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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】トルク検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/10 20060101AFI20220114BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
G01L3/10 305
B62D5/04
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2017252532
(22)【出願日】2017-12-27
(65)【公開番号】P2019117170
(43)【公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】田中 健
(72)【発明者】
【氏名】清水 辰吾
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊朗
(72)【発明者】
【氏名】神野 智
(72)【発明者】
【氏名】深谷 繁利
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06489761(US,B1)
【文献】特開2005-091013(JP,A)
【文献】特許第3874642(JP,B2)
【文献】特許第5656128(JP,B2)
【文献】特許第5105266(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L3
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸(41)と第2軸(43)とを同軸上に連結する弾性部材(42)のねじれ変位に基づき、前記第1軸と前記第2軸との間のねじれトルクを検出するトルク検出装置(10)において、
前記第1軸の回転に伴って回転するものであって、磁力線が出入りする第1極及び第2極を有する磁束発生部(1)と、
磁束又は磁束密度を検出する検出面(13a)を有し、前記第2軸の回転に伴い回転する磁気センサ(13)と、を備え、
前記第1極と前記第2極とは、前記磁気センサを挟んで対向配置されており、
前記磁束発生部の回転軸は、前記第1軸及び前記第2軸の径方向外側であって、前記第1軸及び前記第2軸に沿って配置されており、
前記磁気センサは、前記磁束発生部の回転中心に配置されており、
前記第1軸の回転角を検出する角度センサ(101)を備え、
前記角度センサは、磁束又は磁束密度を検出する検出面(101a)を有するセンサであり、
前記角度センサは、角度センサ用連結部(102)を介して前記第1軸の回転に応じて回転する状態で前記第1軸に連結され、
前記第1軸の回転に対する前記磁気センサの回転の比率と、前記第1軸の回転に対する前記角度センサの回転の比率とを異ならせており、
前記角度センサは、前記第1極と前記第2極との間に配置されているトルク検出装置。
【請求項2】
第1軸(41)と第2軸(43)とを同軸上に連結する弾性部材(42)のねじれ変位に基づき、前記第1軸と前記第2軸との間のねじれトルクを検出するトルク検出装置(10)において、
前記第1軸の回転に伴って回転するものであって、磁力線が出入りする第1極及び第2極を有する磁束発生部(1)と、
磁束又は磁束密度を検出する検出面(13a)を有し、前記第2軸の回転に伴い回転する磁気センサ(13)と、を備え、
前記第1極と前記第2極とは、前記磁気センサを挟んで対向配置されており、
前記磁束発生部の回転軸は、前記第1軸及び前記第2軸の径方向外側であって、前記第1軸及び前記第2軸に沿って配置されており、
前記磁気センサは、前記磁束発生部の回転中心に配置されており、
前記第2軸の回転角を検出する角度センサ(201)を備え、
前記角度センサは、磁束又は磁束密度を検出する検出面を有するセンサであり、
前記角度センサは、角度センサ用連結部(202)を介して前記第2軸の回転に応じて回転する状態で前記第2軸に連結され、
前記第2軸の回転に対する前記磁気センサの回転の比率と、前記第2軸の回転に対する前記角度センサの回転の比率とを異ならせており、
前記角度センサは、前記第1極と前記第2極との間に配置されているトルク検出装置。
【請求項3】
前記第1極と前記第2極と間を出入りする磁力線は、前記ねじれトルクに関わらず一定である請求項1又は2に記載のトルク検出装置。
【請求項4】
前記磁気センサは、ねじれトルクが生じていない初期状態において、前記第1極から前記第2極への磁力線に対して、その検出面が沿うように配置されている請求項1~3のうちいずれか1項に記載のトルク検出装置。
【請求項5】
前記磁気センサは、ねじれトルクが生じていない初期状態において、前記第1極から前記第2極への直線に対して、その検出面が沿うように配置されている請求項1~4のうちいずれか1項に記載のトルク検出装置。
【請求項6】
前記磁束発生部は、前記第1極及び前記第2極を有する磁石(502)である請求項1~のうちいずれか1項に記載のトルク検出装置。
【請求項7】
前記磁束発生部は、前記第1軸の回転に伴い回転するヨーク(12)、及び前記ヨークとの相対位置が固定された状態で設けられ、前記第1軸の回転に伴い回転する磁石(11)を有し、
前記磁石の両極のうちの一方の磁極が、前記第1極に相当し、
前記ヨークに設けられ、前記第1極から所定距離を空けて対向配置されている対向部(12b)が、前記第2極に相当し、
前記第1極と前記第2極とが、前記ヨークの回転中心を挟んで対向する位置に配置されている請求項1~のうちいずれか1項に記載のトルク検出装置。
【請求項8】
前記ヨークは、弧状又は環状であり、
前記磁石は、前記ヨークの内側に配置され、前記磁石の両極のうち他方の磁極が前記ヨークの回転中心とは反対側で前記ヨークに対向するように配置されている請求項に記載のトルク検出装置。
【請求項9】
前記磁石の両極のうち他方の磁極は、前記ヨークと連結するように固定されている請求項に記載のトルク検出装置。
【請求項10】
前記対向部は、前記ヨークの内縁から前記第1極に向かって突出している請求項7~9のうちいずれか1項に記載のトルク検出装置。
【請求項11】
前記第2極において前記第1極に対向する面の面積は、前記第1極において前記第2極に対向する面の面積と比較して小さい請求項1~10のうちいずれか1項に記載のトルク検出装置。
【請求項12】
前記磁束発生部の回転軸は、前記第1軸及び前記第2軸と同軸上とされ、
前記磁気センサは、前記第1軸及び前記第2軸の径方向において、前記弾性部材よりも外側に配置されている請求項1~11のうちいずれか1項に記載のトルク検出装置。
【請求項13】
前記磁束発生部は、第1連結部(14)を介して前記第1軸の回転に応じて回転する状態で前記第1軸に連結され、
前記磁気センサは、第2連結部(15)を介して前記第2軸の回転に応じて回転する状態で前記第2軸に連結され、
前記第1軸の回転に対する前記磁束発生部の回転の比率は、前記第2軸の回転に対する前記磁気センサの回転の比率と同じである請求項1~12のうちいずれか1項に記載のトルク検出装置。
【請求項14】
前記第1軸の回転に対する前記磁束発生部の回転の比率は、1よりも大きい請求項13に記載のトルク検出装置。
【請求項15】
前記第1軸の回転に対する前記磁束発生部の回転の比率は、1よりも小さい請求項13に記載のトルク検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじれトルクを検出するトルク検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動パワーステアリング装置等において、ねじれトルク(軸トルク)を検出するトルク検出装置(トルクセンサ)が用いられることが知られている。例えば、特許文献1に記載のトルクセンサでは、入力軸と出力軸とを連結するトーションバーがねじれた場合、一組のヨークが、多極磁石に対して周方向に相対的に変位する。このとき、ヨークの間における磁束密度を磁気センサが検出し、磁束密度の変化に基づき、ねじれトルクを検出する。このトルク検出装置の性能として、あるねじれトルクに対して常に一定の信号を出力することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-149062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ヨークが磁石に対して周方向に相対的に変位する際、ヨークは磁石から磁束を捕集し、ヨーク内部において磁束を通過させている。このため、磁気ヒステリシスのなるべく小さい素材を利用してヨークを作成しなければ、磁気ヒステリシスの影響により、同じねじれトルクであっても、磁気センサが検知する磁束密度にばらつきが生じる場合があり、ねじれトルクの検出精度が低下する虞があった。このため、素材選択の自由度が低いという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ねじれトルクの検出精度を向上させることができるトルク検出装置を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するトルク検出装置は、第1軸と第2軸とを同軸上に連結する弾性部材のねじれ変位に基づき、前記第1軸と前記第2軸との間のねじれトルクを検出するトルク検出装置において、前記第1軸の回転に伴って回転するものであって、磁力線が出入りする第1極及び第2極を有する磁束発生部と、磁束又は磁束密度を検出する検出面を有し、前記第2軸の回転に伴い回転する磁気センサと、を備え、前記第1極と前記第2極とは、前記磁気センサを挟んで対向配置されている。
