(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】基板検査装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20220114BHJP
G01R 1/073 20060101ALI20220114BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
G01R31/26 J
G01R1/073 D
G01R31/28 K
(21)【出願番号】P 2018142918
(22)【出願日】2018-07-30
【審査請求日】2020-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】391016358
【氏名又は名称】東芝情報システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【氏名又は名称】本田 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】岡田 昌彦
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-058828(JP,A)
【文献】特開2013-213787(JP,A)
【文献】特開2010-025601(JP,A)
【文献】特開2013-238554(JP,A)
【文献】特開2000-055991(JP,A)
【文献】特開2016-166783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/26、
1/06-1/073、
31/28、
31/30、
31/302、
31/316、
31/317、
31/3183、
31/3185、
31/319、
H01L 21/64-21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の平面における縦横方向に所定ピッチで複数のテストピンが
植設されたプローブ平面板と、
夫々の基準点を一致させて前記プローブ平面板の基準点と測定対象回路が実装された基板とを配置した検査状態において、前記測定対象回路が稼働状態となった後に前記テストピン中の所要テストピンを介して前記測定対象回路の所要位置の電圧及び/または電流を取得する電圧電流取得手段と、
前記測定対象回路の回路図画像情報に基づき回路図画像を表示手段の画面に表示し、前記電圧及び/または電流の値を前記回路図画像と共に表示する表示制御手段と
を具備することを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
前記検査状態において、前記テストピン中の所要テストピンを介して前記測定対象回路へ信号供給を行う信号供給制御手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記信号供給制御手段は、予め備えられているテストシナリオに基づき信号供給を行い、前記電圧電流取得手段は、前記テストシナリオに基づき電圧及び/または電流を取得することを特徴とする請求項2に記載の基板検査装置。
【請求項4】
前記検査状態において、前記テストピン中の所要テストピンを介して前記測定対象回路の電源供給を行い稼働状態とする電源供給制御手段を具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基板検査装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記プローブ平面板に植設された複数のテストピンの位置をそれぞれ中心としたメッシュの各区画に対し、取得した電圧及び/または電流の値に応じて異なる色の画像を表示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板検査装置。
【請求項6】
前記プローブ平面板を2枚有し、
前記電圧電流取得手段は、一方のプローブ平面板を基板の一方の面に配置し、他方のプローブ平面板を基板の他方の面に配置した状態で電圧及び/または電流を取得するものであり、
前記表示制御手段は、前記一方の面に対する表示と前記他方の面に対する表示を切換えて表示することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基板検査装置。
【請求項7】
前記テストピン中の所要テストピンに対し
与えるべき信号を出力する信号出力部と、
前記テストピンと前記信号出力部との間に設けられ、ハイインピーダンス状態と信号の通過状態に切り換え可能であり、前記測定対象回路の所要位置の電圧及び/または電流を取得する際に前記信号出力部から所要テストピンへ与えるべき信号を通過させる通過状態とする入出力スイッチ
