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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】発光パッケージ構造及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/52 20100101AFI20220114BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
H01L33/52
H01L23/02 F
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019214268
(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公開番号】P2020092265
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2019-11-27
(31)【優先権主張番号】201811478852.6
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511287754
【氏名又は名称】光寶光電(常州)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】503419697
【氏名又は名称】光寶科技股フン有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鄭 偉 ▲トー▼
(72)【発明者】
【氏名】邱 國銘
(72)【発明者】
【氏名】梁 凱傑
(72)【発明者】
【氏名】蔡 杰廷
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-205911(JP,A)
【文献】特開2010-080087(JP,A)
【文献】特開2018-037581(JP,A)
【文献】特開2000-036384(JP,A)
【文献】特開2007-189031(JP,A)
【文献】特開2017-208431(JP,A)
【文献】特開2010-278176(JP,A)
【文献】特開2007-243076(JP,A)
【文献】国際公開第2014/073534(WO,A1)
【文献】特開2010-102066(JP,A)
【文献】特開2014-173007(JP,A)
【文献】特開平04-048755(JP,A)
【文献】特開2012-073533(JP,A)
【文献】特開2005-353287(JP,A)
【文献】特開2013-137998(JP,A)
【文献】国際公開第2013/175528(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/136369(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0219124(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接合領域を有する基板と、
第2接合領域を有し、前記基板との間に収容空間が形成されるように前記基板に設けられる蓋部材と、
前記収容空間に収容されるように前記基板に設けられる発光ユニットと、
前記第1接合領域と前記第2接合領域を接合するように前記第1接合領域と前記第2接合領域との間に設けられるシーラントと、
を含み、
前記シーラントは、少なくとも一側辺が前記収容空間へ凹んでかつ平面視で略弧形となった凹み部を形成する外輪郭を有し、
前記凹み部の凹み深さは前記第1接合領域又は前記第2接合領域の幅の1/4以上であることを特徴とする発光パッケージ構造。
【請求項2】
前記シーラントは熱可塑性接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の発光パッケージ構造。
【請求項3】
前記収容空間内の圧力は1大気圧よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の発光パッケージ構造。
【請求項4】
前記蓋部材における前記基板に向けた側の表面には反射防止膜が設けられることを特徴とする請求項1に記載の発光パッケージ構造。
【請求項5】
前記発光ユニットの表面には防水層が塗布されることを特徴とする請求項1に記載の発光パッケージ構造。
【請求項6】
前記シーラントの最大幅は前記第1接合領域又は前記第2接合領域の幅の50%~95%であることを特徴とする請求項1に記載の発光パッケージ構造。
【請求項7】
基板と、前記基板との間に収容空間が形成される蓋部材と、前記収容空間に収容される発光ユニットと、シーラントと、を含む発光パッケージ構造を製造する発光パッケージ構造の製造方法であって、
