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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】撮像データから導出される運動信号
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
G01T1/161 D
G01T1/161 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020554104
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 US2019024211
(87)【国際公開番号】W WO2019195044
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】62/652,942
(32)【優先日】2018-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593063105
【氏名又は名称】シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Siemens Medical Solutions USA,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】特許業務法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】シュライヤー,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ホン,インキ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,ジャドソン ピー.
【審査官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/046674(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0185758(US,A1)
【文献】特開2005-177212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/161-1/166
A61B 6/00-6/14
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的な床運動の取得のために画像データから周期的な運動信号を導出する、コンピュータを用いて実施される方法であって、
3次元画像量を時系列的に取得することと、
前記3次元画像量のそれぞれの分布の測定を通して、第1の運動信号を推定することと、
前記3次元画像量の前記時系列を、所定の大きさで互いに重なり合う複数の軸区間に分割することであって、前記軸区間のそれぞれが所定の長さを有することと、
周期的な運動を受ける前記複数の3次元画像量の位置を特定するために、前記軸区間のそれぞれに対してスペクトル分析を行うことと、
3次元マスクを得るために、前記軸区間のそれぞれに対して位相最適化を行うことと、
前記3次元画像量の前記時系列と前記3次元マスクとを通して第2の運動信号を推定することであって、前記第2の運動信号は、周期的な運動信号勾配の極性と前記周期的運動の方向との間に一貫した関係を有することと、
前記第1の運動信号と前記第2の運動信号とに基づいて、最終的な運動信号を推定することと、
の各ステップを含む、方法。
【請求項2】
さらに、所定の周波数範囲内で前記第1の運動信号の優性運動周波数を識別することと、
前記優性運動周波数を用いて、前記軸区間のそれぞれに対して前記スペクトル分析を行うことと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、前記3次元画像量の前記時系列を互いに重なり合う複数の軸区間に分割する前に、前記3次元画像量の前記時系列に対して空間フィルタを適用すること、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、前記スペクトル分析では、前記軸区間のそれぞれについて位相重み付けマスクを作成することと、
前記位相最適化では、前記位相重み付けマスクの重なり合う区間の間の差を最小にするように、前記位相重み付けマスクのそれぞれについて最適な位相シフト角を計算することと、
前記位相重み付けマスクのすべてを組み合わせて、前記3次元マスクを形成することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の運動信号を推定するステップでは、さらに、
前記3次元マスクを、前記3次元画像量の前記時系列でかけ合わせることと、
得られた前記3次元画像量を合計して、前記第2の運動信号を推定することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記最終的な運動信号を推定するステップは、さらに、
前記第1の運動信号を用いて、前記最終的な運動信号に関する前記周期的な運動の方向を決定すること、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
さらに、前記最終的な運動信号を正規化することと、
前記最終的な運動信号の振幅における時間的変動を補正するために最適なゲートを得ることであって、この際、前記最適なゲートは、前記最終的な運動信号の取得時間の所定の割合をカバーする最小の振幅範囲であることと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記最終的な運動信号を正規化するステップは、さらに、
前記最終的な運動信号にスプラインを当てはめることにより、前記最終的な運動信号の周波数ドリフトを除去することと、
前記最終的な運動信号から前記スプラインを差し引くことと
前記最終的な運動信号の前記振幅を正規化することと、
前記最終的な運動信号に対してベースライン補正を行うことと、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記周期的な運動が呼吸運動または心臓運動である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
連続的な床運動の取得のために撮像データから周期的な運動信号を導出するためのシステムであって、
3次元画像量を時系列的に取得するための撮像スキャナと、コンピュータシステムとを含み、この際、前記コンピュータシステムは、
前記3次元画像量のそれぞれの分布の測定を通して第1の運動信号を推定することと、
前記3次元画像量の前記時系列に対して空間フィルタを適用して、複数のフィルタ処理された3次元画像量を生成することと、
前記フィルタ処理された3次元画像量を、所定の大きさで互いに重なり合う複数の軸区間に分割することであって、前記軸区間のそれぞれは所定の長さを有することと、
周期的な運動を受ける複数の3次元画像量の位置を特定するために、前記軸区間のそれぞれに対してスペクトル分析を行うことと、
前記軸区間のそれぞれに対して位相最適化を行って、3次元マスクを得ることと、
前記3次元画像量の前記時系列と前記3次元マスクとを通して第2の運動信号とを推定することであって、この際、前記第2の運動信号は、前記周期的な運動の方向と前記周期的な運動信号勾配の極性との間に一貫した関係を有することと、
前記第1の運動信号と前記第2の運動信号とに基づいて最終的な運動信号を推定することであって、前記最終的な運動信号に関する前記周期的な運動の方向は、前記第1の運動信号によって決定されることと、
を行うように構成される、
システム。
【請求項11】
前記コンピュータシステムはさらに、
所定の周波数範囲内で前記第1の運動信号の優性運動周波数を識別することと、
前記優性運動周波数を用いて、前記軸区間のそれぞれに対してスペクトル分析を行うことと、
を行うように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記コンピュータシステムはさらに、
