(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】チューブ用途向け内部ブタジエンブロックを含むスチレン-ブタジエンブロックコポリマー
(51)【国際特許分類】
C08F 297/04 20060101AFI20220114BHJP
C08L 53/02 20060101ALI20220114BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
C08F297/04
C08L53/02
C08L101/00
(21)【出願番号】P 2018544490
(86)(22)【出願日】2016-12-16
(86)【国際出願番号】 US2016067098
(87)【国際公開番号】W WO2017146804
(87)【国際公開日】2017-08-31
【審査請求日】2019-11-28
(32)【優先日】2016-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516008383
【氏名又は名称】イネオス・スタイロリューション・グループ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ヂィンピィン・ジョー・ヂォゥ
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター・ペイス
(72)【発明者】
【氏名】デーヴィッド・ヤング
【審査官】堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-143636(JP,A)
【文献】特開平07-097419(JP,A)
【文献】特開平07-018039(JP,A)
【文献】特開昭62-232418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 251/00-297/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノビニルアレーンモノマー約46phm~約72phmを含む耐キンク性共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーを製造する方法であって、重合条件下において、以下:
(i)第1の開始剤装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料;
(ii)第2の開始剤装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料;
(iii)共役ジエンモノマーの第1の装入材料;
(iv)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの第1の二成分装入材料であって、モノビニルアレーンモノマー含有量は約30wt.%~約80wt.%である第1の二成分装入材料;
(v
)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの第2の二成分装入材料であって、モノビニルアレーンモノマー含有量は約30wt.%~約80wt.%である第2の二成分装入材料;
(vi)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの最終装入材料、または共役ジエンモノマーの最終装入材料であって、共役ジエンモノマー含有量は少なくとも約70wt.%である最終装入材料;および
(vii)カップリング剤
を、最小限の遊離モノマーが存在するまで、連続的に接触させることを含み;
モノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料およびモノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料は、モノビニルアレーンモノマーを合計約10phm~約45phm含み;
共役ジエンモノマーの第1の装入材料は、共役ジエンモノマーを約0.5phm~約10phm含み;
モノビニルアレーンモノマーは、スチレン、アルファ-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン、4-n-プロピルスチレン、4-t-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる有機化合物であり;
共役ジエンモノマーは、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2-エチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、
1,3-ペンタジエン、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる有機化合物であり;
コポリマーから製造されるチューブのDIN EN13868に従って試験を行った耐キンク性は約32mm以下である、前記方法。
【請求項2】
コポリマーは、モノビニルアレーンモノマーを約54phm~約68phm含み;
モノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料およびモノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料は、モノビニルアレーンモノマーを合計約26phm~約38phm含み;
共役ジエンモノマーの第1の装入材料は、共役ジエンモノマーを約2phm~約8phm含み;
最終装入材料は、共役ジエンモノマーを約10phm~約20phm含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
方法は(v)を含み;
第1の二成分装入材料のモノビニルアレーンモノマー含有量は約40wt.%~約65wt.%であり;
第2の二成分装入材料のモノビニルアレーンモノマー含有量は約50wt.%~約70wt.%である、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
耐キンク性は約10~約22mmの範囲である、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
モノビニルアレーンモノマーはスチレンであり;
共役ジエンモノマーは1,3-ブタジエンであり;
耐キンク性は約10~約22mmの範囲である、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
コポリマーは、以下:
約3~約18g/10分の範囲のメルトフローレート;
約9mm~約20mmの範囲の耐キンク性;および
約60~約90の範囲のショアA硬さ
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーはスチレンブタジエンブロックコポリマーである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
モノビニルアレーンモノマーを約46phm~約72phm含む耐キンク性共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーであって、下記の装入順序により形成され:
i
1-S
J-i
2-S
K-B
K-(S/B)
J-(S/B)
K-T-CA (A);式中:
i
1は、第1の開始剤装入材料であり;
S
Jは、モノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料であり;
i
2は、第2の開始剤装入材料であり;
S
Kは、モノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料であり;
B
Kは、共役ジエンモノマーの第1の装入材料であり;
(S/B)
Jは、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの第1の二成分装入材料であり、ここで、(S/B)
Jのモノビニルアレーンモノマー含有量は、約30wt.%~約80wt.%であり;
(S/B)
Kは、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの第2の二成分装入材料であり、ここで、(S/B)
Kのモノビニルアレーンモノマー含有量は、約30w
t.%~約80wt.%であり;
Tは、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの最終装入材料、または共役ジエンモノマーの最終装入材料であり、ここで、Tの共役ジエンモノマー含有量は、少なくとも約70wt.%であり;
CAは、カップリング剤装入材料であり;
モノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料およびモノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料は、モノビニルアレーンモノマーを合計約10phm~約45phm含み;
共役ジエンモノマーの第1の装入材料は、共役ジエンモノマーを約0.5phm~約10phm含み;
モノビニルアレーンモノマーは、スチレン、アルファ-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン、4-n-プロピルスチレン、4-t-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる有機化合物であり;
共役ジエンモノマーは、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2-エチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる有機化合物であり;
コポリマーから製造されるチューブのDIN EN13868に従って試験を行った耐キンク性は約32mm以下である、前記コポリマー。
【請求項9】
コポリマーは、モノビニルアレーンモノマー約56phm~約66phmを含み;
モノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料は、モノビニルアレーンモノマーを合計約28phm~約38phm含み;
共役ジエンモノマーの第1の装入材料は、共役ジエンモノマー約1phm~約9phmを含み;
最終装入材料は、共役ジエンモノマー約8phm~約22phmを含む、
請求項8に記載のコポリマー。
【請求項10】
第1の二成分装入材料のモノビニルアレーンモノマー含有量は約45wt.%~約60wt.%であり;
第2の二成分装入材料のモノビニルアレーンモノマー含有量は約55wt.%~約68wt.%であり;
耐キンク性は約10~約25mmの範囲である、
請求項9に記載のコポリマー。
【請求項11】
第1の二成分装入材料のモノビニルアレーンモノマー含有量は約45wt.%~約60wt.%であり;
第2の二成分装入材料のモノビニルアレーンモノマー含有量は約55wt.%~約68wt.%であり;
モノビニルアレーンモノマーはスチレンであり;
共役ジエンモノマーは1,3-ブタジエンであり;
耐キンク性は約10~約25mmの範囲である、
請求項9に記載のコポリマー。
【請求項12】
チューブ製品であって、請求項8に記載のコポリマーを含み、約10~約28mm範囲の耐キンク性を有する、前記チューブ製品。
【請求項13】
コポリマーは、以下:
約9mm~約20mmの範囲の耐キンク性;
約65~約85の範囲のショアA硬さ;および
約120lbf以下のペレットブロッキング力を特徴とするスチレンブタジエンブロックコポリマーである、請求項8に記載のコポリマー。
【請求項14】
チューブ製品であって、請求項13に記載のコポリマーを含む前記チューブ製品。
【請求項15】
モノビニルアレーンモノマー約46phm~約72phmを含み、下記の構造:
1)X-X;
2)X-Y;および
3)Y-Y
を有するポリマー鎖を含む共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーであって;式中、
Xは:S
1-S
2-B
1-(S/B)
1-(S/B)
2-T
1-であり;
Yは:S
2-B
1-(S/B)
1-(S/B)
2-T
1-であり;式中:
S
1およびS
2は、モノビニルアレーンモノマーのモノブロックであり、ここで、S
1とS
2の合計は、Xの約20wt.%~約60wt.%であり、S
2は、Yの約11wt.%~約30wt.%であり;
B
1は、共役ジエンモノマーのモノブロックであり、ここで、B
1は、Xの約2wt.%~約12wt.%であり、B
1は、Yの約3wt.%~約15wt.%であり;
(S/B)
1は、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの混合ブロックであり、ここで、(S/B)
1のモノビニルアレーンモノマー含有量は、約30wt.%~約80wt.%であり;
(S/B)
2は、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの混合ブロックであり、ここで、(S/B)
2のモノビニルアレーンモノマー含有量は、約30wt.%~約80wt.%であり;
T
1は、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの混合ブロック、または共役ジエンモノマーのモノブロックであり、ここで、T
1の共役ジエンモノマー含有量は少なくとも約70wt.%であり、ここで、T
1は、Xの約10wt.%~約30wt.%であり、T
1は、Yの約14wt.%~約30wt.%であり;
モノビニルアレーンモノマーは、スチレン、アルファ-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン、4-n-プロピルスチレン、4-t-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる有機化合物であり;
共役ジエンモノマーは、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2-エチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる有機化合物であり;
コポリマーから製造されるチューブのDIN EN13868に従って試験を行った耐キンク性は約32mm以下である、前記コポリマー。
【請求項16】
T
1は、共役ジエンモノマーのモノブロックである、請求項15に記載のコポリマー。
【請求項17】
T
1は、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの混合ブロックであり、T
1の共役ジエンモノマー含有量は、約70wt.%~約95wt.%の範囲である、請求項15に記載のコポリマー。
【請求項18】
コポリマーは、約10~約22mmの範囲の耐キンク性を特徴とするスチレンブタジエンブロックコポリマーであり:
S
1とS
2の総重量は、Xの約37~約47wt.%の範囲であり;
S
2は、Yの約16~約23wt.%の範囲であり;
B
1は、Xの約2~約7wt.%の範囲であり;
B
1は、Yの約3~約12wt.%の範囲であり;
T
1は、Xの約12~約17wt.%の範囲であり;
T
1は、Yの約18~約22wt.%の範囲である、
請求項15に記載のコポリマー。
【請求項19】
製造物品であって、請求項18に記載のコポリマーを含む前記製造物品。
【請求項20】
組成物であって、
(a)請求項15に記載のコポリマー;および
(b)第2のポリマー
を含む、前記組成物。
【請求項21】
組成物は添加剤を更に含み;
第2のポリマーは、スチレンブタジエンポリマー、ポリスチレンポリマー、またはこれらの組合せを含む、
請求項20に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本願は、2016年2月24日出願の同時係属米国特許出願第15/051,807号の一部継続出願であり、その開示は、参照によって全体を本明細書に組み入れる。
【背景技術】
【0002】
軟質PVCは、そのコストの低さと特性の独特な組合せのために、数多くの用途向けに選択される材料となっている。医療用の可撓性チューブのような用途において、軟質PVCは、適切な強度、可撓性、および耐キンク性を有しているが、過度に粘着性または粘着質ではない。しかし、軟質PVCは、相当量の可塑剤を必要とし、特定な組成物にもよるが、健康上の懸念やPVCの焼却副生成物の懸念のために、その置き換えや段階的削減が進められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
医療用チューブおよび他の従来のPVCの用途への使用にふさわしい強度と可撓性を有し、粘着性が低減され、耐キンク性が向上した非PVC組成物があれば有益である。したがって、本発明は、こうした目的に向けられている。
【0004】
この概要は、以下の詳細な説明で更に説明する概念の選択を簡略化した形態で導入するために提供される。この概要は、請求される主題の所要または必須の構成を特定することを意図したものではない。この概要は、請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図していない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーが本明細書に開示され記載されており、そうしたコポリマーは、モノビニルアレーンモノマー約35phm~約75phm(phmは、コポリマー中の全モノマー100部当たりの重量部である)を含むことができ、更に、式IAまたは式IBを有するブロック構造を含有するポリマー鎖を含むことができる:
S1-B1-(S/B)1-(S/B)2 (IA);または
S1-B1-(S/B)1-B2 (IB)。
【0006】
