(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】レンズ及びレンズユニット
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20220203BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20220203BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
G02B7/02 D
G02B7/02 B
G02B5/00 B
G02B3/00 Z
(21)【出願番号】P 2020126292
(22)【出願日】2020-07-27
【審査請求日】2020-07-27
(31)【優先権主張番号】201910752627.5
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519312957
【氏名又は名称】エーエーシー オプティックス ソリューションズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】▲許▼ ▲凌▼▲雲▼
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209198735(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第104820268(CN,A)
【文献】中国実用新案第208636512(CN,U)
【文献】特開2009-271122(JP,A)
【文献】国際公開第2010/113361(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/009734(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G02B 3/00
G02B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結像のための光学部と、前記光学部を取り囲む周辺部とを備えるレンズであって、
前記周辺部には、前記レンズの光軸方向に沿って前記周辺部を貫通する貫通孔が開設され、前記貫通孔は、異なる直径の複数の円周に分布され、複数の前記円周の円心は、前記光軸に位置し、前記光軸から離れる前記円周ほど、前記貫通孔の数が多くなることを特徴とするレンズ。
【請求項2】
前記貫通孔の直径は、0.04mmであることを特徴とする請求項1に記載のレンズ。
【請求項3】
同一の前記円周における前記貫通孔は、等間隔で設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレンズ。
【請求項4】
前記光学部に最も近接する前記円周における前記貫通孔は、前記光学部の外縁と間隔を空けて設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレンズ。
【請求項5】
前記光学部から最も離れる前記円周における前記貫通孔は、前記レンズの外縁と間隔を空けて設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレンズ。
【請求項6】
収容空間を有する、通光孔が開設される鏡筒と、前記収容空間内に設けられるレンズとを備えるレンズユニットであって、
前記レンズは、請求項1から5の何れか一項に記載のレンズであることを特徴とするレンズユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学結像技術分野に関し、特にレンズ及びレンズユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
結像技術の発展および撮像機能を有する電子製品の広汎な使用とともに、光学レンズユニットは、生活の各側面に広く応用されてきている。関連技術では、異なる角度からレンズユニットへ入射された光がレンズユニット内で複数回の反射を発生して迷光干渉を形成することを回避するために、通常、レンズの周辺位置に艶消しのための艶消し膜を被覆するか、黒色メッキ処理を行う。レンズの表面に艶消し膜を被覆した後で組立を行うと、レンズ間の組立精度へ影響を与える。また、黒色メッキ処理は、レンズの外観歩留まりを低減してコストを増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、レンズ表面に艶消し膜を被覆するとレンズ間の組立精度へ影響を与えること、および、黒色メッキ処理がレンズの外観歩留まりを低減してコストを増加させるという関連技術における問題を解決するためのレンズ及びレンズユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決手段は、下記のようになる。本発明は、レンズを提供する。当該レンズは、結像のための光学部と、前記光学部を取り囲む周辺部とを備え、前記周辺部には、前記レンズの光軸方向に沿って前記周辺部を貫通する貫通孔が開設され、前記貫通孔は、異なる直径の複数の円周に分布され、複数の前記円周の円心は、前記光軸に位置し、前記光軸から離れる前記円周ほど、前記貫通孔の数が多くなる。
【0005】
更に、前記貫通孔の直径は、0.04mmである。
【0006】
更に、同一の前記円周における前記貫通孔は、等間隔で設けられている。
【0007】
更に、前記光学部に最も近接する前記円周における前記貫通孔は、前記光学部の外縁と間隔を空けて設けられている。
【0008】
更に、前記光学部から最も離れる前記円周における前記貫通孔は、前記レンズの外縁と間隔を空けて設けられている。
【0009】
更に、本発明は、レンズユニットを提供する。当該レンズユニットは、収容空間を有する、通光孔が開設される鏡筒と、前記収容空間内に設けられるレンズとを備え、前記レンズは、上記何れか1種のレンズである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以下の有利な作用効果を有する。本発明において、レンズ周辺部には、レンズの光軸方向に沿って周辺部を貫通する貫通孔が開設され、貫通孔は、直径が異なるが円心が同じである複数の円周に分布され、周辺部においてセル状に配列され、光線が貫通孔を並べるレンズ領域範囲へ照射されたときに、迷光が吸収され、迷光に対するレンズ周辺部の反射現象が有効に削減され、結像品質が向上し、且つ、貫通孔がレンズの組立精度へ影響せず、レンズの外観歩留まりの低減やコストアップが回避される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例に係るレンズの全体構造模式図である。
【
図2】本発明の実施例に係るレンズの別の視点での構造模式図である。
【
図3】本発明の実施例に係るレンズユニットの全体構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、図面及び実施形態を組み合わせて本発明を更に説明する。
【0013】
図1と
図2は、本発明の実施例に係るレンズ1を示す。レンズ1は、結像のための光学部11と、光学部11を取り囲む周辺部12とを備え、周辺部12には、レンズ1の光軸方向に沿って周辺部12を貫通する貫通孔30が設けられている。
【0014】
具体的に、貫通孔30は、異なる直径の複数の円周に分布され、複数の円周の円心は、光軸に位置する。即ち、周辺部12における複数の円周は、同心円であり、光軸から離れる円周ほど、その円周における貫通孔30の数が多くなる。無論、各円周における貫通孔30の具体的な数は、実際の需要に応じて設定可能である。本実施例では、各円周における貫通孔30の具体的な数について制限しない。
【0015】
レンズ1の光軸方向に沿って周辺部12を貫通する貫通孔30がレンズ1の周辺部に設けられることにより、周辺部12に配列される貫通孔30は、セル状を呈する。光線が貫通孔30を並べるレンズ1領域範囲へ照射されたときに、迷光が吸収され、迷光に対するレンズ周辺部12の反射現象が有効に削減され、結像品質が向上し、貫通孔30がレンズ1の組立精度へ影響せず、レンズ1の外観歩留まりの低減やコストアップが回避される。
【0016】
好ましくは、同一の円周における貫通孔30は、等間隔で設けられている。他の実施例において、同一の円周における貫通孔30同士の間隔は、等しくなくてもよい。また、光学部11に最も近接する円周における貫通孔30は、光学部11の外縁と間隔を空けて設けられ、光学部11に最も離れる円周における貫通孔30は、レンズ1の外縁と間隔を空けて設けられている。これにより、レンズ1の外観へ影響を与えてレンズ1の美観を損ねることは、回避される。好ましくは、貫通孔30の直径は、0.04mmである。
【0017】
本発明の実施例は、レンズユニット100を更に提供する。
図3に示すように、当該レンズユニット100は、収容空間6を有し且つ通光孔5が開設される鏡筒2と、収容空間6内に設けられる上記技術案におけるレンズ1(本実施例では、物体側に最も近接するレンズ1を例として説明する)とを備える。レンズ1の光学部11は、通光孔5に対応し、光線が通光孔5から進入して貫通孔30を並べるレンズ1領域範囲に照射されたときに、迷光に対する周辺部12の反射現象を効果的に削減可能であり、結像品質を向上させる。
【0018】
上述したのは、単に本発明の実施形態である。なお、当業者であれば、本発明の創造的な構想から逸脱しない前提で、改良も行うことが可能であるが、これらは、何れも本発明の保護範囲に含まれる。