁11を山折りさせるための汎用罫線である。
【0033】
<第1切断線>
2本の第1切断線23は、第1側壁11にて流れ方向(左右方向)に延びた状態に形成されている。2本の第1切断線23は、開封開始部21(左右方向中央付近)から一対の第1内フラップ14との境界(第2折曲線L2)に亘って形成されている。2本の第1切断線23は、流れ方向中央付近から両外側に向かって天壁10の側(上方)に傾斜した状態に形成されている。第1折曲線L1と平行な水平線と第1切断線23との成す角度D1は、例えば、約10度に設定されている。2本の第1切断線23は、開封開始部21を中心に流れ方向に対称となる略V字状に形成されている。第1切断線23は、複数の略L字状の切目を所定間隔で並べることで形成されたジッパーである。2本の第1切断線23は、第1側壁11を流れ方向中央から両外側に向かって切断する機能を有している。
【0034】
<第2切断線>
2本の第2切断線24は、一対の第1内フラップ14にて第1切断線23に連続して流れ方向(前後方向)に延びた状態に形成されている。第2切断線24は、第1切断線23との接続部分から第1内フラップ14の先端に向かって天壁10の側(上方)に傾斜した状態に形成されている。第2切断線24は、第1切断線23の延長線上に形成されたジッパーであって、第1切断線23と同一の角度D1で傾斜している。第2切断線24は、第1内フラップ14を基端から先端に向かって切断する機能を有している。
【0035】
<第3切断線>
2本の第3切断線25は、一対の第1外フラップ16の段方向略中央にて第1折曲線L1と略平行に延びた状態に形成されている。第3切断線25は、手掛け穴16Aを挟んで第1外フラップ16の先端から解体切断線L3までに亘って形成されている。第3切断線25は、複数の略Y字状の切目を所定間隔で並べることで形成されたジッパーである。第3切断線25は、第1外フラップ16を先端から基端(天壁10の側)に向かって切断する機能を有している。
【0036】
<開封折曲線>
開封折曲線26は、天壁10の段方向略中央にて第1折曲線L1と略平行に延びた状態に形成されている。開封折曲線26は、2本の第3切断線25を結ぶ線に沿って形成されている。開封折曲線26は、段ボールシートを表ライナ9B側から厚み方向に直線状に潰して形成された4つの逆罫線を等間隔に一列に並べることで形成されている。開封折曲線26は、天壁10を谷折りさせる機能を有している。
【0037】
[包装箱の封緘]
次に、図1および図3を参照して、包装箱1を封緘する手順(組立手順)について説明する。図3は包装箱1を示す側面図である。なお、包装箱1は、作業者によって手作業で組み立てられてもよいし、包装装置(ラップアラウンドケーサー)によって全自動または半自動で組み立てられてもよい。ここでは、一例として、包装装置(図示せず)が全自動で包装箱1を組み立てる場合について説明する。
【0038】
包装装置は、セットされたブランク5を適宜折り曲げることで包装箱1を組み立てる。具体的には、包装装置は、第1側壁11を第1折曲線L1に沿って略直角に折り曲げ、集積された複数の内容物を底壁12に載置する。続いて、包装装置は、第2側壁13および天壁10を第1折曲線L1に沿って略直角に折り曲げ、継代片18の裏面に接着剤を塗布する。包装装置は、継代片18を継代折曲線L10に沿って略直角に折り曲げ、継代片18を第2側壁13に重ねて接着する(図1参照)。なお、接着剤として、例えば、ホットメルト接着剤、合成樹脂系エマルジョン接着剤または両面テープ等を用いることができる。また、継代片18は、第2側壁13の表面に接着されていたが、これに限らず、第2側壁13の裏面に接着されてもよい。
【0039】
図1に示すように、この状態で、第1側壁11と第2側壁13とは、底壁12の左右方向に延びた縁部に対応して配置され、互いに前後方向に対向する起立姿勢で設けられる。第1側壁11の端部に連設された天壁10は、上方から底壁12と対向するように設けられる。そして、天壁10、第1側壁11、底壁12および第2側壁13は、左右方向両端面に開口部を有する略角筒状の周壁1Wを形成する。内容物は、周壁1Wに包み込まれた状態になる。
【0040】
次に、包装装置は、一対の第1内フラップ14および一対の第2内フラップ15を第2折曲線L2に沿って内側に折り曲げる。第1内フラップ14と第2内フラップ15との先端部は互いに突き合わされ、突き合わせ部で対向する2つの手掛け凹部14A,15Aは1つの略楕円形状の開口を形成する。続いて、包装装置は、各内フラップ14,15の表面の適所に接着剤を塗布する。包装装置は、一対の第1外フラップ16および一対の第2外フラップ17を第2折曲線L2に沿って内側に折り曲げる。第1外フラップ16および第2外フラップ17は、第1内フラップ14および第2内フラップ15に重ねられた状態で接着され、周壁1Wの開口部を閉塞する。
【0041】
以上によって、包装箱1が封緘された状態になる。この状態で、複数のフラップ14~17によって形成された端面部は、底壁12の前後方向に延びた縁部に対応して配置され、互いに左右方向に対向する起立姿勢で設けられる。また、第1外フラップ16の手掛け穴16Aは、2つの手掛け凹部14A,15Aに一致して配置される。
【0042】
