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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】線状発光装置及び面状発光装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20220117BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20220117BHJP
【FI】
F21S2/00 444
F21V23/00 160
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021527745
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 JP2020025095
(87)【国際公開番号】W WO2020262556
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2021-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2019117694
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】宮下 卓巳
(72)【発明者】
【氏名】田村 量
(72)【発明者】
【氏名】清水 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】堀内 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】松浦 稜
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-041730(JP,A)
【文献】特開2017-050106(JP,A)
【文献】特開2011-113731(JP,A)
【文献】特開2008-305713(JP,A)
【文献】特開2013-143372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に伸延した基板と、
前記所定の方向に伸延するように前記基板に形成された配線と、
前記基板の端部に配置され、前記配線に電力を供給する電力供給部と、
前記基板上に前記所定の方向に並べて配置される複数の発光素子と、
前記複数の発光素子を封止する封止材と、を有し、
前記複数の発光素子は、複数の発光素子列に分割され、前記複数の発光素子列毎に前記配線に電気的に接続され、
前記複数の発光素子列の内、前記電力供給部に近接して配置された第1の発光素子列において、前記第1の発光素子列に含まれる全ての発光素子が発光を開始する第1の閾値電圧と、前記複数の発光素子列の内、前記第1の発光素子列より前記電力供給部から遠くに配置された第2の発光素子列に含まれる全ての発光素子が発光を開始する第2の閾値電圧との間の差は、前記電力供給部と前記第1の発光素子列及び前記第2の発光素子列との間の電圧降下の差と等しくなるように設定されている、
ことを特徴とする線状発光装置。
【請求項2】
前記第2の発光素子列に含まれる発光素子の数は、前記第1の発光素子列に含まれる発光素子の数よりも少ない、請求項1に記載の線状発光装置。
【請求項3】
前記基板は、第1回路基板と、前記第1回路基板と重畳し
て配置される第2回路基板と、を有し、
前記配線は、
前記第1回路基板に形成され、前記複数の発光素子にワイヤボンディングされた第1配線と、
前記第2回路基板に形成され、前記第1配線及び前記電力供給部と電気的に接続された第2配線と、を含む、請求項1に記載の線状発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、線状発光装置及び面状発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル装置等の透過型の表示パネルと、表示パネルの背面に配置される光源である面状発光装置とを有する表示装置が知られている。表示装置において、表示パネルに表示される画像の輝度を均一にするための種々の技術が知られている。
【0003】
例えば、国際公開第2011/114598号には、導光板を係止する係止部から離れたLED素子が出射する光の輝度が、係止部の近傍のLED素子が出射する光の輝度よりも低くなるように係止部から離れたLED素子は抵抗素子を並列接続する技術が記載されている。特許文献1に記載される技術では、係止部から離れたLED素子は、抵抗素子が並列接続されることで、出射する光の輝度が低くなり、係止部に遮られることで輝度が低下する係止部の近傍のLED素子の輝度と輝度が略等しくなり、輝度ムラの発生を防止できる。
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、国際公開第2011/114598号に記載される技術は、係止部から離れた発光素子に抵抗素子を並列接続して輝度を低下させるので、並列接続された抵抗で電力が消費されることで消費電力が増加する。また、特許文献1に記載される技術は、係止部から離れた発光素子に複数の抵抗を並列接続するため、部品点数が増加すると共に、製造工程が増加することで、製造コストが増加する。
【0005】
一方、所定の方向に伸延するように配列された複数の発光素子を線状の基板に搭載したCOB(Chip On Board)タイプの線状発光部が検討されている。COBタイプの線状発光部は、SMD(Surface Mount Device)タイプの発光装置よりも高輝度化が実現可能であり、面状発光装置用の光源等での実用化が望まれている。
【0006】
COBタイプの線状発光部では、線状の基板の延伸方向に配列された多くの発光素子は、基板の一端に配置された電圧、電流を供給する電力供給部(以下、コネクタとも称する)から電圧、電流等、いわゆる電力が供給される。COBタイプの線状発光部の基板は、短手方向の幅が狭く且つ長手方向の長さが長いため、発光素子に電力を供給するために基板に形成される配線も短手方向の幅が狭く且つ長手方向の長さが長くなる。COBタイプの線状発光部では、配線が短手方向の幅が狭く且つ長手方向の長さが長くなるため、コネクタから離隔して配置される発光素子に供給される電圧は、配線の抵抗成分に起因する電圧降下により低下する。COBタイプの線状発光部は、国際公開第2011/114598号に記載される発光装置よりも実装領域が狭いため、配線の抵抗成分に起因する電圧降下の発生を防止するために、抵抗素子を配置することは容易ではない。
【0007】
COBタイプの線状発光部では、コネクタから離隔して配置される発光素子に供給される電圧は、配線の抵抗成分に起因する電圧降下により低下するため、コネクタの近傍に配置される発光素子に供給される電圧よりも低くなる。コネクタから離隔して配置される発光素子は、供給される電圧がコネクタの近傍に配置される発光素子に供給される電圧よりも低いため、出射する光の輝度がコネクタの近傍に配置される発光素子から出射される光の輝度より低くなる。COBタイプの線状発光部では、コネクタからの距離が長くなるほど輝度が低くなり、COBタイプの線状発光部を使用した面状発光装置から出射される光の輝度が不均一になるおそれがある。
【0008】
本開示は、このような課題を解決するものであり、より均一な輝度を有する光を出射可能な面状発光装置を提供することを目的とする。
【0009】
本開示に係る線状発光装置は、所定の方向に伸延した基板と、所定の方向に伸延するように基板に形成された配線と、基板の端部に配置され、配線に電力を供給する電力供給部と、基板上に所定の方向に並べて配置される複数の発光素子と、複数の発光素子を封止する封止材と、を有し、複数の発光素子は、複数の発光素子列に分割され、複数の発光素子列毎に配線に電気的に接続され、複数の発光素子列の内、電力供給部に近接して配置された第1の発光素子列において、第1の発光素子列に含まれる全ての発光素子が発光を開始する第1の閾値電圧は、複数の発光素子列の内、第1の発光素子列より電力供給部から遠くに配置された第2の発光素子列に含まれる全ての発光素子が発光を開始する第2の閾値電圧より高くなるように設定されている。
【0010】
さらに、線状発光装置において、基板は、所定の方向に伸延する第1実装領域及び第2実装領域が形成されることが好ましい。
【0011】
さらに、線状発光装置において、第2の発光素子列に含まれる発光素子の数は、第1の発光素子列に含まれる発光素子の数よりも少ないことが好ましい。
【0012】
さらに、線状発光装置において、基板は、第1回路基板と、第1回路基板と重畳して配置される第2回路基板と、を有し、配線は、第1回路基板に形成され、複数の発光素子にワイヤボンディングされた第1配線と、第2回路基板に形成され、第1配線及びコネクタと電気的に接続された第2配線と、を含むことが好ましい。
【0013】
また、本開示に係る面状発光装置は、所定の方向に伸延した基板と、所定の方向に伸延するように基板に形成された配線と、基板の端部に配置され、配線に電力を供給する電力供給部と、基板上に所定の方向に並べて配置される複数の発光素子と、複数の発光素子を囲むように基板上に配置される枠体と、複数の発光素子を封止するために枠体の内側に配置される封止材と、を有する線状発光部と、線状発光部から出射される光を入射する入射面、及び入射面から入射した光を出射する出射面を有する導光板と、線状発光部の発光領域が導光板の入射面と対向するように、線状発光部及び導光板を収納するケースと、を有し、複数の発光素子は、複数の発光素子列に分割され、複数の発光素子列毎に配線に電気的に接続され、複数の発光素子列の内、電力供給部に近接して配置された第1の発光素子列において、第1の発光素子列に含まれる全ての発光素子が発光を開始する第1の閾値電圧は、複数の発光素子列の内、第1の発光素子列より電力供給部から遠くに配置された第2の発光素子列に含まれる全ての発光素子が発光を開始する第2の閾値電圧より高くなるように設定されている。