前記スペクトル分析において、前記軸区間のそれぞれについて位相重み付けマスクを作成することと、
前記位相最適化において、前記位相重み付けマスクの重なり合う区間の間の差を最小にするために、前記位相重み付けマスクのそれぞれについて最適な位相シフト角を計算することと、
前記3次元マスクを形成するために、前記位相重み付けマスクのすべてを組み合わせることと、
を行うように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記コンピュータシステムはさらに、
前記3次元マスクを、フィルタ処理された3次元画像量でかけ合わせることと、
得られた前記3次元画像量を合計して、前記第2の運動信号を推定することと、
を行うように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記コンピュータシステムはさらに、
前記最終的な運動信号を正規化することと、
前記最終的な運動信号の振幅における時間的変動を補正するために最適なゲートを得ることであって、前記最適なゲートは、前記最終的な運動信号の取得時間の所定の割合をカバーする最小の振幅範囲であることと、
を行うように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記コンピュータシステムはさらに、
前記最終的な運動信号に対してスプラインを当てはめることにより、前記最終的な運動信号の周波数ドリフトを除去することと、
前記最終的な運動信号からスプラインを差し引くことと、
前記最終的な運動信号の振幅を正規化することと、
前記最終的な運動信号に対してベースライン補正を行うことと、
を行うように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
連続的な床運動の取得のために撮像データから呼吸信号を導出するための製品であって、コンピュータ実行可能指示を保持する非一時的な有形のコンピュータ可読媒体を含み、前記コンピュータ実行可能指示による方法によって、
3次元画像量を時系列的に取得することと、
前記3次元画像量のそれぞれの分布の測定を通して第1の呼吸信号を推定することと、
前記3次元画像量の前記時系列に対して空間フィルタを適用して、複数のフィルタ処理された3次元画像量を生成することと、
前記フィルタ処理された3次元画像量を、所定の大きさで互いに重なり合う複数の軸区間に分割することであって、前記軸区間のそれぞれは所定の長さを有することと、
前記軸区間のそれぞれに対してスペクトル分析を行って、呼吸運動を受ける複数の3次元画像量の位置を特定することと、
前記軸区間のそれぞれに対して位相最適化を行って、3次元マスクを得ることと、
前記3次元画像量の前記時系列と前記3次元マスクとを通して第2の呼吸信号を推定することであって、前記第2の呼吸信号は、呼吸運動の方向と呼吸信号勾配の極性との間に一貫した関係を有することと、
前記第1の呼吸信号と前記第2の呼吸信号とに基づいて最終的な呼吸信号を推定することと、
が行われる、製品。
【請求項17】
前記方法はさらに、
前記3次元マスクを、前記フィルタ処理された3次元画像量でかけ合わせることと、
得られた前記3次元画像量を合計して、前記第2の呼吸信号を推定すること、
を含む、請求項16に記載の製品。
【請求項18】
前記方法はさらに、
前記最終的な呼吸信号を正規化することと、
前記最終的な呼吸信号の振幅における時間的変動を補正するための最適なゲートを得ることであって、前記最適なゲートは、前記最終的な呼吸信号の取得時間の所定の割合をカバーする最小の振幅範囲であることと、
を含む、請求項16に記載の製品。
【請求項19】
前記方法はさらに、
前記最終的な呼吸信号に対してスプラインを当てはめることによって、前記最終的な呼吸信号の周波数ドリフトを除去することと、
前記最終的な呼吸信号から前記スプラインを差し引くことと、
前記最終的な呼吸信号の振幅を正規化することと、
前記最終的な呼吸信号に対してベースライン補正を行うことと、
を含む、請求項18に記載の製品。
【請求項20】
少なくとも2つの前記軸区間は異なる長さを有し、隣接する前記軸区間の少なくとも2つの対が異なる大きさで重なり合う、請求項16に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
「関連出願の相互参照」
本出願は、2018年4月5日に出願された米国仮出願第62/652,942号に基づく優先権を主張するものであり、上記仮特許出願の開示内容を参照により本明細書に援用するものである。
【0002】
本発明は、概して、撮像データから運動信号を導出するための方法、システム、および製品に関する。例えば、撮像データは、連続的な床運動(CBM:continuous bed motion)と共に、陽電子放出断層撮影(PET:positronemission tomography)の撮像取得からのリストモードのデータである。
【背景技術】
【0003】
呼吸運動などの人間の運動は、PET撮像中の重大な画像劣化の原因であると広く捉えられている。PET画像取得中に、呼吸により誘発される運動によって、画像の分解能は損失を被る虞がある。さらに、複合型のPET-コンピュータ断層撮影(CT:computed tomography)撮像または複合型のPET-磁気共鳴映像法(MRI:magnetic resonance imaging)撮像では、PET画像とCT(またはMRI)画像との間に起こり得る空間的不整合(ミスマッチ)によって、PETでの誤った減衰補正と局所化の不正確さの両方が生じる虞がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
データ・ドリブン・ゲーティング(DDG:data-driven gating)法は、取得したPETデータから直接的に、運動信号、例えば呼吸曲線を推定するため、ハードウェアに基づく呼吸監視装置の必要性をなくすとともに、操作者による相互作用の必要性をなくした、呼吸運動補正方法を可能にしている。しかしながら、呼吸曲線勾配の極性(すなわち、信号振幅の増加または信号振幅の減少)と身体運動の方向との間の恣意的な関係によって、複数のベッド(床)位置の間で予測不能に反転する虞があるため、従前のDDG方法を、複数のベッド位置のPET画像に確実に拡張することができなかった。このため、従前の方法では、典型的に1つ以上のPETベッド位置に関して取得される腫瘍学的なPET撮像には適用できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る実施形態では、連続的な床(ベッド)運動の取得のために、撮像データ(画像データ)から周期的な運動(モーション)信号を導出するための、コンピュータを用いて実施される方法を提供する。このコンピュータ実施方法は、3次元画像量(ボリューム)を時系列的に取得するステップと;3次元画像量のそれぞれの分布の測定を通して、第1の運動信号を推定するステップと;3次元画像量の時系列を、所定の大きさで互いに重なり合う複数の軸区間(axial section)に分割するステップであって、軸区間のそれぞれが所定の長さを有するステップと;周期的な運動を受ける(周期的な運動の対象である)複数の3次元画像量の位置を特定するために、軸区間のそれぞれに対してスペクトル分析を行うステップと;3次元マスクを得るために、軸区間のそれぞれに対して位相最適化を行うステップと;3次元画像量の時系列と3次元マスクとを通して第2の運動信号を推定するステップであって、第2の運動信号は、周期的な運動信号勾配の極性と周期的な運動の方向との間に一貫した関係を有するステップと;第1の運動信号と第2の運動信号とに基づいて、最終的な運動信号を推定するステップと、を含む、コンピュータ実施方法を提供する。
【0006】
他の実施形態では、さらに、所定の周波数範囲内で第1の運動信号の優性(主要な)運動周波数を識別するステップと;優性運動周波数を用いて、軸区間のそれぞれに対してスペクトル分析を行うステップとを含む、コンピュータ実施方法を提供する。
