(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】エアロゾル噴霧システムの制御デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 11/00 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
A61M11/00 Z
(21)【出願番号】P 2019571790
(86)(22)【出願日】2018-03-16
(86)【国際出願番号】 EP2018056682
(87)【国際公開番号】W WO2018167278
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-01-28
(32)【優先日】2017-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515142215
【氏名又は名称】パリ・ファルマ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】PARI PHARMA GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】フィンケ マティアス
(72)【発明者】
【氏名】フックス カローラ
(72)【発明者】
【氏名】エシュリヒ ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】オズワルド エドガー
(72)【発明者】
【氏名】クローネベルク フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ハーン ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】シュラウト インゴ
(72)【発明者】
【氏名】レーダー ザシャ
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0346489(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0237001(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0178672(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル噴霧システム(30)の動作を制御するための制御デバイス(20)であり、前記エアロゾル噴霧システム(30)が、液体を噴霧するエアロゾル発生器(31)と、複数のセンサユニット(38a、38b、38c、38d、38e)とを備える、制御デバイス(20)であって、
前記エアロゾル噴霧システム(30)とのワイヤレス通信接続を確立し、前記エアロゾル噴霧システム(30)とのデータ伝送を実行するように構成された通信ユニット(21)と、
前記エアロゾル噴霧システム(30)に、前記制御デバイス(20)にワイヤレス伝送される前記センサユニット(38a、38b、38c、38d、38e)に関係するセンサデータ
を選択
させる制御を行うように構成されたセンサデータ制御ユニット(22)と、を備える、制御デバイス(20)。
【請求項2】
選択された
前記センサデータが、前記制御デバイスにおいて実時間フィードバックを提供するために必要とされているものである、請求項1に記載の制御デバイス(20)。
【請求項3】
前記センサデータ制御ユニット(22)が、前記センサユニットのうちの1つまたは複数の
センサユニットの動作モードを制御するようにさらに構成される、請求項1および2のいずれか1項に記載の制御デバイス(20)。
【請求項4】
前記動作モード
の制御が、
消費電力
に関するモード
の切換えを含む、請求項3に記載の制御デバイス(20)。
【請求項5】
前記動作モード
の制御が、
前記制御デバイスにワイヤレス伝送される前記センサデータ
に関するモード
の切換えを含む、請求項3および4のいずれか1項に記載の制御デバイス(20)。
【請求項6】
前記エアロゾル噴霧システム(30)の前記センサユニットが、
エアロゾルセンサユニット、
動作状態センサユニット、
呼吸動作センサユニット、
環境条件センサユニット、
ユーザ認識センサユニット、
エアロゾル発生器識別センサユニット、
薬剤識別センサユニット、
薬剤充填レベルセンサユニット、および
エアロゾル噴霧器バッテリセンサユニット
のうちの少なくとも2つを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の制御デバイス(20)。
【請求項7】
前記制御デバイス(20)が、肺活量計システム(50)および/または呼吸ガス分析システム(60)を制御するようにさらに構成され、
前記肺活量計システム(50)および/または前記呼吸ガス分析システム(60)が、複数の追加のセンサユニットを含み、
前記通信ユニット(21)が、前記肺活量計システム(50)および/または前記呼吸ガス分析システム(60)とのワイヤレス通信接続を確立し、前記肺活量計システム(50)およびまたは前記呼吸ガス分析システム(60)とのデータ伝送を実行するようにさらに構成され、
前記センサデータ制御ユニット(22)が、
前記肺活量計システム(50)および/または前記呼吸ガス分析システム(60)に、前記制御デバイス(20)にワイヤレス伝送される前記追加のセンサユニットの追加のセンサデータ
を選択
させる制御を行うようにさらに構成される、請求項1から6のいずれか1項に記載の制御デバイス(20)。
【請求項8】
前記センサデータ制御ユニット(22)が、前記追加のセンサユニットのうちの1つまたは複数の
センサユニットの動作モードを
制御するようにさらに構成される、請求項7に記載の制御デバイス(20)。
【請求項9】
前記追加のセンサユニットが、
肺診断センサユニット、
呼吸ガスセンサユニット、
バッテリセンサユニット、
温度センサユニット、および
ユーザ認識センサユニット
のうちの少なくとも2つを含む、請求項7および8のいずれか1項に記載の制御デバイス(20)。
【請求項10】
ユーザが、前記エアロゾル噴霧システム(30)、および/または前記肺活量計システム(50)、および/または前記呼吸ガス分析システム(60)を、所定の治療および診断プロトコルに従って使用しているかどうかを判定するように構成された評価ユニット(23)をさらに備える、請求項1から9のいずれか1項に記載の制御デバイス(20)。
【請求項11】
前記評価ユニット(23)が、前記センサユニットの前記センサデータ、および/または前記追加のセンサユニットの前記追加のセンサデータを使用して、前記所定の治療および/または診断プロトコルへの準拠度を決定するように構成され
る、請求項10に記載の制御デバイス(20)。
【請求項12】
前記評価ユニット(23)が、 実際の処置および/または治療の間隔を前記所定の治療および診断プロトコルと比較すること、ならびに/あるいは、
実際の処置の持続時間を前記所定の治療プロトコルと比較すること、ならびに/あるいは、
前記ユーザの実際の吸息/呼息パターンを前記所定の治療および診断プロトコルによって規定される吸息/呼息パターンと比較すること、ならびに/あるいは、
実際のエアロゾル送達投与量、および/または前記ユーザの肺内の沈着量を決定すること、ならびに/あるいは、
環境要因を決定すること、ならびに/あるいは、
前記ユーザの差し迫った悪化を予測すること、
を行うように構成される、請求項11に記載の制御デバイス(20)。
【請求項13】
前記評価ユニット(23)が、ユーザ認識ユニットに動作可能に接続される、請求項10
から12のいずれか1項に記載の制御デバイス(20)。
【請求項14】
前記評価ユニット(23)が、前記センサユニットの前記センサデータ、および/または前記追加のセンサユニットの前記追加のセンサデータの評価に基づいて緊急呼び出しまたは警報機能を生成するようにさらに構成される、請求項10から
13のいずれか1項に記載の制御デバイス(20)。
【請求項15】
前記評価ユニット(23)が、前記ユーザが前記所定の治療および診断プロトコルから所定のしきい値を超えて逸脱したときに表示を提供するようにさらに構成される、請求項10から
14のいずれか1項に記載の制御デバイス(20)。
【請求項16】
前記評価ユニット(23)が、前記エアロゾル噴霧システム(30)、および/または前記肺活量計システム(50)、および/または前記呼吸ガス分析システム(60)の使用の使用法誤りを決定するようにさらに構成される、請求項10から
15のいずれか1項に記載の制御デバイス(20)。
【請求項17】
前記評価ユニット(23)が、前記エアロゾル噴霧システム(30)、および/または前記肺活量計システム(50)、および/または前記呼吸ガス分析システム(60)のエラー状態を決定するようにさらに構成される、請求項10から
16のいずれか1項に記載の制御デバイス(20)。
【請求項18】
前記評価ユニット(23)が、前記エアロゾル噴霧システム(30)の一部、および/または前記肺活量計システム(50)の一部、および/または前記呼吸ガス分析システム(60)の一部が保守または交換を必要としているかどうかを判定するようにさらに構成される、請求項10から
17のいずれか1項に記載の制御デバイス(20)。
【請求項19】
前記評価ユニット(23)が、使用法誤り、エラー状態を決定したとき、ならびに/あるいは前記エアロゾル噴霧システム(30)の一部、および/または前記肺活量計システム(50)の一部、および/または前記呼吸ガス分析システム(60)の一部が保守または交換を必要としているときに、通知メッセージを伝送するようにさらに構成される、請求項
16から
18のいずれか1項に記載の制御デバイス(20)。
【請求項20】
前記制御デバイスが、前記エアロゾル噴霧システム(30)、および/または前記肺活量計システム(50)、および/または前記呼吸ガス分析システム(60)の設定データをさらに適応させる、
請求項1から19のいずれか1項に記載の制御デバイス(20)。
【請求項21】
前記制御デバイスが、視覚的表示、音響表示、および/または触覚表示に使用されるしきい値および/またはパラメータをユーザ固有に適応させるように更にされている、請求項20に記載の制御デバイス(20)。
【請求項22】
前記ワイヤレス通信接続が、Bluetooth(登録商標)接続、Bluetooth(登録商標) Low Energy接続、近距離場接続、WiFiまたはWLAN接続、赤外線接続、あるいは無線接続のうちの1つである、請求項1から
21のいずれか1項に記載の制御デバイス(20)。
【請求項23】
前記制御デバイス(20)が、スマートフォン、タブレット、あるいはその他の携帯型またはウェアラブルデバイスのうちの1つである、請求項1から
22のいずれか1項に記載の制御デバイス(20)。
【請求項24】
エアロゾル噴霧システム(30)の処理ユニット(32)が、前記制御デバイスに伝送されるデータ量を削減するためのデータフィルタリングおよび/またはデータ論理を含む、請求項1から
23のいずれか1項に記載の制御デバイス(20)。
【請求項25】
前記エアロゾル発生システム(30)が、
前記エアロゾル発生器がその中にエアロゾルを放出する混合チャンバ(34)と、
吸息弁(70)と、
呼息弁(73)と、をさらに備える、請求項1から
24のいずれか1項に記載の制御デバイス(20)。
【請求項26】
前記エアロゾル発生システム(30)が、
前記エアロゾル発生器がその中にエアロゾルを放出する混合チャンバ(34)と、
吸息相中に開いて周囲空気が前記混合チャンバ(34)に流入することを可能にし、呼息相中に閉じてエアロゾルが前記混合チャンバ(34)から逃げることを防止する、吸息弁(70)と、
前記呼息相中に開いて患者の呼気を周囲に排出することを可能にし、前記吸息相中に閉じて周囲空気の流入を防止する、呼息弁(73)と、をさらに備える、請求項1から
24のいずれか1項に記載の制御デバイス(20)。
【請求項27】
コンピュータの少なくとも1つのプロセッサで実行されたときに前記少なくとも1つのプロセッサを請求項1から
26のいずれか1項に記載の制御デバイスとして機能させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項28】
請求項
