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特許7005550物理量測定装置および物理量測定装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】物理量測定装置および物理量測定装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/14 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
G01L19/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019066518
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020165805
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000150707
【氏名又は名称】長野計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕佑
(72)【発明者】
【氏名】遠山 秀司
(72)【発明者】
【氏名】関谷 晴彦
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-070813(JP,A)
【文献】特開平07-198517(JP,A)
【文献】特開2003-287472(JP,A)
【文献】米国特許第04982607(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00-23/32
G01L 27/00-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の筒状ケースと、
物理量を検出するセンサモジュールと、
前記センサモジュールが取り付けられ前記センサモジュールに被測定流体を導入する導入孔が形成され、前記筒状ケースの一方の開口端側に配置される合成樹脂製の継手と、
前記筒状ケースの他方の開口端側に配置される蓋部材とを備え、
前記蓋部材は、前記センサモジュールを係止する係止部と、前記継手に向かって突出する凸部とを有し、
前記筒状ケースは、一方の開口端側に設けられ前記継手と係合する係合部と、他方の開口端側に設けられかしめによって塑性変形可能なかしめ部とを有し、
前記蓋部材は、前記かしめ部をかしめることで前記筒状ケースに取り付けられており、
前記継手は、前記凸部に対応する位置に、前記凸部と係合する凹部を有する
ことを特徴とする物理量測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の物理量測定装置において、
前記センサモジュールは、筒体部と、前記筒体部の一端側に一体に形成されるダイアフラム部とを有し、
前記継手は、継手本体と、前記継手本体から前記センサモジュールに向かって突出する突出部とを有し、
前記センサモジュールは、前記筒体部が前記突出部に取り付けられる
ことを特徴とする物理量測定装置。
【請求項3】
請求項に記載の物理量測定装置において、
前記継手本体は、大径部と、小径部と、前記大径部と前記小径部との間に設けられ前記係合部と係合する段差部とを有し、
前記蓋部材は、蓋部材本体部と、前記蓋部材本体部の基端側に設けられ前記大径部の内周側に収容されて前記かしめ部に保持される筒状の基部とを有する
ことを特徴とする物理量測定装置。
【請求項4】
金属製の筒状ケースと、物理量を検出するセンサモジュールと、前記センサモジュールが取り付けられ前記センサモジュールに被測定流体を導入する導入孔が形成され、前記筒状ケースの一方の開口端側に配置される合成樹脂製の継手と、前記筒状ケースの他方の開口端側に配置される蓋部材とを備える物理量測定装置の製造方法であって、
前記継手に前記センサモジュールを取り付けるステップと、
前記蓋部材の係止部により、前記センサモジュールを係止するとともに、前記蓋部材の凸部を前記継手の凹部に係合させるステップと、
前記継手の先端側から挿入させた前記筒状ケースの他方の開口端側に設けられ塑性変形可能なかしめ部をかしめて、前記蓋部材を前記筒状ケースに取り付けるステップとを有する
ことを特徴とする物理量測定装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量測定装置および物理量測定装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被測定流体を導入する導入孔が形成された合成樹脂製の継手を備える物理量測定装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1の物理量測定装置では、被測定流体と接触する継手が合成樹脂製なので、例えば、継手が金属製である場合に比べて、被測定流体の熱を物理量測定装置の内部に伝えにくくすることができる。そのため、被測定流体や取付配管の温度が物理量測定装置内部の温度に比べて低い場合でも、被測定流体や取付配管の温度が物理量測定装置の内部に伝わることによる結露・凍結の発生を抑制できる。
