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特許7005553ビアホール構造を測定するための自動光学検査システム及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】ビアホール構造を測定するための自動光学検査システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
G01N21/956 B
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2019085771
(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2020126035
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2019-04-26
(31)【優先権主張番号】108104333
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】511248629
【氏名又は名称】由田新技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】鄒嘉駿
(72)【発明者】
【氏名】林柏聰
(72)【発明者】
【氏名】黄冠勳
(72)【発明者】
【氏名】張▲すん▼豪
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-025656(JP,A)
【文献】特開2014-142339(JP,A)
【文献】特開2006-214859(JP,A)
【文献】特開平11-271233(JP,A)
【文献】特開2008-249386(JP,A)
【文献】登録実用新案第3139398(JP,U)
【文献】特開平08-178858(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0103357(US,A1)
【文献】特開2003-294640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
G06T 1/00 - G06T 1/40
G06T 3/00 - G06T 9/40
H05K 3/32 - H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビアホール構造を測定するための方法であって、
検査対象のビアホール構造に光源を提供することと、
画角を有する撮影装置を前記ビアホール構造に向けビアホール構造の画像を得ることと、
少なくとも2つの異なる光源を使用して、壁エリアと面エリアの間の明度の特徴差または彩度の特徴差を個別に強調することで、前記ビアホール構造の壁エリア及び面エリアにより前記ビアホール構造の画像上に画像の特徴差を出現させることと、
前記画角と前記画像の特徴差に基づき前記ビアホール構造の画像上の前記壁エリア及び前記面エリアを判断すること
とを含むことを特徴とするビアホール構造を測定するための方法。
【請求項2】
前記画像の特徴差は明度であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光源を前記検査対象の前記ビアホール構造に提供する工程は、コリメート光及び/または拡散光を前記検査対象の前記ビアホール構造に提供することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記光源を前記検査対象の前記ビアホール構造に提供する工程は、第一光源と第二光源を前記検査対象の前記ビアホール構造に提供することを含み、前記第一光源及び前記第二光源は異なるスペクトル特性を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記画像の特徴差は、明度の特徴差と彩度の特徴差であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記画角と前記画像の特徴差に基づき、前記ビアホール構造の画像上の前記壁エリア及び前記面エリアを判断する工程は、前記画像の特徴差に基づき前記ビアホール構造の画像上の前記壁エリアの面積と位置及び前記面エリアの面積と位置を判断することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記画角と前記画像の特徴差に基づき、前記ビアホール構造の画像上の前記壁エリア及び前記面エリアを判断する工程は、前記壁エリアの面積と位置及び前記面エリアの面積と位置に基づき、画像検査結果を出力することを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記画像検査結果は、孔の形状検査、および/または孔底の品質検査、および/または孔壁の品質検査、および/または孔底と孔壁の接続箇所の品質検査を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記面エリアは、前記ビアホール構造の底面エリア及び/または断裂部エリアを含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記画像検査結果は、前記ビアホール構造に断裂部エリアがないかの判断を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記画像検査結果は、前記断裂部の高さの判断を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記検査対象はプリント基板であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ビアホール構造を測定するための自動光学検査システムであって、
少なくとも2つの異なる光源を含む光源装置と、
撮影装置と、
画像処理装置とを備え、
前記少なくとも2つの異なる光源は検査対象のビアホール構造に提供され、
前記ビアホール構造は壁エリアと面エリアを有し、前記少なくとも2つの異なる光源が壁エリアと面エリアの間の明度の特徴差または彩度の特徴差を個別に強調し、
前記撮影装置は画角と開口数を有し、
前記撮影装置は前記ビアホール構造に向けられ、これによりビアホール構造の画像を得、
記画像処理装置は前記ビアホール構造の画像の特徴差と画角に基づき、前記ビアホール構造の画像上の前記壁エリア及び前記面エリアを判断することを特徴とする自動光学検査システム。
【請求項14】
前記画像の特徴差は、明度であることを特徴とする請求項13に記載の自動光学検査システム。
【請求項15】
前記光源装置は、コリメート光源及び/または拡散光源であることを特徴とする請求項13に記載の自動光学検査システム。
【請求項16】
前記コリメート光源は、白色光源、または青色光源、または赤色光源を含み、前記拡散光源は前記コリメート光源とは異なる、白色光源、または青色光源、または赤色光源を含むことを特徴とする請求項15に記載の自動光学検査システム。
【請求項17】
前記光源装置は、前記面エリアにコリメート光を提供するためのコリメート光源を含むことを特徴とする請求項15に記載の自動光学検査システム。
【請求項18】
前記光源装置は、前記壁エリアに拡散光を提供するための拡散光源を含むことを特徴とする請求項15に記載の自動光学検査システム。
【請求項19】
前記拡散光源は、
1以上の発光ユニットと、
前記発光ユニットの外側に設置されるカバーとを備え、前記カバーは反射面にディフューザーまたは光拡散材料を有することを特徴とする請求項18に記載の自動光学検査システム。
【請求項20】
前記光源装置は、第一光源と第二光源を備え、前記第一光源と前記第二光源は異なるスペクトル特性を有し、
前記第一光源は前記面エリアに光を提供し、
前記第二光源は前記壁エリアに光を提供することを特徴とする請求項13に記載の自動光学検査システム。
【請求項21】
前記第一光源は、白色光源、または青色光源、または赤色光源を含み、前記第二光源は前記第一光源とは異なる、白色光源、または青色光源、または赤色光源を含むことを特徴とする請求項20に記載の自動光学検査システム。
【請求項22】
前記画像の特徴差は、明度の特徴差と彩度の特徴差であることを特徴とする請求項20に記載の自動光学検査システム。
【請求項23】
前記画像処理装置は、前記画像の特徴差に基づき前記ビアホール構造の画像上の前記壁エリアの面積と位置及び前記面エリアの面積と位置を判断することを含むことを特徴とする請求項13に記載の自動光学検査システム。
【請求項24】
前記画像処理装置は、前記面エリアの面積と位置及び前記壁エリアの面積と位置に基づ
き、画像検査結果を出力することを含むことを特徴とする請求項13に記載の自動光学検査システム。
【請求項25】
前記画像検査結果は、孔の形状検査、および/または孔底の品質検査、および/または孔壁の品質検査、および/または孔底と孔壁の接続箇所の品質検査を含むことを特徴とする請求項24に記載の自動光学検査システム。
