(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】航空機構成要素をマスクするためのフィルムおよび同フィルムを展開する方法
(51)【国際特許分類】
B64F 5/10 20170101AFI20220128BHJP
【FI】
B64F5/10
(21)【出願番号】P 2019545369
(86)(22)【出願日】2018-02-16
(86)【国際出願番号】 CA2018050175
(87)【国際公開番号】W WO2018148836
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2019-08-30
(32)【優先日】2017-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519297311
【氏名又は名称】アデテック・カナダ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】ボードワン,ディアンヌ
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00782912(EP,A1)
【文献】特開平10-165862(JP,A)
【文献】国際公開第2005/068294(WO,A1)
【文献】実開平05-026362(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 1/00 - 99/00
B64D 1/00 - 47/08
B64F 1/00 - 5/60
B05B 12/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手部分および横部分を有し、航空機構成要素を覆うように構成された、前記構成要素をマスクするためのフィルムであって、
前記航空機構成要素は、航空機ノーズであり、
-前記長手部分に対す
るアコーディオン式折畳
みと、
-前記横部分に対す
るアコーディオン式折畳
みと、
によってコンパクトにまとめられ、
-その後に、前記横部分に対するゲート式折畳み動作が続き、
-前記長手部分および前記横部分は、コンパクト化ステップの逆のステップで展開することができる、フィルム。
【請求項2】
長手部分および横部分を有し、航空機構成要素を覆うように構成された、前記航空機構成要素をマスクするためのフィルムであって、
前記航空機構成要素は、航空機機体であり、
-前記長手部分に対するアコーディオン式折畳みによってコンパクトにまとめられ、
-その後に、前記横部分に対する、アコーディオン式折畳みおよび巻き式折畳みから選択された折畳み動作が続き、
-その後に、前記横部分に対するゲート式折畳み動作が続き、
-前記長手部分および前記横部分は、コンパクト化ステップの逆のステップで展開することができる、フィルム。
【請求項3】
長手部分および横部分を有し、略管状のスリーブを形成するように構成された、航空機構成要素をマスクするためのフィルムであって、
前記航空機構成要素は、航空機翼であり、
-前記長手部分に対する入れ子式折畳みによってコンパクトにまとめられて平行四辺形を形成し、
-その後に、前記横部分に対するアコーディオン式折畳み、および巻き式折畳みから選択された折畳み動作が続き、
-前記長手部分および前記横部分は、コンパクト化ステップの逆のステップで展開することができる、フィルム。
【請求項4】
前記フィルムが内面および外面を有し、前記フィルムの一方の面に位置決めマークを含み、前記マークは、前記構成要素の幾何学的特徴に応じて配置される、請求項1
から3のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項5】
前記マークは、以下のもの、すなわち、色付きテープ、印刷テープ、半透明テープから選択されたテープを含み、前記テープは、任意選択で、引き剥がし可能なフィルムセグメントを形成するのに適したミシン目を形成する穴あきドットを含む、請求項
4に記載のフィルム。
【請求項6】
前記横部分に対する、前記平行四辺形のベース部にほぼ平行な方向のアコーディオン式折畳み、および巻き式折畳みから選択された前記折畳み動作によってもコンパクトにまとめられる、請求項
3に記載のフィルム。
【請求項7】
前記ベース部は、前記長手部分に対してほぼ垂直に延びる、請求項
6に記載のフィルム。
【請求項8】
前記スリーブは、開放端部と、前記開放端部と長手方向に反対側の閉じた端部とを有する、請求項
6または請求項
7に記載のフィルム。
【請求項9】
第1の積み重ね部分を形成するためのアコーディオン式折畳み、および巻き式折畳みから選択された動作によって、前記平行な方向にコンパクトにまとめられ、その後に、第2の積み重ね部分を形成するための前記平行な方向のアコーディオン式折畳み動作と、前記平行な方向の前記積み重ね部分のゲート式折畳み動作とが続く、請求項
8に記載のフィルム。
【請求項10】
前記閉じた端部の1回の折畳み動作によって、前記平行四辺形の前記ベース部にほぼ垂直な方向にコンパクトにまとめられる、請求項
8または
9に記載のフィルム。
【請求項11】
長手部分に対してコンパクトにまとめられる前に、横部分に対してコンパクトにまとめられる、請求項
1に記載のフィルム。
【請求項12】
非帯電性の特性を有する、請求項1~
11のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項13】
空気および溶剤蒸気に対して透過性である、請求項1~
12のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項14】
塗料、水、および溶剤に対して不透過性である、請求項1~
13のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項15】
被覆物が前記フィルムに付着するのを可能にする特性を有する、請求項1~
14のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項16】
前記フィルムは、透明である、請求項1から請求項1~
15のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項17】
航空機構成要素をマスクするためのフィルムを展開する方法であって、以下のステップ、すなわち、
a)請求項1~
16のいずれか一項に記載のコンパクト化したフィルムを供給するステップと、