また、特許文献1の物理量測定装置では、継手に設けられ弾性変形可能な爪部によってセンサモジュールを係止している。これにより、被測定流体の圧力によって、センサモジュールが継手から外れてしまうことを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-102011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、被測定流体の圧力が想定よりも高い場合、当該被測定流体の圧力によって爪部が撓んでしまい、継手からセンサモジュールが外れて測定できなくなってしまう可能性があるといった問題がある。
【0006】
本発明の目的は、合成樹脂製の継手を備え、かつ、耐圧性を向上できる物理量測定装置および物理量測定装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の物理量測定装置は、金属製の筒状ケースと、物理量を検出するセンサモジュールと、前記センサモジュールが取り付けられ前記センサモジュールに被測定流体を導入する導入孔が形成され、前記筒状ケースの一方の開口端側に配置される合成樹脂製の継手と、前記筒状ケースの他方の開口端側に配置される蓋部材とを備え、前記蓋部材は、前記センサモジュールを係止する係止部を有し、前記筒状ケースは、一方の開口端側に設けられ前記継手と係合する係合部と、他方の開口端側に設けられかしめによって塑性変形可能なかしめ部とを有し、前記蓋部材は、前記かしめ部をかしめることで前記筒状ケースに取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明では、金属製の筒状ケースは、一方の開口端側に設けられ継手と係合する係合部と、他方の開口端側に設けられかしめによって塑性変形可能なかしめ部とを有する。そして、センサモジュールを係止する係止部を有する蓋部材は、かしめ部をかしめることで筒状ケースに取り付けられている。これにより、例えば、高圧の被測定流体が導入孔に導入された場合、当該被測定流体の圧力は、センサモジュールおよび当該センサモジュールを係止する蓋部材を介して、筒状ケースに作用する。ここで、本発明では、筒状ケースは金属製で強度が高いため、当該圧力によって筒状ケースが変形しにくい。すなわち、高圧の被測定流体が導入されても、当該圧力を強度が高い金属製の筒状ケースで受けることができるので、継手からセンサモジュールが外れてしまうことを防ぐことができる。したがって、合成樹脂製の継手を備える物理量測定装置において、耐圧性を向上できる。
【0009】
また、本発明では、被測定流体が接触する継手が合成樹脂製であるため、例えば、継手が金属製である場合に比べて、被測定流体や取付配管の温度を筒状ケースの内部に伝えにくくすることができる。そのため、例えば、低温の被測定流体が導入されても、筒状ケースの内部での結露・凍結の発生を抑制できる。
さらに、本発明では、被測定流体が接触する継手が合成樹脂製であるため、腐食性が高い被測定流体が導入されても、継手が被測定流体によって腐食してしまうことを防ぐことができる。
【0010】
さらに、本発明の物理量測定装置、前記蓋部材は、前記継手に向かって突出する凸部を有し、前記継手は、前記凸部に対応する位置に、前記凸部と係合する凹部を有することを特徴とする
この構成では、蓋部材と継手とを組み立てる際に、継手の凹部に蓋部材の凸部を係合させることで、継手に対して蓋部材を位置決めすることができる。そのため、蓋部材と継手とを組み立てる際に、継手に対して蓋部材がずれることがないため、物理量測定装置の組み立てを容易にできる。
また、本発明では、継手は合成樹脂製なので、金型成形等により、蓋部材の凸部に対応する凹部を容易に設けることができる。
【0011】
本発明の物理量測定装置において、前記センサモジュールは、筒体部と、前記筒体部の一端側に一体に形成されるダイアフラム部とを有し、前記継手は、継手本体と、前記継手本体から前記センサモジュールに向かって突出する突出部とを有し、前記センサモジュールは、前記筒体部が前記突出部に取り付けられることが好ましい。
この構成では、センサモジュールの筒体部を継手の突出部に取り付けることで、センサモジュールを継手に取り付けることができる。そのため、センサモジュールを継手に取り付ける際に、溶着などを行う必要がないので、物理量測定装置の組み立てを容易にできる。
【0012】
