(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】振れ止め装置及び振れ止め装置を備えた工作機械
(51)【国際特許分類】
B23Q 1/76 20060101AFI20220117BHJP
B23B 25/00 20060101ALI20220117BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20220117BHJP
【FI】
B23Q1/76 T
B23B25/00 Z
B24B41/06 C
(21)【出願番号】P 2017038446
(22)【出願日】2017-03-01
【審査請求日】2020-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 真也
(72)【発明者】
【氏名】野々山 眞
(72)【発明者】
【氏名】和田 鉄昭
【審査官】中里 翔平
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-121852(JP,A)
【文献】特開2016-041467(JP,A)
【文献】特開平09-277078(JP,A)
【文献】特開2014-074477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 1/76
B23B 25/00
B23B 31/12
B23Q 3/06
B24B 41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線回りに回転する工作物の芯出しを、前記工作物の外周面上の三点を支持することにより行なう振れ止め装置であって、
基台と、
前記基台に取り付けられ、前記工作物の軸線と平行な軸線を有する所定の回転軸を回転中心として前記基台に対し相対回転が可能な旋回体と、
前記旋回体を前記基台に対して前記所定の回転軸回りに所望の角度だけ回転させる回転調整部と、を備え、
前記旋回体は、
本体部と、
前記本体部に収容され前記本体部に対して前記工作物の方向に進退移動するセンタ部材と、
板状で且つ長尺に形成されるとともに交差して配置され、前記本体部に対し前記センタ部材と一体で進退移動可能であるとともに、長手方向において前記センタ部材に対し相対移動可能な第一及び第二アームと、
前記センタ部材に固定され前記センタ部材と対向する前記工作物の前記外周面における前記三点のうちの一点である第一支持点と当接する第一支持爪と、
前記第一及び第二アームの各先端に固定される前記三点のうちの残りの二点である第二及び第三支持点と当接する第二及び第三支持爪と、
前記センタ部材を前記進退移動させる駆動装置と、
を備え、
前記基台は、ベースプレートと中間プレートとを備え、
前記ベースプレートと前記中間プレートとの間、及び前記中間プレートと前記旋回体との間は、それぞれ一体的に固定可能であるとともに、前記固定が解除された状態では、前記ベースプレートと前記中間プレートとの間では相対移動が可能となり、前記中間プレートと前記旋回体との間では前記所定の回転軸回りにおいて相互に相対回転が可能となるよう構成され、前記回転調整部は前記中間プレートに設けられ、
前記駆動装置の作動によって前記センタ部材と前記第一及び第二アームとが前記工作物に向って前進し、前記第一支持爪が前記第一支持点と当接可能となるとともに、前記第一及び第二アームが、前記センタ部材に対して第一位置に位置することで前記第二及び第三支持爪がそれぞれ前記工作物の前記第二及び第三支持点と当接可能となる状態を第一状態と定義し、
前記第一状態において、
前記回転調整部が、前記基台に対して前記旋回体を前記所定の回転軸回りに前記所望の角度だけ回転させることにより、前記第一~第三支持爪の各位置を、前記所定の回転軸回りに、且つ回転された前記所望の角度に応じた大きさだけ移動させる、振れ止め装置。
【請求項2】
前記旋回体は、前記工作物を支持する位置と前記工作物の支持が解除された位置との間で移動可能な支持爪を備え
、
前記回転調整部は、前記旋回体を前記基台に対して前記所定の回転軸回りに所望の角度だけ回転させることにより、前記支持爪により前記工作物を支持する位置を調整
し、
前記第一支持爪、前記第二支持爪、及び、前記第三支持爪は、前記支持爪であ
る、請求項1に記載の振れ止め装置。
【請求項3】
前記振れ止め装置は、
前記駆動装置の作動によって前記センタ部材が前記工作物に対して後退し前記第一支持爪が前記工作物の前記第一支持点から離間するとともに、前記第一及び第二アームが、前記センタ部材に対して第二位置に位置することにより、前記第二及び第三支持爪の間の距離が前記工作物の前記外周面の直径よりも大きくなる状態を第二状態と定義し、
前記第一状態における前記第二及び第三支持爪の前記センタ部材の前記進退移動の方向である前後方向位置を
前記第二状態において調整する前後調整部を前記旋回体の内部に備える、請求項1又は2に記載の振れ止め装置。
【請求項4】
台座と、
前記台座の上に設けられ前記工作物の一端側を回転可能に支持する主軸台と、
前記台座の上であって前記主軸台に対向する位置に設けられ、前記工作物の他端側を回転可能に支持する心押台と、
請求項1-
3の何れか1項に記載の前記振れ止め装置と、
を備える
、振れ止め装置を備えた工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工中の工作物を支持する振れ止め装置及び振れ止め装置を備えた工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軸線回りに回転する工作物の外周面を加工する際、工作物に押し当てられた刃物や砥石の押し付け荷重又は工作物の自重等によって、回転する工作物の軸線が偏心する虞がある。このため、軸線が偏心しないよう工作物の回転を許容した状態で工作物の外周面をクランプし、回転軸の振れを抑制する振れ止め装置(一般にレスト装置とも言う)がある(特許文献1-5参照)。これらの振れ止め装置のうち、三点で工作物の外周面を支持するタイプの振れ止め装置(特に、特許文献1-3参照)では、加工の対象となる工作物の外周面をクランプする前に、工作物を加工する工作機械の主軸軸線と、クランプの中心位置とが一致するよう、予め準備したマスタとなる工作物を使用してクランプ位置を上下及び前後方向で調整する必要がある。
【0003】
なお、特許文献1-3では、工作物の外周面を三点で支持する三つの爪のうち、二つの爪は、支持部にX状に移動可能に配置される二本のアームの各先端に設けられる。また、もう一つの爪は、支持部本体に設けられる。そして、駆動装置の作動によって、支持部本体及び二本のアームが工作物の方向に向って移動されると、支持部本体に設けられた一つの爪が工作物の外周面に当接するとともに、二本のアームの各先端に設けられた二つの爪が支持部本体に対する各アームの相対移動に伴って工作物の外周面と当接し三点で工作物を支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4052440号公報
【文献】特許第5941720号公報
【文献】特許第5908641号公報
【文献】特許第5380963号公報
【文献】実公昭59-24455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1-3の振れ止め装置の構成では、クランプ位置の上下及び前後方向への調整機構は、ともに支持部本体の内部に設けられている。そして、三つの爪が工作物を支持(クランプ)した状態では、それらの調整機構に負荷がかかる構造となっており、調整に必要な部材を容易に作動させることが出来ない状態となっている。
