(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】駐車スペース判定システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
G08G1/14 A
(21)【出願番号】P 2020072820
(22)【出願日】2020-04-15
【審査請求日】2020-04-15
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No.195,Sec.4,ChungHsingRd.,Chutung,Hsinchu,Taiwan 31040
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】▲ハオ▼ ▲ユ▼翔
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-175508(JP,A)
【文献】特開2016-031660(JP,A)
【文献】特開2019-171954(JP,A)
【文献】特開2019-096085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が位置する範囲の、駐車場地図データが含まれる駐車スペース情報を取得する駐車スペース情報モジュールと、
前記駐車スペース情報を受信し、前記駐車スペース情報における各駐車スペース内のオブジェクトを分析し、各前記駐車スペース内のオブジェクトのオブジェクト情報を生成するオブジェクト分析モジュールと、
前記オブジェクト情報を受信し、前記オブジェクト情報および前記駐車スペース情報から、各前記駐車スペース内のオブジェクトと当該オブジェクトが位置する駐車スペースとの空間関係を計算し、前記空間関係が前記車両の車体情報を満足すると、前記駐車スペースは利用可能駐車スペースであると判定する処理モジュールとを備え
、
前記オブジェクトの位置に基づいて、前記駐車スペースを複数のブロックに分割し、前記複数のブロックのサイズを比較することにより、前記空間関係を決定する
駐車スペース判定システム。
【請求項2】
前記処理モジュールは、
前記オブジェクト情報の分類を判断し、前記オブジェクトは静止状態オブジェクト、移動状態オブジェクト、またはオブジェクトなしを決定するオブジェクト状態判断ユニットと、
前記オブジェクト情報および前記駐車スペース情報に基づいて、前記空間関係を確認する空間関係評価ユニットと、
前記駐車スペースは利用可能駐車スペースであるかを判定する利用可能レベル評価ユニットと、をさらに含む
請求項1に記載の駐車スペース判定システム。
【請求項3】
前記空間関係評価ユニットは、前記オブジェクト情報の分類は静止状態オブジェクトである場合に、前記空間関係の計算を行う
請求項2に記載の駐車スペース判定システム。
【請求項4】
前記利用可能レベル評価ユニットは、前記オブジェクト情報の分類はオブジェクトなしまたは静止状態オブジェクトであり、かつ前記空間関係が前記車両の車体情報を満足すると、前記駐車スペースを利用可能駐車スペースと判定する
請求項2に記載の駐車スペース判定システム。
【請求項5】
前記利用可能レベル評価ユニットは、前記オブジェクト情報の分類は移動状態オブジェクトである場合に、前記駐車スペースを判定待ち駐車スペースと判定し、前記駐車スペースの状態の更新を継続する
請求項2に記載の駐車スペース判定システム。
【請求項6】
前記利用可能レベル評価ユニットは、すべての前記利用可能駐車スペースに対して評価して順番を付け、各前記利用可能駐車スペースの評価スコアに基づいて、評価スコアが最も高い駐車スペースを選択して選択駐車スペースとする
請求項2に記載の駐車スペース判定システム。
【請求項7】
前記処理モジュールは、
前記車両が前記選択駐車スペースを所定の時間待つと、新たな評価スコアに基づいて、他の前記利用可能駐車スペースを選択して新たな選択駐車スペースとする更新ユニットをさらに含む
請求項6に記載の駐車スペース判定システム。
【請求項8】
前記駐車場地図データは、外部の地図データモジュールからプリロードされたもの、またはセンサ技術により取得したものである
請求項1に記載の駐車スペース判定システム。
【請求項9】
前記駐車スペース情報はプリロードされた駐車場地図データである場合には、前記駐車スペース情報には不適格駐車スペースの記述が含まれ、前記オブジェクト分析モジュールは前記不適格駐車スペースのオブジェクト状態を分析しない
請求項8に記載の駐車スペース判定システム。
【請求項10】
車両が位置する範囲の、駐車場地図データが含まれる駐車スペース情報を取得するステップと、
前記駐車スペース情報における各駐車スペース内のオブジェクトを分析し、各前記駐車スペース内のオブジェクトのオブジェクト情報を生成するステップと、
前記オブジェクト情報および前記駐車スペース情報から、各前記駐車スペース内のオブジェクトと当該オブジェクトが位置する駐車スペースとの空間関係を計算し、前記空間関係が前記車両の車体情報を満足すると、前記駐車スペースは利用可能駐車スペースであると判定するステップとを有
し、
前記オブジェクトの位置に基づいて、前記駐車スペースを複数のブロックに分割し、前記複数のブロックのサイズを比較することにより、前記空間関係を決定する
駐車スペース判定方法。
【請求項11】
前記オブジェクト情報の分類は静止状態オブジェクトである場合に、前記空間関係の計算を行う
請求項10に記載の駐車スペース判定方法。
【請求項12】
前記オブジェクト情報の分類はオブジェクトなしまたは静止状態オブジェクトであり、かつ前記空間関係が前記車両の車体情報を満足すると、前記駐車スペースを利用可能駐車スペースと判定する
請求項10に記載の駐車スペース判定方法。
【請求項13】
前記オブジェクト情報の分類は移動状態オブジェクトである場合に、前記駐車スペースを判定待ち駐車スペースと判定し、前記駐車スペースの状態の更新を継続する
請求項10に記載の駐車スペース判定方法。
【請求項14】
前記利用可能駐車スペースの判定後、すべての前記利用可能駐車スペースに対して評価して順番を付け、各前記利用可能駐車スペースの評価スコアに基づいて、評価スコアが最も高い駐車スペースを選択して選択駐車スペースとする
