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特許7005655ユーザインターフェースアセンブリ、およびタッチアセンブリをユーザインターフェースアセンブリに一体化するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】ユーザインターフェースアセンブリ、およびタッチアセンブリをユーザインターフェースアセンブリに一体化するための方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
G06F3/041 662
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019557579
(86)(22)【出願日】2017-04-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 CN2017081596
(87)【国際公開番号】W WO2018195684
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2020-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】501276371
【氏名又は名称】フレセニウス・メディカル・ケア・ドイチュラント・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ハオ
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-173855(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0049266(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0246741(US,A1)
【文献】特開2013-205917(JP,A)
【文献】特開2014-164686(JP,A)
【文献】特開2009-176628(JP,A)
【文献】特開2011-118657(JP,A)
【文献】特開2007-316847(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0228192(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041 - 3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザインターフェースアセンブリであって、
支持フレームと、
前記ユーザインターフェースアセンブリにスイッチ機能を提供するための、かつ前記支持フレームに形成された凹部に収容され、最下接着層によって前記凹部に接着された部品と、
前記部品が前記凹部に収容されたときに、背面接着剤によって前記支持フレームの上部面および前記部品の上部面を覆い、それらに接着するためのオーバーレイと
を備え、
前記オーバーレイの下の前記部品の周囲に移行領域が設けられ、前記移行領域は、前記オーバーレイが前記支持フレームの前記上部面から前記部品の前記上部面に平滑に移行することができるように、少なくとも前記凹部の側壁から前記部品に向かって延在して、前記移行領域における前記オーバーレイの非フラット性を視覚的に気づかないほどにし、前記非フラット性は、前記凹部および/または前記部品の製造公差によってもたらされる
ユーザインターフェースアセンブリ。
【請求項2】
前記移行領域は、前記支持フレームの前記上部面の一部分および/または前記移行領域内の前記部品の前記上部面の一部分に前記オーバーレイが接着されないように、少なくとも接着剤のない領域を形成することによって達成される、
請求項1に記載のユーザインターフェースアセンブリ。
【請求項3】
前記移行領域は、少なくとも、前記部品の本体から外方に延在する前記部品の最上層の可撓性部分によって達成され、前記可撓性部分は、前記本体の厚さよりも薄い厚さを有する、
請求項1に記載のユーザインターフェースアセンブリ。
【請求項4】
前記接着剤のない領域は、前記背面接着剤の対応する部分を除去することによって形成される、
請求項2に記載のユーザインターフェースアセンブリ。
【請求項5】
組み立てられた状態では、前記背面接着剤は、前記可撓性部分に接着され、および/または
前記部品は、一連の個別の層を積層することによって形成される、
請求項3に記載のユーザインターフェースアセンブリ。
