(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】ボール供給装置及びボール搭載装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20220117BHJP
【FI】
H01L21/92 604H
(21)【出願番号】P 2017119803
(22)【出願日】2017-06-19
【審査請求日】2020-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】592141488
【氏名又は名称】アスリートFA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】小竹 利幸
(72)【発明者】
【氏名】小松 崇宏
(72)【発明者】
【氏名】永田 成司
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-236916(JP,A)
【文献】特開2015-168490(JP,A)
【文献】特開2013-093555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
B23K 3/06
B65G 53/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボール搭載装置にボールを供給するボール供給装置であって、
前記ボール搭載装置から平面的に離れた位置に配置され、前記ボールを貯留するボールタンクと、
前記ボール搭載装置のボール振込ヘッドユニットに前記ボールを供給するボール供給ノズルと、
前記ボールタンクと前記ボール供給ノズルとを接続するボール移送用チューブと、
圧縮気体によって前記ボールタンクから前記ボール供給ノズルに前記ボールを圧送する圧気系統と、
前記ボールタンクから前記ボール供給ノズルに至るボール移送経路を常圧に減圧する圧気破壊系統と、を有し、
前記ボール振込ヘッドユニットからのボール供給命令に基づき前記ボール振込ヘッドユニットに所定量の前記ボールを圧送
し、
前記ボール振込ヘッドユニットからのボール供給停止命令に基づき前記圧気系統の駆動を停止し、かつ、前記圧気破壊系統の駆動を開始し真空圧を利用して前記ボール移送経路を常圧に高速で戻すことを特徴とするボール供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載のボール供給装置において、
前記圧縮気体は、圧力が常圧以上で、0.2MPa以下の不活性気体であることを特徴とするボール供給装置。
【請求項3】
請求項1に記載のボール供給装置において、
前記ボール移送用チューブは屈曲性及び柔軟性を有し、内径が2mm~5mmで、屈曲半径が20mm以上であることを特徴とするボール供給装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のボール供給装置において、
前記ボール移送用チューブの前記ボールとの接触面の表面抵抗が1×10-9Ω以下であることを特徴とするボール供給装置。
【請求項5】
ボール供給装置から供給されるボールを被ボール搭載物に搭載するボール搭載装置であって、
前記ボール搭載装置としての請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のボール供給装置と、前記被ボール搭載物に所定量の前記ボールを振り込むボール振込ヘッドユニット
と、を有し、
前記ボール振込ヘッドユニットは、前記ボール供給装置から供給される前記ボールを貯留するボール保持部と、前記ボール保持部に連通し前記被ボール搭載物に前記ボールを排出するボール排出通路
と、前記ボール保持部内に貯留される前記ボールの下限量を検知して前記ボール供給装置にボール供給命令を発信するボール検出下限センサと、前記ボール保持部内に貯留される前記ボールの上限量を検知して前記ボール供給装置にボール供給停止命令を発信するボール検出上限センサと、を有することを特徴とするボール搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボール供給装置及び当該ボール供給装置からボール供給されるボール搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント配線基板やシリコンウエハなどの被ボール搭載物の電極上に導電性のボールを搭載する手段としてボール搭載装置があり、このボール搭載装置にボールを供給するボール供給装置がある。例えば、特許文献1には、ボールを貯留するボールタンクと所定量のボールを収容するボール保持部とをボール搭載装置内に配置し、ボールタンクとボール保持部とをボール移送通路で接続し、ボール保持部に接続するボール排出通路から被ボール搭載物上にボールを排出するボール供給装置が開示されている。このボール供給装置は、真空吸引手段をONにしてボールタンクからボールを真空吸引してボール保持部に収容し、真空吸引手段をOFFにしてボールをボール保持部から被ボール搭載物上に排出するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のボール供給装置は、被ボール搭載物はボール搭載装置の直上に配設されていることから、ボールタンクへのボール補給に際にはボール搭載装置を停止しなければならず、また、ボールタンクに貯留できるボール貯留量に限界があり、頻繁にボール搭載措置を停止してボール補給しなければならないという問題がある。また、ボールタンクが被ボール搭載物の直上に配設されるため、狭いスペースでボール補給をしなければならず作業性が悪く、ボール補給の際に被ボール搭載物上やボール搭載装置上にボールがこぼれてしまうことあり、現時点のボール搭載以前にボール搭載装置を稼働した際にこぼれていた異種ボールが混入するという問題がある。
【0005】
また、特許文献1に記載のボール供給装置は、吸引状態をONにしてボール供給を行い、吸引状態をOFFにしてボール排出をしているが、吸引状態をOFFにしてもボール移送経路全体が瞬間的にOFF状態(ボール供給停止)にならないため、被ボール搭載物への供給にボールの過不足がでる恐れがある。
