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特許7005490エアロゲル及びポリマー材料を含有する合成繊維並びにそれの製造方法及びそれを含む物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】エアロゲル及びポリマー材料を含有する合成繊維並びにそれの製造方法及びそれを含む物品
(51)【国際特許分類】
   D01F 1/10 20060101AFI20220114BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20220114BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20220114BHJP
   C08K 7/26 20060101ALI20220114BHJP
   F16L 59/02 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
D01F1/10
C08L101/00
C08L67/02
C08K7/26
F16L59/02
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2018525747
(86)(22)【出願日】2016-11-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-12-20
(86)【国際出願番号】 US2016062261
(87)【国際公開番号】W WO2017087511
(87)【国際公開日】2017-05-26
【審査請求日】2019-10-21
(31)【優先権主張番号】62/256,374
(32)【優先日】2015-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512305235
【氏名又は名称】プリマロフト,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】デンプシー,ロバート アール.
【審査官】長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103388193(CN,A)
【文献】特開2006-265814(JP,A)
【文献】特開2014-035043(JP,A)
【文献】国際公開第2014/135585(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K3/00-13/08
C08L1/00-101/14
D01F1/00-6/96
9/00-9/04
F16L59/00-59/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1~12μmの平均直径を有する、0.1~2.7重量%のエアロゲル粒子、及び
85~99.9重量%のポリマー材料、を含む混合物を含む合成繊維であって、
前記合成繊維は0.1~9.0のデニールを有し、そして前記エアロゲル粒子はポリマー材料内に均質に分散されている、合成繊維。
【請求項2】
前記エアロゲル粒子が無機エアロゲルを含む、請求項1に記載の合成繊維。
【請求項3】
前記エアロゲル粒子がシリカエアロゲルを含む、請求項2に記載の合成繊維。
【請求項4】
前記合成繊維がシリコーン処理されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の合成繊維。
【請求項5】
0.5~2.6重量%の前記エアロゲル粒子を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の合成繊維。
【請求項6】
1~2.5重量%の前記エアロゲル粒子を含む、請求項5に記載の合成繊維。
【請求項7】
前記エアロゲル粒子が2~5μmの平均直径を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の合成繊維。
【請求項8】
前記ポリマー材料がナイロン、ポリエステル、アクリル若しくはポリオレフィンポリマー又はその組み合わせを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の合成繊維。
【請求項9】
前記ポリマー材料がポリエステルを含む、請求項8に記載の合成繊維。
【請求項10】
前記ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである、請求項9に記載の合成繊維。
【請求項11】
0.7~2.0のデニールを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の合成繊維。
【請求項12】
前記繊維が5~120mmの長さを有するステープル繊維である、請求項1~11のいずれか一項に記載の合成繊維。
【請求項13】
前記繊維が8~85mmの長さを有する、請求項12に記載の合成繊維。
【請求項14】
前記繊維がクリンプされている(crimped)、請求項12又は13に記載の合成繊維。
【請求項15】
前記繊維がフィラメントである、請求項1~11のいずれか一項に記載の合成繊維。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の合成繊維を含む詰め綿。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか一項に記載の合成繊維を含む断熱材料。
【請求項18】
請求項1~15のいずれか一項に記載の合成繊維を含む糸。
【請求項19】
請求項1~15のいずれか一項に記載の合成繊維を含む物品。
【請求項20】
前記物品が、履物、衣類、寝袋及び寝具からなる群から選択される、請求項19に記載の物品。
【請求項21】
エアロゲル粒子とポリマー材料とを混合し、これによりエアロゲル/ポリマー混合物を形成するステップ、
前記エアロゲル/ポリマー混合物を押出すステップ、及び
任意に、1つ以上の追加の処理ステップを行うステップ、
を含み、これにより合成繊維を形成する、請求項1~15のいずれか一項に記載の合成繊維を製造する方法。
【請求項22】
前記エアロゲル粒子と前記ポリマー材料との混合中に、前記エアロゲル粒子と前記ポリマー材料の両方が乾燥している、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記エアロゲル/ポリマー混合物を押出すステップが、乾燥エアロゲル/ポリマー混合物を溶融押出工程に供し、これによりエアロゲル/ポリマーペレットを形成することを含む、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記追加の処理ステップが前記エアロゲル/ポリマーペレットから前記合成繊維を形成することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記エアロゲル/ポリマーペレットを押出して前記合成繊維を形成する、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その全内容が参照により本明細書に組み入れられている、2015年11月17日に出願された米国仮特許出願第62/256,374号に対する優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般的にポリマー材料及びエアロゲル粒子を含む合成繊維、合成繊維を含む断熱材、合成繊維を含む物品並びに合成繊維の形成方法に関する。
【背景技術】
【0003】