【0014】
また、本開示に係る線状発光装置は、所定の方向に伸延した基板と、所定の方向に伸延するように基板に形成された第1配線及び第2配線と、基板の所定の方向の一端に配置され、第1配線に電力を入力する電力入力部と、基板の所定の方向の他端に配置され、第2配線から電力を出力する電力出力部と、基板上に所定の方向に並べて配置されると共に、それぞれが第1配線及び第2配線に電気的に接続された複数の発光素子と、複数の発光素子を囲むように基板上に配置される枠体と、複数の発光素子を封止するために枠体の内側に配置される封止材とを有する。
【0015】
また、本開示に係る線状発光装置は、所定の方向に伸延した基板と、基板上に所定の方向に並べて配置される複数の発光素子と、所定の方向に伸延するように基板に形成され、且つ、複数の発光素子に電気的に接続された第1配線及び第2配線と、を備え、第1配線の体積は、第2配線の体積と等しい。
【0016】
また、本開示に係る線状発光装置は、定の方向に伸延した基板と、基板上に所定の方向に並べて配置される複数の発光素子と、所定の方向に伸延するように基板に形成され、且つ、複数の発光素子に電気的に接続された第1配線及び第2配線と、を備え、第1配線の単位長さ当たりの抵抗値は、第2配線の単位長さ当たりの抵抗値と等しい。
【0017】
さらに、線状発光装置において、基板の所定の方向の一端に配置され、第1配線に電力を入力する電力入力部と、基板の所定の方向の他端に配置され、第2配線から電力を出力する電力出力部と、を更に備え、複数の発光素子は、複数の発光素子列に分割され、複数の発光素子列毎に第1配線及び第2配線に電気的に接続され、複数の発光素子列は、複数の発光素子列のそれぞれの第1配線との接続点から電力入力部までの長さと、複数の発光素子列のそれぞれの第2配線との接続点から電力出力部までの長さの合計の長さが等しくなるように配置されることが好ましい。
【0018】
さらに、線状発光装置において、第1配線及び第2配線は、電力入力部と、カ電力出力部との中点を基準として点対称となるように配置されることが好ましい。
【0019】
上述した本開示に係る線状発光部及び面状発光装置は、より均一な輝度を有する光を出射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態に係る面状発光装置の斜視図である。
図2図1に示す面状発光装置の一実施形態の分解斜視図である。
図3図1に示す面状発光装置の透視平面図である。
図4図1に示す線状発光部の拡大平面図である。
図5】(a)は図1に示すA-A’線に沿う断面図であり、(b)は(a)において破線11で示される部分の部分拡大図である。
図6】第2実施形態に係る面状発光装置が有する線状発光部の拡大平面図である。
図7】(a)は第1変形例に係る線状発光部を示す部分平面図であり、(b)は第2変形例に係る線状発光部を示す部分平面図であり、(c)は第3変形例に係る線状発光部を示す部分平面図である。
図8】(a)は第4変形例に係る線状発光部を示す部分平面図であり、(b)は(a)に示す実装基板の第1配線層を示す部分平面図であり、(c)は(a)に示す実装基板の第2配線層を示す部分平面図である。
図9】(a)は第5変形例に係る線状発光部を示す部分平面図であり、(b)は(a)に示す実装基板の第1配線層を示す部分平面図であり、(c)は(a)に示す実装基板の第2配線層を示す部分平面図である。
図10】比較例に係る線状発光部のシミュレーション結果を示す図であり、10(a)は比較例に係る線状発光部のシミュレーションに使用した発光素子のIF-VF特性を示し、(b)は比較例に係る線状発光部の電流特性を示し、(c)は比較例に係る線状発光部の光度値特性を示す。
図11】第1実施形態に係る線状発光部のシミュレーション結果を示す図であり、(a)は第1実施形態に係る線状発光部の順電圧VFの分布を示し、(b)は第1実施形態に係る線状発光部の電流特性を示し、(c)は第1実施形態に係る線状発光部の光度特性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示に係る線状発光装置及び面状発光装置の好ましい一実施形態を、図を参照して説明する。但し、本開示の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【0022】
本明細書では、液晶パネル等の透過型の表示パネルを背面から照らす光源として使用される面状発光装置を例にして以下に説明を行うが、本明細書で開示する面状発光装置の用途はこれに限定されるものではない。例えば、本明細書で開示する面状発光装置は、照明装置及び情報表示装置の光源としても使用されてもよい。
【0023】
また、本明細書では、数字とアルファベットを組み合わせた符号の総称としてアルファベットを除いた数字のみを総称として使用することがある。例えば、コネクタ22は、アノード端子22a及びカソード端子22bの総称である。
【0024】
図1は第1実施形態に係る面状発光装置の斜視図であり、図2図1に示す面状発光装置の一実施形態の分解斜視図である。図3図1に示す面状発光装置の透視平面図であり、図4図1に示す線状発光部の拡大平面図である。図5(a)は図1に示すA-A’線に沿う断面図であり、図5(b)は図5(a)において破線11で示される部分の部分拡大図である。図5において、破線矢印は、線状発光部から出射された光の光路の一例を示す。
【0025】
実施形態に係る面状発光装置1は、線状発光部2と、導光板3と、反射シート4と、光学シート5と、ケース6と、スペーサ7とを有する。面状発光装置1は、所定の方向に伸延した扁平な直方体の形状を有し、輝度が均一な光を発光面10から出射する。
【0026】
線状発光部2は、面状発光装置1の長手方向に伸延した細長い矩形の形状を有し、面状発光装置1の長手方向に沿った線状の光を出射する。線状発光部2は、実装基板20a及び回路基板20bを有する基板20と、ケーブル23に接続されたコネクタ22と、複数の発光素子24と、配線25と、枠体26と、封止材27とを有する。線状発光部2の長手方向において、コネクタ22と、複数の発光素子24、封止材27及び枠体26とが順番に配置される。
【0027】
線状発光部2は、長手方向を、下ケース6bの長手方向と一致させて、接着材によって下ケース6bの長手方向の側部に固定される。線状発光部2を接着する接着材は、高い熱伝導性を有することが好ましく、例えば線状発光部2の中央部のみに配置されるなど線状発光部2の長手方向の全体にわたって配置されていなくてもよい。
【0028】
実装基板20aは、所定の方向に伸延する細長い矩形の形状を有する。実装基板20aの長手方向は、線状発光部2の長手方向と一致し、実装基板20aの幅方向は、線状発光部2の幅方向と一致する。実装基板20aは、例えば、アルミニウム等の金属、又はセラミックス等の熱伝導性が高い材料を用いて形成される。実装基板20aは、平坦な表面を有し、この平坦な表面上に、複数の発光素子24が配置される。
【0029】
回路基板20bは、実装基板20a上に配置される。回路基板20bの長手方向は、線状発光部2の長手方向と一致し、回路基板20bの幅方向は、線状発光部2の幅方向と一致する。回路基板20bは、中央部に細長い一対の開口部が形成され、回路基板20bの一対の開口部に対応する領域は、基板20の長手方向に伸延し、発光素子24が実装される第1実装領域21a及び第2実装領域21bである。回路基板20bは、接着シート等の接着材によって実装基板20a上に貼り付けられる。回路基板20bは、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はポリエステル樹脂等の電気絶縁性の樹脂を用いて形成される。
【0030】
コネクタ22、複数の発光素子24、配線25、枠体26及び封止材27は、第1実装領域21a及び第2実装領域21bのそれぞれに別個に配置されている。まず、第1実装領域21aに対応して配置されるコネクタ22、複数の発光素子24、配線25、枠体26及び封止材27について説明する。
【0031】
回路基板20bの表面には、第1実装領域21aの長手方向に沿って外側に、第1配線及び第2配線とも称されるアノード配線25a及びカソード配線25bを含む配線25が配置される。アノード配線25a及びカソード配線25bは、回路基板20bの長手方向に伸延するように、回路基板20bの幅方向に間隔を開けて配置される。アノード配線25a及びカソード配線25bは、例えば、金又は銅等の導電体を回路基板20b上にパターニングすることで形成される。
【0032】