図3に示すように、包装箱1を組み立てた状態で、第1外フラップ16の先端部と第2外フラップ17の先端部とは離間しており、第1および第2内フラップ14,15に形成された第2切断線24は、第1外フラップ16と第2外フラップ17との間から露出している。また、第3切断線25は、第2切断線24の切断方向下流端に連続して天壁10(上方)に向かって延びた状態に形成されている。第2切断線24は、第3切断線25との成す角度D2が鈍角(90度よりも大きく180度よりも小さい角)となるように切断方向上流から下流に向かって天壁10の側に傾斜した状態に形成されている。
【0043】
[包装箱の開封]
次に、包装箱1の開封手順について説明する。開封構造20を利用して、包装箱1の前側上部、若しくは後側上部、または上部全体が開放されることで、包装箱1が開封される。
【0044】
<包装箱の前側上部の開放手順>
まず、図3ないし図5を参照して、包装箱1の前側上部(第1側壁11の側の上部)を開放する手順について説明する。図4は包装箱1の開封を開始した状態を示す斜視図である。図5は包装箱1の前側上部を開封した状態を示す斜視図である。
【0045】
図4に示すように、作業者は、第1側壁11に形成された開封開始部21(図1参照)を押し込む。開封開始部21は押込切断線21Aに沿って切断されて押込罫線21Bで内側に折れ曲がり、第1側壁11を掴むための開封穴Hが形成される。作業者は、開封穴Hに指を掛けて第1側壁11を手前または斜め上方に引っ張る。すると、第1側壁11は、一対の補助折曲線22に沿って山折りされながら、第1切断線23に沿って左右方向中央から外側に向かって切断される(図4の矢印参照)。
【0046】
作業者が更に第1側壁11を引っ張ると、各々の第1内フラップ14が、第2切断線24に沿って前方から後方に向かって切断され始める(図4の矢印参照)。第2切断線24は第1切断線23の延長線上に形成されているため、第1側壁11を切断する力(切断力)は、大きく損なわれることなく第2切断線24に伝達され、第1内フラップ14を切断する力(切断力)となる。
【0047】
第2切断線24に沿った第1内フラップ14の切断が進むと、各々の第1外フラップ16が、第3切断線25に沿って下方から上方に向かって切断され始める(図4の矢印参照)。図3に示すように、第3切断線25は第2切断線24との成す角度D2が鈍角に設定されているため、第2切断線24に沿った切断力の垂直方向の分力が第3切断線25に伝達されて第1外フラップ16を切断する力(切断力)となる。
【0048】
一対の第1外フラップ16が切断された後、作業者は、天壁10を開封折曲線26に沿って上方(または後方)に折り曲げる(図3の二点鎖線参照)。すると、図5に示すように、第1側壁11の上部、第1内フラップ14の上部、第1外フラップ16の前部および天壁10の前部が跳ね上げられ、包装箱1の前側上部が開放された状態になる。これにより、包装箱1が開封された状態になり、包装箱1に収容された内容物を取り出すことができる。
【0049】
包装箱1の前側上部は、開封折曲線26を介して天壁10の後側に接続されたままである。したがって、開封折曲線26を支点として跳ね上げた包装箱1の前側上部を再び閉じることができる。これにより、一部の内容物を包装箱1から取り出した後、簡易的に再封緘することができる。その結果、残りの内容物を保管することが可能になる。
【0050】
なお、包装箱1の前側上部に代えて、後側上部を開放させてもよい。包装箱1の後側上部(第2側壁13の側の上部)を開放する手順は、上記した包装箱1の前側上部を開放する手順と略同一であるため、その詳細な説明は省略する。
【0051】
<包装箱の上部全体の開放手順>
次に、図6および図7を参照して、包装箱1の上部全体を開放する手順について説明する。図6は包装箱1の上部全体を開封した状態を示す側面図である。図7は包装箱1の上部全体を開封した状態を示す斜視図である。なお、以下の説明では、包装箱1の前側上部(第1側壁11の側の上部)が開放された状態であるものとする(図5参照)。
【0052】
作業者は、上記した包装箱1の前側上部を開放する手順と略同一の手順で包装箱1の後側上部(第2側壁13の側の上部)を開放する。具体的には、作業者は、第2側壁13の開封開始部21を押し込んで形成した開封穴Hに指を掛けて第2側壁13を手前または斜め上方に引っ張る。すると、第2側壁13は、一対の補助折曲線22に沿って山折りされながら、第1切断線23に沿って左右方向中央から外側に向かって切断される。作業者が更に第2側壁13を引っ張ると、各々の一対の第2内フラップ15が、第2切断線24に沿って後方から前方に向かって切断される。
【0053】
以上によって、第2側壁13の上部および第2内フラップ15の上部が、包装箱1の下部から切り離され、包装箱1の上部全体が開放された状態になる。これにより、包装箱1の下部全体がトレイとして機能するため、内容物をトレイに収容した状態で店頭等に展示(陳列)することができる。
【0054】
なお、上記の説明では、包装箱1の前側上部を開放した後に後側上部を開放することで、包装箱1の上部全体が開放されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記の説明とは逆に、包装箱1の後側上部を開放した後に前側上部を開放してもよい。また、他にも、作業者が包装箱1の前側上部と後側上部とを開放する作業を略同時に行ってもよい(図6参照)。
【0055】
