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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】タイヤの回転速度補正装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 40/105 20120101AFI20220117BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20220117BHJP
   G01L 17/00 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
B60W40/105
B60C19/00 H
G01L17/00 301G
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017140376
(22)【出願日】2017-07-19
(65)【公開番号】P2019018763
(43)【公開日】2019-02-07
【審査請求日】2020-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(72)【発明者】
【氏名】前田 悠輔
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-137512(JP,A)
【文献】特開2017-219546(JP,A)
【文献】特開2008-018940(JP,A)
【文献】特開2009-227034(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0015153(US,A1)
【文献】特開2006-200477(JP,A)
【文献】特開平04-271907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 40/105
B60C 19/00
G01L 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に装着された駆動輪タイヤの回転速度を補正する回転速度補正装置であって、
前記駆動輪タイヤ及び前記車両に装着された従動輪タイヤの回転速度を順次取得する回転速度取得部と、
前記車両の走行中に、前記駆動輪タイヤ及び前記従動輪タイヤの回転速度から、前記駆動輪タイヤの回転速度と前記従動輪タイヤの回転速度との比較値を順次算出する比較値算出部と、
ホイールトルクを順次取得するトルク取得部と、
前記車両の走行中に、前記比較値と前記ホイールトルクとの最新のデータセットに基づき、前記比較値と前記ホイールトルクとの最新の線形関係を特定し、前記従動輪タイヤの回転速度及び前記最新の線形関係に基づいて、スリップの影響がキャンセルされた前記駆動輪タイヤの回転速度を算出する回転速度算出部と
を備える、回転速度補正装置。
【請求項2】
前記比較値算出部は、前記比較値として、前記車両に装着された2つの駆動輪タイヤ及び2つの従動輪タイヤのうち、一方の駆動輪タイヤの回転速度と一方の従動輪タイヤの回転速度とを比較する第1比較値を算出する、
請求項1に記載の回転速度補正装置。
【請求項3】
前記比較値算出部は、前記比較値として、前記2つの駆動輪タイヤ及び前記2つの従動輪タイヤのうち、他方の駆動輪タイヤの回転速度と他方の従動輪タイヤの回転速度とを比較する第2比較値をさらに算出する、
請求項2に記載の回転速度補正装置。
【請求項4】
前記従動輪タイヤの回転速度、及び前記回転速度算出部により算出された前記駆動輪タイヤの回転速度に基づいて、前記車両に装着されたタイヤの減圧を判定するための減圧指標値を算出し、前記減圧指標値に基づいて、前記タイヤの減圧を検出する減圧検出部
をさらに備える、
請求項1~3のいずれかに記載の回転速度補正装置。
【請求項5】
前記車両に装着された前記駆動輪タイヤ及び前記従動輪タイヤを含む4輪のタイヤを、第1タイヤ、第2タイヤ、第3タイヤ及び第4タイヤとするとき、
前記減圧指標値は、前記第1タイヤ及び前記第4タイヤの回転速度が大きい程大きくなり且つ前記第2タイヤ及び前記第3タイヤの回転速度が大きい程小さくなる、或いは、前記第2タイヤ及び前記第3タイヤの回転速度が大きい程大きくなり且つ前記第1タイヤ及び前記第4タイヤの回転速度が大きい程小さくなるように定義される指標値である、
請求項4に記載の回転速度補正装置。
【請求項6】
前記タイヤの減圧状態が検出された場合に、減圧警報を発生させる減圧警報部
をさらに備える、
請求項4又は5に記載の回転速度補正装置。
【請求項7】