b)前記構成要素の上側部分に前記コンパクト化したフィルムを配置し、前記構成要素の幾何学的特徴部に対する前記部分での初期位置に前記フィルムの向きを合わせるステップと、
c)ステップb)の後、以下の動作、すなわち、前記部分上で前記位置から前記構成要素の横方向に前記コンパクト化したフィルムを展開する動作と、前記部分上で前記位置から前記構成要素の長手方向に前記フィルムを展開する動作の1つを実施するステップと、
d)ステップc)で、前記フィルムが、前記部分上で前記位置から前記構成要素の前記横方向に展開された場合に、前記部分上で前記位置から前記構成要素の前記長手方向に前記フィルムを展開するステップと、
e)ステップc)で、前記フィルムが、前記部分上で前記位置から前記構成要素の前記長手方向に展開された場合に、前記部分上で前記位置から前記構成要素の前記横方向に前記フィルムを展開するステップと、
を含む方法。
【請求項18】
ステップa)で、前記コンパクト化したフィルムは位置決めマークを含み、前記方法は、ステップd)またはステップe)の後、前記構成要素の幾何学的特徴に合わせた前記マークを使用して、前記展開されたフィルムを前記構成要素上で位置決めするステップを含む、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
ステップa)で、次に前記構成要素上で前記コンパクトにまとめたフィルムを展開するために、前記コンパクトにまとめたフィルムとひとまとめにされたガイド要素を供給することと、ステップb)で、前記要素を前記構成要素と整列させることとを含む、請求項
17または請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
航空機構成要素をマスクするためのキットであって、請求項1~
16のいずれか一項に記載の、前記構成要素をマスクするためのコンパクトにまとめたフィルムと、次に前記構成要素上で前記コンパクトにまとめたフィルムを展開するための、前記コンパクトにまとめたフィルムと並置してひとまとめにされたガイド要素とを含むキット。
【請求項21】
前記ガイド要素は剛性である、請求項
20に記載のキット。
【請求項22】
前記フィルムを展開するための指示書を含む、請求項
20または
21に記載のキット。
【請求項23】
請求項
20~
22のいずれか一項に記載のキットを使用して航空機構成要素をマスクする方法。
【請求項24】
長手部分および横部分を有する、航空機ノーズをマスクするためのフィルムをコンパクトにまとめる方法であって、
-アコーディオン式折畳み動作によって前記長手部分をコンパクトにまとめることと、
-アコーディオン式折畳み動作によって前記横部分をコンパクトにまとめ、その後に、前記横部分に対するゲート式折畳み動作が続くことと、
を含む方法。
【請求項25】
長手部分および横部分を有する、航空機機体をマスクするためのフィルムをコンパクトにまとめる方法であって、
-アコーディオン式折畳み動作によって前記長手部分をコンパクトにまとめることと、
-アコーディオン式折畳み、および巻き式折畳みから選択された折畳み動作によって前記横部分をコンパクトにまとめ、その後に、前記横部分に対するゲート式折畳み動作が続くことと、
を含む方法。
【請求項26】
長手部分および横部分を有し、略管状のスリーブを形成するように構成された、航空機翼をマスクするためのフィルムをコンパクトにまとめる方法であって、
-入れ子式折畳み動作によって前記長手部分をコンパクトにまとめて平行四辺形を形成することと、
-それに続いて、アコーディオン式折畳み、巻き式折畳み、ゲート式折畳み、コアへの巻付け、およびフィルム自体を支えとした前記フィルムの巻付けから選択された折畳み動作によって、前記横部分をコンパクトにまとめることと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年2月17日に出願された米国仮特許出願第62/460,182号の優先権を主張し、この特許の明細書は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明の技術分野は、コンパクトにまとめたフィルムと、塗装および仕上げ作業時に航空機の構成要素、各部分、または各セクションをマスクするために、これらのフィルムを展開する方法とに関する。マスク用フィルムは、様々なタイプの航空機の寸法に合わせて作製される。
【背景技術】
【0003】
一般に、航空機構成要素(すなわち、航空機の各部分または各セクション)などの大型要素を保護する分野において、マスキングは、従来から、ロール状のハトロン紙または可撓性プラスチックまたは軟質構造のTyvek(登録商標)でできたマスクを使用して行われ、このマスクは、保護対象の構成要素のまわりに置かれ、かつ/または展開され、接着テープを使用して固定される。接着テープは、航空機構成要素の表面にマスクを固定するためと、マスクの一部分同士を接合するためとの両方に使用される。この方法は、(1)航空機構成要素を覆い、かつ/またはマスクし、かつ/あるいはロール状のマスク材料を展開して縁部同士を接合するのに時間および資源を必要とし、(2)マスク材料の寸法を航空機構成要素の覆いをされる部分に合わせるためにマスクを切断するときに、航空機の表面に損傷を与えるリスクがあり、(3)マスクの除去時に、ナイフまたは鋭利な刃を有する工具を使用したマスクの切り離しによる解体を必要とすることがあり、航空機の表面に損傷が生じる恐れがあるという点で欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、上記を考慮して、航空機構成要素をマスクするためのフィルムと、先行技術の少なくとも1つの欠点を解決する、または少なくとも最小限にすることができる、このフィルムを展開する方法とが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概略的な態様によれば、本発明は、航空機構成要素をマスクするためのフィルムに関し、このフィルムは、長手部分および横部分を有し、航空機構成要素を覆うように構成され、フィルムは、以下の動作、すなわち、長手部分に対するアコーディオン式折畳み、入れ子式折畳み、ゲート式折畳み、巻き式折畳み、コアへの巻付け、およびフィルム自身を支えとしたフィルムの巻付けから選択された動作によって、または以下の動作、すなわち、横部分に対するアコーディオン式折畳み、入れ子式折畳み、ゲート式折畳み、巻き式折畳み、コアへの巻付け、およびフィルム自身を支えとしたフィルムの巻付けから選択された動作によってコンパクトにまとめられる。
【0006】