【0006】
また、被ボール搭載物へのボール排出を遮断するメカニカルなシャッターをボール排出通路の先端に設けており、シャッターを駆動する際にシャッターでボールを挟み込んだり、擦ったりすることによりボールの表面に損傷を与えるという致命的な問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題の少なくとも一つを解決するためになされたものであり、ボール搭載装置を停止させずにボール搭載装置へのボール供給が可能で、ボール表面に損傷を与えず、被ボール搭載物に過不足なくボールを搭載することが可能なボール供給装置及びボール搭載装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本発明のボール供給装置は、ボール搭載装置にボールを供給するボール供給装置であって、前記ボール搭載装置から平面的に離れた位置に配置され前記ボールを貯留するボールタンクと、前記ボール搭載装置のボール振込ヘッドユニットに前記ボールを供給するボール供給ノズルと、前記ボールタンクと前記ボール供給ノズルとを接続するボール移送用チューブと、圧縮気体によって前記ボールタンクから前記ボール供給ノズルに前記ボールを圧送する圧気系統と、前記ボールタンクから前記ボール供給ノズルに至る間のボール移送経路を常圧に減圧する圧気破壊系統と、を有し、前記ボール振込ヘッドユニットからのボール供給命令に基づき前記ボール振込ヘッドユニットに所定量の前記ボールを圧送することを特徴とする。
【0009】
本発明のボール供給装置によれば、ボール搭載装置からのボール供給命令に基づきボール供給装置からボール搭載装置へのボール圧送を開始することから、ボール搭載装置を停止させずにボール搭載装置へのボール供給が可能となる。また、ボール搭載装置から平面方向に離れた位置にボールタンクを配置すれば、ボールタンクへのボール補給を容易に行え、ボール補給時においてボールが被ボール搭載物上やボール搭載装置上に落下することがなく、以前にボール搭載装置を稼働した際にこぼれていた異種ボールの混入を防止できる。さらに、ボールの移送においては、圧縮系統によってボールを圧送し、圧気破壊系統によってボールの圧送を瞬間的に停止するためボール搭載装置に過不足なくボールを供給することが可能となる。また、メカニカルなシャッターなどを使用しないためボール表面に損傷を与えない。ここで、被ボール搭載物とは、例えば、電極が形成されたプリント配線基板やシリコンウエハなどである。
【0010】
[2]本発明のボール供給装置においては、前記ボール振込ヘッドユニットからのボール供給停止命令に基づき前記圧気系統の駆動を停止し、かつ、前記圧気破壊系統の駆動を開始し真空圧を利用して前記ボール移送経路を常圧に高速で戻すことが好ましい。
【0011】
このようにすれば、ボールの圧送を停止し、ボールタンクからボール搭載装置に至るボール移送経路を高速で常圧(装置稼働時の大気圧)に戻すことによってボール移送を瞬間的に停止するためボール搭載装置への過不足のないボール供給を可能にする。
【0012】
[3]本発明のボール供給装置においては、前記圧縮気体は、圧力が常圧以上で、0.2MPa以下の不活性気体であることが好ましい。
【0013】
少なくともボールタンク内を常圧よりも高くすれば、ボールタンク内のボールをボール移送経路に圧送することが可能となり、常圧の概ね2倍である0.2Mpa以下にすればボール圧送時にボール表面に損傷を与えない。また、圧縮気体として、例えば窒素ガスのような不活性ガスを使用すれば、基板と電子部品の電気的な接合手段であるボールの表面に酸化膜が形成されることを抑制できる。
【0014】
[4]本発明のボール供給装置においては、前記ボール移送用チューブは、屈曲性及び柔軟性を有し、内径が2mm~5mmで、屈曲半径が20mm以上であることが好ましい。
【0015】
ボール移送用チューブは、屈曲性及び柔軟性を有することから曲げやすく、ボール搭載装置に対してボールタンクを平面方向及び高さ方向共に配置場所を自在に選択できるので作業スペースが広くなり、ボールタンクへのボール補給作業が容易となる。また、ボールタンクを大型化できる。さらに、ボール移送用チューブの内径を2mm~5mmとし、曲率半径を20mm以上にすれば、ボール移送用チューブの曲がり位置でボールが詰まったり、ボール同士がぶつかって損傷したりすることを防止できる。
【0016】
[5]本発明のボール供給装置においては、前記ボール移送用チューブの前記ボールとの接触面の表面抵抗が1×10-9Ω以下であることが好ましい。
【0017】
ボール移送用チューブは屈曲性及び柔軟性を有する。このようなチューブの素材としては、例えば樹脂製であり、樹脂製のチューブは絶縁性を有しボールが接触すると静電気を帯びやすいことから、ボール同士が吸着したり、ボール移送用チューブとボールとが吸着したりしてボールの移送が滞ることがある。そこで、例えば、ボール移送用チューブの内面に導電膜を成膜するなどによって表面抵抗を極小化すれば、静電気の発生を抑えることができ、ボールの移送をスムーズに行うことが可能とする。
【0018】
[6]本発明のボール搭載装置は、ボール供給装置から供給されるボールを被ボール搭載物に搭載するボール搭載装置であって、前記被ボール搭載物に所定量の前記ボールを振り込むボール振込ヘッドユニットを有し、前記ボール振込ヘッドユニットは、前記ボール供給装置から供給される前記ボールを貯留するボール保持部と、前記ボール保持部に連通し前記被ボール搭載物に前記ボールを排出するボール排出通路を有し、前記ボール保持部内に貯留される前記ボールの下限量を検知して前記ボール供給装置にボール供給命令を発信するボール検出下限センサと、前記ボール保持部内に貯留される前記ボールの上限量を検知して前記ボール供給装置にボール供給停止命令を発信するボール検出上限センサを有することを特徴とする。
【0019】
