(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】新規の1,2,4-トリアゾロ-[3,4-b]-1,3,4-チアジアゾール誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 513/04 20060101AFI20220203BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220203BHJP
A61K 31/433 20060101ALI20220203BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
C07D513/04 321
C07D513/04 CSP
A61P35/00
A61K31/433
A61K31/4439
(21)【出願番号】P 2019501649
(86)(22)【出願日】2017-07-14
(86)【国際出願番号】 EP2017067908
(87)【国際公開番号】W WO2018011414
(87)【国際公開日】2018-01-18
【審査請求日】2020-06-16
(32)【優先日】2016-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GR
(73)【特許権者】
【識別番号】517449051
【氏名又は名称】ガレニカ・エス.アー.
(73)【特許権者】
【識別番号】517449062
【氏名又は名称】エネルジョンビオ・テクノロジーズ・エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】トラファリス,ディミトリウス
【審査官】東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-518296(JP,A)
【文献】特表2010-528991(JP,A)
【文献】国際公開第2007/034510(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/060578(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化1】
式中、
R
1およびR
2は、同一または異なり、C
1-C
5アルキル、フェニル、メチルフェニルからなる群から選択され、
R
3は、CH
2R
8、CH
2CH
2R
8、CH=CHR
8、CH
2CH
2CH
2R
8、CH
2CH=CHR
8、CH=CHCH
2R
8、CH=CH-OR
8、CH
2-OR
8、CH
2CH
2-OR
8、CH=CH-NHR
8、CH
2-NHR
8、CH
2CH
2-NHR
8、CH=CH-SR
8、CH
2-SR
8、CH
2CH
2-SR
8、
【化2】
置換または非置換のフェニル、ベンジル、ピリジル、ピリミジニル、トリアジニル、トリアジナニル、オキサジニル、オキサジナニル、シクロヘキサニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、ピラニル、オキサチアニル、ピペリジニル、シクロペンタニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、ピロリジニル、ピロリル、フラニル、オキサゾリジニル、ピラゾリジニル、チオフェニル、オキサチイニル、オキサチオリル、オキサチオラニルからなる群から選択され、一つまたは複数の置換基はメチル、F、Cl、Br、I、NO
2、CN、NH
2、OCH
2X、CH
2X、CX
3、CH
2CH
2X、OHからなる群から選択され、XはH、F、Cl、Br、Iからなる群から選択され、
R
4、R
5、R
6、R
7は、同一または異なり、H、F、Cl、Br、I、NO
2、CN、NH
2、OCH
3、OH、NHCH
2CH
3、N(CH
3)
2からなる群から選択され、
R
8は
【化3】
置換または非置換のフェニル、ベンジル、ピリジル、ピリミジニル、トリアジニル、トリアジナニル、オキサジニル、オキサジナニル、シクロヘキサニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、ピラニル、オキサチアニル、ピペリジニル、シクロペンタニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、ピロリジニル、ピロリル、フラニル、オキサゾリジニル、ピラゾリジニル、チオフェニル、オキサチイニル、オキサチオリル、オキサチオラニルからなる群から選択され、一つまたは複数の置換基はメチル、F、Cl、Br、I、NO
2、CN、NH
2、OCH
2X、CH
2X、CX
3、CH
2CH
2X、OH,からなる群から選択され、XはH、F、Cl、Br、Iからなる群から選択され、
R
9は、NHR
10、NR
11R
12からなる群から選択され、
R
10は、C
1-C
5アルキル、フェニルからなる群から選択され、
R
11およびR
12は、同一または異なり、C
1-C
5アルキルである。
【請求項2】
R
1およびR
2が同一または異なり、C
1-C
3アルキル、フェニル、メチルフェニルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
1およびR
2はメチルである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
R
3はCH
2R
8、CH
2CH
2R
8、CH=CHR
8、CH
2CH
2CH
2R
8、CH
2CH=CHR
8、CH=CHCH
2R
8、
【化4】
置換又は非置換のフェニル、ベンジル、ピリジルから選択され、一つまたは複数の置換基はメチル、F、Cl、Br、I、NO
2、CN、NH
2、OCH
2X、CH
2X、CX
3、CH
2CH
2X、OHからなる群から選択され、XはH、F、Cl、Br、Iからなる群から選択される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R
3はCH=CHR
8、CH
2CH
2CH
2R
8、
【化5】
置換又は非置換のフェニル、ピリジルからなる群から選択され、一つまたは複数の置換基はF、Cl、NO
2からなる群から選択される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R
4、R
5、R
6、R
7は同一または異なり、H、Cl、Br、I、NH
2、OCH
3からなる群から選択される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R
4およびR
7がHであり、R
5およびR
6がOCH
3である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R
8は
【化6】
置換又は非置換のフェニル、ベンジル、ピリジルからなる群から選択され、一つまたは複数の置換基は、メチル、F、Cl、Br、I、NO
2、CN、NH
2、OCH
2X、CH
2X、CX
3、CH
2CH
2X、OHからなる群から選択され、XはH、F、Cl、Br、Iからなる群から選択される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R
8は
【化7】
置換又は非置換のフェニル、ピリジルからなる群から選択され、一つまたは複数の置換基はF、Cl、NO
2からなる群から選択される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
R
10は、C
1-C
3アルキル、フェニルからなる群から選択される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
R
10はメチルである、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
R
11およびR
12は同一または異なり、C
1-C
3アルキルである、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
R
11およびR
12はメチルである、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩および医薬的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項15】
がん治療用の請求項1乃至13のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な1,2,4-トリアゾロ-[3,4-b]-1,3,4-チアジアゾール誘導体、誘導体の製造方法、およびがん治療における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