【請求項26】
前記面エリアは、前記ビアホール構造の底面エリア及び/または断裂部エリアを含むことを特徴とする請求項24に記載の自動光学検査システム。
【請求項27】
前記画像検査結果は、前記ビアホール構造に断裂部エリアがないかの判断を含むことを特徴とする請求項26に記載の自動光学検査システム。
【請求項28】
前記画像検査結果は、前記断裂部の高さの判断を含むことを特徴とする請求項26に記載の自動光学検査システム。
【請求項29】
前記検査対象はプリント基板であることを特徴とする請求項13に記載の自動光学検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動光学検査システム及びその方法に関し、特に、ビアホール構造を測定するための自動光学検査システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動光学検査(Automated Optical Inspection, AOI)は、マシンビジョンを検査に活用したものである。肉眼による検査をマシンビジョンに置き換えることで、精度が高く、より効率的な検査を可能とするものである。従来から行われてきた人が検査装置を使用して行う検査の欠点を補うことができ、科学技術産業の研究、製造、品質管理、国防、民生、医療、環境保全、電力などの分野で応用されている。
【0003】
光学検査分野では、複雑な表面に対する検査は平滑な表面に対するものより困難である。可視性の複雑な表面についての検査は撮影装置の被写界深度次第であり、撮影装置の被写界深度が十分であれば一般的には問題がない。しかし、平面に存在する不可視の欠陥(例えば、ブラインドビアの内側壁面の欠陥)は、従来の光学方式(例えば、平面撮影)で検査を行うのが難しい。このような欠陥に対しては、撮影装置の相対的な位置及び撮影角度を調整して対応するが、それぞれの目的のエリアに対して逐一撮影を行わねばならず、このような検査を行うのは時間も人的コストもかかる割には相応の効果が得られないこともある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、ビアホール構造を測定するための方法を提供することにある。前記方法は、検査対象のビアホール構造に光源を提供することと、画角を有する撮影装置を前記ビアホール構造に向けビアホール構造の画像を得ることと、前記撮影装置の開口数の設定に応じ、前記ビアホール構造の壁エリア及び面エリアにより前記ビアホール構造の画像上に画像の特徴差を出現させることと、前記画角と前記画像の特徴差に基づき前記ビアホール構造の画像上の前記壁エリア及び前記面エリアを判断することとを含む。
【0005】
本発明のさらなる目的は、ビアホール構造を測定するための自動光学検査システムを提供することにある。前記自動光学検査システムは、光源装置と、撮影装置と、画像処理装置とを備える。前記光源装置は検査対象のビアホール構造に提供する。前記ビアホール構造は壁エリア及び面エリアを有する。前記撮影装置は前記ビアホール構造に向けられ、これによりビアホール構造の画像を得る。前記撮影装置は画角と開口数を有する。前記画像処理装置は前記ビアホール構造の画像の特徴差と画角に基づき、前記ビアホール構造の画像上の前記壁エリア及び前記面エリアを判断する。
【0006】
本発明によれば、ビアホール構造の面エリアまたは壁エリアの差異を利用し、レンズの開口数を調整することで、画像上に明度の差異が発生し、これにより、側壁及び孔底/断裂部を観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の自動光学検査設備を示す説明図である。
図2図2は、本発明の実施例を示す説明図である。
図3図3は、本発明の別の実施例を示す説明図である。
図4図4は、検査対象のビアホール構造を示す説明図(一)である。
図5図5は、検査対象のビアホール構造を示す説明図(二)である。
図6図6は、検査対象のビアホール構造を示す説明図(三)である。
図7図7は、図6の断面図である。
図8図8は、本発明の光学検査方法の工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の技術内容を図面に基づいて説明する。なお、これら図面は説明のためのものであるため、実際の比率に従い描かれたものではなく、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0009】