断熱材料及び断熱材料を含む物品の望ましさ及び有効性は、例えば、断熱材の製造に使用される繊維の特性に大きく依存する。繊維は、とりわけその性質及び組成に応じて、各種の物性を有する。例えば羊毛繊維などの天然繊維は、ポリマー繊維とは異なる特性を有し、ポリマー繊維はそれらが製造されるポリマーに応じて異なる特性を有する。繊維デニールを一定に維持して、物品の熱特性を改善すると、しばしば物品の全体重量及び/又は嵩高さが犠牲になることが多い。
【0004】
テキスタイル分野における様々な進歩にもかかわらず、熱特性が改善された断熱材料、特に物品及び断熱材料に組み入れられた場合に、重量を増加させずに熱性能の改善を提供する繊維がなお必要とされている。
【0005】
本発明の開示を容易にするために、従来技術の或る態様について論じてきたが、出願人はこれらの技術的態様を決して否定するものではなく、特許請求の範囲に記載の発明は、従来技術の態様の1つ以上を含むことがある。
【0006】
本明細書では、知識に関する項目、行為又は書類が参照又は議論されているが、この参照又は議論は、知識に関する項目、行為又は書類、それらの任意の組み合わせが、優先日において、公衆に利用可能になっており、公衆に知られており、一般常識の一部となっており、そうでなければ、適用される法律の条項に基づいて先行技術を構成しており、又は、本明細書に関係するあらゆる課題を解決しようとすることに関連していることで知られていることを、認めるものではない。
【発明の概要】
【0007】
簡潔には、本発明は、有益な熱特性を有する改良繊維への必要性を満足する。様々な実施形態において、本発明の繊維は、望ましくない断熱材の重量増加をもたらすことなく、熱特性の改善を示す断熱材の使用に適している。
【0008】
本発明は、上述で議論した技術についての1以上の問題及び欠点に対処することができる。しかしながら、本発明は、多くの技術分野における他の問題及び欠点に対処するのに有用であることが可能であると考えられる。従って、特許請求の範囲に記載の発明は、本明細書で論じる特定の問題又は欠点のいずれかに対処することに限定されるものとして必ずしも解釈されるべきではない。
【0009】
第1の態様において、本発明は、合成繊維であって、0.1~15重量%の、0.3~20μmの平均直径を有するエアロゲル粒子、及び85~99.9重量%のポリマー材料、を含み、0.1~9.0のデニールを有する、合成繊維を提供する。
【0010】
第2の態様において、本発明は、合成繊維を含む断熱材料を提供する。
【0011】
第3の態様において、本発明は、本発明の第1の態様の合成繊維又は本発明の第2の態様の断熱材料を含む物品を提供する。
【0012】
第4の態様において、本発明は、合成繊維又は合成繊維を含む物品(例えば衣類、断熱材料など)を製造する方法であって、エアロゲル粒子とポリマー材料とを混合し、これによりエアロゲル/ポリマー混合物を形成するステップ、エアロゲル/ポリマー混合物を押出すステップ、及び任意に、1つ以上の追加の処理ステップを行うステップを含み、これにより合成繊維又は物品を形成する、方法を提供する。
【0013】
現在開示されている合成繊維、合成繊維を含む断熱材及び物品並びに合成繊維の製造方法のある実施形態は、複数の特徴を有し、そのどれ1つとしてその望ましい属性を単独で担っているわけではない。後続の特許請求の範囲によって定義される合成繊維、断熱材、物品及び方法の範囲を限定することなく、これらのより卓越した特徴をここで簡単に議論する。この議論を検討した後に、特に「発明の詳細な説明」と題する本明細書の部分を読んだ後に、本明細書に開示された様々な実施形態の特徴によって、現在の技術水準を超えるいくつかの利点がどのように提供されるかが理解される。例えば、いくつかの実施形態において、合成繊維は、軽量用途においてさえ熱特性の改善を与え、これにより合繊繊維は、例えば糸、製織及び不織断熱材料並びに物品(例えば衣料品、履物、寝具及び工業用布帛)での有利な使用に適している。合成繊維の実施形態により、とりわけ衣料品及び工業用布帛向けの糸及び断熱材の製造並びに断熱が要求される他の物品の製造での使用に好適な、低密度構造、熱性能の改善及び/又は音響抵抗の改善が提供され得る。
【0014】
本発明のこうした特徴、その他の特徴、及び利点は、添付の特許請求の範囲及び添付図面と併せて、本発明の種々の観点についての以下の詳細な記載から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下、本発明を以下の図面と併せて説明するが、図面は理解しやすくするために必ずしも縮尺通りに描かれていない。図面中、同一の参照番号は、様々な図面を通じて同一又は同様の要素の名称及び意味を保持する。
【0016】
図1】本開示のある実施形態によるポリマー材料を有する容器の側面斜視図である。
【0017】
図2】本開示のある実施形態によるエアロゲル粒子を有する容器の側面斜視図である。
【0018】
図3】本開示のある実施形態によるポリマー材料に混入されたエアロゲル粒子を有する、図1の容器の側面斜視図である。
【0019】
図4】本開示のある実施形態によるエアロゲル粒子を含有する合成繊維の拡大図である。
【0020】
図5】本開示のある実施形態によるエアロゲル粒子を含有するポリマーペレットの図である。
【0021】
図6】本開示の特定の実施形態による線6-6に沿った図5のペレットの拡大断面図である。
【発明の詳細な説明】
【0022】
本発明の観点、並びに或る特徴、利点、及びそれらの詳細は、添付の図面に示される非限定的な実施態様を参照して、以下でより詳細に説明される。公知の材料、製造道具、加工技術等の説明は、本発明を些細なことで不必要に不明瞭にしないために省略されている。しかしながら、本発明の実施態様を示している詳細な説明及び特定の実施例は、例示のみを目的とするためのものであり、限定することを目的とするものではないことを理解されたい。本発明の基礎となる概念の趣旨及び/又は範囲内での様々な置換、変形、追加及び/又は配置は、この開示から当業者には明らかであろう。
【0023】
「固体煙」と呼ばれていたエアロゲルは、極めて軽量の固体であり、実際に、人類に既知である最も軽量の固体である。エアロゲルは、良好な熱特性及び音響断熱特性を有する。しかし、完成品/物品(特に動的非剛性用途)においてエアロゲルが使用される可能性は、エアロゲルの脆弱性及び破砕性により大きく制限されている。エアロゲルは壊れて、粉砕されて粉塵を生じやすい傾向があるため、エアロゲル固形物は多くの用途で持ちこたえられない。
【0024】
エアロゲルは脆弱となる傾向があるため、エアロゲル基材の特性を改善するために様々な努力がなされてきた。例えば、米国特許出願公開第2006/0093808号は、未処理エアロゲルには機械的強度が不足していることについて説明している。この文献により、エアロゲル基材を付着させ、次いでエアロゲル基材の表面を均一なポリマー層で被覆して、ポリマーコーティングされたエアロゲル基材を形成する方法であって、これによりエアロゲルの圧縮弾性率(従って完全性)が向上し、エアロゲル体からのフラグメントの破断防止に役立つ、方法について記載されている。
【0025】
米国特許出願公開第2010/0279044号には、シール、ガスケット、パイプ、チューブ又は容器で使用するための、物理的特性を改善する熱可塑性ポリマーへのエアロゲル粒子の配合が記載されている。
【0026】
これまでの成果は、固形エアロゲル基材の有用性に影響を及ぼし、又は今日まで強靭な固形熱可塑性シール、ガスケットなどにエアロゲルを組み入れる方法を提供してきたが、全く異なる複雑さを有する他の有用な用途にエアロゲルを組み入れることは、まだ成功していない。
【0027】
エアロゲルは良好な断熱特性を有するため、エアロゲル含有布帛にエアロゲルをカプセル化して粉塵の排出を防止することが有益であり得る。しかし、エアロゲル含有布帛が一旦カプセル化されると、布帛の通気性がひどく(時にはゼロまで)低下し、多大な重量が加わり、このようないずれの断熱材の実際の利益も制限される。
【0028】
