(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】レンズ及びその製造方法とレンズモジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 5/00 20060101AFI20220114BHJP
G02B 1/115 20150101ALI20220114BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20220114BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20220114BHJP
【FI】
G02B5/00 B
G02B1/115
G02B3/00 Z
G02B7/02 B
(21)【出願番号】P 2019233847
(22)【出願日】2019-12-25
【審査請求日】2019-12-25
(31)【優先権主張番号】201910008250.2
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520358209
【氏名又は名称】レイテック オプティカル (ジョウシュウ) カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】王 佳
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/156915(WO,A1)
【文献】特開2006-201697(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107450113(CN,A)
【文献】特開2000-193801(JP,A)
【文献】特開平10-153704(JP,A)
【文献】特開2002-286903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 1/10 - 1/18
G02B 3/00 - 3/14
G02B 5/00
G02B 7/02 - 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズであって、
結像のための光学部と、前記光学部の外周に設けられる固定部とを含み、
前記固定部の外表面には、艶消しのための黒色艶消しフィルムが設けられており、
前記黒色艶消しフィルムは、単層吸収フィルムであり、前記単層吸収フィルムは、二酸化ケイ素とクロムとの組成物で製造されることを特徴とするレンズ。
【請求項2】
レンズであって、
結像のための光学部と、前記光学部の外周に設けられる固定部とを含み、
前記固定部の外表面には、艶消しのための黒色艶消しフィルムが設けられており、
前記黒色艶消しフィルムは、多層反射防止フィルムであり、
前記多層反射防止フィルムは、高屈折率材料層と、前記高屈折率材料層と前記固定部との間に設けられ、且つ屈折率が前記高屈折率材料層の屈折率よりも低い低屈折率材料層と、前記高屈折率材料層及び/又は前記低屈折率材料層内に混合される高吸収係数材料とを含
み、
前記高屈折率材料層は、二酸化チタンであり、前記低屈折率材料層は、二酸化ケイ素とクロムとの組成物であることを特徴とするレンズ。
【請求項3】
前記固定部の外表面は、頂壁面と、底壁面と、前記頂壁面と前記底壁面との間に接続される側壁面とを含み、
前記頂壁面と側壁面と底壁面とは、いずれも前記黒色艶消しフィルムが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズ。
【請求項4】
前記高吸収係数材料は、二酸化ケイ素とクロムとの組成物、二酸化ケイ素と酸化アルミニウムとクロムとの組成物、および窒化チタンのうちの少なくとも一つで製造されることを特徴とする請求項2に記載のレンズ。
【請求項5】
前記高屈折率材料層と低屈折率材料層とは、いずれも少なくとも2つあり、前記多層反射防止フィルムは、低屈折率材料層と高屈折率材料層とが順に交互に積層されるように、前記固定部の外表面から前記固定部から離れた方向に向かって設けられていることを特徴とする請求項2に記載のレンズ。
【請求項6】
前記高屈折率材料層と前記低屈折率材料層との層数の合計は、偶数であることを特徴とする請求項5に記載のレンズ。
【請求項7】
レンズモジュールであって、
