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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】ファイル
(51)【国際特許分類】
   B42F 7/00 20060101AFI20220117BHJP
   B42F 13/14 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
B42F7/00 A
B42F13/14 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017157888
(22)【出願日】2017-08-18
(65)【公開番号】P2019034493
(43)【公開日】2019-03-07
【審査請求日】2020-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】扶川 祥平
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2007/132522(JP,A1)
【文献】特開2004-082665(JP,A)
【文献】特開2002-067564(JP,A)
【文献】登録実用新案第3020913(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0243878(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 7/00
B42F 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表表紙、裏表紙並びにこれら表表紙及び裏表紙と接合する背表紙を有する表紙体に、紙葉類を綴じ止めるための綴じ具が取り付けられたファイルであって、
前記背表紙と前記裏表紙または前記表表紙との境界部位及び前記背表紙に、前記綴じ具の所定部位を収容するための収容部となる、前記表紙体を貫通する貫通孔または前記表紙体を貫通しない凹部が形成されたファイル。
【請求項2】
前記綴じ具が、ベース部と、ベース部に対向する押さえ部と、ベース部と押さえ部との間で両者が対向する方向に伸長する綴じ桿とを備えており、
そのベース部が前記裏表紙または前記表表紙に取り付けられる請求項1記載のファイル。
【請求項3】
前記ベース部が前記裏表紙または前記表表紙の外表面に接合する請求項2記載のファイル。
【請求項4】
前記表紙体に、前記綴じ具とは別に、紙葉類を収納するためのポケットが取り付けられている請求項1、2または3記載のファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表紙体に紙葉類を綴じ止めるための綴じ具を取り付けてなるファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
複数枚の紙葉類を綴じておくことのできるファイルの一種として、下記特許文献に開示されているような、クリアポケット(5)と綴じ具(ファスナー7)とを両備する態様のクリアファイルが公知である。このファイルは、クリアポケットを包有するファイルの裏表紙(2)の内向面に、綴じ具を追加的に装着したものである。
【0003】
上述のように、クリアファイルに綴じ具を追加する場合、当該綴じ具を使用して綴じた紙葉類の外側縁部が表表紙(1)及び裏表紙からはみ出さないよう、表紙幅即ち表表紙及び裏表紙の左右幅寸法を拡大する必要があり、ファイル全体の外寸が肥大化するきらいがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3020913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ファイルの裏表紙に綴じ具を取り付けることに伴う表紙幅の肥大化を抑制することを所期の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、表表紙、裏表紙並びにこれら表表紙及び裏表紙と接合する背表紙を有する表紙体に、紙葉類を綴じ止めるための綴じ具が取り付けられたファイルであって、前記背表紙と前記裏表紙または前記表表紙との境界部位及び前記背表紙に、前記綴じ具の所定部位を収容するための収容部となる、前記表紙体を貫通する貫通孔または前記表紙体を貫通しない凹部が形成されたファイルを構成した。このようなものであれば、綴じ具の位置をできる限り背表紙に寄せることが可能となる。
