(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置を提供するための方法、エアロゾル発生装置、およびかかる装置で使用する平坦なエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
A24F 47/00 20200101AFI20220114BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20220114BHJP
【FI】
A24F47/00
A24F40/42
(21)【出願番号】P 2018561535
(86)(22)【出願日】2017-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2017062628
(87)【国際公開番号】W WO2017202965
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-05-22
(32)【優先日】2016-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】エメット ロバート ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】リーヴェル トニー
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-532828(JP,A)
【文献】国際公開第2016/005601(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/050873(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/113702(WO,A1)
【文献】特開平02-286069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
A24F 40/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状変形可能なエアロゾル形成基体を使用するエアロゾル発生装置を提供するための方法であって、
-成形キャビティを備える装置ハウジングを備えるエアロゾル発生装置を提供する工程であって、前記成形キャビティが、成形型の第一の成形型半部と第二の成形型半部との間にある
平坦でない成形空間に少なくとも部分的に対応し、前記第一の成形型半部および前記第二の成形型半部が前記装置ハウジングの内表面である工程と、
-前記装置ハウジングを開いて、それによって前記第一および第二の成形型半部を開く工程と、
-前記成形キャビティに押し込まれた時に形状を変化させるように適合され、前記成形型を閉じた時に前記成形型内で前記平坦でない成形空間に対応する形状を有する平坦でないエアロゾル形成基体へと変形される、平坦なエアロゾル形成基体を提供する工程とを含む、方法。
【請求項2】
前記エアロゾル発生装置の側面内および長さに沿って前記成形キャビティを提供する工程をさらに含み、平坦でないエアロゾル形成基体へと変形されるように適合された前記平坦なエアロゾル形成基体が、変形後に前記平坦でない物品が
一般平面に沿って延び、追加的に
前記一般平面と直角を成す方向に延びるように、
前記一般平面に延びる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1~2のいずれか一項に記載の方法であって、
-リッド部分を備える前記装置ハウジングを提供する工程であって、前記装置ハウジングが第一の内表面を備え、前記リッド部分が第二の内表面を備え、
前記第一および第二の内表面が、一連の凹面の形状を含む形態の前記
平坦でない成形空間を備える前記第一および第二の成形型半部を形成し、前記平坦なエアロゾル形成基体が、前記
平坦でない成形空間内で一連の凹面の形状を含む平坦でないエアロゾル形成基体へと変形されるように適合されている工程を含む、方法。
【請求項4】
前記平坦でないエアロゾル形成基体が、複数の平坦でないエアロゾル形成サブ基体に分割されるように適合されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
エアロゾル形成基体を受けるための成形キャビティを備える装置ハウジングを備えるエアロゾル発生装置であって、
前記成形キャビティが成形型の第一成形型半部と第二の成形型半部との間の成形空間に少なくとも部分的に対応し、前記第一の成形型半部および前記第二の成形型半部が前記装置ハウジングの内表面であり、
開いた装置ハウジングに相当する前記成形型が開いた状態において、前記エアロゾル発生装置が、前記第一の成形型半部と第二の成形型半部の間に平坦なエアロゾル形成基体を受けるように適合され、
閉じた装置ハウジングに相当する前記成形型が閉じた状態において、前記第一の成形型半部と第二の成形型半部の間にある前記成形空間が平坦でない形状を有し、
前記型が閉じられると、前記第一の成形型半部および第二の成形型半部が、前記第一の成形型半部と第二の成形型半部の間に供給された平坦なエアロゾル形成基体を、前記成形型内で前記平坦でない成形空間に対応する形状を有する平坦でないエアロゾル形成基体へと変形するよう適合されている、エアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記キャビティが、前記エアロゾル発生装置の側面内および長さに沿って配置され、
前記装置ハウジングがリッド部分を備え、
前記第一の成形型半部が前記リッド部分の第一の内表面を形成し、および第二の成形型半部が前記装置ハウジングの第二の内表面を形成し、
前記リッド部分の閉位置において、前記型が閉じた状態にあり、前記成形型半部間に
前記平坦でない成形空間を形成し、
前記第一の成形型半部および第二の成形型半部が、前記リッド部分の閉鎖に伴い、前記第一の成形型半部と第二の成形型半部との間に供給された平坦なエアロゾル形成基体を、前記平坦でない成形空間に対応する形状を有する平坦でないエアロゾル形成基体へと変形するように適合されている、請求項5に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記第一の成形型半部または第二の成形型半部のうちの少なくとも一つが一連の凹面の形状を備える、請求項5~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記第一の成形型半部および前記第二の成形型半部が、対応する起伏のある形状を備える、請求項7に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
気流チャネルが前記装置ハウジングの長軸方向に沿った前記キャビティを通して提供される、請求項5~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
複数の気流チャネルが前記キャビティを通して提供され、それぞれの気流チャネルが、前記複数の気流チャネルのそれぞれの前記気流チャネルを開閉するための弁を備える空気吸込み口を有する、請求項9に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