請求項10に記載の駐車スペース判定方法。
【請求項15】
前記車両が前記選択駐車スペースを所定の時間待つと、新たな評価スコアに基づいて、他の前記利用可能駐車スペースを選択して新たな選択駐車スペースとするステップをさらに含む
請求項14に記載の駐車スペース判定方法。
【請求項16】
前記駐車場地図データは、プリロードされたもの、またはセンサ技術により取得したものである
請求項10に記載の駐車スペース判定方法。
【請求項17】
前記駐車スペース情報はプリロードされた駐車場地図データである場合には、前記駐車スペース情報には不適格駐車スペースの記述が含まれ、前記駐車スペース情報の各駐車スペース内のオブジェクトを分析するステップにおいて前記不適格駐車スペースのオブジェクト状態を分析しない
請求項16に記載の駐車スペース判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車スペース判定の技術に関し、特に、駐車スペース判定システム及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自動/補助駐車技術では、駐車スペース検知は、距離検出タイプまたは画像認識タイプの二種類に概ね分けられている。距離検出タイプでは、一般的に超音波センサやレーダ波センサが用いられているが、従来の技術の応用アルゴリズムには障害物判定の問題が存在し、また、判定のために、車両が駐車スペース付近に移動する必要がある。一方、画像認識タイプでは画像の取り込みにより行われ、駐車スペースの枠線により駐車スペースの存在を判定し、続いて駐車スペースは利用可能かを判断してきたが、従来の技術の応用アルゴリズムでは、同じく判定のために車両が駐車スペース付近に移動する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上のように、従来の自動/補助駐車技術では、判定のために車両が駐車スペースを通過するか、または車両が駐車スペースの付近に移動する必要があるという問題が存在する。したがって、通過した駐車スペースまたは付近の駐車スペースに対してしか判定できず、後続により好適な駐車スペースはあるか否かを判明できず、また、利用可能な駐車スペースの存在を全体的に判断することもできないため、従来の自動/補助駐車技術により検索された駐車スペースは最適でない可能性がある。したがって、無人運転の自動車または通常運転による駐車の問題の補助に対して、従来の技術の欠陥を改善できる駐車スペース判断メカニズムを開発することは、当業者にとっては重要の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を鑑みに、本発明は、オブジェクト幾何学マッチングおよび駐車スペースの利用状態のトラッキングにより、駐車スペースの利用状態を判定し、複数の利用可能な駐車スペースから好適のものを特定し、車両に対して所望の駐車スペースを提供できる駐車スペース判断メカニズムに関する。
【0005】
本発明は、車両が位置する範囲の、駐車場地図データが含まれる駐車スペース情報を取得する駐車スペース情報モジュールと、前記駐車スペース情報モジュールからの駐車スペース情報を受信し、前記駐車スペース情報における各駐車スペース内のオブジェクトを分析し、各前記駐車スペース内のオブジェクトのオブジェクト情報を生成するオブジェクト分析モジュールと、前記オブジェクト分析モジュールからのオブジェクト情報を受信し、前記オブジェクト情報および前記駐車スペース情報から、各前記駐車スペース内のオブジェクトと当該オブジェクトが位置する駐車スペースとの空間関係を計算し、前記空間関係が前記車両の車体情報を満足すると、前記駐車スペースは利用可能駐車スペースであると判定する処理モジュールとを備える駐車スペース判定システムである。
【0006】
本発明は、車両が位置する範囲の、駐車場地図データが含まれる駐車スペース情報を取得するステップと、前記駐車スペース情報における各前記駐車スペース内のオブジェクトを分析し、各前記駐車スペース内のオブジェクトのオブジェクト情報を生成するステップと、前記オブジェクト情報および前記駐車スペース情報から、各前記駐車スペース内のオブジェクトと当該オブジェクトが位置する駐車スペースとの空間関係を計算し、前記空間関係が前記車両の車体情報を満足すると、前記駐車スペースは利用可能駐車スペースであると判定するステップとを有する駐車スペース判定方法である。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、本発明にかかる駐車スペース判定システム及びその方法によれば、車両が位置する範囲の駐車スペース情報を取得して当該駐車スペース内のオブジェクトの存在を確認することにより、当該駐車スペースは利用可能か否かを判定し、また、評価スコアおよび時間に基づいて現在の利用可能な駐車スペースの順位を評価し、現状におけるより好適な駐車スペースを特定する。以上のメカニズムにより、駐車スペースの通過、または車両が付近まで運転することなく駐車スペースに対して判定でき、また、複数の駐車スペースからより好適な駐車できる駐車スペースを特定できるので、より好適な駐車スペース選択メカニズムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明にかかる駐車スペース判定システムの構成図である。
【
図2】
図2は、本発明にかかる駐車スペース判定システムにおける処理モジュールの構成図である。
【
図3】
図3は、本発明にかかる駐車スペース判定システムが含まれている車両が、種々の駐車スペース状態が含まれている駐車場に入場したことを示す図である。
【
図4】
図4は、本発明にかかる駐車スペース判定方法のフローチャートである。
【
図5A】
図5A~5Cは、本発明にかかる駐車スペース判定方法の応用を示す図である。
【
図5B】
図5A~5Cは、本発明にかかる駐車スペース判定方法の応用を示す図である。
【
図5C】
図5A~5Cは、本発明にかかる駐車スペース判定方法の応用を示す図である。
