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特許7005835移動体スキッドに円筒状製品を自動積載するためのセンシング方法
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  • 特許-移動体スキッドに円筒状製品を自動積載するためのセンシング方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】移動体スキッドに円筒状製品を自動積載するためのセンシング方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/20 20060101AFI20220117BHJP
   G01B 21/00 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
G01B21/20 C
G01B21/00 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019000776
(22)【出願日】2019-01-07
(65)【公開番号】P2020109385
(43)【公開日】2020-07-16
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】504005781
【氏名又は名称】株式会社日立プラントメカニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】岸本 至康
(72)【発明者】
【氏名】古賀 久之
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-067487(JP,A)
【文献】特開平08-067491(JP,A)
【文献】特開昭63-123798(JP,A)
【文献】特開平09-086870(JP,A)
【文献】特開平06-281439(JP,A)
【文献】特開平07-323944(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00077085(EP,A2)
【文献】特開平7-227723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/20
G01B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動クレーンを用いて移動体スキッドに円筒状製品を自動積載するためのセンシング方法において、
広域距離センサを用いて移動体スキッドの形状及び位置を測定し、
該測定したデータ上に、円筒状製品の直径データから導出した仮想円を配置し、
該仮想円の右半分の円弧と移動体スキッドの鉛直方向の距離が最も小さい位置と、仮想円の左半分の円弧と移動体スキッドの鉛直方向の距離が最も小さい位置とを割り出し、
当該位置の左右の鉛直方向の距離が等しくなるように仮想円を水平方向に移動させて、左右の鉛直方向の距離が等しくなる仮想円の水平方向の位置を割り出し、
当該割り出された仮想円の水平方向の位置を、移動体スキッドに円筒状製品が2点で安定的に当接して居座るようにできる位置として、自動クレーンで移動体スキッドに円筒状製品を自動積載するようにすることを特徴とする移動体スキッドに円筒状製品を自動積載するためのセンシング方法。
【請求項2】
前記左右の鉛直方向の距離が等しくなるように仮想円を水平方向に移動する際に、左右の鉛直方向の距離の数値を比較して、当該数値が大きい方向に仮想円を移動させ、左右の鉛直方向の距離の数値が等しくなった位置、又は、左右の鉛直方向の距離の数値の差が反転した位置の直近位置を、移動体スキッドに円筒状製品が2点で安定的に当接して居座るようにできる位置として、自動クレーンで移動体スキッドに円筒状製品を自動積載するようにすることを特徴とする請求項1に記載の移動体スキッドに円筒状製品を自動積載するためのセンシング方法。
【請求項3】
前記割り出された左右の鉛直方向の距離が等しくなる仮想円の水平方向の位置における左右の鉛直方向の距離が最も小さい位置が、仮想円の中心を通る鉛直線付近に存在したときに、移動体スキッドに円筒状製品が2点で安定的に当接して居座るようにできないと判断するようにすることを特徴とする請求項1に記載の移動体スキッドに円筒状製品を自動積載するためのセンシング方法。
【請求項4】