【0007】
上記構成によれば、第1極から第2極への直線と、磁気センサの検出面とがなす角度(入射角)は、第1軸に対する第2軸の回転に応じて変化する。そして、当該角度の変化に応じて、検出面を通過する磁力線の数が変化する。すなわち、磁束密度が変化する。トルク検出装置は、この磁束密度の変化に基づき、ねじれ変位を検出することができる。
【0008】
ところで、上記構成において、第1極から第2極への直線と、磁気センサの検出面とがなす角度に基づき、磁束密度が変化するため、第1極から第2極への磁束密度を変化させる必要はない。第1極から第2極への磁束密度を変化させない場合、磁気センサが受ける磁束密度は、磁気ヒステリシスの影響を受けない。つまり、第1極から第2極への磁束密度を変化させない場合、同じねじれトルクであるときには、磁気センサが検知する磁束密度にばらつきが生じない。すなわち、上記構成でねじれトルクを検出する場合、磁気ヒステリシスの影響を抑制することができる。このため、ヨークの磁気ヒステリシスが大きい素材を選択しても、ねじれトルクの検出精度が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ステアリングシステムの概略構成図。
図2】トルク検出装置の側面図。
図3】トルク検出装置の縦断面図。
図4】トルク検出装置のI-I線断面図。
図5】(a)~(c)は、磁気ヨークと磁気センサの位置関係を示す模式図。
図6】磁束密度と、角度との関係を示す図。
図7】第2実施形態のトルク検出装置を示す縦断面図。
図8】(a)~(b)は、磁気ヨークと磁気センサの位置関係を示す模式図。
図9】第3実施形態のトルク検出装置を示す側面図。
図10】第3実施形態のトルク検出装置を示す縦断面図。
図11】(a)~(b)は、磁気ヨークと磁気センサの位置関係を示す模式図。
図12】(a)は、第4実施形態のトルク検出装置を示す側面図。(b)は、第4実施形態のトルク検出装置を示す断面図。
図13】別例のトルク検出装置を示す側面図。
図14】別例のトルク検出装置を示す側面図。
図15】別例のトルク検出装置を示す縦断面図。
図16】別例のトルク検出装置を示す模式図。
図17】(a),(b)は、別例のトルク検出装置を示す模式図。
図18】別例のトルク検出装置を示す模式図。
図19】別例のトルク検出装置を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付している。
【0011】
<ステアリングシステム100>
実施形態にかかるトルク検出装置10について、図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、トルク検出装置10は、例えば、車両のステアリング操作を補助するための電動パワーステアリング装置20を備えたステアリングシステム100に用いられる。
【0012】
ハンドル30は、ステアリングシャフト40と接続されている。図2に示すように、ステアリングシャフト40は、ハンドル30と接続されている第1軸としての入力軸41と、入力軸41に連結されているトーションバー42と、トーションバー42を介して入力軸41と連結されている第2軸としての出力軸43を有する。なお、第1軸と第2軸は入れ替えてもよい。
【0013】
トーションバー42は、一端側が入力軸41に、他端側が出力軸43にそれぞれ図示しない固定ピン等により固定されており、入力軸41と出力軸43とを同軸上に連結する。トーションバー42は、棒状の弾性部材であり、ステアリングシャフト40に加えられるねじれトルクに応じて、ねじれ変位し、弾性力を蓄える。図1に示すように、入力軸41と出力軸43との間には、トーションバー42(すなわち、ステアリングシャフト40)に加わるねじれトルクを検出するトルク検出装置10が設けられている。
【0014】
出力軸43の先端には、ピニオンギヤ50が設けられており、ピニオンギヤ50はラック軸51にかみ合わされている。ラック軸51の両端には、タイロッド等を介して、一対の車輪52が連結されている。これにより、ドライバがハンドル30を回転させると、ハンドル30に接続されたステアリングシャフト40が回転する。ステアリングシャフト40が回転すると、ピニオンギヤ50によってラック軸51が左右方向に直線運動する。そして、ラック軸51の変位量に応じて、一対の車輪52が操舵される。
【0015】
電動パワーステアリング装置20は、ドライバによるハンドル30の操舵を補助する補助トルクを出力するモータ21と、減速ギヤ22と、制御装置23等を備えている。減速ギヤ22は、モータ21の回転を減速してステアリングシャフト40に伝達する。本実施形態では、コラムアシストタイプであるが、モータ21の回転をピニオンギヤ50に伝えるピニオンアシストタイプや、モータ21の回転をラック軸51に伝えるラックアシストタイプでもよい。制御装置23は、トルク検出装置10からねじれトルクを示す電圧信号を入力し、取得した電圧信号に応じてモータ21の駆動を制御する。
【0016】
なお、以下では、単に軸方向と示した場合には、ステアリングシャフト40(入力軸41、トーションバー42、及び出力軸43も含む。以下同様)の軸方向のことを意味する。また、単に径方向と示した場合には、ステアリングシャフト40の径方向のことを意味する。また、図では、ステアリングシャフト40の軸方向を矢印Z1で示し、径方向を矢印X1で示す。
【0017】
<トルク検出装置10>
図3に示すように、トルク検出装置10は、磁束を発生する磁束発生部1と、磁束密度(又は磁束)を検出する検出面を有する磁気センサ13等を備えている。磁束発生部1は、具体的には、磁石11と、磁気ヨーク12とから構成されている。また、図2に示すように、トルク検出装置10は、磁石11と磁気ヨーク12を入力軸41に連結するための第1連結部14と、磁気センサ13を出力軸43に連結するための第2連結部15と、を備えている。
【0018】
<第1連結部14>
図2に示すように、第1連結部14は、円盤状に形成され、外周に歯が設けられたギヤ(平歯車)であり、第1回転軸16を中心として回転するように構成されている。この第1回転軸16は、ステアリングシャフト40の径方向外側に設けられており、且つ、ステアリングシャフト40に沿っている(平行となっている)。
【0019】
また、第1連結部14は、入力軸41の外周に固定され、入力軸41と一体的に回転する第1歯車41aに噛み合うように構成されている。また、第1連結部14は、第1歯車41aに連動して回転可能に第1回転軸16に固定されている。すなわち、第1連結部14は、入力軸41の回転に応じて連動して回転するように、入力軸41に対して連結されている。
【0020】
第1歯車41aに対する第1連結部14のギヤ比(減速比)は、1対1としている。つまり、入力軸41の回転に対する第1連結部14の回転の比率は、1対1とされており、入力軸41が1回転すると、第1連結部14も1回転するようになっている。なお、第1連結部14の中心には、軸方向に沿って延びる軸孔14aが形成されており、この軸孔14aに第1連結部14の第1回転軸16が挿入され、第1連結部14が回転可能に固定される。
【0021】
図3に示すように、第1連結部14は、有底の円筒状に形成されている。すなわち、第1連結部14には、軸方向に沿って収容凹部14bが形成されている。この収容凹部14bは、出力軸43側に開口している。この収容凹部14b内に、磁気ヨーク12及び磁石11が収容されている。
【0022】
<磁気ヨーク12>
図3及び図4に示す磁気ヨーク12は、軟磁性体(例えば、鉄、パーマロイ等)により円環状に形成されている。なお、図において、磁気ヨーク12の径方向を矢印X2で示す。また、図4は、出力軸43側から磁気ヨーク12を見た場合における図である。
【0023】
そして、磁気ヨーク12は、第1連結部14の収容凹部14bに収容されている。その際、磁気ヨーク12の中心と、第1連結部14の回転中心(第1回転軸16)とが一致するように、磁気ヨーク12は、収容凹部14bに収容されており、第1連結部14に固定されている。このため、磁気ヨーク12は、入力軸41の回転に連動して第1連結部14が回転すると、第1連結部14の第1回転軸16を中心として、第1連結部14と一体的に回転することとなる。すなわち、磁気ヨーク12は、第1連結部14を介して、入力軸41の回転に応じて連動して回転するように、入力軸41に連結されている。