【
図6A】
図6A~6Cは、本発明においてオブジェクト情報と駐車スペース情報との差集合の計算を示す図である。
【
図6B】
図6A~6Cは、本発明においてオブジェクト情報と駐車スペース情報との差集合の計算を示す図である。
【
図6C】
図6A~6Cは、本発明においてオブジェクト情報と駐車スペース情報との差集合の計算を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明にかかる駐車スペース判定システムを適用して表示された種々の駐車スペース状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、特定の実施形態に基づいて本発明の技術的内容を説明する。当業者であれば、本明細書の開示から本発明の有用性および効果を容易に理解できる。また、本発明は他の異なる実施形態により実施や応用できる。
【0010】
図1は、本発明にかかる駐車スペース判定システムの構成図である。本発明による駐車スペース判定システムは、車両の駐車スペース自動検索に適用でき、当該システムは車両の中に構築し、メモリおよびプロセッサを有する電子装置によりプログラムを実行して演算および分析を行うことができ、外部データソースはリアルタイムのダウンロードまたはプリロードであってもよく、車両運転中に車両を中心として、一定の範囲内の駐車スペース状態を検索してリアルタイムで分析することにより、最適の駐車スペースを特定することを主な目的とする。図に示されるように、本発明にかかる駐車スペース判定システム1は、駐車スペース情報モジュール11と、オブジェクト分析モジュール12と、処理モジュール13とを有する。
【0011】
駐車スペース情報モジュール11は、車両が位置する範囲内の駐車スペース情報を取得する。簡単に説明すると、従来では、駐車スペースは駐車可能かを判断するために、車両を駐車スペースの付近まで運転する必要があるので、車両のすぐそばにある駐車スペースに対してしか判定できず、また、車両の前後により好適な駐車スペースはあるか否かについても判定できない。この欠点を克服するために、本発明は、車両を中心とした一定の範囲の領域を、車両の検索範囲とし、つまり、車両が駐車場領域(例えば、立体駐車場)に入り、好適な駐車スペースを検索する際は、まずは地図データモジュール3により当該駐車場のすべての駐車スペース情報を取得し、続けてセンサ装置2が取得した車両周辺の駐車スペース情報と合わせることにより、当該検索範囲内の複数の駐車スペースは利用可能か否かを同時に判断できるという効果を奏する。
【0012】
実施例では、駐車スペース情報は外部の地図データモジュール3からのものであってもよく、駐車スペース情報はプリロードされた駐車場地図データであってもよい。簡単に説明すると、駐車スペースの選択をよりスムーズにするために、駐車場地図データを駐車スペース判定システム1にプリロードし、駐車スペース情報モジュール11に保存して、駐車場全体のすべての駐車スペースの分布状態および関連情報、例えば、駐車スペースの位置座標、または、左右隣接の駐車スペース、片方隣接の駐車スペースや独立した駐車スペース、車両出入り口からの距離、利用者出入り口からの距離、立体駐車場内に位置するフロア、専用駐車スペース(例えば、一時駐車専用、障害者専用、子連れ専用、小型車専用、バス専用など)を予め取得すると、処理モジュール13の駐車スペース情報およびオブジェクト情報に対する分析を行うのに有利である。
【0013】
また、駐車スペース情報は、画像取得分析技術またはLiDAR(Light Detection And Ranging)センサ技術により取得した画像情報データであってもよい。簡単に説明すると、車両に駐車スペース判定システム1との接続が確立されたセンサ装置2を取付けてもよく、当該センサ装置2は、車両が駐車場領域に入場すると、センサにより車両周辺の駐車スペース情報を取得することにより、駐車スペースは利用可能か否かの判断を補助でき、それ以外に、車両に駐車場地図データをプリロードできない場合に、車両に搭載されたセンサ装置2により駐車スペース情報の検出を行う。例えば、センサ装置2は、LiDARと呼ばれる光学レーダであってもよく、LiDARの利点は、前後を分けずに大範囲の検出が可能であり、LiDARにはレーザアレイを備え、ビームを射出して反射ビームを受け付けて強度判断を行うことにより、オブジェクトの距離、強度(例えば、金属の反射ビームは強く、反射強度によりオブジェクトを推定できる)を取得でき、車両周辺の駐車スペース情報を構築できる。また、センサ装置2は画像センサであってよく、画像取得および分析により車両周辺の駐車スペース情報を構築できる。
【0014】
オブジェクト分析モジュール12は、前記駐車スペース情報モジュール11からの駐車スペース情報を受信し、当該駐車スペース情報における各駐車スペース内のオブジェクトを分析して、各駐車スペース内のオブジェクトのオブジェクト情報を生成する。具体的には、オブジェクト分析モジュール12は、現在取得した駐車スペース情報における各駐車スペースにはオブジェクトは存在する否かを分析して対応するオブジェクト情報を生成できる。例えば、駐車スペース内にオブジェクトが存在すると、車両、障害物または通行人の可能性があり、この場合、オブジェクトの種類に基づいて異なる判断を行い、当該駐車スペースは利用可能かを決定することができる。
【0015】
実施例では、本発明は、オブジェクト情報を、オブジェクトなし、静止状態オブジェクト、ならびに移動状態オブジェクトの三種類に分けている。オブジェクトなしの場合には、駐車スペースは空いており、当該駐車スペースを利用可能駐車スペースとすることができる。移動状態オブジェクトの場合には、オブジェクト分析モジュール12は駐車スペース内に移動中の車両または通行人が存在することを判定し、当該駐車スペースを判定待ち駐車スペースとし、当該判定待ち駐車スペースに対して所定の時間間隔毎に再度利用可能の判定を実行することにより、利用可能な駐車スペースまたは利用不可の駐車スペースかを決定する。また、静止状態のオブジェクトの場合には、駐車スペース内のオブジェクトは一定時間内において変化なしであることを示し、この場合は、オブジェクトは駐車に影響するか否かを判断する。