ボール検出上限センサは被ボール搭載物に搭載すべきボール量を検知し、ボール検出下限センサは被ボール搭載物に搭載すべきボールの必要量が不足したことを検知する。ボール搭載装置は、ボール保持部にボール搭載に必要なボールが供給されていることを検知するとボールの圧送を停止させ、ボール保持部に搭載すべきボール量が不足したと検出したところで、ボール供給装置にボールの供給を開始させる。従って、ボール搭載装置を停止させずにボール搭載装置へのボール供給を可能にする。また、ボール排出通路にメカニカルなシャッターなどがないので、ボール表面に損傷を与えない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態に係るボール供給装置10を示す縦断面図である。
【
図2】実施形態に係るボール搭載装置50の1実施例を示す平面図である。
【
図3】実施形態に係るボール振込装置57を示す平面図である。
【
図4】実施形態に係る基板51がシリコンウエハ80であるときの1例を示す平面図である。
【
図5】実施形態に係るボール振込ヘッドユニット64Aを示す正面図である。
【
図6】実施形態に係るボール11をシリコンウエハ80上に搭載する様子を示す説明図である。
【
図7】実施形態に係るボール搭載方法の主要な工程を示す工程フロー説明図である。
【
図8】実施形態に係るボール搭載継続中におけるボール供給方法の主要な工程を示す工程フロー説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係るボール供給装置10及びボール搭載装置50について、
図1~
図8を参照しながら説明する。
【0022】
[ボール供給装置10の構成]
図1は、ボール供給装置10を示す縦断面図である。
図1は、ボール11の供給を停止した直後の状態を表している。ボール供給装置10は、大量のボール11を貯留するボールタンク12と、ボール供給ノズル13と、ボールタンク12とボール供給ノズル13とを接続しボールタンク12に貯留されているボール11をボール供給ノズル13に移送するボール移送用チューブ14とを有する。ボール11は、例えば半田ボール、金属ボール、導電性プラスチックボール、導電性セラミックボール等の導電性を有し、その形状が球状のものである。球状とは、真球以外に多角形や表面に凹凸がある粒状をも含む。
【0023】
ボール供給ノズル13は、下方内側が漏斗状に断面積が狭められたノズル部15となっている、いわゆるボールホッパーである。ノズル部15は、ボール供給装置10が後述するボール搭載装置50(
図3、
図5参照)にボール11を供給する際に、ボール搭載装置50に設けられるボール保持部88のボール投入開口部92に連通する。ボールタンク12の容積は、ボール保持部88の容積よりもはるかに大きい。
【0024】
ボール移送用チューブ14は屈曲性及び柔軟性を有し、自在に曲げることが可能な樹脂製のチューブを使用する。ボール移送用チューブ14は、ボール11を抵抗なく移送させるために内径を2mm~5mmとし、曲げ部の半径Rを20mm以上とすることが好ましい。ボール移送用チューブ14は、ボールタンク12をボール搭載装置50から平面方向に離れた位置に配置するために、例えば、1m程度の長さにすることがある。ボール移送用チューブ14の一方の先端部は、ボール供給用ノズル13内に延在され、図示下方側の一部が斜め上向きに張出した突出部16となっている。この突出部16は、ボールタンク12からのボール供給を停止した際に、ボール移送用チューブ14内に留まるべきボール11がボール保持部88内に落下することを防ぐために設けられている。
【0025】
ボールタンク12には、底部側にボール検出最下限側センサ20が配設され、ボール検出最下限側センサ20の上方に貯留ボール検出下限センサ21が配置されている。ボール検出最下限側センサ20と貯留ボール検出下限センサ21は共に、発光素子と受光素子とを備えた光学センサ(例えば、LEDセンサなど)である。ボール検出最下限側センサ20は、ボールタンク12においてボール11の貯留量がボール搭載装置50を停止させる限界値になったことをオペレータに知らせる機能を有している。ボール検出最下限側センサ20から検出信号が発信されたときには、ボール搭載装置50を停止させる。ただし、フラックス印刷装置56(
図2参照)は、フラックス印刷が途中の場合には1枚の基板518(又はシリコンウエハ80)のフラックス印刷が終了するまで動作する。
【0026】
一方、貯留ボール検出下限センサ21は、ボールタンク12内のボール貯留量がボールタンク12にボール11を追加補給すべきタイミングをオペレータに知らせる機能を有している。この場合には、ボール搭載装置50を停止しなくてもよい。すなわち、ボール検出最下限センサが検知するまではボール搭載装置50の運転を継続できる。なお、ボール検出最下限側センサ20と貯留ボール検出下限センサ21の中間位置に1つのボール検出下限センサを配設するようにしてもよい。
【0027】
ボールタンク12の上方には、開閉可能なタンク蓋22が設けられている。ボール検出最下限側センサ20又は貯留ボール検出下限センサ21がボール11の追加投入を告知した際に、オペレータはタンク蓋22を開けてボール11をボールタンク12内に投入し、その後、タンク蓋22を密閉する。なお、ボール移送用チューブ14の内側表面(ボール11が接触する面)には導電膜23が成膜されている。導電膜23の表面抵抗は1×10
-9Ω以下にすることが好ましい。ボール11は、ボール移送用チューブ14の内部に移送される間に発生する静電気を帯電しボール同士が吸着し合うことがあるが、導電膜23を成膜することでボール11の帯電を防止できる。同じ意味で、ボール11が接触するボールタンク12、ボール供給ノズル13、ボール保持部88及びボール排出通路94(
図5参照)などのボール移送経路が非導電性の素材の場合には、それらの内面に導電膜23を成膜しておくことがより好ましい。
【0028】
タンク蓋22には、ボールタンク12に連通する配管24が接続されている。配管24のボールタンク12の近傍には、配管24の開閉を行う第1開閉バルブ25が配設されている。第1開閉バルブ25は、手動バルブであっても電磁バルブであってもよく、ボール供給装置10を稼働する際には開放し、ボール供給装置10を稼働停止する際には閉鎖する。すなわち、ボール搭載装置50を動作する際には解放し、ボール搭載装置50の動作を停止する際には閉鎖する。