27に記載のコンピュータプログラムを格納しているコンピュータ可読ストレージ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肺活量計システムおよび/または呼吸ガス分析システムを制御するために使用することもできる、エアロゾル噴霧システムの動作を制御する制御デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエアロゾル噴霧器が、薬液からエアロゾルを生成するエアロゾル発生器を有することは既知である。ユーザ/患者にとってのエアロゾル噴霧器の使い勝手を改善するために、外部制御デバイスが使用されることがある。例えばアプリケーションソフトウェアプログラム(APPまたはモバイルAPP)を実装するスマートフォンなど、このような制御デバイスは、プロセッサと、例えば不揮発性メモリの形態などのメモリと、ディスプレイと、キーボード、個別のボタン、またはディスプレイのタッチセンス面の形態で構成されることがある入力ユニットとを備えることがある。
【0003】
このような外部制御デバイスは、さらに、適当なインタフェースを実装して、エアロゾル噴霧器とのワイヤレス通信接続を確立して、エアロゾル噴霧器に設定データを転送して、エアロゾル発生器の動作を適当に設定および制御することもある。同様に、噴霧データおよび/または測定データ(治療関係データとも呼ぶ)が、エアロゾル噴霧器の1つまたは複数のセンサユニットによって生成され、ワイヤレス通信接続を介してエアロゾル噴霧器から外部制御デバイスに転送されることもある。このような噴霧データおよび/または測定データは、例えば、エアロゾル噴霧器の内部制御ユニットによって生成されることもあるし、あるいはエアロゾル噴霧器に取り付けられ、かつ/またはエアロゾル噴霧器に接続された1つまたは複数のセンサユニットによって生成されることもある。このような外部制御デバイスの例として、例えばDE10243371A1または米国特許出願公開第2006/0237001号に記載のスマートフォンまたはPDAの形態などの外部コンピューティングデバイスがある。
【0004】
このような外部制御デバイスは、さらに、電気通信モジュールを有することもあり、したがって、設定データおよび吸入/測定データ(センサデータ)を、インターネットまたはクラウドを介して、例えば遠隔医療および(集中)電子医療記録のために中央データベースまたは中央データサーバに転送する、あるいは例えば患者の主治医などユーザ自身以外の個別の受信者に転送する機能を提供することもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
治療プロトコルへの遵守度を改善すること、治療プロトコルを動的に適応させること、ならびに吸入プロセス中の制御デバイスにおける患者の訓練およびサポートなどの実時間の治療関係機能を提供することによって吸入療法の成功度を改善するために、上述の外部制御デバイスを診断デバイスに接続して、ユーザ/患者の気道の状態、ならびに/あるいは肺の状態および/または機能を監視することが、さらに提案されている。このような診断デバイスの例としては、ユーザ/患者の肺によって吸息/呼息される空気の流量および体積を測定することができるフローセンサ、または特に肺活量計がある。さらに、肺活量計は、換気、すなわち肺に出入りする空気の動きを測定することもできる。既知の通り、例えば、治療関係データ、特に診断関係データも生成する圧力変換器、超音波送信器、熱線風速計、タービン(光学、音響)など、いくつかの異なるセンサユニットを測定に使用する様々なタイプの肺活量計がある。
【0006】
したがって、エアロゾル噴霧器に取り付けられる、または接続される複数のセンサユニット、および/あるいは肺活量計に取り付けられる、または接続される複数の追加のセンサユニットが全て、外部制御デバイスとのワイヤレス通信接続を使用して伝送されるセンサデータを生成する。例えば、DE10243371A1および米国特許出願公開第2006/0237001号では、エアロゾル噴霧器がオンである限り連続的にセンサユニットの測定信号を供給し、これらの連続的に供給される測定信号を処理することによって得られる全ての治療関係データを連続的に伝送することが提案されている。しかし、データ伝送速度、すなわち確立されたワイヤレス通信接続を介して伝送することができる単位時間あたりのデータ量は、一定であることがある。特に、例えば携帯型のエアロゾル噴霧器および/または肺活量計のバッテリ要件を制限する目的などでBluetooth(登録商標) Low Energyなど容量の少ないワイヤレス通信接続を使用する場合には、そうである可能性がある。追加のセンサユニットを適用することによってセンサデータの量が増加し続けると、データ伝送速度が一定であることが、吸入プロセス中および/または肺活量計の使用中の制御デバイスにおける患者の訓練およびサポートなど実時間の治療関係フィードバック機能を提供する上で不利になる可能性がある。
【0007】
以上のことを背景に、本発明の目的は、上述の技術的欠点を克服する制御デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による制御デバイスの特徴は、請求項1に定義されている。有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0009】
さらに、本発明によるコンピュータプログラムの特徴は、請求項25に記載されており、このコンピュータプログラムを含むコンピュータ可読ストレージ媒体およびキャリアの特徴は、請求項26および27にそれぞれ記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態によるエアロゾル噴霧システムの制御デバイスを示す概略図である。
【
図2】吸入中のセンサデータの伝送の優先順位付けを示す概略図である。
【
図3】実施形態によるエアロゾル噴霧システムおよび肺活量計システムの制御デバイスを示す概略図である。
【
図4】実施形態によるエアロゾル噴霧システム、肺活量計システム、および呼吸ガス分析システムの制御デバイスを示す概略図である。
【
図5A】実施形態による制御デバイスにおける患者の訓練およびサポートに関連する概略図である。
【
図5B】実施形態による制御デバイスにおける患者の訓練およびサポートに関連する概略図である。
【
図5C】実施形態による制御デバイスにおける患者の訓練およびサポートに関連する概略図である。
【
図5D】実施形態による制御デバイスにおける患者の訓練およびサポートに関連する概略図である。
【
図5E】実施形態による制御デバイスにおける患者の訓練およびサポートに関連する概略図である。
【
図6】実施形態によるエアロゾル噴霧システムの吸息弁および呼息弁を備えた混合チャンバを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明は、本発明を限定するものとして解釈すべきではないことに留意されたい。以下、同様または同じ参照符号は、同様または同じ要素または動作を示している。
【0012】
図1は、エアロゾル噴霧システム30と組み合わされて通信対話する、実施形態による制御デバイス20を示す図である。
【0013】
ここで、エアロゾル噴霧システム30は、例えばメンブレン式エアロゾル発生器など、エアロゾル噴霧システム30のタンク78に保持された液体を噴霧するのに適したエアロゾル発生器31を備えることができる。液体は、少なくとも1種類の有効医薬品成分、薬剤、および/または少なくとも1種類の治療関連流体(塩化ナトリウム溶液など)を含む流体、ならびに/あるいは診断補助のためにエアロゾルを生成する元となる流体(蛍光エアロゾル、または単分散エアロゾルなど)である可能性がある。この液体/流体は、エアロゾル発生器31によってエアロゾルに変換され、このエアロゾルが、その後、例えばマウスピース35に接続された混合チャンバ34に入る。このマウスピースから、患者/ユーザは、肺、喉、鼻、または鼻腔などの気道にエアロゾルを吸入して、規定のエアロゾル治療プロトコルに従った医学治療を行う。さらに、エアロゾル発生器31(
図1)は、通信インタフェース33を介して制御デバイス20から提供されることも、あるいはエアロゾル噴霧システム30の処理ユニット32に予め設定されていることもある設定データに従って動作する。逆に、エアロゾル噴霧システム30は、エアロゾル噴霧システム30またはその付近にある1つまたは複数のセンサユニット38a、38b、38c、38d、38eによって生成される吸入データおよび/あるいは測定データ(以下では治療関係データまたはセンサデータとも呼ぶ)を、確立されたワイヤレス通信対話を介して制御デバイス20に提供する。ここで、ワイヤレス通信接続は、Bluetooth(登録商標)接続、Bluetooth(登録商標) Low Energy接続、近距離場接続、WiFiまたはWLAN接続、赤外線接続、LoRa接続(ワイヤレスのバッテリ駆動型のIoT(Internet of things)デバイス用の低電力広域ネットワーク接続)、または無線接続などのうちの1つであることができる。ここで、例えばBluetooth(登録商標) Low Energyのデータレートは、200kBit/s未満、またはさらに低く100kBit/s未満であることがある。さらに、ワイヤレスLoRa接続のデータレートは、0.3~50kBit/sという低さであることもある。さらに、不正アクセスを回避するために、設定データおよび/またはセンサデータが暗号化されることもある。さらに、誤り訂正機能(チェックサムなどに基づく)を実施することによって、常にデータの完全性を保証することもある。
【0014】
図1に示す実施形態では、エアロゾル噴霧システム30は、5つのセンサユニット38a、38b、38c、38d、38eを備えるが、エアロゾル噴霧システム30は、これら5つのセンサユニットに限定されるわけではなく、センサユニットの数は5つより多くても少なくてもよい。一般に、センサユニットは、治療に関連するパラメータの測定信号を、それらの測定信号に対して信号に基づく処理(例えばアナログデジタル変換、フィルタリング、増幅)を行うことによってそれらの測定信号から治療関係データを生成する処理ユニット32に供給する。治療関係データ(センサデータ)は、処理ユニット32から通信インタフェース33に出力され、制御デバイス20にワイヤレス伝送される。
【0015】
図1に示すセンサユニット38a、38b、38c、38d、および38eは、測定信号を生成する様々なセンサユニットの例を表している。例えば、センサユニット38aは、メンブレン式エアロゾル発生器31の動作状態、例えば電力消費、エアロゾルの温度ならびに/または現在の出力および/もしくは消費、液体タンクの充填状態、あるいはエアロゾル発生器31の別の治療関連パラメータなどを検出することができる。メンブレン式エアロゾル発生器の動作状態、および/または治療関連パラメータは、センサ信号から直接または間接的に測定または計算することができる。センサユニット38bは、混合チャンバ34内のエアロゾルの存在、およびエアロゾル密度を検出することができる。センサユニット38cは、例えば周囲空気の温度、湿度、および汚染状態、ならびに/あるいは周囲空気の圧力を検出する環境条件センサユニットであってもよい。さらに、センサユニット38dは、例えば患者の呼吸流を検出することができる。このような呼吸動作センサユニットは、生成されたエアロゾルの吸入中、および呼息中に、ユーザ/患者の呼吸(呼息および吸息)動作と呼吸流とを決定することができる。さらに、センサユニット38eは、ユーザ/患者がマウスピース35と実際に接触しているかどうかを検出することができる。もちろん、マウスピース35は、例えばマウスピース、フェイスマスク、鼻プロング、チューブ、ならびに例えば接触面、ディスプレイ、ボタン、およびハンドルなどユーザ/患者が実際に接触しているかどうかを検出するための各接触領域など、任意の種類の接続器とすることができる。
【0016】
図1に示す実施形態では5つのセンサユニット38a、38b、38c、38d、38eを示しているが、生成する治療関連測定信号を増やしたり減らしたりするために、本発明によるエアロゾル噴霧システム30が備えるセンサユニットをこれより多くしたり少なくしたりすることができることは明らかである。
【0017】
例えば、エアロゾルセンサユニットは、エアロゾル密度、あるいは例えば質量中央径(MMD)、質量中央空気力学的径(MMAD)、MMDまたはMMADからの標準偏差、またはGSD(幾何学的標準偏差)などのエアロゾル小滴の統計学的性質などのエアロゾル品質など、生成されたエアロゾルの1つまたは複数のパラメータをさらに決定することもある。
【0018】