アノード配線25a及びカソード配線25bは、アノード端子22a及びカソード端子22bを含むコネクタ22に基板20の端部において電気的に接続される。コネクタ22は、基板20の端部に配置され、配線25に電力を供給する電力供給部の一例である。アノード端子22aはアノード配線25aに電力を入力する電力入力部の一例であり、アノード端子22aはカソード配線25bから電力を出力する電力出力部の一例である。アノード配線25aはアノード端子22aに電気的に接続され、カソード配線25bはカソード端子22bに電気的に接続される。アノード端子22a及びカソード端子22bは、不図示の外部電源から電力が供給されるケーブル23に、機械的に接合可能な部材や、ハンダ等の導電性の接合部材を介して接続され、アノード配線25a及びカソード配線25bに電力を供給する。ケーブル23は、例えばCVケーブル等の電力供給が可能な電線である。アノード配線25a及びカソード配線25bは、複数の発光素子24に対して過電圧が印加されることを防止する不図示のツェナーダイオードを介して電気的に接続される。
【0033】
発光素子24は、例えば青色系のLED(Light Emitting Diode)ダイである。発光素子24として、例えば発光波長域が440~455nmのInGaN系化合物半導体等を用いることができる。発光素子24は、上面が実装基板20aの表面と平行に配置されることが好ましい。発光素子24は、例えば実装基板20a上にダイボンドにより接着される。矩形の発光素子24は、辺同士を互いに対向させて実装基板20a上に配置されているが、発光素子24を45度回転させて、互いの頂点同士を対向させるように、発光素子24を実装基板20a上に配置してもよい。
【0034】
発光素子24が、熱伝導率が高い実装基板20a上に直接配置されることにより、発光する発光素子24が生じる熱を実装基板20aに効率よく伝達できるので、発光素子24の温度上昇が抑制される。このように線状発光部2が発光素子24の高い放熱性を有することは、発光素子24を高い密度で、実装基板20a上に配置する観点からも好ましい。
【0035】
発光素子24のそれぞれは、カソード及びアノードを有し、ワイヤ28を介して8個の発光素子24がアノード配線25aとカソード配線25bとの間に直列接続されて、複数の発光素子列が形成される。一例では、線状発光部2は、26個の発光素子列が形成され、合計で208個の発光素子が基板20に実装される。なお、発光素子列に含まれる発光素子24の数は、駆動回路の出力電圧に応じて適宜決定され、線状発光部2に配置される列の数は、面状発光装置1が出射する光の輝度に応じて適宜決定される。
【0036】
外部電源からケーブル23及びアノード端子22a及びカソード端子22bを介して、アノード配線25a及びカソード配線25bに直流電圧が印加されることによって、発光素子24は一斉に発光する。
【0037】
発光素子24は、第1実装領域21aでは基板20の長手方向に沿って均一の配置間隔で1列で配列される。
【0038】
線状発光部2では、コネクタ22に近接して配置された発光素子列に含まれる全ての発光素子が発光を開始する閾値電圧が、コネクタから遠くに配置された発光素子列に含まれる全ての発光素子が発光を開始する閾値電圧より低くなるように設定されている。閾値電圧の設定は、発光素子を順方向降下電圧に応じてソーティングすることにより、発光素子列に含まれる発光素子が発光を開始する閾値電圧を設定する。
【0039】
図4において、第1実装領域21aにおいて、コネクタ22に最も近接して配置される第1の発光素子列241と、コネクタ22から最も遠くに配置される第2の発光素子列242が示される。第1の発光素子列241に含まれる全ての発光素子が発光を開始する第1の閾値電圧は、第2の発光素子列242に含まれる全ての発光素子が発光を開始する第2の閾値電圧より高くなる。また、第1の発光素子列241と第2の発光素子列242の間に配置される発光素子列は、コネクタ22との間の距離が遠くなるほど、発光素子列に含まれる全ての発光素子が発光を開始する閾値電圧が低くなるように設定される。
【0040】
枠体26は、ダム材とも称され、発光素子24が実装される第1実装領域21aを囲むように配置される。枠体26の長手方向は、線状発光部2の長手方向と一致する。枠体26の幅方向は、線状発光部2の幅方向と一致する。枠体26は、線状発光部2の長手方向に伸延した環状の形状を有する。
【0041】
枠体26は、長尺状のほぼ同じ幅の枠体連続体が、環状に配置されて形成される。枠体連続体は、白色の樹脂で形成されることが好ましい。例えば、枠体連続体は、酸化チタン等の微粒子が分散されたシリコン樹脂又はエポキシ樹脂を用いて形成される。発光素子24から枠体26に向けて出射された光は、枠体26の内側、即ち発光素子24側の表面で反射されて線状発光部2の上方に出射される。
【0042】
封止材27は、枠体26により囲われた第1実装領域21aに充填されて、第1実装領域21aに実装された発光素子24及び発光素子24の間を電気的に接続するワイヤ28を封止する。封止材27は、複数の発光素子24に基づいて生成される光に対して透光性を有する樹脂に蛍光体が含有された部材である。複数の発光素子24に基づいて生成される光は、発光素子24が出射する光と、蛍光体により波長変換された光を含む。蛍光体は、発光素子24が出射した青色光を吸収して黄色光に波長変換する、例えばYAG(Yttrium Aluminum Garnet)等の粒子状の蛍光体材料である。青色光と蛍光体により波長変換された黄色光とが混合されることにより白色光が得られる。封止材27は、例えば、エポキシ樹脂又はシリコン樹脂等の樹脂に蛍光体が含有されて形成されてもよい。封止材27は、青色光を吸収して他の色の光(赤色、緑色等)に波長変換する蛍光体を有していてもよい。また、封止材27は、蛍光体が含有されていなくてもよい。
【0043】
第2実装領域21bに対応して配置されるコネクタ22、複数の発光素子24、配線25、枠体26及び封止材27は、第1実装領域21aに対応して配置されるそれぞれと同様の構成及び機能を有するので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0044】
第2実装領域21bに対応して配置されるコネクタ22は、第1実装領域21aに対応して配置されるコネクタ22が配置される基板20の長手方向の一端の反対側の他端に配置される。第1実装領域21a及び第2実装領域21bのそれぞれに対応して配置されるコネクタ22は、基板20の長手方向の端部に配置されるので、全ての発光素子24が発光を開始する閾値電圧が比較的高い第1の発光素子列は、基板20の長手方向の外側に配置される。また、全ての発光素子24が発光を開始する閾値電圧が比較的低い第2の発光素子列242は、基板20の長手方向の内側に配置される。
【0045】
導光板3は、線状発光部2が出射する光を入射する入射面31と、入射面31から入射した光を出射する出射面32と、突起部33を有し、面状発光装置1の長手方向に伸延した、扁平な直方体の形状を有する。導光板3は、入射面31から入射した光を導光しながら進行方向を変化させて、入射面31と直交する向きを有する出射面32から出射する。
【0046】
導光板3は、線状発光部2が発光する光を伝搬する材料を用いて形成される。導光板3は、例えば、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂等の樹脂を用いて形成される。また、導光板3は線状発光部2から高輝度の光を入射されるので、耐光性の高い材料を用いて形成してもよい。耐光性の高い材料として、例えば、ガラスを用いることができる。導光板3は、入射面31の光軸が、線状発光部2に実装される発光素子24の光軸と一致するように、下ケース6bに収納される。
【0047】
また、導光板3の出射面32に対向し且つ反射シート4に接する面は、微細な凹凸構造が形成され、出射面32に対向する面に入射した光を、凹凸構造により出射面32の方向に反射して出射面32から出射する。
【0048】
突起部33は、入射面31の長手方向の両側及び中央部に配置され、線状発光部2が発光の発熱等により湾曲したときに線状発光部2の表面331~333に当接して、線状発光部2が下ケース6bの長手方向の側面から離隔することを防止する。当接領域331は基板20の一端の表面であり、当接領域332は基板20の他端の表面であり、当接領域333は基板20の中央の表面である。突起部33が当接する線状発光部2の表面には第1実装領域21a及び第2実装領域21bが形成されず、突起部33が当接しない線状発光部2の表面には第1実装領域21a及び第2実装領域21bが形成される。
【0049】
なお、導光板3の形状は、長手方向に伸延した矩形に限定されるものではない。導光板3の形状は、面状発光装置1が組み込まれる装置が出射する光の面形状に対応させて適宜決定されてもよい。例えば、導光板3の形状は、正方形、4角形以外の多角形、楕円形であってもよい。また、例えば、面状発光装置1が、照明装置の光源として用いられる場合には、導光板3の形状は、円形、楕円形、多角形の形状であってもよい。
【0050】
反射シート4は、導光板3の出射面32に対向する面から出射した光を、導光板3に反射する。反射シート4は、例えば、光反射機能を有する金属板、フィルム、箔、銀蒸着膜が形成されたフィルム、アルミニウム蒸着膜が形成されたフィルム、又は白色シート等を用いることができる。
【0051】
光学シート5は、例えば拡散シート、集光シート及び反射型偏光板を含む。拡散シートは、例えばポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂等の樹脂にシリカ粒子等を分散して形成され、導光板3の出射面32から出射した光が拡散しながら透過する。集光シートは、例えばプリズムシート等の微小な集光群が反射型偏光板に対向する面に形成されたシート材であり、拡散シートから入射した光の配光分布を調整して、反射型偏光板に向かって出射する。反射型偏光板は、例えば樹脂により形成される多層膜構造を有し、集光シートから入射した光のS成分及びP成分の中の何れか一方の成分を透過し、他方の成分を反射する。集光シートによって反射された成分の光は、反射シート側に向かって進行した後、反射型偏光板に再度入射するまでの間に反射型偏光板を透過する成分の光に変換される。