式IAおよびIBにおいて、S1は、モノビニルアレーンモノマーのモノブロックとすることができ、ここで、S1は、コポリマーの約15phm~約45phmとすることができ;B1は、共役ジエンモノマーの第1のモノブロックとすることができ、ここで、B1は、コポリマーの約0.5phm~約10phmとすることができ;(S/B)1は、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの混合ブロックとすることができ、ここで、モノビニルアレーンモノマー含有量は、(S/B)1の総重量を基準として約30wt.%~約80wt.%とすることができ;(S/B)2は、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの混合ブロックとすることができ、ここで、共役ジエンモノマー含有量は、(S/B)2の総重量を基準として約70wt.%~約99wt.%とすることができ;B2は、共役ジエンモノマーの第2のモノブロックとすることができ、ここで、B2は、コポリマーの約8phm~約30phmとすることができる。コポリマーは更に、コポリマーから製造されるチューブの耐キンク性が、DIN EN13868に従って試験を行った場合、約32mm以下であることを特徴とすることができる。
【0007】
本発明の一実施形態において、コポリマーは、式IAのブロック構造を有するポリマー鎖を含有することができ、下記の特徴を有することができる:約54phm~約68phmの範囲のモノビニルアレーンモノマー含有量、約28phm~約38phmの範囲のS1、約2phm~約8phmの範囲のB1、約50wt.%~約65wt.%の範囲の(S/B)1中のモノビニルアレーンモノマー含有量、および約75wt.%~約95wt.%の範囲の(S/B)2中の共役ジエンモノマー含有量。
【0008】
本発明の別の実施形態において、コポリマーは、式IBのブロック構造を有するポリマー鎖を含有することができ、下記の特徴を有することができる:約54phm~約68phmの範囲のモノビニルアレーンモノマー含有量、約28phm~約38phmの範囲のS1、約2phm~約8phmの範囲のB1、約50wt.%~約65wt.%の範囲の(S/B)1中のモノビニルアレーンモノマー含有量、および約14phm~約20phmの範囲のB2。
【0009】
更なる実施形態において、コポリマーは、式IIAまたは式IIBを有するブロック構造を含有するポリマー鎖を含むこともできる:
S2-B1-(S/B)1-(S/B)2 (IIA);または
S2-B1-(S/B)1-B2 (IIB)。
【0010】
式IIAおよびIIBにおいて、S2は、モノビニルアレーンモノマーのモノブロックとすることができ、ここで、S2は、約5phm~約30phm、または約12phm~約25phmとすることができる。式IIAおよびIIBにおいて、B1、(S/B)1、(S/B)2、およびB2の各々は、式IAおよびIBについて本明細書に記載されたものと(例えば、phmで表示した、混合ブロック中の共役ジエン含有量に対する相対的モノビニルアレーンについて)同一または異種とすることができる。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、本明細書において、モノビニルアレーンモノマー約46phm~約72phmを含む共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーが開示されて記載され、本実施形態において、ブロックコポリマーは、下記の構造:X-X、X-Y、およびY-Yを有するポリマー鎖を含むことができ;式中、Xは、S1-S2-B1-(S/B)1-(S/B)2-T1-であり、Yは、S2-B1-(S/B)1-(S/B)2-T1-である。これらの式において、S1およびS2は、モノビニルアレーンモノマーのモノブロックとすることができ、ここで、S1とS2の合計は、Xの約20wt.%~約60wt.%(または約35wt.%~約48wt.%)とすることができ、S2は、Yの約11wt.%~約30wt.%(または約14wt.%~約26wt.%)とすることができる。B1は、共役ジエンモノマーのモノブロックとすることができ、ここで、B1は、Xの約2wt.%~約12wt.%とすることができ、B1は、Yの約3wt.%~約15wt.%とすることができ;(S/B)1は、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの混合ブロックとすることができ、ここで、(S/B)1のモノビニルアレーンモノマー含有量は、約30wt.%~約80wt.%とすることができ;(S/B)2は、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの混合ブロックとすることができ、ここで、(S/B)2のモノビニルアレーンモノマー含有量は、約30wt.%~約80wt.%とすることができ;T1は、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの混合ブロックとすることができ、ここで、T1の共役ジエンモノマー含有量は、少なくとも約70wt.%とすることができ、または、T1は、共役ジエンモノマーのモノブロックとすることができ、ここで、T1の共役ジエンモノマー含有量は、100wt.%である。更に、T1は、Xの約10wt.%~約30wt.%とすることができ、T1は、Yの約14wt.%~約30wt.%とすることができる。加えて、コポリマーは更に、コポリマーから製造されるチューブの耐キンク性が、DIN EN13868に従って試験を行った場合、約32mm以下であることを特徴とすることができる。
【0012】
本明細書に開示されるブロックコポリマー(またはブロックコポリマーを含む組成物)から物品を製造することができ、および/またはそれらを含有することができる。代表的物品としては、シート製品、フィルム製品、チューブ製品、および接着剤製品を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0013】
本発明の実施形態は更に、ブロックコポリマーを製造する方法を対象とする。こうした方法の1つは、(i)第1の開始剤装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料とを接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;その後、工程(i)の全生成物を(ii)第2の開始剤装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;その後、工程(ii)の全生成物を(iii)共役ジエンモノマーの第1の装入材料と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;その後、工程(iii)の全生成物を(iv)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの第1の混合物と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;その後、工程(iv)の全生成物を(v)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの第2の混合物と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;その後、工程(v)の全生成物を(vi)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの第3の混合物と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;その後、工程(vi)の全生成物を(vii)カップリング剤と接触させることを含むことができる。
【0014】
本発明に整合するブロックコポリマーを製造する別の方法は、(i)第1の開始剤装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料とを接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;その後、工程(i)の全生成物を(ii)第2の開始剤装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;その後、工程(ii)の全生成物を(iii)共役ジエンモノマーの第1の装入材料と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;その後、工程(iii)の全生成物を(iv)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの第1の混合物と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;その後、工程(iv)の全生成物を(v)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの第2の混合物と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;その後、工程(v)の全生成物を(vi)共役ジエンモノマーの第2の装入材料と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;その後、工程(vi)の全生成物を(vii)カップリング剤と接触させることを含むことができる。
【0015】
本明細書において、モノビニルアレーンモノマー約46phm~約72phmを含む耐キンク性共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーを製造する別の方法が提供され、この方法は、重合条件下において、(i)第1の開始剤装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料;(ii)第2の開始剤装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料;(iii)共役ジエンモノマーの第1の装入材料;(iv)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの第1の二成分装入材料であって、モノビニルアレーンモノマー含有量を約30wt.%~約80wt.%とすることができる第1の二成分装入材料;(v)場合により、モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの第2の二成分装入材料であって、モノビニルアレーンモノマー含有量が約30wt.%~約80wt.%である第2の二成分装入材料;(vi)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの最終装入材料であって、共役ジエンモノマー含有量を少なくとも約70wt.%とすることができる最終装入材料、または、共役ジエンモノマーの最終装入材料であって、共役ジエンモノマー含有量が100wt.%である最終装入材料;および(vii)カップリング剤を、連続的に接触させることを含むことができる。一般に、モノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料は、モノビニルアレーンモノマーを合計約10phm~約45phm含むことができ、共役ジエンモノマーの第1の装入材料は、共役ジエンモノマー約0.5phm~約10phmを含むことができ;コポリマーから製造されるチューブのDIN EN13868に従って試験を行った耐キンク性を、約32mm以下とすることができる。
【0016】
本発明の実施形態に整合する、モノビニルアレーンモノマー約46phm~約72phmを含む耐キンク性共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーは、下記の装入順序により形成することができる:
i1-SJ-i2-SK-BK-(S/B)J-(S/B)K-T-CA (A)。
【0017】
式(A)中、i1は、第1の開始剤装入材料とすることができ;SJは、モノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料とすることができ;i2は、第2の開始剤装入材料とすることができ;SKは、モノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料とすることができ;BKは、共役ジエンモノマーの第1の装入材料とすることができ;(S/B)Jは、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの第1の二成分装入材料とすることができ、ここで、(S/B)Jのモノビニルアレーンモノマー含有量は、約30wt.%~約80wt.%とすることができ;(S/B)Kは、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの第2の二成分装入材料とすることができ、ここで、(S/B)Kのモノビニルアレーンモノマー含有量は、約30wt.%~約80wt.%とすることができ;Tは、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの最終装入材料とすることができ、ここで、Tの共役ジエンモノマー含有量は、少なくとも約70wt.%とすることができ、または、Tは、共役ジエンモノマーの最終装入材料とすることができ、ここで、Tの共役ジエンモノマー含有量は、100wt.%であり;CAは、カップリング剤装入材料とすることができる。典型的には、モノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料は、モノビニルアレーンモノマーを合計約10phm~約45phm含むことができ、共役ジエンモノマーの第1の装入材料は、共役ジエンモノマーを約0.5phm~約10phm含むことができ;コポリマーから製造されるチューブのDIN EN13868に従って試験を行った耐キンク性を、約32mm以下とすることができる。
【0018】
上記の要約および下記の詳細な説明はいずれも、例を提供するものであり、説明用に過ぎない。したがって、上記の要約および下記の詳細な説明は、限定的なものとみなすべきではない。更に、本明細書に記載されたものに加え、複数の構成および変形を提供することもできる。例えば、特定の実施形態は、詳細な説明に記載された様々な構成の組合せおよびサブコンビネーションを対象とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本明細書に記載される、チューブの耐キンク性および耐再キンク性を判定するために使用する装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
本明細書において使用する用語をより明確に定義するため、下記の定義が提供される。別段の指示がない限り、下記の定義が、本開示に適用可能である。本開示においてある用語が使用されているが具体的に定義されていない場合、IUPAC Compendium of Chemical Terminology、第2版(1997)の定義を、その定義が本明細書において適用される他の何らかの開示または定義と矛盾しない限り、またはその定義が適用される任意の請求項を不明確または実施不可能としない限り、適用することができる。参照によって本明細書に組み入れる任意の文献により提供される任意の定義または用法が本明細書において提供される定義または用法と矛盾する限りにおいて、本明細書で提供される定義または用法が優先する。
【0021】
組成物および方法は、様々な成分または工程を「含む(comprising)」という用語によって記載されているが、特に断らない限り、組成物および方法は、様々な成分または工程「から本質的になる(consist essentially of)」または「からなる(consist of)」こともできる。例えば、本発明の実施形態において提供される組成物は、ブロックコポリマー、第2のポリマー、および添加剤を含む、またはこれに代えてこれらから本質的になる、またはこれに代えてこれらからなることができる。
【0022】
「1つの(a)」「1つの(an)」および「その(the)」という用語は、複数の選択肢、例えば、少なくとも1つを含むことが意図される。例えば、「共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマー」「添加剤」などの開示は、特別の定めがない限り、共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマー、添加剤などの1種、または2種以上の混合物もしくは組合せを包含することを意味する。
【0023】
「ポリマー」という用語は、本明細書において、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどを総称して含むために使用され、他方、「コポリマー」は、コポリマー、ターポリマーなどを総称して含むために使用される。したがって、「ポリマー」および「コポリマー」は、本明細書に開示される任意のモノマーおよびコモノマー(1種または2種以上)から誘導される高分子材料を包含する。当業者であれば容易に認識するように、本発明によるブロックコポリマーは、様々なサイズ(例えば、分子量分布)のポリマー鎖の混合物を含有し、それぞれのポリマー鎖は、組成的に異なる(例えば、モノビニルアレーンモノマーに対する共役ジエンモノマーの相対量)ものとすることができる。
【0024】
本明細書において使用する場合、「共役ジエンモノマー」は、共役炭素-炭素二重結合と、多くの場合、合計4~12個の炭素原子、例えば4~8個の炭素原子を含有する有機化合物を指す。例示の共役ジエンモノマーとしては、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2-エチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエンなど、およびこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。例えば、本明細書に開示される一部の実施形態において、共役ジエンモノマーは、ブタジエンとすることができ、他方、他の実施形態において、共役ジエンモノマーは、1,3-ブタジエンとすることができる。
【0025】