[包装箱の上部の解体]
次に、図8を参照して、包装箱1の解体手順について説明する。図8は包装箱1の上部を解体した状態を示す斜視図である。
【0056】
包装箱1の下部から分離された包装箱1の上部(図6および図7参照)は、嵩張らないように解体された状態で保管され、所定期間毎に廃棄物として回収される。包装箱1の上部を解体する場合、作業者は、第3切断線25で分割された第1外フラップ16(図7参照)を解体切断線L3に沿って切断する。第1外フラップ16は、各内フラップ14,15に接着された状態で、天壁10から分離される。以上によって、包装箱1の上部は、略平坦に展開(解体)された状態になる。なお、展開された包装箱1の上部は、廃棄(回収)されるまでの間、複数積み重ねられて保管されることになる。
【0057】
以上説明した第1実施形態に係る包装箱1では、第2切断線24の全部が切断方向上流から下流に向かって上り勾配に形成され、第2切断線24と第3切断線25との成す角度D2が鈍角となる構成とした(図3参照)。この構成によれば、第2切断線24と第3切断線25との交点周りの角度D2が緩やかになるため、第2切断線24に沿った切断力の垂直方向の分力を第3切断線25に伝えることができる。これにより、包装箱1を第1~第3切断線23~25に沿って小さな力で円滑に切断することができる。つまり、包装箱1を容易に開封することができる。
【0058】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、2本の第1切断線23は、左右方向中央付近から外側に向かって上り勾配に形成されていた(図1参照)。ここで、仮に、第1切断線23(以下、「水平切断線」ともいう。)が略水平に形成されている場合について考える。各側壁11,13の強度は水平切断線の形成部分で低下しているため、各側壁11,13は水平切断線を中心に二つ折りされ易くなっている。このため、包装箱1が圧縮荷重を受けると、各側壁11,13は、外側に膨らむように水平切断線で折れ易くなっている(いわゆる「胴膨れ」の発生)。つまり、水平切断線を有した各側壁11,13は座屈し易いという問題があった。また、胴膨れが発生した包装箱1は外観が悪化するため、胴膨れが発生した包装箱1(包装箱1の下部(トレイ))を店頭に展示することができないこともあった。
【0059】
これに対し、第1実施形態に係る包装箱1では、2本の第1切断線23が略V字状を成すように各側壁11,13に形成されているため、各側壁11,13は第1切断線23を中心に二つ折りされ難くなっている。この構成によれば、包装箱1にかかる圧縮荷重による各側壁11,13の座屈を抑制することができる。これにより、包装箱1の容易な開封作業を担保しながら、各側壁11,13の座屈による包装箱1の胴膨れを抑制することができる。
【0060】
また、第1実施形態に係る包装箱1によれば、開封開始部21を押し込んで開封穴H(図4参照)を形成することで、作業者は開封穴Hに指(手)を掛けて各側壁11,13を引っ張ることができる。包装箱1の開封作業を効率良く行うことができる。
【0061】
また、第1実施形態に係る包装箱1によれば、各側壁11,13を補助折曲線22で山折りして撓ませることで(図4参照)、各側壁11,13を開き易くすることができる。これにより、第1切断線23に沿った各側壁11,13の切断にかかる力を省力化することができる。
【0062】
また、第1実施形態に係る包装箱1によれば、包装箱1の前側上部(第1側壁11の側の上部)と、包装箱1の後側上部(第2側壁13の側の上部)とから選択した一方のみを、第1~第3切断線23,24,25に沿って切断して天壁10の開封折曲線26に沿って跳ね上げることができる。
【0063】
なお、第1実施形態に係る包装箱1では、第1切断線23が水平線に対して約10度傾斜していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1切断線23の角度D1は、水平線に対して3度以上30度以下の範囲で設定されていればよい。この範囲内で角度D1を設定することで、包装箱1の容易な開封と胴膨れの抑制という2つの効果を両立させることができる。また、この包装箱1では、2本の第1切断線23が略V字状に形成されたことで、各側壁11,13の座屈が抑制されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、包装箱1に高い圧縮強度を求められない場合には、第1切断線23が略水平(第1折曲線L1と平行)に形成されていてもよい(図示せず)。
【0064】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、第1切断線23と第2切断線24とが同一直線上に形成されていたが(図2参照)、これに限らず、第1切断線23と第2切断線24とが異なる角度で形成されていてもよい(図示せず)。