一実施形態では、フィルムは、内面および外面を有し、フィルムは、フィルムの一方の面に位置決めマークを含み、位置決めマークは、航空機構成要素の幾何学的特徴に応じて配置される。
【0007】
一実施形態では、位置決めマークは、以下のもの、すなわち、色付きテープ、印刷テープ、半透明テープから選択されたテープを含み、テープは、任意選択で、引き剥がし可能なフィルムセグメントを形成するのに適したミシン目を形成する穴あきドットを含む。
【0008】
一実施形態では、航空機構成要素は航空機ノーズであり、フィルムは、フィルムの長手部分に対するアコーディオン式折畳み動作と、フィルムの横部分に対するアコーディオン式折畳み動作とによってコンパクトにまとめられ、その後に、フィルムの横部分に対するゲート式折畳み動作が続く。
【0009】
一実施形態では、航空機構成要素は航空機機体であり、フィルムは、フィルムの長手部分に対するアコーディオン式折畳み動作によってコンパクトにまとめられ、その後に、フィルムの横部分に対するアコーディオン式折畳みおよび巻き式折畳みから選択された折畳み動作が続き、その後に、フィルムの横部分に対するゲート式折畳み動作が続く。
【0010】
一実施形態では、航空機構成要素は航空機翼であり、フィルムは、略管状のスリーブを形成するように構成され、フィルムの長手部分に対する入れ子式折畳み動作によってコンパクトにまとめられて、平行四辺形を形成する。
【0011】
一実施形態では、フィルムはまた、平行四辺形のベース部にほぼ平行な方向のアコーディオン式折畳み、および巻き式折畳みから選択された動作によってコンパクトにまとめられる。
【0012】
一実施形態では、平行四辺形のベース部は、フィルムの長手部分にほぼ垂直に延びる。
【0013】
一実施形態では、スリーブは、開放端部と、開放端部と長手方向に反対側の閉じた端部とを有する。
【0014】
一実施形態では、フィルムは、第1の積み重ね部分を形成するために、アコーディオン式折畳み、および巻き式折畳みから選択された動作によって、平行四辺形のベース部に平行な方向にコンパクトにまとめられ、その後に、第2の積み重ね部分を形成するための、平行四辺形のベース部に平行な方向のアコーディオン式折畳み動作と、平行四辺形のベース部に平行な方向の積み重ね部分のゲート式折畳み動作とが続く。
【0015】
一実施形態では、フィルムは、スリーブの閉じた端部の1回の折畳み動作によって、平行四辺形のベース部にほぼ垂直な方向にコンパクトにまとめられる。
【0016】
一実施形態では、航空機構成要素は航空機翼であり、フィルムは、フィルムの横部分に対するアコーディオン式折畳みおよびゲート式折畳みから選択された動作によってコンパクトにまとめられ、その後に、フィルムの長手部分に対するコアへの巻き付け動作が続く。
【0017】
一実施形態では、フィルムは非帯電性の特性を有する。
【0018】
一実施形態では、フィルムは、空気および溶剤蒸気に対して透過性である。
【0019】
一実施形態では、フィルムは、塗料、水、および溶剤に対して不透過性である。
【0020】
一実施形態では、フィルムは、被覆物がフィルムに付着するのを可能にする特性を有する。
【0021】
別の概略的な態様によれば、本発明は、航空機構成要素をマスクするためのフィルムを展開する方法に関し、その方法は、以下のステップ、すなわち、航空機構成要素の寸法に合わせた寸法を有するフィルムを供給するステップと、フィルムを航空機構成要素の上側部分に配置し、航空機構成要素の幾何学的特徴部に対する上側部分での初期位置にフィルムの向きを合わせるステップと、ステップb)の後、以下の動作、すなわち、上側部分での初期位置から航空機構成要素の横方向にフィルムを展開する動作と、上側部分での初期位置から航空機構成要素の長手方向にフィルムを展開する動作との1つを行うステップと、ステップc)で、フィルムが上側部分での初期位置から航空機構成要素の横方向に展開された場合に、上側部分での初期位置から航空機構成要素の長手方向にフィルムを展開するステップと、ステップc)で、フィルムが上側部分での初期位置から航空機構成要素の長手方向に展開された場合に、上側部分での初期位置から航空機構成要素の横方向にフィルムを展開するステップとを含む。
【0022】
一実施形態では、本方法において、ステップa)で、フィルムは位置決めマークを含み、本方法は、ステップd)またはステップe)の後、航空機構成要素の幾何学的特徴部に合わせた位置決めマークを使用して、フィルムを航空機構成要素上で位置決めするステップを含む。
【0023】
一実施形態では、本方法を行うために、ステップa)で、フィルムがコアに巻かれ、ステップb)で、フィルムの一部分が、上側部分の一端に嵌められ、本方法はまた、以下の展開ステップ、すなわち、上側部分の端部から航空機構成要素の長手方向にフィルムを展開するステップと、上側部分上で航空機構成要素の横方向にフィルムを展開するステップとの1つを含む。
【0024】
一実施形態では、本方法は、ステップa)で、次に航空機構成要素上でフィルムを展開するために、フィルムとひとまとめにされたガイド要素を供給することを含み、本方法は、ステップb)で、ガイド要素を航空機構成要素と整列させることを含む。
【0025】
一実施形態では、航空機構成要素は航空機翼であり、本方法は、ステップa)で、次に翼上でフィルムを展開するために、スリーブを形成するように構成されたフィルムと、フィルムとひとまとめにされたガイド要素とを供給することを含み、本方法は、ステップb)でガイド要素を翼の補助翼と整列させることを含む。
【0026】
一実施形態では、本発明は、航空機構成要素をマスクするためのキットに関し、キットは、航空機構成要素をマスクするためのフィルムと、次に航空機構成要素上でフィルム展開するための、フィルムと並置してひとまとめにされたガイド要素とを含む。
【0027】
一実施形態では、ガイド要素は剛性である。
【0028】
一実施形態では、キットは、フィルムを展開するための指示書を含む。
【0029】
一実施形態では、本発明は、キットを使用して航空機構成要素をマスクする方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1A】航空機の側面図および平面図を示しており、航空機機体の長手方向および横方向が、それぞれ矢印L
fおよび矢印T
fで示されている。
【
図1B】航空機の平面図であり、航空機翼の長手方向および横方向が、それぞれ矢印L
wおよび矢印T
wで示されている。
【
図1C】航空機の側面図および平面図を示しており、航空機ノーズの長手方向および横方向が、それぞれ矢印L
noseおよび矢印T
noseで示されている。
【