【0024】
従って、磁気ヨーク12の中心が、回転中心となり、また、磁気ヨーク12の回転中心(回転軸)は、ステアリングシャフト40の径方向外側において、ステアリングシャフト40に沿っている(と平行となる)。具体的には、図2に示すように、磁気ヨーク12の回転中心は、ステアリングシャフト40から、径方向外側に所定距離D1だけ離れた位置に配置されている。
【0025】
また、図4に示すように、磁気ヨーク12を構成する環状部12aの内縁には、後述する磁石11に対向する対向部12bが設けられている。この対向部12bは、環状部12aの内縁から磁気ヨーク12の径方向内側に(回転中心に向かって)突出するように形成されている。磁気ヨーク12(環状部12a)の径方向において、この対向部12bの長さは、環状部12aの内縁から磁気ヨーク12の回転中心までの長さよりも短く形成されている。本実施形態において、対向部12bは、四角柱状に形成されているが、これに限らず、円柱状であっても、多角柱状であってもよい。
【0026】
<磁石11>
磁石11は、硬磁性体により棒状(四角柱状)に形成されている。磁石11の長手方向において、一方の端部がN極の磁極(一方の磁極)となり、他方の端部がS極の磁極(他方の磁極)となるように、着磁されている。
【0027】
この磁石11は、その長手方向が磁気ヨーク12(より詳しくは環状部12a)の径方向に沿うように(平行となるように)、磁気ヨーク12の内側に配置されている。その際、磁石11は、軸方向において磁気ヨーク12と重複するように配置されている。具体的には、環状部12aの内縁に、磁石11の一端(S極)が連結されており、磁石11のN極が回転中心を向くように固定されている。なお、長手方向における磁石11の長さ(磁気ヨーク12の径方向における長さ)は、環状部12aの内縁から磁気ヨーク12の回転中心までの長さよりも短く形成されている。
【0028】
そして、磁石11は、磁気ヨーク12の回転中心を挟んでそのN極が対向部12bに対向するように固定されている。本実施形態では、磁石11は、対向部12bが設けられた位置から180度離れた位置において、磁気ヨーク12の環状部12aに固定されている。したがって、対向部12bは、磁石11のN極へ向かって磁気ヨーク12の内縁から突出するように形成されているともいえる。
【0029】
また、磁石11のN極から磁気ヨーク12の回転中心までの距離D2は、対向部12bの先端から磁気ヨーク12の回転中心までの距離D3と同じとなるように形成されている。したがって、磁石11のN極と磁気ヨーク12の対向部12bとが、所定距離D4(=D2+D3)を空けて磁気ヨーク12の回転中心を挟んで対向する位置に配置されていることとなる。また、磁石11のN極から環状部12aの内縁までの距離は、いずれも、対向部12bまでの距離D4よりも長くなっていることが望ましい。
【0030】
また、磁石11と磁気ヨーク12との相対位置は固定されていることとなる。つまり、入力軸41の回転に連動して第1連結部14が回転した場合、磁石11と磁気ヨーク12は、第1連結部14と一体的に回転する。このため、磁石11と磁気ヨーク12の相対位置は固定される。
【0031】
以上により、本実施形態において、磁束発生部1(磁石11及び磁気ヨーク12)は、一定の磁束(すなわち、磁力線)が出入りする第1極及び第2極を有し、入力軸41の回転に伴って第1極及び第2極の相対位置が固定された状態で回転するといえる。つまり、磁石11及び磁気ヨーク12は、入力軸41の回転に伴って一体的に回転する。また、磁石11は、磁気ヨーク12に固定されているため、入力軸41の回転に伴って磁気ヨーク12内を通過する磁束の経路が変更されることはない。つまり、入力軸41の回転に伴って磁気ヨーク12を通過する磁束が大きくなったり、小さくなったりせず、一定となっている。なお、磁石11の両極のうちの一方の磁極(N極)が、第1極に相当し、磁気ヨーク12に設けられ、N極から所定距離を空けて対向配置されている対向部12bが、第2極に相当する。
【0032】
<第2連結部15>
図2に示すように、第2連結部15は、円盤状に形成されており、外周に歯が設けられたギヤ(平歯車)であり、軸方向において、同心円状となるように、第1連結部14と重なるように配置されている。また、第2連結部15は、第2連結部15に設けられた第2回転軸17を中心として回転するように構成されている。
【0033】
第2回転軸17は、第2連結部15の中心に、軸方向に沿って第1連結部14とは反対側に延びるように形成されている。第2回転軸17は、図示しない軸受などを介して回転可能に固定されている。また、第2回転軸17は、ステアリングシャフト40の径方向外側に設けられており、且つ、ステアリングシャフト40に沿っている(平行となっている)。また、第2回転軸17は、第1回転軸16と同軸上に設けられている。
【0034】
そして、第2連結部15は、出力軸43の外周に固定され、出力軸43と一体的に回転する第2歯車43aに、噛み合うように構成されている。そして、第2連結部15は、出力軸43の回転に連動して回転可能となるように第2回転軸17が固定されている。このため、第2連結部15は、出力軸43の回転に応じて連動して回転するように、出力軸43に対して連結されている。
【0035】
第2歯車43aに対する第2連結部15のギヤ比は、1対1である。つまり、出力軸43の回転に対する第2連結部15の回転の比率は、1対1とされており、出力軸43が1回転すると、第2連結部15も1回転するようになっている。すなわち、出力軸43の回転に対する第2連結部15の回転の比率は、入力軸41の回転に対する第1連結部14の回転の比率と同じである。このため、入力軸41と出力軸43との間のねじれ変位は、第1連結部14と第2連結部15との間のねじれ変位とほぼ同じとなる。
【0036】
また、図3に示すように、第2連結部15の中心には、軸方向に沿って第1連結部14側に突出する突出部15aが設けられている。この突出部15aは、第1連結部14と第2連結部15とが組み付けられた際、第1連結部14の収容凹部14b内に突出するようにその長さが設定されている。
【0037】
そして、突出部15aは、円柱形状となっており、その中心が回転中心と一致するように形成されている。また、突出部15aは、第1連結部14と第2連結部15とが組み付けられた際、磁気ヨーク12の対向部12bと磁石11との間に配置されている。すなわち、突出部15aの半径は、磁石11のN極から磁気ヨーク12の回転中心までの距離D2(及び対向部12bの先端から磁気ヨーク12の回転中心までの距離D3)よりも小さく構成されている。また、突出部15aには、軸方向に沿って貫通孔15bが形成されている。この貫通孔15b内において、磁気センサ13が収容されている。
【0038】
<磁気センサ13>
図4に示すように、磁気センサ13は、ホール素子などを利用したものであり、検出面13aを通過する磁束密度を検出する。より詳しくは、磁気センサ13は、検出面13aを直交する磁束密度(又は検出面13aを通過する磁束密度の直交成分)を検出するものである。なお、図4において、磁気センサ13には配線13bにより接続されている。
【0039】
この磁気センサ13は、第2連結部15の貫通孔15bに収容された状態で固定されている。このため、磁気センサ13は、出力軸43の回転に連動して第2連結部15が回転すると、第2連結部15の第2回転軸17を中心として、第2連結部15と一体的に回転することとなる。すなわち、磁気センサ13は、第2連結部15を介して、出力軸43の回転に応じて連動して回転するように、出力軸43に連結されている。
【0040】
このため、磁気センサ13の回転中心は、第2連結部15の回転中心(第2回転軸17)と一致し、また、磁気センサ13の回転中心は、ステアリングシャフト40の径方向外側において、ステアリングシャフト40に沿っている(平行となる)。具体的には、図2に示すように、磁気センサ13の回転中心は、ステアリングシャフト40から、ステアリングシャフト40の径方向外側に所定距離D1だけ離れた位置に配置されている。以上のことから、磁気センサ13の回転中心は、磁気ヨーク12の回転中心と一致するようになっている。
【0041】
そして、この磁気センサ13は、貫通孔15bに収容された状態で、磁石11と対向部12bとの間に配置されている。より詳しくは、磁気ヨーク12の回転中心に配置されている。すなわち、第1連結部14及び第2連結部15の回転中心に配置されている。また、軸方向において、磁気センサ13は、対向部12b及び磁石11と、重なる位置に配置されている。このため、磁気センサ13は、磁石11のN極と、対向部12bの中間地点(等距離離れた位置)に配置されている。
【0042】