前記比較値は、前記駆動輪タイヤの回転速度と前記従動輪タイヤの回転速度との比である、
請求項1~6のいずれかに記載の回転速度補正装置。
【請求項8】
車両に装着された駆動輪タイヤの回転速度を補正する回転速度補正方法であって、
前記駆動輪タイヤ及び前記車両に装着された従動輪タイヤの回転速度を順次取得するステップと、
前記車両の走行中に、前記駆動輪タイヤ及び前記従動輪タイヤの回転速度から、前記駆動輪タイヤの回転速度と前記従動輪タイヤの回転速度との比較値を順次算出するステップと、
ホイールトルクを順次取得するステップと、
前記車両の走行中に、前記比較値と前記ホイールトルクとの最新のデータセットに基づき、前記比較値と前記ホイールトルクとの最新の線形関係を特定するステップと、
前記従動輪タイヤの回転速度及び前記最新の線形関係に基づいて、スリップの影響がキャンセルされた前記駆動輪タイヤの回転速度を算出するステップと
を含む、回転速度補正方法。
【請求項9】
車両に装着された駆動輪タイヤの回転速度を補正する回転速度補正プログラムであって、
前記駆動輪タイヤ及び前記車両に装着された従動輪タイヤの回転速度を順次取得するステップと、
前記車両の走行中に、前記駆動輪タイヤ及び前記従動輪タイヤの回転速度から、前記駆動輪タイヤの回転速度と前記従動輪タイヤの回転速度との比較値を順次算出するステップと、
ホイールトルクを順次取得するステップと、
前記車両の走行中に、前記比較値と前記ホイールトルクとの最新のデータセットに基づき、前記比較値と前記ホイールトルクとの最新の線形関係を特定するステップと、
前記従動輪タイヤの回転速度及び前記最新の線形関係に基づいて、スリップの影響がキャンセルされた前記駆動輪タイヤの回転速度を算出するステップと
をコンピュータに実行させる、回転速度補正プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に装着された駆動輪タイヤの回転速度を補正する回転速度補正装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両を快適に走行させるためには、タイヤの空気圧が調整されていることが重要である。空気圧が適正値を下回ると、乗り心地や燃費が悪くなるという問題が生じ得るからである。このため、従来より、タイヤの減圧を自動的に検出するシステム(Tire Pressure Monitoring System;TPMS)が研究されている。タイヤが減圧しているという情報は、例えば、運転者への警報に用いることができる。
【0003】
タイヤの減圧を検出する方式には、タイヤに圧力センサを取り付ける等して、タイヤの空気圧を直接的に計測する方式の他、他の指標値を用いてタイヤの減圧を間接的に評価する方式がある。このような方式では動荷重半径(Dynamic Loaded Radius;DLR)方式等が知られている。DLR方式は、減圧タイヤは走行時につぶれることで動荷重半径が小さくなり、より高速に回転するようになるという現象を利用するものであり、タイヤの回転速度からタイヤの減圧を推定する(特許文献1等)。
【0004】
特許文献1は、DLR方式を用いた補正装置を開示しており、DLR方式において減圧を評価するための減圧指標値として、DEL1~DEL3と呼ばれる3つの指標値について言及している。特許文献1では、DEL1~DEL3は、以下のように定義されている。ただし、V1~V4は、それぞれ左前輪、右前輪、左後輪、右後輪タイヤの回転速度である。
DEL1=[(V1+V4)/2-(V2+V3)/2]/[(V1+V2+V3+V4)/4]×100(%)
DEL2=[(V1+V2)/2-(V3+V4)/2]/[(V1+V2+V3+V4)/4]×100(%)
DEL3=[(V1+V3)/2-(V2+V4)/2]/[(V1+V2+V3+V4)/4]×100(%)
【0005】
タイヤが減圧すると、回転速度が増加するため、DEL1~DEL3のような減圧指標値も変化する。従って、検出目標となる減圧量だけ減圧したときの減圧指標値を閾値として設定しておくことで、減圧の検出が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4809199号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記に挙げた減圧指標値を決定するタイヤの回転速度は、タイヤの減圧のみならず、タイヤのスリップの影響を受ける。スリップは、主として駆動輪タイヤに生じ、ホイールトルクが大きいほど増加する。つまり、駆動輪タイヤについては、減圧の影響を受けるだけでなく、ホイールトルクに応じて変化するスリップの影響によっても回転速度がばらつく。よって、ホイールトルクといった走行条件によっては、回転速度から算出される減圧指標値に基づく減圧の検出精度が低下することがある。そのため、駆動輪タイヤの回転速度からスリップの影響をキャンセルすることが望まれる。なお、駆動輪タイヤの回転速度からスリップの影響をキャンセルすることは、減圧指標値に基づいてタイヤの減圧を検出する場面だけではなく、ブレーキの制御を行う場面等、駆動輪タイヤの回転速度に基づく各種制御が行われる場面においても望まれ得る。
