(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】電気プラグコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/11 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
H01R13/11 Z
(21)【出願番号】P 2018544890
(86)(22)【出願日】2016-02-26
(86)【国際出願番号】 EP2016000339
(87)【国際公開番号】W WO2017144072
(87)【国際公開日】2017-08-31
【審査請求日】2019-02-20
【審判番号】
【審判請求日】2020-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】506333314
【氏名又は名称】ローゼンベルガー ホーフフレクベンツテクニーク ゲーエムベーハー ウント ツェーオー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】特許業務法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル ペムヴィーザー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ツェプハウザー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン アンファング
【合議体】
【審判長】田村 嘉章
【審判官】尾崎 和寛
【審判官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-255676(JP,A)
【文献】特開2014-170647(JP,A)
【文献】特開2009-146836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/11
H01R 13/40-13/405
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空円筒状のハウジング(10)と、相手方コネクタ(100)との機械的および電気的接触を行うための、前記ハウジング(10)の内側に径方向に配置される、ケーシング壁(14)を有する中空円筒の形態のコンタクトスリーブ(12)とを備える電気プラグコネクタであって、弾性的に偏向可能で自由端(20)を有する少なくとも1つのコンタクトスプリング舌片(16)が、前記コンタクトスリーブ(12)の前記ケーシング壁(14)に配置され、前記自由端(20)が前記コンタクトスリーブ(12)の前記ケーシング壁(14)を越えて径方向内方に突出して前記相手方コネクタ(100)の電気的および機械的接触のためのコンタクト面(22)を形成するように構成される、電気プラグコネクタにおいて、
3つのリブ(24)が前記コンタクトスリーブの前記ケーシング壁(14)の外周に形成されて前記ケーシング壁(14)を越えて径方向外方に突出し、
前記コンタクトスリーブ(12)は前記3つのリブ(24)によってのみ前記ハウジング(10)に支持されており、前記3つのリブ(24)は、前記コンタクトスリーブ(12)の所定の軸方向部分にわたって、コンタクトスリーブ(12)に関して軸方向に延び、かつ、前記リブ(24)が前記コンタクトスリーブ(12)に関して周方向に互いに等距離で離隔している
ことを特徴とする、電気プラグコネクタ。
【請求項2】
各コンタクトスプリング舌片(16)が前記コンタクトスリーブ(12)の前記ケーシング壁(14)のU字形の切欠(18)によって形成されることを特徴とする、請求項1に記載の電気プラグコネクタ。
【請求項3】
前記リブ(24)の領域の前記コンタクトスリーブ(12)の外径が前記ハウジング(10)の内径よりも大きいことを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気プラグコネクタ。
【請求項4】
前記コンタクトスリーブ(12)が打ち抜き曲げ加工部品として製造されることを特徴とする、請求項1乃至3の少なくともいずれか一項に記載の電気プラグコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに係る、中空円筒状のハウジングと、相手方コネクタとの機械的および電気的接触を行うための、ハウジングの内側に径方向に配置される、ケーシング壁を有する中空円筒の形態のコンタクトスリーブとを備える電気プラグコネクタであって、弾性的に偏向可能で自由端を有する少なくとも1つのコンタクトスプリング舌片が、コンタクトスリーブのケーシング壁に配置され、自由端がコンタクトスリーブのケーシング壁を越えて径方向内方に突出して相手方コネクタの電気的および機械的接触のためのコンタクト面を形成するように構成される、電気プラグコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
プラグコネクタ、特に同軸プラグコネクタは、同軸ケーブルの取外可能な接続に用いられる。同軸プラグコネクタは、同軸ケーブルのように同軸に設計され、その結果、同軸ケーブルの利点、すなわち低い電磁影響や電磁放射、および、良好な電気遮蔽、ならびに、同軸プラグコネクタと同軸ケーブルとの間の遷移点での反射を回避するための同軸ケーブルのインピーダンスに対応するインピーダンスを呈する。同軸ケーブル(「coaxial cable」:短縮して「coax cable」とも称される)は、中空円筒状の外側導体によって一定距離で囲まれる内側導体(コアとも称される)を有する同心構造の2極ケーブルを意味すると理解される。外側導体は、電磁妨害放射に対して内側導体を遮蔽する。内側導体と外側導体との間の空間には、絶縁体または誘電体が配置される。
【0003】