成形型半部を形成する内表面には、
複数の開口部が提供された前記成形型半部の前記内表面を通してエアロゾルが前記成形型を離れることを可能にする複数の開口部が提供されている、請求項5~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
請求項5~11のいずれかに記載のエアロゾル発生装置で使用する平坦なエアロゾル発生物品であって、前記平坦なエアロゾル発生物品が、エアロゾル形成基体と、エアロゾルが前記層内を流れるように適合された開放層とを備える少なくとも一つの層を含む層状構造を備え
、前記平坦なエアロゾル発生物品は、前記エアロゾル発生装置の前記成形型の閉鎖の際に、平坦でない形状へと変形可能である、平坦なエアロゾル発生物品。
【請求項13】
前記平坦な物品
が、波形形状、または部分的なロッド形状を
含む形状へと変形可能である、請求項12に記載の平坦なエアロゾル発生物品。
【請求項14】
エアロゾル発生システムのためのキットであって、
-エアロゾル発生装置が成形キャビティを備える装置ハウジングを備え、前記成形キャビティが成形型の第一の成形型半部と第二の成形型半部との間の
平坦でない成形空間に少なくとも部分的に対応し、前記第一の成形型半部および前記第二の成形型半部が前記装置ハウジングの内表面であり、前記成形型が長軸方向の成形型延長部および横方向の成形型延長部を有し、
-平坦なエアロゾル発生物品が、長軸方向の基体延長部および横方向の基体延長部を有する平坦なエアロゾル形成基体を備え、
前記平坦なエアロゾル発生物品が、前記装置ハウジングの前記第一の成形型半部と第二の成形型半部との間の前記成形キャビティ内に取り付けられるように構成され、かつ前記成形型が閉じられた時に、前記成形型内で前記平坦でない成形空間に対応する形状を有する平坦でないエアロゾル形成基体へと変形されるように構成され、
前記横方向の基体延長部が前記横方向の成形型延長部よりも大きいか、または前記長軸方向の基体延長部が前記長軸方向の成形型延長部よりも大きい、キット。
【請求項15】
前記エアロゾル形成基体が、前記成形型の長さよりも長い長さを有するか、または前記成形型の幅よりも大きい幅を有する長方形の形状を有する、請求項14に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状変形可能なエアロゾル形成基体を使用するエアロゾル発生装置を提供するための方法、およびかかる装置で使用する平坦なエアロゾル発生物品に関する。本発明はまた、エアロゾル発生装置と平坦なエアロゾル発生物品を備えるエアロゾル発生システムのためのキットに言及する。
【背景技術】
【0002】
燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル形成基体を使用する様々なエアロゾル発生装置が周知である。こうした装置で使用されるエアロゾル形成基体は典型的に、一般的な喫煙物品の形状を模倣し、大きい気化表面を提供するロッド形状を有する。しかし、これらの基体、または基体を備える物品は、貯蔵のために最適化されていない。
【0003】
それ故、貯蔵のために小さいスペースしか必要とせず、かつエアロゾル形成のために大きい表面を提供するエアロゾル発生物品を有することが望ましいことになる。こうした物品を使用するために適合されるエアロゾル発生装置、およびこうした物品を使用するエアロゾル発生装置を提供するための方法を有することも望ましいことになる。
【発明の概要】
【0004】
従って、本発明により、形状変形可能なエアロゾル形成基体を使用するエアロゾル発生装置を提供するための方法が提供されている。方法は、成形キャビティを備える装置ハウジングを備えるエアロゾル発生装置を提供する工程を含む。成形キャビティは、成形型の第一の成形型半部と第二の成形型半部の間の成形空間に少なくとも部分的に対応し、第一の成形型半部および第二の成形型半部は装置ハウジングの内表面である。方法は、成形キャビティの中へと押し込まれ、かつ平坦でないエアロゾル形成基体へと変形された時、変形するように適合された平坦なエアロゾル形成基体を提供する工程をさらに含む。方法は、装置ハウジングを開放する工程であって、それによって第一の成形型半部と第二の成形型半部を開く工程と、平坦なエアロゾル形成基体を第一の成形型半部と第二の成形型半部の間に位置付ける工程とを含んでもよい。なおさらなる工程は、装置ハウジングを閉鎖することを含んでもよく、それによって第一の成形型半部と第二の成形型半部を閉鎖し、かつそれによって平坦なエアロゾル形成基体を平坦でないエアロゾル形成基体へと変形する。平坦でないエアロゾル形成基体は、成形型の閉鎖の際に、成形型内で平坦でない成形空間に対応する形状を有することが好ましい。
【0005】
平坦なエアロゾル形成基体が提供されており、これは製造する上で、およびスペースを節約できる方法で積み重ねて貯蔵する上で、簡単でありコスト効果が高い。個々の包装が簡素化され、これは製品をより長い間新鮮に保つ場合があり、また輸送中の損傷を減らす場合がある。特に、エアロゾル形成基体は、たばこ含有エアロゾル形成基体であってもよく、固体のたばこ含有エアロゾル形成基体であることが好ましい。
【0006】
平坦な形状から平坦でない形状(例えば、三次元的な幾何学的形態)への、エアロゾル形成基体の形状の変形可能性は、好ましくはエアロゾル形成基体の総表面または総量を減らすことなく小さい装置の製造を容易にする場合がある。変形可能性に起因して、エアロゾル形成基体を受け入れるために提供される比較的小さい成形キャビティ内でさえ、平坦な基体は、気化される物質に対して大きい場合があり、また大きい表面積を提供する場合がある。平坦な基体は、装置自体の寸法よりも大きい、例えばエアロゾル形成基体を受け入れるための成形キャビティの寸法よりも大きい、または成形型の寸法よりも大きい寸法を有することが好ましい。例えば、平坦な基体は、装置ハウジングの直径または横方向の延長部よりも大きい幅または長さまたは直径、もしくは成形キャビティの幅または長さまたは直径よりも大きい幅または長さまたは直径、もしくは成形型の直径または幅または長さよりも大きい幅または長さまたは直径を有してもよい。
【0007】
方法は、エアロゾル発生装置の側面内および長さに沿って成形キャビティを提供する工程を含むことが好ましい。従って、装置の一部分または実質的に全長は、エアロゾル形成基体を受けるように使用されうる。こうした成形キャビティは、非常に費用効率の高い方法で製造されて、無駄を非常に少なくしうる、エアロゾル形成基体の平坦な細片の使用を可能にする。平坦なエアロゾル形成基体は、側面に配置された成形キャビティ内に、かつ装置の長さに沿って配置されうる。
【0008】