ポリマーの単位であって、共役ジエンモノマーの重合から誘導される単位を、「共役ジエン単位」と呼ぶことができる。
【0026】
本明細書において使用する場合、「モノビニルアレーンモノマー」は、単一の炭素-炭素二重結合と、少なくとも1つの芳香族部分と、多くの場合、合計8~18個の炭素原子、例えば8~12個の炭素原子を含有する有機化合物を指す。例示のモノビニルアレーンモノマーとしては、スチレン、アルファ-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン、4-n-プロピルスチレン、4-t-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-デシルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(4-フェニル-n-ブチル)スチレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、ジフェニルエチレンなど、およびこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。例えば、本明細書に開示される一部の実施形態において、モノビニルアレーンモノマーは、スチレンとすることができる。
【0027】
ポリマーの単位であって、モノビニルアレーンモノマーの重合から誘導される単位を、「モノビニルアレーン単位」と呼ぶことができる。
【0028】
「共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマー」は、モノビニルアレーンモノマー単位と共役ジエンモノマー単位とを含有するポリマー鎖を含むポリマーである。例えば、本明細書に開示される一部の実施形態において、共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーは、スチレンブタジエンコポリマーとすることができる。共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーは、2つ以上のブロックを含み、ここで、各ブロックは、モノビニルアレーンモノマー単位および/または共役ジエンモノマー単位を含む。ブロックが1種類のモノマー単位しか含まない場合、「モノブロック」と呼ぶことができる。ブロックが両者を含む場合、「混合」ブロックと呼ぶことができる。例示の混合ブロックとしては、ランダムブロック、テーパード(tapered)ブロック、ステップワイズ(stepwise)ブロック、または任意の他のタイプの混合ブロックを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0029】
(a)ブロックの第1の区画中の共役ジエン単位のモル分率がブロックの第2の区画中の共役ジエン単位のモル分率より高く、ここで、ブロックの第2の区画がブロックの所定の末端により近く、かつ、(b)条件(a)が、ブロックの実質的に全ての区画に当てはまる場合、混合ブロックは「テーパード」である。考慮される区画のサイズによっては、条件(a)が全ての区画に当てはまらないこともあるが、そうであるならば、条件(a)は、ほぼ偶然によるレベルでしか当てはまることはない。
【0030】
ブロックのある区画中の共役ジエン単位とモノビニルアレーン単位のモル分率が、ブロック全体における共役ジエン単位とモノビニルアレーン単位のモル分率実質的に同じである場合、混合ブロックは「ランダム」である。これは、規則性を有する(すなわち、非ランダムに現われる)ブロックの区画の可能性を排除するものではないが、そうした規則的な区画は、典型的には、ほぼ偶然によるレベルで存在するだけであると予想される。
【0031】
本明細書に記載される方法および材料と類似するまたは等価な任意の方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、典型的な方法および材料が、本明細書に記載されている。
【0032】
本明細書で言及する刊行物および特許は全て、例えば、これら刊行物に記載され、本明細書に記載されている発明と共に使用できる構造および方法論を説明し開示する目的で、参照することによりその全体を本明細書に組み入れる。
【0033】
出願人は、本発明において数種類の範囲を開示する。出願人が任意の種類の範囲を開示または主張する場合、出願人の意図は、範囲の終点だけでなく任意の部分範囲およびそれらに包含される部分範囲の組合せを含め、かかる範囲が合理的に包含できる各可能な数字を独立して開示または主張することである。代表的な例が、本発明の実施形態におけるブロックコポリマーから製造されるチューブの耐キンク性について以下に示すものである。例えば、耐キンク性が約10mm~約25mmの範囲であるという開示により、出願人は、耐キンク性が、その範囲内の任意の耐キンク性である可能性があり、例えば、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、または約25mmに等しい可能性があることを記載することを意図している。加えて、耐キンク性は、約10~約25mmのいずれかの範囲内である可能性がある(例えば、耐キンク性は、約10~約20mmの範囲の可能性がある)と共に、これは、約10と約25mmの間の範囲の任意の組合せ(複数可)も含む。同様に、本明細書に開示される他の範囲の全ては、この代表的な例と同様な方式で解釈すべきである。
【0034】
発明の詳細な説明
本開示は、一般に内部共役ジエンブロックを含む新規な共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマー、これらのブロックコポリマーを製造する方法、およびこれらのブロックコポリマーを使用して製造される物品を対象とする。予想外であるが、これらのブロックコポリマーの耐キンク性および他の特徴のために、このブロックコポリマーが多くの最終使用用途において軟質PVCを置き換えるのに適切なものとなっている。
【0035】
共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマー
本発明の一部の実施形態は、モノビニルアレーンモノマー約35phm~約75phmを含むことができ、更に、式IAまたは式IBを有するブロック構造を含有するポリマー鎖を含むことができる共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーを対象とする:
S1-B1-(S/B)1-(S/B)2 (IA);または
S1-B1-(S/B)1-B2 (IB)。
【0036】
式IAおよびIBにおいて、S1は、モノビニルアレーンモノマーのモノブロックとすることができ、ここで、S1は、コポリマーの約15phm~約45phmとすることができ;B1は、共役ジエンモノマーの第1のモノブロックとすることができ、ここで、B1は、コポリマーの約0.5phm~約10phmとすることができ;(S/B)1は、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの混合ブロックとすることができ、ここで、モノビニルアレーンモノマー含有量は、(S/B)1の総重量を基準として約30wt.%~約80wt.%とすることができ;(S/B)2は、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの混合ブロックとすることができ、ここで、共役ジエンモノマー含有量は、(S/B)2の総重量を基準として約70wt.%~約99wt.%とすることができ;B2は、共役ジエンモノマーの第2のモノブロックとすることができ、ここで、B2は、コポリマーの約8phm~約30phmとすることができる。略語「phm」は、コポリマー中の全モノマー100部当たりの重量部を意味する。ブロックコポリマーは更に、コポリマーから製造されるチューブの本明細書に記載される試験方法を用いて判定した耐キンク性を、約32mm以下とすることができる。
【0037】
一般に、これらのコポリマーのいずれかの構成(とりわけ、例えば、コポリマー中のphmモノビニルアレーン含有量、式IAおよびIBを有するブロック構造、S1中のphmモノビニルアレーン含有量、B1中のphm共役ジエン含有量、(S/B)1中のモノビニルアレーンモノマー含有量、(S/B)2中の共役ジエンモノマー含有量、B2中のphm共役ジエン含有量、およびコポリマーの耐キンク性)が本明細書において独立して記載され、これらの構成は、開示されるコポリマーを更に説明するために任意の組合せにおいて組み合わせることができる。
【0038】
本発明の特定の実施形態に整合して、本明細書に開示される共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーのモノビニルアレーンモノマー含有量は、多くの場合、約46phm~約72phm、約50phm~約70phm、または約52phm~約68phmの範囲とすることができる。更なる実施形態において、モノビニルアレーンモノマー含有量は、共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーを基準として、約54phm~約68phm、約56phm~約66phm、または約57phm~約64phmの範囲とすることができる。
【0039】
一実施形態において、S1(モノビニルアレーンモノマーのモノブロック)は、約15phm~約43phm、約20phm~約45phm、または約25phm~約40phmの範囲とすることができる。別の実施形態において、S1は、共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーを基準として、約25phm~約38phm、約28phm~約38phm、または約30phm~約36phmの範囲とすることができる。
【0040】
一実施形態において、B1(共役ジエンモノマーの内部モノブロック)は、約1phm~約10phm、約2phm~約10phm、または約3phm~約10phmの範囲とすることができる。別の実施形態において、B1は、共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーを基準として、約2phm~約8phm、約3phm~約8phm、または約3phm~約7phmの範囲とすることができる。
【0041】
一実施形態において、(S/B)1中のモノビニルアレーンモノマー含有量は多くの場合、約40wt.%~約80wt.%、約40wt.%~約75wt.%、または約40wt.%~約70wt.%の範囲とすることができる。別の実施形態において、モノビニルアレーンモノマーは、(S/B)1の重量を基準として、約40wt.%~約65wt.%、約50wt.%~約70wt.%、約50wt.%~約65wt.%、または約50wt.%~約60wt.%の範囲とすることができる。
【0042】
一実施形態において、(S/B)2中の共役ジエンモノマー含有量は多くの場合、約70wt.%~約98wt.%、約75wt.%~約98wt.%、または約75wt.%~約95wt.%の範囲とすることができる。別の実施形態において、共役ジエンモノマーは、(S/B)2の重量を基準として、約72wt.%~約95wt.%、約72wt.%~約90wt.%、または約82wt.%~約92wt.%の範囲とすることができる。
【0043】
一実施形態において、B2(共役ジエンモノマーの末端モノブロック)は、約10phm~約30phm、約10phm~約25phm、約11phm~約25phm、約11phm~約22phm、約12phm~約22phm、または約13phm~約21phmの範囲とすることができる。別の実施形態において、B2は、共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーを基準として、約13phm~約23phm、約14phm~約20phm、または約15phm~約19phmの範囲とすることができる。
【0044】
本発明の共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーの例示的非限定例は、式IAおよび下記の特徴を有することができる:約54phm~約68phmの範囲のモノビニルアレーンモノマー含有量、約28phm~約38phmの範囲のS1、約2phm~約8phmの範囲のB1、約50wt.%~約65wt.%の範囲の(S/B)1中のモノビニルアレーンモノマー含有量、および約75wt.%~約95wt.%の範囲の(S/B)2中の共役ジエンモノマー含有量。本発明の共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーの別の例示的非限定例は、式IAおよび下記の特性を有することができる:約56phm~約66phmの範囲のモノビニルアレーンモノマー含有量、約30phm~約36phmの範囲のS1、約3phm~約7phmの範囲のB1、約50wt.%~約60wt.%の範囲の(S/B)1中のモノビニルアレーンモノマー含有量および約82wt.%~約92wt.%の範囲の(S/B)2中の共役ジエンモノマー含有量。
【0045】
本発明の共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーの例示的非限定例は、式IBおよび下記の特徴を有することができる:約54phm~約68phmの範囲のモノビニルアレーンモノマー含有量、約28phm~約38phmの範囲のS1、約2phm~約8phmの範囲のB1、約50wt.%~約65wt.%の範囲の(S/B)1中のモノビニルアレーンモノマー含有量、および約14phm~約20phmの範囲のB2。本発明の共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーの別の例示的非限定例は、式IBおよび下記の特徴を有することができる:約56phm~約66phmの範囲のモノビニルアレーンモノマー含有量、約30phm~約36phmの範囲のS1、約3phm~約7phmの範囲のB1、約50wt.%~約60wt.%の範囲の(S/B)1中のモノビニルアレーンモノマー含有量および、約15phm~約19phmの範囲のB2。
【0046】
本明細書において述べるように、式IAおよび式IB中のS1は、モノビニルアレーンモノマーのモノブロックとすることができ、ここで、S1は、コポリマーの約15phm~約45phmとすることができる。これらおよび他の実施形態において、S1は、モノビニルアレーンモノマーの単一のモノブロックとすることができ、または、S1は、モノビニルアレーンモノマーの2つ以上のモノブロックとすることができる。したがって、S1は、15phm~45phmをもたらす任意適切な回数のモノビニルアレーンモノマー装入、例えば、1~10回の装入、1~6回の装入、1~3回の装入、1回の装入、2~8回の装入、2~5回の装入、2~3回の装入、2回の装入などを含む方法によって生成することができる。
【0047】
本明細書において述べるように、(S/B)1および(S/B)2はそれぞれ、共役ジエンモノマーおよびモノビニルアレーンモノマーの混合ブロックとすることができる。任意適切な種類の混合ブロックを(S/B)1および(S/B)2に使用することができる。一実施形態において、例えば、(S/B)1と(S/B)2の少なくとも一方を、テーパード混合ブロックとすることができ、他方、別の実施形態において、(S/B)1と(S/B)2の少なくとも一方を、ランダム混合ブロックとすることができる。こうした混合ブロックは、任意適切な技法により生成することができる。一例として、(S/B)1と(S/B)2の少なくとも一方は、二成分モノマーの装入を含む方法により生成することができる。これに加え、またはこれに代えて、(S/B)1と(S/B)2の少なくとも一方は、パルス状モノマー装入を含む方法により生成することができる。
【0048】
本明細書において企図される共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーは、式IAを有するブロック構造を含有するポリマー鎖を含むことができ、特定の実施形態において、コポリマーは、式IIAを有するブロック構造を含有するポリマー鎖を更に含むことができる:
S2-B1-(S/B)1-(S/B)2 (IIA)。
【0049】
同様に、本明細書において企図される共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーは、式IBを有するブロック構造を含有するポリマー鎖を含むことができ、特定の実施形態において、コポリマーは、式IIBを有するブロック構造を含有するポリマー鎖を更に含むことができる:
S2-B1-(S/B)1-B2 (IIB)。
【0050】
式IIAおよび式IIBにおいて、S2は、モノビニルアレーンモノマーのモノブロックとすることができ、ここで、S2は、コポリマーの約5phm~約30phmとすることができる。一実施形態において、S2(式IIAおよび式IIB中のモノビニルアレーンモノマーのモノブロック)は、約5phm~約25phm、約7phm~約30phm、または約7phm~約28phmの範囲とすることができる。別の実施形態において、S2は、共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーを基準として、約10phm~約25phm、約12phm~約25phm、約14phm~約24phm、約14phm~約22phm、または約14phm~約20phmの範囲とすることができる。
【0051】
式IAおよび式IB中のS1と同様、式IIAおよび式IIB中のS2は、モノビニルアレーンモノマーの単一のモノブロックとすることができ、または、S2は、モノビニルアレーンモノマーの2つ以上のモノブロックとすることができる。したがって、S2は、5phm~30phmをもたらす任意適切な回数のモノビニルアレーンモノマー装入、例えば、1~10回の装入、1~5回の装入、1~3回の装入、1回の装入などを含む方法によって生成することができる。
【0052】