と
を備えることを特徴とする
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の基板検査装置。
【請求項8】
前記テストピンは、
前記プローブ平面板に設けられた筒部と、
前記筒部内に設けられた弾性手段と、
前記弾性手段に設けられ、前記筒部内を丈方向に移動する導電部と
を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の基板検査装置。
【請求項9】
前記テストピンは、
前記プローブ平面板に設けられた弾性基部と、
前記弾性基部に設けられた導電部と
を備え、
前記導電部が前記プローブ平面板の面に直交する方向に伸縮することを特徴とする請求
項1乃至7のいずれか1項に記載の基板検査装置。
【請求項10】
前記テストピンは、前記測定対象回路の導電部位に接触する導電部を備え、この導電部がカーボンナノチューブにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の基板検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に実装された半導体装置などから構成される回路の検査を行う場合には、特定のポイントに対してプローブを用いて手作業で針あたりしたり、測定用の導線を半田付けしたりする作業が行われていた。
【0003】
上記のような手作業によって所望のポイントにプローブを接触させた上で、電圧や電流の測定を行い、或いは、電圧の印加を行ったり電流を流すようにしたりという処理を行っている。従って、基板検査と言えば、手間がかかり、熟練を要し、多くの時間が割かれるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-58828号公報
【文献】特開2008-108505号公報
【文献】特開2007-33101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、基板上に等間隔に多数のポゴピンが配置されており、1つのデバイスピンに対して複数のポゴピンが接触するように構成した半導体試験装置が開示されている。ここに、ポゴピンは一本一本独立しており、座標で管理されている。更に、この特許文献1では、コンタクトチェックによりデバイスピンと導通するポゴピンを特定し、座標から参照ポゴピンのエリアを指定して、導通、非導通の判定、電圧測定、電流の印加等を行うものである。
【0006】
特許文献2には、基板上に多数のポゴピンがマトリックス状または千鳥状配列されたソケット装置が開示されている。このソケット装置においては、ポゴピンの間隔は、ICチップの複数の電極の間隔より狭く設定されている。ICチップのひとつの電極に対して複数のポゴピンが接触するものである。
【0007】
特許文献3には、基板に所定のピッチでスルーホールがマトリックス状に形成され、スルーホールにポゴピンが着脱可能に取り付けられたIC試験装置が開示されている。このIC試験装置では、全てのポゴピンは電気的に独立している。スルーホールと同一または整数倍のピッチの端子配列を有する複数種類のICに対応して試験できる。また、スルーホールはIC端子より多く形成されており、使用しない位置のポゴピンは抜いても残しておいてもよいというものである。
【0008】
本発明は、基板に実装された回路の検査を行うことが可能な基板検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態に係る基板検査装置は、少なくとも一方の平面における縦横方向に所定ピッチで複数のテストピンが植設されたプローブ平面板と、夫々の基準点を一致させて前記プローブ平面板の基準点と測定対象回路が実装された基板とを配置した検査状態において、前記測定対象回路が稼働状態となった後に前記テストピン中の所要テストピンを介して前記測定対象回路の所要位置の電圧及び/または電流を取得する電圧電流取得手段と、前記測定対象回路の回路図画像情報に基づき回路図画像を表示手段の画面に表示し、前記電圧及び/または電流の値を前記回路図画像と共に表示する表示制御手段とを具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の基板検査装置の第1の実施形態の構成を示す構成図。
【
図2】本発明の基板検査装置に用いられるテストピンの一例の断面図。
【
図3】本発明の基板検査装置に用いられるテストピンの他の例の断面図。
【
図4】本発明の基板検査装置に用いられるI/Oポート内の要部構成の回路図。
【
図5】本発明の基板検査装置に用いられる測定対象回路の回路図と、テストピンの配置を示す平面図。
【