平坦な基体は基本的に、実質的に二次元的であると見なされてもよく、基体の厚さを理論上無視してもよい。「平坦な」基体または「平坦な」物品という用語は本明細書全体を通して、実質的に二次元の位相幾何学的マニホールドの形態である基体または物品を意味するために使用される。従って、平坦な基体または平坦な物品は、表面に沿った二つの寸法が第三の寸法よりも実質的に長く延びる。特に、その表面内での二つの寸法での平坦な基体または平坦な物品の寸法は、表面に対して垂直な第三の寸法の少なくとも5倍である。平坦な基体または平坦な物品の例は、二つの実質的に平行な想像上の表面間の構造であって、これらの二つの想像上の表面間の距離は、その表面内の延長部よりも実質的に小さい。平坦な基体、または基体を備える平坦な物品は、平面状であることが好ましい。
【0009】
装置を準備する際の基体の変形を通して、平坦な基体は装置の成形型内でその最終的な平坦でない形状へと成形される。成形プロセスによって、平坦な基体は変形され、かつ形作られて第三の寸法へと延びる。従って平坦な基体の横方向の延長部は、第三の寸法での延長に有利になるように縮小される。成形型半部を閉鎖する際に、その変形に起因する平坦な基体の横方向の寸法の縮小は、成形型の中へ、または成形キャビティの中へ、または装置の中へさえも、それぞれ嵌合すると思われるよりも大きい基体の使用を可能にする。
【0010】
平坦なエアロゾル形成基体の厚さは、0.2ミリメートル~6ミリメートルの範囲内であってもよく、0.5ミリメートル~4ミリメートル、例えば0.2ミリメートル~2ミリメートル、または0.4ミリメートル~4ミリメートルであることが好ましい。
【0011】
本明細書を通して値が述べられる時はいつでも、その値が明示的に開示されることが理解される。しかし、値は技術的考慮のために厳密に特定の値ではなくてもよいことも理解される。
【0012】
エアロゾル形成基体またはエアロゾル発生物品は、平坦でない形状に変形可能となるような順応性を備える。基体および物品は、変形の際に破断または破壊しないような順応性を備えることが好ましい。変形は、基体または物品をそれ自体の上に折り畳むことを除外することが好ましい。基体は成形の際に135度を超えて折り畳まれないことが好ましく、成形型内で成形される際に90度を超えて折り畳まれないことがより好ましい。
【0013】
平坦な基体は、単一のエアロゾル形成基体シートの形態で提供されうる。装置の成形型内では、単一のシートは三次元的幾何学的形態へと変形されてもよく、例えば円錐様の形状、起伏ある波形シート、または中空のもしくは中実のロッド(複数可)へと変形されてもよい。
【0014】
平坦なエアロゾル形成基体は、変形後の平坦でない基体が依然として、一般平面に沿って、かつ追加的に一般平面と直角を成す方向に延びるように、一般平面に延び、かつ変形可能であってもよい。
【0015】
一般平面に沿って延びることは、平坦でない基体が厳密に一般平面内に延びうるだけでなく、実質的に一般平面内に延びてもよいことを意味し、ここで基体の一部は一般平面と直角を成す第三の寸法で一般平面から逸脱する。
【0016】
平坦な基体の厚さが平坦な基体の第三の寸法での基部の延長部であると見なされる場合、変形後の平坦でない基体は、基部の寸法の少なくとも2倍、例えば基部の延長部の2~5倍、第三の寸法へと延びることが好ましい。一部の例において、平坦でない基体は、基部の延長部の5倍を超えて、例えば5~8倍、第三の寸法へと延びうる。
【0017】
エアロゾル形成基体は、好ましくは成形型内に配置された発熱体に対して押し付けられるので、装置を使用のために準備する際のエアロゾル形成基体の成形はまた、非常に効率的な加熱を保証する。
【0018】
本発明による方法は、リッド部分を備える装置ハウジングを提供するさらなる工程を含みうる。装置ハウジングは第一の内表面を備え、リッド部分は第二の内表面を備える。第一の内表面および第二の内表面は、一連の凹面形状を含む形態の成形空間を有する第一の成形型半部および第二の成形型半部を形成する。従って、平坦なエアロゾル形成基体は成形空間内で、一連の凹面の形状を備える平坦でないエアロゾル形成基体へと変形されるように適合されてもよい。一連の凹面の形状は、例えば第一の成形型半部上に、または第二の成形型半部上に、または両方の成形型半部上に提供されうる。例えば、平坦な物品は、波状シートへと変形、または波形シートへと変形、または並列に配置された一連の管またはロッドを備える基体へと変形されうる。平坦なエアロゾル形成基体は、例えば一連の凹面の形状を備える成形キャビティ内で、複数の平坦でないエアロゾル形成サブ基体に分割されるように適合されてもよい。
【0019】
一連の凹面の形状を備える形状を形成することは、成形型の長軸方向または横方向の延長部よりも大きい、さらにおそらくは装置内のエアロゾル形成基体を受けるための成形キャビティの長軸方向または横方向の延長部よりも大きい、長軸方向または横方向の基体延長部を有する大きい平坦なエアロゾル形成基体の使用を容易にする。変形した基体は波形形状を有することができ、この形状は、エアロゾル形成において効率が良いことや、エアロゾル発生装置での使用や取り扱いの便利さが証明されている。変形した基体は、例えば幾つかの管を含む形状を有してもよい。この形状は、基体の部分のみの選択的加熱およびエアロゾル形成において効率が良いことが証明されている。
【0020】
こうした基体の形態は、非常に効率の良い方法で、例えば基体の全長または全幅に沿って加熱されてもよい。こうした基体の形態はまた、単純な方法で(例えば、ユーザーが使用済みの基体に触れる必要なく)装置から取り出されてもよい。
【0021】
加えて、方法は、マウスピースおよび本体部分を含む周知の設定を有する装置の製造を可能にし、ここでマウスピース内での気流の形成または管理は、装置で使用されるエアロゾル発生物品とは独立して保たれてもよい。従って、それぞれエアロゾル形成基体またはエアロゾル発生物品を受けるための成形キャビティへのアクセスを提供する、装置を開くためのリッドは、本体部分のみに提供されてもよい。ところが、装置は、例えば一つの部品内にデザインされてもよく、この場合、リッドは、おそらくは装置のマウスピース部分内に延びるか、またはその一部である装置ハウジング内に配置される。
【0022】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾルを生成するためのエアロゾル形成基体との相互作用のために構成された装置を説明するために使用される。エアロゾル発生装置は手持ち式装置であってもよい。エアロゾル発生装置は、ユーザーによってユーザーの口を通して直接吸入可能なエアロゾルを生成するための吸煙装置であることが好ましい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品を使用するために、特に本発明による、および本明細書に記載のエアロゾル発生物品を使用するために構成されていることが最も好ましい。
【0023】
装置内の加熱は、ハウジング内で、例えば本体部分またはリッド部分内で提供されてもよい。加熱は、例えば抵抗加熱であってもよく、または誘導加熱であってもよい。加熱は、第一の成形型半部を加熱するために提供されてもよく、または第二の成形型半部を加熱するために提供されてもよい。加熱は、例えば成形型半部のいずれの中に組み込まれてもよい。加熱は、装置ハウジング内で、好ましくは装置の本体部分内で提供されることが好ましい。エアロゾル形成基体を加熱するために、一つのまたは幾つかの発熱体が提供されてもよい。基体セクションの選択的な加熱、例えば個別の加熱、好ましくは逐次的な加熱のために、幾つかの発熱体が提供されてもよい。