本発明の物理量測定装置において、前記継手本体は、大径部と、小径部と、前記大径部と前記小径部との間に設けられ前記係合部と係合する段差部とを有し、前記蓋部材は、蓋部材本体部と、前記蓋部材本体部の基端側に設けられ前記大径部の内周側に収容されて前記かしめ部に保持される筒状の基部とを有することが好ましい。
この構成では、継手の大径部に蓋部材の基部を収容した状態で、筒状ケースの係合部を継手の段差部に係合させて、筒状ケースのかしめ部をかしめることで、筒状ケースに蓋部材の基部を保持させることができる。これにより、蓋部材を継手に収容させ、安定した状態にした上で、筒状ケースをかしめることができるので、物理量測定装置の組み立てを容易にできる。
また、本発明では、継手は合成樹脂製なので、金型成形等により、大径部、小径部、および段差部を容易に設けることができる。
【0013】
本発明の物理量測定装置の製造方法は、金属製の筒状ケースと、物理量を検出するセンサモジュールと、前記センサモジュールが取り付けられ前記センサモジュールに被測定流体を導入する導入孔が形成され、前記筒状ケースの一方の開口端側に配置される合成樹脂製の継手と、前記筒状ケースの他方の開口端側に配置される蓋部材とを備える物理量測定装置の製造方法であって、前記継手に前記センサモジュールを取り付けるステップと、前記蓋部材の係止部により、前記センサモジュールを係止するとともに、前記蓋部材の凸部を前記継手の凹部に係合させるステップと、前記継手の先端側から挿入させた前記筒状ケースの他方の開口端側に設けられ塑性変形可能なかしめ部をかしめて、前記蓋部材を前記筒状ケースに取り付けるステップとを有することを特徴とする。
本発明では、前述と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態の物理量測定装置の概略を示す斜視図。
図2】物理量測定装置の概略を示す断面図。
図3】別の方向から見た物理量測定装置の概略を示す断面図。
図4】物理量測定装置の概略を示す分解断面斜視図。
図5】物理量測定装置の製造方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の物理量測定装置1は、被接続部に流通する被測定流体の圧力を測定可能に構成される圧力測定装置である。
図1は、本実施形態の物理量測定装置1の概略を示す斜視図であり、図2は、物理量測定装置1の概略を示す断面図であり、図3は、図2とは別の方向から見た物理量測定装置1の概略を示す断面図であり、図4は、物理量測定装置1の概略を示す分解断面斜視図である。
図1図4に示すように、物理量測定装置1は、筒状ケース2と、継手3と、センサモジュール4と、蓋部材5と、第1Oリング61と、第2Oリング62と、信号伝達部材7と、接続部材8とを備えている。
【0016】
[筒状ケース2]
筒状ケース2は、金属製の部材であり、筒状に形成されている。本実施形態では、筒状ケース2はSUS304から形成されている。なお、筒状ケース2は、SUS304から形成されることに限られるものではなく、金属から形成されていればよい。
筒状ケース2は、筒状ケース本体部21と、係合部22と、かしめ部23とを有する。
【0017】
係合部22は、筒状ケース2の第1開口端24側に設けられている。本実施形態では、係合部22は、筒状ケース本体部21の第1開口端24側を内周側に折り曲げられて形成されている。これにより、係合部22は、後述する継手3の段差部314と係合可能に形成されている。
かしめ部23は、筒状ケース本体部21の第2開口端25側に設けられている。かしめ部23は、かしめによって塑性変形可能に構成され、後述する蓋部材5の肩部522を保持可能に形成されている。
【0018】
[継手3]
継手3は、合成樹脂製の部材であり、筒状ケース2の第1開口端24側に配置される。本実施形態では、継手3は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂から形成される。なお、継手3は、PPS樹脂から形成されることに限られるものではなく、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂から形成されていてもよく、合成樹脂から形成されていればよい。
【0019】
継手3は、継手本体31と、突出部32とを有する。
継手本体31は、略円筒状に形成されており、センサモジュール4に被測定流体を導入する導入孔311が形成されている。また、継手本体31は、大径部312と、小径部313と、段差部314とを有する。
【0020】
大径部312は、継手本体31のセンサモジュール4側に設けられている。大径部312には、後述するセンサモジュール4の筒体部41を収容する第1収容凹部312Aと、後述する蓋部材5の筒状部521を収容する第2収容凹部312Bが形成される。さらに、大径部312には、後述する蓋部材5の凸部524に対応する第3収容凹部312Cが形成される(図4参照)。本実施形態では、第3収容凹部312Cは、センサモジュール4を挟んで互いに反対側の位置に2個設けられている。なお、第3収容凹部312Cは、本発明の凹部の一例である。