【0065】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、第2切断線24の全部が切断方向上流から下流に向かって上方に傾いていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図9に示すように、第1実施形態の変形例に係る包装箱1として、第2切断線27が角度の異なる連続線部27Aと傾斜線部27Bとを含んでいてもよい。連続線部27Aは、第1切断線23の延長線上に形成されている。傾斜線部27Bは、連続線部27Aから第3切断線25までの間に形成されている。傾斜線部27B(角度D4)は、連続線部27A(角度D3)よりも大きな角度で切断方向上流から下流に向かって上方(天壁10の側)に傾斜している(角度D3<角度D4)。また、連続線部27Aと第1切断線23との交点は、傾斜線部27Bと第3切断線25との交点よりも下方(底壁12の側)に位置している。このように、第2切断線27は、切断方向下流側となる第3切断線25の付近において、切断方向上流から下流に向かって天壁10の側に傾斜して第3切断線25との成す角度D2が鈍角となるように形成されていればよい。この構成(第2切断線27)によっても、上記した包装箱1(第2切断線24)と同様の作用、効果を得ることができる。なお、傾斜線部27Bが形成された第3切断線25の付近とは、例えば、第2切断線27の全長の中間よりも切断方向下流側を意味する。また、傾斜線部27Bは、第3切断線25の付近だけでなく、例えば、第2切断線27の全長の中間よりも切断方向上流側から第3切断線25まで形成されてもよい。
【0066】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、第1切断線23が第1および第2側壁11,13に形成され、第2切断線24が第1および第2内フラップ14,15に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1切断線23が第1側壁11(または第2側壁13)にのみ形成され、第2切断線24が第1内フラップ14(または第2内フラップ15)にのみ形成されていてもよい。つまり、開封構造20は、包装箱1の前側上部または後側上部を開放可能に形成されていればよい。
【0067】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、第3切断線25が第1外フラップ16の前後方向略中央に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第3切断線25は、第1外フラップ16の前側または後側に寄った位置に形成されていてもよい。この場合、第1および第2内フラップ14,15の延出寸法(突き合せ位置)や開封折曲線26の位置等を、第3切断線25の位置に合わせて調整することが好ましい。
【0068】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、第1~第3切断線23~25や解体切断線L3がジッパーで形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1~第3切断線23~25や解体切断線L3は、複数の略直線状の切目を所定間隔で並べることで形成されたミシン線等、段ボールシートを切断するための線であれば如何なるものでもよい。
【0069】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、開封折曲線26が4つの逆罫線を等間隔に一列に並べることで形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、開封折曲線26は、天壁10の左右方向に亘って形成された1本の逆罫線であってもよい(図示せず)。また、開封折曲線26は、逆罫線に限らず、汎用罫線上または逆罫線上に複数の切目を形成したリード罫等、天壁10を谷折りさせる線であれば如何なるものでもよい。
【0070】
[第2実施形態:包装箱の概要]
次に、図10ないし図12を参照して、第2実施形態に係る包装箱2について説明する。図10は包装箱2を示す斜視図である。図11は包装箱2のブランク6を示す平面図である。図12は包装箱2を示す側面図である。なお、以降の説明では、第1実施形態に係る包装箱1と同様または対応する構成については同一の符号を付し、包装箱1と同様または対応する説明は省略する。
【0071】
図10に示すように、包装箱2は、左右方向に長い略直方体状に形成されている。包装箱2は、略角筒状の周壁2Wの上下両面を閉塞して封緘されるA式の箱である。包装箱2は、図11に示すブランク6(段ボールシート製)を組み立てることで形成される。
【0072】
[ブランク]
図11に示すように、ブランク6は、一対の側壁30と、一対の端壁31と、一対の底内フラップ32と、一対の底外フラップ33と、一対の天内フラップ34と、一対の天外フラップ35と、を含んでいる。
【0073】
<側壁,端壁>
一対の側壁30と一対の端壁31とは、流れ方向に一列に並べられ、段方向に延びた第2折曲線L2を介して交互に連設されている。側壁30の流れ方向一端部には、第2折曲線L2を介して継代片36が連設されている。側壁30および端壁31は、段方向に略同一寸法となる略長方形状に形成されている。端面部の一例としての端壁31は、側面部の一例としての側壁30よりも流れ方向に幅狭く形成されている。
【0074】
<底内フラップ,底外フラップ>
