(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】表示入力装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/02 20060101AFI20220128BHJP
H01H 35/00 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
G06F3/02 D
H01H35/00 C
(21)【出願番号】P 2018105240
(22)【出願日】2018-05-31
【審査請求日】2020-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 弘智
(72)【発明者】
【氏名】上野 洋
(72)【発明者】
【氏名】森 大輔
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-000622(JP,A)
【文献】特開2008-130362(JP,A)
【文献】特開2005-158586(JP,A)
【文献】特表2011-525284(JP,A)
【文献】特開2010-128566(JP,A)
【文献】特開2011-113384(JP,A)
【文献】特開2011-066798(JP,A)
【文献】特開2010-201745(JP,A)
【文献】登録実用新案第3069280(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/02
G06F 3/041
H01H 13/00
H01H 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が透過する透過部、及び光が透過しない遮光部を有して前記透過部と前記遮光部によって表示を形成する表示部
を有すると共に、前記表示部が形成された面の反対の面に形成されて光の一部を反射する反射部を有し、筐体部に支持されて下側及び上側に撓む板形状の操作部と、
前記操作部の下方の前記筐体部のベース部に載置され、前記
操作部に対して光を照射
し、前記反射部により光の一部を反射させると共に、光を透過させて前記表示部を照明する光源部と、
前記光源部
と共にベース部に載置され、前記操作部の前記反射部を反射した光を受光する受光素子を複数備える受光部と、
前記受光部の出力に基づいて前記操作部の操作状態を検出する検出制御部を備えた制御部と、
を有
する表示入力装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の受光素子が初期状態で受光する結果に基づいて、前記受光部の初期設定を実行する、請求項1に記載の表示入力装置。
【請求項3】
前記受光部は、前記複数の受光素子の出力に基づいて、前記操作部の操作量を検出する、請求項1又は2に記載の表示入力装置。
【請求項4】
前記受光部は、前記複数の受光素子の出力分布に基づいて、前記操作部の操作方向を検出する、請求項1から3のいずれか1項に記載の表示入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、底面部及び側壁部から成るホルダーと、底部に光反射部を有し、ホルダー内でバネの付勢力に抗して押下操作可能な操作部と、光反射部と対向する底面部内側表面に設けられた発光素子と、光反射部と対向する側壁部内側表面に設けられた受光素子とを備えた入力装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この入力装置は、複数の受光素子を並べて配置し、受光素子の受光位置の変化により、オンオフの切り替えや、スライドスイッチのように複数の値の切り替え操作に対応できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の装置は、発光素子の出射する光を複数の受光素子で受光し、その位置の変化により操作部の操作状態を検出するが、この操作状態を検出するためだけに発光素子を備える必要があるという問題があった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、1つの光源部を備え、表示部と受光部の2つの用途で用いることができる表示入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]上記目的を達成するため、表示部を備える操作部と、前記表示部に対して光を照射する光源部と、前記光源部からの光を受光する受光素子を複数備える受光部と、前記受光部の出力に基づいて前記操作部の操作状態を検出する検出制御部を備えた制御部と、を有し、前記操作部の一部は、前記光源部からの光を前記受光部に向けて反射する反射部を備えている、表示入力装置を提供する。
