(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】反応時間の短縮された非パイロテクニックの熱的効果によって分離が制御される接続装置
(51)【国際特許分類】
B64G 1/64 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
B64G1/64
(21)【出願番号】P 2019535985
(86)(22)【出願日】2017-09-14
(86)【国際出願番号】 FR2017052457
(87)【国際公開番号】W WO2018051025
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-09-11
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517310463
【氏名又は名称】アリアングループ・エス・ア・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ティエリー・アバンシュル
【審査官】米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-124959(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0195378(US,A1)
【文献】特開平7-27119(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0088366(US,A1)
【文献】特開2009-166678(JP,A)
【文献】特表2012-532786(JP,A)
【文献】特表2008-536079(JP,A)
【文献】国際公開第2011/080477(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱的に脆弱な層(32; 32')と、前記熱的に脆弱な層が間に配置される2つの熱閉じ込め層(30A、30B; 30A'、30B')と、電流を流すときにジュール効果によって前記熱的に脆弱な層を加熱するように前記2つの熱閉じ込め層の間に配置される導電要素(34)とを備え
、
前記熱的に脆弱な層(32)は、前記導電要素(34)が提供される第2の材料の融点よりも低い融点を有する第1の材料から作られた薄い層であり、
前記第1の材料は金属合金であることを特徴とする被制御分離接続装置。
【請求項2】
前記導電要素(34)は、前記熱的に脆弱な層(32; 32')と、前記2つの熱閉じ込め層(30A、30B; 30A'、30B')のうちの一方との間に介在された前記第2の材料の薄い層である、請求項
1に記載の被制御分離接続装置。
【請求項3】
前記導電要素(34)は、前記熱的に脆弱な層(32; 32')と線接触または面接触している、請求項1
または2のいずれか一項に記載の被制御分離接続装置。
【請求項4】
請求項1から
3いずれか一項に記載の被制御分離接続装置または被制御分離接続装置のセット(16; 16')を用いて一時的に接続される2つの構造要素(12、14; 72、74)の組立体(10、70)であって、前記2つの熱閉じ込め層の一方(30A; 30A')が前記2つの構造要素(12; 72)の一方に取り付けられ、一方、前記他方の熱閉じ込め層(30B; 30B')が他方の構造要素(14; 74)に取り付けられる、組立体。
【請求項5】
前記被制御分離接続装置または被制御分離接続装置の前記セット(16; 16')は、前記2つの構造要素(12; 72)のうちの一方の周りで延び、前記他方の構造要素(14; 74)によって包囲される、請求項
4に記載の組立体。
【請求項6】
前記2つの構造要素(12、14)は宇宙飛行船の2つの段であるか、または、前記2つの構造要素がそれぞれ、宇宙飛行船の上方部および宇宙飛行船のフェアリング、宇宙飛行船の上方部およびペイロード担持構造、もしくは、ペイロード担持構造およびペイロードである、請求項
4または
5に記載の組立体。
【請求項7】
前記2つの構造要素(72、74)は留め付けネジの2つの部品である、請求項
4または
5による組立体。
【請求項8】
電力供給部(36)と、前記電力供給部および前記被制御分離接続装置または各々の被制御分離接続装置の前記導電要素(34)を備える電気回路を閉じるための被制御手段(37)とを備える、請求項
4から
6のいずれか一項に記載の組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの構造要素を互いに一時的に接続し、命令でそれらの分離を可能にするために使用される被制御分離接続装置の分野に関する。
【0002】