前記発光ユニットを前記基板に取り付ける準備工程と、
前記シーラントを前記基板に環設された第1接合領域に塗布するディスペンス工程であって、前記シーラントは前記第1接合領域の全周に渡って、前記シーラントの幅が前記第1接合領域の幅の1/4~3/4となるように前記第1接合領域に塗布されるディスペンス工程と、
前記シーラントにより、前記第1接合領域と互いに接合するための第2接合領域を有する前記蓋部材を前記基板に設ける蓋密封工程と、
雰囲気圧力を元の前記雰囲気圧力よりも低い第1圧力値に低減させる真空工程と、
前記シーラントの少なくとも一部を前記収容空間に凹んでかつ平面視で略弧形となった凹み部として形成させるように、前記発光パッケージ構造の周囲の気圧を前記第1圧力値よりも高い第2圧力値に調整し、前記凹み部の凹み深さを前記第1接合領域又は前記第2接合領域の幅の1/4以上にする圧力回復工程と、
前記シーラントを硬化させる硬化工程と、
を含むことを特徴とする発光パッケージ構造の製造方法。
【請求項8】
前記真空工程で前記第1圧力値は2~5分間で維持されることを特徴とする請求項に記載の発光パッケージ構造の製造方法。
【請求項9】
前記真空工程は前記蓋密封工程の前に実施されることを特徴とする請求項に記載の発光パッケージ構造の製造方法。
【請求項10】
前記第1圧力値と前記第2圧力値との圧力差は0.01mpa~0.03mpaであることを特徴とする請求項に記載の発光パッケージ構造の製造方法。
【請求項11】
前記圧力回復工程は前記硬化工程の途中で開始することを特徴とする請求項に記載の発光パッケージ構造の製造方法。
【請求項12】
前記シーラントのチキソ係数は2.8~4であることを特徴とする請求項に記載の発光パッケージ構造の製造方法。
【請求項13】
前記シーラントの粘度は10Pas~18Pasであることを特徴とする請求項に記載の発光パッケージ構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光パッケージ構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図13A及び図13Bに示すように、既存の発光パッケージ構造100は主に基板101、蓋部材102、及び発光チップ103を含む。パッケージ構造100において、蓋部材102により発光チップ103が収容空間105にパッケージされる。蓋部材102は一般的にシーラント104により収容空間105の開口に固定され、常圧の雰囲気で硬化を行う。しかし、シーラント104の硬化過程で、蓋部材102は傾きが生じる不具合がよくあるため、パッケージ構造100の不良率が高くなる。
【0003】
このことから、本発明人は上述した欠陥が改善可能なものであると考え、鋭意に研究し科学原理をも運用し、最終に設計が合理で且つ上述した問題を有効に改善する本発明を提出する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の主な目的は歩留まりの向上が可能な発光パッケージ構造及びその製造方法を提供する。
【0005】
本発明に係る発光パッケージ構造は、第1接合領域を有する基板と、第2接合領域を有し、基板との間に収容空間が形成されるように基板に設けられる蓋部材と、収容空間に収容されるように基板に設けられる発光ユニットと、第1接合領域と第2接合領域を接合するように第1接合領域と第2接合領域との間に設けられるシーラントと、を含み、シーラントは少なくとも一側辺が収容空間へ凹んだ凹み部を形成する外輪郭を有する。
【0006】
本発明に係る発光パッケージ構造の製造方法は、発光ユニットを基板に取り付ける準備工程と、シーラントを基板の第1接合領域に塗布するディスペンス工程と、シーラントにより、第1接合領域と互いに接合するための第2接合領域を有する蓋部材を基板に設ける蓋密封工程と、雰囲気圧力を元の雰囲気圧力よりも低い第1圧力値に低減させる真空工程と、パッケージ構造の周囲の気圧を第1圧力値よりも高い第2圧力値に調整する圧力回復工程と、シーラントを硬化させる硬化工程と、を含む。
【0007】
まとめて、本発明に係るパッケージ構造及びその製造方法は発光パッケージ構造の完成品の歩留まりを向上ことができる。
【0008】
本発明の特徴及び技術的内容をより明瞭に理解するために、以下の関連する本発明の詳細な説明や図面を参酌する。ただし、これらの説明や図面はあくまでも本発明を説明するためのものであり、本発明の保護範囲はこれらに制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は本発明の第1実施例の発光パッケージ構造の組み合わせ断面の模式図である。
図2図2は本発明の第1実施例の発光パッケージ構造の製造方法の準備工程の模式図である。