【0008】
ところで、以上の知見に鑑みて、本出願人は、先の出願(特願2016-112916)において、減圧指標値とホイールトルクとの線形関係を特定し、この線形関係に基づいてタイヤのスリップが生じない又は殆ど生じない程度のホイールトルク(理想的には、0N・m)に相当する減圧指標値を算出し、このような減圧指標値に基づいて減圧検出を行う技術を提案した。すなわち、先の出願に係る技術によれば、減圧指標値からスリップの影響をキャンセルすることができるため、スリップの影響を受けずにタイヤの減圧を判定することが可能になる。
【0009】
しかしながら、タイヤが減圧しておらず、且つ車両の荷重バランスが左右で均一である場合、上記のDEL1では、駆動輪タイヤのスリップの影響が相殺され、ホイールトルクとDEL1との線形関係を特定することができない場合がある。図6は、実験により取得されたDEL1とホイールトルクとの関係をプロットしたグラフである。このような場合には、ホイールトルクとDEL1との線形関係を特定することが困難となり得るため、DEL1からスリップの影響をキャンセルすることが困難となり得る。
【0010】
本発明は、駆動輪タイヤの回転速度からホイールトルクに応じて変化するタイヤのスリップの影響をキャンセルすることができる回転速度補正装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1観点に係る回転速度補正装置は、車両に装着された駆動輪タイヤの回転速度を補正する回転速度補正装置であって、回転速度取得部と、比較値算出部と、トルク取得部と、回転速度算出部とを備える。前記回転速度取得部は、前記駆動輪タイヤ及び前記車両に装着された従動輪タイヤの回転速度を取得する。前記比較値算出部は、前記駆動輪タイヤ及び前記従動輪タイヤの回転速度から、前記駆動輪タイヤの回転速度と前記従動輪タイヤの回転速度との比較値を算出する。前記トルク取得部は、ホイールトルクを取得する。前記回転速度算出部は、前記比較値と前記ホイールトルクとの線形関係を特定し、前記従動輪タイヤの回転速度及び前記線形関係に基づいて、スリップの影響がキャンセルされた前記駆動輪タイヤの回転速度を算出する。
【0012】
本発明の第2観点に係る回転速度補正装置は、第1観点に係る回転速度補正装置であって、前記比較値算出部は、前記比較値として、前記車両に装着された2つの駆動輪タイヤ及び2つの従動輪タイヤのうち、一方の駆動輪タイヤの回転速度と一方の従動輪タイヤの回転速度とを比較する第1比較値を算出する。
【0013】
本発明の第3観点に係る回転速度補正装置は、第2観点に係る回転速度補正装置であって、前記比較値算出部は、前記比較値として、前記2つの駆動輪タイヤ及び前記2つの従動輪タイヤのうち、他方の駆動輪タイヤの回転速度と他方の従動輪タイヤの回転速度とを比較する第2比較値をさらに算出する。
【0014】
本発明の第4観点に係る回転速度補正装置は、第1観点から第3観点のいずれかに係る回転速度補正装置であって、減圧検出部をさらに備える。前記減圧検出部は、前記従動輪タイヤの回転速度、及び前記回転速度算出部により算出された前記駆動輪タイヤの回転速度に基づいて、前記車両に装着されたタイヤの減圧を判定するための減圧指標値を算出し、前記減圧指標値に基づいて、前記タイヤの減圧を検出する。
【0015】
本発明の第5観点に係る回転速度補正装置は、第4観点に係る回転速度補正装置であって、前記車両に装着された前記駆動輪タイヤ及び前記従動輪タイヤを含む4輪のタイヤを、第1タイヤ、第2タイヤ、第3タイヤ及び第4タイヤとするとき、前記減圧指標値は、前記第1タイヤ及び前記第4タイヤの回転速度が大きい程大きくなり且つ前記第2タイヤ及び前記第3タイヤの回転速度が大きい程小さくなる、或いは、前記第2タイヤ及び前記第3タイヤの回転速度が大きい程大きくなり且つ前記第1タイヤ及び前記第4タイヤの回転速度が大きい程小さくなるように定義される指標値である。
【0016】
本発明の第6観点に係る回転速度補正装置は、第4観点又は第5観点に係る回転速度補正装置であって、減圧警報部をさらに備える。前記減圧警報部は、前記タイヤの減圧状態が検出された場合に、減圧警報を発生させる。
【0017】