当業者であれば容易に認識するように、式IAを有するブロック構造を含有するポリマー鎖と、式IIAを有するブロック構造を含有するポリマー鎖は、開始剤とスチレンモノマーの第1の装入材料、開始剤とスチレンモノマーの第2の装入材料、ブタジエンモノマーの第1の装入材料、スチレンとブタジエンの混合装入材料(S/B)1、およびスチレンとブタジエンの混合装入材料(S/B)2から得ることができる。式IA中のS1は、2つの第1の装入材料からのスチレンブロックを包含し、他方、式IIA中のS2は、第2の装入材料からのスチレンブロックを包含する。
【0053】
同様に、当業者であれば容易に認識するように、式IBを有するブロック構造を含有するポリマー鎖と、式IIBを有するブロック構造を含有するポリマー鎖は、開始剤とスチレンモノマーの第1の装入材料、開始剤とスチレンモノマーの第2の装入材料、ブタジエンモノマーの第1の装入材料、スチレンとブタジエンの混合装入材料(S/B)1、およびブタジエンモノマーの第2の装入材料から得ることができる。式IB中のS1は、2つの第1の装入材料からのスチレンブロックを包含し、他方、式IIB中のS2は、第2の装入材料からのスチレンブロックを包含する。
【0054】
加えて、当業者であれば容易に認識するように、こうした組成物は、それぞれ式IA(または式IB)のポリマー鎖および式IIA(または式IIB)のポリマー鎖を有する別々に調製した2種以上のポリマーをブレンドすることにより得ることができる。
【0055】
式IA、IB、IIA、およびIIBにおいて、(S/B)1は、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの混合ブロックとすることができ、ここで、モノビニルアレーンモノマー含有量は、(S/B)1の総重量を基準として、約30wt.%~約80wt.%とすることができる。更に、一部の実施形態において、(S/B)1は、式IIIを有する共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの2つの混合ブロックとすることができる:
-(S/B)1A-(S/B)1B- (III)。
【0056】
式IIIにおいて、(S/B)1A中のモノビニルアレーンモノマー含有量は、約30wt.%~約80wt.%とすることができ、(S/B)1B中のモノビニルアレーンモノマー含有量は、約30wt.%~約80wt.%とすることができる。一部の実施形態において、(S/B)1A中のモノビニルアレーンモノマー含有量は多くの場合、約40wt.%~約80wt.%、約40wt.%~約70wt.%、約40wt.%~約60wt.%、約45wt.%~約65wt.%、または約45wt.%~約60wt.%の範囲とすることができる。同様に、しかし独立して、(S/B)1B中のモノビニルアレーンモノマー含有量は多くの場合、約40wt.%~約80wt.%、約35wt.%~約65wt.%、約45wt.%~約70wt.%、または約50wt.%~約65wt.%の範囲とすることができる。
【0057】
(S/B)1Aと(S/B)1Bはそれぞれ、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの混合ブロックとすることができる。任意適切な種類の混合ブロックを(S/B)1Aおよび(S/B)1Bに使用することができる。一実施形態において、例えば、(S/B)1Aと(S/B)1Bの少なくとも一方を、テーパード混合ブロックとすることができ、他方、別の実施形態において、少なくとも(S/B)1Aと(S/B)1Bの少なくとも一方を、ランダム混合ブロックとすることができる。こうした混合ブロックは
、任意適切な技法により生成することができる。一例として、(S/B)1Aと(S/B)1Bの少なくとも一方は、二成分モノマーの装入を含む方法により生成することができる。これに加え、またはこれに代えて、(S/B)1Aと(S/B)1Bの少なくとも一方は、パルス状のモノマー装入を含む方法により生成することができる。
【0058】
別の実施形態において、本発明による耐キンク性共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーは、モノビニルアレーンモノマー約46phm~約72phmを含むことができ、下記の構造:
1)X-X;
2)X-Y;および
3)Y-Y
を有するポリマー鎖を含むことができ;式中、
Xは:S1-S2-B1-(S/B)1-(S/B)2-T1-であり;
Yは:S2-B1-(S/B)1-(S/B)2-T1-である。
【0059】
これらの式において、S1およびS2は、モノビニルアレーンモノマーのモノブロックとすることができ、ここで、S1とS2の総重量は、Xの約20wt.%~約60wt.%(または約35wt.%~約48wt.%)とすることができ、S2は、Yの約11wt.%~約30wt.%(または約14wt.%~約26wt.%)とすることができる。B1は、共役ジエンモノマーのモノブロックとすることができ、ここで、B1は、Xの約2wt.%~約12wt.%とすることができ、B1は、Yの約3wt.%~約15wt.%とすることができる。(S/B)1は、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの混合ブロックとすることができ、ここで、(S/B)1のモノビニルアレーンモノマー含有量は、約30wt.%~約80wt.%の範囲とすることができ;(S/B)2は、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの混合ブロックとすることができ、ここで、(S/B)2のモノビニルアレーンモノマー含有量は、約30wt.%~約80wt.%の範囲とすることができ;T1は、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの混合ブロックとすることができ、ここで、T1の共役ジエンモノマー含有量は少なくとも約70wt.%とすることができ、または、T1は、共役ジエンモノマーのモノブロックとすることができ、ここで、T1の共役ジエンモノマー含有量は、100wt.%である。更に、T1は、Xの約10wt.%~約30wt.%とすることができ、T1は、Yの約14wt.%~約30wt.%とすることができる。加えて、コポリマーは更に、コポリマーから製造されるチューブの耐キンク性が、DIN EN13868に従って試験を行った場合、約32mm以下であることを特徴とすることができる。
【0060】
一般に、これらの耐キンク性コポリマーのいずれかの構成(とりわけ、例えば、全コポリマー、S1、S2、B1、(S/B)1、(S/B)2、T1中のphmモノビニルアレーン含有量、およびコポリマーの耐キンク性)が本明細書において独立して記載され、これらの構成は、開示される耐キンク性コポリマーを更に説明するために任意の組合せにおいて組み合わせることができる。当業者であれば認識するように、XおよびYは非結合ポリマー鎖を表す一方、X-X、X-Y、およびY-Yは、結合ポリマー鎖を表す。
【0061】
本発明の特定の実施形態に整合して、これらの耐キンク性ブロックコポリマーの総モノビニルアレーンモノマー含有量は多くの場合、約46phm~約72phm、約50phm~約70phm、または約52phm~約68phmの範囲とすることができる。更なる実施形態において、総モノビニルアレーンモノマー含有量は、全共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーを基準として、約54phm~約68phm、約56phm~約66phm、または約57phm~約64phmの範囲とすることができる。略語「phm」は、コポリマー中の全モノマー100部当たりの重量部を意味する。
【0062】
本明細書に開示されるように、S1およびS2は、モノビニルアレーンモノマーのモノブロックとすることができ、ここで、S1とS2の総重量は、Xの約20wt.%~約60wt.%の範囲とすることができ、S2は、Yの約11wt.%~約30wt.%の範囲とすることができる。一実施形態において、XのS1とS2の合計含有量は、約30wt.%~約50wt.%、または約35wt.%~約48wt.%の範囲内に入ることができ、他方、別の実施形態において、XのS1とS2の合計含有量は、約37wt.%~約47wt.%、または約38wt.%~約44wt.%(Xの総重量を基準とするS1とS2の総重量)の範囲内に入ることができる。Y中のS2の量は、典型的には約15wt.%~約25wt.%;これに代えて約14wt.%~約26wt.%;またはこれに代えて約16wt.%~約23wt.%(Yの総重量を基準とするS2の重量)の範囲内とすることができる。
【0063】
本明細書に開示されるように、B1は、Xの約2~約12wt.%の範囲とすることができ、B1は、Yの約3~約15wt.%の範囲とすることができる。一実施形態において、XのB1含有量は、約2wt.%~約10wt.%、または約3wt.%~約9wt.%の範囲内に入ることができ、他方、別の実施形態において、XのB1含有量は、約2wt.%~約7wt.%、または約3wt.%~約7wt.%(Xの総重量を基準とするB1の重量)の範囲内に入ることができる。Y中のB1の量は、典型的には約3wt.%~約12wt.%;これに代えて約4wt.%~約12wt.%;またはこれに代えて約3wt.%~約9wt.%(Yの総重量を基準とするB1の重量)の範囲内とすることができる。
【0064】
一実施形態において、(S/B)1のモノビニルアレーンモノマー含有量は多くの場合、約30wt.%~約80wt.%、約35wt.%~約75wt.%、または約35wt.%~約70wt.%の範囲とすることができる。別の実施形態において、(S/B)1のモノビニルアレーンモノマー含有量は、(S/B)1の重量を基準として、約35wt.%~約65wt.%、約40wt.%~約65wt.%、または約45wt.%~約60wt.%の範囲とすることができる。
【0065】
一実施形態において、(S/B)2のモノビニルアレーンモノマー含有量は多くの場合、約30wt.%~約80wt.%、約40wt.%~約75wt.%、または約45wt.%~約75wt.%の範囲とすることができる。別の実施形態において、(S/B)2のモノビニルアレーンモノマー含有量は、(S/B)2の重量を基準として、約45wt.%~約70wt.%、約50wt.%~約70wt.%、または約55wt.%~約68wt.%の範囲とすることができる。
【0066】
上記に開示されるポリマー鎖中のT1は、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの混合ブロック、またはこれに代えて共役ジエンモノマーのモノブロックとすることができる。T1が混合ブロックである状況においては、T1の共役ジエンモノマー含有量(重量百分率)は一般に、下記の非限定範囲の1つまたはそれ以上の中とすることができる:約70wt.%~約95wt.%、約70wt.%~約90wt.%、約80wt.%~約95wt.%、約80wt.%~約99wt.%、または約70wt.%~約99.5wt.%。
【0067】
本明細書に開示されるように、T1は、Xの約10~約30wt.%の範囲とすることができ、T1は、Yの約14~約30wt.%の範囲とすることができる。一実施形態において、XのT1含有量は、約10wt.%~約22wt.%、または約10wt.%~約18wt.%の範囲内に入ることができ、他方、別の実施形態において、XのT1含有量は、約12wt.%~約17wt.%、または約13.5wt.%~約16.5wt.%(Xの総重量を基準とするT1の重量)の範囲内に入ることができる。Y中のT1の量は、典型的には約15wt.%~約25wt.%;これに代えて、約16wt.%~約24wt.%;またはこれに代えて約18wt.%~約22wt.%(Yの総重量を基準とするT1の重量)の範囲内とすることができる。
【0068】
本発明の一実施形態において、共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーは、非結合共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーとすることができる。非結合ブロックコポリマーは多くの場合、本技術分野において、停止(terminated)またはクエンチ(quenched)コポリマーと呼ぶことができる。更なる実施形態において、共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーは、非結合単峰性共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーとすることができ、またはこれに代えてブロックコポリマーは、非結合多峰性共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーとすることができる。
【0069】
本発明の更に別の実施形態において、共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーは、結合共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーとすることができる。更に、結合共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーは、結合単峰性共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマー、または結合多峰性共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーとすることができる。一部の実施形態において、ブロックコポリマーは、開始剤の少なくとも2回の分離装入によって生成される少なくとも2種の異なるリビングポリマー鎖をカップリングすることにより製造することができる。カップリングは、当業者に公知の任意の方法により達成することができる。
【0070】
一実施形態において、共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーは、少なくとも3ブロック、またはこれに代えて少なくとも4ブロック、または少なくとも5ブロックを含むことができる。例えば、共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーは、3~10ブロック、4~7ブロック、または4~5ブロックなどを含むことができる。上記のブロック構造の式に規定されたブロックに加え、任意のブロックを、共役ジエンモノブロック、モノビニルアレーンモノブロック、または共役ジエンモノビニルアレーン混合ブロックの任意の組合せから選択することができる。任意の追加の混合ブロックは、例えば、独立してテーパード混合ブロックまたはランダム混合ブロックとすることができる。
【0071】
場合により、共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーは、水素化することができる。ただし、これは、必須要件ではない。一実施形態において、例えば、ブロックコポリマーを部分的に水素化することができ、他方、別の実施形態において、ブロックコポリマーを完全に水素化することができる。
【0072】
様々なモノビニルアレーンモノマーおよび共役ジエンモノマーを使用して適切な共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーを形成することができる。本明細書に記載されるように、モノビニルアレーンモノマーは多くの場合、8~18個の炭素原子を含有することができ(例えば、モノビニルアレーンモノマーをスチレンまたはメチルスチレンとすることができる)、共役ジエンモノマーは、4~12個の炭素原子を含有することができる(例えば、共役ジエンをイソプレンまたは1,3-ブタジエンとすることができる)。したがって、本明細書に開示される特定の実施形態において、共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーは、スチレンブタジエンブロックコポリマー(SBC)を含むことができる。
【0073】
ブロックコポリマーは、当業者が認識するように、様々な種類の重合反応器、重合反応器系、および重合反応条件を用いた任意適切な重合方法を使用して製造することができる。以下に限定するものではないが、本発明の様々な実施形態に採用可能な共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーを製造する方法に関する一般的情報は、開示を参照によって全体を本明細書に組み入れる米国特許第3,639,517号、6,096,828号、6,420,486号、6,444,755号、6,835,778号、7,037,980号、7,193,014号、7,875,678号、8,415,429号、および8,933,171号;ならびに開示を参照によって全体を本明細書に組み入れる米国特許公報第2006/0089457号および2007/0173605号に記載されている。
【0074】
本明細書に記載の特定のブロックコポリマーを製造する例示的方法は、以下を含むことができる:
(i)第1の開始剤装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料とを接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(i)の全生成物を(ii)第2の開始剤装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(ii)の全生成物を(iii)共役ジエンモノマーの第1の装入材料と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(iii)の全生成物を(iv)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの第1の混合物と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(iv)の全生成物を(v)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの第2の混合物と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(v)の全生成物を(vi)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの第3の混合物と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(vi)の全生成物を(vii)カップリング剤と接触させること。