小径部313は、継手本体31の大径部312とは反対側に設けられており、大径部312よりも外径が小さくなるように形成されている。小径部313は、雄ねじ部313Aと工具係合部313Bとを有する。
雄ねじ部313Aは、被測定流体が流通する図示略の被接続部に接続可能に構成されている。工具係合部313Bは、六角状に形成され、スパナ等の工具と係合可能に構成されている。なお、工具係合部313Bは六角状に形成されることに限られるものではなく、例えば、四角状に形成されていてもよい。
【0021】
段差部314は、大径部312と小径部313との間に設けられている。そして、前述したように、段差部314は、筒状ケース2の係合部22と係合可能に構成されている。
【0022】
突出部32は、継手本体31からセンサモジュール4に向かって突出している。突出部32は、第1突出部321と、第2突出部322とを有する。
第1突出部321は、継手本体31から突出して設けられており、後述するセンサモジュール4の筒体部41と係合可能に構成されている。
第2突出部322は、第1突出部321から突出して設けられている。第2突出部322は、第1突出部321よりも外径が小さくなるように形成されており、外周側に第1Oリング61が配置されている。これにより、継手3とセンサモジュール4との間が封止される。
【0023】
[センサモジュール4]
センサモジュール4は、セラミック製の部材であり、筒体部41と、ダイアフラム部42と、電子部品43とを有する。
筒体部41は、継手3の第1突出部321に係合して取り付けられている。また、筒体部41は、継手3の導入孔311と連通しており、被測定流体が導入される。筒体部41の外周面には、センサモジュール4の軸心を挟んで互いに反対側の位置に、後述する蓋部材5の凸部524に対応する係合溝411が2個設けられている。そして、凸部524と係合溝411とが係合することにより、蓋部材5に対してセンサモジュール4の周方向の移動が規制される。すなわち、凸部524は、センサモジュール4の回転止めとして機能する。
【0024】
ダイアフラム部42は、筒体部41の一端側に一体に形成されている。ダイアフラム部42の被測定流体が導入される面とは反対側の面には、図示略の歪ゲージが設けられている。当該歪みゲージによりダイアフラム部42の変位を検出することで、導入孔311から導入された被測定流体の圧力を検出可能に構成されている。
電子部品43は、ダイアフラム部42の被測定流体が導入される面とは反対側の面に実装されている。電子部品43は、例えば、ASIC回路やコンデンサ等から構成されている。
なお、センサモジュール4は、セラミックから形成されることに限られるものではなく、例えば、金属から形成されていてもよい。また、センサモジュール4はダイアフラム部42を有するものに限定されるわけではなく、例えば、所謂MEMS(Micro Electro Mechanical System)センサであってもよく、被測定流体の圧力を検出可能に構成されていればよい。
【0025】
[蓋部材5]
蓋部材5は、合成樹脂製の所謂コネクタタイプの部材であり、筒状ケース2の第2開口端25側に配置される。本実施形態では、蓋部材5は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂から形成される。なお、蓋部材5は、PBT樹脂から形成されることに限られるものではなく、例えば、PPS樹脂やPTFE樹脂から形成されていてもよい。さらに、蓋部材5は金属から形成されていてもよい。
【0026】
蓋部材5は、蓋部材本体部51と、基部52とを有する。
蓋部材本体部51は略楕円筒状に形成されており、信号伝達部材7がインサート成形される胴部511と、胴部511の外周縁部に一体に形成される筒部512とを有する。
基部52は、筒状部521と、肩部522と、係止部523と、凸部524とを有する。
筒状部521は、基部52の蓋部材本体部51とは反対側に設けられ、筒状に形成されている。前述したように、筒状部521は、継手3の第2収容凹部312Bに収容されており、外周側には第2Oリング62が配置されている。これにより、継手3と蓋部材5との間が封止される。
【0027】
肩部522は、筒状部521の外周面から径方向に延出して形成されている。前述したように、肩部522は、筒状ケース2のかしめ部23に保持されている。