【0007】
前記収容部は、例えば、前記表紙体を貫通し前記綴じ具の所定部位を通過させる貫通孔である。
【0008】
前記綴じ具が、ベース部と、ベース部に対向する押さえ部と、ベース部と押さえ部との間で両者が対向する方向に伸長する綴じ桿とを備えている場合、そのベース部が、前記裏表紙または前記表表紙の外表面に接合することがある。
【0009】
本発明に係るファイルの表紙体に、前記綴じ具とは別に、紙葉類を収納するためのポケットを取り付けることも好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、背表紙に綴じ具を取り付けたファイルの表紙幅の肥大化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態のファイルを開いた状態を示す斜視図。
図2】同実施形態のファイルを閉じた状態を示す斜視図。
図3】同実施形態のファイルを開いた状態を示す平面図。
図4】同実施形態のファイルの表紙体の平面図。
図5】同実施形態のファイルの表紙体のA-A線断面図。
図6】同実施形態のファイルを閉じた状態を示す断面図。
図7】同実施形態のファイルを開いた状態を示す断面図。
図8】同実施形態のファイル及び綴じ具を開いた状態を示す断面図。
図9】本発明の変形例のファイルの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1ないし図3図6ないし図8に示すように、本実施形態のファイルは、表表紙11、背表紙12及び裏表紙13を有する表紙体1に、書類その他の紙葉類を収納することのできる複数のポケット3、並びに紙葉類を綴じ止めることのできる綴じ具2を取り付けてなるものである。
【0013】
図4に示すように、表紙体1は、例えば樹脂製の一体成形品であり、全体として略方形状をなす板状体である。表表紙11と背表紙12との間、背表紙12と裏表紙13との間には、それぞれヒンジ14を設けている。ヒンジ14は、表紙高さ方向、即ちファイルを立てたときの表表紙11、背表紙12及び裏表紙13の上下方向に沿って延伸する凹溝である。表紙体1における、ヒンジ14が存在する部分の厚みは、それ以外の部分(表表紙11、背表紙12及び裏表紙13)の厚みよりも薄肉となる。このヒンジ14により、表表紙11及び裏表紙13はそれぞれ、背表紙12に対して、表紙高さ方向に沿って伸びる軸回りに回動することが可能となる。表表紙11と背表紙12との間に介在するヒンジ14と、背表紙12と裏表紙13との間に介在するヒンジ14とは、互いに略平行である。
【0014】
表紙体1における、背表紙12と裏表紙13との間に介在するヒンジ14に跨る箇所、または当該ヒンジ14に隣接する箇所には、綴じ具2を通過させるための貫通孔15を形成している。貫通孔15は、表紙体1の表紙高さ方向の中間部にあって、裏表紙13側のヒンジ14に対して略平行に伸びる、手指を挿入し得ない程度の(幅が4mmないし5mmの)幅狭なスリット状をなす。本実施形態では、このスリット15の大部分が背表紙12における裏表紙13に隣接する部位に所在し、極僅かながらヒンジ14を越えて裏表紙13まで拡張している。
【0015】
加えて、表紙体1の裏表紙13の内側縁部には、綴じ具2のベース部21から突出する筒状部251を挿通するための挿通孔16を穿ってある。後述するように、筒状部251は、綴じ具2の押さえ部23から突出する軸部252とともに、紙葉類を綴じ止めるための綴じ桿25を構成する。
【0016】
背表紙12と裏表紙13との間に介在するヒンジ14の溝の形状及び深さは全体的に略均一であり、表紙体1における当該ヒンジ14が存在する部位の厚みは同ヒンジ14の溝の全長に亘って略均等である。
【0017】
これに対し、表表紙11と背表紙12との間に介在するヒンジ14の溝の形状は全体的に略均一ではなく、表紙体1における当該ヒンジ14が存在する部位の厚みは同ヒンジ14の溝の全長に亘って略均等ではない。本実施形態では、表表紙11と背表紙12との間に介在するヒンジ14の一部に、表紙体1の厚みをより薄くする薄肉部141を設けている。言うまでもなく、表紙体1の厚みをより薄くすることは、表紙体1(のヒンジ14)の曲げ剛性をより低下させることを意味する。なお、同ヒンジ14における薄肉部141以外の部分の溝の形状及び深さは、背表紙12と裏表紙13との間に介在するヒンジ14の溝の形状及び深さに略等しい。