図1D】航空機の側面図および平面図を示しており、航空機ナセルの長手方向および横方向が、それぞれ矢印L
naおよび矢印T
naで示されている。
【
図1E】航空機垂直安定板の側面図であり、航空機垂直安定板の長手方向および横方向が、それぞれ矢印L
vsおよび矢印T
vsで示されている。
【
図1F】航空機安定板の平面図であり、航空機安定板の長手方向および横方向が、それぞれ矢印L
sおよび矢印T
sで示されている。
【
図2A】航空機構成要素をマスクするためのフィルムの例の側面図であり、1回のゲート式折畳みのステップと得られた折畳みとを示している。
【
図2B】航空機構成要素をマスクするためのフィルムの例の側面図であり、2回のゲート式折畳みの一連のステップと得られた折畳みとを示している。
【
図3A】一実施形態による航空機機体をマスクするためのフィルムの平面図であり、一種のアコーディオン式折畳みによって、長手部分に対してフィルムをコンパクトにまとめるための折り目の配置を示している。
【
図3B】長手部分に対する折畳み後の
図3Aに示すフィルの平面図であり、フィルムをコンパクトにまとめるための横部分に対するアコーディオン式折畳みの配置を示している。
【
図3C】
図3Bに示すフィルムの側面図であり、アコーディオン式折畳みのタイプを示している。
【
図3D】
図3Cのフィルムの例示的な実施形態の側面図であり、ガイド要素を挿入したその後の1回のゲート式折畳みを示している。
【
図4A】一実施形態による航空機構成要素をマスクするためのフィルムの側面図であり、アコーディオン式折畳みのタイプを示している。
【
図4B】
図4Aに示すフィルムの側面図であり、アコーディオン式折畳みの後に2回のゲート式折畳みが続いている。
【
図5】一実施形態による航空機翼をマスクするための、平坦化した(すなわち、2次元の)スリーブタイプのフィルムの平面図であり、折り目の折畳み順序が方向D1の矢印によって示された一種の入れ子式折畳みの折り目の配置を示している。
【
図6A】
図6A~
図6Eは、
図5のフィルムの一連の入れ子式折畳み動作を示しており、
図6Aは、平坦化した(すなわち、2次元の)フィルムの斜視図である。
【
図6B】フィルムの入れ子式折畳みの折り目の位置を示す斜視図である。
【
図6C】フィルムの端部T7からの入れ子式折畳みによるフィルムの各部分の入れ子の斜視図である。
【
図6D】ガイド要素が挿入されると共に、入れ子式折畳みの全てが入れ子になった後のフィルムの斜視図である。
【
図6E】ガイド要素が配置されると共に、フィルムが平坦化された(すなわち、2次元となった)後のフィルムによって形成された平行四辺形の平面図である。
【
図7】
図6Eに示すフィルムの平面図であり、1回の巻き式折畳み(部分ILおよび部分HL)および複数回の巻き式折畳み(部分HR~LR)の折り目および部分を示している。
【
図8A】巻いた部分を有する
図7に示すフィルムの側面図である。
【
図8B】
図8Aに示すフィルムの側面図であり、巻き式折畳みの後にゲート式折畳みが続いている。
【
図9A】一実施形態による航空機ノーズコーンをマスクするためのフィルムの斜視図であり、フィルムはノーズに配置され、位置決めマークを含む。
【
図9B】一実施形態による航空機ノーズコーンをマスクするためのフィルムの斜視図であり、フィルムはノーズに配置され、位置決めマークを含む。
【
図10A】一実施形態によるフィルムの斜視図であり、フィルムは位置決めマークを含み、位置決めマークは、ミシン目を形成する対比的な穴あきテープを含む。
【
図10B】一実施形態によるフィルムの斜視図であり、フィルムは位置決めマークを含み、位置決めマークは、ミシン目を形成する対比的な穴あきテープを含む。
【発明を実施するための形態】
【0031】
定義
本特許出願で使用する「約」という用語は、対象となる数値の±15%の誤差の余裕を指す。精度を表すために、「約」という文言は、例えば、100%と組み合わせて使用した場合に、100%±15%、すなわち、85%~115%を意味する。
【0032】
「航空機」という用語は、飛行機(定期旅客機、軽飛行機など)、ヘリコプタ、または仕上げステップを必要とする他の任意のタイプの航空機を示すために使用される。
【0033】
「航空機構成要素」という表現は、ノーズ、ノーズコーン、翼、安定板、垂直安定板、ナセルなどの航空機の各部分、各ポーション、および各セクションを示すために使用される。
【0034】
「マスク」という表現は、航空機構成要素の全体または一部を包む、くるむ、保護する、および覆うフィルムを説明するために使用される。
【0035】
「合わせる」という用語は、マスクされる構成要素の寸法に応じて覆いをするようにサイズを決められた、切断された、および構成されたフィルムを説明するために使用される。
【0036】
「コンパクトにまとめられた」という用語は、包装後、フィルムの輸送および保管を可能にし、作業員、ステップ、および工具の必要量を最小限にして、このフィルムの航空機構成要素上での展開を容易にするように、フィルムを折り畳み、ロール状に巻き、積み重ね、包装する動作を説明するために使用される。各航空器構成要素および航空機のタイプに特有のこのコンパクト化は、コンパクトにまとめられたフィルムの取扱いおよび展開を最適化するために、綿密な調査および数年の経験を必要とした。
【0037】
「入れ子式」という用語は、封止面を含む略管状の要素の折畳みを説明するために使用される。3面が封止されている場合、要素の一端が開放され、一端が閉じられる。したがって、要素は、管、円錐、指状物、鞘、スリーブ、帽子、キャップ、または一端が閉じ、長手方向反対側の端部が開放された他の任意の略管状要素を形成する。この場合に、当業者がアンテナまたは望遠鏡を想定するように、管状要素の1つまたは複数の横部分は、各次の部分が別の部分に挿入される、またはその逆になるように折り畳まれる(
図6B~6Dを参照のこと)。
【0038】
詳細な説明
図を参照して、航空機構成要素をマスクするためのフィルムと、航空機構成要素上でこのフィルムを展開する方法とが説明される。フィルムおよびガイド要素を含むキットが、このキットを使用する展開方法と合わせて説明される。フィルム、キット、および展開方法は、マスクされる航空機または航空機の各部分の寸法および幾何学的特徴に合わせて調整される。
【0039】
より詳細には、
図1A~1Fを参照すると、各航空機構成要素は、長手方向および横方向に測定できる寸法を有する。矢印L、Tは、各構成要素に対する長手方向および横方向を示している。より具体的には、
図1Aにおいて、矢印L
f、T