【0016】
処理モジュール13は、オブジェクト分析モジュールからのオブジェクト情報を受信し、オブジェクト情報および駐車スペース情報により各駐車スペース内のオブジェクトと当該オブジェクトが位置する駐車スペースとの空間関係を計算し、空間関係が車両の車体情報を満足すると、当該駐車スペースは利用可能駐車スペースであると判定する。以上のように、オブジェクト情報が静止状態オブジェクトに分類されると、駐車スペース内のオブジェクトは駐車に影響する否かを判断する。本発明では、オブジェクト情報と駐車スペース情報との空間情報を比較することにより、差集合とも呼ばれる両者の空間関係を取得する方法を採用している。前記差集合が車両の車体情報を満足できる、すなわち当該オブジェクトが存在しても、分割された空間は車両の駐車を満足できると判断されると、当該駐車スペースは利用可能駐車スペースであると判定できる。前記車体情報は、車両の長、幅、車高などの関連情報である。オブジェクト情報と駐車スペース情報との空間情報の比較について、例をあげて後述で説明する。
【0017】
また、処理モジュール13は、各利用可能駐車スペースの評価スコアに基づいて、評価スコアが最も高いものを選択して選択駐車スペースとすることもできる。具体的には、処理モジュール13では、利用可能駐車スペースである駐車スペースを確認したら、さらに各利用可能駐車スペースを評価し、各利用可能駐車スペースの評価スコアの高さに基づいて、評価スコアが最も高いものを選択駐車スペースとして選択する。上述の評価スコアは、距離、時間、駐車スペースの種類、駐車スペース領域などの重み付けの考慮が含まれているが、これに限定されておらず、例えば、車両のタイプに応じて、予め不適格者を排除または適格の駐車スペースを優先選択し、または、駐車場内の特定の領域の駐車スペースを選択してもよい。また、利用可能駐車スペースと車両との現在距離および必要時間を考慮し、それらの要素を重み付けの要点として考慮してもよい。具体的には、入場時で好みにより重み付けを設定し、複数の利用可能駐車スペースから評価スコアが最も高い駐車スペースを、最終的に実際に駐車する駐車スペースとしてもよく、好みの設定がない場合には、先に到着した駐車スペースを最終的に実際に駐車する駐車スペースとしてもよい。
【0018】
また、前記の駐車スペース情報を評価スコアの重み付けに供してもよく、例えば、車両に予め駐車スペースの好みを設定し、例えば、“一時駐車専用”を最優先とし、次に“小型車専用”に設定して、駐車場に“一時駐車専用”がある場合に、該当する駐車スペースの評価スコアは高くなり、そして評価スコアに基づいて順番を付けることにより、利用可能駐車スペースから選択駐車スペースを特定できる。したがって、駐車場地図データをプリロードすれば、駐車スペースをより総合的に選出できる。
【0019】
他の実施例では、上記駐車スペース情報はプリロードされた駐車場地図データである場合に、駐車スペース情報には、例えば、車両サイズ不適格、車両高度不適格などの駐車スペースという不適格駐車スペースの記載が存在する場合があり、これによりオブジェクト分析モジュール12は不適格駐車スペースのオブジェクト状態に対して分析しないので、駐車スペース判定システム1の演算量を軽減でき、システムの負荷を削減できる。
【0020】
図2は、本発明にかかる駐車スペース判定システムにおける処理モジュール13の構成図である。処理モジュール13は、駐車スペースが利用可能である否かの判定、および利用可能駐車スペースの順番処理を行う。駐車スペース情報は随時更新するものであるので、利用可能駐車スペースの判定および順番もリアルタイムで調整する必要がある。したがって、本実施例では、処理モジュール13は、オブジェクト状態判断ユニット131と、空間関係評価ユニット132と、利用可能レベル評価ユニット133と、更新ユニット134とを含む。
【0021】
オブジェクト状態判断ユニット131は、オブジェクト情報の分類を判断し、オブジェクト情報に基づいて、オブジェクトは静止状態オブジェクト、移動状態オブジェクト、またはオブジェクトなしを決定する。
【0022】
空間関係評価ユニット132は、オブジェクト情報および駐車スペース情報に基づいて空間関係を確認する。駐車スペースは駐車できるか否かを確認するために、駐車スペース内にオブジェクトが存在する場合に、オブジェクトが駐車に影響するか否かをさらに確認する必要があり、空間関係評価ユニット132は、オブジェクト情報および駐車スペース情報に基づいて、駐車スペースとオブジェクトとの互いの空間関係を分析して確認する。実施例では、空間関係評価ユニット132は、オブジェクト情報の分類は静止状態オブジェクトである場合に、空間関係の計算を行う。
【0023】
利用可能レベル評価ユニット133は、駐車スペースは利用可能駐車スペースであるか否かを判断し、すべての利用可能駐車スペースに対して評価して順番を付けている。空間関係評価ユニット132がすべての駐車スペースの空間関係を確認したら、利用可能レベル評価ユニット133により駐車スペースは利用可能であるか否かを判断する。利用可能の定義として、静止状態オブジェクトが駐車に影響しないこと、移動状態オブジェクトが離れること、またはオブジェクトなしが含まれている。実施例では、利用可能レベル評価ユニット133は、オブジェクト情報の分類がオブジェクトなし、または静止オブジェクトであり、かつ空間関係が車両の車体情報に満足すると、当該駐車スペースは利用可能駐車スペースであると判定し、一方、オブジェクト情報の分類が移動状態オブジェクトである場合には、当該駐車スペースは判定待ち駐車スペースであると判定し、当該駐車スペースの状態を継続更新する。
【0024】
次に、利用可能レベル評価ユニット133は、すべての利用可能駐車スペースに対して評価を行い、すべての利用可能駐車スペースに対応する評価スコアを与え、また、利用可能レベル評価ユニット133は、さらに各利用可能駐車スペースの評価スコアに基づいて順番を付けてもよい。
【0025】