一対の底内フラップ32は、流れ方向に延びた第1折曲線L1を介して一対の端壁31の段方向一端部(下端部)に連設されている。底内フラップ32は、流れ方向に長い(端壁31の流れ方向の寸法と略同一寸法)略長方形状に形成されている。底内フラップ32の段方向の寸法(延出寸法)は、端壁31の流れ方向の寸法の略半分に設定されている。一対の底外フラップ33は、第1折曲線L1を介して一対の側壁30の段方向一端部に連設されている。底外フラップ33は、流れ方向に長い(側壁30の流れ方向の寸法と略同一寸法)略長方形状に形成されている。底外フラップ33の段方向の寸法(延出寸法)は、底内フラップ32の延出寸法と略同一に設定されている。
【0075】
<天内フラップ,天外フラップ>
一対の天内フラップ34は、第1折曲線L1を介して一対の端壁31の段方向他端部(上端部)に連設されている。一対の天外フラップ35は、第1折曲線L1を介して一対の側壁30の段方向他端部に連設されている。天内フラップ34は底内フラップ32と略同一形状に形成され、天外フラップ35は底外フラップ33と略同一形状に形成されている。
【0076】
[開封線構造]
このブランク6は、包装箱2の一部または全部を上下に分断して開封するための開封構造40を備えている。
【0077】
図11に示すように、開封構造40は、2つの開封開始部41と、2組の一対の第1補助折曲線42Aと、2組の一対の第2補助折曲線42Bと、2本の第1切断線43と、2本の第2切断線44と、2本の第3切断線25と、を含んでいる。開封開始部41、一対の第1補助折曲線42A、一対の第2補助折曲線42Bおよび第1切断線43は、一対の側壁30に形成されている。第2切断線44および第3切断線25は、一対の端壁31に形成されている。なお、開封構造40は、包装箱2を組み立てた状態で、前後・左右に対称となる形状・配置であるため、以下、主に一方の側壁30および一方の端壁31に形成された開封開始部41、各補助折曲線42A,42B、第1切断線43および第2切断線44等について説明する。
【0078】
<開封開始部>
開封開始部41は、側壁30の流れ方向中央付近で、段方向中央よりもやや下側(底外フラップ33の側)に形成されている。開封開始部41は、流れ方向(左右方向)に長い略台形状に形成されている。開封開始部41は、後述する第1切断線43から天外フラップ35の側(上方)に向かって互いに近づくように湾曲した一対の押込切断線41A(複数の切目)を有している。一対の押込切断線41Aの先端の間には、押込罫線41B(汎用罫線)が形成されている。
【0079】
<第1補助折曲線,第2補助折曲線>
一対の第1補助折曲線42Aおよび一対の第2補助折曲線42Bは、側壁30にて第1切断線43よりも天外フラップ35の側(上方)に形成されている。一対の第1補助折曲線42Aは、開封開始部41の近傍から上方に向かって互いに離れるように延びている。一対の第2補助折曲線42Bは、一対の第1補助折曲線42Aよりも流れ方向外側にて上方から下方に向かって互いに離れるように延びている。一対の第1補助折曲線42Aは、側壁30を山折りさせるための汎用罫線である。一対の第1補助折曲線42Aは、側壁30を谷折りさせるための逆罫線である
【0080】
<第1切断線,第2切断線>
第1切断線43は、側壁30の段方向中央よりもやや下側にて側壁30の流れ方向全域に亘って形成されている。第1切断線43は、第1折曲線L1と略平行に形成されている。なお、第1切断線43は、継代片36にも形成されている。第2切断線44は、端壁31の段方向中央よりもやや下側にて端壁31の流れ方向全域に亘って形成されている。第1切断線43および第2切断線44は、複数の略直線状の切目を所定間隔で並べることで形成されたミシン線である。第1切断線43は側壁30を切断する機能を有し、第2切断線44は端壁31を切断する機能を有している。
【0081】
図11および図12に示すように、第2切断線44は、切断方向下流側となる第3切断線25の付近において、第3切断線25との成す角度D2が鈍角となるように切断方向上流から下流に向かって天内フラップ34の側(上方)に傾斜した状態に形成されている。第2切断線44は、第1切断線43の延長線上に形成されている連続線部44Aと、連続線部44Aから第3切断線25までの間に形成されている傾斜線部44Bと、を含んでいる。
【0082】
連続線部44Aは、第1切断線43に連続して端壁31の流れ方向全域に亘って形成されている。一対の第1切断線43と一対の連続線部44A(第2切断線44)とは、交互に連続してブランク6の流れ方向全域に亘って形成されている。すなわち、包装箱2を組み立てた状態で、第1切断線43と連続線部44Aとは、周壁2Wの全周に亘って第1折曲線L1と平行に形成されている。
【0083】
ところで、ブランク6を構成する段ボールシートは、コルゲータ(図示せず)と呼ばれる装置を用いて段ボール原紙の貼合工程を実行することによって製造される。コルゲータは、中しん9Aを流れ方向に進行させながら、その中しん9Aの両側にライナ9B,9Cを貼り付ける。また、コルゲータは、流れ方向に進行する段ボールシートに対し、第1折曲線L1、第1切断線43および連続線部44Aを形成し、流れ方向に連続する段ボールシートを所定長さに裁断する。このように、第1折曲線L1、第1切断線43および連続線部44Aは、コルゲータによってブランク6の流れ方向全域に連続した状態で形成される。なお、第2折曲線L2、開封開始部41、各補助折曲線42A,42Bおよび傾斜線部44B等は、コルゲータによる段ボールシートの製造工程よりも後過程で、フレキソフォルダーグルア(図示せず)と呼ばれる装置を用いて形成される。
