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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】真空貼り合わせ装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/02 20060101AFI20220114BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220114BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20220114BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
B29C63/02
H05B33/14 A
H05B33/02
H05B33/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018051550
(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公開番号】P2019162758
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】595013427
【氏名又は名称】株式会社エヌ・ピー・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100096921
【弁理士】
【氏名又は名称】吉元 弘
(72)【発明者】
【氏名】新 居 義 徳
(72)【発明者】
【氏名】松 本 健 司
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-064419(JP,A)
【文献】特開2017-174977(JP,A)
【文献】特開2003-036564(JP,A)
【文献】特開2003-005145(JP,A)
【文献】特開平02-123726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 63/00- 63/48
B29C 65/00- 65/82
B29C 51/00- 51/46
B32B 1/00- 43/00
C09J 1/00-201/10
H01L 27/32
H05B 33/00- 33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上チャンバーに設けられたダイヤフラム弾性シートによる押し圧により貼り合わせ用基板材を押し下げ、下チャンバーに保持された成形基板材に貼り合わせる真空貼り合わせ装置において、
前記下チャンバーに設けられ、前記成形基板材から離間した状態で前記貼り合わせ用基板材を保持し、前記ダイヤフラム弾性シートによる押し圧を受けると収縮し、前記貼り合わせ用基板材の保持状態を解除して前記成形基板材の表面上に載置する保持用弾性伸縮治具を備え
前記保持用弾性伸縮治具は、前記貼り合わせ用基板材を保持するため複数設けられており、
前記真空貼り合わせ装置は、さらに、
前記下チャンバーにおいて、前記貼り合わせ用基板材の水平方向の位置決めを行うため、前記貼り合わせ用基板材の外周に沿って配置され、前記ダイヤフラム弾性シートの押し圧により下降する伸縮ガイドピンを備えることを特徴とする真空貼り合わせ装置。
【請求項2】
前記保持用弾性伸縮治具は、前記貼り合わせ用基板材を載置した状態で保持し、
前記保持用弾性伸縮治具は、
前記ダイヤフラム弾性シートによる押し圧を受けると収縮する弾性部と、
前記貼り合わせ用基板材を載置した状態で保持し、前記弾性部の収縮に伴い下降する上下可動部と、
を有し、
前記弾性部が収縮すると前記上下可動部が下降し、前記上下可動部が前記貼り合わせ用基板材を保持した状態が解除され、前記貼り合わせ用基板材が前記成形基板材の表面上に載置されることを特徴とする請求項1に記載された真空貼り合わせ装置。
【請求項3】
前記保持用弾性伸縮治具は、さらに、
前記上下可動部が、前記貼り合わせ用基板材を保持した状態を解除すべき所定位置まで下降すると、前記上下可動部の位置を保持するストッパー部を有することを特徴とする請求項2に記載された真空貼り合わせ装置。
【請求項4】
前記ストッパー部は、
前記上下可動部に設けられたストッパー用穴と、
前記下チャンバーに設けられ、前記上下可動部が下降して前記ストッパー用穴の位置が下降すると、前記ストッパー用穴の内部に入って前記上下可動部の下降を停止させるストッパー材と、