【0007】
他の実施形態では、さらに、3次元画像量の時系列を互いに重なり合う複数の軸区間に分割する前に、3次元画像量の時系列に対して空間フィルタ(spatial filter)を適用するステップを含む、コンピュータ実施方法を提供する。
【0008】
他の実施形態では、さらに、スペクトル分析では、軸区間のそれぞれについて位相重み付けマスクを作成するステップと;位相最適化では、位相重み付けマスクの重なり合う区間の間の差を最小にするように、位相重み付けマスクのそれぞれについて最適な位相シフト角を計算するステップと;位相重み付けマスクのすべてを組み合わせて、3次元マスクを形成するステップとを含む、コンピュータ実施方法を提供する。
【0009】
他の実施形態では、さらに、第2の運動信号を推定するステップは、3次元マスクを、3次元画像量の時系列でかけ合わせるステップと、得られた3次元画像量を合計して、第2の運動信号を推定するステップとをさらに含む、コンピュータ実施方法を提供する。
【0010】
他の実施形態では、さらに、最終的な運動信号を推定するステップは、第1の運動信号を用いて、最終的な運動信号に関する周期的な運動の方向を決定するステップをさらに含む、コンピュータ実施方法を提供する。
【0011】
他の実施形態では、さらに、最終的な運動信号を正規化するステップと;最終的な運動信号の振幅における時間的変動を補正するために最適なゲートを得るステップとを含み、この際、最適なゲートは、最終的な運動信号の取得時間の所定の割合(フラクション)をカバーする最小の振幅範囲である、コンピュータ実施方法を提供する。
【0012】
他の実施形態では、さらに、最終的な運動信号を正規化するステップは、さらに、最終的な運動信号にスプラインを当てはめることによって最終的な運動信号の周波数ドリフトを除去するステップと;最終的な運動信号からスプラインを差し引くステップと;最終的な運動信号の振幅を正規化するステップと;最終的な運動信号に対してベースライン補正を行うステップとを含む、コンピュータ実施方法を提供する。
【0013】
他の実施形態では、さらに、周期的な運動が呼吸運動または心臓運動である、コンピュータ実施方法を提供する。
【0014】
本発明に係る他の実施形態では、連続的な床運動の取得のために撮像データから周期的な運動信号を導出するためのシステムを提供し、該システムは、3次元画像量を時系列的に取得するための撮像(画像化)スキャナと、コンピュータシステムとを有し、このコンピュータシステムは、3次元画像量のそれぞれの分布の測定を通して第1の運動信号を推定することと;3次元画像量の時系列に対して空間フィルタを適用して、複数のフィルタ処理された3次元画像量を生成することと;フィルタ処理された3次元画像量を、所定の大きさで互いに重なり合う複数の軸区間に分割することであって、この際、軸区間のそれぞれは所定の長さを有することと;周期的な運動を受ける複数の3次元画像量の位置を特定するために、軸区間のそれぞれに対してスペクトル分析を行うことと;軸区間のそれぞれに対して位相最適化を行って、3次元マスクを得ることと;3次元画像量の時系列と3次元マスクとを通して第2の運動信号を推定し、この際、第2の運動信号は、周期的な運動の方向と周期的な運動信号勾配の極性との間に一貫した関係を有することと;第1の運動信号と第2の運動信号とに基づいて最終的な運動信号を推定することであって、この際、最終的な運動信号に関する周期的な運動の方向は、第1の運動信号によって決定されることを含む、システムを提供する。
【0015】
他の実施形態では、さらに、コンピュータシステムは、所定の周波数範囲内で第1の運動信号の優性運動周波数を識別することと;優性運動周波数を用いて、軸区間のそれぞれに対してスペクトル分析を行うことを含むように構成される、連続的な床運動の取得のための撮像データから周期的な運動信号を導出するためのシステムを提供する。
【0016】
他の実施形態では、さらに、コンピュータシステムは、スペクトル分析において、軸区間のそれぞれについて位相重み付けマスクを作成することと;位相最適化において、位相重み付けマスクの重なり合う区間の間の差を最小にするために、位相重み付けマスクのそれぞれについて最適な位相シフト角を計算するステップと;3次元マスクを形成するために、位相重み付けマスクのすべてを組み合わせるステップとを含むように構成される、連続的な床動作取得のために撮像データから周期的な運動信号を導出するためのシステムを提供する。
【0017】
他の実施形態では、さらに、コンピュータシステムは、3次元マスクを、フィルタ処理された3次元画像量でかけ合わせることと;得られた3次元画像量を合計して、第2の運動信号を推定するようにさらに構成される、連続的な床動作取得のために撮像データから周期的な運動信号を導出するためのシステムを提供する。
【0018】
他の実施形態では、さらに、コンピュータシステムは、最終的な運動信号を正規化することと;最終的な運動信号の振幅における時間的変動を補正するために最適なゲートを得ることであって、この際、最適なゲートは、最終的な運動信号の取得時間の所定の割合をカバーする最小の振幅範囲として構成される、連続的な床動作取得のために撮像データから周期的な運動信号を導出するためのシステムを提供する。
【0019】
他の実施形態では、さらに、コンピュータシステムは、最終的な運動信号に対してスプラインを当てはめることにより、最終的な運動信号の周波数ドリフトを除去することと;最終的な運動信号からスプラインを差し引くことと;最終的な運動信号の振幅を正規化することと;最終的な運動信号に対してベースライン補正を行うこととを、さらに行うように構成される、連続的な床動作取得のために撮像データから周期的な運動信号を導出するためのシステムを提供する。
【0020】
本発明に係る他の実施形態は、連続的な床運動の取得のために撮像データから呼吸信号を導出するための製品を提供するが、該製品は、コンピュータ実行可能指示を保持する、非一時的な(non-transitory)、有形のコンピュータ可読媒体(メディア)を含み、このコンピュータ実行可能指示による方法によって、3次元画像量を時系列的に取得することと:3次元画像量のそれぞれの分布の測定を通して第1の呼吸信号を推定することと;3次元画像量の時系列に対して空間フィルタを適用して、複数のフィルタ処理された3次元画像量を生成することと;フィルタ処理された3次元画像量を、所定の大きさで互いに重なり合う複数の軸区間に分割することであって、軸区間のそれぞれは所定の長さを有することと;軸区間のそれぞれに対してスペクトル分析を行って、呼吸運動を受ける複数の3次元画像量の位置を特定することと;軸区間のそれぞれに対して位相最適化を行って、3次元マスクを得ることと;3次元画像量の時系列と3次元マスクとを通して第2の呼吸信号を推定することであって、この第2の呼吸信号は、呼吸運動の方向と呼吸信号勾配の極性との間に一貫した関係を有することと;第1の呼吸信号と第2の呼吸信号とに基づいて最終的な呼吸信号を推定することとを含む、製品を提供する。
【0021】
他の実施形態では、さらに、上記方法は、3次元マスクを、フィルタ処理された3次元画像量でかけ合わせることと;得られた3次元画像量を合計して、第2の呼吸信号を推定することとをさらに含む、連続的な床運動取得のために撮像データから呼吸信号を導出するための製品を提供する。
【0022】
他の実施形態では、さらに、上記方法は、最終的な呼吸信号を正規化することと;最終的な呼吸信号の振幅における時間的変動を補正するための最適なゲートを得ることとを含み、この際、最適なゲートは、最終的な呼吸信号の取得時間の所定の割合をカバーする最小の振幅範囲である、連続的な床運動取得のために撮像データから呼吸信号を導出するための製品を提供する。
【0023】
他の実施形態では、さらに、上記方法は、最終的な呼吸信号に対してスプラインを当てはめることによって、最終的な呼吸信号の周波数ドリフトを除去することと;最終的な呼吸信号からスプラインを差し引くことと;最終的な呼吸信号の振幅を正規化することと;最終的な呼吸信号に対してベースライン補正を行うこととを含む、連続的な床運動取得のために撮像データから呼吸信号を導出するための製品を提供する。