[2]前記制御部は、前記複数の受光素子が初期状態で受光する結果に基づいて、前記受光部の初期設定を実行する、上記[1]に記載の表示入力装置であってもよい。
[3]また、前記受光部は、前記複数の受光素子の出力に基づいて、前記操作部の操作量を検出する、上記[1]又は[2]に記載の表示入力装置であってもよい。
[4]また、前記受光部は、前記複数の受光素子の出力分布に基づいて、前記操作部の操作方向を検出する、上記[1]から[3]のいずれか1に記載の表示入力装置であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の表示入力装置によれば、1つの光源部を備え、表示部と受光部の2つの用途で用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る表示入力装置の概略構成を示すブロック構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る表示入力装置における受光部の受光位置の初期設定の説明図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る表示入力装置における表示部の変位量と光路の変位量との関係を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態に係る表示入力装置におけるフォトダイオードアレイの検出値の例である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態に係る表示入力装置におけるフォトダイオードアレイの検出値の分布の例であって、
図5(a)は、引っ張り操作時の検出値の分布例であり、
図5(b)は、操作がない時の出力分布例であり、
図5(c)は、押下操作時の検出値の分布例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本発明の実施の形態に係る表示入力装置)
本発明の実施の形態に係る表示入力装置1は、
図1に示すように、表示部10を備える操作部20と、表示部10に対して光を照射する光源部30と、光源部30からの光を受光する受光素子41、42、43、44、45を複数備える受光部40と、受光部40の出力に基づいて操作部20の操作状態を検出する検出制御部を備えた制御部50と、を有し、操作部20の一部は、光源部30からの光を受光部40に向けて反射する反射部20eを備えて構成されている。
【0011】
本発明の実施の形態に係る表示入力装置1は、1つの光源部30と、複数の受光素子を備えた受光部40で構成され、1つの光源部30は、表示部10の照明に使用されると共に、受光部40へ反射される光に使用され、2つの用途で用いられる。なお、受光素子は、
図1では、5つの受光素子としたが2以上の複数個であれば数は限定されない。
【0012】
(表示部10、操作部20)
表示部10は、
図1に示すように、操作部20の一部に設けられ、光源部30から照射される光L
0により照明されて表示される。操作部20は、
図1に示すように、光源部30から照射される光L
0を透過するアクリル樹脂等の透明材料からなる操作パネルであり、表示部10が形成される基材としての役割を果たす。なお、操作部20は、光L
0の一部を透過すればよく、不透明材料以外の透明材料、半透明材料でよい。また、拡散材を内部に含むものでもよい。
【0013】
表示部10は、所定のマーク、文字、数字等が形成された部分である。表示部10は、例えば、操作部20の表面20aに黒色の塗装を施し、その塗装の一部をレーザ加工等により除去して透過部20bを形成し、残った塗装部分を遮光部20cとすることにより形成される。透過部20bは、上記の所定のマーク、文字、数字等を構成する。光源部30から照射される光L0は、操作部20内を透過して、透過部20bから光を出射することにより、上記の所定のマーク、文字、数字等を表示する。
【0014】
操作部20は、
図1に示すように、例えば、アクリル樹脂等により板状に形成されている。操作部20の縁部20dは、筐体部70の側部71に両側支持されている。すなわち、操作部20は、両端支持の梁構造とされており、下側及び上側に撓むことができる構成とされている。
【0015】
操作部20の下面は、光源部30から照射される光L0を反射する反射部20eとされている。この反射部20eは、光源部30から照射される光L0の一部を反射し、残りの光を操作部20の内部へ透過させる。反射部20eは、例えば、アクリル樹脂の表面そのままであってもよく、また、所定の反射率で光を反射させる反射層であってもよい。
【0016】
(光源部30)
光源部30は、