【0052】
なお、導光板3上に配置される光学シート5に含まれるシート材は、上述した例に限定されるものではない。例えば、面状発光装置1が一般の照明装置の光源として使用される場合、導光板3上に、第1の拡散シートと、第2の拡散シートとを順番に配置してもよい。また、面状発光装置1が大型のディスプレイ装置の光源として使用される場合、導光板3上に、第1の拡散シートと、第2の拡散シートと、集光シートとを順番に配置してもよい。また、面状発光装置1が大型、中型又は小型のディスプレイ装置の光源として使用される場合、導光板3上に、拡散シートと、集光シートとを順番に配置してもよい。また、面状発光装置1が小型のディスプレイ装置の光源として使用される場合、導光板3上に、拡散シートと、第1の集光シートと、第2の集光シートを順番に配置してもよい。
【0053】
ケース6は、上ケース6aと、下ケース6bとを有する。上ケース6aは矩形の開口部61が形成された枠状部材であり、下ケース6bはケーブルが貫通可能な一対の開口部62が底面に形成された箱状部材である。ケース6は、上ケース6a及び下ケース6bは矩形の平面形状を有し、線状発光部2、導光板3、反射シート4及び光学シート5を収納する。ケース6は、線状発光部2の発光領域が導光板3の入射面と対向するように、線状発光部2及び導光板3を収納する。上ケース6aは、開口部61から光学シート5が露出し、線状発光部2から出射した光は、開口部61に対応する発光面10から面状発光装置1の外部へ面状に均一に出射される。
【0054】
次に、上述した本実施形態の面状発光装置1の動作について、以下に説明する。
【0055】
図5(a)に示すように、外部電力がケーブル23に供給されることに応じて、線状発光部2の発光素子24は発光する。線状発光部2から出射された線状の光は、導光板3の入射面31へ入射する。
【0056】
線状発光部2から出射した光の多くは、導光板3の入射面31に入射し、線状発光部2から出射した光の一部は、枠体26で反射して、導光板3の入射面31に入射する。封止材27の表面の位置と、枠体26の高さとの関係は、線状発光部2の寸法又は線状発光部2と導光板3との位置関係に基づいて適宜設計可能である。また、面状発光装置1の設計の許す範囲で枠体26の高さをより高くして、枠体26と導光板3の入射面31との距離を近接させることにより、線状発光部2から出射した光は、効率よく導光板3の入射面31に入射される。導光板3の入射面31に入射した光は、反射シート4等により反射されて出射面32から光学シートに出射される。導光板3の出射面32から面状に出射した光は、光学シート5を透過して、面状発光装置1の外部へ出射される。
【0057】
面状発光装置1は、複数の発光素子を高密度で実装された線状発光部を有するので、高い輝度の面状の光を出射可能である。
【0058】
また、面状発光装置1では、発光素子24は、コネクタ22との間の距離が遠くなるほど、発光素子列に含まれる全ての発光素子24が発光を開始する閾値電圧が低くなるように配置されている。発光素子24は、閾値電圧VFを超える電圧が印加さると、印加される電圧に応じてアノードとカソードの間に流れる電流を急激に増加させる。発光素子24の輝度は、アノードとカソードの間に流れる電流に応じて高くなる。面状発光装置1では、コネクタ22に近い実装領域に閾値電圧VFが高い発光素子24を実装し、コネクタ22から遠い実装領域に閾値電圧VFが低い発光素子24を実装することで、配線25による電圧降下を補償する。
【0059】
例えば、発光素子列に含まれる発光素子24の閾値電圧VFの合計電圧の差が0.1Vであり、発光素子列に含まれる発光素子24が実装される領域の間の配線25による電圧降下が0.1Vであるとき、実装される全ての発光素子24が略同時に出射を開始する。実装される全ての発光素子24は、略同時に出射を開始した後、印加される電圧の上昇に応じて実装される全ての発光素子24が同様な特性で電流を増加させることで、略同一の輝度の光を出射することができる。
【0060】
図6は、第2実施形態に係る面状発光装置が有する線状発光部の拡大平面図である。
【0061】
第2実施形態に係る面状発光装置は、線状発光部8を線状発光部2の代わりに有することが第1実施形態に係る面状発光装置1と相違する。線状発光部8以外の第2実施形態に係る面状発光装置の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された面状発光装置1の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0062】
線状発光部8は、ケーブル83a及び83bに接続されたアノード端子82a及びカソード端子82b並びにアノード配線85a及びカソード配線85bをコネクタ22及び配線25の代わりに有することが線状発光部2と相違する。アノード端子82a及びカソード端子82b並びにアノード配線85a及びカソード配線85b以外の線状発光部8の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された線状発光部2の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0063】
アノード端子82aは第1実装領域21aの長手方向の外側の基板20の一端に形成され、カソード端子82bは第2実装領域21bの長手方向の外側の基板20の他端に形成される。アノード端子82a及びカソード端子82bを含むコネクタ82は、基板20の端部に配置され、配線85に電力を供給する電力供給部の一例である。アノード端子82aはアノード配線85aに電力を入力する電力入力部の一例であり、アノード端子82aはカソード配線85bから電力を出力する電力出力部の一例である。
【0064】
アノード配線85a及びカソード配線85bは、第1実装領域21a及び第2実装領域21bに沿って基板20の長手方向に伸延するように基板20に形成される。アノード配線85aは、ワイヤ28を介して第1実装領域21a及び第2実装領域21bのそれぞれに実装される発光素子24のアノードに接続される。カソード配線85bは、ワイヤ28を介して第1実装領域21a及び第2実装領域21bのそれぞれに実装される発光素子24のカソードに接続される。
【0065】
アノード配線85aとカソード配線85bとの間には、ワイヤ28を介して8個の発光素子24がアノード配線25aとカソード配線25bとの間に直列接続されて、n個の発光素子列801~80nが形成される。発光素子列801はアノード端子82aが形成される基板20の一端に近接して配置され、発光素子列802は発光素子列80nの方向に発光素子列801に隣接して配置され、発光素子列803は発光素子列80nの方向に発光素子列802に隣接して配置される。以下、同様に、n個の発光素子列801~80nは、基板20の長手方向に順次配置される。
【0066】
発光素子列801は、アノード端子82aに最も近接して配置されると共に、カソード端子82bから最も離隔して配置される。発光素子列802は、アノード端子82aに発光素子列801の次に近接して配置されると共に、カソード端子82bから発光素子列801の次に離隔して配置される。同様に発光素子列801~80nのそれぞれは、アノード端子82aから離隔するに従ってカソード端子82bに近接するように配置される。
【0067】
線状発光部8では、発光素子列801~80nのそれぞれは、アノード端子82aから離隔するに従ってカソード端子82bに近接するように配置されるので、アノード配線85aの配線抵抗値が増加するに従ってカソード配線85bの配線抵抗値が低下する。すなわち、発光素子列801~80nのそれぞれは、接続されるアノード配線85aの配線抵抗値及びカソード配線85bの配線抵抗値の変化量が互いに相殺されるように配置される。
【0068】
例えば、アノード配線85a及びカソード配線85bが、温度20℃での電気抵抗率が1.7×10-8Ω・mである銅により形成され、幅が0.9mmであり且つ厚さが0.018mmであるとする。
【0069】
発光素子列801のアノード配線85aとの接続部とアノード端子82aとの間の長さが4.0mmであるとき、アノード端子82aと発光素子24のアノードとの間の配線抵抗値は、4.2×10-3Ωになる。また、発光素子列801のカソード配線85bとの接続部とカソード端子82bとの間の長さが133.6mmであるとき、カソード端子82bと発光素子24のカソードとの間の配線抵抗値は、140.2×10-3Ωになる。したがって、アノード端子82a及びカソード端子82bと発光素子列801に含まれる発光素子24との間の配線抵抗値は、144.4×10-3Ωになる。
【0070】
また、発光素子列802のアノード配線85aとの接続部とアノード端子82aとの間の長さが14.8mmであるとき、アノード端子82aと発光素子24のアノードとの間の配線抵抗値は、15.5×10-3Ωになる。また、発光素子列8012のカソード配線85bとの接続部とカソード端子82bとの間の長さが122.8mmであるとき、カソード端子82bと発光素子24のカソードとの間の配線抵抗値は、122.8×10-3Ωになる。したがって、アノード端子82a及びカソード端子82bと発光素子列802に含まれる発光素子24との間の配線抵抗値は、発光素子列802に含まれる発光素子24と同様に、144.4×10-3Ωになる。
