(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】潤滑油組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C10M 159/12 20060101AFI20220203BHJP
C10M 177/00 20060101ALI20220203BHJP
C10M 125/02 20060101ALN20220203BHJP
C10M 127/00 20060101ALN20220203BHJP
C10M 129/16 20060101ALN20220203BHJP
C10M 137/04 20060101ALN20220203BHJP
C10M 129/68 20060101ALN20220203BHJP
C10M 135/20 20060101ALN20220203BHJP
C10M 155/02 20060101ALN20220203BHJP
C10N 70/00 20060101ALN20220203BHJP
C10N 30/06 20060101ALN20220203BHJP
C10N 40/04 20060101ALN20220203BHJP
C10N 40/08 20060101ALN20220203BHJP
C10N 40/30 20060101ALN20220203BHJP
C10N 40/22 20060101ALN20220203BHJP
C10N 40/24 20060101ALN20220203BHJP
C10N 40/20 20060101ALN20220203BHJP
C10N 40/02 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
C10M159/12
C10M177/00
C10M125/02
C10M127/00
C10M129/16
C10M137/04
C10M129/68
C10M135/20
C10M155/02
C10N70:00
C10N30:06
C10N40:04
C10N40:08
C10N40:30
C10N40:22
C10N40:24
C10N40:20
C10N40:20 A
C10N40:02
(21)【出願番号】P 2019551190
(86)(22)【出願日】2018-10-24
(86)【国際出願番号】 JP2018039454
(87)【国際公開番号】W WO2019082917
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2020-03-30
(31)【優先権主張番号】P 2017206645
(32)【優先日】2017-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(72)【発明者】
【氏名】門田 隆二
(72)【発明者】
【氏名】高 宇
(72)【発明者】
【氏名】近藤 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】栗谷 真澄
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-014192(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103396865(CN,A)
【文献】特開2017-101169(JP,A)
【文献】特開2006-131874(JP,A)
【文献】米国特許第05462680(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M 101/00-177/00
C10N 10/00- 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基油と、フラーレン付加体と、を含み、
前記フラーレン付加体が、
1,2,4-トリメチルベンゼン、クメン、エーテル結合を有する第一化合物、エステル結合を有する第二化合物、リン酸エステル結合を有する第三化合物、ジスルフィド結合を有する第四化合物、フェノール性水酸基を有する第五化合物、及びシリコーンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物(AC)をフラーレンに付加した化合物であり、
前記第一化合物
が、トリプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラヒドロフラン、及びジ-p-トリルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記第二化合物
が、酢酸オクチ
ルである
潤滑油組成物。
【請求項2】
前記フラーレンが、C
60及びC
70を含む混合物である請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項3】
さらに、前記基油とは異なる油を含む請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種の化合物(AC)が、メチルフェニルシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、ヒドロキシクメン、リン酸トリクレジル、ジベンジルジスルフィド、ジ-p-トリルジスルフィド、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、ビス(3、5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、
及び2,4,6-トリブチルフェノー
ルからなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1~3のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の潤滑油組成物の製造方法であって、
基油とフラーレンとを混合し、前記フラーレンの溶解成分を前記基油中に溶解し、前記基油と前記フラーレンとの混合物を得る工程と、
前記混合物を大気中より低酸素雰囲気下で熱処理する工程と、を含む潤滑油組成物の製造方法。
【請求項6】
さらに、前記混合物に前記フラーレンと反応する反応性成分を添加する工程を含む請求項5に記載の潤滑油組成物の製造方法。
【請求項7】
さらに、前記混合物を前記基油または前記基油とは異なる油で希釈する工程を含む請求項5または6に記載の潤滑油組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油組成物及びその製造方法に関する。
本願は、2017年10月25日に、日本に出願された特願2017-206645号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速化、高効率化、省エネルギーに伴い、自動車、家電、工業機械等に使用される潤滑油の性能向上が強く求められている。その用途に適するように特性を改善するために、潤滑油には、酸化防止剤、極圧添加剤、錆び止め添加剤、腐食防止剤等様々な添加剤が配合されている。一方、安全性の点から、高引火点を有する潤滑剤が求められている。
【0003】
これらの要求に応えるため、低フリクション、トルクアップ、省燃費化といった複数の性能を同時に改善するため、鉱物油やエステル油等の潤滑基油に、ナノカーボン粒子であるフラーレン、有機溶媒、粘度指数向上剤、摩擦調整剤、清浄分散剤を配合したエンジン潤滑油用添加剤組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、冷媒圧縮機の摺動部を潤滑させる冷凍機油に、直径が100pmから10nmのフラーレンを添加することにより、冷媒圧縮機の摩擦や摩耗を抑制する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-266501号公報
【文献】国際公開第2017/141825号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載された発明では、耐摩耗性の向上という点において、充分な効果が得られなかった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、耐摩耗性を向上する潤滑油組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]基油と、フラーレン付加体と、を含む潤滑油組成物。
[2]前記フラーレン付加体が、炭化水素、エーテル結合を有する化合物、エステル結合を有する化合物、リン酸エステル結合を有する化合物、ジスルフィド結合を有する化合物、フェノール水酸を有する化合物及びシリコーンから選ばれる少なくとも1種の化合物がフラーレンに付加した化合物である[1]に記載の潤滑油組成物。
[3]前記フラーレンが、C60及びC70を含む混合物である[2]に記載の潤滑油組成物。
[4]さらに、前記基油とは異なる油を含む[1]~[3]のいずれかに記載の潤滑油組成物。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の潤滑油組成物の製造方法であって、基油とフラーレンとを混合し、前記フラーレンの溶解成分を前記基油中に溶解し、前記基油と前記フラーレンとの混合物を得る工程と、前記混合物を大気中より低酸素雰囲気下で熱処理する工程と、を含む潤滑油組成物の製造方法。
[6]さらに、前記混合物に前記フラーレンと反応する反応性成分を添加する工程を含む[5]に記載の潤滑油組成物の製造方法。
[7]さらに、前記混合物を前記基油または前記基油とは異なる油で希釈する工程を含む[5]または[6]に記載の潤滑油組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐摩耗性を向上する潤滑油組成物及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1及び比較例1における加熱時間とフラーレンC
60の濃度との関係を示す図である。
【
図2】実施例1~実施例42及び比較例1~比較例41において、高温耐摩耗性の評価に用いられるチャック装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した潤滑油組成物及びその製造方法の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0012】
[潤滑油組成物]
本実施形態の潤滑油組成物は、基油と、フラーレン付加体と、を含む。
【0013】
(基油)
本実施形態の潤滑油組成物に含まれる基油は、特に限定されるものではなく、通常、潤滑油の基油として広く使用されている鉱油及び合成油が好適に用いられる。
【0014】
潤滑油として用いられる鉱油は、一般的に、内部に含まれる二重結合を水素添加により飽和して、飽和炭化水素に変換したものである。このような鉱油としては、パラフィン系基油、ナフテン系基油等が挙げられる。
【0015】
合成油としては、合成炭化水素油、エーテル油、エステル油等が挙げられる。具体的には、ポリα-オレフィン、ジエステル、ポリアルキレングリコール、ポリアルファオレフィン、ポリアルキルビニールエーテル、ポリブテン、イソパラフィン、オレフィンコポリマー、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジイソデシルアジペート、モノエステル、二塩基酸エステル、三塩基酸エステル、ポリオールエステル(トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール2-エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)、ジアルキルジフェニルエーテル、アルキルジフェニルサルファイド、ポリフェニルエーテル、シリコーン潤滑油(ジメチルシリコーン等)、パーフルオロポリエーテル、1,2,4-トリメチルベンゼン等が好適に用いられる。これらの中でも、ポリα-オレフィン、ジエステル、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキルビニールエーテル、1,2,4-トリメチルベンゼンがより好適に用いられる。
【0016】
これらの鉱油や合成油は、1種を単独で用いてもよく、これらの中から選ばれる2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
【0017】
(反応性成分)
フラーレン付加体は、反応性成分がフラーレンに化学結合してなる。フラーレン付加体は、炭化水素、エーテル結合を有する化合物、エステル結合を有する化合物及びシリコーンから選ばれる少なくとも1種の化合物がフラーレンに付加した化合物であることが好ましい。
反応性成分は、潤滑油(鉱油、合成油)と溶解性の点で親和性が高い化合物であることが好ましい。
【0018】
反応性成分は、潤滑油と溶解性の点で親和性が高いという点では、潤滑油の主成分と構造が類似する化合物であることがさらに好ましい。
さらに、製造のし易さの観点から、反応性成分は、鉱油や合成油に含まれる成分であることが好ましく、また、約200℃以下でフラーレンに化学結合する化合物であることが好ましい。
潤滑油が鉱油である場合、反応性成分としては、例えば、パラフィン、オレフィン、ナフテン、芳香族等の炭化水素が好ましい。潤滑油が合成油である場合、反応性成分としては、例えば、ポリエーテル、ポリエステル等の骨格を有する化合物が好ましい。これらの反応性成分は、一般に、潤滑油の副生成物あるいは不可避不純物として、潤滑油に少量含まれている。
【0019】
また、反応性成分は、約200℃以下でフラーレンに化学結合させるという点では、例えば、側鎖や環を有する飽和炭化水素、ジエン、芳香族等の不飽和炭化水素、環を複数有する芳香族、アルキル側鎖を有する芳香族、エーテル結合を有する化合物、エステル結合を有する化合物、リン酸エステル結合を有する化合物、ジスルフィド結合を有する化合物、フェノール水酸を有する化合物、シリコーンが好ましい。
【0020】
このような反応性成分としては、具体的には、直鎖または分岐した炭化水素(例えば、ヘキサン、デカン、シクロヘキサン、イソブタン、デカリンなど)、不飽和2重結合を有する炭化水素(例えば、ヘキサセン、ペンタセン、シクロヘキセン、デセン、テレピン油、テルペン誘導体、α-オレフィンなど)、アルキルを有する芳香族炭化水素(例えば、ドデシルベンゼン、ヘキサベンゼン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、クメン、メチルナフタレン、アントラセン、ブタセン、ヘキサセンなどの多環芳香環の炭化水素など)、エーテル結合を有する化合物(例えば、トリプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラヒロドフランなど)、エステル基を有する化合物(例えば、酢酸エチル、酢酸オクチルなど)、γ-ブチロラクトンや脂肪(脂肪酸グリセリンエステル)、リン酸エステル結合を有する化合物(例えば、リン酸トリクレジル(TCP)、リン酸トリフェニル(TPP)、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール(DTP)など)、ジスルフィド結合を有する化合物(例えば、ジベンジルジスルフィド(DBDS)、ジ-p-トリルジスルフィド(DTDS)など)、フェノール水酸を有する化合物(例えば、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、2,6-ブチルフェノール(DTP)、ビス(3、5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン(BDBA)、2,4,6-トリブチルフェノール(TBP)など)、ジアゾ化合物、シリコーン、等が挙げられ、さらに、これらの組み合わせが挙げられる。これらの化合物は、基油中で加熱することによりラジカルを発生し、フラーレンと反応して、フラーレン付加体を形成すると考えられる。