そして、図4に示すように、磁気センサ13は、ねじれトルクが生じていない初期状態において、その検出面13aがN極から対向部12bへ向かう磁力線に沿うように(平行となるように)配置されている。具体的には、磁石11のN極から対向部12bへの直線と、検出面13aが沿うように(平行となるように)、配置されている。磁石11のN極から対向部12bへの直線とは、回転中心を通過して径方向に沿った直線のことである。図4では、矢印で磁力線を示す。
【0043】
また、図4に示すように、磁気センサ13を軸方向から見た場合、磁気センサ13の幅方向(磁気ヨーク12の径方向)において、検出面13aの中心は、磁気ヨーク12の回転中心に一致するように、磁気センサ13は配置されている。すなわち、環状部12aの径方向において、磁気ヨーク12の回転中心から検出面13aの端までの距離は、左右どちらも同じとなっている。このため、検出面13aの幅方向における中点が、第2連結部15の回転中心と一致するともいえる。
【0044】
そして、出力軸43の回転に伴い、磁気センサ13が第2連結部15と共に回転すると、その検出面13aも第2回転軸17を中心として回転することとなる。すなわち、第1連結部14と第2連結部15との間のねじれ変位に応じて、磁石11のN極から対向部12bへの直線と、検出面13aとがなす角度が変化する。例えば、第1連結部14と第2連結部15との間のねじれ変位が90度であれば、磁石11のN極から対向部12bへの直線と、検出面13aとが直交することとなる。また、第1連結部14と第2連結部15との間のねじれ変位が45度であれば、磁石11のN極から対向部12bへの直線と、検出面13aとが45度の角度で交わることとなる。
【0045】
なお、磁気センサ13は、周りが第2連結部15の突出部15aにより囲まれている。しかしながら、第2連結部15は、非磁性体(例えば、アルミなど)により形成されており、外部からの磁力線が通過するように構成されている。このため、磁気センサ13は、突出部15aに囲まれていても、磁石11のN極から磁気ヨーク12の対向部12bへの磁束密度を検出可能となっている。
【0046】
<検出方法>
ここで、磁気センサ13によるねじれトルクの検出について説明する。まず、入力軸41と、出力軸43との間にねじれトルクが印加されていない初期状態である場合、つまり、トーションバー42がねじれていない中立位置である場合について説明する。この場合、図5(b)に示すように、磁気センサ13の検出面13aは、磁石11のN極と対向部12bの中間地点において、磁石11のN極から対向部12bへの直線と平行となるように配置されている。
【0047】
このとき、磁石11のN極から放射状に発生する磁力線は、最も近い軟磁性体である対向部12bへ誘導され、その後、磁気ヨーク12の環状部12aを通過し、環状部12aと連結されている磁石11のS極へ誘導させる。このため、磁力線は、磁気センサ13の検出面13aと平行となっており、検出面13aをほとんど通過しない。したがって、磁気センサ13により検出される磁束密度は、ゼロ(又は限りなくゼロに近い値)となる。
【0048】
入力軸41と、出力軸43との間にねじれトルクが印加されて、トーションバー42にねじれ変位(ねじれ角)が生じると、第1連結部14及び第2連結部15もそれぞれ入力軸41及び出力軸43と連動して回転する。減速比は、それぞれ1対1であるため、第1連結部14と第2連結部15との間にトーションバー42に生じたねじれ変位と同じねじれ変位が生じる。また、磁気センサ13の検出面13aは、磁気ヨーク12及び磁石11に対してねじれ変位に応じて回転する。一方、磁気ヨーク12及び磁石11は、一体的に回転するため、相対位置は固定されている。
【0049】
このため、図5(a)又は(c)に示すように、磁石11のN極から対向部12bへの直線と、検出面13aとがなす角度αは、ねじれ変位に応じて変化することとなる。つまり、磁石11のN極から対向部12bへ誘導される磁束密度が、検出面13aを通過する入射角がねじれ変位に応じた角度となる。
【0050】
そして、磁気センサ13は、検出面13aを通過した磁束密度の直交成分を検出する。また、磁束密度は、磁石11のN極から対向部12bへ誘導される。このため、磁石11のN極から対向部12bへの直線と検出面13aとがなす角度αがねじれ変位に応じて変化した場合、検出面13aを通過する磁束密度の直交成分もねじれ変位に応じて変化することとなる。
【0051】
したがって、検出される磁束密度は、図6に示すようにねじれ変位(ねじれ角)に応じて変化することとなる。なお、回転方向が反対となった場合、磁束密度の向き(極性)が反対となるだけで、同様である。
【0052】
以上のように、磁石11及び磁気ヨーク12に対して、磁気センサ13が回転した場合、ねじれ変位に応じた磁束密度が検出される。そして、磁気センサ13により検出される磁束密度は、トーションバー42のねじれ変位量に略比例し、かつ、トーションバー42のねじれ方向に応じて極性が反転する。電圧信号の電圧は、磁束密度、すなわち、ねじれ変位量に応じたものとなる。そして、ねじれトルクは、ねじれ変位量に比例するため、電圧信号の電圧も、ねじれトルクに応じたものとなる。したがって、トルク検出装置10は、ねじれトルクに応じた電圧信号を出力することが可能となる。
【0053】
ところで、磁気ヨーク12の素材を変更すると、磁気ヒステリシスが異なる場合がある。磁気ヒステリシスが異なると、その他の構成(磁石11及び磁気ヨーク12等)が同じであれば、磁石11から対向部12bへの磁束密度が変化することとなる。例えば、磁気ヒステリシスが大きい素材に変更した場合、磁石11から対向部12bへの磁束密度が低下することとなる。
【0054】
しかしながら、本実施形態のトルク検出装置10では、磁石11から対向部12bへの磁束密度はねじれ変位によらず一定であることを前提に、磁気ヨーク12等に対する検出面13aの角度αに基づき、検出される磁束密度を変化させるものである。つまり、ねじれトルクが発生しても、磁石11(第1極)から対向部12b(第2極)への磁束密度は変化せず、一定となっている。その一方、上述したように、磁気センサ13により検出される磁束密度は、入射角が変化することから、ねじれトルクに応じて変化する。このため、磁気ヨーク12を通過する磁束密度そのものをねじれ変位に応じて変化させる場合と比較して、磁気ヨーク12の磁気ヒステリシスに基づく影響を受けにくい。
【0055】
上記構成により、以下の効果を奏する。
【0056】
上記構成によれば、入力軸41に対して出力軸43が相対的に回転しても、磁石11のN極(第1極)と磁気ヨーク12の対向部12b(第2極)との相対位置は、固定されている。また、磁気ヨーク12と磁石11との相対位置も固定されている。このため、N極から対向部12bへの磁束密度はねじれ変位に応じて変化しない(一定である)。つまり、入力軸41に対して出力軸43が相対的に回転しても、磁束が通過する経路は、常に同じであり、磁気ヒステリシスの影響を受けない。その一方、N極から対向部12bへの直線と、磁気センサ13の検出面13aとがなす角度α(入射角)は、入力軸41に対する出力軸43の回転に応じて変化する。そして、当該角度αの変化に応じて、検出面13aを通過する磁力線の数が変化する。すなわち、磁束密度が変化する。トルク検出装置10は、この磁束密度の変化に基づき、ねじれ変位を検出することができる。
【0057】
ところで、磁束密度の変化率は、磁気ヨーク12等に対する検出面13aの角度αの変化に依存している。その際、磁気ヨーク12内を通過する磁束密度がねじれ変位量によらず一定であることを前提としている。すなわち、磁気センサ13が受ける磁束密度は、磁気ヒステリシスの影響を受けず、同じねじれトルクである場合、磁気センサ13が検知する磁束密度にばらつきが生じない。このため、磁気ヨーク12の磁気ヒステリシスを変えても、ねじれトルクの検出精度が低下することを抑制できる。
【0058】
図6に示すように、磁気センサ13により検出される磁束密度は、磁力線と、検出面13aとが平行に近いほど、大きく変化しやすく、また、一定に変化しやすい。そこで、磁気センサ13を、初期状態において、磁力線に対して、その検出面13aが沿うように配置した。つまり、初期状態において、N極から対向部12bへの直線に対して、その検出面13aが沿うように配置した。これによれば、磁気センサ13によって検出される磁束密度の変化を大きくし、また、一定に磁束密度を変化させることができる。このため、ねじれトルクを高精度に検出することができる。
【0059】
また、上記のように配置すれば、回転方向が異なれば、磁束密度が対称的に変化する。つまり、極性が異なるだけで同様に変化する。このため、ねじれ変位に基づいてねじれトルクを算出する際の手間も少なくすることができる。
【0060】
磁石11を、磁気ヨーク12の内側に配置し、磁石11の両極のうちS極が磁気ヨーク12の回転中心とは反対側で磁気ヨーク12に対向するように配置した。これにより、磁気ヨーク12によって、N極からS極への磁力線を誘導することができ、N極から対向部12bへの磁束密度を大きくすることができる。磁束密度が大きくなれば、外部からのノイズの影響を抑制できる。また、回転角度の変化に基づく磁束密度の変化も検出しやすくなる。よって、ねじれトルクの検出精度が低下することをより抑制できる。
