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特許7005585磁気的位置特定システムにおける磁場歪み検出および補正
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】磁気的位置特定システムにおける磁場歪み検出および補正
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/06 20060101AFI20220114BHJP
   A61B 18/12 20060101ALI20220114BHJP
   A61B 5/367 20210101ALI20220114BHJP
【FI】
A61B5/06
A61B18/12
A61B5/367 100
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019234517
(22)【出願日】2019-12-25
(62)【分割の表示】P 2018557117の分割
【原出願日】2017-05-03
(65)【公開番号】P2020096840
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2020-04-30
(31)【優先権主張番号】62/331,338
(32)【優先日】2016-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516134383
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル・インターナショナル・ホールディング・エスエーアールエル
【氏名又は名称原語表記】St. Jude Medical International Holding S.a,r.l.
【住所又は居所原語表記】Regus Center, 26, boulevard Royal,L-2449 Luxembourg,Luxembourg
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリック エス. オルソン
(72)【発明者】
【氏名】アーロン イズミルリ
(72)【発明者】
【氏名】ガイ ヘベル
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0183064(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0102696(US,A1)
【文献】特表2012-528309(JP,A)
【文献】特開2005-007166(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0156700(US,A1)
【文献】特開2008-062040(JP,A)
【文献】特表2009-531116(JP,A)
【文献】特開2012-130703(JP,A)
【文献】特開2000-023981(JP,A)
【文献】特開平10-094609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06
A61B 5/05- 5/0538
A61B 5/24- 5/398
A61B 25/00-25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場内に配置された医療デバイスを位置特定するために前記磁場内の磁気歪みを検出し、補正するシステムであって、
前記システム内の所定の位置および向きにある1つまたは複数のエミッタコイルを含み、前記エミッタコイルの各々が磁場を放出するように構成および配置された、磁場エミッタと、
前記磁場を各々が感知し、患者の胸腔内へ案内される前記医療デバイスにおいて感知された前記磁場を示す第1の電気信号を出力するように構成および配置された、1つまたは複数のセンサコイルと、
前記システム内の所定の位置および向きにある磁気歪みセンサであって、前記磁気歪みセンサの各々が、前記磁場を感知し、前記磁気歪みセンサにおいて感知された前記磁場を示す第2の電気信号を出力するように構成および配置された、磁気歪みセンサと、
前記磁気歪みセンサおよび前記センサコイルの各々に通信可能に結合され、前記第1の電気信号および前記第2の電気信号を受信し、前記第1の電気信号および前記第2の電気信号と前記磁気歪みセンサの前記所定の位置および向きとに基づいて、前記システム内の前記医療デバイスの磁気歪みの補正位置を決定するように構成および配置されたプロセッサ回路と
を備え、
前記磁気歪みセンサが、前記医療デバイスが案内された胸の周りの一部を囲む円弧状の物体に配置されている、システム。
【請求項2】
前記プロセッサ回路が、
各磁気歪みセンサにおいて感知された前記磁場に基づいて前記磁気歪みセンサの各々の位置を計算することと、
前記磁気歪みセンサの各々の計算された前記位置と前記所定の位置との間の不一致に基づいて、前記磁気歪みセンサの各々についての前記計算された位置を前記所定の位置に変える変換を計算することと、
計算された前記変換を使用して、前記磁気歪みを補償する前記システム内の前記医療デバイスの前記補正位置を決定することによって、前記医療デバイスの前記磁気歪みの前記補正位置を決定するようにさらに構成および配置された、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサ回路が、
前記磁気歪みセンサの前記計算された位置の間の1個以上の点における変形の勾配を決定することと、
前記不一致と前記決定された変形の勾配とに基づいて、スプライン平滑化を用いて拡張変換を計算することと、
前記拡張変換を使用して、改善された補間精度で前記システム内の前記医療デバイスの前記補正された位置を決定することと、
を行うようにさらに構成および配置された、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記拡張変換が、前記決定された変形の勾配に少なくとも部分的に基づいて、前記所定の位置間の非線形変形を補償する、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
前記変換が、薄板スプライン、平均値座標、および放射基底関数ネットワーク、のアルゴリズムのうちの1つを使用して計算される、請求項からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記不一致を示す値がしきい値量を超えることに応答して、前記プロセッサ回路が、前記不一致を示す値がしきい値を上回る間に計算された、医療デバイスの位置を無視するように構成および配置された、請求項からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記不一致を示す値がしきい値量を超えることに応答して、前記プロセッサ回路が、前記磁気歪みの感覚表示を臨床医に出力する、請求項からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記磁気歪みセンサごとの前記計算された位置と前記所定の位置との間の前記不一致が、前記システム内の前記医療デバイスの前記計算された位置の誤差を示す、請求項からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
第1の磁気歪みセンサの前記所定の位置が、時間T0における前記第1の磁気歪みセンサの計算された位置であり、前記不一致を示す値が、T0における前記第1の磁気歪みセンサの前記所定の位置と、前記時間T0とは異なる時間T1における前記第1の磁気歪みセンサの前記計算された位置との間で決定される、請求項からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
時間多重、周波数多重、またはそれらの組合せを使用することによって、前記1つまたは複数のエミッタコイルの各々から複数の固有の磁場を発生させるように構成および配置された、請求項からのいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる、2016年5月3日に出願された米国仮出願第62,331,338号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、一般に、患者の体内の医療器具の磁気的位置特定に関する。より具体的には、本開示は、磁気的位置特定に使用される磁場内の磁場歪みを検出し、補正することに関する。
【背景技術】
【0003】
電気生理学(EP)カテーテルは、ますます多くの処置に使用されている。たとえば、カテーテルは、ほんの数例を挙げると、診断、治療、マッピング、およびアブレーション処置のために使用されている。典型的には、カテーテルは、意図された部位、たとえば患者の心臓内の部位への患者の脈管構造を通じて操作され、診断、マッピング、アブレーション、または他の治療のために使用することができる1つまたは複数の電極を運ぶ。カテーテルの正確な位置決め、および患者の体内の正確な位置の臨床医の知識は、改善された処置の有効性にとって望ましい。
【0004】
カテーテルを体内の所望の部位に配置するには、カテーテルに(および/または導入シースに)組み込まれた機械的ステアリング機能を使用するなど、何らかのタイプのナビゲーションが使用されなければならない。患者の解剖学的構造に対するカテーテルの相対的位置を決定するために、人工的に作成された磁場内でカテーテルの位置を提供する磁気的位置特定システムが開発されている。外部で発生した磁場は、その磁場内のあらゆる場所において固有の正確な磁気勾配(磁力線)を含む。カテーテルは、磁場内にある間に、(たとえば、コイルなどの要素によって)その位置における固有の磁場を感知する。次いで、カテーテルによって検出された磁場をアルゴリズム的に処理して、所望されるように患者の体内のカテーテルの位置を決定し、臨床医は、たとえば、潜在的に病原性の心臓リズムを妨害するために組織をアブレートするために、カテーテルを操作することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、磁気的位置特定システムは、たとえば、外界の鉄または金属物体が磁場内に侵入することによって引き起こされる磁場内の磁気歪みによって誘発される誤差の影響を受けやすい。そのような歪みの導入は、システムが患者の体内のカテーテルの不正確な位置を提示する結果を招く可能性がある。そのような不正確なカテーテル位置データは、医療処置の有効性を制限する場合がある。
【0006】
前述の議論は、本分野の例示的な説明としてのみ意図されており、特許請求の範囲を限定することが意図されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の様々な実施形態は、患者の体内の医療デバイスを位置特定するための磁場内の磁場歪みを識別し、補正する。磁場への金属物体の侵入に関連することが多い磁場歪みは、患者の体内の医療デバイスの位置を特定する際に容認できないレベルの誤差を引き起こす可能性がある。具体的には、本開示は、磁場内の磁気歪みに関わらず、患者の体内の医療デバイスの正確な位置特定を可能にする、そのような磁気歪みの検出および補正のための様々なシステム装置、およびコンピュータプログラムに関する。
【0008】
本開示の一実施形態では、磁場内に配置された患者の体内の医療デバイスを位置特定するために磁場内の磁気歪みを検出し補正するためのシステムが開示される。本システムは、システム内の知られている位置および向きにある1つまたは複数のエミッタコイルを有する磁場エミッタを含む。エミッタコイルの各々は、磁場エミッタ内の他のエミッタコイルに対して固有の磁場を放出する。本システムは、それに近接する磁場を感知し、医療デバイスにおいて感知された磁場を示す第1の電気信号を出力する、1つまたは複数の医療デバイスセンサコイルをさらに含む。磁気歪みセンサの配置は、システム内の知られている位置および向きに配置される。磁気歪みセンサの各々は、それに近接する磁場を感知し、磁気歪みセンサにおいて感知された磁場を示す第2の電気信号を出力する。磁気歪みセンサおよび医療デバイスセンサコイルの各々に通信可能に結合されたプロセッサ回路は、第1の電気信号および第2の電気信号を受信し、第1の電気信号および第2の電気信号と磁気歪みセンサの知られている位置および向きとに基づいて、システム内の医療デバイスの磁気歪み補正位置を決定する。
