(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】真空インタラプタ
(51)【国際特許分類】
H01H 33/662 20060101AFI20220114BHJP
H01H 33/668 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
H01H33/662 F
H01H33/668 K
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020164625
(22)【出願日】2020-09-30
(62)【分割の表示】P 2020551780の分割
【原出願日】2018-12-13
【審査請求日】2020-10-29
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520209783
【氏名又は名称】レッドベター,フィンリー リー
【氏名又は名称原語表記】LEDBETTER,Finley Lee
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レッドベター,フィンリー リー
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-065735(JP,A)
【文献】特開昭63-164132(JP,A)
【文献】特開昭63-138621(JP,A)
【文献】特開昭51-130873(JP,A)
【文献】特公昭50-014547(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/60 - 33/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空インタラプタを再調整する方法であって、
(a)真空インタラプタが再調整に適しているかどうかを決定するステップを含み、真空インタラプタが再調整に適している場合、
(b)真空インタラプタに磁場を印加するステップを含み、該ステップにより、真空インタラプタの可動接点を真空インタラプタの固定接点から離れる方向に移動させて電気的接触を遮断し、
(c)真空インタラプタに電圧を印加するステップを含み、該ステップにより、真空インタラプタ内部の圧力を低下させる、方法。
【請求項2】
磁場及び/又は電圧は、短時間印加される、請求項1の方法。
【請求項3】
ステップ(a)は、プラグを
、真空インタラプタの真空エンベロープのエンドキャップに形成された少なくとも1つの穴に真空密封した後、真空が存在することと漏れが無いことを確認するために、真空インタラプタを試験することを含む、請求項1の方法。
【請求項4】
ステップ(a)の後、ステップ(b)の前に、
(i)真空インタラプタの真空エンベロープのエンドキャップに少なくとも1つの穴を形成するステップ、
(ii)真空エンベロープ内部にある真空インタラプタの構成要素をクリーニングするステップ、
(iii)真空エンベロープの内部に面する表面にゲッター材料を有するプラグを、前記少なくとも1つの穴にプラグを配備するステップ、及び、
(iv)真空エンベロープの内部に真空が再び作られるように、前記プラグを前記少なくとも1つの穴に真空シールするステップを含む、請求項1の方法。
【請求項5】
ステップ(ii)は、
少なくとも1つの清浄溶液を、エンドキャップの少なくとも1つの穴を通じて真空エンベロープの内部に導入すること、及び
真空エンベロープの内部から前記清浄溶液を除去すること、をさらに含む、請求項4の方法。
【請求項6】
ステップ(a)は、
真空インタラプタの真空エンベロープ内部にある構成要素が損傷しているかどうかを決定すること、
真空エンベロープに漏れがあるかどうかを決定すること、及び
真空エンベロープ内部の固定接点及び可動接点の残り寿命を推定することを含む、請求項4の方法。
【請求項7】
真空インタラプタの真空エンベロープ内部にある構成要素が損傷しているかどうかを決定することは、固定接点及び可動接点に抵抗試験を実施することを含む、請求項6の方法。
【請求項8】
固定接点及び可動接点の残り寿命を推定することは、接点浸食試験を実施することを含む、請求項6の方法。
【請求項9】
ステップ(i)は、
密封された端部を有しエンドキャップを貫通するチューブを取り除いて、前記チューブが通過した第1の穴を露出させること、及び
エンドキャップに第2の穴を形成することを含む、請求項4の方法。
【請求項10】
ステップ(i)は、
エンドキャップに第1の穴を形成すること、及び
エンドキャップに第2の穴を形成することを含む、請求項4の方法。
【請求項11】
ステップ(iv)の後、
真空が存在すること、及び漏れが無いことを確認するために、真空インタラプタを試験することをさらに含む、請求項4の方法。
【請求項12】
ステップ(i)の前に、真空インタラプタから外部コーティングを除去することを含む、請求項4の方法。
【請求項13】
ステップ(i)は、
エンドキャップに第1の穴と第2の穴を形成することを含み、
ステップ(ii)は、
機械的清浄溶液をエンドキャップの第1の穴に送給すること、及び
エンドキャップの第2の穴から機械的清浄溶液の流出液を受けることを含む、請求項5の方法。
【請求項14】
ステップ(i)は、
エンドキャップに第1の穴と第2の穴を形成することを含み、
ステップ(ii)は、
化学的清浄溶液をエンドキャップの第1の穴に送給すること、及び
エンドキャップの第2の穴から化学的清浄溶液の流出液を受けることを含む、請求項5の方法。
【請求項15】
ステップ(ii)は、
クリーニングの少なくとも第1のステップが完了したかどうかを決定するために、化学清浄溶液の流出液中の固体粒子の数を測定することをさらに含む、請求項14の方法。
【請求項16】
ステップ(ii)は、
真空インタラプタを横向きに配置すること、
真空エンベロープの内表面の電解研磨を可能にするのに十分な量であるが、真空エンベロープ内部の固定接点及び可動接点と接触するレベルにまでは達しない量の第1の電解研磨溶液をエンドキャップの第1の穴に送給すること、
真空エンベロープの内表面を電解研磨すること、
第1の電解研磨溶液の流出液をエンドキャップの第2の穴から受けること、
真空インタラプタを立てて配置すること、
固定接点と可動接点が電解研磨溶液の中に浸漬されるレベルまで真空エンベロープを満たすのに十分な量の第2の電解研磨溶液をエンドキャップの第1の穴に送給すること、及び
固定接点及び可動接点を電解研磨することをさらに含み、
第1の電解研磨溶液は、固定接点及び移動接点を損傷するが、第2の電解研磨溶液は、真空エンベロープの内表面を損傷しない、請求項14の方法。
【請求項17】
ステップ(ii)は、真空エンベロープの内部にアルゴンガス及び/又は窒素ガスを送給することを含む、請求項4の方法。
【請求項18】
ステップ(ii)は、真空インタラプタをベイキングすることを含む、請求項4の方法。
【請求項19】
ステップ(a)の後、ステップ(b)の前に、方法は、
真空エンベロープの外部表面をポリッシュすることをさらに含む、請求項4の方法。
【請求項20】
ステップ(a)の後、ステップ(b)の前に、方法は、
(i)真空インタラプタの真空エンベロープのエンドキャップに第1の穴を形成するステップ、
(ii)真空インタラプタの真空エンベロープのエンドキャップに第2の穴を形成するステップ、
(iii)エンドキャップの第1の穴を通じて、真空エンベロープの内部に少なくとも1つの清浄溶液を導入すること、及びエンドキャップの第2の穴を通じて、前記少なくとも1つの清浄溶液の流出液を受けることにより、真空エンベロープ内部の真空インタラプタの構成要素をクリーニングするステップ、
(iv)真空エンベロープの中に配備された固定接点及び可動接点が損傷しないように、第1の電解研磨溶液を用いて、真空エンベロープの内表面を電解研磨するステップ、
(v)第1の電解研磨溶液とは異なる第2の電解研磨溶液を用いて、固定接点及び可動接点を電解研磨するステップ、
(vi)真空エンベロープの内部に面する表面にゲッター材料を有する第1のプラグを第1の穴に配置し、第2のプラグを第2の穴に配置するステップ、
(vii)真空エンベロープの内部に真空が再び作られるように、前記第1のプラグを前記第1の穴に真空ブレージングし、前記第2のプラグを前記第2の穴に真空ブレージングするステップをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項21】
ステップ(i)は、密封された端部を有しエンドキャップを貫通するチューブを除去して、前記チューブが通過した第1の穴を露出させることを含み、
ステップ(ii)は、エンドキャップに第2の穴を形成することを含む、請求項20の方法。
【請求項22】