図3図3は本発明の第1実施例の発光パッケージ構造の製造方法のディスペンス工程の模式図である。
図4図4は本発明の第1実施例の発光パッケージ構造の製造方法のディスペンス工程の平面模式図である。
図5図5は本発明の第1実施例の発光パッケージ構造の製造方法の蓋密封工程の模式図である。
図6図6は本発明の第1実施例の発光パッケージ構造の製造方法の真空工程の模式図である。
図7図7は本発明の第1実施例の発光パッケージ構造の製造方法の圧力回復工程の模式図である。
図8図8は本発明の第1実施例の発光パッケージ構造の製造方法において各工程を実施する圧力グラフ及び温度グラフである。
図9図9は本発明の第1実施例の発光パッケージ構造の平面模式図である。
図10図10は本発明の第2実施例の発光パッケージ構造の組み合わせ断面の模式図である。
図11図11は本発明の第2実施例の発光パッケージ構造の組み合わせ断面の模式図である。
図12図12は本発明の第3実施例の発光パッケージ構造の組み合わせ断面の模式図である。
図13A図13Aは既存方法で製造されたパッケージ構造の断面図及び平面構造模式図である。
図13B図13Bは既存方法で製造されたパッケージ構造の断面図及び平面構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1図12は本発明の実施例を示す。先に説明する必要なことは、本実施例の対応する図面で示された関連数量や外型が具体的に本発明の実施形態を説明するためにすぎず、本発明の内容をより明らかにさせるためのものであり、本発明の保護範囲を制限しない。
【0011】
[第1実施例]
図1は本発明の方法で製造されたパッケージ構造1の具体的実施例を示す。パッケージ構造1は基板10、蓋部材20、発光ユニット30及びシーラント40を有する。基板10は二つのチップ取り付け用パッド11を有する。二つのチップ取り付け用パッド11はそれぞれパッド13を電気的に接続する。発光ユニット30は基板10のチップ取り付け用パッド11に設けられる。従って、発光ユニット30はチップ取り付け用パッド11によりパッド13と電気的に接続されている。基板10におけるチップ取り付け用パッド11側に位置する外周に塀構造14を有する。塀構造14における基板10から離れる一方側に環状の第1接合領域15を形成する。蓋部材20は基板10に設けられる。蓋部材20と基板10との間に収容空間12が形成される。発光ユニット30は収容空間12に収容される。蓋部材20は第1接合領域15に対する第2接合領域21を有する。第2接合領域21と第1接合領域15は互いに対向して接合され且つ収容空間12を囲む。シーラント40は第1接合領域15と第2接合領域21との隙間に設けられる。シーラント40により第1接合領域15と第2接合領域21を接合することで収容空間12が閉鎖的に形成されることができる。
【0012】
パッケージ構造1の製造が完了した後、収容空間12は負圧状態(即ち、収容空間内の圧力は1大気圧よりも小さい)を呈することができる。これにより、発光ユニット30は真空雰囲気にパッケージされ、発光ユニット30が空気及び水気に接触しないことで発光ユニット30の寿命を長くさせる。従って、本発明の発光パッケージ構造は特に空気や水気に敏感な発光チップ(例えば深紫外光発光ダイオードなどの紫外光発光チップなど)のパッケージに好適に用いられる。従って、発光ユニット30は任意の発光チップであってもよい。例えば、発光ユニット30はピークが100nm~400nmの波長範囲にある発光チップであってもよい。一部の実施態様で発光ユニット30はピークが100nm~280nmの波長範囲にあるUVC発光チップやピークが280nm~315nmの波長範囲にあるUVB発光チップやピークが315nm~400nmの波長範囲にあるUVA発光チップとして挙げられる。
【0013】
以下は本実施例の発光パッケージ構造の製造方法を説明する。本発明の発光パッケージ構造の製造方法は準備工程、ディスペンス工程、蓋密封工程、真空工程、圧力回復工程及び硬化工程を含む。しかしながら、本発明は上述した発光パッケージ構造の製造方法を実現する際に、上述した各々の工程の内容及び順番に制限されない。
【0014】
図2は発光ユニット30を基板10のチップ取り付け用パッド11に設ける準備工程を実施するのを示す。発光ユニット30が基板10に設けられると、発光ユニット30と基板10上の複数のパッド13とは電気的に接続されると共に、発光ユニット30は塀構造14の内側壁と基板10により共に画成された凹穴に収容される。この実施例で、基板10と塀構造14の材質は例えばセラミック材料や高分子材料から選ばれることができ、基板10と塀構造14両者はいずれも発光ユニット30が発した光を反射することができる。好ましくは、基板10と塀構造14は同じ材質で一体成型される。
【0015】
