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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】計時器ダイヤル
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/06 20060101AFI20220203BHJP
   G04B 45/00 20060101ALI20220203BHJP
   G04B 19/12 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
G04B19/06 S
G04B45/00 Z
G04B19/12 B
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019223440
(22)【出願日】2019-12-11
(65)【公開番号】P2020101537
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2019-12-11
(31)【優先権主張番号】18214225.7
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】アニエス・マルロー デル
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドロス・モウスケフタラス
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル・ウィルマン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-クロード・マルタン
(72)【発明者】
【氏名】カロル・ゴヴェール
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-170399(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0196742(US,A1)
【文献】特開2014-016394(JP,A)
【文献】特開2008-111732(JP,A)
【文献】特開2001-249189(JP,A)
【文献】特開2003-162242(JP,A)
【文献】特開2006-177957(JP,A)
【文献】特開2002-192900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材(2)と、表側および裏側を有し、少なくとも部分的に前記支持部材(2)を覆う真珠層のウエハ(4)と、前記真珠層のウエハ(4)の前記裏側に配置される少なくとも1つの装飾的要素(6)とを備えるダイヤルであって、前記装飾的要素(6)は、刺激を受けるとき、前記真珠層のウエハ(4)の前記表側で可視となるように配置され、前記刺激を受けないとき、前記真珠層のウエハ(4)の前記表側で不可視となるように配置され、前記装飾的要素(6)はその周りで、前記真珠層のウエハ(4)の前記裏側に少なくとも第1の空白領域(10)を画成し、前記真珠層のウエハ(4)の前記表側に前記第1の空白領域(10)に対向する少なくとも第2の空白領域(12)を画成し、前記ダイヤル(1)は、前記第2の空白領域(12)に蒸着される少なくとも1つの色補正層(14)を備え、前記色補正層(14)の色は、前記刺激を受けないとき、CIE Lab色空間において、ユーザが前記真珠層のウエハ(4)の前記表側を見るときに認識する前記色補正層(14)と、前記装飾的要素(6)との間の色差ΔEが3未満となるように選択され、前記真珠層のウエハ(4)の前記表側表面全体にわたって拡散性表面(18)が配置されている、ダイヤル(1)。
【請求項2】
請求項に記載のダイヤル(1)であって、前記色補正層(14)は有機性または無機性であることを特徴とする、ダイヤル(1)。
【請求項3】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のダイヤル(1)であって、前記第1および第2の空白領域(10、12)の表側表面及び裏側表面の少なくとも1つの表面は拡散性であることを特徴とする、ダイヤル(1)。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のダイヤル(1)であって、前記真珠層のウエハ(4)の前記裏側は、前記装飾的要素(6)を受容する少なくとも1つのブラインド空洞(16)を含むことを特徴とする、ダイヤル(1)。
【請求項5】
請求項に記載のダイヤル(1)であって、前記真珠層のウエハ(4)の前記裏側は、複数の装飾的要素(6)を受容するための異なる深さの複数のブラインド空洞(16)を含み、前記複数の装飾的要素(6)が刺激を受けるとき当該複数の装飾的要素(6)は異なる輝度を表すことを特徴とする、ダイヤル(1)。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のダイヤル(1)であって、前記装飾的要素(6)は前記支持部材(2)上に配置されることを特徴とする、ダイヤル(1)。
【請求項7】
請求項に記載のダイヤル(1)であって、前記拡散性表面はエッチングによって形成されることを特徴とする、ダイヤル(1)。