さらに、ユーザ認識センサユニットを設けて、エアロゾル噴霧器の現在のユーザを識別することもできる。以下でさらに説明するように、ユーザ認識は、コード、アイコン、スマートカード、顔認証、指紋、虹彩スキャン、および/またはセンサユニットの特殊機能に基づく可能性がある。さらに、ユーザ認識は、本発明の制御デバイスから識別データを受信すること、アプリケーションソフトウェアプログラムに基づく識別データを受信すること、あるいは医療デバイス(補聴器、心臓ペースメーカ、インシュリンポンプ)、またはユーザをスキャンして認識する機能をそれ自体が備えている車両などの外部デバイスから識別データを受信することによって実現することもある。
【0019】
さらに、エアロゾル発生器識別センサユニットが、エアロゾル噴霧システムで現在使用されている特定のタイプのエアロゾル発生器を識別し、薬剤識別センサユニットが、現在エアロゾルを生成する際に使用されている薬剤の種類を識別することもある。この識別は、光スペクトル測定(液体内、またはエアロゾル小滴内)に基づくことも、あるいは液体を入れたアンプルに設けたRFIDチップまたは別のストレージ要素に基づく、または流体内の電気抵抗測定に基づくこともある。
【0020】
さらに、エアロゾル噴霧器バッテリセンサユニットを設けて、バッテリの現在の充電状態(SOC)、以前の充電および/または放電サイクル、バッテリのバッテリ電圧、ならびにバッテリセルそれぞれのバッテリ電圧などを決定することもできる。これは、セル電圧、充電および/または放電電流、充電および/または放電時間、ならびに参照テーブルに提供することができるそれぞれの目標値との比較を測定することによって実現することができる。さらに、新たなバッテリセルを挿入するときに、その新たな電気的パラメータ(電圧、電流、SOC)を、それらの目標値と比較することもできる。
【0021】
図1に示す外部制御デバイス20は、スマートフォン、タブレット、携帯情報端末(PDA)、ネットブックコンピュータ、ノートブックコンピュータ、ラップトップコンピュータ、パーソナルコンピュータ、またはスマートウォッチ、スマートグラス、ランニングコンピュータ、補聴器、もしくはインシュリンポンプコンピュータなどの埋込み型医療機器などのウェアラブルデバイス、あるいはその他の携帯型デバイスとすることができる。
【0022】
実施形態によるエアロゾル噴霧システム30の制御デバイス20は、治療関係評価のためのアプリケーションプログラム(例えばAPP)を備えることもある。このプログラムは、制御デバイス20のメモリユニット25に格納することができ、制御デバイス20のオペレーティングシステムのフレームワーク内でそこから開始することができる。さらに、これに換えて、例えば通信ユニット21などのインタフェース、または追加のインタフェース(RS-232、USB、またはFireWireなど)を介して制御デバイス20のメモリユニット25にアプリケーションプログラムを転送し、そのアプリケーションプログラムを制御デバイス20のオペレーティングシステムのフレームワーク内でそこから開始することも可能である。最後に、このようなアプリケーションプログラムは、例えばインターネットを介してダウンロードするなど、遠隔データ接続ユニット(図示せず)を介して制御デバイス20のメモリユニット25にロードして、制御デバイス20のオペレーティングシステムのフレームワーク内でそこから開始することもできる。
【0023】
従来は、エアロゾル噴霧システム30をオンにした後で、38a、38b、38c、38d、および38eが処理ユニット32のためのセンサ信号を生成し、処理ユニット32が、それらの測定信号に対して信号に基づく処理を行うことによってそれらの測定信号から治療関係データ(センサデータ)を生成し、そのセンサデータを通信インタフェース33に搬送する。通信インタフェース33は、センサデータを処理ユニット32から受信する限り、そのセンサデータを外部制御デバイス20の通信ユニット21に伝送する。このような複数のセンサユニットからのセンサデータの連続生成は、エアロゾル噴霧システム30と外部制御デバイス20の間に確立されたワイヤレス通信接続を介して単位時間あたりに伝送することができるセンサデータの量に限りがあることがあるので、伝送のボトルネックにつながる可能性がある。特に、これは、例えば携帯型エアロゾル噴霧器のバッテリ要件を制限するためにBluetooth(登録商標) Low Energyなどの(一定の)低容量ワイヤレス通信接続を使用するときには、そうである可能性がある。しかし、データ伝送速度が制限されていることは、制御デバイスにおける患者の訓練およびサポートなど制御デバイス20による実時間の治療関係機能を提供する上で不利になる可能性がある。例えば、制御デバイスにおけるこのような実時間フィードバック機能は、治療アプリケーション内でユーザを誘導する視覚的および/または音響的フィードバックを提供し、かつ/あるいは治療アプリケーションを適当に補正するシミュレーションおよび/またはアニメーションモジュールを実装することもある。1つの実施形態では、このような視覚的フィードバックは、エアロゾル噴霧システム30(ならびに/あるいは後述する肺活量計システムおよび/または呼吸ガス分析システム)の実際の使用を極力妨げないようにして治療、訓練、運動コース、アプリケーション、診断プロトコル、および場合によっては補正における実時間誘導をサポートすることができるデータグラス、スマートグラス、または仮想現実グラスなどにおける視覚的表現を使用して提供することができる。
【0024】
上述の技術的制限を克服するために、
図1に示す制御デバイス20は、センサデータ制御ユニット22を備える。センサデータ制御ユニット22は、例えばエアロゾル噴霧システム30の通信インタフェース33から制御デバイス20の通信ユニット21にワイヤレス伝送すべき現在生成されているセンサデータの適当なサブセットなど、センサデータの選択をトリガすることができる。ここで、エアロゾル噴霧システム30におけるセンサデータ制御ユニット22からの現在生成されているセンサデータの選択は、対応する信号(指示)などを伝送することによってトリガすることができる。
【0025】
図2は、同じ周波数または異なる周波数で連続的に生成することができるそれぞれのセンサデータ(
図2には四角として示す)を生じるセンサユニットS1、S2、…、SNに基づくこの手法を示す図である。例えば、各センサユニットは、部分的には、1000を超える測定値(センサデータに変えられる)を生成することもある。吸入中には、選択された優先されるセンサデータのみが、制御デバイスに伝送される。センサデータは、例えば、参照テーブル(データベース)、論理、ならびに/あるいはサンプル値、平均値、傾向分析、および/または曲線の概形などのアルゴリズムを介して縮小することもできる。この概念を、
図2にさらに示す。特に、吸入中に、センサデータのサブセット(ここではセンサS1およびS2に対応するセンサデータ)について外部制御デバイス20への優先転送を行い、残りのセンサデータ(ここではセンサS3およびSNに対応するセンサデータ)は、例えば吸入後など後に転送するためにエアロゾル噴霧システムに一時的に格納しておく。したがって、特に、吸入プロセス中には、制御デバイス20は、実時間フィードバックに必要なセンサデータのサブセットの優先転送に基づいて実時間フィードバックを提供することができる。
【0026】
ここで、フィードバックは、映像、視覚的説明、または音響チュートリアルとして提供することができ、個人訓練、訓練プログラム、個人教授、または理学療法士などを含むことがある。これは、介護者、医師または薬剤師、医薬品開発業受託機関(CRO)、製造業者、および製薬会社などと組み合わせたボーナスまたはクレジットシステムを含むこともある。
【0027】
例えば、ユーザ/患者が吸入プロセスを開始するときに、エアロゾル噴霧システムは、対応するメッセージを制御デバイス20に送信することがあり、これにより制御デバイス20は吸入モードに切り替わる。この吸入モードは、特定の吸入訓練、または伝送されたセンサデータに基づいて実時間で吸入をサポートするアプリケーションを含むこともある。一方で、この吸入モードは、吸入中にのみ表示(または再生)することができる特定のゲーミフィケーション(例えば子供用のアニメーションを含む)を含むこともある。ここでは、ゲーミフィケーションボーナスシステムは、治療への準拠をさらに増進させる可能性がある。
【0028】
吸入プロセスを開始することによって、例えば呼吸流測定、エアロゾル密度測定、粒子サイズ測定、使用測定、接触測定、傾斜測定、および/または加速度測定に関するものなど、追加のセンサユニットが起動されることもある。これらのセンサのセンサデータが既定の、または適応されたしきい値を超える、または下回る場合には、エアロゾル噴霧システム30および制御デバイス20の両方において警告表示が示されることがある。さらに、エアロゾル噴霧システム30の傾斜角が既定の、または適応されたしきい値を超える場合には、実時間のシミュレーション、アニメーション、および/またはゲーム(ゲーミフィケーション)が中断され、ユーザ/患者を適当な吸入プロセスに復帰させるように誘導する対応する表示が、制御デバイス20に表示される。
【0029】
上記の吸入モードは、制御デバイス20およびエアロゾル噴霧システム30の様々なユーザに関連して規定することもできる。例えば、1つのモードでは、子供がエアロゾル噴霧システム30を使用し、制御デバイス20において、患者/介護者/監督者に、例えば完全沈着シミュレーションおよび/または吸入評価(緑色、黄色、赤色の光信号など)をさらに含むこともある詳細な実時間フィードバック(プッシュ通知)が提供される。したがって、患者/介護者/監督者は、吸入が適切に行われているかどうかを判定することができる。別のモードでは、子供が制御デバイスも使用し、例えばエアロゾル噴霧システム(30)の個々の使用によって対話的にアニメーション化されるゲーム(上述)で遊んでいるときに、制御デバイスが伝送されるセンサデータを収集する。様々なモードの間の区別は、以下でさらに述べるように、制御デバイス20およびエアロゾル噴霧システム30の両方におけるユーザ認識に基づくことがある。
【0030】
さらに、制御デバイス20は、例えばユーザの健康状態が改善または低下したときなど治療プロトコルの進行中に適宜適応されることもある既定のしきい値に基づくセンサデータの選択をトリガすることもできる。ここで、これらのしきい値は、設定データの形態で、または明示的なシグナリングとして、エアロゾル噴霧システム30に伝送することができる。
【0031】
例えば、特定の時間期間にわたってエアロゾル噴霧システムの動きが検出されないとき、または制御デバイス20によって与えられる傾斜角の既定のしきい値を超えたときには、加速度計および/または傾斜センサのセンサデータのみを伝送する。
【0032】
さらに別の例によれば、制御デバイス20は、特定のセンサユニットのセンサデータ全体のうちのサブセットのみの転送をトリガすることもある。例えば、制御デバイスのディスプレイにおいて呼吸動作の定性的評価のみを行えばよく、完全な肺活量測定が不要である限り、呼吸流センサのセンサデータ全体のうち、n個(n>1)ごとのセンサデータのみを伝送する。測定曲線全体(例えば以下で述べるような肺活量測定に関する測定曲線全体)、および/あるいは吸入中の1つまたは複数の呼吸サイクルは、その後に、一時的記憶域から取得し、制御デバイス20に伝送すればよい。
【0033】
さらに別の例によれば、エアロゾル密度センサのセンサデータは、エアロゾル密度が例えば特定のしきい値を超えて変化するなど有意に変化した場合にのみ、制御デバイス20に伝送されることになる。
【0034】
別の例として、WO2015/091356A1に記載されるものなど、電気的パラメータおよび振動周波数の統計的データ解析(例えばデータ曲線の傾き、および/またはデータ曲線下方の面積)に基づいてエアロゾル発生器の膜と接触している液体/流体、またはタンク内の液体/流体の存在を検出するセンサユニット38aは、タンクが空であるとき、または例えば傾斜角がこのしきい値を超えているときなど膜に液体/流体が提供されていないときにのみ、対応するセンサデータを制御デバイスに提供するように構成されることもある。
【0035】
上記の2つの例に基づいて、エアロゾル発生器の動作停止の改善は、加速度計および/または傾斜センサ、液体/流体の存在を検出するセンサユニット38a、ならびにエアロゾル密度および/またはエアロゾル品質を検出するセンサユニット38bに基づいて実現することができる。特に、加速度計、または好ましくは傾斜センサデータに基づいて、傾斜角が大きすぎる(特定のしきい値を超える)という根拠だけで、液体タンクが実際に空であるかどうか、または液体が膜と接触していないかどうかを判定することができる。後者の場合には、エアロゾル発生器は動作停止させず、ユーザがエアロゾル噴霧システムを垂直に適切に保持するように実時間で通知される。