【0006】
このため、クランプ位置の上下及び前後方向への各調整は、駆動装置を作動させ、工作物に対する支持(クランプ)を解除した状態で行なう必要がある。そして、各調整の後、再び、駆動装置を作動させ工作物を支持した状態とした上で、クランプ位置の調整状態を確認する。このとき、クランプ位置が所望の位置に調整されていれば、調整を終了できる。しかし、所望の位置に調整されていなければ、再び、同様の調整を繰り返し行なう必要がある。このように、クランプ位置が所望の位置に調整されるまで、支持部本体の進退移動及び上下及び前後方向への2つの調整を繰り返し行なわなければならない。よって、効率が悪く高コスト化の要因となる。
【0007】
本発明は、工作物をクランプした状態で、クランプ位置の一方向への調整が可能である低コストな振れ止め装置、及び振れ止め装置を備えた工作機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1.振れ止め装置)
本発明に係る振れ止め装置は、軸線回りに回転する工作物の芯出しを、前記工作物の外周面上の三点を支持することにより行なう振れ止め装置である。振れ止め装置は、基台と、前記基台に取り付けられ、前記工作物の軸線と平行な軸線を有する所定の回転軸を回転中心として前記基台に対し相対回転が可能な旋回体と、前記旋回体を前記基台に対して前記所定の回転軸回りに所望の角度だけ回転させる回転調整部と、を備える。
【0009】
前記旋回体は、本体部と、前記本体部に収容され前記本体部に対して前記工作物の方向に進退移動するセンタ部材と、板状で且つ長尺に形成されるとともに交差して配置され、前記本体部に対し前記センタ部材と一体で進退移動可能であるとともに、長手方向において前記センタ部材に対し相対移動可能な第一及び第二アームと、前記センタ部材に固定され前記センタ部材と対向する前記工作物の前記外周面における前記三点のうちの一点である第一支持点と当接する第一支持爪と、前記第一及び第二アームの各先端に固定される前記三点のうちの残りの二点である第二及び第三支持点と当接する第二及び第三支持爪と、前記センタ部材を前記進退移動させる駆動装置と、を備え、前記基台は、ベースプレートと中間プレートとを備え、前記ベースプレートと前記中間プレートとの間、及び前記中間プレートと前記旋回体との間は、それぞれ一体的に固定可能であるとともに、前記固定が解除された状態では、前記ベースプレートと前記中間プレートとの間では相対移動が可能となり、前記中間プレートと前記旋回体との間では前記所定の回転軸回りにおいて相互に相対回転が可能となるよう構成され、前記回転調整部は前記中間プレートに設けられる。
【0010】
前記駆動装置の作動によって前記センタ部材と前記第一及び第二アームとが前記工作物
に向って前進し、前記第一支持爪が前記第一支持点と当接可能となるとともに、前記第一
及び第二アームが、前記センタ部材に対して第一位置に位置することで前記第二及び第三
支持爪がそれぞれ前記工作物の前記第二及び第三支持点と当接可能となる状態を第一状態
と定義し、前記第一状態において、前記回転調整部が、前記基台に対して前記旋回体を前
記所定の回転軸回りに前記所望の角度だけ回転させることにより、前記第一~第三支持爪
の各位置を、前記所定の回転軸回りに、且つ回転された前記所望の角度に応じた大きさだ
け移動させる。
【0011】
このように、回転調整部により、第一~第三支持爪が工作物をクランプする状態である第一状態のまま、第一~第三支持爪の位置が少なくとも一方向において調整できるので、従来に対し、短時間で調整ができ、低コストとなる。
【0012】
(2.工作機械)
また、本発明に係る工作機械は、台座と、前記台座の上に設けられ工作物の一端側を回転可能に支持する主軸台と、前記台座の上であって前記主軸台に対向する位置に設けられ、前記工作物の他端側を回転可能に支持する心押台と、上記振れ止め装置と、を備える。これにより、低コストな振れ止め装置を備えた低コストな工作機械が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る振れ止め装置を備えた研削盤(工作機械)の平面図である。
【
図2】
図1における「第一状態」の振れ止め装置をZ軸方向から見た図である。
【
図6】振れ止め装置が備える旋回体の分解平面図である。
【
図7】振れ止め装置の「第一状態」において、第一位置に位置する第一、第二アーム及び第一~第三支持爪の状態を示す図である。
【
図8】振れ止め装置の「第二状態」において、第二位置に位置する第一、第二アーム及び第一~第三支持爪の状態を示す図である。
【
図9】旋回体の内部に配置される前後調整部を説明する図である。
【
図10】振れ止め装置が備える第一~第三支持爪の位置の調整方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1.工作機械)
以下、本発明の振れ止め装置を備えた工作機械を具体化した実施形態について図面を参照しつつ説明する。本発明の工作機械として、本実施形態においては、一例として研削盤を例に挙げて説明する。なお、本発明の工作機械は、振れ止め装置を備えた工作機械であれば、研削盤の他、例えば、旋盤等にも適用できる。
【0015】
本実施形態の研削盤1の全体構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、研削盤1の平面図である。
図1に示すように、研削盤1は、ベッド10(台座に相当)と、主軸台20と、心押台30と、砥石支持装置40と、振れ止め装置50と、制御装置(図示せず)と、を備える。
【0016】
ベッド10は、ほぼ直方体状であり、床上に配置される。このベッド10の上面には、一対の砥石台用ガイドレール11が、
図1の左右方向(Z軸方向)に延在し、且つ、相互に平行に形成される。一対の砥石台用ガイドレール11は、砥石支持装置40を構成する砥石台トラバースベース41が摺動可能なレールである。さらに、ベッド10の上面のうち、一対の砥石台用ガイドレール11より
図1の下側(機械の手前側)には、主軸台20が摺動可能な一対の第一ガイドレール12が、
図1の左右方向(Z軸方向)に延在し、且つ、相互に平行に形成される。
【0017】
また、
図1において、ベッド10の上面のうち、一対の第一ガイドレール12より右側には、心押台30を摺動可能とする一対の第二ガイドレール13が、
図1の左右方向(Z軸方向)に延在し、且つ、相互に平行に形成される。
【0018】
また、ベッド10には、一対の砥石台用ガイドレール11の間に、砥石台トラバースベース41を
図1の左右方向に駆動するための、砥石台用Z軸ボールねじ14が配置される。砥石台用Z軸ボールねじ14の端部には、砥石台用Z軸ボールねじ14を回転駆動する砥石台用Z軸モータ15が配置される。
【0019】
さらに、ベッド10には、一対の第一ガイドレール12の間に、主軸台20を
図1の左右方向に駆動するための、第一Z軸ボールねじ16が配置される。第一Z軸ボールねじ16の端部には、第一Z軸ボールねじ16を回転駆動する第一Z軸モータ17が配置される。
【0020】
ベッド10には、一対の第二ガイドレール13の間に、心押台30を
図1の左右方向に駆動するための、第二Z軸ボールねじ18が配置される。第二Z軸ボールねじ18の端部には、第二Z軸ボールねじ18を回転駆動する第二Z軸モータ19が配置される。
【0021】