本発明は、詳細には、宇宙飛行船において、宇宙飛行船の2つの段の間の構造的な接続のために、宇宙飛行船の上方構造へのフェアリング(fairing)の接続のために、または、宇宙飛行船のペイロード(payload)もしくは中間支持構造と上方構造との間の接続のために使用でき、人工衛星、宇宙探査機、飛行機、もしくは任意の他の航空機において使用でき、または、詳細には、被制御分離接続装置が非常に短い反応時間を有していなければならない場合にこの装置を必要とする任意の他の種類の用途のために使用できる。
【背景技術】
【0003】
先に列記した用途では、制御可能に分離可能な構造の接合が、パイロテクニック(pyrotechnic)システムを用いることで概して達成される。この技術は、性能、信頼性、および安全性の観点においてその効果を証明している。
【0004】
しかしながら、この技法において固有のパイロテクニックの衝撃は、機器およびペイロードを損傷させる可能性がある。この危険性をこれらのシステムの設計および使用において考慮することは、相当のコストを上乗せする。さらに、パイロテクニック物質の存在は、地上での組み立ての局面においてさらなる安全性の条件を課し、これはさらなるコストを上乗せする。
【0005】
これらの理由のため、非パイロテクニックの熱的効果によって作動され得る分離を伴う接続装置を設計するために、研究が行われてきた。
【0006】
しかしながら、特には非特許文献1において提示されているものといった、本発明の前に開発されたこの種類の装置は、先に指し示した用途にとって性能が十分でないことが明らかになっている。具体的には、これらの装置は、このような用途に必要とされる、約20ミリ秒、または、さらには20ミリ秒未満の反応時間を達成することを可能にすることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】Marie-Pierre Foulc、「Assembly of two substrates bonded by a rigid polymer, and methods for assembly and dismantling, by means of migration of said bonded assembly」、WO2011/080477A1
【非特許文献】
【0008】
【文献】M.H. Lucyら、「Report on Alternative Devices to Pyrotechnics on Spacecraft」、10th annual AIAA/USU Conference on Small Satellites、Utah State University、Logan、UT 84341-1942、1996年9月
【文献】Fang Zhiqiang、「Low temperature Sn-rich Au-Sn wafer-level bonding」、Journal of Semiconductors、Vol. 34、No. 10、2013年10月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
具体的には、本発明は、この問題に簡単で経済的で効果的な解決策を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
その目的のために、本発明は、熱的に脆弱な層(thermally frangible layer)と、熱的に脆弱な層が間に配置される2つの熱閉じ込め層(thermal confinement layer)と、電流を流すときにジュール効果によって熱的に脆弱な層を加熱するように2つの熱閉じ込め層の間に配置される導電要素とを備える被制御分離接続装置を提案する。
【0011】
したがって、本発明は、非パイロテクニックの熱的効果による分離を伴う装置を提供し、これは、例えば特定の実施形態では約10ミリ秒といった、非常に短い反応時間を実証している。
【0012】
好ましくは、熱的に脆弱な層は、導電要素が提供される第2の材料の融点よりも低い融点を有する第1の材料から作られた薄い層である。
【0013】
この場合では、導電要素は、有利には、熱的に脆弱な層と、2つの熱閉じ込め層のうちの一方との間に介在された第2の材料の薄い層である。
【0014】
加えて、第1の材料は、有利には金属合金であり、好ましくは共晶混合物である。
【0015】
代替的に、熱的に脆弱な層は、前記層を破裂させるように熱の影響の下で膨張する粒子が充填された樹脂から成り得る。
【0016】
概して、導電要素は、好ましくは熱的に脆弱な層と線接触または面接触している。
【0017】
熱的に脆弱な層に貼付される薄い層に加えて、導電要素は、代替的に電気回路またはケーブルから成り得る。
【0018】