【0084】
図11および図12に示すように、傾斜線部44Bは、上方に向かって凸となるように湾曲している。傾斜線部44Bは、連続線部44Aの流れ方向中央付近にて略半円形状に形成されている。上記した第3切断線25は、略半円形状の傾斜線部44Bの頂部(中間部)から上方(天内フラップ34)に向かって延びた状態に形成されている。傾斜線部44Bは、連続線部44Aとの交点P1から第3切断線25との交点P2までを結ぶ直線Sと第3切断線25との成す角度D2が鈍角になるように形成されている(図12参照)。傾斜線部44B(直線Sの角度D4)は、連続線部44A(角度D3(第2実施形態ではD3=0度))よりも大きな角度で切断方向上流から下流に向かって天内フラップ34の側(上方)に傾斜している(角度D3<角度D4)。また、連続線部44Aと第1切断線43との交点は、傾斜線部44Bと第3切断線25との交点よりも下方に位置している。
【0085】
[包装箱の封緘]
次に、図10および図12を参照して、包装箱2を封緘する手順(組立手順)について説明する。なお、ここでは、一例として、作業者が包装箱2を組み立てる場合について説明する。また、継代片36が反対側の端壁31の内面に接着剤で接着され、包装箱2は折り畳まれた状態であるものとする。
【0086】
作業者は、一対の側壁30と一対の端壁31とを第2折曲線L2に沿って略直角に折り曲げ、一対の側壁30を前後方向に対向させ、一対の端壁31を左右方向に対向させる。すると、一対の側壁30と一対の端壁31とは、上下方向の両端面に開口部を有する周壁2Wを形成する。
【0087】
次に、作業者は、第1折曲線L1を介して周壁2Wに連設された底内フラップ32、底外フラップ33、天内フラップ34および天外フラップ35によって周壁2Wの開口部を閉塞する。具体的には、作業者は、底内フラップ32を第1折曲線L1に沿って略直角に折り曲げ、底内フラップ32の表面に接着剤を付着させる。続いて、作業者は、底外フラップ33を第1折曲線L1に沿って略直角に折り曲げる。すると、一対の底外フラップ33は、その先端部を突き合せた状態で接着剤を介して底内フラップ32に接着される。一対の底外フラップ33は、一対の底内フラップ32に重ねられた状態で周壁2Wの下側の開口部を閉塞する(図10参照)。底内フラップ32と底外フラップ33とは、包装箱2の底部を形成する。この状態で、作業者は、内容物を包装箱2の内部(底部状)に収容する。
【0088】
次に、作業者は、天内フラップ34を第1折曲線L1に沿って略直角に折り曲げ、天内フラップ34の表面に接着剤を付着させる。続いて、作業者は、天外フラップ35を第1折曲線L1に沿って略直角に折り曲げる。すると、一対の天外フラップ35は、その先端部を突き合せた状態で接着剤を介して天内フラップ34に接着される。一対の天外フラップ35は、一対の天内フラップ34に重ねられた状態で周壁2Wの上側の開口部を閉塞する(図10参照)。天内フラップ34と天外フラップ35とは、包装箱2の天部を形成する。
【0089】
以上によって、包装箱2が封緘された状態になる。この状態で、第3切断線25は、端壁31において第2切断線44から一対の天外フラップ35の先端部の突き合せ部45に対応する位置まで延びた状態に形成されている(図12参照)。また、中しん9Aは包装箱2の上下方向に沿って延びている。なお、各外フラップ33,35は、接着剤で各内フラップ32,34に固定されていたが、これに限らず、粘着テープ等で固定されてもよい。
【0090】
[包装箱の開封]
次に、包装箱2の開封手順について説明する。
【0091】
<包装箱の前側上部の開放手順>
まず、図12ないし図14を参照して、包装箱2の前側上部を開放する手順について説明する。図13は包装箱2の開封を開始した状態を示す斜視図である。図14は包装箱2の前側上部を開封した状態を示す斜視図である。
【0092】
図13に示すように、作業者は、開封開始部41(図10参照)を押し込んで形成した開封穴Hに指を掛けて側壁30を手前または斜め上方に引っ張る。すると、側壁30は、一対の第1補助折曲線42Aに沿って山折りされ、且つ一対の第2補助折曲線42Bに沿って谷折りされながら、第1切断線43に沿って左右方向中央から外側に向かって切断される(図13の矢印参照)。
【0093】
作業者が更に側壁30を引っ張ると、各々の端壁31が、第2切断線44の連続線部44Aに沿って前方から後方に向かって切断される(図13の矢印参照)。また、連続線部44Aで切断された端壁31は、傾斜線部44Bに沿って前方から後方に向かって切断され、第3切断線25に沿って下方から上方に向かって切断される(図13の矢印参照)。図12に示すように、第3切断線25は傾斜線部44B(直線S)との成す角度D2が鈍角に設定されているため、傾斜線部44Bに沿った切断力の垂直方向の分力が第3切断線25に伝達されて端壁31を切断する力(切断力)となる。
【0094】
一対の端壁31が切断された後、作業者は、一対の天内フラップ34を一対の天外フラップ35の先端部の突き合せ部45に沿った位置で上方(または後方)に折り曲げる(図12の二点鎖線参照)。つまり、この突き合せ部45が、一対の天内フラップ34を谷折りさせるための仮想的な谷折り線となっている。すると、図14に示すように、側壁30の上部、端壁31の前側上部および天内フラップ34の前部が跳ね上げられ、包装箱2の前側上部が開放された状態になる。これにより、包装箱2が開封された状態になり、包装箱2に収容された内容物を取り出すことができる。