を有することを特徴とする請求項3に記載された真空貼り合わせ装置。
【請求項5】
前記保持用弾性伸縮治具は、前記貼り合わせ用基板材を挟んだ状態で保持し、
前記保持用弾性伸縮治具は、
前記ダイヤフラム弾性シートによる押し圧を受けると収縮する弾性部と、
前記弾性部の収縮に伴い下降する上下可動部と、
前記上下可動部に設けられ、前記貼り合わせ用基板材を挟んだ状態で保持する挟み保持部と、
を有し、
前記弾性部が収縮すると前記上下可動部が下降して前記挟み保持部が下降し、前記挟み保持部が前記貼り合わせ用基板材を挟んだ状態が解除され、前記貼り合わせ用基板材が前記成形基板材の表面上に載置されることを特徴とする請求項1に記載された真空貼り合わせ装置。
【請求項6】
前記挟み保持部は、上挟み部と下挟み部とを有し、前記上挟み部と前記下挟み部との間に前記貼り合わせ用基板材を挟んだ状態で保持し、
前記弾性部の収縮に伴い前記挟み保持部が下降し、前記上挟み部と前記下挟み部とが挟んで保持していた前記貼り合わせ用基板材が前記成形基板材の表面に接触し前記成形基板材に張力が作用すると、前記上挟み部と前記下挟み部とが挟んで保持していた状態が解除され、前記貼り合わせ用基板材が前記成形基板材の表面上に載置されることを特徴とする請求項に記載された真空貼り合わせ装置。
【請求項7】
前記保持用弾性伸縮治具は、前記成形基板材に対して所定の傾き角度を有するように前記下チャンバーに設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載された真空貼り合わせ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空中において機能性材等の貼り合わせを行う真空貼り合わせ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機ELディスプレイ等の機能性材層を含む成形基板材に、残留空気による機能性材の劣化を防ぐためあるいは意匠性の観点から空気を排出し、真空中において一対のフィルム状材を含む基板材の貼り合わせや、液晶パネルへの偏光フィルム基板材の貼り合わせ等が行われている。
【0003】
機能性材層を含む成形基板材は、3次元曲面形状あるいは2次元平板形状を有している。充分真空度が得られ、必要に応じて成形基板材及び樹脂接着剤が充分加熱溶融されるまでの間、成形基板材の上方に貼り合わせ用基板材を保持する必要がある。
【0004】
従来の貼り合わせ装置として、押し圧、プレス方式等の相違により、特許文献1に記載されたフィルム体の貼着方法及びその装置、あるいは特許文献2に記載された封止装置が存在した。
【0005】
特許文献1に記載された貼着装置では、型締めに関し、大きな分類では平板プレスによる2次元平板形状の貼り合わせと同じ技術手法を用いており、金型に独自の技術を必要とする。
【0006】
特許文献2に記載された封止装置は、太陽電池モジュールの封止装置である真空ラミネータと同様に、ダイヤフラムを用いた弾性シート押し圧方式を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許6047350号公報
【文献】特開2015-79587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載された封止装置では、上述した貼り合わせ用基板材を成形基板材の上方で保持する構造として、上チャンバーのダイヤフラム前面に設置した弾性膜状材に取り付けた静電チャックにより保持する構造を採用している。
【0009】
静電チャックは、運用、使用上において、メンテナンス交換部品と考えられるが、非常に高価である。
【0010】
また、精密な成形基板材へ貼り合わせを行う際には、弾性膜状材が水平方向に弾性移動するため、多くの技術と技能を要すると考えられる。さらに、静電チャックに保持することができる貼り合わせ用基板材の重量には、制限がある。
【0011】
本発明は上記事情に鑑み、貼り合わせ用基板材を成形基板材に対して位置合わせを行い、ダイヤフラム弾性膜シートの押し圧により貼り合わせる際に、安価で容易かつ高精度に行うことが可能な真空貼り合わせ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の真空貼り合わせ装置は、上チャンバーに設けられたダイヤフラム弾性シートによる押し圧により貼り合わせ用基板材を押し下げ、下チャンバーに保持された成形基板材に貼り合わせる真空貼り合わせ装置において、