【0009】
さらにより具体的な実施形態では、プロセッサ回路は、各磁気歪みセンサにおいて感知された磁場に基づいて配置内の磁気歪みセンサの各々の知覚される位置を決定することによって、医療デバイスの磁気歪み補正位置を決定する。次いで、磁気歪みセンサの各々の知覚される位置と知られている位置との間で位置特定された誤差が決定される。位置特定された誤差の決定に基づいて、磁気歪みセンサの各々についての知覚される位置を知られている位置に変換する変換が計算される。計算された変換を使用して、システム内の医療デバイスの補正位置が、医療デバイスに近接する磁気歪みを補償するように決定される。
【0010】
別の実施形態では、磁場内の磁気歪みを検出するためのセンサ配置装置が開示される。センサ配置装置は複数のセンサコイルを含み、センサコイルの各々は、センサコイルにおける磁場の強度および向きを示すエネルギーを収集する。非鉄製のフレームは、複数のセンサコイルの各々に結合され、センサコイルの各々を互いおよび磁場エミッタに対して配置して配向させる。複数のセンサコイルに電気的に結合された処理回路がセンサコイルの各々から信号を受信し、受信信号を調整して処理する。たとえば、調整および処理は、前増幅、アナログ/デジタル変換、ノイズフィルタリング、および信号分離のうちの1つまたは複数を含み得る。処理された信号は、そこへの鉄の物体侵入による磁場内の磁気歪みの存在を示すことができる。
【0011】
別の実施形態では、患者の体内の医療デバイスの位置特定のために使用される磁場内の磁気歪みを補正するためのコンピュータプログラムが開示される。本コンピュータプログラムは、センサコイルに近接する磁場を示すセンサコイルにおける受信信号に基づいて、センサ配置内の複数のセンサコイルの各々の知覚される位置を計算するステップを含む。センサコイルの知られている位置とセンサコイルの知覚される位置との間の不一致に基づいて、複数のセンサコイルごとに位置誤差が決定される。位置誤差は、センサコイルの磁場内の磁気歪みを示す。センサコイルの各々の知られている位置と知覚される位置との間の不一致に基づいて、複数のセンサコイルごとに知覚される位置を知られている位置に変える変換が計算される。医療デバイスに近接する磁場を示す医療デバイスにおける受信信号に基づいて、医療デバイスの知覚される位置が計算される。医療デバイスの実際の位置は、医療デバイスの知覚される位置を計算された変換に入力することによって決定される。
【0012】
上記の議論/要約は、本開示の各実施形態またはすべての実装形態を説明することが意図されるものではない。以下の図面および詳細な説明も、様々な実施形態を例示する。
【0013】
様々な例示的な実施形態は、添付の図面に関連して以下の詳細な説明を考慮することにより、より完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】本開示の様々な態様に従う、磁気歪み検出および補正システムの等角図である。
図1B】本開示の様々な態様に従う、蛍光透視画像および磁場放出のためのCアームを有する、図1Aの磁気歪み検出および補正システムの側面図である。
図2】本開示の様々な態様に従う、磁気歪み検出および補正システムの概略図である。
図3】本開示の様々な態様に従う、知られているエンドポイント間の磁気歪み(変形)の影響を決定する様々な方法の結果を示すグラフである。
図4】本開示の様々な態様に従う、磁気歪み検出および補正システムの等角図である。
図5】本開示の様々な態様に従う、磁気歪み検出および補正システムの等角図である。
図6】本開示の様々な態様に従う、医療デバイス位置特定システムを含む様々な手術特別室の構成、および構成ごとの例示的な位置特定結果の図である。
図7A】本開示の様々な態様に従う、磁気歪み検出および補正システムの等角図である。
図7B】本開示の様々な態様に従う、蛍光透視画像および磁場放出のためのCアームを有する、図7Aの磁気歪み検出および補正システムの側面図である。
図8A】本開示の様々な態様に従う、磁気歪み検出および補正システムの等角図である。
図8B図8Aの磁気歪み検出および補正システムの拡大等角図である。
図9】本開示の様々な態様に従う、磁気歪み検出および補正システムの等角図である。
図10A】本開示の様々な態様に従う、磁気歪み検出および補正システムの等角図である。
図10B図10Aの磁気歪み検出および補正システムの拡大等角図である。
図11】本開示の様々な態様に従う、磁気歪み検出および補正システムの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で議論される様々な実施形態は、変更および代替形態が可能であるが、その態様は、図面に例として示され、詳細に説明される。しかしながら、その意図は、その範囲を記載された特定の実施形態に限定することではないことを理解されたい。反対に、その意図は、特許請求の範囲に定義された態様を含む本開示の範囲内にあるすべての変更、等価物、および代替物をカバーすることである。さらに、本出願を通じて使用される「例」という用語は、説明のためのものに過ぎず、限定ではない。
【0016】
本開示の様々な実施形態は、患者の体内の医療デバイスを位置特定するための磁場内の磁場歪みを識別し、補正する。磁場への金属物体の侵入に関連することが多いそのような磁場歪みは、患者の体内の医療デバイスの位置特定において容認できないレベルの誤差を引き起こす可能性がある。本開示の様々な実施形態の詳細を、図面を具体的に参照して以下に説明する。
【0017】
心臓マッピングシステムは、心室の重ね合わされたモデルまたは画像内に従来の電気生理学的カテーテルの3次元(3D)位置を表示することが可能である。これらのマッピングシステムは、心臓の電気活動を波形トレースとして、および心室のモデル上の動的3次元等電位マップとしても表示することができる。これらの3次元モデルの輪郭付けされた表面は、患者自身の心室の解剖学的構造に基づいている。これらのマッピングシステムは、カテーテルの位置を描写し、モデル作成を助けるために、磁気ベースの位置特定技術を使用することができる。
【0018】
磁気的位置特定を使用する場合、局部源から発生した磁場は、発生した磁場に侵入するか、または近接して配置される金属または鉄の物体によって引き起こされる歪みの影響を本質的に受けやすい。そのような歪みは、計算されたまたは決定されたカテーテルの位置、ならびに関連する解剖学的モデルおよび他の表現に不正確さを引き起こす可能性がある。
【0019】
EPカテーテル内に埋め込まれた磁気センサは、1つまたは複数の知られている基準位置に対するカテーテルの位置および向きを決定するために使用される。この磁気的な位置および向きの情報は、たとえば、心室のモデルに重ね合わされたときにカテーテルをナビゲートするために使用することもできる。磁気空間内のカテーテルをナビゲートする際、カテーテルの物理的な位置に実際の変化(または、最小限の実際の変化)がないにもかかわらず、基礎をなす磁場が変化した/歪んだ場合、カテーテルの表示された位置または別の方法で報告されたカテーテルの位置は顕著にシフトする(たとえば、心室に対するカテーテルの位置の表示を示すマッピングシステムディスプレイ上で視覚的にシフトする)ことができる。このタイプの磁気歪みは、カテーテルの報告された位置を使用して作成されたモデルの不正確さも引き起こす可能性がある。本開示の実施形態は、図面を参照して以下により詳細に記載されるように、磁場内でのそのような磁気歪みを識別し、患者の体内のカテーテルの位置を決定する際にそれらの歪みを補正する。
【0020】
図1Aは、医療処置を実施しながら患者101の人体構造をナビゲートするために使用される磁気的位置特定システム100の等角図を示す。たとえば、本システムは、患者の心臓102をマッピングし、心室を通る心臓カテーテル105(図1Bのような)をナビゲートするために使用することができる。磁気的位置特定システム100は、典型的には、3次元空間内の物体(たとえば、心臓カテーテルの先端などの、診断またはアブレーションカテーテルの一部)の位置(および、いくつかの実施形態では、向き)を決定し、それらの位置を、少なくとも1つの基準に対して決定された位置情報として表現する。具体的には、磁気的位置特定システム100は、磁場内の心臓カテーテル105の位置を決定するために使用することができ、次いで、心臓カテーテル105の位置が、たとえば心臓102の画像またはモデル上に重ね合わされる。より具体的な実施形態では、患者の心臓に対する心臓カテーテルのリアルタイム位置を参照するための仮想作業環境を臨床医に提供するために、他の基準データの中でも磁気共鳴画像データを3次元空間上に重ね合わせることができる。
【0021】
磁気的位置特定システム100は、様々な視覚化、マッピング、およびナビゲーション構成要素を含むことができる。たとえば、位置特定システム100は、Biosense Webster社から市販されているCARTO(商標)システム、ならびに米国特許第6,498,944号、6,788,967号、および6,690,963号の1つまたは複数を参照して一般に示されるものなどの磁場ベースのシステムを含むことができ、これらの開示は、本明細書に完全に記載されているかのようにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。別の例示的な実施形態では、位置特定システム100は、St. Jude Medical、Inc.から入手可能なMEDIGUIDE(商標)技術システム、ならびに米国特許第6,233,476号、7,197,354号、7,386,339号、および2014年3月13日に出願された「Medical Device Navigation System」と題する米国特許出願第14/208,120号、2013年6月12日に出願された「Medical Device Navigation System」と題する米国仮特許出願第61/834,223号、ならびに2014年3月13日に出願された「Medical Device Navigation System」と題する国際出願番号PCT/IB2014/059709号の1つまたは複数を参照して一般に示されるものなどの磁場ベースのシステムを含むことができ、これらの開示は、本明細書に完全に記載されているかのようにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。別の実施形態では、位置特定システム100は、限定ではなく例として、それらの各々が本明細書に完全に記載されているかのようにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、2011年9月13日に出願された「Catheter Navigation Using Impedance and Magnetic Field Measurements」と題する係属中の米国特許出願第13/231,284号、および2011年4月14日に出願された「System and Method for Registration of Multiple Navigation Systems to a Common Coordinate Frame」と題する米国特許出願第13/087,203号に記載されるシステムなどの、ハイブリッド電場ベースおよび磁場ベースのシステムか、またはBiosense Webster社から市販されているCARTO(商標)3システムを備えることができる。他の例示的な実施形態では、位置特定システム100は、限定ではなく例として、蛍光透視法、コンピュータ断層撮影法(CT)、および磁気共鳴画像法(MRI)ベースのシステムなどの他の一般的に利用可能なシステムを備えるか、またはそれとともに使用することができる。
【0022】