【0095】
なお、包装箱2の前側上部に代えて、後側上部を開放させてもよい。包装箱2の後側上部を開放する手順は、上記した包装箱2の前側上部を開放する手順と略同一であるため、その詳細な説明は省略する。
【0096】
<包装箱の上部全体の開放手順>
次に、図15および図16を参照して、包装箱2の上部全体を開放する手順について簡単に説明する。図15は包装箱2の上部全体を開封した状態を示す側面図である。図16は包装箱2の上部全体を開封した状態を示す斜視図である。
【0097】
包装箱2の前側上部が開放された状態で、作業者は、上記した包装箱2の前側上部を開放する手順と略同一の手順で包装箱2の後側上部を開放する。すると、包装箱2の上部全体が下部全体から切り離される。なお、具体的な手順は、包装箱2の前側上部を開放する手順と略同一であるため、その説明は省略する。これにより、包装箱1の下部全体がトレイとして機能するため、内容物をトレイに収容した状態で店頭等に展示(陳列)することができる。なお、連続線部44Aと傾斜線部44Bとで囲まれた部分(略半円形状の部分)が包装箱2の下部に残るが、これはこのまま残してもよいし、連続線部44Aに沿って切断してもよい。
【0098】
なお、上記の説明では、包装箱2の前側上部を開放した後に後側上部を開放することで、包装箱2の上部全体が開放されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記の説明とは逆に、包装箱2の後側上部を開放した後に前側上部を開放してもよい。また、他にも、作業者が包装箱2の前側上部と後側上部とを開放する作業を略同時に行ってもよい。
【0099】
以上説明した第2実施形態に係る包装箱2によれば、包装箱2を容易に開封することができる等、第1実施形態に係る包装箱1と同様の作用、効果を得ることができる。
【0100】
また、第2実施形態に係る包装箱2によれば、連続線部44Aが第1切断線43と同一直線上に形成されているため(図11参照)、第1切断線43に沿った切断力を、無駄なく連続線部44Aに伝達することができる。また、傾斜線部44Bが連続線部44Aから第3切断線25に向かって上り勾配に形成されているため(図12参照)、傾斜線部44Bに沿った切断力の垂直方向の分力を第3切断線25に伝達することができる。これにより、包装箱1の開封作業を容易に行うことができる。
【0101】
また、第2実施形態に係る包装箱2では、第1切断線43および第2切断線44が、ブランク6の流れ方向全体に亘って延びたミシン線で構成されていた(図11参照)。この構成によれば、コルゲータによる段ボールシートの製造過程で、第1折曲線L1と同時期にミシン線を形成することができる。これにより、後工程においてフレキソフォルダーグルアを用いて第1および第2切断線43,44を形成する場合に比べて、第1および第2切断線43,44を短時間で精度良く形成することができる。
【0102】
また、第2実施形態に係る包装箱2では、一対の天内フラップ34は、一対の天外フラップ35の先端部の突き合せ部45に沿った位置で谷折り可能に形成されていた(図12および図14参照)。この構成によれば、包装箱2の前側上部と後側上部とから選択した一方のみを、第1~第3切断線43,44,25に沿って切断して、一対の天外フラップ35の先端部の突き合せ部45に沿って設定された仮想的な谷折り線を中心に跳ね上げることができる。また、包装箱2の前側上部または後側上部を開封後に再び簡易的に閉じることもできる。これにより、一部の内容物のみを取り出し、残りの内容物を保管することが可能になる。
【0103】
なお、第2実施形態に係る包装箱2では、第2切断線44の傾斜線部44Bが上方に向かって凸となる略半円形状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図17Aに示すように、傾斜線部44Bは、底外フラップ33の側(下方)に向かって凸となるように湾曲していてもよい。また、図17Bに示すように、傾斜線部44Bは、直線的に形成されていてもよい。また、図17Cに示すように、傾斜線部44Bは、上方に凸となる略台形状に形成されていてもよい。
【0104】
また、第2実施形態(各変形例を含む。以下同じ。)に係る包装箱2では、第1切断線43および第2切断線44の連続線部44Aが第1折曲線L1と略平行に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1実施形態(変形例を含む。以下同じ。)に係る包装箱1に形成された第1切断線23および第2切断線24,27が、第2実施形態に係る包装箱2に適用されてもよい。また、これと同様に、第2実施形態に係る包装箱2に形成された第1切断線43および第2切断線44が、第1実施形態に係る包装箱1に適用されてもよい。
【0105】
また、第2実施形態に係る包装箱2では、一対の天内フラップ34が一対の天外フラップ35の先端部の突き合せ部45に沿って折り曲げられていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、一対の天内フラップ34において一対の天外フラップ35の先端部の突き合せ部45に沿った位置に逆罫線等の谷折り線を形成してもよい(図示せず)。