少なくとも一つの請求項1~
6のいずれか1項に記載のレンズを含むことを特徴とするレンズモジュール。
【請求項8】
請求項1~
6のいずれか1項に記載のレンズの製造方法であって、
レンズブランクをフィルムめっき機のワークトレイに配置することと、
フィルムめっき機を起動して真空吸引を行い、ワークトレイを加熱することと、
レンズブランクの固定部の外表面に黒色艶消しフィルムをメッキして、前記レンズを形成することと、を含むことを特徴とするレンズの製造方法。
【請求項9】
前記黒色艶消しフィルムをメッキすることは、フィルムめっき機において1.0E―3Pa~4.0E―3Paまで真空吸引を行い、ワークトレイを50~150度まで加熱するという条件で開始することを特徴とする請求項
8に記載のレンズの製造方法。
【請求項10】
前記黒色艶消しフィルムをメッキすることは、フィルムめっき機において2.0E―3Paまで真空吸引を行い、ワークトレイを65~90度まで加熱するという条件で開始することを特徴とする請求項
9に記載のレンズの製造方法。
【請求項11】
前記黒色艶消しフィルム
が多層反射防止フィルムであ
る場合には、
前記黒色艶消しフィルムをメッキすることは、レンズの固定部の外表面に順に低屈折率材料層と高屈折率材料層とを交互に積層してメッキすることを含み、
高屈折率材料層をメッキすることと、低屈折率材料層をメッキすることとは、いずれも酸素を通気する条件で行われ、且つ高屈折率材料層のフィルムメッキ速度は3―4A/sであり、低屈折率材料層のフィルムメッキ速度は4―6A/sであることを特徴とする請求項
10に記載のレンズの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学結像技術分野に関し、具体的にレンズ及びその製造方法とレンズモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話技術の発展及び撮像機能を有する電子製品の発展に伴い、レンズモジュールが各種の製品に広く応用されている。現在の電子機器の体積がますます小さくなる傾向に合わせて、レンズモジュールの体積も小型化の方向に進む必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の電子機器におけるレンズモジュールが鏡筒と、前記鏡筒内に積層設置される複数のレンズとを含み、レンズモジュールに取り付けて使用する過程において迷光が生じることを避けるために、レンズモジュール内における各レンズを艶消し処理する必要がある。レンズは、一般的に、レーザによる艶消し処理を実施するが、このようなレーザによる処理を行ったレンズは、艶消し効果が良くないため、組立後のレンズモジュールには、依然として迷光が存在する。
したがって、新たな構造を有するレンズを研究する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、従来のレンズモジュール内におけるレンズがレーザによる艶消し処理を経たものであっても、レンズモジュールに依然として迷光が存在するという問題に対して、レンズ及びその製造方法とレンズモジュールを提供する。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、レンズを提供し、当該レンズは、結像のための光学部と、前記光学部の外周に設けられる固定部とを含み、前記固定部の外表面には、艶消しのための黒色艶消しフィルムが設けられている。
【0006】
改良の一つとして、前記固定部の外表面は、頂壁面と、底壁面と、前記頂壁面と前記底壁面との間に接続される側壁面とを含み、前記頂壁面と側壁面と底壁面とは、いずれも前記黒色艶消しフィルムが設けられている。
【0007】
改良の一つとして、前記黒色艶消しフィルムは、単層吸収フィルムまたは多層反射防止フィルムである。
【0008】
改良の一つとして、前記単層吸収フィルムは、二酸化ケイ素及びクロムの組成物で製造される。
【0009】
改良の一つとして、前記多層反射防止フィルムは、高屈折率材料層と、前記高屈折率材料層と前記固定部との間に設けられ、且つ屈折率が前記高屈折率材料層の屈折率よりも低い低屈折率材料層とを含み、或いは、
前記多層反射防止フィルムは、高屈折率材料層と、前記高屈折率材料層と前記固定部との間に設けられる低屈折率材料層と、高屈折率材料層及び/又は低屈折率材料層内に混合される高吸収係数材料とを含む。