図6】本発明に係る第1の実施形態の基板検査装置における主メモリ内の構成を示すブロック図。
【
図7】本発明に係る第1の実施形態の基板検査装置における動作を説明するためのフローチャート。
【
図8】本発明の基板検査装置の第2の実施形態の構成を示す構成図。
【
図9】本発明に係る第2の実施形態の基板検査装置における主メモリ内の構成を示すブロック図。
【
図10】本発明に係る第2の実施形態の基板検査装置における動作を説明するためのフローチャート。
【
図11】本発明に係る第3の実施形態の基板検査装置による表示例を示す図。
【
図12】本発明に係る第3の実施形態の基板検査装置に用いられる測定対象回路の回路図と、テストピンの配置を示す平面図。
【
図13】本発明に係る第3の実施形態の基板検査装置における要部動作を説明するためのフローチャート。
【
図14】本発明の基板検査装置の第4の実施形態の要部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明に係る基板検査装置の実施形態を説明する。各図において同一の構成要素には、同一の符号を付し重複する説明を省略する。
図1に、第1の実施形態に係る基板検査装置の構成図を示す。この装置は、プローブ平面板10とコンピュータ部100とを主な構成要素としている。
【0012】
プローブ平面板10は、絶縁性の平面板11の一方の面に複数のテストピン20が植設されたものである。テストピン20は、平面における縦横方向に所定ピッチで植設されている。ここに、「縦横方向に所定ピッチ」とは、マトリックス状に同じピッチで植設されていることが好適であるが、千鳥状等であっても良く、ピッチは同一でなくとも、各テストピンの間隔が分かっていればよく、測定対象回路のどの位置に触れるかについて座標上で特定できるようになっていれば良い。
【0013】
テストピン20の第1の実施形態は、
図2に示すようにポゴピンの構成を備えている。即ち、テストピン20は、測定対象回路のピンや信号線に接触する導電性の棒状の形状を有し、先端部が尖った導電部である接触部21と、接触部21が入り込む空間を有する例えば円筒状の筒部22とを備えたものである。テストピン20の全体が導電性を有する構成であっても良い。
【0014】
筒部22内には、例えばバネによる弾性手段としての弾性部23が設けられている。弾性部23の一方の端部は筒部22の奥部分に固定的に設けられたベース24固定されている。弾性部23の一方の端部は接触部21の基部に固定的に結合された台座部25に固定されている。
【0015】
筒部22の開口部においては、周縁部26が内側に折れ曲がっており、台座部25が外側に抜けるのを防止している。以上の構成において、通常状態では弾性部23に付勢された台座部25が筒部22の開口部側へ押し付けられて、周縁部26により飛び出しが抑制された状態にある(
図2(a))。
【0016】
上記に対し、接触部21の先端が回路の端子やパッケージに触れた状態でプローブ平面板10を基板50(
図1)側へ押し付けると、台座部25が弾性部23の付勢力に抗して筒部22の内壁を摺動してベース24方向へ移動する。接触部21は台座部25に固定されているため、台座部25と共に筒部22の内のベース24方向(丈方向)へ移動して筒部22内に収容されて行くことになる(
図2(b))。
【0017】
また、テストピン20の構成としては、
図3に示されるように接触部21の基部側に導電性樹脂により構成される弾性基部29が固定的に接続され、上記導電部であるに接触部21が上記プローブ平面板10の面に直交する方向に伸縮する実施形態を採用することができる。なお、隣接するテストピン20間の距離が短く、短絡等の危険がある場合には、各テストピン20の間に絶縁物を配置するようにすると好適である。また、接触部21については、カーボンナノチューブにより構成されている構成を採用することができる。
【0018】
各接触部21は、導電性の弾性部23や弾性基部29を介して個別の図示しないリード線に接続されており、このリード線を束ねた
図1に示すケーブル31を介してI/Oポート32に接続されている。
【0019】
I/Oポート32には、1本のリード線に対応して
図4に示すような入出力スイッチが設けられている。この入出力スイッチは、2つのゲート33、34が逆向きに設けられたものであり、ゲート33の出力側とゲート34の入力側とが信号線35に接続されており、ゲート33の入力側とゲート34の出力側とが信号線36に接続されている。ここでは、信号線35がテストピン20へ延びるリード線に接続され、信号線36が図示しないA/D変換器に接続されている。ゲート33、34には、制御信号線37へHレベルかLレベルの制御信号を与えることによりハイインピーダンス状態と通過状態を切換えることができる。