使い捨てカテーテルアセンブリ104(図1Bのような)は、遠位端部分にカテーテル先端アセンブリ105(あるいは、電極アセンブリまたは遠位端アセンブリ)を含むことができる。カテーテル先端アセンブリは、臨床医の制御下で診断または治療処置を行うために動作可能に適合されてもよい。カテーテル105の近位端部分は、ステアリングハンドルまたは他の機構(図示せず)を含むことができる。本実施形態では、カテーテル105はマッピングカテーテルである。カテーテル105は、近位端部分とカテーテル先端アセンブリとの間に延びるフレキシブルシャフトを含む。カテーテルアセンブリは、たとえば、位置特定、マッピング、アブレーション、および/またはペーシング処置を実行するために、カテーテル先端アセンブリと外部電気装置(図示せず)との間に電気的接続を確立するように構成された電気コネクタ(図示せず)をさらに含む。カテーテル先端アセンブリは、本明細書に完全に記載されているかのようにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,690,963号(たとえば、図2および図3に示されるセンサ30、32、34を参照)に示されるものなどの複数の位置特定センサコイルを備えることができる。
【0023】
図1Bに示されるように、磁気的位置特定システム100は、磁場送信機ハウジング120内に複数の磁場送信機121a~fを含む。本開示の様々な実施形態では、磁場送信機は、Cアームなどの蛍光透視画像システム(本明細書では磁場送信機ハウジング120と呼ばれる)に組み込まれてもよく、そのような組合せは、重要な点として、同じ座標系に結びついた蛍光透視画像および位置特定データを含む多くの利点を提供する。磁場送信機の各々は、患者の身体101を横切る磁場を放出する。磁場は、3つのほぼ直交する軸、たとえば、x軸、y軸、およびz軸を規定する。磁場送信機は、磁場発生器に電気的に結合される。磁場発生器は、磁場送信機によって同時に送信されてもよく、時間多重されてもよく、および/または周波数多重されてもよい1つまたは複数の磁場を発生させる。磁気歪みがなければ、磁場内の各位置は磁場勾配と強度を含む固有の磁場シグネチャに関連付けられる。
【0024】
心臓アブレーション処置の場合、一例として、センサコイルアレイ110は、患者の心臓102の周りに配置され、磁場送信機ハウジング120の下およびそこから放出される磁場内に配置される。本実施形態では、センサコイルアレイが手術台103に固定され、磁場送信機ハウジングに対する各磁気歪みセンサコイル111a~dの固定された(および、知られている)位置を提供する。磁気歪みセンサコイルの各々は、センサコイルアレイ内のセンサコイルに近接し、その向きと実質的に同一平面上にある磁場を感知し、その固定された位置において感知された磁場を示す電気信号を出力する。上述したように、この受信された磁場は、磁場内のあらゆる位置において固有であるので、磁気歪みセンサコイルの出力された電気信号は、磁場内のセンサコイルの知覚される位置を示す。しかしながら、磁場内の磁気歪みは、固定されたセンサコイルアレイ内のセンサコイルの実際の位置と、磁気的位置特定システム100によるセンサコイルの知覚される位置との間に不一致を生じさせる可能性がある。
【0025】
カテーテル105の頭部は、センサコイルに近接し、その向きと実質的に同一平面上にある磁場を感知する1個以上のセンサコイルを含む。カテーテルセンサコイルの各々は、その位置における感知された磁場を示す電気信号を出力し、これは磁場内のカテーテルの特定の位置に特有のものである。
【0026】
磁気歪みセンサコイル111a~dおよびカテーテル105の出力は、処理回路に送信され、処理回路によってサンプリングされる。処理回路は、センサコイルの出力に基づいて計算を実行して、たとえば心臓内の心臓カテーテルの知覚される位置を決定する。心臓カテーテルの知覚される位置は、処置中に臨床医によって参照のために使用され、知られている基準点、たとえば心室、動脈などに関してディスプレイ上で臨床医に提示され得る。しかしながら、実際のカテーテル位置は、他の鉄/金属体によって引き起こされる磁場内の磁気歪みによって不明瞭になることがある。これらの磁気歪みは、カテーテルの実際の位置と比較して、カテーテルの知覚される位置の誤り率に関連付けられる。
【0027】
磁気的位置特定システム100における磁気歪みを補償するために、センサコイルアレイ110は固定基準フレームを提供し、システムの座標フレームの原点を規定することができる。センサコイルアレイ内の磁気歪みセンサ111a~dの各々の、実際の位置と知覚される位置との間の不一致に基づいて、磁場全体にわたる磁気歪みの影響を計算し、磁気歪みセンサコイルの各々の知覚される位置をそれぞれの実際の位置に戻す変換によって表すことができる。同様に、磁気歪みを考慮してカテーテルの補正された(実際の)位置を決定するために、磁場内のカテーテルの知覚される位置にこの変換を適用することができる。
【0028】
図1Aおよび図1Bにさらに示されるように、磁気歪みセンサ111a~dは、(センサコイルアレイ110によって規定されるように)円弧状に配置され、円弧の中心点は、一般に、手術されている患者の解剖学的部分の周りに配置される。センサコイルアレイの構成は、円弧、ピラミッド、立方体などを含む多くの形態を取ることができる。センサコイルアレイは、磁場の全体像を提供するために、患者の胸部/胸郭を囲むことができる。本開示のいくつかの実施形態では、センサコイルアレイの脚部は、異なるサイズの患者に対応するように、各寸法がより長くても短くてもよい。センサコイルアレイの脚部は、患者の腕の外側を囲むこともでき、あるいは、代わりに患者の腕と身体との間に適合させることもできる。重要な点として、磁場エミッタに対する磁気歪みセンサの動きを防止するために、センサコイルアレイが十分に剛性であることが望ましい。患者の下に磁気歪みセンサを有することが有利な実施形態では、磁気歪みセンサを、患者と手術台103との間に配置された固定具またはマットに設計することができる。磁気的位置特定システム100の有効性を最大にするために、磁気歪みセンサコイルを異なるデカルト軸にまたがるように配置することが推奨される。しかしながら、患者の下に配置されたフラットマットなどの磁気歪みセンサコイルの配置は、依然として磁気歪みを識別し、補正することができる。
【0029】
磁気歪みセンサコイルアレイの配置のための多くの追加の実施形態が可能である。たとえば、アレイは、患者の身体(または他の場所)に配置され、Northern Digital(NDI)社のPolaris(商標)システムまたは他の視覚ベースの3D位置特定システムなどの独立した位置特定システムで追跡され得る。独立した位置追跡システムは、剛性の知られているフレームにそれらを取り付ける代わりに、磁気歪みセンサコイルごとに位置データを提供する。
【0030】
図1Aおよび図1Bに示されるような実施形態では、センサコイルアレイは、カテーテル105を介して治療を受けている患者の心臓102の周りにおおよそ中心が合わせされている。センサコイルアレイは、カテーテル105に影響を与える磁気歪みがセンサコイルアレイ110内の磁気歪みセンサ111a~dの1つまたは複数によって感知されるように、磁場送信機ハウジング120内の磁場送信機121a~eと患者の心臓との間に配置されることが望ましい。たとえば、手術中に臨床医は1つまたは複数の手術器具の使用を要求することがあり、その多くが本質的に金属または鉄である。手術器具が磁場送信機のうちの1つまたは複数によって放出される磁場に入ると、手術器具に近接する磁場が歪む。手術器具が磁場勾配および強度に与える影響は、鉄金属含有量および器具の密度に依存する。しかしながら、磁場における小さな歪みでさえ、患者の心臓内におけるカテーテルの知覚される位置に大きく影響する可能性がある。
【0031】
カテーテル105は、その先端領域に、カテーテル先端領域に近接する磁場の強度および勾配を感知するコイルを含む。上述したように、磁場内のカテーテル先端の位置における感知された磁場は、磁場内のその位置に固有のものである。カテーテルの先端における感知された磁場に基づいて、処理回路は、コイルが磁場内のどこに配置されているか決定することができる。この情報は、座標系内の他の知られている位置(たとえば、心室、心臓弁、および心臓動脈)と関連して、臨床医が、磁気的位置特定システム100によって提供された(ほぼ)リアルタイムの位置データを使用して、患者の心臓内のカテーテルをナビゲートすることを可能にする。
【0032】
磁気的位置特定システム100における不正確さを防止するために、本システムは、実際の位置(システム内の磁気歪みセンサの知られている/固定された位置に基づく)と、知覚される位置(磁気歪みセンサにおいて受信された磁場と後処理に基づいて決定された位置)との間の不一致を決定するために、1つまたは複数の磁気歪みセンサ111a~dを利用する。決定された不一致は、鉄/金属物体の磁場への流出による磁場全体にわたる磁気歪みを示す。磁気歪みセンサ位置の各々における不一致に基づいて、磁場内のすべての位置における歪みを補正するために変換を計算することができる。そのようなシステムでは、磁気歪みを識別し、カテーテルの知覚される位置を基準として補正することができる。磁場内の磁気歪みの存在を決定して補正するための具体的なアルゴリズムを以下に示す。
【0033】
図2は、本開示の様々な態様に従う、磁気歪み検出および補正を有する磁気的位置特定システム200の概略図である。図2に示されるように、処理回路230は、磁場発生器225が電気信号を発生させて、磁場送信機221a~gの各々に送信することを可能にする。磁場発生器からの電気信号がそれぞれの磁場送信機によって受信されると、送信機はそこから発する磁場を発生させる。本開示の具体的な実施形態では、磁場発生器は、独自の電気信号で磁場送信機の各々を独立して駆動することができる。これらの独自の信号は、同時に生成されてもよく、時間多重されてもよく、周波数多重されてもよく、またはそれらの組合せであってもよい。その結果、磁場内のあらゆる場所で知覚される磁場が固有となり、したがって、その場所で感知される磁場に基づいて識別可能である。
【0034】
1つの具体的な実施形態では、磁場送信機221a~gは、一般に複数のコイルから構成され、その位置および向きはいくつかの固有の磁場の作成を可能にする。磁場はビオ・サバールの法則に従って磁場を作成するコイルに電流を流すことによって発生される。
【数1】
複数の磁場の作成を可能にするため、本システムは発生された磁場を多重化するように設計されている。磁気歪みセンサ111a~dもコイルである(サイズが2mm×10mm未満であってもよい)。磁場は、磁気歪みセンサに電流を流し、これは磁場に対するセンサコイルの位置および向きにおける磁場の強度に比例する。磁場内に配置された磁気歪みセンサコイルは、様々な位置に対して同じ出力を発生させる可能性があるため、単一の課された磁場からその位置および向きを決定することはできない場合がある。前述のように、いくつかの磁場を提供することによって、放出された磁場内の所与の位置における感知された電流の各々の組合せは固有であり得る。しかしながら、そのような磁気的位置特定システムは、鉄/金属物体が磁場送信機221a~gによって放出された磁場に入り込んで歪むときに磁場内の物体の知覚される位置を計算するときに誤差が生じやすいことが発見されている。
【0035】
本開示の態様は、磁気的位置特定システム200内の磁気歪みを検出し補正する。1つの例示的なシステム構成では、患者201は、磁場送信機221a~gによって放出される磁場内に配置される。手術される患者の身体の解剖学的構造は、磁場の中心に位置することが理想的である。この例では、患者の心臓202が磁場の中心にあり、医療処置のためにカテーテル204が心臓内に延びている。たとえば、カテーテルは、診断、治療、マッピング、およびアブレーション処置などのために使用されている。複数の磁気歪みセンサ211a~dが患者の身体に近接して配置される。理想的な構成では、磁気歪みセンサは、患者の心臓202(または、より一般的には身体201)に近接して均一に離間される。患者の心臓に対する磁気歪みセンサのそのような配置は、心臓の周りの磁気歪みの一貫した検出を可能にする。
【0036】
しかしながら、いくつかの磁気位置特定システムでは、たとえば、障害構造(たとえば、手術台)または必要な隙間(たとえば、手術台の周りを回転するための隙間を必要とするCアーム蛍光透視システム)のために、磁気歪みセンサ211a~dによって患者を完全に包囲することは困難な場合がある。Cアーム蛍光透視システムのX線検出器およびエミッタは、しばしば移動し、かなりの量の金属で構成される。Cアームを動かすと磁場内に著しい磁気歪みが生じ、カテーテルの誤った位置情報が追跡されてしまう。
【0037】