【0024】
他の実施形態では、さらに、少なくとも2つの軸区間は異なる長さを有し、隣接する軸区間の少なくとも2つの対は異なる大きさで重なり合う、連続的な床運動取得のために撮像データから呼吸信号を導出するための製品を提供する。
【0025】
本発明に係る他の実施形態は、撮像データから運動信号を導出する方法をさらに提供し、該方法は、3次元画像量を時系列的に取得することと;3次元画像量の時系列に基づいて運動信号を生成することと;運動信号の振幅における時間的変動を補正するために最適なゲートを得ることとを含み、この際、最適なゲートは、運動信号の取得時間の所定の割合をカバーする最小の振幅範囲である、方法を提供する。
【0026】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付図面を参照して後述される例示的な実施形態についてのより詳細な説明から明らかになるであろう。
本発明の上記態様及び他の態様は、添付図面を参照しながら、以下の詳細な説明から最もよく理解できるであろう。本発明を例示するため、好適な実施形態が図示されるが、本発明は例示された特定の内容に限定されないことを理解されたい。図面には以下の図が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本開示内容の幾つかの実施形態に使用されるPETスキャナ用のシステムを示す図である。
図2図2は、本開示内容の幾つかの実施形態に従って、撮像データから運動信号を導出するための方法を示すフローチャートである。
図3図3は、A~Cに分けて、本開示内容の幾つかの実施形態に従って、図2の方法の幾つかのステップで推定される運動信号の3つのダイアグラムを示す図である。
図4図4は、本開示内容の幾つかの実施形態に従って、撮像データから運動信号を導出するための方法を示す別のフローチャートである。
図5図5は、AおよびBに分けて、本開示内容の幾つかの実施形態に従って、運動信号を正規化する2つのダイアグラムを示す図である。
図6図6は、AおよびBに分けて、本開示内容の幾つかの実施形態に従って、運動信号の最適なゲートの位置を特定する2つのダイアグラムを示す図である。
図7図7は、本開示内容の実施形態を実装できる例示的なコンピューティング環境を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、画像データ(例えば、PET画像データ、MRI画像データ、CT画像データ、単一光子放射断層撮影(SPECT:single photon emission computerized tomography)画像データ、または他の撮像(画像化)モダリティ(modality)データ)から、運動信号(モーション・シグナル)を導出することに関する方法、システム、および製品(物品)についての幾つかの実施形態を説明する。より詳細には、これら方法、システム、および製品は、全身(whole body)PETの取得PETデータから直接的に、周期的な運動信号(例えば、呼吸信号、心臓運動信号)を推定するために、連続的な床運動(CBM:continuous bed motion)取得モードを用いるとともに、運動(例えば、息を吸う、または息を吐く)の方向と一致する運動信号勾配の極性を用いる。
【0029】
本発明の種々の実施形態によれば、後述するように、リストモード形式(list modeformat)でのデータ取得は、空間的にフィルタ処理された飛行時間(ToF)量の時系列に変換されて、Y方向(すなわち、ヒトの解剖学的構造の前後方向)における経時的に変化する前後(AP:anterior-posterior)変位を計算することによって、呼吸信号(すなわち、最初の呼吸信号)の初期推定値が得られる。次に、全取得範囲を、上下(superior-inferior)方向に沿った一連の重複した短軸区間(セクション)に分割する。一連の軸区間は、スペクトル分析の対象となり、最初の呼吸信号から得られた優性呼吸周波数で初期化される。スペクトル分析では、軸区間を結合するために位相最適化プロセスが用いられて、取得範囲を通して、運動の物理的方向と呼吸信号勾配の極性との間に一貫した関係を有する第2の推定呼吸信号が生成される。次に、最初の呼吸信号によって識別された運動方向と信号勾配の極性との間の明確な関係を用いて、最終的に推定された呼吸信号が得られる。
【0030】
一実施形態では、最終的に推定された呼吸信号が正規化されて、適応性のあるゲーティング(ゲート化)法が用いられて、呼吸信号の形状および振幅(大きさ)の時間的変動を補正して、軸方向に均一なノイズを伴うゲート化された呼吸信号を生成する。
【0031】
本発明の方法、システム、および製品は、2つの独立して導出された呼吸信号(すなわち、第1の呼吸信号および第2の呼吸信号)を組み合わせて、取得結果を重複する軸区間に分離して、画像取得を通して運動方向と最終的な呼吸信号勾配の極性との間の一貫した関係を確保する。
【0032】
図1は、本開示内容の幾つかの実施形態で使用されるPETシステム100の一例を示している。PETシステム100は、一般に、撮像スキャナ(画像化スキャナ)102およびPET処理システム108を備えることができる。撮像スキャナ102は、被験者106、例えば患者の周囲に円形に配置された複数の検出器104を含む。検出器104は、円筒形状構造の内面側に配置されており、被検体106がその円筒形状内に配置されると、検出器104が被験者106を全側面から取り囲めるようにしている。検出器104の各々は、さらに、被検体106の周囲で回転可能にされていてもよい。本開示内容では、検出器104は長方形状の形態で示されているが、当業者であれば、本開示内容の範囲から逸脱することなく、検出器104は任意の形状を取り得ることを理解できるであろう。
【0033】
被験者106のPET画像を得るために、まず放射性医薬品が被験者106内に注入される。放射性医薬品は、グルコース代謝等のような、患者の体内で関心のある分子またはプロセスと相互作用する標的(ターゲット)化態様を含む。放射性医薬品には、陽電子(ポジトロン)放出の放射性医薬品も含まれる。放出された陽電子は、近くの原子からの電子(エレクトロン)と衝突して、陽電子と電子は消滅する。この消滅の結果、反応ラインに沿って、実質的に反対方向に、二つの異なる光子が放出される。これら光子は、両方とも実質的に同じ速度で移動する。検出器104は、各光子の検出時間などの、光子に関連するPET撮像データ(画像化データ)とともに、これら光子を記録する。
【0034】
PET撮像スキャナ102は、検出器104によって記録されたPET撮像データをPET処理システム108に送る。この実施形態では、PET撮像スキャナ102およびPET処理システム108は、別々のシステムとして図示されて、説明されている。ただし、別の実施形態では、PET撮像スキャナ102およびPET処理システム108は、単一の一体型システムの一部であってもよい。PET撮像データは、画像処理装置(イメージ・プロセッサ)110に送られて、リストモード形式でメモリ(記憶装置)112内に記憶される。画像処理装置110はPET撮像データを処理して、撮像対象(被験者)106の画像を生成する。この結果として得られる画像は、画像処理装置110と関連付けられたディスプレイ(表示装置)114上に表示できる。ディスプレイ114上の表示結果の画像をユーザが操作できるように、キーボードおよび/またはマウス装置などのユーザ入力装置116が備えられていてもよく、例えば、画像の拡大縮小、画像の回転などの操作を可能にする。
【0035】
図1に示されるように、PET処理システム108は、さらに、消滅が生じた反応の各ラインに沿った位置を計算するように構成された、飛行時間(ToF)装置118を含み、それによって、PET画像再構成の解像度を向上させている。一致した光子の各々が検出器104によって検出される正確な時間が記録される。より近い光子が最初にその検出器に到達するために、到達時間の違いが、反応ラインに沿った消滅事象の位置を突き止めるのに役立つ。図1に示すPETシステム100を用いて、ToF-PETスキャンが実施されている。