本発明の第7観点に係る回転速度補正装置は、第1観点から第6観点のいずれかに係る回転速度補正装置であって、前記比較値は、前記駆動輪タイヤの回転速度と前記従動輪タイヤの回転速度との比である。
【0018】
本発明の第8観点に係る回転速度補正方法は、車両に装着された駆動輪タイヤの回転速度を補正する回転速度補正方法であって、以下のステップを含む。
・前記駆動輪タイヤ及び前記車両に装着された従動輪タイヤの回転速度を取得するステップ
・前記駆動輪タイヤ及び前記従動輪タイヤの回転速度から、前記駆動輪タイヤの回転速度と前記従動輪タイヤの回転速度との比較値を算出するステップ
・ホイールトルクを取得するステップ
・前記比較値と前記ホイールトルクとの線形関係を特定するステップ
・前記従動輪タイヤの回転速度及び前記線形関係に基づいて、スリップの影響がキャンセルされた前記駆動輪タイヤの回転速度を算出するステップ
【0019】
本発明の第9観点に係る回転速度補正プログラムは、車両に装着された駆動輪タイヤの回転速度を補正する回転速度補正プログラムであって、コンピュータに以下のステップを実行させる。
・前記駆動輪タイヤ及び前記車両に装着された従動輪タイヤの回転速度を取得するステップ
・前記駆動輪タイヤ及び前記従動輪タイヤの回転速度から、前記駆動輪タイヤの回転速度と前記従動輪タイヤの回転速度との比較値を算出するステップ
・ホイールトルクを取得するステップ
・前記比較値と前記ホイールトルクとの線形関係を特定するステップ
・前記従動輪タイヤの回転速度及び前記線形関係に基づいて、スリップの影響がキャンセルされた前記駆動輪タイヤの回転速度を算出するステップ
【発明の効果】
【0020】
ホイールトルクが大きいほど駆動輪タイヤのスリップは増加し、スリップの増加に伴って駆動輪タイヤの回転速度と従動輪タイヤの回転速度との比較値が変化する。そのため、このような比較値とホイールトルクとの間には線形関係が存在し得る。そこで、本発明の第1観点によれば、かかる線形関係が特定される。そして、かかる線形関係と従動輪の回転速度とに基づいて、スリップの影響がキャンセルされた駆動輪タイヤの回転速度が算出される。以上より、駆動輪タイヤの回転速度からホイールトルクに応じて変化するタイヤのスリップの影響をキャンセルすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る回転速度補正装置が車両に搭載された様子を示す模式図。
図2】回転速度補正装置の電気的構成を示すブロック図。
図3】回転速度補正処理を含む、減圧検出処理の流れを示すフローチャート。
図4】本発明者が行った実験による、ホイールトルクWTと比較値H1のデータをプロットしたグラフ。
図5】本発明者が行った実験による、ホイールトルクWTと比較値H2のデータをプロットしたグラフ。
図6】本発明者が行った実験による、ホイールトルクWTと減圧指標値DEL1のデータをプロットしたグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るタイヤの回転速度補正装置、方法及びプログラムについて説明する。
【0023】
<1.回転速度補正装置の構成>
図1は、本実施形態に係る回転速度補正装置(以下、単に補正装置ということがある)2が車両1に搭載された様子を示す模式図である。車両1は、4輪車両であり、左前輪タイヤFL、右前輪タイヤFR、左後輪タイヤRL及び右後輪タイヤRRを備えている。車両1は、前輪駆動車であり、タイヤFL,FRが駆動輪タイヤであり、タイヤRL,RRが従動輪タイヤである。補正装置2は、これらのタイヤFL,FR,RL,RRのうち、駆動輪タイヤFL,FRの回転速度をスリップの影響がキャンセルされるように補正する機能、及びタイヤFL,FR,RL,RRの減圧を検出する機能を備えている。補正装置2は、従動輪タイヤRL,RRの回転速度及び補正された駆動輪タイヤFL,FRの回転速度に基づいて、タイヤFL,FR,RL,RRの減圧を検出する。また、補正装置2は、タイヤFL,FR,RL,RRの減圧が検出されると、車両1に搭載されている警報表示器3を介してその旨の警報を行う。
【0024】
本実施形態では、一方の駆動輪である左前輪に、ホイールトルクセンサ(以下、WTセンサ)7が取り付けられている。WTセンサ7は、車両1のホイールトルクWTを検出する。WTセンサ7は、補正装置2に通信線5aを介して接続されており、WTセンサ7で検出されたホイールトルクWTの情報は、リアルタイムに補正装置2に送信される。
【0025】