【0010】
改良の一つとして、前記高屈折率材料層は、窒化チタン、二酸化チタン及び二酸化タンタルのうちの少なくとも一つで製造され、
前記低屈折率材料層は、二酸化ケイ素、フッ化マグネシウム、および、二酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの組成物のうちの少なくとも一つで製造され、
前記高吸収係数材料は、二酸化ケイ素とクロムとの組成物、二酸化ケイ素と酸化アルミニウムとクロムとの組成物、及び窒化チタンのうちの少なくとも一つで製造される。
【0011】
改良の一つとして、前記高屈折率材料層と低屈折率材料層とは、いずれも少なくとも2つがあり、前記多層反射防止フィルムは、低屈折率材料層と高屈折率材料層とが順に交互に積層されるように、前記固定部の外表面から前記固定部から離れた方向に向かって設けられている。
【0012】
改良の一つとして、前記高屈折率材料層は、二酸化チタンであり、前記低屈折率材料層は、二酸化ケイ素とクロムとの組成物である。
【0013】
改良の一つとして、前記高屈折率材料層は、窒化チタンであり、前記低屈折率材料層は、二酸化ケイ素である。
【0014】
改良の一つとして、前記高屈折率材料層と前記低屈折率材料層との層数の合計は偶数である。
【0015】
本発明は、さらにレンズモジュールを提供し、当該レンズモジュールは、少なくとも一つの上記したレンズを含む。
【0016】
本発明は、上記したレンズの製造方法を提供し、当該製造方法は、
レンズブランクをフィルムめっき機のワークトレイに配置することと、
フィルムめっき機を起動して真空吸引を行い、ワークトレイを加熱することと、
レンズブランクの固定部の外表面に黒色艶消しフィルムをメッキして、前記レンズを形成することと、を含む。
【0017】
改良の一つとして、前記黒色艶消しフィルムをメッキすることは、フィルムめっき機において1.0E―3Pa~4.0E―3Paまで真空吸引を行い、ワークトレイを50~150度まで加熱するという条件で開始する。
【0018】
改良の一つとして、前記黒色艶消しフィルムをメッキすることは、フィルムめっき機において2.0E―3Paまで真空吸引を行い、ワークトレイを65~90度まで加熱するという条件で開始する。
【0019】
改良の一つとして、前記黒色艶消しフィルムは、多層反射防止フィルムであり、前記黒色艶消しフィルムをメッキすることは、レンズの固定部の外表面に順に低屈折率材料層と高屈折率材料層を交互に積層してメッキすることを含み、
ここで、高屈折率材料層をメッキすることと、低屈折率材料層をメッキすることとは、いずれも酸素を通気する条件で行われ、且つ高屈折率材料層のフィルムメッキ速度は3―4A/sであり、低屈折率材料層のフィルムメッキ速度は4―6A/sである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の奏する有益な効果は以下の通りである。本発明は、固定部の外表面に艶消しのための黒色艶消しフィルムが設けられることで、レンズを艶消し処理することによって、レンズにおける固定部が光線を反射しなくなる。このように、レンズの艶消し効果を向上させることができ、レンズモジュールの使用中に迷光が生じることを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る実施例の提供するレンズの構成模式図である。
【
図3】本発明に係る実施例1の提供するレンズモジュールの構成模式図である。
【
図4】本発明に係る実施例1の提供するレンズの製造方法のフローチャートである。
【
図5】本発明に係る実施例2の多層反射防止フィルムがメッキされるレンズの構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0023】
実施例1
図1及び
図2に示すように、本発明に係る実施例1は、レンズ1を提供し、レンズ1は、辺縁が円形である光学部10と、光学部10の外周に設けられる固定部20とを含み、本実施例では、レンズ1の外側の周方向輪郭形状は円形または正方形をなし、レンズ1における光学部10は、レンズ1の結像に用いられることが可能となり、固定部20は、レンズ1をレンズモジュールの鏡筒40の内壁に当接するために用いられる。そのため、本実施例では、固定部20の外表面には、艶消しのための黒色艶消しフィルム30が設けられ、レンズ1を艶消し処理することにより、レンズ1における固定部20が光線を反射しなくなることで、レンズモジュールが使用中に、固定部20に迷光が生じず、レンズモジュールの結像品質が効果的に向上する。