【0071】
同様にアノード端子82a及びカソード端子82bと発光素子列802に含まれる発光素子24との間の配線抵抗値は、何れも144.4×10-3Ωになるので、素子列ごとに流れる電流値が一定になり、均一な輝度が得られる。
【0072】
また、線状発光部8では、アノード配線25aの体積と、カソード配線25bの体積が等しくなるように、アノード配線25a及びカソード配線25bを配置すると、アノード配線25a及びカソード配線25bは、単位長さ当たりの抵抗値は等しくなる。本開示では、カソード配線25bの体積が、アノード配線25aの体積の±5%の範囲に入るときには、アノード配線25a及びカソード配線25bの体積が等しいとする。また、本開示では、カソード配線25bの単位長さ当たりの抵抗値が、アノード配線25aの単位長さ当たりの抵抗値の±5%の範囲に入るときには、アノード配線25a及びカソード配線25bの単位長さ当たりの抵抗値が等しいとする。
【0073】
例えば、アノード配線85a及びカソード配線85bが、温度20℃での電気抵抗率が1.7×10-8Ω・mである銅により形成されるとする。また、アノード配線85aの幅が0.9mmであり且つアノード配線85aの厚さが0.018mmであり、カソード配線85bの幅が0.45mmであり且つカソード配線85bの厚さが0.036mmであるとする。
【0074】
発光素子列801のアノード配線85aとの接続部とアノード端子82aとの間の長さが4.0mmであるとき、アノード端子82aと発光素子24のアノードとの間の配線抵抗値は、4.2×10-3Ωになる。また、発光素子列801のカソード配線85bとの接続部とカソード端子82bとの間の長さが133.6mmであるとき、カソード端子82bと発光素子24のカソードとの間の配線抵抗値は、140.2×10-3Ωになる。したがって、アノード端子82a及びカソード端子82bと発光素子列801に含まれる発光素子24との間の配線抵抗値は、144.4×10-3Ωになる。
【0075】
また、発光素子列802のアノード配線85aとの接続部とアノード端子82aとの間の長さが14.8mmであるとき、アノード端子82aと発光素子24のアノードとの間の配線抵抗値は、15.5×10-3Ωになる。また、発光素子列802のカソード配線85bとの接続部とカソード端子82bとの間の長さが122.8mmであるとき、カソード端子82bと発光素子24のカソードとの間の配線抵抗値は、122.8×10-3Ωになる。したがって、アノード端子82a及びカソード端子82bと発光素子列802に含まれる発光素子24との間の配線抵抗値は、発光素子列802に含まれる発光素子24と同様に、144.4×10-3Ωになる。
【0076】
同様にアノード端子82a及びカソード端子82bと発光素子列802に含まれる発光素子24との間の配線抵抗値は、何れも144.4×10-3Ωになるので、素子列ごとに流れる電流値が一定になり、均一な輝度が得られる。このように、発光装置は、アノード配線及びカソード配線の合計の体積を等しくすることにより、輝度が得られる。
【0077】
また、線状発光部8では、発光素子列801~80nのそれぞれは、それぞれのアノード配線25aとの接続点からアノード端子82aまでの長さと、それぞれのカソード配線25bとの接続点からカソード端子82bまでの長さの合計の長さが等しくなるように配置される。発光素子列801~80がアノード配線25aとの接続点からアノード端子82aまでの長さとカソード配線25bとの接続点からカソード端子82bまでの長さの合計の長さが等しくなるように配置されることで、線状発光部8では、配線抵抗値の変化量が互いに相殺される。
【0078】
例えば、アノード配線85a及びカソード配線85bが、温度20℃での電気抵抗率が1.7×10-8Ω・mである銅により形成されるとする。また、アノード配線85aの幅が0.9mmであり且つアノード配線85aの厚さが0.036mmであり、カソード配線85bの幅が0.45mmであり且つカソード配線85bの厚さが0.036mmであるとする。さらに、光素子24のアノードとアノード端子82aとの間のアノード配線85aの長さは、発光素子24のアノードとアノード端子82aとの間の長さの2倍であるとする。
【0079】
発光素子列801のアノード配線85aとの接続部とアノード端子82aとの間の長さが4.0mmであるとき、アノード端子82aと発光素子24のアノードとの間の配線抵抗値は、4.2×10-3Ωになる。また、発光素子列801のカソード配線85bとの接続部とカソード端子82bとの間の長さが133.6mmであるとき、カソード端子82bと発光素子24のカソードとの間の配線抵抗値は、140.2×10-3Ωになる。したがって、アノード端子82a及びカソード端子82bと発光素子列801に含まれる発光素子24との間の配線抵抗値は、144.4×10-3Ωになる。
【0080】
また、発光素子列802のアノード配線85aとの接続部とアノード端子82aとの間の長さが14.8mmであるとき、アノード端子82aと発光素子24のアノードとの間の配線抵抗値は、15.5×10-3Ωになる。また、発光素子列802のカソード配線85bとの接続部とカソード端子82bとの間の長さが122.8mmであるとき、カソード端子82bと発光素子24のカソードとの間の配線抵抗値は、122.8×10-3Ωになる。したがって、アノード端子82a及びカソード端子82bと発光素子列802に含まれる発光素子24との間の配線抵抗値は、発光素子列802に含まれる発光素子24と同様に、144.4×10-3Ωになる。
【0081】
同様にアノード端子82a及びカソード端子82bと発光素子列802に含まれる発光素子24との間の配線抵抗値は、何れも144.4×10-3Ωになるので、素子列ごとに流れる電流値が一定になり、均一な輝度が得られる。このように、発光装置は、アノード配線及びカソード配線の合計の長さを等しくすることにより、均一な輝度が得られる。
【0082】
また、線状発光部8では、アノード配線25a及びカソード配線25bは、アノード端子82aと、カソード端子82bの中点を基準として点対称となるように配置される。線状発光部8では、アノード配線25a及びカソード配線25bが点対称となるように配置されることで、発光素子列801~80nのそれぞれのアノード配線25a及びカソード配線25bによる配線抵抗値が相殺される。
【0083】
また、線状発光部8では、n個の発光素子列801~80nのそれぞれは、線状発光部8の長手方向の中央からの距離が一致する一対の発光素子列が点対称になるように配置される。線状発光部8では、発光素子列801と発光素子列80nとは点対称となり、発光素子列802と発光素子列80(n-1)とは点対称となる。以下同様に、発光素子列3,4及び5のそれぞれは発光素子列80(n-2)、80(n-3)及び80(n-4)と点対称になる。
【0084】
線状発光部8は、発光素子列801~80nのそれぞれは、接続されるアノード配線85aの配線抵抗値及びカソード配線85bの配線抵抗値の変化量が互いに相殺されるように配置されるので、均一の輝度を有する光を出射することができる。
【0085】
図7(a)は第1変形例に係る線状発光部を示す部分平面図であり、図7(b)は第2変形例に係る線状発光部を示す部分平面図であり、図7(c)は第3変形例に係る線状発光部を示す部分平面図である。
【0086】
第1変形例に係る線状発光部101は、実装基板110a及び回路基板110bを有する基板110、ケーブル113に接続されたコネクタ112及び配線115を基板20、コネクタ22及び配線25の代わりに有することが線状発光部2と相違する。また、線状発光部101は、第2実装領域21bにおける発光素子24の配置が線状発光部2と相違する。基板110、コネクタ112及び配線115並びに発光素子24の配置以外の線状発光部101の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された線状発光部2の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0087】
実装基板110a及び回路基板110bは、短手方向の幅が実装基板20a及び回路基板20bと相違する。コネクタ112及び配線115の基板20の短手方向の幅を調整して、基板20と同じ幅にしてもよい。短手方向の幅以外の実装基板110a及び回路基板110bの構成及び機能は、実装基板20a及び回路基板20bの構成及び機能と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0088】
コネクタ112は、第1アノード端子112aと、第2アノード端子112bと、カソード端子112cとを有する。第1アノード端子112a、第2アノード端子112b及びカソード端子112cは、ケーブル113にそれぞれ電気的に接続される。
【0089】