ステップ(iii)は、クリーニングが完了したかどうかを決定するために、化学清浄溶液の流出液中の固体粒子の数を測定することをさらに含む、請求項20の方法。
【請求項23】
ステップ(iv)は、
真空インタラプタを横向きに配置すること、
真空エンベロープの内表面の電解研磨を可能にするのに十分な量であるが、真空エンベロープ内部の固定接点及び可動接点と接触するレベルにまでは達しない量の第1の電解研磨溶液を送給すること、
真空エンベロープの内表面を電解研磨すること、及び
第1の電解研磨溶液の流出液をエンドキャップの第2の穴から受けることを含む、請求項20の方法。
【請求項24】
ステップ(iv)は、真空エンベロープの内表面を電解研磨しながら、真空エンベロープを回転させることをさらに含む、請求項23の方法。
【請求項25】
ステップ(v)は、
真空インタラプタを立てて配置すること、
固定接点及び可動接点が電解研磨溶液の中に浸漬されるレベルまで真空エンベロープを満たすのに十分な量の第2の電解研磨溶液を、エンドキャップの第1の穴に送給すること、及び
固定接点及び可動接点を電解研磨することを含む、請求項23の方法。
【請求項26】
ステップ(c)は、
電流計を真空インタラプタの第1の導体に電気的に結合すること、及び
高電圧電源を真空インタラプタの第2の導体に電気的に結合することを含み、真空インタラプタ内部の圧力を低下させる、請求項1又は4又は20の方法。
【請求項27】
磁場及び/又は電圧は、長時間印加される、請求項1又は4又は20の方法。
【請求項28】
磁場は、約0.04テスラ~約0.2テスラであり、電圧は、約5kVDC~約100kVDCである、請求項1又は4又は20の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願>
この国際PCT特許出願は、2018年12月12日に出願された米国非仮特許出願第16/218,166号「真空インタラプタの再調整方法」、2018年7月27日に出願された米国仮特許出願第62/711,020号「真空インタラプタの再調整方法」、2018年6月13日に出願された米国仮特許出願第62/684,350号「真空インタラプタの再調整方法」、及び2017年12月13日に出願された米国仮特許出願第62/598,155号「真空インタラプタの再調整方法」の利益を主張する。
<連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載>
適用なし
<マイクロフィッシュアペンディックスの引用>
適用なし
【0002】
<発明の分野>
本願は、真空インタラプタ(vacuum interrupters)の分野に関するもので、より具体的には、条件を満たした真空インタラプタを再調整することにより、真空インタラプタの耐用年数を長くすることである。
【背景技術】
【0003】
<背景>
電気工学において、真空インタラプタは、真空中で電気接点を形成し遮断する機械的なスイッチである。真空中で電気接点を形成し、そして特に遮断する目的は、高電圧の電気接点が遮断されたり、互いに分離されたりしたときに発生する真空アークを迅速に消滅させることである。真空インタラプタは、例えば、商用電力送電システム並びに配電システム及び産業プラントで使用されている。例えば、真空インタラプタは、回路遮断器やロードスイッチに使用されることができる。回路遮断器の真空インタラプタは、変電所及び電力網設備の電力部門で主に使用され、ロードスイッチ式の真空インタラプタは、電力網のエンドユーザのために主に使用される。真空インタラプタも他の機器と同様に、経年劣化する。
【0004】
現時点では、真空インタラプタの劣化が十分に進んだ場合、交換が必要となり、コストがかかる。さらに、真空インタラプタは、モデルや定格の数が多いため、直接交換することが困難であったり、非常に長い時間を要したりするので、好ましくない。それゆえ、真空インタラプタを交換する現在の慣行は望ましくなく、この技術分野では、真空インタラプタの耐用寿命を延ばすことができるように、真空インタラプタを再調整する方法の必要性が長く感じられている。
【発明の概要】
【0005】
この明細書では、真空インタラプタを再調整する(reconditioning)方法を開示する。この方法は、真空インタラプタが再調整に適しているかどうかを決定する(determine)ことを含む。真空インタラプタが再調整に適している場合、方法の一実施形態では、真空インタラプタに磁場を印加して、真空インタラプタの可動接点を真空インタラプタの固定接点から離れる方向に移動させて電気的接触を遮断することと、真空インタラプタに電圧を印加して、真空インタラプタ内部の圧力を低下させることと、を含む。
【0006】
真空インタラプタへの電圧の印加は、電流計を、真空インタラプタの第1の導体に電気的に結合し、高電圧電源を真空インタラプタの第2の導体に電気的に結合することによって行われることができ、真空インタラプタ内部の圧力を低下させる。
【0007】
磁場及び/又は電圧は、長時間(典型的には5~10分以上の持続)印加されてもよいし、又は短時間(5分未満)の印加でもよい。磁場及び/又は電圧は、約30分間印加されることができる。磁場及び/又は電圧は、約3分間の印加でもよい。
【0008】
磁場及び/又は電圧は、長時間(典型的には10~20パルス以上の持続)又は短時間(5パルス未満)に亘って、繰り返して印加されることができる。磁場及び/又は電圧は、約10パルスを繰り返して印加されることができる。
【0009】
磁場は、約0.04テスラ~約0.2テスラ及びその間の任意の範囲又は値であってよい。
【0010】
印加される電圧は、約5kVDC~約100kVDC及びその間の任意の範囲又は値であってよい。印加される電圧は、約50kVDC~約100kVDC及びその間の任意の範囲又は値であってよい。印加される電圧は、DC約5kVDC~DC約25kVDC及びその間の任意の範囲又は値であってよい。
【0011】
真空インタラプタが再調整に適している場合、方法の一実施形態では、真空インタラプタの真空エンベロープのエンドキャップに少なくとも1つの穴を形成すること、真空エンベロープの内部にある真空インタラプタの構成要素をクリーニングすること、真空エンベロープの内部に面する表面にゲッター材料を有するプラグを、前記少なくとも1つの穴に配備すること、及び、真空エンベロープの内部に真空が再び作られるように、プラグを前記少なくとも1つの穴に真空シールすること、を行う。真空エンベロープの内部にある真空インタラプタの構成要素のクリーニングは、エンドキャップの少なくとも1つの穴を通じて、真空エンベロープの内部に少なくとも1つの清浄溶液を導入すること、及び真空エンベロープの内部から清浄溶液を除去すること、によって行うことができる。
【0012】
真空エンベロープ内部にある真空インタラプタの構成要素のクリーニングは、真空インタラプタをベイキング(baking)することによって行うことができる。
【0013】
真空エンベロープの内部にある真空インタラプタの構成要素のクリーニングは、真空エンベロープの少なくとも1つの穴を通じて、窒素及び/又はアルゴン等の乾燥ガスを真空エンベロープ内部に送給することによって行うことができる。
【0014】
真空インタラプタが再調整に適している場合、真空エンベロープの外表面をポリッシュすることもできる。
【0015】
幾つかの実施形態において、真空インタラプタが再調整に適しているかどうかの決定は、真空エンベロープの内部にある真空インタラプタの構成要素が損傷しているかどうかを決定すること、真空エンベロープに漏れがあるかどうかを決定すること、及び真空エンベロープ内部の固定接点及び可動接点の残り寿命を推定することを含む。
【0016】
真空エンベロープの内部にある真空インタラプタの構成要素が損傷しているかどうかを決定することは、固定接点と可動接点の間の接触抵抗を測定することを含むことができる。
【0017】
固定接点と可動接点の残り寿命を推定することは、接点浸食試験を実施することを含むことができる。
【0018】
幾つかの実施形態において、エンドキャップに少なくとも1つの穴を形成することは、密封された端部を有しエンドキャップを通るチューブを取り除いて、前記チューブが通過した第1の穴を露出させること、及び、エンドキャップに第2の穴を形成すること、を含むことができる。
【0019】
他の実施例では、エンドキャップに少なくとも1つの穴を形成することは、エンドキャップに第1の穴を形成すること、及び、エンドキャップに第2の穴を形成することを含むことができる。
【0020】
真空インタラプタが再調整に適している場合、真空インタラプタは、前記少なくとも1つの穴にプラグを真空密封した後、真空が存在すること及び漏れが無いことを確認するために試験することができる。
【0021】