【請求項6】
前記部品の最も厚い部分の厚さは、前記凹部の深さに等しいか、それよりも大きいか、またはそれよりも小さい、
請求項1~5のいずれか一項に記載のユーザインターフェースアセンブリ。
【請求項7】
前記ユーザインターフェースアセンブリは、前記支持フレームに形成された追加の凹部に収容されるタッチスクリーンをさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のユーザインターフェースアセンブリ。
【請求項8】
前記部品はハードプリント回路基板である、請求項1、2、および4のいずれか一項に記載のユーザインターフェースアセンブリ。
【請求項9】
前記部品はメンブレンスイッチである、請求項1~7のいずれか一項に記載のユーザインターフェースアセンブリ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のユーザインターフェースアセンブリにタッチアセンブリを一体化するための方法であって、前記タッチアセンブリは上面および底面を有し、前記ユーザインターフェースアセンブリは、支持フレームと前記タッチアセンブリを収容するための凹部とを有し、前記方法は、
前記タッチアセンブリの前記上面をフラットテーブルに置くことと、
前記タッチアセンブリの少なくとも1つの部分が前記凹部内に位置するように、前記タッチアセンブリに対して所定の位置に前記支持フレームを配置することと、
前記タッチアセンブリを前記支持フレーム上に固定するために、前記支持フレームの底部の方向から、前記タッチアセンブリの前記部分と前記凹部の対応する部分との間の間隙に流動性接着剤を注入することと、
を備え、前記注入された流動性接着剤の量が、前記間隙の異なるボリュームにしたがって適応されることができるようにする、
方法。
【請求項11】
前記タッチアセンブリは、タッチスクリーンと、前記タッチスクリーンを覆い、それに接着するオーバーレイとを一体化する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記支持フレームを配置することは、
前記支持フレームの上面を、前記タッチスクリーンから延出する前記オーバーレイの一部分上に置き、接着すること、および/または
前記流動性接着剤を注入する前に、前記タッチスクリーンの背面上に重量体を置くこと を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記流動性接着剤は、前記支持フレームに形成された注入ポートを介して前記間隙に注入される、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記注入ポートは、丸い形状またはスロット形状を有する、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザインターフェースアセンブリと、タッチアセンブリをユーザインターフェースアセンブリに一体化するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチスクリーンおよびメンブレンスイッチは、通常、ユーザ入力デバイスとして電気システムに組み込まれている。それらは通常、支持フレームまたは囲い部と一体化されて電気システムのユーザインターフェースアセンブリを形成する。外見の要求の厳しい用途または防水もしくは防塵の要件のような他の要求の厳しい用途の場合、ユーザインターフェースアセンブリの外面にはシームレスかつフラットな設計が必要とされる。
【0003】
シームレス設計は、一般に、可撓性カバーシートまたはオーバーレイを、ユーザインターフェースアセンブリの外面全体上に接着積層することによって達成される。タッチスクリーンおよびメンブレンスイッチの厚さ寸法の製造公差、ならびに支持フレームの対応する寸法の公差により、タッチスクリーン、メンブレンスイッチ、および支持フレームを覆うオーバーレイの視覚的にフラットな外観を達成しようとするとき常に困難がある。より具体的には、オーバーレイの視覚的にフラットな外観を達成する困難は、タッチスクリーンと支持フレーム上の対応する凹部との間の寸法の不一致(高さの差)、およびメンブレンスイッチと支持フレーム上の対応する凹部との間の寸法の不一致からくる。
【0004】
図1は、先行技術によるユーザインターフェースアセンブリの一部分の部分断面図を示す。図1に示されるように、ユーザインターフェースアセンブリは、視覚的にフラットではない外観を有する。
【0005】