図3及び図4はディスペンサー装置ノズル50により未硬化のシーラント40を環形の経路に沿って基板10の第1接合領域15に塗布するディスペンス工程を実施するのを示す。本実施例で、第1接合領域15は塀構造14における基板10から離れる一方側に形成される。従って、ディスペンス工程を実行する時に、ディスペンサー装置ノズル50によりシーラント40を塀構造14における第1接合領域15に塗布する。
【0016】
特に説明すれば、ディスペンス工程のディスペンス量は本発明のパッケージ構造完成品の品質及び歩留まりに影響するため、シーラント40は第1接合領域15に塗布される幅が正確に制御されることが必要である。本発明のディスペンス工程で、シーラント40は第1接合領域15に塗布された幅が第1接合領域15の幅の1/4~3/4の間に制御される必要がある。好ましい実施例で、シーラント40は第1接合領域15に塗布された幅が第1接合領域15の幅の1/3~2/3である。本発明のより好ましい実施例で、シーラント40は第1接合領域15に塗布された幅が第1接合領域15の幅の1/3~1/2である。
【0017】
又、本発明の一部の実施例では、好ましくは、シーラント工程において、シーラント40は発光ユニット30が発した光線の照射を受けた後に変質しないように、例えばシリコーンベースの熱可塑性接着剤などの紫外光防止能力のある熱可塑性接着剤を選ぶ。又、シーラント40は好ましくはチキソ係数が2.8~4であり、粘度が10Pas~18Pasである接着剤材を選ぶ。これにより、シーラント40は真空工程で圧力差ΔPによる崩れた穴が生じない。硬化温度は好ましくは140℃~160℃である。これにより、硬化工程で高温によるチップやその他の部材の損害は生じない。しかし、本発明はこれに制限されなく、本発明の関連分野において、当業者は本発明の内容を参酌した上で、必要に応じてシーラント40の接着剤材の特性を変化させて調整することができる。
【0018】
図5はピックアップ装置60により蓋部材20を基板10に設ける蓋密封工程を実施するのを示す。蓋部材20が基板10に設けられると、蓋部材20の第2接合領域21と第1接合領域15は互いに対向すると共にシーラント40に接触する。シーラント40により第1接合領域15と第2接合領域21は互いに接合されることができる。
【0019】
図6は真空装置により雰囲気圧力を雰囲気圧力の元圧力値よりも低い第1圧力値に低減させる真空工程を実施するのを示す。雰囲気圧力をパッケージ構造1の周囲空間の圧力と定義する。雰囲気圧力の元圧力値を真空工程を実施する前のパッケージ構造1の周囲雰囲気の圧力と定義する。元圧力は1大気圧であってもよく、第1圧力は0.01mpa以下であってもよい。真空工程により、パッケージ構造1の周囲雰囲気及び収容空間12内部の圧力をいずれも雰囲気圧力の元圧力値よりも低くさせることができる。
【0020】
具体的には、真空工程で使用された真空装置は真空チャンバーであってもよい。パッケージ構造1は真空チャンバーに収容され、空気吸引工程により真空チャンバーの内部圧力を第1圧力値に低減させるようにしてもよい。
【0021】
又、真空工程は様々な実施例があってもよい。その中の一実施例は蓋密封工程の実行が完了した後に、真空装置によりパッケージ構造1周囲の雰囲気の雰囲気圧力を第1圧力値に低減させると共に、第1圧力を所定の時間で維持する。この過程で、シーラント40が完全に硬化しないため、収容空間12内部のガスはシーラント40を通すことができる。これにより、収容空間12内のガスは真空吸引力による吸引で収容空間12の外側に排出されることによって、収容空間12の圧力は第1圧力に更に近づくことができる。
【0022】
特に説明すれば、本実施例で、第1圧力値の持続時間は収容空間12の内部を第1圧力値に低減させるために必要な時間によって決定される。従って、第1圧力値の持続時間は実際の必要に応じて変化することができる。実際の試験によれば、本実施例で第1圧力値の維持時間は2~5分間である。好ましい実施例で、第1圧力値の維持時間は3~4分間である。
【0023】
真空工程の他の具体的実施例は蓋密封工程を実施する前に、真空工程を実施し、雰囲気圧力を第1圧力値に低減させた後、第1圧力値の雰囲気で蓋密封工程を実施する。本実施例の利点は負圧雰囲気で蓋密封工程を実施することによって、蓋部材20が基板10に設けられると、収容空間12がすでに真空状態になり、別途に収容空間12内のガス排出の時間を待つ必要がなくなる。
【0024】
図7はパッケージ構造1周囲の雰囲気の圧力を第1圧力値よりも高い第2圧力値に調整する圧力回復工程を実行するのを示す。図8は本発明の発光パッケージ構造の製造方法で各工程を実施する圧力グラフ及び温度グラフを示す。真空工程が完了すると、パッケージ構造1の内部圧力Paはパッケージ構造1の外部圧力Piに等しくなり、外部圧力Piと内部圧力Paは第1圧力値に等しくなる。圧力回復工程を実施した後、パッケージ構造1の外部圧力Piは第2圧力値に上昇する。この時、外部圧力Piは内部圧力Paよりも大きく、且つ外部圧力Piと内部圧力Paは圧力差ΔPを有する。従って、非接触式加圧による圧力を蓋部材20に加えて蓋部材20を基板10とシーラント40に押し付ける。