【0106】
また、第2実施形態に係る包装箱2では、第3切断線25が端壁31の前後方向略中央に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第3切断線25は、端壁31の前側または後側に寄った位置に形成されていてもよい。この場合、一対の天外フラップ35の延出寸法(突き合せ部45)を第3切断線25の位置に合わせて調整することが好ましい。
【0107】
また、第2実施形態に係る包装箱2では、第1および第2切断線43,44がミシン線で形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1および第2切断線43,44は、ジッパー等の段ボールシートを切断するための線であれば如何なるものでもよい。
【0108】
また、第2実施形態に係る包装箱2では、開封開始部41が側壁30において第1切断線43の上側に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、開封開始部41は、第1切断線43の下側に形成されていてもよいし(図18A参照)、第1切断線43を分断する位置(跨ぐ位置)に形成されていてもよい(図18B参照)。また、これと同様に、第1実施形態に係る包装箱1の開封開始部21も、第1切断線23の上側または下側に形成されていてもよい(図示せず)。また、各開封開始部21,41の形状は、作業者の指を掛けることができる形状であれば如何なる形状でもよい。さらに、各開封開始部21,41は各押込罫線21B,41Bで各側壁11,13,30に接続されていたが、各押込罫線21B,41Bを省略して各開封開始部21,41が各側壁11,13,30から分離されるようにしてもよい。
【0109】
なお、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2では、第1切断線23,43が、直線状に形成されていたが、これに限らず、例えば、途中で湾曲または屈曲していてもよい(図示せず)。
【0110】
なお、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2では、第3切断線25が略垂直に延びていたが、これに限らず、前側または後側に傾斜していてもよい。この場合であっても、第2切断線24,44(44B)は第3切断線25との成す角度が鈍角になるように形成される。
【0111】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、一対の補助折曲線22が各側壁11,13に形成され、第2実施形態に係る包装箱2では、一対の第1補助折曲線42Aおよび一対の第2補助折曲線42Bが側壁30に形成されていたが、これらの補助折曲線22,42A,42Bは省略されてもよい。
【0112】
また、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2の形状や大きさ(寸法)等は、一例であって、内容物の形状や大きさに応じて適宜変更することができる。また、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2の形式等も適宜変更することができ、様々な形式の箱において、側面部に相当する位置に第1切断線23,43が形成され、端面部に相当する位置に第2切断線24,27,44および第3切断線25が形成されていればよい。
【0113】
また、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2は、紙製の両面段ボールシートで形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、段ボールシートは、中しん9Aの片面にライナを貼り付けた片面段ボールシートであってもよいし、片面段ボールシートを両面段ボールシートに貼り合せた複両面段ボールシートであってもよい。また、例えば、包装箱1は、紙製の段ボールシートに代えて、厚紙や樹脂製の板等で形成されていてもよい。
【0114】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る包装箱における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0115】
1,2 包装箱
1W,2W 周壁
9A 中しん
9B 表ライナ
9C 裏ライナ
10 天壁(天部)
11 第1側壁(側面部)
12 底壁(底部)
13 第2側壁(側面部)
14 第1内フラップ(端面部)
15 第2内フラップ(端面部)
16 第1外フラップ(端面部)
17 第2外フラップ(端面部)
21,41 開封開始部
22 補助折曲線
23,43 第1切断線
24,27,44 第2切断線
25 第3切断線
26 開封折曲線
27A,44A 連続線部
27B,44B 傾斜線部
30 側壁(側面部)
31 端壁(端面部)
32 底内フラップ(底部)
33 底外フラップ(底部)
34 天内フラップ(天部)
35 天外フラップ(天部)
42A 第1補助折曲線
42B 第2補助折曲線
45 突き合せ部
D2 角度
P1,P2 交点
S 直線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B