【0029】
配管24の第1開閉バルブ25よりも上方側には、配管24の開閉を行う第2開閉バルブ26が配設されている。ボール供給装置10がボール移送を行う際には、第2開閉バルブ26を解放して圧縮された不活性ガスが配管24からボールタンク12内に送り込まれる。ボール移送用チューブ14はボールタンク12に対して急激に断面積が縮小されていることから、圧縮ガスを送り込まなければボールタンク12内のボール11はボール移送用チューブ14に自然落下することはない。そこで、ボールタンク12に圧縮不活性ガスを送り込むことによって、ボールタンク12内を高圧にしてボール11をボール移送チューブ14内に圧送し、ボール供給ノズル13を介してボール保持部88に移送することができる。ボール供給ノズル13より下流側は大気圧である。不活性ガスとしては、窒素ガスを使用し、圧力は常圧(大気圧)以上、0.2Mpa以下とすることが好ましい。窒素ガスは、ボール表面に酸化膜が形成されることを防止するために使用される。
【0030】
配管24の第1開閉バルブ25と第2開閉バルブ26の間には、分岐管27が接続されている。分岐管27は、ボールタンク12内を減圧するためのものであり、第3開閉バルブ28が配設されており、第3開閉バルブ28と配管24の間にはフィルター29が配設されている。ボール供給を停止する際、第2開閉バルブ26を閉鎖するが、ボールタンク12内は高圧状態であるので、ボールタンク12、ボール移送用チューブ14にボール11が残っている場合、ボール11はボール搭載装置50に圧送されてしまう。そこで、第3開閉バルブ28を解放し、真空吸引すればボールタンク12からボール供給ノズル13までのボール移送経路を高速で常圧に減圧し、ボール搭載装置50へのボール移送を瞬間的に停止できる。分岐管27は、真空吸引装置(不図示)に接続されている。フィルター29は、ボールタンク12内の減圧をする際に、ボール11が分岐管27に吸引されることによる第3開閉バルブ28のボール詰まりを防ぐために設けられている。第2開閉バルブ26と第3開閉バルブ28は、ともに電磁開閉バルブであって、瞬間的に開閉できるものを使用する。
【0031】
なお、配管24の上流(建屋外)には、圧縮不活性ガスをボールタンク12内に供給する圧縮不活性ガス供給源、例えば、窒素ガスボンベ(不図示)を有している。これら、圧縮不活性ガスを送り込む系の配管24、第2開閉バルブ26及び制御部(不図示)を圧気系統とする。一方、圧気系統に対し、ボールタンク12内の減圧を行う系の分岐管27、第3開閉バルブ28及び制御部(不図示)を圧気破壊系統とする。圧気破壊系統は、真空圧を利用してボール移送経路を常圧に高速で戻す機能を有する。すなわち、圧気系統から圧気破壊系統に高速で切り換えることによって、ボール11のボール搭載装置50へのボール供給と供給停止とを瞬間的に切り換えることが可能となる。
【0032】
ボール供給装置10は、ボール搭載装置50と連動して動作する。次に、ボール搭載装置50の構成及びボール振込動作について
図2~
図6を参照して説明する。
【0033】
[ボール搭載装置50の構成]
図2は、ボール搭載装置50の1実施例を示す平面図である。ボール搭載装置50は、ボール11を搭載すべき基板51をストックする基板ストッカ52と、プレアライナ53に基板51を搬送し、さらに、プレアライナ53からステージ54に基板51を搬送する基板搬送ロボット55と、基板51にフラックス40(
図6参照)を印刷するフラックス印刷装置56と、フラック40が印刷された基板51にボール11を振り込むボール振込装置57を有している。さらに、ボール搭載装置50は、ボール11の搭載状態を検査する検査装置58と、印刷マスク41の裏面に付着した余分なフラックス40を除去するクリーニング装置59とを有している。
【0034】
基板51は、電子部品を固定して配線するための板状又はフィルム状の部材であり、半導体集積回路をはじめとする電子部品を実装したもの、あるいは、シリコン半導体基板や化合物半導体基板などのウエハを含む。フラックス40は、半田等の濡れ性を増すためのもので、ボール11が例えば金ボール又は銅ボールの場合には、半田ペーストとなる。又、フラックス40は、ロジン系と水溶性系のいずれでも良いが、振り込まれたボール11が移動しないように、粘着力が大きい組成のものを選択する。
【0035】
基板ストッカ52は、不図示のロードポートとアンロードポート(対象基板がウエハの場合にはロードポートと呼ばれることがある)からなり、基板搬送ロボット55は、ロードポートから基板51を取り出してプレアライナ53に搬送する。基板51がウエハの場合、プレアライナ53で基板51の中心位置と基板51の外周に形成されたノッチ方向の双方が補正させられた基板51をステージ54へ搬送する。その後、基板搬送ロボット55は、待機位置に戻る。ステージ54の基板載置台60に載置された基板51は、減圧吸着されるとともに、基板51を基板矯正装置61により押圧することにより反りが矯正される。
【0036】
基板矯正装置61は、8個の押圧部材で基板51の外周部を押圧して基板51の反りを矯正するものであり、反りが比較的大きいプリント配線基板などに特に有効である。これらの押圧部材は、空気シリンダのシリンダロッドの下部に治具を介して取付けられており、基板搬送ロボット55で基板51をステージ54に載置するときと、基板51を載置したステージ54を移動するときと、基板搬送ロボット55で基板51をステージ54から取り取り外すときに、上方向に逃げることができるようになっている。基板矯正装置61に対応するステージ54の位置が、基板51をステージ54に載置する位置であり、取外しする位置である。
【0037】
