(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】針アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
A61M25/06 512
A61M25/06 500
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020081732
(22)【出願日】2020-05-07
(62)【分割の表示】P 2017515140の分割
【原出願日】2015-10-15
【審査請求日】2020-05-18
(32)【優先日】2014-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591002131
【氏名又は名称】ベー・ブラウン・メルズンゲン・アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】B.BRAUN MELSUNGEN AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】アイク・アウン・タン
(72)【発明者】
【氏名】ウェン・ジェン・リム
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特表平04-501671(JP,A)
【文献】特表2013-528424(JP,A)
【文献】特表2010-533020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のものを備えた針アセンブリ(500)であって、
針ハブ(35)に取り付けられた針シャフト(23)を有する針(15)と、ここで針シャフト(23)は針先端(37)を含む、
針シャフト(23)の上に位置し
て当該針アセンブリから取り外し可能であり、第1セクション(10)及び第2セクション(20)を含む保護キャップ(5)と、ここで第1セクション(10)は中に位置する針シャフト(23)を有する穴を有し、第2セクション(20)は針ハブ(35)の少なくとも一部をカバーするベース
部(40)を含む、
第1セクション(10)と第2セクション(20)との間に位置した分離ライン(30)と、を備え、
分離ライン(30)は、弱められた部分であり、あるいは接合用具(222)によって互いに保持されたシームであり、第2セクション(20)から第1セクション(10)を分離するように分離可能に構成されて
いる、
針アセンブリ。
【請求項2】
カテーテルチューブ(76)に取り付けられたカテーテルハブ(75)をさらに備え、ここで針シャフト(23)はカテーテルチューブ(76)を通り突出している、請求項1に記載の針アセンブリ。
【請求項3】
カテーテルハブ(75)は、開口(55)及び突起(82)の一方を有し、キャップ(5)は、開口(55)及び突起(82)の他方を有する、請求項2に記載の針アセンブリ。
【請求項4】
突起(82)は、開口(55)を通り突出している、請求項3に記載の針アセンブリ。
【請求項5】
安定化エレメント(42、44)が第2セクション(20)から延在している、請求項1から4のいずれかに記載の針アセンブリ。
【請求項6】
各安定化エレメント(42、44)に取り付けられた粘着性のパッド(46)をさらに備える、請求項5に記載の針アセンブリ。
【請求項7】
カテーテルハブ(75)の内側に位置する針受けをさらに備える、請求項2から4のいずれかに記載の針アセンブリ。
【請求項8】
第2セクション(20)は、2つの側壁(130、132)と、先細りの遠位端セクションを有する上壁(56)とを有する、請求項1から7のいずれかに記載の針アセンブリ。
【請求項9】
安定化エレメント(42、44)に一部が取り付けられ、U字形状にて形成された粘着性のパッド(146)をさらに備えた、請求項5又は6に記載の針アセンブリ。
【請求項10】
接合用具(222)は、2つ以上の受け口(230)と係合する2つ以上の突起(228)、又は、2以上の受け口(246)と係合する2以上のタブ(240)を備える、請求項1から9のいずれかに記載の針アセンブリ。
【請求項11】
第2セクションは、固定用具として再度使用可能である、請求項1から10のいずれかに記載の針アセンブリ。
【請求項12】
第1セクション(10)に形成されるグライダー(250)は、受け口(246)との係合へタブ(240)をガイドするのを助けるために使用可能である、請求項10に記載の針アセンブリ。
【請求項13】
接合用具(222)のタブ(240)と受け口(246)とを係合する状態において、第2セクションは、グライダー(250)上を滑ることができる、請求項12に記載の針アセンブリ。
【請求項14】
接合用具(222)の部品の整列を容易にするため、マーカー(232)がベース部(40)の外側に設けられる、請求項1から13のいずれかに記載の針アセンブリ。
【請求項15】
突起(82)は、トラス、矢状、かかりあるいは回転可能なタブを備える、請求項3から14のいずれかに記載の針アセンブリ。
【請求項16】
以下のものを備えた針アセンブリ(500)であって、
カテーテルハブ(75)と、
カテーテルハブ(75)の遠位端から延在するカテーテルチューブ(76)と、
カテーテルチューブ(76)の少なくとも一部分に配置された針(15)と、
針(15)に取り付けられた針ハブ(35)と、
針(15)及びカテーテルチューブ(76)の上に置かれた針キャップ(5)と、ここで針キャップ(5)は、第1セクション(10)及び第2セクション(20)を有し、第1セクション(10)は、穴を有する細長いスリーブ(17)を有し、第2セクション(20)は、ベース部(40)を有し、ベース部は上部開口(55)及び下部開口(105)を有し、カテーテルハブ(75
)一部をカバーする、
ベース部(40)の横に延在する少なくとも1つの安定化エレメント(42、44)と、を備え、
カテーテルハブ(75)における係合エレメント(82)は、分離ライン(30)に沿って第1セクション(10)が第2セクション(20)から分離後に、ベース部(40)の上部開口(55)を通り延在するようにサイズ及び形状が決められており、
第2セクション(20)のベース部(40)は、カテーテルハブ(75)をカバーするようにサイズ及び形状が決められており、ここで第2セクション(20)は、上面部分(56)を有し、
下部開口(105)は
、上面部分(56)の反対側にあり
、かつベース部(40)をカテーテルハブ(75)に取り付ける際にカテーテルハブ(75)が通過する部分であり、
第2セクション(20)は、第1セクション(10)から分離可能であり、かつ第1セクション(10)なしでカテーテルハブ(75)の上方に再び置くことが可能である、
針アセンブリ。
【請求項17】
少なくとも1つの安定化エレメント(42、44)に取り付けられた粘着性のパッド(46)をさらに備えた、請求項
16に記載の針アセンブリ。
【請求項18】
少なくとも1つの安定化エレメント(42、44)は、第1ウィング(42)であり、さらに第2ウィング(44)を有し、第1ウィング(42)及び第2ウィング(44)は、ベース部(40)から延在する、請求項
16又は
17に記載の針アセンブリ。
【請求項19】
第2セクション(20)の近位端におけるタブ(64)であって、カテーテルハブ(75)から第2セクション(20)の除去を援助するためにサイズ及び形状が決められたタブをさらに備えた、請求項
16から
18のいずれかに記載の針アセンブリ。
【請求項20】
2つのウィング(42、44)の各々に一部が取り付けられ、U字形状にて形成された粘着性パッド(146)をさらに備えた、請求項