真空インタラプタが再調整に適している場合、外部コーティングは、エンドキャップに少なくとも1つの穴を形成する前に真空インタラプタから除去されることができる。
【0022】
幾つかの実施形態において、真空エンベロープの内部にある真空インタラプタの構成要素をクリーニングすることは、機械的清浄溶液をエンドキャップの第1の穴に送給し、エンドキャップの第2の穴から機械的清浄溶液の流出液を受けることを含むことができる。さらに、又は代替的に、真空エンベロープの内部にある真空インタラプタの構成要素をクリーニングすることは、エンドキャップの第1の穴に化学清浄溶液を送給し、エンドキャップの第2の穴から化学清浄溶液の流出液を受けることを含むことができる。真空エンベロープの内部にある真空インタラプタの構成要素をクリーニングすることは、クリーニングの少なくとも第1のステップが完了したことを決定するために、化学清浄溶液の流出液中の固体粒子の数を測定することを含むこともできる。
【0023】
上記クリーニングステップに加えて、真空インタラプタを横向きに配置し、第1の電解研磨溶液及び/又はエッチング溶液をエンドキャップの第1の穴に送給することもでき、前記第1の電解研磨溶液及び/又はエッチング溶液を送給する量は、真空エンベロープの内表面の電解研磨及び/又はエッチングを可能にするのに十分な量であるが、真空エンベロープ内部の固定接点及び可動接点と接触するレベルにまでは達しない量である。真空エンベロープの内表面を電解研磨及び/又はエッチングし、第1の電解研磨及び/又はエッチング液の流出液をエンドキャップの第2の穴から受けて、真空インタラプタを立てて配置することもできる。また、第2の電解研磨及び/又はエッチング液を、エンドキャップの第1の穴に送給することもでき、送給される量は、固定接点と可動接点が電解研磨及び/又はエッチング液に浸され、電解研磨及び/又はエッチングされるレベルまで真空エンベロープを満たすのに十分な量である。第1の電解研磨及び/又はエッチング溶液は、固定接点及び移動接点を損傷する可能性のある溶液であるが、第2の電解研磨及び/又はエッチング溶液は、真空エンベロープの内表面を損傷しない溶液である。
【0024】
幾つかの実施形態において、方法は、真空インタラプタに磁場を再び印加して、真空インタラプタの可動接点を真空インタラプタの固定接点から離間させて、電気的接触を切断することと、真空インタラプタに磁場を再び印加して、真空インタラプタ内部の圧力を低下させることと、を行う。
【0025】
真空インタラプタへの電圧の印加は、電流計を真空インタラプタの第1の導体に電気的に結合し、真空インタラプタの第2の導体に高圧電源を電気的に結合することによって行われ、真空インタラプタ内部の圧力を低下させることができる。
【0026】
磁場及び/又は電圧は、長時間(典型的には5~10分以上の持続)又は短時間(5分未満)に亘って印加されることができる。磁場及び/又は電圧は、約30分間印加されることができる。磁場及び/又は電圧は、約3分間印加されることができる。
【0027】
磁場及び/又は電圧は、長時間(典型的には10~20パルス以上の持続)又は短時間(5パルス未満)に亘って、繰り返して印加されることができる。磁場及び/又は電圧は、約10パルスを繰り返して印加されることができる。
【0028】
磁場は、約0.04テスラ~約0.2テスラであってよく、その間の任意の範囲又は値であってもよい。
【0029】
印加電圧は、約5kVDC~約100kVDCであってよく、その間の任意の範囲又は値であってもよい。印加電圧は、約50kVDC~約100kVDCであってよく、その間の任意の範囲又は値であってもよい。印加電圧は、約5kVDC~約25kVDCであってよく、その間の任意の範囲又は値であってもよい。
【0030】
これらの及び他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び添付の特許請求の範囲と共に、開示目的のために記載する以下の詳細な説明、望ましい実施形態及び実施例を参照することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の性質及び目的のさらなる理解のために、添付の図面に関連して説明する以下の詳細な開示を参照すべきである。なお、同様の部品については同じ参照番号が付されている。
【0032】
【
図1】
図1は典型的な真空インタラプタの概略断面図である。
【0033】
【
図2A】
図2Aは、本発明の一実施形態における真空インタラプタを再調整する方法のフローチャートである。
【0034】
【
図2B】
図2Bは、本発明の一実施形態における真空インタラプタを再調整する方法の代替例のフローチャートであり、マグネトロンポンプを使用して真空インタラプタ内部の圧力を任意選択的に低下させることを示している。
【0035】
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態における真空インタラプタの内部のクリーニングを示すブロック図である。
【0036】
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態における真空インタラプタの真空エンベロープの内表面の再調整を示すブロック図である。
【0037】
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態における真空インタラプタの可動接点と固定接点の再調整を示すブロック図である。
【0038】
【
図6】
図6は、再調整された真空インタラプタを示す斜視図である。
【0039】
【
図7】
図7は、
図6のゲッタープラグを示す分解斜視図である。
【0040】
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態における磁気試験の設定を示す概略断面図である。
【0041】
【
図9】
図9は、50D1型シリアル番号26019の真空インタラプタのイオン電流(A)対パルスのグラフであって、各パルスでのイオン電流/内部圧力の低下を示している。
【0042】
【
図10】
図10は、50B1型シリアル番号25102の真空インタラプタのイオン電流(A)対パルスのグラフであって、各パルスで発生したイオン電流/内部圧力の低下を示している。
【0043】
【
図11】
図11は、44B1型シリアル番号56868、56665及び56777の真空インタラプタの試験日とイオン電流(A)の関係を示すグラフであって、各試験でのイオン電流/内部圧力の低下を示している。
【0044】
【
図12】
図12は、44B1型シリアル番号56868、56665及び56777の真空インタラプタの試験日と生成電流(μA@36kVDC)との関係を示すグラフである。
【0045】
【
図13】
図13は、44B1型シリアル番号56868、56665及び56777の真空インタラプタの試験日と抵抗値(μΩ)との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の様々な実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面を参照して行われ、発明が実施されることができる特定の実施形態を例示している。本発明の例示的な実施形態を具体的に記載するが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変形は明らかであり、また容易に成し得ることは理解されるであろう。それゆえ、添付の特許請求の範囲は、本明細書に記載された実施例及び説明に限定されることを意図したものではなく、特許請求の範囲は、本発明において特許性を有する新規な全ての特徴を包含するものと解釈されるべきであり、当業者によってその等価物として扱われるであろう全ての特徴を含むものとして解釈されることが意図されている。したがって、本発明の範囲は、そのような権利を有する等価物の全ての範囲と共に、添付の特許請求の範囲の記載によってのみ規定される。
【0047】
典型的な真空インタラプタ100の構造について、
図1を参照して以下に説明する。真空インタラプタ100は真空エンベロープ102を含み、該真空エンベロープは、ガスに対して実質的に不透過性であって、ガス放出(outgassing)の無いガラス又はセラミック等の材料から形成される。エンドキャップ104及び114は、真空エンベロープ102の端部を密封する。エンドキャップ104の供給口(feedthrough)122は、気密性を維持しながら、第1の導体116の通過を可能にする。同様に、ブッシング120はエンドキャップ114の内部にあって、第2の導体118とエンドキャップ114との間に支持面を提供する。固定接点106は、真空エンベロープ102の内部にあり、第1の導体116に電気的に結合されている。可動接点108は、真空エンベロープ102の内部にあり、第2の導体118に電気的に結合されている。ベローズ112は、可動接点108を固定接点106に向けて移動させて、可動接点108と電気的に接触させて、気密性を維持しながら、第2の導体118の通過を可能にする。