前記下チャンバーに設けられ、前記成形基板材から離間した状態で前記貼り合わせ用基板材を保持し、前記ダイヤフラム弾性シートによる押し圧を受けると収縮し、前記貼り合わせ用基板材の保持状態を解除して前記成形基板材の表面上に載置する保持用弾性伸縮治具を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の真空貼り合わせ装置によれば、貼り合わせ用基板材を成形基板材に対して位置合わせを行い、ダイヤフラム弾性膜シートの押し圧により貼り合わせる際に、安価で容易かつ高精度に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態による真空貼り合わせ装置の全体の概略構成を示した縦断面図。
図2】同真空貼り合わせ装置が備える載置保持用弾性伸縮治具の断面構造を示す縦断面図。
図3】同載置保持用弾性伸縮治具を上方から見た状態を示す上面図。
図4】上記真空貼り合わせ装置が備える、曲率が比較的小さい成形基板材に貼り合わせ用基板材を貼り合わせる際に、貼り合わせ用基板材を挟み保持するための挟み保持用弾性伸縮治具の断面構造を示す縦断面図。
図5】上記真空貼り合わせ装置が備える、曲率が比較的大きい成形基板材に貼り合わせ用基板材を貼り合わせる際に、貼り合わせ用基板材を挟み保持するための挟み保持用弾性伸縮治具の断面構造を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態による真空貼り合わせ装置について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
1)真空貼り合わせ装置全体の構成について
本実施の形態による真空貼り合わせ装置全体の概略構成について、図1を参照して説明する。
【0017】
本実施の形態による真空貼り合わせ装置1は、太陽電池モジュール用の真空ラミネータと同様に、上チャンバー10と下チャンバー20とを備えている。
【0018】
上チャンバー10には、押し圧プレス用ダイヤフラム弾性シート11が設けられている。
【0019】
下チャンバー20には、基盤部21が設けられ、基盤部21上に保持治具部22が設けられている。保持治具部22上に、機能性材層を含む成形基板材2を、成形基板材2の形状に合わせて載置保持することができる。成形基板材2は、後述するように2次元平板形状あるいは3次元曲面形状を有する。
【0020】
基盤部21又は保持治具部22は、必要に応じて図示されない加熱手段を備える。また、保持治具部22は、必要に応じて図示されない吸着等による保持手段を備え、成形基板材2を吸着保持する。
【0021】
下チャンバー20には、さらに保持用弾性伸縮治具23の一例として、ここでは載置保持用弾性伸縮治具23Aが設けられている。保持用弾性伸縮治具23は、上チャンバー10と下チャンバー20とが閉じて真空引きが行われ十分な真空度が得られた状態で、必要に応じて成形基板材2及び図示されない樹脂接着剤が充分加熱溶融されるまでの間、成形基板材2から離間した状態でその上方に貼り合わせ用基板材3を載置した状態で保持するため、あるいは挟んだ状態で保持するためのものである。
【0022】
上チャンバー10と下チャンバー20とが閉じられた後、空間内部は真空引きが行われる。真空引きが完了した後、上チャンバー10側に設けられた押し圧プレス用ダイヤフラム弾性シート11の裏面側に大気が導入される。このような例えば大気の圧力により押し圧プレス用ダイヤフラム弾性シート11が押し下げられて貼り合わせ用基板材3が押し下げられると共に、この貼り合わせ用基板材3を保持した保持用弾性伸縮治具23が弾性力を持って収縮して押し下げられて保持状態が解除され、成形基板材2の表面上に貼り合わせ用基板材3が載置され押し圧プレスされて貼り合わせられる。
【0023】
2)載置保持用弾性伸縮治具23Aについて
本実施の形態による真空貼り合わせ装置1が備える保持用弾性伸縮治具23には、貼り合わせ用基板材3を載置した状態で保持する載置保持用弾性伸縮治具23Aと、貼り合わせ用基板材3を挟んだ状態で保持する挟み保持用弾性伸縮治具23Bとがある。
【0024】
載置保持用弾性伸縮治具23Aは、2次元平板形状を有する成形基板材2として、例えば液晶パネルに対し、偏光フィルム基板材を貼り合わせるために偏光フィルム基板材を載置保持するために用いられる。
【0025】