当業者にとって既知である1つのアプローチは、各部品の公差を最小レベルに制御することである。しかしながら、厳密な公差制御は必然的に製造コストを増加させる。
【0006】
フラット設計を提供するタッチスクリーンとスイッチキーを一体化する別の既知のアプローチは、タッチスクリーンの酸化インジウムスズ(ITO:indium tin oxide)層上にスイッチの回路をエッチングすることである。それは、メンブレンスイッチの層を取り除き、よってメンブレンスイッチと支持フレームとの間の寸法の不一致によって引き起こされる非フラット性を回避する。しかしながら、カスタマイズされたスイッチ回路をタッチスクリーン上にエッチングする特別なプロセスは、一般的に使用されるメンブレンスイッチと比較すると相当高価である。さらに、タッチスクリーンと支持フレームとの間の寸法の不一致によって引き起こされる非フラット性は、依然として解決されない。
【発明の概要】
【0007】
先行技術に存在する課題の観点から、本発明の目的は、ユーザインターフェースアセンブリと、タッチアセンブリをユーザインターフェースアセンブリに一体化するための方法とを提供することである。
【0008】
この目的を達成するために、1つの態様では、ユーザインターフェースアセンブリが提供され、当該ユーザインターフェースアセンブリは、支持フレームと、ユーザインターフェースアセンブリにスイッチ機能を提供するための、かつ支持フレームに形成された凹部に収容される部品と、部品が凹部に収容されたときに、背面接着剤(back adhesive)によって支持フレームの上部面および部品の上部面を覆い、それらに接着するためのオーバーレイとを備え、オーバーレイの下の部品の周囲に移行領域が設けられ、当該移行領域は、オーバーレイが支持フレームの上部面から部品の上部面に平滑に移行することができるように、少なくとも凹部の側壁から部品に向かって延在する。
【0009】
任意選択の実施形態によれば、移行領域は、支持フレームの上部面の一部分および/または移行領域内の部品の上部面の一部分にオーバーレイが接着できないように、少なくとも接着剤のない領域を形成することによって達成される。
【0010】
任意選択の実施形態によれば、移行領域は、少なくとも、部品の本体から外方に延在する部品の最上層の可撓性部分によって達成され、ここにおいて、可撓性部分は、本体の厚さよりも薄い厚さを有する。
【0011】
任意選択の実施形態によれば、接着剤のない領域は、背面接着剤の対応する部分を除去することによって形成される。
【0012】
任意選択の実施形態によれば、組み立てられた状態では、背面接着剤が可撓性部分に接着され、および/または部品は、一連の個別の層を積層することによって形成される。
【0013】
任意選択の実施形態によれば、部品の最も厚い部分の厚さは、凹部の深さに等しいか、それよりも大きいか、またはそれよりも小さくてよい。
【0014】
任意選択の実施形態によれば、ユーザインターフェースアセンブリはさらに、支持フレームに形成された追加の凹部に収容されるタッチスクリーンを備える。
【0015】
任意選択の実施形態によれば、部品はハードプリント回路基板である。
【0016】
任意選択の実施形態によれば、部品はメンブレンスイッチである。
【0017】
別の態様では、タッチアセンブリをユーザインターフェースアセンブリに一体化するための方法が提供され、タッチアセンブリは、上面および底面を有し、ユーザインターフェースアセンブリは、支持フレームと、タッチアセンブリを収容するための凹部とを有し、本方法は、タッチアセンブリの上面をフラットテーブルの上に置くことと、タッチアセンブリの少なくとも1つの部分が凹部内に位置するように、タッチアセンブリに対して所定の位置に支持フレームを配置することと、タッチアセンブリを支持フレーム上に固定するために、支持フレームの底部の方向から、タッチアセンブリの部分と凹部の対応する部分との間の間隙に流動性接着剤を注入することと、を備え、その結果、注入された流動性接着剤の量が間隙の異なる体積にしたがって適応されることができる。
【0018】
任意選択の実施形態によれば、タッチアセンブリは、タッチスクリーンと、タッチスクリーンを覆い、それに接着するオーバーレイとを一体化する。
【0019】
任意選択の実施形態によれば、支持フレームを配置することは、支持フレームの上面を、タッチスクリーンから延出するオーバーレイの一部分上に置き、接着すること、および/または流動性接着剤を注入する前に、重量体をタッチスクリーンの背面に置くことを備える。
【0020】