【0061】
また、S極は、磁気ヨーク12と連結するように固定した。これにより、磁気ヨーク12と磁石11間のエアギャップ(隙間)を極力小さくすることができ、N極から対向部12bへの磁束密度を大きくすることができる。磁束密度が大きくなれば、外部からのノイズの影響を抑制できる。また、回転角度の変化に基づく磁束密度の変化も検出しやすくなる。よって、ねじれトルクの検出精度が低下することをより抑制できる。
【0062】
対向部12bは、磁気ヨーク12の環状部12aの内縁からN極に向かって突出している。また、N極から環状部12aの内縁までの距離は、いずれも、対向部12bまでの距離D4よりも長くなっている。これにより、磁気ヨーク12内を通過する磁力線を対向部12bに集めることができ、N極から対向部12bへの磁束密度を大きくすることができる。磁束密度が大きくなれば、外部からのノイズの影響を抑制できる。また、磁束密度の変化も検出しやすくなる。よって、ねじれトルクの検出精度が低下することをより抑制できる。
【0063】
磁気ヨーク12の第1回転軸16は、ステアリングシャフト40の径方向外側であって、ステアリングシャフト40と平行に配置されており、磁気センサ13は、磁気ヨーク12の回転中心に配置されている。磁気ヨーク12の回転中心をステアリングシャフト40の径方向外側に配置することにより、入力軸41と出力軸43とを連結するトーションバー42に邪魔されることなく、磁束密度を好適に検出可能な位置、すなわち、磁気ヨーク12の回転中心に磁気センサ13を配置することができる。
【0064】
磁気ヨーク12及び磁石11は、第1連結部14を介して入力軸41の回転に応じて回転する状態で入力軸41に連結されている。また、磁気センサ13は、第2連結部15を介して出力軸43の回転に応じて回転する状態で出力軸43に連結されている。入力軸41の回転に対する磁気ヨーク12の回転の比率は、出力軸43の回転に対する磁気センサ13の回転の比率と同じとなるようにした。すなわち、入力軸41の第1歯車41aに対する第1連結部14のギヤ比(減速比)と、出力軸43の第2歯車43aに対する第2連結部15のギヤ比とを同じとした。このように、回転の比率を同じとすることにより、磁気ヨーク12(及び磁石11)と磁気センサ13との間におけるねじれ変位が、入力軸41と出力軸43との間のねじれ変位に対応させることができる。このため、磁気センサ13により検出された磁束密度の変化に基づき、ねじれトルクを算出することが容易となる。また、誤差が少なくなる。
【0065】
上記構成において、磁気ヨーク12と磁石11との間におけるエアギャップは、N極と対向部12bとの間の1カ所のみである。このため、上記構成では、磁気回路における磁気抵抗は、集磁リングなどを利用したトルク検出装置と比較して、エアギャップを小さくすることができる。このため、磁石11として、大きな磁石や、残留磁束密度が大きい磁石を使用する必要がなくなる。また、磁束密度を向上させることができるため、集磁リングを採用する必要がなくなり、部品点数を低減可能となっている。また、磁石11のN極から磁気ヨーク12に向かう磁力線を利用するため、極性毎に磁気ヨークを設ける必要がなくなる。したがって、トルク検出装置10を小型化し、且つ、製造コストを低減することが可能となる。
【0066】
回転軸の周りにリング磁石を設け、さらにリング磁石の外側に磁気ヨークを設けるような従来技術におけるトルク検出装置では、回転軸の直径によりリング磁石及び磁気ヨークが大型化する可能性がある。また、リング磁石を採用する場合、磁極の面積によって磁束密度が増減する。したがって、磁気ヨーク及びリング磁石は、検出精度を考慮して、ある程度の大きさであることが必要となっている。一方、上記構成におけるトルク検出装置10では、回転軸の直径が大きくなっても、磁石11及び対向部12bの径方向の長さを短くすることにより、大型化することを抑制することが可能となる。また、その際、対向部分の面積も変わらないことから、検出精度が低減することも抑制できる。
【0067】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態と異なり、第1連結部14及び第2連結部15を用いていない。そして、第2実施形態では、磁気ヨーク12及び磁石11を入力軸41と一体的に回転させるように連結するとともに、磁気センサ13を出力軸43と一体的に回転させるように連結している。以下、詳しく説明する。
【0068】
<磁気ヨーク12>
図7に示すように、第2実施形態の磁気ヨーク12は、固定部材141などを介して、入力軸41に固定されている。その際、磁気ヨーク12(環状部12a)の中心と、入力軸41の軸心とが一致するように、磁気ヨーク12は、固定部材141などを介して、入力軸41に固定されている。このため、磁気ヨーク12は、入力軸41の回転に連動して入力軸41を中心として、回転することとなる。すなわち、磁気ヨーク12は、入力軸41の回転に応じて連動して回転するように、入力軸41に連結されている。したがって、磁気ヨーク12の回転中心は、入力軸41と同軸上とされる。
【0069】
なお、固定部材141には、貫通孔141aが形成されており、当該貫通孔141aにトーションバー42が挿通されている。また、固定部材141の収容凹部141bに磁気ヨーク12が収容され、固定されている。
【0070】
<磁石11>
第2実施形態の磁石11は、第1実施形態と同様に、磁気ヨーク12に固定されている。つまり、入力軸41の回転に連動して、磁石11と磁気ヨーク12は、一体的に回転する。このため、磁石11と磁気ヨーク12の相対位置は固定されている。
【0071】
<磁気センサ13>
図7に示すように、第2実施形態の磁気センサ13は、固定部材151などを介して、出力軸43に固定されている。具体的には、磁気センサ13は、固定部材151の突出部151aに設けられた貫通孔151bに収容され、固定されている。このため、磁気センサ13は、出力軸43が回転すると、出力軸43を中心として出力軸43と一体的に回転する。すなわち、磁気センサ13は、出力軸43の回転に応じて連動して回転するように、出力軸43に連結されている。
【0072】
このため、磁気センサ13の回転中心は、出力軸43の軸心と一致する。また、入力軸41と出力軸43は同軸上であるため、磁気センサ13の回転中心は、磁気ヨーク12の回転中心と一致するようになっている。
【0073】
そして、図8に示すように、この磁気センサ13は、磁石11と対向部12bとの間に配置されている。より詳しくは、磁石11及び対向部12bよりも環状部12aの径方向内側となる位置であって、トーションバー42の外周よりも外側となる位置に磁気センサ13が配置されている。
【0074】
また、磁気センサ13は、ねじれトルクが生じていない初期状態において、磁気センサ13からN極までの距離と、対向部12bまでの距離が、等距離となる位置に配置されている。具体的には、軸方向において、磁気ヨーク12と磁気センサ13を入力軸41側から見た場合、N極から対向部12bへの直線と直交する直線上であって、回転中心(ステアリングシャフト40の軸心)から図8(a)の上方へ所定距離だけ離れた位置に磁気センサ13が配置されている。
【0075】
そして、磁気センサ13は、ねじれトルクが生じていない初期状態において、その検出面13aがN極から対向部12bへ向かう磁力線に沿うように(平行となるように)配置される。図8では、磁力線を矢印で示している。具体的には、磁石11のN極から対向部12bへの直線に、検出面13aが沿うように(平行となるように)、配置されている。なお、第2実施形態において、N極から発生する磁力線は、放射状に広がり、その後、対向部12bに向かって収束していくようになっている。このため、磁気センサ13からN極までの距離と、対向部12bまでの距離が、等距離となる位置では、磁力線の方向は、磁石11のN極から対向部12bへの直線に沿っている(平行となっている)。
【0076】
また、図8に示すように、磁気センサ13を軸方向から見た場合、幅方向における検出面13aの中点が、磁気センサ13からN極までの距離と、対向部12bまでの距離が、等距離となる位置に配置されている。
【0077】
そして、出力軸43が回転すると、磁気センサ13もトーションバー42の周りを回転することとなる。その際、検出面13aは、常にトーションバー42の径方向と直交するように、トーションバー42に対向した状態で、トーションバー42の周りを回転する。このため、入力軸41と出力軸43との間のねじれ変位に応じて、磁石11のN極から対向部12bへの磁力線と、検出面13aとがなす角度βが変化する。
【0078】
<検出方法>