18又は
19に記載の針アセンブリ。
【請求項21】
第2セクション(20)の上部開口(55)は、スロットである、請求項
16から
20のいずれかに記載の針アセンブリ。
【請求項22】
係合エレメント(82)は、フックを有する、請求項
16から
21のいずれかに記載の針アセンブリ。
【請求項23】
ベース部(40)、側壁(130、132)、及び上面部分(56)の反対側における下部開口(105)を備える第2セクション(20)は、静脈穿刺に続いてカテーテルハブを固定するためにカテーテルハブ(75)と連結するようにサイズ及び形状が決められる、請求項16から22のいずれかに記載の針アセンブリ。
【請求項24】
第2セクション(20)内にカテーテルハブを堅く固定するために、上面部分(56)の内壁の少なくとも一部がカテーテルハブ75に対して押圧するように、2つの側壁(130、132)の高さは選択可能である、請求項23に記載の針アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示された発明は、一般に、誘導針及び留置針(over-the-needle catheters)のような医療用具に関し、より詳しくは、使用前に針をカバーするキャップカバーを有する針及びカテーテルに関する。ここでキャップは、成功した静脈穿刺後にカテーテルを固定するための安定化プラットホーム(stabilization platforms)を組み込む。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、患者への流体の注入、患者からの血液の抽出、あるいは患者の脈管系における種々のパラメータのモニタリングを含む、種々の注入療法に一般に使用される。カテーテルは、カテーテルへのIV管材のアタッチメントを収容するカテーテルアダプターに典型的に接続される。カテーテルチューブと共に使用する針は、カテーテルアセンブリの包装中、キャップによって典型的にカバーされる鋭い先端を有する。そのような針の鋭い先端は安全上の問題を提示し、該問題は、熱可塑性物質ラップあるいは真空パックにおいて、針の先端及びアセンブリの少なくとも一部分をカバーする除去可能なキャップを含むことによってしばしば克服される。包装材から取り除かれた後、キャップは、しばしば除去され廃棄される。患者の血管内へのカテーテルチューブの配置に続いて、カテーテルハブがIV流体源に接続された後あるいは前に、不注意な移動から挿入部位(access site)を保護するために、患者の皮膚へのカテーテルハブのテーピング等によって、ハブは固定される。
【発明の概要】
【0003】
サマリー
本開示の態様は、針アセンブリに向けられ、該針アセンブリは、針ハブに取り付けられた針シャフトを有する針と、針シャフトを覆って位置する保護キャップと、該保護キャップは第1セクション及び第2セクションを有し、第1セクションはそこに位置する針シャフトを有する穴を有し、第2セクションは針ハブの少なくとも一部をカバーするベース部を有する、並びに、第1セクション及び第2セクション間に形成された脆い部分(frangible section)と、を備え、該脆い部分は、第2セクションから第1セクションを分離するために分離可能なものである。
【0004】
本開示の別の態様は、針アセンブリに向けられ、該針アセンブリは、針ハブに取り付けられた針と、針の少なくとも一部を覆い位置する保護キャップとを備え、保護キャップは、分離ラインに沿って第1セクション及び第2セクションの少なくとも2つの異なるセクションに分離可能であり、2つのセクションの一つは、固定用具として再度使用することができる。
【0005】
針アセンブリは、カテーテルチューブに取り付けられたカテーテルハブを備えることができ、ここで針の針シャフトは、カテーテルチューブを通り突出している。
【0006】
カテーテルハブは、開口及び突起の一方を備えることができ、ここでキャップは、開口及び突起の他方を備えることができる。突起は、開口を通り突出可能である。突起は、トラス(mushroom head)、矢状(arrow)、かかり(barb)あるいは回転可能なタブを備えることができる。
【0007】
安定化エレメントは、保護キャップの第2セクション上に組み込まれ及び折り重ねることができる。粘着性のパッドをそれぞれの安定化エレメントに取り付けることができる。各粘着性パッドは、剥離層を含むことができる。
【0008】
2つの安定化エレメントが折り重ねられたとき、接着剤は、折り重ねられた位置に折り重ねられた端を維持するように含められることができ、あるいは、安定化エレメントは、接着剤の援助なしで折り重ねた状態を維持するように十分に曲げやすく柔軟であることができる。
【0009】
針受け(needle guard)がカテーテルハブの内側に位置することができる。針受けは、開口及び2つのアームを有する近位壁を含むことができる。2つのアームは、交差することができ、それぞれ遠位壁を含むことができる。
【0010】
キャップの第2セクションは、2つの側壁、及び先細りの遠位端セクションを有する1つの上壁を有する。上壁は、平らであることができ、粗い質感を含むことができ、角度を含むことができ、リブを含むことができ、あるいはこれらの組み合わせであることができる。
【0011】
保護キャップの第1セクションは、細長いチューブあるいは円筒状部分、及び拡張したあるいは引き伸ばした近位本体部を含むことができる。細長いチューブ及び引き伸ばした近位本体部は、針を収容する穴(内径、bore)を有することができる。
【0012】
針アセンブリは、安定化エレメントに取り付くことができる部分を有しU字形に形成された粘着性パッドをさらに備えることができる。
【0013】
針アセンブリは、ウィングのサイズを変更するために調整されあるいは取り外すことが可能な部分のような、調整可能部分を有するウィングを含むことができる。
【0014】
針アセンブリは、分離ラインで第2セクションに第1セクションを取り付ける手段を含むことができる。その手段は、ミシン目、脆弱部分(weakened portions)、あるいは一もしくは複数の機械的な相互の係合を含むことができる。分離ラインは、直線であることができ、曲線であることができ、あるいは波形であることができる。機械的な相互の係合は、これはまた接合用具とも呼ばれてもよく、突起と受け口(receptacles)との組み合わせ、あるいはタブと受け口との組み合わせ、これはジグソーパズルにおける連結タブに類似する、を備えることができる。その突起は、スタブ(stubs)、円形部分、あるいは半球状部分であることができる。
【0015】
いくつかの例において、受け口は、タブに形成することができ、該タブは、第1セクションの近位端で外側へ延在でき、あるいは第2セクションの遠位端で外側へ延在することができる。
【0016】
グライダーは、受け口との係合へタブをガイドするのを助けるために使用することができる。グライダーは、第1セクションに形成することができる。接合用具のタブと受け口とを係合するとき、第2セクションは、グライダー上を滑ることができる。
【0017】
一例において、第2セクションから第1セクションを分離したとき、分離ラインは、裂かれた、あるいは断裂した表面の残部を有することができる。他の例において、分離ラインは、モールドにより形成されたエッジのような傷のないエッジを有することができる。例えば、第2セクションから第1セクションを分離するために接合用具が分離されるとき、第1及び第2のセクションにおけるエッジは、傷のないものになり得、裂かれた、あるいは断裂した表面の跡あるいは残部のないものになることができる。