【0018】
薄肉部141は、例えば、図5(a)に示すように、表紙体1の表裏即ち外表面側及び内向面側の双方に凹溝を形成することにより実現する。ヒンジ14の薄肉部141以外の部分の凹溝は、表紙体1の内向面側にのみ、または外表面側にのみ形成する。あるいは、図5(b)に示すように、ヒンジ14の薄肉部141の溝の深さを、薄肉部141以外の部分の溝の深さよりも深くしても構わない。
【0019】
本実施形態では、ちょうど上記の貫通孔15に相対するように、表表紙11側のヒンジ14の表紙高さ方向の中間部を薄肉部141としている。貫通孔15の一端(表紙高さ方向に沿った上端)と薄肉部141の一端(上端)とを結ぶ線分は、ヒンジ14の延伸方向である表紙高さ方向に対して略直交する。同様に、貫通孔15の他端(表紙高さ方向に沿った下端)と薄肉部141の他端(下端)とを結ぶ線分もまた、表紙高さ方向に対して略直交する。そして、薄肉部141の表紙高さ方向に沿った寸法は、貫通孔15の表紙高さ方向に沿った寸法に略合致している。
【0020】
ポケット3は、例えば透明または透光性を有した薄い樹脂フィルムを袋状に成形した、いわゆるクリアポケットであり、その内に一枚または複数枚の紙葉類を挿入することができる。各ポケット3の内側端は、背表紙12における表表紙11寄りの領域に、溶着等により固着している。
【0021】
綴じ具2は、例えば樹脂製の一体成形品であり、ベース部21と、ベース部21に対向する押さえ部23と、ベース部21の内側端と押さえ部23の内側端とを連結する背部22と、ベース部21と押さえ部23との間で両者が対向する方向に伸長する綴じ桿25とを備えている。
【0022】
ベース部21は、表紙高さ方向に拡張し、かつ表紙幅方向即ち裏表紙13の左右方向にも展伸した薄板状をなす。このベース部21は、表紙体1の裏表紙13の外表面(表表紙11と向かい合う内向面とは反対側の面)に接合する部位である。つまり、図2図6ないし図8に示しているように、本実施形態のファイルにあっては、綴じ具2のベース部21が表紙体1の外側に表出する。ベース部21は、裏表紙13に対して、接着または溶着等により固着する。ベース部21における、裏表紙13に接合する側の面からは、綴じ桿25の要素となる筒状部251が突出している。筒状部251は、ベース部21が拡張する表紙高さ方向に沿った外側部(上端部及び下端部)に位置する。既に述べた通り、この筒状部251は、裏表紙13に形成した挿通孔16に挿通されて、表紙体1の内側に突き出す。
【0023】
背部22は、表紙高さ方向に拡張しており、その外寸がベース部21及び押さえ部23よりも拡大している。この背部22とベース部21との間には、ヒンジ24を設けている。ヒンジ24は、表紙高さ方向に沿って延伸する凹溝である。綴じ具2における、ヒンジ24が存在する部分の厚みは、それ以外の部分(ベース部21、背部22及び押さえ部23)の厚みよりも薄肉となる。このヒンジ24により、背部22及び押さえ部23は、ベース部21に対して、表紙高さ方向に沿って伸びる軸回りに回動することが可能となる。
【0024】
押さえ部23は、背部22から一旦背幅方向即ちベース部21及び裏表紙13から離れてゆく方向に迫り上がり、その後湾曲してベース部21及び裏表紙13と略平行となるように延出している。押さえ部23もまた、表紙高さ方向に拡張し、かつ表紙幅方向にも展伸した薄板状をなす。但し、ベース部21と比較して、表紙幅方向に沿った外寸がより小さい。押さえ部23における、ベース部21及び裏表紙13に対向する側の面からは、綴じ桿25の要素となる軸部252が突出している。軸部252は、押さえ部23が拡張する表紙高さ方向に沿った外側部(上端部及び下端部)に位置する。
【0025】
綴じ具2を使用して紙葉類を綴じる際には、まず、押さえ部23及び背部22を回動操作して、図8に示すように、押さえ部23をベース部21及び裏表紙13から引き離す。このとき、押さえ部23から突出している軸部252が、ベース部21から突出している筒状部251から抜出される。その状態で、予め紙葉類に穿ってある綴じ孔に筒状部251を挿通するようにして、紙葉類の内側縁部をベース部21の上に重ねて配置する。しかる後、押さえ部23及び背部22を回動操作して、図6または図7に示すように、押さえ部23がベース部21に対向する姿勢とし、かつ軸部252を筒状部251の内に挿入する。結果、筒状部251及び軸部252が綴じ桿25となって、紙葉類がベース部21と押さえ部23との間に綴じ止められる。