配線115は、第1アノード配線115aと、第2アノード配線115bと、カソード配線115cとを有する。第1アノード配線115aは、第1アノード端子112a及び第1実装領域21aに配置される発光素子24のアノードと電気的に接続され、ケーブル113を介して供給される電力を第1実装領域21aに配置される発光素子24に供給する。第2アノード配線115bは、第2アノード端子112b及び第2実装領域21bに配置される発光素子24のアノードと電気的に接続され、ケーブル113を介して供給される電力を第2実装領域21bに配置される発光素子24に供給する。カソード配線115cは、カソード端子112c並びに第1実装領域21a及び第2実装領域21bに配置される発光素子24のカソードと電気的に接続される。
【0090】
コネクタ112は、基板110の端部に配置され、配線115に電力を供給する電力供給部の一例である。第1アノード端子112aは第1実装領域21aに実装された発光素子24のアノードに接続された第1アノード配線115aに電力を入力する第1電力入力部の一例である。第2アノード端子112bは第2実装領域21bに実装された発光素子24のアノードに接続された第2アノード配線115bに電力を入力する第2電力入力部の一例である。カソード端子112cは第1実装領域21a及び第2実装領域21bのそれぞれに実装された発光素子24のカソードに接続されたカソード配線115cに電力を出力する電力出力部の一例である。
【0091】
第1実装領域21aにおいて、発光素子24は、線状発光部2と同様に、第1の発光素子列241が長手方向の外側に配置され、第2の発光素子列242が長手方向の内側に配置される。一方、第2実装領域21bにおいて、発光素子24は、線状発光部2と反対に、第1の発光素子列241が長手方向の内側に配置され、第2の発光素子列242が長手方向の外側に配置される。しかしながら、第1実装領域21a及び第2実装領域21bの何れにおいても、コネクタ112に比較的近い実装領域に、含まれる発光素子24の閾値電圧VFの合計電圧が比較的高い第1の発光素子列241が実装される。また、コネクタ112から比較的遠い実装領域に、含まれる発光素子24の閾値電圧VFの合計電圧が比較的低い第2の発光素子列242が実装される。
【0092】
線状発光部101では、発光素子24は、コネクタ112との間の距離が長くなるほど、発光素子列に含まれる閾値電圧VFの合計電圧が低くなるように配置されているので、線状発光部2と同様に、輝度が均一な線状光を出射することができる。
【0093】
第2変形例に係る線状発光部102は、実装基板120a及び回路基板120bを有する基板120、ケーブル123に接続されたコネクタ122及び配線125を基板20、コネクタ22及び配線25の代わりに有することが線状発光部2と相違する。また、線状発光部102は、第1実装領域21aと、第2実装領域21bにおける発光素子24の配置が線状発光部2と相違する。基板120、コネクタ122及び配線125並びに発光素子24の配置以外の線状発光部102の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された線状発光部2の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0094】
実装基板120a及び回路基板120bは、短手方向の幅が実装基板20a及び回路基板20bと相違する。コネクタ122及び配線125の基板20の短手方向の幅を調整して、基板20と同じ幅にしてもよい。短手方向の幅以外の実装基板120a及び回路基板120bの構成及び機能は、実装基板20a及び回路基板20bの構成及び機能と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0095】
コネクタ122は、第1アノード端子122aと、第2アノード端子122bと、カソード端子122cとを有する。第1アノード端子122a、第2アノード端子122b及びカソード端子122cは、第1実装領域21aと第2実装領域21bとの間に配置され、ケーブル123にそれぞれ電気的に接続される。
【0096】
配線125は、第1アノード配線125aと、第2アノード配線125bと、カソード配線125cとを有する。第1アノード配線125aは、第1アノード端子122a及び第1実装領域21aに配置される発光素子24のアノードと電気的に接続され、ケーブル123を介して供給される電力を第1実装領域21aに配置される発光素子24に供給する。第2アノード配線125bは、第2アノード端子122b及び第2実装領域21bに配置される発光素子24のアノードと電気的に接続され、ケーブル123を介して供給される電力を第2実装領域21bに配置される発光素子24に供給する。カソード配線125cは、カソード端子122c並びに第1実装領域21a及び第2実装領域21bに配置される発光素子24のカソードと電気的に接続される。
【0097】
第1アノード端子122aは第1実装領域21aに実装された発光素子24のアノードに接続された第1アノード配線125aに電力を入力する第1電力入力部の一例である。第2アノード端子122bは第2実装領域21bに実装された発光素子24のアノードに接続された第2アノード配線125bに電力を入力する第2電力入力部の一例である。カソード端子122cは第1実装領域21a及び第2実装領域21bのそれぞれに実装された発光素子24のカソードに接続されたカソード配線125cに電力を出力する電力出力部の一例である。
【0098】
第1実装領域21aにおいて、発光素子24は、線状発光部2と反対に、第1の発光素子列241が長手方向の内側に配置され、第2の発光素子列242が長手方向の外側に配置される。一方、第2実装領域21bにおいて、発光素子24は、線状発光部2と反対に、第1の発光素子列241が長手方向の内側に配置され、第2の発光素子列242が長手方向の外側に配置される。しかしながら、第1実装領域21a及び第2実装領域21bの何れにおいても、コネクタ122に比較的近い実装領域に、含まれる発光素子24の閾値電圧VFの合計電圧が比較的高い第1の発光素子列241が実装される。また、コネクタ122から比較的遠い実装領域に、含まれる発光素子24の閾値電圧VFの合計電圧が比較的低い第2の発光素子列242が実装される。
【0099】
線状発光部102では、発光素子24は、コネクタ122との間の距離が長くなるほど、発光素子列に含まれる閾値電圧VFの合計電圧が低くなるように配置されているので、線状発光部2と同様に、輝度が均一な線状光を出射することができる。
【0100】
第3変形例に係る線状発光部103は、実装基板20a及び回路基板130bを有する基板130並びに配線135を基板20及び配線25の代わりに有することが線状発光部2と相違する。また、線状発光部103は、実装領域における発光素子24の配置が線状発光部2と相違する。基板130及び配線135並びに発光素子24の配置以外の線状発光部103の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された線状発光部2の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0101】
回路基板130bは、単一の実装領域21cに対応する開口部が形成されることが回路基板20bと相違する。実装領域21cが形成されること以外の回路基板130bの構成及び機能は、回路基板20bの構成及び機能と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0102】
配線135は、アノード配線135aと、カソード配線135bとを有する。アノード配線135aは、アノード端子22a及び実装領域21cに配置される発光素子24のアノードと電気的に接続され、ケーブル23を介して供給される電力を発光素子24に供給する。カソード配線135bは、カソード端子22b及び発光素子24のカソードと電気的に接続される。
【0103】
実装領域21cにおいて、発光素子24は、n個の発光素子列1341~134nを形成するように配置される。コネクタ22から最も近い実装領域に配置される発光素子列1341及び1342は、8個の発光素子24が直列接続される。一方、コネクタ22から最も遠い実装領域に配置される発光素子列134(n-1)及び134nは、7個の発光素子24が直列接続される。発光素子24の数が異なるので、発光素子列1341及び1342の合計電圧は、比較的高く、発光素子列134(n-1)及び134nの合計電圧は、比較的低い。発光素子列1343~134(n-3)のそれぞれに含まれる発光素子24の数及び閾値電圧VFは、線状発光部102から出射される光が均一になるように決定される。
【0104】
線状発光部103では、発光素子24は、コネクタ22から最も遠い実装領域に配置される発光素子列134(n-1)及び134nに含まれる数を少なくして、配線135による電圧降下を補償することで、輝度が更に均一な線状光を出射することができる。線状発光部2は、8個の発光素子24が26の素子列を有する。線状発光部103の一実施例は、8個の発光素子24が19の素子列を有し、7個の発光素子24が8の素子列を有する。発光素子24の合計数が208個となり、線状発光部2と同等の輝度が得られる。
【0105】
図8(a)は第4変形例に係る線状発光部を示す部分平面図であり、図8(b)は図8(a)に示す実装基板の第1配線層を示す部分平面図であり、図8(c)は図8(a)に示す実装基板の第2配線層を示す部分平面図である。
【0106】