【0024】
本発明によると、エアロゾル形成基体を受け入れるための成形キャビティを備える装置ハウジングを備えるエアロゾル発生装置も提供されている。成形キャビティは、成形型の第一の成形型半部と第二の成形型半部の間の成形空間に少なくとも部分的に対応する。第一の成形型半部および第二の成形型半部は装置ハウジングの内表面である。成形型の開放状態(この開放状態は開放した装置ハウジングに対応する)において、エアロゾル発生装置は平坦なエアロゾル形成基体を第一の成形型半部と第二の成形型半部の間に受け入れるように適合されている。成形型の閉鎖された状態(この閉鎖された状態は閉鎖された装置ハウジングに対応する)では、第一の成形型半部と第二の成形型半部の間の成形空間は、平坦でない形状を有する。
【0025】
第一の成形型半部および第二の成形型半部は、対応する形状を有してもよく、例えば装置ハウジングの内表面は、第一の成形型半部がくぼみであってもよく、かつ第二の成形型半部が帝王して形成された突出部であってもよいように形成されてもよく、またはその逆も可である。第一の成形型半部および第二の成形型半部は同一の形状を有してもよい。例えば、第一の成形型半部はくぼみであってもよく、また第二の成形型半部もくぼみであってもよい。
【0026】
第一の成形型半部と第二の成形型半部は、第一の成形型半部と第二の成形型半部の間に供給された平坦なエアロゾル形成基体を、装置ハウジングの閉鎖と直接的に相互に関係することが好ましい成形型の閉鎖の際に、成形型内の平坦でない成形空間に対応する形状を有する平坦でないエアロゾル形成基体へと変形するように適合されている。
【0027】
第一の成形型半部または第二の成形型半部のうちの一つは、変形された平坦でないエアロゾル形成基体を加熱するための発熱体を備えてもよい。
【0028】
装置ハウジングは、エアロゾル形成基体を受けるための成形キャビティを備えうる。成形キャビティは、エアロゾル発生装置の側面内および長さに沿って配置されうる。装置ハウジングは、成形キャビティへのアクセスを提供するリッド部分をさらに備えうる。
【0029】
第一の成形型半部は、リッド部分の第一の内表面を形成し、第二の成形型半部は、装置ハウジングの第二の内表面を形成する。リッド部分の閉位置において、成形型は閉じた状態にあり、成形型半部の間に平坦でない成形空間を形成する。第一および第二の成形型半部は、第一の成形型半部と第二の成形型半部の間に供給された平坦なエアロゾル形成基体を、リッド部分の閉鎖に伴い、平坦でない成形空間に対応する形状を有する平坦でないエアロゾル形成基体へと変形するように適合されている。
【0030】
第一または第二の成形型半部のうちの少なくとも一つは、一連の凹面の形状を備えうる。第一および第二の成形型半部は、一連の凹面の形状を備えうる。第一および第二の成形型半部は、対応する起伏のある形状を備えうる。第一および第二の成形型半部は、平坦なエアロゾル形成基体が本体部分のリッドの閉鎖に伴い、例えば波状シートへと変形、または波形シートへと変形、または並列に並べられた一連のロッドへと変形されるように形成されてもよい。管状の領域は、個別の管を形成して、個別の気流が管を通過することを可能にするように、成形中に摘み取られる。基体は、共通の気流が基体全体を通る単一のユニットのままでもよい。
【0031】
一連の凹面の形状は、装置ハウジングの長軸方向軸に平行または直角を成して配置されうる。
【0032】
平坦なエアロゾル形成基体が一連の管またはロッドへと変形される場合、ロッドの長軸方向軸は、成形キャビティの長軸方向軸に平行、かつ装置ハウジングの長軸方向軸に平行であることが好ましい。
【0033】
平坦なエアロゾル形成基体が波状シートまたは起伏のあるシートへと変形される場合、シートの波形および起伏は、装置ハウジングの長軸方向軸に直角を成すことが好ましい。
【0034】
装置のさらなる態様は、本発明による方法に関連して説明してきたため繰り返さない。
【0035】
気流チャネルは成形キャビティを通して提供されてもよく、装置ハウジングの長軸方向に沿って、特に成形キャビティの長軸方向の延長に沿って提供されることが好ましい。気流チャネルは、成形型を通過するように、例えば第一の成形型半部と第二の成形型半部の間を通過するように提供されてもよい。気流チャネルは、成形型のみを通過するように提供されてもよい。
【0036】
成形キャビティを通して、特に成形型を通して、複数の気流チャネルが提供されてもよい。
【0037】
気流チャネルは、例えば他の成形型半部よりも狭い成形型半部を提供することによって実現されうる。よって、より狭い成形型半部とくぼみ壁の間の空間は、気流チャネルの役目を果たしうる。気流チャネルは、例えばリブ付きの成形型半部を提供することによって実現されうる。リブは、例えば成形キャビティの長軸方向に配置されうる。よって、リブ間の空間は、成形型を通る気流チャネルの役目を果たしうる。こうした実施形態は、成形型を通る気流の促進と、対応する成形型半部を同じサイズに保つこととを可能にする。
【0038】
複数の気流チャネルのそれぞれの気流チャネルは、複数の気流チャネルのそれぞれの気流チャネルを開閉するための弁を備える空気吸込み口を有しうる。複数の気流チャネルのそれぞれの気流チャネルのそれぞれの空気吸込み口は、個別に開閉されうることが好ましい。個別の気流チャネルは、例えば空気またはエアロゾルがエアロゾル形成基体の一部分のみを通過するように、例えば一連の管またはロッドの個別の管またはロッドを通過するように提供されうる。
【0039】
エアロゾル発生装置において、成形型半部を形成する内表面は、複数の開口部を有して提供されてもよい。複数の開口部は、複数の開口部が提供された成形型半部の内表面を通ってエアロゾルが成形型を離れることを可能にする。複数の開口部は、例えば微穿孔または多孔性材料の形態で提供されてもよい。成形型半部を形成する内表面内の複数の開口部は、成形型内の基体の加熱によって形成されたエアロゾルが成形型を離れるための、および気流が成形型を通過するための実質的に唯一の経路でありうる。しかしながら、成形型または成形キャビティの中へと空気を入らせるために、およびエアロゾルと空気を成形型から離れさせるために、成形型内または成形型を備える成形キャビティ内にさらなる気流チャネルが配置されてもよい。
【0040】
一つまたは幾つかの気流チャネル、または開放している成形型表面は、成形型または成形キャビティを気流が通過するように提供されてもよい。しかし、エアロゾル形成基体にわたる気流を増大して、スペースを拡大するために、または十分な量のエアロゾルが装置の下流で運ばれている間に気流経路へと放出されることを可能にするために、一つまたは幾つかの気流チャネルまたは開放している成形型表面が提供されてもよい。
【0041】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を成形キャビティ内または成形型内にそれぞれ整列するための整列要素を備えうる。