fは、それぞれ航空機機体の長手方向および横方向を示している。
図1Bにおいて、矢印L
w、T
wは、それぞれ航空機翼の長手方向および横方向を示している。
図1Cにおいて、矢印L
nose、T
noseは、それぞれ航空機のノーズコーンの長手方向および横方向を示している。
図1Dにおいて、矢印L
na、T
naは、それぞれナセルの長手方向および横方向を示している。
図1Eにおいて、矢印L
vs、T
vsは、それぞれ航空機の垂直安定板の長手方向および横方向を示している。
図1Fにおいて、矢印L
s、T
sは、それぞれ航空機の安定板の長手方向および横方向を示している。コンパクト化されていない、すなわち、折り畳まれていないフィルムは、航空機構成要素の長手方向の寸法に対応する、すなわち、合わせた寸法を有する長手部分と、航空機構成要素の横方向の寸法に対応する寸法を有する横部分とを含む。当然のことながら、フィルムの寸法は、構成要素の寸法に実質的に等しいことがあるし、または構成要素の寸法よりも実質的に大きいこともある。やはり当然のことながら、フィルムは、構成要素を部分的に、または完全に覆うことができ、1つまたは複数のフィルムは、航空機構成要素を覆うために使用することができる。やはり当然のことながら、1つのフィルムは、いくつかの航空機構成要素を覆うことができる。設計されたフィルムは、平坦化された場合に実質的に2次元物体であり、3次元物体である構成要素を覆うように構成されている。
【0040】
航空機構成要素の仕上げと、この仕上げに必要とされるマスキングとにおいて、通常、大型である(すなわち、長さが約4mを超える)、または非常に大型である(すなわち、長さが20mを超える)構成要素を覆って保護するために、一人の人間または小チームでフィルムを展開および固定することは困難である。したがって、下記に説明するフィルムおよび展開方向の様々な実施形態は、フィルムを包装、輸送、および設置し、きわめて少人数により、航空機構成要素上で容易にかつ直観的にフィルムを展開できるようにコンパクトにまとめられたマスキングフィルムを供給することによって、この問題の解決策を提供する。さらに、フィルムは、フィルムを設置する、またはフィルムを取り外すために、鋭利な用具を使用する必要をなくすようにコンパクトにまとめられ、したがって、構成要素の仕上げをだいなしにする破損または擦り傷のリスクを低減する。
【0041】
本発明は、特に、形状および寸法を航空機構成要素の形状および寸法に合わせたフィルムの、航空機構成要素を覆うために3次元的に展開されることを意図されたコンパクト化に寄与する。コンパクト化は、いくつかの折畳み動作を行うことからなり、折畳み動作の細部が下記に示される。一口に言えば、フィルムは成形される、すなわち、マスク材料から切り出され、次いでコンパクトにまとめられる。コンパクト化はまた、コンパクトにまとめたフィルムを保管および/または輸送用のバッグまたはボックスに詰めることを含むことができる。
【0042】
フィルムは、特に、航空機構成要素をマスクし、これらの構成要素を仕上げることを可能にする機械的または化学的特性を有するマスク材料から作製される。したがって、当然のことながら、一実施形態では、フィルムは、空気および溶剤蒸気に対して透過性である。一実施形態では、フィルムはまた、塗料、水、および溶剤に対して不透過性である。さらに、当然のことながら、フィルムは、被覆物がはげることなくフィルムに付着することを可能にする特性を含むことができ、被覆物は、塗料またはラッカーとすることができる。一実施形態では、フィルムは非帯電性の特性を有する。
【0043】
図2Aを参照すると、一種の1回のゲート式折畳みが示されている。フィルム20は、部分S1および部分S2を含む。部分S1は、折畳み動作2A1で部分S2に折り重ねられる。この種の折畳みは、「1回折り」という表現で示すこともできる。
図2Bを参照すると、一種の2回のゲート式折畳みが示されている。フィルム30は、部分C1、部分C2、および部分C3を含む。部分C1は、折畳みステップ2B1で部分C2に折り重ねられ、次いで、部分C3が、折畳みステップ2B2で部分C1に折り重ねられる。
【0044】
図3A~4Bを参照すると、航空機機体をマスクするためのフィルムの実施形態が示されている。図示した実施形態では、フィルムは長方形である。当然のことながら、機体は、航空機のタイプに応じて様々な寸法を有し、したがって、フィルムは、長方形または他の形状とすることができる。やはり同然のことながら、単一層を有するフィルムを使用することができ、いくつかの層を有するフィルムも、機体などの航空機構成要素をマスクするために使用することができる。図示した実施形態では、下記に説明するように、折り目は、折畳みのタイプに応じて、フィルムの互いに折り重ねられる部分を画定する。したがって、各部分の形状およびサイズは、折り目の位置によって決まる。
図3Aに示す実施形態のフィルムのコンパクト化のタイプは、機体上でのフィルムの展開を容易にするためにアコーディオン式折畳みであり、一人または二人の人間がフィルムを展開することが可能である。このフィルムの実施形態のコンパクト化は、3つのステップで行われる。最初に、フィルム40の長手部分が、フィルムの最初の長手寸法と比較してより小さい積み重ねフィルム(
図3Bを参照のこと)を形成するように、折り目F1~F5に沿ってアコーディオン式に折り畳まれる。次いで、フィルム40の横部分が、下記に説明するようにコンパクトにまとめられる。
【0045】
図3Bは、長手方向に折り畳まれた後の
図3Aのフィルムを示している。横折畳み動作に対して、フィルム40の左手部分の各部分および折り目は、「L」で示され、一方、フィルムの右手部分の各部分および折り目は、「R」で示されている。折り目の順序は、数字1L、2L、3Lなどで示されている。左手部分は、DL、CL、BL、およびALで特定され、右手部分は、DR、CR、BR、およびARで特定され、一方、折り目は、平面図の左手部分に対して1L、2L、3L、および4Lで示され、平面図の右手部分に対して1R、2R、3R、および4Rで示されている。当然のことながら、折畳み部分、したがって折り目の数量は変えることができる。
【0046】
図3B、3Cを参照すると、アコーディオン式折畳みの第1のステップは、フィルム40の右手部分に対して、折り目IRを使用して、部分BRを方向Lで部分ARに折り重ね、折り目2Rを使用して、部分CRを方向Lで、すでに積み重ねられた部分BR、ARに折り重ね、折り目3Rを使用して、部分DRを方向Lで積み重ね済み部分CR、BR、ARに折り重ねることからなる。フィルム40の左手部分に対して、一連のアコーディオン折畳み動作は、折り目1Lを使用して、部分BLを方向Rで部分ALに折り重ね、折り目2Lを使用して、部分CLを方向Rで部分BL、ALに折り重ね、最後に、折り目3Lを使用して、部分DLを方向Rで積み重ね済み部分CL、BL、ALに折り重ねることからなる。方向L、Rの折畳みは、二人の人間で同時に行うことができ、これは、フィルム40のコンパクト化時間を短縮する。