【0026】
表紙体1に取り付けた綴じ具2は、そのベース部21が裏表紙13の外表面に接合する一方で、その背部22及び押さえ部23が貫通孔15を通過して裏表紙13の内向面よりも内側に進入することとなる。貫通孔15の内部には、綴じ具2におけるヒンジ14及びその近傍の部位が入り込む。特に、図8に示すように表紙体1及び綴じ具2を開いている状態や、図6に示すように表紙体1及び綴じ具2を閉じている状態では、表紙体1の背表紙12と綴じ具2の背部22と略平行となるが、綴じ具2の背部22が貫通孔15に収容されることにより、表紙体1の背表紙12と綴じ具2の背部22とが干渉することが避けられる。
【0027】
本実施形態では、表表紙11、裏表紙13並びにこれら表表紙11及び裏表紙13と接合する背表紙12を有する表紙体1に、紙葉類を綴じ止めるための綴じ具2が取り付けられたファイルであって、前記背表紙12と前記裏表紙13との境界部位に、前記綴じ具2の所定部位(綴じ具2におけるヒンジ24及び背部22)を収容するための収容部(貫通孔15)が形成されたファイルを構成した。
【0028】
本実施形態によれば、綴じ具2をできる限り表紙体1の背表紙12側に寄せて配置することができる。従って、綴じ具2に綴じ止めた紙葉類もまた背表紙12に近づくことになり、表表紙11及び裏表紙13の表紙幅を徒に大きくとらずとも、綴じ具2に綴じた紙葉類の外側縁部が表表紙11または裏表紙13からはみ出すことが回避される。つまり、表表紙11及び裏表紙13の表紙幅をより縮小してファイル全体の寸法をコンパクト化できる。
【0029】
また、綴じ具2のベース部21を裏表紙13の外表面側に露出させていることで、綴じ具2の押さえ部23から裏表紙13の内向面までの内寸をより大きく確保することができ、限られた背幅の内でより多くの枚数の紙葉類を綴じ具2に綴じることが可能となる。
【0030】
並びに、本実施形態では、表紙体1における裏表紙13側のヒンジ14に跨って、またはこれに隣接して貫通する貫通孔15が形成される一方、表表紙11側のヒンジ14の少なくとも一部に裏表紙13側のヒンジ14と比較して表紙体1の厚みをより薄くする薄肉部141が設けられている。これにより、裏表紙13を背表紙12に対して回動させる際の表紙体1の曲げこわさ(換言すれば、回動させるために必要な操作力)と、表表紙11を背表紙12に対して回動させる際の表紙体1の曲げこわさとが略均等となる。従って、裏表紙13を開閉するときには柔らかいのに、表表紙11を開閉するときには堅いというような違和感を使用者に与えることが回避される。
【0031】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態における、綴じ具2の所定部位22、24を収容するための収容部は、表紙体1を貫通する貫通孔15であったが、図9に示すように、背表紙12と前記裏表紙13との境界部位に、表紙体1を貫通しない凹部17を形成し、この凹部を綴じ具2の所定部位22、24を収容するための収容部とすることも可能である。図示例の凹部17は、背表紙12における裏表紙13に隣接する部位に所在する。その上で、この凹部17が存在する部分の厚みが、背表紙12の他の部分の厚みよりも薄肉化する。
【0032】
また、綴じ具2の所定部位22、24を収容するための収容部15、17を、背表紙12と裏表紙13との境界部位にではなく、背表紙12と表表紙11との境界部位に形成することも考えられる。この場合には、綴じ具2のベース部21が、表表紙11の外表面に接合することとなる。
【0033】
その他、各部の具体的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0034】
1…表紙体
11…表表紙
12…背表紙
13…裏表紙
14…ヒンジ
141…薄肉部
15…収容部(貫通孔)
17…収容部(凹部)
2…綴じ具
21…ベース部
22…背部
23…押さえ部
24…ヒンジ
25…綴じ桿
3…ポケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9