【0021】
前記反応性成分がフラーレンに化学結合(付加)してフラーレン付加体を形成する。このようなフラーレン付加体では、フラーレン骨格の表面に上記の反応性成分の分子(基)が存在する。したがって、フラーレン付加体は、その表面に存在する反応性成分より得られる基により、潤滑油との親和性に優れる。よって、潤滑油組成物がフラーレン付加体を含むことにより、機械の摺動部等に対する、潤滑油組成物の浸透性を向上することができる。すなわち、機械の摺動部等にフラーレン付加体が存在することにより、フラーレン付加体との親和性が高い基油が機械の摺動部等に浸透し易くなる。その結果、機械の摺動部等における耐摩耗性を向上することができる。
【0022】
反応性成分がフラーレンに化学結合して、フラーレン付加体を形成していることは、液体クロマトグラフィー質量分析法(Liquid Chromatography Mass Spectrometry、LC-MS)により確認することができる。
【0023】
(フラーレン)
本実施形態の潤滑油組成物に含まれるフラーレンは、構造や製造法が特に限定されず、種々のものを用いることができる。フラーレンとしては、例えば、比較的入手しやすいC60やC70、さらに高次のフラーレン、あるいはそれらの混合物が挙げられる。フラーレンの中でも、前記基油への溶解性の高さの点から、C60及びC70が好ましく、前記基油への着色が少ない点から、C60がより好ましい。C60とC70の混合物の場合は、C60が50質量%以上含まれることが好ましい。
【0024】
(添加剤)
本実施形態の潤滑油組成物は、本実施形態の効果を損なわない範囲で、添加剤を含有することができる。
本実施形態の潤滑油組成物に配合する添加剤は、特に限定されない。添加剤としては、例えば、市販の酸化防止剤、粘度指数向上剤、極圧添加剤、清浄分散剤、流動点降下剤、腐食防止剤、固体潤滑剤、油性向上剤、錆び止め添加剤、抗乳化剤、消泡剤、加水分解抑制剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
添加剤としては、芳香族環を有するものがより好ましい。
芳香族環を有する酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、2,6-ブチルフェノール(DTP)、ビス(3、5-ジブチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン(BDBA)、2,4,6-トリブチルフェノール(TBP、3-アリールベンゾフラン-2-オン(ヒドロキシカルボン酸の分子内環状エステル)、フェニル-α-ナフチルアミン、ジアルキルジフェニルアミン、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
芳香族環を有する粘度指数向上剤としては、例えば、ポリアルキルスチレン、スチレン-ジエンコポリマーの水素化物添加剤等が挙げられる。
芳香族環を有する極圧添加剤としては、ジベンジルジサルファイド、アリルリン酸エステル、アリル亜リン酸エステル、アリルリン酸エステルのアミン塩、アリルチオリン酸エステル、アリルチオリン酸エステルのアミン塩、ナフテン酸等が挙げられる。
芳香族環を有する清浄分散剤としては、ベンジルアミンコハク酸誘導体、アルキルフェノールアミン類等が挙げられる。
芳香族環を有する流動点降下剤としては、塩素化パラフィン-ナフタレン縮合物、塩素化パラフィン-フェノール縮合物、ポリアルキルスチレン系等が挙げられる。
芳香族環を有する抗乳化剤には、アルキルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。
芳香族環を有する腐食防止剤としては、ジアルキルナフタレンスルホン酸塩等が挙げられる。
【0026】
本実施形態の潤滑油組成物は、上記の基油とは異なる油を含んでいてもよい。
【0027】
本実施形態の潤滑油組成物は、後述する潤滑油組成物の製造方法により製造することができる。
【0028】
本実施形態の潤滑油組成物によれば、基油と、フラーレン付加体と、を含むため、耐摩耗性を向上することができる。
【0029】
本実施形態の潤滑油組成物は、工業用ギヤ油;油圧作動油;圧縮機油;冷凍機油;切削油;圧延油、プレス油、鍛造油、絞り加工油、引き抜き油、打ち抜き油等の塑性加工油;熱処理油、放電加工油等の金属加工油;すべり案内面油;軸受け油;錆止め油;熱媒体油等の各種用途に使用することができる。
【0030】
[潤滑油組成物の製造方法]
本実施形態の潤滑油組成物の製造方法は、上述の本実施形態の潤滑油組成物の製造方法であって、基油とフラーレンとを混合し、フラーレンの溶解成分を基油中に溶解し、基油とフラーレンとの混合物を得る工程(以下、「第一工程」という。)と、基油とフラーレンとの混合物を大気中より低酸素雰囲気下で熱処理する工程(以下、「第二工程」という。)と、を含む。
また、本実施形態の潤滑油組成物の製造方法は、基油とフラーレンとの混合物に含まれる不溶成分を除去する工程(以下、「第三工程」という。)を含んでもよい。また、本実施形態の潤滑油組成物の製造方法は、基油とフラーレンとの混合物に前述の反応性成分を添加する工程(以下、「第四工程」という。)を含んでもよい。さらに、本実施形態の潤滑油組成物の製造方法は、所望の潤滑特性が得られる範囲で、基油とフラーレンとの混合物を上記の基油または上記の基油とは異なる油で希釈する工程(以下、「第五工程」という。)を含んでもよい。
以下、本実施形態の潤滑油組成物の製造方法を詳細に説明する。
【0031】
(第一工程)
原料のフラーレンを基油に投入して攪拌機等の分散手段を用いて、室温付近または必要に応じて加温しながら、好ましくは3時間~48時間、分散処理を施し、基油とフラーレンとの混合物を得る。
原料のフラーレンの仕込み量は、例えば、最終的に調製したい潤滑油組成物のフラーレン濃度を考慮して、計算上、基油に対して所望のフラーレンの濃度が得られるフラーレン量の1.2倍~5倍、より好ましくは1.2倍~3倍とする。上記範囲であれば、所望のフラーレンの濃度を得やすく、かつ、不溶成分の除去がしやすい。
【0032】
前記分散手段としては、例えば、撹拌機、超音波分散装置、ホモジナイザー、ボールミル、ビーズミル等が挙げられる。
【0033】
(第二工程)
第一工程で得た基油とフラーレンとの混合物(以下、「フラーレン溶液」ということもある。)を熱処理し、潤滑油組成物を得る。
なお、第二工程の前に、後述する第三工程で得たフラーレン溶液を上記の基油または上記の基油とは異なる油で希釈する後述する第五工程を行った後、第二工程にて希釈後のフラーレン溶液を熱処理し、潤滑油組成物を得てもよい。また、第二工程は、後述する第三工程の次に行ってもよく、後述する第五工程の次に行ってもよい。
【0034】
第一工程で得られた混合物は、第一工程及び後述する第三工程で大気に曝されるため、内部の酸素濃度が大気中の酸素と平衡状態になっている。そのため、第二工程は、混合物中の酸素濃度を、大気中に放置した状態よりも低下させる操作を含む。好ましくは、混合物中の酸素濃度を、10質量ppm以下とし、より好ましくは5質量ppm以下とし、さらに好ましくは1質量ppm以下とする。その後、酸素濃度を低下させた場合は、フラーレン溶液を、再び大気に触れさせることなく、熱処理する。
【0035】
第二工程では、例えば、下記の4つ方法により、フラーレン溶液中の酸素濃度を低下させた後、酸素濃度を低下させたフラーレン溶液を熱処理する。
【0036】
第一の方法を説明する。
気密可能なステンレス等の金属製容器内に、フラーレン溶液を収容する。
次いで、窒素ガス等の不活性ガスで容器内を置換するか、あるいは、さらに容器内のフラーレン溶液を不活性ガスでバブリングすることにより、フラーレン溶液を不活性ガスと平衡状態にする。
次いで、容器を密閉し、フラーレン溶液と不活性ガスの平衡状態を保ったまま容器を加熱することにより、フラーレン溶液を熱処理する。
第一の方法では、上記の方法により、フラーレン溶液の熱処理を、低酸素雰囲気下で行う。
【0037】
第二の方法を説明する。
気密可能なステンレス等の金属製容器内に、フラーレン溶液を収容する。
次いで、容器を減圧して、フラーレン溶液中の酸素濃度を低下させる。
次いで、容器を密閉し、フラーレン溶液中の酸素濃度を低下させた状態を保ったまま容器を加熱することにより、フラーレン溶液を熱処理する。
第二の方法では、上記の方法により、フラーレン溶液の熱処理を、低酸素雰囲気下で行う。
【0038】
第三の方法を説明する。
気密可能なステンレス等の金属製容器内に、フラーレン溶液を収容する。
次いで、容器を減圧して、フラーレン溶液中の酸素濃度を低下させる。
次いで、窒素ガス等の不活性ガスで容器内を置換するか、あるいは、さらに容器内のフラーレン溶液を不活性ガスでバブリングすることにより、フラーレン溶液を不活性ガスと平衡状態にする。
次いで、容器を密閉し、フラーレン溶液と不活性ガスの平衡状態を保ったまま容器を加熱することにより、フラーレン溶液を熱処理する。
第三の方法では、上記の方法により、フラーレン溶液の熱処理を、低酸素雰囲気下で行う。
【0039】
第四の方法を説明する。
圧縮・冷却コンプレッサー等の圧縮装置や駆動装置を含む気密性のある容器内に、フラーレン溶液を収容する。
次いで、容器内に、フロンガス(F134A、F22等)、炭化水素ガス(イソブタン)、アンモニア等を充填する。
次いで、容器を密閉し、容器を加熱することにより、フラーレン溶液を熱処理する。
第四の方法では、上記の方法により、フラーレン溶液の熱処理を、低酸素雰囲気下で行う。
【0040】
フラーレン溶液の加熱温度が高い程、加熱時間が短くなる。しかしながら、加熱温度が高いと、基油の成分が蒸発しやすい。
そこで、フラーレン溶液の加熱温度の上限は、基油が蒸発して、フラーレン溶液が減少しない温度で行うことが好ましい。ただし、蒸発成分を冷却管等で回収し、フラーレン溶液に戻す操作を行う場合、あるいは、圧力容器内で蒸発を抑えた状態で熱処理する場合には、熱処理温度を基油が蒸発する温度よりも高くすることができる。
フラーレン溶液の加熱温度は、基油の劣化・変質を抑えるために、250℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましい。
【0041】
ただし、混合物の加熱温度が低い程、加熱時間が長くなる。
工業的に潤滑油組成物を製造する場合には、処理時間の観点から加熱温度は、100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましい。
加熱温度が高くなる程、混合物の熱処理が早く進むため、加熱時間が短くなる。
【0042】
フラーレン溶液中の酸素濃度が低い程、フラーレン溶液の熱処理において、基油の熱劣化が抑えられるため、潤滑油組成物の潤滑効果を向上させやすい。
【0043】
フラーレン溶液中の酸素の濃度は、大気中の酸素濃度よりも低いことが好ましく、大気中の酸素濃度の10分の1以下であることがより好ましい。
【0044】
フラーレン溶液中の酸素濃度は、溶存酸素計を用いて測定することができる。
【0045】
第二工程では、フラーレン溶液を熱処理することにより、反応性成分をフラーレンに化学結合させて、フラーレン付加体を形成する。そのため、熱処理後に得られる潤滑油組成物におけるフラーレンの濃度は、熱処理前のフラーレン溶液におけるフラーレンの濃度よりも低くなる。言い換えれば、熱処理により、フラーレン付加体が形成されるので、フラーレンは消費され、その濃度は、熱処理前よりも低くなる。
【0046】
そこで、第二工程において、熱処理後に得られる潤滑油組成物におけるフラーレンの濃度に対し、熱処理前のフラーレン溶液におけるフラーレンの濃度の比(以下、「熱処理前後の濃度比」ということがある。)が80%以下となった時点で、熱処理を終了することが好ましい。熱処理を継続すると、フラーレンの濃度がさらに減少する。第二工程では、熱処理後前後の濃度比が50%以下となった時点で、熱処理を終了することがより好ましい。さらに熱処理を継続すると、フラーレンの濃度は検出できない程度まで減少するが、これを超えて熱処理を継続しても、フラーレン付加体は形成され難い。したがって、熱処理前後の濃度比が、1%以上の時点で熱処理を終了することが好ましく、10%以上の時点で熱処理を終了することがより好ましい。
【0047】
前記フラーレンの濃度は、液体クロマトグラフィー質量分析法(Liquid Chromatography Mass Spectrometry、LC-MS)により確認することができる。反応性成分がフラーレンに化学結合して、フラーレン付加体を形成していることは、質量検出において、フラーレン付加体に相当する質量のピークが現れることで確認することができる。
【0048】
後述する第五工程を経ない場合には、第二工程を終了した時点で、本実施形態の潤滑油組成物が得られる。
【0049】
(第三工程)
第一工程で得られた混合物には、不溶成分として、原料のフラーレン由来等のフラーレンの凝集物等、未溶解のフラーレン、基油の不純物、製造過程で混入した粒子等が含まれる。そのため、その混合物をそのまま用いると、潤滑油組成物と接触している摺動部等が摩耗する等の不具合が生じることがある。そこで、第一工程の後に、基油とフラーレンとの混合物に含まれる不溶成分を除去する第三工程を設けることもできる。なお、第三工程は、第二工程の次に行ってもよく、後述する第五工程の次に行ってもよい。
【0050】
不溶成分を除去した混合物(フラーレン溶液)は、フラーレンの濃度が1質量ppm(0.0001質量%)以上10000質量ppm(1質量%)以下であることが好ましく、1質量ppm(0.0001質量%)以上100質量ppm(0.01質量%)以下であることがより好ましく、5質量ppm(0.0005質量%)以上50質量ppm(0.005質量%)以下であることがさらに好ましい。
フラーレンの濃度が上記範囲であれば、得られる潤滑油組成物において耐摩耗性が発現し、また、フラーレンの劣化によるフラーレンの濃度の低下を補って、長期に渡って耐摩耗性を維持することができる。
【0051】
第三工程としては、例えば、(1)メンブランフィルターを用いた除去工程、(2)遠心分離器を用いた除去工程、(3)メンブランフィルターと遠心分離器を組み合わせて用いる除去工程等が挙げられる。これらの除去工程の中でも、処理時間の点から、少量の溶液を得る場合は(1)メンブランフィルターを用いた除去工程が好ましく、大量の溶液を得る場合は(2)遠心分離器を用いた除去工程が好ましい。
【0052】
(1)メンブランフィルターを用いた除去工程では、例えば、第一工程で得られた混合物を、目の小さいメッシュのフィルター(例えば、0.1μm~1μmメッシュのメンブランフィルター)を用いて濾過し、不溶物除去後の濾液をフラーレン溶液として回収する。濾過時間の短縮を図るには、例えば、吸引濾過することが好ましい。
【0053】
(2)遠心分離器を用いた除去工程では、例えば、第一工程で得られた混合物を遠心分離し、上澄みを不溶物除去後のフラーレン溶液として回収する。
【0054】
(第四工程)
さらに、第一工程後で得られる混合物または第三工程で得られるフラーレン溶液に、前述の反応性成分を添加する第四工程を含むこともできる。
【0055】