図3Bの平面図に示す部分DL、CL、BL、ALおよび部分DR、CR、BR、ARの折畳み動作の結果が、左の部分折畳み部LSFおよび右の部分折畳み部RSFとして
図3Cに示されている。
図3Cに示す、部分的にコンパクト化したフィルム40の実施形態に対して、2つの部分折畳み部LSF、RSFは、包装し、包装を解き、航空機構成要素上で展開する準備のできたコンパクト化済みフィルム(
図3D)を形成する最後の1回の折畳み動作を行うための準備ができた状態で横に並んでいる。最後の1回の折畳みは、
図3Dに示すコンパクト化済みフィルム40を得るために、右の部分折畳み部RSFを折り目0R、0Lに沿って左の部分折畳み部LSFに折り重ねる(
図3B)ことからなる。当然のことながら、最後の1回の折畳みは、左の部分折り重ね部LSFを折り目0R、0Lに沿って右の部分折り重ね部RSFに折り重ねることで行うこともできる。図示した実施形態では、フィルム40は、機体の幾何学形状に応じて、フィルム40の位置を案内する位置決めマークN1を含み、マークN1は、航空機のノーズの向きを示している(
図3Aおよび
図3B)。
図3Dに示す実施形態において、最後の折畳みが行われたときに、剛性のガイド要素42を部分折畳み部LSF、RSF間に挿入することで、航空機構成要素上でフィルムを展開するときに、フィルム40の位置を案内することが可能になる。
【0047】
結果として、上記のコンパクト化ステップに従ってコンパクト化したフィルムは、多くの場合、一人の人間によって容易かつ直観的に展開される。完全にコンパクト化したフィルム(
図3D)は、機体の上側部分に置かれ、包装を解かれる(すなわち、その輸送用包装から取り出される)。他方の部分折畳み部の上に重なった部分折畳み部(LSFまたはRSF)が開かれ、
図3Cに示すフィルムの構成になる。次いで、2つの部分LSF、RSFは、それらのそれぞれの端部(部分DL、DR)が、重力によって落下し、フィルムの横部分の全て(AL~DLおよびAR~DR)が展開された
図3Bの構成に従って、機体の両側で垂れ下がるように展開される。したがって、フィルム40は、機体の横方向T
f(
図1A)に展開される。
【0048】
次いで、
図3Bに従って部分的に展開されたフィルムの前部部分、すなわち、
図3Aおよび
図3Bの矢印および文字N1で示す「ノーズ」が、接着テープまたは他の任意の一時的固定手段を用いて、機体に部分的に固定され、次いで、フィルムの後部部分が、航空機の後部の方を向いた人間によって、機体の長手方向L
f(
図1A)に展開される。フィルムは、
図3Aに示すフィルムの最初の外観に戻すために展開される。このようにして完全に展開されたフィルムは、仕上げ作業のために機体に巻かれて機体に固定される。
【0049】
図4Aおよび
図4Bを参照すると、大型の航空機構成要素をマスクするためのフィルムの場合、包装物、すなわち、コンパクト化され、包装されたフィルムの嵩を小さくして、このフィルムの輸送を容易にするために、多くの場合、複数の折畳みがある。図示した実施形態によれば、アコーディオン式およびゲート式の折畳みによるフィルム40のコンパクト化は、第1に、フィルムの3つの部分、すなわち、部分AL、BLを含む左手部分と、中央部分CTと、部分AR~DRを含む右手部分とを必要とする。まず第1に、アコーディオン式折畳みが、部分BLを方向Rで部分ALに折り重ねることで行われる(1回の折畳み)。部分DR、CR、BR、ARがアコーディオン式に折り畳まれる、すなわち、部分BRは、部分ARに折り重ねられ、部分CRは、部分BRに折り重ねられ、部分DRは、部分CRに折り重ねられる。当然のことながら、折畳みの回数およびフィルムの各部分の数量は、構成要素のサイズに応じて変わる。
【0050】
図4Bを参照すると、次に、2回のゲート式折畳みが、示すように、(部分AR~DRを含む)右手部分を方向L(
図4A)で折り目L1に沿って中央部分CTに折り重ね、(部分AL、BLを含む)左手部分を方向Rで(
図4A)折り目L2に沿って右手部分に折り重ねることで、またはその逆に、左手部分を方向Rで中央部分CTに折り重ね、右手部分を方向Lで左手部分に折り重ねることで行われる。この実施形態は、航空機機体をマスクするためのフィルム40のコンパクト化に関するが、当然のことながら、水平安定板、垂直安定板、または翼などの他の航空機構成要素をマスクするためのフィルムも、上記の折畳みタイプおよび一連の折畳み動作に従ってコンパクトにまとめることができる。
【0051】
図5~8Bを参照すると、航空機翼をマスクするためのフィルムの実施形態が示されている。図示した実施形態では、フィルムは、マスクされる航空機翼の形状と実質的に同じ初期形状を有する。当然のことながら、翼は、航空機のタイプに応じて、様々な寸法および様々な形状を有し、したがって、フィルムは、
図5に示すフィルムの形状と異なる初期形状を有する。
図5に示すフィルム50は、航空機翼およびその補助翼(すなわち、翼の外側端にある)の一部を覆う略円錐形状を有する。
図5は、平坦化された、すなわち、2次元であり、したがって、2つのフィルム層、すなわち、翼の上部を覆うのに使用されるフィルム層と、翼の底部を覆うのに使用されるフィルム層とを含む円錐フィルムの平面図である。フィルムは、3つの封止端を含み、そのため、円錐チューブを形成し、したがって、翼上で展開されたときに、翼のうちの前縁に沿って延びる側と、翼のうちの補助翼に沿って延びる側と、翼端に沿って延びる側とを覆う。当然のことながら、代替の実施形態では、フィルムは、1つの封止端、例えば、翼の前縁に沿って延びる端部を含む。別の代替実施形態では、フィルムは、2つの封止端を含み、したがって、長手方法両端、すなわち、翼付根および翼端に対応する開放端にチューブ開口を形成する。
図6A~6Eに示す実施形態では、フィルムは、入れ子式折畳みによってコンパクトにまとめられる。折り目は、
図5において、F1、F2、F3、F4、F5、F6によって示され、フィルムをその長手部分に沿ってコンパクトにまとめることを可能にする。各部分は、T1、T2、T3、T4、T5、T6、T7として示されている。
【0052】
図5のフィルム50に基づく一連の入れ子式折畳みステップが、