WTセンサ7としては、車両1の駆動輪のホイールトルクを検出できる限り、その構造も取り付け位置も特に限定されない。ホイールトルクセンサとしては、様々な種類のものが市販されており、その構成については周知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、WTセンサ7によらず、ホイールトルクを検出することも可能であり、例えば、エンジンの制御装置から得られるエンジントルクからホイールトルクを推定することもできる。
【0026】
本実施形態では、タイヤFL,FR,RL,RRの減圧状態は、車輪速(回転速度)に基づいて検出される。タイヤFL,FR,RL,RR(より正確には、タイヤFL,FR,RL,RRが装着されている車輪)には、各々、車輪速センサ6が取り付けられており、車輪速センサ6は、自身の取り付けられたタイヤの車輪速情報を検出する。車輪速センサ6は、補正装置2に通信線5aを介して接続されており、各車輪速センサ6で検出された車輪速情報は、リアルタイムに補正装置2に送信される。
【0027】
車輪速センサ6としては、走行中のタイヤFL,FR,RL,RRの車輪速を検出できるものであれば、どのようなものでも用いることができる。例えば、電磁ピックアップの出力信号から車輪速を測定するタイプのセンサを用いることもできるし、ダイナモのように回転を利用して発電を行い、このときの電圧から車輪速を測定するタイプのセンサを用いることもできる。車輪速センサ6の取り付け位置も、特に限定されず、車輪速の検出が可能である限り、センサの種類に応じて、適宜、選択することができる。
【0028】
図2は、補正装置2の電気的構成を示すブロック図である。図2に示されるとおり、補正装置2は、車両1に搭載されている制御ユニットであり、I/Oインターフェース11、CPU12、ROM13、RAM14、及び不揮発性で書き換え可能な記憶装置15を備えている。I/Oインターフェース11は、車輪速センサ6、警報表示器3等の外部装置との通信を行うための通信装置である。ROM13には、車両1の各部の動作を制御するためのプログラム8が格納されている。プログラム8は、CD-ROM等の記憶媒体9からROM13へと書き込まれる。CPU12は、ROM13からプログラム8を読み出して実行することにより、仮想的に回転速度取得部21、トルク取得部22、比較値算出部23、回転速度算出部24、減圧検出部25及び減圧警報部26として動作する。各部21~26の動作の詳細は、後述する。記憶装置15は、ハードディスクやフラッシュメモリ等で構成される。なお、プログラム8の格納場所は、ROM13ではなく、記憶装置15であってもよい。RAM14及び記憶装置15は、CPU12の演算に適宜使用される。
【0029】
警報表示器3は、減圧が起きている旨をユーザに伝えることができる限り、例えば、液晶表示素子や液晶モニター等、任意の態様で実現することができる。例えば、警報表示器3は、四輪タイヤFL,FR,RL,RRにそれぞれに対応する4つのランプを、タイヤの実際の配列に併せて配置したものとすることができる。警報表示器3の取り付け位置も、適宜選択することができるが、例えば、インストルメントパネル上等、ドライバーに分かりやすい位置に設けることが好ましい。制御ユニット(補正装置2)がカーナビゲーションシステムに接続される場合には、カーナビゲーション用のモニターを警報表示器3として使用することも可能である。警報表示器3としてモニターが使用される場合、警報はモニター上に表示されるアイコンや文字情報とすることができる。
【0030】
<2.減圧検出処理>
以下、図3を参照しつつ、駆動輪タイヤFL,FRの回転速度を補正する回転速度補正処理を含む、タイヤFL,FR,RL,RRの減圧を検出するための減圧検出処理について説明する。図3に示す処理は、動荷重半径(DLR)方式に従うものであり、車両1の電気系統に電源が投入された時等に実行される。本実施形態に係る減圧検出処理では、四輪のタイヤFL,FR,RL,RRのうちのどのタイヤが減圧しているかが特定される。より具体的には、以下の14個のパターンで、減圧タイヤを検出することができる。
(1)FLのみ減圧
(2)FRのみ減圧
(3)RLのみ減圧
(4)RRのみ減圧
(5)FL,FRのみ減圧
(6)FL,RLのみ減圧
(7)FL,RRのみ減圧
(8)FR,RLのみ減圧
(9)FR,RRのみ減圧
(10)RL,RRのみ減圧
(11)FL,FR,RLのみ減圧
(12)FL,FR,RRのみ減圧
(13)FL,RL,RRのみ減圧
(14)FR,RL,RRのみ減圧
【0031】
まず、ステップS1では、回転速度取得部21が、回転速度(車輪速)V1~V4を取得する。ここで、V1~V4は、それぞれタイヤFL,FR,RL,RRの回転速度である。回転速度取得部21は、所定のサンプリング周期ΔTで検出される車輪速センサ6か
らの出力信号を受信し、これを回転速度V1~V4に換算する。
【0032】