主軸台20は、ベッド10の上に設けられ工作物Wの一端側を回転可能に支持する。主軸台20は、主軸台本体21と、主軸22と、主軸チャック23とを備える。主軸台本体21は、ベッド10の上面のうち、一対の第一ガイドレール12上を摺動可能に配置される。主軸台本体21は、第一Z軸ボールねじ16のナット部材に連結される。そして、主軸台本体21は、第一Z軸モータ17の駆動により一対の第一ガイドレール12に沿って移動する。
【0022】
この主軸台本体21の内部には、主軸22が軸回り(
図1のZ軸回り)に回転可能に挿通支持される。この主軸22は、図示しないモータにより回転駆動される。また、主軸22の右端に、長尺の工作物Wの軸方向一端を把持する主軸チャック23が取り付けられる。
【0023】
心押台30は、ベッド10の上であって主軸台20に対向する位置に設けられ、工作物Wの他端側を回転可能に支持する。このとき工作物Wは軸線が水平となるように支持される。心押台30は、心押台本体31と、心押センタ32とを備える。心押台本体31は、ベッド10の上面のうち、一対の第二ガイドレール13上を摺動可能に配置される。心押台本体31は、第二Z軸ボールねじ18のナット部材に連結される。そして、心押台本体31は、第二Z軸モータ19の駆動により一対の第二ガイドレール13に沿って移動する。
【0024】
また、心押台本体31には、
図1の左右方向に貫通する穴が形成される。この心押台本体31の貫通孔に、心押センタ32が回転可能に挿通支持される。この心押センタ32の回転軸は、主軸22の回転軸と同軸上に位置する。そして、この心押センタ32は、工作物Wの軸方向他端を支持する。つまり、心押センタ32は、主軸チャック23に対向するように配置される。
【0025】
そして、主軸チャック23と心押センタ32とにより、工作物Wの両端を支持する。このように、工作物Wは、主軸チャック23及び心押センタ32により、主軸(軸線に相当)回り(Z軸回り)に回転可能に保持される。
【0026】
砥石支持装置40は、砥石台トラバースベース41と、砥石台42と、砥石車43と、砥石回転用モータ45とを備える。砥石台トラバースベース41は、上面が矩形で平板状に形成されている。前述したように、砥石台トラバースベース41は、ベッド10の上面に設けられた一対の砥石台用ガイドレール11上を摺動可能に配置される。
【0027】
砥石台トラバースベース41は、砥石台用Z軸ボールねじ14のナット部材に連結されている。これにより、砥石台トラバースベース41は、砥石台用Z軸モータ15の駆動により一対の砥石台用ガイドレール11に沿って移動する。砥石台トラバースベース41の上面には、砥石台42が摺動可能な一対のX軸ガイドレール41aが設けられる。一対のX軸ガイドレール41aは、
図1の上下方向(X軸方向)に延在し、且つ、相互に平行に形成される。さらに、砥石台トラバースベース41には、一対のX軸ガイドレール41aの間に、砥石台42を
図1の上下方向に駆動するための、X軸ボールねじ41bが配置される。X軸ボールねじ41bの端部には、X軸ボールねじ41bを回転駆動するX軸モータ41cが配置される。
【0028】
砥石台42は、砥石台トラバースベース41の上面に設けられた一対のX軸ガイドレール41a上を摺動可能に配置される。砥石台42は、X軸ボールねじ41bのナット部材に連結されている。これにより、砥石台42は、X軸モータ41cが駆動することにより一対のX軸ガイドレール41aに沿って移動する。つまり、砥石台42は、ベッド10、主軸台20及び心押台30に対して、X軸方向及びZ軸方向(トラバース送り方向)に相対移動可能である。
【0029】
砥石台42のうち
図1の下側部分には、
図1の左右方向に貫通する孔(貫通孔)が形成される。この砥石台42の貫通孔に、砥石車回転軸部材(図示せず)が、砥石中心軸回り(Z軸回り)に回転可能に支持される。この砥石車回転軸部材の一端(
図1の左端)に、砥石車43が砥石車回転軸部材と同軸となるよう取り付けられる。
【0030】
また、砥石台42の上面には、砥石回転用モータ45が固定される。そして、砥石車回転軸部材の他端(
図1の右端)と砥石回転用モータ45の回転軸とにそれぞれプーリが固定され、各プーリ間にベルトが懸架されることで、砥石回転用モータ45の駆動により、砥石車43が砥石軸回りに回転する。
【0031】
(1-1.振れ止め装置50)
次に、振れ止め装置50について、図面を参照して説明する。振れ止め装置50は、外周面を研削するため主軸チャック23と心押センタ32とにより支持(固定)された工作物Wの外周面Waを支持する。
図2に示すように、振れ止め装置50は、軸線回りに回転する工作物Wの芯出しを、工作物Wの外周面Wa上の三点(第一支持点P,第二支持点Q,第三支持点R)をクランプ支持し支持することにより行なう装置である。
【0032】
外周面Wa上の三点(第一支持点P,第二支持点Q,第三支持点R)は、振れ止め装置50が備える第一~第三支持爪118,119,120により支持される。これにより、加工時における、砥石の押圧、及び工作物Wの自重等により生じる工作物Wの回転の偏心を防止する。
図2,
図3に示すように、振れ止め装置50は、基台60、回転調整部70、及び旋回体80を備える。
【0033】
(1-1-1.基台60)
基台60は、ベースプレート61と、中間プレート66と、を備える。ベースプレート61が研削盤1のベッド10に固定される。ベッド10に対するベースプレート61の固定としては、ベッド10に台座を固定し、固定した台座にベースプレート61を固定する態様が一例として挙げられる。ただし、詳細な説明は省略するが、ベッド10に対するベースプレート61の固定はこの態様に限らずどのような手段によって行なってもよい。
【0034】
ベースプレート61と中間プレート66とは、ともに板状部材である。ベースプレート61と中間プレート66とは、対向する平面61aと平面66aとが当接され、例えば図略のボルトと雌ねじによるねじ止め等の固定手段によって、一体的に固定可能である。なお、固定手段により固定される固定位置はどこでもよく、固定手段の固定操作(固定解除操作)の行ないやすい位置や、振れ止め装置50のクランプ支持動作に影響ない位置に配置される。また、ベースプレート61と中間プレート66のどちら側に雌ねじが形成されてもよい。
【0035】
ベースプレート61及び中間プレート66は、相互に固定された固定状態だけでなく、固定用のボルトが緩み方向に回転され、ベースプレート61及び中間プレート66の間の固定が若干解除された半固定状態、又は固定が完全に解除された解除状態を有する。半固定状態、又は解除状態では、中間プレート66がベースプレート61に対し、当接する各平面61a,66a同士が摺動しながら若干の相対移動が可能となるように構成される。ベースプレート61と中間プレート66とは、図略のボルトとボルトが挿通された孔との間のクリアランスが形成され、クリアランスの範囲で調整可能となっている。
【0036】
(1-1-2.回転調整部70)
図2-
図4に示すように、中間プレート66には、本発明に係る回転調整部70が設けられる。回転調整部70は、
図3において中間プレート66の左方に設けられる。
図4に示すように、回転調整部70は、回転用傾斜プレート71、直線移動用傾斜プレート72、調整ねじ73、支持ピン74、及び2個のコイルスプリング75,75を備える。
【0037】
回転用傾斜プレート71及び直線移動用傾斜プレート72は、中間プレート66の旋回体80側の平面66cに形成された収容空間67内に、