第2実施形態における磁気センサ13によるねじれトルクの検出について説明する。まず、入力軸41と、出力軸43との間にねじれトルクが印加されていない初期状態である場合について説明する。この場合、図8(a)に示すように、磁気センサ13の検出面13aは、磁石11のN極と対向部12bの中間地点において、磁石11のN極から対向部12bへの直線と平行となるように配置されている。
【0079】
このとき、磁石11のN極から放射状に発生する磁力線は、最も近い軟磁性体である対向部12bへ誘導され、その後、磁気ヨーク12の環状部12aを通過し、環状部12aと連結されている磁石11のS極へ誘導させる。このため、磁力線は、磁気センサ13の検出面13aと平行となっており、検出面13aをほとんど通過しない。したがって、磁気センサ13により検出される磁束密度は、ゼロ(又は限りなくゼロに近い値)となる。
【0080】
入力軸41と、出力軸43との間にねじれトルクが印加されて、トーションバー42にねじれ変位が生じると、ねじれ変位に応じて、磁気ヨーク12(及び磁石11)に対して、磁気センサ13が相対的に回転する。
【0081】
このため、図8(b)に示すように、磁石11のN極から対向部12bへの直線と、検出面13aとがなす角度βは、ねじれ変位に応じて変化することとなる。つまり、磁石11のN極から対向部12bへ誘導される磁束密度が、検出面13aを通過する入射角がねじれ変位に応じた角度βとなる。このため第1実施形態と同様に、ねじれ変位に応じて、磁気センサ13の検出面13aが相対的に回転し、それに応じて検出面13aを通過する磁束密度の直交成分も変化することとなる。
【0082】
したがって、検出される磁束密度もねじれ変位に応じて変化することとなる。なお、回転方向が反対となった場合、磁束密度の向き(極性)が反対となるだけで、同様である。
【0083】
上記第2実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0084】
磁気ヨーク12の回転中心は、入力軸41及び出力軸43と同軸上とされ、磁気センサ13は、入力軸41及び出力軸43の径方向において、トーションバー42よりも外側に配置した。これにより、第1実施形態のように、ステアリングシャフト40の径方向外側に、磁気ヨーク12、磁石11及び磁気センサ13を配置する場合と比較して、トルク検出装置10を小型化できる。
【0085】
(第3実施形態)
第3実施形態では、第1実施形態の構成に加え、入力軸41の回転角を検出する角度センサ101を設けた。この角度センサ101は、角度センサ用連結部としての第3連結部102を介して、入力軸41に連結されている。以下、詳しく説明する。
【0086】
<第1連結部14>
図9及び図10に示すように、第3実施形態の第1連結部14には、第2連結部15に対向する面とは反対側においても、軸方向に沿って収容凹部が形成されている。以下、第3実施形態では、第2連結部15に対向する側に設けられた収容凹部を、第1収容凹部14bと示し、反対側に設けられた収容凹部を、第2収容凹部14cと示す。この第2収容凹部14c内に、磁気ヨーク112及び磁石111が収容され、固定される。第2収容凹部14c内に、収容される磁気ヨーク112及び磁石111は、第1実施形態の磁気ヨーク12及び磁石11と同様であるため、第1実施形態と同様の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0087】
<第3連結部102>
第3連結部102は、円盤状に形成され、外周に歯が設けられたギヤ(平歯車)であり、軸方向において、第1連結部14と同心円状に重なるように配置されている。その際、第3連結部102は、第1連結部14に対して、第2連結部15とは反対側に配置されている。
【0088】
また、第3連結部102は、第3連結部102に設けられた第3回転軸18を中心として回転するように構成されている。第3回転軸18は、第3連結部102の中心に、軸方向に沿って第1連結部14とは反対側に延びるように形成されている。第3回転軸18は、図示しない軸受などを介して回転可能に固定されている。また、第3回転軸18は、ステアリングシャフト40の径方向外側に設けられており、且つ、ステアリングシャフト40と平行となっている。また、第3回転軸18は、第1回転軸16及び第2回転軸17と同軸上に設けられている。
【0089】
そして、第3連結部102は、入力軸41と一体的に回転するように入力軸41の外周に固定された第3歯車41bと、噛み合うように構成されている。そして、第3連結部102は、入力軸41の回転に連動して回転可能となるように第3回転軸18が固定されている。このため、第3連結部102は、入力軸41の回転に応じて連動して回転するように、入力軸41に対して連結されている。
【0090】
第3歯車41bに対する第3連結部102のギヤ比は、60対40としている。つまり、入力軸41の回転に対する第3連結部102の回転の比率は、2対3とされており、入力軸41が2回転すると、第3連結部102が3回転するようになっている。すなわち、入力軸41の回転に対する第3連結部102の回転の比率は、入力軸41の回転に対する第1連結部14の回転の比率と異なっている。
【0091】
また、図10に示すように、第3連結部102の中心には、軸方向に沿って第1連結部14側に突出する第1回転軸16が設けられている。この第1回転軸16は、第1連結部14の第2収容凹部14cの底部に設けられた軸孔14aに挿入可能に構成されている。
【0092】
なお、第1収容凹部14bの底部にも軸孔14dが設けられており、第2連結部15の突出部15aが挿入可能に構成されている。第1連結部14は、第1回転軸16と突出部15aにより軸方向の移動が規制されている。また、第1連結部14は、第1回転軸16と突出部15aにより回転可能に固定されている。
【0093】
また、第3連結部102に設けられた第1回転軸16には、軸方向に沿って、貫通孔102bが設けられている。この貫通孔102b内に角度センサ101が収容され、固定されている。
【0094】
<角度センサ101>
角度センサ101は、ホール素子などを利用したものであり、検出面101aを通過する磁束密度(又は磁束)を検出する。より詳しくは、角度センサ101は、検出面101aを直交する磁束密度(又は検出面101aを通過する磁束密度の直交成分)を検出するものである。なお、図10において、角度センサ101には配線101bが接続されている。
【0095】
この角度センサ101は、第3連結部102の貫通孔102bに収容された状態で固定されている。このため、角度センサ101は、入力軸41の回転に連動して第3連結部102が回転すると、第3回転軸18を中心として、第3連結部102と一体的に回転することとなる。すなわち、角度センサ101は、第3連結部102を介して、入力軸41の回転に応じて連動して回転するように、入力軸41に連結されている。
【0096】
このため、角度センサ101の回転中心は、第3連結部102の回転中心と一致し、また、角度センサ101の回転中心は、ステアリングシャフト40の径方向外側において、ステアリングシャフト40と平行となる。具体的には、図9に示すように、角度センサ101の回転中心は、ステアリングシャフト40から、ステアリングシャフト40の径方向外側に所定距離D1だけ離れた位置に配置される。以上のことから、角度センサ101の回転中心は、磁気ヨーク112の回転中心と一致するようになっている。
【0097】
そして、この角度センサ101は、貫通孔102bに収容された状態で、磁石111と磁気ヨーク112の対向部12bとの間に配置されている。より詳しくは、磁気ヨーク112の回転中心に配置されている。すなわち、第3連結部102の回転中心に配置されている。また、軸方向において、角度センサ101は、磁気ヨーク112の対向部12b及び磁石111と、重なる位置に配置されている。このため、角度センサ101は、磁石111のN極と、磁気ヨーク112の対向部12bの中間地点(等距離離れた位置)に配置されている。
【0098】
そして、図11(a)に示すように、角度センサ101は、ねじれトルクが生じていない初期状態において、その検出面101aがN極から磁気ヨーク112の対向部12bへ向かう磁力線と平行となるように配置される。具体的には、磁石111のN極から磁気ヨーク112の対向部12bへの直線と、検出面101aが平行となるように、配置されている。磁石111のN極から磁気ヨーク112の対向部12bへの直線とは、回転中心を通過して径方向に沿った直線のことである。
【0099】
なお、図11では、矢印で磁力線を示す。また、図11は、入力軸41側から磁気ヨーク12を見た場合における図である。
【0100】
また、角度センサ101を軸方向から見た場合、角度センサ101の幅方向(磁気ヨーク112の径方向)において、検出面101aの中心は、磁気ヨーク112の回転中心に一致するように、角度センサ101は配置されている。そして、入力軸41の回転に伴い、角度センサ101が第3連結部102と共に回転すると、角度センサ101の検出面101aも第3回転軸18を中心として回転することとなる。なお、第3連結部102は、非磁性体(例えば、アルミなど)により形成されており、外部からの磁力線が通過するように構成されている。