第4変形例に係る線状発光部104は、実装基板20a及び回路基板140bを有する基板140、ケーブル23に接続されたコネクタ142及び配線145を基板20、コネクタ22及び配線25の代わりに有することが線状発光部2と相違する。また、線状発光部104は、実装領域における発光素子24の配置が線状発光部2と相違する。基板140、コネクタ142及び配線145並びに発光素子24の配置以外の線状発光部104の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された線状発光部2の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0107】
回路基板140bは、実装領域21cに対応する開口部がそれぞれ形成された第1回路基板140b1及び第2回路基板140b2を有する。第1回路基板140b1及び第2回路基板140b2は、互いに重畳するように接着されて回路基板140bを形成する。
【0108】
第1回路基板140b1は、アノード端子142a、カソード端子142b、複数の第1アノード配線145a及び複数の第1カソード配線145bが形成される。アノード端子142a及びカソード端子142bは、第1回路基板140b1の端部に形成され、ケーブル23に電気的に接続される。
【0109】
複数の第1アノード配線145a及び複数の第1カソード配線145bのそれぞれは、8個の発光素子24が直列接続されて形成される複数の発光素子列のそれぞれに対応して形成される。複数の第1アノード配線145a及び複数の第1カソード配線145bのそれぞれは、複数の発光素子列のそれぞれに別個に接続される。
【0110】
アノード端子142a及びカソード端子142bを含むコネクタ142は、基板140の端部に配置され、配線145に電力を供給する電力供給部の一例である。アノード端子142aは実装領域21cに実装された発光素子24のアノードに接続された第1アノード配線145aに電力を入力する電力入力部の一例である。カソード端子142bは実装領域21cに実装された発光素子24のカソードに接続された第1カソード配線145bに電力を出力する電力出力部の一例である。
【0111】
第2回路基板140b2は、第2アノード配線146a及び第2カソード配線146bが形成される。第2アノード配線146a及び第2カソード配線146bは、複数の第1アノード配線145a及び複数の第1カソード配線145bよりも幅が広く、第2回路基板140b2の長手方向に伸延するように形成される。第2アノード配線146a及び第2カソード配線146bは、アノード端子142a、カソード端子142b、複数の第1アノード配線145a及び複数の第1カソード配線145bのそれぞれとスルーホール147を介して電気的に接続される。
【0112】
実装領域21cにおいて、コネクタ142に最も近い実装領域に配置される発光素子列に含まれる発光素子24の閾値電圧VFの合計電圧は他の発光素子列に含まれる発光素子24の閾値電圧VFの合計電圧よりも高い。一方、コネクタ142から最も遠い実装領域に配置される発光素子列に含まれる発光素子24の閾値電圧VFの合計電圧は他の発光素子列に含まれる発光素子24の閾値電圧VFの合計電圧よりも低い。コネクタ142に最も近い発光素子列とコネクタ142から最も遠い発光素子列との間に配置される発光素子列は、コネクタ142との間の距離が遠くなるほど、発光素子列に含まれる全ての発光素子が発光を開始する閾値電圧が低くなるように設定される。複数の発光素子列のそれぞれに含まれる発光素子24の閾値電圧VFの合計電圧は、線状発光部104から出射される光が均一になるように決定される。
【0113】
線状発光部104は、幅が広い第2アノード配線146a及び第2カソード配線146bを介して発光素子24のそれぞれに電力を供給するので、配線による電圧降下を抑制することができるため、輝度が更に均一な線状光を出射することができる。
【0114】
図9(a)は第5変形例に係る線状発光部を示す部分平面図であり、図9(b)は図9(a)に示す実装基板の第1配線層を示す部分平面図であり、図9(c)は図9(a)に示す実装基板の第2配線層を示す部分平面図である。
【0115】
第5変形例に係る線状発光部105は、実装基板150a及び回路基板150bを有する基板150及び配線155を基板20及び配線25の代わりに有することが線状発光部2と相違する。また、線状発光部105は、実装領域における発光素子24の配置が線状発光部2と相違する。基板150及び配線155並びに発光素子24の配置以外の線状発光部105の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された線状発光部2の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0116】
実装基板150aは、短手方向の幅が実装基板20aと相違する。短手方向の幅以外の実装基板150aの構成及び機能は、実装基板20aの構成及び機能と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。回路基板150bは、実装領域21cに対応する開口部がそれぞれ形成された第1回路基板150b1及び第2回路基板150b2を有する。第1回路基板150b1及び第2回路基板150b2は、互いに重畳するように接着されて回路基板150bを形成する。
【0117】
第1回路基板150b1は、複数の第1アノード配線155a及び単一のカソード配線155bが形成される。複数の第1アノード配線155aのそれぞれは、8個の発光素子24が直列接続されて形成される複数の発光素子列のそれぞれに対応して形成されて、複数の発光素子列のそれぞれに別個に接続される。単一のカソード配線155bは、8個の発光素子24が直列接続されて形成される複数の発光素子列の全てに共通に形成されて、複数の発光素子列の全てに接続される。
【0118】
第2回路基板150b2は、複数の第2アノード配線156aが形成される。複数の第2アノード配線156aは、幅が複数の第1アノード配線155aの幅と略同一であり、第2回路基板150b2の長手方向の端部まで伸延するように形成される。複数の第2アノード配線156aは、複数の第1アノード配線155aのそれぞれとスルーホール157を介して電気的に接続される。
【0119】
カソード配線155b及び複数の第2アノード配線156aは、長手方向の端部において、電源と接続可能なフレキシブル基板等の可とう性の回路基板153と接続される。複数の第2アノード配線156aは、可とう性の回路基板153から供給される電力を複数の第1アノード配線155aのそれぞれを介して複数の発光素子列に含まれる発光素子24に電力を供給する。カソード配線155b及び複数の第2アノード配線156aの可とう性の回路基板と接続される長手方向の端部は、コネクタとして機能する。
【0120】
の回路基板153に接続されるカソード配線155b及び複数の第2アノード配線156aの端部は、基板150の端部に配置され、配線155に電力を供給する電力供給部の一例である。複数の第2アノード配線156aの端部は、実装領域21cに実装された発光素子24のアノードに接続された第1アノード配線155aに電力を入力する電力入力部の一例である。カソード配線155bの端部は実装領域21cに実装された発光素子24のカソードに接続されたカソード配線155bから電力を出力する電力出力部の一例である。
【0121】
実装領域21cにおいて、可とう性の回路基板153に接続される端部に最も近い実装領域に配置される発光素子列に含まれる発光素子24の閾値電圧VFの合計電圧は他の発光素子列に含まれる発光素子24の閾値電圧VFの合計電圧よりも高い。一方、可とう性の回路基板153に接続される端部に最も遠い実装領域に配置される発光素子列に含まれる発光素子24の閾値電圧VFの合計電圧は他の発光素子列に含まれる発光素子24の閾値電圧VFの合計電圧よりも低い。回路基板153に最も近い発光素子列と回路基板153から最も遠い発光素子列との間に配置される発光素子列は、回路基板153との間の距離が遠くなるほど、発光素子列に含まれる全ての発光素子が発光を開始する閾値電圧が低くなるように設定される。また、実装領域21cにおいて、回路基板153に最も近い発光素子列と回路基板153から最も遠い発光素子列との間に配置される発光素子列に接続する第2アノード配線156aは、回路基板153との間の距離が遠くなるほど、幅が太くなってもよい。配線抵抗値が低くなるからである。複数の発光素子列のそれぞれに含まれる発光素子24の閾値電圧VFは、線状発光部103から出射される光が均一になるように決定される。
【0122】
線状発光部105は、複数の第2アノード配線156aを介して複数の発光素子列のそれぞれに別個に電力を供給するので、配線による電圧降下を抑制することができるため、輝度が更に均一な線状光を出射することができる。
【0123】
また、線状発光部105は、複数の第2アノード配線156aを介して複数の発光素子列のそれぞれに別個に電力を供給するので、発光素子列毎の点滅制御が可能である。
【0124】
また、面状発光装置1では、発光素子24は、2つの実装領域に実装されるが、実施形態に係る面状発光装置では、発光素子24は、3つ以上の実装領域に実装されてもよい。
【0125】
閾値VFの特性が同一の発光素子により形成される比較例に係る線状発光部、及びコネクタからの距離が遠くなるほど発光素子列に含まれる発光素子のVFが小さくなる第1実施形態に係る線状発光部の特性をシミュレーションにより比較した。
【0126】
比較例及び第1実施形態に係る線状発光部では、直列接続された8個の発光素子により形成される発光素子列を26列に亘り並列接続した。また、コネクタに印加される入力電圧Vinは21.24Vとし、入力電流Iinは890mAとし、発光素子列間の配線抵抗値はアノード間及びカソード間の何れも4.35mΩとした。