図6A~6Eに示されている。最初のステップは、折り目F6を使用して、補助翼に対応する部分T7(
図5)を方向D1で部分T6の内側に部分的に折り込むことからなる。次いで、部分T6、T7が部分T5に折り込まれ(折り線F5)、部分T5、T6、T7が部分T4に折り込まれ(折り線F4)、以下、部分T1、T2、T3、T4、T5、T6、T7の全てが(部分的に)重なり(
図6E)、平行四辺形を形成する各部分の積み重ね体を形成し、部分T7、すなわち、スリーブの端部が平行四辺形の外縁の外に若干突出するまで同様である。上記のように、フィルムの長手部分は、入れ子式折畳みによってコンパクトにまとめられる。図示した実施形態では、平行四辺形、すなわち、各部分の積み重ね体は、
図5に平坦な状態で示すフィルムの初期長手寸法に実質的に垂直に延びるベース部を有する。
【0053】
図6A~6Cに示す実施形態に対する代替の実施形態(図示せず)では、入れ子式折畳みは、方向D1と反対の折畳み方向で行われ、したがって、部分T1が、折り目F1を使用して部分T2に折り込まれ、次いで、部分T1、T2が、折り目F2を使用して部分T3に折り込まれ、以下同様である。
【0054】
図7を参照すると、包装前の最後の折畳みステップの前に、部分的にコンパクトにまとめられた
図5~6Eのフィルムが示されている。翼の外側先端部分に対応する(すなわち、補助翼を含む)フィルム50の部分T7(
図5)は、
図7では101で示され、一方、フィルムの右手部分は「R」を含み、左手部分は「L」を含む。左手部分は、ILおよびHLで特定され、右手部分は、HR、IR、JR、KRおよびLRで特定されている。中央部分CEは、左手部分と右手部分との間に配置されている。こうして、左手部分および右手部分は、左手部分の折り線5L、5Hと右手部分の折り線5R~9Rとを使用してアコーディオン式に折り畳まれ、当然のことながら、折畳み部分の数量、したがって、折り目の数量は、様々な実施形態に応じて変わる。
【0055】
図8Aおよび
図8Bを参照すると、航空機翼をマスクすることを意図され、
図7に示すようにコンパクトにまとめられたフィルム50の代替実施形態が示されており、この場合に、右手部分および左手部分は、複数の巻き式折畳みによって、すなわち、ILを方向RでHLに折り重ね、方向LでLRをKRに折り重ね、次いでJRに、次いでIRに、最後にHRに折り重ねることでコンパクトにまとめられる(
図8A)。次いで、左手部分および右手部分は、折り目H1に沿った1回の巻き式折畳みによって中央部分CEに折り重ねられて、積み重ねフィルムを形成する(
図8B)。このフィルムのコンパクト化の最後のステップとして、例えば、フィルムのスリーブの端部部分を
図8Bの積み重ね体に折り重ねて、航空機仕上げセンタに送るために袋に入れる準備のできたコンパクト化フィルムを形成する。
【0056】
図6Dおよび
図6Eに示す実施形態では、ガイド要素70が
図7のスリーブ101に対応するフィルムの端部でフィルム50の内部に挿入され、このガイド要素70は、補助翼の寸法に実質的に合致し、フィルム50の部分T7の形状に実質的に合っている。下記に説明するように、ガイド要素は、マスクされる航空機構成要素上でフィルムを位置決めし、展開ステップで、人が構成要素上でフィルムを展開するのを支援するために使用される。
【0057】
フィルムが航空機構成要素上で展開されるときに、フィルムが袋から取り出され、積み重ねたフィルムが構成要素に置かれると、コンパクト化ステップの逆のステップが実施される。積み重ねたフィルムは、位置決めマークN100を使用して、マスクされる構成要素上の適切な位置に、すなわち、航空機ノーズコーンの場合に、ノーズの上側部分に配置され、位置決めマークN100の例が
図9A、
図9Bに示されている。
図9Aおよび
図9Bでは、マークは、「ノーズ」という文言と、航空機ノーズの向きを示す矢印とを含む。マークは、航空機構成要素の幾何学的特徴部に対するフィルムの位置決めを可能にする。当然のことながら、マークは、1つまたは複数の矢印、「ノーズ」などの航空機構成要素の一部分の名前、または「左」、「右」、「上部」などの向きを含むことができる。やはり当然のことながら、フィルムおよびガイド要素を含むキットを使用することができ、ガイド要素は、構成要素上でフィルムを展開するための一連の動作の最初のステップを支援する。
【0058】
したがって、
図5に示す翼をマスクするフィルムに対して、まず第1にフィルム50を翼端に配置することで展開が行われる。積み重ね体の上部に折り重ねられたスリーブ101の端部は、積み重ね体の残りの部分が必ずしも展開されることなく最初に展開され、補助翼の外側先端部に嵌め込まれる。次いで、積み重ね体のゲート式または巻き式折畳みが翼の両側で、すなわち、重力の効果を受けて展開され、2つの部分折畳み部分は、翼の両側で垂れ下がることができる。したがって、フィルムは、翼の横方向T
w(
図1B)に展開される。
【0059】
フィルム50を翼端上で位置決めした後、フィルムを機体に向かって翼の長手方向L
w(
図1B)に引張り、入れ子式折畳みを開くことでフィルムが展開される。したがって、フィルムは、手を包む手袋のように、翼の上下両方で展開される。フィルムで包まれる最初の要素は、補助翼を含む翼の端部である。当然のことながら、このタイプのフィルムおよび展開方法は、翼以外の航空機構成要素、例えば、安定板または垂直安定板に適用することもできる。
【0060】
上記のように、ガイド要素70は、フィルムを翼上で位置決めする助けとするために、フィルムのコンパクト化時にスリーブ101に挿入される。展開時に、ガイド要素70は、次に翼上で展開するために、積み重ね体内において、コンパクト化したフィルムを補助翼の先端に嵌め込むための折畳み部の位置を特定することを可能にする。このガイド要素はまた、展開時に実施される最初の開きステップを示すこともできる。例えば、フィルムの2つの部分を展開するステップのために、ガイド要素は、航空機構成要素の両側で展開されるフィルムの中央部分、例えば、
図7の部分CEに挿入される。ガイド要素は剛性であり、フィルムに対する対比色であるのが好ましい。当然のことながら、ガイド要素は、ボール紙から作製することができる。やはり当然のことながら、ガイド要素は、可撓性とすることができる。
【0061】
図6Dおよび
図6Eに示す実施形態では、航空機構成要素をマスクするためのフィルム50と、次にフィルム50を構成要素上で展開するために、フィルム50とひとまとめにされたガイド要素70とを含むキット60が供給される。
【0062】