【0101】
<検出方法>
ここで、角度センサ101による入力軸41の回転角度の検出について説明する。まず、入力軸41が回転していない状態である場合について説明する。この場合、図11(a)に示すように、角度センサ101の検出面101aは、磁石111のN極と磁気ヨーク112の対向部12bの中間地点において、磁石111のN極から対向部12bへの直線と平行となるように配置されている。したがって、角度センサ101により検出される磁束密度は、ゼロ(又は限りなくゼロに近い値)となる。
【0102】
入力軸41が回転された場合、第1連結部14及び第3連結部102もそれぞれ入力軸41と連動して回転する。しかしながら、減速比は、異なるため、入力軸41の回転角度に応じて、第1連結部14と第3連結部102との間でねじれ変位が生じる。ねじれ変位が生じると、第1連結部14と第3連結部102との間でねじれ変位に応じて、磁気ヨーク112等に対して、角度センサ101の検出面101aが回転する。
【0103】
このため、図11(b)に示すように、磁石111のN極から磁気ヨーク112の対向部12bへの直線と、検出面101aとがなす角度γは、第1連結部14と第3連結部102との間におけるねじれ変位に応じて変化することとなる。
【0104】
したがって、角度センサ101により検出される磁束密度は、入力軸41の回転角度に応じて生じたねじれ変位に応じて変化することとなる。なお、回転方向が反対となった場合、磁束密度の向き(極性)が反対となるだけで、同様である。このため、角度センサ101により検出された磁束密度及び減速比の違いに基づき、入力軸41の回転角度を検出することができる。なお、トーションバー42のねじれ変位に基づき、出力軸43の回転角度を算出することも可能となる。
【0105】
上記構成により、以下の効果を奏する。
【0106】
これにより、角度センサ101を設けることにより、ねじれトルクを検出するとともに、入力軸41の回転角を検出することができる。その際、第1連結部14を流用することができる。
【0107】
(第4実施形態)
第4実施形態では、第1実施形態の構成に加え、出力軸43の回転角を検出する角度センサ201を設けた。この角度センサ201は、角度センサ用連結部としての第4連結部202を介して、出力軸43に連結されている。以下、図12に基づき詳しく説明する。
【0108】
<第2連結部15>
図12(b)に示すように、第4実施形態の第2連結部15には、第2回転軸17が設けられていない。その他の構成は、第1実施形態とほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0109】
<第4連結部202>
図12(a)に示すように、第4連結部202は、円盤状に形成され、外周に歯が設けられたギヤ(平歯車)であり、軸方向において、第2連結部15と同心円状に重なるように配置されている。その際、第4連結部202は、第2連結部15に対して、第1連結部14とは反対側に配置されている。
【0110】
また、第4連結部202は、第4連結部202に設けられた第2回転軸17を中心として回転するように構成されている。第2回転軸17は、第4連結部202の中心に、軸方向に沿って第2連結部15とは反対側に延びるように形成されている。第2回転軸17は、図示しない軸受などを介して回転可能に固定されている。また、第2回転軸17は、ステアリングシャフト40の径方向外側に設けられており、且つ、ステアリングシャフト40と平行となっている。また、第2回転軸17は、第1回転軸16と同軸上に設けられている。
【0111】
そして、第4連結部202は、出力軸43と一体的に回転するように出力軸43の外周に固定された第4歯車202aと、噛み合うように構成されている。このため、第4連結部202は、出力軸43の回転に応じて連動して回転するように、出力軸43に対して連結されている。
【0112】
第4歯車202aに対する第4連結部202のギヤ比は、60対40としている。つまり、出力軸43の回転に対する第4連結部202の回転の比率は、2対3とされており、出力軸43が2回転すると、第4連結部202が3回転するようになっている。すなわち、出力軸43の回転に対する第4連結部202の回転の比率は、出力軸43の回転に対する第2連結部15の回転の比率と異なっている。
【0113】
また、図12(b)に示すように、第4連結部202の中心には、軸方向に沿って第2連結部15側に突出する突出部203が設けられている。この突出部203は、第2連結部15の貫通孔15bに挿入可能に構成されている。また、第4連結部202には、軸方向に沿って、貫通孔204が設けられている。この貫通孔204内に角度センサ201が収容され、固定されている。
【0114】
<角度センサ201>
角度センサ201は、第3実施形態の角度センサ101と同じである。この角度センサ201は、第4連結部202の貫通孔204に収容された状態で固定されている。このため、角度センサ201は、出力軸43の回転に連動して第4連結部202が回転すると、第2回転軸17を中心として、第4連結部202と一体的に回転することとなる。すなわち、角度センサ201は、第4連結部202を介して、出力軸43の回転に応じて連動して回転するように、出力軸43に連結されている。
【0115】
このため、角度センサ201の回転中心は、第4連結部202の回転中心と一致し、また、角度センサ201の回転中心は、ステアリングシャフト40の径方向外側において、ステアリングシャフト40と平行となる。以上のことから、角度センサ201の回転中心は、磁気ヨーク112の回転中心と一致するようになっている。
【0116】
そして、この角度センサ201は、貫通孔204に収容された状態で、磁石11と磁気ヨーク12の対向部12bとの間に配置されている。より詳しくは、磁気ヨーク12の回転中心に配置されている。すなわち、第4連結部202の回転中心に配置されている。また、軸方向において、角度センサ201は、磁気ヨーク12の対向部12b及び磁石11と、重なる位置に配置されている。このため、角度センサ201は、磁石11のN極と、磁気ヨーク12の対向部12bの中間地点(等距離離れた位置)に配置されている。
【0117】
そして、角度センサ201は、ねじれトルクが生じていない初期状態において、その検出面201aがN極から磁気ヨーク112の対向部12bへ向かう磁力線と平行となるように配置される。
【0118】
また、角度センサ201を軸方向から見た場合、角度センサ201の幅方向(磁気ヨーク12の径方向)において、検出面201aの中心は、磁気ヨーク12の回転中心に一致するように、角度センサ201は配置されている。そして、出力軸43の回転に伴い、角度センサ201が第4連結部202と共に回転すると、角度センサ201の検出面201aも第2回転軸17を中心として回転することとなる。なお、第4連結部202は、非磁性体(例えば、アルミなど)により形成されており、外部からの磁力線が通過するように構成されている。
【0119】
<検出方法>
ここで、角度センサ201による出力軸43の回転角度の検出について説明する。まず、出力軸43が回転していない状態である場合について説明する。この場合、角度センサ201の検出面201aは、磁石11のN極と磁気ヨーク12の対向部12bの中間地点において、磁石11のN極から対向部12bへの直線と平行となるように配置されている。したがって、角度センサ201により検出される磁束密度は、ゼロ(又は限りなくゼロに近い値)となる。
【0120】
出力軸43が回転された場合、第2連結部15及び第4連結部202もそれぞれ出力軸43と連動して回転する。しかしながら、減速比は、異なるため、出力軸43の回転角度に応じて、第2連結部15と第4連結部202との間でねじれ変位が生じる。ねじれ変位が生じると、第2連結部15と第4連結部202との間でねじれ変位に応じて、磁気ヨーク12等に対して、角度センサ201の検出面201aが回転する。
【0121】
このため、磁石11のN極から磁気ヨーク12の対向部12bへの直線と、検出面201aとがなす角度は、第2連結部15と第4連結部202との間におけるねじれ変位に応じて変化することとなる。
【0122】
したがって、角度センサ201により検出される磁束密度は、出力軸43の回転角度に応じて生じたねじれ変位に応じて変化することとなる。なお、回転方向が反対となった場合、磁束密度の向き(極性)が反対となるだけで、同様である。このため、角度センサ201により検出された磁束密度及び減速比の違いに基づき、出力軸43の回転角度を検出することができる。なお、トーションバー42のねじれ変位に基づき、入力軸41の回転角度を算出することも可能となる。
【0123】
上記構成により、以下の効果を奏する。
【0124】
これにより、角度センサ201を設けることにより、ねじれトルクを検出するとともに、出力軸43の回転角を検出することができる。その際、第2連結部15を流用することができる。
【0125】