【0036】
ここで、センサデータ制御ユニット22によって、優先順位テーブルを提供することができる。この優先順位テーブルは、エアロゾル噴霧システムの特定の動作中にどのセンサデータを「ライブで」伝送するかを規定することができる。例えば、この優先順位テーブルは、通常の吸入中には(例えば呼吸流が既定のしきい値より大きい場合には)センサデータの縮小セットのみを伝送し、残りのセンサユニットの残りのセンサデータは、既定の伝送ウィンドウ(「ライブ」伝送のための伝送ウィンドウ)の外でのみ伝送する、と規定することもある。一方で、訓練吸入モード中には、適切な呼吸動作を学習するために、優先順位テーブルは、実時間フィードバックを提供するために制御デバイス20の表示ユニットに例えば沈着シミュレーション、吸入評価、および/または成功率指標と関連付けて
図5Dに示すようにグラフィック表示される呼吸流センサのセンサデータをより多く伝送するように規定することもある。
【0037】
したがって、センサデータ制御ユニット22は、実時間フィードバック機能が制御デバイス20で行われているとエアロゾル噴霧システム30に信号通信することができる。このような指示に応答して、エアロゾル噴霧システム30は、処理ユニット32で現在生成されている全てのセンサデータを伝送しようとせず、現在生成されているセンサデータのサブセットのみ、特に制御デバイスにおいて実時間フィードバックを実行するのに必要なセンサデータのみを伝送する動作を実行する。換言すれば、適当なセンサデータの選択は、制御デバイスにおいて高い優先順位で必要とされるセンサデータの適当なサブセットをフィルタリングまたは選択することによって実現することができる。すなわち、(上述の)処理ユニット32によって生成された、または生成されることになるセンサデータは、センサデータのサブセットが例えば実時間フィードバックを提供する目的で制御デバイスに伝送されるためにリリースされるように、優先順位をつけられる。制御デバイスで直ちに必要とされているわけではないセンサデータの残りのセットは、エアロゾル噴霧システム30に一時的に格納(キャッシュまたはバッファリング)することができ、例えば実時間フィードバックを行われなくなったときなど後の時点で、または後の時点における制御デバイスによる指定のプル動作に応じて、制御デバイス20に伝送することができる。別の好ましい実施形態では、センサデータの残りのセットは、例えばユーザが特定の位置にいるときなど、WiFi接続またはLoRa接続などの特定のデータ転送機能を確立することができるときにのみ、伝送されることもある。
【0038】
例えば、
図1に破線で示す評価ユニット23は、呼吸動作センサユニットによって生成されるデータに基づいて、生成されたエアロゾルの吸入中の患者の実際の呼吸(呼息および吸息)動作(以下では呼吸パターンとも呼ぶ)を決定することができる。格納されている所定の最適呼吸動作に基づいて、評価ユニット23は、1つまたは複数の所定のしきい値を基準として実際の呼吸動作が最適呼吸動作から逸脱している場合に、患者/ユーザに対する表示および/または警告を生成することができる。ここで、最適呼吸動作は、医師が後に適応させることができる、年齢、性別、医療適用、肺機能、大きさおよび体重、ならびに疾患の重篤度などの患者/ユーザ情報に基づいて、制御デバイス20が決定することができる。このような最適呼吸動作は、推奨呼吸数(1/分)、ピーク吸気流量および/または平均吸気流量(リットル/分)、吸気体積(リットル)、吸息期間(秒)、吸息/呼息期間比、息こらえ期間(秒)、呼吸動作を反復する中での上述の変数のいずれかの散乱(例えば標準偏差)、ならびに例えば米国胸部学会議(ATS)、欧州呼吸器学会(ERS)、国際医用エアロゾル学会(ISAM)、およびGlobal Initiative for Asthma(GINA)のガイドラインから導出することができる、例えば±10リットル/分の許容範囲を有する30リットル/分、好ましくは20リットル/分±7リットル/分、より好ましくは15リットル/分±5リットル/分、さらに好ましくは12リットル/分±5リットル/分などの目標ピーク吸気流量など、この最適呼吸動作の既定の基準値に対する1つまたは複数の許容差値などの基本変数のセットによって特徴付けられることがある。
【0039】
さらに、エアロゾル噴霧システムの使用中に呼吸動作センサユニットによって生成されるデータを現在使用されている液体および用いられている投与量に関する情報と関連付けて使用することにより、評価ユニット23は、送達される投与量の実時間(以下で述べるように、吸入中であるが、肺活量計の使用中、または呼吸ガス分析の使用中でもある)の推定、および肺内の全体的または局所的なエアロゾル沈着量の実時間推定、すなわち患者/ユーザの肺内のエアロゾルの現在の沈着量の識別を提供するようにさらに構成されることもある。次いで、これを使用して、成功した治療または成功率についてのフィードバックを患者に与えることもできる。このフィードバックは、沈着シミュレーションまたは成功率指標を制御デバイス20のディスプレイに表示することによって提供することもできるし、あるいは噴霧デバイスまたは制御デバイス上で可聴信号、視覚的信号、および/または触覚信号によって提供することもできる。
【0040】
好ましい実施形態によれば、制御デバイス20は、複数の異なる実時間フィードバックを実行することもある。このようなフィードバックは、ユーザ/患者によるエアロゾル噴霧システムの取扱いに関連して提供されることがある。このようなフィードバックは、また、流体の存在、ユーザ/患者による吸入の継続、および/または送達されるエアロゾル投与量についての障害診断(例えばスクリーンショットの形態)を提供することもある。別の例の実時間フィードバックは、吸入シミュレーションを提供することもあり、したがって、その実時間フィードバックのために、エアロゾル密度、エアロゾル品質、呼吸パターン、薬剤の種類についてのセンサデータのサブセットを必要とすることがある。例えば、噴霧の持続時間についてのセンサデータ、または流体存在センサの陽性検出は、噴霧中には不要である可能性がある。さらに、エアロゾル発生器における流体の存在についての進行中のセンサデータは、流体タンク内で十分な薬剤が入手可能であり、特定の制限しきい値に達していない限り、不要である可能性がある。さらに、傾斜角についてのセンサデータは、特定の臨界しきい値(例えばエアロゾル噴霧システムの不適切な取扱いを示す、または特定の健康状態(例えば振戦、震え、サルブタモール吸入後、または血中酸素(例えばマウスピース35において光学的に測定される))を示すもの)に達したときにのみ伝送すればよい。
【0041】
したがって、センサデータ制御ユニット22は、複数の異なるトリガ(指示するもの)を使用して、高い優先順位で制御デバイスに伝送すべきセンサデータの異なるサブセットをそれぞれ要求することができる。
【0042】
別の実施形態によれば、センサデータ制御ユニット22は、さらに、エアロゾル噴霧システム30のセンサユニットのうちの1つまたは複数の動作モードを制御するように構成されることもある。ここで、動作モードとは、センサユニットの電源オンモードまたはスリープモード、様々な電力消費段階、様々な異なるセンサデータ生成モード、および/あるいは制御デバイス20にセンサデータを伝送するか、それ以上伝送すべきではないかを判断する基になるしきい値を指す可能性がある。したがって、制御デバイスは、センサユニットを選択的にスイッチオフすることができる。動作モードは、また、センサデータを生成して伝送する特定の順序を指すこともある。
【0043】
ここで、適当なしきい値を定義することに関連するトリガ選択および/または動作モードは、必要に応じて適応または修正することができる統計値(例えば平均値)に基づくこともある。
【0044】
例えば、制御デバイスの評価ユニット23がユーザの振戦運動(エアロゾル噴霧システム30の加速度計によって検出される振幅または周波数に基づく)がユーザ/患者の通常の状態(平均値)であり、健康状態の突然の低下を示しているものではないと判定した場合には、適当に更新されたしきい値を処理ユニット32に信号通信して、加速度計の動作モードをスイッチオフする、または対応するセンサデータを伝送しないようにすることができる。したがって、外部制御デバイス20は、評価ユニット23によって設定されることができる特定の時間期間にわたって測定信号の取得(およびそれによるセンサデータの生成)を中断するようにトリガすることができる。ここで、制御デバイス20によってトリガされる電力モード切換えは、例えば実時間フィードバックに必要な測定信号をより高いサンプリングレートまたはより高いサンプリング精度で提供するようにセンサユニットのサブセットに優先順位をつけることによって、エアロゾル噴霧システムにおけるセンサユニットの優先動作順序を実現することもある。
【0045】
したがって、外部制御デバイス20によって制御可能なセンサユニットの動作モードは、データモード切換えを含むことがある。このデータモード切換えが、測定信号の処理および/またはセンサデータの生成の選択的なオン/オフを含み、実時間フィードバックに関連するセンサデータがより高い優先度で生成される。これは、生成されたセンサデータの一部を確立されたワイヤレス接続を介して直ちには伝送せず、エアロゾル噴霧システムにキャッシュまたはバッファリングすることを含むこともある。データモード切換えは、また、例えばユーザ/患者の治療プロトコルが更新されて、普通なら例えば節電のためにオフになっているセンサユニットからの追加のセンサデータがさらに必要になったときなどに、治療プロトコルへの適応を含むこともある。
【0046】
ここで、制御デバイス20は、特定患者用の治療プロトコルを、医師がアクセス可能な外部サーバから取得することができる。このような特定患者用の治療プロトコルの指定を、評価ユニットが使用して、以下で述べるように、エアロゾル生成システム、およびさらに肺活量計システム、および呼吸ガス分析システムのセンサユニットからそれぞれ伝送されるデータに基づいて準拠度を決定することができる。ここで、評価ユニット23が、所定のしきい値を超えて特定患者用の治療プロトコルから逸脱していると判定すると(例えば患者が特定の時間期間内に特定の回数のエアロゾル吸引を失敗したとき、または患者が肺診断データを取得するための特定の回数の肺活量計の使用を失敗したときなど)、評価ユニット23は、適当な表示またはリマインダを生成することができる(そしていつ吸入および/または肺活量計による測定を行うべきかについてのカレンダ機能を実施することができる)、あるいは対応する通知を、医師/監督者/介護者/サービス電話直通回線/CRO、またはその特定患者用の治療プロトコルを格納している中央サーバに送信することができる。
【0047】
したがって、取得した準拠度データ(センサデータ)は、好ましくはユーザ/患者が準拠度データの制御を保持し、アクセスプロパティ(アクセス時間、アクセス権)を決定するのがユーザ/患者であるような方法で、例えばクラウドソリューションを介して、(集中)患者記録に関係する1つまたは複数のデータベースに集中的に収集することができる。その他の場合には、標準的な治療プロトコルは、予め制御デバイス20に格納しておき、年齢、性別、体重、大きさ、医療適用、肺機能、および疾患の重篤度などの基本パラメータに基づいて患者/ユーザが適当な標準的な治療プロトコルを選択できるようにすることができる。
【0048】
したがって、エアロゾル噴霧システム30のセンサユニットは、外部制御デバイス20によって制御されることがある。さらに詳細には、エアロゾル噴霧器がオンであっても、センサユニットの動作モードが、測定信号の生成を選択的にオフにするように制御されることがある。さらに、エアロゾル噴霧システムの処理ユニットの動作モードは、例えばセンサユニットのサブセットの測定信号を処理して治療関係データを生成するが、外部制御デバイスにおける実時間評価に必要な治療関係データのみは外部制御デバイスに伝送されるように設定されることもある。対照的に、外部制御デバイス20における実時間評価に不必要な一部の治療関係データは、エアロゾル噴霧システムに一時的に格納しておき、後に、実時間評価に必要な治療関係データが成功裏に伝送された場合に、例えば外部制御デバイスからのプル命令、または処理ユニット32からのプッシュ命令に基づいて、外部制御デバイスが取得することができる。この後続のセンサデータ転送の開始は、実時間評価の終了またはエアロゾル生成の停止などの後、特定の時間間隔(例えば30秒または60秒)だけ遅れることがある。