【0020】
I/Oポート32の上記A/D変換器及びD/A変換器には、コンピュータ部100のバス43が接続されている。バス43には、このコンピュータ部100を統括制御するCPU41が接続され、CPU41は直接接続されている主メモリ42内のプログラムやデータ等を用いて基板検査装置としての動作を行う。
【0021】
CPU41から延びるバス43には、上記のI/Oポート32以外に、I/O制御部44、外部記憶コントローラ45、入力コントローラ46、表示コントローラ47が接続されている。更に、I/Oポート32には、信号出力部61が接続されている。
【0022】
I/O制御部44は、CPU41による制御の下、I/Oポート32の上記入出力スイッチを制御してゲート33、34のハイインピーダンス状態と通過状態を制御すると共に、信号出力部61より出力される信号を所要のテストピン20へ繋がる入出力スイッチの信号線36へ与えるように接続の切換を行い、更に、基板電源部62を制御して基板50の測定対象回路へ電源を供給するように制御することができる。
【0023】
外部記憶コントローラ45には、必要なプログラムやデータ等が格納された外部記憶装置65が接続されており、入力コントローラ46には、キーボードやマウス等により構成される入力部66が接続されており、コマンドやデータを入力することができる。表示コントローラ47には、LCDやLEDなどにより構成される表示部67が接続されており、各種の画像やデータを表示することができる。なお、コンピュータ部100には、上記以外の構成が設けられていることを排除するものではなく、例えば、プリンタやそのコントローラが備えられていても良い。
【0024】
基板50は、プリント配線基板等であり、
図5(a)に示すように、測定対象回路(各種のデバイスやICパッケージが配線により接続されたものが実装されている。また、プローブ平面板10は、平面図が
図5(b)に示すように、テストピン20が平面における縦横方向に所定ピッチで植設されているものである。基板50の隅に形成された穴51と、プローブ平面板10に形成された穴12とは、基板50とプローブ平面板10の位置決めを行うための基準点である。この基板50の隅に形成された穴51と、プローブ平面板10に形成された穴12とを一致させて、これらの穴12、51にピンを挿入して嵌合することにより、位置決めが行われる。この状態が、夫々の基準点を一致させて上記プローブ平面板10の基準点と測定対象回路が実装された基板50とを配置した検査状態である。
【0025】
第1の実施形態では、
図6に示されるように、主メモリ42に、回路図情報401と、テストピン位置情報402が格納される。回路図情報401は、測定対象回路における各種のデバイスやICパッケージの名称情報とその端子やピンの名称情報及びそれらの位置情報、更には、各種のデバイスやICパッケージ間の配線の名称情報及びその位置情報などであり、回路図画像情報を含んでいる。なお、位置情報は、例えば、
図5(a)のような回路図において、矩形の枠の左下角を原点として直交座標により各点を規定するものであり、座標の刻み(解像度)を、テストピン20の間隔より狭い値とすることができる。
【0026】
また、テストピン位置情報402は、各テストピン20の名称情報と位置情報により構成することができる。この位置情報は、例えば、
図5(b)のようにピン位置が並んでいる場合において、矩形の枠の左下角を原点として直交座標により各点を規定するものであり、座標の刻み(解像度)を、テストピン20の間隔より狭い値とすることができる。
【0027】
各テストピン20の名称情報は、各テストピン20の位置情報をそのまま使うことができる。即ち、(0,0)ピンや(x,y)ピン等の如き名称情報を用いることができる。なお、回路図情報401とテストピン位置情報402において、座標の刻み(解像度)は同一の値である。
【0028】
更に、主メモリ42には、
図5に示されるように、電圧電流取得手段403と表示制御手段404とが含まれる。電圧電流取得手段403は、夫々の基準点を一致させてプローブ平面板10の基準点と測定対象回路が実装された基板50とを配置した検査状態において、上記測定対象回路が稼働状態となった後に上記テストピン20中の所要テストピンを介して上記測定対象回路の所要位置の電圧及び/または電流を取得するものである。
【0029】
表示制御手段404は、上記測定対象回路の回路図画像情報に基づき回路図画像を表示手段である表示部67の画面に表示し、更に、上記電圧電流取得手段403により取得された電圧または電流の値を上記回路図画像と共に表示するものである。「と共に表示する」とは、上記電圧電流取得手段403により取得された電圧及び/または電流の値を上記回路図画像に重ねて表示することが好適である。