介在する鉄の物体(鉄の物体は、外部の鉄の物体とも呼ばれ、その例は、Cアーム蛍光透視システム、および鉄の材料を含み得る他の資本設備を含むことができる)およびCアームがデフォルト位置(たとえば、前方-後方)に置かれていない場合、磁場は本質的に均質であり得る。Cアームが動かされるか、または磁場内に金属が導入されると、磁場が変形する可能性がある。磁気歪みセンサの位置をそれらの知られている位置に戻す変換を連続的に計算することによって、磁気歪みセンサの各々の知覚される位置と実際の位置との間の不一致がゼロになるように、磁気歪みを補正することができる。カテーテルの位置など、座標系の他の点も戻される。学習された変換は、残留誤差が最小限になるように磁気歪みセンサ位置間の補間を効果的に実行する。システム内の磁気歪みセンサの数を増やすと、一般に結果が改善される。
【0038】
多くの実施形態では、磁場送信機221a~gと、患者の心臓202内の位置特定が所望されるカテーテル先端205との間に、多くの磁気歪みセンサを維持することが望ましい。これは、部分的には、カテーテル先端と磁場送信機との間の領域の外側の磁気歪みの影響に対して、磁場内でのカテーテル先端の位置特定に際して磁場送信機に近接する磁気歪みの効果の増強によるものである。
【0039】
手術中、磁気的位置特定システム200は、磁気歪みセンサ211a~dおよびカテーテル先端205の各々においてサンプリングされた磁場を電気信号に変換する。電気信号は、サンプリングされた位置における磁場勾配および強度を示す。上述したように、磁気歪みセンサ211a~dおよびカテーテル先端205ごとの受信信号は、磁場内で受信される位置に対して固有である。サンプラ/スイッチ回路240は、磁気歪みセンサ211a~dおよびカテーテル先端205からの電気信号を所望の周波数でサンプリングする。
【0040】
具体的な実施形態では、本システムは、これらの電気信号を、心電図、または他の類似の感知手段によって決定されるような心拍の様々な段階と同期してサンプリングすることができる。同様に、磁気的位置特定システム200とともに使用されるCアーム蛍光透視システム(または、他の類似の蛍光透視画像システム)は、心拍の同じ段階の間に心臓202を撮像することができる。次いで、画像は、手術中に臨床医のために表示されるビデオにループされてもよい。心拍のこれらの様々な段階の間のカテーテル先端205の位置は、心臓内のカテーテル先端のリアルタイムの蛍光透視画像および位置特定を模倣するように見えるビデオを生成するために、蛍光透視画像上に重ね合わせることができる。しかしながら、重要な点として、そのような実施形態は、Cアームの蛍光透視システムが、心臓内のカテーテルの位置を臨床医が決定するために画像を撮影する必要がないため、手術中の患者および臨床医のX線放射線被曝を大幅に減少させる。
【0041】
磁気歪みセンサ211a~dおよびカテーテル先端205の各々から受信した電気信号は、前増幅、アナログ/デジタル変換、ノイズフィルタリング、および信号分離のうちの1つまたは複数のために信号調整回路245に転送される。受信された電気信号に基づいて後の位置決定における誤差を最小限にするために、信号分離およびノイズフィルタリングなどの信号調整が利用される。アナログ/デジタル変換は、処理回路230がデジタルシステムである場合に行われる。多くの実施形態では、結果として得られる磁気歪みセンサおよびカテーテル先端の位置特定誤差率を最小限にするために信号調整が不可欠である。
【0042】
本開示の好ましい実施形態では、信号調整回路245は、受信した電気信号が処理回路230に送信されるときのノイズの減衰を最小限にするために、磁気歪みセンサアレイに結合される。また、この点での増幅は、処理回路に送信する前に信号利得を増加させるために有利である。
【0043】
図2に示されるように、処理回路230は、磁気歪みセンサおよびカテーテル先端と、磁場送信機221a~gに対する磁気歪みセンサの各々の知られている/固定された位置と、感知された電場を磁場内の知られている位置に関連付けるルックアップテーブルとの各々から受信した電気信号に基づいて、磁気歪みセンサ211a~dおよびカテーテル先端205の知覚される位置を計算する。知られている位置は、磁場送信機の座標系に対する磁気歪みセンサの位置に関して相対的に確実性がある位置であってもよい。1つの例示的な実施形態では、処理回路230は、磁気歪みセンサの知られている/固定された位置を知覚されるセンサの位置と比較することによって、磁気歪みセンサ211a~dごとに実際の位置と知覚される位置との間の不一致を決定する。知覚される位置は、磁気歪みセンサによって受信された電気信号をサンプリングし、サンプリングされた信号を(ルックアップテーブルを介して)知覚される位置に関連付けることによって決定される。磁気歪みセンサの実際の位置と知覚される位置との間の不一致は、磁場内の磁気歪みを示す。磁気歪みセンサの各々の不一致が決定されると、磁気歪みセンサの各々の知覚される位置と実際の位置との間の不一致を補正する変換が計算される。次いで、磁場内の磁気歪みを考慮してカテーテル先端の実際の位置を決定するために、カテーテル先端205の知覚される位置にこの変換が適用される。
【0044】
図3は、本開示の態様に従う実験結果を示すグラフである。グラフは、位置(0,0)における第1のセンサコイル350、および位置(100,100)における第2のセンサコイル351の2つのセンサコイルの実際の/固定された位置と、位置(0,10)における第1のセンサコイル356の知覚される位置、および位置(95,100)における第2のセンサコイル357の知覚される位置とを示す。磁気変形を知られている/固定されたエンドポイントに適合させる様々な方法論が提示される。線352は、2次元座標系内の感知された磁気変形を補償しない第1のセンサコイルと第2のセンサコイルとの間の適合を表す。線355は、実際に基礎をなす磁気変形を示す。線353は、第1および第2のセンサコイルの知覚される位置および実際の位置のみに基づく線形変形計算を示す。線354は、第1および第2のセンサコイルの知覚される位置と実際の位置との両方、ならびにそれらの間の傾斜を利用する非線形変形計算(ベジエスプライン適合)を表す。第1および第2のセンサコイルの位置間の傾斜を利用することによって、およびスプライン曲線の使用によって、磁気歪みセンサコイルの固定位置間の未知の変形の内部適合を改善することができる。
【0045】
特定の具体的な実施形態では、センサコイル間の中間点において変形の勾配/傾斜の評価を決定できるように、磁気歪みセンサコイルの知覚される位置がペア化/グループ化され得る。様々な回帰方法(以下により詳細に開示される)はスプラインスムーザとして働き、そのために、密集した追加のポイントを(ペア化/グループ化を介して)外部に導入することにより、内部の補間精度が改善される。そのようなペア化/グループ化は、知られている/固定された磁気歪みセンサコイルのセットにおいて位置を設定することによって達成することができ、密集したペア化/グループ化は、傾斜/勾配を設定し、この組合せにより、手術されている患者の解剖学的構造を含む磁場の領域内に変換が「導かれる(steered)」ことが可能になる。その結果、患者の体内のカテーテルの実際の位置の補間がより正確になる。
【0046】
別の実施形態では、磁気的位置特定システムは、磁気歪みセンサコイルの位置を、知られている/固定された位置からではなく、所与の時点からの知覚される位置に戻すことができる。たとえば、システムは、時間t0における磁気歪みセンサコイルの知覚される位置を決定することができる。将来の時間tnにおいて、システムは、時間t0およびtnにおける磁気歪みセンサコイルの知覚される位置の各々の間の不一致に基づいて変換を計算する。そのような実施形態は、医療処置の過程にわたる磁気的位置特定システムの座標系の安定化を可能にし、それによって、システムの放出された磁場へのCアーム蛍光透視システムまたは他の介在金属物体の動きによって引き起こされ得る磁気ドリフト(時間の経過とともに)を低減または排除する。
【0047】
図4は、医療処置を実施しながら患者401(手術台403上に位置する)の人体構造をナビゲートするために使用される磁気的位置特定システム400の等角図を示す。たとえば、本システムは、患者の心臓402をマッピングし、心室を通る心臓カテーテル404をナビゲートするために使用することができる。磁気的位置特定システム400は、心臓カテーテル404の先端405などの物体の位置および向きを決定することができる。具体的には、磁気的位置特定システム400は、磁場内の心臓カテーテル404の先端405の位置を決定するために使用することができ、次いで、それはたとえば心臓402の画像またはモデル上に重ね合わせることができる。心臓の画像は、たとえば、一対のX線エミッタおよび受信機462を含む蛍光透視システム420から収集することができる。図4において、X線受信機462は、患者の上に示されている。対応するX線送信機は、患者401の下の、X線受信機462の反対側に配置される。
【0048】
磁気的位置特定システム400は複数の磁場送信機を含み、例示的な磁場送信機421A~Bが手術台403の下に取り付けられている。さらに他の実施形態では、磁場の領域を拡大するために、追加の磁場送信機を利用することができる。1つの特定の例では、4つの磁場送信機421を正方形の配置に展開することができ、正方形の中心は、磁気的位置特定が行われる患者の領域に配置される。
【0049】
各磁場送信機421は、患者の体401を横切る磁場を放出し、磁場発生器によって電力が供給される。磁場発生器は、磁場送信機によって同時に送信されてもよく、時間多重されてもよく、および/または周波数多重されてもよい1つまたは複数の磁場を発生させる。磁気歪みがなければ、磁場内の各位置は磁場勾配と強度を含む固有の磁場シグネチャに関連付けられる。医療デバイス404の先端405のコイルが近接した磁場を感知すると、先端405の位置およびその向きを決定するために、感知された相対磁場を後処理することができる。
【0050】
心臓アブレーション処置の場合、一例として、センサコイルアレイ410は、患者の心臓402の真上に、複数の磁場送信機421の反対側に、かつ磁場送信機421から放出される磁場内に配置される。本実施形態では、センサコイルアレイ410が支持部461を介して手術台403およびその上に固定され、磁場送信機421に対する各磁気歪みセンサコイル411A~Cの固定された(および、知られている)位置を提供する。磁気歪みセンサコイル411A~Cの各々は、センサコイルアレイ410内のセンサコイルに近接し、その向きと実質的に同一平面上にある磁場を感知し、その固定された位置において感知された磁場を示す電気信号を出力する。磁気歪みセンサコイルの出力された電気信号は、磁場内のセンサコイルの知覚される位置を示す。しかしながら、磁場内の磁気歪みは、固定されたセンサコイルアレイ内のセンサコイルの実際の位置と、磁気的位置特定システム400によるセンサコイルの知覚される位置との間に不一致を生じさせる可能性がある。
【0051】
カテーテル405の頭部は、センサコイルに近接し、その向きと実質的に同一平面上にある磁場を感知する1つまたは複数のセンサコイルを含む。カテーテルセンサコイルの各々は、その位置における感知された磁場を示す電気信号を出力し、これは磁場内のカテーテルの特定の位置に特有のものである。
【0052】
磁気歪みセンサコイル411A~Cおよびカテーテル先端405内のセンサコイルの出力は、処理回路に送信され、処理回路によってサンプリングされる。処理回路は、たとえば、心臓内の心臓カテーテルの知覚される位置を決定するために、センサコイルの出力に基づいて計算を実行する。
【0053】
磁気的位置特定システム400における磁気歪みを補償するために、センサコイルアレイ410は固定基準フレームを提供する。フレームは、非鉄材料を含んでもよく、磁場に限定された/知られている効果を有するような微量の鉄材料を含んでもよい。センサコイルアレイ内の磁気歪みセンサ411A~Cの各々の、実際の位置と知覚される位置との間の不一致に基づいて、磁場全体にわたる磁気歪みの影響を計算し、磁気歪みセンサの各々の歪んだ知覚される位置をそれぞれの実際の位置に戻す変換によって表すことができる。同様に、磁気歪みなしのカテーテル404の補正された(実際の)位置を決定するために、磁場内のカテーテル先端405の歪んだ知覚される位置にこの変換を適用することができる。
【0054】