同軸プラグコネクタは、RF信号の無反射伝送を保証するために所定の特性インピーダンス(例えば50Ω)を与えるように設計される。同軸プラグコネクタの特性インピーダンスは、とりわけ外側導体の内径と内側導体の直径との比によって決まる。そのため、同軸プラグコネクタへの同軸ケーブルの電気的接続は、同軸ケーブルの内径と外径とに適応した同軸プラグコネクタを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、外力の作用によって生じる損傷に対する耐性の観点から電気プラグコネクタを改良するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この課題は、請求項1の特色となる特徴を持つ前述の種類の電気プラグコネクタによって解決される。本発明の有利な態様については、その他の請求項に記載される。
【0006】
この目的のために、本発明によれば、前述の種類の電気プラグコネクタにおいて、少なくとも3つのリブがコンタクトスリーブのケーシング壁の外周に形成されてケーシング壁を越えて径方向外方に突出する。
【0007】
これには、相手方プラグコネクタが電気プラグコネクタに差し込まれたときに、斜め張力が相手方プラグコネクタに印加される場合、コンタクトスリーブがリブによってハウジングの内側に対して支持されるため、コンタクトスリーブまたは弾性のコンタクトスプリング舌片の損傷が効果的に防止されるという利点がある。
【0008】
各コンタクトスプリング舌片がコンタクトスリーブのケーシング壁のU字形の切欠によって形成されることで、製造が特に簡単なプラグコネクタが実現される。
【0009】
リブがコンタクトスリーブのケーシング壁に関して周方向に互いに等距離で離隔していることで、ハウジングの内側へのコンタクトスリーブの等距離で安定した支持が実現される。
【0010】
リブの領域のコンタクトスリーブの外径がハウジングの内径よりも大きいことで、リブの領域のコンタクトスリーブの弾性変形によって生じる復元力によるハウジングでのコンタクトスリーブの特に確実な保持が実現される。
【0011】
コンタクトスリーブが打ち抜き曲げ加工部品として製造されることで、簡単な製造が実現される。
【0012】
本発明について図面を参照してより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明に係る電気プラグコネクタの好適な実施形態を相手方プラグコネクタと相互に差し込まれたときの状態で断面図にて示す。
【
図2】
図2は、本発明に係る電気プラグコネクタのためのコンタクトスリーブの好適な実施形態を斜視図にて示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示される本発明に係る電気プラグコネクタの好適な実施形態は、中空円筒の形態で内部にコンタクトスリーブ12を収容するハウジング10を有する。コンタクトスリーブ12は、同様に中空円筒の形態であり、
図2により詳しく示される。
図1に見られるように、電気プラグコネクタは、相手方プラグコネクタ100との軸方向の差込接続によって、電気プラグコネクタと相手方プラグコネクタとの間の電気的および機械的接触が作成されるように設計される。この相手方プラグコネクタ100は、相互差込状態においてコンタクトスリーブ12の内側に面する外面110を有する。
【0015】
図2に見られるように、コンタクトスリーブ12は、ケーシング壁14と、ケーシング壁14に形成されて弾性的に偏向可能である3つのコンタクトスプリング舌片16とを有する。各コンタクトスプリング舌片16は、ケーシング壁14のU字形の切欠18によって形成されるため、形態が安定するように一方側でケーシング壁14と接続される。言い換えると、各コンタクトスプリング舌片16は、ケーシング壁14の一部であるものの、ケーシング壁14に対して相対的に変形する。したがって、各コンタクトスプリング舌片16は、電気コンタクト面22を形成する自由端20を有する。相手方プラグコネクタ100が差し込まれると、この電気コンタクト面22が相手方プラグコネクタ100の外面110と電気的および機械的に接触する。コンタクトスリーブ12は、全体が弾性導電材料で作られるのが好ましい。
【0016】
コンタクトスプリング舌片16は、無負荷状態においてそれらの自由端20がコンタクトスリーブ12のケーシング壁14を越えて径方向内方に突出するように設計される。相手方プラグコネクタ100が押し込まれると、コンタクトスプリング舌片16がコンタクトスリーブ12に関して径方向外方に相手方プラグコネクタ100の外面110との機械的接触によって弾性的に偏向し、その結果、接触力として電気コンタクト面22とともに相手方プラグコネクタ100の外面110との電気的接触を確立する弾性復元力が生じる。
【0017】
本発明によれば、例えば打ち抜き加工によって、コンタクトスリーブ12のケーシング壁14の外側にリブ24が径方向に形成されている。これらのリブ24は、コンタクトスリーブ12のケーシング壁14を越えて径方向外方に突出しており、結果として、ハウジング10の内壁26に対して位置するようになる(
図1)。図示の実施形態においては、コンタクトスリーブ12の所定の軸方向部分にわたって、コンタクトスリーブ12に関して軸方向に延びる3つのリブ24が設けられている。これらのリブ24は、コンタクトスリーブ12に関して周方向に互いに等距離で離隔している。すなわち、コンタクトスリーブ12に関して周方向に互いに隣り合う2つのリブ24は、120°の角度だけ周方向に互いにオフセットしている。この3つのリブ24の等距離分布によって、ハウジング10の内側でのコンタクトスリーブ12の位置が規定され、コンタクトスリーブ12がすべての方向に等しくハウジングに支持され得る。
【0018】
図1に示されるように、コンタクトスリーブ12の長手方向軸30に対して実質的に垂直な方向の斜め張力28が相手方プラグコネクタ100に作用する場合、コンタクトスリーブは、リブ24によってハウジング10に支持されるため、損傷を受けることはない。斜め張力28の印加による相手方プラグコネクタ100の偏向が防止されるため、これによってコンタクトスプリング舌片16の過伸張または損傷が防止される。ここで、3つのリブ24の等距離配置によって、斜め張力28が作用する径方向に関係なく支持の機能が保証されることが確実になる。言い換えると、ハウジング10とコンタクトスリーブ12と相手方プラグコネクタ100との同軸配置が斜め張力28の作用下においても実質的に維持される。
【0019】
そのため、本発明に係る電気プラグコネクタの電気的および機械的特性は、相手方プラグコネクタ100と相互に差し込まれたときに外力がプラグコネクタに作用する場合にも維持される。