【0049】
ここで、評価ユニット23は、例えば治療プロトコルへの準拠度を評価するため、ならびに/または心拍数、血圧、およびインシュリンレベルなど、その他の健康関係データに関連して治療プロトコルを適応させるために、1つまたは複数のデータベース(患者記録、および医療チャートなどを格納する)、あるいは制御デバイス20のその他のアプリケーションプログラム(App)と対話することもできる。
【0050】
図3は、エアロゾル噴霧システム30および肺活量計システム50と組み合わされて通信対話する、別の実施形態による制御デバイス20を示す図である。
図4は、エアロゾル噴霧システム30、肺活量計システム50、および呼吸ガス分析システム60と組み合わされて通信対話する、別の実施形態による制御デバイス20を示す図である。なお、これに換えて、呼吸ガス分析システムが、肺活量計システム50を備えることもできる、すなわち、肺活量計システム50が、ユーザ/患者の呼気を分析/評価することができることもあることに留意されたい。例えば、呼気は、NO、酸素(O
2)、および炎症マーカについて分析することができる。
【0051】
さらに別の実施形態では、これに換えて、肺活量計システムは、例えばメンブレン式噴霧器、およびジェット式噴霧器などを含むエアロゾル噴霧システム30の一体部分として設けられることもある。このような実施形態では、エアロゾル噴霧システムは、上述のように、ユーザ/患者の肺によって吸息/呼息される空気の体積を測定し、換気を測定することができることもある。
【0052】
さらに別の実施形態では、これに換えて、呼吸ガス分析システムは、例えばメンブレン式噴霧器、およびジェット式噴霧器などを含むエアロゾル噴霧システム30の一体部分として設けられることもある。このような実施形態では、エアロゾル噴霧システムは、上述のように、ユーザ/患者の呼吸ガスを分析/評価することができることもある。
【0053】
図3によれば、肺活量計システム50は、確立されたワイヤレス通信接続を介して通信インタフェース51によって制御デバイス20の通信ユニット21に伝送することができる追加のセンサデータ(肺活量計センサデータ)を生成するために処理ユニット52において(上記で説明したように)処理される測定信号をそれぞれ生成する複数の追加のセンサユニット53を備えることがある。
【0054】
同様に、
図4の呼吸ガス分析システム60は、確立されたワイヤレス通信接続を介して通信インタフェース61によって制御デバイス20の通信ユニット21に伝送することができる追加のセンサデータ(呼吸ガス分析センサデータ)を生成するために処理ユニット62において(上記で説明したように)処理される測定信号をそれぞれ生成する複数の追加のセンサユニット63を備えることがある。
【0055】
呼吸ガス分析システムが肺活量計システムに組み込まれる場合には、呼吸ガス分析システムの追加のセンサユニット63は、それぞれの測定信号を処理ユニット52に転送することになる。
【0056】
それぞれの通信インタフェース33、51、および61と制御デバイス20の通信ユニット21との間のワイヤレス通信プロセスを適切に実行するためには、適当なデータ構造を使用しなければならない。ここで、データ通知の受信側、すなわち制御デバイス20、噴霧システム30、肺活量計システム50、または呼吸ガス分析システム60を識別する修飾子を含むデータ構造が使用されることがある。さらに、データ構造は、データ通知を適切に評価するために、データフォーマットの識別子、およびデータフォーマットのバージョンの識別子を含むこともあるが、これはまた、データ構造を追加のアプリケーションに合わせて適応および拡張することができるように十分に柔軟性を有する。
【0057】
したがって、肺活量計システム50および/または呼吸ガス分析システム60は、1つまたは複数の追加のセンサユニットを備えることがある。特に、肺診断センサユニット、呼吸ガスセンサユニット、バッテリセンサユニット、およびユーザ認識センサユニットのうちの少なくとも1つが設けられる可能性がある。ここで、肺診断センサユニットは、以下でさらに述べるように、FeVl、VC、およびMEFなどに基づいて肺機能を決定することができる。さらに、呼吸ガスセンサユニットは、以下でさらに述べるように、FeNO、NOx、CO2、CO、O2、O3、およびVOなどの呼吸ガスの組成を決定することができる。さらに、バッテリセンサユニットは、肺活量計システム50および/または呼吸ガス分析システム60における(上述のように)充電の状態などを決定するために設けられることがある。さらに、上述の機能を有するユーザ認識センサユニットは、肺活量計システム50および/または呼吸ガス分析システム60に設けられることもある。
【0058】
さらに詳細には、肺活量計センサユニットは、ユーザ/患者の肺によって吸息/呼息される空気の体積を測定することができる。さらに、別の肺活量計センサユニットは、換気、すなわち肺に出入りする空気の動きを測定することができる。既知の通り、例えば、圧力変換器、超音波送信器、または熱線風速計など、いくつかの異なる測定方法を使用する様々なタイプの肺活量計がある。これに換えて、またはこれに加えて、肺活量計システム50は、非呼吸パラメータ(すなわち全身パラメータ)を取得するセンサユニットを有することもある。
【0059】
ここで、制御デバイス20の評価ユニット23は、肺活量計システム50をさらに使用して患者の気道の状態ならびに/あるいは肺の状態および/または機能を監視するときには、規定の治療プロトコルへの準拠度を評価するようにさらに適応されることもある。ここで、肺活量計システム50は、規定の治療プロトコルに従って使用されることもある。例えば、治療プロトコルは、肺活量計システム50を使用した診断を行うべき時点を示すこともある。このような規定の設定の例は、治療プロトコルに規定された時間期間中の特定の日付および/または時間、または5回吸入するたびに行うなど規定の回数の吸入後にそれぞれ診断を行うことなどである。1日あたり、1週間あたり、およびまたは1ヶ月あたりの特定の数など、具体的な回数は、さらに、個々の疾患によって決まることもある(例えば喘息患者またはCOPD患者などについてNOxおよび/またはコルチゾルの値が必要なときなど)。
【0060】
さらに、制御デバイス20のセンサデータ制御ユニット22は、肺活量計システム50および/または呼吸ガス分析システム60のための第2の設定データを生成するように構成されることもある。第2の設定データは、肺活量計システム50および/または呼吸ガス分析システム60を適当に設定して動作を制御するためのデータ、特に、肺活量計システム50および/または呼吸ガス分析システム60に取り付けられた、かつ/または接続された、複数の追加のセンサユニットの動作モードについての設定である。肺活量計システム50および/または呼吸ガス分析システム60の動作は、上述のように、規定の治療プロトコルに従って第2の設定データによってさらに設定されることがある。
【0061】
例えば、第2の設定データは、呼吸値および追加の非呼吸値(例えば心拍数、血圧、および酸素飽和度などの全身値)のうちの少なくとも1つに関する設定データを含むことがある。特に、呼吸値は、呼吸データ、特に呼吸頻度、呼息流または吸息流、あるいは吸息体積のうちの少なくとも1つを含むことがある。さらに、第2の設定データは、肺活量計システム50および/または呼吸ガス分析システム60の適当な使用(「使用サポート」)についての視覚的/光学的フィードバック指標、ならびに/あるいは適当な診断データに関するしきい値を含むこともある。例えば、赤色/黄色/緑色フィードバック表示を提供することもできる。それぞれのしきい値(公称値、目標値)は、規定の治療プロトコルに応じて、例えば個人データに応じて、制御デバイス20の評価ユニット23が適当に設定することができる。このような(ユーザ固有の)公称値は、規定の時間期間内の診断測定値の数を示すことができる(例えば1週間に1回の肺活量計測定を実行するために、それ以外の場合には、評価ユニットによってリマインダメッセージまたは警告メッセージがトリガされる)。さらに、適当なしきい値の設定、および/または適当な診断データ(例えばシリーズA、B、またはCの肺活量計など、特定のシリーズの診断デバイスに関するものなど)の選択は、例えばデータベースに定義される対応する設定に基づいて自動的に実行することもできるし、あるいは医師、介護者、病院、薬剤師、療法士、および/または健康保険によって提供することもできる。したがって、評価ユニット23は、診断関係の実時間フィードバックデータも生成する。
【0062】
制御デバイス20の通信ユニット21は、生成された第2の設定データを、(第2の)ワイヤレス接続を介して肺活量計システム50および/または呼吸ガス分析システム60に送信することができる。この第2のワイヤレス通信接続は、上述した制御デバイス20とエアロゾル噴霧システム30の間のワイヤレス通信接続と同様に確立される。さらに、制御デバイス20の通信ユニット21は、第2の設定データに応答して、肺活量計システム50および/または呼吸ガス分析システム60が取得する追加のセンサデータ(すなわち呼吸値および/または非呼吸値)を受信することもある。ここで、追加のセンサデータは、患者の気道の状態、および/または肺の状態もしくは機能、ならびに/あるいは呼吸ガスの組成を示すことがある。これに加えて、またはこれに換えて、追加のセンサデータは、例えば噴霧液体の吸入中に、または噴霧液体の吸入後の特定の時点に、ユーザ/患者の心拍数、血圧、および/または酸素飽和度を示すこともある。
【0063】
さらに、追加のセンサデータは、例えば%肺活量(VC)、努力性肺活量(FVC)、全肺気量(TLC)、全容量(TC)、吸気肺活量(FVC)、1回呼吸量(TVまたはAZV)、1秒間の努力性呼気肺活量(FEV1)、1秒の相対容量(FEV1/FVC)、(子供のFEV0.5、COPDのFEV0.75、FEV1、FEV3、FEV6)、25%の最大呼気流量(FEF25)、50%FVCの最大呼気流量(FEF50)、および75%FVCの最大呼気流量(FEF75)、さらにFEV0.5/FVC、FEV0.75/FVC、FEV1/FVC、FEV3/FVC、FEV6/FVC、努力性吸気肺活量(FIVC)、FIV1、FIV1/FIVC、ピーク吸気流量(PIF)、努力性呼気時間(FET)、最大呼気圧(MEP)、ピーク流量(PEF)、「Zスコア」=(y-Y)/RSD、すなわち例えば疾患の悪化または良化を示す指標、ならびに疾患の進行および/または患者のコンプライアンス/アクセプタンスについてのインテリジェント予測(最良の場合には悪化の予測)などの評点または評価としての、評価補助、測定値の履歴、または測定値の変化として使用される平均予測値についての、観測値(y)と予測値(Y)の差を残差標準偏差(RSD)で割った値、酸素飽和度(O2)、脈拍、温度、炎症値/マーカ(すなわち白血球(leukocytes)または白血球(leucocytes)とも呼ばれる白血球(white blood cells)(WBC)、C反応性タンパク質(CRP)、α1-酸性糖タンパク質、ハプトグロビン、セルロプラスミン、およびフィブリノゲン、ならびにインターロイキン(IL)、すなわち例えば肝臓のIL6、および喘息のIL4、IL5、IL9、IL13などのIL1からIL31、ならびに治療処置のためのそれらのアンチブロッカなど)などの血液値、咳モニタ値(すなわち咳頻度)、ならびに/あるいは呼息値(例えば悪化カウンタ/マーカ、ならびに/あるいは酸素(O2)、呼気中一酸化窒素濃度(FENO)、酸化窒素(NOx)、二酸化炭素(CO2)、上記のインターロイキン(IL)、および/または不活性気体率(すなわちヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、および放射性ラドン(Rn))などのガス値)のうちの少なくとも1つに関連する肺活量測定値を含むこともある。
【0064】
FEV1、炎症値/マーカ範囲(値<26ppb(parts per billion)=健康)など、さらに多くの値およびパラメータが、例えばATS、ERS、ISAM、およびGINA(略記の説明は上記参照)によって定義される。
【0065】