【0025】
特に説明すれば、圧力回復工程において、第2圧力と第1圧力との差値は大きいほど、蓋部材20に加えた圧力は大きくなり、蓋部材20とシーラント40との接触圧力は高くなり、さらにパッケージ構造1の完成品のシーラント40の厚さは薄くなる。従って、圧力回復工程において、第2圧力値は第1圧力値に対する圧力上昇幅が大きすぎると、完成品のシーラント40の厚さは容易に薄すぎ、シーラント40の粘着力は不足になり、蓋部材20は離脱しやすく、又は蓋部材20と基板10との隙間は密封できなくなる。また、第2圧力値が高すぎると、パッケージ構造1周囲の雰囲気の真空度は不足になり、収容空間12内部の真空度に影響する。逆に、圧力回復工程において第2圧力値の上昇幅は不足になると、蓋部材20はシーラント40に押し付けられた圧力が不足になり、シーラント40の厚さは厚すぎ、蓋部材20は後の工程で傾きやすい。
【0026】
従って、本発明の実施例で、第2圧力値と第1圧力値との圧力差は好ましくは0.01mpa~0.03mpaである。上述した方式によれば、パッケージ構造1の完成品のシーラント40の厚さは30μm~55μmの間に制御されることができる。好ましい実施例で、パッケージ構造1の完成品のシーラント40の厚さは30μm~45μmである。
【0027】
図8は第2圧力値を維持した雰囲気で、加熱工程によりパッケージ構造1周囲の雰囲気の温度が硬化温度に加熱されると共に、所定の時間で硬化温度を維持し続けることでシーラント40を熱硬化させる硬化工程を実施するのを示す。特に説明すれば、硬化工程で採用された硬化温度と硬化温度の維持時間はシーラント40の材料特性により調整することができる。本発明の一部の実施例で、硬化温度は好ましくは140℃~160℃であり、硬化温度の維持時間は好ましくは180~300分間である。
【0028】
図8に示すように、本発明は第2圧力値を維持した雰囲気で硬化工程を実施する。従って、シーラント40の熱硬化過程で、パッケージ構造1の外部圧力Piは内部圧力Paよりも大きく非接触式加圧によって圧力差ΔPが生じ、且つ圧力差ΔPは均一に蓋部材20に加えられる。従って、蓋部材20はシーラント40の硬化過程で傾くことが低減され、本発明のパッケージ構造1の工程の歩留まりを向上させる目的は達成される。
【0029】
又、硬化工程の他の具体的実施例は第2圧力値の雰囲気で加熱工程を実行し、且つ硬化温度を40~60分間で続けてシーラント40を初期硬化させた後、常圧の雰囲気で硬化温度を120~260分間で続けてシーラント40を完全に硬化させる。本実施例で採用された二段階硬化の利点は第1段階の硬化工程のみで負圧雰囲気を維持する必要があり、第2段階の硬化工程は常圧雰囲気で行われるため、真空設備の使用時間を省き、設備の使用効率を向上させることができる。
【0030】
特に説明すれば、本発明の図8に記載の実施例の実施過程で、硬化工程は圧力回復工程の後に開始するが、硬化工程と圧力回復工程の他の実施例で、圧力回復工程は硬化工程の途中で開始することができる。より具体的には、硬化工程の途中とは硬化工程の過程中でシーラント40が硬化温度に加熱された後、シーラント40が熱によって流体状態から硬化状態へ変換される過程を指す。本実施例は硬化工程が開始した後に加熱工程を行い、シーラント40が硬化状態にならない前に圧力回復工程を開始する。本実施例で圧力回復工程を実施する時点は硬化工程を実施する時点よりも遅いが、圧力回復工程を実施する時にシーラント40は未硬化状態であるため、シーラント40の熱硬化過程で、圧力回復工程による圧力差ΔPによって蓋部材20がシーラント40に押し付けられ、蓋部材20が傾く不具合を回避できる。
【0031】
図1及び図9は本発明の製造方法で製造されたパッケージ構造1の完成品を示す。パッケージ構造1の完成品は収容空間12内で負圧雰囲気を形成することができるため、シーラント40が内側へ凹んだ発光パッケージ構造を形成する。即、パッケージ構造1のシーラント40は収容空間12の外側を囲む環状体を形成し、シーラント40は収容空間12に対する一側辺が外輪郭41を形成し、シーラント40の外輪郭41の少なくとも一側辺は収容空間へ凹んだ凹み部42を形成する。
【0032】
シーラント40の外輪郭41は凹み部42を形成するのは、圧力回復工程を実施する時に、シーラント40の硬化が完了しないため、シーラント40においてパッケージ構造1による外部圧力の押圧でシーラント40の外輪郭41の少なくとも一側辺が収容空間12の方向へ退避して凹み部42を形成することからである。