【0042】
装置には、リッドの確実な開閉を可能にする閉鎖要素が提供されうる。リッドは、例えばヒンジおよびリッドによって装置ハウジングに接続されることができ、ハウジングはファスナー、例えば形状結合、クランプ、磁気ファスナーまたはスナップフィットを備えうる。
【0043】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、吸入可能なエアロゾルを形成するための揮発性物質を放出できる基体を意味する。エアロゾル形成基体は加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含んでもよい。特に、エアロゾル形成基体は、たばこ含有エアロゾル形成基体であってもよく、固体のたばこ含有エアロゾル形成基体であることが好ましい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0044】
エアロゾル形成基体は、例えば薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこ、および膨化たばこのうちの一つ以上を含有する粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ撚糸、細片またはシートのうちの一つ以上を含んでもよい。
【0045】
随意に、エアロゾル形成基体は、そのエアロゾル形成基体の加熱に伴い放出される、追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含有してもよい。エアロゾル形成基体はまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むマイクロカプセルも含んでもよく、またこうしたマイクロカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶けてもよい。
【0046】
エアロゾル形成基体は、所望の形状の平坦な一片のエアロゾル形成基体へと形成された、または切断された均質化したたばこ材料のシートを備えてもよい。
【0047】
エアロゾル形成基体は実質的にディスク形状であってもよい。エアロゾル形成基体は実質的に長方形であってもよい。
【0048】
たばこ含有スラリー、およびたばこ含有スラリーから作られるエアロゾル形成基体を形成するたばこシートは、たばこ粒子、繊維粒子、エアロゾル形成体、結合剤、および例えば風味も含む。
【0049】
エアロゾル形成たばこ基体は、たばこ材料、繊維、結合剤、およびエアロゾル形成体を含むたばこシートであることが好ましい。たばこシートはキャストリーフであることが好ましい。キャストリーフは、たばこ粒子、繊維粒子、エアロゾル形成体、結合剤、および例えば風味も含むスラリーから形成される、再構成たばこの一形態である。
【0050】
たばこ粒子は、所望のシート厚さおよびキャスティングギャップに応じて、30マイクロメートル~250マイクロメートル程度、好ましくは30マイクロメートル~80マイクロメートル程度、または100マイクロメートル~250マイクロメートル程度の粒子を有するたばこダストの形態のものであってもよく、そのキャスティングギャップによってシート厚さが規定されることが典型的であり、エアロゾル発生物品の厚さ、または折り畳まれた物品の場合にはエアロゾル発生物品の厚さの半分に対応することが好ましい。
【0051】
繊維粒子には、たばこの幹材料、茎、または他のたばこ植物材料、および他のセルロース系繊維(低リグニン含量の木質繊維など)が含まれ得る。繊維粒子は、低含有率、例えばおよそ2パーセント~15パーセントの含有率に対して十分な引張強さをシートにもたらすという要求に基づいて選択されてもよい。別の方法として、植物繊維などの繊維を上述の繊維粒子とともに、または代わりに使用してもよく、これには大麻および竹が含まれる。
【0052】
キャストリーフを形成するためのスラリーに含まれるエアロゾル形成体は、一つ以上の特性に基づいて選ばれてもよい。機能的には、エアロゾル形成体は、そのエアロゾル形成体の特定の揮発温度を超えて加熱された時、そのエアロゾル形成体を揮発させて、かつニコチンまたは風味剤または両方をエアロゾルの状態で運ぶことを可能にする機構を提供する。異なるエアロゾル形成体は通常、異なる温度で気化する。エアロゾル形成体は、例えば室温または室温近くで安定性を保つが、より高い温度、例えば40℃~450℃で揮発することができるその能力に基づいて選ばれてもよい。エアロゾル形成体はまた、基体がたばこ粒子を含むたばこ由来の製品で構成されている時にエアロゾル形成基体内に望ましいレベルの水分を維持するのに役立つ、湿潤剤タイプの特性も有してもよい。特に、一部のエアロゾル形成体は、湿潤剤として機能する吸湿性材料、すなわち湿潤剤を含有する基体を湿った状態に保つのに役立つ材料である。
【0053】
一つ以上のエアロゾル形成体を組み合わせて、その組み合わせたエアロゾル形成体の一つ以上の特性を利用してもよい。例えば、有効成分を運ぶトリアセチンの能力とグリセロールの保湿性を利用するためにトリアセチンをグリセロールおよび水と組み合わせてもよい。
【0054】
エアロゾル形成体はポリオール、グリコールエーテル、ポリオールエステル、エステル、および脂肪酸から選択されてよく、また以下の化合物、すなわちグリセロール、エリスリトール、1,3-ブチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、プロピレンカーボネート、ラウリン酸エチル、トリアセチン、メソ-エリスリトール、ジアセチン混合物、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、バニリン酸エチル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、およびプロピレングリコールのうちの一つ以上を含んでよい。
【0055】
基体を形成するエアロゾル形成基体またはエアロゾル形成スラリーは、蝋または脂肪を含有してもよく、この蝋または脂肪は、固体エアロゾル形成基体からの低い温度でのエアロゾル形成物質の放出のために添加される。一部の蝋または脂肪は、これらの蝋または脂肪を含有する固体基体からエアロゾル形成体が放出される時の温度を下げる能力で知られている。
【0056】
たばこ含有スラリーは均質化したたばこ材料を含み、またエアロゾル形成体としてグリセロールまたはプロピレングリコールを含むことが好ましい。エアロゾル形成基体は上述の通り、たばこ含有スラリーでできていることが好ましい。
【0057】
本発明によると、エアロゾル発生装置で使用する平坦なエアロゾル発生物品、特に本発明による、および本明細書に記載のエアロゾル発生装置で使用する平坦なエアロゾル発生物品がさらに提供されている。平坦なエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を含む少なくとも一つの層を含む層状構造を備える。物品は、エアロゾルが層内を流れるように適合された開放層をさらに備える。