図4に示されるような実施形態では、センサコイルアレイ410は、カテーテル先端405を介して治療を受けている患者の心臓402の周りにおおよそ中心が合わせされている。センサコイルアレイ410は、カテーテル先端405に影響を与える磁気歪みがセンサコイルアレイ410内の磁気歪みセンサ411A~Cの1つまたは複数によって感知されるように、患者の心臓に近接して配置されることが望ましい。
【0055】
磁気的位置特定システム400における不正確さを防止するために、磁気的位置特定システム400は、実際の位置(システム内の磁気歪みセンサの知られている/固定された位置に基づく)と、知覚される位置(磁気歪みセンサにおいて受信された磁場と後処理に基づいて決定された位置)との間の不一致を決定するために、1つまたは複数の磁気歪みセンサ411A~Cを利用する。決定された不一致は、鉄/金属物体の磁場への流出による磁場全体にわたる磁気歪みを示す。磁気歪みセンサ位置の各々における不一致に基づいて、磁場内のすべての位置における歪みを補正するために変換を計算することができる。そのようなシステムでは、磁気歪みを識別し、カテーテル先端405の知覚される位置を基準として補正することができる。磁場内の磁気歪みの存在を決定して補正するための具体的なアルゴリズムを以下に示す。
【0056】
図5は、磁気歪み検出および補正システム500の等角図である。患者501は、磁場送信機521A~Dの上の手術台503上に配置される。磁場送信機521(図示せず)は、手術台503に対して磁場送信機521の反対側に配置されている。患者501が手術台503上で安定すると、センサコイルアレイ510は、手術される患者の領域に近接した位置に、および調節可能なアーム561を介して磁場送信機521A~Dによって作成される磁場内に配置されてもよい。図5の実施形態のいくつかの特定の利点は、患者を手術台503上で物理的に動かす必要なしに、患者への臨床医のアクセスを容易にし、脱着時間を短縮し、調節可能性を高めることを可能にする縮小フットプリントである。また、センサコイルアレイ510が患者のターゲット領域(たとえば、心臓)から横方向にオフセットされているので、センサコイルアレイは蛍光透視画像を妨害しない。
【0057】
様々な実施形態では、調節可能なアーム561は、他の調節促進要素の中でも、回転要素、スライダ要素を含むことができる。たとえば、図5に示されるように、調節可能なアーム561は、手術台の側面に平行に取り付けられたトラックに沿って調節可能なアームをスライドさせることによって、(患者501の高さに対して)縦方向に調節することができる。横方向調節および患者501のターゲット領域に対するセンサコイルアレイ510の角度を容易にするために、調節可能なアームは多数のピボット点を含むことができる。アームの調節可能な態様は、磁気的位置特定が行われるターゲット領域に近接するセンサコイルアレイの正確な位置を容易にするために役立ち、また様々なサイズの患者にも適応する。より具体的な実施形態では、調節可能なアーム561および関連するアセンブリは、磁場送信機521A~Dによって放出される磁場の外側のセンサコイルアレイ510の偶発的な位置決めを防止する調節限界も含む場合があり、そこではセンサコイルアレイは磁気歪みを検出するために有効ではなくなる。
【0058】
図5と一致する様々な実施形態では、磁気歪み検出および補正システム500は、(調節可能なアーム561を介して)手術される患者の領域に近接して、および磁場送信機521A~Dによって作成される磁場内に配置された2つ以上のセンサコイルアレイ510を含むことができる。様々なセンサコイルアレイ510は、(患者に対して)互いから縦方向および横方向にオフセットすることができる。したがって、本開示と一致する様々な実施形態は、患者の同じ側に取り付けられた1つまたは複数のセンサコイルアレイ、および/あるいは患者の反対側に取り付けられた1つまたは複数のセンサコイルアレイを含むことができる。様々な実施形態では、これら複数のセンサコイルアレイは、磁気的位置特定のために患者のターゲット領域に近接して配置される。本質的にターゲット領域を囲むように複数のセンサコイルアレイを配置することによって、センサコイルアレイは、磁場およびターゲット領域に近接する様々な鉄の物体から発する磁気歪みを検出し補正することができる。
【0059】
図4および図5の実施形態に示されるように、磁気歪みセンサは、単一の固定位置に構成されている。以下でより詳細に開示されるアルゴリズムは、そのような単一の固定位置を用いて変換および回転補正を達成することができる。しかしながら、反り補正が外挿を最小限にするためのものである場合、反り補正は追加の磁気歪みセンサを必要とすることがある。したがって、本開示の様々な実施形態は、反り補正の外挿を最小限にするために、2つ以上の磁気歪みセンサを含むことができる。
【0060】
本開示の様々な特定の/実験的実施形態では、磁気的位置特定システムは、位置特定システムによって検出された医療デバイスの位置を、画像システム(たとえば、蛍光透視、他のX線タイプの撮像など)からの生成画像を有する第1の座標フレームにおいて、および第2の座標フレームにおいて、マージするために使用され得る基準点を提供するために、視覚的に追跡される基準点(画像システムの視野に配置される)を利用することができる。
【0061】
図6は、医療デバイス位置特定システムを含む様々な手術特別室の構成、および各構成の例示的な位置特定結果のダイアグラム600である。特別室の構成671は、公称位置に配置されたX線検出器662およびX線管663を示しており、X線検出器およびX線管の磁気構成要素は、磁場を歪ませないようにするために、磁場送信機677から(患者台603を介して)放出される磁場679から十分離れて配置される。その結果、患者の心筋内の物体の適切な位置を示す例示的な表示画像674に示されるように、モーションボックス678(医療デバイスの位置特定が可能な領域)内の物体の位置特定は正確である。
【0062】
特別室の構成672は、望ましくない位置に配置されたX線検出器662およびX線管663を示し、X線検出器およびX線管の磁気構成要素は、磁場送信機677(磁場発生器とも呼ばれる)から放出される磁場679内に配置され、渦電流680を介してモーションボックス678の周りの磁場を歪ませる。その結果、モーションボックス678内の物体の位置特定が不正確になる。例示的な表示画像675に示されるように、位置特定された物体がたとえ患者の心筋内にあっても、磁場内の磁気構成要素からの磁気歪みは、心筋の外側の物体の偽の位置特定を引き起こす。
【0063】
特別室の構成673は、望ましくない位置に配置されたX線検出器662およびX線管663を示し、X線検出器およびX線管の磁気構成要素は、磁場送信機677から放出される磁場679内に配置され、渦電流680を介してモーションボックス678の周りの磁場を歪ませる。その結果、モーションボックス678内の物体の位置特定が不正確になる。モーションボックス678の外周に配置された磁気歪みセンサ681の各々は、知られている位置の磁場が歪んでいるかどうかを検出する。この歪みに応じて、磁気歪みセンサによって提供されたデータに基づいて変換を計算し、モーションボックス内の物体に適用することができる。例示的な表示画像676に示されるように、位置特定された物体がたとえ歪んだ磁場内に位置していても、変換が物体の知覚される位置を補正し、患者の心筋内に正しく配置する。
【0064】
図7Aは、医療処置を実施しながら患者701の人体構造をナビゲートするために使用される磁気的位置特定システム700の等角図を示す。たとえば、本システムは、患者の心臓702をマッピングし、心室を通って心臓カテーテル705をナビゲートするために使用することができる。磁気的位置特定システム700は、典型的には、3次元空間内の物体(たとえば、心臓カテーテルの先端などの、診断またはアブレーションカテーテルの一部)の位置(および、いくつかの実施形態では、向き)を決定し、それらの位置を、少なくとも1つの基準に対して決定された位置情報として表現する。具体的には、磁気的位置特定システム700は、磁場内の心臓カテーテル705の位置を決定するために使用することができ、次いで、心臓カテーテル705の位置が、たとえば心臓702の画像またはモデル上に重ね合わされる。より具体的な実施形態では、患者の心臓に対する心臓カテーテルのリアルタイム位置を参照するための仮想作業環境を臨床医に提供するために、他の基準データの中でも磁気共鳴画像データを3次元空間上に重ね合わせることができる。
【0065】
磁気的位置特定システム700は、様々な視覚化、マッピング、およびナビゲーション構成要素を含むことができる。たとえば、位置特定システム700は、Biosense Webster社から市販されているCARTO(商標)システムなどの磁場ベースのシステム、St.Jude Medical、Inc.から入手可能なMEDIGUIDE(商標)技術システム、ハイブリッド電場ベースおよび磁場ベースのシステム、またはBiosense Webster社から市販されているCARTO(商標)3システムを含むことができる。他の例示的な実施形態では、位置特定システム700は、限定ではなく例として、蛍光透視法、コンピュータ断層撮影法(CT)、および磁気共鳴画像法(MRI)ベースのシステムなどの他の一般的に利用可能な画像システムを備えるか、またはそれとともに使用することができる。
【0066】
図7Bに示されるような使い捨てカテーテルアセンブリ704は、遠位端にカテーテル先端アセンブリ705(あるいは、電極アセンブリまたは遠位端アセンブリとも呼ばれる)を含むことができる。カテーテル先端アセンブリは、臨床医の制御下で診断または治療処置を行うために動作可能に適合されてもよい。カテーテル先端アセンブリは、たとえば、位置特定、マッピング、アブレーション、および/またはペーシング処置を実行することができる。位置特定を容易にするために、カテーテル先端アセンブリは、複数の位置特定センサコイル(たとえば、磁場センサ)を含むことができる。
【0067】
図7Bに示されるように、磁気的位置特定システム700は、磁場送信機ハウジング720内に複数の磁場送信機721a~fを含む。本開示の様々な実施形態では、磁場送信機は、Cアームなどの蛍光透視画像システム(本明細書では磁場送信機ハウジング720と呼ばれる)に組み込まれてもよい。磁場送信機の各々は、患者の身体701を横切る磁場を放出する。磁気歪みがない場合、磁場内の各位置は、固有の磁場シグネチャ(たとえば、固有の磁場勾配および強度を含む)と関連付けられる。
【0068】
心臓内処置の間、一例として、シャトルハウジング710は、少なくとも部分的に患者の心臓702の周りに配置される。いくつかの実施形態では、シャトルハウジング710は、(そこから放出される磁場内の)磁場送信機ハウジング720と、カテーテル704の遠位端705内の1つまたは複数の磁気センサとの間に配置されてもよい。本実施形態では、シャトルハウジング710は手術台703に取り付けられており、シャトルハウジング710内のシャトルトラック710’の知られている位置を提供する。図7A図7Bのシャトルトラック710’は、シャトルハウジング710を通って延びる内腔である。シャトル710”は、シャトルトラック710’を通って延長され、それによって患者701上の円弧に従うことができる。シャトル710”がシャトルトラック710’を通って引かれるとき、シャトル710”の正確な位置は、シャトル710”上の、またはシャトル710”内の1つまたは複数の磁気歪みセンサコイルによって測定される磁場の強度および勾配に関連付けられる。いくつかの具体的な実施形態では、シャトル710”上の磁気歪みセンサコイルの各々は、センサコイルアレイ内のセンサコイルに近接し、その向きと実質的に同一平面上にある磁場を感知し、特定の時点でのシャトル710”の知られている位置における感知された磁場を示す電気信号を出力する。磁気歪みセンサコイルの電気信号出力は、磁場内のセンサコイルの知覚される位置を示す。しかしながら、磁場内の磁気歪みは、シャトルハウジング710内のセンサコイルの知られている位置と、磁気的位置特定システム700によるセンサコイルの知覚される位置との間に不一致を生じさせる可能性がある。
【0069】