【0024】
具体的に、固定部20の外表面は、頂壁面21と、底壁面22と、頂壁面21と底壁面22との間に接続される側壁面23とを含み、頂壁面21と、側壁面23と、底壁面22とのいずれにも、黒色艶消しフィルム30が設けられている。これにより、レンズ1における固定部20が光線を反射しなくなるように、レンズ1に対して具体的な艶消し処理を行う。
【0025】
好ましくは、本実施例に係る黒色艶消しフィルム30は単層吸収フィルム31であり、単層吸収フィルム31は、二酸化ケイ素(SiO2)とクロム(Cr)との組成物で製造される。この黒色艶消しフィルム30は、レンズ1を深層艶消しすることが可能となるものであり、実際にレンズ1を製造する過程で、メッキまたは塗布プロセスを用いてレンズ1の固定部20に黒色艶消しフィルム30を成形することができる。本発明では、黒色艶消しフィルム30をレンズ1の固定部20にメッキすることによって、黒色艶消しフィルム30と固定部20との接着性を高め、レンズ1の固定部20からの黒色艶消しフィルム30の剥離を防止することができる。
【0026】
さらに
図3を参照すると、本発明に係る実施例は、レンズモジュールをさらに提供し、当該レンズモジュールは、積層設置され、且つ順に接続される複数のレンズ1を含み、理解できるように、レンズ1の数は、実際の需要に応じて決められ、例えば、レンズ1の数は、2つまたは3つまたは4つ及びそれ以上のレンズ1を含むように設置されてもよい。
【0027】
本実施例におけるレンズモジュールは、鏡筒40をさらに含む。複数のレンズ1はいずれも鏡筒40内に積層されて取り付けられている。鏡筒40は、一般的に円形であり、そのレンズ1を受け入れるための内壁面は円柱面であることが好ましく、レンズ1の端部は、鏡筒40の内壁面に当接する。無論、具体的な応用では、レンズモジュールを、鏡筒40を有さない構成としてもよく、レンズモジュールが鏡筒40を有さない場合、隣接する各レンズ1間の固定は、接着剤により接着積層されてもよい。
【0028】
レンズモジュールは、遮光板50をさらに含み、遮光板50は、そのうちの2つのレンズ1の間に位置する。遮光板50は、この2つのレンズ1間に生じる迷光を吸収して、レンズモジュールの結像品質を向上させるためのものである一方で、この2つのレンズ間の距離を調整するためのものである。また、前のレンズ1からの光が次のレンズ1の固定部20へ照射されることによって迷光を生じることを防止するために用いることができる。
【0029】
好ましくは、レンズモジュールは、鏡筒40内に設けられる押さえリング60をさらに含み、本実施例では、各レンズ1は、押さえリング60により鏡筒40内に固定され、このように、レンズモジュールの取り外しを容易にすることができる。
【0030】
図4に示すように、本発明に係る実施例1は、さらにレンズ1の製造方法を提供し、当該方法は、以下のステップを含み、
S101であって、レンズブランクをフィルムめっき機のフィルムメッキ位置、即ちワークトレイに配置し、
S102であって、フィルムめっき機を起動して真空吸引を行い、初期真空が1.0E―3Pa~4.0E―3Paまで達し、かつ、ワークトレイを加熱し、ワークトレイを50~150度に加熱した条件でフィルムメッキを開始することを準備し、
S103であって、単層または多層のフィルム系材料をそれぞれ蒸着し、レンズブランクの固定部20の外表面に黒色艶消しフィルム30をメッキして、前記レンズを形成する。加熱方法や材料特性によって、異なるガスを適時に導入し、メッキフィルムの厚さが設計仕様に達することは、光制御/結晶制御により確認される。
【0031】
好ましくは、黒色艶消しフィルム30をメッキすることは、フィルムめっき機において2.0E―3Paまで真空吸引を行い、ワークトレイを65~90度まで加熱するという条件で開始する。
【0032】
実施例2
図5及び