本発明は、先に記載した種類の被制御分離接続装置または被制御分離接続装置のセットを用いて一時的に接続される2つの構造要素の組立体であって、2つの熱閉じ込め層の一方が2つの構造要素の一方に取り付けられ、一方、他方の熱閉じ込め層が他方の構造要素に取り付けられる、組立体にも関係する。
【0019】
被制御分離接続装置または被制御分離接続装置のセットは、2つの構造要素のうちの一方の周りで好ましくは延び、他方の構造要素によって包囲される。
【0020】
本発明の特定の実施形態では、2つの構造要素は宇宙飛行船の2つの段であるか、または、2つの構造要素がそれぞれ、宇宙飛行船の上方部および宇宙飛行船のフェアリング、宇宙飛行船の上方部およびペイロード担持構造、もしくは、ペイロード担持構造およびペイロードである。
【0021】
本発明の別の実施形態では、2つの構造要素は留め付けネジの2つの部分である。
【0022】
組立体は、電力供給部と、電力供給部および導電要素を備える電気回路を閉じるための被制御手段とを有利に備える。
【0023】
添付の図面を参照し、例として与えられているに過ぎない以下の記載を読むことで、本発明はより良く理解され、本発明の他の詳細、利点、および特徴が明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】構造要素が宇宙飛行船の回転の2つの部品である、本発明の第1の好ましい実施形態による2つの構造要素の組立体の概略図(軸方向の断面図)である。
【
図2】
図1の平面II-IIにおける
図1の組立体の概略図(断面図)である。
【
図4】
図1における組立体の構造要素同士を互いに接続する被制御分離接続装置の断面図である。
【
図5】
図4における被制御分離接続装置を製造するための工程のステップを示す図である。
【
図6】被制御分離接続装置の変形の実施形態における
図4と同様の図である。
【
図7】構造要素が留め付けネジを形成する、本発明の第2の好ましい実施形態による2つの構造要素の組立体の概略図(軸方向の断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
すべてのこれらの図において、同一の符号は、同一または同様の要素を参照できる。また、これらの図は実際の比率を反映していない。
【0026】
図1から
図3は、本発明の第1の好ましい実施形態による2つの構造要素12および14の組立体10を示している。2つの構造要素は、例えば、宇宙飛行船の2つの上方の段であり、被制御分離接続装置16のセットを用いて互いに一時的に接続されている。
【0027】
優先的な例として、装置16は、2つの構造要素12および14にそれぞれ属する円錐台形の2つの接触面18、20の間に接合部分を提供する。接触面18、20の円錐台形は、構造要素12および14の分離を容易にし、具体的には、分離の間の引っ掛かりの危険性を回避する。この場合、装置16は、優先的には、1つずつ周方向に配置され、互いから離間されている円錐台区域の形態を取る。
【0028】
代替的に、構造要素12および14の間の接続は、単一の円錐台形の接続装置によって提供され得る。
【0029】
同じく代替的に、装置16と接触面18、20とは、回転柱の形、回転柱の一部分の形、または任意の他の適切な形を有し得る。
【0030】
図2および
図3に示しているように、各々の接続装置16は、熱的に脆弱な層32と、熱的に脆弱な層32をジュール効果によって加熱して破裂させるための導電要素34とが間に配置される2つの熱閉じ込め層30A、30Bを概して備えており、これらについて以下により明らかにする。
【0031】
導電要素34は、好ましくは、被制御スイッチ37を介して導電要素34と並列に接続され、電力供給部38を用いて命令で充電させることができる電気コンデンサ36(または、このようなコンデンサのセット)によって、供給を受ける。その目的のため、電力供給部38は、例えば、別の被制御スイッチ39を介してコンデンサにも接続される。
【0032】
したがって、電気コンデンサ36は飛行中に充電できる。これは、電力供給部38へと接続する被制御スイッチ39を閉じることで行われる。したがって、飛行前の地上作業の間、電気コンデンサ36は、分離プロセスが意図せずに引き起こされる危険性を回避するために放電されたままにできる。
【0033】
したがって、本発明の用語では、電気コンデンサ36は電力供給部を形成しており、一方、被制御スイッチ37は、電力供給部および各々の接続装置16の導電要素34を備える電気回路を閉じるための被制御手段を形成している。
【0034】
本発明の特定の実施形態では、熱的に脆弱な層32は、比較的低い融点を有する第1の材料から作られた薄い層であり、導電要素34は、第1の材料の融点よりも高い融点を有する第2の材料の薄い層である。
【0035】