本発明は、例えば布帛、断熱材、物品などを製造する前に、小型エアロゲル粒子をポリマー材料中に一体化させることによって、上記及び他の問題に対処する。この一体化はエアロゲル含有合成繊維の形態で行われる。合成繊維から形成される断熱材及び物品は、例えば通気性を過度に阻害せずに、全体的に改善された熱特性を有し得る。いくつかの実施形態において、合成繊維を含む断熱材及び物品は、望ましくない重量増加なしに、改善された熱特性を有する。
【0029】
第1の態様において、本発明は、合成繊維であって、0.1~15重量%の、0.3~20μmの平均直径を有するエアロゲル粒子、及び85~99.9重量%のポリマー材料、を含み、0.1~9.0のデニールを有する、合成繊維を提供する。
【0030】
デニールは、9000メートルの繊維又は糸のグラムでの重量として定義される測定単位である。デニールは、繊維又は糸の重量(又はサイズ)を規定する一般的な方法である。例えば1.0デニールのポリエステル繊維は、通例約10マイクロメートルの直径を有する。マイクロデニール繊維はデニールが1.0以下であり、マクロデニール繊維はデニールが1.0より大きい。
【0031】
合成繊維のデニールは、0.1~9.0であり、この中のあらゆる範囲及び下位範囲(例えば0.7~2.0)を含む。例えば、いくつかの実施形態において、合成繊維は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9又は9.0のデニールを有する。
【0032】
合成繊維は、0.1~15重量%のエアロゲル粒子を含み、この中のあらゆる範囲及び下位範囲(例えば1~10重量%、0.5~4.5重量%、1~4.5重量%、2~4.5重量%など)を含み、前記エアロゲル粒子は、0.3~20μmの平均直径を有し、この中のあらゆる範囲及び下位範囲(例えば0.8~2μm)を含む。
【0033】
いくつかの実施形態において、合成繊維は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、11.0、11.1、11.2、11.3、11.4、11.5、11.6、11.7、11.8、11.9、12.0、12.1、12.2、12.3、12.4、12.5、12.6、12.7、12.8、12.9、13.0、13.1、13.2、13.3、13.4、13.5、13.6、13.7、13.8、13.9、14.0、14.1、14.2、14.3、14.4、14.5、14.6、14.7、14.8、14.9又は15.0重量パーセントのエアロゲル粒子を含み、この中のあらゆる範囲及び下位範囲を含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、合成繊維は、2~70体積%のエアロゲル粒子(例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69又は70体積%)を含み、この中のあらゆる範囲及び下位範囲(例えば8~60体積%、10~50体積%など)を含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、エアロゲル粒子は、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、11.0、11.1、11.2、11.3、11.4、11.5、11.6、11.7、11.8、11.9、12.0、12.1、12.2、12.3、12.4、12.5、12.6、12.7、12.8、12.9、13.0、13.1、13.2、13.3、13.4、13.5、13.6、13.7、13.8、13.9、14.0、14.1、14.2、14.3、14.4、14.5、14.6、14.7、14.8、14.9、15.0、16.1、16.2、16.3、16.4、16.5、16.6、16.7、16.8、16.9、17.0、17.1、17.2、17.3、17.4、17.5、17.6、17.7、17.8、17.9、18.0、18.1、18.2、18.3、18.4、18.5、18.6、18.7、18.8、18.9、19.0、19.1、19.2、19.3、19.4、19.5、19.6、19.7、19.8、19.9又は20.0μmの平均直径を有し、この中のあらゆる範囲及び下位範囲(例えば0.8~2μm)を含む。
【0036】
本明細書で使用する場合、「エアロゲル」という用語は、ゲルの液体部分がガスで置き換えられたゲルから誘導された、合成多孔質超軽量材料である独自の材料群の1種を示す。「エアロゲル粒子」は、表示されたサイズを有する(例えば0.3~20μmの平均直径)を有するエアロゲルの粒子である。
【0037】
エアロゲルは当分野において周知であり、エアロゲルは市販されている。当分野で許容されるエアロゲルのいずれも、本発明と関連して使用され得ることが考えられる。
【0038】
エアロゲル調製法も当業界で周知である。エアロゲルは一般に、適切なゲルを乾燥させることによって製造される。一般に、三次元微細構造を形成するゲルが調製される。例えば、ゲルは例えば酸性条件下で、例えばコロイド粒子の凝集によって調製されて、三次元ゲル微細構造を形成し得る。エアロゲルは、ゲルが乾燥したときに、又は液体がゲルの細孔から除去されたときに生成する。ゲル微細構造を実質的に保存するいずれの好適な方法によっても、流体を除去することができる。例えば、流体除去の方法は、超臨界流体抽出、液体の蒸発又は凍結乾燥であることができる。ゲルを粒子中にキャスト(cast)して、所望の最終エアロゲル粒径に適合させることができる。しかし、より通例には、大型のゲルが形成され、それから流体が除去されて大型のエアロゲルが形成され、次いで大型のエアロゲルが破壊されるか、さもなければ所望のサイズの粒子に加工される。
【0039】
エアロゲル形成工程は、超臨界液体にゲル中のゾル(即ち液体)を有する場所を変更させるために、繊細な温度制御に加えて高圧を必要とし得る。このような工程において、圧力を慎重に低下させると、超臨界液体が気体に戻ってその環境中に消散し、ゾルが位置する、多くの空気充填空間を含有する非常に軽量の固体構造が残る。
【0040】
本発明の様々な実施形態において、エアロゲル粒子中の細孔は空気で充填されている。いくつかの実施形態において、ガスは、真空下でエアロゲルから除去され得る。
【0041】
エアロゲル固形材料(例えば上記の乾燥後に生じる、保存されたゲル微細構造)は、低い熱伝導率を有する極めて軽量の固体である。エアロゲルは、断熱特性及び遮音特性を有する。
【0042】
上記のように、エアロゲルは様々な供給元から市販されている。超臨界流体抽出又は亜臨界乾燥によって調製されたエアロゲルは、例えばCabot Corporation、Aspen Aerogels及びAmerican Aerogelから入手可能である。
【0043】
エアロゲルは、一般に無機、有機又はその組み合わせである。有機エアロゲルは、幅広く多様な出発物質、例えばメラミンホルムアルデヒドから誘導される。無機エアロゲルは、一般にコロイド成分を含む。好適なコロイド成分は、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ、セリウム、バナジウム、ハフニウム及びその混合物からなる群から選択される元素を含むが、必ずしもこれに限定されない。無機エアロゲルの製造方法は、例えばH.D.Gesser、P.C.Goswarni、Chem Rev.1989,89,765以降に記載されている。コロイド成分(例えばシリカとしても既知である二酸化ケイ素(SiO))は、用途に応じて異なる。
【0044】