【0018】
ウィングは、第2セクションのベース部に一体で形成可能であり、あるいは別々に形成して、その後に溶着あるいは接着することによってベース部に取り付けることができる。
【0019】
いくつかの例において、第1セクションが第2セクションから分離されるとき、第1セクションの近位端は、その近くに延在するタブを有することができる。他の例において、第1セクションの近位端は、近位端の近くに延在する少なくとも1つの受け口をそれぞれが有する複数のタブを有することができる。
【0020】
本開示の態様は、さらに針アセンブリに向けられ、この針アセンブリは、カテーテルハブと、カテーテルハブの遠位端から延在するカテーテルチューブと、カテーテルチューブにおける少なくとも一部に配置された針と、針に取り付けられた針ハブと、針及びカテーテルチューブ上に置かれた針キャップと、ここで該針キャップは第1セクション及び第2セクションを備え、第1セクションは穴を有する細長いスリーブを備え、第2セクションはベース部を備え、該ベース部は上部開口及び下部開口を備えカテーテルハブの少なくとも一部をカバーする、そして、ベース部を横に延在する少なくとも1つの安定化エレメントと、を備え、カテーテルハブにおける係合エレメントは、分離ラインに沿って第1セクションが第2セクションから分離した後、ベース部の上部開口を通り延在するようにサイズ及び形状が決められている。
【0021】
針アセンブリは、少なくとも1つの安定化エレメントに取り付けられた粘着性パッドをさらに備えることができる。
【0022】
針アセンブリは、少なくとも1つの安定化エレメントが第1ウィングになることができ、ベース部から延在する第2ウィングを組み込むことができる。
【0023】
針アセンブリは、さらに、カテーテルハブから第2セクションを取り除くことを支援するようにサイズ及び形状を決めた第2セクションの近位端にタブを備えることができる。
【0024】
針アセンブリは、さらに、2つのウィングの各々に取り付けられた粘着性パッドの一部を有するU字形状にて形成された粘着性パッドを備えることができる。
【0025】
針アセンブリは、第2セクションの上部開口がスロットであることができる。
【0026】
針アセンブリは、係合エレメントがフックを備えることができる。
【0027】
針アセンブリは、接合用具が分離ラインで第2セクションに第1セクションをつなぐことができる。
【0028】
針アセンブリは、接合用具が2つ以上の受け口に係合する2つ以上の突起を、あるいは2つ以上の受け口に係合する2つ以上のタブを、備えることができる。
【0029】
針アセンブリは、分離ラインが直線あるいは波形であることができる。
【0030】
針アセンブリは、接合用具が一もしくは複数のグライダーによってガイド可能である。
【0031】
針アセンブリは、第1セクションの近位端で延在するタブに受け口が位置可能である。
【0032】
さらに、本開示の追加の特徴は、穿刺部位の安定化方法であり、該方法は、分離ラインに沿って保護キャップの第2セクションから第1セクションを分離すること;ここで上記第1セクションは穴を有する細長いスリーブを備え、上記第2セクションは2つの側壁及び1つの上壁を備えるベース部を有する、第2セクションのベース部がカテーテルハブの少なくとも一部をカバーするようにカテーテルハブ上に第2セクションを置くこと;ならびに、不注意な移動からベース部を守るために接着剤を使用すること、を備える。
【0033】
該方法は、さらに、ベース部を横に伸びる2つのウィングを接着剤で固定することを備えることができる。
【0034】
該方法は、さらに、ベース部においてスロットを通りカテーテルハブにタブを置くことを備えることができる。
【0035】
該方法では、接着剤が2つのウィングの各々に適用可能である。
【0036】
該方法では、分離ラインは、第1セクションと第2セクションとの間に位置する脆い部分になり得る。
【0037】
本開示は、本書に開示するような針アセンブリの製造方法にさらに向けられる。
【0038】
さらに、本開示の追加の特徴は、針アセンブリを含み、該針アセンブリは、針ハブに取り付けられた針シャフトを有する針と、ここで針シャフトは針先端を備える、;針シャフトの上に位置し第1セクション及び第2セクションを備えた保護キャップと、ここで第1セクションはそこに位置する針シャフトを有する穴を有し、第2セクションは、針ハブの少なくとも一部をカバーするベースを備える、;並びに、第1セクションと第2セクションとの間に形成された分離ラインと、を備え、ここで分離ラインは、第2セクションから第1セクションを分離するために分離可能に構成された、弱められた部分である。
【0039】
さらに、本開示の別の態様は、穿刺部位の安定方法を含む。該方法は、次のものを含むことができる。即ち、保護キャップを、分離ラインに沿って第1セクション及び第2セクションに分離すること、ここで第1セクションは、穴を有する細長いスリーブを備え、第2セクションは2つの側壁及び1つの上壁を備えたベース部を有する、;第2セクションのベース部がカテーテルハブの少なくとも一部をカバーするように、カテーテルハブ上に第2セクションを配置すること、;並びに、不注意な移動からベース部を守るために接着剤を使用すること。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1A】
図1Aは、保護キャップがまだ取り付けられた状態のデバイスの斜視図を示す。
【
図2】
図2は、安定化エレメントを有するデバイスの平面図を示す。
【
図4A】
図4Aは、分離直前のデバイスの一実施形態における側面図を示す。
【
図4B】
図4Bは、分離後のデバイスの一実施形態における側面図を示す。
【
図5】
図5は、デバイスの第2セクションの斜視図を示す。
【
図6】
図6は、カテーテルハブに取り付けられた第2セクションの平面図を示す。
【
図7】
図7は、被覆材(dressing)を有するデバイスの一実施形態における斜視図を示す。
【
図8】
図8は、キャップの第1セクションの除去後における保護キャップの一部である固定用具を示す。
【
図9A】
図9Aは、異なる図示及び異なるセクションにおける別の保護キャップを示す。
【
図9B】
図9Bは、異なる図示及び異なるセクションにおける別の保護キャップを示す。
【
図9C】
図9Cは、異なる図示及び異なるセクションにおける別の保護キャップを示す。
【
図9D】
図9Dは、異なる図示及び異なるセクションにおける別の保護キャップを示す。
【
図10A】
図10Aは、異なる図示及び異なるセクションにおける別の保護キャップを示す。
【
図10B】
図10Bは、異なる図示及び異なるセクションにおける別の保護キャップを示す。
【
図10C】
図10Cは、異なる図示及び異なるセクションにおける別の保護キャップを示す。
【
図10D】
図10Dは、異なる図示及び異なるセクションにおける別の保護キャップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本デバイス、システム、及び方法のこれらの及び他の特徴及び利点は、明細書、請求範囲、及び添付の図面を参照してこれらがより良く理解されることになるように、認識されることになるであろう。
【0042】