図4に示すように配置及び収容される。回転用傾斜プレート71は、直方体状部材の一辺が傾斜面71aを有して形成される。また、直線移動用傾斜プレート72は、直方体状の部材の一辺が傾斜面72aを有して形成される。
図4に示すように、傾斜面71aと傾斜面72aとは対向し摺動による相対移動可能に当接される。このような配置状態において、傾斜面71aの対辺である回転用傾斜プレート71の側面71bと、傾斜面72aの対辺である直線移動用傾斜プレート72の側面72bとは平行である。
【0038】
中間プレート66の側面66bから収容空間67内には、雌ねじ66dが貫通して形成される。調整ねじ73は、雌ねじ66dと螺合した状態で収容空間67内に出入可能に設けられる。調整ねじ73の収容空間67側の端部には鍔部73aを備える。そして、鍔部73aが、直線移動用傾斜プレート72の平面72cに形成された略T型のスロット72dに係合する。
【0039】
これにより、調整ねじ73を回転させ、収容空間67内に出入りさせることで、直線移動用傾斜プレート72が、可動方向A1に往復移動される。なお、可動方向A1は、後述する駆動装置86の作動によってセンタ部材83が可動される方向と一致するものと定義する。また、本実施形態では、この方向を前後方向とも称する。
【0040】
調整ねじ73の回転により、直線移動用傾斜プレート72が可動方向A1に往復移動されると、直線移動用傾斜プレート72の傾斜面72aも同様に移動して回転用傾斜プレート71の傾斜面71aに作用し、回転用傾斜プレート71を上下方向(
図4中の矢印B参照)に往復動させる。ここで、上下方向とは、直線移動用傾斜プレート72の側面72bと直交する方向である。
【0041】
なお、このとき、回転用傾斜プレート71の側面71bと、側面71bと平行で且つ対向する収容空間67の側面67aとの間には、コイルスプリング75,75が2個、所定量圧縮した状態で介在する。これにより、回転用傾斜プレート71は、コイルスプリング75,75によって、常に直線移動用傾斜プレート72の方向に向って荷重F1で付勢される。
【0042】
また、回転用傾斜プレート71の平面71c,及び平面71cと背向する平面71d間には、長孔71eが貫通して形成される。長孔71eは、長軸が可動方向A1に沿って形成される。長孔71eには支持ピン74が挿通される。支持ピン74は、後述する旋回体80が備える第一外板81aの所定の位置に固定される。このとき、所定の位置とは、第一外板81aの面81a1と中間プレート66の平面66cとを対向させ当接させたときに、長孔71eに対応する位置である。
【0043】
これにより、回転調整部70の調整ねじ73を所定量だけ回転させると、直線移動用傾斜プレート72が可動方向A1と平行な方向に往復動する。この往復動によって回転用傾斜プレート71が、上下方向(B方向)に往復動し、支持ピン74を往復動する方向に付勢する。このため、支持ピン74が固定される旋回体80が、支持ピン74を介して回転用傾斜プレート71が移動する方向と同じ方向に付勢力を受け、旋回体80に設けられた後述する回転軸100(所定の回転軸)回りに、調整ねじ73の回転量に応じた所望の角度だけ中間プレート66に対して相対回転される。これにより、第一~第三支持爪118,119,120の中心位置O(
図2,
図7参照)が、回転軸100を中心とする円弧上で調整できる。
【0044】
中間プレート66及び旋回体80の間では、対向する平面66cと旋回体80の第一外板81a(本体部81)の面81a1とが当接される。そして、例えば、図略のボルトと雌ねじとによるねじ止め等の固定手段によって中間プレート66及び第一外板81a(本体部81)が一体的に固定される。このとき、固定手段の位置はどこでもよく、固定手段の固定操作(固定解除操作)の行ないやすい位置や、振れ止め装置50のクランプ支持動作に影響ない位置に配置される。また、中間プレート66及び第一外板81a(本体部81)のどちら側に雌ねじが形成されてもよい。
【0045】
中間プレート66及び第一外板81a(本体部81)は、相互に固定される固定状態だけでなく、固定用のボルトが緩み方向に回転され、中間プレート66及び第一外板81a(本体部81)の間の固定が若干解除された半固定状態(仮固定)も有する。半固定状態では、回転軸100回りにおいて、旋回体80(第一外板81a)が、中間プレート66に対し、相互に当接する平面上で摺動しながら相対回転する。このように、旋回体80は、中間プレート66に設けられた回転調整部70の調整ねじ73を回転させることにより、支持ピン74を介して回転軸100回りに回転される。
【0046】
ただし、回転調整部70は、上記構造には限らない。回転調整部70は、例えば、調整ねじ73のみによって構成してもよい。つまり、調整ねじ73によって直線移動用傾斜プレート72を往復動させるのではなく、調整ねじ73が旋回体80を回転軸100回りで回転するよう直接往復動させてもよい。また、回転調整部70にウォームギヤを適用し、ウォームギヤによって旋回体80を中間プレート66に対して回転軸100回りで回転させてもよい。これらによっても相応の効果が得られる。
【0047】
回転軸100は、旋回体80が備える本体部81の第一外板81aに固定される。本実施形態では、回転軸100は、
図5に示すようなピンによって形成される。旋回体80に固定される回転軸100は、中間プレート66を貫通して支持する。このとき、中間プレート66は、回転軸100を回転支持する軸受66eを備える。軸受66eは、どのようなタイプのものでもよく、各種玉軸受、各種ニードル軸受、ドライ軸受(メタル軸受)等さまざまなタイプの軸受が適用できる。
【0048】
これにより、旋回体80は、中間プレート66(ベースプレート61)に対して安定して相対回転できる。従って、中間プレート66(ベースプレート61)に対する旋回体80の相対的な旋回角度の調整が精度よくできる。なお、回転軸100を設ける位置は、旋回体80の重心位置近傍であることが好ましい。
【0049】
また、図示しないが、中間プレート66と旋回体80(第一外板81a)との間には、所定の与圧が付与されている。このため、中間プレート66と旋回体80との間が半固定状態とされても、両者の間には所定の与圧が付与された状態が維持される。これにより、旋回体80に対して回転軸100回り方向への外力が付与されない限り、回転軸100回りにおける中間プレート66と旋回体80との間の相対角度は、半固定状態においても常に安定して維持される。これにより、半固定状態において安定した調整を行ないやすい。
【0050】
なお、上記において所定の与圧とは、回転調整部70の作動時に、半固定状態である旋回体80が中間プレート66に対して当接する面同士を摺動させながら相対回転可能であり、且つ回転調整部70により旋回体80に回転方向の外力を付与しないときには、常に中間プレート66と旋回体80との間の相対角度が維持可能な大きさの圧力であり、事前の実験等により求めておけばよい。所定の与圧を付与する方法はどのようなものでも良い。例えば、中間プレート66と旋回体80との間にコイルばね等の弾性部材を介在させても良い(図略)。
【0051】
(1-1-3.旋回体80)
図6、
図9に示すように、旋回体80は、主に、本体部81,センタ部材83,第一アーム84,第二アーム85,駆動装置86及び前後調整部90を備える。後に詳述するが、駆動装置86は、センタ部材83及び第一,第二アーム84,85を「第一状態」(
図7参照)と「第二状態」(
図8参照)との間で移動させる装置である。
【0052】