磁気歪みセンサコイル711a~fおよびカテーテル704の遠位端705内の磁気センサからの出力信号は、処理回路に送信され、処理回路によってサンプリングされる。処理回路は、たとえば、心臓内の心臓カテーテルの知覚される位置を決定するために、センサコイルの出力に基づいて計算を実行する。心臓カテーテルの知覚される位置は、処置中に臨床医によって参照のために使用され、知られている基準点、たとえば心室、動脈などに関してディスプレイ上で臨床医に提示され得る。しかしながら、実際のカテーテル位置は、磁気的位置特定システム700に近接する他の鉄/金属体によって引き起こされる磁場内の磁気歪みによって不明瞭になることがある。これらの磁気歪みは、カテーテルの実際の位置と比較して、カテーテルの知覚される位置の誤り率に関連付けられる。
【0070】
磁気的位置特定システム700における磁気歪みを補償するために、シャトル710”と組み合わされたシャトルハウジング710は知られている基準フレームを提供し、システムの座標フレームの原点を規定することができる。シャトル710”内の磁気歪みセンサの各々の、実際の位置と知覚される位置との間の不一致に基づいて、磁場全体にわたる磁気歪みの影響を計算し、シャトル710”の磁気歪みセンサコイルの各々の知覚される位置をそれぞれの実際の位置に戻す変換によって表すことができる。同様に、磁気歪みを考慮してカテーテル先端の補正された(実際の)位置を決定するために、磁場内のカテーテル704の遠位端705の知覚される位置にこの変換を適用することができる。
【0071】
カテーテル704は、その先端領域705に、カテーテル先端領域に近接する磁場の強度および勾配を感知する1つまたは複数の磁気センサコイルを含むことができる。上述したように、磁場内のカテーテル先端705の位置における感知された磁場は、磁場内のその位置に固有のものである。カテーテルの先端における感知された磁場に基づいて、処理回路は、コイルが磁場内のどこに配置されているかを決定し、磁場内の磁気歪みを補正することができる。この情報は、座標系内の他の知られている位置(たとえば、心室、心臓弁、および心臓動脈)と関連して、臨床医が、磁気的位置特定システム700によって提供された(ほぼ)リアルタイムの位置データを使用して、患者の心臓内のカテーテルをナビゲートすることを可能にする。
【0072】
図8Aは、医療処置を実施しながら患者801(手術台803上に位置する)の人体構造をナビゲートするために使用される磁気的位置特定システム800の等角図を示す。たとえば、本システムは、患者の心臓802をマッピングし、心室を通る心臓カテーテル804をナビゲートするために使用することができる。磁気的位置特定システム800は、心臓カテーテル804の先端805などの物体の位置および向きを決定することができる。具体的には、磁気的位置特定システム800は、磁場内の心臓カテーテル804の先端805の位置を決定するために使用することができ、次いで、それはたとえば心臓802の画像またはモデル上に重ね合わせることができる。心臓の画像は、たとえば、一対のX線エミッタおよび受信機862を含む蛍光透視システム820から収集することができる。図8Aにおいて、X線受信機862は、患者の上に示されている。対応するX線送信機は、患者801の下の、X線受信機862の反対側に配置される。
【0073】
磁気的位置特定システム800は複数の磁場送信機を含み、例示的な磁場送信機821A~Bが手術台803の下に取り付けられている。さらに他の実施形態では、磁場の領域を拡大するために、追加の磁場送信機を利用することができる。1つの特定の例では、4つの磁場送信機821A~Bを正方形の配置に展開することができ、正方形の中心は、磁気的位置特定が行われる患者の領域に配置される。カテーテル804の遠位端805のコイルが近接した磁場を感知すると、先端805の位置およびその向きを決定するために、感知された相対磁場をコントローラ回路によって後処理することができる。
【0074】
心臓アブレーション処置の場合、一例として、1つまたは複数のシャトルハウジング810は、患者の心臓802に近接しており、複数の磁場送信機821A~Bの反対側であり、磁場送信機821から放出される磁場内に配置されてもよい。本実施形態では、シャトルハウジング810が支持部861を介して手術台803およびその上に固定され、シャトルトラック810”を介して磁場送信機821に対する各シャトル810’の知られている位置を提供する。1つまたは複数のシャトル810’の各々は、それぞれのシャトルトラック810”に沿って操作されてもよく、シャトル810’の各々は、シャトル810’の知られている位置における磁場を感知する1つまたは複数の磁気歪みセンサコイルを含んでもよく、シャトル810’の知られている位置において感知された磁場を示す電気信号を出力する。シャトル810’は、シャトルトラック810”に沿って操作されてもよく、処理回路がその場所で感知された磁場と関連付ける、知られている位置を有する。磁気歪みセンサコイルによって出力される電気信号は、その時点の磁場内のセンサコイルの知覚される位置を示す。しかしながら、磁場内の磁気歪みは、センサコイルの知られている位置と、磁気的位置特定システム800によるセンサコイルの知覚される位置との間に不一致を生じさせる可能性がある。
【0075】
シャトル810’内の磁気歪みセンサコイルおよびカテーテル先端805内のセンサコイルからの信号は、処理回路に送信され、処理回路によってサンプリングされる。処理回路は、たとえば、心臓内の心臓カテーテルの知覚される位置を決定するために、センサコイルから受信された信号に基づいて計算を実行する。
【0076】
磁気的位置特定システム800における磁気歪みを補償するために、シャトル810’は、知られている基準フレームを提供する(トラック810”上のシャトル810’の位置は常に知られているので)。1つまたは複数のシャトル810’内/上の磁気歪みセンサの各々の知られている位置と知覚される位置との間の不一致に基づいて、磁場全体にわたる磁気歪みの影響を計算し、磁気歪みセンサの各々の歪んだ知覚される位置をそれぞれの実際の位置に戻す変換によって表すことができる。次いで、磁気歪みなしのカテーテル先端805の補正された(実際の)位置を決定するために、磁場内のカテーテル先端805の歪んだ知覚される位置にこの変換を適用することができる。
【0077】
図8Bは、図8Aの磁気歪み検出および補正システムの拡大等角図である。シャトルハウジング810は、シャトルハウジング810の長さに延びる1つまたは複数のシャトルトラック810”(たとえば、内腔)を含む。1つまたは複数のシャトル810’は、シャトル810’がシャトルハウジングを通って延びるときにシャトル810’の位置を正確に感知するように、シャトルトラック810”を通って延長されてもよい。いくつかの具体的な実施形態では、シャトルは、プルワイヤを介してシャトルトラック810”に沿って引き出され、トラックに沿って押し込まれ、トラックに沿って駆動され、作動されるか、または他の方法で正確に移動され得る。いくつかの実施形態では、シャトル810’がトラック810”に沿って移動した距離のみが分かっていればよく、ルックアップテーブルは、その距離を磁気的位置特定システムのデカルト座標系内の知られている位置に関連付けることができる。
【0078】
図9は、磁気歪み検出および補正システム900の等角図である。患者901は、磁場送信機921A~Cの上の手術台903上に配置される。患者901が手術台903上に適切に配置されると、センサコイルアレイ910は、手術される患者の領域に近接する位置に、および調節可能なアーム961を介して磁場送信機921A~Cによって作成される磁場内に配置されてもよい。図9の実施形態のいくつかの特定の利点は、患者を手術台903上で物理的に動かす必要なしに、患者への臨床医のアクセスを容易にし、脱着時間を短縮し、調節可能性を高めることを可能にする縮小フットプリントである。また、センサコイルアレイ910が患者のターゲット領域(たとえば、心臓)から横方向にオフセットされているので、センサコイルアレイは蛍光透視画像を妨害しない。
【0079】
様々な実施形態では、調節可能なアーム961は、他の調節促進要素の中でも、回転要素、スライダ要素を含むことができる。たとえば、図9に示されるように、調節可能なアーム961は、手術台903の側面に平行に取り付けられたトラック922に沿って調節可能なアーム961をスライドさせるアクチュエータ924を介して、(患者901の高さに対して)縦方向に調節することができる。横方向調節、および患者901のターゲット領域に対するセンサコイルアレイ910の入射角を容易にするために、調節可能なアーム961は、したがって追加のアクチュエータをさらに含むことができる。磁気的位置特定システムの精度を別の形で妨げる可能性がある、患者に近接する磁気歪みを補正するために、センサコイルアレイ910は、縦方向、横方向、および/または調節可能なアーム961と患者901との間の入射角に対して作動されてもよい。次いで、その作動中のセンサコイルアレイ910の知られている位置と、その位置において感知された磁場は、たとえばルックアップテーブルにおいて互いに関連付けられる。感知された位置の間の位置における磁場は外挿することができる。センサコイルアレイ910の作動範囲にわたる感知された磁場に基づいて、位置ごとの誤差を決定し、検出された磁気歪みを補正するために変換を計算することができる。いくつかの具体的な実施形態では、1つまたは複数のアクチュエータ924は、患者901の上の平面内の三角形または正方形のパターンで、調節可能なアーム961を介してセンサコイルアレイ910を移動させることができる。他の実施形態では、患者の上の3次元経路は、改善された誤差変換を提供することができ、たとえば、患者901の上の仮想立方体の縁に続く。
【0080】
図8A図8Bおよび図9の実施形態に示されるように、磁気歪みセンサは、1つまたは複数の経路に沿って移動するように構成され、センサの位置は、移動中ずっと知られており、その特定の位置での感知された磁場に関連付けられる。そのような実施形態によって収集され得るデータ点の無限の数に部分的に起因して、反り補正(変換とも呼ばれる)の外挿が大幅に最小化され得る。
【0081】
図10Aは、本開示の様々な態様と一致する、磁気歪み検出および補正システム1000の等角図である。図10Aに示されるように、シャトルハウジング1010は、患者1001のターゲット領域1002(たとえば、心筋)上にらせん状に延びる。シャトルハウジング1010は、手術台1003に結合されてもよく、あるいは、シャトルハウジング1010内のシャトルの様々な位置が位置特定システムの座標系に対して知られているように配置されてもよい。したがって、シャトルハウジング1010内のシャトルによって感知された磁場は、シャトルの知られている位置に関連付けられ、ルックアップテーブルに付加されてもよい。次いで、磁場内の磁気歪みの影響を補正する変換を決定するために、ルックアップテーブルを使用することができる。たとえば、磁場内のカテーテルの知覚される位置に変換を適用することによって、カテーテルの補正された/実際の位置を決定することができる。
【0082】
図10Bは、図10Aの磁気歪み検出および補正システム1000の拡大等角図である。らせん形状のシャトルハウジング1010は、シャトルハウジング1010を通るシャトル1011(1つまたは複数の磁気センサを含む)の移動を容易にするシャトルトラック1010’をさらに含む。シャトルハウジング1010を通るシャトル1011の動きを正確に制御するためにアクチュエータを使用することができ、それによって、位置特定システムの座標系に対するシャトル1011の位置の決定が可能になる。より具体的な実施形態では、シャトルハウジング1010は、患者1001のターゲット領域上に延びる円弧に続くらせんを備えることができる。
【0083】
図11は、本開示の様々な態様と一致する、磁気歪み検出および補正システム1100の等角図である。図11では、患者1101は、手術台1103の上に配置される。患者1101のターゲット領域1102(たとえば、心筋)は、ロボットアーム1105に近接して配置される。(たとえば)患者内の医療デバイスの位置を決定するために使用される磁気的位置特定システムの精度を妨げることがある磁場内の磁気歪みをチェックするために、ロボットアーム1105は、1つまたは複数のあらかじめプログラムされた経路に従うようにプログラムされてもよい。ロボットアーム1105のエンドエフェクタ1110は、エンドエフェクタ1110における磁場の強度および勾配を測定する1つまたは複数の磁気センサコイルを含むことができる。ロボットアーム1105経路の知られている様々な位置において磁気測定が行われると、磁気測定値を測定値の知られている位置に関連付けることができ、それによって、磁場内の磁場歪みを補正するための変換計算が容易になる。