【0036】
図2には、本開示内容の幾つかの実施形態に従って、取得データから推定された呼吸信号(respiratorysignal)を導出する方法がフローチャートで示されている。なお、PETシステム100は本開示内容の方法を実施するための一例として用いられているが、この方法は、SPECT、MRI、およびCT等の他の撮像モダリティ(ただし、これらに限定されない)に容易に適用可能なことに留意されたい。
【0037】
ステップ202では、ToF取得データを3D画像量(3Dイメージ・ボリューム)の時系列的に投影させるが、各3D画像量は、デカルト座標系(すなわち、(x,y,z))で表される。
【0038】
当該技術分野で一般的に理解されているように、PET撮像において、撮像スキャナ102は、陽電子放出の放射性核種によって間接的に放出されるガンマ線の対を検出する。陽電子が電子によって消滅するとき、二つのガンマ光子が同時に生成して、それぞれ、ほぼ反対方向に進む。ガンマ光子は、一対の反対側に配置された放射線検出器104によって検出されるが、放射線検出器104は、ガンマ光子とシンチレーション結晶との相互作用に応じて信号を生成する。
【0039】
ToF装置118は、陽電子の消滅の事象から生じる2つのガンマ光子の検出時間の差Δtを測定する。この測定は、消滅事象を応答ライン(LOR:line(s) of response)に沿って局所化することを可能にする。この近似的な局所化は、ランダムな一致割合を減らして、信号の信号対ノイズの割合(SNR:signal to noise ratio)を改善するのに有効であるが、特に大型の物体を撮像する場合に有効である。このように、ToF-PETでは、「ToF」座標、Δtは、光子対を検出する2つの結晶の位置と共に保存(記憶)される。Δtを含むToF PETデータと、その位置は、リストモード形式で取得されて、保存される。リストモード処理により、デジタル化された信号は、「タイム・マーク」を用いて符号化(コード化)されるが、それらは生成時に順番に受け取られて、個々の事象として保存される。ToFウインドウ(ToF窓)の中心に位置する単一ボクセル内に各LORを配置することにより、デカルト座標(「デカルトボリューム」とも呼ばれる)を有する3D画像量の時系列中に、ToF PETデータが投影される。
【0040】
ステップ204では、図3Aを参照すると、第1の呼吸信号が推定される。Y方向(前後(A-P)軸)での各3Dデカルト量の分布の測定(例えば、標準偏差、半値全幅測定等)が算出されて、デカルト量の分布のすべての測定値が用いられて、時間曲線(分布対時間の曲線、例えば、標準偏差対時間の曲線)、すなわち最初の呼吸信号を生成する。この時間曲線は、PETデータが取得される間の被験者の呼吸の推定を提供する。分布の測定は、一組のデータ値の変動または分散の量を定量化する任意の測定でもよい。分布の測定には、標準偏差、または半値全幅測定等がある。次の数式1は、デカルト量の標準偏差を例示している。
【0041】
【数1】
【0042】
上記数式1では、rsd(t)は、最初の呼吸信号、「P」は、時間tにおける3Dデカルト量、「s.d.」は、標準偏差オペレータ(演算子)を示している。すべてのデカルト量の標準偏差は、Y方向(前後軸)の活動分布を反映しており、例えば、被験者106(例えば、患者)が息を吸い込むと、腹部は膨張して、標準偏差が増加する一方、被験者106が息を吐き出すと、腹部が収縮して、標準偏差が減少する等である。したがって、最初の呼吸信号勾配の極性は、腹部の運動の方向(すなわち、息を吸う、または息を吐く)を明確に示すことができる。しかし、最初の呼吸信号は、特に、所定の解剖学的領域では正確性に欠けることがある。例えば、腹壁は、呼吸中に、例えば、胸部よりも、より前後の動きを受けている。このように、最初の呼吸信号は、胸部領域では正確性に欠ける虞がある。
【0043】
ステップ206では、高速フーリエ変換(FFT)を実施して、最初の呼吸信号をその周波数成分に分割し、次に、所定の周波数範囲内および所定の時間範囲内の周波数成分のスペクトルの大きさのピークを決定することによって、優性(主要な)呼吸周波数を識別する。次の数式2は、最初の呼吸信号の優性呼吸周波数の識別を示している。
【0044】
【数2】
【0045】
上記数式2では、Rsdは、最初の呼吸信号のFFTを示している。f1とf2は、それぞれ、周波数範囲の開始周波数と終了周波数とを定めている。周波数範囲は、優性呼吸周波数をカバーするのに十分な大きさでなくてはならない。周波数範囲の例を挙げると、0.1Hzから0.4Hzまでであり、これは約0.2Hzの典型的な優性呼吸周波数をカバーする。別の実施形態では、運動信号が心臓信号の場合、優性心臓周波数が1Hz前後のため、例えば0.8Hzから1.2Hzまでのように、例示的な周波数範囲を定めることができる。したがって、周波数範囲は、特定の種類の周期的運動、例えば呼吸運動、または心臓運動などを探すように設定できる。
【0046】
ステップ208では、ステップ202で得られた3Dデカルト量に対して空間フィルタが適用される。一般に、ステップ202で生成されるデカルト量は、非常にノイズが多い。したがって、空間フィルタ、例えば3Dガウシアン・フィルタが、ノイズを低減するためにデカルト量に対して適用される。フィルタ処理の後、時間領域内で、フィルタ処理されたデカルト量が高速フーリエ変換(FFT)される。
【0047】
ステップ210では、フィルタ処理されたデカルト量は、Z軸方向(すなわち、上下(superior-inferior)軸)に沿った複数の軸区間(axial sections)に分割され、各軸区間は、所定の長さを有する。軸区間は、所定の大きさ、例えば90%で重なり合う。次に、呼吸運動の対象となる特定の取得データの位置を特定するために、それぞれの個々の軸区間でスペクトル分析が行われる。一実施形態では、各軸区間は、同じ長さ、例えば10cmを有する。各軸区間の長さは、PET撮像スキャナ102の軸方向の視野、ベッド(床)速度、および放射性医薬品の種類に基づいて調節可能でできる。別の実施形態では、軸区間の長さは、同一の長さではなく、互いに異なる長さを有することができる。一実施形態では、重なり合う大きさ(重複量)は、同一の大きさではなく、互いに異なる大きさを有することができる。軸区間の長さと重なり合う大きさは、様々な取得および様々なスキャナごとに変更することができる。
【0048】
当技術分野で一般的に理解されているように、信号のスペクトル分析は、分析のために信号のスペクトル区間を選択するウィンドウ(窓)の適用を含む。スペクトル分析を実施するための一つの例示的方法として、シュライヤー(Schleyer)らによる、PMB2009「RetrospectiveData-Driven Respiratory Gating for PET/CT」に記載のものがある。しかしながら、当該技術分野で一般的に知られているスペクトル分析を実施するための他の同様の技術が適用できることを理解されたい。ステップ206で得られた、推定された優性呼吸周波数は、ウインドウの中心を特定するために用いられる。このようにして、スペクトル分析は、ステップ206で推定された優性呼吸周波数の周囲にウインドウを作成する。スペクトル分析では、呼吸運動を受けるボクセルを識別するために、各軸区間について位相重み付けマスク(phase weighted mask)を作成する。したがって、位相重み付けマスクはすべて、移動する量(ボリューム)内のボクセルに対してのみ、さらなる分析を行うことができるようにする。各マスクの位相重み付けは、運動の異なる方向に従って、各マスクの領域を分離するために使用される(すなわち、「上方(up)」に動いているものを「下方(down)」に動いているものから分離する)。例えば、患者が息を吸い込む場合、運動の方向は上方に動く一方、患者が息を吐き出す場合、運動の方向は下方に動く。運動の異なる方向に対応して領域の分離がなされる一方、運動の絶対的な方向は知られていない。さらに、位相の重み付けと運動方向との関係は、運動の不規則な性質とFFTの特性により、様々な軸(方向)位置で異なり得る。