添付図面に関連して以下に述べる詳細な記述は、本デバイス、システム及び方法の態様により提供される、安定化特徴(stabilizing features)を有したキャップを含む針アセンブリの現在の好ましい実施形態の記述として意図しており、本デバイス、システム及び方法が構成あるいは利用されてもよい形態のみを表わすことを意図するものではない。その記述は、図示された実施形態に関する現在のデバイス、システム、及び方法における実施形態を構築及び使用する特徴及びステップを述べる。しかしながら、同じあるいは等価の機能及び構成は、本開示の精神及び範囲内に包含されるべきものであることを意図する異なる実施形態によっても達成されてもよいことは理解されるべきである。ここに示されるように、同様のエレメント符号は、同様のあるいは類似のエレメントあるいは特徴を示すことを意図している。
【0043】
図1Aは、針アセンブリ500の斜視図を示し、これは、留置針アセンブリ(over-the-needle catheter assembly)120、及びカバーあるいはキャップ5を備え、これらは、典型的に摩擦によって係合し、及び/又は、カテーテルアセンブリに、確実に係合されカテーテルアセンブリから除去可能である。カバー又はキャップ5は、鋭い先端あるいは遠位の先端37を有する針15をカバーするために使用されてもよく、使用するまで針15をシールドするように保護キャップとして働く。一例において、カバー5は、互いに一体的に形成され、あるいは機械的に固定されるような、ともに接合された2つ以上のセクション10、20を含むことができる。第1セクション10は、プラスチックのラップあるいは真空パックでのアセンブリの包装中のように使用前に覆って置かれたときには、一般的に針15、及びカテーテルアセンブリ120のカテーテルチューブ76をカバーする。針15は、針シャフト23、先端37、及び、針受けと相互作用するための、針先端37近くの波形(crimp)あるいは出っ張り(bulge)のような、任意的な外形変化を有する。
【0044】
キャップ5の第2セクション20は、第1セクション10に取り付けられ、カテーテルハブ75あるいはカテーテルハブの少なくとも一部をカバーし、カテーテルアセンブリ120へキャップ5を固定するためにカテーテルハブ75と係合あるいは摩擦によって把持することができる。いくつかの例において、第2セクション20は、針ハブ35におけるフランジあるいはタブを把持可能である。さらに以下に述べるように、第2セクション20は、アンカーあるいは固定用具と呼ばれてもよく、第1セクション10は、保護スリーブと呼ばれてもよい。カテーテルアセンブリ120からのキャップ5の除去に続き、2つのセクション10、20は、キャップ5の遠位端と近位端との間に位置する分離ライン30で互いから分離あるいは取り外すことができる。分離ライン30は、脆いものであることができ、あるいは弱められた部分であることができ、比較的弱い力で容易に裂けるあるいは分離するように構成される。分離ライン30は、ミシン目、カバーの他の部分よりも弱い薄い部分、溝、あるいは、キャップの構造的完全性に固有の弱さをもたらし、かつ十分な力が作用したときに少なくとも2つの別個のセクション10、20へ別々になる他のいずれの構造的な設計であってもよい。分離ライン30は、線状に延びるつまり直線、曲線状、ジグザグ、あるいは、これらの組み合わせであることができる。あるいはまた、さらに以下に述べるように、少なくとも2つの別個のセクション10、20は、スナップ式配置、噛み合い配置、戻り止め配置、あるいはこれらの組み合わせを使用して着脱可能に接続することができ、2つのセクション10、20の間の分離ライン30は、スナップ式を緩めることにより、噛み合いあるいは戻り止めを分けることにより、分離することができる。
【0045】
いくつかの例において、針受けは、後に続く成功した静脈穿刺のような、カテーテルハブ及びカテーテルチューブ76からの針15の格納において針先端37をカバーするためにカテーテルハブ75の内側に位置することができる。典型的な針受けは、開口を形成する周囲を有する近位壁と、遠位端へ延在する近位壁の2つのアームと、針先端をブロックするため各アームに設けられた遠位壁とを備えることができる。アセンブリの患者への使用準備ができている準備位置と、不注意な針刺しを防ぐために針受けが針先端をカバーする保護位置との両方において、側面から見たとき、2つのアームは互いに交差することができる。針受けは、針シャフトにおける外形の変化と相互作用することができる。例えば、成功した静脈穿刺の後にカテーテルハブから針を後退させるとき、針受けをカテーテルハブから離して後退させるために、その外形の変化は、近位壁における周囲と係合することができる。いくつかの例において、キャップ5は、皮下注射針あるいは硬膜外針のようなカテーテルチューブのない針デバイスと共に使用される。本開示の針アセンブリ500と共に使用可能な典型的な針受けは、米国特許8,647,313号に開示されたものを含み、それらの内容は、あたかも全部が述べられているかのように参考として明らかにここに組み込まれる。
【0046】
キャップ5の第1セクション10は、使用前に思いがけない針刺しからユーザーを保護しながら、及び/又は、針デバイス500がパッケージ内部に位置するときにプラスチックラップを保護するために、一般に細長く延在し、針15及びカテーテルチューブ76を受け入れてカバーする穴(bore)を有する。示されるように、第1セクション10は、一般的に円筒状の断面であるが、先細りになるもの、楕円形、複合形(complex)、不規則形、多角形、などのような、他の形状を具現化することができる。第1セクション10の遠位の先端12、時々「端」とも呼ばれる、が示されており、これは通気用の一もしくは複数の任意の開口を有する平面の壁面を有し、針の先端を覆うように構成される。第1セクション10の本体部分14は、針15及びカテーテルチューブ76の長さをカバーするようにサイズ及び形状が決められる。第1セクション10の長さは、針先端37の適切なクリアランス、間隔あるいは隙間を確保するために、カテーテルハブ75の外へ突出する針15の長さよりも長くなることができる。第1セクション10に関して比較的長いものが用いられた場合、異なる針長さを有する異なるアセンブリに対してキャップ5が使用されることを可能にするだろう。いくつかの例において、カバー5は、注入針あるいは硬膜外針のような、カテーテルチューブのない針を覆う(cap)あるいは保管(house)するように構成される。本体部分14がカバーする針及びカテーテルチューブの長さにぴったりの部分は、変更することができ、様々な設計要素によって決めることができる。1つの実施形態において、本体部分14の直径は、一般的にその長手方向軸に沿って一定である。他の実施形態では、その直径は、遠位の先端12から離れて、あるいはその方へ先細りになってもよい。キャップ5の本体部分14は、遠位端18(
図2)での小径部から近位端19での拡大断面エリアまで本体部分14を移行する近位本体部16を有し、この近位本体部は、さらに以下で述べるように、キャップ5の第2セクション20に取り付けられる。したがって、示されるように、キャップ5の第1セクション10は、細長い本体部分つまり細長いスリーブ17と近位本体部16とを有し、近位本体部は遠位端18及び近位端19を有する。
【0047】
いくつかの例において、近位本体部16は、近位本体部の遠位端18にて肩部33(
図2)を含む。肩部33は、より大きい断面寸法までの段差を設け、その大きい部分の寸法は、考えられる寸法変化と共に近位端まで一定のままである。先細りの近位本体部16を有する実施形態において、その先細りは、近位本体部の遠位端18で始まる。その点から、先細りの内側寸法及び外側寸法は、これらが、以下で述べる第2セクション20(
図2)のベース部40におけるものと一致するまで、近位本体部16の長手方向軸に沿って増加する。ここでベース部40は、時々、単に「ベース」と呼ぶ。先細りの近位本体部16は、垂直から上面122における水平まで移行し、シーム124で接触し、上面122の反対側に位置する開口26(