【0058】
特に、エアロゾル形成基体は、たばこ含有エアロゾル形成基体であってもよく、固体のたばこ含有エアロゾル形成基体であることが好ましい。
【0059】
開放層は多孔性層であってもよい。開放層は、層内を流れるエアロゾルおよびおそらくは気流の所定の一般的な流れ方向を含むことが好ましい。エアロゾルは、物品の長軸方向、半径方向、または中央方向に沿って流されることが好ましい。エアロゾル形成基体層から蒸発したエアロゾルは、開放層内および基体層の輪郭をたどって流れることが好ましい。開放層の所定の一般的な流れ方向は、気体状の流体、典型的にはエアロゾル、空気、蒸発した物質、またはエアロゾル含有空気を、エアロゾル発生装置の出口の方向へ、例えばマウスピースまたは装置の出口開口部の方向へと導く場合がある。開放層は、例えばオープンセル構造を備える発泡体またはセルロースタイプの材料でできていてもよい。
【0060】
開放層は、平坦でない形状へと変形した後でも、エアロゾルが物品を通過することを可能にする。
【0061】
開放層はエアロゾル形成基体を含まないこと、特にたばこを含まないことが好ましい。すなわち、開放層は、非エアロゾル形成開放層またはエアロゾル形成基体を含まない開放層、特にたばこを含まない開放層であることが好ましい。同様に、開放層はエアロゾル形成基体でできていないこと、特にたばこでできていないことが好ましい。
【0062】
層状構造のさらなる層は、エアロゾル形成基体を含む少なくとも一つの層を覆う保護層であってもよい。保護層は、基体から蒸発した物質に対して透過性であってもよく、また典型的には物品の使用前に取り除かれない。保護層は、例えば平坦なエアロゾル発生物品の頂部層および底部層の形態の紙巻たばこ用紙などの紙の層であってもよい。
【0063】
層状構造は、さらなるエアロゾル形成基体層を備えてもよい。
【0064】
平坦な物品は物品の積み重ねを容易にし、かつ物品の貯蔵と輸送を単純化する。平坦なエアロゾル発生物品またはエアロゾル発生物品の積み重ねは、物品(複数可)の使用の前に取り除かれる包装で包まれる。
【0065】
平坦なエアロゾル発生物品は、平坦でない形状へと、好ましくは波形形状または少なくとも部分的なロッド形状を含む形状へと変形可能である。こうした部分的ロッド形状は、凹面または凸面の側面、円形または楕円形の断面など、丸い形状を有することが好ましいが、長方形の側面または長方形の断面など、角のある形状も有しうる。物品の好ましい平坦でない形状は、起伏のあるシート、波形を備えるシート、または相互に接続されているかまたは切り離された一連の管またはロッドへと形成されたシートである。
【0066】
平坦な物品は長方形の形状を有することが好ましい。長方形の平坦な物品は、例えば長さが30ミリメートル~100ミリメートルの範囲であってもよく、40ミリメートル~80ミリメートルであることが好ましく、また幅が5ミリメートル~40ミリメートルの範囲であってもよく、10ミリメートル~20ミリメートルであることが好ましい。
【0067】
エアロゾル発生システムは、本発明による、および本明細書に記載の装置ハウジングを備えるエアロゾル発生装置を備えてもよい。システムは、形状変形可能なエアロゾル発生物品をさらに備える。システムの準備状態において、変形可能なエアロゾル発生物品は平坦なエアロゾル形成基体を備える。システムが使用される準備が完了した状態において、システムは、第一の成形型半部および第二の成形型半部を形成する装置ハウジング部品の間での平坦なエアロゾル発生物品の変形を通して変形された平坦でないエアロゾル形成基体を備える平坦でないエアロゾル発生物品を備える。装置ハウジング部品を組み立てることによって、第一の成形型半部と第二の成形型半部が閉鎖され、基体が成形されることが好ましい。形状変形可能なエアロゾル発生物品は、本発明による、および本明細書に記載の平坦なエアロゾル発生物品であってもよいが、単一のエアロゾル形成基体シートであってもよい。
【0068】
本発明によると、エアロゾル発生システムのためのキットがなおさらに提供されている。キットは、成形キャビティを備える装置ハウジングを備えるエアロゾル発生装置を備える。成形キャビティは、成形型の第一の成形型半部と第二の成形型半部の間の成形空間に少なくとも部分的に対応する。第一の成形型半部および第二の成形型半部は装置ハウジングの内表面である。成形型は、長軸方向の成形型の延長部、および横方向の成形型の延長部を有する。キットは、長軸方向の基体の延長部および横方向の基体の延長部を有する平坦なエアロゾル形成基体を備える平坦なエアロゾル発生物品をさらに備える。平坦なエアロゾル発生物品は、装置ハウジングの第一の成形型半部と第二の成形型半部の間の成形キャビティ内に取り付けられるように構成され、かつ平坦でないエアロゾル形成基体へと変形されるように構成されている。その中で、横方向の基体の延長部は横方向の成形型の延長部よりも大きい、または長軸方向の基体の延長部は長軸方向の成形型の延長部よりも大きい。平坦でないエアロゾル形成基体は、成形型の閉鎖の際に、成形型内で平坦でない成形空間に対応する形状を有することが好ましい。
【0069】
長軸方向の成形型の延長部は、装置の長軸方向で見られ、また横方向の成形型の延長部は、装置の横方向で見られる。
【0070】
エアロゾル形成基体は、例えば実質的に長方形の形態を有してもよく、また装置ハウジングの成形キャビティの中へと挿入されるように適合されてもよい。成形型の間の成形プロセスを通して、基体の長さまたは幅または長さと幅は、それによって低減され、その結果、基体の本来の長さまたは幅または長さと幅は、成形型の長さまたは幅よりも大きい場合がある。これらの実施形態において、装置の構造的な理由により、基体は成形キャビティより大きくないことが好ましい。
【0071】
成形キャビティは、装置ハウジングの側面内および長さに沿って配置されることが好ましい。
【0072】
装置はマウスピース部分および本体部分を備えてもよい。成形キャビティは、リッド部分を含む本体部分に配置されることが好ましい。
【0073】
エアロゾル形成基体は長方形の形状を有することが好ましい。長方形の基体は、成形型の長さよりも長い長さを有すること、または成形型の幅よりも大きい幅を有することが好ましい。長方形の基体の長さは、エアロゾル発生物品を受けるための成形キャビティの長軸方向の延長部よりも短いことが好ましい。長方形の基体の幅は、エアロゾル発生物品を受けるための成形キャビティの幅よりも小さいことが好ましい。
【0074】
エアロゾル形成基体の長さは、例えば成形キャビティの長さよりも最大40パーセント長くしうる。成形キャビティの長さは、成形キャビティの長さよりも最大20パーセント長くしうることが好ましく、または成形キャビティの長さよりも最大10パーセント長くしうることがより好ましい。
【0075】
エアロゾル形成基体の幅は、例えば成形キャビティの幅よりも5パーセント~20パーセント、好ましくは5パーセント~15パーセント広くしうる。
【0076】
キットのエアロゾル発生装置は、本発明による、および本明細書に記載のエアロゾル発生装置であってもよい。