【0049】
ステップ212では、ステップ210で生成された位相重み付けマスクの各々において、位相重み付けと運動方向との間に一貫した関係があることを確保するために、位相最適化が実施され、さらに、全ての個々の軸区間について、運動方向と呼吸信号勾配の極性との間の一貫した関係を確保する。このステップでは、ステップ210で生成された各位相重み付けマスクについて最適な位相シフト角が計算される(すなわち、各軸区間について最適な位相シフト角が計算される)。マスク内の各(x、y、z)位置での位相重み付け、すなわちΦxyzは、次の数式3に示されるように、補正された位相重み付けΦ’xyzをつくるために、最適な位相シフト角Φoptによってオフセットされる。
【0050】
【数3】
【0051】
各軸方向範囲についての最適な位相シフト角Φoptは、位相重み付けマスクの重なり合う区間の間の差を最小にする角度として定められる(軸区間が重なり合うため、位相重み付けマスクも重なり合う)。従って、最適な位相シフト角は、全ての異なる軸方向領域に対して、一貫した位相重み付けが適用されることを確保する。このことは、様々な軸方向位置で起こりうる自発的な位相フリッピング(反転)を防ぐのに役立つ。各最適な位相シフト角は、網羅的探索(しらみつぶしの探索)またはヒューリスティック探索を通して見出すことができる。各軸区間の位相が補正または最適化された後、すべての位相重み付けマスクが単一の3次元マスクへと結合されるため、全軸方向スキャン中の周期的な運動を識別することができる。
【0052】
位相最適化ステップは、イン・プレース(その場での)操作であり、(すなわち、与えられた軸方向範囲の位相シフトが次の範囲に進む前に実施される)。したがって、位相最適化ステップの結果は、軸方向開始点に基づく。したがって、一実施形態では、軸方向開始点は、周波数ウインドウ[fl、f2]内の最大の平均スペクトルの大きさが第の1呼吸信号内に見出された、軸方向位置として定められる。別の実施形態では、軸方向開始点は、取得の全軸方向範囲の中心として定められる。
【0053】
ステップ214では、単一の3次元マスクに、ステップ208のフィルタ処理されたデカルト量がかけ合わせられて、得られたデカルト量が合計されて、第2の推定呼吸信号を生成する(図3Bを参照)。単一の3次元マスクは、呼吸運動の対象となるデカルト量を抽出することができ、従って、患者全体の変位を示す結果のデカルト量を用いて、第2の推定呼吸信号を生成することができる。単一の3次元マスクは位相最適化された個々のマスクから構成さるため、得られたデカルト量は、全軸方向視野にわたる呼吸運動の方向と呼吸運動勾配の極性との間に一貫した関係を有する。例えば、全軸方向の視野にわたって、運動信号の正の増加は、息の吸い込み(吸気)の結果であり、一方、運動信号の負の減少は、息の吐き出し(呼気)からの結果である。ただし、別の例では、反対に、運動信号の正の増加は呼気の結果である一方、運動信号の負の減少は吸気の結果である。運動信号の方向と運動信号勾配の極性との間の関係は、全軸方向視野にわたって、一貫する。
【0054】
ステップ216では、図3Cを参照すると、ステップ204で生成された第1の推定呼吸信号およびステップ214で生成された第2の推定呼吸信号に基づいて、最終的な推定呼吸信号が生成される。この最終的な推定呼吸信号は、呼吸運動勾配の極性とスキャンの全長についての物理的な運動方向との間に一貫性のある、かつ絶対的な関係を有する。ステップ204からの最初の呼吸信号は、Y方向(前後軸)における各デカルト量の標準偏差を計算することで得られるため、最初の呼吸信号は、患者の運動の絶対的方向を決定するために用いることができる。従って、ステップ204からの第1の呼吸信号とステップ214からの第2の推定呼吸信号を共に使用して、最終的な推定呼吸信号を導出する。最終的な推定呼吸信号の絶対的な運動方向は、第1の呼吸信号から得ることができるが、運動の物理的方向と信号勾配の極性との間の一貫した関係は、第2のより正確な呼吸信号から得ることができる。
【0055】
図4を参照すると、本開示内容の幾つかの実施形態に従う、取得データから推定呼吸信号を導出するための方法400の他のフローチャートが示されている。このうち、ステップ402~416は、図2のステップ202~216と同様である。唯一の相違点は、空間フィルタ(図2のステップ208に対応するステップ404)を適用するステップが、第1の呼吸信号を推定するステップ(図2のステップ204に対応するステップ406)の前に行われることである。
【0056】
図5Aおよび図5Bを参照すると、ステップ418において、後のゲーティングのステップ420について最終的な推定呼吸信号に対して曲線正規化(curve normalization)が行われている。患者がスキャナを通じて移動する際に、患者の体の様々な軸区間から最終的な呼吸信号が推定されるが、患者の各解剖学的領域または各軸区間について異なる運動強度と異なる運動の振幅(大きさ)が存在する。従って、呼吸信号の振幅と呼吸(息づかい)の振幅との間の関係は、異なる軸区間でスケール的に任意であるため、最終的に推定された呼吸信号に対して曲線正規化がさらに実施される。図5Aおよび5Bを参照すると、正規化の仕方は、4段階で行われる。第1の正規化ステップの間、図5Aを参照すると、最終的な推定呼吸信号に対してスプライン(spline)502を当てはめることによって、最終的な推定呼吸信号の低周波数ドリフトを除去する。第2の正規化ステップでは、次の数式4に示されるように、スプライン520は、最終的な推定呼吸信号から差し引かれる。
【0057】
【数4】
【0058】
上記数式4において、rstep2[t]は、時点tにおける第2の正規化ステップによって生成される曲線を示す。
【0059】
第3の正規化ステップの間、図5Bを参照すると、最終的な推定呼吸信号の振幅が正規化される。次の数式5に例示するように、最終的な推定呼吸信号のスライディング・ウインドウ(スライド窓)(例えば90秒)内の標準偏差で、最終的な推定呼吸信号が割り算される。
【0060】
【数5】
【0061】
上記数式5では、rstep3[t]は、時点tでの3番目の正規化ステップによって生成される曲線であり、rstep2[t]は、時点tでの2番目の正規化ステップによって生成される曲線であり、s.d.{rstep2[t-w:t+w]}は、時間範囲[t-w、t+w]内の2番目の正規化ステップからの曲線の標準偏差であり、この際、2*wは、スライド窓の幅を定めている。
【0062】
最後に、第4ステップ中で、次の数式6に例示されるように、最終的な推定呼吸信号の最小曲線504が、最終的な推定呼吸信号から差し引かれて、最終的な推定呼吸信号をベースライン補正(baseline correct)する。
【0063】
【数6】
【0064】
上記数式6において、rstep4[t]は、時点tにおける4番目の正規化ステップによって生成される曲線であり、rstep3[t]は、時点tにおける3番目の正規化ステップによって生成される曲線であり、min{rstep3[t-v:t+v]}は、時間範囲[t-v:t+v]内における3番目の正規化ステップからの曲線の最小値であり、この際、2*vは、スライド窓の幅を定めている。
【0065】
正規化の後、ゲーティングのために、正規化された最終的な推定呼吸信号が用意される。ステップ420では、呼吸信号の振幅の時間的変動(すなわち、信号振幅と物理的運動振幅との間の関係における潜在的な非線形的変動)を補正するために、適応性のあるゲーティング法が採用される。具体的には、呼吸信号振幅と形状の両方における取得内変化(すなわち、取得中の様々な時間で撮像される様々な解剖学的領域に基づく呼吸信号曲線の不均等性)を可能にするために、動的な最適なゲートが作成される。最適なゲートは、呼吸信号の取得時間の予め定められた割合(例えば、35%)をカバーする最小振幅範囲として定められる。呼吸曲線の最小振幅範囲では、患者は最小の運動をしながら可能な限り多くの取得時間を費やす。例えば、患者は、最小の運動をしながら、取得時間の大部分を呼気に費やす(例えば、35%)。より多くの取得時間がある場合にはノイズを低減できる一方、より少ない運動(すなわち、より小さい振幅範囲)がある場合には、ぶれを低減できる。最適なゲートは、より多くの取得時間とより少ない運動の間のトレードオフである。時間ウインドウの大きさ(すなわち、予め定められた取得時間の割合)は、調節可能なパラメータである。