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されず、例えば以下のように実施してもよい。なお、以下では、各実施形態で互いに同一又は均等である部分には同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
【0126】
第1、第3及び第4実施形態において、図13に示すように、入力軸41の回転に対する磁気ヨーク12の回転の比率を、1よりも小さくしてもよい。つまり、ギヤ比を大きくしてもよい。これにより、入力軸41の回転に対して、磁気ヨーク12が回転しにくくなるため、磁気センサ13に接続される配線のねじれを抑制できる。また、図14に示すように、入力軸41の回転に対する磁気ヨーク12の回転の比率を、1よりも大きくしてもよい。つまり、ギヤ比を小さくしてもよい。これにより、入力軸41の回転に対して、磁気ヨーク12を回転させやすくして、ねじれ変位を増幅させることができる。このため、ねじれトルクの検出精度を向上させることができる。また、第1連結部14を小型化することができる。
【0127】
上記実施形態において、磁気ヨーク12の形状を任意に変更してもよい。円環状としたが、弧状としてもよい。また、円環状でなくても、環状であればよい。また、対向部12bを環状部12aの内縁から、磁石11へ突出させたが、突出させなくてもよい。
【0128】
上記実施形態において、磁石11のS極とN極を変更してもよい。
【0129】
上記実施形態において、磁石11のS極は、磁気ヨーク12と接触させていたが、接触していなくてもよい。
【0130】
上記実施形態では、磁気センサ13の検出面13aは、初期状態において、N極から対向部12bへの直線と平行となるように配置したが、平行でなくてもよい。また、磁力線と平行となるように配置したが、平行でなくてもよい。例えば、直交していてもよい。
【0131】
上記第1、第3及び第4実施形態において、磁気センサ13は、磁気ヨーク12の回転中心に配置されていたが、N極と対向部12bとの間であれば、回転中心でなくてもよい。回転中心から径方向に所定距離離れていてもよい。また、径方向(幅方向)において、磁気センサ13がずれて配置されていてもよい。
【0132】
上記第3実施形態において、磁気ヨーク112及び磁石111の代わりに、磁気ヨーク12及び磁石11を角度センサ101のために流用してもよい。例えば、図15に示すように、角度センサ101を、磁石11のN極と、磁気ヨーク12の対向部12bとの間に配置するようにすればよい。
【0133】
上記第3実施形態において、第1歯車41aと第3歯車41bとを一体にしてもよい。
【0134】
上記実施形態において、入力軸41と第1連結部14とを、歯車を介して連結したが、駆動ベルトを介して連結してもよい。出力軸43と第2連結部15も同様に、駆動ベルトを介して連結してもよい。
【0135】
上記実施形態の磁石11において、対向部12bに対向する面(第1極の面)の面積は、対向部12bにおいて、N極に対向する面(第2極の面)の面積より広く形成されているようにしてもよい。すなわち、対向部12bの方が、磁石11のN極よりも面積が小さくなっているようにしてもよい。これにより、磁石11から発する磁力線を対向部12bに集めることができ、検出される磁束密度を大きくすることができる。磁束密度が大きくなれば、外部からのノイズの影響を抑制できる。また、回転角度の変化に基づく磁束密度の変化も検出しやすくなる。よって、ねじれトルクの検出精度が低下することをより抑制できる。
【0136】
上記実施形態において、磁石11のN極は、対向部12bとの間で、磁気センサ13を挟むのであれば、磁気ヨーク12の回転中心を挟んで、対向部12bと対向配置されている必要はない。例えば、図16に示すように、回転中心よりも径方向外側における所定位置を中心として、N極と、対向部12bが磁気センサ13を挟んで対向配置されていてもよい。
【0137】
上記実施形態において、磁束発生部1の第1極は、磁石11のN極としたが、磁気ヨーク12に第1極及び第2極を設けてもよい。例えば、図17(a)に示すような構成としてもよい。すなわち、対となる円弧状の磁気ヨーク212a,212bを設ける。周方向において磁気ヨーク212a,212bの一端から他端までは、略45度の角度となっている。周方向における磁気ヨーク212a,212bの一端には、回転方向中心に向かって延びるように形成された第1凸部301、第2凸部302がそれぞれ設けられている。第1凸部301の径方向中心側の部分が、第1極に相当し、第2凸部302の径方向中心側の部分が、第2極に相当する。第1凸部301及び第2凸部302は、磁気センサ13を挟んで対向配置されている。また、第1凸部301及び第2凸部302は、回転中心を挟んで対向配置されている。
【0138】
周方向における磁気ヨーク212a,212bの他端は、それぞれ磁石211が接続されている。磁石211は、略円弧状に構成されており、N極が磁気ヨーク212aに接続され、S極が磁気ヨーク212bに接続されている。これにより、N極からの磁束が磁気ヨーク212a内を通過し、第1凸部301から放出される。第1凸部301から出た磁束は、磁気センサ13を通過して、第2凸部302に入り、磁気ヨーク212bを通過して、磁石211のS極に入る。なお、検出方法は、上記実施形態と同様である。また、磁気ヨーク12及び磁石11は固定されており、入力軸41の回転に伴い相対位置が変化しない。
【0139】
図17(b)に示すような構成としてもよい。すなわち、対となる円弧状の磁気ヨーク312a,312bを設ける。周方向において磁気ヨーク312a,312bの一端から他端までは、略90度の角度となっている。周方向における磁気ヨーク312a,312bの中央部分には、回転方向中心に向かって延びるように形成された第1凸部401、第2凸部402がそれぞれ設けられている。第1凸部401の径方向中心側の部分が、第1極に相当し、第2凸部402の径方向中心側の部分が、第2極に相当する。第1凸部401及び第2凸部402は、磁気センサ13を挟んで対向配置されている。また、第1凸部401及び第2凸部402は、回転中心を挟んで対向配置されている。
【0140】
周方向における磁気ヨーク312aの両端には、それぞれ磁石311a、311bのN極が接続されている。同様に、周方向における磁気ヨーク312bの両端には、それぞれ磁石311a、311bのS極が接続されている。磁石311a、311bは、円弧状に構成されている。これにより、N極からの磁束が磁気ヨーク312a内を通過し、第1凸部401、第2凸部402を介して、磁気ヨーク312bを通過して、S極に入る。なお、検出方法は、上記実施形態と同様である。また、磁気ヨーク12及び磁石11は固定されており、入力軸41の回転に伴い相対位置が変化しない。
【0141】
上記実施形態において、磁石11は複数設け、対向部12bの代わりに磁石を採用してもよい。例えば、図18に示すように、対向部12bの代わりに棒状の磁石501を採用してもよい。磁石501において、回転中心側は、S極である。また、磁石501のN極は、磁気ヨーク12の内側に固定されている。なお、この場合、磁石11が第1磁石に相当し、磁石501が第2磁石に相当する。図18に示す構成とした場合、磁石11と磁石501との間で、磁束が出入りするため、磁気ヨーク12は、磁性体である必要はなく、非磁性体により構成された単なるケース部材としてもよい。
【0142】
上記実施形態において、磁束発生部1の第1極から第2極への磁力線は、ねじれトルクに応じて規則的に磁束密度が変化するのであれば、一定でなくてもよい。
【0143】
上記実施形態において、磁束発生部1は、図19に示すように、1つの磁石502によって構成してもよい。磁石502は、円環部502aと、円環部502aの内側から回転中心に突出する第1突出部502b及び第2突出部502cを有する。第1突出部502bは、第1極(例えば、N極)であり、第2突出部502cは、第2極(例えば、S極)である。
【0144】
また、以下のようなトルク検出装置としてもよい。第1軸と第2軸とを同軸上に連結する弾性部材のねじれ変位に基づき、前記第1軸と前記第2軸との間のねじれトルクを検出するトルク検出装置において、前記第1軸の回転に伴い回転するヨークと、前記ヨークとの相対位置が固定された状態で設けられ、前記第1軸の回転に伴い回転する磁石と、磁束密度を検出する検出面を有し、前記第2軸の回転に伴い回転する磁気センサと、を備え、前記磁石の両極である第1極及び第2極のうち前記第1極と前記ヨークの対向部とが、所定距離を空けて前記ヨークの回転中心を挟んで対向する位置に配置されており、前記磁気センサが、前記第1極と前記対向部との間に配置されているトルク検出装置。
【符号の説明】
【0145】
10…トルク検出装置、11…磁石、12…磁気ヨーク、12b…対向部、13…磁気センサ、13a…検出面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19