エアロゾル噴霧システムおよび/または肺活量計システム50および/または呼吸ガス分析システム60の使用は、記録することができ、対応するセンサデータ(上述)を制御デバイス20に伝送することができる。ここで、制御デバイス20は、エアロゾル噴霧器および/または肺活量計および/または呼吸ガス分析の機能をサポートおよび拡張する対応するアプリケーション(すなわちAPPまたはモバイルAPP)を格納する、スマートフォン、タブレットコンピュータ、またはウェアラブルデバイスなど(上記参照)などのスマートデバイスであってもよい。エアロゾル噴霧器、肺活量計、および/またはガス分析デバイスを(APPを介して)制御デバイスにつなぐことによって、治療プロトコルへの準拠度、治療プロトコルのサポート、および治療プロトコル自体を、例えば利用状況、診断、治療、訓練、およびサービスなどに基づいて改善することができる。
【0066】
それぞれの追加センサユニットの測定信号を(上述のように)処理して、追加のセンサデータを生成することができ、このセンサデータを、その後に、制御デバイス20が、エアロゾル噴霧システムからのセンサデータと組み合わせて、またはエアロゾル噴霧システムからのセンサデータとは別個に、評価し、提示(evaluate)し、評価(assess)することができる。
【0067】
制御デバイス20のセンサデータ制御ユニット22は、肺活量計システム50および/または呼吸ガス分析システム60から制御デバイスにワイヤレス伝送される追加のセンサユニットの追加のセンサデータの選択も(例えば設定データ信号/指示を介して)トリガするようにさらに構成されることもある。また、選択された追加のセンサデータは、制御デバイス20において実時間フィードバックを提供するために必要であることもある。このような実時間フィードバックは、例えば沈着シミュレーションなどのシミュレーションを実行することを含むことがある。この沈着シミュレーションは、Isaacs他、CRCnetBASE、CiteSeerX、the Hofmann deposition model (Hofmann W.、 Koblinger L. [1992] Monte-Carlo modeling of aerosol deposition in human lungs. Part III. Comparison with experimental data.、 J. Aerosol Med. 23、 51-63)、ICRP(International Commission on Radiological Protection)Publication 66(Human Respiratory Tract Model for Radiological Protection.、 Ann. ICRP 24 [1-3、 1994])、またはMr. Dr. Rainer Koebrich PhD Program(Aerosol Bolus Calculation inspired from ICRP Publication 66)、Analysis of human lung morphometric data for stochastic aerosol deposition calculations(Koblinger L.、 Physics in Medicine and Biology、 Volume 30、 Number 6)に記載されるものなどの、経験的、決定論的、かつ/または確率的な計算型流体粒子ダイナミクス(CFPD)モデルに基づくことがある。
【0068】
このような沈着シミュレーションにより、ユーザの肺内におけるエアロゾル化した液体の沈着を、制御デバイス20のディスプレイ(
図5D)に同時(実時間)表示(indicating)/表示(displaying)することが可能になる。制御デバイス20においてこのような実時間フィードバックを提供するためには、シミュレーションの対応する入力パラメータ(関連する(優先される)センサデータの形式で)が実時間で必要となるので、これらの関連するセンサデータの選択および伝送が、センサデータ制御ユニット22によってトリガされる。ここで、センサデータ制御ユニット22は、上述のように、追加のセンサユニットのうちの1つまたは複数についての動作モード(電力モード切換え、データモード切換え)を選択するように構成されることもある。
【0069】
フィードバックは、ユーザ/患者が肺活量計システムを測定に使用し始め、肺活量計システムが対応するメッセージを制御デバイス20に送信したきに開始することができる。同様に、フィードバックは、ユーザ/患者がエアロゾル噴霧システムまたは呼吸ガス分析システムを使用し始めたときに開始することもできる。したがって、制御デバイス20は、それらのシステムのうちの1つが使用されたときに、対応する通知が与えられ、それをそれぞれのフィードバックコンテンツに変える。この場合、フィードバックは、測定を適切に行うための、かつ/またはそれぞれのシステムを適切に取り扱うための命令を提供することもある。フィードバックをさらにサポートするために、例えば、「Birds and Trees」による子供用治療Appである嚢胞性線維症アニメーション「Patchie」(http://patchieworld.com/)、バケツから水を吸い上げて花に水をまく像を表示したり(sprinkler system)、様々な上空に浮かぶ風船を表示したり(J-Scope、 Jager、 Viasys、 CareFusion)、道路でスケートをする子供たちを表示したり(Portable Spirometer、 MicroLab(商標) Spirometer BD、 CareFusion)、周知の瞬いたり消えたりする蝋燭の火を表示したり(Koko Spirometers、 nSpire Health、 Viasys、 CareFusion)するPARI社製のSpiroSence 360°などの肺活量計アニメーション、あるいはその他の「ゲーム」、ゲーミフィケーション、および/またはボーナスシステムを使用することもある。
【0070】
さらに別の実施形態によれば、制御デバイス20の評価ユニット23は、さらに、ユーザ/患者が所定の治療および診断プロトコルに従ってエアロゾル噴霧システム30、および/または肺活量計システム50、および/または呼吸ガス分析システム60を使用しているか否かを判定することもある。例えば、取得したセンサデータから導き出すことができる、それぞれの使用日時、使用持続時間、使用状態(センサデータを適切に取得するか否か)、を、所定の治療および診断プロトコルと比較することができる。例えば、所定の治療および診断プロトコルは、第1の特定の回数のエアロゾル吸入後に肺活量測定を行い、それとは異なる第2の回数のエアロゾル吸入後に呼吸ガス分析測定を行うように指示することもある。したがって、エアロゾル吸入を基準として肺活量測定および/またはガス分析測定の相対的な発生を評価することにより、評価ユニット23は、治療および診断プロトコルに適切に準拠していることを監視することができる。
【0071】
評価ユニット23は、さらに、センサユニットのセンサデータ、および/または追加のセンサユニットの追加のセンサデータを使用して、所定の治療および診断プロトコルへの準拠度を好ましくは実時間で決定するように構成されることもある。プロトコルは、医師が定義することができ、その後、中央サーバに格納することができる。制御デバイス20は、プロトコルをダウンロードするために中央サーバにアクセスすることができる。制御デバイスは、例えばエアロゾル薬剤吸入、および/または肺活量測定、および/またはガス分析測定イベントが近づいている場合にユーザ/患者に注意喚起する対応するカレンダ機能の実施と関連付けて、プロトコルを実施することができる。
【0072】
ここで、センサデータは、さらに、緊急投薬が適用された回数(ユーザがどの薬剤を使用するかを選択する、または上述のように使用する薬剤が自動的に決定される);吸入の回数、吸入流、および吸入体積を決定するための呼吸流測定;咳を検出するための音響測定;エアロゾル噴霧器および/または肺活量計の使用中の音響測定;熱を決定するための温度測定;光学測定;方位センサの使用を示すこともある。上記に基づいて、準拠度決定は、実時間で実行することができ、特に、
実際の処置および診断間隔と所定の治療および診断プロトコルとの比較、
実際の処置の持続時間と所定の治療プロトコルとの比較、
ユーザの実際の吸息/呼息パターンと所定の治療および診断プロトコルによって規定される吸息/呼息パターンとの比較、
実際のエアロゾル送達投与量および/またはユーザの肺内の沈着量の決定、
環境要因の決定、ならびに/あるいは
ユーザの差し迫った悪化の予測
のうちの1つまたは複数を含むことがある。
【0073】
ここで、環境要因の決定は、花粉数、天候、天候の急変、温度、湿度、感染領域、についてのデータを取得することを含むことができる。これらは、(GPS、Galileo、Glonass、地図データ、電話データ、電話網ポイント、またはWiFiポイントなどに基づいて)制御デバイス20の現在位置に基づいて決定することができ、したがって1つまたは複数の対応するデータベースから取得することができる。したがって、例えば肺活量測定の頻度を適応させるなど、規定の治療および診断プロトコルを、制御デバイスによって環境の急変に適応させることができるので有利である。さらに、決定された環境要因は、肺内に沈着するエアロゾルを決定する状況で考慮することができる。治療および診断プロトコルへの準拠度、または治療および診断プロトコルの適応は、例えば視覚的表示、可聴表示、および/または触覚表示の形態で、制御デバイス20において示すことができる。
【0074】
したがって、様々なセンサデータ(例えば肺活量計の使用およびエアロゾル噴霧器の使用)と、環境要因(例えば空気中の花粉のデータ)およびユーザ固有のデータとの組合せに基づいて、評価ユニット23は、センサデータと、要因と、ユーザ固有のデータとの間の特定の相関を決定して、ユーザの差し迫った悪化を予測することができる。評価、相関、および予測のそれぞれのための論理演算は、制御デバイス(APPによって構成される)に一体化することができるので、定期的に更新することができる。
【0075】
さらに別の実施形態では、制御デバイス20の評価ユニット23は、さらに、ユーザ認識ユニットに動作可能に接続されることがある。ここで、このようなユーザ認識ユニットは、エアロゾル噴霧システム30、および/または肺活量計システム50、および/または呼吸ガス分析システム60、ならびに/あるいは制御デバイス20に設けられる可能性がある。患者/ユーザ認識は、名前およびパスワード、コード(例えばデータベースにアクセスするときに使用することができるデバイス情報を規定するバーコード)、スマートカード、顔認証、指紋、虹彩スキャン、ユーザ/患者をさらに識別するためにセンサユニットが測定する特殊な特徴(汗試験、または熱を示す温度など)によって実現することができる。さらに、ユーザ認識は、別の医療デバイス(補聴器、心臓ペースメーカ、インシュリンポンプ)、あるいはユーザまたは運転者をスキャンして認識する機能をそれ自体が備えている車両から、識別データを受信することによって実現されることもある。
【0076】
したがって、評価ユニット23は、それぞれのデバイスおよび/またはシステムを使用する患者/ユーザを決定することができ、対応するシステム/デバイスは、認識されたユーザに対してのみ適切な動作を可能にすることができる。さらに、このような患者/ユーザ認識プロセスは、第1の所定の患者(例えば子供)がエアロゾル噴霧器を使用しているとして識別され、第2の所定のユーザ(例えば親、介護者、医師)が適切な準拠を監視するために制御デバイス20を使用しているときにのみ、エアロゾル生成を可能にすることもある。したがって、このユーザ認識は、1人のユーザを認識するだけでなく、(少なくとも)2人のユーザを同時に認識することができ、これを適宜使用して、(親などによる)監督が制御デバイスで行われているときに、エアロゾル噴霧器、または肺活量計、またはガス分析システムの動作を可能にするようにすることができる。
【0077】
さらに別の実施形態では、制御デバイス20の評価ユニット23は、さらに、センサデータおよび/または追加のセンサデータの評価に基づいて緊急呼び出し機能を生成するように構成されることもある。病院、コールセンターなどの緊急センターへのこの緊急呼び出しは、評価ユニット23が自動的にトリガすることもできる(例えば、評価ユニット23がユーザの急激な息切れまたは差し迫った悪化などを判定したとき)、あるいはユーザがトリガすることもできる。後者の場合には、この緊急呼び出しは、ユーザが単に1つのボタンを操作するだけでトリガすることができる。1つのボタンを操作するだけで、自動緊急メッセージを生成することができ、ユーザ/患者自身は病院と話さなくてもよいようので、有利である。このような機能は、ユーザ/患者の健康状態によって直接通信プロセスが行えない場合には、特に有利である。さらに、緊急メッセージとともに、例えば特定の時間期間についてのセンサデータおよび/または追加のセンサデータも含まれ、緊急センターは、患者/ユーザのところに向かう途中で例えば緊急ユニットによって患者/ユーザの健康状態を直ちに評価することができる。したがって、1分1秒を争う時間を有効に活用できる。
【0078】
別の実施形態では、評価ユニット23は、さらに、ユーザ/患者が所定の治療および診断プロトコルから所定のしきい値を超えて逸脱したときに、表示を提供するように構成されることもある。このような表示は、視覚的表示、音響表示、または触覚表示、あるいはそれらの組合せのうちの1つとすることができ、スマートフォンのスクリーン、スピーカ、およびバイブレータなど、制御デバイス20の対応するハードウェア構成要素を使用して提供することができる。このような表示は、また、例えばユーザ/患者の医師、介護者、療法士、健康保険、サービス直通回線など、第三者に伝送することもできる。上記のしきい値は、予め決定しておくことができ、ユーザ/患者が(治療および診断プロトコルに規定される)標準的な挙動から逸脱していることを示すことができる。このしきい値は、また、例えば基準値、ガイドライン、または標準値の80%、60%、40%より低い1秒の努力性呼気肺活量(FeV1)など、健康状態の急激な悪化に関連して規定されることがある。
【0079】
これに関連して、評価ユニット23は、エアロゾル噴霧システム30、および/または肺活量計システム50、および/または呼吸ガス分析システム60の使用の使用法誤りを決定することもある。これに加えて、またはこれに換えて、評価ユニット23は、エアロゾル噴霧システム30、および/または肺活量計システム50、および/または呼吸ガス分析システム60のエラー状態を決定することもある。
【0080】
使用法誤りとは、エアロゾル噴霧システム30、および/または肺活量計システム50、および/または呼吸ガス分析システム60の実際のユーザ/患者の使用法における誤りを指す。例えば、吸入回数、吸入の仕方(どれくらい速いか、どれくらい遅いか、息継ぎの持続時間)を実時間フィードバック(沈着シミュレーション)と相関させて、肺のどの領域に薬剤が沈着しているかを決定することもできる。したがって、使用法誤りは、実時間フィードバックによって薬剤が肺の適切な部位に沈着していないと判定された場合に、トリガすることができる。ユーザの誤りの判定は、また、適当なエアロゾル発生器が使用されているか否かの判定、エアロゾルの統計的性質(上述のMMDなど)の決定、呼吸体積、呼吸量、呼吸ガス組成についての決定と関係があることもあり、したがって、エアロゾルが肺内の適切な沈着スポットに到達していないという理由でエアロゾル噴霧システムの現在の使用法が不正確であることを示す表示をユーザに提供することができる。逆に、評価ユニット23は、エアロゾル噴霧システム30、および/または肺活量計システム50、および/または呼吸ガス分析システム60の正確な使用法を促すために、適切な使用法を示すこともある。
【0081】
エラー状態は、例えば不正確な組立て、またはバッテリ不良など、それぞれのデバイスのエラー状態に関係する。エアロゾル噴霧システム30、および/または肺活量計システム50、および/または呼吸ガス分析システム60に関しては、したがって、エラー状態は、それぞれが使用するバッテリの現在の充電状態の決定、ならびに以前の充電および/または放電サイクルの決定など(上述)に関係していることがある。ここで、制御デバイス20の評価ユニット23は、例えばバッテリ故障が切迫しているときの交換用バッテリの購入および交換についてのサポート、またはバッテリの適時充電についてのサポートを提供することもある。さらに、充電および/または放電サイクルの評価を評価ユニット23が使用して、充電式バッテリの予想寿命を推定することもできる。したがって、バッテリの状態を示すセンサデータは、常に制御デバイスに伝送され、したがって、ユーザ/患者はバッテリの放電プロセスなどを継続的に監視することができる。
【0082】
決定されたエラー状態に基づいて、上述のように、評価ユニット23は、さらに、エアロゾル噴霧システム30の一部、および/または肺活量計システム50の一部、および/または呼吸ガス分析システム60の一部が保守または交換を必要としているかどうかを判定するように構成されることもある。例えば、評価ユニット23は、エアロゾル噴霧システムのセンサユニットから、例えばエアロゾル発生器の膜(メッシュ)で閉塞、目詰まり、または経年劣化が生じていると判定したり、液体タンクが空になっている、または短時間(例えば所定の日数)のうちに空になると判定したり、エアロゾル発生器が不適切な特徴または統計的特性を有するエアロゾルを生成していると判定したりすることがあり、したがって、それぞれ膜を交換しなければならないとか、液体を再充填しなければならないとか、エアロゾル発生器の保守が必要であるとか判定する。さらに、特定のタイプのエアロゾル発生器が、そのタイプのエアロゾル発生器に使用される特定の薬剤と関連して識別されたときには、噴霧時間を評価することがあり、そこから、エアロゾル発生器の洗浄または交換が必要かどうかを導き出すこともある。これは、制御デバイスにおいて、適当な洗浄についての誘導をユーザに提供すること、または交換用エアロゾル発生器を要求することと組み合わせることもある。さらに、評価ユニット23は、バッテリを交換しなければならないかどうか、または再充電しなければならないかどうかを判定することもある。その場合には、評価ユニット23は、それに応じてプッシュ通知などを使用してユーザに通知することもある。
【0083】
さらに、肺活量計システムのセンサユニットは、1年後に交換しなければならないこともある。さらに、フィルタを含む肺活量計のマウスピースが古くなったり、汚れたりした場合には、これも交換する必要がある。
【0084】
交換は、エアロゾル発生器、バッテリ、混合チャンバ、イヤーパック、および/またはその他の交換部品についての、例えば「1click(登録商標)」ボタン(Amazon)などのアプリケーションソフトウェアプログラム(すなわちApp)の1クリック購入ボタンなどの交換サービスを含むこともある。さらに別の交換サービス構成では、この交換注文は、例えばサービス契約が有効であり、かつ/あるいはサービス直通回線、ならびに介護者、交換サービス、および/またはデバイス製造業者にコンタクトすることができる場合には自動的に開始することもある。このコンタクトは、例えば電子メール、電話、モバイル、スマートフォン、タブレット、ノートブック、ネットブック、PC、および/またはHUBを介して行うことができる。
【0085】
さらに、このような決定は、特定の薬剤についての噴霧器の使用時間の決定、および/またはエアロゾル発生器、肺活量計、および/または呼吸ガス分析システムの使用持続時間、使用頻度、および/または洗浄行為の評価に基づくこともある。
【0086】
さらに、使用法誤りおよび/またはエラー状態が決定されるとき、ならびに/あるいはエアロゾル噴霧システム30、および/または肺活量計システム50、および/または呼吸ガス分析システム60の一部が保守または交換を必要としているときに、制御デバイスの評価ユニット23は、制御デバイス20において提供される表示に加えて、介護者、コールセンター、および/または医師への通知メッセージの伝送を開始することもある。したがって、保守/交換の必要の適切な取扱いが、この通知の受信ユニットによってサポートされることもある。上記で説明したように、制御デバイスは、このような交換用備品を直接注文するように構成されることもある。
【0087】
さらに、別の実施形態では、評価ユニット23は、エアロゾル噴霧システム30、および/または肺活量計システム50、および/または呼吸ガス分析システム60の設定データを適応させることもある。特に、この設定データは、それぞれのシステムにおいて視覚的表示、可聴表示、および/または触覚表示を行うために使用されるユーザ固有のしきい値および/またはパラメータに関して適応されることがある。このユーザ固有のしきい値および/またはパラメータは、上述のように、実時間フィードバックに基づいて適切に更新することができる。設定データは、別のタイプのエアロゾル発生器などの使用などに関連して適応されることもある。このユーザ固有のしきい値は、「交通信号」表示を実施するユーザ固有の範囲を含むこともある。特に、この設定データは、新たなタイプのエアロゾル発生器などの適切な動作についてのパラメータを含むこともある。したがって、エアロゾル噴霧システム30、および/または肺活量計システム50、および/または呼吸ガス分析システム60は、制御デバイス20によって個人用設定することができる。
【0088】
上記の表示および/または警告は、呼吸および/または吸入動作を最適化するための患者/ユーザの訓練をサポートすることができる。この訓練は、さらに、訓練が進行し、患者/ユーザが最適な呼吸および/または吸入動作への準拠度が改善された呼吸および/または吸入パターンを発達させるにつれて適当に適応される、すなわち小さくなる、時間依存しきい値を提供することを含むこともある。この訓練は、さらに、吸入を開始するそれぞれのタイミング、および/または吸入を終了するそれぞれのタイミングについての音響的手がかりおよび/または視覚的手がかりを患者/ユーザに提供することを含むこともある。
【0089】
エアロゾル噴霧システム30、および/または肺活量計システム50、および/または呼吸ガス分析システム60に関連して制御デバイス20によって取得されたセンサデータは、様々な選択肢で格納、管理、または共有することができる。例えば、センサデータは、制御デバイス20のストレージユニット25にローカルに格納されることもある。その一方で、センサデータは、クラウドソリューションまたは中央サーバと同期させて、医師、ならびに例えば医薬品開発業受託機関(CRO)、介護者、および療法士などがアクセスできるようにすることもできる。
【0090】
制御デバイス20は、さらに、患者/ユーザに電子日記を提供することもある。電子日記は、標準化したアンケート(例えばACT症状スコア)、あるいはその他の個別または一般的な質問、または特殊な個別の健康に関する実際の出来事(例えば急性の咳、花粉またはペットなどのアレルゲンとの接触など)などの注釈の可能性によって補足されることもある。制御デバイス20は、さらに、デバイスの使用についての一般情報、および/あるいは呼吸研究または肺疾患についての情報、ならびに更新されたサービスへのリンクと、呼吸疾患、治療、および研究にリンクされたインターネット内の情報とを提供することもある。
【0091】
図5Aから
図5Eは、実施形態による制御デバイスにおける患者の訓練およびサポートに関連する概略図である(制御デバイスの表示ユニットに表示される)。
【0092】
特に、
図5Aは、特定の月、日、時間に関連する、患者/ユーザの電子日記を示す概略図である。電子日記に特定の日を入力すると、例えば
図5Bに示す吸入時間の長さなど、取得した治療関係データにアクセスして視覚化することができる。
図5Cに示すように、特定の日時に吸入プロセスが上手く行われた(状態4)ことを、吸入プロセスの持続時間、および使用した特定の薬剤を示す表示とともに示す、個別の吸入に関連する追加の情報を示すこともできる。なお、様々な状態パラメータ、特に吸入デバイスが接続されていない、薬剤がない、バッテリが空である、タイムアウト、およびユーザによる打ち切りなどのエラー状態を使用することもできる。さらに、
図5Dは、吸入されたエアロゾルの沈着部位についての表示とともに肺の概略図の少なくとも一部をユーザに対して実時間で示す沈着シミュレーションの結果を示す概略図である。肺沈着は、肺全体、肺中心部、および/または肺周辺部について、また例えば第3世代の呼吸気道分岐などについて、表示することができる。さらに、吸入動作の総持続時間に関して、中央粒径(MMAD)、および幾何学的標準偏差(GSD)、ならびに吸入相の持続時間および/または速度、またはエアロゾル塊を表示することもできる。さらに、
図5Eは、制御デバイスにおいて患者の訓練およびサポートを行うための選択肢を示す概略図である。特に、
図5Eは、ユーザが吸入データの読み出しと、吸入データ(
図5Dに示す沈着シミュレーションまたは挙動を含む)の閲覧と、エアロゾル噴霧システムの登録と、電子日記と、およびプロトコルの処理(編集)との間で選択することができる場合を示している。もちろん、患者の訓練およびサポートは、肺活量計システムおよび/または呼吸ガス分析システムに関する対応する機能を提供することもできる。
【0093】