【0048】
固定接点106と可動接点108との間は電気的に接触しており、それが絶たれると、真空アークが発生するが、すぐに逸散する。真空アークが発生している間に、固定接点106と可動接点108から材料が気化されることがある。この材料が、真空エンベロープの内表面で凝縮すると最終的に故障につながる可能性があるため、それを防ぐために、蒸気シールド110が、固定接点106と移動接点108とを取り囲む。同様に、蒸気シールド(図示せず)は、エンドキャップ104及び114を遮蔽して、この材料の凝縮を防止する。
【0049】
しかしながら、時間の経過と共に、真空インタラプタ100が劣化することは理解されるであろう。真空エンベロープ102の中で漏れが発生する可能性があり、構成要素のガス放出により真空エンベロープ102の中の真空を劣化させる可能性があり、また、気化する材料によって接点104及び114が腐食して、電気的性能を劣化させる可能性がある。
【0050】
これまでは、真空インタラプタ100が十分に劣化すると、真空インタラプタ100は交換されていた。これは、コストがかかり、望ましくない。このため、本発明者らは、真空インタラプタ100を再調整するための方法を開発した。この方法及びその代替となる方法について、
図2A及び2Bのフローチャート200を参照して説明する。
【0051】
<真空インタラプタを再調整する方法>
方法は、スタート(ブロック202)の後、問題の真空インタラプタが再調整に実際に適しているかどうかを決定することから始まる(ブロック204)。ここで、真空インタラプタは、使用を中止して設置が取り外され、真空インタラプタが再調整を可能にするのに十分良好な状態にあるかどうかが決定される。真空インタラプタが十分良好な状態にある場合、真空インタラプタのその製品及びモデルに対して再調整することが、望ましいかどうかについても決定される。真空インタラプタがその摩耗限界を超えていない場合、又はその接点構造の損傷がひどくない場合は、真空インタラプタの再調整に適していると考えられる。多くの真空インタラプタは、作動又は使用されていないことが殆どである。それらは再調整するだけで使用に戻ることができる。高価な真空インタラプタや、速やかに入手できないモデルの真空インタラプタは、再調整候補として特に望ましい。
【0052】
真空インタラプタ自体の状態については、真空インタラプタに損傷がなく、漏れがなく、接点の寿命が50%以上残っていて、抵抗値が低い(それゆえ、コンダクタンスが高い)ことが望ましい。試験は、これらを決定するために行われる。
【0053】
例えば、目視検査により、腐食及び/又は外部損傷がチェックされる。漏れがないことを確認するために、外部漏れテストやマグネトロンテストが行われる。接点がその寿命の少なくとも50%が残っていることを確認するために、接点の腐食検査/試験が行われる。この接点の腐食検査/試験は、X線イメージング技術を用いて行われることができる。接点の抵抗を決定するために、接点の抵抗試験は、デジタル低抵抗オームメータを使用して行われ、抵抗が所定の値より低ければ合格となる。
【0054】
真空インタラプタが、その状態が再調整に適していない場合、又は再調整が経済的に有利でないモデルであるという理由で再調整に適していない場合(ブロック206)、方法は終了する(ブロック207)。真空インタラプタが再調整に適していると判定された場合(ブロック206)、真空インタラプタの外部がクリーニングされる(ブロック208)。このクリーニングは、真空インタラプタの外表面クリーニング用の化学剤を使用して真空インタラプタ上の塗料及び外部コーティングを除去し、次いで真空インタラプタを洗浄することによって行われることができる。
【0055】
真空インタラプタの製造中に真空インタラプタの内部に真空を発生させるために、エンドキャップを通るピンチチュープ(pinched tube)が使用され、そのピンチチューブが存在する真空インタラプタの場合、そのピンチチューブ及び該チューブに連繋されたステムガイドを取り除くこともできるし、残っている穴は、再調整プロセス中に穴として使用されることができる。幾つかの実施形態では、ピンチチューブが通過したエンドキャップ又は対向するエンドキャップのいずれかに、別の穴を形成することができる。ピンチチューブが存在しない場合には、2つの穴を同じエンドキャップの中に形成することができる。或いはまた、対向するエンドキャップの各エンドキャップの1つずつ形成することもできる。どちらの場合も、真空インタラプタは、そのエンドキャップに2つの穴を有する(ブロック210)。幾つかの実施形態では、再調整プロセスを達成するためにエンドキャップに形成する穴は、1つだけでもよいことは理解されるべきである。
【0056】
したがって、現時点での実施形態では、真空インタラプタは、外部がクリーニングされ(ブロック211)、その中に2つの穴があり、再調整を開始する準備ができている。再調整プロセスが開始し、一方の穴を通じて真空インタラプタの真空エンベロープの内部に清浄溶液が送給され、他方の穴から清浄溶液が流出される(ブロック212)。使用される清浄溶液は、メタノール若しくはアセトンなどの化学清浄溶液又は研磨溶液であってよく、それらの両方であってもよい。
【0057】
このステップの構成は、
図3に示されている。ここで、ポンプ144が、清浄溶液を穴130の中に送給するように構成されている。流出液は、穴132から受ける。粒子カウンタ140は、流出液の固体粒子をカウントし、このカウントは、クリーニングプロセスが完了したかどうかを判断するために使用されることができる。流出液は、フィルタ142を通って流れる。このフィルタは、取り外し可能で交換可能なフィルタリング要素を有するものであってよい。このフィルタは、流出液から固体粒子を除去する。清浄化された流出液は、フィルタ142からポンプ144に送り返されて、穴130に戻される。幾つかの実施形態において、エンドキャップに形成される穴は1つであり、清浄溶液は、クリーニングステップ212が行われた後、その穴にポンプで送り込まれ、同じ穴から除去される。
【0058】
図示されているように、このプロセス中、真空インタラプタ100は、横向きに置かれているが、立てて置かれることもできる。
【0059】
このクリーニングステップの後、真空エンベロープ及び接点の内表面を再調整するために、任意選択的に、電解研磨(electropolishing)が行われる(ブロック213)。この電解研磨は、2つのステップで実行される。
【0060】
最初に、
図4に示されるように、真空インタラプタ100は横向きに置かれる。次に、ある量の第1電解研磨溶液が穴130にポンプで注入される。この第1電解研磨溶液の量は、真空エンベロープ102の内表面を電解研磨するのに十分であるが、真空エンベロープ102内部の接点と接触するレベルに達するには不十分な量である。この理由は、第1電解研磨溶液は強力(又は酸性)であるため、接点を損傷させる可能性があるにも拘わらず、真空エンベロープ102の内表面の電解研磨を行うのに、このような強力(又は酸性)の電解研磨溶液が使用されるからである。次に、真空エンベロープ102の内表面の電解研磨は、真空エンベロープ102の内表面全体が清浄化されるように、真空インタラプタ100を回転させながら行われる。
【0061】
電解研磨では、真空エンベロープ102がアノードとして機能し、カソードは穴130の中に挿入される。これは、当業者であれば理解されることである。電解研磨溶液(電解質を含む)に浸漬し、電源150から電圧を印加すると、
図5に示されるように電気的に接続される。電流は、アノード(真空エンベロープ102)からカソードに流れ、真空エンベロープ102の内表面にある金属を酸化及び溶解し、真空エンベロープ102の表面を滑らかにする作用を有する。電流計152は、このとき生成した電流を測定し、この生成電流は、コントローラ154の指令の下で、高電圧電源150(例えば、約50kVDC~約100kVDC)が所望のレベル(例えば、約5μA~約20μA)に維持する。
【0062】
真空エンベロープ102の内表面の電解研磨が完了すると、流出液は、穴132を通って流れる。また、幾つかの実施形態では、第1の穴130を通って流れる。
【0063】
第2のステップは、
図5に示されるように、真空インタラプタ100を立てて配置することである。ここで、ある量の第2電解研磨溶液が穴130に送給される。ここでの量は、真空エンベロープ102の中で、接点が第2電解研磨溶液の中に浸漬されるのに十分な量である。第2電解研磨溶液は第1電解研磨溶液よりも強力でない(又は酸性度が低い)ため、接点を損傷することなく電解研磨することができる。電解研磨プロセスが開始されるが、接点が、当該接点を電解研磨するためのアノードとして作用し、流出液は穴132を通って流れる。また、幾つかの実施形態では第1の穴130を通って流れる。