ステージ54は、基板載置台60を移動させる機構としてXテーブル62と、Yテーブル63と、Zテーブル(図示略)と、θテーブル(図示略)とを有している。ステージ54は、フラックス印刷装置56とボール振込装置57の下方へ基板51を搬送することができるようになっていて、Xテーブル62は、ステージ54を基板矯正装置61とフラックス印刷装置56とボール振込装置57との間を往復する。なお、基板51が回転困難なテープ状の長尺の場合等では、θテーブルをボール振込ヘッドユニット64A,64Bに配置することが好ましい。
【0038】
基板51を載置したステージ54をフラックス印刷装置56の下方へX軸テーブル62上を移動させた後、フラックス40(
図6参照)を基板51に印刷する。なお、フラックス40が、予め他所又は他工程で基板51に印刷されている場合は、この印刷工程をスキップする。クリーニング装置59は、印刷マスク41の裏面に付着したフラックス40を、溶剤を含ませたシート又はロールを用いて除去する装置である。
【0039】
フラックス40が印刷された基板51は、ステージ54に載置された状態で、ボール振込装置57の下方へX軸テーブル62上を移動する。ステージ54は、基板51に形成された電極83(
図6参照)と振込マスク65に形成されたマスク開口部65a(
図6参照)を位置合せする。その後、ボール供給装置10から供給されたボール11は、一対のボール振込ヘッドユニット64A,64Bを介して振込マスク65上に落下し、ボール振込ヘッドユニット64A,64Bで平面方向に移動させられて基板51の電極83上に振り込まれる。
【0040】
ボール11を搭載した基板51は、ステージ54が基板51の載置・取外し位置に戻り、吸着が解除され、基板搬送ロボット55により検査装置58へ搬送される。ボール11の搭載ミスや余剰ボール等の検査が終了した後に、基板51は基板搬送ロボット55により基板ストッカ52に収納される。ボール搭載ミスが継続的に少ない場合には、検査を省略し、ボール11が搭載された基板51をリフロー炉に送る場合もある。
【0041】
他方、検査装置58は、搭載不良を修正するリペア装置と一体の構成にして、ボール搭載装置50の外に設置しても良い。基板ストッカ52に収納された基板51は、リフロー装置(図示略)に送られバンプを形成する。バンプが形成された基板51は、次工程で処理が続くか、切断機で個別チップに切断される。
【0042】
図3は、ボール振込装置57を示す平面図であり、ボール搭載装置10を模式的に表している。ボール振込装置57は、振込マスク65を保持するマスク枠70と、ボール11を振込マスク65上に排出するボール振込ヘッドユニット64A,64Bと、ボール振込ヘッドユニット64A,64BをY軸方向に移動する振込ヘッド用Y軸駆動ユニット72A,72Bと、ボール振込ヘッドユニット64A,64BをX軸方向に移動する振込ヘッド用X軸駆動ユニット73と、ボール振込ヘッドユニット64A,64Bを支持するヘッド用スライダ74とを有している。ボール振込装置57は、3台のカメラ75,75,76を有している。ボール11を振り込むマスク開口部65a(
図6参照)が形成されている領域(
図3において点線で示す)を開口部形成領域77とし、マスク開口部65aの配置を開口パターンと呼ぶことがある。
【0043】
カメラ75,75は、移動してきた基板51の位置マーク(不図示)が視野に入る位置に配設される。カメラ75,75は、ボール振込装置57の架台78に取付けられた一対のカメラで、基板51の位置マーク(不図示)を画像認識して、基板51の位置と角度を算出するために用いられる。プレアライナ53の役割は、基板51の位置マークをカメラ75,75が撮像できるようにすることである。
【0044】
一方、カメラ76は、ボール振込ヘッドユニット64A,64Bと一緒に移動するカメラで、マスク開口部65aと電極83(
図6参照)の位置ずれや振込マスク65の上面の位置マークを振込マスク65の上方から画像認識するために用いられる。なお、フラックス40を印刷する場合も同様な位置合せをすることが可能である。振込ヘッド用Y軸駆動ユニット72A,72Bは、架台78上に固定されている。一方、マスク枠70は、架台78に取付け治具(不図示)を介して脱着可能に取付けられている。
【0045】
ボール振込ヘッドユニット64A,64Bは、ヘッド用スライダ74を介して振込ヘッド用X軸駆動ユニット73に移動可能に連結し、更に振込ヘッド用X軸駆動ユニット73は、振込ヘッド用Y軸駆動ユニット73と移動可能に連結している。また、ヘッド用スライダ74には、Z軸駆動ユニット(図示略)が配設されている。このような駆動機構により、ボール振込ヘッドユニット64A、64Bは一体となって、振込マスク65上を水平移動と垂直移動ができるようになっている。
【0046】
図3では、ボール振込ヘッドユニット64A,64BをX軸方向に並べた例を記載したが、Y軸方向に並べること、ボール振込ヘッド64A,64Bの形状を大きくして1個とすること、逆に、3個以上のボール振込ヘッドユニットを、一列又は複数列に並べることもできる。
【0047】
ボール振込装置57には、ボール供給装置10がボール供給ノズル13,13を介して接続される。
図3は、ボール振込ヘッドユニット64A,64Bに対してボール供給を停止している状態を表している。すなわち、ボール供給ノズル13,13は、ボール供給対象であるボール振込ヘッドユニット64A,64Bから離れた位置に固定されている。ボール振込ヘッドユニット64A,64Bは、振込ヘッド用Y軸駆動ユニット72A,72Bによって、ボール供給ノズル13,13の下方まで移動し(図中矢印方向)ボール供給ノズル13,13からボール11を一定量受け取る。ボール供給装置10は、ボール振込用ヘッドの数に合わせて装備される。
図3に示す実施例は、2台のボール振込ヘッドユニット64A,64Bを有しているので、ボール供給装置10は2台装備される。ボール供給ノズル13,13は、各々ボール移送用チューブ14,14を介してボールタンク12,12に接続されている。
【0048】
図4は基板51がシリコンウエハ80であるときの1例を示す平面図であり、
図4(a)はシリコンウエハ80の平面図、
図4(b)は、