なお、車両は駐車場内に移動し続けており、それに伴って車両が位置する範囲も変化するので、範囲に入る駐車スペースが生じ、また範囲から排除される駐車スペースもある。本発明は、個々の駐車スペースの状態の受信および判断を継続し、対応する車両の範囲内にある駐車スペースの評価スコアを算出して順番を付けることにより、利用可能駐車スペースから好適な駐車スペースを特定できる。したがって、処理モジュール13は、車両移動によるデータの変化に伴って、同時に駐車スペースの評価スコアを継続的かつリアルタイムに計算しているので、車両が位置する範囲内にある好適な駐車スペースを素早くかつ精度良く特定し、当該駐車スペースを選択駐車スペースとすることができる。
【0026】
待ち時間が長くなることを避けるために、本発明は、駐車スペースの待ち時間が一定時間に達すると、ターゲットを変更できるようにしている。このため、更新ユニット134は、選択駐車スペースに対する車両の待ち時間が一定時間を超えると、他の駐車スペースの選択機能を開始する。例えば、オブジェクト情報の分類は移動状態オブジェクトであって、当該選択駐車スペースに対して車両が所定の時間を待ち続けると、新たな評価スコアに基づいて、他の利用可能駐車スペースを選択して新しい選択駐車スペースとする。前述のように、利用可能駐車スペースのうちの1つを選択駐車スペースとして選択すると、車両を当該選択駐車スペースへ案内するが、当該選択駐車スペースがちょうど利用されてしまった場合には、駐車スペースの評価スコアを継続的かつリアルタイムに計算することにより、選択した選択駐車スペースを排除している。しかしながら、当該選択駐車スペースは、移動状態オブジェクトであって選択されている場合には、移動状態オブジェクト(例えば、車両または通行人)が当該駐車スペースに留まり続けることにより、更新ユニット134が、当該選択駐車スペースに対する待ち時間が所定の時間に達したと判断し、新しい評価スコア(車両が停止しても、更新し続けることによる)に基づいて、新しい利用可能駐車スペースから最適の駐車スペースを選択して、新たな選択駐車スペースとすることができる。
【0027】
以上のように、本発明にかかる駐車スペース判定システム1は、先ず駐車スペース情報を取得して、それらの駐車スペースにオブジェクトが存在しているか否かを判断し、オブジェクトが存在している場合には当該オブジェクトが駐車に影響するか否かを確認し、車両が位置する範囲内にある利用可能駐車スペースを特定している。また、各駐車スペースには評価スコアがあるため、現状の利用可能駐車スペースを特定すると、評価スコアが最も高い駐車スペースを最終の選択された駐車スペースとして選択している。また、駐車スペースの評価スコアの計算は継続的かつリアルタイムで行っているので、車両の移動に伴って、範囲内の駐車スペースの評価スコアも継続して変化し順番が付けられ、これにより、最新の駐車スペースの状態をリアルタイムで取得できる。また、1つの駐車スペースに対する待ち時間が所定の時間を超えると、他の駐車スペースの選択機能を開始する。
【0028】
図3は、本発明にかかる駐車スペース判定システムが含まれる車両が、各種駐車スペース状態が含まれる駐車場に入場したことを示す図である。
図1および
図2も合わせて参照されたい。図に示されるように、車両5が駐車場4に入場すると、プリロードされた駐車場の地図データまたは現場検出により車両5の周辺の駐車スペース情報を取得する。車両5が進行する際に、周辺の駐車スペース41の状態を検出し、駐車スペース41に例えば車両、人員または障害物などのオブジェクトが存在すると、オブジェクトを分類し、オブジェクトが例えば通行人61などの移動状態オブジェクトの場合には、駐車スペースを判定待ち駐車スペースと判定し、さらに後続の継続検出により、当該判定待ち駐車スペースは利用可能(オブジェクトが離れた)または利用不能か(オブジェクトが留まり続ける)を決定する。最終的にはこのような判定待ち駐車スペースを選択駐車スペースとして選択すると、さらに待ち機能を備えており、もし待ち続けても当該駐車スペースを利用できない場合には、他の駐車スペースを選択する機能を開始する。また、オブジェクトが静止状態オブジェクトである場合には、すでに駐車している車両60、または駐車スペース内の各位置にある各種形状の障害物(例えば、図に示されている障害物62または障害物62’)が存在する可能性を示しているので、オブジェクトに対してさらに分析する必要がある。
【0029】
駐車スペース判定システム1は、例えば車両の長さ、幅、車高などの車両5の車体情報を有してもよい。
図3に示される右側の上下2つの駐車スペースのいずれにも障害物が存在しているが、障害物62および障害物62’と駐車スペースとの空間関係は同じでない。簡単に説明すると、障害物62は、車両5の車体情報に対応する車両空間42に重複しておらず、つまり、障害物62以外の空間は車両空間42を有する車両5の駐車を満足できるので、駐車に必要な車両空間42は障害物62に影響されないので、上方の駐車スペースは利用可能駐車スペースと判定される。一方、障害物62’は、車両5の車体情報に対応する車両空間42に重複しており、つまり、障害物62’以外の空間は車両空間42を有する車両5の駐車ができず、車両5の駐車に必要な車両空間42は障害物62’に影響されているので、下方の駐車スペースは利用不可駐車スペースと判定される。車両5の移動に伴って、駐車スペース判定システム1は車両5の周辺の駐車スペースの状態を継続的に判断しているので、すべての利用可能駐車スペースの評価スコアの順番に基づいて、好適な駐車スペースを特定できる。
【0030】
図4は、本発明の駐車スペース判定方法のフローチャートである。かかる駐車スペースの判定方法は、主に、車両の周辺の駐車スペースは利用可能駐車スペースであるかを判定し、そのうちから駐車に利用する駐車スペースを選択することに用いられる。ステップS41では、車両が位置する範囲の駐車スペース情報を取得する。このステップでは、車両が駐車場に入場し好適な駐車スペースを検索するために、まず車両周辺の駐車スペースの駐車スペース情報を取得し、車両検索範囲は車両を中心とした一定の範囲の領域であり、これにより後続の駐車スペースの利用可否の判定を実行可能になる。
【0031】