第四工程で反応性成分の添加量を調整すること等により、第二工程において、フラーレン付加体の形成を制御することができる。そのため、フラーレン付加体による耐摩耗性をより向上することができる。
【0056】
(第五工程)
さらに、所望の潤滑特性を有する潤滑油組成物を得るために、基油とフラーレンとの混合物を上記の基油または上記の基油とは異なる油で希釈する第五工程を含むこともできる。なお、第五工程は、第二工程の次に行ってもよく、第三工程の次に行ってもよい。
第五工程で用いられる油としては、第一工程で用いた基油と同種類の基油または異種類の基油が挙げられる。
【0057】
第五工程では、第二工程における熱処理を経た基油を除去し、所望の基油で希釈することにより、基油を置換することも含む。
基油を除去する方法としては、例えば、加熱または減圧下で加熱して基油を蒸発させる方法等が挙げられる。
【0058】
第二工程における熱処理を経た基油を除去して、新たに、熱処理を経ていない基油で希釈することにより、熱劣化の少ない潤滑油組成物を得ることができる。
【0059】
本実施形態の潤滑油組成物の製造方法によれば、耐摩耗性を向上することができる潤滑油組成物が得られる。
【0060】
なお、本実施形態の潤滑油組成物の製造方法では、上述の第二工程、第三工程および第五工程を行う順番は限定されず、これらの工程を如何なる順番で行ってもよい。下記の理由から、本実施形態の潤滑油組成物の製造方法では、第三工程、第二工程、第五工程の順に、これらの工程を行うことがより好ましい。
【0061】
基油とフラーレンとの混合物に含まれる不溶成分を除去した後に熱処理すると、フラーレン等が再凝集し難くなる。
不溶成分を除去した後、基油とフラーレンとの混合物には微量の難溶性の成分(特に高次フラーレン)が含まれるが、その混合物を熱処理するとフラーレン濃度が低下する。そのため、その混合物中に難溶性の成分が残存する可能性が低くなる。
基油とフラーレンとの混合物の体積が小さい状態で不溶成分を除去したり、その混合物を熱処理したりすることにより、潤滑油組成物の製造コストを低減することができる。
【0062】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【実施例】
【0063】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0064】
[実施例1]
(潤滑油組成物の調製)
基油として1,2,4-トリメチルベンゼン(TMB、東京化成工業株式会社製)100gと、フラーレン原料(C
60、nanom(登録商標) NP-SUH、フロンティアカーボン株式会社製)0.01g(100mg)と、を混合し、室温でスターラーを用いて3時間撹拌し、基油とフラーレンとの混合物を調製した。なお、1,2,4-トリメチルベンゼンは、フラーレンに化学結合する反応性成分でもある。
次に、得られた混合物を、0.1μmメッシュのメンブランフィルターを通すことで濾過して、フラーレン溶液を得た。得られたフラーレン溶液について、HPLC法でフラーレンの濃度を測定することにより、フラーレンを1060ppm含有していることを確認した。
次に、フラーレン溶液を、250mLの三ツ口ナスフラスコに移し、1つ目の口にリービッヒ冷却管、2つ目の口にシリコン製セプタムキャップ、3つ目の口に窒素導入管を、それぞれ取り付けた。
次に、窒素導入管を通じて、フラスコ内部に毎分0.2Lの流量で窒素を注入し、その状態で10分間放置した。これにより、フラスコ内部を窒素雰囲気とした。
次に、この状態でナスフラスコを140℃のオイルバスに浸漬させて、フラーレン溶液を加熱し、潤滑油組成物Xを得た。
その後、一定時間毎に、セプタムキャップにガラス製シリンジで針を突き刺し、約10mLの潤滑油組成物Xを回収した。
回収した潤滑油組成物Xのフラーレンの濃度を測定した。
加熱開始から12時間後に回収した潤滑油組成物Xについては、フラーレン付加体の確認を行った。
加熱開始から12時間後に回収した潤滑油組成物Xを10g採取し、窒素ガスを吹き付けて、1,2,4-トリメチルベンゼンの一部を蒸発させて1gに濃縮した。
濃縮した1gの潤滑油組成物Xを、鉱油A(製品名:ダイアナフレシアP46、出光興産株式会社製)19gに添加して、潤滑油組成物Yを得た。
フラーレンの濃度の測定は、高速液体クロマトグラフ(アジレント・テクノロジー株式会社製 1200シリーズ)を用い、株式会社ワイエムシィ製カラム YMC-Pack ODS-AM(150mm×4.6)を用い、展開溶媒をトルエンとメタノールの1:1(体積比)混合物とし、潤滑油組成物Xの吸光度(波長309nm)を測定することにより、潤滑油組成物Xのフラーレンの量を定量した。加熱時間とフラーレンC
60の濃度との関係を表1及び
図1に示す。
フラーレン付加体の確認には、液体クロマトグラフィー質量分析計の質量検出装置(アジレント・テクノロジー株式会社製、LC/MS、6120)を用いた。質量700~質量2000の範囲でフラーレン付加体を確認した。なお、フラーレン付加体を確認した場合、表2に「有」と表示し、フラーレン付加体を確認しなかった場合、表2に「無」と表示した。これは本実施例に限らず、他の実施例および比較例でも同様に示した。
【0065】
(耐摩耗性の評価)
得られた潤滑油組成物Yについて、摩擦摩耗試験機(製品名:ボールオンディスクトライボメーター、Anton Paar社製)を用いて、耐摩耗性を評価した。
基板及びボールの材質をSUJ2とした。ボールの直径を6mmとした。
基板の一主面に潤滑油組成物Yを塗布した。
次に、潤滑油組成物Yを介して、基板の一主面上にて、ボールが同心円状の軌道を描くように、ボールを摺動させた。基板の一主面上におけるボールの速度を5mm/秒、ボールによる基板の一主面に対する荷重を25Nとした。基板の一主面上におけるボールの摺動距離が積算15mの時のボール面の擦り面(円形)を光学顕微鏡で観察し、擦り面の直径を測定した。
加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表2に示す。
【0066】
(高温耐摩耗性の評価)
耐摩耗性の評価で用いた摩擦摩耗試験機において、
図2に示すような基板を固定するチャック装置(旋盤等の工作機械にワーク (加工対象) を固定する工具)100にヒータを設置して、チャック装置で固定する基板の温度調整を行えるようにした。
チャック装置の温度を90℃に設定して、耐摩耗性の評価と同様にして、基板の高温耐摩耗性を評価した。
結果を表2に示す。
【0067】
(耐荷重性の評価)
得られた潤滑油組成物Yについて、JIS K 2519-1995「潤滑油-耐荷重能試験方法」に規定される曾田式四球法に準ずる方法により、耐荷重性を評価した。
すなわち、下記の(1)~(5)の手順に従って、潤滑油組成物Yの耐荷重性を評価した。
(1)耐荷重性の測定装置としては、四球式擦機(神鋼造機株式会社製、最大回転数3000rpm、最大垂直荷重20kN、特注品)を用いた。
(2)3つの固定球が浸かるまで、四球式擦機の試料容器内に潤滑油組成物Yを注入した。
(3)回転球に200Nの荷重を加えた状態で、回転球を500rpmで回転させた。この状態を30秒間維持した。
(4)次に、回転球に加える荷重を200N増加して、回転球に400Nの荷重を加えた状態で、回転球を500rpmで回転させた。この状態を30秒間維持した。
(5)このように、30秒毎に荷重を200Nずつ増加し、回転球と固定球とが融着した時点の荷重を耐荷重とした。
結果を表2に示す。
【0068】
[比較例1]
フラスコ内部を窒素雰囲気とせずに、大気雰囲気としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の潤滑油組成物Yを調製した。
また、実施例1と同様にして、一定時間毎に、潤滑油組成物Xのフラーレンの濃度を測定した。加熱時間とフラーレンの濃度との関係を表1及び
図1に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例1の潤滑油組成物Yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例1の潤滑油組成物Yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表2に示す。
【0069】
[比較例2]
熱処理しなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の潤滑油組成物Yを調製した。
また、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例2の潤滑油組成物Yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例2の潤滑油組成物Yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表2に示す。
【0070】
[比較例3]
基油として鉱油A(製品名:ダイアナフレシアP46、出光興産株式会社製)19gと、1,2,4-トリメチルベンゼン(TMB、和光純薬工業株式会社製)1gと、を混合し、混合油を調製した。
また、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表2に示す。
実施例1と同様にして、比較例3の混合油の耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例3の潤滑油組成物Yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表2に示す。
【0071】
[実施例2]
1,2,4-トリメチルベンゼンとフラーレンとの混合物に、鉱油Aを190g添加し、また、1,2,4-トリメチルベンゼンの一部を蒸発させて潤滑油組成物Xを濃縮しなかったこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の潤滑油組成物Yを調製した。
また、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例2の潤滑油組成物Yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例2の潤滑油組成物Yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表2に示す。
【0072】
[実施例3]
フラーレン原料として、フロンティアカーボン株式会社製のC70(NOR-SU)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、実施例3の潤滑油組成物Yを調製した。
また、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例3の潤滑油組成物Yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例3の潤滑油組成物Yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表2に示す。
【0073】
[実施例4]
フラーレン原料として、フロンティアカーボン株式会社製の混合フラーレン(NM-ST)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、実施例4の潤滑油組成物Yを調製した。
また、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例4の潤滑油組成物Yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例4の潤滑油組成物Yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表2に示す。
【0074】
[実施例5]
基油としてデカリン(東京化成工業株式会社製)を100g用い、フラーレン溶液を160℃で12時間加熱し、揮発分を除去し、潤滑油組成物Xを得たこと、及び、濃縮した潤滑油組成物Xを、ポリ-α-オレフィン(PAO、JX日鋼日石株式会社製)50gに添加して、潤滑油組成物Yを得たこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の潤滑油組成物Yを調製した。
また、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例5の潤滑油組成物Yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例5の潤滑油組成物Yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表2に示す。
【0075】
[比較例4]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例5と同様にして、比較例4の潤滑油組成物Yを調製した。
また、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例4の潤滑油組成物Yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例4の潤滑油組成物Yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表2に示す。
【0076】
[実施例6]
基油としてトルエン(東京化成工業株式会社製)を90g用い、反応性成分としてジメチルクメン(DMC、東京化成工業株式会社製)を10g用い、フラーレン溶液を150℃で12時間加熱し、揮発分を除去し、揮発分を除去した固形分(潤滑油組成物X)を0.07g取り出し、これを鉱油A19gに添加したこと以外は実施例1と同様にして、実施例6の潤滑油組成物Yを調製した。
また、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例6の潤滑油組成物Yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例6の潤滑油組成物Yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表2に示す。
【0077】
[比較例5]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例6と同様にして、比較例5の潤滑油組成物Yを調製した。
また、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例5の潤滑油組成物Yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例5の潤滑油組成物Yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表2に示す。
【0078】
[実施例7]
基油としてベンゼン(東京化成工業株式会社製)を90g用い、反応性成分としてジパラトルイルエーテル(DTE、東京化成工業株式会社製)を10g用い、フラーレン溶液を160℃で12時間加熱し、揮発分を除去し、潤滑油組成物Xを得たこと、及び、濃縮した潤滑油組成物Xを、ポリオールエステル(POE-A、ポリオールエステル型、ユニスター(登録商標)H-334R、日油株式会社製)50gに添加して、潤滑油組成物Yを得たこと以外は実施例1と同様にして、実施例7の潤滑油組成物Yを調製した。