【0084】
より具体的な実施形態では、ロボットアーム1110は、感知された磁場およびその場所における位置特定精度のリアルタイム計算に基づいて変化する探索経路に従うことができる。たとえば、大きな磁気歪みを感知すると、ロボットアーム1110は、大きな磁気歪みを有する領域のさらなる調査を容易にする経路をたどることができる。この領域におけるさらなる磁気測定は、改善された変換アルゴリズムおよびより正確な位置特定システムを容易にすることができる。同様に、許容可能なしきい値内のリアルタイム位置特定精度を有する領域において、ロボットアーム1110は、この領域で行われる測定の数を減少させるか、および/または、大きな磁気歪みが検出された領域に焦点を当てるために探査経路を調節することができる。
【0085】
磁気センサがアクチュエータおよび/または導電性材料からなるロボットアームによって操作される実施形態では、非導電性エクステンダがアクチュエータおよび/またはロボットアームから延び、磁気センサがその遠位端に結合されてもよい。そのような構成は、アクチュエータおよび/またはロボットアームに関連付けられる磁場に対する磁気歪みをなくすか、少なくとも大幅に低減する。あるいは、任意の導電性材料がないアクチュエータおよび/またはロボットアームを使用してもよい。
【0086】
以下に開示される特定の/実験的磁気歪み検出アルゴリズムに基づいて、当業者は多数の他の検出および補正アルゴリズムを容易に導出することができる。
【0087】
(特定の/実験的磁気歪み補正アルゴリズム)
磁気歪みを補正する1つの方法は、局所的な反りを許容する記録変換を使用することである。実際、そのような変換は、基準点(磁気歪みセンサコイルの知られている/固定された位置)において正確な対応を強制する曲げを組み込む。したがって、次のマッピングが所望される。
f:R⇒R (1)
ここで基準点のペアS≡(x,y)ごとに、誤差は以下のように規定され、
≡|f(x)-y| (2)
この誤差が、基準点ごとにゼロ(0)に駆動される。
【0088】
磁気歪みマッピングが基準点間で連続的かつ滑らかであることを確実にするために、追加の制約が望ましい。基準ペアが何らかの誤識別エラーを組み込む可能性があるという知識がある場合、マッピングは、変換を滑らかにするために(データにあまりフィットしないように)増加した正則化も含むことができる。
【0089】
マッピングfを決定する登録方法は、たとえば、薄板スプライン、平均値座標、および放射基底関数ネットワークを含む。これらの方法の各々について、以下でより詳細に説明する。
【0090】
(薄板スプライン)
薄板スプライン(TPS)は、基準のセットの間を補間する方法である。TPSは、3次元空間内のサーフェスを決定するために制御点のセットが必要とされる場合に適用することができ、(x、y)が入力値であり、zが出力値である。ここでは、ベクトルxが入力値であり、ベクトルyが出力値である4次元空間内のサーフェスのセットを決定する必要がある。TPS解は、各制御点を中心とする重み付けされた基底関数の集合の和であり、基底関数は典型的には:
f:R⇒R (3)の場合、rlogr
および、
f:R⇒R (3)の場合、r
であり、上式で、rは特定の基底関数中心からの入力点の半径方向の距離である。
【0091】
基底関数の数は制御点の数に等しく、基底関数ごとの重みは線形代数方程式のセットを解くことによって決定される。解を滑らかにするために、正則化パラメータλをこの計算に導入することができる。
【0092】
薄板スプライン法は、本明細書に完全に記載されているかのようにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、Bookstein,F.L.のPrincipal Warps:Thin Plate Splines and the Decomposition of Deformations,IEEE Trans.Pattern Anal.Mach. Intell.11,567-585,1989にさらに開示される。
【0093】
(平均値座標)
平均値座標(MVC)は、3次元の閉じた三角サーフェスである「制御メッシュ」に対して3次元の個々の点を変換するアルゴリズムである。このメッシュが変形されると、アルゴリズムは、頂点と三角形を(厳密に)変形し、メッシュから遠い領域では大幅に外挿することはない3次元空間全体にわたって滑らかな補間関数を計算することができる。(x,y,z)座標の基準点ペアは、制御メッシュの頂点を備え、位置特定システムの座標を実際の物理座標系をより正確に表す座標系に変形する。頂点は、累積重心を中心とする球面に頂点を投影し、その凸包を計算する(2次元のドローネ三角分割法を介して)ことによって接続される。次いで、平均値アルゴリズムは、1つの座標空間から別の空間に任意の座標を効率的かつ滑らかに変換するために、制御および変形されたメッシュを使用する。その操作数は、制御メッシュの頂点と三角形の数に線形に比例する。基準点の数と品質が十分であれば、平均値座標は、2つの座標空間のグローバルな回転とスケーリングの違いの両方、ならびに不均質性による局所的な反りを考慮に入れることができる。
【0094】
MVC方法論は、本明細書に完全に記載されているかのようにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、Ju T,Schaefer S,Warren JのMean value coordinates for closed triangular meshes,ACM Transactions on Graphics,July 2005,24(3):561-566にさらに開示される。
【0095】
(放射基底関数ネットワーク)
放射基底関数ネットワーク(RBFN)は、様々な場所に中心を置く基底(または、カーネル)関数のネットワークの総和を通じて関数回帰を実行するための方法である。1つの例示的なRBFNでは、
【数2】
(4)であり、上式で、kは基底関数であり、典型的にはガウス形状
【数3】
であり、hは基底関数ごとの高さまたは重み付けであり、wは基底関数の幅であり、cは基底関数の中心である。これらのパラメータの各々は、提供されたサンプルから決定されなければならない。サンプルのセットからこれらのパラメータを学習するための様々な方法がある。1つの一般的な方法は、勾配降下などのニューラルネットワークによって動機付けられた技法を使用することである。
【0096】
上述の方法論は、本明細書に完全に記載されているかのようにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、2011年4月14日に出願された「System and Method for Registration of Multiple Navigation Systems to a Common Coordinate Frame」と題する米国特許出願第13/087,203号にさらに開示される。
【0097】
本明細書に完全に記載されているかのようにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年1月26日に出願された「System,Apparatus,and Method of Magnetic Field Distortion Detection in a Magnetic Medical Mapping System」と題するPCT出願第PCT/IB2017/050419号の全開示。
【0098】
いくつかの実施形態が、本開示が実施され得る少なくともいくつかの方法の理解を容易にするためにある程度詳細に上記で説明されたが、当業者であれば、本開示および添付の特許請求の範囲から逸脱することなしに、開示された実施形態に多数の変更を加えることができる。上記の説明に含まれるか、または添付の図面に示されるすべての事項は、例示的なものに過ぎず、限定的なものではないと解釈されるものとする。したがって、本明細書の実施例および実施形態は、本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本教示から逸脱することなしに、詳細または構造の変更を行うことができる。前述の説明および以下の特許請求の範囲は、そのようなすべての修正および変形を網羅することを意図している。
【0099】
本明細書では、様々な装置、システム、および方法の様々な実施形態を説明する。本明細書に記載され、添付の図面に示されている実施形態の全体的な構造、機能、製造、および使用の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、当業者であれば、そのような特定の詳細なしで実施形態を実施できることを理解するであろう。他の例では、本明細書に記載された実施形態を不明瞭にしないように、よく知られている動作、構成要素、および要素を詳細に説明していないことがある。当業者であれば、本明細書に記載され説明された実施形態は非限定的な例であることを理解するであろう。したがって、本明細書に開示された特定の構造的および機能的詳細は代表的なものであってよく、実施形態の範囲を必ずしも限定するものではないことが理解されよう。実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0100】
本開示において使用される「含む(including)」、「備える(comprising)」という用語、およびそれらの変形は、明示的に指定されない限り、「含むが、これに限定されない」を意味する。本開示において使用される「a」、「an」、および「the」という用語は、明示的に指定されない限り、「1つまたは複数」を意味する。
【0101】
本明細書を通して、「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一実施形態」、「ある実施形態」などへの言及は、実施形態に関連して説明した特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通してところどころに出現する「様々な実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「一実施形態では」、「ある実施形態では」などの語句は、必ずしもすべて同じ実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。したがって、1つの実施形態に関連して説明または記載された特定の特徴、構造、または特性は、全体的または部分的に、1つまたは複数の他の実施形態の特徴、構造、または特性と無制限に組み合わせることができる。
【0102】
処理ステップ、方法ステップ、アルゴリズムなどは、逐次的な順序で説明することができるが、そのような処理、方法、およびアルゴリズムは、代替の順序で機能するように構成することができる。言い換えれば、記述され得るステップの任意のシーケンスまたは順序は、必ずしもステップがその順序で実行される必要性を示すものではない。本明細書で説明される処理、方法、およびアルゴリズムのステップは、任意の実用的な順序で実行されてもよい。さらに、いくつかのステップは同時に実行されてもよい。
【0103】
単一のデバイスまたは物品が本明細書に記載されている場合、単一のデバイスまたは物品の代わりに複数のデバイスまたは物品を使用できることは容易に明らかであろう。同様に、複数のデバイスまたは物品が本明細書に記載されている場合、複数のデバイスまたは物品の代わりに単一のデバイスまたは物品を使用できることは容易に明らかであろう。デバイスの機能または特徴は、そのような機能または特徴を有するものとして明示的に記載されていない1つまたは複数の他のデバイスによって代替的に実施されてもよい。
【0104】