続くステップS2では、トルク取得部22が、車両1のホイールトルクWTを取得する。トルク取得部22は、WTセンサ7からの出力信号を受信し、これをホイールトルクWTに換算する。なお、このとき受信されるWTセンサ7の出力信号は、直近のステップS1で受信された車輪速センサ6の出力信号と同時刻又は概ね同時刻のデータである。
【0033】
次に、ステップS3では、比較値算出部23が、タイヤFL,FR,RL,RRの回転速度V1~V4から、駆動輪タイヤの回転速度と従動輪タイヤの回転速度との比較値H1,H2を算出する。比較値H1,H2とは、駆動輪タイヤの回転速度が大きいほど小さくなり且つ従動輪タイヤの回転速度が大きいほど大きくなる値として定義される。ただし、別の実施形態では、比較値H1,H2は、駆動輪タイヤの回転速度が大きいほど大きくなり且つ従動輪タイヤの回転速度が大きいほど小さくなる値として定義することもできる。
【0034】
比較値H1,H2は上記特徴を有する限り、様々な方法で定義することができるが、本実施形態では、H1,H2は、以下の式に従って、駆動輪タイヤの回転速度と従動輪タイヤの回転速度との比として算出される。
H1=V3/V1
H2=V4/V2
【0035】
他の実施形態では、以下のように定義することもできる。
H1=V32/V12
H2=V42/V22
【0036】
あるいは、H1及びH2は、次のように定義することもできる。
H1=V4/V1
H2=V3/V2
【0037】
以上のように定義される比較値H1は、2つの駆動輪タイヤFL,FR及び2つの従動輪タイヤRL,RRのうち、一方の駆動輪タイヤの回転速度と一方の従動輪タイヤの回転速度とを比較する比較値である。また、以上のように定義される比較値H2は、2つの駆動輪タイヤFL,FR及び2つの従動輪タイヤRL,RRのうち、他方の駆動輪タイヤの回転速度と他方の従動輪タイヤの回転速度とを比較する比較値である。
【0038】
続くステップS4では、回転速度算出部24が、ホイールトルクWTと比較値H1,H2との線形関係をそれぞれ特定する。さらに、その後のステップS5では、ステップS4で特定された線形関係に基づいて、タイヤのスリップの影響がキャンセルされた駆動輪タイヤFL,FRの回転速度V1′,V2′が得られる。スリップの影響をキャンセルするためのステップS4,S5の原理について、図4及び図5を用いて説明する。図4及び図5は、本発明者らが行った実験の結果を示している。
【0039】
まず、ホイールトルクWTが一定値以下の場合には、タイヤにはスリップが生じない又はほとんど生じないと考えられる。しかし、ホイールトルクWTが大きくなるにつれ、駆動輪タイヤのスリップが増加する。スリップが増加すると、車輪速センサ6によって検出される駆動輪タイヤの回転速度が減少し、駆動輪タイヤの回転速度と従動輪タイヤの回転速度との差が大きくなる。従って、ホイールトルクWTと、駆動輪タイヤの回転速度と従動輪タイヤの回転速度との比較値H1,H2との間には、線形関係が成立する。図4及び図5は、このことを裏付ける実験データである。図4及び図5は、ともにタイヤFL,FR,RL,RRが標準内圧である条件下で計測されたホイールトルクWTと比較値H1,H2との関係をそれぞれプロットしたグラフである。ここでは、H1=V3/V1、H2=V4/V2である。
【0040】
図4及び図5が示す通り、ホイールトルクWTと比較値H1,H2との関係は、それぞれ以下のような回帰直線L1,L2で表すことができる。
L1:H1=a1×WT+b1
L2:H2=a2×WT+b2
【0041】
ホイールトルクWTが0(N・m)の時の比較値H1、すなわち回帰直線L1の切片b1は、ホイールトルクWTに応じて変化するスリップの影響を受けない比較値H1である。同様に、ホイールトルクWTが0(N・m)の時の比較値H2、すなわち回帰直線L2の切片b2は、ホイールトルクWTに応じて変化するスリップの影響を受けない比較値H2である。従って、スリップの影響がキャンセルされた駆動輪タイヤFL,FRの回転速度V1′,V2′は、従動輪タイヤRL,RRの回転速度V3,V4を用いて、以下の式で表される。
V1′=V3/b1 ・・・式1
V2′=V4/b2 ・・・式2
【0042】
ここで、ホイールトルクWTが0(N・m)である場合に限らず、タイヤのスリップが生じない又は殆ど生じない程度に小さなホイールトルクWTの値を基準ホイールトルクWTRと定義する。このとき、上述の線形関係及び基準ホイールトルクWTRを用いれば、スリップの影響を受けない又は殆ど受けない回転速度V1′,V2′を、以下の式のとおりに求めることもできる。
V1′=V3/(a1×WTR+b1) ・・・式3
V2′=V4/(a2×WTR+b2) ・・・式4