「薄い層」という用語は、その用語の一般的に受け入れられる定義に従って理解されるものであり、つまり、厚さがナノメートルの何分の1から数マイクロメートルまで様々である層である。
【0036】
図示した例では、第1の材料は金(Au)および錫(Sn)の共晶混合合金であり、その融点は約300℃であり、一方、第2の材料は純粋な金であり、その融点は1000℃を上回る。
【0037】
図4は、本発明の例の実施形態における被制御分離接続装置16の構造をより正確に示している。
【0038】
この例では、熱閉じ込め層30A、30Bの各々は、2つの副層(sub-layers)、つまり、例えば数ミリメートルの厚さであり、アルミニウム合金から作られて、装置の外面を形成する金属副層40A、40Bと、厚さが約100から200マイクロメートルの間であり、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)などの熱的および電気的に絶縁性のセラミックの副層44A、44Bとから成る。2つの熱閉じ込め層30A、30Bは、好ましくは互いに対称な構造を有する。
【0039】
また、熱的に脆弱な層32と、導電要素34を形成する薄い層とは、例えばクロム(Cr)から作られた約50ナノメートルの厚さの拡散障壁46を形成する第1の薄い層によって、互いから分離される。同様に、熱的に脆弱な層32と、導電要素34を形成する薄い層とは、第1の薄い層46と同様の拡散障壁48A、48Bを形成する第2および第3の薄い層によって、それぞれ熱閉じ込め層30Aおよび30Bから分離される。薄い層46、48A、48Bはまた、装置を形成する他の層との間の接合を向上させる。
【0040】
例として、前述した被制御分離接続装置16は、第1の複合構造50Aを製作するステップ(
図5)と、第2の複合構造50Bを製作するステップ(
図5)と、次に、装置16を得るために2つの構造50Aおよび50Bを組み立てるステップ(
図4)とを含む工程によって得ることができる。
【0041】
より正確には、第1の複合構造50Aを形成するステップは、
- 例えば電気泳動析出(EPD)によって、金属の副層40A上に熱的および電気的に絶縁性のセラミックの副層44Aを形成することと(
図5)、次に、
- 例えば物理蒸着(PVD)によって、拡散障壁48Aを形成する第2の薄い層を先の副層44Aに形成することと、次に、
- 先の層48Aに、約150ナノメートルの厚さの金の薄い層52、次に、約1.55マイクロメートルの厚さの錫の薄い層54、次に、約50ナノメートルの厚さの金の薄い層56を連続して形成することと
から成る下位ステップを含む。
【0042】
第2の複合構造50Bを形成するステップは、
- 例えばEPDによって、金属の副層40Bに熱的および電気的に絶縁性のセラミックの副層44Bを形成することと、次に、
- 例えばPVDによって、拡散障壁48Bを形成する第3の薄い層を先の副層44Bに形成することと、次に、
- 先の層48Bに、約1マイクロメートルの厚さの導電要素34を形成する薄い層、次に、拡散障壁46を形成する第1の薄い層、次に、約300ナノメートルの厚さの金の薄い層58を連続して形成することと
から成る下位ステップを含む。
【0043】
この場合、2つの複合構造50Aおよび50Bを組み立てるステップは熱圧着によって実施され、2つの構造は、第2の構造の金の層58を第1の構造の金の層56に当てるように並べて配置され、次に、非特許文献2に記載された方法に従って、矢印F1およびF2(
図5)によって示されているように、約7MPaの圧力が約310℃の温度において約60分間にわたって加えられる。この方法は、層52、54、56、58を備えるサンドイッチを、主化学種がAuSn2である(重量パーセントで)54%の錫と46%の金とを含む均質合金へと変換することを可能にする。この均質合金は熱的に脆弱な層32を形成する。したがって、熱的に脆弱な層32は、注目すべきことに、64MPaのせん断応力に耐えることができ、そのため、前述した用途において直面させられる応力レベルに耐えることができる。
【0044】
構造要素12および14への各々の被制御分離接続装置16の取り付けは、従来の手法で行うことができ、ここでは詳細に記載していない。例として、この取り付けは、例えば、金属の副層40A、40Bの各々を対応する構造要素14、12にボルト留めすることで行うことができる。
【0045】
動作の間、電流を各々の被制御分離接続装置16の導電要素34内に導通させることによって、構造要素12および14の分離が引き起こされる。そのため、図示した例では、これは、先に充電された電気コンデンサ36が各々の導電要素34内で電流を発生させ、各々の導電要素34がジュール効果によって加熱するように被制御スイッチ37を閉じるということである。発生させられた熱は、隣接する熱的に脆弱な層32内の熱伝導によって伝わる一方で、2つの対応する熱閉じ込め層30A、30Bの間に閉じ込められる。図示した例では、熱的に脆弱な層32は導電性の材料から作られるため、電流も電気伝導によって熱的に脆弱な層32において伝わり、ジュール効果による熱的に脆弱な層32の追加的な加熱を引き起こす。