【0075】
本明細書に記載される特定のブロックコポリマーを製造する別の例示的方法は、以下を含むことができる:
(i)第1の開始剤装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料とを接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(i)の全生成物を(ii)第2の開始剤装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(ii)の全生成物を(iii)共役ジエンモノマーの第1の装入材料と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(iii)の全生成物を(iv)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの第1の混合物と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(iv)の全生成物を(v)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの第2の混合物と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(v)の全生成物を(vi)共役ジエンモノマーの第2の装入材料と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(vi)の全生成物を(vii)カップリング剤と接触させること。
【0076】
これらの方法において、場合により、方法の少なくとも一工程は、調節剤の存在下での重合を含むことができる。これらおよび他の実施形態において、調節剤は、任意適切な調節剤、典型的には極性有機化合物を含むことができ、その非限定的例としては、カリウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシド、金属アルコキシドまたはフェノラート、第三級アミン、エーテル(例えば、THF、ジグリムなど)、チオエーテルなど、およびこれらの混合物または組合せを挙げることができる。特定の実施形態において、調節剤は、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジ-n-プロピルエーテル、ジ-n-オクチルエーテル、アニソール、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシプロパン、ジベンジルエーテル、ジフェニルエーテル、1,2-ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)、カリウムtert-アミラート(KTA)、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジ-n-プロピルスルフィド、ジ-n-ブチルスルフィド、メチルエチルスルフィド、ジメチルエチルアミン、トリ-n-エチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、N,N-ジ-メチルアニリン、N-メチル-N-エチルアニリン、N-メチルモルホリンなど、およびこれらの混合物または組合せを含むことができる。存在する場合、調節剤(例えば、THF)は多くの場合、全モノマーに対する調節剤のモル比約1:30未満、約1:50未満、約1:100未満、または約1:500未満で利用することができる。調節剤:モノマーモル比の代表的な非限定範囲としては、約1:100,000~約1:50、約1:10,000~約1:500、約1:10,000~約1:500、または約1:5,000~約1:500などを挙げることができる。
【0077】
本明細書に記載されるように、ブロックコポリマーを製造する方法は、開始剤の存在下で行われる。適切な開始剤は当業者には周知であり、例えばアルカリ金属炭化水素であって、その代表的な例は、n-ブチルリチウムである。各開始剤は、同一または異種のいずれとすることもでき;例えば、第2の開始剤装入材料は、第1の装入材料と同一または異種とすることができる。採用される開始剤の量は、多くの要因に依存する可能性があるが、典型的には約0.01phm~約1phm、または約0.01phm~約0.5phm、または約0.01phm~約0.2phm(phmは、コポリマー中の全モノマー100部当たりの重量部である)の範囲内とすることができる。更なる実施形態において、工程(iii)~(vi)の少なくとも1つにおいて追加の開始剤装入材料を使用することができ、例えば、工程(iii)において追加の開始剤装入材料を;これに加え、もしくはこれに代えて、工程(iv)において追加の開始剤装入材料を;これに加え、もしくはこれに代えて、工程(v)において追加の開始剤装入材料を;またはこれに加え、もしくはこれに代えて、工程(vi)において追加の開始剤装入材料を使用することができる。
【0078】
当業者であれば容易に認識するように、これらの方法の工程は、式IAもしくは式IB、式IIAもしくは式IIB、および/または式IIIを有するブロック構造を含有するポリマー鎖を含むブロックコポリマーを製造することができる。
【0079】
重合方法は、任意適切な炭化水素希釈剤中、適切な重合温度、例えば約-10℃~約150℃、または約10℃~約125℃の範囲内で、反応混合物を実質的に液相に維持するのに十分な圧力で行うことができる。例示的炭化水素希釈剤としては、ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなど、およびこれらの混合物または組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。多くの場合、重合方法は、酸素および水の実質的非存在下で、更に多くの場合、不活性ガス雰囲気下で行うことができる。更に、本明細書において述べるように、モノマーまたはモノマーの混合物の各装入材料は、それに続くモノマーまたはモノマー(開始剤の有無を問わず)の混合物の装入を始める前に実質的に完了するまで重合させることができる。
【0080】
工程(vii)において、重合が完了した後、カップリング剤を添加することができる。適切なカップリング剤としては、ジまたはマルチビニルアレーン化合物、ジまたはマルチエポキシド、ジまたはマルチイソシアナート、ジまたはマルチイミン、ジまたはマルチアルデヒド、ジまたはマルチケトン、アルコキシスズ化合物、ジまたはマルチハロゲン化物(例えば、ジメチル二塩化ケイ素、他のハロゲン化ケイ素、およびハロシラン)、モノ、ジ、またはマルチ無水物、ジまたはマルチエステル(例えば、モノアルコールとポリカルボン酸とのエステル、一価アルコールとジカルボン酸のエステル、一塩基酸と多価アルコール、例えばグリセリンのエステル)など、およびこれらの任意の混合物または組合せを挙げることができる。他の適切な多官能性カップリング剤としては、エポキシ化天然油、例えばエポキシ化ダイズ油、エポキシ化アマニ油など、およびこれらの組合せを挙げることができる。採用されるカップリング剤の量は、多くの要因に依存する可能性があるが、典型的には約0.1phm~約20phm、約0.1phm~約5phm、または約0.1phm~約2phmの範囲内とすることができる。
【0081】
カップリングを行うかどうかに関わりなく、重合反応の停止は、任意適切な失活剤を使用して達成することができ、その例示的な例としては、水、二酸化炭素、アルコール、フェノール、モノまたはジカルボン酸など、およびこれらの組合せを挙げることができる。
【0082】
モノビニルアレーンモノマー約46phm~約72phmを含む耐キンク性共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーを製造する別の方法が、本発明により提供される。この方法は、重合条件下において、以下:
(i)第1の開始剤装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料;
(ii)第2の開始剤装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料;
(iii)共役ジエンモノマーの第1の装入材料;
(iv)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの第1の二成分装入材料であって、モノビニルアレーンモノマー含有量を約30wt.%~約80wt.%とすることができる第1の二成分装入材料;
(v)場合により、モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの第2の二成分装入材料であって、モノビニルアレーンモノマー含有量を約30wt.%~約80wt.%とすることができる第2の二成分装入材料;
(vi)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの最終装入材料であって、共役ジエンモノマー含有量を少なくとも約70wt.%とすることができる最終装入材料、または、共役ジエンモノマーの最終装入材料であって、共役ジエンモノマー含有量が100wt.%である最終装入材料;および
(vii)カップリング剤
を連続的に接触させることを含むことができる。
【0083】
一般に、モノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料は、モノビニルアレーンモノマーを合計約10phm~約45phm含むことができ、共役ジエンモノマーの第1の装入材料は、共役ジエンモノマー約0.5phm~約10phmを含むことができ、コポリマーから製造されるチューブのDIN EN13868に従って試験を行った耐キンク性を、約32mm以下とすることができる。連続的に接触させるために用いられるこの技法および適切な重合条件は、当業者であれば、本開示および以下に提供する実施例を考慮して容易に認識することができる。
【0084】
更なる実施形態において、方法は、(v)を含むことができ、即ち、方法は、第2の二成分装入材料を含むことができる。更に、開示された方法に従い製造される任意の耐キンク性ブロックコポリマーが、本明細書に包含される。
【0085】
例えば、本発明の実施形態によると、モノビニルアレーンモノマー約46phm~約72phmを含む耐キンク性共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーは、下記の装入順序により形成することができる:
i1-SJ-i2-SK-BK-(S/B)J-(S/B)K-T-CA (A);式中:
i1は、第1の開始剤装入材料であり;
SJは、モノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料であり;
i2は、第2の開始剤装入材料であり;
SKは、モノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料であり;
BKは、共役ジエンモノマーの第1の装入材料であり;
(S/B)Jは、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの第1の二成分装入材料であり、ここで、(S/B)Jのモノビニルアレーンモノマー含有量は、約30wt.%~約80wt.%とすることができ;
(S/B)Kは、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの第2の二成分装入材料であり、ここで、(S/B)Kのモノビニルアレーンモノマー含有量は、約30wt.%~約80wt.%とすることができ;
Tは、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの最終装入材料であり、ここで、Tの共役ジエンモノマー含有量は、少なくとも約70wt.%とすることができ、または、Tは、共役ジエンモノマーの最終装入材料であり、ここで、Tの共役ジエンモノマー含有量は、100wt.%であり;
CAは、カップリング剤装入材料である。
【0086】
一般に、モノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料は、モノビニルアレーンモノマーを合計約10phm~約45phm含むことができ、共役ジエンモノマーの第1の装入材料は、共役ジエンモノマー約0.5phm~約10phmを含むことができ、コポリマーから製造されるチューブのDIN EN13868に従って試験を行った耐キンク性を、約32mm以下とすることができる。
【0087】
これらおよび他の実施形態において、耐キンク性コポリマーは、モノビニルアレーンモノマー約46phm~約72phm、モノビニルアレーンモノマー約50phm~約70phm、モノビニルアレーンモノマー約52phm~約68phm、モノビニルアレーンモノマー約54phm~約68phm、モノビニルアレーンモノマー約56phm~約66phm、またはモノビニルアレーンモノマー約57phm~約64phmを含むことができる。本明細書に開示されるように、略語「phm」は、コポリマー中の全モノマー100部当たりの重量部を意味する。
【0088】
以下に限定するものではないが、モノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料は、モノビニルアレーンモノマー約8phm~約24phm、モノビニルアレーンモノマー約10phm~約20phm、モノビニルアレーンモノマー約12phm~約22phm、またはモノビニルアレーンモノマー約12phm~約20phmを含むことができる。同様に、モノビニルアレーンモノマーの第1および第2の装入材料の総量は、モノビニルアレーンモノマー約20phm~約45phm、モノビニルアレーンモノマー約25phm~約40phm、モノビニルアレーンモノマー約26phm~約38phm、モノビニルアレーンモノマー約28phm~約38phm、またはモノビニルアレーンモノマー約30phm~約36phmを含むことができる。
【0089】
共役ジエンモノマーの第1の装入材料は特に限定されないが、共役モノマーを一定量、即ち共役ジエンモノマーを約0.5~約10phm含むことができる。一部の実施形態において、共役ジエンモノマーの第1の装入材料は、共役ジエンモノマー約1phm~約9phm、共役ジエンモノマー約2phm~約10phm、共役ジエンモノマー約2phm~約8phm、または共役ジエンモノマー約3phm~約7phmを含むことができる。
【0090】
一実施形態において、第1の二成分装入材料のモノビニルアレーンモノマー含有量は、約30wt.%~約80wt.%、約35wt.%~約75wt.%、約35wt.%~約70wt.%、約40wt.%~約65wt.%、または約45wt.%~約60wt.%の範囲内に入ることができる。この割合は、第1の二成分装入材料の総重量(モノビニルアレーンモノマープラス共役ジエンモノマー)に対する第1の二成分装入材料中のモノビニルアレーンモノマーの重量を基準とする。これに加え、またはこれに代えて、第2の二成分装入材料のモノビニルアレーンモノマー含有量は、約30wt.%~約80wt.%、約40wt.%~約75wt.%、約45wt.%~約75wt.%、約50wt.%~約70wt.%、または約55wt.%~約68wt.%の範囲内に入ることができる。この割合は、第2の二成分装入材料の総重量(モノビニルアレーンモノマープラス共役ジエンモノマー)に対する第2の二成分装入材料中のモノビニルアレーンモノマーの重量を基準とする。
【0091】
以下に限定するものではないが、第1の二成分装入材料と第2の二成分装入材料の総量は、約25phm~約65phm、約30phm~約60phm、約38phm~約62phm、約38phm~約58phm、約40phm~約54phm、または約41phm~約51phmを含むことができる。したがって、一部の実施形態において、総モノマー装入材料(モノビニルアレーンモノマープラス共役ジエンモノマー)のおよそ半分をこれら二成分装入材料(即ち、第1の二成分装入材料と第2の二成分装入材料)において装入することができる。
【0092】
一部の実施形態において、最終装入材料は、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの二成分装入材料とすることができ、他方、他の実施形態において、最終装入材料は、共役ジエンモノマー装入材料とすることができる。最終装入材料が二成分装入材料である状況においては、最終装入材料の共役ジエンモノマー含有量は、例えば、約70wt.%~約95wt.%、約70wt.%~約90wt.%、約80wt.%~約95wt.%、約80wt.%~約99wt.%、または約70wt.%~約99.5wt.%の範囲とすることができる。この割合は、最終装入材料の総重量(モノビニルアレーンモノマープラス共役ジエンモノマー)に対する最終装入材料中の共役ジエンモノマーの重量を基準とする。
【0093】
以下に限定するものではないが、最終装入材料は、約5phm~約35phm、約10phm~約30phm、約15phm~約25phm、約16phm~約24phm、または約14phm~約21phmを含むことができる。最終装入材料中に存在する共役ジエンモノマーだけに関して言えば、最終装入材料は多くの場合、共役ジエンモノマー約8phm~約22phm、共役ジエンモノマー約10phm~約20phm、共役ジエンモノマー約10phm~約18phm、または共役ジエンモノマー約12phm~約20phmを含むことができる。
【0094】
ブロックコポリマーの特性、組成物、および物品