図1に示すように、筐体部70のベース部72に載置され、概略表示部10に向かって光を照射するインジケータ用の発光ダイードを使用する。この光源部30は、表示部10の表示の色に合わせて、種々のLEDを使用することが可能である。
【0017】
また、このインジケータ用の発光ダイードは、受光部40において受光素子で受光することから、所定の指向特性を有するものが好ましい。光源部30は、受光部40において検出可能な波長の光であって、例えば、±10deg程度の狭指向性のLEDが好ましい。
【0018】
(受光部40)
受光部40は、
図1に示すように、受光素子が並列に並べられた構成とされている。受光部40は、例えば、筐体部70のベース部72に載置されたフォトダイオードアレイである。フォトダイオードアレイは、基板上にフォトダイオードが並べて実装され、高速・高感度に光の並列検知が可能なデバイスである。
【0019】
本実施の形態では、例えば、
図1、3に示すように、FD1、FD2、FD3、FD4、FD5の5つの受光素子41、42、43、44、45が並べられて、操作部20の反射部20eで反射した光を受光し、受光量に対応した電圧を検出値として出力する。
【0020】
(制御部50)
制御部50は、
図1に示すように、光源制御部52、受光制御部54等を有して構成されている。制御部50は、上記の光源制御部52、受光制御部54等を制御し、所定の判断処理等をするために、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及び記憶部としてのROM(Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータを備えている。
【0021】
光源制御部52は、光源部30を所定の光量で発光させて、表示部10に光を照射して所定のマーク、文字、数字等を表示させるための制御を行なう。なお、この光源部30の光は、受光部40でも受光されて操作部20の操作状態を検出するために使用される。
【0022】
受光制御部54は、各受光素子41、42、43、44、45の検出値を取り込んで、種々の演算、処理を行なうものである。
【0023】
(受光部の初期設定動作)
受光制御部54は、複数の受光素子が初期状態で受光する結果に基づいて、受光部の初期設定を実行することができる。
図2は、本発明の実施の形態に係る表示入力装置における受光部の受光位置の初期設定の説明図である。
【0024】
図2において、光源部30から出射された光L
0は、組み付け位置(設計値)での反射部20eにおいて点P
01で反射されて反射光L
1となる。この反射光L
1は、設計値では、受光部40の中央の受光素子FD3(43)に大部分の光が入射するように設計されている。
【0025】
しかし、組み付け誤差等により、組み付け後の実際の位置は、
図2に示すように、その反射部20eがズレた位置になる場合がある。光源部30から出射された光L
0は、組み付け後の実際の位置での反射部20eにおいて点P
02で反射されて反射光L
2となる。この反射光L
2は、例えば、
図2に示すように、受光素子FD2(42)に大部分の光が入射する。このような状態において、受光制御部54は、例えば、受光素子41、42、43、44、45の検出値が最大になる受光素子を受光の初期位置として設定することができる。
【0026】
あるいは、受光制御部54は、例えば、受光素子41、42、43、44、45の検出値を間の値を内挿により補間して、その最大値となる位置を受光の初期位置として設定することもできる。
【0027】
(操作部20の操作量の検出動作)
操作部20を、例えば、
図1に示す下方向に押下操作すると、操作部20は下方向に撓む。ここで、
図3は、本発明の実施の形態に係る表示入力装置における表示部の変位量と光路の変位量との関係を示す図である。受光部は、複数の受光素子の出力に基づいて、操作部の操作量を検出することができる。
【0028】
図3に示すように、通常時の反射部20eで光源部30から出射された光L
0が点P
01で反射すると、入射角φと同じ出射角φで反射する。この反射した光はL
1となって受光部40に入射する。
【0029】
ここで、
図3に示すように、操作部20を操作、例えば、押下操作により、反射部20eが下方向に変位量Sで変位したとする。この状態では、光源部30から出射された光L
0は点P
02で反射し、入射角φと同じ出射角φで反射する。この反射した光はL
2となって受光部40に入射する。
【0030】
図3に示すように、操作部20の操作により反射部20eが変位量Sで変位すると、光路の変位量Dは、D=2tanφとなる。例えば、φ=45deg、S=100μmのとき、光路の変位量Dは、200μmとなる。
【0031】