いくつかの実施形態において、本発明の合成繊維に使用されるエアロゲル粒子は無機エアロゲルを含む。例えば、いくつかの実施形態において、エアロゲル粒子は、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)又は他の金属酸化物を含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、本発明の合成繊維に使用されるエアロゲル粒子は有機エアロゲルを含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、本明細書で使用されるエアロゲル粒子は、1~200nmの平均細孔径を有する。例えば、いくつかの実施形態において、平均細孔径は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199又は200nmであり、この中のあらゆる範囲及び下位範囲(例えば10~50nm、15~30nmなど)を含む。
【0047】
いくつかの実施形態において、本発明の合成繊維に含まれるエアロゲル粒子内の細孔は、ポリマー材料で少なくとも部分的に充填されている。出願人は、いくつかのそのような実施形態が、本発明の繊維の押出に続いて生じることを見出した。
【0048】
いくつかの実施形態において、本明細書で使用されるエアロゲル粒子は、例えば1mg/cc(即ちmg/cm)から200mg/ccの平均密度を有する。例えば、いくつかの実施形態において、エアロゲル粒子の平均密度は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199又は200mg/ccであり、この中のあらゆる範囲及び下位範囲(例えば20~150mg/cc、30~100mg/cc、30~50mg/ccなど)を含む。
【0049】
合成繊維は、85~99.9重量%のポリマー材料を含む。例えば、いくつかの実施形態において、合成繊維は、85.0、85.1、85.2、85.3、85.4、85.5、85.6、85.7、85.8、85.9、86.0、86.1、86.2、86.3、86.4、86.5、86.6、86.7、86.8、86.9、87.0、87.1、87.2、87.3、87.4、87.5、87.6、87.7、87.8、87.9、88.0、88.1、88.2、88.3、88.4、88.5、88.6、88.7、88.8、88.9、89.0、89.1、89.2、89.3、89.4、89.5、89.6、89.7、89.8、89.9、90.0、90.1、90.2、90.3、90.4、90.5、90.6、90.7、90.8、90.9、91.0、91.1、91.2、91.3、91.4、91.5、91.6、91.7、91.8、91.9、92.0、92.1、92.2、92.3、92.4、92.5、92.6、92.7、92.8、92.9、93.0、93.1、93.2、93.3、93.4、93.5、93.6、93.7、93.8、93.9、94.0、94.1、94.2、94.3、94.4、94.5、94.6、94.7、94.8、94.9、95.0、95.1、95.2、95.3、95.4、95.5、95.6、95.7、95.8、95.9、96.0、96.1、96.2、96.3、96.4、96.5、96.6、96.7、96.8、96.9、97.0、97.1、97.2、97.3、97.4、97.5、97.6、97.7、97.8、97.9、98.0、98.1、98.2、98.3、98.4、98.5、98.6、98.7、98.8、98.9、99.0、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8又は99.9重量%のポリマー材料を含み、この中のあらゆる範囲及び下位範囲を含む。
【0050】
合成繊維に使用されるポリマー材料は、エアロゲル粒子が中に保持されるいずれの所望のポリマーマトリックスも含む。例えば、いくつかの実施形態において、ポリマー材料はポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリラクチド、オレフィン、アセテート、アラミド、リヨセル(lyocell)、スパンデックス、ビスコース(viscose)、モダール(modal)及びその組み合わせから選択される。特定の実施形態において、ポリマー材料はポリエステルを含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、合成繊維はポリエステルを含み、前記ポリエステルは、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ヘキサヒドロ-p-キシレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ-1,4-シクロヘキセンジメチレン(PCDT)、及びテレフタレートコポリエステル(そのエステル単位の少なくとも85モル%がエチレンテレフタレート又はヘキサヒドロ-p-キシレンテレフタレート単位である)から選択される。特定の実施形態では、そのポリエステルはポリエチレンテレフタレートである。
【0052】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリエステルは、リサイクルされたポリエステル繊維を含む。
【0053】
本明細書で使用する場合、熱抵抗とは、定常状態で、単位面積を通る単位熱流量を誘発する、材料又は材料の組み合わせの2つの画定された表面の間の温度差を示す。熱抵抗はRで表され得る。
【0054】
本明細書で使用する場合、音響抵抗という用語は、エネルギーの流れ又は通過の妨害又は対抗を示し、音を伝達する媒体の内部摩擦によるエネルギーの消散を含む。音響抵抗はZで示される。
【0055】
本発明の合成繊維の実施形態は、ポリマー材料中にエアロゲル粒子が埋め込まれたポリマー繊維を提供する。いくつかの実施形態において、エアロゲル粒子は、ポリマー材料内で均質に混合され、合成繊維内に含まれるポリマー材料とエアロゲル粒子の混合物は、実質的に均一な(即ち90~100%均一な、例えば少なくとも90.0、90.1、90.2、90.3、90.4、90.5、90.6、90.7、90.8、90.9、91.0、91.1、91.2、91.3、91.4、91.5、91.6、91.7、91.8、91.9、92.0、92.1、92.2、92.3、92.4、92.5、92.6、92.7、92.8、92.9、93.0、93.1、93.2、93.3、93.4、93.5、93.6、93.7、93.8、93.9、94.0、94.1、94.2、94.3、94.4、94.5、94.6、94.7、94.8、94.9、95.0、95.1、95.2、95.3、95.4、95.5、95.6、95.7、95.8、95.9、96.0、96.1、96.2、96.3、96.4、96.5、96.6、96.7、96.8、96.9、97.0、97.1、97.2、97.3、97.4、97.5、97.6、97.7、97.8、97.9、98.0、98.1、98.2、98.3、98.4、98.5、98.6、98.7、98.8、98.9、99.0、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8又は99.9%均一な)組成を有する。
【0056】
合成繊維内では、エアロゲル粒子は、例えばポリマー材料によって完全に又は少なくとも部分的に被覆され得る。いくつかの実施形態において、存在する大部分の(即ち50%を超える、例えば55、60、65、70又は75%を超える)エアロゲル粒子がポリマー材料によって完全に被覆されている。いくつかの実施形態において、繊維内のエアロゲル粒子の95%超(例えば少なくとも98%)がポリマー材料によって完全に被覆されている。
【0057】
ある実施形態において、本発明の合成繊維は、同様の組成を有するが、エアロゲル粒子のない繊維と比較して、より低い重量対体積比及び/又はより良好な断熱特性を有する。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の合成繊維を含む断熱材は、Rの熱抵抗を有し得るが、エアロゲル粒子がないことだけが異なる比較断熱材はRの熱抵抗を有し得て、ここでR>Rである。