本明細書に記載される共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーは、特性の予想外の組合せを有し、それが、これらのブロックコポリマーを典型的にはこうしたブロックコポリマーについては考えられない最終使用用途に適したものとする。例えば、これらのブロックコポリマーは、チューブのような特定の最終使用用途において、軟質PVCを置き換えることができる。これらのブロックコポリマーは、以下に列挙するポリマー特性のいずれかを、任意の組合せで有することもできる。更に、混合ブロックに代えて内部共役ジエンブロックを使用すると、コストを低減し、共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーを製造するために用いられる重合方法を単純化することができる。
【0095】
多くの場合、ブロックコポリマーは、本明細書に記載されるように、コポリマーから製造されるチューブのDIN EN13868に従って試験を行った耐キンク性を約32mm以下とすることができる。一実施形態において、耐キンク性は、約30mm以下、約28mm以下、または約24mm以下とすることができる。耐キンク性の代表的な非限定範囲としては、下記が挙げられる:約8~約32mm、約8~約30mm、約8~約26mm、約8~約24mm、約8~約20mm、約9~約20mm、約10~約32mm、約10~約28mm、約10~約25mm、約10~約22mm、または約10~約20mmなど。
【0096】
同様に、予想外のことであるが、ブロックコポリマーは、コポリマーから製造されるチューブの耐再キンク性を、約32mm以下、約30mm以下、約28mm以下、または約26mm以下とすることもできる。同様に、耐再キンク性の代表的な非限定範囲としては、下記が挙げられる:約8mm~約32mm、約8~約30mm、約8mm~約26mm、約8~約24mm、約8~約20mm、約10~約30mm、約10mm~約28mm、約12~約28mm、または約12~約25mmなど。耐再キンク性は、本明細書に記載されるように、DIN EN13868に従って試験が行われる。
【0097】
本発明の様々な実施形態におけるブロックコポリマーは一般に、約25g/10分以下のメルトフローレート(MFR)を有することができる。MFRは、ASTM D1238-13に従い、200℃にて5Kgの荷重を用いて判定される。本発明の実施形態においては、約2~約25、約3~約20、約4~約20、または約5~約15g/10分の範囲のメルトフローレートが企図される。例えば、ブロックコポリマーは、約2~約20、約3~約18、または約3~約12g/10分の範囲のMFRを有することができる。
【0098】
ブロックコポリマーのショアA硬さは、典型的には約20~約95、約35~約90、または約40~約90の範囲内に入ることができる。ショアA硬さの他の適切な非限定範囲としては、約50~約95、約50~約90、約60~約90、約65~約90、約65~約85、約70~約85、約72~約86などが挙げられる。
【0099】
本明細書に開示されるブロックコポリマーの可撓性および相対的柔軟性を考慮すると、コポリマーの樹脂ペレットのブロッキングが懸念材料となる可能性がある。本発明の実施形態において、コポリマーは、約120lbf以下、約115lbf以下、約110lbf以下、または約100lbf以下のペレットブロッキング力-設備および試験手順は以下に記載する-を有することができる。ブロッキング力の下限は、一般に判定されない(即ち、自由流動ペレットである)。
【0100】
必須要件ではないが、本明細書に記載されるブロックコポリマーは、典型的には可塑剤を含有しない。実際、これは、可撓性を付与するのに比較的多量の可塑剤を必要とする可能性がある他のポリマー、例えばPVCに優る利点となり得る。ただし、特定の最終使用用途にとって必要な場合には、可塑剤を適切な充填量でブロックコポリマーと組み合わせることができる。
【0101】
ブロックコポリマーは、当業者が認識するように、任意適切な添加剤または複数の添加剤を用いて改質することができる。例えば、コポリマーは、酸化防止剤、酸捕捉剤、ブロッキング防止添加剤、スリップ添加剤(例えば、脂肪酸アミド、エルカ酸アミド)、着色剤、充填剤、ポリマー加工助剤(例えば、フルオロエラストマー)、UV吸収剤、UV阻害剤、滑剤(例えば、ワックス、鉱油)など、およびこれらの任意の組合せから選択される1種またはそれ以上の添加剤を用いて改質することができる。一部の実施形態において、コポリマーは、酸化防止剤;これに代えて酸捕捉剤;これに代えてブロッキング防止添加剤;これに代えてスリップ添加剤;これに代えて着色剤;これに代えて充填剤;これに代えてポリマー加工助剤;これに代えてUV吸収剤;これに代えてUV阻害剤;またはこれに代えて滑剤を更に含むことができる。有益なポリマー加工または最終使用用途/製品の属性を実現するためにコポリマーに添加してもよいこれらおよび他の適切な添加剤および調節剤は、Modern Plastics Encyclopedia、Mid-November 1995 Issue、第72巻、No.12;およびFilm Extrusion Manual-Process,Materials,Properties、TAPPI Press、1992;に記載されており、これらの開示は、参照によって全体を本明細書に組み入れる。
【0102】
ブロックコポリマーと別のポリマーとのブレンドまたは組合せも、本明細書に包含される。例えば、第2のポリマーを、異なる共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマー、スチレン系ポリマー(例えば、スチレンブタジエンポリマー、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレンなど)、またはゴム(ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ-2-クロロ-1,3-ブタジエン、ポリ-1-クロロ-1,3-ブタジエン、エチレン/プロピレンターポリマー、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、ブチルゴム、アクリルゴム、スチレン/イソブチレン/ブタジエンコポリマー、イソプレン/アクリルエステルコポリマーなど)、およびこれらの組合せとすることができる。他のポリマーの種類、例えばポリオレフィン(LDPE、LLDPE、PPなど)、エチレン/酢酸ビニルなどもブレンド成分として使用することができる。加えて、本発明のブロックコポリマーと第2のポリマーを含有する組成物も、1種またはそれ以上の適切な添加剤または調節剤、例えば上記に記載したものを含有することができる。多層構造体(例えば、共押出体)および/または積層構造体(例えば、接着積層体)も、単層であってもブレンド中であっても、ブロックコポリマーを多層または積層構造体の最終使用用途に適する任意の添加剤または調節剤と共に含有することができる。
【0103】
ブロックコポリマー、ブレンド、多層および積層構造体などは、様々な製造物品に形成することができ、これらの製造物品は、所望の最終使用用途に適する任意の厚さを有することができる。本発明のブロックコポリマー、組成物、多層構造体などを含むことができる物品としては、フィルム、シート、ボトルもしくは容器、繊維もしくは布地、接着剤もしくはコーティング、医療機器もしくは材料、パイプ、または可撓性チューブなどが挙げられるが、これらに限定されない。様々な方法を採用してこれらの物品を形成することができる。これらの方法の非限定例としては、射出成形、ブロー成形、回転成形、フィルム押出、シート押出、異形押出、熱成形などが挙げられる。こうした方法および材料は、Modern Plastics Encyclopedia、Mid-November 1995 Issue、第72巻、No.12;およびFilm Extrusion Manual-Process,Materials,Properties、TAPPI Press、1992に記載されている。本発明の一部の実施形態において、製造物品は、本明細書に記載されるブロックコポリマー(例えば、ブレンド、組成物、多層構造体などを含む)のいずれかを含むことができ、本明細書に記載されるコポリマー特性のいずれかを有することができ、製造物品は、チューブ製品、例えば医療用の可撓性チューブとすることができる。
【実施例】
【0104】
下記の実施例により本発明を更に説明するが、実施例は、本発明の範囲に限定を課すものと決して解釈すべきではない。本明細書の記載を読んだ後には、本発明の様々な他の態様、実施形態、変更形態および均等形態が、本発明の精神または添付の請求項の範囲から逸脱することなく、当業者は想起することができる。
【0105】
DIN EN13868:2002-11(Annex A、短期試験方法)に従い設計・製造された装置を用い、本明細書に記載されるように耐キンク性試験を遂行した。送水管は、水流量を計測するための流量計を備えたOD(外径)3/8インチ(9.525mm)のチューブからなっていた。チューブ試験片を所定位置に保持するために使用される溝は、測定時の深さが5.05mmであった。チューブ試験片は、長さ16インチ(406.4mm)であり、試験速度は、チューブへの過剰加圧を回避するように十分低く保った。
【0106】
チューブ試験片は、以下の等式ではdで表されるODが1/4インチ(6.35mm)であり、公称ID(内径)が1/8インチ(3.175mm)であった。
図1の試験図を参照して、プレート距離をDとしてmm単位で測定し、報告される耐キンク性(以下の等式におけるC、mm)を下記の等式に従い計算した:
【数1】
(式中、Dは、元の水流量の半分(まっすぐなチューブを通る初期流量が50%低下するような流量低下)の時点で測定されたプレート距離であり、hは、測定された溝深さ(5.05mm)、dは、チューブのOD(6.35mm)である)。試験中、最大50lb
fの力を加えることができる手動のプレス機を使用してプレート間の間隙を縮めた。
【0107】
水温は、周囲条件の約25℃に設定した。試験中のチューブの突然のキンクを防止するため(即ち、耐キンク性が測定可能となる前に水流量がゼロに低下するのを防止するため)、プレス機で力を加える速度を手動で調整した。
【0108】
耐再キンク性を、耐キンク性試験について記載した条件と同一の条件下で測定した。初期キンク試験を遂行した後、プレート距離を広げ、水流量が再キンク試験の開始時に観察された流量の半分に低下する点を計測する手順を繰り返すことにより耐再キンク性を測定した。典型的には、再キンク測定値(上記の等式におけるC)は、最初のキンク測定時にチューブに形成された弱い部分のために、キンク測定値よりも高かった。
【0109】
ASTM D2240-05に従い、30秒の遅延でショアA硬さ試験を遂行した。ショアA硬さ試験は、周囲条件にて、圧縮成形した厚さが1/2インチ(12.7mm)の2インチ×2インチ(50.8mm×50.8mm)四角形試験片に対して遂行した。
【0110】
修正ASTM D1238-13に従い、標準ポリスチレン条件(荷重5kgおよび温度200℃)を使用し、保持時間300秒でメルトフローレート(MFR)を測定した。
【0111】
円筒形状のペレット集合体を破壊するのに必要なせん断力としてペレットブロッキング力を測定した。ペレット集合体を形成するため、ペレット約300グラムをID3インチ(76.2mm)の硬質パイプに入れて2.5kgの重りをペレットの上に置き、シリンダとその内容物を65℃に維持した強制空気炉に90時間置いた。室温まで冷却した後、重りとシリンダを取り除き、次いで、ペレット集合体をInstron(登録商標)負荷フレーム内のせん断治具内に置き、せん断試験を行った。サンプルのペレットブロッキング力(耐ブロッキング特性)は、ペレット集合体をせん断するのに必要な重量ポンド(lbf)であった。
【0112】
下記の予め製造されたチューブサンプルを入手し、比較試験に使用した。
1.Tygon(登録商標)1:耐薬品性透明PVCチューブ-McMaster-Carrが市販(カタログ番号5231K144)。
2.Tygon(登録商標)2:処方設計2375、超高耐薬品性PVCチューブ-McMaster-Carrが市販(カタログ番号5103K32)。
3.C-Flex(登録商標)50A:熱可塑性エラストマーチューブ-Cole-Parmerが市販。
【0113】
下記のポリマー樹脂をチューブとし、結果として得られたチューブを比較試験に使用した。
4.Vector(登録商標)8508SBSブロックコポリマー-Dexco Polymers LPが市販-公称スチレン29wt.%。
5.Styroflex(登録商標)2G66SBブロックコポリマー-Styrolutionが市販。
6.Versaflex(商標)HC MT224熱可塑性エラストマー-GLS Thermoplastic Elastomers PolyOne Corpが市販-SEBSとPPのブレンド。
7.Medalist(登録商標)MD-575熱可塑性エラストマー-Teknor Apexが市販-SEBSとPPのブレンド。
8.C-Flex(登録商標)(実験室用):熱可塑性エラストマーC-Flex(登録商標)50Aチューブを細かく切ることによって得たペレットからチューブを製造した-Cole-Parmerが市販するチューブ。
9.K-Resin(登録商標)SBC XK40-Chevron Phillips Chemical Company LPが市販-公称スチレン76wt.%。
10.K-Resin(登録商標)SBC KR20-Chevron Phillips Chemical Company LPが市販-公称スチレン62wt.%。
【0114】
実施例4~10は、1軸スクリュー押出を用いてチューブとした。押出機は、C.W.Brabender(登録商標)Instruments Inc.が販売するVented Extruder Model 2523、3/4インチ、L/D比25:1であった。チューブ金型は、OD0.25インチ(6.35mm)およびID0.125インチ(3.175mm)のマンドレル先端の組合せを有する可換金型ヘッドであった。チューブ押し出しに使用した典型的な温度プロファイル範囲を以下の表1に示す。
【0115】
【0116】
〔実施例1~10〕
表IIに示すように、実施例1~3のチューブサンプルは、許容範囲の耐キンク性、耐再キンク性、およびショアA硬さを有していた。実施例8のチューブは、実施例3のC-Flex(登録商標)50Aチューブを細かく切り、上に記載の押出系および条件を用いて小片を押し出してチューブとすることによって得たペレットから製造した。実施例8も、許容範囲の耐キンク性、耐再キンク性、およびショアA硬さを有し、基本的に実施例3と同じ特性であった。実施例4および9~10のチューブサンプルは、耐キンク性が低く、したがって、医療用チューブ用途における軟質PVCを置き換えるのには適していないことを示した。実施例5のショアA硬さは、特定の用途におけるPVC代替品として考えるには高すぎた。
【0117】
〔実施例11~18〕
実施例11~18の材料および重合方法は、以下に記載する通りである。シクロヘキサンを活性アルミナ上で乾燥させ、窒素下で保存した。n-ブチルリチウム開始剤(BuLiと略す)を、入手したままシクロヘキサン中2wt.%で使用した。THFを窒素下、活性アルミナ上で保存した。スチレン(S)とブタジエン(B)を活性アルミナ上で精製した。エポキシ化ダイズ油は、N2でパージしN2下で保存したC6中の20%溶液であった。
【0118】
窒素下での逐次溶液重合を用い、2ガロンステンレス鋼反応器中で重合を遂行した。反応器には、温度制御用のジャケット、二重らせん状羽根、およびバッフルが備えられていた。一般に、各ブロックは、ブロックの所望の単位が誘導されるモノマーまたはモノマーの混合物を重合することによって形成された。
【0119】
最初にシクロヘキサンを、次にTHF(0.05phm)を反応器に装入した。温度を約60℃に調整し、BuLi開始剤を装入し、次にスチレンモノマー(スチレン1)の第1の装入材料を装入した。第2の装入材料は、BuLiと、スチレンモノマー(スチレン2)の第2の装入材料を含有していた。第3の装入材料は、ブタジエンモノマー(ブタジエン1)を含有していた。次の2つの装入材料は、ブタジエンが特定の重量百分率(Bd%)であるブタジエンとスチレンの混合装入材料(B2+S3、B3+S4)であった。最終装入材料は、ブタジエンが特定の重量百分率(Bd%)であるブタジエンとスチレンの混合装入材料(B4+S5)、またはブタジエン(B4)のモノブロックであった。各装入後に反応器への供給ラインをシクロヘキサン約0.1kgでフラッシュした。各モノマーまたはモノマー混合物の装入後、重合を完了するまで継続させた。重合温度は約38℃~約120℃の範囲であり、圧力は、約2psig~約180psigの範囲であった。逐次重合の完了後、カップリング剤(CA、エポキシ化ダイズ油)を反応器に装入し、約100℃で約15分間反応させた。カップリング後、水約0.2phmの添加およびCO2の添加により反応を停止させた。
【0120】
表IIIは、特定の製造パラメータ(例えば、装入順序、各装入材料の組成)、および実施例11~18の特性を要約する。実施例11~18のチューブ試験片は、このSBCブロックコポリマーから上に記載の押出系および条件で製造した。
【0121】
表IIIに示すように、実施例11~15は、2つのスチレンブロック(スチレン1およびスチレン2)の後に内部ブタジエンブロック(ブタジエン1)を含有するポリマー鎖を有していた一方、実施例16~18は、ブタジエンモノブロックを含有していなかった。実施例16~18は、チューブ用途にとって望ましい特性(低耐キンク性、低耐再キンク性、低ペレットブロッキング力、および許容範囲のショアA硬さ)の良好なバランスを示したが、内部ブタジエンモノブロックを含有した実施例11~15は、予想外に、ペレットブロッキング力およびショアA硬さはどちらも許容範囲に維持しつつ、同等または優れた耐キンク性および耐再キンク性を有していた。更に、実施例11~15においては、ポリマー(カップリング前)が末端混合ブロック(B4/S5)または末端ブタジエンブロック(B4)を有しているか否かに関わらず、全体的にチューブ用途にとって望ましい特性の良好なバランスを達成することができた。
【0122】
【0123】
【0124】