係止部523は、筒状部521の内周面から径方向に延出して形成されており、センサモジュール4を係止している(図3参照)。本実施形態では、係止部523は、センサモジュール4を挟んで互いに反対側に2個設けられている。これにより、センサモジュール4は、筒体部41の軸に沿った方向に対して、係止部523と第1収容凹部312Aの底面とで挟持される。そのため、センサモジュール4は、筒体部41の軸に沿った方向に対する移動が規制される。
【0028】
凸部524は、基部52から継手3に向かって突出して形成されており、継手3の第3収容凹部312Cと係合可能に構成されている。本実施形態では、凸部524は、センサモジュール4を挟んで互いに反対側の位置に2個設けられており、それぞれ第3収容凹部312Cに係合することにより、継手3に対して蓋部材5の周方向の移動が規制される。すなわち、蓋部材5は継手3に対して位置決めされる。
【0029】
[信号伝達部材7および接続部材8]
信号伝達部材7は、L型の金具から構成される所謂ターミナル端子である。本実施形態では、信号伝達部材7は3個設けられている。なお、信号伝達部材7は3個設けられることに限られるものではない。例えば、信号伝達部材7は、2個以下でもよく、あるいは、4個以上設けられていてもよい。
接続部材8は、センサモジュール4と信号伝達部材7とを電気的に接続する部材である。接続部材8は、導電性部材81と、弾性部材82とを有する。導電性部材81は、一方の端部がセンサモジュール4に接続され、他方の端部が信号伝達部材7に接続されている。弾性部材82は、導電性部材81の一方の端部を、センサモジュール4に向けて付勢している。
【0030】
[物理量測定装置1の製造方法]
次に、物理量測定装置1の製造方法について説明する。
図5は、物理量測定装置1の製造方法を示すフローチャートである。
図5に示すように、先ず、継手3の第2突出部322の外周側に、第1Oリング61を取り付ける(ステップS1)。
【0031】
次に、センサモジュール4を継手3に取り付ける(ステップS2)。具体的には、センサモジュール4の筒体部41を、継手3の第1突出部321と係合させて、第1収容凹部312Aに収容する。この際、筒体部41の係合溝411と、継手3の第3収容凹部312Cの位置が合うように、センサモジュール4を継手3に取り付ける。
【0032】
次に、蓋部材5の筒状部521の外周側に、第2Oリング62を取り付ける(ステップS3)。
そして、蓋部材5を継手3に収容する(ステップS4)。具体的には、蓋部材5の筒状部521を、継手3の第2収容凹部312Bに収容する。これにより、蓋部材5の係止部523が、センサモジュール4を係止する。また、この際、蓋部材5の凸部524が、センサモジュール4の係合溝411および継手3の第3収容凹部312Cと係合する。これにより、センサモジュール4および蓋部材5は、継手3に対して位置決めされる。
【0033】
次に、筒状ケース2を継手3の先端側、つまり、小径部313側から挿入する(ステップS5)。そして、筒状ケース2の係合部22を継手3の段差部314に係合させる(ステップS6)。
最後に、蓋部材5を筒状ケース2に取り付ける(ステップS7)。具体的には、係合部22と段差部314とを係合させた状態で、筒状ケース2のかしめ部23をかしめることにより、かしめ部23に蓋部材5の肩部522を保持させる。
【0034】
以上のような本実施形態では、次の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、金属製の筒状ケース2は、第1開口端24側に設けられ継手3と係合する係合部22と、第2開口端25側に設けられかしめによって塑性変形可能なかしめ部23とを有する。そして、センサモジュール4を係止する係止部523を有する蓋部材5は、かしめ部23をかしめることで筒状ケース2に取り付けられている。これにより、例えば、高圧の被測定流体が導入孔311に導入された場合、当該被測定流体の圧力は、センサモジュール4および当該センサモジュール4を係止する蓋部材5を介して、筒状ケース2に作用する。ここで、本実施形態では、筒状ケース2は金属製で強度が高いため、当該圧力によって筒状ケース2が変形しにくい。すなわち、高圧の被測定流体が導入されても、当該圧力を強度が高い金属製の筒状ケース2で受けることができるので、継手3からセンサモジュール4が外れてしまうことを防ぐことができる。したがって、合成樹脂製の継手3を備える物理量測定装置1において、耐圧性を向上できる。
【0035】
(2)また、本実施形態では、被測定流体が接触する継手3が合成樹脂製であるため、例えば、継手3が金属製である場合に比べて、被測定流体や取付配管の温度を筒状ケース2の内部に伝えにくくすることができる。そのため、例えば、低温の被測定流体が導入されても、筒状ケース2の内部での結露・凍結の発生を抑制できる。
さらに、本実施形態では、被測定流体が接触する継手3が合成樹脂製であるため、腐食性が高い被測定流体が導入されても、継手3が被測定流体によって腐食してしまうことを防ぐことができる。