図1A)を有する2つの側壁22、24を有する。いくつかの例において、シーム124は、上面122にて単に隆起した部分あるいは頂上ラインである。他の例において、シームは、省略される、あるいは目立たない。開口底面(open underside)26を有する側壁22、24におけるこの構成は、カテーテルハブ75、針ハブ35、あるいはこれらの両方との係合から分離するような、カテーテルアセンブリの残り部分への、及び残り部分からの、カバー5の取り付け及び除去を提供するように構成される。
【0048】
第2セクション20は、一般にカテーテルハブ75をカバーし、カテーテルアセンブリ120の上方に位置したときに針ハブ35の一部を任意にカバーする。カテーテルハブ75のカバーに加えて、第2セクション20は、既知のいずれの先行技術によっても認識されておらず、評価されておらず、あるいは開示されていない追加の機能を有する。本開示において、第2セクション20は、カテーテルハブ及び/又は針ハブ用のカバーとして役立つことに加えて、安定化プラットホーム(stabilization platform)としての役も兼ねる。第2セクション20は、カテーテルハブ75をカバーするようにサイズ及び形状が決められたベース部40、上面部分つまり上パネル56、及び上面部分56の反対側の開口105(
図5)を有する。他の実施形態では、ベース部40は、針ハブ35、カテーテルハブ75、又は、これら両方の全てもしくは一部をカバーするのに十分な寸法のものである。成功した静脈穿刺、及びカテーテルチューブ76が静脈内に置かれた後、第2セクション20は、第1セクション10から分離することができ、穿刺部位を安定させるために、第1セクション10なしでカテーテルハブ75の上方に再び置くことができる。第2セクション20は、第2セクション20内に、及び患者に対してあるいは患者に、針ハブあるいはカテーテルハブのような別のハブに、接着剤を備えること、接着剤を塗布すること、あるいはこれらの両方を行うことが可能である。針ハブを有するセルディンガー針のような、カテーテルチューブのない針と共に使用されるとき、第2セクション20は、針ハブを安定させるために針ハブの上に置かれてもよい。
【0049】
図1Bは、カテーテルアセンブリを使用する前のような、
図1Aのカテーテルアセンブリ120から分離されたキャップ5を示す。針15、針ハブ35、カテーテルチューブ76、及びカテーテルハブ75は、静脈穿刺のために接続されたままである。
図1A及び
図1Bのキャップ5は、さらに以下で述べるように、第2セクション20の横に延在するウィングつまり安定化エレメント42、44を含んでもよい。
【0050】
図2は、ウィング42、44を有する
図1A及び
図1Bのカバー5の平面図を示す。分離ライン30は、第1セクション10の近位本体部16と第2セクション20のベース部40との間の接合点で可視である。示された実施形態では、分離ライン30は、カバーを形成するために射出成形中に形成されたミシン目であり、それは、既知のあらゆる熱可塑性物質で、考えられる透明なキャップあるいは不透明なキャップを有し典型的に半透明に仕上げられ作製されてもよい。ミシン目ラインは、別法として、分離を容易にするため保護キャップ部分を弱めるようにレーザー技術を使用するような、成形後の工程にて形成することができる。いくつかの例において、分離ライン30は、第2セクション20から第1セクション10を容易に裂き分離する、薄い部分のような、弱められた部分を備える。さらに別の例では、以下でさらに述べるように、第1及び第2のセクション10,20は、機械的な相互の係合を外すあるいは緩める(undoing)ことによって分離ラインに沿って分離することができる。分離ライン30を組み込むことは、せん断する、裂く、変形する、切断する、緩める、除去する、あるいはねじるような物理的手段によって、第2セクション20から第1セクション10をユーザーが容易に分離することを可能にする。この分離プロセスは、以下でより詳細に述べられるだろう。
【0051】
ベース部40の2つの側面130、132から横に伸びるものは、安定化エレメント42、44であり、これらはまた、ウィングと呼ばれてもよい。一例において、安定化エレメント42、44は、平らで柔軟なものであり、その結果、
図8を参照してさらに以下で述べるように、柔軟なラップで包装されるとき、それらはベース部40の周りに折り畳み可能であり、患者に一もしくは複数片の医療用テープにてカテーテルハブの上に第2セクション20をテーピングするアンカーポイントを形成するために広げられる。安定化エレメント42、44は、開口あるいは穴、把持用の隆起部(bumps)あるいは突出部(protrusions)、及び/又は、美観に訴えるための設計特微を含めて、それらに形成された任意数の特徴と共に、ウィングとして具現化されてもよい。代案又は、外部のもしくは別個の医療用テープを使用することに加えるものとして、それぞれの安定化エレメント42、44は、各安定化エレメント42、44の底面48(
図3)に剥離可能な剥離層と共に粘着層46(
図3)を組み込んでもよく、あるいはいずれの粘着層もないものでもよい。安定化エレメント42、44の柔軟性は、さらに以下で述べるように、カテーテルアセンブリの包装及び保管中、キャップの長手方向軸周りに第2セクション20の上面上に折り重ね包むように、安定化エレメントがベース部40上に折り重ねられることを可能にする。他の実施形態では、安定化エレメント42、44は、比較的より堅い(firmer)、より固い(stiffer)、あるいは曲げられない(rigid)ものであり、その結果、安定化エレメントは、包装及び保管中、第2セクション20上に折り重ねられない。その代わりに、示されるような、拡張状態におけるウィングを有するアセンブリを受け入れるように、柔軟なラップのサイズ及び形状を決めることができる。さらにまた他の実施形態において、安定化エレメントは省略され、いずれの安定化エレメントもなく、第2セクション20のベース部40上に医療用テープが直接適用される。別の実施形態では、安定化エレメントあるいはウィング42、44は、いずれの接着剤もない軟質材から構成される。さらに別の実施形態において、固定用具(securement device)20及びウィング42、44は、ワンピースで共に成形され、柔軟なプラスチックでのような、単一の軟質材で構成される。単独で形成された固定用具20、及び軟質材から作製されたウィング42、44は、これら2つが屈曲する(bend)、曲げる(flex)、あるいはそうでなければ医療機器もしくは患者に対してフィットするようにしなやか(pliable)であることを可能にする。さらに別の実施形態では、固定用具及びウィングは、ワンピースにて共に成形され、硬質プラスチックのような単一の硬質材から構成される。それぞれのウィング42、44は、ベース部40にワンピース構造として形成可能であり、あるいは、接着剤、溶着あるいは他の接合技術を使用してともに接合される2つ以上の部品から形成可能である。
【0052】
ウィング42、44は、ユーザーが患者110(
図7)にウィング42、44をテーピングする、あるいは固定することを可能にするであろう任意のサイズ及び形状で作製されてもよい。示された実施形態において、ウィング42、44は、各安定化エレメント42、44の外縁62、64に沿ったあるいはその近くの、脆いあるいは調整可能な部分52、54を任意に含むことができる。ウィングの脆いあるいは調整可能な部分52、54は、領域を減じ、患者における領域サイズ、あるいはカテーテルが置かれるところの患者上のサイズに一致するように、ウィング42、44のサイズ変更を可能にする。さらに別の実施形態では、ウィング42、44は、幾つかの脆いラインあるいは調整可能ラインの列を含んでもよく、分離のために選択された調整可能ラインによってサイズ変更が許可される。ウィングを有しない実施形態に関して、第2セクション20のベース部40にテープが直接に適用可能である。スロットあるいは開口55(