また、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例7の潤滑油組成物Yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例7の潤滑油組成物Yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表2に示す。
【0079】
[比較例6]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例7と同様にして、比較例6の潤滑油組成物Yを調製した。
また、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例6の潤滑油組成物Yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例6の潤滑油組成物Yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表2に示す。
【0080】
[実施例8]
基油としてポリオールエステル(POE-A、ポリオールエステル型、ユニスター(登録商標)H-334R、日油株式会社製)を100g用い、フラーレン溶液を150℃で12時間加熱したこと、及び、潤滑油組成物Xを希釈せずに潤滑油組成物Yを得たこと以外は実施例1と同様にして、実施例8の潤滑油組成物Yを調製した。
また、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例8の潤滑油組成物Yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例8の潤滑油組成物Yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表2に示す。
【0081】
[比較例7]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例8と同様にして、比較例7の潤滑油組成物Yを調製した。
また、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例7の潤滑油組成物Yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例7の潤滑油組成物Yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表2に示す。
【0082】
[実施例9]
基油としてモノエステル(POE-B、モノエステル型、ユニスター(登録商標)MB-881、日油株式会社製)を100g用い、フラーレン溶液を150℃で12時間加熱したこと以外は実施例1と同様にして、実施例9の潤滑油組成物Yを調製した。
また、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例9の潤滑油組成物Yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例9の潤滑油組成物Yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表2に示す。
【0083】
[比較例8]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例9と同様にして、比較例7の潤滑油組成物Yを調製した。
また、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例8の潤滑油組成物Yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例8の潤滑油組成物Yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表2に示す。
【0084】
[実施例10]
基油としてベンゼン(東京化成工業株式会社製)とブタノール(東京化成工業株式会社製)を、質量比4:1で混合したものを95g用い、反応性成分としてメチルフェニルシリコーンオイル(KF-56、信越化学株式会社製)を5g用い、フラーレン溶液を200℃で6時間加熱し、揮発分を除去し、潤滑油組成物Xを得たこと、及び、濃縮した潤滑油組成物Xを、メチルフェニルシリコーンオイル(KF-56、信越化学株式会社製)10gに添加して、潤滑油組成物Yを得たこと以外は実施例1と同様にして、実施例10の潤滑油組成物Yを調製した。
また、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例10の潤滑油組成物Yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例10の潤滑油組成物Yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表2に示す。
【0085】
[比較例9]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例10と同様にして、比較例9の潤滑油組成物Yを調製した。
また、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例9の潤滑油組成物Yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例9の潤滑油組成物Yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表2に示す。
【0086】
[実施例11]
反応性成分としてジメチルシリコーンオイル(KF96-100cs、信越化学株式会社製)を5g用いたこと、及び、濃縮した潤滑油組成物Xを、ジメチルシリコーンオイル(KF96-100cs、信越化学株式会社製)10gに添加して、潤滑油組成物Yを得たこと以外は実施例10と同様にして、実施例11の潤滑油組成物Yを調製した。
また、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例11の潤滑油組成物Yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例11の潤滑油組成物Yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表2に示す。
【0087】
[比較例10]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例11と同様にして、比較例10の潤滑油組成物Yを調製した。
また、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例10の潤滑油組成物Yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表2に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例10の潤滑油組成物Yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表2に示す。
【0088】
【0089】
【0090】
表1及び
図1の結果から、窒素雰囲気下で熱処理した実施例1では、加熱開始から37時間でフラーレンがほぼ消失したことが分かった。一方、大気雰囲気下で熱処理した比較例1では、加熱開始から12時間未満でフラーレンがほぼ消失したことが分かった。
表2の結果から、実施例1~実施例11は、対応する比較例1~比較例10よりも耐摩耗性に優れることが分かった。
表2の結果から、実施例5~実施例9は、対応する比較例4~比較例8よりも耐荷重性に優れることが分かった。
表2の結果から、実施例10および実施例11は、対応する比較例9および比較例10よりも高温耐摩耗性に優れることが分かった。
【0091】
また、加熱開始から12時間後に回収した実施例の潤滑油組成物Xについて、フラーレン付加体の確認を行った結果、実施例1では、フラーレンに由来する質量720のピークと、質量958のピークを確認した。質量720のピーク強度に対する質量958のピーク強度は、約1/10であった。質量958のピークは、フラーレンの質量+(1,2,4-トリメチルベンゼンの質量-水素原子の質量)×2である。このことから、1つのフラーレンに、2つの1,2,4-トリメチルベンゼンラジカルが付加して、フラーレン付加体を形成していると判断した。
また、フラーレンは、21%が消失し、79%が残存しった状態であることから、消失したフラーレンのおよそ半分(つまり100ppm)がフラーレン付加体に変化したことが分かった。
同様に、加熱開始から12時間後に回収した比較例1の潤滑油組成物Xについて、フラーレン付加体の確認を行った結果、質量700~質量2000の範囲でピークが観察されなかった。すなわち、比較例1では、フラーレン付加体を形成していないことが分かった。
【0092】
また、上記の耐摩耗性の評価の結果から、鉱油と完全に混合する1,2,4-トリメチルベンゼンをフラーレンに付加させたフラーレン付加体は、鉱油との相溶性が高くなり、実施例1~実施例4の潤滑油組成物Yは耐摩耗性が向上したと考えられる。
【0093】
[実施例12]
(反応性成分の合成)
ブタノール(NC4、東京化成工業株式会社製)3.0gとヨウ化ナトリム(東京化成工業株式会社製)7.5gとを、250mLのナスフラスコに投入した。
そのナスフラスコ内にアセトニトリル(東京化成工業株式会社製)50mLを添加した。
上記のナスフラスコの内部を窒素ガスで満たした状態で、クロロトリメチルシラン(東京化成工業株式会社製)5.4gを添加した。
この状態で、ブタノール、ヨウ化ナノトリム、アセトニトリル及びクロロトリメチルシランの混合溶液を2時間攪拌した後、ナスフラスコ内にジエチルエーテル(東京化成工業株式会社製)100mLを加え、沈殿物を得た。
得られた沈殿物を濾別し、水洗した。
水洗後の沈殿物を250mLのナスフラスコに投入し、アセトン(東京化成工業株式会社製)50mLとヒドロキシクメン(CmIP、東京化成工業株式会社製)6.8gとを加えた。
沈殿物、アセトン及びヒドロキシクメンの混合溶液を96時間還流させた後、ロータリーエバポレーターを用いて、混合溶液からアセトンを留去した。
上記のアセトンを留去した混合物にトルエン(東京化成工業株式会社製)を100mL添加し、溶液とした。
上記の溶液を、10%の水酸化ナトリウム(東京化成工業株式会社製)水溶液50mLで3回洗浄した。
ロータリーエバポレーターを用いて、溶液からトルエンを留去し、クメン誘導体(反応性成分)を得た。
【0094】
(組成物溶液の調製)
基油として、トルエン(東京化成工業株式会社製)100gと、フラーレン原料(C60、nanom(登録商標) NP-SUH、フロンティアカーボン株式会社製)0.1g(100mg)、および上記のクメン誘導体(反応性成分)0.53gとを混合し、室温でスターラーを用いて3時間撹拌し、基油、フラーレン及び反応性成分の混合物の溶液(フラーレン溶液)を調製した。得られたフラーレン溶液について、実施例1と同様にしてHPLC法でフラーレンの濃度を測定することにより、フラーレンを1000ppm含有していることを確認した。
次に、フラーレン溶液を、250mLのステンレス製の耐圧容器に移し、蓋をした。蓋には、容器内部の気体を置換できるように、気体導入部と排気部とをそれぞれ取り付けた。
次に、蓋に取り付けた気体導入部から、耐圧容器内部に毎分0.2Lの流量で窒素を注入し、その状態で10分間放置した後、気体導入部と排気部とを閉じ、耐圧容器内部を窒素雰囲気とした。
次に、この耐圧容器を140℃のオイルバスに浸漬させて16時間保持してフラーレン溶液を加熱した後、耐圧容器をオイルバスから取り出し、室温にまで放冷するこことで、組成物溶液を得た。
組成物溶液の原料のフラーレン濃度は、実施例1と同様にしてHPLC法で測定した結果、10ppm~500ppmの範囲にあることを確認した。また、質量検出装置から、フラーレン付加体を検出した。
このことから、加熱により、原料フラーレンの一部が、反応性成分と反応したことで、フラーレン付加体が生成したことを確認した。
組成物溶液を10g採取し、ロータリーエバポレーターを用いて、組成物溶液の揮発成分を蒸発させて、濃縮した組成物溶液xを1g得た。
組成物溶液xについて、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表3に示す。
【0095】
(潤滑油組成物の調製と評価)
次に、組成物溶液x1gと、鉱油A20gとを混合し、室温でスターラーを用いて6時間撹拌した。
次に、得られた混合物を、0.1μmメッシュのメンブランフィルターを通すことで濾過し、潤滑油組成物yを得た。
また、実施例1と同様にして、実施例12の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表3に示す。
【0096】
[比較例11]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例12と同様にして、比較例11の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、組成物溶液について、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表3に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例11の潤滑油組成物yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表3に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例11の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表3に示す。
【0097】
[実施例13]
(反応性成分の合成)
ブタノール(NC4、東京化成工業株式会社製)3.0gの代わりに、3-メチル-1-ブタノール(IC5、東京化成工業株式会社製)3.5gを用いたこと以外は実施例12と同様にして、クメン誘導体(反応性成分)を得た。
【0098】
(組成物溶液の調製)
実施例12で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.53gの代わりに、実施例13で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.57gを用いたこと以外は実施例12と同様にして、組成物溶液xを得た。
組成物溶液xについて、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表3に示す。
【0099】
(潤滑油組成物の調製と評価)
実施例13で得られた組成物溶液xを用いたこと以外は実施例12と同様にして、潤滑油組成物yを得た。
また、実施例1と同様にして、実施例13の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表3に示す。
【0100】
[比較例12]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例13と同様にして、比較例12の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、組成物溶液について、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表3に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例12の潤滑油組成物yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表3に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例12の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表3に示す。