治療法は進化しているとしても、がんはまだ致命的な健康状の課題である。今日では、様々な種類のがんによる死の一定の増加が観察されており、2030年には死者が1200万人に達すると推定される。通常、制がん療法は、それに伴う高い毒性のため解決困難な課題とされている。制ガン剤の主要な副作用は、悪心、嘔吐、下痢、脱毛症および感染症(通常白血球減少症によって生じる)である。従って、有毒がないかある場合も毒性の少ない新規の活性制ガン剤の開発はきわめて重要かつ必要なことである。
【0003】
チアゾール系またはチアジアゾール系化学構造を含む複素環式化合物は次のような非常に重要な生物活性を示す:抗菌性[a) Holla, B.S., Shivananda, M.K., Akberali, P.M., Baliga, S., Safeer, S., Farmaco, 1996, 51, 785. b) Zhang, Z.Y., Sum, X.W., Chu, C.H., Zhao, L, J. Chim. Chem. Soc, 1997, 44, 535. c) Demirbas, N., Demirbas, A., Karaoglu, S.A., Celik, E., Arkivoc, 2005, 1, 75.], 抗がん性[a) Ibrahim, D.A., Eur. J. Med. Chem., 2009, 44, 2776 b) Al-Masoudi, N.A., Al-Soud, Y.A., Nucleos:Nucleot. Nucleic Acids, 2008, 27, 1034. c) Chowrasia, D., Karthikeyan, C, Choure, L, Sahabjada, Gupta, M., Arshad, Md., Trivedi, P., Arab. J. of Chem., 2013, doi:10.1016/j.arabjc.2013.08.026. d) Mango, K., Valentina, P., Eur. J. Chem., 2010, 1, 50.], 抗ウイルス性[a) Kritsanida, M., Mouroutsou, A., Marakos, P., Pouli, N., Papakonstantinou-Garoufalias, S., Pannecouque, C, Witvrouw, M., Declercq, E., Farmaco, 2002, 57, 253. b) Invidiata, F.P., Simoni, D., Skintu, F., Pinna, N., Farmaco., 1996, 51, 659. c) Srivastava, V., Sen, S., Shekar, R., Indian J. Chem., 1994, 33B, 344.], 抗炎症性[a) Chawla, G., Kumar, U., Bawa, S., Kumar, J., J. Enzyme Inhib. Med. Chem., 2012, 27, 658. b) Amir, M., Harish, K., Javed, S.A., Eur. J. Med. Chem., 2008, 43, 2056. c) Prasad, A.R., Ramlingam, T., Bhaskar Rao A., Diwan, P.B., Sattur., Indian J. Chem., 1986, 25B, 566.], 鎮痛性[a) Srivastava, V., Sen, S., Shekar, R., Indian J. Chem., 1994, 33B, 344. b) Chawla, G., Kumar, U., Bawa, S., Kumar, J., J. Enzyme Inhib. Med. Chem., 2012, 27, 658.], 抗真菌性[a) Karabasanagouda, T., Adhikari, A.V., Suchethasettey, N., Eur. J. Med. Chem., 2007, 42, 521. b) Tiwari, N., Chaturvedi, B., Nizamuddin., Agric. Biol. Chem., 1988, 52, 1229.]および駆虫性[a) El-Khawass, S.M., Khalil, M.A., Hazzaa, A.A., Bassiouny, H.A., Loutfy, N.F., Farmaco. 1989, 44, 703. 2. Imitiaz, M., Kumar, V., Indian J. Chem., 1992, 31 B, 673.]。これら以前の研究では、アミノチアジアゾール誘導体およびジイミノチアジアゾール誘導体の中に抗がん活性を持つものもあった[a) Hill, D.L. Cancer Chemother. Pharmacol. 1980, 4, 215. b) Nelson, J.A., Rose, L.M., Benette, L. Cancer Res. 1977, 37, 182. c) Tsukamoto, K., Suno, M., Igarashi, K., Kozai, Y., Sugino, Y., Cancer Res. 1975, 35, 2631]。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、新規の1,2,4-トリアゾロ-[3,4-b]-1,3,4-チアジアゾール誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩、製造方法、および生物活性を提供する。本発明の化合物は、低い急性毒性を伴う制がん活性を示し、制がん療法に応用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は式(1)
【0006】
【0007】
の1,2,4-トリアゾロ-[3,4-b]-1,3,4-チアジアゾールまたはその薬学的に許容される塩を提供する:
式中
R1およびR2は、同一または異なり、C1-C5アルキル、フェニル、メチルフェニルからなる群から選択される、
R3は、CH2R8、CH2CH2R8、CH=CHR8、CH2CH2CH2R8、CH2CH=CHR8、CH=CHCH2R8、CH=CH-OR8、CH2-OR8、CH2CH2-OR8、CH=CH-NHR8、CH2-NHR8、CH2CH2-NHR8、CH=CH-SR8、CH2-SR8、CH2CH2-SR8、
【0008】
【0009】
置換または非置換のフェニル、ベンジル、ピリジル、ピリミジニル、トリアジニル、トリアジナニル、オキサジニル、オキサジナニル、シクロヘキサニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、ピラニル、オキサチアニル、ピペリジニル、シクロペンタニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、ピロリジニル、ピロリル、フラニル、オキサゾリジニル、ピラゾリジニル、チオフェニル、オキサチイニル、オキサチオリル、オキサチオラニル、からなる群から選択され、一つまたは複数の置換基はメチル、F、Cl、Br、I、NO2、CN、NH2、OCH2X、CH2X、CX3、CH2CH2X、OHからなる群から選択され、XはH、F、Cl、Br、Iからなる群から選択される、
R4、R5、R6、R7は、同一または異なり、H、F、Cl、Br、I、NO2、CN、NH2、OCH3、OH、NHCH2CH3、N(CH3)2からなる群から選択される、
R8は
【0010】
【0011】
置換または非置換のフェニル、ベンジル、ピリジル、ピリミジニル、トリアジニル、トリアジナニル、オキサジニル、オキサジナニル、シクロヘキサニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、ピラニル、オキサチアニル、ピペリジニル、シクロペンタニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、ピロリジニル、ピロリル、フラニル、オキサゾリジニル、ピラゾリジニル、チオフェニル、オキサチイニル、オキサチオリル、オキサチオラニル、からなる群から選択され、一つまたは複数の置換基はメチルF、Cl、Br、I、NO2、CN、NH2、OCH2X、CH2X、CX3、CH2CH2X、OHからなる群から選択され、XはH、F、Cl、Br、Iからなる群から選択される、
R9は、NHR10、NR11R12からなる群から選択される、
R10は、C1-C5アルキル、フェニルからなる群から選択される、
R11およびR12は同一または異なり、それらはC1-C5アルキルである。
【0012】
好ましくは、R1およびR2は、同一または異なり、C1-C3アルキル、フェニル、メチルフェニルからなる群から選択される。より好ましくは、R1およびR2は、メチルである。
【0013】
好ましくは、R3はCH2R8、CH2CH2R8、CH=CHR8、CH2CH2CH2R8、CH2CH=CHR8、CH=CHCH2R8、
【0014】
【0015】