実施例では、駐車スペース情報はプリロードされた駐車場地図データであり、プリロードすることにより、駐車場内部全体の駐車スペースの分布状態および関連情報を取得でき、駐車スペース情報およびオブジェクト情報の分析には有利である。また、プリロードされた駐車場地図データは、例えば、どのタイプの駐車スペースを優先にして、評価スコアを上げるなどの重み付けに利用されてもよい。これにより、プリロードされた駐車場地図データは、駐車スペースの選択をより総合的にすることができる。
【0032】
また、駐車スペース情報は、画像取得分析技術またはLiDARセンサ技術により取得した画像情報データであってもよい。例えば、車両に、例えばLiDARなどのセンサ装置を取り付けて、LiDARの広範囲検出かつ前後の区分のないという特性により、車両周辺の駐車スペース情報を構築できる。他の実施例では、センサ装置は画像取得用のセンサ機器であってもよく、画像分析により車両周辺の駐車スペース情報を構築する。
【0033】
ステップS42では、当該駐車スペース情報の各駐車スペース内のオブジェクトを分析し、各駐車スペース内のオブジェクトのオブジェクト情報を生成する。このステップでは、現在取得した駐車スペース情報の各駐車スペース内にオブジェクトが存在しているかを分析し、駐車スペース内に、例えば車両、障害物または通行人などのオブジェクトがすでに存在している場合には、後続の駐車可否の判断に影響する。実施例では、例えばオブジェクトなし、静止状態オブジェクト、または移動状態オブジェクトなどのオブジェクトの種類に基づいて異なる判断を行い、最終的にオブジェクト情報を生成する。
【0034】
実施例では、駐車スペース情報はプリロードされた駐車場地図データである場合、一般的に、駐車スペース情報には、例えばサイズ不適格や車高不適格など、該当車輌の駐車に不適格の駐車スペースタイプという不適格駐車スペースも記載されている。この場合、このステップでは、駐車スペース情報の各駐車スペース内のオブジェクトを分析する際に、不適格駐車スペースのオブジェクトに対して分析を行わず、すなわち予め除外しているので、システムの演算負荷削減に有利である。
【0035】
ステップS43では、オブジェクト情報の分類を判断する。具体的には、オブジェクト情報の分類は、オブジェクトなし、静止状態オブジェクトまたは移動状態オブジェクトがあってもよい。本発明では、オブジェクトなしを利用可能駐車スペースと判定している。オブジェクトなしは車両の駐車または障害物がないことを示しているので、当然、このような駐車スペースを利用可能駐車スペースとすることができる。また、オブジェクトは移動状態オブジェクトの場合には、移動中の車両または通行人の可能性を示しており、利用可能駐車スペースになる可能性があるので、このような駐車スペースを判定待ち駐車スペースとし、当該駐車スペースは利用可能かを判断するために、当該駐車スペースの状態の更新を継続する。最後に、オブジェクトは静止状態オブジェクトの場合には、さらなる確認が必要である。
【0036】
ステップS44では、オブジェクト情報および駐車スペース情報を用いて各駐車スペース内のオブジェクトと当該オブジェクトが位置する駐車スペースとの空間関係を計算する。このステップでは、オブジェクト情報および駐車スペース情報を用いて各駐車スペース内のオブジェクトと当該オブジェクトが位置する駐車スペースとの空間関係を計算し、後続のステップS45にて、空間関係が車両の車体情報に符合すると、駐車スペースを利用可能駐車スペースと判定する。例えば、このステップでは、各駐車スペース内のオブジェクトと当該オブジェクトが位置する駐車スペースとの空間関係を計算し、例えば、オブジェクト情報と駐車スペース情報の空間情報とを比較して、本発明では差集合という両者の空間関係を取得し、当該差集合は車両の車体情報に満足するかを判断している。以上のように、駐車スペース内にオブジェクト、特に静止状態オブジェクトが存在すると、このステップでの空間関係判断を実行する必要がある。
【0037】
ステップS45では、オブジェクト情報の分類は静止状態オブジェクトであり、かつ空間関係が車両の車体情報に満足すると、駐車スペースを利用可能駐車スペースと判定する。このステップの説明では、差集合が車両の車体情報を満足すれば、駐車スペースに車両の駐車に必要な空間があることを示し、当該駐車スペースを利用可能駐車スペースと判定できる。
【0038】
ステップS46では、各利用可能駐車スペースの評価スコアに基づいて、評価スコアが最も高い駐車スペースを選択して選択駐車スペースとする。このステップでは、利用可能駐車スペースを確認したら、各利用可能駐車スペースの評価スコアにより、評価スコアが最も高い駐車スペースを選択して選択駐車スペースとしている。評価スコアは、距離、時間、駐車スペースタイプ、または駐車スペース領域などの重み付けの考えが含まれるが、これに限らず、重み付けは入場時の好みにより設定してもよく、これにより複数の利用可能駐車スペースから評価スコアが最も高い駐車スペースを最終的に実際に駐車する駐車スペースとして選択する。
【0039】
ここで、車両が駐車場内で移動し続けており、車両を中心とした範囲も合わせて変化することを留意すべきである。本発明の駐車スペース判定方法では、範囲内の各駐車スペースの状態を継続的に受信して判断を行い、これに対応する車両が位置する範囲内の駐車スペースの評価スコアを算出して順番を付け、これにより利用可能駐車スペースからより好適な駐車スペースを特定できる。
【0040】
時間、車両移動および周辺環境の変化伴って駐車スペース情報が継続変化する状態で、1つの駐車スペースが選択駐車スペースに選択されると、車両は当該選択駐車スペースに赴き、駐車をするが、当該選択駐車スペースに、例えば割り込みまたは移動状態オブジェクト(車両または通行人)が留まり続けているという特殊状況では、本発明では、車両が選択駐車スペースを所定時間待つと、新たな評価スコアに基づいて、他の利用可能駐車スペースを新たな選択駐車スペースとして選択する。つまり、車両が選択駐車スペースを一定時間待つと、周辺の駐車スペースの評価スコアが変更する可能性もあるので、新たな評価スコアに基づいて他の好適な駐車スペースを再選択する。