図2)がベース部40の近位端58の近くでベース部40の上面部分あるいは上パネル56に設けられる。より詳細に以下で述べるように、スロットあるいは開口55は、第2セクション20とカテーテルハブ75との間の機械的な係合のために構成される。
【0053】
図3は、
図2のカバー5の側面図を示す。カバー5のこの図に示されたものは、第1セクション10の近位本体部16の第1側壁22であり、これは、長手方向軸から及びチューブ部分60の最大外形寸法から外に向かって先細りの壁面を有する。先細りの近位本体部16は、反対側の側面において対応の第2側壁24(
図1A)を含んでいる。先細りの近位本体部16の第1側壁22は、
図3の上面122へ移行し、これは第2側壁24に接続される。上面122には、隆起部62が設けられており、これは長手方向軸に沿って延びる上面の中心線を形成する。平坦であることができ、あるいは曲線部分を有することができる上パネル56は、第2セクション20の近位端に位置し、該近位端はベース部40の頂上を形成する。タブ64が平らなパネル56における近位端58に形成され、タブは、一例では、考えられる先細りの壁を有する垂直壁で具現化される。タブ64は、使用前にカテーテルアセンブリあるいは針デバイスからカバー5を除去するにあたりユーザーが把持するてこ装置を提供する。タブ64はまた、カテーテルアセンブリからのキャップの除去のために、カテーテルアセンブリのない第1セクション10の近位本体部16を分離する、付勢する、解放する、及び/又は回転することにおいてユーザーに付加的なてこ装置を提供することができる。さらに、包装及び保管中に第2セクション20のベース部40の上パネル56の上に安定化エレメント42、44が折り重ねられるとき、タブ64は、安定化エレメント42、44に安定性を提供することができる。他の実施形態において、タブ64は、省略されてもよく、より高く、より低く、より幅広に作製されてもよく、あるいは、他の形状及び曲率を有してもよい。安定化エレメント42と共に示された粘着性のパッド46は、当該技術においてよく知られているように、接着剤を保護するため、剥離層のような除去可能なライナーを有する。他の実施形態において、粘着性のパッド46は、省略されてもよく、その代りに、患者へ安定化エレメント42、44(
図2)を付着させるために、医療用テープが使用されてもよい。さらに他の実施形態において、被覆材(dressing)が医療用テープの代わりに、あるいはそれとの組み合わせにおいて使用されてもよい。その被覆材は、以下でより詳細に述べられる。
【0054】
図4Aは、針及びカテーテルハブから除去後のキャップ5を示し、
図4Bは、分離ポイントつまり分離ライン30で第2セクション20から分離されたキャップ5の第1セクション10を示している。
図1A及び
図1Bのカテーテルアセンブリ120、並びに、カテーテルチューブから除去された針、及びカテーテルハブから除去された針ハブを使用した、成功した静脈穿刺の後、カテーテルハブ及び穿刺部位を安定させ及び/又は固定するために、キャップ5は、患者におけるカテーテルハブ75を安定させるために使用されてもよい。
図4Bに示されるように、キャップ5は、分離ライン30に沿って2つのセクション10、20に分離される。分離ライン30は、脆いものであり、容易に裂け、あるいは分離するように構成される。分離ライン30は、ミシン目、カバーの残り部分よりも弱い薄い部分、溝、あるいは、固有の弱さ(inherent weakness)を引き起こし、また十分なレベルの力がかけられたときに、分離ラインで2つの別個のセクション10、20に壊れるあるいは切るであろう任意の他の構造設計、であってもよい。第1及び第2のセクション10、20は、あるいはまた、分離ライン30で互いに機械的に固定されてもよく、これらの2つは、緩める、解放する、スナップを外す(un-snapping)、あるいは、分離ライン30で機械的接続を分離する、ことによって互いから分離可能である。好ましくは、キャップの破損あるいは分離を2つのセクション10、20に引き起こすような偶発的な力が十分なレベルにならないように、分離ライン30は構成される。しかしながら、分離ライン30でキャップを分離するために必要な力のレベルは、例えばミシン目の間の隙間つまり長さを増加させる、あるいは弱められた部分の材料厚を増加あるいは減少させることによるような、本開示の権利範囲から逸脱せずに調節されてもよい。2つのセクション10、20の分離を引き起こすために、ユーザーは、キャップ5の下側140に沿ってテンションを増加させるように力を加える。一旦、キャップ5の材料が分離ライン30に沿って裂け始めれば、ユーザーは、分離がキャップ5の頂部に進むまで力を加え続ける。そのポイントで、ユーザーは、キャップ5の頂部を横切って分離ライン30に沿って材料を裂く力を加える。もちろん、第2セクションから第1セクションを切り離すために、ハサミを使用するような、他の方法が使用されてもよい。
【0055】
分離後、第1セクション10は、廃棄される、あるいは再利用されてもよい。第1セクション10が分離された第2セクション20は、固定用具として再度使用することができる。一例において、ベース部40、側壁130、及び上パネル56の反対側における開口105を備える第2セクション20は、静脈穿刺に続いてカテーテルハブを固定するためにカテーテルハブ75(
図1)と連結するようにサイズ及び形状が決められる。カテーテルハブ75を固定することによって、穿刺部位は、カテーテルハブの移動によって引き起こされる望まない移動から制限されることができる。したがって、本開示の態様は、キャップ5の一部分であって、包装中、針をカバーするために使用され、次の使用のために針からのキャップの除去に続いて保持されている一部分を含む。例えば、第2セクション20は、第1セクション10から分離されてもよく、カテーテルハブを安定させるためにカテーテルハブの上に第2セクション20を置くことによるような、再使用のために保持されてもよい。安定化エレメント42、44が含まれ折り重ねられている場合、それらは、折り重ねられた位置から第2の、直ぐに使える、つまり
図5の
図4Bに示すような拡張された位置まで移動される。本実施形態では、2つのウィングを設けた柔軟な粘着性のパッド46は、それぞれの粘着性のパッド46から除去可能なライナー78を除去した後、患者にウィングつまり安定化エレメント42、44を固定するために使用されてもよい。他の実施形態において、安定化エレメント42、44は、外部の医療用テープを使用して、患者に固定される。さらに他の例において、第2セクション20は、2つのウィング42、44における粘着性のパッド46及び外部の医療用テープの両方を使用して患者に固定される。第2セクション20は、さらに、機械的な係合、あるいはカテーテルハブ75とベース部40との間の接続、を使用して患者に固定されてもよい。例えば、カテーテルハブにおけるタブあるいはねじ山(thread)は、第2セクション20におけるスロット55(
図2及び
図5)を通り突出してもよく、この2つを機械的に係合する。これらは、アンカーあるいは固定用具と呼ばれるかもしれない。
【0056】