置換又は非置換のフェニル、ベンジル、ピリジルからなる群から選択され、一つまたは複数の置換基はメチル、F、Cl、Br、I、NO2、CN、NH2、OCH2X、CH2X、CX3、CH2CH2X、OHからなる群から選択され、XはH、F、Cl、Br、Iからなる群から選択される。より好ましくは、R3はCH=CHR8、CH2CH2CH2R8、
【0016】
【0017】
置換又は非置換のフェニル、ピリジルからなる群から選択され、一つまたは複数の置換基はF、Cl、NO2からなる群から選択される。
好ましくは、R4、R5、R6、R7は同一または異なり、H、Cl、Br、I、NH2、OCH3からなる群から選択される。より好ましくは、R4およびR7はHであり、R5およびR6はOCH3である。
【0018】
好ましくは、R8は
【0019】
【0020】
置換又は非置換のフェニル、ベンジル、ピリジルからなる群から選択され、一つまたは複数の置換基はメチル、F、Cl、Br、I、NO2、CN、NH2、OCH2X、CH2X、CX3、CH2CH2X、OHからなる群から選択され、XはH、F、Cl、Br、Iからなる群から選択される。より好ましくは、R8は
【0021】
【0022】
置換又は非置換のフェニル、ピリジルからなる群から選択され、一つまたは複数の置換基はF、Cl、NO2からなる群から選択される。
好ましくは、R10は、C1-C3アルキル、フェニルからなる群から選択される。より好ましくは、R10はメチルである。
【0023】
好ましくは、R11およびR12は同一または異なり、C1-C3アルキルである。より好ましくは、R11およびR12はメチルである。
式(I)の化合物は少なくとも1つの塩基性基を含み、従って、それらは適切な酸を用いる処理を経て薬学的に許容される塩を形成することができる。好適な酸には、薬理学的に許容される有機酸ならびに薬理学的に許容される無機酸が含まれる。薬学的に許容される塩には、塩化物、臭化物、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩および安息香酸塩が含まれる。
【0024】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、異なる種類の悪性新生物(固形腫瘍、リンパ腫および白血病)の治療で使うことができる。好ましくは、それらは卵巣がん、乳がん、前立腺がん、肺がんおよびリンパ腫の治療で使われる。より好ましくは、それらは、卵巣線がんおよび小細胞および非小細胞肺がんの治療で使われる。
【0025】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、強力な細胞増殖抑止作用および細胞障害作用および低い急性全身毒性を示す。
また、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬品組成物を提供する。このような医薬組成物はそれが経口、鼻腔内、局所または非経口投与のような適切な方法で投与することができるように製剤される。例えば、このような医薬組成物は、錠剤、カプセル、粉剤、溶液、懸濁液、軟膏またはゲルに製剤される。このような組成物は、通常は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩以外に、医薬的に許容できる担体を含む。このような担体は、当技術分野で周知の賦形剤、例えば希釈剤、結合剤、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、溶媒、増粘剤、懸濁化剤、ゲル化剤、緩衝剤または防腐剤を含んでいてもよい。これらの組成物は、当技術分野で周知の方法に従って調製される。
【0026】
本発明はさらに式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の調製方法を提供する。
1,2,4-トリアゾロ-[3,4-b]-1,3,4-チアジアゾール合成の一般的な手順は、以下にスキーム1に示される。
【0027】
【0028】
塩化スルホニル(V)は、芳香族のエステル(VI)とクロロスルホン酸の反応から合成することができる。スルホンアミド(IV)は、塩化スルホニル(V)とアミンの反応から合成することができる。ヒドラジド(III)は、Camoutsisおよび彼の共同研究者達(Ezabadi IR、Camoutsis C、Zoumpoulakis P、Geronikaki A、Sokovic M、Glamocilija J、Ciric A. Bioorg MedChem. 2008, 16(3):1150-61)の方法に従って、スルホンアミド(IV)と水性ヒドラジンから調製することができる。工程4および5は、Mathewおよび共同研究者達(Mathew, V; Keshavayya, J; Vaidya, V.P. Giles, D. Eur. J. Med.Chem., 2007,42, 521)の方法に従って行うことができる。したがって、ヒドラジド(III)は二硫化炭素およびヒドラジンと反応し、ジチオカルバミン酸カリウム塩中間体を経てアミノトリアゾール(II)を生成する。最後に、アミノトリアゾール(II)は、オキシ塩化リンの存在下で酸と反応して、3,6-二置換1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,2,4-チアゾール(I)に転換される。
【0029】
実施例1
酢酸2-(2-(クロロスルホニル)-4,5-ジメトキシフェニル)メチルの合成
【0030】
【0031】
酢酸2-(3,4-ジメトキシフェニル)メチル(3.7g、17.65mmol)を含むフラスコ中で、CHCl3(35ml)を加え、次いで、クロロスルホン酸(5.28ml、79.4mmol)をアルゴン雰囲気の下で0℃で滴下する。溶液は黒紫色の色を呈し、室温で4時間撹拌される。0℃の水(35ml)を徐々に追加して反応を止め、DCMを用いる抽出(3×35ml)、Na2SO4で有機層を乾燥し、濃縮後PS/EA(2:1)の溶離溶媒を用いるカラムクロマトグラフィーを行う。生成物を88%の収率の白色固形物として回収する。
【0032】
2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシ-フェニルアセチルヒドラジドの合成
THF(1.8ml)に溶解した酢酸2-(2-(クロロスルホニル)-4,5-ジメトキシフェニル)メチル(450mg、1.46mmol)を含有するオートクレーブシステム中、ジメチルアミン(1.47ml、2.92mmol)の2MのTHF溶液(0℃)を加えた。反応物を1時間室温で撹拌し、淡黄色の固形物を観察する。反応完了後、溶液を必要量のDCMを含むフラスコに静かに移して、ロータリーエバポレーターで濃縮し、100%の収率で淡黄色の固形物として回収する。
【0033】
5-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-4-アミノ-3-メルカプト-1,2,4-トリアゾールの合成
2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシ-フェニルアセチルヒドラジド(0.01モル)の無水エタノール(150mL)冷溶液中に、水酸化カリウム(0.015モル)および二硫化炭素(0.015モル)を加える。反応混合物を室温で20時間撹拌する。反応中に、ジチオカルバミン酸カリウム塩中間体は沈殿する。その後、乾燥エーテル(150mL)を加えて、形成された塩の結晶化を完結させ、結晶は濾過・ならびに乾燥エーテルを用いて更に乾燥する。
【0034】
この塩を80%の水性ヒドラジン(0.02モル)の懸濁液として2時間還流加熱しながら撹拌する。反応混合物を冷却し、冷水に溶解し、10%の塩酸で中和する。沈殿物をろ過で集めて、冷水で洗浄し、乾燥後メタノールで再結晶する。
収率:56%、融点 222-223℃(CH3OH)、1H-NMR (500 MHz、DMSO-d6) δ 13.30 (s,1H), 7.15 (s,1H), 6.92 (s,1H), 5.46 (s,2H), 4.20 (s,2H), 3.71 (s,3H), 3.68 (s,3H), 3.22 (s,6H)、13C NMR (126 MHz、 DMSO-d6) δ 165.8, 151.8, 151.5, 147.1, 127.7, 126.3, 115.6, 112.7, 55.9, 36.8, 28.1。元素分析:C13H19N5O4S2(分子量:373)。計算値%:C:41.82, H:5.09,N:18.76。実測値 C:41.77, H:5.12, N:18.79。
【0035】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-フェニル-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾールの合成