「第一状態」とは、センタ部材83及び第一,第二アーム84,85が工作物Wの方向に向って移動し、前述した第一~第三支持爪118,119,120が工作物Wの外周面Waを三箇所(三点)の支持点(第一支持点P,第二支持点Q,第三支持点R)(
図7参照)で支持する状態をいう。なお、このときセンタ部材83に対する第一,第二アーム84,85の位置を第一位置とする。詳細については、後述する。
【0053】
また、「第二状態」とは、センタ部材83及び第一,第二アーム84,85が、工作物Wの方向とは反対方向に向って移動することにより、第一~第三支持爪118,119,120による外周面Waの支持が解除された状態(
図8参照)のことをいう。特に、本実施形態において、「第二状態」とは、センタ部材83及び第一,第二アーム84,85が移動可能な最大ストロークだけ駆動装置86の方向に引き込まれた状態をいう。このときのセンタ部材83に対する第一,第二アーム84,85の位置を第二位置とする。
【0054】
本体部81は、第一外板81a、第二外板81b,及び第一,第二レール81c,81dによって構成される筐体である。第一外板81aは、中実の平板である。第一外板81a及び第二外板81bの間には、第一,第二レール81c,81d(
図2及び
図3)が、直接または間接的に所定の手段(ボルト等)によって取り付けられる。このとき、所定の手段はどのようなものでもよい。
【0055】
また、前述したとおり、本体部81を構成する第一外板81aには、回転軸100が固定される。回転軸100は、中間プレート66側に突出している。回転軸100は、中間プレート66に設けられた軸受66eを介して中間プレート66を相対回転可能に支持する。また、前述したとおり、第一外板81aには、回転調整部70を構成する支持ピン74が固定される。
【0056】
支持ピン74は、回転軸100の突出方向と同じ方向、つまり、中間プレート66の方向に向って突出される。支持ピン74は、第一外板81aと中間プレート66とが対向し固定された状態で、中間プレート66に設けられる回転調整部70の長孔71eと係合される。
【0057】
本体部81の内部には空間が形成される。
図6-
図9に示すように、空間には、センタ部材83及び第一,第二アーム84,85が第一,第二レール81c,81dの延在方向に移動可能に収容される。空間内において、センタ部材83は、第二外板81bの第一面142に直接当接する。
【0058】
図6に示すとおり、第二外板81bは、第一面142に、空間として形成された第一及び第二ガイド通路144,146ならびにガイド部材空間86jを有する。ガイド部材空間86jは、第一及び第二ガイド通路144、146間に亘って延在し、第一及び第二ガイド通路144,146と連通する。ガイド部材空間86jの第一壁面156は、可動方向A1と直交する平面に対して所定の角度を有して傾斜している。
【0059】
ガイド部材空間86jには、2個のガイド通路形成アーム91,92及びガイド部材93が、
図9に示すように配置される。第一壁面156と対向するガイド部材空間86jの第一面86ja及び第二面86jbとガイド通路形成アーム91,92の面91a,92aとの間には、コイルスプリング94,94が一つずつ介在している。コイルスプリング94,94は、ガイド通路形成アーム91,92及びガイド部材93を、ガイド部材空間86jの第一壁面156に向って付勢する。
【0060】
ガイド通路形成アーム91,92は、第一,第二ガイド通路144,146と連続して通路を形成する第三,第四ガイド通路244、246を備える。第一ガイド通路144と,第三ガイド通路244が接続されてメインガイド通路44が形成される。また、第二ガイド通路146と,第四ガイド通路246が接続されてメインガイド通路46が形成される。なお、ガイド部材空間86jの深さは、第一,第二ガイド通路144、146と同じ深さでよい。また、ガイド通路形成アーム91,92は、二体で形成せず、ガイド通路形成アーム91,92の間を接続して一体で形成しても良い。
【0061】
図9に示すとおり、ガイド部材93は、ガイド部材空間86j内において可動方向A1と直交する方向に移動可能に収容される。ガイド部材93の厚さ(ガイド部材空間86jの底面に対して直交する方向)は、ガイド部材空間86jの深さと等しいか、またはガイド部材空間86jの深さより薄い。
【0062】
メインガイド通路44,46は、長尺の第一脚86k,86kと比較的短い第二脚86h,86hとを有する。第一脚86k,86kは、互いに平行で、且つ可動方向A1に対して平行に延在している。各第二脚86h,86hは、第一脚86k,86kの各端部から相互に離間する方向で、且つ工作物Wからも離間する方向に延在して形成される(すなわち、各メインガイド通路44、46の第一脚86k,86kと第二脚86h,86hの間の角度は鋭角となる)。
【0063】
センタ部材83は、
図6に示すように、略直方体形状に対し駆動装置86側の一部が略三角形状で切り取られて形成される。ただし、この形状には限らず、「第一状態」と「第二状態」との間を、駆動装置86と干渉せずに移動可能でさえあれば、センタ部材83は、略直方体形状でもよいし、他の形状であってもよい。
【0064】
センタ部材83は、駆動装置86の作動によって工作物Wに対して進退移動する。センタ部材83は、第一平面108と、第一平面108に背向する第二平面110を有する(
図6参照)。センタ部材83の厚さは、第一,第二レール81c,81dの厚さとほぼ等しい。センタ部材83は、第二外板81bの第一面142及び第一外板81aの第一面141と摺動可能に係合する。
【0065】
図6に示すとおり、第一平面108には、第一スライド溝112が形成される。また、第二平面110には、第二スライド溝114が、が形成される。第一平面108から第二スライド溝114に貫通してスロット116が形成される。スロット116の長手方向は、第二スライド溝114の長手方向と平行に延在する。
【0066】
第一スライド溝112,及び第二スライド溝114は、互いに干渉することなく交差して形成される。第一,第二スライド溝112,114は、略X形のパターンを形成する。また、第一,第二スライド溝112,114は、それぞれ可動方向A1に対して角度を有して形成される。第一,第二スライド溝112,114には、第一,第二アーム84,85が摺動可能に係合する。なお、第一,第二アーム84,85の詳細については後に説明する。
【0067】
センタ部材83の第二端部123は、略T形のスロット124を有する。
図6に示すとおり、スロット124は、スロット124内の空間とほぼ同様の形状を有する駆動装置86のロッド86cの端部226と係合する。
【0068】
第一,第二アーム84,85は、板状部材によって長尺に形成される。第一,第二アーム84,85は、長尺の第一延在部84a、85aと、それぞれ対向する方向に向け第一延在部84a,85aから相互に若干屈曲して形成される第二延在部84b,85bと、を有する(
図6参照)。なお、第一延在部84a、85aに対する第二延在部84b,85bの各屈曲角度は、対応する工作物Wの位置と第一,第二アーム84,85との相対位置関係により異なるため、その都度、適した形状となるよう設定される。
【0069】
上述したように、第一アーム84は,第一スライド溝112に摺動可能に係合される。第一アーム84は,第一延在部84aの長手方向に沿って移動可能である。また、第二アーム85は,第二スライド溝114に摺動可能に係合される。第二アーム85は,第一延在部85aの長手方向に沿って移動可能である。また、第一,第二アーム84,85は、本体部81に対しセンタ部材83と一体で進退移動可能である。
【0070】