【0036】
(3)本実施形態では、蓋部材5と継手3とを組み立てる際に、継手3の第3収容凹部312Cに蓋部材5の凸部524を係合させることで、継手3に対して蓋部材5を位置決めすることができる。そのため、蓋部材5と継手3とを組み立てる際に、継手3に対して蓋部材5がずれることがないため、物理量測定装置1の組み立てを容易にできる。
また、蓋部材5の凸部524が、センサモジュール4の係合溝411と係合するので、センサモジュール4も継手3に対して位置決めされる。これにより、導電性部材81に対するセンサモジュール4の位置がずれることを防止できるので、導電性部材81とセンサモジュール4とを確実に接続させることができる。
さらに、本実施形態では、継手3は合成樹脂製なので、金型成形等により、蓋部材5の凸部524に対応する第3収容凹部312Cを容易に設けることができる。
【0037】
(4)本実施形態では、センサモジュール4の筒体部41を継手3の第1突出部321に取り付けることで、センサモジュール4を継手3に取り付けることができる。そのため、センサモジュール4を継手3に取り付ける際に、溶着などを行う必要がないので、物理量測定装置1の組み立てを容易にできる。
【0038】
(5)本実施形態では、継手3の大径部312に蓋部材5の基部52を収容した状態で、筒状ケース2の係合部22を継手3の段差部314に係合させる。そして、筒状ケース2のかしめ部23をかしめることで、筒状ケース2に蓋部材5の基部52を保持させることができる。これにより、蓋部材5を継手3に収容させ、安定した状態にした上で、筒状ケース2をかしめることができるので、物理量測定装置1の組み立てを容易にできる。
また、本実施形態では、継手3は合成樹脂製なので、金型成形等により、大径部312、小径部313、および段差部314を容易に設けることができる。
【0039】
[変形例]
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、センサモジュール4は、継手3の大径部312に収容されていたが、これに限定されない。例えば、センサモジュール4が工具係合部313Bの内周側に収容されるように構成されていてもよい。
【0040】
前記実施形態では、継手3の小径部313に雄ねじ部313Aが形成されていたが、これに限定されない。例えば、継手3の導入孔311の内周面に雌ねじ部が形成されていてもよい。また、小径部313にねじ部が形成されない場合も、本発明に含まれる。この場合、継手は、被測定流体が流通する被接続部に、溶接等により接続されていてもよい。
【0041】
前記実施形態では、蓋部材5の凸部524は、センサモジュール4を挟んで互いに反対側の位置に2個設けられていたが、これに限定されない。例えば、凸部524は1個設けられていてもよく、あるいは、3個以上設けられていても良い。また、センサモジュール4の係合溝411および継手3の第3収容凹部312Cは、凸部524に対応して設けられていればよい。
【0042】
前記実施形態では、電子部品43はダイアフラム部42に実装されていたが、これに限定されない。例えば、筒状ケース2の内部に回路基板を収容し、当該回路基板に電子部品43を実装してもよい。
【0043】
前記実施形態では、物理量測定装置1の製造方法において、蓋部材5を継手3に収容(ステップS4)した後、筒状ケース2を継手3の先端側から挿入(ステップS5)していたが、これに限定されない。例えば、第1Oリング61を取り付ける(ステップS1)前に、筒状ケース2を継手3の先端側から挿入してもよい。
【0044】
前記実施形態では、物理量測定装置1は被測定流体の圧力を測定可能に構成されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、差圧や温度を測定可能に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…物理量測定装置、2…筒状ケース、3…継手、4…センサモジュール、5…蓋部材、7…信号伝達部材、8…接続部材、21…筒状ケース本体部、22…係合部、23…かしめ部、24…第1開口端、25…第2開口端、31…継手本体、32…突出部、41…筒体部、42…ダイアフラム部、43…電子部品、51…蓋部材本体部、52…基部、61…第1Oリング、62…第2Oリング、81…導電性部材、82…弾性部材、311…導入孔、312…大径部、312A…第1収容凹部、312B…第2収容凹部、312C…第3収容凹部、313…小径部、313A…雄ねじ部、313B…工具係合部、314…段差部、321…第1突出部、322…第2突出部、411…係合溝、511…胴部、512…筒部、521…筒状部、522…肩部、523…係止部、524…凸部。
図1
図2
図3
図4
図5