5-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-4-アミノ-3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール(0.01モル)および安息香酸(0.01モル)の混合物の乾燥オキシ塩化リン(3.7mL)に溶解したものを2時間還流加熱しながら撹拌する。反応混合物を室温に冷却して、氷の中に注ぐ。反応物のpHが8を越えるまで、乾燥炭酸カリウムおよび適切な量の水酸化カリウムによって過剰のオキシ塩化リンを中和する。固形物をろ別し、水でよく洗浄して乾燥する。
【0036】
【0037】
収率:74%、融点212-214℃ (CH3OH)、1H-NMR (CDCl3) δ 7.95 (d、J=6.9 Hz, 2H), 7.68 (m,1H), 7.63 (m, 2H), 7.30 (s, 1H), 7.21 (s, 1H), 4.78 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.80 (s, 3H), 2.63 (s、6H), I.R. v cm-1 1601 (C=N), 1573, 1513, 1470, 1446 (C=C), 1265 (N-N=C), 1328 (S-O非対称), 1141 (S-O対称)。元素分析:C20H21N5O4S2(分子量:459)。
計算値%:C:52.28、H:4.57、N:15.25。測定値:C:52.25、H:4.53、N:15.27。
【0038】
実施例2
例1の方法に従って、以下のチアゾール化合物の合成を完了した。
【0039】
【0040】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-(4-クロロフェニル)-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
収率:52%。融点:228-229℃ (CH3OH-CH2Cl2)、1H-NMR (CDCl3) δ 7.97 (d, J=8.5 Hz, 2H), 7.71 (d, J=8.6 Hz, 2H), 7.30 (s, 1H), 7.20 (s, 1H), 4.78 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.79 (s, 3H), 2.62(s, 6H), I.R. v cm-1 1600 (C=N), 1573, 1519, 1470 (C=C), 1272 (N-N=C), 1339(S-O非対称), 1138 (S-O対称)。元素分析:C20H20N5O4S2Cl (分子量493.5)。計算値%:C:48.63、H:4.05、N:14.18。測定値:C:48.65、H:4.01、N:14.21。
【0041】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-(2-クロロ-4-ニトロフェニル)-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0042】
【0043】
収率:65%。融点:216-217℃ (CH3OH)、1H-NMR (CDCl3) δ 8.57 (d, J=2.3 Hz, 1H), 8.40 (dd, J=8.7, 2.3 Hz, 1H), 8.27 (d, J=8.7 Hz, 1H), 7.30 (s, 1H), 7.20 (s, 1H), 4.80 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.80 (s, 3H), 2.61 (s, 6H), I.R. v cm-11603 (C=N), 1573, 1518, 1476 (C=C), 1269 (N-N=C), 1331(S-O非対称), 1138(S-O対称)。元素分析:C20H19N6O6S2Cl (分子量538.5)。計算値%:C:44.56、H:3.52、N:15.60。測定値:C:44.53、H:3.55、N:15.63。
【0044】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-(3-メチル-4-ニトロフェニル)-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0045】
【0046】
収率:46%。融点:142-144℃(CH3OH)、1H-NMR (CDCl3) δ 8.18 (d, J=8.5 Hz, 1H), 8.08 (s, 1H), 8.02 (d, J=8.5 Hz, 1H), 7.30 (s, 1H), 7.22 (s, 1H), 4.80 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.80 (s, 3H), 2.62 (s, 6H), I.R. v cm-1 1600 (C=N), 1573, 1510, 1476 (C=C), 1271 (N-N=C), 1344 (S-O非対称), 1133 (S-O対称)、元素分析:C21H22N6O6S2(分子量518)。計算値%:C:48.64、H:4.24、N:16.21。測定値:C:48.68、H:4.21、N:16.25。
【0047】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0048】
【0049】
収率:38%。融点:169-170℃(CH3OH)、1H-NMR (CDCl3) δ 7.30 (s, 1H), 7.22 (s, 1H), 7.14 (s, 2H), 4.78 (s, 2H), 3.89 (s, 6H), 3.84 (s, 3H), 3.80 (s, 3H), 3.76 (s, 3H), 2.62 (s, 6H), I.R. v cm-11630 (C=N), 1586, 1459, 1414 (C=C), 1267 (N-N=C), 1333 (S-O非対称), 1127 (S-O対称)。 元素分析:C23H27N5O7S2(分子量549)。計算値%:C:50.27, H:4.92, N:12.75, 実測値:C:50.25, H:4.96, N:12.78。
【0050】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-(2-アミノフェニル)-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0051】
【0052】
収率:36%。融点:219-220℃(C2H5OH)、1H-NMR (CDCl3) δ 7.30 (s, 1H), 7.23 (t, J=7.8 Hz, 1H), 7.20 (s, 1H), 7.13 (m, 1H), 7.03 (d, J=8.35 Hz, 1H), 6.82 (d, J=8.2 Hz, 1H), 4.75 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.79 (s, 3H), 2.61 (s, 6H), I.R. v cm-1 2436, 3382, 3267 (N-H), 1608 (C=N), 1555, 1514, 1474 (C=C), 1265 (N-N=C), 1328 (S-O非対称), 1141 (S-O対称), 元素分析:C20H22N6O4S2(分子量:474)。計算値%:C:50.63, H:4.64, N:17.72。測定値:C:50.60, H:4.61, N:17.75。
【0053】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-(3-アミノフェニル)-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0054】
【0055】
収率:20%。融点:164-165℃(C2H5OH)、1H-NMR (CDCl3) δ 7.44 (dd, J=8.0, 1.4 Hz, 1H), 7.29 (m, 1H), 7.28 (s, 1H), 7.16 (s, 1H), 6.93 (d, J=8.4 Hz, 1H), 6.71 (bs, 2H, NH2), 6.68 (t, J=7.5 Hz, 1H), 4.81 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.78 (s, 3H), 2.63 (s, 6H), I.R. v cm-1, 3450, 3347 (N-H), 1626 (C=N), 1579, 1512, 1473 (C=C), 1272 (N-N=C), 1322 (S-O非対称), 1129 (S-O対称), 元素分析:C20H26N6O4S2(分子量:474)。計算値%:C:50.63、H:4.64、N:17.72。測定値:C:50.65、H:4.67、N:17.69。