任意選択の実施形態によれば、流動性接着剤は、支持フレームに形成された注入ポートを介して間隙に注入される。
【0021】
任意選択の実施形態によれば、注入ポートは、丸い形状またはスロット形状を有する。
【0022】
本発明によれば、ユーザインターフェースアセンブリのフラット設計は、コスト効率よく達成されることができる。
【0023】
本発明およびその利点は、以下の図面を参照していくつかの好ましい例示的な実施形態の以下の詳細な説明を読むことによってさらに理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】先行技術によるユーザインターフェースアセンブリの一部分の部分断面図を示す。
図2】本発明の第1の例示的な実施形態による、シームレス設計を有するユーザインターフェースアセンブリの分解断面図を示す。
図3】組み立てられた状態のユーザインターフェースアセンブリの一部分の部分断面図を示す。
図4】本発明の例示的な実施形態による、メンブレンスイッチの厚さのための公差域、およびメンブレンスイッチを収容するための第1の凹部の深さのための公差域を概略的に示す。
図5】本発明の第2の例示的な実施形態による、組み立てられた状態のユーザインターフェースアセンブリの一部分の部分断面図を示す。
図6】本発明の例示的な実施形態によるメンブレンスイッチの断面図を示す。
図7図5と同じ概念に基づく別の場合を部分断面図で示す。
図8】本発明の例示的な実施形態による、メンブレンスイッチの厚さのための公差域、およびメンブレンスイッチを収容するための第1の凹部の深さのための公差域を概略的に示す。
図9】タッチアセンブリをユーザインターフェースアセンブリに一体化するための方法を示す。
図10】スロット形状を有する注入ポートの1つの非限定的な例を底面図で示す。
図11】丸い形状を有する注入ポートの別の非限定的な例を底面図で示す。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0025】
本発明のいくつかの例示的な実施形態は、本発明の基本概念をよりよく理解するために、図面を参照して以下により詳細に説明される。
【0026】
図2は、本発明の第1の例示的な実施形態による、シームレス設計を有するユーザインターフェースアセンブリの分解断面図を示す。
【0027】
図2に示されるように、ユーザインターフェースアセンブリは、主に、支持フレーム1、部品2、およびタッチアセンブリ3を備える。部品2が通常、これに限定されないがユーザインターフェースアセンブリにスイッチ機能を提供するための装置であり、該装置が、第1の実施形態では、メンブレンスイッチのような可撓性構成部品またはプリント回路基板のようなハードデバイスであり得ることが留意されるべきである。以下の説明を簡易化するために、第1の実施形態では、メンブレンスイッチを一例にとる。タッチアセンブリ3は主に、タッチスクリーン4と、タッチスクリーン4よりも大きいオーバーレイ5と、タッチスクリーン4とオーバーレイ5との間に配設され、かつオーバーレイ5をタッチスクリーン4に接着するために使用される光学透明接着剤(optical clear adhesive)6と、タッチスクリーン4の背面に配設され、かつタッチスクリーン4を支持フレーム1に接着するために使用される第1の背面接着剤7と、タッチスクリーン4を越えて延在するオーバーレイ5の一部分の背面に配設され、かつオーバーレイ5の一部分を支持フレーム1およびメンブレンスイッチ2に接着するために使用される第2の背面接着剤8と、を備える。
【0028】
オーバーレイ5は、通常、0.13mm、0.18mm、または0.25mmといった、0.1mmから0.3mmの範囲にわたる厚さを有する可撓性ポリエステルフィルムである。
【0029】
また、図2から分かるように、第1の凹部9が、メンブレンスイッチ2を収容するために支持フレーム1に形成され、第2の凹部10が、タッチスクリーン4を収容するために支持フレーム1に形成される。メンブレンスイッチ2の厚さはDmとして示され、一方、第1の凹部9の深さはDfmとして示されている。第1の背面接着剤7の底部と第2の背面接着剤8の底部との間の距離はDtとして示され、一方、第2の凹部10の深さはDftとして示されている。理想的としては、オーバーレイ5の外面上で完全にフラットな外観を達成するために、DmおよびDtは、名目上それぞれDfmおよびDftに等しくなるべきである。
【0030】