【0127】
図10は、比較例に係る線状発光部のシミュレーション結果を示す図である。図10(a)は比較例に係る線状発光部のシミュレーションに使用した発光素子のIF-VF特性を示し、図10(b)は比較例に係る線状発光部の電流特性を示し、図10(c)は比較例に係る線状発光部の光度値特性を示す。図10(a)において、横軸は発光素子の順電圧(以下、順電圧とも称する)VFを示し、縦軸は発光素子の順電流IFを示す。図10(b)において、横軸はコネクタに近い順の発光素子列の配列順を示し、縦軸は発光素子に流れる電流Iledを示す。図10(c)において、横軸はコネクタに近い順の発光素子列の配列順を示し、縦軸はコネクタに一番近い発光素子列に含まれる発光素子の光度値を100%としたときの発光素子列のそれぞれに含まれる発光素子の相対的な光度値を示す。
【0128】
図10(a)に示すように、比較例に係る線状発光部のシミュレーションでは、順電流IFが34mAのときの閾値電圧VFが2.65VのLEDを使用した。
【0129】
図10(b)に示すように、コネクタに一番近い発光素子列に含まれる発光素子に流れる電流が36.43mAであるのに対し、コネクタから一番遠い発光素子列に含まれる発光素子に流れる電流が33.07mAである。比較例に係る線状発光部では、コネクタに一番近い発光素子列に含まれる発光素子に流れる電流と、コネクタから一番遠い発光素子列に含まれる発光素子に流れる電流との差は、3.36mAであった。
【0130】
図10(c)に示すように、コネクタに一番近い発光素子列に含まれる発光素子の光度値を100%としたとき、コネクタから一番遠い発光素子列に含まれる発光素子の光度値は91%となった。閾値電圧VFが同一の発光素子により形成される比較例に係る線状発光部は、両端に配置される発光素子列に含まれる発光素子の光度値が9%相違することが確認された。
【0131】
図11は、第1実施形態に係る線状発光部のシミュレーション結果を示す図である。図11(a)は第1実施形態に係る線状発光部の順電圧VFの分布を示し、図11(b)は第1実施形態に係る線状発光部の電流特性を示し、図11(c)は第1実施形態に係る線状発光部の光度特性を示す。図11(a)において、横軸はコネクタに近い順の発光素子列の配列順を示し、縦軸は発光素子の順電圧VFを示す。図11(b)において、横軸はコネクタに近い順の発光素子列の配列順を示し、縦軸は発光素子に流れる電流Iledを示す。図11(c)において、横軸はコネクタに近い順の発光素子列の配列順を示し、縦軸はコネクタに一番近い発光素子列に含まれる発光素子の光度値を100%としたときの発光素子列のそれぞれに含まれる発光素子の相対的な光度値を示す。
【0132】
図11(a)に示すように、コネクタに一番近い発光素子列に含まれる発光素子の順電圧VFとコネクタから一番遠い発光素子列に含まれる発光素子の順電圧VFとの電圧差が0.012Vとなるように発光素子の順電圧VFを発光素子列毎に設定した。コネクタに一番近い発光素子列に含まれる発光素子の順電圧VFとコネクタから一番遠い発光素子列に含まれる発光素子の順電圧VFとの電圧差0.012Vは、比較例に係る線状発光部のシミュレーション結果から演算された値である。他の発光素子列に含まれる発光素子の順電圧も同様に、比較例に係る線状発光部のシミュレーション結果から演算された電圧差に基づいて設定された。実施形態に係る半導体装置では、発光素子は、コネクタとの間の距離が遠くなるほど、発光素子列に含まれる全ての発光素子が発光を開始する順電圧が低くなるように配置されている。
【0133】
図10(b)に示すように、発光素子列に含まれる発光素子の順電圧を図10(a)に示すように設定することで、発光素子に流れる電流Iledが34.22mAで一定値になった。
【0134】
図10(b)に示すように、発光素子列に含まれる発光素子の順電圧を図10(a)に示すように設定することで、発光素子に流れる電流が一定値になり、光度値を一定値にできることが確認された。
【0135】
本開示は、以下の態様であってもよい。
〔態様1〕
所定の方向に伸延した基板と、
前記所定の方向に伸延するように前記基板に形成された配線と、
前記基板の端部に配置され、前記配線に電力を供給するコネクタと、
前記基板上に前記所定の方向に並べて配置される複数の発光素子と、
前記複数の発光素子を囲むように前記基板上に配置される枠体と、
前記複数の発光素子を封止するために前記枠体の内側に配置される封止材と、を有する線状発光部と、
前記線状発光部から出射される光を入射する入射面、及び前記入射面から入射した光を出射する出射面を有する導光板と、
前記線状発光部の発光領域が前記導光板の前記入射面と対向するように、前記線状発光部及び前記導光板を収納するケースと、を有し、
前記複数の発光素子は、複数の発光素子列に分割され、前記複数の発光素子列毎に前記配線に電気的に接続され、
前記複数の発光素子列の内、前記コネクタに近接して配置された第1の発光素子列において、前記第1の発光素子列に含まれる全ての発光素子が発光を開始する第1の閾値電圧は、前記複数の発光素子列の内、前記第1の発光素子列より前記コネクタから遠くに配置された第2の発光素子列に含まれる全ての発光素子が発光を開始する第2の閾値電圧より高くなるように設定されている、ことを特徴とする面状発光装置。
〔態様2〕
前記基板は、前記所定の方向に伸延する第1実装領域及び第2実装領域が形成され、
前記コネクタは、前記第1実装領域に実装された発光素子に接続された第1配線に電力を供給する第1コネクタと、前記第2実装領域に実装された発光素子に接続された第2配線に電力を供給する第2コネクタとを含む、態様1に記載の面状発光装置。
〔態様3〕
前記第1コネクタは前記基板の一端に配置され、前記第2コネクタは前記基板の他端に配置される、態様2に記載の面状発光装置。
〔態様4〕
前記第1コネクタは、前記第1実装領域に実装された複数の発光素子のアノードに接続される第1アノード端子と、前記第1実装領域に実装された複数の発光素子のカソードに接続される第1カソード端子とを含み、
前記第2コネクタは、前記第2実装領域に実装された複数の発光素子のアノードに接続される第1アノード端子と、前記第2実装領域に実装された複数の発光素子のカソードに接続される第2カソード端子とを含む、態様3に記載の面状発光装置。
〔態様5〕
前記基板は、前記所定の方向に伸延する第1実装領域及び第2実装領域が形成され、
前記コネクタは、前記第1実装領域に実装された発光素子のアノードに接続された第1アノード配線に電力を供給する第1アノード端子と、前記第2実装領域に実装された発光素子のアノードに接続された第2アノード配線に電力を供給する第2アノード端子とを含む、態様1に記載の面状発光装置。
〔態様6〕
前記コネクタは、前記第1実装領域及び前記第2実装領域のそれぞれに実装された発光素子のカソードに接続されたカソード端子を更に含む、態様5に記載の面状発光装置。
〔態様7〕
前記第1アノード端子、前記第2アノード端子及び前記カソード端子は、前記基板の一端に配置される、態様6に記載の面状発光装置。
〔態様8〕
前記第1アノード端子、前記第2アノード端子及び前記カソード端子は、前記第1実装領域と前記第2実装領域との間に配置される、態様6に記載の面状発光装置。
〔態様9〕
前記第2の発光素子列に含まれる発光素子の数は、前記第1の発光素子列に含まれる発光素子の数よりも少ない、態様1に記載の面状発光装置。
〔態様10〕
前記基板は、第1回路基板と、前記第1回路基板と重畳して配置される第2回路基板と、を有し、
前記配線は、
前記第1回路基板に形成され、前記前記複数の発光素子にワイヤボンディングされた第1配線が、
前記第2回路基板に形成され、前記第1配線及び前記コネクタと電気的に接続された第2配線と、を含む、態様1に記載の面状発光装置。
〔態様11〕
前記第1配線は、前記複数の発光素子列のそれぞれと別個に接続される、態様10に記載の面状発光装置。
〔態様12〕
前記第1配線は、前記複数の発光素子列のそれぞれに別個に接続される複数の第1アノード配線と、前記複数の発光素子列のそれぞれに共通に接続される第1カソード配線と、を含み、
前記第2配線は、前記複数の第1アノード配線のそれぞれと別個に接続される複数の第2カソード配線を含む、態様11に記載の面状発光装置。
〔態様13〕
所定の方向に伸延した基板と、
前記所定の方向に伸延するように前記基板に形成されたアノード配線及びカソード配線と、
前記基板の前記所定の方向の一端に配置され、前記アノード配線に電力を供給するアノード端子と、
前記基板の前記所定の方向の他端に配置され、前記カソード配線に電力を供給するカソード端子と、
前記基板上に前記所定の方向に並べて配置されると共に、それぞれが前記アノード配線及び前記カソード配線に電気的に接続された複数の発光素子と、
前記複数の発光素子を囲むように前記基板上に配置される枠体と、
前記複数の発光素子を封止するために前記枠体の内側に配置される封止材と、を有する線状発光部と、
前記線状発光部から出射される光を入射する入射面、及び前記入射面から入射した光を出射する出射面を有する導光板と、
前記線状発光部の発光領域が前記導光板の前記入射面と対向するように、前記線状発光部及び前記導光板を収納するケースと、
を有する、ことを特徴とする面状発光装置。
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