前記割り出された左右の鉛直方向の距離が等しくなる仮想円の水平方向の位置における仮想円の中心を通る鉛直線と、移動体スキッドが設置された移動体の中心を通る鉛直線とが大きくずれていたときに、移動体の走行安定性が損なわれると判断するようにすることを特徴とする請求項1に記載の移動体スキッドに円筒状製品を自動積載するためのセンシング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、製紙工場、製鉄所等の薄物製品をロール状に巻き付けた円筒状製品を、製品置場等で稼働する自動クレーンを用いて、製品置場から外部に搬出するための移動体上に配置された転がり防止用のスキッドに自動積載するためのセンシング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、製紙工場、製鉄所等の製品置場でロール状に巻き付けた円筒状製品を運搬する作業は、自動運転化された自動クレーンを用いて無人化が図られている場合が多い。例えば、製品置場内の円筒状製品の収納、積み上げ、積み替え作業や場内運搬は、自動クレーンの自動化無人運転で行われる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、製品置場から外部に搬出するために外部から持ち込まれた移動体に対しては、移動体上に設置された転がり防止用のスキッド(本明細書において、「移動体スキッド」という。)の形状や移動体の形状や移動体の停止位置などの不確定要素が多い。このため、外部から持ち込まれた移動体上のスキッドへの積載は、自動クレーンの無人運転を解除し、人が介在して天井クレーンを運転するなど、自動クレーンの自動運転による省人化効果が損なわれている実態がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-323809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、移動体の形状や移動体の停止位置などを含め、不確定要素が多い移動体スキッドの有する問題点に鑑み、このような移動体スキッドに対しても、自動クレーンを用いて円筒状製品を自動積載することができるようにするためのセンシング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の移動体スキッドに円筒状製品を自動積載するためのセンシング方法は、自動クレーンを用いて移動体スキッドに円筒状製品を自動積載するためのセンシング方法において、広域距離センサを用いて移動体スキッドの形状及び位置を測定し、該測定したデータ上に、円筒状製品の直径データから導出した仮想円を配置し、該仮想円の右半分の円弧と移動体スキッドの鉛直方向の距離が最も小さい位置と、仮想円の左半分の円弧と移動体スキッドの鉛直方向の距離が最も小さい位置とを割り出し、当該位置の左右の鉛直方向の距離が等しくなるように仮想円を水平方向に移動させて、左右の鉛直方向の距離が等しくなる仮想円の水平方向の位置を割り出し、当該割り出された仮想円の水平方向の位置を、移動体スキッドに円筒状製品が2点で安定的に当接して居座るようにできる位置として、自動クレーンで移動体スキッドに円筒状製品を自動積載するようにすることを特徴とする。
【0007】
この場合において、前記左右の鉛直方向の距離が等しくなるように仮想円を水平方向に移動する際に、左右の鉛直方向の距離の数値を比較して、当該数値が大きい方向に仮想円を移動させ、左右の鉛直方向の距離の数値が等しくなった位置、又は、左右の鉛直方向の距離の数値の差が反転した位置の直近位置を、移動体スキッドに円筒状製品が2点で安定的に当接して居座るようにできる位置として、自動クレーンで移動体スキッドに円筒状製品を自動積載するようにすることができる。
【0008】
また、前記割り出された左右の鉛直方向の距離が等しくなる仮想円の水平方向の位置における左右の鉛直方向の距離が最も小さい位置が、仮想円の中心を通る鉛直線付近に存在したときに、移動体スキッドに円筒状製品が2点で安定的に当接して居座るようにできないと判断するようにすることができる。
【0009】
また、前記割り出された左右の鉛直方向の距離が等しくなる仮想円の水平方向の位置における仮想円の中心を通る鉛直線と、移動体スキッドが設置された移動体の中心を通る鉛直線とが大きくずれていたときに、移動体の走行安定性が損なわれると判断するようにすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の移動体スキッドに円筒状製品を自動積載するためのセンシング方法によれば、移動体の形状や移動体の停止位置などを含め、不確定要素が多い移動体スキッドに対しても、自動クレーンを用いて円筒状製品を自動積載することが可能となり、自動クレーンの無人運転による省人化効果を発揮することができる。