【0041】
図5A~5Cは、本発明の駐車スペース判定方法の応用を示す図である。
図5Aのように、車両5にLiDARまたは画像センサを取り付けてもよく、車両5が駐車場4に入場すると、LiDARまたは画像センサの可視範囲で1つまたは複数の駐車スペース情報を取得し、あるいはLiDARまたは画像センサに加えて、さらにプリロードした駐車場地図データと合わせて、不適格(過小または高度不足)の駐車スペースを排除して、1つまたは複数の駐車スペース情報を取得する。続いて、LiDARまたは画像センサにより取得された情報を分析して、範囲内の各駐車スペース41に、例えば、車両60または通行人61というオブジェクトが存在するかを判断する。
【0042】
図5Bのように、システムは、オブジェクト幾何および駐車スペース幾何の比較により、駐車スペース41は利用可能となる可能性はあるかを判断する。図のように、車両5の進行が継続することにより、駐車スペース41内の車両60または通行人61などの各オブジェクトから検出した角度や範囲は随時変化し、図に示される通行人61および駐車スペース41内の一部の車両60の箇所には不規則形状の破線の枠が描画されており、これはシステムが検出できるオブジェクトの状態を示しており、車両60’の箇所は車両5に検出されていないことを示す。図の左上の駐車スペース41内の車両60を例に上げると、車両の体積が大きいので、道路付近の箇所のみが検出され、または横に空いている駐車スペースにより、駐車スペース41内の車両60の車体が検出され(例えば、下右側から3つ目の駐車スペース)、この場合に、システムは破線の枠を1つのオブジェクトとし、次に本発明の前述の説明のように、駐車はオブジェクトに影響されているかを判断する。この際に、オブジェクトによる幾何形状と駐車スペース自身の幾何形状とを比較して、オブジェクトが駐車に影響するかを確認する。幾何形状の比較については、
図6A~6Cにて詳細に説明する。
【0043】
また、駐車スペースは利用可能になる可能性はあるかの判断には、利用中状態判別および優先度状態比較をさらに加味しても良い。例えば、利用中状態判別は、オブジェクト情報の種類の判別を含んでもよく、オブジェクトなしであれば、かかる駐車スペースを利用可能駐車スペース43と判定できる。オブジェクトが存在する場合には、さらに静止状態および移動状態に分けている。移動状態オブジェクトであれば、車両または通行人の可能性があり、車両または通行人が離れていれば駐車が可能になるので、判定待ち駐車スペースと判定され、また、車両の移動に伴って、駐車スペースの駐車スペース情報も随時変更する(リアルタイム更新)。一方、静止状態オブジェクトであれば、車両または障害物の可能性があり、オブジェクトと駐車スペースとの空間関係をさらに考慮する必要がある。
【0044】
具体的には、オブジェクトと駐車スペースとの空間関係を考慮するとは、オブジェクト範囲と駐車範囲との差集合を比較し、余剰空間範囲は車両の駐車を満足できるかを判断することである。具体的には、オブジェクトと駐車スペースとの空間関係の計算は、オブジェクトのオブジェクト高さの高さ判断を含んでもよく、オブジェクトのオブジェクト高さと車両の車体情報におけるシャシ高さとを比較し、オブジェクト高さが車両のシャシ高さより高い場合には、利用不可駐車スペースと判定する。また、地上ロック装置を有する駐車スペースもあり、このようなオブジェクトの高さは、車両の関連情報(すなわち、車体情報)により除外され、駐車の阻害となる障害物と誤認されることを回避する。
【0045】
他の実施例では、オブジェクトと駐車スペースとの空間関係の計算は、オブジェクトのオブジェクト幅やオブジェクト長さの幅や長さの判断を含んでもよく、オブジェクトのオブジェクト幅やオブジェクト長さ、駐車スペース情報の駐車スペース幅や長さ、および車両の車体情報の車体幅や長さを比較し、駐車スペース情報の駐車スペース幅や長さとオブジェクト幅や長さとの差集合が車両の車体幅や長さよりも小さい場合には、利用不可駐車スペースと判定する。
【0046】
他の実施例では、オブジェクトと駐車スペースとの空間関係の計算は、オブジェクトの位置と駐車スペースの空間情報の駐車スペース枠線の位置との比較を含んでもよく、駐車スペースの駐車スペース枠線の位置とオブジェクトの位置との差分は車両の車体情報の車体長さよりも小さい場合には、利用不可駐車スペースと判定する。
【0047】
実施の応用の際には、LiDAR技術が大範囲かつ前後の区分がないので、センサ範囲内(後方を含む)のすでに利用されている駐車スペースは継続的に識別され、利用可能駐車スペースになっているかトラッキングされており、例えば、駐車スペースが移動状態オブジェクトであると判断され、またはオブジェクトなしと判断された場合には、利用可能駐車スペースになる可能性はあるとさらに判定される。
【0048】
図5Cのように、複数の利用可能駐車スペースを特定したら、各利用可能駐車スペースの評価スコアに基づいて、評価スコアが最も高い駐車スペースを選択して選択駐車スペース43’とし、最終の実際に駐車する駐車スペースとする。この際、車両5は駐車のルートを同時に計画し、自動駐車または運転手の駐車の補助を実行する。
【0049】
図6A~6Cは、本発明におけるオブジェクト情報と駐車スペース情報との差集合の計算を示す図である。ここでは図面を簡略して説明する。
図6Aのように、駐車場の進行ラインを道路70と呼び、駐車スペース71は道路70に隣接し、車両がこの範囲に入り、駐車スペース71内に1つの障害物8のオブジェクトが存在することが検出されると、オブジェクトが駐車に影響するかを判断する必要があり、オブジェクト情報と駐車スペース情報との差集合を計算する。
【0050】
図6Bのように、実施例では、駐車スペースに対して障害物8の位置に基づいて、駐車スペース71を4つの有効ブロックに分ける。主に当該障害物と駐車スペースの周辺との関係に基づいて、4つのブロックに分割される。第1のブロック711は図面上の障害物8の上方(道路近傍)の最大空間であり、第2のブロック712は図面上の障害物8の左方の最大空間であり、第3のブロック713は図面上の障害物8の右方の最大空間であり、第4のブロック714は図面上の障害物8の下方の最大空間である。次に、これら4つのブロックは駐車できるかを判断する。