【0043】
以上の原理に基づいて、ステップS4では、回転速度算出部24が、ステップS1~S3で得られたホイールトルクWT及び比較値H1,H2に基づいて、ホイールトルクWTと比較値H1,H2との線形関係を表す回帰直線L1,L2を特定する。より具体的には、係数a1,a2,b1,b2が算出される。なお、回帰直線を特定するには(WT,H1)及び(WT,H2)のデータセットが各々、少なくとも2つずつ必要となる。従って、本実施形態では、ステップS1~S3は、データセットが所定の量蓄積されるまで繰り返し実行される。そして、ひとたびデータセットが所定の量を超えた後は、新しいデータセットが1点得られるたびに、最新の所定量のデータセットを用いて線形関係が特定される。なお、回帰直線L1、L2の特定方法は特に限定されず、例えば、最小二乗法を用いることができ、演算の効率化のために、逐次最小二乗法を用いることもできる。
【0044】
続くステップS5では、回転速度算出部24は、式1又は式3に従って、係数a1,b1及び従動輪タイヤRLの回転速度V3に基づいて、スリップの影響がキャンセルされた駆動輪タイヤFLの回転速度V1′を算出する。同様に、回転速度算出部24は、式2又は式4に従って、係数a2,b2及び従動輪タイヤRRの回転速度V4に基づいて、スリップの影響がキャンセルされた駆動輪タイヤFRの回転速度V2′を算出する。なお、比較値がH1=V4/V1及びH2=V3/V2と定義されていた場合には、式1~4に含まれるV3,V4が入れ替わるため、V1′は、V3ではなくV4に基づいて算出され、V2′は、V4ではなくV3に基づいて算出される。
【0045】
続くステップS6では、減圧検出部25が、駆動輪タイヤFL,FRの補正後の回転速度V1′,V2′及び従動輪の回転速度V3,V4に基づいて、タイヤの減圧状態を判定するための減圧指標値DEL1~DEL3を算出する。DEL1,DEL2,DEL3は、それぞれ、以下に示す特徴を有する指標値である。
DEL1:回転速度V1′,V4が大きい程大きくなり且つ回転速度V2′,V3が大きい程小さくなる、或いは、回転速度V2′,V3が大きい程大きくなり且つ回転速度V1′,V4が大きい程小さくなる指標値
DEL2:回転速度V1′,V2′が大きい程大きくなり且つ回転速度V3,V4が大きい程小さくなる、或いは、回転速度V3,V4が大きい程大きくなり且つ回転速度V1′,V2′が大きい程小さくなる指標値
DEL3:回転速度V1′,V3が大きい程大きくなり且つ回転速度V2′,V4が大きい程小さくなる、或いは、回転速度V2′,V4が大きい程大きくなり且つ回転速度V1′,V3が大きい程小さくなる指標値
【0046】
なお、タイヤの減圧が進むと、動荷重半径が小さくなるため、回転速度が増加し、減圧指標値DEL1~DEL3の値が変化する。本実施形態に係る減圧検出処理では、後述するステップS7において、減圧指標値DEL1~DEL3の基準値からの変化を検出することで、タイヤの減圧状態が検出される。また、ここでは、回転速度V1′,V2′を用いることにより、タイヤのスリップの影響がキャンセルされた減圧指標値DEL1~DEL3が得られるため、タイヤの減圧検出の精度が向上する。
【0047】
DEL1~DEL3は、上記特徴を有する限り、様々な方法で定義することができるが、本実施形態では、DEL1~DEL3は、以下の式に従って算出される。
DEL1=[(V1′+V4)/(V2′+V3)-1]*100(%)
DEL2=[(V1′+V2′)/(V3+V4)-1]*100(%)
DEL3=[(V1′+V3)/(V2′+V4)-1]*100(%)
【0048】
他の実施形態では、例えば、背景技術の欄で述べたとおり、以下のように定義することもできる。
DEL1=[[(V1′+V4)/2-(V2′+V3)/2]/{(V1′+V2′+V3+V4)/4}]*100(%)
DEL2=[[(V1′+V2′)/2-(V3+V4)/2]/{(V1′+V2′+V3+V4)/4}]*100(%)
DEL3=[[(V1′+V3)/2-(V2′+V4)/2]/{(V1′+V2′+V3+V4)/4}]*100(%)
【0049】
あるいは、DEL1,DEL2,DEL3は、以下のように定義することもできる。
DEL1=(V1′2+V42)-(V2′2+V32)
DEL2=(V1′2+V2′2)-(V32+V42)
DEL3=(V12+V32)-(V2′2+V42)
【0050】
以上のとおり、DEL1は、4輪のうち、一方の対角線上に存在する二輪の回転速度が大きい程大きくなり、且つ、他方の対角線上に存在する二輪の回転速度が大きい程小さくなる指標値である。また、DEL3は、4輪のうち、左側又は右側の二輪の回転速度が大きい程大きくなり、且つ、残りの二輪の回転速度が大きい程小さくなる指標値である。一方、DEL2は、4輪のうち、前輪又は後輪の二輪の回転速度が大きい程大きくなり、且つ、残りの二輪の回転速度が大きい程小さくなる指標値である。