【0077】
キットのエアロゾル発生物品は、本発明による、および本明細書に記載のエアロゾル発生物品であってもよい。
【0078】
特に、エアロゾル形成基体は、たばこ含有エアロゾル形成基体であってもよく、固体のたばこ含有エアロゾル形成基体であることが好ましい。
【0079】
本発明を実施形態に関してさらに説明し、それらの実施形態を下記の図面によって例示する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【
図1】
図1は、平坦な長方形形状のエアロゾル形成基体を示す。
【
図2】
図2は、起伏のあるシートとして形状変形した
図1の基体を示す。
【
図3】
図3は、一連のロッドの形態の形状変形した基体を示す。
【
図4】
図4は、波状シートの形態の形状変形した基体を示す。
【
図5】
図5は、開放層状のエアロゾル形成基体の断面を示す。
【
図6】
図6は、起伏のあるシートとして形状変形した
図5の基体を示す。
【
図7】
図7は、波状シートを備えるエアロゾル発生装置を示す。
【
図8】
図8は、起伏のあるシートを備えるエアロゾル発生装置を示す。
【
図9】
図9は、起伏のあるシートを備えるエアロゾル発生装置を示す。
【
図11】
図11は、起伏のある成形キャビティを含み、および気流がキャビティを通る成形型の実施形態を図示している。
【
図12】
図12は、起伏のある成形キャビティを含み、および気流がキャビティを通る成形型の実施形態を図示している。
【
図13】
図13は、起伏のある成形キャビティを含み、および気流がキャビティを通る成形型の別の実施形態を図示している。
【
図14】
図14は、起伏のある成形キャビティを含み、および気流がキャビティを通る装置のさらなる実施形態を図示している。
【
図15】
図15は、起伏のある成形キャビティを含み、および気流がキャビティを通る装置のさらなる実施形態を図示している。
【
図16】
図16は、構造化された内表面を含む成形キャビティの斜視図である。
【
図17】
図17は、構造化された内表面を含む成形キャビティの斜視図である。
【
図18】
図18は、エアロゾル発生装置、および長方形の基体シートを一連のロッドへと成形するプロセスを図示している。
【
図19】
図19は、空気吸込み口の弁を含む成形型半部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0081】
図1に示す平坦なエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の細片10であり、たばこ含有キャストリーフから切り取られた長方形であることが好ましい。長方形は、例えば80mmの長さ100および20mmの幅101を有しうる。細片の厚さ202は0.5mm~2mmの範囲としうる。
【0082】
対応するエアロゾル発生装置の成形型において、平坦な細片10は平坦な物品の平面に直角を成す方向に延長部を有する平坦でない物品へと変形されてもよく、この直角を成す延長部は、平坦な物品の厚さ102の数倍であることが好ましい。
【0083】
平坦な細片10は、例えば
図2に示す波形シート20へと変形されてもよい。起伏のあるシートは一連の起伏を備える。波形シート20の高さ202は、平坦な細片10の厚さの約5~10倍である。細片10の変形のため、波形シート20の長さ200は、平坦な細片10の長さ202よりも、例えば少なくとも20パーセント短い。
【0084】
細片10はまた、一連のロッド21へと形成されうる。個別のロッド210は、
図3に示す通り、並列にかつ物品の長さに沿って配置される。ロッド21は、結合ブリッジ211によって相互に接続され、単一の物品を形成してもよい。ロッド210はまた、成形時に完全に分離されて、個別のサブ基体を形成してもよい。
【0085】
平坦な細片10が一連のロッド21に成形された時、ロッドの直径の分の材料は、細片10の元の厚さ102から部分的に、および細片10の幅101から部分的に取り除かれてもよい。従って、一連のロッド21の幅212は、細片10の幅101よりもわずかに小さい。
【0086】
長方形10にはまた、
図4に示す通り、波形22が付けられてもよい。個別の波形220は、並列に、かつ物品の長さに沿って配置された一連のトンネルを形成する。
【0087】
図5は、開放層状の平坦なエアロゾル発生物品の断面を示す。物品は、エアロゾル形成基体の層150、好ましくはたばこ含有キャストリーフの層を備える。第二の層151は、開放層、例えばメッシュ配置である。開放層151は、基体が平坦でない物品へと変形された後でも、空気と、エアロゾルまたは基体150から蒸発した物質とが、エアロゾル発生物品の内側に、および開放層151の中へと入ることを可能にする。物品には外側の紙の層152(例えば、紙巻たばこ用紙)が提供され、これは開放層151の上に、およびエアロゾル形成基体層150の下に提供されている。物品の厚さは2mm~5mmの範囲内であってもよい。
【0088】
紙の層152の厚さは、各々0.05mm~0.2mmであることが好ましい。
【0089】
エアロゾル形成基体層150の厚さは、0.5mm~2mmであることが好ましい。
【0090】
開放層151の厚さは、1.5mm~3mmであることが好ましい。
【0091】
開放の物品15の厚さは、例えば
図1に示された単一のエアロゾル形成基体シートの厚さと同一であることが好ましい。
【0092】
図6は、
図5に示す通り、開放のエアロゾル発生物品15でできた波形シート20を示す。気流70は、一方の短い端部で物品15に入り、物品の内側を開放層151に沿って通過し、物品15の長さに沿って通過する。この移動中に、エアロゾル形成基体150の加熱層から蒸発した物質またはエアロゾル(短い矢印で示されている)は気流70によって捕らえられ、混合されたガス流72は物品15の反対側の短い端部で物品を離れる。
【0093】
図7はエアロゾル発生装置を示す。装置は、出口開口部42を備えるマウスピース部分4と、本体部分5とを備える。装置は細長くなっており、平坦な楕円形の断面を有する。装置の本体部分5は、例えば電池などの電源、および装置の加熱を制御するための電子機器を備えてもよい。本体部分にはまた、装置を起動する(例えば、加熱を開始する)ための起動ノブ51が提供されている。
【0094】
図7では、本体部分5は、本体部分5にヒンジで接続されているリッド6を備え、本体部分の開口部を提供する。リッド6を開くことによって、エアロゾル発生物品を供給するための本体部分5内の成形キャビティへのアクセスが提供される。
【0095】
本体部分5の内表面は、第一の成形型半部50を形成する。リッド6の内表面は、第二の成形型半部40を形成する。第一および第二の成形型半部40、50は相互に対応し、一連の長軸方向に配列された波形として形成されている。第一の成形型半部50は一連の突き出した波形55を備え、第二の成形型半部40は一連の対応する逆の凹んだ波形45を備える。
【0096】
リッド6が閉じられると、平坦なシートは、例えば
図1に示す通り、波形の第一の成形型半部40と波形の第二の成形型半部50との間の成形キャビティ内で波状の物品22へと成形される。