【0058】
いくつかの実施形態において、合成繊維はシリコーン処理されている。「シリコーン処理された」という用語は、繊維がシリコン含有組成物(例えば、シリコーン)でコーティングされていることを意味する。シリコーン化技術は、当該技術分野において公知であり、例えば、米国特許第3,454,422号明細書に記載されている。シリコーン含有組成物は、当技術分野で公知の任意の方法、例えば噴霧、混合、浸漬、パッディングなどを用いて付与することができる。オルガノシロキサン又はポリシロキサンを含むシリコン含有(例えばシリコーン)組成物は、繊維の外側部分に接合される。いくつかの実施態様では、シリコーンコーティングは、メチルハイドロジェンポリシロキサン、変性メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、又はアミノ変性ジメチルポリシロキサンなどのポリシロキサンである。出願前に、当該技術分野で知られているように、シリコーン含有組成物は、繊維に直接付与するか、又は、溶液又はエマルジョン(例えば、ポリシロキサンのエマルジョン)として溶剤で希釈することができる。処理後、コーティングを乾燥及び/又は硬化させることができる。当技術分野で知られているように、触媒は、シリコン含有組成物(例えば、Si-H結合を含むポリシロキサン)の硬化を促進するために使用することができ、そして、利用しやすくするために、シリコン含有組成物エマルジョンに添加することができ、得られた組み合わせを使用して合成繊維を処理する。適切な触媒としては、酢酸塩、オクタン酸塩、ナフテン酸塩及びオレイン酸塩などのカルボン酸の鉄、コバルト、マンガン、鉛、亜鉛、及び錫の塩が挙げられる。いくつかの実施態様では、シリコーン処理の後に、繊維を乾燥させて残留溶媒を除去し、次いで、場合により、65~200度に加熱して硬化させることができる。
【0059】
合成繊維はクリンプ加工されていてもクリンプ加工されていなくてもよい。スパイラル(即ちヘリカル)及び標準的なクリンプを含む、様々なクリンプが当分野で既知である。合成繊維は、いずれの所望のクリンプも有し得る。
【0060】
いくつかの実施形態において、合成繊維は、ステープル繊維(即ち、標準化された長さを有する繊維)である。例えば、いくつかの実施形態において、合成繊維は、5~120mm(例えば5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119又は120mm)の長さを有し、この中のあらゆる範囲及び下位範囲(例えば8~85mm)を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、複数のステープル繊維を提供する。
【0061】
いくつかの実施態様では、フィラメントは、5インチ~数マイルの長さの範囲であり、その範囲における任意の範囲、全ての範囲、及び部分的な範囲を含む。例えば、いくつかの実施態様において、フィラメントの長さは、少なくとも5インチ(例えば、少なくとも、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100インチの長さ、その範囲における任意の範囲、又は部分的な範囲)でもよい。いくつかの実施態様では、フィラメントの長さは、少なくとも1フィート(例えば、少なくとも、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、又は1000フィートの長さ、その範囲における任意の範囲、又は部分的な範囲)でもよい。
【0062】
フィラメントは、(溶融紡糸と呼ぶこともできる)押出として既知の方法によって生成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、エアロゲル粒子及びポリマー材料を混合した後、得られたエアロゲル/ポリマー混合物はエアロゲル/ポリマーペレットとして押出され得る。続いて、所望のエアロゲル添加量に応じて、少なくともエアロゲル/ポリマーペレットを含む複数のペレットが押出されて繊維となり得る。例えばペレットを周知の技法により、例えばペレットをその融点以上にして、これにより液状エアロゲル/ポリマー混合物を形成し、次いで液状エアロゲル/ポリマー混合物を紡糸口金と呼ばれるダイに強制的に投入することによって押出することができる。紡糸口金は、液体が通過する多数の小穴を有することが多い。液状ポリマー流が紡糸口金を出ると冷却され、連続合成繊維の長いストランドが得られる。押出されたフィラメントは、別の(例えば、隣接する)紡糸口金のフィラメントと任意に組み合わされて、束内のフィラメントの数を増加させ得る。以下に説明するように、フィラメント束は延伸されて(引き延ばして)各フィラメントをより細くすることができ、下記のように任意にテクスチャ加工され得る。
【0063】
フィラメントの束(本明細書において、例えば、ヤーン)に対して、テクスチャード加工技術を実施して、フィラメントの平行化を破壊する。このような技術は、例えば、重量を増加させることなく嵩(bulk)を追加するのに役立つことがある。この嵩を追加することによって、得られるヤーンの重量が軽く見え、そのヤーンの手触り(柔らかさ)が改善され、そのヤーンがより不透明に見え、及び/又はヤーンの断熱特性が改善する。技術的に許容可能ないかなるテクスチャード加工方法を使用してもよく、本発明の使用に貢献するテクスチャード加工方法の例としては、クリンピング(crimping)、ルーピング(looping)、コイリング(coiling)、クリンクリング(crinkling)、撚った後の解撚、及び編んだ後の解編が挙げられる。
【0064】
いくつかの実施形態において、合成繊維は米国特許第3,324,060号に開示されているような潤滑添加剤を含まない。
【0065】
当業者は、本発明の合成繊維が有利に用いられ得る多くの用途があることをただちに認識する。実際、本発明による合成繊維及び断熱材の実施形態は、多くの異なる産業で利用されている。非限定的な例としては、テキスタイル布帛、例えば(繊維が例えばモノフィラメントとして使用され得る)抄紙用具;冷蔵トラック;パイプライン(例えば石油化学パイプライン);航空宇宙用途(例えば航空宇宙断熱パネル);極低温貯蔵タンク;燃料電池;自動車バッテリー(例えば電気自動車用バッテリー)保護;その他の布帛又は断熱用途などが挙げられる。
【0066】
第2の態様において、本発明は、合成繊維を含む断熱材料を提供する。
【0067】
当業者は、本発明の繊維は、一般に、任意の断熱材料に使用される合成繊維の代わりに、又は合成繊維に追加して使用され得ることを認識する。
【0068】
いくつかの実施形態において、断熱材料は布帛、フリース、パッド、吹込み用断熱材料又は詰め綿である。いくつかの実施形態において、断熱材料は、テキスタイル材料(即ちテキスタイル分野で使用される断熱材料)である。
【0069】
いくつかの実施形態において、本発明は、合成繊維を含む詰め綿を提供する。いくつかの実施形態において、詰め綿は、1mm~160mm(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159又は160mm)の厚さを有し、この中のあらゆる範囲及び下位範囲を含む。いくつかの実施形態において、厚さは40mm以下、例えば2~40mmである。いくつかの実施形態において、詰め綿は1~10kg/m(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10kg/m)の密度を有し、この中のあらゆる範囲及び下位範囲を含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、本発明は、合成繊維を含む糸を提供する。