航空機構成要素をマスクするためのフィルムの別の実施形態は、コアに巻き付けることでフィルムをコンパクトにまとめることからなる。この種のコンパクト化は、フィルムをその横部分または長手部分で円形コアに巻き付けることからなる。あるいは、フィルムの別の実施形態は、コアなしで、フィルム自体を支えにしてフィルムを巻き付けることでコンパクトにまとめる。当業者には、折畳みおよび/または巻付けのタイプは、当該フィルムパターンの形状および寸法(長さ、幅、1つの層、またはチューブ(2層))に応じて選択することができると分かるであろう。
【0063】
上記のように、マスク用フィルムのコンパクト化は、包まれる航空機構成要素の形状および寸法に基づいたフィルムのパターンに応じて、いくつかのタイプの折畳みまたは巻付けを組み合わせて実施される。当業者には、航空機構成要素が主に大型の要素であり、したがって、課題は、フィルムの安全で最適な包装および輸送のためのフィルムのコンパクト化だけでなく、航空機構成要素に損傷(例えば、擦り傷)を引き起こすことなく、構成要素をマスクし、フィルムを構成要素から取り外すのに要する時間を最適化するための、構成要素自体上でのフィルムの方法論的展開でもあると分かるであろう。
【0064】
大型の航空機翼を包み、保護する一実施形態では、フィルムは、その横部分に対するアコーディオン式および/またはゲート式および/または巻き式折畳み動作によってコンパクトにまとめられる。次いで、フィルムは、その長手部分に対してコアに巻き付けられる。当然のことながら、代替の実施形態では、フィルムは、コアなしで、長手部分をフィルム自体を支えにして巻き付けることでコンパクトにまとめられる。やはり当然のことながら、これらのコンパクト化モードは、小型の航空機構成要素をマスクするように構成することができる。
【0065】
大型の航空機翼を包み、保護する一実施形態では、フィルムは、フィルムの長手部分に対する入れ子式折畳み動作によってコンパクトにまとめられる。次いで、フィルムは、その横部分に対する巻き式折畳み、および/またはアコーディオン式折畳み、および/またはゲート式折畳み動作によってコンパクトにまとめられる。
【0066】
航空機の水平安定板または垂直安定板を包み、保護する一実施形態では、フィルムは、その長手部分に対する入れ子式折畳み動作によってコンパクトにまとめられる。次いで、フィルムは、その横部分に対する巻き式またはアコーディオン式折畳み動作、あるいはフィルム自体を支えとして巻き付ける、またはコアに巻き付ける動作によってコンパクトにまとめられる。
【0067】
航空機構成要素をマスクするためのフィルムの別の実施形態では、位置決めマークは、フィルムの片面または両面に1つまたは複数のテープを含む。
図10Aおよび
図10Bに示すように、これらのテープP100は、ミシン目を形成する穴あきドットP102を含むことができる。したがって、航空機構成要素上でフィルムを展開した人は、フィルムの引き剥がし可能なセグメントを形成するためのミシン目に沿ってフィルムを引き裂くことができ、こうして、下記に説明するように、航空機の特定要素を覆う、かつ/または囲むことを可能にする。特定のセグメントはまた、特定の構成要素の近くでの展開時に、フィルムから完全に引き剥がして廃棄することもできる。当然のことながら、テープは、色付き、不透明、半透明とすることができるし、または印刷することもできる。
【0068】
図10Aに示すように、フィルムは、展開時に、アンテナ、安定板ベース部、三脚支持体、または他の装備などの航空機構成要素を囲む、または通すために引き裂かれて、フィルムの一部が切り離される。ミシン目はまた、航空機構成要素と航空機構成要素の幾何学的特徴とに応じて、所定の寸法および位置の、例えば、ドア用の開口をフィルム内に刃具を使用することなく作製することを可能にする。
図10Bに示すように、フィルム部分は、フィルムの引き裂きを制御するために、穴あきテープの両側のいずれの側でも反対方向に引っ張られる。こうして、テープの内側に配置された、引き裂かれた長方形部分は、フィルムが航空機構成要素上で展開されるときに、航空機のドアにアクセスするために除去されるか、押しやられるか、または持ち上げられる。
【0069】
上記に説明したように、および当業者には明らかなように、当然のことながら、フィルムは、いくつかの折畳みステップで、または単一の折畳みステップでコンパクトにまとめることができる。ステップの組み合わせは、入れ子式折畳み、アコーディオン式折畳み、およびゲート式折畳みを含むことができる。別の組み合わせは、入れ子式折畳み、巻き式折畳み、およびゲート式折畳みを含むことができる。別の組み合わせは、ゲート式折畳みおよびコアへの巻付けを含むことができる。別の組み合わせは、第1の方向でのアコーディオン式折畳みと、第2の方向でのアコーディオン式折畳みと、ゲート式折畳みとを含むことができる。別の組み合わせは、アコーディオン式折畳みおよびコアへの巻付けを含むことができる。
【0070】
さらに、上記に説明および記載したように、フィルムおよびキットの実施形態は、特定の幾何学構成であるが、これらの構成要素および幾何学形状の一部のみが不可欠であり、したがって、それらのほとんどは限定するものと解釈してはならない。当業者には明らかなように、他の構成要素およびそれらの構成要素間の係合、さらには他の幾何学構成は、上記に簡単に説明したように、および当業者が推測できるように、フィルムおよびキットのために使用することができる。さらに、当然のことながら、「上の」、「下の」、「左手の」、および「右手の」などの説明のための位置、ならびに他の同様の位置については、別途指定されない限り、図に照らして解釈されなければならず、限定するものとみなしてはならない。
【0071】
いくつかの代替の実施形態および例が、上記に説明され、示された。上記に説明した本発明の実施形態は単なる例である。当業者は、個々の実施形態の特徴を構成要素の可能な組み合わせおよび変形型と共に理解するであろう。当業者はまた、上記の他の実施形態と任意に組み合わせて、任意の実施形態を実現できると分かるであろう。当然のことながら、本発明は、本発明の趣旨または主要な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で実現することができる。説明した例および実施形態は、全ての態様において例示的かつ非限定的であるとみなされなければならず、本発明は提示した細部に限定されない。したがって、特定の実施形態が示され、説明されたが、本発明の趣旨から逸脱することのない様々な修正形態が明らかになる。このため、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定される。