【0046】
すべての場合において、熱的に脆弱な層32の温度は、前記層を構成する第1の材料の融解温度を非常に素早く超えて上昇し、熱的に脆弱な層32を破裂させる。導電要素34の完全性(integrity)は、導電要素34を構成する第2の材料の融解温度が第1の材料の融解温度よりも高いため、維持される。したがって、図示した例では、第1および第2の材料のそれぞれの融解温度の間の差が700℃より大きい。
【0047】
熱的に脆弱な層32の破裂は、2つの構造要素12および14の分離を引き起こす。図示した例では、この分離は、典型的には-40℃から70℃の間の温度で0barから1barの間の圧力である通常の動作条件の下で、分離の命令から10ミリ秒内で効果がある。
【0048】
当然ながら、他の装置16の構成が本発明の状況において可能である。
【0049】
したがって、熱閉じ込め層30A、30Bは、前述した副層の重なりの代わりに、例えばMACOR(登録商標)の名称でコーニング社(Corning Inc.)によって市販されている材料といった、電気的および熱的に絶縁する構造上のセラミック材料から各々成り得る。
【0050】
また、熱的に脆弱な層32は、前述したもの以外の金属合金から、または、別の種類の材料から作られてもよい。
【0051】
そのため、
図6は被制御分離接続装置16'の変形の実施形態を表しており、熱的に脆弱な層32'は、熱的に脆弱な層32'を破裂させるように、熱の影響の下で膨張する粒子が充填された接着樹脂から作られている。このような樹脂は、例えば、特許文献1により知られている。
【0052】
したがって、
図6で示した例では、装置16'は、数ミリメートルの厚さの熱閉じ込め層30A'と、エポキシ樹脂が充填され、約100マイクロメートルの厚さを有する熱的に脆弱な層32'と、前述したものと同様の導電要素34を形成する薄い層と、約100マイクロメートルの厚さを有する従来のエポキシ接着層60'と、そして熱閉じ込め層30A'と同様の他の熱閉じ込め層30B'とを備える。
【0053】
別の変形では、導電要素34は、例えば、熱的に脆弱な層32もしくは32'と接触して配置された導電性の材料の層に埋め込まれた、または、熱的に脆弱な層32もしくは32'において直接的に埋め込まれた電気回路またはケーブルの形態で、前述した層と異なる形態であり得る。
【0054】
概して、導電要素34は、少なくとも熱的に脆弱な層が完全に破壊するまで最適に動作し続けるように、熱的に脆弱な層32、32'と別個のものであることが好ましい。
【0055】
しかしながら、本発明の特定の実施形態では、熱的に脆弱な層が導電性の材料から成る場合、導電要素34は熱的に脆弱な層自体から成ってもよい。
【0056】
図7は、前述した種類の被制御分離接続装置76を用いて一時的に接続される2つの構造要素72および74の組立体70を示しており、組立体は、本発明の第2の好ましい実施形態により、留め付けネジを形成している。したがって、一方の構造要素72は留め付けネジの頭部と胴部の一部分とを形成し、他方の構造要素74は胴部の残りの部分を形成している。
【0057】
2つの構造要素72、74は、被制御分離接続装置76が間に介在されている円錐台形の接触面78、80をそれぞれ有しており、例えば被制御分離接続装置76も円錐台形のものである。したがって、装置76は構造要素72の端部分の周りで延びている。当然ながら、装置76は、前述したものと同様の手法で、装置の導電要素を通じて電流を通すことができるように電気接続手段(図には示されていない)を組み込んでいる。
【0058】
組立体70の製造および動作は、前述した組立体10の製造および動作と同様である。
【符号の説明】
【0059】
10 組立体
12、14 構造要素
16、16' 被制御分離接続装置
18、20 接触面
30A、30B、30A'、30B' 熱閉じ込め層
32、32' 熱的に脆弱な層
34 導電要素
36 電気コンデンサ
37 被制御スイッチ
38 電力供給部
39 被制御スイッチ
40A、40B 金属副層
44A、44B 副層
46 拡散障壁、第1の薄い層
48A 拡散障壁、第2の薄い層
48B 拡散障壁、第3の薄い層
50A 第1の複合構造
50B 第2の複合構造
52 金の薄い層
54 錫の薄い層
56 金の薄い層
58 金の薄い層
60' エポキシ接着層
70 組立体
72、74 構造要素
76 被制御分離接続装置
78、80 接触面