【0071】
clo(clo/oz/yd)は、衣服の熱抵抗の測定に使用する単位である。1.0cloの値は、通常換気室(0.1m/sの空気移動)における21℃(70°F)の環境下で、静止している人に熱平衡を維持させる断熱材の量として定義される。通例、この温度を超えると、このような着衣の人が発汗するのに対して、この温度以下では、この人は涼しさを感じる。衣類及び/又はその構成要素には、clo値を割り当てることができる。高いcloは、cloが比較的低い別の物品よりも暖かい物品であることを示す。
【0072】
驚くべきことに、本出願人は、本発明の合成繊維を含む断熱材の実施形態が、エアロゲル粒子を含まないことを除いて同一の断熱材の実施形態と比較して、予想外に熱性能が改善されたこと(高いclo)を見出した。
【0073】
いくつかの実施形態において、合成繊維を含む断熱材は、ISO11092に従って試験を行った場合に、0.80col/oz/yd~1.40clo/oz/yd(例えば0.80、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1.0、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.10、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.20、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.30、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39又は1.40clo/oz/yd)の熱性能等級を有し、この中のあらゆる範囲及び下位範囲(例えば、0.90~1.3col/oz/yd、1.0~1.25col/oz/ydなど)を含む。いくつかの実施形態において、詰め綿は、ISO11092に従って試験を行った場合、少なくとも1.0clo/oz/ydの熱性能等級を有する。
【0074】
第3の態様において、本発明は、本発明の第1の態様の合成繊維又は本発明の第2の態様の断熱材料を含む物品を提供する。そのような物品の非限定的な例としては、例えば履物、アウターウェア(例えばジャケットなどのアウターウェア衣服)、衣類、寝袋、寝具(例えば掛け布団)などが挙げられる。
【0075】
第4の態様において、本発明は、合成繊維又は合成繊維を含む物品(例えば衣類、断熱材料など)を製造する非制限的方法であって、エアロゲル粒子とポリマー材料とを混合し、これによりエアロゲル/ポリマー混合物を形成するステップ、エアロゲル/ポリマー混合物を押出すステップ、及び任意に、1つ以上の追加の処理ステップを行うステップ、を含み、これにより合成繊維又は物品を形成する、方法を提供する。
【0076】
いくつかの実施形態において、この方法は、リサイクルエアロゲル廃棄物(例えば市販のエアロゲル加工の間に、本明細書で論じない他の製造方法から残ったエアロゲル)を利用する。そのような実施形態のいくつかにおいて、該方法は、エアロゲル廃棄物を分類してできるだけ多くの汚染物質を除去することを任意に含み得る。エアロゲルから汚染物質の分離は、材料がその大きさに基づいて該当する群を分級することにより行うことができる。分級には、例えば、エアロゲル廃棄物を漉し分けて又は濾過して、エアロゲル粒子を廃棄物から分離することを含み得る。さらに、エアロゲル粒子は、その大きさに基づいて分離され得る。エアロゲル粒子としては、例えば石英、チタニア、ジルコニア、シリカ又は他の金属酸化物などの酸化物、レゾルシノールホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド又はポリイミドなどのポリマー、熱分解ポリマーなどの炭素並びにセルロース、デンプン、アルギン酸塩などが挙げられる。汚染物質が除去されると、エアロゲル粒子、例えばシリカエアロゲル粒子は、所望の大きさ(例えば0.3~20μm)の粒子に粉砕され得る。任意に、所望の大きさのエアロゲル粒子を得たら、エアロゲル粒子全て(いくつかの実施形態において、粉末又は粉塵に似ることがある。)が、ポリマー材料との混合に望ましい粒径より小さくなるように、粒子を任意に再度分級してよい。
【0077】
または、該方法は、例えば清浄なエアロゲル粒子を得ることを含み得る。エアロゲル粒子としては、例えば石英、チタニア、ジルコニア、シリカ又は他の金属酸化物などの酸化物、レゾルシノールホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド又はポリイミドなどのポリマー、熱分解ポリマーなどの炭素並びにセルロース、デンプン、アルギン酸塩などが挙げられる。
【0078】
いくつかの実施形態において、合成繊維又は合成繊維を含む物品を製造する方法は、エアロゲル粒子及びポリマー材料を混合する前に、エアロゲル粒子の粒径を所望の大きさに(例えば粉砕によって)低減することを含む。
【0079】
いくつかの実施形態において、固体ポリマー材料は予備粉砕形態で得られるか、又はポリマー材料が粒子の形態となるように、ポリマー材料を粉砕する。いくつかの実施形態において、ポリマー材料は、砂の粘稠性に似た粉砕ポリマー材料である。所望のサイズのエアロゲル粒子をポリマー材料と混合して、エアロゲル/ポリマー混合物を形成する。ポリマーに対するエアロゲル粉末の重量濃度は、得られた繊維の所望の特性について選択され得る。例えばエアロゲル粉末は約0.1%~15%の重量パーセントを有し得て、ポリマーは約85%~99.9%の重量パーセントを有し得る。いくつかの実施形態において、エアロゲル粒子及びポリマー材料は、容器又はドラム内で(例えば攪拌又は転動などのかき混ぜによって)混合される。
【0080】
エアロゲル/ポリマー混合物は次いで、押出され得るか、又はさもなければ後に繊維の製造に使用できる中間生成物(例えばエアロゲル/ポリマーペレット)に形成され得る。(以下でより詳細に論じる)いくつかの実施形態において、この中間生成物は「マスターバッチ」と呼ばれ得る。他の実施形態では、エアロゲル/ポリマー混合物を直接押出して繊維にしてよい。中間生成物(例えば、エアロゲル/ポリマーペレット)を製造する場合、続いて形成される繊維中の所望のエアロゲル添加パーセントを制御又は達成するように、中間生成物を他の材料(例えば別のエアロゲル添加物を含む、又はエアロゲルを含まない他のポリマー材料又は他のペレット)と後に任意に混合してよい。
【0081】
本発明の方法の実施形態は、当分野で周知の適切なテキスタイル繊維製造方法を使用して、エアロゲル/ポリマー混合物から直接、又は中間生成物(例えばペレット)から繊維を形成することを含む。テキスタイル繊維の製造方法は、例えば、当分野で既知であるように、溶融紡糸、湿式紡糸、乾式紡糸、ゲル紡糸、電界紡糸などを含み得る。例えば、混合物(例えばエアロゲル/ポリマー混合物、又は中間生成物を含有する混合物、例えば溶融中間生成物及び任意に1種以上の他の材料を含む混合物)を、紡糸口金を通して押出して、連続フィラメントが形成され得る。次いで、連続フィラメントを例えば延伸、テクスチャ加工、クリンピング及び/若しくは切断、又は当分野における他の公知の方法によって操作して、最終用途のために最も有用な形態の繊維が形成され得る。連続フィラメントを特定の長さに切断し、梱包してベールとしてよい。次いでベールは、例えばステープル繊維を(例えばベースレイヤー衣服などの衣料品に使用するためにさらに加工できる)糸に加工する紡績機に送出され得る。
【0082】