図5は、第1セクション10から分離後の、ベース部40から離れて延在して配向された安定化エレメント42、44を有する第2セクション、アンカー、すなわち固定用具20と、カテーテルハブ75上に位置したときにその通常使用位置に一般的に対応する、
図5における底部方向に面する、ベース部40の下側における開口105と、を示している。
図6は、成功した静脈穿刺後のような、カテーテルハブ75上に置かれた第2セクション20と、患者の静脈に据え付けられたカテーテルチューブ76とを示している。アンカー20のベース部40がカテーテルハブ75と配列されて、この2つがカテーテルハブに関して十分な安定性を提供するように係合することを確保するために、ベース部40の上面部分56においてタブ64のまさに遠位におけるスロットあるいは開口55は、係合エレメント82の周りに位置することができる。ここで係合エレメントは、カテーテルハブ75に形成された突起、タブ、リブ、あるいはねじ山であることができる。いくつかの実施形態において、スロット/開口55、及び突起82の配置は、凹部を備えたカテーテルハブ、及び、カテーテルハブにおける凹部へ突出する突起を備えたベース部40によって置き換えることができる。アンカー20の内部キャビティあるいはスペース144内にカテーテルハブを堅く固定するために、上面部分56の内壁の少なくとも一部がカテーテルハブ75に対して押圧するように、2つの側壁130、132の高さは、選択することができる。他の例において、上面部分56の内壁がカテーテルハブを押さないように、2つの側壁130、132は選択されている。カテーテルハブ75の上に第2セクション20を置くことによって、カテーテルハブは、望まない移動、あるいは少なくとも過度な移動に対して保護されあるいは固定される。いくつかの実施形態では、係合エレメント82は、単純な垂直なタブあるいはリブを含むことができる。別の例において、係合エレメント82は、2つの構造部材90、92を備えた、成形したタブ(shaped tab)を備えることができる。第1部材90は、垂直部分(vertical section)あるいはベースを含むことができ、第2部材92は、リブ、かかり(barb)、あるいはフックに似ている傾斜部分であることができる、放射状に延在した部分を含むことができる。これは、フック92がスロット55を通り置かれたとき、係合部材つまりエレメント82がスロット55と、よりしっかりした機械的係合を形成することを可能にする。このように、カテーテルハブ75は、ベース部40に機械的に係合され、固定は、単に接着剤又はテープに基づくものではない。
【0057】
他の実施形態において、係合エレメント82は、単一の「T」形状のエレメントを含むことができ、ここで「T」形状エレメントのクロスバー(crossbar)は、スロット55に入ったときに縮み、次に、一旦クロスバーがスロット55を出れば、拡大する。他の代わりの係合エレメント82は、半球構造によって頂上が覆われ、トラス(mushroom head)に類似した、カテーテルハブ75から延在するシャフトを含むかもしれない。この半球構造は、スロット55に入ったとき、放射状に圧縮されるだろう。それは円形であることができ、よって、スロットを出たとき元に広がることができる。スリット又はスロットは、屈曲を容易にするため半球構造において設けられてもよい。さらに別の実施形態において、回転可能なラッチが、アンカー20へカテーテルハブ75を固定するために使用されてもよい。さらにまた別の例において、係合エレメント82は、スロット55と摩擦によって係合する、あるいはスロット55内で締まりばめであるように、そのサイズが決められる。
【0058】
図7は、アンカー20の安定化エレメント42、44を患者へ固定するために粘着性のパッドが使用される別の実施形態を示し、これは、本書の他の部分で述べているアンカーと同一あるいは実質的に同じものであることができる。本実施形態では、粘着性のパッドあるいは「U」字形状における被覆材(dressing)146が、ベース部40から延在する安定化エレメント42、44を患者110に取り付けるために使用されてもよい。粘着性のパッドあるいは被覆材146は、カテーテルチューブ76が患者110に入っているところの遠位に置かれた「U」字のベース180と共に「U」字形状のものである。「U」の2つの面182、184は、ベース180から近位に、そして安定化エレメントつまりウィング42、44の上に、延在する。いくつかの実施形態において、「U」字形状のパッドの面182、184は、安定化エレメントの幅よりも狭くてもよく、同じでもよく、あるいは広くてもよい。2つの面182、184が患者へウィング42、44をよりしっかりと保持して患者の皮膚に接することができるように、2つの面182、184は、2つのウィングの端を越えて十分に近位へ延在すべきである。いくつかの実施形態では、被覆材146が安定化エレメント42、44の全体をカバーするように、被覆材146は、サイズ及び形状が決められる。また他の実施形態では、被覆材は、安定化エレメント42、44の一つあるいは両方を露出させカバーしないものでもよい。さらに他の実施形態では、被覆材146は、安定化エレメント42、44の側面あるいは近位端の手前に位置してもよい。他の実施形態は、「V」字形状の被覆材、「D」字形状の被覆材、あるいは、各安定化エレメント42から、正方形、長方形、三角形及び半円を含む任意の形状にて延在する被覆材を含んだ他の形状の被覆材、を使用するかもしれない。
【0059】
いくつかの実施形態において、被覆材146は、第2セクションあるいはアンカー20のベース部40と一体で作製され、ウィングのような安定化エレメント42は省略することができる。例えば、「U」字形状のパッドの面182、184は、第2セクション・アンカー20のベース部40の側面に予め添付することができる。使用では、カテーテル挿入後、ユーザーは、保護キャップ5の2つのセクション10、20を分離し、次に第2セクション20のベース部40をカテーテルハブ75上に置き、被覆材146から剥離ライナー78を分離し、患者の皮膚に被覆材を取り付ける。被覆材は、患者の皮膚にしっかり付着することによってカテーテルへの大きな接触面積と共に優れた安定を提供するために軟質材料で作製することができる。一例において、被覆材146の面182、184は、ベース部40の側面から広げられ、それぞれの面から剥離ライナーが除去され、患者の皮膚へしっかり貼り付けられる。
【0060】
図8は、第1セクション10から分離された、第2セクション、固定用具、あるいはアンカー20の典型的な実施形態を示し、ここでは、ウィングのような安定化エレメント42、44は、第2セクション20のベース部40の上に折り重ねられている。
図8のアンカー20を有し針デバイスあるいはカテーテルアセンブリの上に装着されるキャップ5の包装を容易にするため、安定化エレメント42、44は、示されるように、折り重ねられてもよい。ウィングを折り重ねた構成は、比較的小さい幅外形を提供し、したがって針デバイス用の比較的小さい包装を提供する。安定化エレメント42、44は、それぞれ、粘着性のパッド46及び剥離ライナー78と共に示されている。動かないようにする手段あるいは保持する手段なしで、示されるように折り重ねられた状態を維持するため、安定化エレメント42、44は、柔軟であってもよい。他の例において、折り重ねられた状態に各ウィングの遠端を保持するために、再配置可能な接着剤あるいは他の取り外し可能な接着剤が使用されてもよい。
【0061】