第一,第二アーム84,85の第一延在部84a,85aにおいて、第二延在部84b,85b側と反対側の端部には、当該端部と対向する第二外板81bに向って延びるピン134,135が立設される。そして、ピン134,135の端部には、直方体状のコマ136,137がピン134、135に対して相対回転可能に設けられる。
【0071】
すなわち、第一アーム84のピン134は、メインガイド通路46に向って延びており、ピン134の端部に設けられたコマ136がメインガイド通路46の側面と摺動可能に係合する。また、第二アーム85のピン135は、センタ部材83のスロット116を貫通してメインガイド通路44に向って延びており、ピン135の端部に設けられたコマ137がメインガイド通路44の側面と摺動可能に係合する。なお、コマ136,137は、メインガイド通路44,46と係合しながらメインガイド通路44,46に沿ってスムーズに摺動可能な形状で形成される。
【0072】
図6に示すように、センタ部材83は、第一及び第二スライド溝112,114の間に第一端部122を備える。第一端部122には、工作物Wの方向に向って延在する固定アーム121が固定される。固定アーム121の先端部には、第一支持爪118が設けられる。そして、第一支持爪118は、センタ部材83及び第一,第二アーム84,85が前述した「第一状態」にあるとき、センタ部材83と対向する工作物Wの外周面Waの対向曲面Wa1(
図2、
図7参照)上に位置する第一支持点Pと当接する。第一支持点Pは、上述した三箇所(三点)の支持点のうちの一点である。
【0073】
また、前述した第一,第二アーム84,85が備える第二延在部84b,85bの先端部には、第二、第三支持爪119,120が設けられる。第二、第三支持爪119,120は、第一,第二アーム84,85がセンタ部材83に対して前述した「第一状態」にあるとき、センタ部材83と対向する工作物Wの対向曲面Wa1の背面側に位置する背向曲面Wa2(
図6、
図7参照)上の第二支持点Q,及び第三支持点Rと当接し、上述した第一支持爪118と協働して工作物Wをクランプし支持する。
【0074】
なお、このとき「第一位置」では、第一,第二アーム84,85が備える各コマ136,137が、メインガイド通路44、46の第二脚86h,86hの端部に係合している。また、第二支持点Q,及び第三支持点Rは、上述した三箇所(三点)の支持点のうちの残りの二点である。
【0075】
このように、「第一状態」では、第一~第三支持爪118,119,120によって、工作物Wの外周面Waが、三点で支持されるので、工作物Wの回転軸(中心軸)は所定の位置で固定され、偏心等の変動が規制される。ただし、このとき、第一,第二及び第三支持爪118,119,120によって固定される工作物Wの回転軸は、研削盤(工作機械)の主軸チャック23及び心押センタ32によって決定される中心軸線(主軸軸線)と一致させる必要がある。
【0076】
このため、本発明では、調整を行なうため、はじめに、マスタとなる工作物Wmを研削盤1の主軸チャック23及び心押センタ32に取り付ける。このとき、工作物Wmの中心軸線は、主軸チャック23及び心押センタ32の主軸軸線とほぼ一致しているものとする。そして、第一~第三支持爪118,119,120による支持の中心位置Oが工作物Wmの中心軸線と一致するよう、第一~第三支持爪118,119,120の位置を回転調整部70及び前後調整部90によって調整する。なお、調整手順等については後に説明する。
【0077】
図6に示すとおり、駆動装置86は、筐体86a、ピストン86b及びロッド86c等を備える。筐体86a及びピストン86bは協働して、第一及び第二ポート86d、86eと、第一及び第二ポート86d,86eとそれぞれ流通する第一及び第二流体室86f,86gとを形成する。駆動装置86は図略の制御装置によって制御される。
【0078】
ピストン86bは、ロッド86cに取り付けられて、第一及び第二流体室86f、86gを互いに分離している。第一及び第二ポート86d、86eは、作動流体源(例えば、圧縮空気源または作動液源)と連通している。制御装置(図示せず)は、第一及び第二ポート86d、86eを出入りする作動流体の流れを制御する。
【0079】
制御装置の制御によって、ピストン86b及びロッド86cが、工作物Wから離間する方向、又は工作物Wに接近する方向に作動される。ピストン86b及びロッド86cを工作物Wから離間する方向に作動させる場合、制御装置は、作動流体を第一流体室86fから排出させつつ第二流体室86gへ供給するよう制御する。
【0080】
また、ピストン86b及びロッド86cを工作物Wに接近する方向に作動させる場合、制御装置は、作動流体を第二流体室86gから排出させつつ、第一流体室86fへ供給するよう制御する。なお、駆動装置86は流体の制御により作動する装置として説明したが、駆動装置86として、あらゆる種類のアクチュエータ(例えば、電気モータ等)を用いることができる。
【0081】
(1-1-4.前後調整部90)
前後調整部90は、前述した「第一状態」における第二,第三支持爪119,120の位置に対する前後方向(可動方向A1と等しい)の調整を、「第二状態」とした状態で行なう装置(機構)である。
図9に示すように、前後調整部90は、前述した2個のガイド通路形成アーム91,92及びガイド部材93と、スプリング(コイルスプリング等)94,94と、スプリング(コイルスプリング等)104と、調整ロッド96等と、を備える。
【0082】
可動方向A1と直交する平面であるガイド通路形成アーム91,92の
図9における右側の側面91b、92bが、対向するガイド部材93の第二側面93bと当接している。また、ガイド部材93は、ガイド部材空間86jの第一壁面156と全面で当接する第一側面93aを有する。
【0083】
従って、第一側面93aは、可動方向A1と直交する平面に対して所定の角度を有して傾斜している。このように、ガイド部材93の第二側面93bは、第一側面93aに対して鋭角に延在し、可動方向A1に対して直交する。また、ガイド部材93の第三及び第四側面93c,93dは、第二側面93bと垂直(すなわち、可動方向A1と平行)に形成される。
【0084】
第二外板81bは、可動方向A1に対して垂直に延在し、ガイド部材空間86jと外部とを連通させるねじ孔82aを有する。ねじ式の調整ロッド96は、ねじ孔82aと螺合し、ガイド部材空間86j内に延在する。調整ロッド96の軸端98は、ガイド部材93の第三側面93cと当接する。
【0085】
ガイド部材空間86jの第二壁面106と、第二壁面106と対向するガイド部材93の第四側面93dとの間には、スプリング104が配置される。スプリング104は、ガイド部材93が調整ロッド96の軸端98と常に接触するよう、ガイド部材93を付勢する。このような、調整ロッド96がねじ孔82aに沿って、ガイド部材空間86jに出し入れされるとガイド部材93は、第二壁面106に対して接近又は離間する。
【0086】
(2.振れ止め装置50の作動について)
次に、振れ止め装置50の基本作動について説明する。具体的には、振れ止め装置50が、工作物Wの外周面Waをクランプする「第一状態」(
図7参照)と、クランプが解除された状態である「第二状態」(
図8参照)とにそれぞれ至る過程の作動について簡単に説明する。
【0087】