【0064】
ブロック212及びブロック213のステップを実行することに代えて、又はブロック212及びブロック213のステップに加えて、再調整プロセスは、アルゴン、窒素、又はそれらの混合物などの乾燥ガスを、穴130を通って真空インタラプタ100の内部に送給すること(ブロック214)を含むことができる。他の実施形態では、ブロック212、ブロック213、及びブロック214のステップを実行することに代えて、又はそれらブロックのステップに加えて、真空インタラプタ100は、適当な温度で適当な時間、ベイキングされてもよい(ブロック215)。
【0065】
電解研磨又は他の再調整プロセスが完了すると、プラグが穴に挿入される(ブロック216)。これは、
図6に示されるように、プラグ131、133が穴130、132に配備されて穴が密封される。
図7に示されるように、プラグ(プラグ133が示されているが、プラグ131の構造と同じである)は、真空エンベロープのエンドキャップを密封する上プラグ部分135と、幾つかの用途において電力の印加によって活性化され得るゲッター材料を含む下プラグ部分139とを含む。ブレージング用フィラーリング137は、上プラグ部分135から下方に延びている。プラグ133は、インサート141に収容される。インサート141自体は、真空エンベロープ102の中で穴132を構成する開口と接触する。幾つかの実施形態では、プラグ133は、真空エンベロープ102の中で穴132を構成する開口に直接配備される。なお、ゲッター材料は、ガスを吸収して、ガス放出の存在下でも真空エンベロープ102の中の真空のレベルを維持する作用を有することは当業者であれば理解されるであろう。
【0066】
真空プラグ131及び133は、その後、真空エンベロープ102に真空ブレージング又ははんだ付けされ(ブロック218)、それによって、真空エンベロープ102が再び密封され、真空エンベロープ102の中に真空が再び作られ、真空インタラプタ100の再調整が完了する。
【0067】
真空ブレージングプロセスは、真空が作られるように、真空エンベロープ102内部の雰囲気を所望の仕様に設定するために真空インタラプタからガスを排気することと、次いで、真空インタラプタが存在する環境の温度を、ブレージング用フィラーリング137をブレージングするのに十分であるが、真空エンベロープ102とエンドキャップとの間でのブレージングに影響を与えるには十分でない温度まで上昇させることと、を含む。その後、必要に応じて、パージ、温度上昇、及び冷却が行われる。
【0068】
所望により、真空インタラプタは、その後、再び塗装されてもよく、コーティングを追加することもできる。これらのコーティングは、真空エンベロープ102の外表面を形成する材料に応じて、抗腐食性であり得る。所望により、再塗装及びコーティングを行う前に、真空エンベロープの外表面をポリッシュすることもできる。
【0069】
真空インタラプタは次いで試験され(ブロック220)、方法が完了する(ブロック222)。これらの試験は、作動温度範囲に亘る接点の抵抗測定、ワイプアセンブリにおける真空インタラプタの試験、接点の残存寿命の再チェック、接点抵抗試験の実施、長時間漏れ試験の実施(典型的には、持続時間5~10分)などを含むことができる。
【0070】
<真空インタラプタを再調整する代替方法>
方法は、スタート(ブロック202)の後、問題の真空インタラプタが再調整に実際に適しているかどうかを決定することから始まる(ブロック204)。
図2Bを参照。ここで、真空インタラプタは、使用を中止して設置が取り外され、真空インタラプタが再調整を可能にするのに十分良好な状態にあるかどうかが決定され、真空インタラプタが十分に良好な状態にある場合には、再調整することが真空インタラプタの製造及びモデルに対してさらに望ましいかどうかについても決定される。真空インタラプタがその摩耗限界を超えていない場合、又はその接点構造の損傷がひどくない場合は、真空インタラプタの再調整に適していると考えられる。多くの真空インタラプタは、作動又は使用されていないことが殆どである。それらは再調整するだけで使用に戻ることができる。高価な真空インタラプタや、速やかに入手できないモデルの真空インタラプタは、再調整候補として特に望ましい。
【0071】
真空インタラプタ自体の状態については、真空インタラプタに損傷がなく、漏れがなく、接点の寿命が50%以上残っていて、抵抗値が低い(それゆえ、コンダクタンスが高い)ことが望ましい。試験は、これらを判断するために行われる。
【0072】
例えば、目視検査により、腐食及び/又は外部損傷がチェックされる。漏れがないことを確認するために、外部漏れテストやマグネトロンテストが行われる。接点がその寿命の少なくとも50%が残っていることを確認するために、接点の腐食検査/試験が行われる。この接点の腐食検査/試験は、X線イメージング技術を用いて行われることができる。接点の抵抗を決定するために、接点の抵抗試験はデジタル低抵抗オームメータを使用して行われ、抵抗が所定の値より低ければ合格となる。
【0073】
真空インタラプタが、その状態が再調整に適していない場合(ブロック206)、その状態により、又は再調整が経済的に有利でないモデルであるという理由により、方法は終了する(ブロック207)。
【0074】
真空インタラプタが再調整に適していることが判明した場合(ブロック206)、その後、任意選択的に、その接点が、適当な時間、開状態で真空インタラプタ100に高電圧が印加される(ブロック208c)。
図2B及び
図8を参照。このステップの構成は、
図8に示されている。ここで、磁場コイル802は、真空インタラプタ100の周囲に配置されて、その接点は開状態である(可動接点108が、固定接点106から離間しており、電気的接触が切断される)。電流計804が、真空インタラプタ100の第1コネクタ116に電気的に接続されている。高電圧源806は、電流計804及び真空インタラプタ100の第2コネクタ118に電気的に接続されている。
【0075】
適当な時間は、長時間(典型的には5~10分間、又はそれより長い時間の持続)であってよく、又は短時間(5分未満)であってもよい。電圧は、長時間(典型的には5~10分間、又はそれより長い時間)印加されてもよく、又は短時間(5分未満)の印加でもよい。電圧は、約30分間印加されてもよい。電圧は、約3分間印加されてもよい。
【0076】
電圧は、長時間(典型的には、10~20パルス又はそれよりも長いパルス)又は短時間(5パルス未満)の印加が、繰り返して行われることができる。電圧の印加は、約10パルスであってよい。
【0077】
印加される電圧は、真空インタラプタのサイズに依存する。印加される電圧は、約5kVDC~約100kVDCであってよく、その間の任意の範囲又は値であってよい。印加される電圧は、約50kVDC~約100kVDCであってよく、その間の任意の範囲又は値であってよい。多くの真空インタラプタでは、印加される適当な電圧は、約5kVDC~約25kVDCであってよく、その間の任意の範囲又は値であってよい。高電圧は真空インタラプタ内部のガス分子をイオン化する。
【0078】
真空インタラプタには、強い磁場が適当な時間印加され、イオンを移動させて、開放接点を流れる電流を発生させる。
図2B及び
図8を参照。適当な時間は、長時間(典型的には5~10分以上の持続)であってよく、短時間(5分未満)であってもよい。印加される磁場は、長時間(典型的には、持続時間が5~10分又はそれ以上)であってよく、又は短時間(5分未満)であってもよい。磁場への印加は、約30分であってよい。磁場への印加は、約3分であってもよい。
【0079】
磁場は、長時間(典型的には約10~20パルスの持続又はそれ以上の持続)又は短時間(5パルス未満)の印加が、繰り返して行われることができる。磁場は、約10パルスの間、印加されることができる。
【0080】
印加される磁場は、真空インタラプタのサイズに依存する。多くの真空インタラプタでは、印加される適当な磁場は、約0.04テスラ~約0.2テスラであってよく、その間の任意の範囲又は値であってよい。イオンは、真空インタラプタ内の金属材料、ゲッター材料及びブレージング材料によって永久的に捕捉され、真空インタラプタ内の圧力を低下させる。印加された磁場と電圧は、磁気調整の終了時に、真空インタラプタから遮断される。
【0081】
次に真空インタラプタの試験が行われる(ブロック220)。これらの試験は、動作温度範囲に亘って接点の抵抗を測定すること、ワイプアセンブリ(wipe assembly)における真空インタラプタの試験を行うこと、接点の残存寿命を再チェックすること、接点抵抗テストの実施、長時間(典型的には持続時間5~10分間)の漏れ試験の実施などを含むことができる。