図9Aは、本書の他の部分で述べている他の保護キャップに類似する、第1セクション10及び第2セクション20を有する保護キャップ5を示す。本実施形態において、第1及び第2のセクション10、20は、接合用具を使用して、分離ライン30に沿ってあるいはその近くで互いに機械的に固定されてもよい。第2セクション20に第1セクション10を接合するための接合用具は、審美的アピールのために滑らかな外側輪郭が外側に設けられるように、キャップ5に内側に組み込まれてもよい。一例において、分離ライン30であるいはその近くで、2つの外部接合面220a、220bで滑らかな外観移行を提供するように、接合用具は、サイズ及び形状が決められる。さらに以下で述べるように、接合用具の部品の整列を容易にするために、マーカーあるいはトレース232が、ベース部40の外側に設けられてもよい。
【0062】
図9Bは、
図9Aに示されるキャップの長手方向に沿ったキャップ5の断面の側面図を示す。一例において、2つの接合用具222(一つのみが示されている)は、キャップ5に内側に設けることができる。例えば、1つの接合用具222は、ベース部40の内部側壁224、及び第1セクション10の近位本体部16の内部側壁226のうちの1つのセクションに沿うような、キャップの各縦方向の半分に設けることができる。接合用具222は、それぞれ、穴及びピン、あるいはスナップ式構成に類似した、対応する受け口230と係合する1つ以上の突起228を含むことができる。示された例において、各接合用具222に関して、2つの突起228は、近位本体部16に設けた2つの受け口230へ突出するためにベース部40に設けられる。しかしながら、突起及び受け口の位置は、近位本体部16に位置した突起により逆にすることができる。突起228と受け口230との各ペア間の係合は、静止はまり(close fit)、摩擦嵌合(friction fit)、あるいは締まりばめ(interference fit)であることができる。一例において、2つの突起228は、第2セクション20の内部側壁224で直接に作製することができ、受け口230は、第1セクション10の端から延在するタブあるいは伸張部分(extension)234に設けることができる。
【0063】
第2セクション20から第1セクション10を分離するために、ユーザーは、突起228がベース部40あるいは近位本体部16のどちらに位置するかによって、単に2つの側壁130、132を互いから遠ざけて広げる、あるいは、2つの側壁130、132をともに圧縮する。これは、受け口230から突起228を分離し、第1及び第2のセクション10、20が分離ライン30で互いに分離することを可能にするだろう。一旦分離されたならば、本書の他の部分でも述べるように、第2部分20は、カテーテルハブを固定するために使用されてもよい。
【0064】
図9Cは、第2セクション20から分離した
図9Aのキャップ5の第1セクション10を示す。
【0065】
図9Dは、第1セクション10から分離した
図9Aのキャップ5の第2セクション20を示す。一例において、突起228は、短いペグあるいはスタブで具現化される。他の例において、
図9Dに示すように、突起228は、ドーム部分あるいは部分的な球体で具現化される。
【0066】
図10Aは、本書の他の部分でも述べている他の保護キャップに類似した、第1セクション10及び第2セクション20を有する保護キャップ5を示す。本実施形態において、第1及び第2のセクション10、20は、接合用具222を使用して分離ライン30に沿って、あるいはその近くにて、互いに機械的に固定されてもよい。示されるように、本実施形態の分離ラインは、曲線のあるいは波形のような、直線以外の他の形状であることができる。第2セクション20に第1セクション10を接合する接合用具222は、キャップ5の壁面内に組み込まれてもよく、審美的アピールのために滑らかな輪郭が外側に設けられるという方法にて噛み合ってもよい。
【0067】
一例において、接合用具222は、ジグソーパズルにおける連結タブ(interlocking tabs)に類似した、複数の対応する受け口246と係合する複数の連結タブ240を備えることができる。示された例では、4つの対応する受け口246と係合するための4つのタブ240がある。他の例において、3つあるいは2つのタブのように、4つのタブ240よりも少ないものがあり、又は、同じ数の受け口246と係合するための5又は6あるいはそれ以上のように、4つのタブよりも多いものがあることができる。一例において、タブはそれぞれ、キャップの側面に沿って組み込むことができ、キャップ5の上面部分56に2つのタブを組み込むことができる。
【0068】
図10Bは、
図10Aに示される縦方向に沿った、キャップ5の断面の側面図を示す。一例において、複数の連結タブ及び受け口を備えた接合用具222は、近位本体部16の近位端及びベース部材40の遠位端にて、成型品のように、直接に形成されることができる。タブ及び受け口は、
図10A及び
図10Bに示すように、噛み合うように接合可能である。
【0069】
第1及び第2のセクション10、20をともに組み立てるために、受け口246へタブ240をガイドすることを、あるいはその逆を容易にするために、一もしくは複数のグライダー(glider)250(1つのみが示されている)は、キャップ5の内側に任意に設けられることができる。示すように、斜面又はタブで具現化可能であり、タブ及び受け口をガイドする表面特徴を有するグライダー250が示されている。グライダー250は、第1セクション10から延在することができ、第1及び第2のセクションをともに接合するためにタブ及び受け口をともに噛み合わせるときに、接触して滑るためのベース部材40用の表面を提示する。組み込まれたとき、グライダー250の存在はまた、受け口からタブを取り外すつまり分離するために、第1セクション10及び第2セクション20が相対的に横に動くことを防止することに役立つ。
【0070】
第2セクション20から第1セクション10を分離するために、ユーザーは、単に、ベース部材40の2つの側壁130、132を互いから離して広げ、分離ライン30に沿って2つを分離するため、第1セクション10に関してベース部材40を持ち上げる、あるいは、第2セクションに関して第1セクション10を下げる。この動作は、受け口246からタブ240を分離し、第1及び第2のセクション10、20が分離ライン30にて互いから分離することを可能にするだろう。一旦分離したならば、本書の他の部分でも述べるように、第2の部分20は、カテーテルハブを固定するために使用されてもよい。他の例では、第1及び第2のセクション10、20は、分離ラインに沿って2つを分離するために、単に反対方向に引っ張ることができる。
【0071】
図10Cは、第2セクション20から分離された
図10Aに示されるキャップ5の第1セクション10を示す。
【0072】
図10Dは、第1セクション10から分離された
図10Aのキャップ5の第2セクション20を示す。
【0073】
本書で開示された針デバイス及びキャップ、並びにそれらの部品の作製方法及び使用方法は、本開示の権利範囲内にある。
【0074】
保護キャップ及びカテーテルアセンブリ、並びにそれらの部品の限定した実施形態が具体的にここに記述され、例示等で説明されたけれども、多くの変更及び変形は、当業者に明白になるであろう。さらに、キャップは、カテーテルアセンブリに関連して記述したが、同じキャップは、2,3例を挙げると、皮下注射針、セルディンガー針、及び硬膜外針のような、他の針デバイスにおいて使用されてもよい。したがって、開示されたデバイス、システム、及び方法の原理に従い構築された、保護キャップ及びカテーテルアセンブリ、並びにそれらの部品は、ここに具体的に記述されたようなもの以外に具現化されてもよいことが理解されるべきである。その開示もまた、以下の請求範囲に定義されている。