合成繊維又は合成繊維を含む物品を形成するために行う加工ステップは、形成が意図される繊維に応じて異なる可能性がある。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の方法は、例えば延伸、テクスチャ加工及び1種以上の所望の仕上げ化学作用の任意の添加によって、連続フィラメントを形成する。いくつかの実施形態において、本方法は、例えば延伸、切断、任意のクリンピング及び1種以上の所望の仕上げ化学作用の任意の添加によって、ステープル繊維を形成する。任意の所望の仕上げ化学作用が本発明に従って使用され得ることが検討される。仕上げ化学作用は当分野において周知であり、例えばシリコーン処理、耐久性撥水処理などを含む。
【0083】
合成繊維は、物品(例えば最終製品)、例えば衣服、布帛又は断熱材に組み入れられ得る。いくつかの実施形態において、本発明による物品又は断熱材は、合成エアロゲル注入繊維を含まない同様の物品よりも、優れた断熱材である。本発明の合成繊維で製造された物品は、熱抵抗がRであるが、ポリマー繊維のみで製造された物品は熱抵抗がRであり、RはRより大であり得る。従って、本発明の合成繊維の特定の実施形態に従って作られた衣服又は断熱材は、本発明の合成繊維を含まない衣服又は断熱材よりも大きな耐熱性を有する。
【0084】
本発明の方法のいくつかの実施形態において、エアロゲル粒子をポリマー材料(例えばポリプロピレン樹脂)中に導入し、一旦混合した後、エアロゲル/ポリマー混合物を押出してペレットとしてよく、このペレットは「マスターバッチ」と呼ばれ得る。マスターバッチは、押出加工(例えばメルトブローン紡糸)のために製造業者に移送され得る。マスターバッチを用いて繊維が製造され得る。いくつかの実施形態において、マスターバッチは、フィラメントの繊維状不織詰め綿を製造するために使用される。いくつかの実施形態において、マスターバッチを他の配合物のペレットと組み合わせて、本発明の実施形態による繊維に使用するための所望の材料が製造され得る。
【0085】
図1~6を参照すると、上でより詳細に説明したように、ポリマー材料をエアロゲル粒子と混合する方法の実施形態が示されている。該方法は、ポリマー材料110(図1に示す容器100内に示されている)を得ることを含む。砂状粘稠性まで粉砕されたポリエステルペレットによって形成されているため、砂様粒子形態であるポリマー材料110は、図3に示すように、エアロゲル粒子120がポリマー材料110内で混合される、エアロゲル/ポリマー混合物が形成されるように、エアロゲル粒子120(図2の容器200に示されるものなど)と混合される。混合物は、上でより詳細に説明され、図4-6に示すように、押出されて(フィラメントであり得るか、若しくは切断してステープル繊維とされ得る)繊維130とされるか、又はペレット140として形成され得る。混合物が溶融押出されてペレット140とされる場合、ペレットは、(エアロゲル添加を制御するための)追加のペレットと任意に混合され得て、続いて押出して繊維としてよい。
【0086】
本発明の合成繊維130の一実施形態を図4に示す。図示するように、合成繊維130のポリマー材料110は、ポリマー材料110全体に分散された複数のエアロゲル粒子120を含有する。エアロゲル粒子120は、ポリマー材料110全体にわたって均質分布していてよい。図4にポリマー材料110中に完全に埋め込まれたエアロゲル粒子120を示すが、場合により、エアロゲル粒子120をポリマー材料110中に少なくとも部分的にのみ埋め込むことも検討される。ポリマー材料110全体に分散したエアロゲル粒子120の重量パーセントは、得られた合成繊維130の所望の断熱特性に依存する。
【0087】
エアロゲル/ポリマー混合物140を含有するペレットを図5及び図6に示す。図示するように、ペレット140は、ポリマー材料110全体に分散された複数のエアロゲル粒子120を含有する。エアロゲル粒子120は、図6に示すように、ポリマー材料110の全体にわたって均質に分布していてよい。図5及び6にポリマー材料110中に完全に埋め込まれたエアロゲル粒子120を示すが、場合により、エアロゲル粒子120を、ペレット140のいくつかの位置においてポリマー材料110中に少なくとも部分的にのみ埋め込むことも検討される。ポリマー材料110全体に分散したエアロゲル粒子120の重量パーセントは、ペレット140から製造した得られた繊維又は断熱材の所望の断熱特性に依存する。
【実施例
【0088】
本発明をここで、以下の実施例に記載する特定の実施形態を参照することにより説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0089】
実施例1
【0090】
以下を混合することにより、エアロゲル/ポリマー混合物を調製する:
0.1重量%のシリカエアロゲル粒子(0.6~11μmの範囲、平均直径3.5μm);及び
99.9重量%のポリエチレンテレフタレート。
【0091】
混合/配合した後、次いでエアロゲル/ポリマー混合物を押出してペレットとし、続いてペレットをポリエステルペレットと混合する。ペレット混合物を後に加熱し、紡糸法によって例えば紡糸口金を通して押出して、連続フィラメントを形成する。連続フィラメントが形成されたら、フィラメントを延伸、クリンプ及び/又は特定の長さに切断してステープル繊維が形成され得て、次いでステープル繊維を梱包してベールとする。次にベールを、ステープル繊維を糸に加工するための紡績機に送出してよい。次いで、糸が下流で使用され、衣料品及び工業用布帛などの物品が製造され得る。ポリマー材料及びエアロゲル粒子を含有する合成繊維から製造された糸及び断熱材によって、エアロゲル粒子を含まないポリマー繊維のみから製造された布帛及び物品よりも断熱性が高い、布帛及び物品が得られる。
【0092】
実施例2
【0093】
以下を混合することにより、エアロゲル/ポリマー混合物を調製する:
6.1重量%のシリカエアロゲル粒子;及び
93.9重量%のポリエステル材料。
【0094】
エアロゲル粒子の密度は約0.09g/ccであり、ポリエステル材料の密度は約1.38g/ccである。従って、6.1重量%のシリカエアロゲル粒子と93.9重量%のポリエステルとの混合物により、約50体積%のエアロゲル粒子対50%のポリエステルの体積比の濃度が生じる。
【0095】
混合/配合した後、次いでエアロゲル/ポリマー混合物を押出してペレットとし、続いてペレットをポリエステルペレットと混合する。ペレット混合物を後に加熱し、紡糸法によって例えば紡糸口金を通して押出して、連続フィラメントを形成する。連続フィラメントが形成されたら、フィラメントを延伸、クリンプ及び/又は特定の長さに切断してステープル繊維が形成され得て、次いでステープル繊維を梱包してベールとする。次にベールを、ステープル繊維を糸に加工するための紡績機に送出してよい。次いで、糸が下流で使用され、衣料品及び工業用布帛などの物品が製造され得る。ポリマー材料及びエアロゲル粒子を含有する合成繊維から製造された糸及び断熱材によって、エアロゲル粒子を含まないポリマー繊維のみから製造された布帛及び物品よりも断熱性が高い、布帛及び物品が得られる。
【0096】
実施例3
【0097】
以下を混合することにより、ポリプロピレン樹脂とエアロゲル粒子との混合物を調製する:
0.1重量%のシリカエアロゲル粒子;及び
ポリマー材料としての99.9重量%のポリプロピレン樹脂。
【0098】
混合又は配合した後、次いでポリプロピレン樹脂とエアロゲル粉末の混合物を押出してペレットとし、マスターバッチを形成する。マスターバッチは、メルトブローン紡糸のために製造業者に移送され得る。マスターバッチは、フィラメントの繊維状不織詰め綿を製造するために使用され得る。又は、マスターバッチを他の配合物のペレットと混合して、フィラメントの繊維状不織詰め綿を製造してよい。
【0099】
実施例4
【0100】
以下を混合することにより、ポリプロピレン樹脂とエアロゲル粉末との混合物を調製する:
6.2重量%のシリカエアロゲル粒子;及び
93.8重量%のポリプロピレン樹脂。
【0101】