振れ止め装置50は、すでに研削盤1のベッド10に固定されているものとする(直接、又はベッド10に固定される台座などに配置)。このような状態において、振れ止め装置50が備える図略の制御装置によって制御され、作動流体を駆動装置86の第一流体室86fへ供給するとともに第二流体室86gから排出させる。これにより、ピストン86b及びロッド86cが工作物Wに接近する方向に作動され、センタ部材83及び第一,第二アーム84,85が工作物Wに向って一体的に前進する。
【0088】
前進する際には、第一,第二アーム84,85に固定されるコマ136,137が、メインガイド通路44,46の第一脚86k,86k(第一,第二ガイド通路144,146)と係合しながら、第一脚86k,86kに沿って移動する。その後、コマ136,137が、第一脚86k,86kと接続される第二脚86h,86hの側面86h1,86h1に当接する。
【0089】
そして、駆動装置86のロッド86cの作動によって、センタ部材83が、さらに、工作物Wの方向に向って押圧されると、コマ136,137が、メインガイド通路44、46の第二脚86h,86hに沿って横方向外側に摺動を開始する。
【0090】
ロッド86cの作動に応じてコマ136,137が、メインガイド通路44、46の第二脚86h,86hに沿って横方向外側にさらに摺動するにつれ、センタ部材83の第一支持爪118、及び第一,第二アーム84,85がそれぞれ備える第二,第三支持爪119,120が工作物Wの方向に向かって接近するよう移動する。そして、第一支持爪118、及び第二,第三支持爪119,120が「第一状態」となり、工作物Wの外周面Waの三つの支持点(第一支持点P,第二支持点Q,第三支持点R)と当接し、工作物Wをクランプする。
図7に示す、このときのセンタ部材83に対する第一,第二アーム84,85の位置を「第一位置」と呼称する。
【0091】
換言すると、「第一状態」は、第一支持爪118が工作物Wの対向曲面Wa1の第一支持点Pと当接可能な状態となるとともに、第一及び第二アーム84,85が、
図7に示す第一位置に位置することで第二及び第三支持爪119,120がそれぞれ工作物Wの背向曲面Wa2の第二及び第三支持点Q,Rと当接可能となる状態をいう。
【0092】
次に、センタ部材83及び第一,第二アーム84,85を、「第一状態」から「第二状態」(引き込み位置)に移動させる場合には、制御装置の制御によって、作動流体を駆動装置86の第二流体室86gへ供給するとともに第一流体室86fから排出させる。これにより、ピストン86b、ロッド86c及びセンタ部材83が、工作物Wから離間する方向に移動を開始する。
【0093】
このようなセンタ部材83の移動によって、上述した第一,第二アーム84,85の動きが反転する。すなわち、工作物Wから離間するセンタ部材83の可動方向A1への動きによって、まず、第一,第二アーム84,85の第二延在部84b,85bが相互に離間するとともに、工作物Wからも離間するように横方向に移動する。その後、センタ部材83及び第一,第二アーム84,85が第二状態となるまで駆動装置86側に移動する。
【0094】
つまり、駆動装置86の作動によってセンタ部材83が工作物Wに対して後退し第一支持爪118が工作物Wの対向曲面Wa1から離間するとともに、第一及び第二アーム84,85が、長手方向における第二位置に位置する。これにより、第二及び第三支持爪119,120の間の距離が工作物Wの外周面Waの直径φDよりも大きくなる「第二状態」となる(
図8参照)。
【0095】
(3.調整方法について)
次に、「第一状態」にあるセンタ部材83の第一支持爪118、及び第一,第二アーム84,85の第二,第三支持爪119,120の位置(中心位置O)を、マスタとなる工作物Wmを用いて調整する手順の一例について
図10のフローチャートに基づき説明する。調整の前提として、本発明では、はじめに、マスタとなる工作物Wmを研削盤1の主軸チャック23及び心押センタ32に取り付けておく。前述したように、工作物Wmの中心軸線は、主軸チャック23及び心押センタ32の主軸軸線とほぼ一致しているものとする。
【0096】
そして、第一~第三支持爪118,119,120による支持の中心位置Oが工作物Wmの中心軸線と一致するよう、第一~第三支持爪118,119,120の位置を回転調整部70及び前後調整部90によって調整する。
【0097】
このため、まず、
図10のステップS10に示すように、ベースプレート61を所定の手段によって、ベッド10に固定する。その後、ステップS20に示すように、中間プレート66と旋回体80を一体的に固定した状態で、中間プレート66をベースプレート61に、相対移動の調整が出来るように半固定状態で固定する(固定用ボルトが少し緩む状態)。
【0098】
次に、ステップS30(第一工程)において、駆動装置86を制御装置によって作動させ、第一~第三支持爪118,119,120を上記「第一状態」とする。そして、ステップS40において、第一~第三支持爪118,119,120の中心位置Oを、工作物Wmの中心軸線に近づける。つまり、中間プレート66と旋回体80とを一体的に固定した状態のまま、ベースプレート61に対して中間プレート66を旋回体80とともに相対移動させ中心位置Oの位置の調整を行なう。具体的には、例えば作業者の手作業によって中間プレート66(旋回体80)を相対移動させ調整する。そして、調整した後に、ベースプレート61と中間プレート66とを図略のボルトやクランプ装置で固定する。
【0099】
ステップS50(第二工程)では、「第一状態」のまま、回転調整部70を作動させ、第一~第三支持爪118,119,120の中心位置Oを実際に目視しながら調整する。このとき、中間プレート66と旋回体80との固定用のボルトを緩める(半固定状態)。そして、上述したように、回転調整部70では、調整ねじ73を回転させることにより、中心位置Oの上下方向(矢印B方向)の位置を調整する(
図4,
図7参照)。
【0100】
つまり、「第一状態」において、回転調整部70が作動され、基台60(ベースプレート61、及び中間プレート66)に対して旋回体80を回転軸100(所定の回転軸)回りに所望の角度だけ回転させることにより、第一~第三支持爪118,119,120の各位置を、回転軸100回りに、回転された所望の角度に応じた大きさだけ移動させる。
【0101】
なお、このとき「第一状態」における第一~第三支持爪118,119,120の各位置の調整方向は上下方向である。また、このとき、第一~第三支持爪118,119,120は「第一状態」にあるため、第一~第三支持爪118,119,120の中心位置Oと工作物Wmの中心軸線との一致を目視で確認しながら、回転調整部70によって調整できる。このため、少なくとも上下方向の調整については、短時間で、且つ高精度に実施できる。
【0102】
その後、ステップS60において、第一~第三支持爪118,119,120の中心位置Oが工作物Wmの中心軸線と一致しているか否かを確認する。一致していれば、調整を終了する。一致していなければ、ステップS70に移動する。この場合、一致しない原因としては、前後方向における不一致が考えられる。このため、ステップS70において、前後方向の調整を行なう。
【0103】
ステップS70では、前後方向における中心位置Oを、前後調整部90によって調整する。前後調整部90は、ガイド通路形成アーム91,92の前後方向における位置を調整することによって、第二,第三支持爪119,120の前後方向における位置を調整し、中心位置Oの位置を調整する調整部である。
【0104】
また、「第一状態」の時に、駆動装置86の押圧力があり調整が難しい場合、「第二状態」とした上で、前後調整部90で前後方向における位置を調整する。具体的には、作業者が、「第二状態」においてねじ孔82aと螺合する調整ロッド96を回転させる。これにより、調整ロッド96がガイド部材空間86j内に出し入れされる。