図4(a)に示す点線Aで囲まれた電極形成領域(半導体集積回路の形成領域)81の一部を拡大して示す図である。半導体集積回路82は、電極83の群の間に設けられたスクライブライン84で4辺を囲まれ、スクライブライン84を切断することにより、個別の半導体集積回路チップとなる。この切断は、ボール11を搭載したシリコンウエハ80をリフロー炉でリフローした後や、実装工程の最後に行なわれる。
【0049】
電極83は再配線された電極である。再配線の電極83のピッチは、大略50~400μmである。
図4は、シリコンウエハ80に形成された電極83と、電極83が形成されている電極形成領域81の配置とを説明するためのものであり、電極の大きさ、分布や電極形成領域81の形状は、実物とは異なり、更に相似していない。
【0050】
シリコンウエハ80のサイズとしては、直径が300mmや200mmなどである。点線で囲われた多角形の電極の形成領域81に形成された電極83の配置を電極パターンという。振込マスク65に形成されているマスク開口部65aのパターンは、シリコンウエハ80に形成された電極パターンに類似したパターンである。
【0051】
図5は、ボール振込ヘッドユニット64Aを示す正面図である。
図5(a)はボール11を振込マスク65上に排出した後を表し、
図5(b)はボール11をボール保持部88に供給する途中を表している。ボール振込ヘッドユニット64Bは、ボール振込ヘッドユニット64Aと同じ構成なのでボール振込ヘッドユニット64Aを例示して説明する。ボール振込ヘッドユニット64Aは、ボール振込ヘッドユニット用取付け板87によって高さ方向に下方に向かって直列に配列されるボール保持部88と、ボール定量供給装置89と、回転モータ90及び振込ヘッド91が支持されている。ボール保持部88には、ボール11が投入されるボール投入開口部92を有している。
【0052】
ボール保持部88とボール定量供給装置89とは、接続管93によって接続されており、ボール定量供給装置89から振込ヘッド91までは、ボール排出通路94で接続されており、ボール保持部88に投入されたボール11は、ボール定量供給装置89からボール排出通路94を通って振込マスク65上に落下する。振込ヘッド91の振込マスク65側の端面には、結束線状部材95が取り付けられている。ボール振込ヘッドユニット64Aは、結束線状部材95を回転させながら振込マスク65のXY平面上を移動してボール11を基板51又はシリコンウエハ80の上面に振り込む。ボール振込については、
図6を参照して後述する。ボール11は、直径が30μm~300μm程度と小さいので拡大して図示し、
図5の縮尺は部品により一定ではない。
【0053】
結束線状部材95は、中心にボール排出通路
94が貫通する側面形状が略T字状の固定部98に、ボール排出通路94の外側周縁部から湾曲した複数の線状部材が等間隔で放射状となるように固定されている。
図5(a)では、結束線状部材95が、振込マスク65から離れているように図示しているが、ボール11を振込マスク65上に供給する際には、結束線状部材95は振込マスク65に接触する位置に降下させ、その時点で結束線状部材95の外側にボール11が散逸しないようにし、振込ヘッド91を一方方向に回転する際においても、ボール11が結束線状部材95の外側に散逸しないように構成されている。
【0054】
ボール保持部88には、ボール量の下限を検知するボール検出下限センサ96とボール量の上限を検知するボール検出上限センサ97とを有している。ボール検出下限センサ96とボール検出上限センサ97は、発光素子と受光素子を備えた光学センサ(例えば、LEDセンサなど)である。ボール検出下限センサ96は、ボール保持部88内の所定量のボール11が振込マスク65へ排出できる状態、つまり、ボール検出下限センサ96が受光した瞬間を検知して、ボール供給装置10にボール供給命令を発信する。ボール検出上限センサ97は、ボール保持部88内に所定量のボール11が供給されたことを検知し、ボール供給装置10にボール11の供給を停止させる信号を発信する。所定量とは、例えば、ボール搭載工程1サイクル(基板51又はシリコンウエハ88の1枚分)の量である。なお、
図5(a)において、ボール保持部88の底(ボール検出下限センサ96より下方)に貯留しているボール11は、順次ボール定量供給装置89を介して振込マスク65上に自然落下する。
【0055】
1サイクルのボール搭載が終了したところで、ボール振込ヘッドユニット64Aは対応するボール供給装置10のボール供給ノズル13直下のボール供給位置に移動し、
図5(b)に示すように、ボール投入開口部92とボール供給ノズル13のノズル部15とが連通した状態で待機する。ボール検出下限センサ96からボール供給命令を受信したボール供給装置10は、ボールタンク12からボール保持部88内にボール11の供給を開始し、所定量のボール11が供給されたことをボール検出上限センサ97が検知するまで、つまり、ボール検出上限センサ97が受光を遮断される瞬間までボール供給を継続する。
【0056】
図6は、ボール11をシリコンウエハ80上に搭載する様子を示す説明図である。ボール11は結束線状部材95に押されて振込マスク65上を移動し、振込マスク65のマスク開口部65aから自然落下し、シリコンウエハ80に設けられた電極83上に振り込まれる。振込マスク65には、ボール11が1個だけ通るマスク開口部65aが形成されている。マスク開口部65aの直径は、ボール11の直径に依存し、それより10%程度大きい。シリコンウエハ80には、半導体素子の能動面を保護する保護膜80aが電極83の外周部を覆うように塗布されている。フラックス40は、保護膜80aが被覆していない電極83面に印刷されるが、保護膜80aの孔の中で、中央が少し盛り上がるように印刷されることが好ましい。
【0057】
振込マスク65の厚みは、ボール11がマスク開口部65aに安定して保持されるように、ボール11の頂点が振込マスク65の上面より下になるようにしている。ボール11の頂点が振込マスク65の上面から下がる距離は、ボール径の5%程度が良く、2~10%が適している。このようにボール11が振込マスク65の上面より沈むことにより、結束線状部材95によりマスク開口部65aに振り込まれたボール11を掻き出すことが少なくなる。なお、ボール11の頂点が振込マスク65の上面より上に出ると、マスク開口部65a内に振り込まれたボール11が結束線状部材95で掻き出され易くなる。