【0056】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-(4-アミノフェニル)-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0057】
【0058】
収率:18%。融点:179-181℃(C2H5OH)、1H-NMR (CDCl3) δ 7.58 (dd, J=8.6, 2.9 Hz, 2H), 7.29 (d, J=3.0 Hz, 1H), 7.19 (d, J=2.8 Hz, 1H), 6.68 (dd, J=8.6, 2.9 Hz, 2H), 6.17 (s, 2H), 4.72 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.78 (s, 3H), 2.61 (s, 6H), I.R. v cm-1 3457, 3348, 3237 (N-H), 1603 (C=N), 1577, 1518, 1461 (C=C), 1265 (N-N=C), 1331 (S-O非対称), 1138 (S-O対称), 元素分析:C20H26N6O4S2(分子量:474)。計算値%:C:50.63, H:4.64, N:17.72。測定値:C:50.60, H:4.59, N:17.70。
【0059】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-ベンジル-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0060】
【0061】
収率:18%。融点:178-179℃(CH3OH);1H-NMR (CDCl3) δ 7.42 - 7.36 (m, 4H), 7.36 - 7.30 (m, 1H), 7.28 (s, 1H), 7.13 (s, 1H), 4.69 (s, 2H), 4.44 (s, 2H)3.84 (s, 3H), 3.76 (s, 3H), 2.57 (s, 6H), I.R. v ,cm-11601 (C=N), 1565, 1517, 1475 (C=C), 1267 (N-N=C), 1339 (S-O非対称), 1140 (S-O対称)、元素分析:C21H23N5O4S2(分子量473)。計算値%:C:53.27、H:4.86、N:14.80。測定値:C:53.23、H:4.89、N:14.83。
【0062】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-(3-メトキシベンジル)-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0063】
【0064】
収率:58%。融点:165-166℃(CH3OH)、1H-NMR (CDCl3) δ 7.30 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.29 (s, 1H), 7.13 (s, 1H), 6.97 (s, 1H), 6.94 (d, J=7.7 Hz, 1H), 6.90 (dd, J=8.3, 2.5 Hz, 1H), 4.70 (s, 2H), 4.41 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.77 (s, 3H), 3.75 (s, 3H), 2.57 (s, 6H), I.R. v cm-1 1607 (C=N), 1581, 1515, 1491 (C=C), 1266 (N-N=C), 1334 (S-O非対称), 1139 (S-O対称), 元素分析:C22H25N5O5S2(分子量503)。計算値%:C:52.48, H:4.97, N:13.91。測定値:C:52.44, H:4.95, N:12.88。
【0065】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-(4-メトキシベンジル)-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0066】
【0067】
収率:52%。融点:184-185℃(CH3OH)、1H-NMR (CDCl3) δ 7.30 (d, J=8.6 Hz, 2H), 7.29 (s, 1H), 7.13 (s, 1H), 6.94 (d, J=8.6 Hz, 2H), 4.69 (s, 2H), 4.36 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.77 (s, 3H), 3.75 (s, 3H), 2.57 (s, 6H), I.R. v cm-11610 (C=N), 1571, 1514, 1476 (C=C), 1267 (N-N=C), 1340 (S-O非対称), 1140 (S-O対称), 元素分析:C22H25N5O5S2(分子量503)。計算値%:C:52.48, H:4.97, N:13.91。測定値:C:52.45, H:4.99, N:13.94。
【0068】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-(3,4-ジメトキシベンジル)-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0069】
【0070】
収率:50%。融点:139-140℃(CH3OH)、1H-NMR (CDCl3) δ 7.29 (s, 1H), 7.13 (s, 1H), 6.99 (s, 1H), 6.95 (d, J=8.2 Hz, 1H), 6.90 (dd, J=8.3, 2.0Hz, 1H), 4.70 (s, 2H), 4.35 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.77 (s, 3H), 3.75 (s, 3H), 3.73 (s, 3H), 2.58 (s, 6H), I.R. v cm-1, 1602 (C=N), 1555, 1516, 1462 (C=C), 1266 (N-N=C), 1336 (S-O非対称), 1139 (S-O対称), 元素分析:C23H27N5O6S2(分子量533)。計算値%:C:51.78, H:5.06, N:13.13。
測定値%:C:51.81, H:5.10, N:13.15。
【0071】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-(3-フェニルプロピル)-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0072】
【0073】
収率:14%。融点128-129℃(CH3OH)、1H-NMR (CDCl3) δ 7.30 - 7.26 (m, 3H), 7.23 - 7.17 (m, 3H), 7.12 (s, 1H), 4.69 (s, 2H), 3.82 (s, 3H), 3.77 (s, 3H), 3.04 (t, J=7.4Hz, 2H), 2.68 (t, J=7.7Hz, 2H), 2.59 (s, 6H), 2.03 (p, J=7.6Hz, 2H), I.R. v cm-1, 1600 (C=N), 1574, 1516, 1478 (C=C), 1267 (N-N=C), 1334 (S-O非対称), 1139 (S-O対称), 元素分析:C23H27N5O4S2(分子量501)。計算値%:C:55.09, H:5.38, N:13.97。測定値%:C:55.11, H:5.41, N:14.01。
【0074】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-(2-ピリジニル)-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0075】
【0076】
収率:32%。融点198-199℃(CH3OH)、1H-NMR (CDCl3) δ 8.76 (s、1H)8.23-8.00 (m、2H)、7.69 (s, 1H), 7.37 - 7.15 (m, 2H), 4.79 (s, 2H), 3.83 (s, 3H), 3.78 (s, 3H), 2.62 (s, 6H), I.R. v cm-1, 1599 (C=N), 1576, 1517, 1456 (C=C), 1270 (N-N=C), 1335 (S-O 非対称), 1137 (S-O 対称), 元素分析:C19H20N6O4S2(分子量460)。計算値%:C:49.56, H:4.34, N:18.26。測定値%:C:49.60, H:4.31, N:18.30。
【0077】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-(4-ピリジニル)-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0078】
【0079】