【0105】
調整ロッド96が、ガイド部材空間86j内に進入すると、調整ロッド96がガイド部材93の第四側面93dを押動し、ガイド部材93を第二壁面106に対して接近させる。また、調整ロッド96が、ガイド部材空間86j内から出る方向に移動すると、ガイド部材93の第三側面93cが、ガイド部材空間86jの第二壁面106との間に設けられたスプリング104の付勢によって押動され、第二壁面106から離間する。
【0106】
このとき、ガイド部材空間86jの第一壁面156と当接するガイド部材93の第一側面93aは、可動方向A1と直交する平面に対して傾斜している。このため、ガイド部材93が第二壁面106に対して接近又は離間する方向へ移動すると、ガイド部材93は、第一側面93aと背向して形成される第二側面93bと側面91b、92bで当接するガイド通路形成アーム91,92が可動方向A1に移動される。
【0107】
このため、駆動装置86を作動させ、第一~第三支持爪118,119,120の状態を「第二状態」から「第一状態」に変更した場合、位置が変更されたガイド通路形成アーム91,92と当接するコマ136,137の位置も変更される。従って、コマ136,137に連結される第一,第二アーム84,85の位置も変更され、延いては第一~第三支持爪118,119,120の位置が変更される。
【0108】
その後、再度、ステップS60において駆動装置86を作動させて「第一状態」とし、第一~第三支持爪118,119,120の中心位置Oが工作物Wmの中心軸線と前後方向で一致しているか否かを確認する。一致していれば、調整を終了する。一致していなければ、中心位置Oが中心軸線と前後方向において一致するまで調整の処理(ステップS60及びステップS70)を繰り返す。これにより、中心位置Oが精度よく調整できる。また、「第一状態」の時に、駆動装置86の押圧力等を調整して、前後調整部90の調整に影響ない場合は、「第一状態」で調整を行なうことができる。
【0109】
(4.その他)
なお、上記実施形態においては、回転軸100を旋回体80に設け、中間プレート66に回転軸100を支持する軸受66eを設ける態様としたが、これには限らない。回転軸100を中間プレート66に設け軸受66eを旋回体80に設けてもよい。これによっても、同様の効果が期待出来る。
【0110】
また、上記実施形態においては、振れ止め装置50の基台60は、ベースプレート61と中間プレート66とによって構成された。しかし、この態様には限らない。ベースプレートと中間プレートとを一体の部材で形成して基台を形成しても良い。このとき、回転調整部70及び軸受66eは、基台に設ければよい。これにより、ベースプレートと中間プレートとの間における調整ができなくなるが、相応の効果は得られる。
【0111】
また、上記実施形態の態様に限らず、回転調整部70は旋回体80側に設けてもよい。この場合、回転調整部70の長孔71eに係合させる支持ピン74を中間プレート66又は中間プレート66とベースプレート61とが一体化された基台に設ければよい。これによっても回転調整部70の調整によって、旋回体80が中間プレート66又は基台に対して回転軸100回りに相対回転可能である。
【0112】
また、上記実施形態においては、旋回体80に設けた回転軸100は、中間プレート66のみによって支持される構成としたが、この態様には限らない。回転軸100は、中間プレート66及びベースプレート61の両方に支持されてもよい。
【0113】
また、上記実施形態においては、旋回体80の内部に前後調整部90を備えた。しかし、前後調整部90はなくてもよい。これによっても、相応の効果は得られる。
【0114】
(5.実施形態による効果)
上記実施形態によれば、振れ止め装置50は、第一状態において、回転調整部70が、基台60に対して旋回体80を回転軸100(所定の回転軸)回りに所望の角度だけ回転させることにより、第一~第三支持爪118,119,120の各位置を、回転軸100回りに、且つ回転された所望の角度に応じた大きさだけ移動させる。
【0115】
このように、回転調整部70により、第一~第三支持爪118,119,120が工作物Wをクランプする第一状態のまま、第一~第三支持爪118,119,120の位置が少なくとも一方向において調整できるので、従来技術に対し、短時間、且つ高精度に調整が出来る。このため低コスト化にも寄与する。また、調整部の構成部品が少なく、調整量も回転量で調整できるので、広範囲の調整が可能となり調整しやすい。
【0116】
また、上記実施形態によれば、振れ止め装置50は、駆動装置86の作動によってセンタ部材83が工作物Wに対して後退し第一支持爪118が工作物Wの対向曲面Wa1から離間するとともに、第一及び第二アーム84,85が、センタ部材83に対して第二位置P2に位置することにより、第二及び第三支持爪119,120の間の距離が工作物Wの外周面Waの直径φDよりも大きくなる状態を第二状態と定義し、第一状態における第二及び第三支持爪119,120の前後方向位置を、第二状態で調整する前後調整部90を旋回体80の内部に備える。なお、前後方向位置は、センタ部材83の進退移動の方向と同じ方向である。
【0117】
このように、振れ止め装置50は、回転調整部70だけでなく前後調整部90も備えた。このため、回転調整部70による短時間で且つ精度のよい上下方向の調整に加え、時間はかかるが、前後方向の調整ができるので、さらに精度のよい調整結果が得られる。また、前後調整部90を旋回体80の内部に備え、回転調整部70を旋回体80の外部に備えるので、それぞれの調整に影響を与えにくく調整が容易に行なえる。
【0118】
また、上記実施形態によれば、基台60は、ベースプレート61と中間プレート66とを備え、ベースプレート61と中間プレート66との間、及び中間プレート66と旋回体80との間は、それぞれ一体的に固定可能であるとともに、固定が解除された状態では、回転軸100(所定の回転軸)回りにおいて相互に相対回転が可能となるよう構成され、
回転調整部70は中間プレート66に設けられる。
【0119】
これにより、ベースプレート61と中間プレート66との間、及び中間プレート66と旋回体80との間において、それぞれ「第一状態」における第一~第三支持爪118,119,120の位置の調整ができるので、結果的に短時間で精度のよい調整結果が得られる。
【0120】
また、上記実施形態によれば、研削盤1(工作機械)は、ベッド10(台座)と、ベッド10の上に設けられ工作物Wの一端側を回転可能に支持する主軸台20と、ベッド10の上であって主軸台20に対向する位置に設けられ、工作物Wの他端側を回転可能に支持する心押台30と、上記で説明した振れ止め装置50と、を備えた。このため、低コストで高精度な振れ止め装置50を備えた低コストな研削盤1(工作機械)が得られる。
【符号の説明】
【0121】
1;研削盤(工作機械)、 10;台座(ベッド)、 20;主軸台、 30;心押台、 50;振れ止め装置、 60;基台、 61;ベースプレート、 66;中間プレート、 70;回転調整部、 80;旋回体、 81;本体部、 83;センタ部材、 84;第一アーム、 85;第二アーム、 86;駆動装置、 90;前後調整部、 100;回転軸(所定の回転軸)、 118;第一支持爪、 119;第二支持爪、 120;第三支持爪、 A1;可動方向、 P;第一支持点、 Q;第二支持点、 R;第三支持点、 W;工作物、 Wa;外周面。