【請求項8】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のダイヤル(1)であって、前記装飾的要素(6)は光刺激を感受する蛍光もしくは光変色性粒子、電気刺激を感受するエレクトロクロミック粒子、または温度変動を感受する熱変色性粒子を含むことを特徴とする、ダイヤル(1)。
【請求項9】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のダイヤル(1)を備える計時器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持部材と、表側および裏側を有し、少なくとも部分的に支持部材を覆う真珠層のウエハと、裏側に配置される少なくとも1つの装飾的要素とを備えるダイヤルに関する。この装飾的要素は、刺激を受けるとき真珠層のウエハの表側で可視となり、刺激を受けないときには真珠層のウエハの表側で不可視となるように配置される。装飾的要素は、その周りで、真珠層のウエハの裏側に少なくとも第1の空白領域と、真珠層のウエハの表側に、第1の空白領域に対向する少なくとも第2の空白領域を画成する。本発明はまた、このようなダイヤルを含む計時器に関する。
【背景技術】
【0002】
真珠層をダイヤル製造のために用いることは、腕時計業界では、独特の美的外観のためにすでに既知である。真珠層は生物由来であり、虹色の反射を有し、半透明であり、それによって各真珠層は独自の特徴を有する。由来する場所によって、真珠層は様々な固有の色(たとえば白、グレー、ピンク、緑)を有する。美的外観を変えるために、真珠層を染浴に浸して染めることができる。真珠層の表側(計時器のユーザから見える側)または裏側(計時器内部に対向する裏面)に装飾を適用することも可能である。裏側に装飾を施すことは、素材の半透明性に依存する。可視性の装飾は有色のラッカーまたは金属蒸着から形成されてもよい。吹付塗装、パッド印刷またはシルクスクリーン印刷などの通常ラッカーに用いる技術を用いて、ラッカーを塗装することができる。金属蒸着はPVDなどの物理気相成長技術によっても適用することができる。たとえば、窒化物、炭化物または酸化物などのその他の無機層をPVDまたはCVDによって適用することもできる。
【0003】
部品の表側の厚さに応じて、装飾は真珠層の独特の形態を覆うこと、および隠すこともできる。これらの技法において、装飾を真珠層のダイヤルの裏側に配置する場合であっても、完成した計時器において装飾は可視である。
【0004】
特許文献1は、たとえば、金属被膜をダイヤルの表側表面全体に蒸着することによって、均一の金属的な外観を有する真珠層のダイヤルを製造することに言及している。
【0005】
特許文献2は真珠層のウエハを備えるダイヤルを開示する。真珠層のウエハの下部には発光素材からなる要素が配置される。真珠層のウエハを通して目に見えないように、これらの要素は夜には可視であり、昼には不可視である。同文献では、発光素材は部品の裏側に均一に塗布され、真珠層の表側に見えるように複雑な装飾を施すことはできない。
【0006】
特許文献3は真珠層のウエハを備えるダイヤルを開示する。ダイヤルの裏面は蛍光色素で充填される空洞を含み、それによって、暗闇で見ることができるように装飾を真珠層下部に施すことが可能となる。装飾のデザインおよび光度は、空洞の形状および深さに応じて選択することができる。ただし、暗闇での装飾の光度を制限し、ダイヤルが日光にさらされるとき、部品の表側の蛍光色素が確実に不可視となるようにしなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】欧州特許第167243号
【文献】スイス特許第559924号
【文献】スイス特許第697210号
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、上記の欠点を克服する真珠層の計時器ダイヤルを提示することである。本真珠層の計時器ダイヤルは、部品の裏側に装飾を備える。装飾は、外部または内部の光、電気または物理的刺激を受けるときのみ、部品の表側で可視となる。刺激を受けないとき、部品の表側での装飾の不可視性は改善される。
【0009】
本発明の別の目的は、複数の装飾を部品の裏側に備える真珠層の計時器ダイヤルを提示することである。複数の装飾は、刺激を受けるとき、部品の表側で異なる光度で可視となる。すべての装飾は、刺激を受けないとき、部品の表側で不可視である。
【0010】
そのために、本発明は、支持部材と、表側および裏側を有し、少なくとも部分的に支持部材を覆う真珠層のウエハと、真珠層のウエハの裏側に配置される少なくとも1つの装飾的要素とを備えるダイヤルに関する。装飾的要素は、刺激を受けるとき、真珠層のウエハの表側で可視となるように配置され、刺激を受けないとき、真珠層のウエハの表側で不可視となるように配置される。装飾的要素はその周りで、真珠層のウエハの裏側に少なくとも第1の空白領域を画成し、真珠層のウエハの表側に第1の空白領域に対向する少なくとも第2の空白領域を画成する。
【0011】
本発明によれば、ダイヤルは、第1の空白領域と第2の空白領域の少なくとも1つに蒸着される少なくとも1つの色補正層を含む。色補正層の色は、刺激を受けないとき、CIE Lab色空間において、ユーザが真珠層のウエハの表側を見るときに認識する色補正層の色と、装飾的要素の色との間の色差ΔEが3未満、好ましくは1以下となるように選択される。