【0011】
また、移動体スキッドに円筒状製品が2点で安定的に当接して居座るようにできないとの判断や、移動体の走行安定性が損なわれるとの判断を、移動体スキッドに円筒状製品を自動積載するときに行うことが可能となり、作業性及び安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の移動体スキッドに円筒状製品を自動積載するためのセンシング方法の一実施例の説明図である。
図2】移動体スキッドの断面形状の代表例の説明図である。
図3】移動体スキッドに円筒状製品が居座る位置の説明図である。
図4】移動体スキッドに円筒状製品が居座る位置を割り出す方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の移動体スキッドに円筒状製品を自動積載するためのセンシング方法について、図面に基づいて説明する。
【0014】
図1図4に、本発明の移動体スキッドに円筒状製品を自動積載するためのセンシング方法の一実施例を示す。
【0015】
この移動体スキッドに円筒状製品を自動積載するためのセンシング方法を実施するために、図1に示すように、円筒状製品COを運搬する自動クレーンCRの進行方向前方に自動クレーンCRから下方向に向けて走査線が走査される広域距離センサMSが取り付けてあり、自動クレーンCRにリフタCLで掴んで吊り下げられた円筒状製品COが、移動体スキッドSK上に到達したときに、広域距離センサMSが移動体スキッドSK上の全範囲を通過するように配置してある。
【0016】
自動クレーンCRを移動体スキッドSKの方向に向かって自動走行させていくと、目的地に到達する前に移動体スキッドSKの位置を広域距離センサMSが走査するので、自動クレーンCRが移動体スキッドSKに接近している途中に、目的地である移動体スキッドSKの位置を認識することができる。
【0017】
ここで、外部から持ち込まれた移動体TR上の移動体スキッドSKは形状が様々なため、移動体スキッドSK上のどの位置が円筒状製品COが安定的に居座る位置かを割り出す必要がある。
【0018】
このため、図3に示すように、まず、広域距離センサMSを用いて移動体スキッドSKの形状及び位置を測定することで、移動体スキッドSKの高さデータを作成し、この高さデータに基づいて、コンピュータ内に移動体スキッドSKの高さラインを描く。
【0019】
次に、コンピュータ内の移動体スキッドSKの高さラインの上に、円筒状製品COの直径データから導出した仮想円VCを描く。
この円筒状製品COの直径データは、その都度測定してコンピュータ内に入力するほか、円筒状製品COの製造時等に測定することによって、予めコンピュータ内に入力(例えば、円筒状製品COの個体識別番号に紐付けして入力。)しておくことができる。
【0020】
そして、図4に示すように、仮想円VCの右半分の円弧と移動体スキッドSKの鉛直方向の距離が最も小さい位置(以下、「右側鉛直方向最短距離部SDR」という。)と、仮想円VCの左半分の円弧と移動体スキッドSKの鉛直方向の距離が最も小さい位置(以下、「左側鉛直方向最短距離部SDL」という。)とを割り出し、当該位置の左右の鉛直方向の距離が等しくなるように仮想円VCを水平方向に移動させて、左右の鉛直方向の距離が等しくなる仮想円VCの水平方向の位置を割り出し、当該割り出された仮想円VCの水平方向の位置を、移動体スキッドSKに円筒状製品COが2点で安定的に当接して居座るようにできる位置とする。
このようにして、割り出された円筒状製品COが2点で安定的に当接して居座るようにできる位置を基に、自動クレーンCRの目標座標を設定し、自動クレーンCRで移動体スキッドSKに円筒状製品COを自動積載するようにする。
【0021】
以下、具体的な例に基づいて説明する。
例えば、製紙工場や製鉄所等の薄物製品をロール状に巻き付けた円筒状製品COを製品置場から、外部に搬出する際、ある程度決められた範囲に移動体TR及びその上に搭載された移動体スキッドSKが停止し、配置される。
【0022】