【0082】
真空インタラプタが更なる再調整に適していることがわかった場合(ブロック220)、任意選択的に、接点が開いた状態(ブロック208a)で真空インタラプタに高電圧が適当時間印加される(ブロック208a)。このステップの構成は、
図8に示されている。ここでは、磁場コイル802が、その接点が開いた状態で真空インタラプタ100の周囲に配置される(可動接点108は、固定接点106から離間して電気的接触が切断される)。電流計804が、真空インタラプタ100の第1コネクタ116に電気的に結合されている。高電圧源806は、電流計804及び真空インタラプタ100の第2コネクタ118に電気的に結合されている。
【0083】
前述したように、適当な時間は、長時間(典型的には5~10分間、又はそれより長い時間)であってよく、又は短時間(5分未満)であってもよい。電圧は、長時間(典型的には5~10分間、又はそれより長い時間)印加されてもよく、又は短時間(5分未満)の印加でもよい。電圧は、約30分間印加されてもよい。電圧は、約3分間印加されてもよい。
【0084】
電圧は、長時間(典型的には、10~20パルス又はそれよりも長いパルスの持続)又は短時間(5パルス未満)の印加が、繰り返して行われることができる。電圧は、約10パルス間、印加されることができる。
【0085】
印加される電圧は、真空インタラプタのサイズに依存する。印加電圧は、約5kVDC~約100kVDCであってよく、その間の任意の範囲又は値であってよい。印加電圧は、約50kVDC~約100kVDCであってよく、その間の任意の範囲又は値であってよい。多くの真空インタラプタでは、印加される適当な電圧は、約5kVDC~約25kVDCであってよく、その間の任意の範囲又は値であってよい。高電圧は真空インタラプタ内のガス分子をイオン化する。
【0086】
真空インタラプタには、強い磁場が適当な時間印加され(ブロック208a)、イオンを移動させて、開放接点を流れる電流を発生させる。適当な時間は、長時間(典型的には5~10分以上の持続)であってよく、短時間(5分未満)であってもよい。印加される磁場は、長時間(典型的には、持続時間が5~10分又はそれ以上)であってよく、又は短時間(5分未満)であってもよい。磁場への印加は、約30分であってよい。磁場への印加は、約3分であってもよい。
【0087】
磁場は、長時間(典型的には約10~20パルスの持続又はそれ以上)又は短時間(5パルス未満)の印加が、繰り返して行われることができる。磁場は、約10パルスの間、印加されることができる。
【0088】
印加される磁場は、真空インタラプタのサイズに依存する。多くの真空インタラプタでは、印加される適当な磁場は、約0.04テスラ~約0.2テスラであってよく、その間の任意の範囲又は値であってよい。イオンは、真空インタラプタ内の金属材料、ゲッター材料及びブレージング材料によって永久的に捕捉され、真空インタラプタ内の圧力を低下させる。印加された磁場と電圧は、任意選択的な長時間の磁気調整の終了時に、真空インタラプタから遮断される(ブロック222)。
【0089】
<真空インタラプタを再調整する代替方法>
方法は、スタート(ブロック202)の後、問題の真空インタラプタが再調整に実際に適しているかどうかを決定することから始まる(ブロック204)。ここで、真空インタラプタは、使用を中止してその設置から取り外され、真空インタラプタが再調整を可能にするのに十分良好な状態にあるかどうかが決定され、真空インタラプタが十分に良好な状態にある場合には、再調整することが真空インタラプタの製造及びモデルに対してさらに望ましいかどうかが決定される。真空インタラプタがその摩耗限界を超えていないか、又はその接点構造の損傷がひどくない場合は、真空インタラプタの再調整に適していると考えられる。多くの真空インタラプタは、作動又は使用されていないことが殆どである。それらは再調整するだけで使用に戻ることができる。高価な真空インタラプタや、速やかに入手できないモデルの真空インタラプタは、再調整候補として特に望ましい。
【0090】
真空インタラプタ自体の状態については、真空インタラプタに損傷がなく、漏れがなく、接点の寿命が50%以上残っていて、抵抗値が低い(コンダクタンスが高い)ことが望ましい。試験は、これらを判断するために行われる。
【0091】
例えば、目視検査により、腐食及び/又は外部損傷がチェックされる。漏れがないことを確認するために、外部漏れテストやマグネトロンテストが行われる。接点がその寿命の少なくとも50%が残っていることを確認するために、接点の腐食検査/試験が行われる。この接点の腐食検査/試験は、X線イメージング技術を用いて行われることができる。接点の抵抗を決定するために、接点の抵抗試験はデジタル低抵抗オームメータを使用して行われ、抵抗が所定の値より低ければ合格となる。
【0092】
真空インタラプタが、その状態が再調整に適していない場合(ブロック206)、その状態により、又は再調整が経済的に有利でないモデルであるという理由により、方法は終了する(ブロック207)。
【0093】
真空インタラプタが再調整に適していることが判明した場合(ブロック206)、その後、任意選択的に、適当な時間、その接点が開状態で真空インタラプタ100に高電圧が印加される(ブロック208a)。このステップの構成は、
図8に示されている。ここで、磁場コイル802は、真空インタラプタ100の周囲に配置されており、その接点は開状態である(可動接点108が、固定接点106から離間しており、電気的接触が切断される)。電流計804が、真空インタラプタ100の第1コネクタ116に電気的に接続されている。高電圧源806は、電流計804及び真空インタラプタ100の第2コネクタ118に電気的に接続されている。
【0094】
適当な時間は、長時間(典型的には5~10分間、又はそれより長い時間)であってよく、又は短時間(5分未満)であってもよい。電圧の印加は、長時間(典型的には5~10分間、又はそれより長い時間)でもよく、又は短時間(5分未満)でもよい。電圧は、約30分間印加されてもよい。電圧は、約3分間印加されてもよい。
【0095】
電圧は、長期(典型的には、10~20パルス又はそれよりも長いパルス)又は短期(5パルス未満)の印加が、繰り返して行われることができる。電圧の印加は、約10パルス間であってよい。
【0096】
印加される電圧は、真空インタラプタのサイズに依存する。印加される電圧は、約5kVDC~約100kVDCであってよく、その間の任意の範囲又は値であってよい。印加される電圧は、約50kVDC~約100kVDCであってよく、その間の任意の範囲又は値であってよい。多くの真空インタラプタでは、印加される適当な電圧は、約5kVDC~約25kVDCであってよく、その間の任意の範囲又は値であってよい。高電圧は真空インタラプタ内のガス分子をイオン化する。
【0097】
真空インタラプタには、強い磁場が適当な時間印加され(ブロック208a)、イオンを移動させ、開放接点を流れる電流を発生させる。適当な時間は、長時間(典型的には5~10分以上の持続)であってよく、短時間(5分未満)であってもよい。印加される磁場は、長時間(典型的には、持続時間が5~10分又はそれ以上)であってよく、又は短時間(5分未満)であってもよい。磁場への印加は、約30分であってよい。磁場への印加は、約3分であってもよい。
【0098】
磁場は、長時間(典型的には約10~20パルスの持続又はそれ以上)又は短時間(5パルス未満)の印加が、繰り返して行われることができる。磁場への印加は、約10パルス間であってよい。
【0099】
印加される磁場は、真空インタラプタのサイズに依存する。多くの真空インタラプタでは、印加される適当な磁場は、約0.04テスラ~約0.2テスラであってよく、その間の任意の範囲又は値であってよい。イオンは、真空インタラプタ内の金属材料、ゲッター材料及びブレージング材料によって永久的に捕捉され、真空インタラプタ内の圧力を低下させる。印加された磁場と電圧は、磁気調整の終了時に、真空インタラプタから遮断される。
【0100】
真空インタラプタの外部がクリーニングされる(ブロック208b)。このクリーニングは、真空インタラプタの外表面クリーニング用の化学薬品を使用し、真空インタラプタ上の塗料及び外部コーティングを除去し、次いで、真空インタラプタを洗浄することによって行われることができる。
【0101】