しかしながら、製造プロセス中、これらの寸法Dm、Dfm、Dt、およびDftはそれぞれの公差を有する。当業者によって知られているように、Dm、Dfm、またはDftのための公差は+/-0.1mm、+/-0.15mm、または+/-0.2mmであり得、Dtのための公差は+/-0.15mm、+/-0.2mm、+/-0.25mm、+/-0.3mm、または+/-0.4mmであり得る。これらの寸法が適切に一致していない場合、オーバーレイ5は、特に第1の凹部9および第2の凹部10を画定する側壁において、視覚的にフラットではない外観を有し得る。
【0031】
図2に示されるように、メンブレンスイッチ2においてオーバーレイ5の視覚的にフラットな外観を達成するために、第1の凹部9の側壁に隣接するメンブレンスイッチ2の上方に、好ましくは第1の凹部9の側壁全体に沿って、接着剤のない移行領域11が設けられる。
【0032】
図3は、組み立てられた状態のユーザインターフェースアセンブリの一部分の部分断面図を示す。図3に示されるように、接着剤のない移行領域11は、切欠き、好ましくは第1の凹部9の側壁全体に沿う環状の切欠きとして具体化されている。
【0033】
接着剤のない移行領域11の外周は、好ましくは、第1の凹部9の側壁と位置合わせされる。本発明の別の任意選択の実施形態によれば、接着剤のない移行領域11は、第1の凹部9を越えて外方に延在するように、第1の凹部9の側壁を越えて形成される。接着剤のない移行領域11の幅は、オーバーレイ5の外面の所望のフラット性に基づいて選択され得る。接着剤のない移行領域11の幅は、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、または他の非限定的な値に設定され得る。
【0034】
図3に示される実施形態の場合、メンブレンスイッチ2の厚さDmのための公差域12および第1の凹部9の深さDfmのための公差域13は、好ましくは図4に示されるように選択され得、ここにおいて、メンブレンスイッチ2の厚さDmと第1の凹部9の深さDfmは、同じ公称値14を有し、深さDfmのための公差域13は、厚さDmのための公差域12を上回り、これは、第1の凹部9の深さDfmが、メンブレンスイッチ2の厚さDmに少なくとも等しいことを意味する。この公差域設定を用いると、図3に示されるような組み立てられた状態が達成され得る。組み立て中、メンブレンスイッチ2は、最初に、メンブレンスイッチ2の最下接着層(別個に図示せず)によって第1の凹部9の中に置かれ、接着される。次いで、第2の背面接着剤8を有するオーバーレイ5が、支持フレーム1およびメンブレンスイッチ2上に接着される。接着剤のない移行領域11は、オーバーレイ5が支持フレーム1からメンブレンスイッチ2に平滑に移行することを可能にし、よってオーバーレイ5の非フラット性を、視覚的に気づかないほどにする。
【0035】
第2の背面接着剤8がある特定の厚さを有するので、メンブレンスイッチ2の厚さが最大でも第1の凹部9の深さと第2の背面接着剤8の厚さとの合計に等しいことを公差域設定が保証できる限り、メンブレンスイッチ2および第1の凹部9は、他の公差域設定も使用し得る。
【0036】
図5は、本発明の第2の例示的な実施形態による、組み立てられた状態のユーザインターフェースアセンブリの一部分の部分断面図を示す。
【0037】
第2の実施形態では、図5に示されるように、スイッチ機能を実行するための可撓性構成部品を組み立てるほうがよいことになる。メンブレンスイッチ21は、可撓性部分22がメンブレンスイッチ21の本体23の上部から外方に延在し、上部と同一平面となるように形成される。可撓性部分22は、本体23よりも薄い厚さを有する。可撓性部分22は、好ましくは、メンブレンスイッチ21の断面図を示す図6に示されるように、リング形状を形成するように本体23の周囲全体に沿って延在する。本実施形態では、可撓性部分22は、移行領域24を形成し得、タッチアセンブリの対応する部分が、背面接着剤25を有する。
【0038】
本発明の1つの例示的な実施形態によれば、メンブレンスイッチ21は、一連の個別の層を積層することによって形成され得る。例えば、層は上から下に、最上層としてグラフィック層、静電放電(ESD)層、スペーサ層、1つまたは複数の回路層、および最下接着層を備え得る。本発明の1つの例示的な実施形態によれば、メンブレンスイッチ21の最上層は、ESDシールド能力の有無にかかわらず可撓性ポリエステル層であり、それゆえ、最上層は、移行領域をもたらすために意図的に拡張され得る。換言すれば、最上層の一部分が可撓性部分22として機能する。
【0039】