この時、円筒状製品COの配送管理を行っているコンピュータから、自動クレーンCRの搬送管理コンピュータに、搬出したい円筒状製品COの個体認識番号(この個体認識番号には、円筒状製品COの直径データ等の情報が紐付けされている。)が伝送される。
自動クレーンCRは、円筒状製品COをリフタCLで自動把持し、製品置場から移動体スキッドSKが配置された方向(進行方向TF)に向かって自動で移動運搬する。
【0023】
自動クレーンCRの進行方向TFの前方には、広域距離センサMSが下方に向けて走査線が走査されるように取り付けてあり、広域距離センサMSが測定したデータと、その測定時の自動クレーンCRの位置を突き合わせることで、フロア上の配置物の形状(高さ)や位置を自動クレーンCRを移動しながら広範囲で測定できるようになっている。
【0024】
ここで、広域距離センサMSの取付位置の寸法Bは、移動体TRの端部から移動体スキッドSKの中心位置距離Aと自動クレーンCRの制動距離と位置決め距離を加算した移動距離寸法αを加味した寸法に設定することで、移動体スキッドSKの測定、認識、自動クレーンCRの減速、位置決め停止の一連の動作を連速的に行うことができ、効率的な自動運行時間で移動体スキッドSKへのセンターリングを行うことができるようにしている。
【0025】
外部に円筒状製品COを搬出する場合は、通常、外部の専門業者が所有する移動体スキッドSKが持ち込まれるため、移動体スキッドSKの形状は特定することが難しい。
移動体スキッドSKの代表例としては、図2(a)に示すような、移動体TRの平台車に2本の角形状の移動体スキッドSKが配置されたもの、図2(b)に示すような、移動体TRの荷台にV字形状の溝が切られて移動体スキッドSKとしているもの等があるが、それ以外の形状のものもあり、あらゆる形状の移動体スキッドSKに対してセンターリングできることが求められる。
なお、移動体TRの走行安定性を確保するため、移動体TRの中心線TC(移動体TRの中心を通る鉛直線)の付近に移動体スキッドSKの中心位置が位置するように移動体スキッドSKが配置されている場合が多いので、これを前提に以下説明するが、2列に移動体スキッドSKが配置されているものなど、その他のものについても、対応することができる。
【0026】
広域距離センサMSを用いた移動体TRの全体の測定が終わると、移動体TRの積載エリア内で最も高い位置の物体を探し、これを横ずれ防止用ストッパSPと認識する。
この横ずれ防止用ストッパSPの後方に円筒状製品COを積載するので、横ずれ防止用ストッパSPの後方の移動体TRの高さデータを水平X方向列のデータ列でピックアップする。
【0027】
そして、このデータ列の中から鉛直Y方向データが移動体TRの高さとなる数値データの位置と、鉛直Y方向データがフロアレベルFLのデータとなる位置の境目の2箇所をピックアップし、その2つの水平X方向データの数値差が移動体TRの幅寸法Wとなるので、その1/2の値の位置にある移動体TRの中心線TCを割り出す。
続いて、横ずれ防止用ストッパSPの後方の水平X方向列のデータ列の中心線TCの上方に積載予定の円筒状製品COの直径データから導出した仮想円VCを中心線CC(仮想円VCの中心を通る鉛直線)を合わせて配置する。
【0028】
ここで、1列配置の場合は、移動体TRの中心位置に仮想円VCを配置するが、2列配置や3列配置などの多列配置の場合は、その配列数の寸法案分の位置に、仮想円VCを配置する。
【0029】
続いて、移動体TRの各ドットポイントTDP(以下、符号のみで表示する場合がある(他の符号も同様。)。)の鉛直Y方向上方の仮想円VCの円周上のポイントCDPを算出し、各TDPとそれの鉛直Y方向真上の各CDPとの各Y方向距離を算出し、仮想円VCの右側Rの各TDPと各CDP間距離が短い点SDRと、仮想円VCの左側Lの各TDPと各CDP間距離が短い点SDLとを割り出すようにする。そして、両者の値が等しくなる点が移動体スキッドSKに円筒状製品COが置かれたときに接する点となる。
【0030】
円筒状製品COは、移動体TRの走行時の安定性を確保するために、移動体TRの中心線TCの鉛直線上に円筒状製品COの中心線CCが位置するように移動体スキッドSKが配置されているはずであるが、実態としては、図4に示すように、移動体スキッドSKの位置は若干のズレが存在する。このため、移動体TRの中心に仮想円VCの中心を合わせて配置しても、仮想円VCの右側鉛直方向最短距離部SDRと左側鉛直方向最短距離部SDLの距離には差が生じる。