【0051】
図6Cのように、上記のように駐車に供する4つのブロックが特定されたが、第4のブロック714は道路に隣接しないので、先に排除される。すなわち、駐車スペースの道路に最も近い端部に障害物が存在し車両が進入できなくなると、たとえ第4のブロック714は駐車に足りうるサイズであっても、障害物の存在により車両が進入できないため、第4のブロックのような道路に隣接していないブロックは排除する必要がある。したがって、最終的に、第1~第3のブロック711、712、713のみがさらに分析される。以上のように、まず車道(道路)に隣接するブロックを選択し、次にどのブロックに車両を駐車できるかを比較する。
【0052】
最後に、オブジェクト(障害物8)と駐車スペース71との空間関係を判断し、第1~第3のブロック711、712、713のそれぞれのサイズと車両の車体情報の車体幅や長さとを比較し、駐車スペース71から分割されたブロックに車両が駐車できるかを決定する。すなわち、車両の駐車に足りうるブロックがあれば(ブロックのサイズが車両のサイズに満足すれば)、駐車スペースは利用可能駐車スペースであると判定し、逆に、車両の駐車に足りうるブロックがなければ、駐車スペースは利用不可駐車スペースであると判定する。
【0053】
図7は、本発明にかかる駐車スペース判定システムを適用して表示された種々の駐車スペース状態を示す図である。本発明にかかる駐車スペース判定方法は、例えば、平面駐車場、立体駐車場、機械駐車場、路上駐車場などの各種の駐車場に適用でき、かつ利用可能駐車スペースであるかを識別する際には、各駐車スペースに対して専用の評価スコアを与え、さらに異なる重み付けに基づいて適宜重み付けすることができる。図のように、本発明にかかる駐車スペース判定システムは各駐車スペースの状態をリアルタイムで表示でき、例えば、車両5の検出範囲外の、例えば図における駐車スペース90駐車スペースは検出しておらず、車両5の検出範囲内の、例えば駐車スペース91のような駐車スペースは、システムに検出されかつ利用不可駐車スペースと判定されていることを示し、駐車スペース92のような駐車スペースは、システムに検出されかつ利用可能駐車スペースと判定されていることを示している。また、図における符号93のような駐車スペースは、システムに検出されかつ選択駐車スペース93と判定されており、つまり、選択駐車スペース93は、すべての利用可能駐車スペース(図における符号92、93が含まれる駐車スペース)のうち評価スコアが最も高い駐車スペースである。
【0054】
前記のように、車両5の移動に伴って、車両に取り付けられたセンサ装置にカバーされた範囲も移動しているので、車両5が位置する範囲内の各駐車スペースの状態をリアルタイムで判断でき、これにより、本発明の駐車スペース判定システムが表示する駐車スペース状態もリアルタイムで変化し、すなわち、駐車スペース90~93の状態も随時変更する。描画の便宜上、実施例では、線の変化により駐車スペースの状態の相違を示しているが、実際の実施の際には、駐車スペース状態は、車両において表示器により表示され、かつ色の相違(例えば、黄色、赤色、緑色)で上記異なる状態の駐車スペースを示すことができ、運転手がより直感的に車両周辺の駐車スペースの状態を把握できる。
【0055】
本発明のモジュール、装置、設備などはマイクロプロセッサやメモリが含まれ、アルゴリズム、データ、プログラムなどはメモリまたはチップに保存され、マイクロプロセッサは、メモリからデータまたはアルゴリズム、プログラムを取り込み、データ分析または計算などの処理を実行することに関する詳細の説明は、ここでは割愛する。例えば、本発明にかかる駐車スペース判定システムにおける各モジュールおよびユニットにはマイクロプロセッサおよびメモリが含まれており、これにより分析演算を実行できるので、本発明で説明したモジュール、ユニットまたは設備のハードウェアの詳細構成は同じ手段で実現できる。
【0056】
以上のように、本発明にかかる駐車スペース判定システムおよびその方法は、車両が位置する範囲の駐車スペース情報を取得し、それらの駐車スペース内にオブジェクトが存在するかを確認し、最後に評価スコアにより利用可能駐車スペースに順番を付けて、スコアが最も高い駐車スペースを選択駐車スペースとし、かつ車両の移動に伴って、駐車スペースの評価スコアも変化するので、好適な駐車スペースを特定できる。本発明によれば、複数の駐車スペースは利用可能か、またはオブジェクトは駐車に影響するかを判別できるので、検索の効率を向上させることができ、また条件により複数の利用可能駐車スペースを選出しているので、複数の駐車スペースを同時にトラッキングして選択できるという目的を達成でき、従来の駐車スペースの識別では、車両を駐車スペース付近まで運転しないと利用されているかを判断できない、および駐車場の領域で需要に応じてより好適な駐車スペースを選択できないという問題を解決できる。
【0057】
本発明は実施例により以上のように説明したが、本発明はそれに限定されず、当技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の主旨および開示の範囲内で変更、改変を加えることが可能であり、本発明の保護の範囲は、添付の請求の範囲により限定される範囲に準拠するものである。
【符号の説明】
【0058】
1 駐車スペース判定システム
2 センサ装置
3 地図データモジュール
4 駐車場
5 車両
8 障害物
11 駐車スペース情報モジュール
12 オブジェクト分析モジュール
13 処理モジュール
41 駐車スペース
42 車両空間
43 利用可能駐車スペース
43’、93 選択駐車スペース
60、60’ 車両
61 通行人
62、62’ 障害物
70 道路
71、90、91、92 駐車スペース
131 オブジェクト状態判断ユニット
132 空間関係評価ユニット
133 利用可能レベル評価ユニット
134 更新ユニット
711 第1のブロック
712 第2のブロック
713 第3のブロック
714 第4のブロック
S41~S46 ステップ