【0101】
[実施例14]
(反応性成分の合成)
ブタノール(NC4、東京化成工業株式会社製)3.0gの代わりに、1-デカノール(NC10、東京化成工業株式会社製)6.3gを用いたこと以外は実施例12と同様にして、クメン誘導体(反応性成分)を得た。
【0102】
(組成物溶液の調製)
実施例12で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.53gの代わりに、実施例14で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.77gを用いたこと以外は実施例12と同様にして、組成物溶液xを得た。
組成物溶液xについて、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表3に示す。
【0103】
(潤滑油組成物の調製と評価)
実施例14で得られた組成物溶液xを用いたこと以外は実施例12と同様にして、潤滑油組成物yを得た。
また、実施例1と同様にして、実施例14の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表3に示す。
【0104】
[比較例13]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例14と同様にして、比較例13の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、組成物溶液について、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表3に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例13の潤滑油組成物yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表3に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例13の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表3に示す。
【0105】
[実施例15]
(反応性成分の合成)
ヒドロキシクメン(CmIP、東京化成工業株式会社製)6.8gの代わりに、ヒドロキシクメン(CmIB、東京化成工業株式会社製)7.5gを用いたこと以外は実施例14と同様にして、クメン誘導体(反応性成分)を得た。
【0106】
(組成物溶液の調製)
実施例12で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.53gの代わりに、実施例15で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.81gを用いたこと以外は実施例12と同様にして、組成物溶液xを得た。
組成物溶液xについて、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表3に示す。
【0107】
(潤滑油組成物の調製と評価)
実施例15で得られた組成物溶液xを用いたこと以外は実施例12と同様にして、潤滑油組成物yを得た。
また、実施例1と同様にして、実施例15の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表3に示す。
【0108】
[比較例14]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例15と同様にして、比較例14の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、組成物溶液について、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表3に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例14の潤滑油組成物yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表3に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例14の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表3に示す。
【0109】
[実施例16]
(反応性成分の合成)
ヒドロキシクメン(CmIP、東京化成工業株式会社製)6.8gの代わりに、ヒドロキシクメン(CmCy、東京化成工業株式会社製)8.8gを用いたこと以外は実施例14と同様にして、クメン誘導体(反応性成分)を得た。
【0110】
(組成物溶液の調製)
実施例12で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.53gの代わりに、実施例16で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.88gを用いたこと以外は実施例12と同様にして、組成物溶液xを得た。
組成物溶液xについて、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表3に示す。
【0111】
(潤滑油組成物の調製と評価)
実施例16で得られた組成物溶液xを用いたこと以外は実施例12と同様にして、潤滑油組成物yを得た。
また、実施例1と同様にして、実施例16の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表3に示す。
【0112】
[比較例15]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例16と同様にして、比較例15の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、組成物溶液について、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表3に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例15の潤滑油組成物yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表3に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例15の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表3に示す。
【0113】
[実施例17]
(反応性成分の合成)
ブタノール(NC4、東京化成工業株式会社製)3.0gの代わりに、ビフェニルアルコール(NC22、東京化成工業株式会社製)13.1gを用いたこと以外は実施例12と同様にして、クメン誘導体(反応性成分)を得た。
【0114】
(組成物溶液の調製)
実施例12で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.53gの代わりに、実施例17で得られたクメン誘導体(反応性成分)1.24gを用いたこと以外は実施例12と同様にして、組成物溶液xを得た。
組成物溶液xについて、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表3に示す。
【0115】
(潤滑油組成物の調製と評価)
実施例17で得られた組成物溶液xと、鉱油Aの代わりとしてポリ-α-オレフィン(PAO、JX日鋼日石株式会社製)とを用いたこと以外は実施例12と同様にして、潤滑油組成物yを得た。
また、実施例1と同様にして、実施例17の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表3に示す。
【0116】
[比較例16]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例17と同様にして、比較例16の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、組成物溶液について、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表3に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例16の潤滑油組成物yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表3に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例16の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表3に示す。
【0117】
[実施例18]
(反応性成分の合成)
ブタノール(NC4、東京化成工業株式会社製)3.0gの代わりに、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(P2GME、東京化成工業株式会社製)5.9gを用い、アセトンを留去した混合物に加える溶媒としてトルエンの代わりに、テトラヒドロフラン(THF、東京化成工業株式会社製)を用いたこと以外は実施例12と同様にして、クメン誘導体(反応性成分)を得た。
【0118】
(組成物溶液の調製)
実施例12で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.53gの代わりに、実施例18で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.74gを用いたこと以外は実施例12と同様にして、組成物溶液xを得た。
組成物溶液xについて、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表3に示す。
【0119】
(潤滑油組成物の調製と評価)
実施例18で得られた組成物溶液xと、鉱油Aの代わりとしてポリオールエステル(POE-A、ポリオールエステル型、ユニスター(登録商標)H-334R、日油株式会社製)とを用いたこと以外は実施例12と同様にして、潤滑油組成物yを得た。
また、実施例1と同様にして、実施例18の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表3に示す。
【0120】
[比較例17]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例18と同様にして、比較例17の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、組成物溶液について、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表3に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例17の潤滑油組成物yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表3に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例17の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表3に示す。
【0121】
[実施例19]
(反応性成分の合成)
ブタノール(NC4、東京化成工業株式会社製)3.0gの代わりに、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(P3GME、東京化成工業株式会社製)8.3gを用いたこと以外は実施例18と同様にして、クメン誘導体(反応性成分)を得た。
【0122】
(組成物溶液の調製)
実施例12で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.53gの代わりに、実施例19で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.90gを用いたこと以外は実施例12と同様にして、組成物溶液xを得た。
組成物溶液xについて、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表3に示す。
【0123】
(潤滑油組成物の調製と評価)
実施例19で得られた組成物溶液xを用いたこと以外は実施例18と同様にして、潤滑油組成物yを得た。
また、実施例1と同様にして、実施例19の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表3に示す。
【0124】
[比較例18]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例19と同様にして、比較例18の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、組成物溶液について、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表3に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例18の潤滑油組成物yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表3に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例18の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表3に示す。
【0125】
[実施例20]
(反応性成分の合成)
ヒドロキシクメン(CmIP、東京化成工業株式会社製)6.8gの代わりに、ヒドロキシクメン(CmIB、東京化成工業株式会社製)7.5gを用いたこと以外は実施例19と同様にして、クメン誘導体(反応性成分)を得た。
【0126】
(組成物溶液の調製)
実施例12で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.53gの代わりに、実施例20で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.94gを用いたこと以外は実施例12と同様にして、組成物溶液xを得た。
組成物溶液xについて、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表3に示す。
【0127】
(潤滑油組成物の調製と評価)
実施例20で得られた組成物溶液xを用いたこと以外は実施例18と同様にして、潤滑油組成物yを得た。
また、実施例1と同様にして、実施例20の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表3に示す。
【0128】