以下に実施例を用いて、本発明の技術的内容をより詳細に説明する。 図1は本発明の自動光学検査設備を示す説明図である。
【0010】
本実施例の提供する自動光学検査設備100は、撮影装置10と、光源装置20と、画像処理装置30とを備える。
【0011】
撮影装置10はビアホール構造Hに向けられ、これにより検査対象Pのビアホール構造の画像を得られる。撮影装置10は光学レンズ11と、光学レンズ11に接続される感光ユニット12とを備える。光学レンズ11は対象物を撮影し、画像を感光ユニット12上に現像する。光学レンズ11は魚眼レンズ、広角レンズまたは標準レンズなどのうちのひとつである。感光ユニット12はCCDイメージセンサまたはCMOSイメージセンサなどのうちのひとつである。検査対象Pは、例えばこれに限定しないが、1以上のビアホール構造を持つ物体、例えば複数のブラインドビアを有する平面物体、または直線型や複数箇所折れ曲がった導管である。好ましい実施形態においては、検査対象Pはプリント基板である。撮影装置10の画角及び開口数は人またはシステムにより調整する。
【0012】
光源装置20は検査対象Pのビアホール構造Hに対し光を発する。ビアホール構造Hは1以上の壁エリアH1と1以上の面エリアH2を有する(図4図6に示す)。特定の光源を提供し、画角及び開口数を調整することで、画像中の壁エリアH1と面エリアH2の画像の特徴差を強調することができる。前記面エリアは例えば前記ビアホール構造Hの底面エリア及び/または断裂部エリアを含む。
【0013】
本発明において「画像の特徴差」とは、例えば明度の特徴差や彩度の特徴差である。実施例においては、光源装置20はコリメート光源21及び/または拡散光源22である。異なる性質の光源を提供することで、画像中に明度の特徴差を生み出し、壁エリアH1と面エリアH2を区別することができる。本発明において「コリメート光源」及び「拡散光源」とは、その光源の成分の大部分をコリメート光または拡散光が占めることを指す。また別の実施例においては、光源装置20は2種類以上の異なるスペクトル特性を持つ光源(例えば第一光源、第二光源)を有する。これにより画像中に明度の特徴差及び彩度の特徴差を生み出し、壁エリアH1と面エリアH2を区別することができる。
【0014】
上述の方法のほか、異なる性質及び異なるスペクトル特性を持つ光源を同時に使用することで、ビアホール構造Hの壁エリアH1と面エリアH2の画像の特徴差を際立たせてもよく、本発明においては限定しない。
【0015】
図2は本発明の実施例を示す説明図である。コリメート光源21は、発光ユニット211と、半透鏡212を備える。発光ユニット211はコリメート光を発し、半透鏡212は傾斜角(通常は45度)をつけて撮影装置10の撮影方向上に設置される。これにより発光ユニット211が発するコリメート光を撮影装置10と同軸になるよう90度反射させ、半透鏡212が光束の一部を通過させることで撮影装置10はビアホール構造Hの画像を得ることができる。
【0016】
より具体的には、拡散光源22は1以上の発光ユニット221と、カバー222とを備える。カバー222は発光ユニット221の外側に設置される。光をビアホール構造Hに均一に発するため、カバー222の反射面はディフューザ―または光拡散材料を有し、前記拡散光をビアホール構造Hに提供する。実施例において、カバー222はアーチ形のカバーである。前記アーチ形のカバーの反射面はディフューザ―または光拡散材料を有し、発光ユニット221の光が前記アーチ形のカバーに入射した後、前記アーチ形のカバーで反射しビアホール構造H上に至る。前記ディフューザーは例えば不均一な微細構造であり、前記光拡散材料は例えば光を拡散する粉末や微粒子であり、本発明においては限定しない。発光ユニット221が直接検査対象Pを照らさないよう、発光ユニット221は前記アーチ形のカバーの外周縁に内側(反射面)に向かって環状に設置される。
【0017】
図3は本発明の別の実施例を示す説明図である。カバー222はアーチ形のカバーだけでなく、他のディフューズ装置を使用することができる。例えばこの実施例においては、カバー222は発光ユニット224の外側に斜めに設置される反射拡散板223である。反射拡散板223の反射面はディフューザーまたは光拡散材料を有し、同様に光拡散効果を得ることができる。
【0018】