多くの態様および実施形態、ならびに具体例を参照して本発明を上記に記載した。上記の詳細な説明を踏まえると、多くの変形形態が当業者には想起される。こうした明らかな変形形態は全て、添付の請求項の完全な意図される範囲内にある。本発明の他の実施形態としては、下記を挙げることができるが、これらに限定されない(実施形態は「含む(comprising)」として記載されているが、これに代えて「から本質的になる(consist essentially of)」または「からなる(consist of)」とすることができる):
実施形態1.モノビニルアレーンモノマー約35phm~約75phmを含み、式IAまたは式IB:
S1-B1-(S/B)1-(S/B)2 (IA);または
S1-B1-(S/B)1-B2 (IB)
を有するブロック構造を含有するポリマー鎖を含む共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーであって;式中:
S1は、モノビニルアレーンモノマーのモノブロックであり、ここで、S1は、コポリマーの約15phm~約45phmであり;
B1は、共役ジエンモノマーの第1のモノブロックであり、ここで、B1は、コポリマーの約0.5phm~約10phmであり;
(S/B)1は、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの混合ブロックであり、ここで、モノビニルアレーンモノマー含有量は、(S/B)1の総重量を基準として約30wt.%~約80wt.%であり;
(S/B)2は、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの混合ブロックであり、ここで、共役ジエンモノマー含有量は、(S/B)2の総重量を基準として約70wt.%~約99wt.%であり;
B2は、共役ジエンモノマーの第2のモノブロックであり、ここで、B2は、コポリマーの約8phm~約30phmであり;
コポリマーから製造されるチューブのDIN EN13868に従って試験を行った耐キンク性が約32mm以下である、コポリマー。
【0125】
実施形態2.モノビニルアレーンモノマーは8~18個の炭素原子を含有する、実施形態1または56~80のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0126】
実施形態3.モノビニルアレーンモノマーはスチレンである、実施形態1~2または56~80のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0127】
実施形態4.共役ジエンモノマーは4~12個の炭素原子を含有する、実施形態1~3または56~80のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0128】
実施形態5.共役ジエンモノマーはブタジエンである、実施形態1~4または56~80のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0129】
実施形態6.共役ジエンモノマーは1,3-ブタジエンである、実施形態1~5または56~80のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0130】
実施形態7.共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーはスチレンブタジエンブロックコポリマーである、実施形態1~6または56~80のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0131】
実施形態8.S1は、本明細書に開示されるいずれかの範囲内、例えば、約20phm~約45phm、約25phm~約40phm、約28phm~約38phm、約30phm~約36phmなどである、実施形態1~7のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0132】
実施形態9.B1は、本明細書に開示されるいずれかの範囲内、例えば、約1phm~約10phm、約2phm~約10phm、約2phm~約8phm、約3phm~約7phmなどである、実施形態1~8のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0133】
実施形態10.(S/B)1中のモノビニルアレーンモノマー含有量は、本明細書に開示されるいずれかの範囲内、例えば、(S/B)1を基準として約40wt.%~約80wt.%、約40wt.%~約70wt.%、約50wt.%~約65wt.%、約50wt.%~約60wt.%などである、実施形態1~9のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0134】
実施形態11.(S/B)2中の共役ジエンモノマー含有量は、本明細書に開示されるいずれかの重量百分率の範囲内、例えば、(S/B)2を基準として約75wt.%~約95wt.%、約72wt.%~約90wt.%、約82wt.%~約92wt.%などである、実施形態1~10のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0135】
実施形態12.B2は、本明細書に開示されるいずれかの範囲内、例えば、コポリマーの約10phm~約25phm、約11phm~約25phm、約12phm~約22phm、約14phm~約20phm、約15phm~約19phmなどである、実施形態1~10のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0136】
実施形態13.コポリマーは、本明細書に開示されるいずれかの範囲内、例えば、コポリマーの重量を基準として約46phm~約72phm、約52phm~約68phm、約54phm~約68phm、約56phm~約66phm、約57phm~約64phmなどのモノビニルアレーンモノマーを含む、実施形態1~12のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0137】
実施形態14.
モノビニルアレーンモノマーは、コポリマーの約54phm~約68phmであり;
S1は、コポリマーの約28phm~約38phmであり;
B1は、コポリマーの約2phm~約8phmであり;
(S/B)1中のモノビニルアレーンモノマー含有量は、(S/B)1の約50wt.%~約65wt.%であり;
(S/B)2中の共役ジエンモノマー含有量は、(S/B)2の約75wt.%~約95wt.%である、実施形態1~13のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0138】
実施形態15.
モノビニルアレーンモノマーは、コポリマーの約54phm~約68phmであり;
S1は、コポリマーの約28phm~約38phmであり;
B1は、コポリマーの約2phm~約8phmであり;
(S/B)1中のモノビニルアレーンモノマー含有量は、(S/B)1の約50wt.%~約65wt.%であり;
B2は、コポリマーの約14phm~約20phmである、実施形態1~13のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0139】
実施形態16.S1は、2つ以上のモノビニルアレーンモノマーのモノブロックである、実施形態1~15のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0140】
実施形態17.S1は、本明細書に開示されるいずれかの回数のモノビニルアレーンモノマー装入、例えば、1~10回の装入、2~5回の装入、2回の装入などを含む方法によって生成される、実施形態1~16のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0141】
実施形態18.(S/B)1と(S/B)2の少なくとも一方はテーパード混合ブロックである、実施形態1~17のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0142】
実施形態19.(S/B)1と(S/B)2の少なくとも一方はランダム混合ブロックである、実施形態1~18のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0143】
実施形態20.(S/B)1と(S/B)2の少なくとも一方は、二成分モノマーの装入を含む方法によって生成される、実施形態1~19のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0144】
実施形態21.(S/B)1と(S/B)2の少なくとも一方は、パルス状モノマー装入を含む方法によって生成される、実施形態1~20のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0145】
実施形態22.コポリマーは、式IIAまたは式IIB:
S2-B1-(S/B)1-(S/B)2 (IIA);または
S2-B1-(S/B)1-B2 (IIB)
を有するブロック構造を含有するポリマー鎖を更に含み、式中:
S2は、モノビニルアレーンモノマーのモノブロックであり、ここで、S2は、コポリマーの約5phm~約30phmである、
実施形態1~19のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0146】
実施形態23.S2は、本明細書に開示されるいずれかの範囲内、例えば、約5phm~約25phm、約12phm~約25phm、約14phm~約24phm、約14phm~約20phmなどである、実施形態22に定義されるコポリマー。
【0147】
実施形態24.S2は、本明細書に開示されるいずれかの回数のモノビニルアレーンモノマー装入、例えば、1~10回の装入、1~5回の装入、1回の装入などを含む方法によって生成される、実施形態22~23のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0148】
実施形態25.(S/B)1は、式III:
-(S/B)1A-(S/B)1B-(III)
を有する共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの2つの混合ブロックであり;式中:
(S/B)1A中のモノビニルアレーンモノマー含有量は、(S/B)1Aの約30wt.%~約80wt.%であり、(S/B)1B中のモノビニルアレーンモノマー含有量は、(S/B)1Bの約30wt.%~約80wt.%である、
実施形態1~24のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0149】
実施形態26.(S/B)1A中のモノビニルアレーンモノマー含有量は、本明細書に開示されるいずれかの重量百分率の範囲内、例えば、(S/B)1Aを基準として約40wt.%~約80wt.%、約40wt.%~約60wt.%、約45wt.%~約65wt.%、約45wt.%~約60wt.%などである、実施形態25に定義されるコポリマー。
【0150】
実施形態27.(S/B)1B中のモノビニルアレーンモノマー含有量は、本明細書に開示されるいずれかの重量百分率の範囲内、例えば、(S/B)1Bを基準として約40wt.%~約80wt.%、約35wt.%~約65wt.%、約45wt.%~約70wt.%、約50wt.%~約65wt.%などである、実施形態25~26のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0151】
実施形態28.(S/B)1Aと(S/B)1Bの少なくとも一方はテーパード混合ブロックである、実施形態25~27のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0152】
実施形態29.(S/B)1Aと(S/B)1Bの少なくとも一方はランダム混合ブロックである、実施形態25~28のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0153】
実施形態30.(S/B)1Aと(S/B)1Bの少なくとも一方は、二成分モノマーの装入を含む方法によって生成される、実施形態25~29のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0154】
実施形態31.(S/B)1Aと(S/B)1Bの少なくとも一方は、パルス状モノマー装入を含む方法によって生成される、実施形態25~30のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0155】
実施形態32.コポリマーは、ポリマー鎖を本明細書に開示されるいずれかのカップリング剤、例えば、ジメチル二塩化ケイ素、エポキシ化ダイズ油などでカップリングすることを含む方法によって製造される、実施形態1~31のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0156】
実施形態33.コポリマーは結合コポリマーである、実施形態1~32または56~80のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0157】
実施形態34.コポリマーは多峰性コポリマーである、実施形態1~33または56~80のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0158】
実施形態35.コポリマーは完全に水素化されている、実施形態1~34または56~80のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0159】
実施形態36.コポリマーは部分的に水素化されている、実施形態1~34または56~80のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0160】
実施形態37.コポリマーは、メルトフローレートが本明細書に開示されるいずれかの範囲内、例えば、約2~約20、約3~約18、約3~約12g/10分などである、実施形態1~36または56~80のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0161】
実施形態38.本明細書に開示されるいずれかの添加剤、例えば、酸化防止剤、酸捕捉剤、ブロッキング防止添加剤、スリップ添加剤、着色剤、充填剤、ポリマー加工助剤、UV阻害剤、滑剤など、またはこれらの任意の組合せを更に含む、実施形態1~37または56から80のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0162】
実施形態39.コポリマーは可塑剤を含有しない、実施形態1~38または56~80のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0163】
実施形態40.耐キンク性が本明細書に開示されるいずれかの範囲内、例えば、約30mm以下、約8mm~約32mm、約8~約24mm、約10mm~約25mm、約9mm~約20mmなどである、実施形態1~39または56~80のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0164】
実施形態41.チューブは、耐再キンク性が本明細書に開示されるいずれかの範囲内、例えば、約32mm以下、約8mm~約32mm、約10~約30mm、約12mm~約25mmなどである、実施形態1~40または56~80のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0165】
実施形態42.コポリマーは、ショアA硬さが本明細書に開示されるいずれかの範囲内、例えば、約20~約95、約60~約90、約65~約85、約70~約85、約72~約86などである、実施形態1~41または56~80のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0166】
実施形態43.コポリマーは、ペレットブロッキング力が本明細書に開示されるいずれかの範囲内、例えば、約120lbf以下、約115lbf以下、約110lbf以下などである、実施形態1~42または56~80のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0167】
実施形態44.実施形態1~43または56~80のいずれか1つに定義されるコポリマーと、第2のポリマー、例えば、スチレンブタジエンポリマー、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリオレフィンなど、またはこれらの任意の組合せとを含む組成物。
【0168】
実施形態45.実施形態1~43または56~80のいずれか1つに定義されるコポリマー、第2のポリマー、および添加剤を含む組成物。
【0169】
実施形態46.実施形態1~45または56~80のいずれか1つに定義されるコポリマーまたは組成物を含む物品。
【0170】
実施形態47.物品は、フィルム、医療機器もしくは材料、または接着剤である、実施形態1~45または56~80のいずれか1つに定義されるコポリマーまたは組成物を含む物品。
【0171】
実施形態48.例えば、実施形態1~45または56~80のいずれか1つに定義されるコポリマーまたは組成物から調製されるコポリマーまたは組成物を含むチューブ製品。
【0172】
実施形態49.実施形態1~43のいずれか1つに定義されるコポリマーを製造する方法であって、以下を含む方法:
(i)第1の開始剤装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料とを接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(i)の全生成物を(ii)第2の開始剤装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(ii)の全生成物を(iii)共役ジエンモノマーの第1の装入材料と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(iii)の全生成物を(iv)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの第1の混合物と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(iv)の全生成物を(v)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの第2の混合物と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(v)の全生成物を(vi)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの第3の混合物と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(vi)の全生成物を(vii)カップリング剤と接触させること。
【0173】
実施形態50.実施形態1~43のいずれか1つに定義されるコポリマーを製造する方法であって、以下を含む方法:
(i)第1の開始剤装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料とを接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(i)の全生成物を(ii)第2の開始剤装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(ii)の全生成物を(iii)共役ジエンモノマーの第1の装入材料と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(iii)の全生成物を(iv)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの第1の混合物と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(iv)の全生成物を(v)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの第2の混合物と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(v)の全生成物を(vi)共役ジエンモノマーの第2の装入材料と接触させ、最小限の遊離モノマーが存在するまで重合を起こさせること;
その後、工程(vi)の全生成物を(vii)カップリング剤と接触させること。
【0174】
実施形態51.方法の少なくとも一工程は、調節剤の存在下での重合を含む、実施形態49または50に定義される方法。
【0175】
実施形態52.調節剤は、本明細書に開示されるいずれかの調節剤、例えば、カリウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシド、金属アルコキシドまたはフェノラート、第三級アミン、エーテルなど、およびこれらの任意の組合せを含む、実施形態51に定義される方法。
【0176】
実施形態53.調節剤はTHFを含む、実施形態51または52に定義される方法。
【0177】
実施形態54.調節剤は、本明細書に開示されるいずれかの全モノマーに対する調節剤のモル比、例えば、約1:50未満、約1:30未満、約1:100,000~約1:50、約1:10,000~約1:500などで存在する、実施形態51~53のいずれか1つに定義される方法。
【0178】
実施形態55.工程(iii)~(vi)の少なくとも1つにおいて、追加の開始剤装入材料が使用される、実施形態49~54のいずれか1つに定義される方法。
【0179】
実施形態56.モノビニルアレーンモノマー約46phm~約72phmを含む耐キンク性共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーを製造する方法であって、重合条件下において、以下:
(i)第1の開始剤装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料;
(ii)第2の開始剤装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料;
(iii)共役ジエンモノマーの第1の装入材料;
(iv)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの第1の二成分装入材料であって、モノビニルアレーンモノマー含有量が約30wt.%~約80wt.%である第1の二成分装入材料;
(v)場合により、モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの第2の二成分装入材料であって、モノビニルアレーンモノマー含有量が約30wt.%~約80wt.%である第2の二成分装入材料;
(vi)モノビニルアレーンモノマーと共役ジエンモノマーの最終装入材料であって、共役ジエンモノマー含有量が少なくとも約70wt.%である最終装入材料、または、共役ジエンモノマーの最終装入材料であって、共役ジエンモノマー含有量が100wt.%である最終装入材料;および
(vii)カップリング剤
を連続的に接触させることを含み;
モノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料およびモノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料は、モノビニルアレーンモノマーを合計約10phm~約45phm含み;
共役ジエンモノマーの第1の装入材料は、共役ジエンモノマーを約0.5phm~約10phm含み;
コポリマーから製造されるチューブのDIN EN13868に従って試験を行った耐キンク性は約32mm以下である、方法。
【0180】
実施形態57.方法は、(v)を含む、即ち、方法は、第2の二成分装入材料を含む、実施形態56に定義される方法。
【0181】
実施形態58.実施形態56または57に定義される方法によって製造されるブロックコポリマー。
【0182】
実施形態59.モノビニルアレーンモノマーを約46phm~約72phm含み、下記の装入順序により形成される耐キンク性共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーであって:
i1-SJ-i2-SK-BK-(S/B)J-(S/B)K-T-CA (A);式中:
i1は、第1の開始剤装入材料であり;
SJは、モノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料であり;
i2は、第2の開始剤装入材料であり;
SKは、モノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料であり;
BKは、共役ジエンモノマーの第1の装入材料であり;
(S/B)Jは、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの第1の二成分装入材料であり、ここで、(S/B)Jのモノビニルアレーンモノマー含有量は、約30wt.%~約80wt.%であり;
(S/B)Kは、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの第2の二成分装入材料であり、ここで、(S/B)Kのモノビニルアレーンモノマー含有量は、約30wt.%~約80wt.%であり;
Tは、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの最終装入材料であり、ここで、Tの共役ジエンモノマー含有量は、少なくとも約70wt.%であり、または、Tは、共役ジエンモノマーの最終装入材料であり、ここで、Tの共役ジエンモノマー含有量は、100wt.%であり;
CAは、カップリング剤装入材料であり;
モノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料は、モノビニルアレーンモノマーを合計約10phm~約45phm含み;
共役ジエンモノマーの第1の装入材料は、共役ジエンモノマー約0.5phm~約10phmを含み;
コポリマーから製造されるチューブのDIN EN13868に従って試験を行った耐キンク性が約32mm以下である、ブロックコポリマー。
【0183】
実施形態60.最終装入材料の共役ジエンモノマー含有量は100%である、実施形態56~59のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0184】
実施形態61.最終装入材料の共役ジエンモノマー含有量は、本明細書に開示されるいずれかの重量百分率の範囲内、例えば、約70wt.%~約95wt.%、約70wt.%~約90wt.%、約80wt.%~約95wt.%、約80wt.%~約99wt.%、約70wt.%~約99.5wt.%などである、実施形態56~59のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0185】
実施形態62.最終装入材料は、本明細書に開示されるいずれかの範囲内、例えば、 約8phm~約22phm、約10phm~約20phm、約10phm~約18phm、約12phm~約20phmなどの量の共役ジエンモノマーを含む、実施形態56~61のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0186】
実施形態63.コポリマーは、本明細書に開示されるいずれかの範囲内、例えば、コポリマーの重量を基準として約50phm~約70phm、約52phm~約68phm、約54phm~約68phm、約56phm~約66phm、約57phm~約64phmなどのモノビニルアレーンモノマーを含む、実施形態56~62のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0187】
実施形態64.モノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料は、本明細書に開示されるいずれかの範囲内、例えば、約8phm~約24phm、約10phm~約20phm、約12phm~約22phm、約12phm~約20phmなどの量のモノビニルアレーンモノマーを含む、実施形態56~63のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0188】
実施形態65.モノビニルアレーンモノマーの第1の装入材料とモノビニルアレーンモノマーの第2の装入材料は、本明細書に開示されるいずれかの範囲内、例えば、約20phm~約45phm、約25phm~約40phm、約26phm~約38phm、約28phm~約38phm、約30phm~約36phmなどのモノビニルアレーンモノマーの合計量を含む、実施形態56~64のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0189】
実施形態66.第1の二成分装入材料のモノビニルアレーンモノマー含有量は、本明細書に開示されるいずれかの重量百分率の範囲内、例えば、第1の二成分装入材料の重量を基準として約35wt.%~約70wt.%、約40wt.%~約65wt.%、約45wt.%~約60wt.%などである、実施形態56~65のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0190】
実施形態67.第2の二成分装入材料のモノビニルアレーンモノマー含有量は、本明細書に開示されるいずれかの重量百分率の範囲内、例えば、第2の二成分装入材料の重量を基準として約45wt.%~約75wt.%、約50wt.%~約70wt.%、約55wt.%~約68wt.%などである、実施形態56~66のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0191】
実施形態68.共役ジエンモノマーの第1の装入材料は、本明細書に開示される範囲内、例えば、約1phm~約9phm、約2phm~約10phm、約2phm~約8phm、約3phm~約7phmなどの量の共役のモノマーを含む、実施形態56~67のいずれか1つに定義される方法またはコポリマー。
【0192】
実施形態69.モノビニルアレーンモノマー約46phm~約72phmを含み、下記の構造:
1)X-X;
2)X-Y;および
3)Y-Y
を有するポリマー鎖を含む共役ジエンモノビニルアレーンブロックコポリマーであって;式中、
Xは:S1-S2-B1-(S/B)1-(S/B)2-T1-であり;
Yは:S2-B1-(S/B)1-(S/B)2-T1-であり;式中:
S1およびS2は、モノビニルアレーンモノマーのモノブロックであり、ここで、S1とS2の合計は、Xの約20wt.%~約60wt.%(または約35wt.%~約48wt.%)であり、S2は、Yの約11wt.%~約30wt.%(または約14wt.%~約26wt.%)であり;
B1は、共役ジエンモノマーのモノブロックであり、ここで、B1は、Xの約2wt.%~約12wt.%であり、B1は、Yの約3wt.%~約15wt.%であり;
(S/B)1は、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの混合ブロックであり、ここで、(S/B)1のモノビニルアレーンモノマー含有量は約30wt.%~約80wt.%であり;
(S/B)2は、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの混合ブロックであり、ここで、(S/B)2のモノビニルアレーンモノマー含有量は約30wt.%~約80wt.%であり;
T1は、共役ジエンモノマーとモノビニルアレーンモノマーの混合ブロックであり、ここで、T1の共役ジエンモノマー含有量は、少なくとも約70wt.%であり、または、T1は、共役ジエンモノマーのモノブロックであり、ここで、T1の共役ジエンモノマー含有量は100wt.%であり、ここで、T1は、Xの約10wt.%~約30wt.%であり、T1は、Yの約14wt.%~約30wt.%であり;
コポリマーから製造されるチューブのDIN EN13868に従って試験を行った耐キンク性が約32mm以下である、コポリマー。
【0193】
実施形態70.コポリマーは、本明細書に開示されるいずれかの範囲内のモノビニルアレーンモノマー、例えば、コポリマーの重量を基準として約50phm~約70phm、約52phm~約68phm、約54phm~約68phm、約56phm~約66phm、約57phm~約64phmなどを含む、実施形態69に定義されるコポリマー。
【0194】
実施形態71.T1は共役ジエンモノマーのモノブロックである、実施形態69または70に定義されるコポリマー。
【0195】
実施形態72.T1の共役ジエンモノマー含有量は、本明細書に開示されるいずれかの重量百分率の範囲内、例えば、約70wt.%~約95wt.%、約70wt.%~約90wt.%、約80wt.%~約95wt.%、約80wt.%~約99wt.%、約70wt.%~約99.5wt.%などである、実施形態69または70に定義されるコポリマー。
【0196】
実施形態73.(S/B)1のモノビニルアレーンモノマー含有量は、本明細書に開示されるいずれかの重量百分率の範囲内、例えば、(S/B)1の重量を基準として約35wt.%~約70wt.%、約40wt.%~約65wt.%、約45wt.%~約60wt.%などである、実施形態69~72のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0197】
実施形態74.(S/B)2のモノビニルアレーンモノマー含有量は、本明細書に開示されるいずれかの重量百分率の範囲内、例えば、(S/B)2の重量を基準として約45wt.%~約75wt.%、約50wt.%~約70wt.%、約55wt.%~約68wt.%などである、実施形態69~73のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0198】
実施形態75.XのS1とS2の合計含有量は、本明細書に開示されるいずれかの重量百分率の範囲内、例えば、Xの総重量を基準として約30wt.%~約50wt.%、約35wt.%~約48wt.%、約37wt.%~約47wt.%などである、実施形態69~74のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0199】
実施形態76.YのS2含有量は、本明細書に開示されるいずれかの重量百分率の範囲内、例えば、Yの総重量を基準として約15wt.%~約25wt.%、約14wt.%~約26wt.%、約16wt.%~約23wt.%などである、実施形態69~75のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0200】
実施形態77.XのT1含有量は、本明細書に開示されるいずれかの重量百分率の範囲内、例えば、Xの総重量を基準として約10wt.%~約22wt.%、約10wt.%~約18wt.%、約12wt.%~約17wt.%などである、実施形態69~76のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0201】
実施形態78.YのT1含有量は、本明細書に開示されるいずれかの重量百分率の範囲内、例えば、Yの総重量を基準として、約15wt.%~約25wt.%、約16wt.%~約24wt.%、約18wt.%~約22wt.%などである、実施形態69~77のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0202】
実施形態79.XのB1含有量は、本明細書に開示されるいずれかの重量百分率の範囲内、例えば、Xの総重量を基準として約2wt.%~約10wt.%、約2wt.%~約7wt.%、約3wt.%~約7wt.%などである、実施形態69~78のいずれか1つに定義されるコポリマー。
【0203】
実施形態80.YのB1含有量は、本明細書に開示されるいずれかの重量百分率の範囲内、例えば、Yの総重量を基準として約3wt.%~約12wt.%、約4wt.%~約12wt.%、約3wt.%~約9wt.%などである、実施形態69~79のいずれか1つに定義されるコポリマー。