図6に示すように、本実施例2に係るレンズ1が、実施例1に係るレンズ1と相違する点は、黒色艶消しフィルム30の設置方式が異なることにある。具体的に、本実施例では、黒色艶消しフィルム30は多層反射防止フィルム32である。多層反射防止フィルム32は、2種類の構成を有し、第1種の構成として、多層反射防止フィルム32は、高屈折率材料層321と、高屈折率材料層321と固定部20との間に設けられ、且つ屈折率が高屈折率材料層321の屈折率よりも低い低屈折率材料層322とを含む。第2種の構成として、多層反射防止フィルム32は、高屈折率材料層321と、高屈折率材料層321と固定部20との間に設けられる低屈折率材料層322と、高屈折率材料層321及び/又は低屈折率材料層322に混合される高吸収係数材料とを含む。多層反射防止フィルム32は、通常の反射防止フィルムに高吸収係数材料が添加されるものであり、上述した高屈折率材料層321は、窒化チタン(TiN)、二酸化チタン(TiO
2)及び二酸化タンタル(TaO
2)のうちの少なくとも一つで製造され、低屈折率材料層322は、二酸化ケイ素(SiO
2)、フッ化マグネシウム(MgF)、および、二酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの組成物(SiO
2/Al
2O
3)のうちの少なくとも一つで製造され、高吸収係数材料は、二酸化ケイ素とクロムとの組成物(SiO
2/Cr)、二酸化ケイ素と酸化アルミニウムとクロムとの組成物(SiO
2/Al
2O
3/Cr)、及び窒化チタン(TiN)のうちの少なくとも一つで製造され、ここで、高吸収係数材料では、窒化チタン自体が高い吸收特性を持つが、二酸化ケイ素を用いて下塗りする必要がある。
【0033】
従って、多層反射防止フィルム32の可能な組み合わせは、以下の通りであり、即ち、窒化チタン(TiN)+二酸化ケイ素とクロムとの組成物(SiO2/Cr)、二酸化チタン(TiO2)+二酸化ケイ素とクロムとの組成物(SiO2/Cr)、二酸化タンタル(TaO2)+二酸化ケイ素とクロムとの組成物(SiO2/Cr)、窒化チタン(TiN)+二酸化ケイ素(SiO2)、窒化チタン(TiN)+フッ化マグネシウム(MgF)、窒化チタン(TiN)+二酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの組成物(SiO2/Al2O3)、窒化チタン(TiN)+二酸化ケイ素と酸化アルミニウムとクロムとの組成物(SiO2/Al2O3/Cr)、二酸化チタン(TiO2)+二酸化ケイ素と酸化アルミニウムとクロムとの組成物(SiO2/Al2O3/Cr)、二酸化タンタル(TaO2)+二酸化ケイ素と酸化アルミニウムとクロムとの組成物(SiO2/Al2O3/Cr)である。
【0034】
好ましくは、高屈折率材料層321と低屈折率材料層322とは、いずれも少なくとも2つがあり、且つ高屈折率材料層321と低屈折率材料層322との層数の合計は偶数であり、多層反射防止フィルム32は、低屈折率材料層322と高屈折率材料層321とが順に交互に積層されるように、固定部20の外表面から固定部20から離れた方向に向かって設けられる。
【0035】
本実施例2に係るレンズ1の製造方法が、実施例1に係るレンズ1の製造方法と相違する点は、黒色艶消しフィルム30をメッキすることは、レンズブランクの固定部20の外表面に順に低屈折率材料層322と高屈折率材料層321を交互に積層してメッキすることを含むことにあり、ここで、高屈折率材料層321をメッキすることおよび低屈折率材料層322をメッキすることの場合、酸素を通気する条件で行う必要があり、且つ、高屈折率材料層321をメッキするフィルムメッキ速度は3―4A/sであり、低屈折率材料層322をメッキするフィルムメッキ速度は4―6A/sであり、これによって、外観が黒い多層反射防止フィルム32を得ることができる。
【0036】
上述したのはあくまでも本発明の実施形態であり、当業者にとっては、本発明の主旨を逸脱しない限りにおいて改良され得るが、本発明の保護範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0037】
1 レンズ
10 光学部
20 固定部
21 頂壁面
22 底壁面
23 側壁面
30 黒色艶消しフィルム
31 単層吸収フィルム
32 多層反射防止フィルム
321 高屈折率材料層
322 低屈折率材料層
40 鏡筒
50 遮光板
60 押さえリング。