画像処理においてビアホール構造Hの壁エリアH1と面エリアH2の画像の特徴差を際立たせ、欠陥をより際立たせるため、前記コリメート光及び前記拡散光は異なるスペクトル特性を有する。本実施例において、例えば底面及び側壁の材料が共に銅であるとき、前記コリメート光は青色光が好ましく、前記拡散光は赤色光が好ましい。二種の光源を混合することで、ビアホール構造Hの壁エリアH1、面エリアH2はそれぞれ異なる波長の光により明確な境界が現れ(図3に示す)、画像処理装置30は画像中の欠陥を容易に取得することができる。実施例においては、前記コリメート光と前記拡散光の波長の差は、100nm以上であるが、これに限定しない。前記波長の差は材料と実際の用途に応じて決める。
【0019】
好ましい実施例において、以下の光源の組み合わせにより、効果的に画像の特徴差を際立たせることができ、画像中のビアホール構造Hの壁エリアH1と面エリアH2の区別をつけることができる。
【表1】
【0020】
画像処理装置30は撮影装置10に接続され、ビアホール構造Hの画像の特徴差と画角に基づき、ビアホール構造Hの画像上の壁エリアH1及び面エリアH2を判断する。実施例においては、画像処理装置30は前記画像の特徴差に基づき、前記ビアホール構造の画像上の壁エリアH1の面積と位置及び前記面エリアH2の面積と位置を判断し、これに基づき画像検査結果を出力する。具体的には、画像処理装置30はストレージ(図示せず)にプログラムを保存し、前記プログラムにより画像分析を実行する。具体的には、画像分析プログラムは例えば、画像前処理プログラム、画像分割及び位置決めプログラム、欠陥検出(勾配化、領域拡張など)、マシンラーニング、ディープラーニングなどであり、本発明においては限定しない。
【0021】
前記画像検査結果は、孔の形状検査、孔底の品質検査、孔壁の品質検査、孔底と孔壁の接続箇所の品質検査、前記ビアホール構造に断裂部エリアがないかの判断、前記断裂部エリアの高さの判断などを含む。
【0022】
図4図6は実施例における検査対象のビアホール構造の説明図である。
【0023】
検査物Pは基板上のビアホール構造Hである。検査物Pはめっきが均一でないなどの理由により断裂部エリアを生み出す可能性があり、穴の内側で断線を引き起こす。図4に示すように、面エリアH2(孔底エリア)の範囲が一定の直径に達したとき、断裂部エリアH3が既に断線を引き起こしていることがわかる。断裂部H3が発生したかどうかは、孔底エリアの面エリアH2の直径を測ることでわかる。または、撮影した画像と欠陥のない画像を重ね合わせることで断裂部H3の発生を知ることもできる。もう一つの状況について図5で示す。ビアホール構造Hは孔底エリアで断裂部H3を形成しているほか、孔壁上にも欠陥が発生し断裂部H4を形成する可能性がある。孔壁上に形成する断裂部H4は孔壁の角度と異なるため、壁エリアH1とは画像の特徴差が現れる。さらにもう一つの状況について図6で示す。断裂部H5が面エリアH2の片側に形成され、面エリアH2の片側だけが楕円になった場合、欠陥が片側の孔壁にのみ存在すると判断できる。断線しているかどうかは断裂部エリアの高さと相関性がある。すなわち、銅めっきの厚みがどれだけ少ないかである。これにより、欠陥の高さを調べることで断線した可能性を予測することができる。
【0024】
欠陥の高さを取得する方法について、図6及び図7を参考に説明する。図7図6の断面図である。
【0025】
実際の空間における欠陥の高さを計算して得るには、撮影の画角と画像中の孔壁の傾斜角度を調整し、画像中の欠陥の長さを利用して正確な高さを計算して出せるようにする必要がある。
【0026】
孔内側壁の傾斜角度が一定であるとして、画角及び開口数を調節した撮影機(撮影装置10)の撮影角度を固定し、撮影を行い計算することで画像中の断裂部エリアの長さを得ることができる。計算を始めるとまず3つの変数、すなわち孔壁傾斜角度α、撮影角度β及び断裂部エリアの長さGPを得ることができる。
【0027】
このうち、画像から得た断裂部エリアの長さGPは断裂部エリアの第一長さGP1と撮影機の画角により出来る断裂部エリアの第二長さGP2との和である。よって、断裂部エリアの長さGPは次の式が成り立つ。
【数1】
【0028】
計算開始時点で、孔壁傾斜角度αは確定しているため、三角関数により、断裂部エリアの第一長さGP1は断裂部エリアの高さGPHと一定の三角比の関係にあることがわかるため、次の式が成り立つ。
【数2】
【0029】
上述の式による計算の後、残った断裂部エリアの第二長さGP2の変数を確定する必要がある。断裂部エリアの第二長さGP2は撮影機の撮影角度から出来るものであり、図4から分かるとおり、断裂部エリアの第二長さGP2は断裂部エリアの高さGPHと一定の三角比の関係にあるため、次の式が成り立つ。