【0033】
また、図9に示す本発明の好ましい実施例で、凹み部42は略弧形に形成される。また、本発明の好ましい実施例で、シーラント40の最大幅は第1接合領域15又は第2接合領域21の幅の50%~95%である。凹み部42の凹み深さdは第1接合領域15又は第2接合領域21の幅の1/4以上である。上述した範囲で、基板10と蓋部材20との接合強度を確保することができる。
【0034】
図9に示すように、本発明の発光パッケージ構造の製造方法は硬化工程の実施過程と同時に、圧力回復工程を実施することから、シーラント40の外輪郭41の少なくとも一側辺は凹み部42が生じる。図13Bに示すように、既存の方法で製造されたパッケージ構造100は既存のパッケージ構造100のシーラント104に硬化工程を実施するときに、圧力回復工程を実施しないから、シーラント104の外周輪郭が顕著な凹み部を形成しなく、且つパッケージ構造100の蓋部材102が傾きやすい不具合がある。
【0035】
[第2実施例]
図10及び図11は本発明の発光パッケージ構造の他の具体的実施例を示す。本実施例で、パッケージ構造1は基板10、発光ユニット30、及び蓋部材20を含む。基板10における蓋部材20に向けた側にチップ取り付け用パッド11が設けられる。発光ユニット30はチップ取り付け用パッド11に設けられる。基板10における蓋部材20に向けた側の外周は第1接合領域15を形成する。蓋部材20は透光可能な蓋部材である。蓋部材20における基板10に向けた側は蓋部材20の外側を囲む側壁構造22を有する。本実施例で、第1接合領域15は基板10における蓋部材20に向けた側の外周に形成され、第2接合領域21は側壁構造22における基板10に向けた側に形成される。この実施例で、蓋部材20の材質は例えばセラミックや高分子材料から選ばれてもよく、好ましくはガラスや石英である。
【0036】
蓋部材20が基板10に設けられた後、第1接合領域15と第2接合領域21はシーラント40により接合される。基板10、側壁構造22及び蓋部材20は共に発光ユニット30を収容する収容空間12を画成する。
【0037】
本実施のパッケージ構造1は第1実施例のパッケージ構造1と同様な製造方法で製造され、且つ同様にシーラント40の外輪郭の少なくとも一側辺に凹み部が形成される。本実施例の発光パッケージ構造の製造方法は第1実施例と同様であるため、本明細書での繰り返し説明を省略する。
【0038】
[第3実施例]
図12は本発明のパッケージ構造1の第3実施例を示す。本実施例で、パッケージ構造1の基本的構造は上述した各実施例に類似するため、上述した各実施例に類似した部分の繰り返し説明を省略する。本実施例の相違点は、基板10のチップ取り付け用パッド11にサブ基板17が設けられること、発光ユニット30はサブ基板17に設けられること、パッケージ構造1は防水層16をさらに含むこと、及び防水層16は少なくとも発光ユニット30の表面に塗布されることにある。防水層16の材料は珪素系樹脂やフッ素系樹脂から選ばれてもよい。これにより、良好な防水及び隔離効果を果たす。
【0039】
又、本実施例で、蓋部材20における基板10に向けた側の表面に反射防止膜23が設けられることによって、パッケージ構造内部での反射による光線の損失を低減し、発光効率を向上させる。説明する必要があるのは、図12で反射防止膜23が第2接合領域まで延びるが、本発明はこれに限定されなく、反射防止膜23は第2接合領域まで延びなくてもよい。
【0040】
[実施例の優れた効果]
まとめて、本発明の優れた効果はシーラント40の硬化過程で、シーラント40が熱による膨張変形又は応力の不均一で蓋部材20が傾く不具合が生じることを低減することができ、発光パッケージ構造の工程の歩留まりの向上効果を果たすことができる。
【0041】
以上は本発明の好ましい実現可能な実施例にすぎず、本発明の保護範囲を制限するものではなく、本発明の特許請求の範囲に従って均等な変形や修飾を加えたものはすべて本発明の特許請求の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1 パッケージ構造
10 基板
11 チップ取り付け用パッド
12 収容空間
13 パッド
14 塀構造
15 第1接合領域
16 防水層
17 サブ基板
20 蓋部材
21 第2接合領域
22 側壁構造
23 反射防止膜
30 発光ユニット
40 シーラント
41 外輪郭
42 凹み部
50 ディスペンサー装置ノズル
60 ピックアップ装置
100 パッケージ構造
101 基板
102 蓋部材
103 発光チップ
104 シーラント
105 収容空間
Pi 外部圧力
Pa 内部圧力
d 凹み深さ
ΔP 圧力差
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B