【0012】
このように、色補正層によって、刺激を受けないとき、部品の表側で装飾の不可視性が改善される。したがって、刺激を受けると高輝度となる装飾を用いることが可能となる。または、刺激を受けないとき、装飾が部品の表側から見える危険性を持ちながら、一部の装飾が高光度である様々な光度を有する複数の装飾を用いることが可能となる。
【0013】
本発明はまた、前述のダイヤルを含む計時器に関する。
【0014】
本発明のその他の特徴および有利点は、例示的および非限定的な例として示される本発明の以下の様々な実施形態の説明、および添付図を参照することによってより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明によるダイヤルの実施形態の概略図である。
図2】本発明によるダイヤルの実施形態の概略図である。
図3】本発明によるダイヤルの実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、支持部材と、表側および裏側を有し、少なくとも部分的に支持部材を覆う真珠層のウエハと、真珠層のウエハの裏側に配置される少なくとも1つの装飾的要素とを備える計時器ダイヤルに関する。
【0017】
支持部材は好ましくは金属である。支持部材は、真ちゅう、イエローゴールドもしくはホワイトゴールド、またはシルバー、またはその他の適切な金属からなっていてもよい。支持部材は、めっき、接着または任意の別の適切な手段によって、装飾的要素を有する真珠層のウエハに組み付けられてもよい。
【0018】
装飾的要素は、刺激を受けるとき、真珠層のウエハの表側で可視となり、刺激を受けないとき、真珠層のウエハの表側で不可視となるように構成される。
【0019】
装飾的要素は、その周りで、真珠層のウエハの裏側に少なくとも第1の空白領域を画成する。第1の空白領域は、つまり、装飾的要素によって占用されない真珠層のウエハの裏側の領域である。装飾的要素はまた、真珠層のウエハの表側へ突出することによって、第1の空白領域に対向する少なくとも第2の空白領域を画成する。第2の空白領域は、つまり、そこを通じて裏側の装飾的要素が見えない真珠層の表側の領域である。
【0020】
本発明によれば、ダイヤルは第1および第2の空白領域の少なくとも1つに蒸着される少なくとも1つの色補正層を含む。色補正層の色は、CIE Lab色空間の色差ΔEが3未満となるように、好ましくは1以下となるように選択される。色差ΔEは、刺激を受けないとき、真珠層のウエハの表側を見るユーザが認識する色補正層の色と装飾的要素の色との間の色差である。
【0021】
CIE Lab色空間の色差ΔEは、2つの色の色差の測定として式1によって画成される。
【0022】
【数1】
【0023】
式中、L1 *、a1 *、b1 *は比較対象の第1の色のCIE Lab色空間の座標であり、L2 *、a2 *、b2 *は比較対象の第2の色のCIE Lab色空間の座標である。
【0024】
装飾的要素は刺激に反応する粒子を含む。つまり、光刺激を感受する蛍光または光変色性粒子、電気刺激を感受するエレクトロクロミック粒子、または温度変動を感受する熱変色性粒子を含む。
【0025】
好ましくは、装飾的要素はラッカーまたはエポキシまたはポリウレタンバインダを含有する反応性インクから得られる。反応性インクには反応性粒子が添加されている。反応性粒子の大きさは、0.5μmと100μmとの間、好ましくは10μmと50μmとの間であってもよい。無機または有機添加剤を用いて、反応性ラッカーの陰影を変化させ、必要に応じて所望の色、質感または光学的性質を実現してもよい。ラッカーまたは反応性インクの陰影は、刺激を受けないとき、装飾的要素が真珠層のウエハの固有の外観をなるべく変化させず、色補正層によってダイヤルの表側で完全に見えなくなるように選択される。
【0026】
装飾的要素は支持部材と真珠層のウエハとの間に配置される。そのために、装飾的要素は真珠層のウエハの裏側に形成されてもよい。つまり、装飾要素は直接真珠層の裏側表面に形成されてもよく、または真珠層の裏側から形成され、装飾的要素を受容するように構成される少なくとも1つのブラインド空洞内に形成されてもよい。
【0027】
有利には、真珠層のウエハの裏側は、複数の装飾的要素を形成するために、複数のブラインド空洞を備えていてもよい。
【0028】
このブラインド空洞は、レーザ、機械または手動エッチングによって真珠層のウエハの裏側から形成されてもよい。このブラインド空洞の形状および深さは、表示される装飾的要素によって画成され、また、刺激を受けるとき、真珠層のウエハを通じて表れる装飾的要素の輝度によって画成される。次に、ブラインド空洞を選択的に反応性ラッカーで充填する。ブラインド空洞によって、大量の反応性ラッカーを用いることができるため、光学現象の輝度が増加される。さらに、有利には、ブラインド空洞は、複数の装飾的要素を形成するために異なる深さを有する。これらの装飾的要素は刺激を受けると、装飾的要素ごとに異なる輝度で表わされ、対比色を生成する。
【0029】
装飾的要素はまた、支持部材上に配置され、次に真珠層の裏側に対向して、たとえばめっき、接着によって配置されてもよい。
【0030】