【0058】
結束線状部材95が、紙面の左から右へ移動するとボール11は結束線状部材95に押されて次々とマスク開口部65a内に振り込まれる。結束線状部材95は、線材の一本一本の直径が30μm~100μmと細く且つ剛性が低いので、マスク開口65aから下方へ少々曲がり、マスク開口部65aの中へ少々入り込む。従って、振り込まれたボール11は、結束線状部材95により電極83上に印刷されたフラックス40の中に押し込まれ、シリコンウエハ80に大きな衝撃を与えなければ移動しない程度に粘着固定される。結束線状部材95は、少々ではあるが、マスク開口部65aに振り込まれたボール11を上から押圧する程度に変形することが好ましい。振り込まれたボール11がフラックス40に押し込まれないと、後工程(基板搬送、検査、リフロー等)においてボール11が所定位置から離脱し易くなる。
【0059】
[ボール搭載方法及びボール供給方法]
図7は、ボール搭載方法の主要な工程を示す工程フロー説明図である。まず、ボール振込ヘッドユニット64A,64Bをボール供給ノズル13,13の配置位置に移動し、ボール供給装置10からボール搭載装置50にボール供給が可能な状態としているものとする。ボール搭載装置50の運転開始にあたっては、第1開閉バルブ25を解放しておく。はじめに、ボールタンク12にボール11を補給する(ステップS10)。ボール補給は、ボールタンク12のタンク蓋22を解放してから行う。ボール投入後、ボール蓋22を閉めてボールタンク12を密閉する。
【0060】
続いて、第2開閉バルブ26を解放し圧縮不活性ガスをボールタンク12内に送気し、ボールタンク12内に貯留されているボール11をボール搭載装置50のボール保持部88に圧送する(ステップS20)。そして、ボール保持部88に設けられているボール検出上限センサ97によってボール11が所定量に達したかを判定する(ステップS30)。ボール11が所定量に達していない(NO)と判定したときには、ボー11の圧送を所定量に達するまで継続する。ボール保持部88内のボール11が所定量に達したことを検出した(YES)瞬間に第2開閉バルブ26を閉鎖し、さらに第3開閉バルブ28を解放してボール11の圧送を停止し(ステップS40)、ボール搭載装置50はボール搭載を開始する(ステップS50)。第2開閉バルブ26の閉鎖、第3開閉バルブの解放、並びにボール搭載装置50によるボール搭載動作は、それぞれが同期して動作するよう制御部(不図示)によって制御される。
【0061】
ボール搭載動作中には、貯留ボール検出最下限センサ20及び貯留ボール検出下限センサ21によって、常時ボールタンク12内にボール11が充足しているかを検知する(ステップS60)。貯留ボール検出下限センサ21は、ボールタンク12内のボール貯留量が所定量以下になったことを検知すると警報をオペレータに発信し、オペレータはボール蓋22を開けてボール11をボールタンク12に補給する。貯留ボール検出最下限センサ20がボール11の貯留量が所定の限界量以下になったことを検知するとボール搭載動作を停止し、ステップS10に戻りボールタンク12にボールの補給を行い、ステップS20以降の動作を繰り返す。ボール搭載動作を停止する際には、第2開閉バルブ26を閉鎖し、第3開閉バルブ28を解放することによって、余剰ボールが振込マスク65上に排出されることを防止する。
【0062】
ステップS60において、ボールタンク12内にボール11が充足していると判定した場合(YES)には、ボール搭載動作を継続する(ステップS70)。そして、基板51(又はシリコンウエハ80)へのボール搭載が完了(ステップS80)したところで除材する。
【0063】
ボール搭載動作を繰り返す間においても、ボール供給装置10からボール搭載装置50へボール11を間欠的に圧送する。その際のボール供給方法について
図8を参照して説明する。
【0064】
図8は、ボール搭載継続中におけるボール供給方法の主要な工程を示す工程フロー説明図である。ボール搭載動作をしている間は、ボール保持部88とボール供給ノズル13は接続していないので、ボール11の圧送は停止している。
図7に示したボール搭載継続(ステップS70)中において、ボール保持部88に設けられているボール検出下限センサ96がボール11なしと検出したところで(ステップS71)、ボール11の圧送を開始し(ステップS72)、ボール検出上限センサ97が所定量のボール11があることを検出(ステップS73)するまでボール11の圧送を継続する。ボール検出上限センサ97が所定量のボール11があることを検出したところでボール11の圧送を停止する(ステップS74)。ステップS71からステップS74の工程をボールタンク12内のボール11が所定量ある間又はボール搭載動作を継続している間に繰り返す。
【0065】
以上説明したボール供給装置10は、ボール搭載装置50にボール11を供給する装置である。ボール供給装置10は、ボール搭載装置50から平面的に離れた位置に配置され、ボール11を貯留するボールタンク12と、ボール搭載装置50のボール振込ヘッドユニット64A,64Bにボール11を供給するボール供給ノズル13と、ボールタンク12とボール供給ノズル13とを接続するボール移送用チューブ14と、圧縮気体によってボールタンク12からボール供給ノズル13にボール11を圧送する圧気系統と、ボールタンク12からボール供給ノズル13に至る間のボール移送経路を大気圧(常圧)に減圧する圧気破壊系統と、ボールタンク12内のボール貯留量の最下限値を検知する貯留ボール検出最下限センサ20と、を有し、ボール振込ヘッドユニット64A,64Bからのボール供給命令に基づきボール振込ヘッドユニット64A,64Bに所定量のボール11を圧送する。
【0066】