先ず、載置保持用弾性伸縮治具23Aについて、図2を参照して説明する。
【0026】
成形基板材2の上方に、貼り合わせ用基板材3を載置した状態で保持するため、載置保持用弾性伸縮治具23Aは、上下可動部23a、バネ等により伸縮する弾性部23b、外筒23c、載置保持部23e、さらにストッパー用穴23d、ストッパー材24、バネ等による弾性部25を含むストッパー部を有する。
【0027】
上下可動部23aは、載置保持部23eをその上端に有し、載置保持用弾性伸縮治具23Aの下部に設けられた固定容器内の弾性材、例えば外筒23c内の弾性部23bの弾性によって上下に伸縮する構造を有している。
【0028】
このような構成を有する載置保持用弾性伸縮治具23Aは、貼り合わせ用基板材3を載置保持した状態で、押し圧プレス用ダイヤフラム弾性シート11による矢印A1で示された押し圧プレスの押し圧により、矢印A3で示されたように弾性部23bが収縮し、載置保持部23eが下降していく。この下降の途中で、載置保持部23eの高さが成形基板材2の高さ以下まで下降すると、貼り合わせ用基板材3が載置保持状態から開放されて、成形基板材2の表面上に載置される。これにより、貼り合わせ用基板材3が成形基板材2に貼り合わせられる。
【0029】
ここで、図2に示されるように、載置保持用弾性伸縮治具23Aが下降した所定位置、即ち、載置保持部23eの高さ方向の位置と貼り合わせ用基板材3の高さ方向の位置とが一致した位置において、上下可動部23aの側面に設けられたストッパー用穴23dに、ストッパー材24が弾性部25に押されて入り込むことで、貼り合わせられた貼り合わせ用基板材3を取り出すまでの間、この所定位置において保持する機構を設けてもよい。なお、ストッパー材24や弾性部25等が押し圧プレス用ダイヤフラム弾性シート11に直接接触することがないように、ストッパー材24、弾性部25の上面を覆うようにカバー26が設けられている。
【0030】
図3の上面図に、載置保持用弾性伸縮治具23Aを上方より見た状態を示す。
【0031】
ここで、貼り合わせ用基板材3は円形の形状を有している。載置保持用弾性伸縮治具23Aは、貼り合わせ用基板材3の外周に沿って放射状に均等な間隔で例えば4か所設けられている。
【0032】
載置保持用弾性伸縮治具23Aには、上述したように高さ方向の所定位置を保持するため、弾性部25により図中水平方向に伸縮移動するストッパー材24が、カバー26により覆われた状態で設けられている。
【0033】
貼り合わせ用基板材3の外周に沿って、上述したように載置保持用弾性伸縮治具23Aが4か所設けられているが、その間には伸縮ガイドピン27が設けられている。この伸縮ガイドピン27は、載置保持用弾性伸縮治具23Aと異なり貼り合わせ用基板材3を載置することなくその外周に配置されたことで、貼り合わせ用基板材3の水平方向の位置決めを行うものである。伸縮ガイドピン27は高さ方向に伸縮する機構を有し、押し圧プレス用ダイヤフラム弾性シート11の押し圧により下方へ収縮する。
【0034】
3)挟み保持用弾性伸縮治具23Bについて
挟み保持用弾性伸縮治具23Bは、所定の曲率を有する3次元曲面形状の成形基板材2に対して貼り合わせ用基板材3を貼り合わせる際に用いられる。
【0035】
図4に、挟み保持用弾性伸縮治具23Bが有する縦断面構造の一例を示す。
【0036】
この挟み保持用弾性伸縮治具23Bは、3次元曲面形状の成形基板材2として、曲率が比較的小さい一対のフィルム状材を含む有機ELディスプレイ等機能性材層を含むものに対して、偏光フィルム基板材を貼り合わせるために偏光フィルム基板材を挟み保持するために用いられる。
【0037】
挟み保持用弾性伸縮治具23Bには、上下可動部23aの上端に挟み保持部30が設けられており、この挟み保持部30は上挟み部30aと下挟み部30bとを有する。
【0038】
上挟み部30aは、回転軸30a2を支点として矢印A15のように上方へ向かって回動し、下挟み部30bとの間での挟み保持状態を解除し、矢印A15のように下方へ向かって回動して挟み状態になる。
【0039】
ここで、上挟み部30aと下挟み部30bとにより貼り合わせ用基板材3を挟み保持した状態で、あるいはまた挟み保持状態から後述するように貼り合わせ用基板材3に加わる張力により挟み保持状態が解除されて滑り落ちる際に、貼り合わせ用基板材3の表面に傷を付けることがないように、貼り合わせ用基板材3に直接触れる、上挟み部30aに設けられた突起30a1と下挟み部30bに設けられた突起30b1には、例えば硬質弾性材やテフロン材等が用いられており、その先端部分は丸みを帯びた曲面形状を有している。