[比較例19]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例20と同様にして、比較例19の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、組成物溶液について、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表3に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例19の潤滑油組成物yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表3に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例19の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表3に示す。
【0129】
[実施例21]
(反応性成分の合成)
ヒドロキシクメン(CmIP、東京化成工業株式会社製)6.8gの代わりに、ヒドロキシクメン(CmCy、東京化成工業株式会社製)8.8gを用いたこと以外は実施例19と同様にして、クメン誘導体(反応性成分)を得た。
【0130】
(組成物溶液の調製)
実施例12で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.53gの代わりに、実施例21で得られたクメン誘導体(反応性成分)1.0gを用いたこと以外は実施例12と同様にして、組成物溶液xを得た。
組成物溶液xについて、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表3に示す。
【0131】
(潤滑油組成物の調製と評価)
実施例21で得られた組成物溶液xを用いたこと以外は実施例18と同様にして、潤滑油組成物yを得た。
また、実施例1と同様にして、実施例21の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表3に示す。
【0132】
[比較例20]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例21と同様にして、比較例20の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、組成物溶液について、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表3に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例20の潤滑油組成物yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表3に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例20の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表3に示す。
【0133】
[実施例22]
(反応性成分の合成)
ブタノール(NC4、東京化成工業株式会社製)3.0gの代わりに、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル(E2GBE、東京化成工業株式会社製)7.9gを用いたこと以外は実施例18と同様にして、クメン誘導体(反応性成分)を得た。
【0134】
(組成物溶液の調製)
実施例12で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.53gの代わりに、実施例22で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.87gを用いたこと以外は実施例12と同様にして、組成物溶液xを得た。
組成物溶液xについて、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表3に示す。
【0135】
(潤滑油組成物の調製と評価)
実施例22で得られた組成物溶液xを用いたこと以外は実施例18と同様にして、潤滑油組成物yを得た。
また、実施例1と同様にして、実施例22の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表3に示す。
【0136】
[比較例21]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例22と同様にして、比較例21の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、組成物溶液について、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表3に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例21の潤滑油組成物yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表3に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例21の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表3に示す。
【0137】
[実施例23]
(反応性成分の合成)
ブタノール(NC4、東京化成工業株式会社製)3.0gの代わりに、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(E2GEE、東京化成工業株式会社製)5.4gを用いたこと以外は実施例18と同様にして、クメン誘導体(反応性成分)を得た。
【0138】
(組成物溶液の調製)
実施例12で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.53gの代わりに、実施例23で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.70gを用いたこと以外は実施例12と同様にして、組成物溶液xを得た。
組成物溶液xについて、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表4に示す。
【0139】
(潤滑油組成物の調製と評価)
実施例23で得られた組成物溶液xを用いたこと以外は実施例18と同様にして、潤滑油組成物yを得た。
また、実施例1と同様にして、実施例23の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表4に示す。
【0140】
[比較例22]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例23と同様にして、比較例22の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、組成物溶液について、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表4に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例22の潤滑油組成物yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表4に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例22の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表4に示す。
【0141】
[実施例24]
(反応性成分の合成)
ブタノール(NC4、東京化成工業株式会社製)3.0gの代わりに、ヘプタエチレングリコールモノメチルエーテル(E6GME、東京化成工業株式会社製)13.6gを用いたこと以外は実施例18と同様にして、クメン誘導体(反応性成分)を得た。
【0142】
(組成物溶液の調製)
実施例12で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.53gの代わりに、実施例24で得られたクメン誘導体(反応性成分)1.27gを用いたこと以外は実施例12と同様にして、組成物溶液xを得た。
組成物溶液xについて、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表4に示す。
【0143】
(潤滑油組成物の調製と評価)
実施例24で得られた組成物溶液xを用いたこと以外は実施例18と同様にして、潤滑油組成物yを得た。
また、実施例1と同様にして、実施例24の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表4に示す。
【0144】
[比較例23]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例24と同様にして、比較例23の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、組成物溶液について、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表4に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例23の潤滑油組成物yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表4に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例23の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表4に示す。
【0145】
[実施例25]
(反応性成分の合成)
ブタノール(NC4、東京化成工業株式会社製)3.0gの代わりに、ヘキサエチレングリコールモノベンジルエーテル(E6GBE、東京化成工業株式会社製)14.9gを用いたこと以外は実施例18と同様にして、クメン誘導体(反応性成分)を得た。
【0146】
(組成物溶液の調製)
実施例12で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.53gの代わりに、実施例25で得られたクメン誘導体(反応性成分)1.36gを用いたこと以外は実施例12と同様にして、組成物溶液xを得た。
組成物溶液xについて、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表4に示す。
【0147】
(潤滑油組成物の調製と評価)
実施例25で得られた組成物溶液xを用いたこと以外は実施例18と同様にして、潤滑油組成物yを得た。
また、実施例1と同様にして、実施例25の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表4に示す。
【0148】
[比較例24]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例25と同様にして、比較例24の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、組成物溶液について、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表4に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例24の潤滑油組成物yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表4に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例24の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表4に示す。
【0149】
[実施例26]
(反応性成分の合成)
ブタノール(NC4、東京化成工業株式会社製)3.0gの代わりに、tert-Butyl 12-Hydroxy-4,7,10-trioxadodecanoate(E3GBS、東京化成工業株式会社製)11.1gを用いたこと以外は実施例18と同様にして、クメン誘導体(反応性成分)を得た。
【0150】
(組成物溶液の調製)
実施例12で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.53gの代わりに、実施例26で得られたクメン誘導体(反応性成分)1.1gを用いたこと以外は実施例12と同様にして、組成物溶液xを得た。
組成物溶液xについて、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表4に示す。
【0151】
(潤滑油組成物の調製と評価)
実施例26で得られた組成物溶液xを用いたこと以外は実施例18と同様にして、潤滑油組成物yを得た。
また、実施例1と同様にして、実施例26の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表4に示す。
【0152】
[比較例25]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例26と同様にして、比較例25の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、組成物溶液について、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表4に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例25の潤滑油組成物yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表4に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例25の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表4に示す。
【0153】
[実施例27]
(反応性成分の合成)
ブタノール(NC4、東京化成工業株式会社製)3.0gの代わりに、エチルグリコレート(GgaE、東京化成工業株式会社製)4.2gを用い、アセトンを留去した混合物に加える溶媒としてトルエンの代わりに、アセトニトリル(東京化成工業株式会社製)を用いたこと以外は実施例12と同様にして、クメン誘導体(反応性成分)を得た。
【0154】
(組成物溶液の調製)
実施例12で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.53gの代わりに、実施例27で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.62gを用いたこと以外は実施例12と同様にして、組成物溶液xを得た。
組成物溶液xについて、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表4に示す。
【0155】
(潤滑油組成物の調製と評価)
実施例27で得られた組成物溶液xと、鉱油Aの代わりとしてモノエステル(POE-B、モノエステル型、ユニスター(登録商標)MB-881、日油株式会社製)とを用いたこと以外は実施例12と同様にして、潤滑油組成物yを得た。
また、実施例1と同様にして、実施例27の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表4に示す。
【0156】