このような構成にすれば、ボール搭載装置50(ボール振込ヘッドユニット64A,64B)からのボール供給命令に基づきボール供給装置10からボール搭載装置50へのボール圧送を開始することから、ボール搭載装置50を停止させずにボール搭載装置50へのボール供給が可能となる。また、ボール搭載装置50から平面方向に離れた位置にボールタンク12を配置すれば、ボールタンク12へのボール補給を容易に行え、ボール補給時においてボール11が基板51上又はシリコンウエハ80上やボール搭載装置50上に落下することがなく、以前にボール搭載装置を稼働した際にこぼれていた異種ボールの混入を防止できる。さらに、ボール11の移送においては、圧縮系統によってボール11を圧送し、圧気破壊系統によってボール11の圧送を高速で停止させることからボール搭載装置50に過不足なくボールを供給することが可能となる。また、メカニカルなシャッターなどを使用しないためボール表面に損傷を与えることがない。
【0067】
上述したボール供給装置10では、ボール振込ヘッドユニット64A,64Bからのボール供給停止命令に基づき圧気系統の駆動を停止し、かつ、圧気破壊系統の駆動を開始し、真空圧を利用して前記ボール移送経路を高速で常圧に高速で戻す。このようにすれば、ボール11の圧送を停止し、ボールタンク12からボール搭載装置50に至るボール移送経路を常圧に減圧することによってボール移送を瞬間的に停止するためボール搭載装置50への過不足のないボール供給を可能にする。
【0068】
また、圧縮気体は、圧力が常圧よりも高く、0.2MPa以下の不活性気体である。ボールタンク12内の12ボール11は、少なくともボールタンク内を常圧よりも高くすれば、ボール11を圧送することが可能となり、常圧の概ね2倍である0.2Mpa以下にすればボール圧送時にボール同士が衝突したり、ボール移送経路の壁部などへ衝突したりすることによってボール表面に損傷を与えることがない。また、圧縮気体として、例えば窒素ガスのような不活性ガスを使用すれば、基板51と電子部品の接合手段であるボール11の電子部品の電気的な接合材としてのボール11の表面に酸化膜が形成されることを抑制できる。
【0069】
また、ボール移送用チューブ14は、屈曲性及び柔軟性を有し、内径が2mm~5mmで、屈曲半径が20mm以上としている。ボール移送用チューブ14は、屈曲性及び柔軟性を有することから曲げやすく、ボール搭載装置50(ボール振込ヘッドユニット64A,64B)に対してボールタンク11を平面方向及び高さ方向共に配置場所を自在に選択できるので作業スペースが広くなり、ボールタンク12へのボール補給作業が容易となる。また、ボールタンク12を大型化できる。さらに、ボール移送用チューブ14の内径を2mm~5mmとし、曲率半径を20mm以上にすれば、ボール移送用チューブ14の曲がり位置でボール11が詰まったり、ボール同士がぶつかって損傷したりすることを防止できる。
【0070】
また、ボール移送用チューブ14のボール11との接触面の表面抵抗を1×10-9Ω以下としている。ボール移送用チューブ14は屈曲性及び柔軟性を有する。このような素材としては、例えば樹脂製であり、樹脂製のチューブは絶縁性を有しボールが接触すると静電気を帯び、ボール同士が吸着したり、ボール移送用チューブ14とボール11とが吸着したりしてボールの移送が滞ることがある。そこで、ボール移送用チューブ14の内面に導電膜23を成膜するなどによって接触抵抗を極小化し、静電気の発生を抑えることができ、ボール11の移送をスムーズに行うことが可能となる。
【0071】
以上説明したボール搭載装置50は、ボール供給装置10から供給されるボールを被ボール搭載物である電極が形成された被ボール搭載物である基板51(又はシリコンウエハ80など)に搭載する装置である。ボール搭載装置50は、基板51に所定量のボール11を振り込むボール振込ヘッドユニット64A,64Bを有している。ボール振込ヘッドユニット64A,64Bは、ボール供給装置10から供給されるボール11を貯留するボール保持部88と、ボール保持部88に連通し基板51(シリコンウエハ80)にボール11を排出するボール排出通路94を有し、ボール保持部88内に貯留されるボール11の下限量を検知してボール供給装置10にボール供給命令を発信するボール検出下限センサ96と、ボール保持部88内に貯留されるボール11の上限量を検知してボール供給装置10にボール供給停止命令を発信するボール検出上限センサ97を有している。
【0072】
ボール検出上限センサ97は基板51(シリコンウエハ80)に搭載すべきボール量を検知し、ボール検出下限センサ96は基板51(シリコンウエハ80)に搭載すべきボールの必要量が不足したことを検知する。ボール搭載装置50は、ボール保持部88にボール搭載に必要なボール11が供給されていることを検知するとボール供給装置10からのボール11の供給を停止し、ボール保持部88に搭載すべきボール量が不足したと検出したところで、ボール供給装置10にボール11を供給させる。ボール搭載装置50とボール供給装置10とは連動しているので、ボール搭載装置を停止させずにボール搭載装置50へのボール供給を可能にする。
【0073】
なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。例えば、前述したボール搭載装置50においては、ボール保持部88に備えたボール検出下限センサ96及びボール検出上限センサ97によって、ボール量を検出しているが、ボール保持部88にロードセルなどを装備し、ボール11の重量でボール量を管理することが可能である。
【0074】
また、前述した実施形態のボール供給装置10では、ボール供給量の管理をボール搭載装置50のボール保持部88によって行っているが、ボール供給装置10にボール量計量装置を装備するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10…ボール供給装置、11…ボール、12…ボールタンク、13…ボール供給ノズル、14…ボール移送用チューブ、20…貯留ボール検出最下限センサ、21…貯留ボール検出下限センサ、50…ボール搭載装置、51…基板(被ボール搭載物)、64A,64B…ボール振込ヘッドユニット、80…シリコンウエハ(被ボール搭載物)、88…ボール保持部、94…ボール排出通路、96…ボール検出下限センサ、97…ボール検出上限センサ