「近位」および「遠位」という用語は、患者を治療するために使用される器具の一端を操作する臨床医を参照して本明細書全体を通して使用されてもよいことが理解されよう。「近位」という用語は臨床医に最も近い器具の部分を指し、「遠位」という用語は臨床医から最も遠くに位置する部分を指す。しかしながら、外科用器具は、多くの向きおよび位置で使用されてもよく、これらの用語は限定的で絶対的であることが意図されるものではない。すべての他の方向性または空間的参照(たとえば、上部、下部、上向き、下向き、左、右、左向き、右向き、最上部、底部、上方、下方、垂直、水平、時計回り、および反時計回り)は、本開示の読者の理解を助けるために識別目的のためにのみ使用されるに過ぎず、特に位置、向き、または本開示の使用に関して限定を生じさせるものではない。結合についての言及(たとえば、装着される、結合される、接続されるなど)は広く解釈されるべきであり、要素の接続間の中間部材および要素間の相対移動を含み得る。そのため、結合についての言及は必ずしも2つの要素が直接的に接続されて互いに固定された関係にあることを含意するものではない。
【0105】
本明細書に記載される、および/または図面に示される1つまたは複数の動作および活動を実行するために、様々なモジュールまたは他の回路を実装することができる。これらの文脈において、「モジュール」は、これらの、または関連する動作/活動のうちの1つまたは複数を実行する回路(たとえば、処理回路、磁場発生器回路、および信号調整回路)である。たとえば、上述した実施形態のうちのあるものでは、1つまたは複数のモジュールは、これらの動作/活動を実装するように構成および配置されたディスクリート論理回路またはプログラマブル論理回路である。特定の実施形態では、そのようなプログラマブル回路は、命令(および/または構成データ)のセット(または、複数のセット)を実行するようにプログラムされた1つまたは複数のコンピュータ回路である。命令(および/または構成データ)は、メモリ(回路)に記憶され、メモリ(回路)からアクセス可能なファームウェアまたはソフトウェアの形態であり得る。一例として、第1および第2のモジュールは、CPUハードウェアベースの回路と、ファームウェアの形式の命令のセットとの組合せを含み、第1のモジュールは、ある命令のセットを有する第1のCPUハードウェア回路を含み、第2のモジュールは、別の命令のセットを有する第2のCPUハードウェア回路を含む。
【0106】
特定の実施形態は、これらの動作/活動を実行するために、コンピュータ(または、他の電子デバイス)によって実行することができる命令を記憶した機械またはコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品(たとえば、不揮発性メモリデバイス)に関する。
【0107】
参照により本明細書に組み込まれると言われる任意の特許、刊行物、または他の開示資料の全体または一部は、組み込まれた資料が、本開示において記載される既存の定義、声明、または他の開示資料と矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれる。このように、そして必要な範囲で、本明細書に明示的に記載された本開示は、参照により本明細書に組み込まれるどの矛盾する資料よりも優先する。参照により本明細書に組み込まれると言われるが、本明細書に記載された既存の定義、声明、または他の開示資料と矛盾する、任意の資料またはその一部は、組み込まれた資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれる。
以下の項目は、国際出願時の請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
磁場内に配置された医療デバイスを位置特定するために前記磁場内の磁気歪みを検出し、補正するシステムであって、
前記システム内の知られている位置および向きにある1つまたは複数のエミッタコイルを含み、前記エミッタコイルの各々が磁場を放出するように構成および配置された、磁場エミッタと、
前記磁場を各々が感知し、前記医療デバイスにおいて感知された前記磁場を示す第1の電気信号を出力するように構成および配置された、1つまたは複数のセンサコイルと、
前記システム内の知られている位置および向きにある磁気歪みセンサの配置であって、前記配置内の前記磁気歪みセンサの各々が、前記磁場を感知し、前記磁気歪みセンサにおいて感知された前記磁場を示す第2の電気信号を出力するように構成および配置された、磁気歪みセンサの配置と、
前記磁気歪みセンサおよび前記センサコイルの各々に通信可能に結合され、前記第1の電気信号および前記第2の電気信号を受信し、前記第1の電気信号および前記第2の電気信号と前記磁気歪みセンサの前記知られている位置および向きとに基づいて、前記システム内の前記医療デバイスの磁気歪みの補正位置を決定するように構成および配置されたプロセッサ回路と
を備える、システム。
(項目2)
前記プロセッサ回路が、
各磁気歪みセンサにおいて感知された前記磁場に基づいて前記配置内の前記磁気歪みセンサの各々の知覚される位置を決定することと、
前記磁気歪みセンサの各々の前記知覚される位置と前記知られている位置との間で位置特定された誤差を決定することと、
前記位置特定された誤差の決定に基づいて、前記磁気歪みセンサの各々についての前記知覚される位置を前記知られている位置に変える変換を計算することと、
計算された前記変換を使用して、前記磁気歪みを補償する前記システム内の前記医療デバイスの前記補正位置を決定することによって、前記医療デバイスの前記磁気歪みの前記補正位置を決定するようにさらに構成および配置された、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記プロセッサ回路が、
前記磁気歪みセンサの前記知覚される位置をグループ化し、前記グループの変形の勾配を決定することと、
前記グループについての前記位置特定された誤差と前記決定された変形の勾配とに基づいて、スプライン平滑化を用いて拡張変換を計算することと、
前記拡張変換を使用して、改善された補間精度で前記システム内の前記医療デバイスの前記補正された位置を決定することと
を行うようにさらに構成および配置された、項目2に記載のシステム。
(項目4)
前記拡張変換が、前記グループの変形の前記決定された勾配に少なくとも部分的に基づいて、前記グループの前記知られている位置間の非線形変形を補償する、項目3に記載のシステム。
(項目5)
前記変換が、薄板スプライン、平均値座標、および放射基底関数ネットワーク、のアルゴリズムのうちの1つを使用して計算される、項目2に記載のシステム。
(項目6)
前記位置特定された誤差がしきい値量を超えることに応答して、前記プロセッサ回路が、前記位置特定された誤差がしきい値を上回る間に計算された、知覚された医療デバイスの位置を無視するように構成および配置された、項目2に記載のシステム。
(項目7)
前記位置特定された誤差がしきい値量を超えることに応答して、前記プロセッサ回路が、前記磁気歪みの感覚表示を臨床医に出力する、項目2に記載のシステム。
(項目8)
磁気歪みセンサの前記配置が、円弧、ピラミッド、および立方体のうちの1つの構成で配置される、項目1に記載のシステム。
(項目9)
磁気歪みセンサの前記配置が、実質的に患者の胸腔の周りに配置される、項目1に記載のシステム。
(項目10)
前記配置の磁気歪みセンサごとの前記知覚される位置と前記知られている位置との間の前記位置特定された誤差が、前記システム内の前記医療デバイスの前記知覚される位置の誤差を示す、項目2に記載のシステム。
(項目11)
第1の磁気歪みセンサの前記知られている位置が、時間T0における前記第1の磁気歪みセンサの知覚される位置であり、前記位置特定された誤差が、T0における前記第1の磁気歪みセンサの前記知られている位置と、前記時間T0とは異なる時間T1における前記第1の磁気歪みセンサの前記知覚される位置T1との間で決定される、項目1に記載のシステム。
(項目12)
時間多重、周波数多重、またはそれらの組合せを使用することによって、前記1つまたは複数のエミッタコイルの各々から複数の固有の磁場を発生させるように構成および配置された、項目1に記載のシステム。
(項目13)
磁場内の磁気歪みを検出するためのセンサ配置装置であって、
複数のセンサコイルであって、各々がそのセンサコイルにおける前記磁場の強度および向きを示すエネルギーを収集するように構成および配置された、複数のセンサコイルと、
前記複数のセンサコイルの各々に結合され、前記センサコイルの各々を他のセンサコイルに対して固定的に配置して配向させるように配置されたフレームと、
前記複数のセンサコイルに電気的に結合されている処理回路であって、
前記センサコイルの前記固定された位置における前記磁場の強度および向きを示す信号を、前記センサコイルの各々から受信することと、
前記受信された信号を処理することと
を行うように構成および配置された処理回路と
を備え、
前記処理された信号が、前記磁場中への外部の鉄の物体の侵入に起因する前記磁場内の磁気歪みを示す、センサ配置装置。
(項目14)
前記複数のセンサコイルの各々が、医療処置中に患者に近接する磁場の前記強度および向きを示すエネルギーを受信するように構成および配置され、前記複数のセンサコイルのうちの1つまたは複数によって受信された前記磁場の前記強度および向きの経時変化が、前記患者に近接する鉄の物体によって引き起こされる磁気歪みを示す、項目13に記載のセンサ配置装置。
(項目15)
非鉄製の前記フレームが、ピラミッド形状、立方体形状、および円弧のうちの1つの構成で前記センサコイルを固定的に位置決めするように構成および配置された、項目13に記載のセンサ配置装置。
(項目16)
患者の体内の医療デバイスを位置特定するための磁場内の磁気歪みを補正するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムが非一時的コンピュータ可読媒体上に具現化され、
センサコイルに近接する磁場を示す前記センサコイルにおける受信信号に基づいて、センサ配置内の複数のセンサコイルの各々の知覚される位置を計算するステップと、
前記センサコイルの知られている位置と前記センサコイルの前記知覚される位置との間の不一致に基づいて、前記センサコイルの前記磁場内の磁気歪みを示す前記複数のセンサコイルの各々の位置誤差を決定するステップと、
前記センサコイルの各々の前記知られている位置と前記知覚される位置との間の前記不一致に基づいて、前記複数のセンサコイルごとに前記知覚される位置を前記知られている位置に変える変換を計算するステップと、
前記医療デバイスに近接する前記磁場を示す前記医療デバイスにおける受信信号に基づいて、前記医療デバイスの知覚される位置を計算するステップと、
前記医療デバイスの前記知覚される位置を計算された前記変換に入力することによって、前記医療デバイスの実際の位置を決定するステップと、
を備える、コンピュータプログラム。
(項目17)
前記センサコイルの前記知覚される位置をグループ化することによって、前記磁場における変形の勾配を決定するステップをさらに含み、
前記決定された変形の勾配が、前記計算された変換においてスプラインスムーザとして働く、項目16に記載のコンピュータプログラム。
(項目18)
前記変換が、第1の時間T0における前記複数のセンサコイルの各々の知覚される位置と、前記センサの各々の知られている位置とに基づく、項目16に記載のコンピュータプログラム。
(項目19)
時間T1における磁場を示す前記センサコイルにおける受信信号に基づいて、第2の時間T1における複数のセンサコイルの各々の知覚される位置を計算するステップと、
前記時間T1における前記複数のセンサコイルの各々の前記知覚される位置を、T0における前記センサコイルの知覚される位置に変える第2の変換を計算するステップと、
時間T1における前記磁場を示す前記医療デバイスにおける受信信号に基づいて、時間T1における前記医療デバイスの知覚される位置を計算するステップと、
計算された前記第2の変換を介して、時間T1における前記医療デバイスの前記知覚される位置を入力することによって、時間T1における前記医療デバイスの前記実際の位置を決定するステップと、
をさらに含む、項目18に記載のコンピュータプログラム。
(項目20)
薄板スプライン、平均値座標、および放射基底関数ネットワークのうちの1つまたは複数を使用して、前記変換が計算される、項目16に記載のコンピュータプログラム。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11