収率:37%。融点:231-232℃(C2H5OH)、1H-NMR (CDCl3) δ 8.85 (d, J=5.0 Hz, 2H), 7.91 (d, J=5.0Hz, 2H), 7.30 (s, 1H), 7.21 (s, 1H), 4.80 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.80 (s, 3H), 2.63 (s, 6H), I.R. v cm-1, 1600 (C=N), 1561, 1507, 1473, 1411 (C=C), 1274 (N-N=C), 1337 (S-O非対称), 1138 (S-O対称), 元素分析:C19H20N6O4S2(分子量460)。計算値%:C:49.56, H:4.34, N:18.26。測定値%:C:49.58, H:4.37, N:18.23。
【0080】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-(3-ブロモ-5-ピリジニル)-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1、3,4-チアゾール
【0081】
【0082】
収率:41%。融点:227-228℃(C2H5OH)、1H-NMR (CDCl3) δ 9.10 (d, J=2.0 Hz, 1H), 8.98 (d, J=2.2 Hz, 1H), 8.58 (s, 1H), 7.30 (s, 1H), 7.22 (s, 1H), 4.79 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.80 (s, 3H), 2.63 (s, 6H), I.R. v cm-1, 1600 (C=N), 1573, 1516, 1481, 1440, 1412 (C=C), 1270 (N-N=C), 1338 (S-O非対称), 1140 (S-O対称)。元素分析:C19H19BrN6O4S2(分子量:539)。計算値%:C:42.30, H:3.52, N:15.58。測定値%:C:42.32, H:3.49, N:15.56。
【0083】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-シンナミル-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0084】
【0085】
収率:44%。融点:191-193℃ (CH3OH-CH2Cl2);1H-NMR (CDCl3) δ 7.81 (d, J=7.1 Hz, 2H), 7.64 (d, J=16.4 Hz, 1H), 7.60 (d, J=16.3 Hz, 1H), 7.52 - 7.40 (m, 3H), 7.30 (s, 1H), 7.16 (s, 1H), 4.73 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.80 (s, 3H), 2.62 (s, 6H), I.R. v cm-1, 1630 (CH=CH), 1600 (C=N), 1575, 1576, 1475 (C=C), 1267 (N-N=C), 1332 (S-O非対称), 1138 (S-O対称), 元素分析:C22H23N5O4S2(分子量485)。計算値%:C:54.43, H:4.74, N:14.43。測定値%:C:54.45, H:4.71, N:14.39。
【0086】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-(E)-4-フルオロスチリル-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0087】
【0088】
収率:73%。融点:210-212℃;1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.89 (dd, J=8.6, 5.6 Hz, 2H), 7.65 (d, J=16.4 Hz, 1H), 7.58 (d, J=16.4 Hz, 1H), 7.36 - 7.25 (m, 2H), 7.16 (s, 1H), 4.72 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.79 (s, 3H), 2.60 (s, 6H)。I.R. v cm-1, 2926, 2853, 1736, 1631, 1601, 1513, 1494, 1474, 1387, 1337, 1268, 1231, 1139, 1156, 1048。
【0089】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-(E)-4-クロロスチリル-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0090】
【0091】
収率:72%。融点229-231℃; 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.84 (d, J=8.6 Hz, 2H), 7.64 (s, 2H), 7.53 (d, J=8.6 Hz, 2H), 7.30 (s, 1H), 7.15 (s, 1H), 4.72 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.79 (s, 3H), 2.61 (s, 6H)。13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 165.7, 151.9, 147.2, 146.3, 139.4, 134.8, 133.3, 129.8, 129.0, 127.9, 126.1, 119.0, 115.5, 112.7, 55.9, 36.8, 27.6。I.R. v cm-1, 2934, 2844, 1726, 1633, 1516, 1488, 1473, 1410, 1381, 1339, 1268, 1224, 1139, 1175, 1087。
【0092】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-(E)-3-フルオロスチリル-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0093】
【0094】
収率:52%。融点212-215℃;1H NMR (500MHz, DMSO-d6) δ 7.92-7.73 (m, 2H), 7.68 (td, J=8.1, 5.8 Hz, 1H), 7.55 (td, J=8.6, 2.4 Hz, 1H), 7.30 (s, 1H), 7.21 (s, 1H), 4.78 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.80 (s, 3H), 2.63 (s, 6H)。I.R. v cm-1, 2929, 2844, 1589, 1516, 1474, 1387, 1338, 1270, 1228, 1174, 1155, 1140, 1042。
【0095】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-フェノキシメチル-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0096】
【0097】
収率:41%。融点:178-179℃ (CH3OH-CH2Cl2); 1H-NMR (CDCl3) δ 7.37 - 7.31 (m, 2H), 7.29 (s, 1H), 7.13 (s, 1H), 7.09 (d, J=7.7, 1.0 Hz, 2H), 7.06-7.01 (m, 1H), 5.55 (s, 2H), 4.72 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.78 (s, 3H), 2.58 (s, 6H), I.R. v cm-1, 1598 (C=N), 1572, 1516, 1479 (C=C), 1267 (N-N=C), 1337 (S-O非対称), 1139 (S-O対称), 元素分析:C21H23N5O5S2(分子量489)。計算値%:C:51.53, H:4.70, N:14.31。測定値%:C:51.51, H:4.67, N:14.33。
【0098】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-[2-(2-メトキシフェニル)エチル]-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0099】
【0100】