図4は、本発明の実施の形態に係る表示入力装置におけるフォトダイオードアレイの検出値の例である。制御部50は、光源制御部52により、受光部40からの出力を取り込む。受光素子41、42、43、44、45の検出値は、例えば、
図4に示すように、各受光素子(フォトダイオードFD)の出力値として検出できる。この出力値は、前述した受光部の初期設定値で補正することにより、正確に検出することが可能になる。
【0032】
例えば、制御部50は、
図4に示すような、受光素子41、42、43、44、45の検出値に基づいて、前述した光路の変位量Dを求めることができる。制御部50は、この変位量Dに基づいて、前述した変位量S、操作部20の操作量を演算により求めることができる。すなわち、操作状態を検出できる。
【0033】
また、受光素子41、42、43、44、45の検出値を内挿により補間することにより各受光素子間の検出値を求めることができ、これに基づいて、前述した光路の変位量Dを求めることができる。この変位量Dに基づいて、前述した変位量S、すなわち、操作部20の操作量を精度よく求めることも可能である。
【0034】
制御部50は、例えば、操作部20の操作量が所定の閾値を超えた場合に、操作部20が押下操作されたと判定することができる。
【0035】
(操作部20の操作方向の検出動作)
図5は、本発明の実施の形態に係る表示入力装置におけるフォトダイオードアレイの検出値の分布の例であって、
図5(a)は、引っ張り操作時の検出値の分布例であり、
図5(b)は、操作がない時の出力分布例であり、
図5(c)は、押下操作時の検出値の分布例である。受光部は、複数の受光素子の出力分布に基づいて、操作部の操作方向を検出することができる。
【0036】
図1に操作部20を実線で示す場合は、操作部20の反射部20eで反射する光は、受光部40の中央付近に入射する。すなわち、操作部20への操作力が作用しない場合は、
図5(b)で示すように、操作がない時の検出値の分布例のようになる。すなわち、フォトダイオードアレイのFD3付近の検出値が大きく、周辺であるFD1、FD5の検出値が小さい。このような検出値の分布の場合には、制御部50は、操作部20の操作がないと判定することができる。
【0037】
図5(a)に示すように、フォトダイオードアレイのFD5の検出値が大きく、順に、FD4、FD3、FD2、FD1と検出値が小さくなっている場合は、制御部50は、
図1に示す上方向に操作力Fが作用した判定することができる。すなわち、制御部50は、上記示したような検出値の分布に基づいて、操作部20における上方向への操作状態を検出できる。
【0038】
また、
図5(c)に示すように、フォトダイオードアレイのFD1の検出値が大きく、順に、FD2、FD3、FD4、FD5と検出値が小さくなっている場合は、制御部50は、
図1に示す下方向に操作力Fが作用した判定することができる。すなわち、制御部50は、上記示したような検出値の分布に基づいて、操作部20における下方向への操作状態を検出できる。
【0039】
(実施の形態の効果)
本発明の実施の形態によれば、以下のような効果を有する。
(1)本発明の実施の形態に係る表示入力装置1は、表示部10を備える操作部20と、表示部10に対して光を照射する光源部30と、光源部30からの光を受光する受光素子41、42、43、44、45を複数備える受光部40と、受光部40の出力に基づいて操作部20の操作状態を検出する検出制御部を備えた制御部50と、を有し、操作部20の一部は、光源部30からの光を受光部40に向けて反射する反射部20eを備えて構成されている。これにより、1つの光源部30を、表示部10の照明に使用すると共に、受光部40へ反射される光に使用でき、2つの用途で用いることができる。
(2)表示入力装置で使用するインジケータ用のLEDを利用して、操作部20の操作状態を検出することが可能になる。これにより、部品点数を低減でき、組み付け性の向上を図ることができる。
(3)受光部の初期設定動作を実施することにより、高精度に操作部20の操作状態を検出することが可能になる。
【0040】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。また、これら実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1…表示入力装置
10…表示部
20…操作部、20a…表面、20b…透過部、20c…遮光部、20d…縁部、20e…反射部
30…光源部
40… 受光部、41、42、43、44,45…受光素子
50…制御部、52…光源制御部、54…受光制御部
70…筐体部、71…側部、72…ベース部
D…変位量、F…操作力、L0…光、L1…反射光、L2…反射光、S…変位量、φ…出射角、入射角