可撓性部分22は、第1の凹部9の側壁まで延在し得るか、またはある距離だけ側壁から離隔され得る。図5に示すように、側壁から本体23までの移行領域24の幅が測定される。移行領域24の幅は、好ましくは、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、または他の非限定的な値となるように設定され得る。
【0040】
この場合、図5に示されるように、メンブレンスイッチ21の厚さは、第1の凹部9の深さよりも小さい。
【0041】
図7は、図5と同じ概念に基づく別の場合を部分断面図で示す。しかしながら、この場合、図7に示されるように、メンブレンスイッチ21の厚さは、第1の凹部9の深さよりも大きい。
【0042】
いずれの場合でも、背面接着剤25は、移行領域24に切れ目なくとどまり得、図3の場合のように切り取られる必要なくメンブレンスイッチ21の最上層に接着される。移行領域24内のメンブレンスイッチ21の最上層の可撓性により、また移行領域24にメンブレンスイッチ21の最下接着層がないので、オーバーレイ5は、支持フレーム1からメンブレンスイッチ21に平滑に移行し得、よって、オーバーレイ5の非フラット性を視覚的に気づかないほどにする。
【0043】
背面接着剤25が第1の凹部の側壁とメンブレンスイッチとの間に形成された間隙にわたって延在するように、可撓性部分22が省略さえもされ得ることに留意するべきである。
【0044】
図5および図7に示されるような場合、図8に示されるように、第1の凹部の深さのための公差域13およびメンブレンスイッチの厚さのための公差域12は、好ましくは公称値14に沿って対称に設定され得る。
【0045】
上述のこれらの実施形態は、例えばオーバーレイの下に空洞を形成することによって移行領域がもたらされるという同じ技術概念に基づいており、当該移行領域は、オーバーレイが側壁で急峻に変化するのではなくむしろ支持フレームからメンブレンスイッチに平滑に移行することができるように、少なくとも第1の凹部の側壁まで延在する。
【0046】
当然ながら、技術概念は、第2の凹部の側壁での移行にも適用され得る。
【0047】
しかしながら、タッチアセンブリ3は、通常、事前に組み立てられた構造として設けられ、その結果、上記技術概念を適用しにくい。この場合、タッチアセンブリ3をユーザインターフェースアセンブリに一体化するための方法が提供され、当該方法は、オーバーレイ5の外面上でのフラットな外観を達成することができる。本方法は、フラットな外観を達成するために、厚さ調整可能な接着技法を使用する。
【0048】
具体的には、図9に示されるように、タッチアセンブリ3(そのオーバーレイ5上に第2の背面接着剤8を有する)は、最初にフラットテーブル26の上に上下逆さまに置かれる。次いで、支持フレーム1は、第2の背面接着剤8を介してタッチアセンブリ3のオーバーレイ5上に位置合わせされ、置かれ、接着される。このとき、タッチスクリーン4は依然として、オーバーレイ5の可撓性により、支持フレーム1の第2の凹部内で上下に移動されることができる。組立てプロセスは、重量体27をタッチスクリーン4の背面に置くことによって続く。タッチアセンブリ3のオーバーレイ5はここで、重量体27の圧力下でフラットテーブル26とフラットに嵌合している。次いで流動性接着剤28が、任意の種類の接着剤注入ツール30によって、支持フレーム1に形成された注入ポート29を通じて、タッチスクリーン4の背面と第2の凹部の底部との間の間隙に注入される。
【0049】
この場合、第2の凹部の深さは、タッチスクリーン4の背面と第2の背面接着剤8の底部との間の距離よりも大きくなるべきである。
【0050】
メンブレンスイッチおよび第1の凹部は図9に示されていないが、それらもまた、ユーザインターフェースアセンブリに組み込まれ得ることに留意するべきである。
【0051】
図10は、スロット形状を有する注入ポート29の1つの非限定的な例を示す。図11は、丸い形状を有する注入ポート29の別の非限定的な例を示す。当業者によって、注入ポートが任意の好適な形状を有し得ることが理解されるべきである。
【0052】
当然ながら、厚さ調節可能な接着技法も、例えば第1の凹部の底部まで延在する少なくとも1つの注入ポートを形成することによって、メンブレンスイッチをユーザインターフェースアセンブリに一体化するために使用され得る。この場合、メンブレンスイッチの最下接着層は省略され得る。
【0053】