ラッカーまたは反応性インクは、真珠層のウエハの裏側または支持部材上に装飾を施すために選択的に適用される。この目的のために実施可能な工程は、ラッカー塗装もしくは吹付塗装、シルクスクリーン印刷、パッド印刷または任意の他の適切な印刷技法である。ラッカー塗装もしくは吹付塗装はマスクを用いるか、またはラッカーの選択的レーザもしくは機械的摩耗によってラッカーを選択的に蒸着する感光性ラッカーを用いる。
【0031】
本発明で用いる色補正層の構成および厚さは、式1を満たすような色を有する補正層を得るために、ラッカーまたは反応性インクの構成、真珠層のウエハの厚さおよびその色にしたがって適応される。
【0032】
色補正層は、式1を満たすために必要な色を得るために、色素または染料を含有するニスなど有機性であってもよい。
【0033】
色補正層は、たとえば、式1を満たすために必要な色を有するジルコニウムもしくはチタニウムなどの酸化物もしくは窒化物系の無機性であってもよく、または、たとえば、アルミニウム、シルバーもしくはゴールド合金などの金属系の無機性であってもよい。
【0034】
有利には、特に補正層が真珠層のウエハの表側に適用されている場合、補正層は透明である。
【0035】
さらに、第1の空白層に蒸着される色補正層はまた、式1を満たすために必要な色を固有に有する金属系であってもよい。
【0036】
色補正層は、吹付塗装、浸漬被覆、パッド印刷、シルクスクリーン印刷、ゾルゲル塗装、印刷またはPVDなどの真空技法によって適用されてもよい。
【0037】
本発明の変形によれば、第1および第2の空白領域の少なくとも1つの表面は拡散性であってもよい。拡散性表面は真珠層のウエハの裏側および/または表側に、化学的、レーザまたは機械的エッチングによって生成されてもよい。別の変形では、拡散性膜を用いて、真珠層の表面、好ましくは真珠層のウエハの表側に適用する。
【0038】
図1に示す本発明の第1の実施形態によれば、ダイヤル1は、支持部材2と、表側および裏側を有する真珠層のウエハ4と、真珠層のウエハ4の裏側に直接配置される複数の装飾的要素6とを含む。装飾的要素6が刺激を受けるとき、装飾的要素6は真珠層のウエハ4の表側を通じて表される画像を生成する。真珠層ウエハ4および装飾的要素6は、接着層8によって支持部材2上に組み付けられる。装飾的要素6はその周りで、真珠層のウエハ4の裏側に第1の空白領域10を画成し、真珠層のウエハ4の表側に、第1の空白領域10に対向して、第2の空白領域12を画成する。
【0039】
本実施形態では、本発明による色補正層14は真珠層のウエハ4の裏側で、装飾的要素6の周りの第1の空白領域10にのみ配置される。したがって、本発明による色補正層14によって、真珠層のウエハ4の表側を見るユーザ16は、真珠層のウエハ4を通じて、刺激を受けないときの装飾的要素6の色と、第2の空白領域12を通じて見える第1の空白領域10に蒸着される色補正層14の色との間の色差を感じることはない。装飾的要素6は、刺激を受けないときは完全に不可視である。
【0040】
刺激を受けるとき、装飾的要素の色は変化し、それによって、装飾的要素は真珠層のウエハを通じて、そのとき動作していない色補正層に対してダイヤルの表側で可視となる。
【0041】
図2に示す別の実施形態によれば、色補正層14は真珠層のウエハの表側で、第1の空白領域10に対向する第2の空白領域12にのみ配置される。前述の変形と同様に、真珠層のウエハ4および装飾的要素6は接着層8によって支持部材2上に組み付けられる。
【0042】
このように、本発明による色補正層14によって、真珠層のウエハ4の表側を見るユーザ16は、真珠層のウエハ4を通じて、刺激を受けないときの装飾的要素6の色と、第2の空白領域12に蒸着される色補正層14の色との間の色差を感じることはない。装飾的要素6は、刺激を受けないときは完全に不可視である。
【0043】
刺激を受けるとき、装飾的要素の色は変化し、それによって、装飾的要素は真珠層のウエハを通じて、そのとき動作していない色補正層に対してダイヤルの表側で可視となる。
【0044】
図3に示す別の実施形態によれば、真珠層のウエハ4の裏側は、装飾的要素6を形成するために、反応性ラッカーで充填されるブラインド空洞16を備える。
【0045】
本実施形態では、図1の実施形態と同様に、本発明による色補正層14は真珠層のウエハ4の裏側で、装飾的要素6の周りの第1の空白領域10にのみ配置される。
【0046】
本発明の別の変形によると、真珠層のウエハ4の表側はまた、表面全体に、または第1の空白領域10に対向し、色補正層14が占用する第2の空白領域12にのみ、または、装飾的要素6に対向する面にのみ拡散性表面18を備えていてもよい。
【0047】
このように、色補正層によって、刺激を受けないとき、部品の表側で装飾の不可視性が改善される。したがって、刺激を受けると高輝度となる装飾を用いることが可能となる。または、刺激を受けないとき、装飾が部品の表側に現れる危険性を持ちながら、一部の装飾が高光度である様々な光度を有する複数の装飾を用いることが可能となる。
【符号の説明】
【0048】
1 :ダイヤル
2 :支持部材
4 :真珠層ウエハ
6 :装飾的要素
8 :接着層
10 :第1の空白領域
12 :第2の空白領域
14 :色補正層
16 :ユーザ
16 :ブラインド空洞
18 :拡散性表面
ΔE :色差
図1
図2
図3