【0040】
上挟み部30aは、上述したように回転軸30a2を中心として上方外側に向かって回動するように開くようになっており、貼り合わせ用基板材3を載置した後、閉じて下挟み部30bと共に挟んで保持する。
【0041】
挟み保持用弾性伸縮治具23Bの下方には、外筒23c内に収納された弾性部23b、あるいは図示されない空圧等により上下に可動する機構が設けられている。
【0042】
挟み保持用弾性伸縮治具23Bが、貼り合わせ用基板材3を挟み保持した状態で、押し圧プレス用ダイヤフラム弾性シート11による矢印A11の方向の押し圧プレスの押し圧により矢印A12で示されたように下降する途中で、貼り合わせ用基板材3が機械的機構により開放される。あるいは、貼り合わせ用基板材3が、曲面形状の成形基板材2の表面上に載置され引っ張られて生じる張力によって、挟み保持状態から矢印A14で示されたように滑り落ちるように開放されて、所定位置まで押し圧下降する。
【0043】
ここで、下挟み部30bの上挟み部30aに対する押し付け挟み圧力は、矢印A16で示されたように、例えばネジ軸による上下の可動、あるいは空気圧やバネ等の弾性部材により調整可能にすることができる。
【0044】
図5に、挟み保持用弾性伸縮治具23Bが有する縦断面構造の他の例を示す。
【0045】
この挟み保持用弾性伸縮治具23Bは、3次元曲面形状の成形基板材2として、曲率が比較的大きい一対のフィルム状材を含む有機ELディスプレイ等機能性材層を含むものに対して、偏光フィルム基板材を貼り合わせるために偏光フィルム基板材を挟み保持するために用いられる。
【0046】
ここで、挟み保持用弾性伸縮治具23Bは、曲率が比較的大きい貼り合わせ用基板材3の曲面形状に対応できるように、基盤部21に対して傾斜して設けられている。この図5に示された挟み保持用弾性伸縮治具23Bは、図4に示された基盤部21に対して垂直に設けられた挟み保持用弾性伸縮治具23Bと比較し、基盤部21に対して傾斜して設けられている点を除いて構成は同一であり説明を省略する。
【0047】
本発明の実施の形態による真空貼り合わせ装置によれば、保持用弾性伸縮治具により、成形基板材から離間した状態で貼り合わせ用基板材を保持し、ダイヤフラム弾性膜シートの押し圧を受けると貼り合わせ用基板材の保持を解除して成形基板材の表面上に載置することで、安価で容易かつ高精度に位置合わせ及び貼り合わせを行うことが可能である。
【0048】
本発明の実施の形態について説明したが、この実施の形態は一例として提示したものであり、発明の技術的範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。このような実施の形態の変形は、発明の技術的範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0049】
例えば、図2に示された載置保持用弾性伸縮治具23A、図5に示された挟み保持用弾性伸縮治具23Bの基盤部21に対する傾き角度は、必要に応じて固定あるいは可変とすることができる。
【0050】
挟み保持用弾性伸縮治具23Bの基盤部21に対する傾き角度を可変とする場合には、貼り合わせ用基板材3に加える保持圧力を変えることができる。
【0051】
傾き角度を可変にする場合は、その一例として、例えば予め傾き角度が異なる複数種類の載置保持用弾性伸縮治具23A、挟み保持用弾性伸縮治具23Bを用意しておき、所望の傾き角度を有するものを基盤部21上に設置すればよい。
【0052】
また、図2に示された載置保持用弾性伸縮治具23Aにおいて、載置保持用弾性伸縮治具23Aにおいて貼り合わせ用基板材を載置保持する高さ方向の位置を変えることにより、載置保持された貼り合わせ用基板材3が落下するときの高さ方向の位置を変えることができる。
【符号の説明】
【0053】
1:真空貼り合わせ装置
2:成形基板材
3:貼り合わせ用基板材
10:上チャンバー
11:押し圧プレス用ダイヤフラム弾性シート
20:下チャンバー
21:基盤部
22:保持治具部
23:保持用弾性伸縮治具
23A:載置保持用弾性伸縮治具
23a:上下可動部
23b:弾性部
23c:外筒
23d:ストッパー用穴
23e:載置保持部
23B:挟み保持用弾性伸縮治具
24:ストッパー材
25:弾性部
26:カバー
27:伸縮ガイドピン
30:挟み保持部
30a:上挟み部
30b:下挟み部
図1
図2
図3
図4
図5