ある特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は例として提示されているだけであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物は、本発明の趣旨および範囲内に入るように修正、置換、および変更をすべて網羅することを意図している。
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
ユーザインターフェースアセンブリであって、
支持フレームと、
前記ユーザインターフェースアセンブリにスイッチ機能を提供するための、かつ前記支持フレームに形成された凹部に収容される部品と、
前記部品が前記凹部に収容されたときに、背面接着剤によって前記支持フレームの上部面および前記部品の上部面を覆い、それらに接着するためのオーバーレイと
を備え、
前記オーバーレイの下の前記部品の周囲に移行領域が設けられ、前記移行領域は、前記オーバーレイが前記支持フレームの前記上部面から前記部品の前記上部面に平滑に移行することができるように、少なくとも前記凹部の側壁から前記部品に向かって延在する、 ユーザインターフェースアセンブリ。
[C2]
前記移行領域は、前記支持フレームの前記上部面の一部分および/または前記移行領域内の前記部品の前記上部面の一部分に前記オーバーレイが接着されないように、少なくとも接着剤のない領域を形成することによって達成される、
C1に記載のユーザインターフェースアセンブリ。
[C3]
前記移行領域は、少なくとも、前記部品の本体から外方に延在する前記部品の最上層の可撓性部分によって達成され、前記可撓性部分は、前記本体の厚さよりも薄い厚さを有する、
C1に記載のユーザインターフェースアセンブリ。
[C4]
前記接着剤のない領域は、前記背面接着剤の対応する部分を除去することによって形成される、
C2に記載のユーザインターフェースアセンブリ。
[C5]
組み立てられた状態では、前記背面接着剤は、前記可撓性部分に接着され、および/または
前記部品は、一連の個別の層を積層することによって形成される、
C3に記載のユーザインターフェースアセンブリ。
[C6]
前記部品の最も厚い部分の厚さは、前記凹部の深さに等しいか、それよりも大きいか、またはそれよりも小さい、
C1~5のいずれか一項に記載のユーザインターフェースアセンブリ。
[C7]
前記ユーザインターフェースアセンブリは、前記支持フレームに形成された追加の凹部に収容されるタッチスクリーンをさらに備える、C1~6のいずれか一項に記載のユーザインターフェースアセンブリ。
[C8]
前記部品はハードプリント回路基板である、C1、2、および4のいずれか一項に記載のユーザインターフェースアセンブリ。
[C9]
前記部品はメンブレンスイッチである、C1~7のいずれか一項に記載のユーザインターフェースアセンブリ。
[C10]
C1~9のいずれか一項に記載のユーザインターフェースアセンブリにタッチアセンブリを一体化するための方法であって、前記タッチアセンブリは上面および底面を有し、前記ユーザインターフェースアセンブリは、支持フレームと前記タッチアセンブリを収容するための凹部とを有し、前記方法は、
前記タッチアセンブリの前記上面をフラットテーブルに置くことと、
前記タッチアセンブリの少なくとも1つの部分が前記凹部内に位置するように、前記タッチアセンブリに対して所定の位置に前記支持フレームを配置することと、
前記タッチアセンブリを前記支持フレーム上に固定するために、前記支持フレームの底部の方向から、前記タッチアセンブリの前記部分と前記凹部の対応する部分との間の間隙に流動性接着剤を注入することと、
を備え、前記注入された流動性接着剤の量が、前記間隙の異なるボリュームにしたがって適応されることができるようにする、
方法。
[C11]
前記タッチアセンブリは、タッチスクリーンと、前記タッチスクリーンを覆い、それに接着するオーバーレイとを一体化する、C10に記載の方法。
[C12]
前記支持フレームを配置することは、
前記支持フレームの上面を、前記タッチスクリーンから延出する前記オーバーレイの一部分上に置き、接着すること、および/または
前記流動性接着剤を注入する前に、前記タッチスクリーンの背面上に重量体を置くこと を備える、C10または11に記載の方法。
[C13]
前記流動性接着剤は、前記支持フレームに形成された注入ポートを介して前記間隙に注入される、C10~12のいずれか一項に記載の方法。
[C14]
前記注入ポートは、丸い形状またはスロット形状を有する、C13に記載の方法。
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図11