[比較例26]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例27と同様にして、比較例26の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、組成物溶液について、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表4に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例26の潤滑油組成物yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表4に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例26の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表4に示す。
【0157】
[実施例28]
(反応性成分の合成)
ヒドロキシクメン(CmIP、東京化成工業株式会社製)6.8gの代わりに、ヒドロキシクメン(CmIB、東京化成工業株式会社製)7.5gを用いたこと以外は実施例27と同様にして、クメン誘導体(反応性成分)を得た。
【0158】
(組成物溶液の調製)
実施例27で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.62gの代わりに、実施例28で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.66gを用いたこと以外は実施例27と同様にして、組成物溶液xを得た。
組成物溶液xについて、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表4に示す。
【0159】
(潤滑油組成物の調製と評価)
実施例28で得られた組成物溶液xを用いたこと以外は実施例27と同様にして、潤滑油組成物yを得た。
また、実施例1と同様にして、実施例28の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表4に示す。
【0160】
[比較例27]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例28と同様にして、比較例27の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、組成物溶液について、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表4に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例27の潤滑油組成物yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表4に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例27の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表4に示す。
【0161】
[実施例29]
(反応性成分の合成)
ヒドロキシクメン(CmIP、東京化成工業株式会社製)6.8gの代わりに、ヒドロキシクメン(CmCy、東京化成工業株式会社製)8.8gを用いたこと以外は実施例27と同様にして、クメン誘導体(反応性成分)を得た。
【0162】
(組成物溶液の調製)
実施例27で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.62gの代わりに、実施例29で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.73gを用いたこと以外は実施例27と同様にして、組成物溶液xを得た。
組成物溶液xについて、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表4に示す。
【0163】
(潤滑油組成物の調製と評価)
実施例29で得られた組成物溶液xを用いたこと以外は実施例27と同様にして、潤滑油組成物yを得た。
また、実施例1と同様にして、実施例29の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表4に示す。
【0164】
[比較例28]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例29と同様にして、比較例28の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、組成物溶液について、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表4に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例28の潤滑油組成物yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表4に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例28の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表4に示す。
【0165】
[実施例30]
(反応性成分の合成)
ブタノール(NC4、東京化成工業株式会社製)3.0gの代わりに、Terephthalic Acid 2-Hydroxyethyl Methyl Ester(TpaMS、東京化成工業株式会社製)9.0gを用いたこと以外は実施例27と同様にして、クメン誘導体(反応性成分)を得た。
【0166】
(組成物溶液の調製)
実施例27で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.62gの代わりに、実施例30で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.95gを用いたこと以外は実施例27と同様にして、組成物溶液xを得た。
組成物溶液xについて、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表4に示す。
【0167】
(潤滑油組成物の調製と評価)
実施例30で得られた組成物溶液xを用いたこと以外は実施例27と同様にして、潤滑油組成物yを得た。
また、実施例1と同様にして、実施例30の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表4に示す。
【0168】
[比較例29]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例30と同様にして、比較例29の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、組成物溶液について、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表4に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例29の潤滑油組成物yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表4に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例29の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表4に示す。
【0169】
[実施例31]
(反応性成分の合成)
ブタノール(NC4、東京化成工業株式会社製)3.0gの代わりに、片末端カルビノール変性シリコーンオイル(X-22-170BX、東京化成工業株式会社製)100.0gを用い、アセトンを留去した混合物に加える溶媒としてトルエンの代わりに、ベンゼン(東京化成工業株式会社製)とブタノール(東京化成工業株式会社製)を、質量比4:1で混合したものを用いたこと以外は実施例12と同様にして、クメン誘導体(反応性成分)を得た。
【0170】
(組成物溶液の調製)
実施例12で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.53gの代わりに、実施例31で得られたクメン誘導体(反応性成分)7.3gを用いたこと以外は実施例12と同様にして、組成物溶液xを得た。
組成物溶液xについて、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表4に示す。
【0171】
(潤滑油組成物の調製と評価)
実施例31で得られた組成物溶液xと、鉱油Aの代わりとしてメチルフェニルシリコーンオイル(KF-56、信越化学株式会社製)とを用いたこと以外は実施例12と同様にして、潤滑油組成物yを得た。
また、実施例1と同様にして、実施例31の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表4に示す。
【0172】
[比較例30]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例31と同様にして、比較例30の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、組成物溶液について、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表4に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例30の潤滑油組成物yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表4に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例30の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表4に示す。
【0173】
[実施例32]
(反応性成分の合成)
ブタノール(NC4、東京化成工業株式会社製)3.0gの代わりに、側鎖型カルビノール変性シリコーンオイル(X-22-4039、東京化成工業株式会社製)40.0gを用い、アセトンを留去した混合物に加える溶媒としてトルエンの代わりに、ベンゼン(東京化成工業株式会社製)とブタノール(東京化成工業株式会社製)を、質量比4:1で混合したものを用いたこと以外は実施例12と同様にして、クメン誘導体(反応性成分)を得た。
【0174】
(組成物溶液の調製)
実施例12で得られたクメン誘導体(反応性成分)0.53gの代わりに、実施例32で得られたクメン誘導体(反応性成分)3.1gを用いたこと以外は実施例12と同様にして、組成物溶液xを得た。
組成物溶液xについて、実施例1と同様にして、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表4に示す。
【0175】
(潤滑油組成物の調製と評価)
実施例32で得られた組成物溶液xを用いたこと以外は実施例31と同様にして、潤滑油組成物yを得た。
また、実施例1と同様にして、実施例32の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表4に示す。
【0176】
[比較例31]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例32と同様にして、比較例31の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、組成物溶液について、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表4に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例31の潤滑油組成物yの耐摩耗性を評価した。加熱開始から12時間後における擦り面の直径を表4に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例31の潤滑油組成物yの高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表4に示す。
【0177】
【0178】
【0179】
表3および表4の結果から、実施例12~実施例32は、対応する比較例11~比較例31よりも耐摩耗性に優れることが分かった。
表3および表4の結果から、実施例18~実施例30は、対応する比較例17~比較例29よりも耐荷重性に優れることが分かった。
表3および表4の結果から、実施例31および実施例32は、対応する比較例30および比較例31よりも高温耐摩耗性に優れることが分かった。
【0180】
[実施例33]
基油として、ベンゼン(東京化成工業株式会社製)100gと、反応性成分として、リン酸トリクレジル(TCP、東京化成工業株式会社製)1gとを用い、潤滑油組成物xを得たこと、及び、濃縮した潤滑油組成物xを、鉱油B(スーパーオイルM32、JXTGエネルギー株式会社製)100gに添加して、潤滑油組成物yを得たこと以外は実施例12の(組成物溶液の調製)(潤滑油組成物の調製と評価)と同様にして、実施例33の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、潤滑油組成物xについて、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表5に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例33の潤滑油組成物yの耐摩耗性、高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表5に示す。
【0181】
[比較例32]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例33と同様にして、比較例32の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、潤滑油組成物xについて、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表5に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例32の潤滑油組成物yの耐摩耗性、高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表5に示す。
【0182】
[実施例34]
反応性成分として、リン酸トリフェニル(TPP、東京化成工業株式会社製)1gを用い、フラーレン溶液を160℃で16時間加熱し、揮発分を除去し、潤滑油組成物xを得たこと、及び、濃縮した潤滑油組成物xを、鉱油B(スーパーオイルM32、JXTGエネルギー株式会社製)100gに添加して、潤滑油組成物yを得たこと以外は実施例12の(組成物溶液の調製)(潤滑油組成物の調製と評価)と同様にして、実施例34の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、潤滑油組成物xについて、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表5に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例34の潤滑油組成物yの耐摩耗性、高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表5に示す。
【0183】