【0030】
以上のように構成された第1の実施形態に係る基板検査装置では、オペレータが電源投入や信号供給の指示を与え、また、測定対象回路のどの部位の電圧及び/または電流を取得するのかの指示を与えるものとする。これに対し、CPU41は
図7に示すフローチャートに対応するプログラムにより動作を行うので、この動作説明を行う。
【0031】
まず、既に説明した検査状態が実現され、コンピュータ部100の電源が投入される。回路図情報401と、テストピン位置情報402が主メモリ42に設定されているので、位置情報に基づき、回路図とテストピンの対応付け情報(回路対応ピン情報)を作成する(S11)。測定対象回路における各種のデバイスやICパッケージの端子やピンの名称情報や、各種のデバイスやICパッケージ間の配線の名称情報に、テストピン20の名称情報(座標による名称情報)の対応付けが行われる。即ち、「デバイスaaの端子b」というように指定を行うと、(x,y)ピンというように対応付けが行われる。勿論、1対多の関係で対応付けられている場合もある。
【0032】
次に、オペレータが電源投入の指示を行うと、これに応じてI/O制御部44から基板電源部62へ制御信号が送られ、測定対象回路への電源投入がなされ(S12)、測定可能な状態が現出される。
【0033】
次に、オペレータが所望のデバイスやICパッケージの端子を指定して、どのような値等の信号入力指示を与えると、これに応じてI/O制御部44からI/Oポート32の制御が行われ、信号出力部61から所望の信号が対象回路の端子等へ与えるように処理が行われる(S13)。
【0034】
次に、オペレータが所望のデバイスやICパッケージの端子を指定して、どこから電圧及び/または電流を取得するかという指示を与えると、これに応じてI/O制御部44からI/Oポート32の所要の入出力スイッチ制御が行われ、電圧及び/または電流の取得がなされる(S14)。
【0035】
ステップS14に続いて、入力した信号の値と、測定した電圧及び/または電流の値を、回路図上の該当位置に配置した画像情報を作成して表示部67に表示する(S15)。ここで測定終了の入力がなされたかを判定し(S16)、NOとなるとステップS13へ戻って処理が続けられる。一方、ステップS16においてYESとなると、処理を終了してエンドとなる。
【0036】
図8に、第2の実施形態に係る基板検査装置の構成図を示す。本実施形態では、オペレータの指示ではなく、
図8に示すように、主メモリ42に設けられたテストシナリオ407を用いてCPU41が電源供給制御手段405として電源供給を行い、信号供給制御手段406として所定の信号を供給しながら、電圧電流取得手段403として測定対象回路の所要位置の電圧及び/または電流を取得する。
【0037】
電源供給制御手段405は、第1の実施形態において説明した検査状態において、上記テストピン20中の所要テストピンを介して上記測定対象回路へ信号供給を行う。信号供給制御手段406は、予め備えられているテストシナリオ407に基づき信号供給を行い、電圧電流取得手段403は、上記テストシナリオ407に基づき電圧及び/または電流を取得する。
【0038】
電源供給は、I/Oポート32を介して行うために、基板電源・信号出力部63が設けられている。基板電源・信号出力部63からはI/Oポート32を介して、所望の信号が対象回路の端子等へ与えられるだけでなく、測定対象回路への電源投入がI/Oポート32を介してなされる。以上の構成によって電源供給制御手段405は、第1の実施形態で説明した検査状態において、上記テストピン20中の所要テストピンを介して上記測定対象回路の電源供給を行い稼働状態とする。他の構成は、第1の実施形態と基本的に同じである。
【0039】
この第2の実施形態では、CPU41が
図10に示すフローチャートに対応するプログラムにより動作を行うので、この動作説明を行う。回路図情報401と、テストピン位置情報402が主メモリ42に設定されているので、位置情報に基づき、回路図とテストピンの対応付け情報(回路対応ピン情報)を作成する(S21)。測定対象回路における各種のデバイスやICパッケージの端子やピンの名称情報や、各種のデバイスやICパッケージ間の配線の名称情報に、テストピン20の名称情報(座標による名称情報)の対応付けが行われる。即ち、「デバイスaaの端子b」というように指定を行うと、(x,y)ピンというように対応付けが行われる。勿論、1対多の関係で対応付けられている場合もある。
【0040】
次に、テストシナリオ407の内容に基づきCPU41が電源投入の指示を行うと、これに応じてI/O制御部44から基板電源・信号出力部63へ制御信号が送られ、測定対象回路への電源投入がなされ(S22)、測定可能な状態が現出される。
【0041】