収率:37%。融点:154-155℃(CH3OH-CH2Cl2), 1H-NMR (CDCl3) 5 7.29 (s, 1H), 7.21 (m, 1H), 7.17 (d, J=7.5 Hz, 1H), 7.10 (s, 1H), 6.95 (d, J=8.2 Hz, 1H), 6.84 (t, J=7.26 Hz, 1H), 4.67 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.77 (s, 3H), 3.75 (s, 3H), 3.29 (m, 2H), 3.01 (t, J=7.5 Hz, 4H), 2,56 (s, 6H), I.R. v cm-1, 1601 (C=N), 1569, 1519, 1477 (C=C), 1267 (N-N=C), 1336 (S-O非対称), 1139 (S-O対称), 元素分析:C23H27N5O5S2(分子量517)。計算値%:C:53.38, H:5.22, N:13.53。測定値%:C:53.41, H:5.19, N:13.56。
【0101】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-[2-(4-メトキシフェニル)エチル]-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0102】
【0103】
収率:41%。融点:151-152℃(CH3OH-CH2Cl2)、1H-NMR (CDCl3) δ 7.29 (s, 1H), 7.18 (d, J=8.3 Hz, 2H), 7.11 (s, 1H), 6.83 (d, J=8.1 Hz, 2H), 4.67 (s, 2H), 3.83 (s, 3H), 3.77 (s, 3H), 3.71 (s, 3H), 2.99 (t, J=7.6 Hz, 2H), 2.55 (s, 6H), I.R. v cm-1, 1601 (C=N), 1569, 1519, 1477 (C=C), 1267 (N-N=C), 1336 (S-O非対称), 1139 (S-O対称), 元素分析:C23H27N5O5S2(517)。計算値%:C:53.38, H:5.22, N:13.53。測定値%:C:53.35, H:5.24, N:13.50。
【0104】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-(3-クロロフェニル)-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0105】
【0106】
収率:45%。融点:237-239℃, 1H NMR (500MHz, CDCl3) δ 7.86 (s, 1H), 7.74 (d, J=7.7 Hz, 1H), 7.56 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.53 - 7.39 (m, 2H), 6.99 (s, 1H), 4.90 (s, 2H), 3.93 (s, 3H), 3.87 (s, 3H), 2.72 (s, 6H)。13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 164.9, 153.1, 152.5, 147.7, 146.8, 135.7, 132.7, 130.9, 130.8, 127.9, 127.03, 127.0 125.3, 114.4, 1 13.4, 56.4, 56.2, 36.9, 27.9。I.R. v cm-1 3088, 3056, 2955, 2927, 2852, 2616, 1598, 1573, 1518, 1482, 1470, 1439, 1405, 187, 1339, 1270, 1228, 1175, 1139, 1101, 1078, 1043。
【0107】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-(4-ニトロフェニル)-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0108】
【0109】
収率:53%。融点:223-225℃、1H NMR (500MHz, CDCl3)δ8.39 (d, J=8.7 Hz, 2H), 8.08 (d, J=8.7 Hz, 2H), 7.45 (s, 1H), 7.00 (s, 1H), 4.94 (s, 2H), 3.93 (s, 3H), 3.88 (s, 3H), 2.73 (s, 6H), 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 163.9, 153.1, 152.5, 150.1, 147.9, 147.1, 134.8, 128.2, 127.5, 126.9, 124.7, 1 14.5, 113.1, 113.1, 56.4, 37.1, 28.0, I.R. v cm-1 3108, 3004, 2931, 2837, 1600, 1534, 1571, 1518, 1471, 1351, 1337, 1270, 1227, 1138, 1049。
【0110】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-(4-フルオロフェニル)-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0111】
【0112】
収率:66%。融点:220-223℃、1H NMR (500MHz, DMSO-d6) δ 8.02 (dd, J=8.8, 5.2 Hz, 2H), 7.48 (t, J=8.8 Hz, 2H), 7.30 (s, 1H), 7.20 (s, 1H), 4.78 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.79 (s, 3H), 2.62 (s, 6H), I.R. v cm-1 2933, 2842,1602, 1517, 1475, 187, 1337, 1268, 1241, 1225, 1139, 1042。
【0113】
3-[2-(N,N-ジメチルスルファモイル)-4,5-ジメトキシベンジル]-6-(2,4-ジニトロフェニル)-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]-1,3,4-チアゾール
【0114】
【0115】
収率:29%。融点:162-164℃, 1H NMR (500MHz, DMSO-d6) δ 8.74 (s, 1H), 8.69 (d, J=8.4 Hz, 1H), 8.50 (d, J=8.6 Hz, 1H), 7.29 (s, 1H), 7.13 (s, 1H), 4.74 (s, 2H), 3.83 (s, 3H), 3.79 (s, 3H), 2.58 (s, 6H), 13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 161.2, 153.8, 151.9, 150.5, 149.3, 147.3, 146.3, 128.2, 127.7, 127.6, 126.9, 126.1, 124.3, 1 15.4, 1 12.8, 55.9, 55.8, 36.7, 27.6, I.R. v cm-1 2917, 2850, 1729, 1555, 1514, 1457, 1346, 1308, 1270, 1223, 1 137, 1042。
【0116】
実施例3
ヒトがんおよび白血病細胞株に対する細胞増殖抑制-細胞毒性活性の生体外研究
本実施例は、ヒト卵巣がん細胞株UWB1.289(突然変異体BRCA1を有する)、UWB1.289+BRCA1、OVCAR-3、SCOV-3、ヒト乳がん細胞株MCF-7[エストロゲン受容体(インシュリン様成長因子結合タンパク質(IGFBP)BP-2、BP-4、BP-5、腫瘍遺伝子WNT7Bをを発現)]、T-47D(すべてのステロイド受容体および腫瘍遺伝子WNT7Bの発現に陽性)、ホルモン耐性前立腺がんPC-3のヒトがん細胞株、ヒト急性T-白血病細胞株MOLT-4(突然変異体P53腫瘍遺伝子の発現を示さない)およびKRAS腫瘍遺伝子(p.G12S c.34G>A)の突然変異を生じるヒト肺がん細胞株A549に対して本発明の以下の化合物の細胞増殖抑制-細胞毒性効果を説明する。
【0117】
【0118】
研究された化合物のR3置換基は、表1に定義されている。
【0119】
【0120】
卵巣がん細胞株の具体的特徴
SKOV-3(SKOV-3) (ATCC HTB 77)およびOVCAR-3(ATCC(登録商標); HTB-161
TM
)
ヒト卵巣腺がん細胞は上皮様の形態を有する単層培養で、容易に増殖する。SKOV-3は腫瘍壊死因子(TNF)および他の細胞毒(例えばシスプラチンおよびアドリアマイシン)に耐性があり、OVCAR-3はアドリアマイシン、シスプラチンおよびメルファランに耐性がある。これらの細胞株は、アンドロゲン、エストロゲンおよびプロゲステロン受容体を発現する。SKOV-3またはOVCAR-3細胞をヌードマウス(SClDマウス)の皮下に埋め込むと、中分化腫瘍が発現し、その結果得られたモデルはヒトにおける原発性卵巣線がんに似ている。