【0051】
ステップS5,S6における回転速度V1,V2の補正及びDEL1~DEL3の算出が終了すると、減圧検出部25は、減圧状態の判定を行う(ステップS7)。具体的には、減圧検出部25は、まず、ステップS6で算出されたDEL1~DEL3を用いて、上述した14個の減圧タイヤのパターンのうち、一輪減圧(1)~(4)、二輪減圧(5)~(10)及び三輪減圧(11)~(14)の検出を行う。より具体的には、DEL1~DEL3のそれぞれが閾値以上増加したか、閾値以上減少したか、或いは変化量が閾値以下であるかを判定し、これらの結果の組み合わせに応じて、いずれのパターンでタイヤが減圧しているかを判定する。DEL1~DEL3の変化のパターンと、減圧タイヤのパターンとの関係は、例えば、表1の通りである。なお、ここで用いられる上限閾値及び下限閾値は、車両1を用いた実験、或いはシミュレーションにより、DEL1~DEL3のそれぞれに対し定められ、記憶装置15内にあらかじめ格納されているものとする。
【表1】
【0052】
減圧検出部25は、(1)~(14)のいずれかのパターンでの減圧が検出されたか否かを判定し、いずれのパターンでの減圧も検出されなかった場合には、ステップS1に戻る。一方、いずれかのパターンで減圧が検出された場合には、ステップS8に進む。
【0053】
ステップS8では、減圧警報部26が、警報表示器3を介して減圧警報を出力する。このとき、警報表示器3は、どのタイヤが減圧しているかを区別して警報することもできるし、いずれかのタイヤが減圧していることのみを示すように警報することもできる。また、減圧警報は、音声出力の態様で実行することもできる。
【0054】
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
【0055】
<3-1>
上記実施形態では、ステップS1~S5で算出された回転速度V1′及びV2′は、タイヤの減圧検出に利用された。しかしながら、ステップS1~S5の処理は、タイヤの減圧検出に限らず、例えば車両のブレーキの制御等、駆動輪タイヤの回転速度に基づいて行われる各種制御において利用され得る。
【0056】
<3-2>
上記実施形態では、ステップS3でH1及びH2を算出したが、車両の特性や必要に応じてH1のみ、或いはH2のみを算出することとしてもよい。この場合は駆動輪タイヤFL又はFRのいずれかの回転速度が補正される。
【0057】
<3-3>
本発明に係る駆動輪タイヤの回転速度を補正する機能は、後輪駆動車にも適用することができる。その場合には、上記実施形態と同様の処理により、駆動輪タイヤである後輪タイヤRL,RRの回転速度V3,V4を補正することができる。さらに、四輪車両に限られず、三輪車両または六輪車両などにも適用することができる。
【0058】
<3-4>
比較値H1,H2は、以下のように定義することもできる。
H1=V1/V3
H2=V2/V4
この場合、下式に従って、補正後の回転速度V1′,V2′を算出することができる。
V1′=(a1×WTR+b1)×V3
V2′=(a2×WTR+b2)×V4
【0059】
或いは、比較値H1,H2は、以下のように定義することもできる。
H1=V1/V4
H2=V2/V3
この場合、下式に従って、補正後の回転速度V1′,V2′を算出することができる。
V1′=(a1×WTR+b1)×V4
V2′=(a2×WTR+b2)×V3
【0060】
或いは、比較値H1,H2は、上記実施形態でも言及したが、以下のように定義することもできる。
H1=V4/V1
H2=V3/V2
この場合、下式に従って、補正後の回転速度V1′,V2′を算出することができる。
V1′=V4/(a1×WTR+b1)
V2′=V3/(a2×WTR+b2)
【符号の説明】
【0061】
1 車両
2 補正装置(コンピュータ)
3 警報表示器
5a 通信線
6 車輪速センサ
7 ホイールトルクセンサ
8 プログラム
11 I/Oインターフェース
12 CPU
13 ROM
14 RAM
15 記憶装置
21 回転速度取得部
22 トルク取得部
23 比較値算出部
24 回転速度算出部
25 減圧検出部
26 減圧警報部
H1 第1比較値
H2 第2比較値
FL 左前輪タイヤ
FR 右前輪タイヤ
RL 左後輪タイヤ
RR 右後輪タイヤ
V1 左前輪タイヤの回転速度
V2 右前輪タイヤの回転速度
V3 左後輪タイヤの回転速度
V4 右後輪タイヤの回転速度
図1
図2
図3
図4
図5
図6