【0066】
一実施形態では、図6Aを参照すると、時間的に変動する最適な振幅範囲602が、スライド窓(例えば、90秒)のアプローチを用いて計算されている。この時間的に変動する最適な振幅範囲602は、PET取得を単一の最適なサイノグラム(副鼻腔撮影図)内にゲート化するために、直接的に使用できる。別の実施形態では、図6Bを参照すると、呼吸信号は、時間的に変化する最適な振幅範囲を用いて、動的に正規化することができ、次いで、単一(すなわち、静的な)振幅範囲604を用いて、取得をゲート化することができる。単一の(すなわち、静的な)振幅範囲604は、取得の全期間中に最適なゲートを定める。
【0067】
さらに、ステップ216で推定された最終的な呼吸信号と最適なゲートとに基づいて、運動補正を行うことができ、その後、運動補正を伴う全身体のPET画像が再構成される。
【0068】
本開示内容に係る方法、システム、および製品は、物理的な運動監視装置を必要とせず、連続した床(ベッド)運動で取得した全身体PETに対してDDG(データ・ドリブン・ゲーティング)を適用する。運動の方向と呼吸信号勾配の極性との間の一貫した関係が、画像取得を通して提供される。
【0069】
図7を参照すると、本発明の実施形態を実装可能なコンピューティング環境700が例示されている。例えば、このコンピューティング環境700を用いて、図2および図4に例示したように、撮像データ(画像化データ)から運動信号を導出する方法を実施できる。いくつかの実施形態では、コンピューティング環境700を使用して、図1のシステム100に例示した構成要素の1つまたは複数を実装できる。コンピューティング環境700は、本発明の実施形態を実装できるコンピューティングシステムの一例であるコンピュータシステム710を含み得る。コンピュータシステム710及びコンピューティング環境700等のコンピューター(計算機)及びコンピューティング環境は、当業者には既知であり、したがって、ここでは簡潔に記載する。
【0070】
図7に示されるように、コンピュータシステム710は、通信機構を備えることができ、例えば、コンピュータシステム710内で情報を通信するバス721又は他の通信機構等を備えることができる。コンピュータシステム710は、さらに、情報を処理するためにバス721に結合された1つ又は複数のプロセッサ(処理装置)720を含む。プロセッサ720は、1つ又は複数の中央処理装置(CPU)、画像処理装置(GPU)、又は当該技術分野において既知の他の任意のプロセッサを含むことができる。
【0071】
コンピュータシステム710は、プロセッサ720によって実行される命令及び情報を記憶する、バス721と接続されたシステムメモリ(記憶装置)730も備える。システムメモリ730は、リードオンリーメモリ(ROM)731及び/又はランダムアクセスメモリ(RAM)732等の揮発性及び/又は不揮発性メモリの形態のコンピューター読み取り可能な記憶媒体を備えることができる。システムメモリのRAM732は、(1つ又は複数の)他のダイナミック記憶装置(例えば、ダイナミックRAM、スタティックRAM、及びシンクロナスDRAM)も含むことができる。システムメモリROM731は、(1つ又は複数の)他のスタティック記憶装置(例えば、プログラマブルROM、消去可能PROM、及び電気的消去可能PROM)を含むことができる。加えて、システムメモリ730は、プロセッサ(処理装置)720による命令の実行中に、一時的変数又は他の中間情報を記憶するのに用いることができる。起動時など、コンピュータシステム710内の構成要素間で情報を転送するのに役立つ基本ルーチンを含む、基本入出力システム(BIOS)733をROM731内に記憶することができる。RAM732は、プロセッサ720によって速やかにアクセス可能な及び/又は目下動作中の、データ及び/又はプログラムモジュールを含むことができる。システムメモリ730は、例えば、オペレーティングシステム734、アプリケーションプログラム735、他のプログラムモジュール736、及びプログラムデータ737を更に備えることができる。
【0072】
また、コンピュータシステム710は、バス721に結合されたディスク・コントローラ(制御装置)740を含み、ハードディスク741およびリムーバブル・メディア(媒体)ドライブ742(例えば、フロッピー・ディスク・ドライブ、コンパクト・ディスク・ドライブ、テープ・ドライブ、および/またはソリッド・ステート・ドライブ)などの情報および命令を記憶するための1つ又は複数の記憶装置を制御する。記憶装置は、適切なデバイス・インターフェース(例えば、スモール・コンピュータシステム・インターフェース(SCSI)、集積デバイス・エレクトロニクス(IDE)、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、又はファイヤー・ワイヤー)を用いて、コンピュータシステム710に追加してもよい。
【0073】
また、コンピュータシステム710は、コンピュータのユーザに対して情報を表示するために、ブラウン管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイ(表示装置)766を制御するためにバス721に結合されたディスプレイ制御装置765を含むことができる。コンピュータシステムは、コンピュータのユーザと相互作用し、プロセッサ720に情報を提供するための、入力インターフェース760と、キーボード762および指示装置(ポインティング・デバイス)761などの1つ又は複数の入力デバイスとを含む。指示装置761は、例えば、プロセッサ720に対して方向の情報及びコマンドの選択を通信して、ディスプレイ766上のカーソルの移動を制御するための、マウス、トラックボール、又はポインティング・スティックなどでもよい。ディスプレイ766は、指示装置761による方向の情報及びコマンドの選択の通信を補うか、又はそれに替わる入力を与えることができる、タッチスクリーン・インターフェースを提供してもよい。
【0074】
コンピュータシステム710は、システムメモリ730などのメモリに含まれる1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを実行するプロセッサ720に応じて、本発明の実施形態の処理ステップの一部または全部を実行することができる。そのような命令は、ハードディスク741又はリムーバブル・メディア・ドライブ742等の別のコンピュータ読み取り可能なメディアから、システムメモリ730内に読み込むことができる。ハードディスク741は、本発明の実施形態によって使用される1つ又は複数のデータストアおよびデータファイルを含むことができる。データストアの内容とデータファイルは、セキュリティを向上させるために暗号化することができる。プロセッサ720は、システムメモリ730内に含まれる命令の1つ又は複数のシーケンスを実行するために、多重処理(マルチプロセス)構成で使用することも可能である。代替的な実施形態では、ソフトウェア命令の代わりに又はソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路を用いることができる。したがって、実施形態は、ハードウェア回路及びソフトウェアの任意の特定の組合せに限定されない。
【0075】