【0121】
UWB1.289 (ATCC CRL-2945)
ヒト卵巣腺がん細胞(単層培養で容易に増殖する)は、上皮がん細胞の形態を持ち、エストロゲンおよびプロゲステロン受容体を発現しない。また、UWB1.289細胞は、p53がん抑制遺伝子および陽ウィルムス腫瘍タンパク質(WT)発現を変異させて、官能性BRCA1遺伝子を持たず、サイトケラチン7(CK-7)、カルレチニンおよびウィルムス腫瘍タンパク質(WT)の発現に陽性である。最後に、これらは電離放射線に感受性がある。
【0122】
UBWB1.289+BRCA1 (ATCC CRL-2946)
ヒト卵巣腺がん細胞はUBWB1.289から生じ、BRCA1遺伝子の存在が確認された。それらは培養で容易に増殖して単層を作りだし、上皮がん細胞の形態を持ち、エストロゲンおよびプロゲステロン受容体を発現しない。それらは、電離放射線および放射免疫化学薬品(例えば、アルキル化剤)に影響されにくい。また、UWB1.289細胞は、p53がん抑制遺伝子を変異させ、サイトケラチン7(CK-7)、カルレチニンおよびウィルムス腫瘍タンパク質(WT)の発現に陽性である。
【0123】
細胞培養
すべてのがん細胞株を、液体窒素タンク中、2.5ml中の冷凍バイアル瓶(Corning-Costar、マサチューセッツ州ケンブリッジ)に保存する。凍結防止剤として作用するDMSO(ジメチルスルホキシド)を加えて細胞を溶解させる可能性のある氷晶の形成を防止する。細胞をT-75フラスコ(Corning-Costar、マサチューセッツ州ケンブリッジ)中で単層培養物として増殖させ、100%相対湿度の5%CO2インキュベータ中で37℃に維持する。使用した培地は、10%ウシ胎仔血清(FBS、ギブコ)および1%抗生物質(100IU/mlのペニシリン/100μg/mlのストレプトマイシン)を補充し、ろ過(Corning-Costarフィルタ、直径0.2μm)により滅菌したMcCoy 5a培地、RPMI-1640、及び10%ウシ胎仔血清(FBS、ギブコ)および1%抗生物質(100 IU/mlのペニシリン/100μg/mlのストレプトマイシン)を補充した50%RPMI-1640(カタログ番号30-2001)プラス50%乳房上皮増殖培地(Mammary Epithelial Growth Medium =MEGM)である。継代は次のように3~4日ごとに行う。細胞を無菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS):8 g/lのNaCl、0.2g/lのKCl、1.15g/lのNa2HPO4και、0.2g/lのKH2PO4. pH:7,4) で洗浄し、2~3mlの0.05%トリプシン(ギブコ1:250)および0.02%EDTAを加えて単層を被覆し、37℃で5~10分間フラスコをインキュベートする。トリプシン-EDTAは、主にフラスコから細胞を分離して、単一細胞懸濁液を調製するために用いられる。最後に、細胞数をヌーバウアー室を用いて直接計数で測定することができ、トリパン青で細胞を染色して細胞生存度を決定する。
【0124】
実験室(in vitro)研究
実証研究において、化合物型(I)の生体外効果を卵巣がん細胞株UWB1.289、UWB1.289+BRCA1 και SKOV-3に対して評価した。これらの細胞を96穴プレート(MTP)に、ウェル毎に1×104細胞数/mlの濃度に置き、5%CO2培養器内に37℃で72時間保ち、単層として増殖させた。最初の細胞の数の選択は、細胞株(実験中に細胞が指数関数的(ロガリズム)増殖期にあるという状態の)の増殖速度に従って行われた。24時間後に、細胞を1~100μmol/lの試験化合物で48時間処理した。3つのウェルを使用して各実験を行った。培養細胞の生存率は、以前に記載されている臭化3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウム(MTT)代謝検定(Finlay GJ, Wilson WRおよびBaguley BC:Comparison of in vitro activity of cytotoxic drugs towards human carcinoma and leukaemia cell lines(ヒトがんおよび白血病細胞株に対する細胞毒の生体外活性の比較).Eur J Cancer Clin. Oncol 22:655-662、1986; Alley MC, Scudiero DA, Monks A, Hursey ML, Czerwinski MJ, Fine DL, et al. Feasibility of drug screening with panels of human tumor cell lines using a microculture tetrazolium assay(微細培養テトラゾリウム検定を用いる人腫瘍細胞株のパネリストによる医薬品選別の実現可能性研究)Cancer Res 1988; 48:589-601)により評価した。MTT(Sigma、米国ミズーリ州セントルイス)を5mg/ml濃度のPBSに溶解し、濾過滅菌後4℃で保存した。MTT(保存液50μl)を各培養物に加え、37℃で3時間培養して代謝を促した。ホルマザン結晶をDMSO(100μl) に溶解した。転換された染料の吸光度をELISA読み取り装置(BioTek、米国バーモント州ウィヌースキー)を用いて波長540nmで測定した。
【0125】
50%または総(100%)増殖阻害(それぞれ、GI50およびTGI)を生成した各化合物の平均濃度ならびに培養細胞の50%に対して細胞毒性を生じた化合物濃度[(最大半量阻害濃度(IC50)]を線形回帰方法を用いて算出した。7つの吸光度測定[時間24時間(Ct24)、対照増殖72時間(Ct72)、および5つの濃度水準(Tt72x)の薬剤の存在下の試験増殖]を用いて、増殖率(パーセント)を各レベルの薬剤濃度で算出した。パーセント増殖阻害率を国立がん研究所(NCI)に従って算出した:
Tt72x>Ct24の濃度に対しては[(Tt72x)-(Ct24)/(Ct72)-(Ct24)]×100で、Tt72x<Ct24の濃度に対しては[(Tt72x)-(Ct24)/Ct24]×100
GI50:細胞増殖の50%の阻害(増殖阻害率50%)が起こる平均濃度。値の算出は、次式に基づく:
(Tt72x)-(Ct24)/(Ct72)-(Ct24)×100=50
TGI:細胞増殖の100%の阻害(全増殖阻害)が起こる平均濃度。値は、次式に従って算出される:
(Tt72x)-(Ct24)/(Ct72)-(Ct24)×100=0
IC50:細胞の50%(阻害濃度50%)を殺す平均濃度。値は、式に従って算出される:
(Tt72x)-(Ct24)/(Ct24)×100=50
結果
結果をスチューデントt検定で分析した。P<0.05は、統計的に有意であるとみなされた。
【0126】
生体外研究の結果を表2に示す。
【0127】
【0128】
【0129】
1,2,4-トリアゾロ-[3,4-b]-1,3,4-チアジアゾールの12の誘導体TS167、TS70、TS61、TS60、TS59、TS58、TS51、TS56、TS54、TS55、TS52、TS65は9つすべてのヒトがん細胞株におけるIC50>100μΜで試験した濃度で細胞毒性制がん活性より強力な細胞増殖抑止(IG50<100μΜ)を示した。
【0130】
実施例4
6匹のC57BIマウスに対する毒性の生体内(in vivo)研究
生体内急性毒性
化合物の急性毒性を100 mg/kgで始まる異なる濃度の試験による死亡率から評価した。試験化合物の治療用量は、LD10(動物の10%に対する致死用量)と定義される。腹腔の(i.p.)治療のために試験化合物の貯蔵液を使用の直前に調製した。これらの化合物をまず10%ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した後、望ましい濃度のトウモロコシ油に懸濁させた。毒性研究に、6匹のC57BI雌雄マウスを用いた。水と食品を入れた無菌ケージ内でマウスを恒温恒湿の状態に保った。急性毒性研究の結果を表3に示す。
【0131】
【0132】
すべての化合物が6匹のC57BIマウスに関してかなり低い急性毒性を生じたことは注目すべきである。試験された1,2,4トリアゾロ-[3,4-b]-1,3,4-チアジアゾール誘導体の腹腔内投与による10%致死量はすべて350mg/kgを超えており、どの場合も50%致死量には達しなかった。誘導体TS50、TS66、TS167、TS71、TS57、TS167、TS70、TS61、TS60、TS59、TS58、TS51、TS56、TS54、TS55、TS52およびTS65に関しては、より高い腹腔内投与用量で急性毒性は発現せず、10%および50%致死量に達しなかった(>500mg/kg)。