【0097】
第一の成形型半部50は、波状の物品22を加熱するための一つまたは幾つかの発熱体を備えることが好ましい。長軸方向のリブ55一つにつき一つの発熱体が提供されることが好ましい。
【0098】
図8および
図9では、平坦な細片から波形シート20を成形するためのエアロゾル発生装置が示されている。装置の本体部分5は、リッド6を備えるボックス54の形態を有する。リッド6は基本的に、ボックス54の上部を形成する。平坦なエアロゾル発生物品を受け入れるための成形キャビティは基本的に、ボックス54の全長および全幅にわたって延びる。リッド6の内表面には、第二の成形型半部40を形成する一連の垂直に配置された起伏46が提供されている。ボックス54の内表面には、第一の成形型半部50を形成する対応する起伏56が提供されている。
【0099】
図10では、
図8および
図10の装置を通る気流70が示されている。こうした気流は装置の遠位端57から入り、第一の成形型半部40と第二の成形型半部50の間に形成される成形空間を畝って進み、マウスピース4の出口開口部42を通って装置を離れる。エアロゾル形成基体、例えばキャストリーフが成形空間内に提供されている場合、加熱された基体から蒸発した物質は、高密度な物質が提供されている場合に特に、成形キャビティから出されて移動されるのが難しいことがある。成形型または成形キャビティ内でのエアロゾルの移動を改善するには、
図5および
図6で説明し図示した開放層を有する物品が使用されうる。別の方法として、または追加的に、少なくとも成形表面が、開放された表面として提供されうる。
【0100】
図11および
図12では、第二の成形型半部40は、空気およびエアロゾルが成形型半部40に入り通過することを可能にする開放された成形型半部として提供されている。開放された成形型半部は、概してマウスピースまたは出口の方向へと開放されるが、エアロゾルが別の方向で成形型半部を離れることを可能にしない、例えば指定された出口以外からは装置外に出ることを可能にしないことが好ましい。
図12は、入口57で成形型に入り、開放された成形型半部40を通過する気流70を示す。成形空間内に提供された基体20から蒸発したエアロゾル71は、第二の成形型半部40の中に入り込んでもよく、また空気およびエアロゾルを含む混合されたガス流72として装置を出てもよい。第二の成形型半部40は、エアロゾルまたは空気が成形型半部に入ることを可能にする開放気孔材料または多孔性の成形型表面を備えうる。
【0101】
図13は、装置を通る気流の促進の別の例を示す。
図13では、装置はリッドなしで示されている。第一の成形型半部50は装置本体5内のキャビティよりも小さい。従って、第一の成形型半部50と装置本体の側壁との間を長軸方向に走るチャネル82が形成されている。蒸発した物質71は、波形シート20の全長に沿って通過する必要はない。これらは、基体20および成形型を横方向に離れて、チャネル82内に入り、それに沿ってマウスピース4まで通過してもよい。
【0102】
図14および
図15(装置を逆さまに表示)は、装置を通る、特に成形型を通る気流を支持するなお別の例を示す。
図14および15では、キャビティは成形型よりも長く、成形型の幅は成形キャビティの幅に対応する。ところが、リッド6の第二の成形型半部40は、第一の成形型半部50の幅よりも小さい幅を有する。従って、第一および第二の成形型半部は、平坦な物品を波形シートへと成形してもよい。ところが、波形シートの側面に沿って、成形型内に気流チャネル83が形成されている。入口開口部57を通って装置に入る気流70は、横方向に配置されたチャネル83に沿って成形型を通過し、装置内で発生したエアロゾル72を運んで装置を離れうる。
【0103】
図16および
図17は、成形型を通して気流を提供するさらなる例である。この例において、一つの成形型半部40には、長軸方向に走るリブ85が提供されている。第一および第二の成形型半部40、50の起伏は、平坦な基体の波形シート20を形成する。ところが、リブ間の距離は、エアロゾル形成基体では完全に充填されない。従って、リブ85間には、複数の長軸方向に走るチャネル86が形成されている。リブ85およびチャネル86は従って、成形型の幅全体に規則正しく配置される。従って、蒸発した物質の均質な移動が、波形シート20の幅全体にわたり提供されうる。
【0104】
図18は、エアロゾル発生装置、および平坦なシート10を一連のロッド21へと成形するプロセスを示す。装置は、一体化されたマウスピース4を備える本体部分5を備える。装置は細長くなっており、平坦な楕円形の断面を有する。装置の本体部分5は、例えば電池などの電源、および装置の加熱を制御するための電子機器を備えてもよい。本体部分にはまた、装置を起動する(例えば、加熱を開始する)ための起動ノブ51が提供されている。
【0105】
図18では、本体部分5は、本体部分5にヒンジで接続されているリッド6を備え、本体部分の開口部を提供する。リッドを開くことによって、シート10を提供するための本体部分5内の成形キャビティへのアクセスが提供される。リッド6の近接端部はマウスピース4の半分を備え、また本体部分5の近接端部はマウスピース4の他方の半分を備える。
【0106】
本体部分5の内表面は、第一の成形型半部50を形成する。リッド6の内表面は、第二の成形型半部40を形成する。第一および第二の成形型半部40、50は相互に対応し、一連の長軸方向に配列された縦溝58、48として形成されている。
【0107】
リッド6が閉じている時、リッド6と本体部分5のそれぞれの対応する縦溝は個別のチャネルを形成し、平坦なシート10は、第一の成形型半部40の縦溝48と第二の成形型半部50の縦溝58との間にある成形キャビティ内で一連のロッド21へと成形される。それぞれのチャネルには、独自の出口420が提供されている。しかし、共通の出口も提供されてもよい。
【0108】
第一の成形型半部50には、物品21のロッド210を加熱するための一つまたは幾つかの発熱体が提供されている。それぞれのロッドが個別に加熱されうるように、ロッド210一つにつき一つの発熱体が提供されることが好ましい。
【0109】
それぞれのロッドを通して個別の気流を提供するために、それぞれのチャネルには、入口開口部481が提供されうる。入口開口部481には、
図19で見られるように、弁の役目を果たすフラップ59が提供されうる。非使用中にフラップ59は閉じている。
【0110】
弁機能は、縦溝58の発熱体と熱的に接する熱伝導性のある材料または層内に開口部481を配置することによって実現されうる。フラップ59はバイメタルの細片で構成されうる。細片が加熱されると、バイメタルは異なるレートで拡張し、細片が曲がる。従って、それぞれのフラップ59で覆われた開口部481が開く。発熱体は、フラップ59を起動する熱エネルギーを提供することが好ましい。フラップ59の加熱およびバイメタルの弁の開口での時間遅延は、エアロゾル発生装置の予熱時間に対応しうる。エアロゾル形成基体が予熱される場合、こうした熱を使用して弁を開きうる。それぞれのフラップ59は個別に開かれることが好ましい。