次に、テストシナリオ407の内容に基づき所望のデバイスやICパッケージの端子を指定して、どのような値等の信号入力指示がCPU41から与えられ、これに応じてI/O制御部44からI/Oポート32の制御が行われ、基板電源・信号出力部63から所望の信号が対象回路の端子等へ与えるように処理が行われる(S23)。
【0042】
次に、テストシナリオ407の内容に基づき所望のデバイスやICパッケージの端子を指定して、どこから電圧及び/または電流を取得するかという指示がCPU41から与えられ、これに応じてI/O制御部44からI/Oポート32の所要の入出力スイッチ制御が行われ、電圧及び/または電流の取得がなされる(S24)。
【0043】
ステップS24に続いて、供給した信号の値と、測定した電圧及び/または電流の値を、回路図上の該当位置に配置した画像情報を作成して表示部67に表示する(S25)。ここでテストシナリオが終了となったかを判定し(S26)、NOとなるとステップS23へ戻って処理が続けられる。一方、ステップS26においてYESとなると、処理を終了してエンドとなる。
【0044】
次に、第3の実施形態を説明する。第3の実施形態において、表示制御手段404は、上記プローブ平面板10に植設された複数のテストピン20の位置をそれぞれ中心としたメッシュの各区画に対し、取得した電圧または電流の値に応じて異なる色の画像を表示することにより表示を行うことを特徴とする。この場合の各区画は、
図11の格子状に描かれている区画である。なお、この場合の「異なる色」とは、明度のみが異なる色についても「異なる色」である。
【0045】
本実施形態において、基板50は、プリント配線基板等であり、
図12(a)に示すように、測定対象回路(各種のデバイスやICパッケージが配線により接続されたものが実装されている。また、プローブ平面板10は、平面図が
図12(b)に示すように、テストピン20が平面における縦横方向に所定ピッチで植設されている。
【0046】
本実施形態では、第2の実施形態のフローチャートのステップS25に代えて、或いは、第1の実施形態のフローチャートのステップS15に代えて、
図13のステップS35の処理を実行することにより上記の表示制御手段404による動作が行われる。即ち、測定した電圧及び/または電流を、メッシュの各区画に対し、取得した電圧または電流の値に応じて異なる色の画像を表示する。この例を
図11に示す。黒色に見える画像K1の部分が例えば「赤色」で、電圧が最も高いか電流が最も大きい部分であり、灰色に見える画像K2の部分が例えば「橙色」で、2番目に電圧が高いか電流が大きい部分であり、何ら色に変化がない部分が、電圧が最も低いか電流が最も小さい部分である。実際には、色が表示されるので、その色と電圧或いは電流の値との対応表を片隅に表示するようにしても良い。
【0047】
図14に、第4の実施形態の要部構成を示す。この実施形態では、プローブ平面板10A、10Bを2枚有している。このプローブ平面板10A、10Bは、既に示したプローブ平面板10と同一の構成である。プローブ平面板10A、10Bのテストピン20は、
図1に示すリード線を束ねたケーブル31を介してI/Oポート32に接続されている。
【0048】
第4の実施形態の他の構成は、第1~3の実施形態と基本的に同一とする。電圧電流取得手段403は、一方のプローブ平面板10Aを基板50Wの一方の面に配置し、他方のプローブ平面板10Bを基板50Wの他方の面に配置した状態で電圧及び/または電流を取得するものである。基板50Wは、両面に測定対象回路が設けられた、所謂両面基板である。表示制御手段404は、上記一方の面に対する表示(プローブ平面板10Aによって取得した電圧及び/または電流に基づく表示)と上記他方の面に対する表示(プローブ平面板10Bによって取得した電圧及び/または電流に基づく表示)を切換えて表示する。
【0049】
上記第4の実施形態によって、基板50Wに対しても的確に基板検査を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0050】
10、10A、10B プローブ平面板
11 平面板
20 テストピン
31 ケーブル
32 I/Oポート
33、34 ゲート
41 CPU
42 主メモリ
43 バス
44 I/O制御部
45 外部記憶コントローラ
46 入力コントローラ
47 表示コントローラ
50、50W 基板
61 信号出力部
62 基板電源部
63 基板電源・信号出力部
65 外部記憶装置
66 入力部
67 表示部
100 コンピュータ部
401 回路図情報
402 テストピン位置情報
403 電圧電流取得手段
404 表示制御手段
405 電源供給制御手段
406 信号供給制御手段
407 テストシナリオ