[比較例33]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例34と同様にして、比較例33の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、潤滑油組成物xについて、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表5に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例33の潤滑油組成物yの耐摩耗性、高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表5に示す。
【0184】
[実施例35]
反応性成分として、ジベンジルジスルフィド(DBDS、東京化成工業株式会社製)1gを用い、フラーレン溶液を140℃で8時間加熱し、揮発分を除去し、潤滑油組成物xを得たこと、及び、濃縮した潤滑油組成物xを、鉱油B(スーパーオイルM32、JXTGエネルギー株式会社製)100gに添加して、潤滑油組成物yを得たこと以外は実施例12の(組成物溶液の調製)(潤滑油組成物の調製と評価)と同様にして、実施例35の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、潤滑油組成物xについて、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表5に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例35の潤滑油組成物yの耐摩耗性、高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表5に示す。
【0185】
[比較例34]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例35と同様にして、比較例34の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、潤滑油組成物xについて、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表5に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例34の潤滑油組成物yの耐摩耗性、高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表5に示す。
【0186】
[実施例36]
反応性成分として、ジ-p-トリルジスルフィド(DTDS、東京化成工業株式会社製)1gを用い、フラーレン溶液を160℃で8時間加熱し、揮発分を除去し、潤滑油組成物xを得たこと、及び、濃縮した潤滑油組成物xを、鉱油B(スーパーオイルM32、JXTGエネルギー株式会社製)100gに添加して、潤滑油組成物yを得たこと以外は実施例12の(組成物溶液の調製)(潤滑油組成物の調製と評価)と同様にして、実施例36の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、潤滑油組成物xについて、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表5に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例36の潤滑油組成物yの耐摩耗性、高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表5に示す。
【0187】
[比較例35]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例36と同様にして、比較例35の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、潤滑油組成物xについて、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表5に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例35の潤滑油組成物yの耐摩耗性、高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表5に示す。
【0188】
[実施例37]
反応性成分として、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール(DTP、東京化成工業株式会社製)1gを用い、フラーレン溶液を140℃で8時間加熱し、揮発分を除去し、潤滑油組成物xを得たこと、及び、濃縮した潤滑油組成物xを、鉱油B(スーパーオイルM32、JXTGエネルギー株式会社製)100gに添加して、潤滑油組成物yを得たこと以外は実施例12の(組成物溶液の調製)(潤滑油組成物の調製と評価)と同様にして、実施例37の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、潤滑油組成物xについて、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表5に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例37の潤滑油組成物yの耐摩耗性、高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表5に示す。
【0189】
[比較例36]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例37と同様にして、比較例36の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、潤滑油組成物xについて、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表5に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例36の潤滑油組成物yの耐摩耗性、高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表5に示す。
【0190】
[実施例38]
反応性成分として、ビス(3、5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン(BDBA、東京化成工業株式会社製)1gを用い、フラーレン溶液を140℃で4時間加熱し、揮発分を除去し、潤滑油組成物xを得たこと、及び、濃縮した潤滑油組成物xを、鉱油B(スーパーオイルM32、JXTGエネルギー株式会社製)100gに添加して、潤滑油組成物yを得たこと以外は実施例12の(組成物溶液の調製)(潤滑油組成物の調製と評価)と同様にして、実施例38の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、潤滑油組成物xについて、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表5に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例38の潤滑油組成物yの耐摩耗性、高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表5に示す。
【0191】
[比較例37]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例38と同様にして、比較例37の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、潤滑油組成物xについて、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表5に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例37の潤滑油組成物yの耐摩耗性、高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表5に示す。
【0192】
[実施例39]
反応性成分として、2,4,6-トリブチルフェノール(TBP、東京化成工業株式会社製)1gを用い、フラーレン溶液を140℃で8時間加熱し、揮発分を除去し、潤滑油組成物xを得たこと、及び、濃縮した潤滑油組成物xを、鉱油B(スーパーオイルM32、JXTGエネルギー株式会社製)100gに添加して、潤滑油組成物yを得たこと以外は実施例12の(組成物溶液の調製)(潤滑油組成物の調製と評価)と同様にして、実施例39の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、潤滑油組成物xについて、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表5に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例39の潤滑油組成物yの耐摩耗性、高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表5に示す。
【0193】
[比較例38]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例39と同様にして、比較例38の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、潤滑油組成物xについて、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表5に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例38の潤滑油組成物yの耐摩耗性、高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表5に示す。
【0194】
[実施例40]
反応性成分として、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(BHT、東京化成工業株式会社製)1gを用い、フラーレン溶液を140℃で4時間加熱し、揮発分を除去し、潤滑油組成物xを得たこと、及び、濃縮した潤滑油組成物xを、鉱油B(スーパーオイルM32、JXTGエネルギー株式会社製)100gに添加して、潤滑油組成物yを得たこと以外は実施例12の(組成物溶液の調製)(潤滑油組成物の調製と評価)と同様にして、実施例40の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、潤滑油組成物xについて、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表5に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例40の潤滑油組成物yの耐摩耗性、高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表5に示す。
【0195】
[比較例39]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例40と同様にして、比較例39の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、潤滑油組成物xについて、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表5に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例39の潤滑油組成物yの耐摩耗性、高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表5に示す。
【0196】
[実施例41]
基油および反応性成分として、リン酸トリクレジル(TCP、東京化成工業株式会社製)1gを用い、潤滑油組成物xを得たこと、及び、濃縮を行わなかったこと、潤滑油組成物x0.1gを、鉱油B100gに添加して、潤滑油組成物yを得たこと以外は実施例33と同様にして、実施例41の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、潤滑油組成物xについて、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表5に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例41の潤滑油組成物yの耐摩耗性、高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表5に示す。
【0197】
[比較例40]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例41と同様にして、比較例40の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、潤滑油組成物xについて、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表5に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例40の潤滑油組成物yの耐摩耗性、高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表5に示す。
【0198】
[実施例42]
基油および反応性成分として、リン酸トリフェニル(TPP、東京化成工業株式会社製)1gを用い、フラーレン溶液を160℃で16時間加熱し、揮発分を除去し、潤滑油組成物xを得たこと、及び、濃縮を行わなかったこと、潤滑油組成物x0.1gを、鉱油B100gに添加して、潤滑油組成物yを得たこと以外は実施例33と同様にして、実施例42の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、潤滑油組成物xについて、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表5に示す。
また、実施例1と同様にして、実施例42の潤滑油組成物yの耐摩耗性、高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表5に示す。
【0199】
[比較例41]
フラーレン溶液を加熱しなかったこと以外は実施例42と同様にして、比較例41の潤滑油組成物yを調製した。
また、実施例1と同様にして、潤滑油組成物xについて、フラーレン付加体の確認を行った。結果を表5に示す。
また、実施例1と同様にして、比較例41の潤滑油組成物yの耐摩耗性、高温耐摩耗性、耐荷重性を評価した。結果を表5に示す。
【0200】
【0201】
表5の結果から、実施例33~実施例36は、対応する比較例32~比較例35よりも耐摩耗性と耐荷重性に優れることが分かった。
表5の結果から、実施例37~実施例40は、対応する比較例36~比較例39よりも耐摩耗性と耐高温摩耗性に優れることが分かった。
表5の結果から、実施例41及び実施例42は、対応する比較例40及び比較例41よりも耐摩耗性と耐荷重性に優れることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0202】
本発明は、基油と、フラーレン付加体と、を含む潤滑油組成物により、耐摩耗性を向上することができる。従って、本発明は、自動車、家電、工業機械等の摺動部において、金属部分が傷付いたり、摩耗したりすることを抑制するのに有効である。