真空インタラプタの製造中に真空インタラプタの内部に真空を発生させるために、真空インタラプタのエンドキャップを通るピンチチュープが使用され、そのピンチチューブが存在する場合は、クリーニング後、そのピンチチューブ及び該チューブに連繋されたステムガイドを取り除くが、残った穴は、再調整プロセス中に穴として使用されることができる。幾つかの実施形態では、ピンチチューブが通過したエンドキャップ又は対向するエンドキャップのいずれかに、別の穴を形成することができる。ピンチチューブが存在しない場合には、2つの穴を同じエンドキャップの中に形成することができる。或いはまた、対向するエンドキャップの各エンドキャップの1つずつ形成することもできる。どちらの場合も、真空インタラプタは、そのエンドキャップに合計2つの穴を有する(ブロック210)。幾つかの実施形態では、再調整プロセスを達成するためにエンドキャップに形成する穴は、1つだけでもよいことは理解されるべきである。
【0102】
したがって、この実施形態では、真空インタラプタは、外部がクリーニングされ、その中に2つの穴があり、再調整を開始する準備ができている(ブロック211)。再調整プロセスが開始し、一方の穴を通じて真空インタラプタの真空エンベロープの内部に清浄溶液が送給され、他方の穴から清浄溶液が流出される(ブロック212)。使用される清浄溶液は、メタノール若しくはアセトンなどの化学清浄溶液、又は研磨溶液であってよく、それらの両方であってもよい。
【0103】
このステップの構成は、
図3に示されている。ここで、ポンプ144が、清浄溶液を穴130の中に送給するように構成されている。流出液は、穴132から受ける。粒子カウンタ140は、流出液中の固体粒子をカウントし、このカウントは、クリーニングプロセスが完了したかどうかを判断するために使用されることができる。流出液は、フィルタ142を通って流れる。このフィルタは、取り外し可能で交換可能なフィルタリング要素を有するものであってよい。このフィルタは、流出液から固体粒子を除去する。清浄化された流出液は、フィルタ142からポンプ144に送り返されて、穴130に戻される。幾つかの実施形態において、エンドキャップに形成される穴は1つであり、清浄溶液は、クリーニングステップ212が行われた後、その穴にポンプで送り込まれ、同じ穴から除去される。
【0104】
図示されているように、このプロセス中、真空インタラプタ100は、横向きに置かれているが、立てて置かれることもできる。
【0105】
このクリーニングステップの後、真空エンベロープ及び接点の内表面を再調整するために、任意選択的に、電解研磨が行われる(ブロック213)。この電解研磨は、2つのステップで実行される。
【0106】
最初に、
図4に示されるように、真空インタラプタ100は横向きに置かれる。次に、ある量の第1電解研磨溶液が穴130にポンプで注入される。この第1電解研磨溶液の量は、真空エンベロープ102の内表面を電解研磨するのに十分な量であるが、真空エンベロープ内の接点と接触するレベルにまでは達しない量である。この理由は、第1電解研磨溶液は強力(又は酸性)であるため、接点を損傷させる可能性があるにも拘わらず、真空エンベロープ102の内表面の電解研磨を行うのに、このような強力(又は酸性)の電解研磨溶液が使用されるからである。次に、真空エンベロープ102の内表面の電解研磨は、真空エンベロープ102の内表面全体が清浄化されるように、真空インタラプタ100を回転させながら行われる。
【0107】
電解研磨では、真空エンベロープ102がアノードとして機能し、カソードは穴130の中に挿入される。これは、当業者であれば理解されることである。電解研磨溶液(電解質を含む)の中に浸漬し、電源150から電圧を印加すると、
図5に示されるように電気的に接続される。電流は、アノード(真空エンベロープ102)からカソードに流れ、真空エンベロープ102の内表面にある金属を酸化及び溶解し、真空エンベロープ102の表面を滑らかにする作用を有する。電流計152は、この生成電流を測定し、この生成電流は、コントローラ154の指令の下で、高電圧電源150(例えば、約50kVDC~約100kVDC)が所望のレベル(例えば、約5μA~約20μA)に維持する。
【0108】
真空エンベロープ102の内表面の電解研磨が完了すると、流出液は、穴132を通って流れる。また、幾つかの実施形態では、第1の穴130を通って流れる。
【0109】
第2のステップは、
図5に示されるように、真空インタラプタ100を立てて配置することである。ここで、ある量の第2電解研磨溶液が穴130に送給される。ここでの量は、真空エンベロープ102の中で、接点が第2電解研磨溶液の中に浸漬されるのに十分な量である。第2電解研磨溶液は第1電解研磨溶液よりも強力でない(又は酸性度が低い)ため、接点を損傷することなく電解研磨することができる。電解研磨プロセスが開始されるが、接点が、当該接点を電解研磨するためのアノードとして作用し、流出液は穴132を通って流れる。また、幾つかの実施形態では第1の穴130を通って流れる。
【0110】
ブロック212及びブロック213のステップを実行する代わりに、又はブロック212及びブロック213のステップに加えて、再調整プロセスは、アルゴン、窒素、又はそれらの混合物などの乾燥ガスを、穴130を通って真空インタラプタ100の内部に送給すること(ブロック214)を含むことができる。他の実施形態では、ブロック212、ブロック213、及びブロック214のステップを実行する代わりに、又はそれらブロックのステップに加えて、真空インタラプタ100は、単に、適当な温度で適当な時間、ベイキングされてもよい(ブロック215)。
【0111】
電解研磨又は他の再調整プロセスが完了すると、プラグが穴に挿入される(ブロック216)。これは、
図6に示されるように、プラグ131、133が穴130、132に配備されて穴が密封される。
図7に示されるように、プラグ(プラグ133が示されているが、プラグ131の構造と同じである)は、上プラグ部分135と下プラグ部分139とを含み、上プラグ部分135は、真空エンベロープのエンドキャップを密封し、下プラグ部分139は、幾つかの用途において電力の印加によって活性化され得るゲッター材料を含む。ブレージングフィラーリング137は、上プラグ部分135から下方に延びている。プラグ133は、インサート141に収容される。インサート141は、真空エンベロープ102の中で穴132を構成する開口と接触する。幾つかの実施形態では、プラグ133は、真空エンベロープ102の中で穴132を構成する開口に直接配備される。なお、ゲッター材料は、ガスを吸収して、ガス放出の存在下でも真空エンベロープ102の中で真空のレベルを維持する作用を有することは当業者であれば理解されるであろう。
【0112】
真空プラグ131及び133は、その後、真空エンベロープ102に真空ブレージング又ははんだ付けされ(ブロック218)、それによって、真空エンベロープ102が再び密封され、真空エンベロープ102内部に真空が再び作られ、真空インタラプタ100の再調整が完了する。
【0113】
真空ブレージングプロセスは、真空を確立して、真空エンベロープ102内部の雰囲気を所望の仕様に設定するために真空インタラプタからガスを排気することと、次いで、真空インタラプタが存在する環境の温度を、ブレージングフィラーリング137をブレージングするのに十分であるが、真空エンベロープ102とエンドキャップとの間のブレージングに影響を与えるには十分でない温度まで上昇させることと、を含む。その後、必要に応じて、パージ、温度上昇、及び冷却が行われる。
【0114】
所望により、真空インタラプタは、その後、再び塗装されてもよく、コーティングを追加することもできる。これらのコーティングは、真空エンベロープ102の外表面を形成する材料に応じて、抗腐食性であり得る。所望により、再塗装及びコーティングを行う前に、真空エンベロープの外表面を研磨することもできる。
【0115】
真空インタラプタは次いで試験され(ブロック220)。これらの試験は、作動温度範囲に亘って接点の抵抗測定、ワイプアセンブリにおける真空インタラプタの試験、接点の残存寿命の再チェック、接点抵抗試験の実施、長時間漏れ試験の実施(典型的には、持続時間5~10分)などを含むことができる。
【0116】
真空インタラプタが更なる再調整に適していることがわかった場合(ブロック220)、任意選択的に、接点が開いた状態(ブロック208a)で真空インタラプタに高電圧が適当時間印加される。このステップの構成は、
図8に示されている。ここでは、磁場コイル802が、その接点が開いた状態で真空インタラプタ100の周囲に配置されている(可動接点108は、固定接点106から離間して電気的接触が切断される)。電流計804が、真空インタラプタ100の第1コネクタ116に電気的に接続されている。高電圧源806は、電流計804及び真空インタラプタ100の第2コネクタ118に電気的に接続されている。
【0117】
前述したように、好適な時間は、長時間(典型的には5~10分間、又はそれより長い時間)であってよく、又は短時間(5分未満)であってもよい。電圧は、長時間(典型的には5~10分間、又はそれより長い時間)印加されてもよく、又は短時間(5分未満)の印加でもよい。電圧は、約30分間印加されてもよい。電圧は、約3分間印加されてもよい。