上述のように、コンピュータシステム710は、本発明の実施形態に従ってプログラムされて、データ構造、表、記録、または本明細書に記載の他のデータを含む命令を保持するために、少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能なメディア(媒体)またはメモリを含むことができる。本開示内容で用いられる、「コンピュータ読み取り可能なメディア」という用語は、プロセッサ720に命令を与えて実行させることに関する任意のメディア(媒体)を指す。コンピュータ読み取り可能なメディアは、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体を含む多くの形態をとることができるが、これらに限定されない。不揮発性媒体の非限定的な例として、ハードディスク741又はリムーバブル・メディア・ドライブ742等の、光ディスク、ソリッド・ステート・ドライブ、磁気ディスク、及び光磁気ディスクが挙げられる。揮発性媒体の非限定的な例として、システムメモリ730等のダイナミックメモリが挙げられる。伝送媒体の非限定的な例として、バス721を構築する配線を含む、同軸ケーブル、銅線、及び光ファイバーが挙げられる。伝送媒体は、電波データ通信及び赤外線データ通信中に発生するような音波又は光波の形態をとることもできる。
【0076】
さらに、コンピューティング環境700は、リモート(遠隔)コンピュータ780などの1つ又は複数のリモートコンピュータへの論理接続を使用して、ネットワーク環境で動作するコンピュータシステム710を含むことができる。リモートコンピュータ780は、パーソナル・コンピュータ(ラップトップまたはデスクトップ)、モバイル(携帯)デバイス、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピア・デバイス、または他の一般的なネットワークノードでもよく、また典型的には、コンピュータシステム710に関連して上述した構成要素の複数またはすべてを含み得る。ネットワーク環境で用いられる場合、コンピュータシステム710は、インターネット等のネットワーク771を介した通信を確立するためのモデム772を備え得る。モデム772は、ユーザ・ネットワーク・インターフェース770を介して、または他の適切な機構を介して、バス721に接続することができる。
【0077】
ネットワーク771は、インターネット、イントラネット、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、直接接続又は一連の接続、携帯電話ネットワーク、又はコンピュータシステム710と他のコンピュータ(例えば、リモートコンピュータ780)との間の通信を可能にする他の任意のネットワーク又は媒体を含み得る、当技術分野で一般的に知られている任意のネットワーク又はシステムとすることができる。ネットワーク771は、有線、無線、又はそれらの組合せとすることができる。有線接続は、イーサネット、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、RJ-ll、または当技術分野で一般的に知られている他の任意の有線接続を使用して実施することができる。無線接続は、Wi-Fi、WiMAX、およびBluetooth、赤外線、携帯電話ネットワーク、サテライト、または当技術分野で一般的に知られている任意の他の無線接続の方法を用いて実施することができる。さらに、複数のネットワークが、単独で又は互いに通信して、ネットワーク771での通信を円滑にするように動作可能である。
【0078】
本開示の実施形態は、ハードウェア及びソフトウェアの任意の組合せで実装することができる。さらに、本開示の実施形態を、例えば、コンピュータ可読の非一時的メディアを有する製品(例えば、1つ又は複数のコンピュータプログラム製品)に含むことができる。メディアは、例えば、本開示の実施形態の機構を提供して実行するためのコンピュータ可読プログラムコードを内蔵する。製品は、コンピュータシステムの一部として含まれ得る、又は、別体として販売され得る。
【0079】
本明細書には様々な態様および実施形態が開示されているが、他の態様および実施形態は当業者には可能であろう。本明細書に開示される様々な態様および実施形態は、例示のためであって、非限定的であり、本発明の真の範囲および技術思想は、特許請求の範囲によって示される。
【0080】
本明細書中で使用される実行可能アプリケーションは、オペレーティングシステム、コンテキストデータ取得システムまたは他の情報処理システムの機能などの所定の機能を、例えばユーザーコマンドまたは入力に応じて実施するように、プロセッサを調整するためのコードまたは機械可読指示を含む。実行可能プロシージャは、コードのセグメント、または機械可読命令、サブルーチン、またはコードの他の別個のセクション、または1つ又は複数の特定のプロセスを実行するための実行可能アプリケーションの一部である。これらのプロセスは、入力データおよび/またはパラメータを受信することと、受信された入力データに対する操作を実行することと、および/または受信された入力パラメータに応答して機能を実行することと、結果としての出力データおよび/またはパラメータを提供することとを含むことができる。
【0081】
本明細書で使用されるグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)は、ディスプレイ・プロセッサによって生成され、プロセッサまたは他の装置および関連するデータ取得および処理機能とのユーザ対話を可能にする1つ又は複数の表示画像を含む。GUIには、実行可能手順または実行可能アプリケーションも含まれる。実行可能手順または実行可能アプリケーション条件は、GUI表示画像を表す信号を生成するように、表示処理装置を条件づける。これらの信号はディスプレイ装置に供給され、それによって、ユーザが視聴できるように画像を表示する。実行可能手順または実行可能アプリケーションの制御下で、このプロセッサは、入力装置から受信した信号に応じてGUI表示画像を操作する。このように、ユーザは、入力装置を使用して表示画像と対話し、プロセッサまたは他の装置とのユーザ対話を可能にする。
【0082】
本開示内容の機能及びプロセスのステップは、自動的に又は全体的に若しくは部分的にユーザーコマンドに応答して実施することができる。自動的に実施される活動(ステップを含む)は、ユーザがその活動を直接的に開始させることなく、1つ又は複数の実行可能命令又は装置の操作に応じて実施され得る。
【0083】
図示したシステム及びプロセスは、排他的でない。同じ目的を達成するために、本発明の特徴に従って、他のシステム、プロセス及びメニューを導くことは可能である。特定の実施形態を参照して本発明について説明したが、ここで図示して説明した実施形態及び変形実施形態は例示に過ぎないことを理解されたい。本構成に対する修正は、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、実装できるだろう。本開示内容で記載のように、様々なシステム、サブシステム、エージェント、マネージャー及びプロセスは、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素及び/又はその組合せを用いて実装され得る。いかなる請求項の構成要素も、(英文で)「means for」という表現を用いて明示的に記載されていない限り、米国特許法第112条(f)の条項に従って解釈されないものとする。
【符号の説明】
【0084】
100 PETシステム
102 撮像スキャナ(イメージング・スキャナ)
104 検出器
106 被験体
108 PET処理システム
110 画像処理装置(イメージ・プロセッサ)
112 メモリ(記憶装置)
114 ディスプレイ(表示装置)
116 ユーザ入力装置
118 飛行時間(ToF)ユニット
700 コンピューティング環境
710 コンピュータ(計算機)システム
720 プロセッサ(処理装置)
730 システムメモリ(記憶装置)
図1
図2
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図5
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図7