エアロゲル粒子の密度は約0.09g/ccであり、ポリプロピレン樹脂の密度は約0.913g/ccである。従って、6.2重量%のシリカエアロゲル粉末と93.8重量%のポリプロピレン樹脂との混合物により、約40重量%のエアロゲル粉末対60重量%のポリプロピレン樹脂の体積比の濃度が生じる。
【0102】
混合又は配合した後、次いでポリプロピレン樹脂とエアロゲル粉末の混合物を押出してペレットとし、マスターバッチを形成する。マスターバッチは、メルトブローン紡糸のために製造業者に移送され得る。マスターバッチは、フィラメントの繊維状不織詰め綿を製造するために使用され得る。又は、マスターバッチを他の配合物のペレットと混合して、フィラメントの繊維状不織詰め綿を製造してよい。フィラメントは、エアロゲル粉末を含まない同様の材料と比較した場合、より良好な断熱特性を有し得る。
【0103】
実施例5
【0104】
以下を混合することにより、エアロゲル/ポリマー混合物を調製する:
4.2重量%のシリカエアロゲル粒子;及び
95.8重量%のポリエステル材料。
【0105】
混合/配合した後、次いでエアロゲル/ポリマー混合物を押出してペレットとし、続いてペレットをポリエステルペレットと混合する。ペレット混合物を後に加熱し、紡糸法によって例えば紡糸口金を通して押出して、連続フィラメントを形成する。連続フィラメントが形成されたら、フィラメントを延伸、クリンプ及び/又は特定の長さに切断してステープル繊維が形成され得て、次いでステープル繊維を梱包してベールとする。次にベールを、ステープル繊維を糸に加工するための紡績機に送出してよい。次いで、糸が下流で使用され、衣料品及び工業用布帛などの物品が製造され得る。ポリマー材料及びエアロゲル粒子を含有する合成繊維から製造された糸及び断熱材によって、エアロゲル粒子を含まないポリマー繊維のみから製造された布帛及び物品よりも断熱性が高い、布帛及び物品が得られる。
【0106】
エアロゲル粒子の密度は約0.09g/ccであり、ポリエステル材料の密度は約1.38g/ccである。従って、4.2重量%のシリカエアロゲル粒子と95.8重量%のポリエステルとの混合物により、約40体積%のエアロゲル粒子対60体積%のポリエステルの体積比の濃度が生じる。
【0107】
実施例6-比較試験
【0108】
(本発明による)試験片Aの、1平方ヤード当たり1.77オンスの重量の不織布性ロフティング及び詰め綿加工断熱材(詰め綿)を、以下の繊維混合物から形成する:
30重量%のシリコーン処理された1.4デニールエアロゲルポリエステル繊維(10.1体積%のエアロゲル、89.9体積%のポリエステル);
25重量%の乾燥(非シリコーン処理)1.4デニールエアロゲルポリエステル繊維(10.1体積%のエアロゲル、89.9体積%のポリエステル);
25重量%のシリコーン処理マイクロデニールポリエステル繊維;及び
20重量%の乾燥(非シリコーン処理)マクロデニールポリエステル繊維。
【0109】
試料B(比較例)
【0110】
1平方ヤード当たり1.77オンスの重量の不織性ロフティング及び詰め綿加工断熱材(詰め綿)を、試験片Aと同様に、しかし以下の繊維混合物から形成する:
55重量%のシリコーン処理マイクロデニールポリエステル繊維
35重量%の乾燥(非シリコーン処理)マクロデニールポリエステル繊維
10重量%のシリコーン化マクロデニールポリエステル繊維。
【0111】
試験片A及び試験片Bの詰め綿の熱性能をISO11092に従って試験し、試験片Bが0.92col/oz/ydのCloを有し、試験片Aが1.16clo/oz/ydのCloを有することが確認される。このように、試料Aの本発明の実施形態は、予想外に試料Bよりも熱性能が26%向上することを実証している。このことは、マイクロデニール繊維が試料の熱特性に寄与することが既知であるため、特に驚くべきことである。従って、試験片Aは試験片Bよりも少ないデニール繊維を含有するため、当業者はその熱性能が試験片Bに比較して劣っていると予想する。しかし、それとは全く反対に、試験片Aは、Cloに関して試料Bよりも26%優れていた。
【0112】
本明細書で使用する用語は、特定の実施態様のみを説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。本明細書において、単数形(「a」、「an」)及びその(「the」)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことを意図している。さらに、用語「含む(comprise)」(及び、「comprises」及び「comprising」などの「comprise」についてのいずれかの語形)、用語「有する(have)」(及び、「has」及び「having」などの「have」についてのいずれかの語形)、用語「含む(include)」(及び、「includes」及び「including」などの「include」についてのいずれかの語形)、用語「含有する(contain)」(及び、「contains」及び「containing」などの「contain」についてのいずれかの語形)、及びその他の文法上の変形は、オープンエンドに連結した動詞であると理解されるであろう。結果として、1以上の工程又は要素を「含む(comprise)」、「有する(have)」、「含む(include)」又は「含有する(contain)」方法又は物品は、それらの1以上の工程又は要素を備えるが、これらの一以上の工程又は要素のみに限定されるものではない。同様に、1以上の特徴を「含む(comprise)」、「有する(have)」、「含む(include)」又は「含有する(contain)」物品の方法又は要素は、それらの1以上の特徴を備えるが、これらの1以上の特徴のみに限定されるものではない。
【0113】
本明細書において、用語「含む(comprise)」、「有する(have)」、「含む(include)」、「含有する(contain)」、及びその他の文法的な変形は、「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語を包含する。
【0114】
本明細書において使用される場合、「から本質的になる」又はそれらの文法上の変形は、記載された特徴、整数、工程又は成分を特定するものとして解釈されるべきであるが、1つ又は複数の付加的な特徴、整数、工程、成分、又はそれらの群が特許請求の範囲に記載の組成物又は方法の基本的でかつ新規な特徴を実質的に変更しない場合にのみ、1つ又は複数の付加的な特徴、整数、工程、成分、又はそれらの群を追加することが排除されない。
【0115】
本明細書中に引用される全ての刊行物は、個々の刊行物があたかも完全に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれているように個別具体的に示されて、参照により本明細書に組み込まれている。
【0116】
参照により組み込まれた主題は、他に明示的に示されない限り、請求の範囲の代わりであるとはみなされない。
【0117】
1以上の範囲が本明細書を通して参照される場合、各範囲は、情報を提示するための省略した表現であることを意図しており、ここで、その範囲は、あたかもその範囲内における個々の点が本明細書において完全に記載されるかのように、その範囲内における個々の点を含んでいると理解されるであろう。
【0118】
本発明の種々の観点及び実施態様が本明細書において説明及び図示されてきたが、代替の観点及び実施態様は、同じ目的を達成するために当業者によって行われることが可能である。従って、本開示及び添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨及び範囲内にあるような更なる代替の観点及び実施態様の全てを包含することを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6