別の実施形態によれば、コンピュータの1つまたは複数のプロセッサで実行されたときに、その1つのプロセッサまたはその複数のデータプロセッサに、上述の制御デバイス20を実施させる、命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0094】
図6は、別の実施形態によるエアロゾル噴霧システム30と組み合わされて通信対話する上述の制御デバイス20を示す図である。以下では、エアロゾル噴霧システム30の特定の構造を、混合チャンバ34に関連して説明する。もちろん、上述のセンサユニットも、
図6に示すエアロゾル噴霧システム30に設けられる。上述のセンサユニットに加えて、吸息弁70および/または呼息弁73(後述)に関連して(例えばその近傍に)センサユニットが設けられることもある。
【0095】
本発明のこのさらに別の実施形態は、エアロゾル発生器31および混合チャンバ34の両方を有するエアロゾル噴霧システム30を含むことができる。エアロゾル発生器31は、例えば液体および/または薬液用の液体格納容器78を含む。この薬液は、関心のある薬剤を含む溶液、懸濁液、または乳濁液からなる液体および/または製剤とすることができる。好ましい実施形態では、薬液は、溶液、懸濁液、または乳濁液に調製された活性薬剤または医薬品有効成分である。エアロゾル発生器は、片側が液体格納容器に接続されて、液体格納容器に入っている液体が穴あき膜(隔壁、メッシュ)の片側と接触するようになっている穴あき膜も含む。膜は、膜を振動させて、液体格納容器内の液体が膜に開いている開口を通して噴霧されるように計量分配または投与されて、混合チャンバに入ることができるようにすることができる、振動発生器に接続される。混合チャンバは、呼息相中にエアロゾルが逃げることを防止しながら、吸入相中に周囲空気が混合チャンバ34に流入することを可能にする吸息弁70を有する。混合チャンバ34は、吸息相中に周囲空気が流入することを防止しながら、呼息相中に患者の呼気を排出することを可能にする呼息弁73も有する。
【0096】
本発明の実施形態として
図6に示す構成を参照すると、エアロゾル発生器31は、好ましくは円盤である膜(エアロゾル発生器31の一部分)によって1つの側が画定された円筒形の液体格納容器78を含む。液体格納容器に充填された液体(図示せず)は、膜の片側と接触する。例えば圧電結晶などの振動発生器が、膜の周囲を取り囲み、振動発生器が膜を振動させることができるようになっている。そのためには、振動発生器のための電気駆動回路または上述の制御デバイス20が必要である。膜に開いている開口を通して、膜の片側に近接する液体が膜の反対側に噴霧され、それにより混合チャンバ34内に噴霧される。
【0097】
液体格納容器78は、特定の薬剤を計量分配するための入口点を提供することが好ましい。1つの実施形態では、液体格納容器78は、エアロゾル噴霧システム30に直接嵌入された液体タンクである。別の実施形態では、薬剤は、単回投与または多回投与用容器から計量体積として液体格納容器78に供給される。多回投与用容器を使用する場合には、この容器は、市販の鼻スプレー製品で使用される標準的な計量ポンプシステムを備えることが好ましい。
【0098】
液体格納容器78が円筒形である場合には、膜が円形の設計を有し、振動発生器は環状の設計を有することが好ましい。エアロゾル噴霧システム30は、エアロゾル発生器31と、吸息弁70および呼息弁73を有する混合チャンバ34とを含む。
【0099】
好ましくは、エアロゾル発生器31は、混合チャンバ34のやはり円筒形の設計の部分に配置される。これにより、エアロゾル発生器31の周りに環状の隙間が生じ、その隙間を通って吸入相中に周囲空気が混合チャンバ34に流入することができる。
【0100】
マウスピース35は、混合チャンバ34と一体形成されることが好ましいが、混合チャンバに取外し可能に取り付けることもできる。患者は、マウスピース35を通してエアロゾルを吸入する。エアロゾルは、エアロゾル発生器31によって生成され、混合チャンバ34に格納される。マウスピース35のサイズおよび形状は、マウスピース35によって混合チャンバ34が拡大されると同時に、呼息弁73の配置が可能になるように選択することができる。呼息弁は、患者に向いているマウスピース35の開口に隣接して位置することが好ましい。
【0101】
患者がマウスピース35の開口内に呼息すると、呼息弁73が開いて、患者の呼気が周囲に排出される。そのために、呼息弁73の弁要素75が持ち上がり、呼息弁73の開口74を開く。患者が吸入噴霧器内に呼息すると、吸息弁70の弁要素72が吸息弁の開口71を閉じて、吸息弁70が閉じる。
【0102】
患者がマウスピース35の開口を通して吸息すると、吸息弁70が開いて、弁要素72が持ち上がるにつれて開口71が開く。これにより、周囲空気が吸息弁70および環状の隙間を通って混合チャンバ34に流入し、エアロゾルとともに患者に吸入される。呼息相中にエアロゾルが混合チャンバ35内に蓄積すると、特に吸息相の開始時に、増加した量のエアロゾル、いわゆるエアロゾル塊を患者が利用できるようになる。
【0103】
好ましい実施形態では、吸息弁は、エアロゾルの円筒形形状および環状の隙間に合わせて適応される。可撓性の弁要素72を、混合チャンバ34の円筒形部分に例えばねじ留めされるなどして取り付けられたキャップの中心に配置された固定用突起に取り付けられた円盤として形成する。このキャップも、円筒形の接続片を有し、この接続片が、液体格納容器78の外壁と相互作用して、弁要素72を締め付けて固定する。
【0104】
円筒形接続片の液体格納容器78に向いている側には、第1の円環ディスク72も一体形成され、この第1の円環ディスク72内に、吸息弁70の開口71が画定されている。対応する開口がキャップに設けられて、吸入プロセス中に周囲空気が開口71および隙間を通って混合チャンバ34に流入することができるようになっている。エアロゾル発生器31は、膜を含む前側に、吸息相中に周囲空気が流れる開口を有する第2の円環ディスクを有する。この円環ディスクは、混合チャンバ34の円筒径部分の内壁に形成された突起に載っている。したがって、キャップがその上に位置決めされてねじ留めされると、エアロゾル発生器31と、吸息弁70の可撓性弁要素72とがしっかりと固定される。
【0105】
メンブレン式エアロゾル発生器および混合チャンバの一部分の上述した円筒形設計を除けば、他の実質的に回転対称な設計は有利に使用されることができる。さらに、エアロゾル発生器の膜は、傾いた姿勢で配置することもでき、それによりメンブレン式エアロゾル発生器によって生成されるエアロゾルの拡散に影響を及ぼし、したがって、それに関して、混合チャンバおよびマウスピースもまた特定の設計を最適化することができる。
【0106】
混合チャンバ34すなわちいわゆる吸入チャンバ34は、吸息弁79および呼息弁73のうちの少なくとも1つを有し、混合チャンバ34において、この吸息弁および呼息弁は、可撓性膜72、75をそれぞれ備えた開口71、74を有する一方向弁として形成することができる。混合チャンバ34のこの構成は、
図6に示してあるが、エアロゾル雲が呼息相中に蓄積し、凝縮したエアロゾル塊が吸息相中にユーザに送達されるので、エアロゾル出力が向上する。
【0107】
上述のように、吸息弁70および/または呼息弁73に関連して(例えば近接して)追加のセンサユニットが設けられることがあり、したがって、この追加のセンサユニットは、吸息弁70および/または呼息弁73の位置、例えばそれぞれの弁に近い接触面に配置される。この追加のセンサユニットは、例えば光学検出または音響検出によって、それぞれの弁が検出された呼吸動作に従って切り替わるかどうかを検出することができる。この追加のセンサユニットは、例えば光学検出または音響検出によって、あるいは好ましくは接触検出によって、一方向弁の閉止または閉位置を検出することができる。したがって、例えば可撓性膜および一方向弁の弁座は、2成分の可撓性および/または非可撓性の材料に形成されることもある、導電性の可撓性材料で部分的に構成されることもある。この材料は、一部または全体が、高分子、プラスチック、シリコン、ゴム、ポリウレタン、またはポリプロピレンなどの材料で構成されることがある。さらに、混合チャンバ内の乱流、圧力差(例えば混合チャンバの内側と外側の間の差、または混合チャンバ内の差)、および/あるいはエアロゾル流を検出し、それぞれのセンサデータとして制御デバイス20に提供することができる。上述のセンサデータ制御ユニット22は、これらのセンサデータに関連する選択をトリガすることもできる。
【0108】
別の実施形態によれば、制御デバイスは、上述の肺活量計システム50、および/または上述の呼吸ガス分析システム60を制御するために設けられ、ここで、肺活量計システム50および/または呼吸ガス分析システム60は、複数の追加のセンサユニットを含む。ここで、通信ユニット21は、ワイヤレス通信接続を確立し、肺活量計システム50および/または呼吸ガス分析システム60とのデータ伝送を実行するように構成され、センサデータ制御ユニット22は、制御デバイス20にワイヤレス伝送される追加のセンサユニットの追加のセンサデータの選択をトリガするように構成される。上述のように、選択された追加のセンサデータは、制御デバイスにおいて実時間フィードバックを提供するために必要であり、センサデータ制御ユニット22は、追加のセンサユニットのうちの1つまたは複数の動作モードを制御することができる。この動作モードは、上述のように、電力モード切換え、および/またはデータモード切換えを含むことがある。この制御デバイスは、上述のようにエアロゾル噴霧システムの動作を制御するように構成されることもある。
【0109】
したがって、制御デバイスの上記のそれぞれのユニットは、コンピュータプログラムによって定義され、主メモリに格納された命令を解釈して実行する1つまたは複数のプロセッサ、マイクロプロセッサ、あるいはその他の処理論理を含むそれぞれの処理ユニット(CPU)によって実装されることがある。主メモリは、情報、およびそれぞれのモジュール/ユニットによって実行される命令を格納することができる、RAMまたはその他のタイプの動的ストレージデバイスを含む可能性がある。例えば、上述の評価ユニットおよび/またはセンサデータ制御ユニットは、処理ユニットによって実現されることがある。ROMは、処理ユニットによって使用される静的な情報および命令を格納することができる、ROMデバイスまたはその他のタイプの静的ストレージデバイスを含む可能性がある。
【0110】
制御デバイス20は、処理ユニットが主メモリ、ROM、および/またはストレージデバイスなどのコンピュータ可読媒体に収容されたソフトウェア命令を実行したのに応答して、これらの動作を実行することができる。コンピュータ可読媒体は、物理または論理メモリデバイスとして定義されることがある。例えば、論理メモリデバイスは、1つの物理メモリデバイス内のメモリを含むことも、複数の物理メモリデバイスにわたって分散したメモリを含むこともある。主メモリ、ROM、およびストレージデバイスはそれぞれ、プログラムコードとして命令を備えるコンピュータ可読媒体を含むことがある。ソフトウェア命令は、ストレージデバイスなどの別のコンピュータ可読媒体から主メモリに読み込まれることも、通信インタフェースを介して別のデバイスから主メモリに読み込まれることもある。
【0111】
主メモリに収容されるソフトウェア命令は、データプロセッサを含む処理ユニットで実行されたときに、その処理ユニットに対し、本明細書に記載する動作またはプロセスをデータプロセッサに実行させることがある。あるいは、ハードワイヤード回路を、ソフトウェア命令の代わりに、またはソフトウェア命令と組み合わせて使用して、本明細書に記載する動作および/またはプロセスを実施することもできる。したがって、本明細書に記載する実施態様は、いかなる特定のハードウェアとソフトウェアの組合せにも限定されない。
【0112】
さらに、制御デバイスのそれぞれのユニットは、ハードウェア、ソフトウェア、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはファームウェアなどで実装することができる。
【0113】
本発明の範囲を逸脱することなく、本発明のエンティティおよび方法、ならびに本発明の構造に、様々な修正および変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0114】
全ての点において制限ではなく例示を目的とした特定の実施形態および例に関連して、本発明について説明した。当業者なら、多くの様々なハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの組合せが本発明の実施に適することを理解するであろう。