【0118】
電圧は、長時間(典型的には、10~20パルス又はそれよりも長いパルス)又は短時間(5パルス未満)の印加が、繰り返して行われることができる。電圧は、約10パルス間、印加されることができる。
【0119】
印加される電圧は、真空インタラプタのサイズに依存する。印加される電圧は、約5kVDC~約100kVDCであってよく、その間の任意の範囲又は値であってよい。印加される電圧は、約50kVDC~約100kVDCであってよく、その間の任意の範囲又は値であってよい。多くの真空インタラプタでは、印加される適当な電圧は、約5kVDC~約25kVDCであってよく、その間の任意の範囲又は値であってよい。高電圧は真空インタラプタ内のガス分子をイオン化する。
【0120】
真空インタラプタには、強い磁場が適当な時間印加され(ブロック208a)、イオンを移動させて、開放接点を流れる電流を発生させる。適当な時間は、長時間(典型的には5~10分以上の持続)であってよく、短時間(5分未満)であってもよい。印加される磁場は、長時間(典型的には、持続時間が5~10分又はそれ以上)であってよく、又は短時間(5分未満)であってもよい。磁場への印加は、約30分であってよい。磁場への印加は、約3分であってもよい。
【0121】
磁場は、長時間(典型的には約10~20パルスの持続又はそれ以上)又は短時間(5パルス未満)の印加が、繰り返して行われることができる。磁場は、約10パルス間、印加されることができる。
【0122】
印加される磁場は、真空インタラプタのサイズに依存する。多くの真空インタラプタでは、印加される適当な磁場は、約0.04テスラ~約0.2テスラであってよく、その間の任意の範囲又は値であってよい。イオンは、真空インタラプタ内の金属材料、ゲッター材料及びブレージング材料によって永久的に捕捉され、真空インタラプタ内の圧力を低下させる。印加された磁場と電圧は、任意選択的な長時間の磁気調整の終了時に、真空インタラプタから遮断され、方法が完了する(ブロック222)。
【0123】
<実施例1>
事例研究は、20年以上前の2台の高圧真空インタラプタについて行なった。これらの真空インタラプタは、摩耗の兆候が見られず、異常な腐食や誤使用の兆候も見られなかったため、再調整に適していた。さらに、ブレーカーの開閉動作回数は1000回よりも少なかった。元の試験データでは、真空インタラプタのイオン電流は約2.4E-04Aであり、内部圧力は約-2Paであった。真空インタラプタは1年間保存され、漏れ量が許容できるものであったことを検証するために再試験を行い、寿命圧力のシミュレーションプロトコルに付した。完全性を確認するために、真空インタラプタの完全性を確認するために3回目の試験を行なった。真空インタラプタを再調整に付した。真空インタラプタのサイズに応じて、適当な電圧(例えば、約50kVDC~約100kVDC)を真空インタラプタに印加した。また、真空インタラプタのサイズに応じて、適当な磁場(例えば、約0.04テスラ~約0.2テスラ)を真空インタラプタに印加した。磁場は、1パルスあたり約3分間印加し、10パルスの間、繰り返し印加した。いずれの真空インタラプタについても、10パルスの各パルスにイオン電流を測定し、測定結果を次の表に記録した。
【0124】
【0125】
次に、真空インタラプタを5年間使用した場合をシミュレートした加速寿命サイクルガス試験を実施したところ、内圧に変化は無かった。その後、実使用時における金属からのガス放出をシミュレートして、15キロジュールのフル定格電圧で100回の通常開閉動作を行なった。
【0126】
図9は、50D1型シリアル番号26019の真空インタラプタのイオン電流(A)対パルスのグラフであって、各パルスでのイオン電流/内部圧力の低下を示している。
図10は、50B1型シリアル番号25102の真空インタラプタのイオン電流(A)対パルスのグラフであって、各パルスでのイオン電流/内部圧力の低下を示している。これらの結果は好ましいものである。
【0127】
<実施例2>
別の事例研究は、20年以上前の3台の高圧真空インタラプタについて行なった。これらの真空インタラプタは、イオン電流が非常に高く、内部圧力が高いことを示していた。3つの真空インタラプタについて、イオン電流/内部圧力を追跡し、3年近くの期間に亘って定期的に再調整を行なった。真空インタラプタの大きさに応じて、適当な電圧(例えば、約50kVDC~約100kVDC)を真空インタラプタに印加した。また、真空インタラプタの大きさに応じて、適当な磁場(例えば、約0.04テスラ~約0.2テスラ)を真空インタラプタに印加した。3つの真空インタラプタについて、イオン電流、生成電流及び抵抗を測定し、各試験日の測定結果を次の表に記録した。
【0128】
【0129】
図11は、44B1型シリアル番号56868、56665及び56777の試験日対イオン電流(A)のグラフであり、各試験日におけるイオン電流/内圧の低下を示している。
図12は、44B1型シリアル番号56868、56665及び56777の試験日対生成電流(μA@36kVDC)のグラフであり、
図13は、44B1型シリアル番号56868、56665及び56777の試験日対抵抗(μΩ)のグラフである。これらの結果は良好である。
【0130】
これらの方法を使用することにより、高経年真空インタラプタが再調整されることができ、耐用年数を50~100年又はそれ以上にまで延ばすことができる。これは、コスト削減に役立つだけでなく、交換用真空インタラプタを容易に入手できない場合に生じる長いダウンタイムを回避することができる。
【0131】
本明細書に記載された実施形態及び実施例は、本発明及びその実用的用途を最も良く説明し、それによって当業者が本発明を製造し、利用できるようにするために提供される。しかしながら、当業者であれば、上記の説明及び実施例は、例示目的のためだけに提供されるものであることを認識するであろう。また、記載された説明は、網羅することを意図したものではなく、また本発明を開示された正確な形態に限定することを意図したものではない。以下の特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱することなく、上記の教示に照らして、多くの変更及び変形が可能である。本発明は、以下の特許請求の範囲及びそれらの同等物と同じ広さを有することを意図するものである。
【0132】
<定義>
本明細書で使用される“a”、“an”、“the”及び“said”という用語は、文脈で他の指示がなければ、1つ又は複数を意味する。
本明細書で使用される「約」という用語は、測定方法が示されていない場合には、記載された値に、±誤差幅、又は±10%のあることを意味する。
本明細書で使用される「又は」という用語は、代替のみを指すことが明示的に示されていない場合、又は代替が相互に排他的である場合を除き、「及び/又は」を意味する。
【0133】
本明細書で使用される「comprising」、「comprises」、及び「comprise」という用語は、その用語の前に記載された事項から、その用語の後に記載された1又2以上の要素に移行するために使用される非限定型の移行句であり、移行句の後に記載された1つ又は複数の要素が、前記事項を構成する唯一の要素であるとは限らない場合に用いられる。
本明細書で使用される「containing」、「contains」、及び「contain」という用語は、上記の「comprising」、「comprises」、及び「comprise」と同じ非限定型(open-ended)の移行句を意味する。
本明細書で使用される「having」、「have」、及び「have」という用語は、上記の「comprising」、「comprises」、及び「comprise」と同じ非限定型の移行句を意味する。
本明細書で使用される「including」、「includes」及び「include」という用語は、上記の「comprising」、「comprises」、及び「comprise」と同じ非限定型の移行句を意味する。
【0134】
本明細書で使用される「consisting of」という用語は、その用語の前に記載された事項から、その用語の後に記載された1又は2以上の材料要素に移行するために使用するために使用される限定型移行句であり、移行句の後に記載された1つ又は複数の材料要素が、前記事項を構成する唯一の材料要素である場合に用いられる。
本明細書で使用される「同時に」という用語は、同時に又はほぼ同時に発生することを意味する。
【0135】
<参照による組込み>
本明細書に引用された全ての特許及び特許出願、文献、レポート、及びその他の文書は、本発明と矛盾しない範囲において、参照により本明細書に組み込まれるものとする。