【数3】
【0030】
上述の3つの式の連立方程式は以下のようになる。
【数4】
【0031】
1つ目の式を3つ目の式に代入すると以下の連立方程式になる。
【数5】
【0032】
2つの方程式を計算すると、未知の数値だった断裂部エリアの高さGPHと断裂部エリアの第一長さGP1が一度に得られ、断裂部エリアの高さGPHから断線の可能性を確認することができる。
【0033】
断裂部エリアの高さGPHを得られるほか、他の実施例では、画像分析の結果から、前記画像検査結果はさらに、孔壁欠陥幅、めっき不連続サイズなどを含むことができる。
【0034】
画像処理装置30は上述の方法による断裂部エリアの高さGPHを得られるほか、例えば断裂部エリアの幅または孔壁と孔底の間の断裂部エリアの長さ、壁エリアの面積と位置及び面エリアの面積と位置などを得ることができる。
【0035】
ここから、本発明のビアホール構造内側壁面の光学検査方法について説明する。図8は本発明の光学検査方法の工程を示す説明図である。
【0036】
本発明はさらに、ビアホール構造を測定するための方法を提供する。前記方法は以下の工程を含む。
【0037】
検査対象のビアホール構造に光源を提供する(工程S01):実施例においては、前記光源を前記検査対象の前記ビアホール構造に提供する工程は、コリメート光及び/または拡散光を前記検査対象の前記ビアホール構造に提供することを含む。別の実施例においては、前記光源を前記検査対象の前記ビアホール構造に提供する工程は、第一光源と第二光源を前記検査対象の前記ビアホール構造に提供することを含む。前記第一光源と前記第二光源は異なるスペクトル特性を有する。
【0038】
画角を有する撮影装置を前記ビアホール構造に向け、ビアホール構造の画像を得る(工程S02):
【0039】
前記撮影装置の開口数を調整することで、前記ビアホール構造の壁エリア及び面エリアにより前記ビアホール構造の画像上に画像の特徴差を出現させる(工程S03):前記ビアホール構造に異なる特性を持つ光源(例えば、コリメート光、拡散光)を提供することで、得られる画像の特徴差は明度の特徴差となる。前記ビアホール構造に異なるスペクトル特性を持つ光源を提供することで、得られる画像の特徴差は明度の特徴差と彩度の特徴差となる。
【0040】
前記画角と前記画像の特徴差に基づき、前記ビアホール構造の画像上の前記壁エリア及び前記面エリアを判断する(工程S04):実施例においては、前記ビアホール構造の画像上の前記壁エリアと前記面エリアを判断する工程は、前記画像の特徴差に基づき前記ビアホール構造の画像上の前記壁エリアの面積と位置及び前記面エリアの面積と位置を判断することを含む。さらに、前記壁エリアの面積と位置及び前記面エリアの面積と位置に基づき、画像検査結果を出力する。前記面エリアは例えば、前記ビアホール構造の底面エリア及び/または断裂部エリアである。断裂部エリアの長さから、欠陥の高さを計算して出すことができ、そこから断線の可能性を判断することができる。
【0041】
得られた画像検査結果は、孔の形状検査、孔底の品質検査、孔壁の品質検査、孔底と孔壁の接続箇所の品質検査、前記ビアホール構造に断裂部エリアがないかの判断、及び前記断裂部の高さの判断などを含む。
【0042】
本発明によれば、ビアホール構造の面エリアまたは壁エリアの差異を利用し、レンズの開口数を調整することで、画像上に明度の差異が発生し、これにより、側壁及び孔底/断裂部を観察することができる。
【0043】
以上、本発明について詳細に説明したが、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【符号の説明】
【0044】
100 自動光学検査設備
10 撮影装置
11 光学レンズ
12 感光ユニット
20 光源装置
21 コリメート光源
211 発光ユニット
212 半透鏡
22 拡散光源
221 発光ユニット
222 カバー
223 反射拡散板
224 発光ユニット
30 画像処理装置
P 検査対象
H ビアホール構造
H1 壁エリア
H2 面エリア
H3 断裂部エリア
H4 断裂部エリア
H5 断裂部エリア
α 孔壁傾斜角度
β 撮影角度
GP 断裂部エリアの長さ
GP1 断裂部エリアの第一長さ
GP2 断裂部エリアの第二長さ
GPH 断裂部エリアの高さ
S01~S04 工程01~04

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8