この時、SDRとSDLの数値の大きい側(図4の場合は左側L)に仮想円VCを水平X方向に移動させながら、SDRとSDLの数値を比較する。この時、SDRとSDLの値が同じ値になる点が、移動体スキッドSKに円筒状製品COを置いたときに安定する点となる。
具体的には、コンピュータ内でデジタル処理をするので、仮想円VCは、一定ピッチ間隔で移動させる。したがって、ピッチ移動を繰り返すうちにSDRとSDLが等しくなる点を通り過ぎてしまう。この通り過ぎた時、SDRとSDLの数値の大小が反転するので、この反転した点の少し手前にSDRとSDLが等しくなる点が存在し、反転した点の前後のうちSDRとSDLの数値のが小さい方の点(この点、SDRとSDLの数値の大小が反転した位置の直近位置とる。)を、移動体スキッドSKに円筒状製品COを置いたときに安定する点とする。
【0031】
移動体スキッドSKに円筒状製品COが置かれたときに接する2点SDR、SDLの点が決定すると、その2点の座標と円筒状製品COの半径から円筒状製品COを自動積載するためのX軸、Y軸座標が決定する。
それに横ずれ防止用ストッパSPの位置との相関関係からZ軸座標を決定し、当該X、Y、Z軸座標を目標に自動クレーンCRを自動運行させ、自動積載を行う。
【0032】
ここで、移動体スキッドSKと円筒状製品COの接する点であるSDR及びSDLの位置が、仮想円VCの中心線CCの近くに存在した場合(この判定は、例えば、仮想円VCの直径のそれぞれ15~30%程度の範囲で任意に設定することができる。)は、円筒状製品COを安定的に積載できず、移動体スキッドSK上に円筒状製品COを積載した移動体TRの移動中に円筒状製品COが転がるおそれがある。
また、円筒状製品COが移動体スキッドSKに安定的に配置されると算出された位置の仮想円VCの中心線CCと移動体TRの中心線TCの位置が大きくずれていた場合(この判定は、例えば、移動体TRの幅寸法の10~30%程度の範囲で任意に設定することができる。)は、移動体TRの重心がずれて移動に危険が生じるおそれがある。
このため、このような場合は、自動積載を中断し、移動体スキッドSKにかませ物をして調整するようにオペレータにガイダンスをする。
【0033】
この移動体スキッドに円筒状製品を自動積載するためのセンシング方法によれば、移動体TRの形状や移動体TRの停止位置などを含め、不確定要素が多い移動体スキッドSKに対しても、自動クレーンCRを用いて円筒状製品COを自動積載することが可能となり、自動クレーンCRの無人運転による省人化効果を発揮することができる。
また、移動体スキッドSKに円筒状製品COが2点で安定的に当接して居座るようにできないとの判断や、移動体TRの走行安定性が損なわれるとの判断を、移動体スキッドSKに円筒状製品COを自動積載するときに行うことが可能となり、作業性及び安全性を向上することができる。
【0034】
以上、本発明の移動体スキッドに円筒状製品を自動積載するためのセンシング方法について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の移動体スキッドに円筒状製品を自動積載するためのセンシング方法は、移動体の形状や移動体の停止位置などを含め、不確定要素が多い移動体スキッドに対しても、自動クレーンを用いて円筒状製品を自動積載することが可能となり、自動クレーンの無人運転による省人化効果を発揮することができるという特性を有していることから、製紙工場、製鉄所等の薄物製品をロール状に巻き付けた円筒状製品を、製品置場等で稼働する自動クレーンを用いて、製品置場から外部に搬出するための移動体上に配置された転がり防止用のスキッドに自動積載するための用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0036】
CR 自動クレーン
MS 広域距離センサ
CO 円筒状製品
TR 移動体
SK 移動体スキッド
SP 横ずれ防止用ストッパ
CL リフタ
TF 自動クレーンの進行方向
SC 広域測距センサ走査線
A 移動体の端部から移動体スキッド中心位置距離
B 広域距離センサの取付位置の寸法
α 移動距離の寸法
X 水平方向(X軸)
Y 鉛直方向(Y軸)
Z 奥行き方向(Z軸)
TDP 広域距離センサによる測定ドットポイント
W 移動体の幅寸法
FL フロアレベル
VC 仮想円
CDP 仮想円の円周上のドットポイント
R 右側
L 左側
SDR 右側鉛直方向最短距離部
SDL 左側鉛直方向最短距離部
TC 移動体の中心線
CC 仮想円の中心線
図1
図2
図3
図4